説明

クリーニングカード

【目的】 簡単な操作でカード搬送用駆動ローラのクリーニングが行える。
【構成】 カード搬送用駆動ローラ14と当接する部分にローラ幅より広く且つ適宜長さの窓12を設け、この窓12のカード裏面側1bに粘着性テープ13を貼り、カード表面側1aに粘着性テープの粘着面13bを露出させた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カード処理装置におけるカード搬送用ローラをクリーニングするクリーニングカードに関する。
【0002】
【従来の技術】プリペイドカード等のカードを処理するカードリーダにおいては、磁気ヘッドやサーマルヘッド等のヘッド面の汚れを清掃するクリーニングカードが用いられている。このヘッド用クリーニングカードは、清掃液を含浸されていて、ヘッド面を摺擦することによってクリーニングしている。このカードを用いてカード搬送用ローラをクリーニングしようとしても、カードとローラとは相対回転しないために、ローラ表面のクリーニング効果は小さかった。そのために、カード搬送用ローラは、ガーゼ等の清拭用布にアルコールを含浸させておいて、ローラ表面を払拭してクリーニングしている。クリーニングカードの先行技術としては、特開昭3−224081号公報や特開昭2−199593号工に記載されたものが知られている。
【0003】ところで、遊技施設で用いられるカードリーダにおいては、カード表面の汚れが激しいカードを利用する傾向にあって、カード搬送用ローラの汚染が著しいため、営業開始前のクリーニング動作が必須の作業となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アルコールを染み込ませたガーゼを用いてローラ表面をクリーニングするには、カードリーダのカード通路を開放してカード搬送用ローラ周面を露出させる必要があり、クリーニング作業が煩わしい、という問題がある。特に、汚染の激しいカードが利用されるカードリーダにおいては、頻繁なクリーニング作業を実施しなければならず保守点検のコストが高いものになっている。
【0005】そこで、本発明の目的は、簡単な操作でカード搬送用駆動ローラのクリーニングが行えるクリーニングカードの提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のクリーニングカードは、カード搬送用駆動ローラと当接する部分にローラ幅より広く且つ適宜長さの窓を設け、この窓のカード裏面側に粘着性テープを貼り付け、この粘着性テープの粘着面をカード表面側に露出させたことを特徴とする。
【0007】
【作用】クリーニングカードをカード通路に送り込むと、このカードはカード搬送用駆動ローラによって搬送される。搬送されるカードの窓がローラに対応すると、粘着性テープの粘着面がカード搬送用駆動ローラの周面に当接して、該周面に付着している異物を接着して除去しクリーニングする。
【0008】
【実施例】以下、図示の実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0009】図1乃至図3において、符号1は本発明にかかるクリーニングカードを示している。クリーニングカード1は、紙や合成樹脂からなるベース11と、このベースに形成された窓12と、この窓を閉塞する態様で貼り付けられた粘着性テープ13とからなっている。
【0010】更に詳しくは、窓12はカード通路Oに配設されたカード搬送用駆動ローラ14に当たる位置に形成されている。窓12は、ローラ14の幅より大きい幅と適宜の長さに形成されている。この長さは、望ましくはローラ周長より大きい方が良いが、ローラ周長の2/3程度に設定されて良い。駆動ローラ14は、駆動手段によって示矢方向に回転駆動されていて、これには従動ローラ15が当接されている。
【0011】粘着性テープ13は、図3(b)に示すように、紙からなるベース13aと、このベースの一方の面に形成された粘着面13bとからなっている。そして、この粘着性テープ13は、カードのベース11の裏面1bに窓12を閉塞するように貼り付けられている。従って、クリーニングカード1の表面1a側には、窓12を通して粘着面13bが露出することになる。粘着性テープ13は、カードベース11の厚さよりも薄い材料で形成される。
【0012】粘着性テープ13は、薄いフィルムをベースとしても良いのであるが、窓12の大きさや交換時のはぎ取り貼り付けに対応するには、或る程度厚くて腰の強い材料をベースとした方が良く、紙をベースにするとこれらを満足することができる。
【0013】図2において、カード通路Oは、ガイド側板16,17によって形成されていて、複数個のカード搬送用駆動ローラ14と、磁気カードの磁気ストライプに当接して磁気情報を読み取り或いは磁気情報を記録する磁気ヘッド18と、磁気カードに可視像を形成する印字ヘッド19が配設されている。磁気ヘッド18は、カード搬送方向において、カード搬送用駆動ローラ14の側部に偏位して配設されている。
【0014】カード通路Oの幅方向におけるカード搬送用駆動ローラ14は、図2に示すように、幅方向の中央部に配設される場合と、図5に示すように、一方のガイド側板16に寄せて配設される場合がある。図5に示すようにカード通路のように、片寄せてローラが配設されている場合には、クリーニングカード1に形成される窓は、図4に示す各クリーニングカード1A,1B,1Cの窓12A,12B,12Cように、カードの幅方向に片寄せて形成される。
【0015】以上のように構成されたクリーニングカード1を用いてカード搬送用駆動ローラのクリーニングを行う動作を説明する。図1乃至図3において、図示しない操作部を操作して、カードリーダをカードが搬送可能な状態に起動する。次いで、クリーニングカード1をカード通路Oに挿入する。このとき、クリーニングカード1は、その表面1aが駆動ローラ14側を向くように挿入される。挿入されたカード1は、駆動ローラ14とこれに圧接している従動ローラ15によってカード通路Oを搬送される。
【0016】図3(a)に示すように、搬送されるクリーニングカード1の窓12が駆動ローラ14に対応する位置まで移動して来ると、該ローラはその周面が窓12に落ち込んで粘着性テープ13の粘着面13bに接触し、従動ローラ15とでカードを搬送する。粘着面13bに接触して回転する駆動ローラ14は、その周面に付着している異物を粘着面に粘着させて持ち去られることにより、その周面をクリーニングされる。すなわち、クリーニングカードをカード通路に挿入するだけの簡単な動作でカード搬送用駆動ローラのクリーニングができることになる。
【0017】粘着面13bに接触するローラは、その全周を接触させないので、一回のカード挿入では全周のクリーニングが完了しないが、カードを複数回挿入してやれば略全周のクリーニングができる。複数回のクリーニング動作を繰り返すと云っても、単にクリーニングカードを挿入するだけであるから、特に作業の煩わしさはない。或いは、毎日の始業前に一回クリーニングを実行すると、略一週間でローラの全周面がクリーニングされる。
【0018】粘着性テープ13は、クリーニング動作を繰り返すと、粘着面13bが次第に汚れてきてクリーニング性能が低下する。このことは粘着性テープの粘着面13bを観察すれば容易に判断することができる。そして、汚れた粘着性テープ13は、これをカードのベース11から剥離して廃棄し、新たな粘着性テープ13を貼り付ける。粘着性テープ13のベース13aとして紙を用いると、カードベース11からの剥離が簡単に行えると共に従動ローラ15との密着がなくなり、クリーニングカード搬送時のトラブルが回避できる。
【0019】以上はカード搬送用駆動ローラをクリーニングするカード構成であるが、磁気ヘッドや印字ヘッド等のヘッドクリーニングを合わせて実行できるカードの構造について説明する。クリーニングカードのベースとして、その表面が平滑でない不織布を用いる。不織布で形成されたクリーニングカードをカード通路に挿入すると、これに形成された窓部では、粘着性テープで駆動ローラ周面を粘着性を利用してクリーニングし、窓以外の粗い面でヘッド面を摺擦してこれをクリーニングする。
【0020】図4(a)に示すクリーニングカード1Aは、図2に示すように、駆動ローラが通路幅方向に片寄って配設され、ローラの側部に磁気ヘッド18が配設されたカード通路構造に適している。このカード1Aは、その幅方向において窓12Aを形成されていない右半分1ARが磁気ヘッド18のヘッド面を摺擦しこれをクリーニングすることになる。
【0021】図4(b)に示すクリーニングカード1Bは、窓12Bをカードの搬送方向前端部に設けてあり、後端部分1BRは広い面積を確保されている。かかる構成のクリーニングカード1Bをカード通路の挿入し搬送させると、このカードは、窓の粘着性テープ13で駆動ローラ14の周面をクリーニングし、後端部分1BRは磁気ヘッド18と印字ヘッド19のヘッド面をそれぞれクリーニングする。
【0022】ところで、クリーニングを実行するに際して、カードの表裏を間違えて挿入すると、クリーニング効果が望めなくなる。すなわち、粘着性テープ13の粘着面13aで従動ローラ15をクリーニングしても駆動ローラ14によるカード搬送性能は向上しないからである。また、クリーニングカードの表裏を間違えると、粘着面13aが磁気ヘッドや印字ヘッドの接触して粘着剤がヘッドに付着してしまい、読み取り異常,カードジャム,ジッタ悪化等の原因となる。
【0023】そこで、クリーニングカードの表裏を判断する手段を講じて上記不具合の発生を回避する。カードリーダには、不正防止の観点から、カードの長さを検知する手段が設けられていて、所定のカード長より短いカードは取り込まないようになっている。図5において、カード通路Oの入口側には、距離L1をおいて光センサS1,S2が配設されている。光センサS1,S2によるカード長検知信号は図示されない制御装置に入力されていて、短いカードであると判断されると、駆動ローラ14を含む駆動系を逆転させて挿入されたカードを挿入口に向けて送り戻すようになっている。一方、クリーニングカード1Cには、図4(c)にも示すように、カード幅方向に片寄った位置に貫通孔1Caが形成されている、この貫通孔1Caは、カード先端縁1Cbから距離L2(=L1)の位置に形成されている。
【0024】図5において、クリーニングカード1Cを裏返しにしてカード通路Oに挿入すると、カードの先端縁1Cbが光センサS2で検知されるとき、貫通孔1Caが光センサS1で検知されてしまい、挿入されたカードが不正なカード(短いカード)であると判断され、このカードは排出される。なお、カード長を検出する手段としては、貫通孔に限らず、カードの一部を透明に形成したり、カードの一部をマイクロスイッチやホール素子などの検出手段に対応させても良い。
【0025】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、クリーニングカードをカード通路に通すだけで、カード搬送用駆動ローラを効率的にクリーニングできる。請求項3の発明によれば、カード自体にもクリーニング機能を持たせたので、ローラのみならずヘッド面を摺擦してこれのクリーニングができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1にかかる発明の一例を示すクリーニングカードの斜視図である。
【図2】クリーニングカードと駆動ローラの位置関係を示す平面図である。
【図3】(a)は粘着性テープが駆動ローラに接触した状態を示す拡大断面図である。
【図4】(a),(b),(c)はそれぞれ異なる構成のクリーニングカードを示す平面図である。
【図5】裏返しに挿入されたカードを検出する手段を説明するカード通路の平面図である。
【符号の説明】
1・・・クリーニングカード
12・・・窓
13・・・粘着性テープ
13a・・・ベース
13b・・・粘着面
14・・・カード搬送用駆動ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】カード搬送用駆動ローラと当接する部分にローラ幅より広く且つ適宜長さの窓を設け、この窓のカード裏面側に粘着性テープを貼り、カード表面側に粘着性テープの粘着面を露出させたクリーニングカード。
【請求項2】粘着性テープのベースを紙としたことを特徴とする請求項1記載のクリーニングカード。
【請求項3】カードのベースを不織布とし、カード自体にもクリーニング機能を持たせたことを特徴とする請求項1記載のクリーニングカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平5−334503
【公開日】平成5年(1993)12月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−139376
【出願日】平成4年(1992)5月29日
【出願人】(000002233)株式会社三協精機製作所 (1,337)