説明

クリーナー

【課題】粘度の高い汚れを落とす際の使い勝手の向上を図ることができるクリーナーを提供することを目的とする。
【解決手段】多重編地、多重織地及び発砲体を被覆した布地の少なくとも一つを備えたクリーナー1であって、四辺形の周縁を有し、周縁同士が重なり合う一対の洗浄面部5,7と、洗浄面部5,7の四辺形の周縁を形成する一対の長辺部3a及び一対の短辺部3bと、一対の洗浄面部5,7同士を互いに縫製もしくは融着することで形成され、且つ周縁で囲まれた領域の内側で短辺部3bの長手方向に沿って配置された圧縮ライン9と、圧縮ライン9の両方の端部9aと長辺部3aとの間に設けられた非圧縮部10と、を有することを特徴とする。このクリーナー1によれば、粘度の高い汚れを落とす際の使い勝手の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器用クリーナー、浴室用クリーナー及び身体洗浄用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クリーナーはポリウレタンフォーム単体や、ポリウレタンフォームと嵩高い不織布を貼り合せて、持ちやすい大きさに打ち抜いたり、裁断したものが使用されているが、ポリウレタンフォーム単体に汚れ落とし性能がなかったり、不織布と貼り合せたタイプは固く、コップやグラスなど狭くラウンドした食器は洗い難いといった問題点があった。また、不織布と貼り合せたタイプは嵩高い不織布が、使用途中で剥離が生じたり、毛羽立ちが発生したりし耐久性がないといった問題があった。
【0003】
そこで、コップやグラスなど狭くラウンドした食器を洗いやすくするために、嵩高い不織布との貼り合せをせず、ポリウレタンフォーム単体を布地で被覆したクリーナーが開発された。また、近年、一般家庭でも、中華料理やイタリアン料理などが行われるようになり、使用される油の量も増えた結果、粘度の高い汚れが増えてきた。その為に、大量の洗剤を使う必要があり、手あれが生じ易くなり、環境に与える影響も大きくなってきた。そこで、各家庭では、大量の洗剤を使わないようにするために、食器などを洗う前に、流水で流したり、キッチンペーパーで取り除いたりする工夫を行っているが、流水だけでは粘度の高い汚れは落としきれずに、水の無駄遣いになったり、キッチンペーパーでは、柔らかすぎる為に、指で掴んで固くしている部分しか落ちない為、何枚も取り出し、何回も拭かなければいけないといった問題があった。
【0004】
一方で、使い勝手の良さから、特許文献1に記載されているようなスポンジ入りタワシが古くから使用されている。この種のタワシは、二つ折りができて使い勝手が向上するように、中央部分を直線状に縫い合わせている。
【特許文献1】実公昭46−27576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のスポンジ入りタワシでは、二つ折りにして使い勝手を向上するためにタワシを完全に横切るように縫い合わせており、粘度の高い汚れを落とそうとした場合には、柔らかすぎて使い勝手が逆に悪くなってしまう。したがって、この種のスポンジ入りタワシでは、近年、特に増えてきた粘度の高い油汚れなどを落とすには不十分であった。
【0006】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、粘度の高い汚れを落とす際の使い勝手の向上を図ることができるクリーナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記した従来技術における課題を解決するため、鋭意研究に取り組んだ結果、本発明の目的を達成するクリーナーを発明するに至った。特に、本発明者は、近年の一般家庭での生活スタイルの変化に着目し、粘度の高い汚れが従来にも増して増えてきたことに着眼して本発明を想到するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係るクリーナーは、多重編地、多重織地及び発砲体を被覆した布地の少なくとも一つを備えたクリーナーであって、四辺形の周縁を有し、周縁同士が重なり合う一対の外面部と、外面部の四辺形の周縁を形成する一対の縦辺部及び一対の横辺部と、一対の外面部同士を互いに縫製もしくは融着することで形成され、且つ周縁で囲まれた領域の内側で横辺部の長手方向に沿って設けられた圧縮ラインと、圧縮ラインの両方の端部と縦辺部との間に設けられた非圧縮部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、圧縮ラインを有するために二つ折りにすることが比較的容易である。さらに、圧縮ラインの両方の端部と縦辺部との間に非圧縮部が設けられているので、二つ折りにしても剛性が適度に保たれ、例えば、クリーナーの端部をへらの様に用いて粘度の高い汚れを簡単に掻き落とすことができる。その結果として、粘度の高い汚れを落とす際の使い勝手の向上を図ることができる。
【0010】
さらに、圧縮ラインは、一対の横辺部で挟まれた領域の中央に設けられていると好適である。中央に圧縮ラインを設けることで、クリーナーの周縁である端部をへらの様に使用して粘度の高い汚れを掻き落とし易くなる。
【0011】
さらに、圧縮ラインと縦辺部とによって形成される角度は、70度〜110度の範囲に含まれるようにすることができる。この角度が70度より小さいか、または110度より大きいと、剛性が低くなってしまい、クリーナーをへらの様に使うことができない。
【0012】
さらに、圧縮ラインの長さは、外面部の圧縮ラインを通る横方向の全長に対して40%〜85%の長さとすることができる。40%より短いと、圧縮ラインを通る横方向へ圧力をかけた場合の反発力が弱くなって十分な剛性を得ることが難しくなる。また、85%よりも大きいと、圧縮ラインを折り目にして軽い力で折れ曲がりやすくなり、粘度の高い汚れを掻き落し難くなる。さらに圧縮ラインが形成された領域が広がり過ぎて非圧縮部が狭くなり、掻き取り面である縦辺部の一部が凸状に突き出してしまい、掻き取り効果が損なわれる。
【0013】
さらに、圧縮ライン上に折り目を形成するように、90度折り曲げるために必要な力が0.1N〜1.4Nの範囲に含まれると好適である。0.1N未満だと、折れ曲がり易くなり過ぎて手作業で洗浄する際の力がうまく伝わらず、粘度の高い汚れを掻き落とし難くなる。一方で、1.4Nよりも大きいと、使い勝手が悪くなり、汚れを掻き落とし難くなる。
【0014】
さらに、圧縮ラインを通る横方向に向けて圧縮した場合に、非圧縮状態での横方向の長さを100%として、50%の長さになるまで圧縮するのに必要な圧縮圧力が、1.0N〜10.0Nの範囲に含まれると好適である。非圧縮状態、すなわち自然状態における横方向の長さに対して50%になるまで圧縮するために必要な圧縮圧力が1.0Nよりも小さいと、クリーナーをへらの様に使用するには剛性が不十分であり、10.0Nよりも大きいと、クリーナーとして食器や鍋などを洗い難くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粘度の高い汚れを落とす際の使い勝手の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るクリーナーの一例を示す斜視図であり、図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
【0017】
図1または図2に示されるように、本実施形態に係るクリーナー1は、フォーム(発泡体)2を布地(ポリエステル編地)3で被覆したネットクリーナーである。クリーナー1は、ネット状の布地3によって形成された長方形状の袋の中に板状のフォーム2を入れ込み、袋の口を縫製して閉じることで製造される。クリーナー1は、長方形の周縁を有する上下一対の洗浄面部(外面部)5,7を有する。洗浄面部5,7は、周縁同士が重なり合うようにして配置されている。また、洗浄面部5,7の長方形の周縁は、一対の長辺部(縦辺部)3a及び一対の短辺部(横辺部)3bによって形成されている。なお、本実施形態では洗浄面部5,7が長方形の場合を例に説明するが、洗浄面部5,7が正方形であってもよい。この場合、長さが等しい四個の辺部が存在し、対向する一対の辺部が二組存在することになるため、一方の組が一対の縦辺部の組となり、他方の組が一対の横辺部の組となる。
【0018】
また、クリーナー1には、一対の洗浄面部5,7同士を互いに縫製もしくは融着することで形成される圧縮ライン9が設けられている。圧縮ライン9は、周縁で囲まれた領域の内側で短辺部3bの長手方向に沿って、つまり短辺部3bに略平行になるように配置されている。特に、本実施形態では、一対の短辺部3bで挟まれた領域の中央、すなわち、長辺部3aの長手方向の中央に配置されている。圧縮ライン9を中央に設けることで、クリーナー1の周縁である端部をへらの様に使用して粘度の高い汚れを掻き落とし易くなる。なお、圧縮ライン9を形成する場所は、長辺部3aの長手方向の中央に限定されず、例えば、中央から5cm程度のズレであれば、同様の効果を期待できる。しかしながら、中央から5cm以上離れてしまうと、へらの様には使い難くなってしまう。
【0019】
また、圧縮ライン9と長辺部3aとの間で形成される角度θ(図3参照)は、70度〜110度の範囲に含まれると好ましい。角度θが70度より小さいか、または110度より大きいと、剛性が低くなってしまい、クリーナー1をへらの様に使うことができない。
【0020】
また、クリーナー1には、圧縮ライン9の両方の端部9aと長辺部3aとの間に、縫製もしくは融着が施されていない非圧縮部10が形成されている。圧縮ライン9の長さは、圧縮ライン9を通る横方向の洗浄面部5,7の全長に対して40%〜85%の長さになっており、洗浄面部5,7の残りの部分が非圧縮部10になっている。
【0021】
また、クリーナー1の長手方向の端部、すなわち短辺部3bを用い、へらの様に粘度の高い汚れを掻き落せるようにするために、クリーナー1では、圧縮ライン9上に折り目を形成するように、角度αが90度になるように折り曲げるために必要な力が0.1N〜1.4Nとする必要がある。0.1N未満だと、折れ曲がり易くなり過ぎて手作業で洗浄する際の力がうまく伝わらず、粘度の高い汚れを掻き落とし難くなる。一方で、1.4Nよりも高いと、使い勝手が悪くなり、汚れを掻き落とし難くなる。折れ曲がる際の力の測定方法は後述の実施例において具体的に説明する。
【0022】
また、クリーナー1は、圧縮ライン9を通る横方向に圧縮した場合に、非圧縮状態(自然状態)での横方向の長さdを100%とし、50%の長さdになるまで圧縮するのに必要な圧縮圧力F(図3参照)が、1.0〜10.0Nの範囲に含まれる必要がある。この場合の圧縮圧力Fが1.0Nより小さいと、へらとしての剛性が不十分であり、10.0N以上だと、クリーナー1として食器や鍋などが洗いにくくなる。50%までの圧縮圧力Fの測定方法は後述の実施例において具体的に説明する。
【0023】
以上のように、適度に折れ曲がり、適度な圧縮圧力Fを得る為には、圧縮ライン9を加工する前の状態において、長辺部(縦)3aの長さは8cm〜17cm、短辺部(横)3bの長さが5cm〜10cm、厚みが5mm〜30mm程度の大きさが好ましく、クリーナー1自体の重さも約7g〜20g/個が好ましい。
【0024】
さらに、フォーム2を布地3で被覆したものであれば、フォーム2自体の硬さと編地(布地)の横方向の硬さ(JIS K 6400に基づくウレタンフォームの試験方法 硬さD法に基づく)が、10N〜30N/個であることが好ましい。また、厚みが5mm〜20mm程度の薄い物であれば、圧縮ライン9の長さ、すなわち縫製や融着されている部分の長さを横方向の全長を100%とした場合の40%〜70%になるように短めとし、厚みが20mm〜30mmと厚い物であれば、圧縮ライン9の長さ、すなわち縫製や融着されている部分の長さを横方向の全長を100%とした場合の60%〜85%と長めとすることで、適度に折れ曲がる力と圧縮圧力Fとの両立を図り易い。
【0025】
クリーナー1の製造に利用される素材としては、軟質ウレタンフォームやダブルラッセルで編まれた二重編地などがあげられるが素材を限定されるものではない。二重編地においては、連結糸(経糸)と呼ばれる中間層において、ポリトリメチレンテレフタレートやポリアミド繊維を用いると適度な硬さを得やすくなる。
【0026】
さらに、圧縮ライン9に沿った横方向への圧縮圧力Fとして適度な圧力を確保するためには、圧縮ライン9の長さは、洗浄面部5,7の圧縮ライン9を通る横方向の全長に対して40%〜85%の長さとすることが好ましい。40%より短いと、圧縮ライン9を通る横方向へ圧縮圧力Fをかけた場合の反発力が弱くなって十分な剛性を得ることが難しくなる。また、85%よりも大きいと、軽い力で折れ曲がりやすくなり、粘度の高い汚れを掻き落し難くなる。さらに85%よりも大きい場合には、圧縮ライン9が形成された領域が広がり過ぎて非圧縮部10が狭くなり、掻き取り面である長辺部3aの一部が凸状に突き出してしまい、掻き取り効果が損なわれる。また、圧縮ライン9の幅は、適度な力で折れ曲がりやすく、適度な圧縮圧を得る為に3mm以下が好ましい。
【0027】
クリーナー1の圧縮ラインの製造方法は特に限定されるものではなく、縫製や融着などを用いることができる。縫製方法の場合は、直線縫いでも刺繍の縫い方でも良い。縫製に使われる糸は特に限定されるものではないが、化学繊維のモノフィラメントで縫うことによって、圧縮した後に戻りやすくなる。融着方法としては、熱による融着以外にも高周波融着や超音波融着など、編地や布地などの材質により、適宜に選択でき特に限定されるものではない。
【0028】
上記の実施形態ではフォーム2を布地3で被覆したネットクリーナーを例にしてクリーナー1を説明したが、その他にも多重編地や多重織地で作られたクリーナーであってもよい。これらの形態では、例えば、フォームと厚手の不織布を接着剤などで積層させた形態に比べて、接着した箇所が固くなるということもなく、また、皿などの平らな箇所が洗いづらくなるということも起こらない。
【0029】
また、本発明の外面部を形成する布地とは、織物、編物、不織布などで作られた繊維製品を広く含む。また、フォーム(発泡体)は、ポリウレタン、ポリエチレン、メラミンなどの樹脂を選ぶものではなく、適度な厚みやクッション性が得られるものであればよい。さらに、フォーム単体に限定されるものではなく、布地と貼り合せられたものでもよく、フォーム材を複数積層させたものでもよい。さらに、クリーナーに用いられる編地や織地は、二重に限定されるものではなく適度な厚みやクッション性が得られる三重や四重の編地や織地でもよい。
【0030】
本実施形態に係るクリーナー1によれば、二つ折りにしたとしても剛性が適度に保たれる。その結果、粘度の高い汚れを、へらの様に掻き落す事が可能であり、クリーナー1として食器洗いなどにも使うことが可能である。
【実施例】
【0031】
[実施例1]
本実施例に係るクリーナーの編地は、ダブルラッセル編み機(HDRS6V−SL)14Gを使用して製造する。この編地は、表編地にポリ塩化ビニリデンモノフィラメント700d/10fを用い、裏編地にポリエステルマルチフィラメント330T/96fを用い、表編地と裏編地とを連結する連結糸にポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント390T/1fを用いており、目付けは620g/mである。連結糸は、5本のうち2本が相対する編目から三つはなれたコース方向に45度の角度で斜めに連結し、連結糸同士がクロスする点を有する構造となっている。この編地を16cm×18cmに裁断し、二つ折りにし、周囲を縫製する。さらに、長辺部の長手方向の中央部(他の実施例及び比較例における「中央部」も同様)に圧縮ラインを設けている。圧縮ラインは、長辺部に対する角度が90度(短辺部に略平行)になるようにして6cm縫製することによって形成している。その結果として、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。
【0032】
[実施例2]
実施例1と同じ編地で作られたクリーナーで、中央部を熱融着することで圧縮ラインを形成した以外は実施例1と同じである。
【0033】
[実施例3]
実施例1と同じ編地を16cm×18cmに裁断し、二つ折りにし、周囲を縫製する。さらに、実施例3では、中央部から長辺部の長手方向に4cmずれた箇所に圧縮ラインを設ける。圧縮ラインは、長辺部に対する角度が90度になるようにして6cm縫製することによって形成し、その結果、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。
【0034】
[実施例4]
実施例1と同じ編地を16cm×18cmに裁断し、二つ折りにし、周囲を縫製する。さらに、実施例4では、中央部から長辺部の長手方向に4cmずれた箇所に圧縮ラインを設ける。圧縮ラインは、長辺部に対する角度が75度になるようにして6cm縫製することによって形成し、その結果、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。
【0035】
[実施例5]
実施例1と同じ編地を16cm×18cmに裁断し、二つ折りにし、周囲を縫製する。さらに、実施例5では、中央部から長辺部の長手方向に4cmずれた箇所に圧縮ラインを設ける。圧縮ラインは、長辺部に対する角度が90度になるようにして4cm縫製することによって形成し、その結果、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。
【0036】
[実施例6]
ポリウレタンフォーム(アキレス社製 TB−SQG 14cm×8cm×2cm)をポリエステル編地(13Gのラッセル編機にて亀甲柄に編んだタイプ)にて包むことによって形成された、大きさ15cm(縦)×9cm(横)のネットスポンジをベースにしている。このネットスポンジの中央部に、長辺部に対する角度が90度になるようにして7cm縫製することによって圧縮ラインを形成し、クリーナーを製作した。
【0037】
[比較例1]
実施例1と同じ編地で、周囲を縫製し、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。中央部には何も加工を施しておらず、圧縮ラインを形成していない。
【0038】
[比較例2]
実施例1と同じ編地で、周囲を縫製し、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。中央部にて、長辺部に対する角度が90度で、且つ2cm縫製することによって圧縮ラインを形成し、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。
【0039】
[比較例3]
実施例1と同じ編地で、周囲を縫製し、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。中央部にて、長辺部に対する角度が50度で、且つ6cm縫製することによって圧縮ラインを形成し、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。
【0040】
[比較例4]
実施例1と同じ編地で、周囲を縫製し、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。比較例4では、中央部から長辺部の長手方向に6cmずらした位置に圧縮ラインを形成した。圧縮ラインは、長辺部に対する角度が90度で、且つ2cm縫製することにより形成し、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。
【0041】
[比較例5]
実施例1と同じ編地で、周囲を縫製し、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。中央部にて、長辺部に対する角度が90度で、8.3cm縫製することによって圧縮ラインを形成し、16cm(縦)×9cm(横)の大きさのクリーナーを作製した。
【0042】
[比較例6]
実施例5と同じポリウレタンフォームの周囲を亀甲柄のポリエステル編地にて包んで形成した、大きさ15cm(縦)×9cm(横)のネットスポンジとした。比較例6では、中央部に何も加工を施しておらず、圧縮ラインを形成していない。
【0043】
<粘度の高い汚れの除去性能>
市販のカレー用のルー(ハウス食品社製 バーモンドカレー 甘口)を用い、パッケージ記載の分量でカレーを作製した。直径20cmの平皿にカレーのルー部分のみを30gのせ、30分常温(25±3度、50±15%R.H.)で放置した。各クリーナーの長手方向の端部(短辺部)を用い、30代の男女10人に放置した皿の汚れをへらの様に10枚掻き取ってもらい、カレ−の汚れが何g掻き取れたか重量測定を行った。表1に示されるように、実施例1〜6の全てにおいて平均で21g以上の汚れが掻き取れ、◎(優)の評価であった。なお、比較例については、比較例1〜比較例5まで×(不可)の評価、すなわち掻き取れた汚れは15gより少なく、唯一、比較例6のみが○(良)の評価、すなわち平均で15g以上、21g未満の汚れが掻き取れた。
◎・・・平均で21g以上の汚れが掻き取れた。
○・・・平均で15g以上、21g未満の汚れが掻き取れた。
×・・・掻き取れた汚れは15gより少なかった。
【0044】
<縫製もしくは融着した場所(圧縮ライン)での圧縮圧力>
クリーナーを実験台の上に横方向(短辺部)が台の垂直方向となるように置き、高さを計測する。計測した高さの50%を求め、その高さまでになるまで、フォースゲージ(日本電産シンポ社製 FGPシリーズ 計測アダプタ;押しアダプタ12φ)で押し込む。押し込みスピードは5mm/秒とした。押し込む場所は、圧縮ラインが形成されている場合は、圧縮ラインの真上とし、比較例1,6の様に圧縮ラインを形成していない場合は中央部の真上とした。表1に示されるように、実施例1の圧縮圧力は3.0N、実施例2の圧縮圧力は2.6N、実施例3の圧縮圧力は2.6N、実施例4の圧縮圧力は2.3N、実施例5の圧縮圧力は3.2N、実施例6の圧縮圧力は8.0Nであり、全て◎(優)の評価、すなわち1.0N〜10.0Nの範囲に含まれるものであった。なお、比較例1は0.8N、比較例2は0.7N、比較例3は0.8N、比較例4は0.8Nであり、×(不可)の評価、すなわち、10.0Nより大きいか、もしくは1.0Nより小さいものであった。また、比較例5は、2.8N、比較例6は6.4Nであり、◎(優)の評価、すなわち1.0N〜10.0Nの範囲に含まれるものであった。
◎・・・1.0N〜10.0N
×・・・10.0Nより大きいか、もしくは1.0Nより小さい
【0045】
<縫製もしくは融着した場所(圧縮ライン)を折り曲げる時に必要な力>
クリーナーを実験台の上に広い面(洗浄面部)が水平になるようにおく。中央部から長手方向に5cmずらしたところにフォースゲージのフックをかけ、90度に折り曲げる時の力を計測する。折り曲げスピードは5mm/秒とした。フォースゲージ(日本電産シンポ社製 FGPシリーズ 計測アダプタ;フック)を使用した。表1に示されるように、実施例1は0.55N、実施例2は0.45N、実施例3は0.48N、実施例4は0.60N、実施例5は1.03N、実施例6は1.21Nであり、全て◎(優)の評価、すなわち0.1N〜1.4Nの範囲に含まれる値となった。なお、比較例1は1.05、比較例2は0.84、比較例3は0.75、比較例4は0.40となって◎(優)の評価となったが、比較例5は0.08N、比較例6は1.60Nとなり×(不可)の評価、すなわち1.4Nより大きいか、もしくは0.1Nより小さい値となった。
◎・・・0.1〜1.4N
×・・・1.4Nより大きいか、もしくは0.1Nより小さい
【0046】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、食器用クリーナー、浴室用クリーナー及び身体洗浄用具に関する製品として広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係るクリーナーを示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】本実施形態に係るクリーナーを模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1…クリーナー、3a…長辺部(縦辺部)、3b…短辺部(横辺部)、5…洗浄面部、7…洗浄面部、9…圧縮ライン、10…非圧縮部、F…圧縮圧力。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重編地、多重織地及び発砲体を被覆した布地の少なくとも一つを備えたクリーナーであって、
四辺形の周縁を有し、前記周縁同士が重なり合う一対の外面部と、
前記外面部の四辺形の前記周縁を形成する一対の縦辺部及び一対の横辺部と、
一対の前記外面部同士を互いに縫製もしくは融着することで形成され、且つ前記周縁で囲まれた領域の内側で前記横辺部の長手方向に沿って設けられた圧縮ラインと、
前記圧縮ラインの両方の端部と前記縦辺部との間に設けられた非圧縮部と、を有することを特徴とするクリーナー。
【請求項2】
前記圧縮ラインは、一対の前記横辺部で挟まれた領域の中央に設けられていることを特徴とする請求項1記載のクリーナー。
【請求項3】
前記圧縮ラインと前記縦辺部とによって形成される角度は、70度〜110度の範囲に含まれることを特徴とする請求項1または2記載のクリーナー。
【請求項4】
前記圧縮ラインの長さは、前記外面部の前記圧縮ラインを通る横方向の全長に対して40%〜85%の長さであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のクリーナー。
【請求項5】
前記圧縮ライン上に折り目を形成するように、90度折り曲げるために必要な力が0.1N〜1.4Nの範囲に含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のクリーナー。
【請求項6】
前記圧縮ラインを通る横方向に向けて圧縮した場合に、非圧縮状態での横方向の長さを100%として、50%の長さになるまで圧縮するのに必要な圧縮圧力が、1.0N〜10.0Nの範囲に含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のクリーナー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−297297(P2009−297297A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155791(P2008−155791)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(390017949)旭化成ホームプロダクツ株式会社 (56)
【Fターム(参考)】