説明

クリーニング装置、及び画像形成装置

【課題】従来よりもクリーニング装置の保守費用を低減することができるクリーニング装置を提供する。
【解決手段】第1クリーニングブラシローラ102、第1回収ローラ103、及び第1掻き取りブレード104を第1上側サブユニットケーシング106cに保持させる第1ユニットを構成した。また、第1スクリュ105を第1下側サブユニットケーシング106dに保持させる第2ユニットを構成した。さらに、第1掻き取りブレード104を、第1上側サブユニットケーシング106cの外周部に取り付けるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被清掃体の表面に付着している付着物をクリーニングするクリーニング装置、及びこのクリーニング装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置では、潜像担持体や中間転写ベルト等の像担持体から被転写体上にトナー像を転写した後、像担持体の表面上に付着している付着物である転写残トナーをクリーニング装置で除去している。そして、画像形成装置に備えるクリーニング装置としては、従来から、様々なクリーニング装置が提案されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、次のようなクリーニング装置を備えた画像形成装置が記載されている。この画像形成装置では、像担持体である中間転写ベルトに対して転写ローラを当接させて転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルトの表面に形成したトナー像を、転写ニップに挟み込んだ記録紙に転写する。転写ニップを通過した後の中間転写ベルトの表面上には、記録紙に転写されなかった若干量の転写残トナーが付着している。この転写残トナーについては、クリーニング装置によってベルト表面から除去する。このクリーニング装置には、クリーニング部材として、第1のクリーニング部材(クリーニングブラシローラ)と、この第1のクリーニング部材よりも中間転写ベルト表面移動方向の下流側に設けた第2のクリーニング部材とを具備している。
【0004】
第1のクリーニング部材と、第2のクリーニング部材とは、それぞれ被清掃体である中間転写ベルト表面に当接しながら回転することにより、転写残トナーを中間転写ベルトの表面上から掻き取る。そして、各クリーニング部材で掻き取られた転写残トナーは、それぞれに対応した回収部材(回収ロール)に回収され、掻き落とし部材(スクレーパ)により回収部材から掻き落とされるよう構成されている。すなわち、第1のクリーニング部材、対応する回収部材、及び掻き落とし部材を有した第1のユニット(ブラシクリーニング機構)と、第2のクリーニング部材、対応する回収部材、及び掻き落とし部材を有した第2のユニットとで転写残トナーを中間転写ベルト表面上から除去するよう構成されている。また、特許文献1に記載の構成では、第1のユニット及び第2のユニットは、同一の保持体に保持(ハウジング内に収容)されている。
【0005】
このように構成することで、第1のユニットで、中間転写ベルトの表面上から除去し切れなかった転写残トナーが発生しても、それを第2のユニットで除去することが可能である。したがって、ジャム紙の発生に起因して転写残トナーのみならずトナー像そのものを除去する必要が生じた時など、多量のトナーを除去する必要がある場合でも、その多量のトナーを良好にクリーニングすることができるというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、次に説明する理由により、クリーニング装置の保守費用をコスト高にしてしまうという問題があった。各ユニットの構成部品の中で、クリーニング部材は、トナー除去、中間転写ベルトとの接触回転、及び金属である回収部材との接触回転により、繰り返し使用するうちに抵抗上昇、外径の縮小が進む。これにより回収部材に比べて早期に寿命を迎えることも少なくない。また、掻き落とし部材も、回収部材からのトナーの掻き落としや回収部材との接触による磨耗により、使用されるうちに磨耗が進行し、ついには回収部材と接触しなくなり、回収部材に比べ早期に寿命を迎えることが少なくない。
【0007】
そして、特許文献1に記載の画像形成装置では、クリーニング部材及び掻き落とし部材は、回収部材と同一の保持体に保持されている。したがって、クリーニング部材及び掻き落とし部材のいずれかが寿命に達した時点で、保持体を分解して寿命を迎えた部材を交換するか、クリーニング装置全体を新品のものに交換しなければならない。保持体を分解する場合には、次の理由で保守費用のコスト高になってしまうことがある。すなわち、この場合、寿命を迎えた部材だけでなく、各ユニットの複数の部材を取り外す必要が生じることがある。このように取り外した部品を、寿命を迎えた部材を交換した後に、再度、保持体に取り付けて全ての部材の位置調整等を行った後、保持体を画像形成装置に組み付ける作業が必要となる。これらの作業のため、クリーニング装置の構成によっては、寿命に達した部品を保持体を分解せずに交換するよりも、保持体を分解する場合の方が保守費用がコスト高になってしまう。また、クリーニング装置全体を新品のものと交換する場合には、まだ十分に使用できる状態にある他の部材も交換することになるため、寿命に達した部品だけを交換するよりも、保守費用がコスト高になる。
【0008】
また、特許文献1に記載の画像形成装置では、除去した転写残トナーを保持体内に収容する構成であるが、従来から、除去した転写残トナーを搬送スクリュ等の搬送部材を用いてクリーニング装置外、つまり保持体とは別に設けた廃トナー容器等に収容する構成が普及している。このような構成に用いる搬送部材も、クリーニング部材や掻き落とし部材よりも寿命が長いことが多い。しかし、搬送部材も同一の保持体に保持された構成では、クリーニング部材及び掻き落とし部材のいずれかが寿命に達した時点で、保持体を分解して寿命を迎えた部材を交換する場合には、搬送部材にも取り外し及び組み付けの必要が生じることがある。また、クリーニング装置全体を新品のものに交換する場合には、搬送部材も一緒に交換されてしまう。したがって、寿命に達した部品を交換するのに、取り外し及び組み付けが生じたり、寿命に達した部品と一緒に交換されてしまったりする部材が増えてしまい、さらに保守費用がコスト高になってしまう。
【0009】
以上のように、像担持体である中間転写ベルトをクリーニングするクリーニング装置において生ずる問題について説明してきた。しかし、中間転写ベルトに限らず、像担持体である感光体等の潜像担持体を被清掃体としたクリーニング装置の構成においても、同様の問題が生じ得る。
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、従来よりもクリーニング装置の保守費用を低減することができるクリーニング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被清掃体の表面に当接しながら、前記被清掃体の表面に付着している付着物をクリーニングするクリーニング部材と、前記クリーニング部材と当接し、前記クリーニング部材がクリーニングした付着物を回収する回収部材と、前記回収部材にて回収した付着物を前記回収部材から掻き落とす掻き落とし部材と、前記掻き落とし部材により掻き落とされた付着物を搬送する第1搬送部材とを備えたクリーニング装置において、前記クリーニング部材、前記回収部材、及び前記掻き落とし部材を第1保持体に保持させた第1ユニットと、前記第1搬送部材を第2保持体に保持させた第2ユニットとから構成され、前記掻き落とし部材が、前記第1保持体の外周部に取り付けられていることを特徴とするものである。
本発明は、早期に寿命を迎える可能性が高い部材であるクリーニング部材や掻き落とし部材は、これらに比べ寿命の長い第1搬送部材を第2保持体に保持させた第2ユニットとは別の第1ユニットの第1保持体に保持させている。したがって、少なくとも第1ユニットと第2ユニットとを分離すれば、寿命を迎える可能性が高い部材は、第1搬送部材を第2保持体から取り外すことなく、第1保持体から取り外して交換することが容易となる。
そして、回収部材はクリーニング部材からクリーニングした付着物を回収できるようにクリーニング部材に、掻き落とし部材は回収部材から回収した付着物を掻き落とせるように回収部材に、それぞれ当接できる位置に配置すれば良い。したがって、これらの部材は、クリーニング部材を被清掃体の表面に当接させる開口部から取り外せるように、この開口部の大きさを構成した場合に、クリーニング部材の取り外しに支障の無い位置に配置することが可能である。このように開口部の大きさと、第1保持体に保持させる他の部材の配置位置とを構成することで、取り外した第1ユニットの第1保持体の開口部からクリーニング部材だけを取り外して交換できる。したがって、まだ寿命を迎えていない回収部材、及び掻き落とし部材を第1ユニットの第1保持体から取り外すことなく、クリーニング部材だけを第1保持体から取り外して交換することが容易となる。
また、掻き落とし部材を第1保持体の外周部に取り付けているので、例えば取り付けネジ等を緩めて、取り外した第1ユニットの第1保持体から掻き落とし部材だけを取り外して交換できる。したがって、まだ寿命を迎えていない回収部材、及びクリーニング部材を第1ユニットの第1保持体から取り外すことなく、掻き落とし部材でけを第1保持体から取り外して交換することが容易となる。
したがって、保守を行う際には、従来のように寿命に達した部品を交換するために、保持体を分解して寿命を迎えた部材を交換するとともに複数の部材の取り外し及び組み付けを行ったり、クリーニング装置全体を交換したりするのではなく、寿命に到達した部材だけを交換し、寿命に到達していない部材は、そのまま残して使用することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、保守を行う際には寿命に到達した部材だけを交換し、寿命に到達していない部材は、そのまま残して使用することが可能になる。
よって、従来よりもクリーニング装置の保守費用を低減することができるクリーニング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。
【図2】ベルトクリーニング装置とその周囲とを拡大して示す拡大構成図。
【図3】ベルトクリーニング装置の第1サブユニットを示す拡大構成図。
【図4】ベルトクリーニング装置の第2サブユニットを示す拡大構成図。
【図5】ベルトクリーニング装置の第3サブユニットを示す拡大構成図。
【図6】第1サブユニットを長手方向の一端側から示した斜視図。
【図7】ベルトクリーニング装置を長手方向の一端側から示した斜視図。
【図8】ベルトクリーニング装置のサブユニット保持体のメインフレームを長手方向の一端側から示した側面図。
【図9】サブユニット保持体のサイドプレートを裏面側から示した側面図。
【図10】転写ユニットを上方から示した平面図。
【図11】転写ユニットをローラ軸線方向の一端側から示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態として、いわゆるタンデム型中間転写方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図である。本プリンタは、イエロー,マゼンタ,シアン,黒(以下、Y,M,C,Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kを備えている。4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kは、ドラム状の潜像担持体である感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ有している。感光体1Y,M,C,Kの回りにはそれぞれ帯電装置2Y,M,C,K、現像装置5Y,C,M,K、ドラムクリーニング装置4Y,M,C,K、除電装置(不図示)等を有している。プロセスユニット6Y,M,C,Kは、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
【0015】
プロセスユニット6Y,M,C,Kの上方には、感光体1Y,M,C,Kの表面に対してレーザー光Lを照射して静電潜像を書き込むための図示しない光書込ユニットが配設されている。
【0016】
また、プロセスユニット6Y,M,C,Kの下方には、ベルト部材たる無端状の中間転写ベルト8を具備するベルト装置としての転写ユニット7が配設されている。中間転写ベルト8の他、そのループ内側に配設された複数の張架ローラや、ループ外側に配設された2次転写ローラ18、テンションローラ16、ベルトクリーニング装置100、潤滑剤塗布装置200などを有している。
【0017】
中間転写ベルト8のループ内側には、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kと、従動ローラ10と、駆動ローラ11と、2次転写対向ローラ12と、第1クリーニング対向ローラ13と、第2クリーニング対向ローラ14と、第3クリーニング対向ローラ15と、塗布ブラシ対向ローラ17とが配設されている。これらローラは何れも、自らの周面の一部に中間転写ベルト8を掛け回してベルト張架を行う張架ローラとして機能している。なお、第1クリーニング対向ローラ13、第2クリーニング対向ローラ14、第3クリーニング対向ローラ15の必要条件は、必ずしも一定の張力を付与する働きをもたなければならないということはなく、中間転写ベルト8の回転にともなって従動回転するものでもよい。中間転写ベルト8は、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動される駆動ローラ11の回転により、図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0018】
ベルトループ内側に配設された4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、感光体1Y,M,C,Kとの間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト8のおもて面と、感光体1Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。なお、1次転写ローラ9Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によってトナーとは逆極性の1次転写バイアスが印加される。
【0019】
また、ベルトループ内側に配設された2次転写対向ローラ12は、ベルトループ外側に配設された2次転写ローラ18との間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト8のおもて面と、2次転写ローラ18とが当接する2次転写ニップが形成されている。なお、2次転写ローラ18には、図示しない電源によってトナーとは逆極性の2次転写バイアスが印加される。また、2次転写ローラと数本の支持ローラと駆動ローラにより紙搬送ベルトを架け渡し、2次転写ローラ18と、2次転写対向ローラ12との間に、中間転写ベルト8及び紙搬送ベルトを挟み込んだ構成としてもよい。
【0020】
ベルトループ内側に配設された第1クリーニング対向ローラ13は、ベルトループ外側に配設されたベルトクリーニング装置100の第1クリーニングブラシローラ102との間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。このように中間転写ベルト8を挟み込んで、第1クリーニング対向ローラ13と第1クリーニングブラシローラ102とで、第1クリーニングニップを形成している。また、ベルトループ内側に配設された第2クリーニング対向ローラ14は、ベルトループ外側に配設されたベルトクリーニング装置100の第2クリーニングブラシローラ112との間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。このように中間転写ベルト8を挟み込んで、第2クリーニング対向ローラ14と第2クリーニングブラシローラ112とで、第2クリーニングニップを形成している。また、ベルトループ内側に配設された第3クリーニング対向ローラ15は、ベルトループ外側に配設されたベルトクリーニング装置100の第3クリーニングブラシローラ122との間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。このように中間転写ベルト8を挟み込んで、第3クリーニング対向ローラ15と第3クリーニングブラシローラ122とで、第3クリーニングニップを形成している。ベルトクリーニング装置100の詳細については、後述する。
【0021】
本プリンタは、記録紙Pを収容する給紙カセットや、給紙カセットから記録紙Pを給紙路に給紙する給紙ローラなどを有する図示しない給紙部を備えている。また、給紙部から送られてきた記録紙を受け入れて2次転写ニップに向けて所定のタイミングで送り出す図示しないレジストローラ対を、上述した2次転写ニップの図中右側方に備えている。また、2次転写ニップから送り出される記録紙Pを受け入れてその記録紙Pに対してトナー像の定着処理を施す図示しない定着装置を、上述した2次転写ニップの図中左側方に備えている。また、必要に応じて、現像装置5Y,M,C,Kに対してY,M,C,Kトナーを補給する図示しないY,M,C,K用のトナー補給装置も備えている。
【0022】
近年、記録紙として従来広く用いられてきた普通紙に加え、デザインとして表面に凹凸を有する特殊紙やアイロンプリントなどの熱転写に用いる特殊な記録紙が用いられることが増えている。このような特殊紙を用いると、従来の普通紙の場合よりもカラートナーを重ね合わせた中間転写ベルト8上のトナー像を紙に2次転写する際に転写不良が発生し易くなる。そこで、本プリンタでは、中間転写ベルト8に硬度の低い弾性層を設け、転写ニップ部でトナー層や平滑性の悪い記録紙に対して変形できるようにしている。中間転写ベルト8に硬度の低い弾性層を設け、中間転写ベルト8に弾性をもたせることにより、中間転写ベルト8表面が局部的な凸凹に追従して変形できる。これにより、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の転写中抜けがなく、また、平滑性の悪い用紙等に対しても転写ムラのない、均一性に優れた転写画像を得ることができる。
【0023】
本プリンタでは、中間転写ベルト8は、少なくとも基層、弾性層、表面のコート層から構成される。
【0024】
中間転写ベルト8の弾性層に用いられる材料としては、弾性材ゴム、エラストマー等の弾性部材が挙げられ、具体的には、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1、2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、それらの材料に限定されるものではない。
【0025】
弾性層の厚さは、硬度及び層構成にもよるが、0.07〜0.5[mm]の範囲が好ましい。さらに好ましくは0.25〜0.5[mm]の範囲がよい。また、中間転写ベルト8の厚さが0.07[mm]以下と薄いと、2次転写ニップ部で中間転写ベルト8上のトナーに対する圧力が高くなり、転写中抜けが発生しやすくなり、さらに、トナーの転写率が低下する。
【0026】
弾性層の硬度は、10°≦HS≦65°(JIS−A)であることが好ましい。中間転写ベルト8の層厚によって最適な硬度は異なるものの、硬度が10°JIS−Aより低いと転写中抜けが生じやすい。これに対して硬度が65°JIS−Aより高いものは、ローラヘの張架が困難となり、また、長期の張架によって延伸するために耐久性が無く早期の交換が必要になる。
【0027】
中間転写ベルト8の基層は、伸びの少ない樹脂で構成している。基層に用いられる材料としては、ポリカーボネート、フッ素樹脂(ETFE、PVDF等)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ピニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、それらの材料に限定されるものではない。
【0028】
伸びの大きなゴム材料などからなる弾性層の伸びを防止するために、基層と弾性層との間に帆布などの材料で構成された芯体層を設けてもよい。芯体層に用いられる伸びを防止する材料としては、例えば、綿、絹、などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、鉄繊維、銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い、糸状あるいは織布状のものを使用することができる。もちろん、上記材料に限定されるものではない。上記の糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり、導電処理を施すことも可能である。
【0029】
中間転写ベルト8表面のコート層は、弾性層の表面をコーティングするためのものであり、平滑性のよい層からなるものである。コート層に用いられる材料としては、特に制限はないが、一般的に、中間転写ベルト8表面へのトナーの付着カを小さくして2次転写性を高める材料が用いられる。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上、又は、表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、たとえばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、酸化チタン、シリコンカーバイド等の粒子を1種類あるいは2種類以上、又は必要に応じて粒径を変えたものを分散させて使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素層を形成させ、表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0030】
必要に応じて、基層、弾性層又はコート層は、抵抗を調整する目的で、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等を用いることができる。ここで、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。ただし、それらの材料に限定されるものではない。
【0031】
中間転写ベルト8の表面は、ベルト表面を保護するために、潤滑剤塗布装置200により潤滑剤が塗布されている。潤滑剤塗布装置200は、ステアリン酸亜鉛塊などの固形潤滑剤202と、固形潤滑剤と当接し、回転によって固形潤滑剤から掻き取って得た潤滑剤粉末を中間転写ベルト8表面に塗布する塗布部材たる塗布ブラシローラ201とを備えている。このように、本プリンタでは潤滑剤塗布装置200を備えているが、使用するトナーや中間転写ベルト8の材質、表面摩擦係数により適宜設ければよいものである。
【0032】
パーソナルコンピュータ等から画像情報が送られてくると、本プリンタは、駆動ローラ11を回転駆動して、中間転写ベルト8を無端移動させる。駆動ローラ11以外の張架ローラについては、ベルトに従動回転させる。同時に、プロセスユニット6Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kを回転駆動する。また、感光体1Y,M,C,Kの表面を帯電装置2Y,M,C,Kによって一様に帯電させながら、帯電後の表面に対してレーザー光Lの照射によって静電潜像を形成する。そして、感光体1Y,M,C,Kの表面に形成した静電潜像を現像装置5Y,M,C,Kによって現像することで、感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,Kトナー像を得る。Y,M,C,Kトナー像は、上述したY,M,C,K用の1次転写ニップにて、中間転写ベルト8のおもて面に重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8のおもて面には4色重ね合わせトナー像が形成される。
【0033】
一方、不図示の給紙部では、給紙ローラによって給紙カセットから記録紙Pを1枚づつ送り出してレジストローラ対まで搬送する。そして、中間転写ベルト8上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで、レジストローラ対を駆動して記録紙Pを2次転写ニップに送り込んで、ベルト上の4色重ね合わせトナー像を記録紙Pに一括2次転写する。これにより、記録紙Pの表面にフルカラー画像を形成する。フルカラー画像形成後の記録紙Pについては、2次転写ニップから定着装置に搬送してトナー像の定着処理を施す。
【0034】
Y,M,C,Kトナー像を中間転写ベルト8に1次転写した後の感光体1Y,M,C,Kについては、ドラムクリーニング装置4Y,M,C,Kによって転写残トナーのクリーニング処理を施す。その後、図示しない除電ランプで除電した後、帯電装置2Y,M,C,Kで一様に帯電させて、次の画像形成に備える。また、記録紙Pに一次転写した後の中間転写ベルト8については、ベルトクリーニング装置100によって転写残トナーのクリーニング処理を施す。
【0035】
図2は、ベルトクリーニング装置100とその周囲とを拡大して示す拡大構成図である。図2に示すように、ベルトクリーニング装置100は、クリーニング部材として、第1クリーニングブラシローラ102、第2クリーニングブラシローラ112、及び第3クリーニングブラシローラ122の3つを具備している。また、第1クリーニングブラシローラ102のべルト移動方向下流側には、隣り合って第2クリーニングブラシローラ112が設けられている。そして、第2クリーニングブラシローラ112のべルト移動方向下流側には、隣り合って第3クリーニングブラシローラ122が設けられている。
【0036】
第1クリーニングブラシローラ102は、被清掃体である中間転写ベルト8上の付着物である転写残トナーや、ジャム紙発生時の中間転写ベルト8に担持されているトナー像を構成するトナーを大まかに除去するためのものである。金属製の回転軸部材と、これの周面に立設された複数の導電性繊維からなるブラシローラ部とを具備しており、2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8表面に当接して第1クリーニングニップを形成している。第1クリーニングブラシローラ102の回転軸部材には、図示しない電源により、トナーの正規帯電極性(本例ではマイナス)とは逆極性(本例ではプラス)の第1クリーニングバイアスが印加される。2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8の表面に付着している転写残トナーは、第1クリーニングバイアスによる静電力や物理的な掻き取り効果により、その殆どが、第1クリーニングブラシローラ102のブラシローラ部内に捕捉される。ただし、一部のトナーは除去し切れずに、中間転写ベルト8表面上に残ってしまうことがある。そして、第1クリーニングブラシローラ102の図中下から、ブラシローラ部内に捕捉したトナーの回収部材である第1回収ローラ103が第1クリーニングブラシローラ102に当接して第1回収ニップを形成している。
【0037】
この第1回収ローラ103には、トナーの正規帯電極性とは逆極性であって、かつ、絶対値が第1クリーニングバイアスよりも大きな第1回収バイアスが印加されている。第1クリーニングブラシローラ102のブラシローラ部内のトナーは、第1回収バイアスによる静電力でブラシ内から第1回収ローラ103表面に転移する。このようにして第1回収ローラ103の表面に転移したトナーは、第1回収ローラ103に当接している掻き落とし部材である第1掻き取りブレード104により、ローラ表面から掻き落とされる。なお、第1掻き取りブレード104に対して、トナーの正規帯電極性とは逆極性であって、かつ、第1回収バイアスよりも絶対値の大きな第1掻き取りバイアスを印加してもよい。第1回収ローラ103の表面から掻き落とされたトナーは、掻き落とし部材により掻き落とされたトナーを搬送する第1搬送部材として機能する第1スクリュ105の回転駆動により、ベルトクリーニング装置100の外部に排出される。
【0038】
また、第1クリーニングブラシローラ102から第1回収ローラ103に転移しきれなかったトナーは、次のようにして図2中、矢印A方向に飛散する。第1クリーニングブラシローラ102の回転により、第1クリーニングブラシローラ102と第1回収ローラ103との当接位置であるニップ部でのフリッキングにより図2中、矢印A方向に飛散するものである。A方向に飛散したトナーは、その飛散した方向に設けられた第2搬送部材として機能する第2スクリュ115の回転駆動により搬送され、ベルトクリーニング装置100の外部に排出される。ここで、本プリンタにおいては、中間転写ベルト8上に形成された全面ベタ画像をジャムに起因して2次転写せずに第1クリーニングニップに進入させた場合に、その約90[%]を第1クリーニングブラシローラ102で除去できるように、第1クリーニングバイアスやニップ幅などが設定されている。
【0039】
第2クリーニングブラシローラ112は、第1クリーニングブラシローラ102で除去し切れなかった転写残トナーのうち、正規の帯電極性とは逆極性に帯電している逆帯電トナーを除去するためのものである。金属製の回転軸部材と、これの周面に立設された複数の導電性繊維からなるブラシローラ部とを具備しており、第1クリーニングニップを通過した後の中間転写ベルト8の表面に当接して第2クリーニングニップを形成している。第2クリーニングブラシローラ112の回転軸部材には、図示しない電源により、トナーの正規帯電極性と同じ極性の第2クリーニングバイアスが印加される。第1クリーニングブラシローラ102によって除去し切れなかった転写残トナーのうち、逆帯電トナーは、第2クリーニングバイアスによる静電力や物理的な掻き取り効果により、第2クリーニングブラシローラ112のブラシローラ部内に捕捉される。そして、第2クリーニングブラシローラ112の図中下から、ブラシローラ部内に捕捉したトナーの回収部材である第2回収ローラ113が第2クリーニングブラシローラ112に当接して第2回収ニップを形成している。
【0040】
この第2回収ローラ113には、トナーの正規帯電極性と同じ極性であって、かつ、絶対値が第2クリーニングバイアスよりも大きな第2回収バイアスが印加されている。第2クリーニングブラシローラ112のブラシローラ部内のトナーは、第2回収バイアスによる静電力でブラシ内から第2回収ローラ113表面に転移する。このようにして第2回収ローラ113の表面に転移したトナーは、第2回収ローラ113に当接している掻き落とし部材である第2掻き取りブレード114により、ローラ表面から掻き落とされる。なお、第2掻き取りブレード114に対して、トナーの正規帯電極性と同じ極性であって、かつ、第2回収バイアスよりも絶対値の大きな第2掻き取りバイアスを印加してもよい。第2回収ローラ113の表面から掻き落とされたトナーは、掻き落とし部材により掻き落とされたトナーを搬送する第1搬送部材として機能する第2スクリュ115の回転駆動により、ベルトクリーニング装置100の外部に排出される。また、上述した通り、第2スクリュ115では、第1クリーニングブラシローラ102と第1回収ローラ103とのニップ部でのフリッキングにより飛散したトナーも外部に排出する。
【0041】
また、第2クリーニングブラシローラ112から第2回収ローラ113に転移しきれなかったトナーは、次のようにして図2中、矢印B方向に飛散する。第2クリーニングブラシローラ112の回転により、第2クリーニングブラシローラ112と第2回収ローラ113との当接位置であるニップ部でのフリッキングにより図2中、矢印B方向に飛散するものである。B方向に飛散したトナーは、その飛散した方向に設けられた第2搬送部材として機能する第3スクリュ125の回転駆動により搬送され、ベルトクリーニング装置100の外部に排出される。
【0042】
第3クリーニングブラシローラ122は、第1クリーニングブラシローラ102で除去し切れなかったトナーのうち、正規の帯電極性に帯電しているトナーを除去するためのものである。金属製の回転軸部材と、これの周面に立設された複数の導電性繊維からなるブラシローラ部とを具備しており、第2クリーニングニップを通過した後の中間転写ベルト8の表面に当接して第3クリーニングニップを形成している。第3クリーニングブラシローラ122の回転軸部材には、図示しない電源により、トナーの正規帯電極性とは逆極性の第3クリーニングバイアスが印加される。第1クリーニングブラシローラ102によって除去し切れなかった転写残トナーのうち、正規帯電トナーは、第3クリーニングバイアスによる静電力や物理的な掻き取り効果により、第3クリーニングブラシローラ122のブラシローラ部内に捕捉される。そして、第3クリーニングブラシローラ122の図中下から、ブラシローラ部内に捕捉したトナーの回収部材である第3回収ローラ123が第3クリーニングブラシローラ122に当接して第3回収ニップを形成している。
【0043】
この第3回収ローラ123には、トナーの正規帯電極性とは逆極性であって、かつ、絶対値が第3クリーニングバイアスよりも大きな第3回収バイアスが印加されている。第3クリーニングブラシローラ122のブラシローラ部内のトナーは、第3回収バイアスによる静電力でブラシ内から第3回収ローラ123表面に転移する。このようにして第3回収ローラ123の表面に転移したトナーは、第3回収ローラ123に当接している掻き落とし部材である第3掻き取りブレード124により、ローラ表面から掻き落とされる。なお、第3掻き取りブレード124に対して、トナーの正規帯電極性とは逆極性であって、かつ、第3回収バイアスよりも絶対値の大きな第3掻き取りバイアスを印加してもよい。第3回収ローラ123の表面から掻き落とされたトナーは、掻き落とし部材により掻き落とされたトナーを搬送する第1搬送部材として機能する第3スクリュ125の回転駆動により、ベルトクリーニング装置100の外部に排出される。また、上述した通り、第3スクリュ125では、第2クリーニングブラシローラ112と第2回収ローラ113とのニップ部でのフリッキングにより飛散したトナーも外部に排出する。
【0044】
また、第3クリーニングブラシローラ122から第3回収ローラ123に転移しきれなかったトナーは、次のようにして図2中、矢印C方向に飛散する。第3クリーニングブラシローラ122の回転により、第3クリーニングブラシローラ122と第3回収ローラ123との当接位置であるニップ部でのフリッキングにより図2中、矢印C方向に飛散するものである。C方向に飛散したトナーは、その飛散した方向に設けられた第4スクリュ135の回転駆動により搬送され、ベルトクリーニング装置100の外部に排出される。
【0045】
3つのクリーニングブラシローラ(102、112、122)において、ブラシローラ部の直径は、15〜30[mm]程度である。各ブラシローラ部の導電性繊維は、二層の芯鞘構造となっており、芯部が導電性カーボンなどの導電性材料からなり、表面部がポリエステルなどの絶縁性材料で覆われている。これにより、芯部は、クリーニングブラシローラに印加された電圧とほぼ同じ電位になり、トナーを導電性繊維の表面に静電的に引き付けることができる。その結果、中間転写ベルト8上のトナーは、クリーニングブラシローラに印加された電圧の作用によって導電性繊維の方面に静電的に付着する。芯鞘構造の導電性繊維の代わりに、導電部のみからなる導電性繊維を用いてもよい。また、回転軸部材の法線方向に対して傾斜した姿勢で植毛されたいわゆる斜毛にしてもよい。また、第1クリーニングブラシローラ102及び第3クリーニングブラシローラ122にだけ、芯鞘構造の導電性繊維を用い、第2クリーニングブラシローラ112については、導電部のみからなる導電性繊維を用いてもよい。逆帯電トナーをクリーニングする第2クリーニングブラシローラ112だけ導電部のみの導電性繊維とすることで、第2クリーニングニップでは、ブラシからトナーに対して正規帯電極性の電荷を注入し易くすることができるからである。これに対し、第1クリーニングニップや第3クリーニングニップでは、導電性繊維を芯鞘構造とすることにより、トナーへの電荷注入を抑制して、トナーの逆帯電を抑えることができる。
【0046】
また、3つのクリーニングブラシローラ(102、112、122)については、それぞれ中間転写ベルト8に対して1[mm]の食い込み量で食い込ませている。ここで、食い込み量とは、クリーニングバックアップローラの半径と、クリーニングブラシローラの半径と、中間転写ベルト8の厚みとの合計から、クリーニングバックアップローラの中心とクリーニングブラシローラの中心との距離を差し引いた値である。それぞれのクリーニングブラシローラの回転方向については、クリーニングニップ内でブラシ表面をベルトとは逆方向に移動させるいわゆるカウンター方向に設定している。各クリーニングニップにおいて、それぞれのブラシローラ部の導電性繊維をカウンター方向に移動させることで、両者の線速差を大きくして、トナーの掻き取り効果を増大させることができる。
【0047】
第1回収ローラ103、第2回収ローラ113、第3回収ローラ123としては、それぞれステンレスによって軸部材とローラ部とが一体成形されたステンレスローラを用いた。なお、これらの回収ローラは、クリーニングブラシローラ内に捕捉されたトナーをブラシの導電性繊維と回収ローラとの電位差によってブラシ内からローラ表面に転移させる機能さえ発揮できれば、どのような材料からなっていてもかまわない。例えば、導電性芯金の表面に、厚さ数〜100[μm]程度の高抵抗弾性チューブを被せたり、さらにその上に絶縁コーティング層を被覆したりして、ローラ抵抗をlogR=12〜13[Ω]程度に調整したものであってもよい。ただし、ステンレスローラを用いることで、ローラのコストを低減するとともに、印加電圧を低く抑えることでランニングコストを低減したりすることができる。一方、抵抗をlogR=12〜13[Ω]に調整したローラでは、回収ニップ内でのトナーへの電荷注入を抑制して、電荷注入に起因するトナーのチャージアップによって回収効率を低下させてしまうという事態の発生を抑えることができる。
【0048】
3つのクリーニングブラシローラ(102、112、122)の設定条件は、次の通りである。
・ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
・ブラシ抵抗:106〜8[Ω]
・回転軸部材印加電圧[V]
・第1クリーニングバイアス:+1600〜+2000[V]
・第2クリーニングバイアス:−2000〜−2400[V]
・第3クリーニングバイアス:+800〜+1200[V]
・ブラシ植毛密度:10万[本/inch
・導電性繊維の直径:約25〜35[μm]
・ブラシ先端の毛倒れ処理:あり
・ブラシ径φ:15〜30[mm](第2、第3は15〜16mm)
・中間転写ベルト8へのブラシ繊維喰い込み量:1[mm]
【0049】
ここで、第2クリーニングバイアスは、第2クリーニングニップ内でベルト上の逆帯電トナーに対して正規帯電極性であるマイナスの電荷を注入できるように、比較的大きな値に設定されている。ブラシ植毛密度、ブラシ抵抗、導電性繊維の径、バイアス、導電性繊維の種類、ブラシ食い込み量などの条件は、例示したものに限られるものではない。導電性繊維の種類としては、ナイロン、アクリル、ポリエステル製のものを例示することができる。
【0050】
3つの回収ローラ(103、113、123)の設定条件は、次のとおりである。
・材質:ステンレス(SUS303−G8)
・回収ローラに対するブラシ喰い込み量:1.5[mm]
・第1回収バイアス:+2000〜+2400[V]
・第2回収バイアス:−2400〜−2800[V]
・第3回収バイアス:+1000〜+1400[V]
ただし、これらの設定条件は、例示したものに限られるものではない。
【0051】
3つの掻き取りブレード(104、114、124)の設定条件は次の通りである。
・ブレード当接角度:20[°]
・ブレード厚み:0.1[mm]
・回収ローラへのブレード食い込み量:1.0[mm]
ただし、これらの設定条件は、例示したものに限られるものではない。
【0052】
上述したように、本プリンタにおいては、中間転写ベルト8上のトナーをまず始めに大まかに除去する第1クリーニングブラシローラ102を設けた。このように設けることで、ジャム紙の発生などに起因して、多量のトナーを除去しなければならなくなったときでも、トナーを良好にクリーニングすることができる。これは、中間転写ベルト8上のトナーを、まず始めに大まかに除去する第1クリーニングブラシローラ102により、多量のトナーの殆どを除去する。そして、除去し切れなかった逆帯電トナーや正規帯電トナーを、第2クリーニングブラシローラ112や第3クリーニングブラシローラ122によって確実に除去することができるからである。
【0053】
次に、本実施形態のプリンタの特徴的な構成について、図を用いて説明する。図3は、ベルトクリーニング装置100の第1サブユニット101を示す拡大構成図、図4は、ベルトクリーニング装置100の第2サブユニット111を示す拡大構成図、図5は、ベルトクリーニング装置100の第3サブユニット121を示す拡大構成図である。図6は、第1サブユニット101を長手方向の一端側から示した斜視図、図7は、ベルトクリーニング装置100を長手方向の一端側から示した斜視図である。図8は、ベルトクリーニング装置100のサブユニット保持体150のメインフレームを長手方向の一端側から示した側面図、図9は、サブユニット保持体150のサイドプレートを裏面側から示した側面図である。図10は、転写ユニット7を上方から示した平面図、図11は、転写ユニット7をローラ軸線方向の一端側から示した斜視図である。
【0054】
先に説明に用いた図2に示すように、ベルトクリーニング装置100では、中間転写ベルト8の移動方向最上流側に、第1クリーニングブラシローラ102を有した第1サブユニット101を設けている。この第1サブユニット101の中間転写ベルト8移動方向下流側には、第2クリーニングブラシローラ112を有した第2サブユニット111を隣接して設けている。また、第2サブユニット111の中間転写ベルト8移動方向下流側には、第3クリーニングブラシローラ122を有した第3サブユニット121を隣接して設けている。そして、ベルトクリーニング装置100には、各サブユニットを着脱可能に保持するサブユニット保持体150を備えている。
【0055】
第1サブユニット101では、図3(a)に示すように第1クリーニングブラシローラ102、第1回収ローラ103、第1掻き取りブレード104、第2スクリュ115、及び第1スクリュ105が、第1サブユニットケーシング106に保持されている。そして、それぞれの部材が第1サブユニット101の一部を構成している。また、上述したように、この第1サブユニット101は、サブユニット保持体150に対して着脱可能になっている。さらに、第1サブユニット101の第1サブユニットケーシング106は、ネジ106eを外して第1保持体である第1上側サブユニットケーシング106cと、第2保持体である第1下側サブユニットケーシング106dとに分割できる。
【0056】
第2保持体である第1下側サブユニットケーシング106dには、第1搬送部材である第1スクリュ105が保持されており、第2ユニットを構成している。また、その他の部材は第1保持体である第1上側サブユニットケーシング106cに保持されており、第1ユニットを構成している。このような第1サブユニット101から第2ユニットを取り外すと、第1ユニットだけの状態となる。つまり、第1サブユニットケーシング106から第1下側サブユニットケーシング106dを取り外すと、図3(b)に示す第1上側サブユニットケーシング106cだけの状態となる。そして、第1上側サブユニットケーシング106cに保持される構成部品は、後述する第2サブユニット111、第3サブユニット121に保持される構成部品と同じになる。
【0057】
このように早期に寿命を迎える可能性が高い第1クリーニングブラシローラ102や第1掻き取りブレード104は、これらに比べ寿命の長い第1スクリュ105を第1下側サブユニットケーシング106dに保持させた第2ユニットとは別の第1ユニットの第1上側サブユニットケーシング106cに保持させている。したがって、少なくとも第1ユニットと第2ユニットとを分離すれば、早期に寿命を迎える可能性が高い部材は、第1スクリュ105を第1下側サブユニットケーシング106dから取り外すことなく、第1上側サブユニットケーシング106cから取り外して交換することが容易である。
【0058】
そして、図3(b)に示すように、第1回収ローラ103は、第1クリーニングブラシローラ102からクリーニングした付着物を回収できるように、第1クリーニングブラシローラ102に、下方から当接するように配置されている。第1掻き取りブレード104は、第1回収ローラ103から回収した付着物を掻き落とせるように第1回収ローラ103に、下方から当接するように配置されている。また、第2スクリュ115も第1クリーニングブラシローラ102と第1回収ローラ103との当接位置から飛散する付着物を搬送できるように、第1クリーニングブラシローラ102の図3(b)図中、左斜め下方の位置に配置されている。したがって、これらの部材は、第1クリーニングブラシローラ102を中間転写ベルト8の表面に当接させる図3(b)図中、右斜め上方の位置に設けられた開口部から取り外せるように、この開口部の大きさを構成した場合でも、第1クリーニングブラシローラ102の取り外しに支障の無い位置に配置されている。
【0059】
このように開口部の大きさと、第1上側サブユニットケーシング106cに保持させる他の部材の配置位置とを構成することで、取り外した第1上側サブユニットケーシング106cの開口部から第1クリーニングブラシローラ102だけを取り外して交換できる。したがって、まだ寿命を迎えていない第1回収ローラ103、第2スクリュ115、及び第1掻き取りブレード104を第1上側サブユニットケーシング106cから取り外すことなく、第1クリーニングブラシローラ102だけを第1上側サブユニットケーシング106cから取り外して交換することが容易である。
【0060】
また、図3(b)に示すように、第1掻き取りブレード104を第1上側サブユニットケーシング106cの図3(b)図中、左側下部の外周部に取り付けているので、取り付けネジ107を緩めて、第1上側サブユニットケーシング106cから第1掻き取りブレード104だけを取り外して交換できる。したがって、まだ寿命を迎えていない第1回収ローラ103、第2スクリュ115、及び第1クリーニングブラシローラ102を第1上側サブユニットケーシング106cから取り外すことなく、第1掻き取りブレード104だけを第1上側サブユニットケーシング106cから取り外して交換することが容易である。
【0061】
したがって、保守を行う際には、従来のように寿命に達した部品を交換するために、保持体を分解して寿命を迎えた部材を交換するとともに複数の部材の取り外し及び組み付けを行ったり、ベルトクリーニング装置全体を交換するのではなく、寿命に到達した部材だけを交換し、寿命に到達していない部材は、そのまま残して使用することが可能である。よって、従来よりも保守費用を低減することができるベルトクリーニング装置100を提供できる。
【0062】
第2サブユニット111では、図4に示すように第2クリーニングブラシローラ112、第2回収ローラ113、第2掻き取りブレード114、及び第3スクリュ125が、これらの第1保持体である第2サブユニットケーシング116に保持され、それぞれが第2サブユニット111の一部を構成している。そして、この第2サブユニット111は、2番目の第1ユニットとして機能する。また、上述したように、この第2サブユニット111は、サブユニット保持体150に対して着脱可能になっている。また、第1サブユニット101と同様に、保守を行う際には、従来のように寿命に達した部品を交換するために、保持体を分解して寿命を迎えた部材を交換するとともに複数の部材の取り外し及び組み付けを行ったり、ベルトクリーニング装置全体を交換するのではなく、寿命に到達した部材だけを交換し、寿命に到達していない部材は、そのまま残して使用することが可能である。
【0063】
第3サブユニット121では、図5に示すように、第3クリーニングブラシローラ122、第3回収ローラ123、第3掻き取りブレード124、及び第4スクリュ135は、これらの第1保持体である第3サブユニットケーシング126に保持され、それぞれが第3サブユニット121の一部を構成している。そして、この第3サブユニット121は、3番目の第1ユニットとして機能する。また、上述したように、この第3サブユニット121は、サブユニット保持体150に対して着脱可能になっている。また、第1サブユニット101と同様に、保守を行う際には、従来のように寿命に達した部品を交換するために、保持体を分解して寿命を迎えた部材を交換するとともに複数の部材の取り外し及び組み付けを行ったり、ベルトクリーニング装置全体を交換するのではなく、寿命に到達した部材だけを交換し、寿命に到達していない部材は、そのまま残して使用することが可能である。
【0064】
また、第2ユニットの第2保持体である第1下側サブユニットケーシング106dをサブユニット保持体150の最下部(中間転写ベルト8の移動方向最最上流側)に設けている。そして、複数の第1ユニットの第1保持体である第1上側サブユニットケーシング106c、第2サブユニットケーシング116、及び第3サブユニットケーシング126を、第1下側サブユニットケーシング106dの上方(中間転写ベルト8の移動方向下流側)に設けている。そして、第1上側サブユニットケーシング106c、第2サブユニットケーシング116、及び第3サブユニットケーシング126では、それぞれ第2搬送部材である第2スクリュ115、第3スクリュ125、及び第4スクリュ135をそれぞれ保持している。これらの第2搬送部材は、各第1ユニットの第1保持体内の飛散したトナーを廃トナー容器等に搬送するとともに、上方に設けられた他の第1ユニットの第1保持体に保持させた掻き落とし部材で掻き落とした付着物を、廃トナー容器等に搬送する。
【0065】
このうよに搬送するので、各第1ユニットの第1保持体に保持させた掻き落とし部材で掻き落とした付着物を、廃トナー容器等に搬送するために全ての第1ユニットの下方にそれぞれ第2ユニットを設けたり、新たな搬送部材を第1保持体に保持させたりする必要がない。よって、最下方の第1ユニットを除く他の第1ユニットでは、寿命に達した部材を交換する場合に、第2ユニットを分離する手間を省略できるとともに、新たな搬送部材を設けて寿命に達した部材の交換に支障をきたすこともない。このように複数の第1ユニットを配置した場合でも、寿命に達した部材を保持したユニットを取り外せば、他のユニットの各保持体から、それぞれ保持した部材を取り外すことなく、寿命に達した部材を保持したユニットの保持体から取り外して交換することが容易となる。そして、第2搬送部材は第1保持体に、第1搬送部材は第2保持体に保持させたまま、寿命を迎えた部材を交換できるので、従来のように保持体を分解した場合に取り外し及び組み付が生じたり、クリーニング装置全体を新品のものに交換する場合に交換されてしまったりすることがない。よって、複数のクリーニング部材を設けた構成においても、従来よりも保守費用を低減することができるベルトクリーニング装置100を提供できる。
【0066】
また、従来の複数のクリーニング部材を設けた構成、例えば特許文献1の構成では、第2のユニットよりもベルト表面移動方向の上流側で、トナーを中間転写ベルト表面から除去する第1のユニットは、第2のユニットよりも多量のトナーを処理する。このように処理するため、通常は、第1のユニットの方が、第2のユニットよりも早く寿命を迎えることになる。そして、第1のユニットが寿命を迎えたときに、第2のユニットは、まだ十分に使用できる状態であることも少なくない。しかし、特許文献1の構成では、同一の保持体に第1のユニット、及び第2の保持体を保持させていたため、第1のユニットの部材が寿命に達した時点で、保持体を分解して第1のユニットの寿命を迎えた部材を交換するか、クリーニング装置全体を新品のものに交換しなければならなかった。
【0067】
しかし、本実施形態では、複数のクリーニング部材である第1クリーニングブラシローラ102、第2クリーニングブラシローラ112、及び第3クリーニングブラシローラ122を、それぞれ第1保持体である第1上側サブユニットケーシング106c、第2サブユニットケーシング116、及び第3サブユニットケーシング126に保持させている。したがって、各サブユニットケーシング毎に取り外して、クリーニング部材を交換することができる。例えば、第1クリーニングブラシローラ102が寿命に達して交換する場合であっても、第1サブユニットケーシング106をサブユニット保持体150から取り外して、第1下側サブユニットケーシング106dと第1上側サブユニットケーシング106cに分割した後、第1クリーニングブラシローラ102を容易に交換できる。したがって、特許文献1に記載の構成よりも、保守費用を低減することができるベルトクリーニング装置100を提供できる。
【0068】
また、図6に示すように、第1サブユニットケーシング106における一端側の側面には、第1位置決め突起106aと、第2位置決め突起106bとが、それぞれローラ軸線方向に突出するように設けられている。図6では裏側に隠れて示されていないが、第1サブユニットケーシング106における他端側の側面にも、同様な第1位置決め突起と、第2位置決め突起とが形成されている。
【0069】
また、図6、及び図3(a)、(b)に示すように、第1サブユニット101に保持させる第1掻き取りブレード104は、第1ユニットである第1上側サブユニットケーシング106cの外周部に、取り付けネジ107で固定されている。そして、第2サブユニット111、及び第3サブユニット121も同様に、各サブユニットケーシングの両側面にそれぞれ第1位置決め突起や第2位置決め突起が形成されているとともに、掻き取りブレードが各サブユニットケーシングに取り付けネジで固定されている。
【0070】
サブユニット保持体150は、図7に示すように、メインフレーム160とサイドプレート190とから主に構成されている。サイドプレート190は、サブユニット保持体150の一端側の側壁を構成しており、ネジ192によってメインフレーム160に固定されている。そして、メインフレーム160は、サブユニット保持体150の他端側の側壁や、背面壁等を構成している。また、このメインフレーム160の側壁の外面からは、2つの位置決めピン161がそれぞれ突出している。これら位置決めピン161は、図10に示すように、転写ユニット7の後側板71に設けられた位置決め穴に挿入されることで、転写ユニット7に対してベルトクリーニング装置100を位置決めするためのものである。また、サイドプレート190には、2つの位置決め穴191が設けられている。これら位置決め穴191は、図11に示すように、転写ユニット7の前側板72に対してボルト止めされることで、転写ユニット7に対してベルトクリーニング装置100を位置決めするためのものである。
【0071】
メインフレーム160は、図8の側面図に示すように、その正面壁や底壁は、図示しない第1サブユニット101を受ける第1サブユニット受部167を構成している。メインフレーム160の側壁には、第1主位置決め凹部163、第1副位置決め凹部164、第1カップリング165、第1トナー排出開口166、第2トナー排出開口176などが設けられている。
【0072】
第1主位置決め凹部163は、図示しない第1サブユニット101の第1サブユニットケーシング106に設けられた第1位置決め突起106a(図6参照)を受け入れることで、第1サブユニット101をメインフレーム160に対して位置決めするためのものである。また、第1副位置決め凹部164は、図示しない第1サブユニット101の第1サブユニットケーシング106に設けられた第2位置決め突起106b(図6参照)を受け入れることで、第1サブユニット101をメインフレーム160に対して位置決めするためのものである。第1主位置決め凹部163が真円状の断面形状になっているのに対し、第1副位置決め凹部164は長穴状の断面形状になっている。この長穴状の断面形状で、第2位置決め突起106bを受け入れることで、第1サブユニットケーシングにおける2つの位置決め突起(106a、106b)間の僅かな位置誤差を吸収することができる。
【0073】
第1カップリング165は、メインフレーム160の側壁に回動自在に設けられている。この第1カップリング165は、メインフレーム160の側壁の外側に設けられた図示しない外部カップリングと一体になっており、側壁を貫通しながら側壁によって回動自在に支持されている。図示しない第1サブユニットがメインフレーム160内にセットされると、第1サブユニットに設けられた駆動受入用カップリングが、図示の第1カップリング163に嵌め合わされる。嵌め合わされた状態で、ベルトクリーニング装置100がプリンタ本体内にセットされると、プリンタ本体に設けられた図示しない原動側カップリングが、メインフレーム160に設けられた外部カップリングに嵌め合わされる。これにより、原動側カップリングの回転駆動力が、外部カップリングと第1カップリング165とを介して、第1サブユニット101の各種回転部材に伝達される。
【0074】
第1トナー排出開口166は、図示しない第1サブユニット101から第1スクリュ105の回転駆動によって排出されるトナーを、メインフレーム160の外部に排出するためのものである。また、第2トナー排出開口176は、図示しない第1サブユニット101から第2スクリュ115の回転駆動によって排出されるトナーを、メインフレーム160の外部に排出するためのものである。
【0075】
また、メインフレーム160の側壁には、第2主位置決め凹部173、第2副位置決め凹部174、第2カップリング175、第3トナー排出開口186、第2サブユニット受部177なども設けられている。第2主位置決め凹部173は、第1主位置決め凹部163と同様に、図示しない第2サブユニット111の第2サブユニットケーシング116に設けられた第1位置決め突起を受け入れることで、第2サブユニット111をメインフレーム160に対して位置決めするためのものである。また、第2副位置決め凹部174は、第1副位置決め凹部164と同様に、図示しない第2サブユニット111の第2サブユニットケーシング116に設けられた第2位置決め突起を受け入れることで、第2サブユニットをメインフレーム160に対して位置決めするためのものである。第2主位置決め凹部173が真円状の断面形状になっているのに対し、第2副位置決め凹部174が長穴状の断面形状になっている点は、第1サブユニット101と同様である。第2カップリング175の役割は、第1カップリング165と同様である。また、第3トナー排出開口186の役割も、第1サブユニット101の第1トナー排出開口166と同様である。
【0076】
さらに、メインフレーム160の側壁には、第3主位置決め凹部183、第3副位置決め凹部184、第3カップリング185、第4トナー排出開口188、第3サブユニット受部187なども設けられている。第3主位置決め凹部183は、図示しない第3サブユニット121の第3サブユニットケーシング126に設けられた第1位置決め突起を受け入れることで、第3サブユニット121をメインフレーム160に対して位置決めするためのものである。また、第3副位置決め凹部184は、図示しない第3サブユニット121の第3サブユニットケーシング126に設けられた第2位置決め突起を受け入れることで、第3サブユニット121をメインフレーム160に対して位置決めするためのものである。第3主位置決め凹部183が真円状の断面形状になっているのに対し、第3副位置決め凹部184が長穴状の断面形状になっている点は、第1サブユニット101と同様である。第3カップリング185の役割は、第1カップリング165と同様である。また、第4トナー排出開口188の役割も、第1サブユニット101の第1トナー排出開口166と同様である。
【0077】
サイドプレート190は、図9の側面図に示すように、その裏面にも、メインフレームと同様の第1主位置決め凹部163、第1副位置決め凹部164、第2主位置決め凹部173、第2副位置決め凹部174、第3主位置決め凹部183、及び第3副位置決め凹部184が設けられている。また、このサイドプレート190には、ネジ192を貫通させるためのネジ開口193や、上述した位置決め穴191が設けられている。
【0078】
上記のような構成を備える本プリンタでは、第1サブユニット101、第2サブユニット111、及び第3サブユニット121を着脱可能に保持するサブユニット保持体150は、これら3つのサブユニットを保持しながら、各サブユニットの相対位置を位置決めする役割を担っている。サブユニット保持体150をメインフレーム160とサイドプレート190とに分解しても、個々の部品については各サブユニット内に収容したままの状態であり、ユーザーによる分解が行われても何ら差し障りない。このように、各クリーニングブラシローラを、それぞれのサブユニットケーシングとともに、サブユニット保持体150に対して着脱するサブユニット(101、111、121)として構成した。このように構成することで、3つのクリーニングブラシローラを、それぞれ他のクリーニングブラシローラから切り離して交換することができる。
【0079】
具体的には、次のようにして、3つのクリーニングブラシローラのうち、何れか1つの寿命に到達したクリーニングブラシローラを交換することができる。何れか1つが寿命に到達した場合、ユーザーは、複数のサブユニットのうち、寿命に到達したクリーニングブラシローラを保持しているサブユニットを取り外す。このように取り外すことにより、クリーニングブラシローラは、中間転写ベルト8の表面に当接するように各サブユニットに保持されているので、寿命に到達したクリーニングブラシローラを中間転写ベルト8の表面に当接させるための開口部等から、容易に交換すること可能となる。したがって、寿命に到達していないクリーニングブラシローラやその周囲の部材については、そのまま残して使用することが可能になる。
【0080】
また、本発明では各掻き取りブレード(104、114、124)のうち何れか1つが寿命に到達した場合でも、各掻き取りブレードで掻き取ったトナーを排出する各スクリュは、別のサブユニット又は第1下側サブユニットケーシング106dとなっている。また、各掻き取りブレードは、それぞれ取り付けられるサブユニットケーシング又は第1上側サブユニットケーシング106cの外周部に、取り付けネジにて固定されている。これらのため、いずれかの掻き取りブレードを交換する場合、各スクリュが取り外しの障害となることなく、取り付けているサブユニットケーシングに固定されている取り付けネジを取り外すことにより容易に交換することが可能となる。したがって、寿命に到達していない部材については、そのまま残して使用することが可能となる。
【0081】
また、上述した本実施形態では、第2クリーニングブラシローラ112により、逆帯電トナーに対して正規帯電極性の電荷を注入するようにした例について説明したが、電荷を注入せずに逆帯電トナーをクリーニングする役割だけを担わせてもよい。
【0082】
また、第1クリーニングブラシローラ102によって除去し切れなかった正規帯電トナーをクリーニングするクリーニングブラシローラ122を、除去し切れなかった逆帯電トナーをクリーニングするクリーニングブラシローラ112よりもベルト移動方向下流側に設けた例について説明した。しかし、両者の位置関係を逆転させてもよい。この場合、除去し切れなかった正規帯電トナーをクリーニングするためのクリーニングブラシローラにより、一部のトナーに対して正規帯電極性とは逆極性の電荷を注入することで、一部のトナーを逆帯電させてもよい。逆帯電させたトナーについては、下流側の逆帯電トナーをクリーニングするためのクリーニングブラシローラによって除去することが可能だからである。また、除去し切れなかった逆帯電トナーをクリーニングするためのクリーニングローラを、逆帯電トナーに対して正規極性の電荷を注入する電荷注入ローラとしてのみ機能させて、逆帯電トナーをクリーニングしない構成にしてもよい。逆帯電トナーに対して正規極性の電荷を注入して逆帯電トナーを正規帯電トナーに変化させることで、下流側のクリーニングブラシローラによって除去することが可能になるからである。正規極性の電荷を注入する手段として、ブラシローラの代わりに、ブレードやコロナチャジャーなどを用いてもよい。
【0083】
また、各クリーニングブラシローラの金属製の回転軸部材に対してクリーニングバイアスを印加する例について説明した。しかし、各回収ローラとして金属製のものを用いて、回収ローラを介してクリーニングブラシローラにクリーニングバイアスを印加してもよい。このように印加する場合、クリーニングブラシローラの繊維抵抗による電位降下によって、回収ローラとの接触部を介する形態で、回収ローラに印加されたバイアス電圧よりも幾分低いバイアス電圧がクリーニングブラシローラに印加されている状態となる。これにより、回収ローラとクリーニングブラシローラとの間に電位差が形成され、回収ローラ方向へ電位勾配によりクリーニングブラシローラから回収ローラへトナーを静電的に移動させることができる。
【0084】
また、被清掃体である中間転写ベルト8をクリーニングするベルトクリーニング装置100に本発明を適用した例について説明したが、中間転写ベルト8とは異なる像担持体をクリーニングするクリーニング装置にも、本発明の適用できる。例えば、潜像担持体である各感光体1をクリーニングするドラムクリーニング装置4に、本発明を適用してもよい。
また、クリーニングブラシローラが3つの例について説明したが、クリーニングブラシを有するそれ以外の構成のクリーニング装置にも、本発明の適用が可能である。例えば、クリーニングブラシローラが2つや、1つのクリーニング装置にも適用可能である。
【0085】
以上、本実施形態に係るプリンタでは、第1保持体として、それぞれクリーニングブラシローラを収容する第2サブユニットケーシング116、第3サブユニットケーシング126、及び第1上側サブユニットケーシング106cを用いた第1ユニットを設けている。また、第2保持体として、第1サブユニット101のクリーニングブラシローラ102を収容し、第1下側サブユニットケーシング106dを用いた第2ユニットを設けている。そして、各掻き取りブレードは、それぞれ第2サブユニットケーシング116、第3サブユニットケーシング126、及び第1上側サブユニットケーシング106cの外側部に取り付けるように構成している。したがって、第1保持体である第2サブユニットケーシング116、第3サブユニットケーシング126、及び第1上側サブユニットケーシング106cの開口部から中間転写ベルト8に当接する各クリーニングブラシローラのみでなく、各掻き取りブレードも容易に交換することが可能となる。よって、各クリーニングブラシローラ及び各掻き取りブレードの交換作業時間の低減、寿命到達前の部品交換防止による保守費用低減を実現することが可能となる。
【0086】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
中間転写ベルト8などの被清掃体の表面に当接しながら、前記被清掃体の表面に付着している転写残トナーなどの付着物をクリーニングする第1クリーニングブラシローラ102などのクリーニング部材と、前記クリーニング部材と当接し、前記クリーニング部材がクリーニングした付着物を回収する第1回収ローラ103などの回収部材と、前記回収部材にて回収した付着物を前記回収部材から掻き落とす第1掻き取りブレード104などの掻き落とし部材と、前記掻き落とし部材により掻き落とされた付着物を搬送する第1スクリュ105などの第1搬送部材とを備えたベルトクリーニング装置100などのクリーニング装置において、前記クリーニング部材、前記回収部材、及び前記掻き落とし部材を第1上側サブユニットケーシング106cなどの第1保持体に保持させた第1ユニットと、前記第1搬送部材を第1下側サブユニットケーシング106dなどの第2保持体に保持させた第2ユニットとから構成され、前記掻き落とし部材が、前記第1保持体の外周部に取り付けられていることを特徴とするものである。
これによれば、本実施形態について説明したように、従来よりもベルトクリーニング装置100などのクリーニング装置の保守費用を低減することができるクリーニング装置を提供できる。
(態様B)
(態様A)において、第1掻き取りブレード104などの前記掻き落とし部材は、第1上側サブユニットケーシング106cなどの前記第1保持体に対して脱着可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
これによれば、本実施形態について説明したように、第1掻き取りブレード104などの前記掻き落とし部材の交換を容易にできるベルトクリーニング装置100などのクリーニング装置を提供できる。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、前記クリーニング部材と前記回収部材との当接位置から飛散する付着物を搬送する第2スクリュ115などの第2搬送部材を設けて前記第1ユニットの前記第1保持体に保持させ、第1クリーニングブラシローラ102、第1回収ローラ103、第1掻き取りブレード104、及び第2スクリュ115を第1上側サブユニットケーシング106cなどの第1保持体に保持させた前記第1ユニットは、中間転写ベルト8などの前記被清掃体の表面移動方向に沿って順に並ぶように複数設けられ、前記被清掃体の表面移動方向の最上流側の第1ユニットの更に上流側に第1スクリュ105を第1下側サブユニットケーシング106dなどの第2保持体に保持させた前記第2ユニットが設けられていることを特徴とするものである。
これによれば、本実施形態について説明したように、複数の第1クリーニングブラシローラ102などのクリーニング部材を備えたベルトクリーニング装置100などのクリーニング装置においても、従来よりも保守費用を低減することができるクリーニング装置を提供できる。
(態様D)
トナー像を担持する感光体1などの像担持体と、該像担持体に担持したトナー像を中間転写ベルト8などの被転写体上に転写する1次転写ローラ9などの転写手段と、前記像担持体から前記被転写体上にトナー像を転写した後に、前記像担持体の表面上に付着している付着物である転写残トナーをクリーニングするベルトクリーニング装置100などのクリーニング装置とを備える画像形成装置において、前記クリーニング装置として、(態様A)乃至(態様C)のいずれか一のクリーニング装置を備えたことを特徴とするものである。
これによれば、本実施形態について説明したように、(態様A)乃至(態様C)のいずれか一のクリーニング装置と同様な効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 感光体
2 帯電装置
4 ドラムクリーニング装置
5 現像装置
6 プロセスユニット
7 転写ユニット
8 中間転写ベルト
9 1次転写ローラ
10 従動ローラ
11 駆動ローラ
12 2次転写対向ローラ
13、14、15 クリーニング対向ローラ
16 テンションローラ
17 塗布ブラシ対向ローラ
18 2次転写ローラ
71 後側板
72 前側板
100 ベルトクリーニング装置
101 第1サブユニット
102 第1クリーニングブラシローラ
103 第1回収ローラ
104 第1掻き取りブレード
105 第1スクリュ
106 第1サブユニットケーシング
106a 第1位置決め突起
106b 第2位置決め突起
106c 第1上側サブユニットケーシング
106d 第1下側サブユニットケーシング
106e ネジ
107 取り付けネジ
111 第2サブユニット
112 第2クリーニングブラシローラ
113 第2回収ローラ
114 第2掻き取りブレード
115 第2スクリュ
116 第2サブユニットケーシング
121 第3サブユニット
122 第3クリーニングブラシローラ
123 第3回収ローラ
124 第3掻き取りブレード
125 第3スクリュ
126 第3サブユニットケーシング
135 第4スクリュ
150 サブユニット保持体
160 メインフレーム
161 位置決めピン
163 第1カップリング
163 第1主位置決め凹部
164 第1副位置決め凹部
165 第1カップリング
166 第1トナー排出開口
167 第1サブユニット受部
173 第2主位置決め凹部
174 第2副位置決め凹部
175 第2カップリング
176 第2トナー排出開口
177 第2サブユニット受部
183 第3主位置決め凹部
184 第3副位置決め凹部
185 第3カップリング
186 第3トナー排出開口
187 第3サブユニット受部
188 第4トナー排出開口
190 サイドプレート
191 位置決め穴
192 ネジ
193 ネジ開口
200 潤滑剤塗布装置
201 塗布ブラシローラ
202 固形潤滑剤
L レーザー光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開2007−025173号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃体の表面に当接しながら、前記被清掃体の表面に付着している付着物をクリーニングするクリーニング部材と、前記クリーニング部材と当接し、前記クリーニング部材がクリーニングした付着物を回収する回収部材と、前記回収部材にて回収した付着物を前記回収部材から掻き落とす掻き落とし部材と、前記掻き落とし部材により掻き落とされた付着物を搬送する第1搬送部材とを備えたクリーニング装置において、
前記クリーニング部材、前記回収部材、及び前記掻き落とし部材を第1保持体に保持させた第1ユニットと、前記第1搬送部材を第2保持体に保持させた第2ユニットとから構成され、
前記掻き落とし部材が、前記第1保持体の外周部に取り付けられていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記掻き落とし部材は、前記第1保持体に対して脱着可能に取り付けられていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
前記クリーニング部材と前記回収部材との当接位置から飛散する付着物を搬送する第2搬送部材を設けて前記第1ユニットの前記第1保持体に保持させ、
前記第1ユニットは、前記被清掃体の表面移動方向に沿って順に並ぶように複数設けられ、前記被清掃体の表面移動方向の最上流側の第1ユニットの更に上流側に前記第2ユニットが設けられていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
トナー像を担持する像担持体と、該像担持体に担持したトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、前記像担持体から前記被転写体上にトナー像を転写した後に、前記像担持体の表面上に付着している付着物である転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置とを備える画像形成装置において、
前記クリーニング装置として、請求項1乃至3のいずれか一に記載のクリーニング装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−57703(P2013−57703A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194546(P2011−194546)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】