説明

クリーニング機構およびそれを備えた画像形成装置

【課題】トナー量規制板の食い込み量のばらつきを抑えることが可能であり、かつ、組立作業性が向上したクリーニング機構およびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】クリーニング機構35は、感光体ドラム31の表面に摺擦する摺擦ローラー351と、摺擦ローラー351を回転自在に保持する軸受357と、摺擦ローラー351の表面に付着するトナーの量を規制するスクレーパー352と、スクレーパー352が摺擦ローラー351に接触した状態で、スクレーパー352を保持するブラケット354とを備えている。ブラケット354は、軸受357を保持する軸受保持部354aと、スクレーパー352が固定されるスクレーパー取付部354bとを有している。軸受保持部354aとスクレーパー取付部354bとの間は、第1の曲げ部分354dを介して連続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムをクリーニングするクリーニング機構およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンター、ファクシミリ或いはこれらの機能を備える複合機に代表される画像形成装置は、感光体ドラム上の付着物を除去するクリーニング機構を備えている。アモルファスシリコン(a−Si)系材料などを用いた感光体ドラムの場合、ドラム表面が硬いので、ドラム表面に付着した付着物は樹脂製のクリーニングブレードをドラム表面に当接させても落ちにくい場合がある。
【0003】
そこで、従来では、ドラム表面に付着した付着物を摺擦除去するために、特許文献1記載のように、感光体ドラムに揺動可能に圧接される摺擦ローラーと、当該摺擦ローラーと同軸で揺動しながら、前記摺擦ローラーに当接するトナー量規制板とを備えたクリーニング機構が提案されている。
【0004】
このクリーニング機構では、摺擦ローラーの表面には、感光体ドラムなどを経由して運ばれて来たトナーが付着している。摺擦ローラーは、その表面に付着したトナーを研磨剤として用いながら感光体ドラムの表面に摺擦することにより、感光体ドラムの表面に付着した付着物を除去することができる。トナー量規制板は、摺擦ローラーに所定の食い込み量で当接しており、摺擦ローラー表面のトナーを適正な量に調整する。
【0005】
このトナー量規制板は、摺擦ローラーの軸受に固定されたブラケットに固定されている。特許文献1記載のブラケットは、軸受を保持する軸受保持部と、トナー量規制板の下端に当接してトナー量規制板を位置決めするトナー量規制板位置決め部と、当該トナー量規制板位置決め部によって位置決めされたトナー量規制板がホットメルトなどによって固定されたトナー量規制板固定部とを有している。これらの軸受保持部、トナー量規制板位置決め部、およびトナー量規制板固定部が金属薄板などを折り曲げることによって一体成形されている。具体的には、軸受保持部とトナー量規制板位置決め部との間には1回目の曲げ部分があり、トナー量規制板位置決め部とトナー量規制板固定部との間には2回目の曲げ部分がある。したがって、軸受保持部とトナー量規制板固定部との間には2つの曲げ部分が介在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−316086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなクリーニング機構では、ブラケットにおいて、軸受保持部から1回目の曲げ部分を介して連続するトナー量規制板位置決め部の位置決め面をトナー量規制板の貼り付け位置の基準とし、さらにトナー量規制板の貼り付けについては、軸受保持部との間で2つの曲げ部分が介在しているトナー量規制板固定部の貼り付け面にて行う構成になっている。
【0008】
このような構成では、ブラケットの成形時などにおいて、寸法公差内で貼り付け面の曲げ角度が変動した場合に、摺擦ローラーに対するトナー量規制板の食い込み量が大きく変化するため、トナー量規制板によって摺擦ローラーの表面のトナー量を規制する能力、すなわちトナー規制力が安定しないおそれがある。
【0009】
例えば、トナー量規制板の食い込み量が小さいためにトナー規制力が弱い場合には、摺擦ローラーの表面上にトナーが付着している量(いわゆる、トナー搬送量)が多くなり、トナー落ちやピンホール等の問題が発生し、一方、トナー量規制板の食い込み量が大きいためにトナー規制力が高い場合には、摺擦ローラー上のトナー搬送量が少なくなり、研磨力が不足することによって、画像流れやクリーニングブレードの磨耗等の問題が発生するおそれがある。
【0010】
また、上記の構成では、軸受保持部との間で2つの曲げ部分が介在しているトナー量規制板固定部にトナー量規制板を貼り付けているので、トナー量規制板固定部において、貼り付け面の面積を十分に確保することが難しく、両面テープなどの通常の接着手段ではトナー量規制板がトナー量規制板固定部から剥れるおそれがある。そのため、トナー量規制板の剥離を防止するために、接着力の強いホットメルト等の方法を用いる必要があり、組み立て工数に影響を与えるおそれがある。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、トナー量規制板の食い込み量のばらつきを抑えることが可能であり、かつ、組立作業性が向上したクリーニング機構およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のクリーニング機構は、感光体ドラムの表面に付着する付着物を除去するクリーニング機構であって、前記感光体ドラムの表面に摺擦する摺擦ローラーと、前記摺擦ローラーを回転自在に保持する軸受と、前記摺擦ローラーの表面に付着するトナーの量を規制するトナー量規制板と、前記トナー量規制板が前記摺擦ローラーに接触した状態で、前記トナー量規制板を保持するブラケットと、を備えており、前記ブラケットは、前記軸受を保持する軸受保持部と、前記トナー量規制板が固定される取付面を有するトナー量規制板取付部と、を有しており、前記軸受保持部と前記トナー量規制板取付部との間は、第1の曲げ部分を介して連続していることを特徴とする(請求項1)。
【0013】
この構成によれば、ブラケットにおける軸受保持部とトナー量規制板取付部との間が第1の曲げ部分を介して連続しているので、金属薄板などを曲げてブラケットを成形する場合、軸受保持部とトナー量規制板取付部との間の曲げ部分が1回で済むため、トナー量規制板取付部に取り付けられるトナー量規制板の摺擦ローラーへの食い込み量のバラツキを抑えることが可能である。これによって摺擦ローラー上のトナー搬送量のバラツキが低減されるため、所望のトナー搬送量に制御することが可能になり、トナー落ち、ピンホール、画像流れ等、様々な不具合を抑制することが可能である。
【0014】
また、トナー量規制板取付部が軸受保持部に第1の曲げ部分を介して連続しているので、トナー量規制板取付部を大きくしてもトナー量規制板を取り付けるための取付面の精度に影響を与えない。これにより、当該取付面の面積を十分に確保することが可能であるため、トナー量規制板を取付面に取り付けるために強い接着力を有するホットメルト等の手段を用いる必要がなくなり、両面テープなどを用いても十分な貼り付け強度が確保される。
【0015】
また、前記ブラケットは、前記取付面に接着される前記トナー量規制板の位置決めをする位置決め面を有するトナー量規制板位置決め部をさらに有しており、前記トナー量規制板位置決め部と前記トナー量規制板取付部との間は、前記第1の曲げ部分と異なる第2の曲げ部分を介して連続しているのが好ましい(請求項2)。
【0016】
この構成では、トナー量規制板の位置決めをするトナー量規制板位置決め部が、軸受保持部を介さずに、トナー量規制板取付部との間で第1の曲げ部分と異なる第2の曲げ部分を介して連続しているので、トナー量規制板取付部の精度に影響を与えることなく、トナー量規制板位置決め部を設けることが可能である。
【0017】
また、前記トナー量規制板を前記取付面に接着する両面テープをさらに備えているのが好ましい(請求項3)。
【0018】
この構成では、両面テープによってトナー量規制板を取付面に容易に接着することができるので、組み立て工数や製造コストを抑えることが可能である。
【0019】
本発明に係わる画像形成装置は、前記感光体ドラムと、当該感光体ドラムの表面に付着する付着物を除去する上記のクリーニング機構とを備えることを特徴とする(請求項4)。
【0020】
かかる構成によれば、上記のようなクリーニング機構を備える画像形成装置であるので、トナー量規制板の食い込み量のばらつきを抑えることが可能であり、かつ、組立作業性が向上することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トナー量規制板の摺擦ローラーに対する食い込み量のばらつきを抑えることができ、かつ、組立作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】図1の画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図3】図2のドラムユニットを斜め前方から見た斜視図である。
【図4】図2のドラムユニットを斜め後方から見た斜視図である。
【図5】図2のドラムユニットの拡大断面図である。
【図6】図5の摺擦ローラーおよびその周辺部材を斜め前方から見た斜視図である。
【図7】図5の摺擦ローラーおよびその周辺部材を斜め後方から見た斜視図である。
【図8】図5のブラケットを斜め前方から見た拡大斜視図である。
【図9】本発明の比較例である従来のドラムユニットの拡大断面図である。
【図10】図9の摺擦ローラーおよびその周辺部を斜め前方から見た斜視図である。
【図11】図9のブラケットを斜め前方から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。本発明の一実施形態に係る画像形成装置1として、図1〜2にはモノクロプリンターが例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
【0024】
図1〜2に示される画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10と、この本体ハウジング10内に収容される給紙部20、画像形成部30、定着部40及びトナーコンテナ50とを含む。
【0025】
本体ハウジング10の前面側(図2の右側)には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。ユーザーは、前カバー11を開放することで、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10の前面側から取り出すことができる。後カバー12は、用紙詰まりやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から取り出し可能となる。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後の用紙が排出される排紙部13が設けられている。
【0026】
給紙部20は、画像形成処理が施される用紙を収容する給紙カセット21を含む。給紙カセット21には、前記用紙の束が収容される用紙収容空間、前記用紙の束を給紙のためにリフトアップするリフト板、および給紙カセット21内の用紙束の最上層の用紙を1枚ずつ繰り出すためのピックアップローラーなどが備えられている。
【0027】
画像形成部30は、給紙部20から送り出される用紙にトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(図示せず)、現像装置33、転写ローラー34及びクリーニング機構35とを含む。
【0028】
本実施形態では、図3〜4に示されるように、感光体ドラム31、帯電装置32およびクリーニング機構35が1つのドラムユニット300を構成している。ドラムユニット300のサイドカバー301およびハウジング302で囲まれた内部空間には、クリーニング機構35が収容されている(図5参照)。
【0029】
感光体ドラム31は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム31としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムが用いられている。帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。
【0030】
現像装置33は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。現像装置33は、感光体ドラム31に供給するトナーを担持する現像ローラー331と、現像ハウジング(図示せず)の内部で現像剤(トナー)を攪拌しながら循環搬送する第1搬送スクリュー332及び第2搬送スクリュー333とを含む。
【0031】
転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像を用紙上に転写させるためのローラーであって、感光体ドラム31と転写ニップ部を形成している。この転写ローラー34には、トナーと逆極性の転写バイアスが与えられる。
【0032】
クリーニング機構35は、トナー像転写後の感光体ドラム31の表面に付着する付着物を除去する機構であり、その構造については後段の別項目で詳述する。
【0033】
定着部40は、転写されたトナー像を用紙上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写された用紙が前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧により、用紙上に定着される。
【0034】
トナーコンテナ50は、現像装置33に補給するトナー(現像剤)を貯留する。トナーコンテナ50は、トナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51と、当該コンテナ本体51の内部に収容されトナーを搬送する回転部材54とを含む。トナーコンテナ50内に貯留されたトナーは、回転部材54が回転駆動されることによってコンテナ本体51の内部で搬送され、トナー排出口521から現像装置33内に供給される。
【0035】
本体ハウジング10内には、用紙を搬送するために、主搬送路22F及び反転搬送路22Bが備えられている。主搬送路22Fは、給紙部20から画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路22Bは、用紙に対して両面印刷を行う場合に、片面印刷された用紙を主搬送路22Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
【0036】
主搬送路22Fの、感光体ドラム31と転写ローラー34との転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対23が配置されている。用紙は、レジストローラー対23にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。
【0037】
(クリーニング機構35の説明)
クリーニング機構35は、図5に示されるように、摺擦ローラー351と、スクレーパー(トナー量規制板)352と、廃棄スクリュー353と、ブラケット354と、両面テープ355と、クリーニングブレード356と、軸受357(図6参照)とを備えている。
【0038】
摺擦ローラー351は、感光体ドラム31の表面に摺擦するローラーである。摺擦ローラー351の両端に突出する軸部351aは、一対の軸受357によって回転自在に保持されている。摺擦ローラー351の胴部351bは、発泡合成ゴムなどからなる。摺擦ローラー351の胴部351bの表面には、感光体ドラム31などを経由して運ばれて来たトナーが付着している。摺擦ローラー351は、トナーを研磨剤として用いて感光体ドラム31の表面に摺擦し、感光体ドラム31の表面に付着する付着物を除去する。
【0039】
スクレーパー352は、摺擦ローラー351の表面に付着するトナーの量を規制するものであり、本発明のトナー量規制板に対応する。スクレーパー352は、ステンレスなどの金属薄板からなる。スクレーパー352は、摺擦ローラー351に接触した状態で当該摺擦ローラー351の軸方向に平行に延びるように、図5の紙面垂直方向に沿って配置されている。
【0040】
ブラケット354は、図5および図8に示されるように、スクレーパー352を摺擦ローラーに351に接触させた状態で当該スクレーパー352を保持する部材であり、軸受保持部354aと、スクレーパー取付部354bと、スクレーパー位置決め部354cとを有している。ブラケット354は、スチールなどからなる金属薄板を折り曲げて軸受保持部354a(図7参照)、スクレーパー取付部354bおよびスクレーパー位置決め部354cを一体成形することによって、製造されている。
【0041】
軸受保持部354aは、一対の軸受357(図6参照)を保持する。具体的には、軸受保持部354aは、一対のC字状の薄板からなり、その内周部分354a1において軸受357の段差部357a(図6〜7参照)に嵌合することにより、軸受357を保持する。
【0042】
スクレーパー取付部354bは、一対の軸受保持部354aの間に延びる長尺の薄板からなる。スクレーパー取付部354bは、平板状のスクレーパー352が固定されるスクレーパー取付面354b1を有する。スクレーパー352は、スクレーパー取付面354b1に対して、面接触した状態で固定される。
【0043】
軸受保持部354aとスクレーパー取付部354bとの間は、第1の角度θ1で曲げられた第1の曲げ部分354dを介して連続している。
【0044】
ここで、図8に示されるように、軸受保持部354aは、その外周部分に外方に突出する部分354a2が形成されているので、第1の曲げ部分354dの長さを十分に確保することができる。これにより、スクレーパー取付部354bの幅を広くして、スクレーパー取付面354b1の面積を広くすることが可能である。
【0045】
スクレーパー位置決め部354cは、スクレーパー取付部354bに隣接する長尺の薄板からなる。スクレーパー位置決め部354cは、スクレーパー取付面354b1に接着されるスクレーパー352の位置決めをするスクレーパー位置決め面354c1を有する。スクレーパー352の下端縁がスクレーパー位置決め面354c1に当接することにより、スクレーパー352は位置決めされる。
【0046】
スクレーパー位置決め部354cとスクレーパー取付部354bとの間は、第1の曲げ部分354dと異なる部分、すなわち、第2の角度θ2で曲げられた第2の曲げ部分354eを介して連続している。スクレーパー位置決め部354cとスクレーパー取付部354bは、第2の曲げ部分354eを挟んで平行に延びている。
【0047】
両面テープ355は、図5に示されるように、スクレーパー352とスクレーパー取付面354b1との間に設けられ、スクレーパー352をスクレーパー取付部354bのスクレーパー取付面354b1(図8参照)に接着する。両面テープ355の長さは、スクレーパー352の全長と同じであるのが好ましいが、それよりも短くてもよい。
【0048】
廃棄スクリュー353は、クリーニング機構35のハウジング302内部に溜まったトナーなどの廃棄物を所定の廃棄場所へ搬送する。廃棄スクリュー353は、摺擦ローラー351と平行に延びるように、図5の紙面垂直方向に沿って配置されている。
【0049】
クリーニングブレード356は、合成樹脂などからなる薄板からなり、感光体ドラム31の表面に接触して画像形成後に不要になったトナーなどの付着物をかき落とす。かき落とされたトナーの一部は、摺擦ローラー351の表面に付着する。
【0050】
上記のように構成されたブラケット354にスクレーパー352を取り付ける場合、図5および図8に示されるように、まず、スクレーパー352に両面テープ355の一方の面を貼り付けた状態で、スクレーパー352の下端縁をスクレーパー位置決め部354cのスクレーパー位置決め面354c1に突き当てることにより、スクレーパー352をスクレーパー取付部354bのスクレーパー取付面354b1と平行になるように位置決めする。その後、スクレーパー352に貼られた両面テープ355の他方の面をスクレーパー取付面354b1に貼り付ければ、スクレーパー352の取付けが完了する。
【0051】
その後、摺擦ローラー351の両端の軸部351aを保持する軸受357(図6〜7参照)を、ブラケット354の軸受保持部354aに保持することにより、図5に示されるように、スクレーパー352は、所定の食い込み量で摺擦ローラー351の表面に接触した状態で固定される。
【0052】
スクレーパー352の摺擦ローラー351への食い込み量は、例えば、図5に示されるように、スクレーパー352の先端352aが摺擦ローラー351の回転中心Oへ向けて摺擦ローラー351の半径方向Rへ移動する変位量で表される。
【0053】
図6〜7に示されるような摺擦ローラー351、軸受357およびブラケット354は、一体化した状態で、ドラムユニット300のハウジング302の内部に収納される。
【0054】
(比較例)
ここで、本発明の比較例として、上記の特許文献1に対応する図9〜11に示される従来のブラケット454の場合、軸受保持部454aとスクレーパー位置決め部454cとの間には1回目の曲げ部分454dがあり、スクレーパー位置決め部454cとスクレーパー貼付け部454bとの間には2回目の曲げ部分454eがある。したがって、軸受保持部454aとスクレーパー貼付け部454bとの間には2つの曲げ部分454d、454eが介在している。
【0055】
そのため、ブラケット454の成形時などにおいて、寸法公差内で貼付け面454b1の曲げ角度が変動した場合に、摺擦ローラー351に対するスクレーパー352の食い込み量が大きく変化するため、スクレーパー352によって摺擦ローラー351の表面上のトナー量(すなわち、トナー搬送量)を規制する能力(すなわち、トナー規制力)が安定しないおそれがある。また、スクレーパー352の食い込み量が過度に大きくなると、摺擦ローラー351のトルクが上昇したり、スクレーパー352がブラケット454から外れるおそれがある。
【0056】
しかも、上記の構成では、軸受保持部454aとの間で2つの曲げ部分454d、454eが介在しているスクレーパー貼付け部454bにスクレーパー352を貼り付けているので、スクレーパー貼付け部454bにおいて、スクレーパー352の貼り付け面積を十分に確保することが難しいので、接着力の強いホットメルトにより接着して熱溶着部分456(図9参照)を形成する必要があり、本実施形態のような両面テープ355(図5参照)で貼る場合と比較して組み立て工数や製造コストが増大している。
【0057】
(本発明の実施形態の特徴)
(1)
本実施形態のクリーニング機構35では、ブラケット354における軸受保持部354aとスクレーパー取付部354bとの間が第1の曲げ部分354dを介して連続しているので、金属薄板を折り曲げてブラケット354を成形する場合、軸受保持部354aとスクレーパー取付部354bとの間の曲げ部分354dが1回で済むため、スクレーパー取付部354bに取り付けられるスクレーパー352の摺擦ローラー351への食い込み量のバラツキを抑えることが可能である。これによって摺擦ローラー351上のトナー搬送量のバラツキが低減されるため、所望のトナー搬送量に制御することが可能になり、トナー落ち、ピンホール、画像流れ等、様々な不具合を抑制することが可能である。しかも、スクレーパー352の食い込み量が過度に大きくならないので、摺擦ローラー351のトルク上昇やスクレーパー352の脱落などの不具合が生じない。
【0058】
また、スクレーパー取付部354bが軸受保持部354aに曲げ部分354dを介して連続しているので、スクレーパー取付部354bを大きくしてもスクレーパー352を取り付けるためのスクレーパー取付面354b1の精度に影響を与えない。これにより、当該スクレーパー取付面354b1の面積を十分に確保することが可能であるため、スクレーパー352をスクレーパー取付面354b1に取り付けるために強い接着力を有するホットメルト等の手段を用いる必要がなくなり、両面テープ355によって十分な貼り付け強度が確保される。
【0059】
(2)
本実施形態のクリーニング機構35では、スクレーパー352の位置決めをするスクレーパー位置決め部354cが、軸受保持部354aを介さずに、スクレーパー取付部354bとの間で第1の曲げ部分354dと異なる第2の曲げ部分354eを介して連続しているので、スクレーパー取付部354bの精度に影響を与えることなく、スクレーパー位置決め部354cを設けることが可能である。
【0060】
(3)
本実施形態のクリーニング機構35では、両面テープ355によってスクレーパー352をスクレーパー取付面354b1に容易に接着することができるので、組み立て工数や製造コストを抑えることが可能である。
【0061】
(変形例)
(A)
上記実施形態では、スクレーパー位置決め部354cによってスクレーパー352の位置決めをした状態で、スクレーパー352をスクレーパー取付部354bに貼り付けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、治具を用いてスクレーパー352をスクレーパー取付部354bに対して位置決めをした状態でスクレーパー取付部354bに貼り付けてもよい。この場合、スクレーパー位置決め部354cを省略できるので、ブラケット354の構造はより簡単になり、製造コストをさらに低減することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置
31 感光体ドラム
35 クリーニング機構
351 摺擦ローラー
352 スクレーパー(トナー量規制板)
354 ブラケット
354a 軸受保持部
354b スクレーパー取付部
354c スクレーパー位置決め部
354d 第1の曲げ部分
354e 第2の曲げ部分
355 両面テープ
357 軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムの表面に付着する付着物を除去するクリーニング機構であって、
前記感光体ドラムの表面に摺擦する摺擦ローラーと、
前記摺擦ローラーを回転自在に保持する軸受と、
前記摺擦ローラーの表面に付着するトナーの量を規制するトナー量規制板と、
前記トナー量規制板が前記摺擦ローラーに接触した状態で、前記トナー量規制板を保持するブラケットと、
を備えており、
前記ブラケットは、
前記軸受を保持する軸受保持部と、
前記トナー量規制板が固定される取付面を有するトナー量規制板取付部と、
を有しており、
前記軸受保持部と前記トナー量規制板取付部との間は、第1の曲げ部分を介して連続している、
ことを特徴とするクリーニング機構。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記取付面に接着される前記トナー量規制板の位置決めをする位置決め面を有するトナー量規制板位置決め部をさらに有しており、
前記トナー量規制板位置決め部と前記トナー量規制板取付部との間は、前記第1の曲げ部分と異なる第2の曲げ部分を介して連続している、
請求項1に記載のクリーニング機構。
【請求項3】
前記トナー量規制板を前記取付面に接着する両面テープをさらに備えている、
請求項1または2に記載のクリーニング機構。
【請求項4】
前記感光体ドラムと、
当該感光体ドラムの表面に付着する付着物を除去する請求項1に記載のクリーニング機構と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−3458(P2013−3458A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136505(P2011−136505)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】