クリップ接続用端子台
【課題】簡便に使用が可能であるのみならず、安価に製造することが可能である端子台を実現する。
【解決手段】本発明の端子台1は、少なくとも表面が導体で構成された板状のクリップ接続部2を外周部に備え、前記クリップ接続部2の表面に孔若しくは凹部から構成される複数のクリップ係合穴3が形成され、前記複数のクリップ係合穴3が、前記クリップ接続部2の外縁から内側に向かう方向に配列されるとともに相互に幅方向に間隔を備えた二つのクリップ係合穴列3aを構成することを特徴とする。
【解決手段】本発明の端子台1は、少なくとも表面が導体で構成された板状のクリップ接続部2を外周部に備え、前記クリップ接続部2の表面に孔若しくは凹部から構成される複数のクリップ係合穴3が形成され、前記複数のクリップ係合穴3が、前記クリップ接続部2の外縁から内側に向かう方向に配列されるとともに相互に幅方向に間隔を備えた二つのクリップ係合穴列3aを構成することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワニ口クリップ等の挟持構造を備えたクリップにより電子部品などを電気的に接続するときに用いる端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
ワニ口クリップにより通電端子面を係合するとき、外部からの力により外れが発生する可能性がある。この対策として、特許文献1では接続端子を波板形状にすることでワニ口クリップを確実に挟持する構造を有する。特許文献2では端子として被接続側にビスを設置し、導電性ワイヤ接続具によりビスを掴むことで、通電させることを確実にしている。
【0003】
ワニ口クリップを並べて複数の電気的経路を確立するとき、噛合が摩れて隣接するワニ口クリップ同士が短絡する可能性がある。この対策として、特許文献3では板により各端子を区切ることで短絡を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−300877号公報
【特許文献2】特開2007−66648号公報
【特許文献3】特開2005−340113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで前述した従来の検査方法は、いずれも接続部の周辺に端子以外の機構や部位が存在するため、構造が複雑であり、簡便に接続するときには適さない。本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、簡便に使用が可能であるのみならず、安価に製造することが可能である端子台を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の端子台は、少なくとも表面が導体で構成された板状のクリップ接続部を外周部に備えるとともに、前記クリップ接続部の表面に孔若しくは凹部から構成される複数のクリップ係合穴が形成され、前記複数のクリップ係合穴は、前記クリップ接続部の外縁から内側に向かう方向に配列されるとともに相互に幅方向に間隔を備えた二つのクリップ係合穴列を構成するものである。
【0007】
本発明において、前記クリップ接続部における前記二つのクリップ係合穴列の間の少なくとも外縁側の領域に、1又は複数の前記クリップ係合穴を更に有することが好ましい。
【0008】
本発明において、前記クリップ接続部における前記二つのクリップ係合穴列の間の外縁側の領域に設けられる前記1又は複数のクリップ係合穴と、前記二つのクリップ係合穴列にそれぞれ含まれる一つずつの前記クリップ係合穴と、が前記クリップ接続部の外縁若しくはその外側に曲率中心を備えた円弧状に配列されることが好ましい。
【0009】
本発明において、前記外周部には複数の前記クリップ接続部が外周縁に沿って配列され、 隣接する前記クリップ接続部の間には、両側にある前記クリップ接続部の外縁より外側へ張り出した絶縁体よりなる境界張出部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クリップ係合穴に係合させることでクリップの外れを防止できるとともにクリップの装着姿勢をクリップ係合穴列の配列方向に安定的に保持でき、しかも、クリップの幅方向の位置決めが可能になる。
【0011】
クリップ係合穴列の間に1又は複数のクリップ係合穴をさらに有することにより、クリップが外れかけたときにクリップ先端の歯がクリップ係合穴に引っ掛かりやすくなるので、クリップの外れをより確実に防止できる。
【0012】
クリップ係合穴がクリップ先端の歯の配列方向に沿った円弧状の配列を有することにより、クリップ先端の歯がより引っ掛かりやすくなる。
【0013】
複数のクリップ接続部の間に外側に張り出した境界張出部を設けることで、クリップの装着姿勢が規制されるため、隣接するクリップ接続部に対する短絡事故を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る接続面及び穴の配置を示した構成図である。
【図2】クリップと本発明の実施例による端子台を接続した場合で、接続面の垂上から見たときの構成図である。
【図3】クリップと本発明の実施例による端子台を接続した場合で、基板と平行に見たときの断面図である。
【図4】本発明の実施例として接続面がいくつかある端子台を鉛直方向から見たときの模式図である。
【図5】本発明の実施例として接続面がいくつかある端子台を水平方向から見たときの模式図である。
【図6】本発明の実施例としてクリップが外縁近傍穴群と係合したときの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態として、接続面が存在する基板の外形が方形で、別の基板とピンソケットにより電気的に接続している実施例1を図1乃至図6に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1はクリップ6(図2及び図3参照)が係合する箇所の一部を表している。ガラスエポキシや紙フェノール等の絶縁体を材質とした回路基板(端子台)1の表面に、電解金鍍金処理などにより貼付された導体を表面上に備えたクリップ接続部2が設けられている。クリップ接続部2には電気経路4が電気的に接続されており、更に電気経路4は図4のピンソケット7を経由し、図5の被接続電子基板8にある電子部品などに接続される。従ってクリップ接続部2とクリップ6が電気的に接続されると、当該クリップ6は被接続電子基板8にある電子部品と電気的に接続される。
【0017】
クリップ6は、図3に示すように上下一対のクリップ係合部6aが開閉可能に連結され、各クリップ係合部6aの内側には複数のクリップ突起部6aaが配列されている。クリップ突起部6aaの列は各クリップ係合部6aの幅方向に2列形成されている。また、一対のクリップ係合部6aの基部側は絶縁体よりなる絶縁部(カバー)6bに覆われている。このクリップ6は、クリップ接続部2に対し、その外縁と直交する方向、且つ回路基板1の外縁から内側に向かう方向に接続される。以下ではこの接続方向を正常接続方向Fと呼ぶ。図示例ではクリップ接続部2は正常接続方向Fを長手方向とする長方形の平面形状を備える。複数のクリップ接続部2は回路基板1の外周に沿って配列されている。隣接するクリップ接続部2の間には境界張出部5が形成されている。境界張出部5は長方形の平面形状を有し、絶縁体で構成される。図示例では境界張出部5は回路基板1の一部であり、厚さは回路基板1と同じである。また、境界張出部5は隣接するクリップ接続部2の間に存在し、クリップ接続部2の外周よりも外側へ突出している。クリップ6をクリップ接続部2に接続する場合、境界張出部5がクリップ6の絶縁部6bと接することで、クリップ6の長手方向が正常接続方向Fに沿った姿勢になるようにクリップ6を規制し、クリップ6の接続姿勢を安定的に支持する。
【0018】
クリップ接続部2には複数のクリップ係合穴3が形成されている。複数のクリップ係合穴3は、クリップ接続部2において2列のクリップ係合穴列3aを形成している。クリップ係合穴列3aは、クリップ接続部2の表面に沿ったクリップ接続部2の外縁と直交する正常接続方向Fに沿ってクリップ係合穴3が配列してなり、2列のクリップ係合穴列3a間の距離は2列のクリップ係合部6aの幅と同じである。クリップ係合穴列3a内の複数のクリップ係合穴3の配列間隔は、各列内のクリップ突起部6aaの配列間隔と同じである。このため、図3のようにクリップ突起部6aaとクリップ係合穴列3aが噛合し、クリップ接続部2とクリップ係合部6aとが電気的にしっかりと接続される。
【0019】
図1では、クリップ接続部2の外縁部において上記2列のクリップ係合穴列3a間にさらに別のクリップ係合穴3が形成されている。図示例では、2つの別のクリップ係合穴3が正常接続方向Fに沿って配列されている。一般的には、上記2列のクリップ係合穴列3aの間に、両側のクリップ係合穴列3と同間隔で複数のクリップ係合穴3が配列されてなる別の1列の外縁中央係合穴群3ba(図6参照)が配置される。この外縁中央係合穴群3baでは、左右両側のクリップ係合穴列3aのクリップ係合穴3とはクリップ係合穴3の正常接続方向Fに見た位置がずれるように形成されている。このような別の外縁中央係合穴群3baが形成されることにより、クリップ接続部2の外縁部には、クリップ係合穴3が幅方向により高密度に配列されてなる外縁近傍穴群3bが形成される。上記外縁中央係合穴群3baは一つのクリップ係合穴3のみで形成されていてもよいが、図示例のように正常接続方向Fに沿って複数設けられることで、クリップ係合部6aの先端のクリップ突起部6aaとの係合確率が増大し、後述するクリップ6の外れ止め作用を強化できる。
【0020】
図6では、このように形成されたクリップ接続部2にクリップ係合部6aが係合した様子が示されている。ここで、上記の外縁近傍穴群3bとクリップ係合部6aの先端が係合している。外縁近傍穴群3bは、外縁中央係合穴群3baと、左右のクリップ係合穴列3aのそれぞれ最も外縁側にある左右のクリップ係合穴3、3よりなる外縁先端係合穴群3bbとにより構成される。これによりクリップ接続部2の外縁においてクリップ係合穴3が高密度に配置される。この外縁近傍穴群3bを設けることで、クリップ係合部6aがクリップ接続部2から外れかけても、クリップ係合部6aの先端にあるクリップ突起部6aaが外縁近傍穴群3bの高密度に形成されたクリップ係合穴3に引っ掛かりやすくなるため、クリップ6の外れを抑制できる。
【0021】
すなわち、外縁近傍穴群3bの一部である外縁中央係合穴群3baは、2列のクリップ係合穴群3aの間に存在し、且つクリップ接続部2の外縁近傍にある。また、外縁近傍穴群3bの一部である外縁先端係合穴群3bbは、クリップ係合穴列3aの一部でもあり、且つクリップ接続部2の外縁近傍にある。クリップが正常接続方向Fと反対の方向に、噛合している力以上の外力が作用することで外れかかったとき、クリップ係合部6aの先端にあるクリップ突起部6aaが外縁近傍穴群3bと噛合することで、クリップ6の完全な外れを防ぐ。
【0022】
図示例の外縁近傍穴群3bにおいては、外縁中央係合穴群3baのうちクリップ接続部2の外縁とは反対側に配置された一つのクリップ係合穴3と、外縁中央係合穴群3baの両側にある外縁先端係合穴群3bbとが、クリップ接続部2の外縁側から見て円弧状に配列されている。すなわち、上記外縁中央穴群3baに属する一つのクリップ係合穴及び上記外縁先端係合穴群に属する両側の二つのクリップ係合穴よりなる合計3つのクリップ係合穴3、3、3は、外縁上、或いは、当該外縁よりもさらに外側にある仮想点を中心とする円弧に沿って配列されている。これによって、これらの円弧状のクリップ係合穴3の配列がクリップ係合部6aの先端部におけるクリップ突起部6aaの配列態様に近くなるので、図6に示すようにクリップ係合部6aが外れかけた状態においてクリップ係合部6aの先端にあるクリップ突起部6aaが上記の円弧状に配列された複数のクリップ係合穴3に係合しやすくなるため、クリップ6が完全に外れることをさらに確実に防止することができる。
【0023】
クリップ係合穴3の孔若しくは凹部の径はクリップ突起部6aaが嵌る程度である。クリップ係合穴3の孔若しくは凹部の内面には、クリップ接続部2の表面の導体と導電接続された(或いは、一体に構成された)導体によって覆われていることがクリップ6との導電接続性を高める上でより好ましい。 また、クリップ係合穴3の形状は図示のように円形である必要はなく、三角形、四角形、楕円形などの種々の開口形状とすることができる。
【0024】
なお、クリップ係合穴3の径(特に、正常接続方向Fに沿った開口長さ)や深さ(凹部の場合)を、クリップ係合穴列3a内においてクリップ接続部2の外縁に向かうに従って徐々に大きくしていくことが好ましい。図3に示すように、クリップ接続部2に係合したクリップ6は、一対のクリップ係合部6a間の距離が基端側ほど狭く先端側ほど広くなるように開いた係合態様となるが、上記のように構成すると、上記係合態様に合わせて、クリップ突起部6aaと、クリップ係合穴列3a内のクリップ係合穴3との係合深さがクリップ係合部6aの基端側ほど深く先端側ほど浅くなるように構成できるので、クリップ6とクリップ接続部2の間の係合強度又は係合安定性の向上や、接触面積の増大による接続抵抗の低減などを図ることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 回路基板
2 クリップ接続部
3 クリップ係合穴
3a クリップ係合穴列
3b 外縁近傍穴群
3ba 外縁中央係合穴群
3bb 外縁先端係合穴群
4 電気経路
5 境界張出部
6 クリップ
6a クリップ係合部
6aa クリップ突起部
6b クリップ絶縁部
7 ピンソケット
8 被接続電子基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワニ口クリップ等の挟持構造を備えたクリップにより電子部品などを電気的に接続するときに用いる端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
ワニ口クリップにより通電端子面を係合するとき、外部からの力により外れが発生する可能性がある。この対策として、特許文献1では接続端子を波板形状にすることでワニ口クリップを確実に挟持する構造を有する。特許文献2では端子として被接続側にビスを設置し、導電性ワイヤ接続具によりビスを掴むことで、通電させることを確実にしている。
【0003】
ワニ口クリップを並べて複数の電気的経路を確立するとき、噛合が摩れて隣接するワニ口クリップ同士が短絡する可能性がある。この対策として、特許文献3では板により各端子を区切ることで短絡を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−300877号公報
【特許文献2】特開2007−66648号公報
【特許文献3】特開2005−340113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで前述した従来の検査方法は、いずれも接続部の周辺に端子以外の機構や部位が存在するため、構造が複雑であり、簡便に接続するときには適さない。本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、簡便に使用が可能であるのみならず、安価に製造することが可能である端子台を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の端子台は、少なくとも表面が導体で構成された板状のクリップ接続部を外周部に備えるとともに、前記クリップ接続部の表面に孔若しくは凹部から構成される複数のクリップ係合穴が形成され、前記複数のクリップ係合穴は、前記クリップ接続部の外縁から内側に向かう方向に配列されるとともに相互に幅方向に間隔を備えた二つのクリップ係合穴列を構成するものである。
【0007】
本発明において、前記クリップ接続部における前記二つのクリップ係合穴列の間の少なくとも外縁側の領域に、1又は複数の前記クリップ係合穴を更に有することが好ましい。
【0008】
本発明において、前記クリップ接続部における前記二つのクリップ係合穴列の間の外縁側の領域に設けられる前記1又は複数のクリップ係合穴と、前記二つのクリップ係合穴列にそれぞれ含まれる一つずつの前記クリップ係合穴と、が前記クリップ接続部の外縁若しくはその外側に曲率中心を備えた円弧状に配列されることが好ましい。
【0009】
本発明において、前記外周部には複数の前記クリップ接続部が外周縁に沿って配列され、 隣接する前記クリップ接続部の間には、両側にある前記クリップ接続部の外縁より外側へ張り出した絶縁体よりなる境界張出部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クリップ係合穴に係合させることでクリップの外れを防止できるとともにクリップの装着姿勢をクリップ係合穴列の配列方向に安定的に保持でき、しかも、クリップの幅方向の位置決めが可能になる。
【0011】
クリップ係合穴列の間に1又は複数のクリップ係合穴をさらに有することにより、クリップが外れかけたときにクリップ先端の歯がクリップ係合穴に引っ掛かりやすくなるので、クリップの外れをより確実に防止できる。
【0012】
クリップ係合穴がクリップ先端の歯の配列方向に沿った円弧状の配列を有することにより、クリップ先端の歯がより引っ掛かりやすくなる。
【0013】
複数のクリップ接続部の間に外側に張り出した境界張出部を設けることで、クリップの装着姿勢が規制されるため、隣接するクリップ接続部に対する短絡事故を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る接続面及び穴の配置を示した構成図である。
【図2】クリップと本発明の実施例による端子台を接続した場合で、接続面の垂上から見たときの構成図である。
【図3】クリップと本発明の実施例による端子台を接続した場合で、基板と平行に見たときの断面図である。
【図4】本発明の実施例として接続面がいくつかある端子台を鉛直方向から見たときの模式図である。
【図5】本発明の実施例として接続面がいくつかある端子台を水平方向から見たときの模式図である。
【図6】本発明の実施例としてクリップが外縁近傍穴群と係合したときの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態として、接続面が存在する基板の外形が方形で、別の基板とピンソケットにより電気的に接続している実施例1を図1乃至図6に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1はクリップ6(図2及び図3参照)が係合する箇所の一部を表している。ガラスエポキシや紙フェノール等の絶縁体を材質とした回路基板(端子台)1の表面に、電解金鍍金処理などにより貼付された導体を表面上に備えたクリップ接続部2が設けられている。クリップ接続部2には電気経路4が電気的に接続されており、更に電気経路4は図4のピンソケット7を経由し、図5の被接続電子基板8にある電子部品などに接続される。従ってクリップ接続部2とクリップ6が電気的に接続されると、当該クリップ6は被接続電子基板8にある電子部品と電気的に接続される。
【0017】
クリップ6は、図3に示すように上下一対のクリップ係合部6aが開閉可能に連結され、各クリップ係合部6aの内側には複数のクリップ突起部6aaが配列されている。クリップ突起部6aaの列は各クリップ係合部6aの幅方向に2列形成されている。また、一対のクリップ係合部6aの基部側は絶縁体よりなる絶縁部(カバー)6bに覆われている。このクリップ6は、クリップ接続部2に対し、その外縁と直交する方向、且つ回路基板1の外縁から内側に向かう方向に接続される。以下ではこの接続方向を正常接続方向Fと呼ぶ。図示例ではクリップ接続部2は正常接続方向Fを長手方向とする長方形の平面形状を備える。複数のクリップ接続部2は回路基板1の外周に沿って配列されている。隣接するクリップ接続部2の間には境界張出部5が形成されている。境界張出部5は長方形の平面形状を有し、絶縁体で構成される。図示例では境界張出部5は回路基板1の一部であり、厚さは回路基板1と同じである。また、境界張出部5は隣接するクリップ接続部2の間に存在し、クリップ接続部2の外周よりも外側へ突出している。クリップ6をクリップ接続部2に接続する場合、境界張出部5がクリップ6の絶縁部6bと接することで、クリップ6の長手方向が正常接続方向Fに沿った姿勢になるようにクリップ6を規制し、クリップ6の接続姿勢を安定的に支持する。
【0018】
クリップ接続部2には複数のクリップ係合穴3が形成されている。複数のクリップ係合穴3は、クリップ接続部2において2列のクリップ係合穴列3aを形成している。クリップ係合穴列3aは、クリップ接続部2の表面に沿ったクリップ接続部2の外縁と直交する正常接続方向Fに沿ってクリップ係合穴3が配列してなり、2列のクリップ係合穴列3a間の距離は2列のクリップ係合部6aの幅と同じである。クリップ係合穴列3a内の複数のクリップ係合穴3の配列間隔は、各列内のクリップ突起部6aaの配列間隔と同じである。このため、図3のようにクリップ突起部6aaとクリップ係合穴列3aが噛合し、クリップ接続部2とクリップ係合部6aとが電気的にしっかりと接続される。
【0019】
図1では、クリップ接続部2の外縁部において上記2列のクリップ係合穴列3a間にさらに別のクリップ係合穴3が形成されている。図示例では、2つの別のクリップ係合穴3が正常接続方向Fに沿って配列されている。一般的には、上記2列のクリップ係合穴列3aの間に、両側のクリップ係合穴列3と同間隔で複数のクリップ係合穴3が配列されてなる別の1列の外縁中央係合穴群3ba(図6参照)が配置される。この外縁中央係合穴群3baでは、左右両側のクリップ係合穴列3aのクリップ係合穴3とはクリップ係合穴3の正常接続方向Fに見た位置がずれるように形成されている。このような別の外縁中央係合穴群3baが形成されることにより、クリップ接続部2の外縁部には、クリップ係合穴3が幅方向により高密度に配列されてなる外縁近傍穴群3bが形成される。上記外縁中央係合穴群3baは一つのクリップ係合穴3のみで形成されていてもよいが、図示例のように正常接続方向Fに沿って複数設けられることで、クリップ係合部6aの先端のクリップ突起部6aaとの係合確率が増大し、後述するクリップ6の外れ止め作用を強化できる。
【0020】
図6では、このように形成されたクリップ接続部2にクリップ係合部6aが係合した様子が示されている。ここで、上記の外縁近傍穴群3bとクリップ係合部6aの先端が係合している。外縁近傍穴群3bは、外縁中央係合穴群3baと、左右のクリップ係合穴列3aのそれぞれ最も外縁側にある左右のクリップ係合穴3、3よりなる外縁先端係合穴群3bbとにより構成される。これによりクリップ接続部2の外縁においてクリップ係合穴3が高密度に配置される。この外縁近傍穴群3bを設けることで、クリップ係合部6aがクリップ接続部2から外れかけても、クリップ係合部6aの先端にあるクリップ突起部6aaが外縁近傍穴群3bの高密度に形成されたクリップ係合穴3に引っ掛かりやすくなるため、クリップ6の外れを抑制できる。
【0021】
すなわち、外縁近傍穴群3bの一部である外縁中央係合穴群3baは、2列のクリップ係合穴群3aの間に存在し、且つクリップ接続部2の外縁近傍にある。また、外縁近傍穴群3bの一部である外縁先端係合穴群3bbは、クリップ係合穴列3aの一部でもあり、且つクリップ接続部2の外縁近傍にある。クリップが正常接続方向Fと反対の方向に、噛合している力以上の外力が作用することで外れかかったとき、クリップ係合部6aの先端にあるクリップ突起部6aaが外縁近傍穴群3bと噛合することで、クリップ6の完全な外れを防ぐ。
【0022】
図示例の外縁近傍穴群3bにおいては、外縁中央係合穴群3baのうちクリップ接続部2の外縁とは反対側に配置された一つのクリップ係合穴3と、外縁中央係合穴群3baの両側にある外縁先端係合穴群3bbとが、クリップ接続部2の外縁側から見て円弧状に配列されている。すなわち、上記外縁中央穴群3baに属する一つのクリップ係合穴及び上記外縁先端係合穴群に属する両側の二つのクリップ係合穴よりなる合計3つのクリップ係合穴3、3、3は、外縁上、或いは、当該外縁よりもさらに外側にある仮想点を中心とする円弧に沿って配列されている。これによって、これらの円弧状のクリップ係合穴3の配列がクリップ係合部6aの先端部におけるクリップ突起部6aaの配列態様に近くなるので、図6に示すようにクリップ係合部6aが外れかけた状態においてクリップ係合部6aの先端にあるクリップ突起部6aaが上記の円弧状に配列された複数のクリップ係合穴3に係合しやすくなるため、クリップ6が完全に外れることをさらに確実に防止することができる。
【0023】
クリップ係合穴3の孔若しくは凹部の径はクリップ突起部6aaが嵌る程度である。クリップ係合穴3の孔若しくは凹部の内面には、クリップ接続部2の表面の導体と導電接続された(或いは、一体に構成された)導体によって覆われていることがクリップ6との導電接続性を高める上でより好ましい。 また、クリップ係合穴3の形状は図示のように円形である必要はなく、三角形、四角形、楕円形などの種々の開口形状とすることができる。
【0024】
なお、クリップ係合穴3の径(特に、正常接続方向Fに沿った開口長さ)や深さ(凹部の場合)を、クリップ係合穴列3a内においてクリップ接続部2の外縁に向かうに従って徐々に大きくしていくことが好ましい。図3に示すように、クリップ接続部2に係合したクリップ6は、一対のクリップ係合部6a間の距離が基端側ほど狭く先端側ほど広くなるように開いた係合態様となるが、上記のように構成すると、上記係合態様に合わせて、クリップ突起部6aaと、クリップ係合穴列3a内のクリップ係合穴3との係合深さがクリップ係合部6aの基端側ほど深く先端側ほど浅くなるように構成できるので、クリップ6とクリップ接続部2の間の係合強度又は係合安定性の向上や、接触面積の増大による接続抵抗の低減などを図ることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 回路基板
2 クリップ接続部
3 クリップ係合穴
3a クリップ係合穴列
3b 外縁近傍穴群
3ba 外縁中央係合穴群
3bb 外縁先端係合穴群
4 電気経路
5 境界張出部
6 クリップ
6a クリップ係合部
6aa クリップ突起部
6b クリップ絶縁部
7 ピンソケット
8 被接続電子基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面が導体で構成された板状のクリップ接続部を外周部に備えた端子台であって、
前記クリップ接続部の前記表面には孔若しくは凹部からなる複数のクリップ係合穴が形成され、該複数のクリップ係合穴は、前記クリップ接続部の外縁から内側に向かう方向に配列されるとともに相互に幅方向に間隔を備えた二つの係合穴列を構成することを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記二つの係合穴列の間の少なくとも外縁側の領域に、1又は複数の前記クリップ係合穴を更に有することを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記二つの係合穴列の間の外縁側の領域に設けられる前記1又は複数のクリップ係合穴と、前記二つの係合穴列にそれぞれ含まれる一つずつの前記クリップ係合穴と、が前記クリップ接続部の外側に曲率中心を備えた円弧状に配列されることを特徴とする請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
前記外周部には複数の前記クリップ接続部が外周縁に沿って配列され、
隣接する前記クリップ接続部の間には、両側にある前記クリップ接続部の外縁より外側へ張り出した絶縁体よりなる境界張出部が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の端子台。
【請求項1】
少なくとも表面が導体で構成された板状のクリップ接続部を外周部に備えた端子台であって、
前記クリップ接続部の前記表面には孔若しくは凹部からなる複数のクリップ係合穴が形成され、該複数のクリップ係合穴は、前記クリップ接続部の外縁から内側に向かう方向に配列されるとともに相互に幅方向に間隔を備えた二つの係合穴列を構成することを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記二つの係合穴列の間の少なくとも外縁側の領域に、1又は複数の前記クリップ係合穴を更に有することを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記二つの係合穴列の間の外縁側の領域に設けられる前記1又は複数のクリップ係合穴と、前記二つの係合穴列にそれぞれ含まれる一つずつの前記クリップ係合穴と、が前記クリップ接続部の外側に曲率中心を備えた円弧状に配列されることを特徴とする請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
前記外周部には複数の前記クリップ接続部が外周縁に沿って配列され、
隣接する前記クリップ接続部の間には、両側にある前記クリップ接続部の外縁より外側へ張り出した絶縁体よりなる境界張出部が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の端子台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−190710(P2012−190710A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54387(P2011−54387)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]