説明

クリップ

【課題】クリップに関し、係合部が周方向に撓むことで、撓み代を確保でき、脚部が垂下する方向と交差する方向であって、かつ同じ向きに2つの係合部をそれぞれ延出させることで、クリップを傾けることで、クリップが取り付けられる被取付部材との間のロック状態を解除することができるようにしたものである。
【解決手段】クリップ10は、頭部50、頭部50から垂下する脚部60、脚部60から延出する少なくとも2つの係合部61を有する。2つの係合部61は、脚部60が垂下する方向と交差する方向であって、かつ同じ向きにそれぞれ延出する。また、クリップ10は、バッテリー用温度センサーの保持部70を有するようにしても良い。保持部70の内周面には、温度センサーの挿入方向に沿って延びる内部突起を有するようにしても良い。保持部70の内周面は、温度センサーを係止する係止部73を有するようにしても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クリップに関し、係合部が周方向に撓むことで、撓み代を確保でき、脚部が垂下する方向と交差する方向であって、かつ同じ向きに2つの係合部をそれぞれ延出させることで、クリップを傾けることで、クリップが取り付けられる被取付部材との間のロック状態を解除することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、温度センサーユニットを備えた電気自動車のバッテリー構造が知られている(例えば特許文献1の段落番号「0034」、図1、図6〜8参照)。
従来の温度センサーユニットは、バッテリーケースの上壁のセンサー取付孔にねじ込み固定されるネジ部を有する筒状のユニット本体と、その内側に摺動自在に配設した合成樹脂性の温度検出部と、該温度検出部の先端部内に配設した温度センサーと、ユニット本体内に弾装されて温度検出部をユニット本体から突出する方向に付勢するスプリングとから構成されていた(例えば特許文献1の段落番号「0034」参照)。
【0003】
また、自動車のバッテリーケースに直接取り付けられる温度センサーではないが、従来、外気温センサー等に使用される温度センサーの取付構造(特許文献2の段落番号「0001」及び図1〜3参照)や、送風用エアダクトに取り付けられる温度センサーの取付構造(特許文献3の段落番号「0001」及び図1〜3参照)、バッテリーの保持板に取り付けられる温度センサーの取付ホルダー(特許文献4の段落番号「0015」及び図1〜5参照)が知られている。
【0004】
なお、本願出願人は、「バッテリー用温度センサーの取付用クリップ」(特願2011-17182、平成23年1月28日出願)を既に提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-302847号公報
【特許文献2】特開2006-250763号公報
【特許文献3】特開2010-281787号公報
【特許文献4】特許第4025218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した従来の電気自動車のバッテリー構造の温度センサーユニットは、センサー取付孔にねじ込まなければならず、取付時に工具が必要となり、又、取り付けが面倒で、時間が掛かるという問題点があった。
また、バッテリーの温度センサーは、取付精度が要求されるため、上記した従来の温度センサーユニットでは、スプリングを使用して温度検出部を突出する方向に付勢していた。このため、従来の温度センサーユニットは、部品点数が多く、構造が複雑であるという問題点があった。
【0007】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
請求項1に記載の発明は、構造が簡便で小型化が可能であるばかりでなく、着脱の簡単なクリップを提供することができるようにしたものである。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、係合部が周方向に撓むことで、撓み代を確保できるようにしたものである。
また、請求項1に記載の発明は、脚部が垂下する方向と交差する方向であって、かつ同じ向きに2つの係合部をそれぞれ延出させることで、クリップを傾けることで、クリップが取り付けられる被取付部材との間のロック状態を解除することができるようにしたものである。
このため、請求項1に記載の発明によれば、クリップを取り外すことで、繰り返して使用が可能であり、又、クリップを使用して取り付ける部品のメンテナンス性を向上することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項2に記載の発明は、保持部により、バッテリー用温度センサーを保持することができるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0010】
すなわち、請求項3に記載の発明は、温度センサーの挿入方向に沿って延びる内部突起により、保持部内での温度センサーのガタつきを防止することができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項2又は請求項3に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0011】
すなわち、請求項4に記載の発明は、係止部により、保持部から温度センサーの抜けを防止できるばかりでなく、温度センサーの装着時の節度感を与えることがことができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0013】
第1に、クリップ(10)は、例えば図1〜8に示すように、頭部(50)、頭部(50)から垂下する脚部(60)、脚部(60)から延出する少なくとも2つの係合部(61)を有する。
第2に、2つの係合部(61)は、例えば図1〜9に示すように、脚部(60)が垂下する方向と交差する方向であって、かつ同じ向きにそれぞれ延出する。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、クリップ(10)は、例えば図1及び図2に示すように、バッテリー用温度センサー(20)の保持部(70)を有する。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、保持部(70)の内周面には、例えば図2及び図4〜7に示すように、温度センサー(20)の挿入方向に沿って延びる内部突起(72)を有する。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項2又は請求項3に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、保持部(70)の内周面には、例えば図1〜7に示すように、温度センサー(20)を係止する係止部(73)を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、構造が簡便で小型化が可能であるばかりでなく、着脱の簡単なクリップを提供することができる。
【0018】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、係合部が周方向に撓むことで、撓み代を確保できる。また、請求項1に記載の発明によれば、脚部が垂下する方向と交差する方向であって、かつ同じ向きに2つの係合部をそれぞれ延出させることで、クリップを傾けることで、クリップが取り付けられる被取付部材との間のロック状態を解除することができる。
このため、請求項1に記載の発明によれば、クリップを取り外すことで、繰り返して使用が可能であり、又、クリップを使用して取り付ける部品のメンテナンス性を向上することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0019】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、保持部により、バッテリー用温度センサーを保持することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0020】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、温度センサーの挿入方向に沿って延びる内部突起により、保持部内での温度センサーのガタつきを防止することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項2又は請求項3に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0021】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、係止部により、保持部から温度センサーの抜けを防止できるばかりでなく、温度センサーの装着時の節度感を与えることがことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】クリップ及び温度センサーの取付状態を示す一半を断面にした断面図である。
【図2】クリップ、温度センサー及びパネルの分解断面図である。
【図3】クリップの斜視図である。
【図4】クリップを上方から見た他の斜視図である。
【図5】一半を断面にしたクリップの正面図である。
【図6】一半を断面にしたクリップの側面図である。
【図7】クリップの平面図である。
【図8】クリップの底面図である。
【図9】クリップの係合部を縮径させた状態を示す断面図である。
【図10】一半を断面にしたクリップの取付状態を示す断面図である。
【図11】クリップを取り外す際の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(クリップ10)
図中、10は、クリップを示し、クリップ10は、図1及び図2に示すように、温度センサー20を保持し、バッテリー(図示せず)を収納したケース状のパネル30の内外に貫通したパネル穴31に取り付けられるものである。
クリップ10は、図1及び図2に示すように、温度センサー20を保持した状態で、パネル30のパネル穴31に取り付けられるものである。クリップ10は、適度な弾性と剛性とを有する熱可塑性合成樹脂、例えばPOM(ポリアセタール)により一体的に成形されている。
クリップ10は、図1〜8に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)頭部50
(2)脚部60
(3)保持部70
なお、クリップ10の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
【0024】
(パネル30)
パネル30は、図示しないが、ケース状に形成され、内部にはバッテリーが収納される。パネル30には、図1、図2、図9及び図10に示すように、内外、すなわち同図において上下方向に貫通した円形のパネル穴31を設けている。
パネル穴31は、クリップ10の後述する脚部60を挿入可能なものであり、その内径を脚部60の外径以上、すなわち本実施の形態では、図11に示すように、クリップ10を取り外す際に、その脚部60をパネル穴31中で傾けることから、パネル穴31の内径を脚部60の外径より一回り大きく設定している。
なお、パネル30は、取付部材である温度センサー20を取り付ける被取付部材であり、被取付部材として、パネル30を例示したが、これに限定されない。また、パネル30を、ケース状に形成したが、これに限定されない。さらに、パネル穴31を、円形に形成したが、これに限定されず、楕円形、長円形、或いは方形や他の多角形に形成しても良い。
【0025】
バッテリーは、図示しないが、電気自動車やハイブリッド自動車に用いられ、セルを積層したモジュールとして構成されている。バッテリーは、図示しないが、パネル30内に収容された状態で車両に搭載される。バッテリーは、内部での電気化学反応によって発熱し、その温度が上昇する。高温になるとバッテリーの発電効率が低下するため、バッテリーは、熱伝達性の高いケース状のパネル30内に収容され、外部から冷却風を送風して冷却している。冷却風の送風を制御するため、パネル30内の温度を温度センサー20により測定している。
【0026】
(保護筒40)
また、パネル30の裏面側には、図1及び図2に示すように、保護筒40が固定されている。
保護筒40は、上下面が開口した中空の筒型に形成され、開口上面がパネル30のパネル穴31に連通する。保護筒40は、パネル30のパネル穴31に取り付けたクリップ10の後述する脚部60の周囲に位置し、クリップ10に取り付けた温度センサー20の後述するセンサー本体21の先端部が、保護筒40の開口下面から突出する。保護筒40の中空内部には、クリップ10の後述する脚部60、及び温度センサー20のセンサー本体21が位置するが、図11に示すように、クリップ10を取り外す際に、脚部60及びセンサー本体21が保護筒40の中空内部において傾くことから、脚部60及びセンサー本体21の傾斜を許容する大きさに保護筒40の中空内部を設定している。
【0027】
(温度センサー20)
温度センサー20は、内部にサーミスタ素子が内蔵されたものである。
温度センサー20は、図2に示すように、センサー本体21と、張出部22とを有する。
センサー本体21は、図示しないが、サーミスタ素子が内蔵され、円筒形ないしは円柱形に形成され、先端部が半球形に形成されている。張出部22は、センサー本体21の基端部の周囲から略ドーナツ形に張り出し、その外径をセンサー本体21の外径より大きく形成している。
なお、温度センサー20は、被取付部材であるパネル30に取り付けられる取付部材であり、取付部材として、温度センサー20を例示したが、これに限定されない。また、温度センサー20の内部に、サーミスタ素子が内蔵させたが、これに限定されない。さらに、センサー本体21を円筒形ないしは円柱形に形成し、又、張出部22を円形の略ドーナツ形に形成したが、これらに限定されず、センサー本体21を角筒形ないしは角柱形に形成したり、或いは多角形の略ドーナツ形に形成しても良い。
【0028】
(頭部50)
頭部50は、図1及び図2に示すように、後述する脚部60及び保持部70と協同して、温度センサー20を保持した状態で、パネル30のパネル穴31に取り付けられるものであり、パネル30の外面側、すなわち同図において上面側に位置する。
【0029】
頭部50は、図1〜8に示すように、円筒形に形成され、その外径をパネル30のパネル穴31の内径より大きく設定するとともに、その内径を温度センサー20の張出部22の外径以下に設定している。
なお、頭部50を円筒形に形成したが、これに限定されず、角筒形に形成しても良い。
頭部50には、図1〜8に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、頭部50の各部は、次の(1)及び(2)に限定されない。
【0030】
(1)凸部51
凸部51は、図1〜6及び図8に示すように、頭部50の底面から突出し、パネル30の外面、すなわち図1及び図2において上面に当接する。凸部51は、図8に示すように、直径方向に離れて一対位置し、一対の凸部51の間隔内に脚部60の後述する2個の係合部61が位置する関係に配置されている。
【0031】
なお、凸部51を、一対形成したが、これらに限定されず、3個以上形成しても良い。
(2)切欠部52
切欠部52は、温度センサー20の配線用のものであり、図1〜7に示すように、頭部50の上端部から略U字形に切り欠いて形成している。切欠部52は、一対の凸部51の一方の上方に位置させている。
【0032】
なお、切欠部52を、略U字形に切り欠いたが、これに限定されず、穴状に形成しても良い。
(脚部60)
脚部60は、図1及び図2に示すように、頭部(50)から垂下するものであり、パネル30のパネル穴31に挿入可能なものである。脚部60は、図1〜6及び図8に示すように、頭部50と同様に、円筒形に形成され、その外径をパネル30のパネル穴31の内径以下に設定するとともに、その内径を温度センサー20の張出部22の外径より小径で、かつセンサー本体21の外径以上に設定している。
なお、脚部60を円筒形に形成したが、これに限定されず、角筒形に形成しても良い。
【0033】
頭部50には、図1〜3及び図5〜9に示すように、次の各部を備える。
なお、頭部50の各部は、次の(1)に限定されない。
(1)係合部61
係合部61は、図1〜9に示すように、脚部60から延出し、少なくとも2つ、すなわち本実施の形態では2個形成されている。2つの係合部61は、脚部60が垂下する方向(例えば図5及び図6において上下方向)と交差する方向(例えば図5及び図6において左右方向)であって、かつ同じ向きに(例えば図7及び図8において向かって右側から左側に向かい)それぞれ延出する。
【0034】
なお、係合部61を2個形成したが、これに限定されず、3個以上形成しても良い。
係合部61は、一対の凸部51の間隔内に位置し、一対の凸部51が対向する直径方向と直交する直径方向に離れて位置し、一対の凸部51が対向する直径方向に対して線対称に形成されている。
係合部61は、図3に示すように、基端部が切欠部52の無い側に位置し、自由端部が切欠部52の有る側に向かって延出している。係合部61の自由端部は、図9に二点鎖線で示すように、係合部61の円周方向に沿って円弧状に湾曲している。係合部61の自由端部の外径は、図9に二点鎖線で示すように、係合部61の外周より外向きに突出するとともに、その突出量を先端部に向かって徐々に増加させている。係合部61の自由端部の外径は、図9に点線で示したパネル穴31の内径より大径に突出する。
【0035】
係合部61は、基端部の高さ方向の幅が広く、自由端部の高さ方向の幅が狭く形成され、側方から見ると、略L字形に形成されている。
(保持部70)
保持部70は、図1及び図2に示すように、温度センサー20を保持するものであり、クリップ10の中空内部に位置し、頭部50から脚部60に貫通する穴状に形成され、上下面が開口している。
【0036】
保持部70には、図1〜8に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)段部71
(2)内部突起72
(3)係止部73
なお、保持部70の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(段部71)
段部71は、図1、図2、図4及び図5に示すように、保持部70の高さの途中に位置し、保持部70の中心に向かって段状に突出し、温度センサー20の張出部22の底面が載置されるものである。
【0037】
段部71は、図7に示すように、一対の凸部51が対向する直径方向に一対位置し、両者の対向間隔は、温度センサー20のセンサー本体21の直径に略等しく設定させている。保持部70は、図1、図2及び図5に示すように、段部71により高さ方向に二分され、段部71の上側の保持部70の内径は、温度センサー20の張出部22の外径以上、すなわち本実施の形態では張出部22の外径に略等しく設定され、下側の内径は、温度センサー20の張出部22の外径より小径で、かつセンサー本体21の外径以上、すなわち本実施の形態ではセンサー本体21の外径に略等しく設定されている。
【0038】
なお、段部71を、一対形成したが、これに限定されず、環状に1個形成したり、或いは3個以上形成しても良い。
(内部突起72)
内部突起72は、図2及び図4〜7に示すように、保持部70の内周面に位置し、温度センサー20の挿入方向に沿って延びるものである。
【0039】
内部突起72は、段部71の上側に位置し、保持部70の中空内部に向かって突出したリブ状に形成され、計4個形成されている。
なお、内部突起72を4個形成したが、これに限定されず、単数としても良いし、或いは2個、3個、5個以上形成しても良い。
(係止部73)
係止部73は、図1〜7に示すように、保持部70の内周面に位置し、温度センサー20を係止するものである。
【0040】
係止部73は、段部71の上面から温度センサー20の張出部22の高さに等しい距離離れて位置し、保持部70の中空内部に向かって突出した爪状に形成され、一対形成されている。
係止部73は、2個の係合部61が対向する方向に計2個形成され、上端部が保持部70に連接し、下端部が切り離されて自由端部となり、自由端部に向かって徐々に突出量を増加させ、斜面を斜め上方に向けた略直角三角形状に形成されている。
(温度センサー20の取付方法)
つぎに、上記した構成を備えたクリップ10を用いた温度センサー20の取付方法について説明する。
【0041】
クリップ10に温度センサー20を装着し、その後、温度センサー20を保持したクリップ10を、パネル30のパネル穴31に取り付けても良いし、或いはクリップ10をパネル穴31に先に取り付け、その後、パネル穴31に固定されたクリップ10に対して温度センサー20を装着しても良い。
本実施の形態の説明においては、前者の取付方法を例に挙げて説明する。
【0042】
まず、クリップ10に温度センサー20を装着する。
温度センサー20のセンサー本体21の先端部を、図2に示すように、クリップ10の保持部70の開口上面に合わせて挿入する。
温度センサー20を挿入すると、その張出部22が保持部70の中空内部にはまり込み、その外周面が2個の爪状の係止部73に当接する。
【0043】
ここで、張出部22を強く押し込むと、その外周面で爪状の係止部73を押圧する。このため、爪状の係止部73が、保持部70の半径方向外向きに撓むことで、張出部22の通過が可能となる。
張出部22が、爪状の係止部73を通過すると、係止部73が樹脂の弾性復元力によりパチンと復元し、張出部22の上面に引っ掛かることから、保持部70の開口上面から抜けなくなる。また、その際に、張出部22の下面が段部71の上面に載置され、張出部22は、係止部73と段部71との間に上下方向から弾性的にはさみ持たれる。
【0044】
なお、係止部73が復元する際に、節度感が発生する。
また、温度センサー20のセンサー本体21の先端部は、保持部70の開口下面から突出する。
つぎに、温度センサー20を保持したクリップ10の脚部60を、パネル30のパネル穴31に合わせて挿入する。
【0045】
脚部60を挿入すると、その周囲から突出する2個の係合部61がパネル穴31の周囲に当接する。
ここで、脚部60を強く押し込むと、2個の係合部61がパネル穴31の内縁に押されて、図9に示すように、保持部70の半径方向内向きに撓むことで、2個の係合部61の通過が可能となる。
【0046】
2個の係合部61がパネル穴31を通過すると、パネル30の内側、すなわち本実施の形態では図10の下側において樹脂の弾性復元力により係合部61が復元して拡径し、係合部61がパネル穴31から上方に向かって抜けなくなる。
また、その際に、頭部50の下面がパネル30の外面、すなわち本実施の形態では図10の上側の上面に載置され、頭部50の下面と係合部61との間で上下方向からパネル30が弾性的にはさみ持たれる。
【0047】
こうして、温度センサー20は、図1に示すように、クリップ10を介して、パネル30のパネル穴31に固定される。
(温度センサー20の取り外し方法)
つぎに、温度センサー20の取り外し方法について説明する。
温度センサー20を取り外す際には、図11に示すように、クリップ10をパネル30に対して傾斜させれば良い。
【0048】
クリップ10は、切欠部52の有る方向に向けて頭部50を傾ける。クリップ10を傾けると、切欠部52の有る側の凸部51を支点としてパネル30に対して頭部50が傾斜し、切欠部52の無い反対側の凸部51がパネル30の外面、すなわち本実施の形態では図11の上側の上面から浮上する。
このとき、脚部60がパネル穴31中で傾斜することで、脚部60の外周より突出する係合部61の自由端部側の外側面がパネル穴31の内周面に押され、図9に示すように、半径方向内向きに撓むことで、2個の係合部61がパネル穴31を通過可能となる。
【0049】
このため、クリップ10を傾けた状態で、その脚部60をパネル穴31から引き抜くことで、クリップ10をパネル30から取り外すことができる。
このようにして取り外すことで、パネル30の外面、すなわち本実施の形態では図11の上側の上面側からの操作だけでクリップ10を取り外すことが可能である。
なお、パネル30の内面、すなわち本実施の形態では図11の下側の下面側からの操作が可能な場合には、係合部61を手で撓めてパネル穴31から引き抜くことも可能なことは勿論である。
【0050】
こうして、取り外したクリップ10は、温度センサー20を保持した状態で、パネル穴31に再度、取り付けることもできるし、或いは取り外したクリップ10から温度センサー20を取り外し、温度センサー20を交換した後、パネル穴31に取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0051】
10 クリップ 20 温度センサー(取付部材)
21 センサー本体 22 張出部
30 パネル(被取付部材) 31 パネル穴
40 保護筒 50 頭部
51 凸部 52 切欠部
60 脚部 61 係合部
70 保持部 71 段部
72 内部突起 73 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部、
前記頭部から垂下する脚部、
前記脚部から延出する少なくとも2つの係合部を有し、
前記2つの係合部は、
前記脚部が垂下する方向と交差する方向であって、かつ同じ向きにそれぞれ延出することを特徴とするクリップ。
【請求項2】
請求項1に記載のクリップであって、
前記クリップは、
バッテリー用温度センサーの保持部を有することを特徴とするクリップ。
【請求項3】
請求項2に記載のクリップであって、
前記保持部の内周面には、
前記温度センサーの挿入方向に沿って延びる内部突起を有することを特徴とするクリップ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のクリップであって、
前記保持部の内周面には、
前記温度センサーを係止する係止部を有することを特徴とするクリップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−61017(P2013−61017A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199846(P2011−199846)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】