説明

クリアーホルダー

【課題】 剛性素材製であるにもかかわらず、良好な透明性や自立性を備えたうえ、書類の出し入れを容易に行うことができ、しかも書類などに起因する紙粉・塵埃が排出されないクリアーホルダーを提供する。
【解決手段】 厚みが100〜500μmで、25℃における引張弾性係数が150〜1000kg/mm2である2枚の合成樹脂シートを重ね合わせ、重なり合った縁辺のうち隣接する二辺または三辺を接合し、少なくとも1つの角部をなす2辺の非接合部分を設けることとする。 この非接合部分をなす一辺は、5〜50mmであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体などの電子機器を扱う生産現場などで使用されるクリアーホルダーであって、良好な透明性と自立性とを備えると共に、剛性素材製であるにもかかわらず、書類を損傷することなく容易に出し入れすることができ、しかもホルダー内の塵埃が排出され難いクリアーホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
生産工場の作業現場などにおいて、指図書または工程表などの書類を収納するためにクリアーホルダーが利用されている。
このような現場で使用されるクリアーホルダーとしては、人がその中に書類を挟んだまま該書類の記載事項を視認し易いことが重要であり、透明性、書類の脱離防止性はもとより自立性に優れたものが必要とされる。ゆえに、自立性を向上させるため剛性素材からなる硬質のクリアーホルダーが広く用いられている。
この硬質クリアーホルダーは、2枚の合成樹脂シートを重ね、隣接する二辺または三辺を接合することで、二方向または一方向が開口された構成を有するものが一般的である。
【0003】
しかしながら、硬質のクリアーホルダーは、軟質のものに比べて、書類を挟む2枚のシート同士の密着性が高く、特に角部においてシート同士の拘束が強いため、ホルダー内において空気の流れが制限され、角部に近づく程、書類の出し入れがスムーズに行い難いという大きな課題があり、しかも、無理に抜き挿しすることで書類を損傷させ紙粉の発生を招く虞がある。
クリアーホルダー自体の静電気帯電やホルダー内の書類等に誘因される塵・埃は、たとえ繊維屑程度のものであっても、半導体などの電子機器を扱う生産現場(クリーンルームなど)においては、大きな問題を引き起こす原因となり得る。
【0004】
軟質素材からなるクリアーホルダーとして、実開平3−50481号公報や実用新案登録第3095983号公報には、ホルダーの一辺に開放部(スリット)を設けたものが開示されている。
しかし、いずれも軟質素材製ゆえ自立性に乏しいことはもとより、いずれの開放部も一方向にのみ設けられホルダー内のゴミ・塵埃を排出させることを目的としており、上記のようなクリーンルーム内での使用に適したものではない。
【特許文献1】実開平3−50481号公報
【特許文献2】実用新案登録第3095983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の諸点を考慮し、半導体等の電子機器を扱う生産現場などで用いられるクリアーホルダーであって、収納した書類が容易に視認できる良好な透明性と自立性とを備えると共に、剛性を有した素材製であるにもかかわらず、書類の出し入れを容易に行うことができ、しかもホルダー内の紙粉やゴミが排出され難いクリアーホルダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明者らは、剛性素材(硬質)であるにもかかわらず軟質製のものと同程度に書類の出し入れをスムーズに行うことができるクリアーホルダーについて検討を重ねた結果、接合された二辺または三辺のうち、少なくとも1つの角部(すなわち、角部を形成する二辺)を非接合部分とすることで、
1)書類の出し入れの際には、密着した2枚の剛性シート間に空気の流れが生じ、書類の容易な出し入れが達成されるうえ、
2)開放部(非接合部)は、一方向ではなく二方向に設けられるため、ホルダー内から非接合部へと流れる空気が一方向ではなく双方向となり、この開放部から紙紛や塵が排出されにくくなると共に、非接合部と接合部との境界点を支点にして2枚のシートが撓む結果、剛性素材のホルダーにも拘わらず、2枚のシート同士の密着性がゆるみ、書類の出し入れがスムーズに行えることを見出し、さらに、
3)接合方法として溶着方法を採用する場合に、角部が溶着冶具(以下「ウェルダー」とも言う)により二重に溶着(加圧)されるため、樹脂塊ができやすく、仕上がった複数枚のホルダーを重ねた際に角部が嵩張ることがあるが、上記非接合部分を設けることによって、この嵩張りが回避できることをも見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、厚みが100〜500μmで、25℃における引張弾性係数が150〜1000kg/mm2である2枚の合成樹脂シートを重ね合わせ、重なり合った縁辺のうち隣接する二辺または三辺を接合し、少なくとも1つの角部をなす2辺に非接合部分を設けることを特徴とするクリアーホルダーを要旨とするものである。
このとき、非接合部分をなす一辺の長さが5〜50(すなわち、両辺での合計長さが10〜100)mmであることが好ましい。
【0008】
クリアーホルダーを構成する合成樹脂シートとしては、軟らかすぎるものでは十分な自立性を得ることができず、また硬すぎるものでは扱い難く脆いため、本発明では、厚みが100〜500μmで、25℃における引張弾性係数が150〜1000kg/mm2の合成樹脂シートを用いることが重要である。
【0009】
また、合成樹脂シートの素材としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、高密度ポリエチレンなどを使用することができ、中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、これらの合成樹脂は、いずれかを単独であるいは適宜の組み合わせによる2種以上を混合して使用してもよく、2種以上を混合する場合においては、ポリエチレンテレフタレートとの組み合わせとすることが好ましい。
【0010】
該シートの厚みは、特に限定されないが、薄すぎると、自立性が無くなるうえ、2枚のシート間の密着性が低下し自然にホルダーの開口部が開く可能性があり、また、厚すぎると、書類の出し入れが極端に悪くなり、持ち運びが重く、コスト高で、しかも溶着方法を採用した場合にはその加工が難しくなるため、本発明では、100〜500μm程度のものが使用され、好ましくは125〜300μmである。
本発明のクリアーホルダーでは、中の書類が容易に視認できる透明性を得るために、該シートの厚みが100μmにおけるJIS−K−7361−1で測定される全光線透過率が50%以上のものを使用することが好ましい。
【0011】
本発明では、クリアーホルダーの静電気帯電による集塵効果を抑制するために、合成樹脂シートに帯電防止性能を付加してもよい。
付加する方法としては、α)該シートの表面に帯電防止層を形成する方法、β)シート樹脂自体に帯電防止剤を練り込む方法、などが挙げられる。
【0012】
α)合成樹脂シートの表面に帯電防止層を形成する方法としては、界面活性剤を塗布する方法、導電性微粒子を塗布する方法、金属を蒸着させる方法、π電子共役系導電性ポリマーを塗布または浸漬重合させる方法などがある。
塗布方法としては、グラビアコート、ダイコート、リバースコート、コンマコート、エアナイフコート、メイヤーバーコートなど公知の方法を利用すればよく、蒸着方法としては、真空蒸着法など公知の方法を利用すればよい。浸漬重合方法としては、π電子共役系導電性ポリマーを形成し得るピロール、アニリン、チオフェンなどのモノマーと酸化剤とを含む溶液中に、基材(合成樹脂シート)を浸漬し、基材表面に該モノマーを重合させポリマーを析出させる方法などがある。
【0013】
このとき、基材となる合成樹脂シートと帯電防止層との密着性を向上させるために、該シートの表面に、コロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理などの予備処理をあらかじめ施しておくこともできる。
帯電防止層の厚みは特に限定されないが、通常0.02〜3.0μm、好ましくは0.05〜1.0μmである。
【0014】
β)合成樹脂シートに帯電防止剤を練り込む方法としては、界面活性剤や非帯電アイオノマーなどを公知の方法により、前述のような合成樹脂に練り込みシート化すればよい。
【0015】
このような合成樹脂シートは、ロール状のものを裁断・打ち抜きなどで定尺にカットする、あるいは定尺のカットシートを用いることで生産される。
また、書類の脱離防止性を考慮し、シートと書類紙との密着性を高めるために、シート自体にカールなどの歪みが無いものが好ましく、カールがあるものを使用する際には、カール方向を合わせることで気密性を保持するとよい。
【0016】
そして、本発明では、以上のような硬質の合成樹脂シートを2枚重ね合わせ、重なり合った縁辺のうち隣接する二辺または三辺を接合し、少なくとも1つの角部をなす2辺に非接合部分を設けることが重要である。
隣接する二辺を接合すれば二方向が開口され、また、三辺を接合すれば一方向が開口されたクリアーホルダーとなる。
このとき、接合された辺により形成される角部のうち少なくとも1つを(角部をなす2辺において)非接合部分とすることで、その角部において2枚のシート同士の接合による拘束が開放され、書類を出し入れする際には、密着した2枚のシート間に空気が流通する(すなわち、クリアーホルダーの開口部から非接合部を介して外部へと空気が流れる)ことになる。しかも、非接合部と接合部との境界点を支点にして2枚のシートが撓む結果、本発明のような所定の厚みと引張弾性係数を有する(すなわち、剛性の)ホルダーにも拘わらず、2枚のシート同士の密着性がゆるみ、書類をスムーズに出し入れすることが可能となる。
なお、本発明のような剛性を有した素材製であって、かつ従来技術のような角部をなす1辺にのみ非接合部が設けられる場合では、書類の出し入れの際に、2枚のシート同士の密着性があまりゆるまないため、書類をスムーズに出し入れすることが困難である。
【0017】
2枚のシートを接合する方法としては、熱、高周波、超音波等による溶着する方法、あるいは、接着剤、テープ、ホッチキス等を用いる方法、などが挙げられるが、中でも、操作の容易性や生産速度、生産コスト、製品の品質などを考慮すると、超音波または高周波による溶着が好ましい。
接合する箇所については、特に溶着方法を採用した場合、端辺に近すぎると、接合不良の箇所が生じることがあり、これを解消するためには熟練した高度な技術を要し、逆に、端辺から遠く内側に入りすぎると、書類のサイズが制限されるため、端辺より0.5〜2mm内側が好ましい。
【0018】
本発明における非接合部分(以下、「開放部」とも言う)は、角部をなす二辺に設けられるため、一方向ではなく二方向に開放されることになり、ホルダー内から開放部への空気の流れが一方向ではなく該角部にて交差し合うように双方向となる。この結果、一方向のみが開放されたものに比べて、紙粉や塵を伴う空気の流れが該角部において双方向に(相互に)抑制し合い、この開放部から紙粉・塵がより排出され難くなる。
また、接合方法として溶着方法を採用する場合に、角部がウェルダーに二重に溶着(加圧)されるため樹脂塊ができやすく、仕上がった複数枚のホルダーを重ねた際に角部が嵩張ることがあるが、この開放部を設けることによって、この嵩張りを避けることもできる。
【0019】
非接合部分の寸法については、大きすぎると、接合部のシール強度が小さくなるうえ、開放部から紙粉や塵が排出する虞があり、小さすぎると、クリアーホルダー内での空気の流れが起こりにくく書類の出し入れがスムーズに行い難くなるため、本発明では、非接合部分をなす一辺の長さが5〜50mmであることが好ましく、10〜20mmがより好ましい。
非接合部分を形成する二辺の長さは、上記の範囲内であれば、それぞれ相違していても同一でもよいが、ホルダー内から排出される2方向の空気の流れのバランスを考慮すると、同一が好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のクリアーホルダーは、収納した書類が容易に視認できる良好な透明性、書類の脱離防止性、自立性とを備えると共に、書類の出し入れをスムーズに行うことができ、しかも書類を出し入れする際以外においては、ホルダー内(開放部)から紙粉や塵が排出され難い。このため、生産現場等での書類の掲示用として好適に使用でき、とくに、半導体などの電子機器を扱う生産現場やクリーンルームなどで用いると効果的である。
【0021】
また、本発明のクリアーホルダーは、溶着方法を採用した場合、剛性素材であるにもかかわらず、樹脂塊の生じやすい箇所が存在しないので、複数枚のホルダーを重ねた際に角部が嵩張らないため、生産現場のみならず、例えば事務所内などにおいて、書類の一時保管や長期保管としても好適に使用できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明によるクリアーホルダーの実施態様例を示す。
図1(A)は二辺を溶着した二方向開きの例、図1(B),(C)は三辺を溶着した一方向または二方向開きの例である。各図中、10は本発明のクリアーホルダーを表す。クリアーホルダー10は、2枚の合成樹脂シート1を重ね合わせて、重なり合った縁辺のうち隣接する二辺11,12、または三辺11,12,13が接合され、少なくとも1つの角部を非接合部分4とすることで形成されている。この非接合部分4を、図1(A),(B)では1つの角部C1に、図1(C)では2つの角部C2,C3にそれぞれ設けている。
【0023】
本発明に係る態様に接合するには、例えば、図2に示すように、複数の突起7を設けた溶着冶具(ウェルダー)5を用いて、重ね合わせた2枚の合成樹脂シート1の縁辺を加圧し相互を溶着、接合すればよい。
突起7の直径については、0.5mm以上であることが好ましく、上限については、特に限定されないが、大きすぎると挿入する書類のサイズが制限されるため10mm程度とする。
突起7の間隔については、5mm以下であることが好ましく、下限については、特に限定されないが、小さすぎるとそのような溶着装置を作成するのに困難であるため0.1mm程度とする。
【0024】
図3は、図1における接合部3の横断面を模式的に示す図である。なお、本例では、接合方法として溶着を採用したものである。
ウェルダー全体が台座6に対し平行に加圧されれば、図3(A)に示すように、散点状に存在する溶着部3(すなわち、潰れた薄肉部分9)の厚みaが全て均一となり、この結果、シール強度が高まり好ましい溶着状態を形成することができる。一方、ウェルダーの一端が加圧された場合には、図3(B)に示すように、その加圧箇所bに樹脂塊8が発生しやすく、他方、ウェルダーの一端が減圧された場合には、図3(C)に示すように、その減圧箇所cのシール強度は弱くなる。
したがって、溶着の効率上、全ての溶着部3において均一な厚みaを得るために、図2に示すように、ウェルダーは合成樹脂シート1の寸法(辺の長さ)を超える長さのものが好ましい。
【0025】
図4(A)は、図1における非接合部分4の拡大図である。
本発明では、このように接合した辺(二辺11,12または三辺11,12,13)が直交する角部のうち少なくとも1つを非接合部分とすることが重要である。
角部に非接合部分を形成する(すなわち、角部を形成する二辺を非接合部分とする)ことで、一方向ではなく二方向に開放部が設けられることになり、クリアーホルダー10内にて双方向の空気の流れが生じ、書類の容易な出し入れが達成されると共に、この開放部から紙紛や塵が排出され難く、しかも角部の嵩張りをもなくすことができる。
さらに、非接合部分において、例えば、書類がクリアーホルダーの外にはみ出さない程度に図4(B)に示すようにRをつけてもよい。
【0026】
本発明では、非接合部分をなす一辺の長さが5〜50mmであることが好ましい。
非接合部分4の形成方法は、このような寸法が得られるのであれば特に限定されず、例えば、図4(A),(B)に示すように接合後に裁断または打ち抜きなどでカットしてもよく、溶着の場合には図4(C)に示すように樹脂シート1に対してウェルダー5の加圧位置をずらすことで設けてもよい。
図4(A),(B)のように接合後にカットすることで非接合部分を形成する場合には、カット幅が大きすぎると書類自体がはみ出し発塵の原因となるため、縁辺より2〜3mm程度内側までのカット幅とすることが好ましい。
【0027】
図5は、本発明によるクリアーホルダーの他の実施態様例を示し、隣接する二辺11,12において、特定の間隔を空けて複数箇所接合したものであり、接合部3同士の間と角部C4に非接合部分4が設けられ、開放されている。
【0028】
このようにして得られる本発明の剛性素材製の硬質クリアーホルダーは、自立性と透明性に優れていることはもとより、軟質クリアーホルダーと同程度に書類の出し入れを容易に行うことができ、しかもホルダーからの紙粉の排出が極めて起こり難いものである。
〔具体例〕
【0029】
表1に示す引張り弾性係数(kg/mm2)をそれぞれ有した合成樹脂を用いて、縦315×横225mmサイズのシートを2枚ずつ成形し重ね合わせ、重なり合った縁辺のうち隣接する3端辺をウェルダーにて溶着させ、一方向開きのクリアーホルダーを作成した。
これらクリアーホルダーの溶着された角部のうちの一つを、表1に示す長さ分カットすることで、非溶着部分を設けた。なお、表1中の長さ(mm)は1辺分をあらわし、非溶着部分を形成する両辺の長さは同一とする。0mmは非溶着部分を設けていないものを示す。
【0030】
得られたクリアーホルダーの透明性、自立性、書類の出し入れの容易性、ならびに非溶着部分からの紙粉・塵の排出量を下記の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
【0031】
(1)自立性:得られたクリアーホルダーの片側を、デスクトップ型パーソナルコンピューターに沿わせて立たせ、直立(角度90°)で自立性が認められる場合を「○」、やや湾曲して中の書類が読みにくい場合を「△」、直立できずホルダーが曲がってしまう場合を「×」で示した。
(2)出し入れの容易性:得られたクリアーホルダーに、A4版サイズのコピー用紙(ASKUL社販売 “マルチペーパー”を使用)1枚の出し入れを行い、紙が折れ曲がることなく5秒以内にホルダーからはみ出さずにきちんと入り、且つ出しやすい場合を「◎」、5秒以内に入るがやや斜めに入りやすい場合を「○」、コピー紙を入れるのに5秒よりかかるものを「×」で示した。
(3)発塵性:クリーンルーム内で使用することを目的として製造される無塵紙のクリーンルーム度は、半導体製造装置・材料国際協会(SEMI)の発塵度測定試験(SEMI−G68−97)により評価され、粒子径0.3μm以上の塵が20個/リットル以下とされている。なお、該発塵度を評価する機器としては、気中パーティクルカウンターが用いられ、無塵紙表面を吸引して集塵量をカウントする。
そこで、上記のコピー用紙1枚をクリアーホルダーに挿入したものを、クリーンルーム内の机上に直立させ、その状態のままクリアホルダーの非接合部を気中パーティクルカウンターで吸引した。その結果、粒子径0.3μm以上の塵が20個/リットル以下となったクリアホルダーは、該ホルダーを構成する2枚の合成樹脂シートの非接合部における間隔が1mm未満のものであったので、該間隔が1mm未満のものを「○」、1mm以上開いたものを「×」で示した。
【0032】
【表1】

【0033】
表1中の略号は以下の通りである。
LDPE:低密度ポリエチレン 日本ポリエチレン社製“ノバテックLD”
PP:ポリプロピレン 積水成型工業社製“Pタイプ”
A−PET:非結晶ポリエステル 三菱化学社製“ノバクリアー”
PET:二軸延伸ポリエステル 東レ社製“ルミラーT60”
導電コートPET:上記ポリエステルフィルムの表面にπ電子共役系導電性ポリマーをコートしたもの アキレス社製“ST−PET”
帯防コートPET:上記ポリエステルフィルムに帯電防止剤をコートしたもの アキレス社製“スカイリックA”
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のクリアーホルダーは、収納した書類が容易に視認できる良好な透明性、書類の脱離防止性、自立性とを備えると共に、書類の出し入れをスムーズに行うことができ、しかもホルダー内の紙粉や塵が排出され難いため、生産現場等での書類の掲示用として好適に使用でき、とくに、半導体などの電子機器を扱う生産現場やクリーンルームなどで用いると効果的である。
また、このクリアーホルダーは、樹脂塊の生じやすい箇所が存在しないため、複数枚のホルダーを重ねた際に角部が嵩張らないので、生産現場のみならず、例えば事務所内などにおいて、書類の一時保管や長期保管としても好適に使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明によるクリアーホルダーの一実施態様を示す図であり、(A)は二辺を接合した二方向開きの例であり、(B),(C)は三辺を接合した一方向開きの例である。
【図2】溶着方法の例を示す図である。
【図3】図1のクリアーホルダーにおける接合部3の横断面を模式的に示す図であり、(A)はウェルダー全体が合成樹脂シートに対し平行に加圧された好ましい状態を示し、(B),(C)はウェルダーの一端が加圧または減圧された状態を示す。
【図4】本発明のクリアーホルダーにおける非接合部分の拡大図であり、(A)は図1の実施態様を示し、(B),(C)は他の実施態様例を示す。
【図5】本発明によるクリアーホルダーの他の実施態様を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 合成樹脂シート
2 書類
3 接合部
4 非接合部(開放部)
5 溶着冶具(ウェルダー)
6 溶着時の台座
7 突起
8 樹脂塊
9 溶着部(薄肉部分)
10 クリアーホルダー
11,12,13 溶着される辺
C1,C2,C3,C4 角部
a 接合部
b 加圧された箇所
c 減圧された箇所


【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みが100〜500μmで、25℃における引張弾性係数が150〜1000kg/mm2である2枚の合成樹脂シートを重ね合わせ、重なり合った縁辺のうち隣接する二辺または三辺を接合し、少なくとも1つの角部をなす2辺に非接合部分を設けることを特徴とするクリアーホルダー。
【請求項2】
非接合部分をなす一辺の長さが5〜50mmであることを特徴とする請求項1に記載のクリアーホルダー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−240052(P2006−240052A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58699(P2005−58699)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】