説明

クリップ付ワイヤハーネス、該クリップ付ワイヤハーネスを備えたワイヤハーネス

【課題】テープ巻きすることなく保護管を固定するクリップが電線に一体成形されたクリップ付ワイヤハーネス、および、該クリップ付ワイヤハーネスを備えたワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】クリップ付ワイヤハーネス1は、パネルの取付孔に係止されるクリップ2が電線3に一体成形されている。前記クリップ2が、本体部11と、前記本体部11の下面から立設されて前記取付孔に係止される係止部12と、前記本体部11の上面に設けられているとともに前記電線3の周囲に一体成形されて該電線3を固定する電線固定部14と、を備え、前記電線固定部14には、前記電線3が挿通され且つ該電線3を保護する保護管4の内周面に係合する係合突起21と、前記電線固定部14に前記保護管4が侵入するのを規制する規制部29と、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルの取付孔と係止可能に形成されたクリップが電線に一体成形されたクリップ付ワイヤハーネス、および、該クリップ付ワイヤハーネスを備えたワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、種々の電子機器が搭載されている。これらの電子機器にバッテリなどの電源等からの電力や制御信号などを伝達する手段として、ワイヤハーネスが用いられている。このようなワイヤハーネスとして、電力や制御信号などを伝達する電線と、自動車等の車体を構成するパネルの取付孔に係止されるクリップと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照。)。また、前記電線を保護する保護管を該電線に設けるものが提案されている(例えば、特許文献4および特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−014569号公報
【特許文献2】特開2005−026178号公報
【特許文献3】特開2002−315164号公報
【特許文献4】特開平11−205943号公報
【特許文献5】特開2002−093518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1ないし前記特許文献5に示された従来のワイヤハーネスは、電線に保護管を設ける場合には、前記保護管の端部に粘着テープ等を捲回して、クリップなどに固定している。このため、粘着テープを前記保護管の端部に捲回するテープ巻き作業に手間がかかり、ワイヤハーネスの製造にかかる所要時間が長時間化するという問題があった。
【0005】
また、前記従来のワイヤハーネスは、粘着テープを保護管の端部に捲回するテープ巻き作業を要するため、ワイヤハーネスの製造コストが上昇するという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題を解決することを目的とするものである。即ち、本発明は、ワイヤハーネスの製造にかかる所要時間を短縮するとともに該ワイヤハーネスの製造にかかるコストを抑えるために、テープ巻きすることなく保護管を固定するクリップが電線に一体成形されたクリップ付ワイヤハーネス、および、該クリップ付ワイヤハーネスを備えたワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、パネルの取付孔に係止されるクリップが電線に一体成形されたクリップ付ワイヤハーネスであって、前記クリップが、本体部と、前記本体部の下面から立設されて前記取付孔に係止される係止部と、前記本体部の上面に設けられているとともに前記電線の外周面に一体成形されて該電線を固定する電線固定部と、を備え、前記電線固定部には、前記電線が挿通され且つ該電線を保護する保護管の内周面に係合する係合突起と、前記電線固定部に前記保護管が侵入するのを規制する規制部と、が設けられていることを特徴とするクリップ付ワイヤハーネスである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、前記本体部には、前記電線固定部に前記保護管が侵入するのを規制する第二規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクリップ付ワイヤハーネスである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、前記第二規制部が、前記本体部の一端部に設けられ、かつ、前記規制部が、前記第二規制部の縁端部に連なって設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクリップ付ワイヤハーネスである。
【0010】
請求項4に記載された発明は、電線の少なくとも一端にコネクタが設けられているとともに該電線が挿通され且つ当該電線を保護する保護管が設けられ、かつ、パネルの取付孔に係止されるクリップが前記電線に一体成形されたクリップ付ワイヤハーネスを備えたワイヤハーネスであって、前記クリップ付ワイヤハーネスが、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のクリップ付ワイヤハーネスであることを特徴とするワイヤハーネスである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明によれば、クリップ付ワイヤハーネスは、保護管の内周面に係合する係合突起と、保護管が侵入するのを規制する規制部とを電線固定部に設けたため、前記電線固定部に保護管を固定することができるとともに、前記保護管が前記電線固定部に侵入するのを規制することができる。このため、保護管をクリップに固定するためのテープ巻き作業が不要となるとともに、前記保護管の侵入を規制することができる。
【0012】
したがって、クリップ付ワイヤハーネスの製造にかかる所要時間を短縮するとともに該クリップ付ワイヤハーネスの製造コストを抑えることができ、且つ、保護管が過剰に侵入することによって該保護管と係止部とが干渉することを防止することができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、クリップ付ワイヤハーネスは、保護管が電線固定部に侵入するのを規制する第二規制部を本体部に設けたため、本体部の第二規制部と、電線固定部の規制部とによって、保護管が電線固定部に侵入するのを規制することができる。このため、前記保護管の侵入を確実に規制することができる。したがって、保護管が過剰に侵入するのを確実に規制して、前記保護管と係止部とが干渉することを確実に防止することができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、クリップ付ワイヤハーネスは、本体部の一端部に第二規制部を設けるとともに、該第二規制部の縁端部に連なって電線固定部の規制部を設けたため、保護管が電線固定部に侵入するのを、本体部の一端部の縁端部で規制することができる。このため、規制部および第二規制部を係止部から遠ざけることができ、前記保護管と前記係止部とが干渉することをより確実に防止することができる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、ワイヤハーネスは、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のクリップ付ワイヤハーネスを備えているため、粘着テープなどで保護管をクリップに固定するテープ巻きが不要となる。したがって、ワイヤハーネスの製造にかかる所要時間を短縮するとともに該ワイヤハーネスの製造にかかるコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態にかかるワイヤハーネスの構成を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるクリップ付ワイヤハーネスの構成を説明するための斜視図である。
【図3】クリップ付ワイヤハーネスの係止部側を示す斜視図である。
【図4】クリップ付ワイヤハーネスの側面を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図1ないし図4を参照して説明する。
【0018】
本発明の一実施形態にかかるワイヤハーネス8は、図1に示すように、クリップ付ワイヤハーネス1を構成する電線3に、該電線3を保護する保護管4が設けられているとともに当該電線3の端末にコネクタ5が設けられて形成されている。
【0019】
保護管4は、可撓性と伸縮性とを有する合成樹脂でチューブ状に形成されている。保護管4は、後述するコネクタ5と本体部11との間隔と略同一の長さに形成されている。保護管4は、前記コネクタ5側の電線3に設けられる一方の保護管4bと、前記電線3の他端側に設けられる他方の保護管4aと、を備えている。
【0020】
一方の保護管4bおよび他方の保護管4aは、同一の保護管4を所望の長さで切断して形成されている。一方の保護管4bおよび他方の4aの内径は、後述する電線固定部14の筒状部19よりも大径に形成されているとともに、前記電線固定部14の係合突起21よりも小径に形成されている。
【0021】
このため、他方の保護管4aを電線固定部14に押し込んだ際に、前記他方の保護管4aの端部が前記電線固定部14に侵入するとともに、前記他方の保護管4aの端部が伸長して前記係合突起21と係合する。なお、保護管4は、該保護管4の長手方向に所定の間隔で凹溝が繰り返して設けられたコルゲートチューブなど、電線3を保護することのできるチューブ状のものが用いられる。
【0022】
コネクタ5は、前記電線3の一方の端末に設けられている。コネクタ5は、前記電線3の端末の芯線に加締めて設けられる端子金具と、前記端子金具が嵌入されて固定されるコネクタハウジングと、を備え、他のコネクタと連結可能に形成されている。なお、コネクタ5は、中継コネクタなど、種々のコネクタを用いても良い。
【0023】
クリップ付ワイヤハーネス1は、図2に示すように、一本の電線3と、前記電線3に一体成形され且つ図示しないパネルの取付孔に係止されるクリップ2と、を備えている。
【0024】
電線3は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えている。芯線は、複数本の導電性の金属製の導線が撚られて形成されている。被覆部は、前記芯線を被覆しており、電気絶縁性の合成樹脂によって形成されている。なお、芯線は、一本の芯線で構成されていても良い。
【0025】
クリップ2は、図2ないし図4に示すように、本体部11と、前記本体部11の下面から立設され且つ前記パネルの取付孔と係止される係止部12と、前記係止部12の基端部に設けられて前記パネルを押圧する押圧部13と、前記本体部11の上面に設けられて前記電線3を固定する電線固定部14と、を備えている。クリップ2は、可撓性を有する合成樹脂で形成されている。
【0026】
本体部11は、薄板状の長方形状に形成されている。本体部11の一端部には、前記保護管4が電線固定部14に侵入するのを規制する第二規制部11aが設けられている。本体部11は、後述する押圧部13の外形と略同一の大きさに形成されている。このため、押圧部13および後述する係止部12が本体部11によって保護され、外部からの衝撃で前記押圧部13および前記係止部12が破損するのを防止する。
【0027】
第二規制部11aは、前記本体部11の前記電線3の長手方向の一端部から延長されて形成されている。第二規制部11aは、図1に示すように、前記電線3の長手方向に略直交する方向の幅が、前記保護管4の外径よりも大きく形成されている。
【0028】
このため、コネクタ5側の電線3に設けられた一方の保護管4bが、前記コネクタ5と、電線固定部14の規制部29および第二規制部11aとの間に挟まれて保持される。したがって、前記コネクタ5と前記一方の保護管4bとを粘着テープでテープ巻きして固定する必要がなくなり、前記第二規制部11aと前記一方の保護管4bとを粘着テープでテープ巻きして固定する必要がなくなる。よって、テープ巻き作業の手間が省かれるとともに時間が短縮される。
【0029】
係止部12は、図3および図4に示すように、前記本体部11の下面から立設された柱状部16と、前記柱状部16の先端部から該柱状部16の基端部に向かって延長された係止片17と、を備えている。
【0030】
柱状部16は、前記本体部11の下面から立設されている。柱状部16は、互いに前記電線3の長手方向に略直交する方向に幅広に形成され且つ互いに略平行する二本の柱状部16,16から形成されている。柱状部16は、先端部側が先細りするとともに基端部側が幅広に形成されている。
【0031】
係止片17は、自由端部に向かって互いに離れる方向に傾斜して形成されているとともに、互いに近づく方向に略平行に揺動可能に形成されている。係止片の自由端部には、前記パネルの取付孔の内周面および該取付孔の周縁部に係合する係合段部が設けられている。係合段部は、前記取付孔の内周面に係合する箇所が該内周面に沿った円形を描く円弧状に形成されている。
【0032】
押圧部13は、前記柱状部16の基端部に設けられている。押圧部13は、楕円状に拡径されているとともに、前記柱状部16の先端部側に向かって僅かに傾斜して形成されている。押圧部13は、前記係止部12が前記パネルの取付孔と係止された際に、前記パネルを押圧するように、前記柱状部16の先端部側に向かって延長されている。
【0033】
電線固定部14は、図2および図4に示すように、前記電線3の外周面に一体成形されて円筒状に形成された筒状部19と、前記筒状部19の外周面から突出して形成された係合突起21と、前記クリップ2が前記パネルの取付孔に取り付けられる際に該取付孔に向かって押し込まれる押込部25と、前記保護管4としての前記一方の保護管4bの侵入を規制する規制部29と、を備えている。電線固定部14は、前記本体部11の上面に設けられた連結部28を介して該本体部11と連結されている。
【0034】
筒状部19は、前記電線3の外周面に設けられて該電線3を固定している。筒状部19は、前記電線3の外表面に一体成形されて円筒状に形成されている。筒状部19は、前記本体部11の長手方向のほぼ全長に亘って設けられている。筒状部19は、前記保護管4の内径よりも小径に形成されている。
【0035】
係合突起21は、前記筒状部19の一端部に設けられた後述する規制部29に対して、前記筒状部19の他端側に設けられている。係合突起21は、前記筒状部19の外周面から突出して設けられているとともに、互いに反対方向に突出した一対の係合突起21,21として設けられている。
【0036】
一対の係合突起21は、前記本体部11の平面に対して略平行となる方向にそれぞれ突出して形成されている。一対の係合突起21には、前記筒状部19の他端側の先端部に向かって突出量が減少し且つ前記保護管4の内周面を滑らせる滑動面21aと、突出量が最大となり且つ前記保護管4の内周面と係合する係合面21bと、が設けられている。
【0037】
このため、前記電線固定部14の他端側から侵入する他方の保護管4aの圧入抵抗が軽減され、前記電線固定部14の他端側から引き抜く前記他方の保護管4aの抜脱抵抗が増大される。したがって、他方の保護管4aを容易にクリップ2に固定することができ、粘着テープなどのテープ巻きが不要となる。
【0038】
押込部25は、前記電線固定部14の上部が膨出されるとともに平坦に形成されている。押込部25は、前記電線固定部14の長手方向の中央側に設けられている。このため、作業員がクリップ2をパネルの取付孔に取り付ける際に、前記取付孔に向かって押込部25を押し込むことができる。したがって、クリップ2をパネルの取付孔に取り付ける取付作業の作業性が向上する。
【0039】
規制部29は、前記筒状部19の一端部に設けられているとともに、前記本体部11の第二規制部11aの縁端部に連なって設けられている。規制部29は、前記筒状部19の外形と略同一の幅の柱状に形成されている。このため、前述した一方の保護管4bの端部が規制部29と当接して、該保護管4bが前記筒状部19に浸入することが規制される。
【0040】
連結部28は、前記筒状部19の中央部側に設けられているとともに、前記本体部11の上面に連なって設けられている。連結部28は、前記係合突起21よりも中央部側に設けられている。連結部28は、前記係止部12の立設方向の軸線上に設けられている。
【0041】
このため、前記筒状部19の他端側に侵入した前記他方の保護管4aの端部が連結部28と当接して、該他方の保護管4aの侵入が規制される。したがって、前記他方の保護管4aが、前記筒状部19の他端側に過剰に押し込まれるのを防止する。
【0042】
上述の如く構成されたワイヤハーネス8のクリップ付ワイヤハーネス1を成形する金型は、前記電線3の外形に沿って形成された電線用キャビティと、前記クリップ2の外形に沿って形成されたクリップ用キャビティと、を備えている。金型は、作業員が前記電線3を前記電線用キャビティ内に配したり、前記電線3にクリップ2が一体成形されたクリップ付ワイヤハーネス1を取り出したりする作業性が良好である水平割金型とされている。なお、金型は、垂直割金型を用いることもできる。
【0043】
次に、前述の如く構成されたワイヤハーネス8を、自動車等のパネルの取付孔に取り付ける方法について説明する。
【0044】
まずは、ワイヤハーネス8を構成するクリップ付ワイヤハーネス1の係止部12がパネルの取付孔に係止される位置となるように、前記ワイヤハーネス8を所要の配索形態に沿ってパネルに配索し、前記押込部25を前記取付孔に向かって押し込む。このとき、前記係止部12が前記取付孔内に挿通されて、前記係止片17のそれぞれの自由端部が互いに近づく方向に弾性変形される。
【0045】
次いで、前記係止部12が前記取付孔内を挿通すると、前記係止片17のそれぞれの自由端部が弾性回復力によって、互いに離れる方向に変位する。そして、前記押圧部13が前記パネルを押圧するとともに、前記係止片17のそれぞれの自由端部の係合段部が、前記取付孔の周縁部に係合し、前記ワイヤハーネス8が前記パネルに固定される。
【0046】
本実施形態によれば、クリップ付ワイヤハーネス1は、パネルの取付孔に係止されるクリップ2が電線3に一体成形されており、前記クリップ2が、本体部11と、前記本体部11の下面から立設されて前記取付孔に係止される係止部12と、前記本体部11の上面に設けられているとともに前記電線3の外周面に一体成形されて該電線3を固定する電線固定部14と、を備え、前記電線固定部14には、前記電線3が挿通され且つ該電線3を保護する保護管4の内周面に係合する係合突起21と、前記電線固定部14に前記保護管4が侵入するのを規制する規制部29と、が設けられている。
【0047】
このため、クリップ付ワイヤハーネス1は、保護管4の内周面に係合する係合突起21と、保護管4が侵入するのを規制する規制部29とを電線固定部14に設けているので、前記電線固定部14に保護管4を固定することができるとともに、前記保護管4が前記電線固定部14に侵入するのを規制することができる。したがって、保護管4をクリップ2に固定するためのテープ巻き作業が不要となるとともに、前記保護管4の侵入を規制することができる。
【0048】
よって、クリップ付ワイヤハーネス1の製造にかかる所要時間を短縮するとともに該クリップ付ワイヤハーネス1の製造コストを抑えることができ、且つ、保護管4が過剰に侵入することによって該保護管4と係止部12とが干渉することを防止することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、クリップ付ワイヤハーネス1は、前記本体部11には、前記電線固定部14に前記保護管4が侵入するのを規制する第二規制部11aが設けられている。
【0050】
このため、クリップ付ワイヤハーネス1は、保護管4が電線固定部14に侵入するのを規制する第二規制部11aを本体部11に設けているので、本体部11の第二規制部11aと、電線固定部14の規制部29とによって、保護管4が電線固定部14に侵入するのを規制することができる。したがって、前記保護管4の侵入を確実に規制することができる。よって、保護管4が過剰に侵入するのを確実に規制して、前記保護管4と係止部12とが干渉することを確実に防止することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、クリップ付ワイヤハーネス1は、前記第二規制部11aが、前記本体部11の一端部に設けられ、かつ、前記規制部29が、前記第二規制部11aの縁端部に連なって設けられている。
【0052】
このため、クリップ付ワイヤハーネス1は、本体部11の一端部に第二規制部11aを設けるとともに、該第二規制部11aの縁端部に連なって電線固定部14の規制部29を設けているので、保護管4が電線固定部14に侵入するのを、本体部11の一端部の縁端部で規制することができる。したがって、規制部29および第二規制部11aを係止部12から遠ざけることができ、前記保護管4と前記係止部12とが干渉することをより確実に防止することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、ワイヤハーネス8は、前述したクリップ付ワイヤハーネス1に保護管4およびコネクタ5を設けて形成したため、粘着テープなどで保護管4をクリップ2に固定するテープ巻きが不要となる。したがって、ワイヤハーネス8の製造にかかる所要時間を短縮するとともに該ワイヤハーネス8の製造にかかるコストを抑えることができる。
【0054】
また、ワイヤハーネス8は、前述したクリップ付ワイヤハーネス1に保護管4およびコネクタ5を設けて形成したため、保護管4が過剰に侵入するのを規制部29および第二規制部11aによって確実に規制することができる。したがって、保護管4と係止部12とが干渉することを確実に防止することができる。
【0055】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 クリップ付ワイヤハーネス
2 クリップ
3 電線
4 保護管
5 コネクタ
8 ワイヤハーネス
11 本体部
11a 第二規制部
12 係止部
13 押圧部
14 電線固定部
21 係合突起
29 規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの取付孔に係止されるクリップが電線に一体成形されたクリップ付ワイヤハーネスであって、
前記クリップが、本体部と、前記本体部の下面から立設されて前記取付孔に係止される係止部と、前記本体部の上面に設けられているとともに前記電線の外周面に一体成形されて該電線を固定する電線固定部と、を備え、
前記電線固定部には、前記電線が挿通され且つ該電線を保護する保護管の内周面に係合する係合突起と、前記電線固定部に前記保護管が侵入するのを規制する規制部と、が設けられていることを特徴とするクリップ付ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記本体部には、前記電線固定部に前記保護管が侵入するのを規制する第二規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクリップ付ワイヤハーネス。
【請求項3】
前記第二規制部が、前記本体部の一端部に設けられ、かつ、
前記規制部が、前記第二規制部の縁端部に連なって設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクリップ付ワイヤハーネス。
【請求項4】
電線の少なくとも一端にコネクタが設けられているとともに該電線が挿通され且つ当該電線を保護する保護管が設けられ、かつ、パネルの取付孔に係止されるクリップが前記電線に一体成形されたクリップ付ワイヤハーネスを備えたワイヤハーネスであって、
前記クリップ付ワイヤハーネスが、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のクリップ付ワイヤハーネスであることを特徴とするワイヤハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−115858(P2013−115858A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257398(P2011−257398)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】