説明

クリッピングおよび修正されたコンステレーションを使用するOFDMにおけるピーク低減

本発明は、送信信号を生成するために使用される誤差信号を入力信号から生成する装置であって、歪み信号を取得するために前記入力信号を歪ませるための手段(103)と、前記入力信号と前記歪み信号との差を表す、または前記入力信号を表す予備的誤差信号を計算する手段(105)と、ゼロに等しくない誤差信号値を取得するために予備的誤差信号値を変化させるように構成された、誤差信号を取得するために前記予備的誤差信号を操作する手段(107)とを含む装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信の分野に関し、特にマルチキャリア伝送技術の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マルチキャリア伝送は、広帯域幅での伝送を可能にし、且つ高速大容量のスループット性能の達成を可能にするため、例えば第4世代移動体通信システム(4G)のために有望な変調方式である。マルチキャリア変調方式に関連する問題の1つは、送信される時間ドメイン信号(time domain signal)における複数の周波数信号成分の重畳の結果から生じる増加したピーク対平均電力比(PAPR)である。マルチキャリア変調技法における高い信号ピークに関連する問題は、高いPAPRがディジタル・アナログ変換器におけるクリッピングまたは不十分な解像度と、隣接信号を乱す重大な帯域外(OOB)放射の原因となる高電力増幅器(HPA)における非線形歪みとを引き起こす。一般に、高いPAPRは、受信器における信号検出を困難にし、したがってビット誤り率の増加に通じる。
【0003】
マルチキャリア伝送技法の中でも直交周波数分割多重化(OFDM)は、頻繁に使用される。送信器においてOFDM信号は、送信されるスペクトル値の数を送信に使用されるサブキャリアに割り当てることから得られ、送信信号は、これらのスペクトル値に加えられる逆フーリエ変換から得られる。スペクトル値は、情報値の数を含むグループに情報値を分割して、これらの情報値グループを信号空間ドメイン(signal space domain)内の信号空間コンステレーションポイント(signal space constellation point)に写像することから得られる。したがってグループの情報値は、実数部と虚数部とを有する信号空間コンステレーションポイントによって表される。この写像動作は、変調技法に関連するセットの信号空間コンステレーションポイントからの或る信号空間コンステレーションポイントにグループの情報値を割り当てる変調技法、例えば、直交振幅変調(QAM)を使用してグループの情報ビットを変調することと同等である。
【0004】
OFDMの場合、高い信号ピークは、サブキャリアを重畳することから生じる。高電力増幅器は、飽和に近い、または飽和を超える全ての信号部分を激しく歪ませる。この歪みは、キャリア間干渉(ICI)と上述のOOB放射とを引き起こす。ICIは送信される信号を乱し、ビット誤り率(BER)を低下させ、OOB放射は隣接周波数帯域の信号を乱すため、これらは防止されるべきである。
【0005】
非線形歪みの負の効果を緩和するために、既知のピーク低減技法が使用される。選択的写像(SLM)、部分送信シーケンス(PTS)、およびこれらから派生した技法のような無歪み技法(non-distortion technique)は、低いピークを有する記号だけを伝送することによって良好なピーク低減を達成できる。SLM手法は、非特許文献1に開示されており、PTS手法は、非特許文献2に開示されている。
【非特許文献1】S.H.Muller,R.W.Bauml,R.F.H.Fischer and J.B.Huber,「OFDM with Reduced Peak−to−Average Power Ratio by Multiple Signal Representation」,Annals of Telecommunications,Vol.52,No.1−2,pp.1−9,(1997年2月)
【非特許文献2】S.H.Muller and J.B.Huber,「A Comparison of Peak Power Reduction schemes for OFDM」,Proc.Of Globecom,pp.1−5,(1997年11月)
【0006】
サイド情報(side information)の伝送は、無歪み技法に関連する1つの問題であるので、データ構造は変更されなくてはならない。既知の無歪み技法は、最も低いピークを有する記号を見出すために送信器における大きな労力を必要とし、信号を復元するために全ての受信器における更なる労力を必要とする。
【0007】
PAPRを減らすために、非特許文献3に開示されているような符号化技法が使用できる。符号化技法は、コードワードが低いPAPRを有するコードを使用する。しかしながらこれは一般に、送信器設計の柔軟性を制限する。更にチャネルコードが、低いPAPRのために設計されるならば、チャネルのためのコードと伝送方式とを適合させることによってシステム性能を最適化するために、もはや同じものは使用できない。更にOFDMのようなマルチキャリア伝送技法の場合にサブキャリアの数に関して、現在知られているピーク低減コードのコードレート(code rate)は、著しいPAPR低減を達成するために低くなければならない。
【非特許文献3】A.E.Jones,T.A.Wilkinson and S.K.Barton,「Block Coding Scheme for Reduction of Peak to Mean Envelope Power Ratio of Multicarrier Transmission Schemes」,El.Lett,Vol.30,No.25,pp.2098−2099,(1994年12月)
【0008】
非特許文献4と、非特許文献5とに開示されているピーク低減キャリア/トーン(PRC/PRT)を、任意選択的に非特許文献6に開示されている適応型サブキャリア選択(ASuS)と組み合わせて使用することは、データキャリアにICIを導入することなくPAPRを低減するためのある程度の自由度を提供する。しかしながら、PAPRの顕著な低減のためにはデータ転送速度の著しい損失に対応する多くのピーク低減キャリアが必要とされる。ASuSは、ピーク低減のために最も弱いサブキャリアだけを使用し、したがってチャネル状態情報(CSI)に関して受信器からのフィードバック情報を要求する。しかしながら、到達されなければならない受信器が多いほど、全ての受信器のために弱いサブキャリアを見つける可能性は低くなる。
【非特許文献4】E.Lawrey and C.J.Kikkert,「Peak to Average Power Ration Reduction of OFDM Signals Using Peak Reduction Carriers」,Int.Symposium on signal Processing and its applications,pp.737−740,(1999年8月)
【非特許文献5】J.Tellado and J.M.Cioffi,「Peak Power Reduction for Multicarrier Transmission」,Mini−Globecom,(1999年)
【非特許文献6】H.Schmidt and K.D.Kammeyer,「Reducing the Peak to Average Power Ratio of Multicarrier Signals by Adaptive Subcarrier Selection」,Int.Conference on Universal Personal Communications,pp.933−937,(1998年1月)
【0009】
クリッピング技法は、その多くが如何なる変調方式にも基本的に適用可能であるので、高い柔軟性を提供する。非特許文献7に開示されたような時間ドメインにおけるクリッピングおよびフィルタリングは、低い実施コストでピーク低減を提供するが、これに対して非特許文献8に開示された繰り返しクリッピングおよび周波数フィルタリングは、クリッピングによって導入される帯域外放射の部分を完全に除去することを可能にする。しかしながら、大抵のクリッピング技法はICIを導入する。この好ましくない影響は、低い帯域外放射を達成するためにクリッピング比が低く選択されたときに顕著になる。
【非特許文献7】L.D.Kabulepa,T.Pionteck,A.Garcis and M.Glesner,「Design Space Exploration for Clipping and Filtering PAPR Reduction Techniques in OFDM Systems」,Proc.Int.OFDM−Workshop,Vol.1,pp.108−112,(2003年10月)
【非特許文献8】J.Armstrong,「Peak−to−Average power reduction for OFDM by repeated clipping and frequency domain filtering」,El.Lett.Vol.38,No.5,pp.246−247,(2003年2月)
【0010】
フィルタリング動作、およびこのフィルタリング動作に組み込まれるピーク再成長(peak regrowth)を、非特許文献9に開示されているようなソフトクリッピング、または非特許文献10に開示されているようなピーク・ウィンドウ化、または非特許文献11に開示されているようなピーク打消し技法が使用される際に、防止することが可能となる。しかしながらこれは、更なるICIという犠牲において行われる。
【非特許文献9】H.−G.Ryu,B.−I.Jin and I.−B.Kim,「PAPR Reduction Using Soft Clipping and ACI Rejection in OFDM Systems」,IEEE Trans.On Communications,Vol.48,No.1,pp.17−22,(2002年2月)
【非特許文献10】M.Pauli and H.−P.Kuchenbecker,「On the Reduction of the Out−of−Band Radiation of OFDM−Signals」,Int.Conference on Communications,Vol.3,pp1304−1308,(1998年)
【非特許文献11】M.Lampe and H.Rohling,「Reducing out−of−band emissions due to nonlinearities in OFDM systems」,Vehicular Technology Conference,Vol.3,pp.2255−2259,(1999年5月)
【0011】
ICIを改善することは、非特許文献12に開示されているように信号を予め歪ませることによって送信器において行うことができる。これは、増幅器の非線形性を補正する。しかしながら、増幅器の飽和を超える信号ピークは更に歪まされるので、補充的ピーク低減技法(supplementary peak reduction technique)が使用されなくてはならない。補足すると、非特許文献13に開示されているように、歪んだ送信信号をモデル化することが可能であり、更に、受信器においてBayesian推定器によって限定されたダイナミックレンジを考慮することも可能である。
【非特許文献12】A.Katz,「Linearization:Reducing Distortion in Power Amplifiers」,IEEE Microwave Magazine,Vol.2,No.4,pp.37−49,(2001年12月)
【非特許文献13】P.Zillmann,H.Nuszkowski and G.P.Fettweis,「A Novel Receive Algorithm for Clipped OFDM Signals」,Proc.Int.Symp.On Wireless Personal Multimedia Communications,Vol.3,pp.385−389,(2003年10月)
【0012】
更なる1つの可能性として、非特許文献14に開示されているような圧伸技法が使用可能である。これらの技法は、送信器において信号を圧縮する送信処理部と、低い複雑さで信号を元のダイナミックレンジに伸張する受信処理部とから構成されている。受信器の設計により深い影響を有する代替技法は、非特許文献15に開示されているような判定補助リコンストラクション(DAR:decision-aided reconstruction)、または非特許文献16に開示されているような繰り返し最尤判定法(iterative maximum likelihood detection)である。しかしながらこれらの技法は、受信器において著しく大きな計算上の複雑さを必要とする。
【非特許文献14】X.Wang,T.T.Tjhung and C.S.Ng,「Reduction of Peak−to−Average Power Ratio of OFDM System Using a Companding Technique」,IEEE Trans. On Broadcasting,Vol.45,No.3,pp.303−307,(1999年9月)
【非特許文献15】D.Kim and G.L.Stuber,「Clipping Noise Mitigation for OFDM by Decision−Aided Reconstruction」,IEEE Communications Letters,Vol.3,No.1.pp.4−6,(1999年1月)
【非特許文献16】J.Tellado,L.M.C.Hoo and J.M.Cioffi,「Maximum−Likelihood Detection of Nonlinearly Distorted Multicarrier Symbols by Iterative Decoding」,IEEE Trans.On Communications,Vol.51,No.2,pp.218−228,(2003年2月)
【0013】
非特許文献17に開示されているアクティブ・コンステレーション拡張(ACE)技法は、受信器における如何なる修正もせずにICIを検討している。信号空間(信号空間ドメイン)における外側コンステレーションポイントは、PAPRを最小にするように拡張される。信号ピークをクリップした後に信号空間における望ましくない拡張方向は、決定境界(decision boarder)が決して接近されないようにゼロにセットされる。しかしながら極めて低いOOB放射を達成することは可能でなく、これは主として、小さなコンステレーションサイズのために、例えば四位相偏移変調(QPSK)のために有効である。
【非特許文献17】B.S.Krongold and D.L.Jones,「PAR reduction in OFDM via Active Constellation Extension」,IEEE Trans.On Broadcasting,Vol.49,No.3,pp.258−268,(2003年9月)
【0014】
あるクラスの無歪み技法に属する、非特許文献18に開示されたトーン注入(tone injection)技法は、信号コンステレーションを拡張するACEの代替手段であるが、これはより高いオーダーのコンステレーションに、より適している。トーン注入は、より高いオーダーの信号コンステレーションという結果をもたらし、例えば16QAM振幅変調記号は144QAM記号に変換され得る。これはICIを防止するが、平均記号エネルギーが増加し、そのため必要とされる信号対雑音比(SNR)が増大する。
【非特許文献18】J.Tellado and J.M.Cioffi,「Peak Power Reduction for Multicarrier Transmission」,Mini−Globecom,(1999年)
【0015】
下記では一例として、マルチキャリア変調方式の一例として多数のサブキャリアで伝送するためのOFDM変調が考えられる。dn(i)は、サブキャリアn上で瞬間iにおいて伝送される複素データシンボルである。OFDM変調の後に送信される信号
【数1】

は、N個のサブキャリアdn(i)から構成される。ここで
【数2】

は、送信フィルタである。例えば、g(t)のために二乗余弦インパルス形状が選択され得る。
【0016】
例えばHPAは、増幅特性
【数3】

を有する、非特許文献19に開示されているRappの固体電力増幅器(SSPA)モデルによって表すことができる。ここでp=10、
【数4】

は増幅された信号であり、Vは増幅係数と考えることができ、
【数5】

は増幅器飽和電力である。
【非特許文献19】H.Atarashi and M.Nakagawa,「A Computational Cost Reduction scheme for a Post−Distortion Type Nonlinear Distortion Compensator of OFDM Signals」,IEICE Trans.On Communications,Vol.E81−B,No.12,pp.2334−2342,(1998年12月)
【0017】
ピークの非線形歪みを減らすために増幅器は、出力バックオフ(OBO)によって動かされる。OBOは、増幅器の飽和電力と増幅器の出力信号の電力との比
【数6】

と定義される。更なる量目なしでもOFDM信号は、ときどき増幅器飽和を超える可能性がある。また、OFDM信号s(t)のダイナミックレンジを減らすために、ピーク振幅をカットするクリッピング技法を使用することが可能である。
【0018】
図12は、PAPRを低減するためにクリッピング手法を組み込んだOFDM送信器のブロック図を示している。
【0019】
図12の送信器は、非特許文献20に開示されているような非再帰型クリッピング(non-recursive clipping)(実線)を示している。更にこの送信器は、破線で描かれた再帰型クリッピング手法を示している。
【非特許文献20】J.Armstrong,「New OFDM Peak−to−Average Power Reduction Scheme」,Vehicular Technology Conference,Vol.1,pp.756−760,(2001年春)
【0020】
図12に示している送信器は、ゼロパディングブロック(zero padding block)1501の入力に接続された出力を有するデータシンボルソース(data symbol source)1500を含んでいる。ゼロパディングブロック1501は、逆高速フーリエ変換器(IFFT)1503に接続されている。IFFTの出力は、高速フーリエ変換器(FFT)1507に接続された出力を有するクリッピングブロック1505に接続されている。FFT1507の出力は、フィルタ1509に接続されており、このフィルタ1509は、OFDM変調器1511に接続された出力を有する。
【0021】
フィルタ1509によって与えられるフィルタ処理された信号は、再帰型クリッピング技法を使用してゼロパディングブロック1501にフィードバックされる。
【0022】
サブキャリア
【数7】

上のデータシンボルは先ず、IFFTブロック1503を使用して時間ドメイン信号に転送される。FFT以前のゼロパディングは、時間ドメインにおけるオーバーサンプリングをもたらす。次に信号は、クリッピングレベルXmaxにおいてクリップされる。クリッピング比CRは
【数8】

によって定義される。クリップされた信号は、周波数ドメインに変換し返される。FFT出力の第1のN個の要素は、振幅制限された時間信号に対応する新しいデータシンボルであるが、出力ベクトルのその他の部分は、チャネル上にOOB放射として現れる相互変調結果だけを含んでいる。これらの要素は、システムのフィルタリングブロック1509によって抑制される。
【0023】
クリッピングの欠点は、元のデータシンボルと新しいデータベクトルとの間の誤差である。この差は、前に言及されたICIである。
【0024】
前述のクリッピングおよび1記号ずつのフィルタリング手法とは逆に、再帰型クリッピングに関連する繰り返されるクリッピングおよび周波数ドメインフィルタリングは、図12において破線で描かれている。クリップされた信号振幅はピーク低減されるが、フィルタリングは全ての高い周波数を除去し、更にピークは再成長する。この理由からクリッピングおよびフィルタリングを繰り返すことは有益である。したがって図12の破線の部分に示されているように、フィルタリングされた信号はフィードバックされる。繰り返しは何回でも可能であるが、非特許文献21には、システムパラメータに依存して、多くの場合においてクリッピングおよびフィルタリングの繰り返しは、せいぜい1回が有益であり得ることが示されている。
【非特許文献21】A.Saul,「Analysis of Peak Reduction in OFDM Systems Based on Recursive Clipping」,Proc.Int.OFDM−Workshop,Vol.1,pp.103−107,(2003年9月)
【0025】
上記の技法に対する代替技法は、前述のACE技法である。ACE技法の背後の基本概念は、セットの制約を適用しながら、記号空間(信号空間ドメイン)においてコンステレーションポイントを拡張することとして要約できる。これらの制約は、記号が複素信号空間(complex signal space)において決定境界に接近することを防止する。
【0026】
図13は、ACE技法を使用した送信器のブロック図を示している。
【0027】
ACE送信器は、出力1601を有するIFFT1600に接続されたデータシンボルソース1500を含んでいる。IFFT1600は、逆フーリエ変換とオーバーサンプリングとを実行し、図12のゼロパディングブロック1501およびIFFT1503と同じ機能を有している。出力1601は、スイッチ1603を介して減算器1605と、クリッピングブロック1607と、ACE制約ブロック1609と、SGPブロック1611(SGP=smart gradient project(スマート勾配プロジェクト))と、加算器1613とに接続される。
【0028】
減算器1605の出力は、ACE制約ブロック1609に接続された出力を有するFFT1615に接続される。FFT1615は、フーリエ変換とフィルタリングとを実行し、これは図12のブロック1507と1509の動作に相当する。ACE制約ブロック1609は、乗算器1619に接続された出力を有するIFFT1617に接続された出力を有する。IFFT1617は、逆フーリエ変換とオーバーサンプリングとを実行する。乗算器1619は、SGP1611の出力が接続される更なる入力を有する。SGP1611は、IFFTの出力が接続される更なる入力を有する。乗算器1619の出力は、加算器1613の入力に接続される。加算器1613の出力は、スイッチ1621を介してインパルス整形ブロック1623に接続される。
【0029】
図13に示しているACE送信器は、スイッチ1603および1621が適当に切り替えられるときに、加算器1613の出力を減算器1615の入力に接続するフィードバックループ1625を更に含んでいる。
【0030】
前述のその他のクリッピング技法と同様に、IFFT1600によって与えられるオーバーサンプリングされた時間信号は、クリッピングブロック1607によってクリップされる。或る幾つかの拡張方向だけを許容するために、クリップされた信号部分は、FFT1615を使用して周波数ドメインに変換されるが、ここで望ましくない拡張方向は、ACE制約ブロック1609においてゼロにセットされる。時間ドメインに変換し返した後にIFFT1617によって与えられた拡張ベクトルのμフォールトは、元のクリップされなかった信号に加算される。
【0031】
重み付け係数μは、ピーク低減が達成され得るように、次善ではあるが計算上効率的な仕方で前述のスマート勾配プロジェクト・アルゴリズムによって決定される。更にピークを低減するために、この手順は数回繰り返すことができる。実際には1、2回の繰り返しが妥当である。
【0032】
図14aは、CR=3.1dBでの再帰型クリッピングの後の信号空間コンステレーションを示している。再帰型クリッピングは、信号点が決定境界に近づかないように、ほぼ白色ガウス雑音状の信号をサブキャリアに重ね合わせて、干渉をACE整形する。図14bは、CR=5.0dBでQPSK信号のACEの後の信号空間コンステレーションを示している。図14bに示されているように、許容できない拡張方向は、ゼロにセットされることになる。信号点が決定境界に接近するならば、その拡張方向は許容可能でない。図14aを参照すると上隅のサブキャリアは、ピーク低減に十分に寄与している。上左隅のサブキャリアは、拡張ベクトルの実数部がゼロにセットされるので、虚数部だけで寄与している。下右隅のサブキャリアは、拡張ベクトルの虚数部がゼロにセットされるので、実数部だけで寄与している。
【0033】
例えばクリッピングレベルが低すぎれば、僅かな信号点だけが直角領域内にとどまるので、僅かな信号点だけがPAPR低減に寄与する。しかしながら許容された領域にとどまる信号点が少ないほど、達成され得るPAPR低減は不十分になる。増加したクリッピングレベルは、許容され得る領域内に、より多くの信号点を導入するが、この場合OOB放射は増加するので、隣接周波数帯域上の他の送信器が乱される。
【発明の開示】
【0034】
本発明の目的は、送信信号における振幅ピークの低減に寄与する増加した数の誤差信号成分を有する誤差信号を生成するための概念を提供することである。
【0035】
この目的は、請求項1に記載の誤差信号を生成する装置によって、または請求項34に記載の送信信号を生成する装置によって、または請求項35に記載の誤差信号を生成する方法によって、または請求項36に記載の送信信号を生成する方法によって、または請求項37に記載のコンピュータプログラムによって達成される。
【0036】
本発明は、周波数ドメインにおける誤差信号値が変化するときにPAPR低減に寄与する誤差信号成分の数を増加させることができるという発見に基づいている。
【0037】
本発明によれば、誤差信号は2つの処理段階で生成される。第1に入力信号と歪み信号(distorted signal)との差を表す、または入力信号を表す、歪ませる手段によって与えられる予備的誤差信号が計算される。この予備的誤差信号は、誤差信号を取得するために第2の処理ステップで周波数ドメイン内において変化する予備的誤差信号値を周波数ドメインにおいて含むことができる。代替としてこの予備的誤差信号は、時間ドメインにおいて予備的誤差信号値を含んでもよい。第2に予備的誤差信号値は、結果として得られる誤差信号値がゼロに等しくないような仕方で変化する。これに関して誤差信号値は、実数部と虚数部とを有する複素数を表すことが可能である。一方、予備的誤差信号値は、実数部だけ、または虚数部だけを表すことも可能である。更に誤差信号値は、実数を表し得る。更に予備的誤差信号値を含むベクトルは変化してもよい。
【0038】
例えば予備的誤差信号値は、周波数ドメイン値である。この場合、周波数ドメインにおける予備的誤差信号値は、例えば信号空間ドメイン内に実数部と虚数部とを有する信号空間コンステレーションポイントに関連しており、予備的誤差信号値の変化は、例えば信号空間ドメイン内の所定の値の範囲に関連した所定のエリアに向かって信号空間ドメイン内の信号空間コンステレーションポイントを動かすことと同等である。
【0039】
本発明によれば所定の値の範囲は、言い換えれば信号空間ドメイン内の所定のエリアは、所定のエリア内またはその境界上の信号空間コンステレーションポイントに関連する増加した数の誤差信号値が振幅ピーク低減に寄与するために、所定のエリアに向かって動かされる誤差信号値の数が増加するように、選択され得る。同時にこの所定のエリアは、受信器における信号検出性能を考慮して選択されることが可能である。
【0040】
言い換えれば予備的誤差信号値は、振幅ピーク低減が最適化されて同時に受信器における誤った検出の結果から生じるビット誤り比が最小になるように、周波数ドメイン内で整形される。
【0041】
これに関して所定の値の範囲は、所定のセットの実数値を決定することができる。更に所定の値の範囲は、所定のセットの複素数値を決定することができ、すなわち所定の値の範囲は、実数または複素数であり得る。更に所定の値の範囲は、分離された、所定のサブ範囲を含むことができる。言い換えれば所定の値の範囲は、継続されることも中断されることも可能である。同じ考慮は、所定のエリアの特性にも適用される。
【0042】
一般に予備的誤差値は、結果として得られる誤差値が好都合な分布を有し得るように操作される。これに関して所定の値の範囲またはエリアは、好都合な分布の特別のケースを決定する。
【0043】
本発明は更に、ACE技法の制約を一般化するための概念を提供する。一般化された制約は、繰り返し型または再帰型ピーク低減アルゴリズムにおける逆拡張(後向き操作と関連する)の可能性を与える。更にこれらの制約に関連する誤差は、従来のACE技法に関するものより小さい。更にピーク低減のために更なる自由度が利用できる。本発明の技法は、例えばQPSKと更に高いオーダーのQAM変調の両者に適用可能である。あるパラメータは、この技法の、例えば必要とされる帯域外放射への適応を可能にする。これに関しては、一般化されたACE制約である固定された境界までこれらの点を動かす代わりに、単にある程度だけ点を動かすことも好適であることは留意されるべきである。
【0044】
本発明の更なる実施形態を、下記の図で詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図1に示している装置は、入力信号を受信するための入力101を含んでいる。更に本装置は、入力と出力とを有する歪ませる手段103を含んでおり、この装置の入力101は、歪ませる手段103の入力に接続され、歪ませる手段103の出力は、予備的誤差信号を計算する手段105の入力に接続される。計算する手段105は、本装置の入力101が接続される更なる入力を有している。計算する手段105は、操作する手段107の入力に接続された出力を有し、操作する手段107は、誤差信号を供給するための出力を有している。
【0046】
歪ませる手段103は、入力信号と歪み信号との差を表す予備的誤差信号を計算する手段105に与えられる歪み信号を取得するための入力信号の振幅を制限するために、入力信号またはそのコピーを受信するように構成されている。計算する手段105は、操作する手段107に予備的誤差信号を提供するが、ここで予備的誤差信号は、例えば或るマルチキャリア変調方式によって使用されるサブキャリアに関連する周波数ドメインにおいて多くの予備的誤差信号値を含む周波数ドメイン信号である。したがって、各予備的誤差信号値は、共に周波数ドメイン内に信号空間コンステレーションポイントを形成する実数部と虚数部とを含むことが可能である。操作する手段107は、誤差信号によって含まれる誤差信号値を取得するために予備的誤差信号値を変化させるように構成され、この予備的誤差信号値の操作の結果から得られる誤差信号値は、ゼロに等しくない。言い換えれば予備的誤差信号値は、例えばピーク低減に寄与する誤差信号値を生成するために使用され、廃棄されることもなく、また、ゼロにセットされることもない。
【0047】
例えば、操作する手段107は、誤差信号値が所定の値の範囲内に在るように予備的誤差信号値を変化させるように構成されている。操作する手段は、実数部値範囲および/または虚数部値範囲を示す所定の値の範囲内で予備的誤差信号値の実数部および/または虚数部を変化させるように構成され得る。したがって、操作する手段107は、所定の大きさ範囲を示す所定の値の範囲内で予備的誤差信号値の大きさを変化させるように構成され得る。
【0048】
前述のように図1に示す本発明の装置によって与えられる誤差信号は、低減された振幅ピークを有する送信信号を生成するために、振幅ピークを含む入力信号に結合され得る。好適には、操作する手段107は、振幅ピーク低減に寄与する誤差信号値の数を所定の値の範囲内で増加させるために誤差信号値が所定の値の範囲内に在るように、且つ帯域外放射が減らされるように、予備的誤差信号値を変化させるように構成されている。
【0049】
本発明によれば送信信号は、帯域外放射が送信器によってされに処理された(例えば増幅器によって歪まされた)後に減らされるように、または最小にされるように、生成される。したがって受信されたバージョンは、ほんの僅かな誤差を持って受信器において検出され得る。通常このような信号は、低減された振幅ピークを有するだろう。
【0050】
本発明の更なる態様によれば所定の値の範囲は、この所定の値の範囲内の誤差信号値が送信信号における振幅ピーク低減に寄与するように、且つ入力信号を誤差信号に結合することによる送信信号の受信可能バージョンの誤った検出に関連する誤り率、例えばビット誤り率または記号誤り率が最小にされるように、選択されることが可能である。言い換えれば所定の値の範囲は、ピーク低減のために有用な信号成分の数を増加させるように、また同時に誤り率を最小にする、または低減するように選択されることが可能である。
【0051】
前述のように所定の値の範囲は、両方の説明方法が同等であるので、信号空間ドメインにおける所定のエリアに関連している。この解釈から始めると、操作する手段107は、結果として得られる誤差信号値が信号空間ドメインにおいて信号空間コンステレーションポイントを定義する大きさと位相とを有するようにこの予備的誤差信号の大きさまたは位相を変化させるように構成されている。ここで信号空間コンステレーションポイントは、所定のエリア内またはその境界上に配置されている。
【0052】
本発明の更なる態様によれば操作する手段は、信号空間ドメイン内の所定のエリア内の信号空間コンステレーションポイントに関連する中間信号値を取得するために予備的誤差信号値を前向き操作(forward-manipulating)するように構成され、更にこの操作する手段は、予備的誤差信号値が特性要件を満たさない場合に、信号空間ドメイン内の、所定のエリアの外側に在る更なる領域内に在る信号空間コンステレーションポイントに関連する誤差信号値を取得するために、或る程度この予備的誤差信号値を後向き操作(back-manipulating)するように構成されている。
【0053】
例えば操作する手段107は、信号空間ドメインにおける所定のエリア内の信号空間コンステレーションポイントに関連する中間値を取得するために、予備的誤差信号値を前向き操作する、すなわち所定のエリアに向かって予備的誤差信号値を操作するように構成されており、更に、予備的誤差信号値が特性要件を満たさない場合に、信号空間ドメイン内の、所定のエリアの外側に在る更なる領域内に在る信号空間コンステレーションポイントに関連する誤差信号値を取得するために、或る程度この予備的誤差信号値を後向き操作するように構成されている。
【0054】
更に、操作する手段107は、予備的誤差信号値が特性要件を満たす場合に誤差信号値として予備的誤差信号値を与えるように構成されることが可能である。
【0055】
特性要件は例えば、チャネル状態情報、信号品質度、異なる信号品質度の組合せ、或る一定のビット誤り率または或る一定の電力スペクトル密度または送信信号を送信することに関連する或る一定の送信電力、または両者とも電力スペクトル密度に関連する或る一定のビット対雑音エネルギー比または或る一定の信号対雑音エネルギー比、またはビット対雑音エネルギー比または信号対雑音エネルギー比に関連する或る一定の電力スペクトル密度であり得る。特性要件は更に、伝送パラメータ(システムパラメータ)、例えば送信信号を送信することに関連する変調方式、または検討されている伝送システムのための許容可能な最大帯域外放射に依存することが可能である。
【0056】
更に、特性要件が1回だけ選択可能である、すなわち伝送の開始時に最初に選択され得ることは留意されるべきである。代替として特性要件はまた、適応的に設定されることが可能であり、すなわち伝送中に1つのOFDM記号からもう1つのOFDM記号に変更されることが可能である。
【0057】
更に、操作する手段107は、予備的誤差信号値が特性要件を満たす場合に、誤差信号値として予備的誤差信号値を与えるように構成され得る。
【0058】
本発明の更なる態様によれば本装置は更に、特性要件に関して予備的誤差信号値を分析する分析器を含むことが可能である。例えばこの分析器は、入力信号を現在生成されている予備的誤差信号に結合することによって送信信号を生成するときに、時間ドメイン信号であり得る送信信号上の予備的誤差信号の、または予備的誤差信号値の影響をエミュレートするように構成されている。
【0059】
本発明の更なる態様によれば本分析器は、各々のテーブルが異なる特性要件を達成するために必要とされる可能な誤差信号値の或るいくつかの特性を定義する複数のエントリを含む、メモリ内に記憶された複数のテーブルを含むことが可能である。予備的誤差信号値の特性は、例えば特性要件を達成するために必要とされる実数部および虚数部の範囲であり得る。
【0060】
本発明の更なる態様によれば本装置は、誤差信号を繰り返し生成するように構成でき、このシナリオは後述される。この場合、分析器は好適には、特性要件に関して前の繰り返しステップで生成された誤差信号を分析するように、且つ特性要件を満たす誤差信号値を取得するためにある程度、誤差信号値を後向き操作するように構成されている。言い換えれば本発明の装置は、後向き操作によって逆拡張(reverse extension)を実行するように構成されている。
【0061】
本発明の更なる態様によれば本装置は更に、特性要件に依存して所定のエリアまたは/および更なる所定のエリアを決定する手段を含むことが可能である。言い換えれば決定する手段は、例えばある程度の後向き操作が可能であるように、すなわち所定のエリアがゼロに等しくないエリアを囲むように所定のエリアまたは更なる所定のエリアを決定または提供するように構成され得る。
【0062】
本発明の更なる態様によればこの決定する手段は更に、例えば伝送のためのシステムパラメータとして使用される写像方式または変調方式に関連する信号空間コンステレーションポイントに依存して所定のエリアまたは/および更なる所定のエリアを提供または決定するように構成され得る。
【0063】
本発明の概念を更に詳細に説明するために、信号空間ドメイン203内の予備的誤差信号値を表す信号空間コンステレーションポイント201を示している図2aを参照する。図2aに示されているように信号空間ドメインは、実数部軸と該実数部軸に直交する虚数部軸とによって決定される2次元平面によって決定される。更に信号空間ドメイン203は、原点205を有する。
【0064】
図2aに示されているように、予備的誤差信号値に関連する信号空間コンステレーションポイント201は、所定のエリア207の外に在る。所定のエリア207内またはその境界上の信号空間コンステレーションポイントだけが受信器におけるビット誤り率を増加させることなしに振幅ピーク低減に寄与することが仮定されている。所定のエリア内の誤差信号値の数を増加させるために、所定のエリア207の外側の予備的誤差信号値に関連する信号空間コンステレーションポイント201は、所定のエリア207内に位置する誤差信号値209が結果として生じるように操作される。図2aには一例として、所定のエリア207内の誤差信号値に関連する信号空間コンステレーションポイント201を取得するために、予備的誤差信号値に関連する信号空間コンステレーションポイント201が動かされる操作方向の1つが描かれている。
【0065】
例えば、信号空間ドメイン203内の原点205は、ゼロに等しい信号空間コンステレーションポイントに関連している。本発明の更なる実施形態によれば原点205は、所定のエリア207の外側の信号空間コンステレーションポイント201をゼロにセットすることを避けるために、所定のエリア207から除外されている。
【0066】
所定のエリア207は、信号空間ドメイン203内で如何なる形状も有し得る。例えば所定のエリアは、矩形または円形であり、あるいは円の扇形部分である。更にこの所定のエリアは、信号空間ドメインの如何なる部分に配置されてもよいので、原点205が必ずしも所定のエリア207によって取り囲まれるか、含まれるかしなくてはならないことはない。
【0067】
例えば所定のエリア207は、信号空間ドメイン203の原点に関して円形である。この場合は、ピーク対平均電力低減(peak to average power reduction)に寄与する誤差信号値に関連する信号空間コンステレーションポイントの円形分布に対応する。所定のエリアのこの配置は、周波数ドメインにおける信号空間コンステレーションポイントの大きさ制限に対応する。この場合、操作する手段107は、所定のエリアの境界とこの場合の信号空間ドメインの原点との間の距離によって決定される所定のエリアの半径を超えない大きさを有する誤差信号値を取得するために予備的誤差信号値の大きさを制限するための大きさ制限器を含むことが可能である。
【0068】
所定のエリア、または同様に所定の値の範囲は、例えば前述の大きさ制限器が例えば信号空間ドメイン内の所定のエリアの前述の半径によって定義される制限比に関して予備的誤差信号値の数を制限するように構成されている。
【0069】
本発明の更なる態様によれば本装置は更に、信号空間ドメイン内に所定のエリアを決定するための手段を含むことが可能である。例えば所定のエリアを決定する手段は、所定のエリア内またはその境界上に在る信号空間コンステレーションポイントに関連する誤差信号値が振幅ピーク低減に寄与するように、且つ入力信号を誤差信号に結合することによる送信信号の受信可能バージョンの誤った検出に関連する誤り率が最小にされるように、所定のエリアを決定するように構成されている。
【0070】
例えば入力信号は、サブキャリアに関連するスペクトル値の周波数−時間変換の結果から得られるマルチキャリア信号である。したがって入力信号のスペクトル表現は、セットのサブキャリアに割り当てられたセットのスペクトル値を含んでおり、このセットのスペクトル値の中のスペクトル値は、ある写像方式によって、または同様にある変調方式によって、例えばQAM方式によって情報値の数をある一定の信号空間コンステレーションポイントに割り当てる結果から得られる。上述の両条件、すなわち最小にされた、あるいは少なくとも増大されていないビット誤り率と共に振幅ピークの最適な低減が得られるように所定のエリアを決定するために、所定のエリアを決定する本発明の手段は、変調方式または写像方式に関連する誤り確率に依存して所定のエリアを決定するように構成されている。この誤り確率は、変調方式、信号対雑音比、チャネル減衰などによって決定するビット誤り確率または記号誤り確率であり得る。
【0071】
例えばQPSK方式に関連するビット誤り確率は、16QAM方式のビット誤り確率とは異なる。更に、信号空間ドメインにおけるビット誤り確率の等高線図(contour plot)は、ビット誤り確率に依存して所定のエリアまたはいくつかの所定のエリアを決定することが見出されている。この問題は、図3a〜3dの実施形態に関連して詳細に後述される。
【0072】
例えば、マルチキャリア変調方式は、異なるスペクトル値が複数の変調方式による信号空間ドメイン内の異なる信号空間コンステレーションポイントに異なる数の情報値を割り当てる結果から得られるように形成されている。この場合、決定する手段107は、複数の使用された変調方式に依存して複数の所定のエリアを決定するように構成され得る。例えばスペクトル値のセット内の更なるスペクトル値は、更なる変調方式によって、または更なる写像によって、例えば64QAMによって、更なるある一定の信号空間コンステレーションポイントに更なる数の情報値を割り当てる結果から得られる。所定のエリアを決定する手段107は、更なる変調方式に関連する更なるビット誤り確率に依存して更なる所定のエリアを決定するように構成され得る。スペクトル値はサブキャリアに関連するので、同じ変調方式に関連するサブキャリアに関してこの同じ変調方式に依存する共通の所定のエリアが決定することができる。言い換えればこの決定する手段は、サブキャリア様式の所定のエリアを決定するように構成され得る。
【0073】
例えば上記の変調方式または更なる変調方式は、幾つかの可能な変調方式を挙げれば、直交振幅変調(QAM)または位相偏移変調(PSK)または4位相偏移変調(QPSK)または振幅偏移変調(ASK)に属する。
【0074】
周波数ドメイン内の予備的誤差信号値は、入力信号のスペクトル表現に関連するスペクトル値が割り当てられたサブキャリアに対応することができる。例えばスペクトル値が割り当てられたサブキャリアには、予備的誤差信号値が割り当てられ、更なるスペクトル値が割り当てられた更なるサブキャリアには、更なる予備的誤差信号値が割り当てられる。これに関して、用語「サブキャリア」は、サブキャリア周波数を示している。
【0075】
操作する手段107はこの場合、所定のエリア内またはその境界上に在る信号空間コンステレーションポイントに関連する誤差信号値を取得するために予備的誤差信号値の大きさと位相とを操作するように、および/または更なる所定のエリア内またはその境界上に在る更なる信号空間コンステレーションポイントに関連する更なる誤差信号値を取得するために更なる予備的誤差信号値の大きさおよび/または位相を操作するように構成され得る。言い換えれば、異なる変調方式または写像方式に関連する信号空間コンステレーションポイントは、個別に処理される。この処理は、操作が同時に実行されるように、並行して実行できる。
【0076】
本発明の更なる態様によれば本操作は、例えば現在の変調方式に依存して、第1の信号空間コンステレーションポイントが第1の瞬間に操作され、第2の信号空間コンステレーションポイントが更なる瞬間に操作されるように順次に実行され得る。
【0077】
例えば変調方式は、変調方式にしたがって、例えばQPSKにしたがって信号空間ドメイン内の信号空間コンステレーションポイントの可能な分布を決定するセットの信号空間コンステレーションを含み、伝送のためにこのセットの信号空間コンステレーションポイントには情報値が割当て可能である。例えばこの1セットの信号空間コンステレーションポイントは、第1の大きさに関連する第1のサブセットの信号空間コンステレーションポイントと、この第1の大きさより大きい第2の大きさに関連する第2のサブセットの信号空間コンステレーションポイントとを含んでいる。QAM方式の場合、この第1の大きさは、内側信号空間コンステレーションポイントの大きさであって、第2の大きさは、外側信号空間コンステレーションポイントに、または最も外側の信号空間コンステレーションポイントに関連する大きさである可能性がある。操作する手段107は、第2のサブセットの信号空間コンステレーションポイントに属する信号空間コンステレーションポイントに関連する誤差信号値とは異なる第1のサブセットの信号空間コンステレーションポイントに属する信号空間コンステレーションポイントに関連する予備的誤差信号値を操作するように構成され得る。
【0078】
更に、操作する手段107は、この特定の信号空間コンステレーションポイントが第1のサブセットの信号空間コンステレーションポイントに属するときにだけ、スペクトル値が割り当てられたサブキャリアに関連する予備的誤差信号値を操作するように、またこの特定の信号空間コンステレーションポイントが第2のサブセットの信号空間コンステレーションポイントに属するときには、誤差信号値として予備的誤差信号値を与えるように、構成され得る。言い換えれば、操作する手段107は、第2のサブセットの信号空間コンステレーションポイントに関連する予備的誤差信号値を変化させずに維持する。
【0079】
本発明の更なる態様によれば、第2の大きさに関連する信号空間コンステレーションポイントだけが操作されて、第1の大きさに関連する信号空間コンステレーションは変更されずに維持される。
【0080】
操作する手段107は、予備的誤差信号値の大きさを制限するための大きさ制限器を含むことができ、この大きさ制限器は変調方式に依存して予備的誤差信号値の大きさを制限するように構成され得る。より特定的には大きさ制限器は、異なるサブキャリアのために、または異なるサブキャリアセットのために異なる変調/写像方式が使用されるとき、異なるサブキャリアに異なる大きさ制限方式を適用するように構成され得る。例えばもう1つのサブキャリアに関連するもう1つのスペクトル値は、もう1つの変調方式によってもう1つの数の情報値をもう1つの信号空間コンステレーションポイントに適用する結果から得られ、もう1つの予備的誤差信号値はこのもう1つのサブキャリアに関連している。この大きさ制限器は、変調方式に依存して予備的誤差信号値の大きさを個別に制限するように、またもう1つの変調方式に依存してもう1つの予備的誤差信号値の大きさを個別に制限するように構成され得る。
【0081】
例えば大きさ制限器は、予備的誤差信号値の大きさをクリップするように、および/またはもう1つの予備的誤差信号値の大きさをクリップするように構成されている。
【0082】
本発明の更なる態様によれば、誤差信号を生成する本発明の装置は更に、チャネル状態情報に依存して所定の値の範囲を、または同様に所定のエリアを決定する手段を含んでいる。例えばチャネル状態情報は、現在のチャネル減衰に、または受信器などの非ゼロ速度の結果から生じるチャネル変化に関連する。通信チャネルは時間と共に変化するので、所定の値の範囲を決定する手段は、変化するチャネル状態に依存して、例えば変化するチャネル減衰、信号対雑音比、チャネル遅延、または他のチャネル特性に依存して、所定の値の範囲を適応的に決定するように構成され得る。
【0083】
操作する手段は更に、所定の制約にしたがって予備的誤差信号値を変化させるように形成され得る。所定の制約は、例えば所定の値の範囲(または所定のエリア)、または送信信号の受信可能バージョンの検出に関連する所定のビット誤り率、または現在のチャネル状態条件またはサービス品質要件、例えば利用可能な帯域幅、または送信器における送信電にすることができる。
【0084】
図1の実施形態を再び参照すると、歪み信号を取得するために、歪ませる手段103は、予備的な制限された入力信号を取得するために入力信号の振幅を制限するための歪ませる要素と、増加したエネルギーを有する歪み信号を取得するように予備的な歪み信号のエネルギーを増加させるために重み付け係数で予備的信号に重み付けするための重み付け要素とを含むことが可能である。この場合は、歪ませること、例えば振幅を制限することに関連するエネルギー損失を補正するために、信号空間ドメイン内の対応する信号空間コンステレーションポイントの大きさを増加させることに対応する。振幅制限要素は、入力信号の振幅をクリップするように動作可能である。重み付け要素は、予備的な歪み信号に重み付け係数を乗算するための乗算器を含み得る。この問題は、後に詳細に説明される。
【0085】
操作する手段107に供給される予備的誤差信号を計算するために、計算するための手段105は、入力信号と歪み信号との差を計算するための減算器を含むことが可能である。この差は、時間ドメインにおいて、および周波数ドメインにおいて計算することができる。例えば計算する手段105は、周波数ドメインにおける予備的誤差信号を取得するために、この差を時間−周波数変換するための時間−周波数変換器を含んでいる。したがって、計算する手段105は、変換された歪み信号を取得するために歪み信号を時間−周波数変換するための第1の時間−周波数変換器と、変換された入力信号を取得するために入力信号を時間−周波数変換するための第2の時間−周波数変換器とを含むことが可能であるので、減算器は、周波数ドメインにおける予備的誤差信号を取得するために変換された入力信号と変換された歪み信号との間(入力信号のスペクトル表現と歪み信号のスペクトル表現との間)の差を計算するように形成されている。
【0086】
更に計算する手段105は、予備的誤差信号としてフィルタリングされた予備的誤差信号を与えるためのフィルタを含むことが可能である。
【0087】
下記において、後向き操作に関連する本発明の逆拡張手法(reverse extending approach)に関連する本発明の更なる態様が、図2b〜21に関して説明される。
【0088】
図2b、2d、および2fは、図13におけるACE制約がどのように3つの例に適用されるかをグラフで視覚化している。ドットは、誤差信号
【数9】

であって、各ドットは、1サブキャリア上の誤差に対応する。ACE制約は、信号
【数10】

を形成するために矢印によって示されるようにドットを動かす。これらの制約は、歪まされていない記号d0が信号コンステレーションのどの隅に位置するかを区別しなくてはならない。QPSKでなくQAM変調が使用されれば、更に、例えば図2dの制約を有するコンステレーション辺縁上の記号と、図2fの制約に対応するコンステレーションの内側の記号とを区別しなくてはならない。
【0089】
これに対して図2c、2e、および2gは、代替の本発明の制約の例を示している。ここで、まず、図2cに示しているQPSK変調を検討する。例のQPSK記号に関して本発明の制約は、2つの負の拡張領域(縞付き領域)によって特徴付けられる、すなわち拡張ベクトル
【数11】

の要素の実数部または虚数部またはそれら両部のいずれかが負になり得る。他の3つの可能なQPSK記号に関しては一般に、逆拡張領域が使用され、したがってこれらは負または正いずれにもなり得る。
【0090】
逆拡張領域の1つの効果は、より小さな誤差を引き起こすこと、すなわち
【数12】

がより小さくなることである。このより小さな誤差は、例えば上右隅の記号(QPSKまたはQAM)の従来の拡張を示す図2bと比較して図2cの矢印のより短い長さによって表される。このより小さな誤差のおかげで、より良好なピーク低減が達成され得る。更に継続的な繰り返しの場合には、前の繰り返しが一部のサブキャリアに過剰に高い拡張を引き起こすということが起こり得る。逆拡張方向が許されさえすれば、これはある程度だけステップバックすることによって次からの繰り返しで修正され得る。
【0091】
ステップバックするこの特徴は、「逆拡張」として知られており、例えば非特許文献22を参照されたい。しかしながら上記の参照は、本発明の技法を適用するときには必要とされない余分のFFTが逆拡張を導入するために必要とされる。
【非特許文献22】B.S.Krongold and D.L.Jones,「PAR Reduction in OFDM via Active Constellation Extension」,Int.Conference on Acoustics,Speech and Signal Processing,vol.4,pp.525−528,(2003年4月)
【0092】
次に、QAM変調、例えば16QAMを詳しく見る。図2eは、コンステレーションの上部辺縁上のQAM記号を送信するサブキャリアを取り扱う方法を示している。拡張ベクトルの要素が中を動かされるコリドー(廊下)が与えられる。この例ではコリドーは、虚数部の逆拡張のための縞付き領域と実数部の順方向および逆方向の拡張のための追加の縞付きでない領域とを含んでいる。この例の従来のACE技法に関してはピーク低減のために虚数部だけが使用され得るが、本発明の技法は、実数部もピーク低減に寄与することを可能にする。図2gの内側QAM記号に関して内側記号もピーク低減のために使用されるように設けられた小さな拡張エリアが存在している。
【0093】
QAM変調のためのこれら2つの有利な特性はまた、円形雑音整形技法(circular noise shaping technique)のためにも利用可能である。これに関して本発明の技法の実現は、円形雑音整形の代替手段である。しかしながら本発明の技法の与えられた例は、複素記号の振幅が計算される必要がないので、計算上の複雑さがより低い。
【0094】
本発明の技法のパラメータは、最大逆拡張Cmaxである。Cmax=0であれば逆拡張は不可能であり、これは改良型ACEと同じである。Cmax>0に関して逆拡張は、上右隅の記号(QPSKまたはQAM)の本発明の拡張を示す図2cと、上辺縁の記号(QAMだけ)の従来の拡張を示す図2eの縞模様の領域と、上辺縁の記号(QAMだけ)の本発明の拡張を示す図2gとによって示されているように、限界Cmaxまで許容される。したがって、更に図2eおよび2gにおける追加の非逆拡張が選択される。もし大きすぎるCmaxが選択されると、制約はもはや有効でなくなり、受信器における誤り率は劣化する。
【0095】
下記では本発明の手法の性能評価を説明する。この評価は、非特許文献23に開示されているように実施されている。OOB放射を評価するために、変調されてピーク低減された信号のPSD(PSD=power spectral density(電力スペクトル密度))が、HPAによる歪み生成の後に推定される。更に、AWGNチャネル上で歪んだQPSK信号が送られ、従来のOFDM受信器の出力における符号化されたBERが測定される。この測定は、いくつかのクリッピング比に関して繰り返し実施される。結果の比較のために、正規化された周波数f/fs=0.6におけるPSDと、BER=10-3として選択された目標BERを達成するために必要とされるEb/Noとを見れば十分である。システムパラメータは、図2hにおいて見出すことが可能である。
【非特許文献23】A.Saul,「Comparison between Recursive Clipping and Active Constellation Extension for Peak Reduction in OFDM Systems」,Proc.Int.Symp.on Wireless Personal Multimedia Communications,vol.1,pp.37−41,(2003年10月)
【0096】
N=1024個のサブキャリア上のQPSK伝送の性能比較は、図2iにおいて見出すことが可能である。y軸は、正規化された周波数f/fs=0.6におけるPSDを示しており、x軸は、目標BER=10-3の条件下での無歪み伝送に対する損失ΔEb/Noを示している。全ての曲線が交わるプロットの上左隅は、CR=12dBという最も高いクリッピング比に対応している。より低いPSDとEb/Noにおける高い損失とに従い曲線をたどって行くと、クリッピング比は減少する。
【0097】
図2iにおいて「一般化されたACE、小さな拡張」は、Cmax ≒ 0.0110√(E{dHd})に関する本発明の技法であり、「一般化されたACE、大きな拡張」は、Cmax ≒ 0.0442√(E{dHd})に関する本発明の技法である。PSD<−70dBcに関して本発明の技法は、全ての調査された従来の技法より明らかに高性能である。パラメータCmaxは、必要とされる帯域外放射にこの技法を適応させるために使用され得る。
【0098】
図2gにおいて、16QAM写像に関する性能が詳細に調べられている。ここで「一般化されたACE、小さな拡張」は、Cmax ≒ 0.0037√(E{dHd})に関する本発明の技法であり、「一般化されたACE、大きな拡張」は、Cmax ≒ 0.0200√(E{dHd})に関する本発明の技法である。大部分のPSDに関して大きな拡張を有する本発明の技法は、選択されたシナリオにおける全ての他の調査された技法より優れた性能を示している。PSD>−50dBcという弱いPSD要件に関して小さな拡張を有する本発明の技法は、僅かな利点を有すると思われる。領域PSD<−76dBcは、異なるパラメータCmaxに関して本発明の技法によってカバーされるかもしれない。しかしながらこれは、予期され得るEb/Noの激しい劣化のせいで、より適切ではない。
【0099】
多くの最適化技法に関して最適条件は1ステップでは見つけることはできない。その代わりに最適条件は、開始点から始めて複数のステップが実行されることで、段階的に見出される。これらのステップの1つが最適条件を超えれば1ステップ戻ることが必要である。ACE技法はまた、ピークを減らすある種の最適化技法である。ステップバックするこれらのコンタクトは、逆拡張(reverse extension)と呼ばれる。開始点は、元の信号である。最適化目標は、ピーク低減された信号である。各ステップは、ACEの場合に拡張信号とも呼ばれる「誤差信号」である。逆拡張を適用しない従来技術のACE手法とは反対に本発明は、ACEの場合における逆拡張の概念を提供している。この概念は、元の信号のFFTと、クリップされた信号のFFTと、可能な重み付けされてクリップされた信号のFFTと、予備的誤差信号のFFTと、拡大スケールにおける予備的誤差信号のFFTとを示す図2kに明示されている。
【0100】
一例として、上右象限に対応するサブキャリアだけが考えられている4個の重なり合ったクラウド(overlapping cloud)を、信号が含み得ることは留意されるべきである。
【0101】
図2kは更に、制約誤差信号(constraint error signal)の分布と、一例としてこの制約誤差信号の4個の見本αと、βと、γと、δとを示している。更に図2kは、上記の図に示されている誤差信号の拡大バージョンである最終誤差信号のFFTを示している。図2kにはピーク低減された信号のFFTが示されており、ここでは、一例として上右象限だけが検討されている。
【0102】
上記の図は、第1の繰り返しステップで取得される。図2lに示す下記の図は、一例としての第2の繰り返しステップに関するものである。特に図2lは、予備的誤差信号のFFTを拡大スケールで示している。更に図2lは、制約誤差信号を示しており、ここではγの前の位置が示されている。更に最終誤差信号のFFT(上記の制約誤差信号の拡大バージョン)が表されている。最後に図2lは、ピーク低減された信号のFFTを示しており、ここでは非逆拡張と逆拡張とが明示的に描かれている。
【0103】
同様な考えは、一例として図2kおよび2lで考えられたQPSKに関してだけでなく、複数の異なる関係方式、例えば16QAMに関しても適用される。
【0104】
前述のように従来のクリッピング技法は、雑音をクリップすることが起因となるICIを白色ガウス分布として考えている。結論として干渉電力を最小にすることが試みられている。しかしながら本発明によれば、異なるアプローチが続けられる。例えば、受信器が変更されないという条件下では、どのような干渉分布が望ましいかを調査することが可能である。
【0105】
一例としてAWGN(AWGN=Additive White Gaussian Noise(追加的白色ガウス雑音))チャネル上のN個のサブキャリアでの未符号化マルチキャリア伝送が想定される。下記ではインデックスプライム(’)が変数の実数部を表すのに対して、ダブルプライム(”)は虚数部を示す。第1に、単に1個のサブキャリアの信号は、表記の単純さのために方程式内のサブキャリア番号のためにインデックスnが下げられるように考慮されている。
【0106】
考えられるサブキャリア上で複素QAM記号
【数13】

は、エネルギー
【数14】

によって送られる。ピーク低減のために、送信器において複素干渉項(complex interference term)
【数15】

が加えられる。この干渉のエネルギーは、
【数16】

である。それからピーク低減された信号
S=d+Δd
は、電力2N0sを有する雑音NAWGNが重畳される等価ベースバンド周波数ドメインAWGNチャネル(equivalent baseband frequency domain AWGN channel)上で送信される。fsは、このシステムのサンプリング速度である。例えばHPAに起因する信号の、ある非線形歪みが存在すれば、これは、受信器によって近似的にAWGNと見られ、雑音電力N0に含まれることになる。それから受信されたサブキャリア
【数17】

は、検出器において決定される。
【0107】
当然ながらサブキャリア上のビット誤り確率は、信号コンステレーションに依存する。下記の誘導は、如何なる信号コンステレーションに関しても実行されるが、下記では一例として実数部が第1のビットを伝送し、虚数部が記号の第2のビットを伝送するグレイ写像4QAM(Gray-mapped 4QAM)が検討されている。この実施形態ではしたがって、信号空間コンステレーションポイントは、2個のビットを伝送する。この場合、送信されるビットS’=d’+Δd’に関して受信されたビットR’が検出(決定)されない確率は、正確には
【数18】

であり、またこれに対応してS’=−(d’+Δd’)関して送信されている。d’に関するビット誤り確率Pb’とd”に関するビット誤り確率Pb”とは、
【数19】

である。下記では全てのサブキャリアが考慮される。すなわちインデックスnは、キャリア番号を示すために使用される。全てのサブキャリアが項Δdnによって分配されるならば、OFDM記号の全エネルギーは、
【数20】

である。各キャリア上でのビット誤り確率は、
【数21】

である。上記の方程式によって全体的ビット誤り確率は、
【数22】

である。
【0108】
ICI Δdnの有利な分布を見出すために誤り確率Pbへの依存性は、好適には視覚化されるべきである。そうするためにシナリオを単純にすることは有用である。例えば上記の方程式に現れる変数の数は、単一のサブキャリア上だけにICIを許す近似を行うこと、すなわち1個を除く全てのサブキャリアに関してΔdn=0とすることによって減らされ得る。そうすることによって1つの乱れたキャリアによるOFDM信号の下記のビット誤り確率は、
【数23】

で得られる。
【0109】
図3aは、伝送されるQPSK記号WLOG d=(1+j)/√2によるN=1024個のサブキャリアとEb/N0=10dBとに関する上記の方程式の図形的表現を示している。無歪みのQPSK記号Δd=0の位置は、星印でマークされている。言い換えればビット誤り確率の輪郭プロットは、結果として得られるビット誤り確率に関連する信号空間ドメインにおけるエリア(領域)を決定する。
【0110】
図3bおよび3cではEb/N0=5dBとEb/N0=0dBがそれぞれパラメータとして使用されている。
【0111】
図3dは、より大きなスケールでEb/N0=10dBに関して、すなわちより高い歪みΔdに関して図3aと同じカーブを示している。輪郭線は、同じビット誤り確率の位置を示し、x軸とy軸とはそれぞれ、歪んだQPSK記号の実数部d’+Δd’と虚数部d”+Δd”とを示している。
【0112】
上記の等高線図(contour plot)の解釈を見出すために、歪みΔdが誤り率について有する2つの反対の効果が考慮されるべきである。一方では、QPSK記号に対応する4QAM記号が決定境界に近づくならば、この特定のサブキャリアの誤った決定の確率は増加する。他方では、歪んだサブキャリアのために費やされるエネルギーは、全ての他のサブキャリアが所与のEs/N0に適合するために僅かに大きいエネルギーで伝送されて他のサブキャリアの誤り確率が改善されるように、より小さくなり得る。歪みΔdが決定境界から離れて行く場合には、類似した論証が行われ得る。この場合、使用されたサブキャリアの誤り確率は減少するが、他のサブキャリアの誤り確率は僅かに悪化する。
【0113】
図3aに例として描かれているが、チャネル雑音電力が弱ければ、歪んだサブキャリアに関する増加したビット誤り確率の効果によって、全ての誤り率が左右される。したがって、サブキャリアが決定境界に近づき過ぎるのを防止することが有利である。他方で、低いEs/N0で伝送する必要があるならば、例えば図3cに示しているように歪んだサブキャリアのために余りに大きなエネルギー
【数24】

を浪費しないことも重要であり、より円形の歪み分布が有利である。図3dに見られるように、比較的高いEs/N0に関しても歪みΔdの限界が存在する。
【0114】
本発明のピーク低減技法は、全ての歪んだサブキャリアが図3a〜3dに示されているカーブによって決定される領域(エリア)上または内に(ほぼ)位置するようにICIが形作られ得るということを活用している。同時に受信器のビット誤り率の劣化は、制限され得る。
【0115】
下記では前述のアクティブ・コンステレーション拡張技法(active constellation extension technique)が、詳細に考察される。
【0116】
図13に示すようにクリップされた信号
【数25】

は、クリップされた信号部分
【数26】

を形成するためにクリップされない信号
【数27】

から差し引かれる。係数Lだけオーバーサンプリングされた信号の、クリップされた信号部分は、周波数ドメインに変換され、同時にフィルタリングされる。これは、要素
【数28】

を有するサイズNxNLのフーリエマトリックスによる乗算によって行われる。これによって、周波数ドメインにおけるクリップされフィルタリングされた信号部分を含む下記のベクトル
【数29】

が得られる。
【0117】
前述のように周波数ドメインにおいて減算も実行されることができ、ここではクリップされた信号
【数30】

と、クリップされない信号
【数31】

と、を別々に変換するために、2つのFFTブロックとフィルタブロックとが使用される。
【0118】
さしあたり下記では、本発明の重み付け係数
【数32】

は1であることが仮定される。ここでlは、入力信号の番号を示し、すなわちこの入力信号は、第l番目の入力信号である。周波数ドメインでは下記の結果
【数33】

が得られる。
【0119】
図4aおよび4bは、8dBと0dBのクリッピング比のクリップされた信号x0c(1個のQPSK記号)に関連する信号空間コンステレーションポイントを示している。図に示されるように、高いクリッピング比に関してピーク低減のために使用され得るエリア401内に2、3のサブキャリアを見出すことができる(外側隅のドット)。これに対して低いクリッピング比に関して大部分のサブキャリアは、許容されていない拡張方向に対応している。既知のACEアルゴリズムによれば、全ての許容可能でない拡張方向は、ゼロにセットされ、したがってピーク低減に寄与しない。より具体的には、エリア401内のサブキャリアは、ピーク低減に十分に寄与する。また、エリア402内のサブキャリアは、ピーク低減に寄与しない。エリア403内のサブキャリアは、拡張ベクトルの実数部がゼロにセットされると考えられるため、虚数部だけでピーク低減に寄与する。領域404内のサブキャリアは、拡張の虚数部がゼロにセットされると考えられるため、実数部だけで寄与する。
【0120】
しかしながら、低いOOB放射を達成すべきならば、低いクリッピング比が望ましい。その結果、既知のACE技法は、極めて低いOOB放射を達成することができない。
【0121】
図4bから分かるように低いクリッピング比に関連する問題の原因は、クリップされ、フィルタリングされた信号の減少した電力である。この電力損失を補正するために本発明の重み付け係数
【数34】

が導入される。この重み付け係数は、電力損失
【数35】

の補正のため使用される。本発明の重み付け係数の代替の解釈は、クリップされた信号部分
【数36】

(歪み信号部分)が、xcに無相関になる、すなわち
【数37】

になるはずであるということである。
【0122】
非ゼロ相関値に関して拡張ベクトル
【数38】

は、高いピークを有する元の記号xlによってバイアスされる。それ故にこのバイアスもまた低減されない高いピークを有する。
【0123】
高い数であるN個の無相関サブキャリアに関して入力ベクトルxlは、少なくとも第1の繰り返しのためのガウス確率処理である。更に
【数39】

であれば、クリップされた信号は
【数40】

と表される。ここでnlcは雑音成分であり、α(l)はクリッピング比とxlの統計的性質とによって決まる定数であり、nlcはxlに無相関であり、すなわち
【数41】

である。
【0124】
上記の方程式を使用すると、相関に関して下記の
【数42】

が得られる。
【0125】
この項は、α(l)=1であれば、単にゼロになり得る。この性質を達成するために、重み付け係数を下記のように選択することができる。
【数43】

【0126】
言い換えれば上記の重み付け係数は、クリップされた信号部分と入力信号とが無相関になるように選択される。
【0127】
電力損失を完全に補正する重み付け係数の更なる選択は
【数44】

であって、ここでXlはl番目の入力信号を示し、
【数45】

は、入力信号のl番目の歪んだ部分を示し、両者とも周波数ドメインに在る。更にxlは、時間ドメインにおけるl番目の入力信号を示している。演算子Hは、転置および共役を示す。
【0128】
上記の重み付け係数を決定するために、
【数46】

を決定するために各繰り返しに対して1つの追加のFFTが必要とされる。
【0129】
これは、フーリエ変換演算に関して計算上の複雑さの約50%増加に相当する。更なる複雑さを避けるために、フィルタリング操作による電力損失は無視される。この場合、重み付け係数は時間ドメインにおいて
【数47】

として計算され得る。
【0130】
フィルタリングによる予期される電力損失は
【数48】

である。
【0131】
したがって重み付け係数
【数49】

は、ほぼ同じ計算コストである
【数50】

の上記の式に、より近くなる。上記の方程式においてxcは、入力信号の歪まされた(例えばクリップされた)部分を示している。
【0132】
計算上の複雑さの更なる削減は、各記号に関して重み付け係数を計算する代わりに前述のエネルギー比の期待値が下記の方程式
【数51】

から計算されるときに、可能である。
【0133】
極めて低いクリッピング比に関して上記の重み付け係数は、例えば一定の係数klを導入することによって増やされる。
【数52】

【0134】
追加の一定係数kl>1を使用すると、ピーク低減のために追加のサブキャリアが使用でき、kl<1に関しては、より少ないサブキャリアが使用される。klのための最適値は、それぞれ目標PSDとして選択されたクリッピング比に依存する。更に重み付け係数は、繰り返し番号lに依存して選択され得る。
【0135】
更に周波数ドメイン信号はフィルタリングされることができ、時間ドメイン信号はオーバーサンプリングされることができる。オーバーサンプリング比L=1という特別の場合にだけ、オーバーサンプリングおよびフィルタリングは必要でない。
【0136】
更なる態様によれば本発明は、マルチキャリア変調方式による複数の周波数信号の重畳の結果から生じる振幅ピークを含む入力信号から送信信号を生成する装置を提供する。この装置は、上述のように入力信号から誤差信号を生成する装置と、処理された誤差信号を取得するために誤差信号を処理するプロセッサと、低減された振幅ピークを有する送信信号を取得するために処理された誤差信号を入力信号に結合する結合器とを含むことが可能である。
【0137】
図5は、本発明の第1の実施形態による送信信号を生成する装置を示している。
【0138】
図13に示されている装置とは反対に図5の装置は、クリッピング要素1607の出力と減算器1605の入力との間に接続された乗算器501を含む。この乗算器501は更に、更なる入力503を含んでいる。
【0139】
図5に示しているように乗算器501は、クリッピング要素1607によって与えられる、入力信号の歪んだ部分を重み付けするように形成されている。重み付け係数は、乗算器501の更なる入力503を介して与えられ、前に説明されたように予め記憶されることができるか、予め計算されることが可能である。減算器1605は、入力1601を介して与えられた入力信号から重み付けされた歪んだ部分(歪み信号)を減算することによって時間ドメインの誤差信号を与える。クリッピング要素1607は、前述の歪ませる手段に対応しており、乗算器501は、本発明の重み付けする手段から構成されており、減算器1605は、本発明の結合器から構成されている。
【0140】
図5に示している装置は、時間ドメインの誤差信号を生成するように形成されている。それから誤差信号は、周波数ドメインの誤差信号を取得するためにFFT1605によって変換されてフィルタリングされる。前述のように誤差信号は、歪み信号と入力信号との両者が差を計算する前に周波数ドメインに変換されるときに、周波数ドメインにおいて直接与えられることが可能である。
【0141】
時間ドメイン信号である送信信号は、加算器1613の出力を介して供給され、この加算器1613は、送信信号を取得するために乗算器1619によって与えられた処理済みの誤差信号を入力信号に結合するための結合器の一実施形態であり、この送信信号は、下記においてインパルス整形器1623によって整形される。
【0142】
本発明のプロセッサが更に、要素1609,1611,1613,1617,1619,1623を含み得ることは留意されるべきである。
【0143】
図6は、本発明の更なる実施形態による誤差信号を生成する装置の一実施形態を示している。
【0144】
図5に示している装置とは異なり図6の装置は、振幅制限要素1607と乗算器501との間に接続された第1のFFT601を含んでいる。更にこの装置は、入力信号がそれを介して与えられるこの装置の入力605と減算器1605との間に接続された第2のFFT603を含んでいる。
【0145】
第1のFFT601は、制限要素1607によって与えられる入力信号の歪んだ部分を周波数ドメインに変換するように形成されている。制限要素1607は、一例として振幅クリッピングのために形成されている。したがって第2のFFT603は、入力信号を周波数ドメインに変換するように形成されている。図6に描かれているように乗算器501は、振幅制限要素1607によって与えられた(例えば振幅制限された)歪んだ部分のスペクトル表現の値に重み付け係数を乗算するように形成されている。第1および第2のFFTは、更にフィルタリングを実行することができる。
【0146】
乗算器501は、周波数ドメインにおける歪み信号を与え、スペクトル値に対応するその係数は同じ重み付け係数によって重み付けされる。減算器1605は、FFT603によって与えられる入力信号のスペクトル表現から周波数ドメインの歪み信号を減算することによって直接周波数ドメインにおいて誤差信号を与えるように形成されている。
【0147】
前述のようにクリッピング雑音の分布は、BERに影響を及ぼす。図14bに示されている従来技術のACE技法の分布は、比較的高いEb/N0に関して図3aに示されている理論的分布にほぼ対応している。これに対して雑音電力が2つの記号間の最短距離に関して、より強くなれば、例えば16QAM変調以上が使用されれば、図3bおよび3cに示されている分布に類似した異なる分布がより良好な性能という結果をもたらし得る。更に、必要とされるOOB放射が極めて低ければ、クリッピング比は極めて低く選択されなくてはならず、それ故にクリッピング雑音電力はかなり高い。したがって図3dに描かれた直角雑音分布は、最適な選択ではない可能性がある。したがって本発明は更に、例えばマルチキャリア信号の全誤り率を最小にするクリッピング雑音分布を与えるための概念を提供する。
【0148】
図7は、本発明の更なる実施形態による送信信号を生成する装置を示している。
【0149】
図5の実施形態とは異なり図7に示されている装置は、誤差信号を取得するためにFFT1615によって与えられる予備的誤差信号を操作する手段701を含んでいる。本発明のプロセッサによって含まれる操作する手段701は、FFT1615とIFFT1617との間に接続される。言い換えれば手段701は、ACE制約ブロック1609に取って代わる。
【0150】
操作する手段701は、周波数ドメインの誤差信号を取得するためにFFT1615によって与えられるセットの予備的誤差信号値から1つの予備的誤差信号値を変化させるように形成されている。それから誤差信号は、IFFT1617によって時間ドメインに変換される。図7に示しているように操作する手段701は、予備的誤差信号値の大きさをクリップするように動作できる。操作する手段は、信号、例えばマルチキャリア信号の全誤り率が減らされるように、予備的誤差信号を変化させるように構成されている。例えば(複素)誤差信号値は、所定のセットの値の中にあってもよい。この所定のセットの値は、例として所定の値の範囲から取得されることが可能である。
【0151】
例えば、操作する手段は、誤差信号値が所定の値の範囲内に在るように、予備的誤差信号を変化させるように構成されており、所定の値の範囲は一例として図3a〜3dに示されている誤り確率を計算することから取得されることができる。
【0152】
図5に示されている実施形態と比較して周波数ドメインにおけるACE制約は、周波数ドメインにおいて予備的誤差信号値を操作することによって置き換えられる。例えば周波数ドメインにおけるACE制約は、予備的誤差信号に対応する、周波数ドメイン内のクリップされた信号部分をクリップすることによって置き換えられる。この例は、全てのサブキャリア上のクリッピング雑音電力を効果的に制限する。加算器1613の出力における信号空間コンステレーションポイント、すなわち、乗算器1619によって提供される時間ドメインの誤差信号のバージョンを入力信号に結合した後に、結果的に得られる信号空間コンステレーションポイントの分布は、円形である。
【0153】
図8aは、QPSK写像(変調)の場合における0dBに等しいクリッピング比を有するクリッピング技法の後の結果として得られる信号空間コンステレーションを示している。図8に示しているように操作する手段は、信号空間ドメインにおいて円形分布が結果として得られるように、大きさを制限することによって予備的信号誤差値を変化させる。しかしながら、この分布は、矩形になることもあり、あるいは前述の誤り確率カーブによって決定される形状を有することもあり得る。
【0154】
図8b、8c、8d、および8eは、より高いオーダーのQAM、例えば64QAMに関する更なる信号空間コンステレーションを示しており、分布は、直角形状、または円の扇形部分の形状を有している。
【0155】
直角分布と比較して例えば円形分布の更なる利点は、良好な歪みベクトル
【数53】

を決定する繰り返し処理時に、前の繰り返しがピークを最適に打ち消すためには大きすぎる歪み項という結果をもたらすならば、ある幾つかのサブキャリアについてステップバックすることができるということである。ステップバックすることは、歪まされたQAM(QPSK)記号が信号平面(信号空間ドメイン)における無歪みの位置に自動的に接近し、|Δd|が減少することを意味する。更に、全てのサブキャリアは、ピーク低減のために利用され得る。これは、一例として16QAM以上のコンステレーションによる従来のACE手法を使用しては不可能である。
【0156】
一般にクリッピング雑音の円形以外の分布は、他の制約でACE制約を置き換えることによって達成される。例えば円形コンステレーションは、16QAM以上の写像の内側記号のために使用されることができ、矩形ACE制約は、外側記号のために使用されることができる。これに関して用語「内側記号」は、この写像方式によって使用される信号空間コンステレーションポイントのうちで最小の大きさに関連する信号空間コンステレーションポイントを表している。したがって用語「外側記号」は、内側記号の大きさより大きい大きさを有する信号空間コンステレーションポイントを表している。
【0157】
更に矩形コンステレーションは、クリッピング雑音のために使用され得る。矩形コンステレーションは、クリッピング雑音の実数部と虚数部とを別々にクリップすることによって円形コンステレーションより少ない計算上の複雑さで達成され得る。一般的に言えば円形以外のコンステレーションは、予備的誤差信号値の実数部と虚数部とをそれぞれ別々に操作することによって達成され得る。
【0158】
本発明の更なる態様によれば、各サブキャリアに関する異なる制約が使用可能である。特に変調方式(写像方式)が時間および/または周波数と共に変化する適応型変調の場合には、この信号写像にしたがって予備的誤差信号値
【数54】

をクリップするためのクリッピングレベル(例えば円形分布の場合)が、例えば16QAMによるサブキャリアのためのより低いクリッピングレベルと、QPSKによるサブキャリアのためのより高い可能性のある異なるクリッピングレベルとを使用して選択されることが可能である。しかしながら、予備的誤差信号値は特に、異なる分布が達成され得るように、取り扱われる。
【0159】
当然ながらこれは、使用されないサブキャリアのためにクリッピング雑音の制限が行われない場合を含んでいる。
【0160】
更にこの適応は、チャネル状態情報(CSI)、サービス品質(QOS)要件、例えば目標BERに関して、他の基準または基準の組合せに関して、実行され得る。このような基準の1つは、例えば利用可能な帯域幅または時間遅延である。
【0161】
本発明の改善されたACE技法の性能、および本発明のクリッピング技法の性能は、前に説明された3つの従来のクリッピング技法と比較されてきた。この性能比較は、非特許文献24と、非特許文献25とに説明されている方法で実施されている。
【非特許文献24】A.Saul,「Analysis of Peak Reduction in OFDM Systems Based on Recursive Clipping」,Proc.Int.OFDM−Workshop,vol.1,pp.103−107,(2003年9月)
【非特許文献25】A.Saul,「Comparison between Recursive Clipping and Active Constellation Extension for Peak Reduction in OFDM Systems」,Proc.Int.Symp.On Wireless Personal Multimedia Communications,vol.1,pp.37−41,(2003年10月)
【0162】
したがって、OOB放射とICIとに対する影響を調査するために、伝送システムの等価ディジタルベースバンドモデルがシミュレートされ、2つの測定が実施される。
【0163】
OOB放射を評価するために、変調されてピーク低減された信号のPSDがHPAによる歪み付与の後に推定される。更に歪み信号はAWGNチャネル上を伝送され、従来のOFDM受信器の出力における未符号化BERが測定される。この測定は、幾つかのクリッピング比に関して繰り返される。これらの結果の比較のためには、正規化された周波数f/fs=0,6におけるPSDと、例えば10-3または10-4という目標BERを達成するために必要とされるEb/N0とを見れば十分である。
【0164】
システムパラメータは、次のように選択される。伝送方式は、サブキャリアの数N=1024を使用するOFDMであった。記号写像は、チャネル符号化を持たないQPSK、16QAMおよび64QAMであった。チャネルは、オーバーサンプリング速度(クリッピング)が2に等しいAWGNチャネルであると仮定された。増幅器モデルは、RappのSSPA(p=10)にしたがって選択された。出力バックオフは、OBO=6dBであった。ガードインターバル(保護間隔)は11.1%に等しく、ロールオフ係数は11.1%であった。不整合は0.4dBに等しく、目標ビット誤り率は10-3と10-4であった。正規化された周波数はf/fs=0,6であり、またクリッピング比はCR=0dB・・・12dBであった。
【0165】
シミュレーションのための上記の選択されたパラメータは、全てのクリッピング技法のために共通である。更に再帰型クリッピングに関しては2回繰り返しが選択されており、これは考慮されたシナリオのために最適であると考えられている。ACEと改良ACEとのために最大3回の繰り返しが使用されているが、更なる繰り返しは、低いPSDのために僅かな性能改善を導入する。その理由は、本発明のクリッピング技法が本発明の操作する手段によって実行され、QPSK写像のために最大3回の繰り返しが選択されているからである。16QAMおよび64QAM写像のためには、性能改善の大部分が2回繰り返しの後で既に達成されるので、単に2回の繰り返しが使用されている。
【0166】
全ての技法の計算的複雑さは主として、FFTの数が繰り返し回数の2倍になるように、FFTの数によって決定され得る。非再帰型クリッピングは、これに関して1回繰り返しに対応している。1回繰り返しは、ピーク低減手順が繰り返されないことを意味する。
【0167】
図9aは、QPSK伝送と、10-3という目標BERとに関する性能比較を示している。y軸は、正規化された周波数f/fs=0,6におけるPSDを示し、x軸は、目標BER=10-3の条件下における無歪み伝送に対する損失ΔEb/N0を示している。全てのカーブが交わるプロットの上左隅は、CR=12dBという最も高いクリッピング比に対応している。より低いPSDおよび
【数55】

におけるより高い損失の方へ曲線を描くときに、クリッピング比は減少する。
【0168】
要約すると、従来のACE技法は、この点において再帰型クリッピングより僅かに良い性能で約−62dBという最も低いPSDを達成することが分かる。本発明の改善されたACE技法は、PSD=−62dBにおいて僅かに良好な性能を達成し、再帰型クリッピングより僅かに良い性能で最大PSD=−70dBを達成できる。PSD=−70dBとPSD=−77dBとの間で、再帰型クリッピング技法は最も良い性能を有する。特に−77dB未満のPSDの場合には本発明のクリッピング技法は、Eb/N0>1,8dBという損失において他の全ての技法より優れた性能を示している。
【0169】
より低い目標BER=10-4に関しては図9bに示しているように、本発明の改善されたACE技法および本発明のクリッピング技法は、調査された従来の全ての技法より性能が優れている。ある一定のクリッピング比に関して同じOOB放射が達成され得るが、巡回および非再帰型クリッピング技法は、ACE技法よりそれぞれ誤差信号の整形に関連する本発明のクリッピング技法より激しいΔEb/N0の劣化をもたらすが、ここでは、クリッピング雑音分布は、低いPSDで、それぞれ高いPSD要件に関して最適化されている。
【0170】
図9cは、16QAM伝送と目標BER=10-3についての比較を示している。このACE技法は、一部のサブキャリアだけがピーク低減のために使用され得るので、優れた性能を達成できない。更に記号間の小さな最短距離は、クリッピング雑音の直角分布をより好ましくないものにする。これに対して本発明のクリッピング技法は、この事実を考慮しており、再帰型クリッピングであるこのシナリオでの次善の技法よりPSD=−85dBに関して例えば約0.5dBの良好なEb/N0を達成する。
【0171】
目標BER=10-4に関しては本発明のクリッピング技法の性能改善は更に高く、これは図9eに明示されている。調査されたクリッピング技法からは、これらの困難な状況下でもPSD=−65dB以下を達成できるのは、このただ1つである。しかしながら調査された技法の全ては、数デシベルという、かなりのEb/N0の損失を受けている。更に本発明の改善されたACE技法は、PSD<−50dBに関して従来の技法より最大0.5dBのEb/N0利得を有する。
【0172】
図9eは、64QAM伝送方式の性能を示している。目標BER=10-3に関しては既に調査された全ての技法でEb/N0の激しい劣化が存在することが見られる。本発明のクリッピング技法は、調査された他の全ての技法より良好な性能を有するが、PDSのほんの僅かな低減しか達成できない。例えばPSD=−45dBに関しては、本発明のクリッピング技法でも無歪み伝送と比較してΔEb/N0=6dBより大きい損失が存在する。
【0173】
図9fは、異なる重み付け係数に関する性能比較を示しており、図9gは、一定の重み付け係数による重み付けの場合の性能比較を示しており、図9hは、繰り返し回数に依存する性能比較を示している。
【0174】
更なる態様によれば誤差信号は、送信信号を取得するために更に処理され得る。
【0175】
図10は、本発明の更なる実施形態による送信信号を生成する装置のブロック図を示している。
【0176】
データシンボルソース1500は、逆フーリエ変換とオーバーサンプリングとを実行するIFFT1617に選択的スイッチ1001を介して接続される。IFFT1617の出力は、歪ませる手段1003に接続される。歪ませるための手段1003は、例えばクリッピング動作を実行することによってIFFT1617によって与えられる時間ドメイン信号を歪ませるように動作する。歪ませる手段1003は、操作する手段1005に接続され、操作する手段1005の出力は、選択的スイッチ1007を介して任意選択のインパルス整形ブロック1623に接続される。更に本装置は、任意選択の繰り返しl=l+1が実行され得るように、スイッチ1007からスイッチ1001に延びるフィードバックループ1009を含んでいる。
【0177】
図10に示されているように、操作する手段1005は、時間ドメインにおいて歪ませる手段1003によって与えられる歪み信号を操作するように構成されている。操作する手段1005は、周波数ドメインにおいて例えば図8a〜8eに示されている本発明の分布、例えば円形分布が結果として得られるように、歪み信号を整形するように構成され得る。この動作は、時間ドメインにおいて実行される。時間ドメインにおいて操作する手段1005によって与えられる送信信号は、インパルス整形ブロック1623によって整形され得る。
【0178】
図11は、本発明の更なる実施形態による送信信号を生成する装置のブロック図を示している。
【0179】
図10の装置とは異なり、歪ませる手段1003は、例えば高速フーリエ変換とフィルタリングとを実行するように構成されたFFT1101に接続される。FFT1101は、周波数ドメインにおいてFFT1101によって与えられる歪み信号を操作する、例えば整形するように動作する操作する手段1103に接続される。操作する手段1103は、例えば逆高速フーリエ変換とオーバーサンプリングとを実行するように構成されたIFFT1105に接続される。IFFT1105によって与えられる送信信号は更に、インパルス整形され得る。
【0180】
図11に示されている装置は、周波数ドメインにおける例えば図8a〜8eに示された本発明のコンステレーションを達成する。
【0181】
図10および11に示されているように送信信号は、入力信号から直接誘導される誤差信号が送信信号を生成するために使用されるので、入力信号と歪み信号との差から誤差信号を明示的に生成することなく生成され得る。最も単純な場合、信号処理チェーンは、所望の分布を得るためにデータ源と、IFFTおよびオーバーサンプリングと、歪み付与(例えばクリッピング)とを含むことができ、この場合、図8a〜8eに示された分布以外の分布も達成されることが可能となる。
【0182】
本発明は、前に例示されたようにアクティブ・コンステレーション拡張技法の性能を改善するためにクリップされた信号(一般的には:歪み信号部分)のための重み付け係数を導入している。特に重み付け係数を選択する方法について4つの特定の方法が提供される。更に、マルチキャリア信号の全誤り率を最小にするために、各サブキャリアについてのクリッピング雑音の整形が実行され得る。各サブキャリアについてのクリッピング雑音の整形は、サブキャリアごとに異なる特定の形状(特定の所定のエリア)に関して実行され得る。更に上記の形状は、特定のサブキャリアについての変調アルファベットに、チャネル状態情報(CSI)またはサービス品質(QOS)に、すなわち目標誤り率に、これら3つの可能性の組合せに、あるいは他の要件に適応させられ得る。
【0183】
更に本発明は、前述の円形コンステレーションにおいて結果的に生じ得る雑音電力、すなわちサブキャリアごとのクリッピング信号部分の電力を制限することによってクリップ雑音、すなわちクリップされた信号部分(歪んだ部分)を整形するための概念を提供する。更に各サブキャリア当たりの雑音電力は、周波数ドメインにおいて雑音をクリップすることによって制限され得る。本発明のクリッピング技法は、前述の重み付け係数、クリッピング雑音の整形、例えばスマート傾斜プロジェクト・アルゴリズムによるクリッピング雑音の重み付け、または巡回信号処理による繰り返しピーク低減を含むことが可能である。
【0184】
本発明の概念は、より低い帯域外放射と、より良好な伝送品質と、削減されたコスト、削減された空間、より低い電力消費という結果をもたらす無線周波数部品の設計のための低められた要件とに寄与する。他のクリッピング技法と比較して本発明の改善は特に、限定的なスペクトルマスク、BERに関する高い要件、および大きい数のサブキャリアと大きい数の信号写像点とに対応する、例えば16QAMに対応する高いデータ転送速度の場合に、成果が上がる。本発明の概念は、無線放送、広帯域アクセスシステム、マルチキャリアシステム、送信器設計、非線形性、ピーク電力低減、クリッピング技法などといった他の分野でも使用可能である。
【0185】
本発明によれば、オーバーサンプリングおよびフィルタリングが実行される。好適にはオーバーサンプリングは、アナログ信号内に存在する幾つかのピークがオーバーサンプリングなしで時間個別信号に関して消えるので、ピークを発見するために使用される。オーバーサンプリングによってアナログ信号は、近似され、より多くのピークが発見され得る。フィルタは、オーバーサンプリングの結果である。オーバーサンプリングなしで、例えば図5のクリッピングブロック1607によって実行されるダイナミックレンジ低減は、単にキャリア間干渉(ICI)を発生させる。オーバーサンプリングによってダイナミックレンジ低減は、フィルタリングされるべきICIと帯域外放射とを発生させる。
【0186】
更に、本発明の方法のある幾つかの実施要件に依存すれば、本発明の方法はハードウエアまたはソフトウエアで実現することができる。この実現は、本発明の方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協動するディジタル記憶媒体、特に電子的に読取り可能な制御信号が記憶されたディスクまたはCDを使用して実行可能である。したがって一般に本発明は、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行する際に本発明の方法を実行するように構成された、機械読み取り可能なキャリア上に記憶されたプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品である。したがって言い換えれば、本発明の方法は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行する際に本発明の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明の第1の実施形態による誤差信号を生成する装置のブロック図である。
【図2a】本発明の概念を示している図である。
【図2b−2g】本発明の概念を示している図である。
【図2h】システムパラメータの一実施形態を示している図である。
【図2i−2j】性能比較結果を示している図である。
【図2k−2l】本発明の概念を示している図である。
【図3】信号空間ドメインにおけるビット誤り確率図を示している図である。
【図4】信号空間コンステレーションポイントの分布を示している図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による入力信号から送信信号を生成する装置のブロック図である。
【図6】本発明の更なる実施形態による入力信号から誤差信号を生成する装置のブロック図である。
【図7】本発明の更なる実施形態による入力信号から送信信号を生成する装置のブロック図である。
【図8】本発明による信号空間コンステレーションポイントの分布を示している図である。
【図9】性能比較結果を示している図である。
【図10】本発明の更なる実施形態による送信信号を生成する装置のブロック図である。
【図11】本発明の更なる実施形態による送信信号を生成する装置のブロック図である。
【図12】従来のPAPR手法のブロック図である。
【図13】従来のACE手法のブロック図である。
【図14】信号空間コンステレーションポイントの分布を示している図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号を生成するために使用される誤差信号を入力信号から生成するための装置であって、
歪み信号を得るために前記入力信号を歪ませる手段(103)と、
前記入力信号と前記歪み信号との差を表す、または前記入力信号を表す、予備的誤差信号値の数を含む予備的誤差信号を計算する手段(105)と、
ゼロに等しくない誤差信号値を取得するために前記予備的誤差信号値を変化させるように構成された、前記誤差信号を取得するために前記予備的誤差信号を操作する手段(107)と
を含んでいる装置。
【請求項2】
前記操作する手段(107)は、前記誤差信号値が所定の値の範囲内に在るように前記予備的誤差信号値を変化させるものである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記入力信号は、振幅ピークを含んでおり、前記誤差信号は、低減された振幅ピークを有する送信信号を生成するために前記入力信号と結合されることになっており、前記操作する手段(107)は、振幅ピーク低減に寄与する所定の値の範囲内で前記誤差信号値の数を増加させるために前記誤差信号値が前記所定の値の範囲に在るように、且つ帯域外放射が減少するように、前記予備的誤差信号値を変化させるように構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記入力信号は、前記振幅ピークを含んでおり、前記誤差信号は、前記低減された振幅ピークを有する前記送信信号を生成するために前記入力信号と結合されることになっており、前記操作する手段は、前記誤差信号値が前記所定の値の範囲に在るように、前記予備的誤差信号値を変化させるように構成されており、前記所定の値の範囲は、前記所定の範囲内の前記誤差信号値が前記送信信号の振幅ピークに寄与するように、且つ前記入力信号を前記誤差信号と結合することによる前記送信信号の受信可能バージョンの誤った検出に関連する誤り率が減少するように選択される、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記所定の値の範囲は、信号空間ドメイン内の所定のエリアに関連しており、前記操作する手段(107)は、前記誤差信号値が前記所定のエリア内またはその境界上に配置された信号空間コンステレーションポイントを前記信号空間ドメイン内で定義する大きさまたは位相を有するように、前記予備的誤差信号値の大きさまたは位相を変化させるものである、請求項2ないし4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記信号空間ドメイン内の前記所定のエリアは、矩形、円形、直角、円の扇形部分のいずれかの形となっている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記所定のエリアは、前記信号空間ドメインの原点に関して円形であり、前記操作する手段(107)は、前記所定のエリアの半径を超えない大きさを有する前記誤差信号値を取得するために前記予備的誤差信号値の大きさを制限するための大きさ制限器を含むものである、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記信号空間ドメイン内で前記所定のエリアを決定するための手段を更に含む、請求項5ないし7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記入力信号は、前記振幅ピークを含んでおり、前記誤差信号は、低減された振幅ピークを有する送信信号を生成するために前記入力信号と結合されることになっており、前記所定のエリアを決定する手段は、前記所定のエリア内またはその境界上に在る前記信号空間コンステレーションポイントに関連する前記誤差信号値が前記振幅ピーク低減に寄与するように、且つ前記入力信号を前記誤差信号と結合することによる前記送信信号の受信可能バージョンの誤った検出に関連する誤り率が最小にされるように、所定のエリアを決定するものである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記入力信号は、マルチキャリア信号であり、前記入力信号のスペクトル表現は、セットのサブキャリアに割り当てられたセットのスペクトル値を含んでおり、前記セットのスペクトル値内の1つのスペクトル値は、或る変調方式にしたがって或る一定の前記信号空間コンステレーションポイントに情報値の数を割り当てた結果から得られ、前記所定のエリアを決定する手段は、前記変調方式に関連する誤り確率に依存して前記所定のエリアを決定するものである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記セットのスペクトル値内の更なるスペクトル値は、更なる変調方式したがって更なる或る一定の前記信号空間コンステレーションポイントに更なる情報値の数を割り当てた結果から得られ、前記所定のエリアを決定する手段は、前記更なる変調方式に関連する更なるビット誤り確率に依存して更なる所定のエリアを決定するものである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記変調方式または前記更なる変調方式は、直交振幅変調(QAM)または位相偏移変調(PSK)または4位相偏移変調(QPSK)または振幅偏移変調(ASK)のいずれかの変調方式である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記スペクトル値が割り当てられたサブキャリアには1つの予備的誤差信号が割り当てられ、前記更なるスペクトル値が割り当てられた更なるサブキャリアには更なる予備的誤差信号値が割り当てられ、前記操作する手段(107)は、前記所定のエリア内またはその境界上に在る前記信号空間コンステレーションポイントに関連する誤差信号値を取得するために前記予備的誤差信号値の大きさと位相とを操作するように構成され、または前記操作する手段(107)は、前記更なる所定のエリア内またはその境界上に在る更なる信号空間コンステレーションポイントに関連する更なる誤差信号値を取得するために前記更なる予備的誤差信号値の大きさまたは位相を操作するものである、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記変調方式は、情報値が割当て可能であるセットの信号空間コンステレーションポイントを含んでおり、前記セットの信号空間コンステレーションポイント内の第1のサブセットの信号空間コンステレーションポイントは、第1の大きさに関連しており、第2のサブセットの信号空間コンステレーションポイントは、前記第1の大きさより大きい第2の大きさに関連しており、前記予備的誤差信号値は、前記スペクトル値が割り当てられたサブキャリアに関連しており、前記操作する手段(107)は、前記第2のサブセットの信号空間コンステレーションポイントに属する信号空間コンステレーションポイントに関連する誤差信号値とは異なる前記第1のサブセットの信号空間コンステレーションポイントに属する信号空間コンステレーションポイントに関連する予備的誤差信号値を操作するものである、請求項10ないし13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記予備的誤差信号値は、実数部と虚数部とを含み、前記操作する手段(107)は、前記実数部と前記虚数部とを別々に変化させるものである、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記操作する手段(107)は、前記予備的誤差信号値の大きさを制限するための大きさ制限器を含むものである、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記入力信号は、前記サブキャリアに割り当てられた前記スペクトル値の周波数−時間変換の結果から得られるマルチキャリア信号であり、或る一定のサブキャリアに関連する前記スペクトル値は、或る変調方式にしたがって前記情報値の数を或る一定の信号空間コンステレーションポイントに割り当てた結果から得られ、前記予備的誤差信号値は、前記ある一定のサブキャリアに関連しており、前記大きさ制限器は、前記変調方式に依存して前記予備的誤差信号値の大きさを制限するものである、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
別のサブキャリアに関連する別のスペクトル値は、別の変調方式にしたがって別の情報値の数を別の信号空間コンステレーションポイントに割り当てた結果から得られ、別の予備的誤差信号値は、前記別のサブキャリアに関連しており、前記大きさ制限器は、前記変調方式に依存して前記予備的誤差信号値の大きさを個別に制限するように、且つ前記別の変調方式に依存して前記別の予備的誤差信号値の大きさを制限するものである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記大きさ制限器は、前記予備的誤差信号値の大きさをクリップするものである、請求項16ないし18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
チャネル状態情報に依存して前記所定の値の範囲を決定する手段を更に含む、請求項2ないし19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記所定の値の範囲を決定する手段は、変化するチャネル状態に依存して前記所定の値の範囲を適応的に決定するものである、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記操作する手段は、所定の制約にしたがって前記予備的誤差信号値を変化させるものである、請求項1〜21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記所定の制約は、所定の値の範囲、所定のビット誤り率、現在のチャネル状態条件、サービス品質要件、または利用可能な送信電力のいずれかである、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記歪ませる手段(103)は、予備的な歪み信号を取得するために入力信号の振幅を制限するための振幅制限エレメントと、増加したエネルギーを有する歪み信号を取得するように前記予備的歪み信号のエネルギーを増加させるために重み付け係数で前記予備的歪み信号を重み付けするための重み付け要素とを含むものである、請求項1ないし23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記予備的誤差信号を計算する手段(105)は、前記入力信号と前記歪み信号との差を計算するための減算器を含むものである、請求項1ないし24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記計算する手段(105)は、周波数ドメインにおいて前記予備的誤差信号を取得するために前記差を時間−周波数変換する時間−周波数変換器を含むものである、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記計算する手段(105)は、変換された歪み信号を得るために前記歪み信号を時間−周波数変換するための時間−周波数変換器と、変換された入力信号を得るために前記入力信号を時間−周波数変換するための第2の時間−周波数変換器と、前記周波数ドメインにおいて予備的誤差信号を得るために前記変換された入力信号と前記変換された歪み信号との差を計算するための減算器とを含むものである、請求項1ないし24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記予備的誤差信号を計算する手段(105)は、フィルタを含むものである、請求項1ないし27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記操作する手段(107)は、前記予備的誤差信号値が特性要件を満たさない場合に、前記信号空間ドメイン内の、前記所定のエリアの外に在る更なる所定のエリア内に在る信号空間コンステレーションポイントに関連する誤差信号値を得るために、前記予備的誤差信号値を後向き操作するものである、請求項1ないし28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記操作する手段(107)は、前記予備的誤差信号値が前記特性要件を満たす場合に、誤差信号値として前記予備的誤差信号値を与えるものである、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記特性要件に関して前記予備的誤差信号値を分析するための分析器を更に含む、請求項29または30に記載の装置。
【請求項32】
前記装置は、前記誤差信号を繰り返し生成するように構成されており、前記分析器は、前記特性要件に関して前の繰り返しステップで生成された誤差信号値を分析するように、且つ前記更なる所定のエリア内に在る信号空間コンステレーションポイントに関連する、前記特性要件を満たす誤差信号値を取得するために前記誤差信号値をある程度後向き操作するものである、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記特性要件は、チャネル状態情報と、信号品質度と、異なる信号品質度の組合せと、送信信号を送信することに関連するある一定の電力スペクトル密度または或る一定のビット誤り率と、電力スペクトル密度に関連するある一定のビット対雑音エネルギー比またはある一定の信号対雑音比と、ビット対雑音エネルギー比または信号対雑音比に関連するある一定の電力スペクトル密度とにおけるいずれかであり、前記特性要件は更に、前記送信信号を送信することに関連する伝送パラメータに依存するものである、請求項29ないし32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
入力信号から送信信号を生成するための装置であって、ここで、前記入力信号はマルチキャリア変調方式のために複数の周波数信号の重畳の結果から生じる振幅ピークを含むものであって、
請求項1ないし33のいずれか一項に記載の前記入力信号から誤差信号を生成するための装置と、
処理された誤差信号を得るために前記誤差信号を処理するためのプロセッサと、
低減された振幅ピークを有する前記送信信号を得るために前記処理された誤差信号を前記入力信号に結合するための結合器と
を含む装置。
【請求項35】
送信信号を生成するために使用される誤差信号を入力信号から生成するための方法であって、
歪み信号を取得するために前記入力信号を歪ませるステップと、
前記入力信号と前記歪み信号との差を表す、または前記入力信号を表す予備的誤差信号を計算するステップと、
ゼロに等しくない誤差信号値を得るために予備的誤差信号値を変化させるステップと
を含む方法。
【請求項36】
入力信号から送信信号を生成するための方法であって、ここで、前記入力信号はマルチキャリア変調方式のために複数の周波数信号の重畳の結果から生じる振幅ピークを含むものであって、
請求項35に記載の前記入力信号から誤差信号を生成するステップと、
処理された誤差信号を得るために前記誤差信号を処理するステップと、
低減された振幅ピークを有する送信信号を得るために前記処理された誤差信号を前記入力信号に結合するステップと
を含む方法。
【請求項37】
プログラムがコンピュータ上で実行される際に請求項35に記載の方法、または請求項36に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b−2g】
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【図2h】
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【図2i−2j】
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【図2k】
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【図2l】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図9a−9b】
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【図9c−9e】
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【図9f−9h】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−529173(P2007−529173A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502198(P2007−502198)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007121
【国際公開番号】WO2005/096580
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】