説明

クリーニング装置および画像形成装置

【課題】簡単な構成によって残トナーのクリーニングに用いられる部材の経時劣化、特に摩耗などを抑えて長寿命化を図るとともに、トナーのすり抜け解消を迅速に行える構成を備えたクリーニング装置を提供する。
【解決手段】転写後の像担持体上に残存するトナーを除去するために用いられるクリーニング装置であって、前記像担持体上の残トナーに有する極性を揃える極性制御部材101と、該極性制御部材101により極性が揃えられた残トナーを静電的に清掃する部材102と、該清掃部材102に転移した残トナーを回収する回収部材103と、該回収する部材103から残トナーを除去するブレード104とを備え、前記回収部材103の駆動源が他の部材とは独立して設けられ、他の部材の動作態位とは別に単独でオン・オフ制御されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、重合トナーなどの真球化されたトナーを対象としたクリーニング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、複写機やプリンタあるいは印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体に対して帯電工程により一様帯電が行われると、画像情報などに基づく光書き込み処理によって静電潜像が形成される。
【0003】
感光体上の静電潜像は、現像装置から供給されるトナーにより可視像処理された後、転写手段を用いて紙などの記録媒体あるいは中間転写体に転写される。記録媒体への転写は主にモノクロ画像形成時に行われ、中間転写体への転写はフルカラー画像などの多色画像を形成する場合に行われる。多色画像形成時には、中間転写体に各色の画像を順次転写して重畳画像を記録媒体に対して一括転写する場合と中間転写体としてベルトが用いられた場合にはベルト上に記録媒体を吸着保持した状態で各色の画像形成ステーションを移動させる過程で各色の画像を重畳転写する場合とがある。いずれの場合にも、最終複写出力としては記録媒体に転写されたトナー像ということになる。
【0004】
像担持体には前述した感光体だけでなく、各色の画像形成ステーションにおいて形成された画像を転写される中間転写体も含まれている。
【0005】
ところで、中間転写体に各色の画像を順次転写する場合で説明すると、中間転写体は、重畳画像を記録媒体に一括転写した後、未転写トナーなどが含まれる残存トナーをクリーニングされる。クリーニングの目的は、残存トナーの存在が、次に転写を受ける記録媒体に対してそのトナーを転写して地肌汚れを招く原因となるのを防ぐためである。
【0006】
そこで、従来では、クリーニング処理に用いられる構成として、ブレードクリーニング方式を用いたものがよく知られている。
【0007】
ブレードクリーニング方式は、クリーニング対象に対してブレードを当接させて移動してくる残存トナーを堰き止めることでクリーニング対象からトナーを掻き取ることができる。
【0008】
ところで、近年では、高解像度の高画質が要求されてきていることから、使用されるトナーに関しても、それまで使用されていた粉砕法によるトナーに代えて粒径を小さく揃えることができることおよび真球化が可能な重合法によるトナーが用いられるようになってきている。
重合法によるトナーは、球形化することで転写効率が向上し、転写残トナーとして廃棄される量が少なくなるという利点があるために多用される傾向にある。
【0009】
以下にその理由について説明する。
トナーは現像工程で現像バイアスを印加された状態で感光体などの像担持体上に担持されている静電潜像に供給される。
そのときの像担持体上での潜像電位および現像バイアスによって像担持体に付着すると像担持体表面に作用する主な力として、鏡映力とファンデルワールス力がある。鏡映力は電荷量とその距離に大きく依存する。
【0010】
従来の粉砕法によって生成された粉砕トナーはその表面に凹凸があり摩擦帯電により、凸部が集中的に帯電される。これに対して重合法によって生成された重合トナーはその表面が球形又は球形に近い形状を有するため表面が均一に帯電される。そして粉砕トナーにおいては、凸部で接触し非常に近接した領域に多くの電荷が存在するために、鏡映力増大する。一方、重合トナーのよう球形をしていると、接触状態はほとんど点状になり、且つ近接領域の電荷量も少なく、粉砕トナーに比べて鏡映力が小さくなる。
【0011】
粉砕トナーを用いた場合には、多くのトナーの中には上記のような凸部で接触するトナーが多数存在し、この場合にはファンデルワールス力は非常に大きくなる。これに対して、重合トナーは表面形状が球状であるためトナーはほとんど点で接触する。よって、ファンデルワールス力も重合トナーの方が小さくなる。
【0012】
このように、接触力の観点から、球形に近い重合トナーの場合、感光体に対する鏡映力、ファンデルワールス力、つまり付着力が小さくなり転写における転写残トナーが少なくトナー消費量が少なくできて経済的に有利である。
【0013】
しかし、転写残トナーをクリーニングする場合には、小粒径化されて真球化されている重合トナーがブレードと像担持体表面との間をすり抜けやすくなる。このため、ブレードを用いてこの重合法で製造される小径且つ球形のトナーをクリーニングするには、ブレードを強い力(例えば、線圧として100gf/cm以上)で像担持体上に押し付けて堰き止めること必要となる。
【0014】
強い力で押し付けることは、ブレードや像担持体表面層の磨耗が加速される。
具体的には、感光体ドラム、クリーニングブレードの磨耗等により寿命が極端に短くなる通常の線圧:20gf/cmでの感光体寿命(感光層が1/3程度削れる時の寿命)はΦ30で約100kp、クリーニングブレード寿命(削れてクリーニング不良が発生する時の寿命)約120kpであるが、上述したように、強い力(線圧:100gf/cm)で押し付ける時には、感光体の寿命が約20kp、でクリーニングブレードの寿命は約20kp程度に低下してしまう。
更に強い力でブレードを押し付ける為、像担持体を駆動するためのモータトルクも大きくしなくてはならないなどの欠点がある。
【0015】
そこで、像担持体へのダメージ低減と小径でかつ円形度の高いトナーをクリーニングする方式として静電気力でトナーを吸着させる静電ブラシローラを用いた方式が検討されている(例えば、特許文献1,2)。
【0016】
特許文献1には、 残トナーが表面に存在する像担持体の移動方向において上流側にトナーと同極性のバイアス印加が可能なスクレーパなどを用いた帯電部材を像担持体に接触させて配置し、下流側に帯電部材と逆極性のバイアス印加が行われているブラシを像担持体に接触させて帯電部材による残トナーの掻き取りと残トナーの極性揃えを行い、次いでブラシにより帯電部材で掻き取られなかったところの、極性が揃っている状態の残トナーをその極性と逆極性を印加してブラシにより掻き取るようにした構成が開示されている。
【0017】
特許文献2には、ブラシローラおよび回収ローラに対するバイアス条件を環境条件の変化に対応して切り換えるようにした構成が開示されている。
【0018】
【特許文献1】特許第3900283号
【特許文献2】特開平04−29283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記の特許文献に開示されているように、ブラシローラと極性を揃える構成とを組み合わせる場合には、例えば、極性を揃える極性制御部材としてブレードを用いた場合を対象として説明すると、ブレード状極性制御部材が経時により数十μm摩耗した場合でも極性制御部材を通過した後のトナーの極性を単一極性に制御することができ、その後、良好にブラシを用いた掃き取りが可能となることが予測できる。
【0020】
この理由の一つに、ブラシとブレードとの構造上の違いが挙げられる。つまり、ブラシの場合には、繊維が撓みながら像担持体に接触していることからブレードのような剛体が圧力を付加されて接触している場合と比べて摩耗において有利である。さらに、ブラシの場合には毛倒れしにくいような腰の強い繊維を選択すれば、ブラシローラと像担持体の接触部、いわゆるニップ幅も経時で安定するため、ブラシローラとゴムブレードとを比較した場合にブラシローラの方がその性能を長期にわたって維持でき、長寿命であるといえる。
【0021】
しかしながら、ブラシローラにトナーが付着したままの状態が続くと、トナークリーニング性能が低下することはいうまでもない。そこでブラシローラに付着したトナーを掻き落とす機能を備えた部材をさらに付設する必要があり、この部材としてローラおよびローラに当接するブレードなどを用いる構成が考えられる。
【0022】
この構成においてブレードが用いられると、経時での摩耗の問題が再発する虞が十分にある。
ブレードを用いることが可能な部材としては、極性制御部材があり、極性制御部材と上述したトナーの回収側に位置するブレードとをトナーのすり抜けに対する許容範囲に関して比較すると、回収側のブレードの方が許容範囲において狭い。つまり、トナーのすり抜けを行わせないようにすることが求められる。以下に、許容範囲の考え方について説明する。
ブレードを用いた極性制御部材では、経時で磨耗してトナーがすり抜け始め、最初は1本、2本程度のスジ状にすり抜けが発生し、次第に悪化して帯状にすりぬけるようになっても、極性制御ができていればブラシローラでクリーニング可能である。なお、トナーのすり抜けは、ブレードが何μm程度の磨耗が生じた際に発生するという単純な相関はなく、像担持体の表面状態や使用環境の温湿度によってもすり抜けの程度が変化する。
【0023】
一方、回収側のブレードでは、経時で磨耗してトナーがすり抜けると、回収される側の部材が、例えば、ローラ(以下、回収ローラと称する)であるとすると、回収ローラ上には回転方向に1周分のトナースジ(筋)ができ、そのトナースジの部分はブラシからトナーを回収することができない。トナースジの幅が1mmくらいであれば、ブラシ繊維は撓み性があるので、なんとか撓みながらトナースジのない正常な回収ローラ表面によってトナー回収が行なわれるが、トナーすり抜けが悪化し、スジ状から帯状にすり抜けるようになると、もはや回収ローラは機能しなくなる。
【0024】
回収ブレードクリーニングのクリーニング不良発生がこの静電クリーニングユニットの寿命となるため、回収ブレード磨耗や、めくれを防止することが、静電クリーニングユニットの長寿命化に直結しているといえる。
【0025】
回収側のブレードに生じる磨耗やめくれを防止する際に、常時トナーが入力されていれば(進入してくれば)、トナーがブレードエッジにたまり、回収ローラ表面と回収ブレードの間に挟まりながら適度な潤滑材として機能することも考えられる(例えば、参考文献としての特許第2650926号)。
【0026】
ところが、ブレードを用いた極性制御部材では、新品状態で転写残トナーをすべて良好にクリーニングしてしまい、ブラシローラに入力(進入する)するトナーがなく、従って回収ローラにも暫くの間、トナーの入力がないため、潤滑剤としての機能を持たせることができるトナーがないことで潤滑材がないままと同じ状態で回収ローラを回転しつづけることになる。
【0027】
このような条件では回収側のブレードにおいて磨耗が加速され、またブレードめくれの危険性が増加し、その結果、静電クリーニングユニットの寿命が短くなる虞がある。
【0028】
本発明の目的は上記従来のクリーニング装置における問題に鑑み、簡単な構成によって残トナーのクリーニングに用いられる部材の経時劣化、特に摩耗などを抑えて長寿命化を図るとともに、トナーのすり抜け解消を迅速に行える構成を備えたクリーニング装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この目的を達成するため、本発明は、次の構成よりなる。
(1)転写後の像担持体上に残存するトナーを除去するために用いられるクリーニング装置であって、
前記像担持体上の残トナーに有する極性を揃える極性制御部材と、該極性制御部材により極性が揃えられた残トナーを静電的に清掃する部材と、該清掃部材に転移した残トナーを回収する回収部材と、該回収する部材から残トナーを除去するブレードとを備え、
前記回収部材の駆動源が他の部材とは独立して設けられ、他の部材の動作態位とは別に単独でオン・オフ制御されることを特徴とするクリーニング装置。
(2)前記回収部材の駆動源は制御部に接続され、該制御部には、クリーニング装置の稼働状態を検知する新品検知機構が接続され、
前記制御部は、新品状態から一定時間の間の前記回収部材の駆動および前記極性制御部材と前記ブレードとに対するバイアス電圧の印加を停止させ、上記一定時間経過後に前記駆動の開始およびバイアス電圧の印加を開始することを特徴とする(1)に記載のクリーニング装置。
(3)前記回収部材には潤滑剤が接触させて設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載のクリーニング装置。
(4)前記回収部材は、前記像担持体に形成されて転写されない状態で残っている残トナーを回収可能であり、該残トナーの回収時には、前記制御部からの信号により駆動されることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のクリーニング装置。
(5)前記制御部は、前記転写されない状態と異なる状態で大量の転写残トナーの存在を判断した場合に前記回収部材の駆動および前記極性制御部材とブレードとに対するバイアス電圧の印加を行うことを特徴とする(1),(2)または(4)のいずれかに記載のクリーニング装置。
(6)前記転写されない状態と異なる状態で大量の転写残トナーが存在する状態として、トナーの転写対象となる記録媒体の搬送不良時であることを特徴とする(5)に記載の画像形成装置。
(7)前記制御部は、前記回収部材の使用環境での温度検知手段が接続され、該温度検知手段による検知結果に応じて前記回収部材の駆動および極性制御部材と前記ブレードとに対するバイアス電圧の印加をオン・オフ制御することを特徴とする(1)に記載のクリーニング装置。
(8)前記制御部は、前記極性制御部材を通過した像担持体上での残トナーの有無情報に対応して前記回収部材の駆動制御を行うことを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載のクリーニング装置。
(9)前記極性制御部材を通過した像担持体上での残トナーの有無を検知する手段として、像担持体上での残トナーの量に応じて出力が変化する光学検知手段が用いられることを特徴とする(8)に記載のクリーニング装置。
(10)(1)乃至(9)のいずれかに記載したクリーニング装置を用いる画像形成装置であって、
前記像担持体は、潜像形成が可能な部材であり、該潜像形成可能な部材が前記クリーニング装置によりクリーニングされることを特徴とする画像形成装置。
(11)前記像担持体に形成された静電潜像の可視像処理に用いられるトナーとして、体積平均粒径が3〜8μmで、かつ、体積平均経(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるトナーが用いられることを特徴とする(10)に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、回収部材の駆動源が他の部材とは独立して設けられ、他の部材の動作態位とは別に単独でオン・オフ制御されるようになっており、特に、回収部材の駆動源は制御部に接続され、該制御部には、クリーニング装置の稼働状態を検知する新品検知機構が接続されており、該制御部において新品状態から一定時間の間の前記回収部材の駆動および前記極性制御部材と前記ブレードとに対するバイアス電圧の印加を停止させ、上記一定時間経過後に前記駆動の開始およびバイアス電圧の印加を開始するようになっている。これにより、極性制御部材の摩耗が発生するまでの間に残トナーのクリーニングに用いられる部材の経時劣化、特に摩耗などを抑えて長寿命化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面により本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明に関する実施形態を説明する前に、実施形態の説明に用いるトナーQ/M(トナーの単位重量あたりの電荷量)、トナー帯電量分布の測定方法を挙げると次の通りである。なお、極性制御率は、以下の通り定義する。
トナーQ/M:記録媒体への転写を行わないトナーパッチパターン画像を像担持体の一つであって、潜像担持体に相当する感光体上に形成し、像担持体を現像、転写、極性制御の各工程を通過させた後、画像形成装置のメインスイッチを強制的にオフして感光体上に残っているトナーを吸引手段により吸引しながらそのトナーのクーロン量をクーロンメータ(ケスレー社製エレクトロメータ617)により測定し、吸引手段により吸引したトナーの重量とクーロン量から単位重量あたりのトナー電荷量(μC/g)を算出する。
トナー帯電量分布:ホソカワミクロン E−SPARTアナライザで測定。感光体上に付着したトナーをエアーで吹き飛ばして測定部に落下させ、トナー1個ずつの粒径と電荷量を測定し、x軸に「電荷量/トナー粒径」、y軸に「頻度(%)=予め設定した「電荷量/トナー粒径」のヒストグラムの帯の範囲にある数(個)/サンプル全数(個)×100」を算出しグラフ化したものである。
極性制御率:前述のトナー帯電量分布の測定データをもとに算出する。
極性制御率(%)=制御したい極性のトナーの数(個)/サンプル全数(個)×100
なお、制御したい極性とは、感光体表面電位を比較対象としたときの、極性制御部材に印加している電圧の相対的な極性である。例えば感光体表面電位が−100Vで、極性制御部材印加電圧がー700Vの場合は、「トナーを−極性に制御している傾向」とする。 本方式のようなトナー極性制御および単一極性印加ブラシによる静電クリーニング方式では、クリーニングブラシに入力するトナーの極性が揃っていることが重要になる。言い換えると、極性制御率が高いことが重要となる。
【0032】
本発明によるクリーニング装置は、図1に示す画像形成装置に適用される。以下、画像形成装置の構成について説明する。
図1は、像担持体として用いられる感光体を含む作像ユニットをこれら作像ユニットからの画像転写を受ける中間転写体として用いられるベルトの展張方向に沿って並置したタンデム方式の画像形成装置を示している。
【0033】
図1において、画像形成装置1は、次に挙げる各装置を備えている。
原稿画像に応じた各色の画像を形成する画像形成ステーションに配置されている作像装置21Y、21C、21M、21Kと、各作像装置21Y、21C、21M、21Kに対向して配置された転写装置22と、各作像装置21Y、21C、21M、21Kと転写装置22とが対向する転写領域に転写紙を供給する給紙手段としての手差しトレイ23、給紙装置24に装備されている給紙カセット24Aと、該手差しトレイ23あるいは給紙カセット24から搬送されてきた転写紙を作像装置21Y、21C、21M、21Kによる作像タイミングに合わせて供給するレジストローラ33と、転写領域において転写後のシート状媒体に担持されたトナー像の定着を行う定着装置10である。
定着装置10は、詳細を説明しないが、転写紙の搬送路を挟んで一方側に位置する定着ローラおよびこのローラと加熱ローラとに掛け回されている定着ベルトと、定着ベルトを挟んで定着ローラと対向する加圧ローラを用いて定着ベルトの温度立ち上がりを早めながら熱および圧力の作用により画像を溶融軟化および浸透の各過程を経て転写紙に定着する熱ローラ定着方式が用いられている。
【0034】
転写装置22は、転写体として複数のローラに掛け回されているベルト(以下、これを中間転写ベルトという)22Aが用いられ、各作像装置における感光体ドラムと対向する位置には転写バイアスを印加する転写バイアス手段としての転写ローラ22Y、22C、22M、22Kがそれぞれ配置されている。
【0035】
転写装置22では、トナーと逆極性の転写バイアスを作用させることにより各作像装置において形成されたトナー像を順次、重畳転写される1次転写工程と、1次転写工程において転写された重畳画像が後述する二次転写バイアス手段22Fによって一括転写される2次転写工程とが実行されるようになっている。
【0036】
転写装置22には、中間転写ベルト22A上に重畳転写されたトナー像を転写紙に対して一括転写するための二次転写バイアス手段22Fが転写紙の搬送経路上に配置されている。
【0037】
図1において、各作像装置21Y、21C、21M、21Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタおよび黒の各色の現像を行うものであり、用いるトナーの色は異なるが、その構成が同様であるから、作像装置21Kの構成を各作像装置21Y、21C、21M、21Kの代表として説明する。
作像装置21Kは、静電潜像担持体としての感光体ドラム25K、感光体ドラム25Kの回転方向に沿って順に配置されている帯電装置27K、現像装置26K、クリーニング装置28Kを有し、帯電装置27Kと現像装置26Kとの間で書き込み装置29からの書き込み光29Kにより画像情報に応じた静電潜像を形成する構成が用いられる。静電潜像担持体としては、ドラム状の他に、ベルト状とする場合もある。これら感光体ドラムの周囲に配置されている画像形成用、換言すれば、作像用機器は纏めてユニット構造からなるプロセスカートリッジ(図示されず)内に収納されている。
画像形成時において感光体ドラム25Kは、図示されないメインモータにより回転駆動され、帯電装置27Kによって一様帯電されると書き込み工程が実行される。
【0038】
書き込み対象となる画像は、図示しない制御部からのデジタル画像情報に応じて書き込み装置29を用いて静電潜像形成のために書き込まれる。つまり、書き込み装置29では、デジタル画像情報に対応して各色毎で2値化されたレーザダイオード用発光信号に基づき発光するレーザ光源からのレーザ光がシリンダレンズ(図示されず)、ポリゴンモータ29A、fθレンズ29B、第1〜第3ミラー、およびWTLレンズを介して、各色の画像を担持する感光体ドラム、この場合には、便宜上、感光体ドラム25K上に照射され、照射された部分の感光体ドラム表面での表面電位が初期状態から低下することにより画像情報に対応した静電潜像が作像される。
【0039】
感光体ドラム25K上に形成された静電潜像は、現像装置26Kにより色分解色と補色関係にある色のトナーを用いて可視像処理されるが、現像工程では、例えば、現像スリーブにACバイアスを重畳したDC電圧が印加されることにより、書き込み光の照射により電位が低下した画像部分にのみトナーが付着して現像され、トナー像が形成される。
【0040】
現像工程により可視像処理された各色のトナー画像は、レジストローラ33によりレジストタイミングを設定されて繰り出される転写紙に転写されることになる。
中間転写ベルト22Aは、各作像装置での感光体ドラムに対向する位置で転写装置22に装備されている転写バイアス手段22Y、22C、22M、22BKによるトナーと逆極性のバイアス印加によって感光体ドラムからトナー像を静電転写され、重畳転写されたトナー像が二次転写バイアス手段22Fにより転写紙に一括転写される。
【0041】
各色の転写工程を経た転写紙は、中間転写ベルトユニットの駆動側ローラ(便宜上、図1において符号22A1で示す)で中間転写ベルト22Aから曲率分離されて定着装置10に向けて搬送される。定着装置22では、定着ベルト22Aと加圧ローラとにより構成される定着ニップを転写紙が通過する際にトナー像が転写紙に定着されて、排紙トレイ32へと排出される。
図1に示した画像形成装置1では、定着後に排出される転写紙の片面への画像形成だけでなく両面への画像形成を行うことができるようになっている。このため、両面への画像形成時には、定着後の転写紙が反転循環経路RPに搬送され、この循環路末端に位置して手差しトレイ23からのシート繰り出しを兼ねる繰り出しローラRP1によってレジストローラ33に向け繰り出されるようになっている。片面および両面への画像形成時での転写紙の搬送路の切り換えは、定着装置10の後方に配置されている搬送路切り換え爪RP2によって行われる。
【0042】
図2は、転写装置22の要部を示す図であり、同図において転写装置22は、各作像装置からの画像が重畳されたものを二次転写バイアス手段22Fにより記録媒体として用いられる転写紙に一括転写された後に移動する位置に設けられているクリーニング装置100により中間転写ベルト22Aをクリーニングされるようになっている。
【0043】
中間転写ベルト22Aのクリーニングに用いられるクリーニング装置100は、その構成が図3に示されている。
図3においてクリーニング装置100は、中間転写ベルト22Aに残存する転写残トナーなどの残トナーに対してバイアス電圧を印加して残トナーの極性を揃えるように制御するブレードを用いた極性制御部材101と、極性制御された残トナーを掃き取ることができるブラシローラ102と、ブラシローラ102に接触してブラシローラ102に付着した残トナーを回収する回収ローラ103と、回収ローラ103に接触して回収ローラ103に付着している残トナーを掻き取ることができる回収ローラクリーニングブレード104と、回収された残トナーを画像形成装置の廃トナータンクに向けて搬送あるいは現像装置に再循環させる回収コイル105とを備えている。
【0044】
クリーニング装置100に装備されている各部材にはバイアス電源110,111,112,113が接続されており、極性を設定されたバイアス電圧を印加されることにより、中間転写ベルト22Aの残トナーを静電的に吸着する静電クリーニングが行われるようになっている。
【0045】
ここで、静電クリーニングの原理について説明すると、次の通りである。
図18は、トナーの移動モデルを説明するための図であり、同図において、ブラシローラのブラシ繊維の電位Vb、回収ローラ表面の電位Vrの関係で示している。トナーは「−極性」の電荷(OPC上:Q1、ブラシ上: Q2、回収ローラ上: Q3としている)を持っている。そして、それぞれのポテンシャル(電位)Vb、Vrの差によって形成される電界によって移動すると考える。
図18では、感光体上からブラシ上への移動を「一次クリーニング」、ブラシ上から回収ローラ上への移動を「二次クリーニング」とした。
【0046】
このように、クリーニングブラシおよび回収ローラとの間のポテンシャルの差を利用して静電的にトナーを転移させる方式においては、上流側でのブラシローラと下流側でのブラシローラとに印加される電圧の極性を異ならせることで像担持体上に混在している極性を持つトナーの回収が行えることになる。
【0047】
このような静電クリーニングを実行するために、本実施形態におけるクリーニング装置100を構成する各部材は、次の構成条件が用いられている。
極性制御部材101は、中間転写ベルト22Aに接触する先端を備えたブレード(以下の説明では、極性制御ブレード101とする)が用いられており、中間転写ベルト22Aに残存する残トナーの極性を揃えるためのバイアス電圧を印加するようになっている。
つまり、中間転写ベルト22A上の残トナーには、図9(A)における転写残トナーA、あるいは図9(B)における転写残トナーBのように、「+極性」と「−極性」とが混在している。このため、極性制御ブレード101では、これら両極性が混在する残トナーの極性をいずれかの極性に揃えるようになっている。
【0048】
極性制御ブレード101は、ポリウレタンゴムを素材とした弾性体で構成されており、カーボンブラックやイオン系の導電剤を混練することで導電性が備えるようになっている。
極性制御ブレードの特性値は表1に示すとおりとなっている。
表1において、極性制御ブレード101の電気抵抗は、1×10Ω・cmと、1×10Ω・cmの2水準で実験を行ったが極性制御性能にあまり差がみられないため、この2種の抵抗の間であればよいといえる。なお、表1においては、1×10Ω・cmのものを符号E8で示し、1×10Ω・cmのものを符号E6で示す。
【0049】
【表1】

【0050】
また、極性制御ブレード101は板金上に接着された板状で厚みが2.4、2.8mm、自由長が7〜9mm、JIS−A硬度計で60〜80、反発弾性は45%で行ったが、この値以外でも可能である。
その厚みは2〜3mmの範囲内とするのが良い。厚さが薄すぎると、中間転写ベルト22Aの表面およびトナー極性制御ブレード101自体のうねり等によって中間転写ベルト22Aへの押しつけ量が確保しにくくなる。
硬度はJIS−A硬度計で40〜85の範囲内であれば良い。また、中間転写ベルトとの当接圧は20〜40g/cm、当接角度20°に設定したが、これ以外の値でも良い。
【0051】
極性制御ブレード101は、上述したように、残トナーの極性を揃えるという機能の他に、中間転写ベルト22Aに先端を接触させていることで中間転写ベルト22Aの残存トナーの掻き取りを行う機能も備わっている。
【0052】
後者の機能を発揮させるための条件として、中間転写ベルト22Aなどの像担持体への喰い込み量を適度な値(0.5mm〜1mmが適当であるが、これ以外の値でも可である)に設定することが望ましい。この条件によれば、極性制御ブレード101が新品のときには、トナーを中間転写ベルト22Aなどの像担持体から除去する機能が充分に発揮され、ブレードからすり抜けるトナーは皆無である。
ここで掻き落とされたトナーはブレードから自然に落下し回収部に収容され、回収コイル105によって搬送され廃トナー回収部に回収される。
【0053】
ところで、極性制御ブレード101は、経時により像担持体との接触条件が変化する部材である。つまり、作像動作をA4サイズの紙で数万回繰り返していくと、ブレードは像担持体との摺擦で磨耗する。このため、摩耗の進行によって先端では残トナーがすり抜けるようになる。
【0054】
そこで、極性制御ブレード101では、すり抜けて掻き取りができなかった場合の残トナーに対する電荷注入による帯電量の制御によって残トナーの極性を揃えて次段のブラシローラによる残トナーの掃き取り効率を向上させるようになっている。
【0055】
図9は、残トナーに対する極性制御ブレード101での帯電量の制御を説明するための図である。
【0056】
図9(A)、(B)の結果は、ホソカワミクロン製E−スパートアナライザで、トナー1個ずつの電荷量Qとそのトナーの粒径dを測定したデータをもとに、或る条件で図2に示す作像装置で作像した時の中間転写ベルト上での転写後の残トナー数百個をサンプリングした時のQ/d(単位はfC/μm)分布を表している。
【0057】
図9(A)は、転写残トナーAをトナー極性制御ブレード520によって極性制御した場合の図、図9(B)は、転写残トナーBをトナー極性制御ブレード520によって極性制御した場合の図である。
【0058】
ここで、極性制御ブレード101へは、トナーの帯電極性と同じ極性(−極性)の電圧が印加されており、トナーが極性制御ブレード101をすり抜けて行く時、中間転写ベルト22Aと極性制御ブレード101とにより形成された楔部の入り口と出口の微小ギャップ部の放電あるいは電荷注入によりトナーを正規の帯電極性(−極性)に帯電する。例えば、像担持体が中間転写ベルトの時、印加電圧は−3000Vとする。これは、中間転写ベルト22A側の抵抗によって電流が流れすぎるとブレードが劣化するのを防止するためである。
電流値が30〜100μAになるように印加電圧および中間転写ベルト抵抗を調節する。
制御されたトナーのQ/d分布を図9(A)、(B)に示す。
入力(極性制御ブレード101の先端に進入することを意味する)トナーである転写残トナーのQ/d分布は画像面積率や紙サイズ、環境温度・湿度などによって種々に異なるため、極性制御後のQ/d分布も異なる(AとBの違い)が、どちらもほぼ単極性に制御することができる。
さらに、紙間で作像されて転写紙に転写されず、画像調整用に用いられるトナーパターンや、通紙中に紙詰まりを起こして不給紙となり中間転写ベルト22A上に残る未転写トナーは、正規帯電極性のままである。
これらの未転写トナーに対して同じ極性の電圧を印加すると、図9(C)に示すように、さらに「−極性」側に帯電する。
【0059】
図9(B)からも明らかなように、極性制御ブレード101をすり抜ける残トナーは、中間転写ベルト22Aと極性制御ブレード101とにより形成された楔部の入り口と出口の微小ギャップ部の放電あるいは電荷注入によりトナーを正規の帯電極性(−極性)に帯電されて極性を揃えられることになる。
【0060】
次に、極性制御ブレード101による極性制御が行われた残トナーが対向するブラシローラ102、回収ローラ103および回収ローラクリーニングブレード104について説明する。
ブラシローラ102は、極性制御ブレード101をすり抜けたトナーの極性と逆極性のバイアス電圧を印加された部材であり、残トナーを静電吸着することで回収するようになっている。
ブラシローラ102は、導電性ポリエステルなどのブラシ繊維が芯金の周面に植毛されて構成されており、芯金に残トナーの極性と逆極性のバイアス電圧(+極性)が電源111から供給されている。
【0061】
ブラシローラ102に接触する回収ローラ103は、ブラシローラ102でのバイアス電圧よりも高い同極性のバイアス電圧が電源112から供給されており、ブラシローラ102との間の電位勾配によってブラシローラ102に付着している残トナーを静電吸着する。
【0062】
回収ローラクリーニングブレード104は、回収ローラ103に付着している残トナーを掻き取る機能に加えて、回収ローラ103へのバイアス手段としての機能を備えている。
【0063】
つまり、ブラシローラ102に接触して残トナーを回収する回収ローラ103は、その表面に残トナーが堆積してくると、表面電位が低下してしまい、ブラシローラ102のブラシ先端部との間での電位勾配を維持することができなくなる。
特に、連続印刷時などには残トナーの量も多くなることによって回収ローラ103側の表面電位の低下が顕著となる。
【0064】
そこで、回収ローラ103の表面電位低下を防ぐために、回収ローラ103の表面に接触する回収ローラクリーニングブレード104を用いて電荷供給することにより回収ローラ103の表面電位の低下を防止してブラシローラ102側からの残トナーの回収率が低下するのを防止できるようになっている。
【0065】
回収ローラクリーニングブレード104による電荷の供給は、極性制御ブレード101の新品時などのように、残トナーのすり抜けが比較的少ない時期、さらには、トナー供給が多くなる連続印刷時などが対象となる。
後者の場合を対象とする理由は次の通りである。
例えば、A4版の転写紙1枚のみを対象として印刷するような場合には、回収ローラ103により回収される残トナーの量も少ないものの、極性制御ブレード101に摩耗が生じていると、連続印刷時などのように大量の残トナーが発生した場合に極性制御ブレード101をすり抜ける残トナーの量も多くなる。このため、回収ローラ103での表面電位の維持が大量の残トナーを回収できるようにするために不可欠となることから、このような時期を対象としている。
【0066】
また、回収ローラ103での表面電位の維持が困難となる場合としては、印刷時の他に、温度湿度が影響する環境変化がある。
低温低湿環境下では高温高湿環境下よりも極性制御ブレード102からの残トナーのすり抜けが多くなるので、このような場合に対してもブラシローラ102に付着する大量の残トナーに対応できるように回収ローラ103側での回収能力を維持しておく(表面電位を維持しておく)ことが重要となる。
なお、回収ローラ103における表面電位が所定値に維持されなくなると、ブラシローラ102からの残トナーの回収が不十分となり、ブラシローラ102に堆積した残トナーの一部が像担持体である中間転写ベルト22Aに再付着するなどの弊害が生じる。
【0067】
以下に、ブラシローラ102,回収ローラ103および回収ローラクリーニングブレード104の機械的および電気的な特性条件を挙げる。
(ブラシローラ102)
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル)
ブラシ抵抗:10Ω(印加電圧100〜600V)
ブラシ軸印加電圧[V]:400V
ブラシ植毛密度:10万本/inch、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の毛倒れ処理あり、ブラシ径φ15mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
ブラシ繊維は繊維全体としては導電性であるが、繊維表面は絶縁層で覆われているものを用いる。繊維表面に絶縁層を有することで、ブラシと中間転写ベルトが接触する際に電流が流れにくくなり、ブラシ繊維が中間転写ベルトからトナーを静電吸引する際に余分な電流が流れにくくなるためトナーに逆極性の電荷を与えてしまうことがなく、いったんブラシに捕捉したトナーを逆に中間転写ベルト上に付着させる恐れがすくなくなる。ただし、このようなブラシを使用しても、繊維表面の絶縁の絶縁を破壊して電流を流すほどの電圧をブラシ軸に印加すると、結果として中間転写ベルトにトナーを戻してしまうことになるので、電圧値の設定には注意を要する。
【0068】
さらに、ブラシロール状に形成後、一方向に毛を倒す斜毛処理を施すと、繊維断面に露出している導電剤を中間転写ベルトに接触させにくくなるので、さらにトナーへの電荷注入性が低減され、クリーニング性の余裕度が向上する。
【0069】
本発明者は、ブラシの抵抗RがlogΩ=5、7、9で実験をおこなったが、LogΩ=9の時は抵抗が過剰に高いためクリーニング可能な印加電圧が大きくなり、電源コストがアップする。LogΩ=5の時は中間転写ベルトに電流を流しやすいため、logΩ=7のときより低い電圧でトナーが+極性に帯電し、中間転写ベルト22Aに再付着することを確認した。このことから、クリーニング性の余裕度が小さいといえ、logΩ=7の条件がもっとも適していることが判明した。
(回収ローラ103)
回収ローラ芯金材質:SUS、
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
回収ローラへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回収ローラ芯金印加電圧:+800V
(回収ローラクリーニングブレード104)
導電性カーボン含有ポリウレタンゴム体積抵抗:10Ω・cm(25℃50%にて測定)
ブレード当接角度:20°、ブレード厚み:2.8mm、回収ローラへのブレード喰い込み量:0.6mm
回収ブレードへの印加電圧:1200V
但し、ブラシ抵抗は直径10mmのSUSローラにブラシローラ1mm食い込ませて当接させて200mm/secで両方を回転させ、ブラシ芯金に電圧を印加して電流測定し抵抗を算出したものである。
【0070】
回収ローラ103は、SUSの芯金(φ14)の表面にPVDFを100μmの厚みで有し、さらにその表面にアクリル系のUV硬化樹脂層を有するもの(以下高抵抗ローラと称する)を用いた。ローラ抵抗は10℃15%環境下と32℃80%環境下でそれぞれ電圧1000V印加して電流を測定して算出し、logΩ=12〜13である。本実施例で用いたローラのみならず、導電性芯金に数μm〜100μmの高抵抗弾性チューブを被せたり、あるいはさらに絶縁コーティングしてローラ抵抗をlogΩ=12〜13にしたものでも同じ性能を得られる。さらに、回収ローラをクリーニングするブレード104を導電性ポリウレタンゴムにより形成し、ブラシローラ102、回収ローラ103、回収ローラ用導電性クリーニングブレード104にそれぞれ同極性の電圧を印加する。
【0071】
ところで、上述したクリーニング装置100を備えた画像形成装置においては、クリーニング装置100に装備されている極性制御ブレード101,ブラシローラ102,回収ローラ103および回収ローラクリーニングブレード104が全て接触する関係であるので、経時的な摩耗、特に、極性制御ブレード101の摩耗がトナーのすり抜け量に影響するという問題および、回収ローラ103と回収ローラクリーニングブレード104との間での経時的な摩耗という問題に対処するようになっている。以下、この問題および対処の要点について説明する。
【0072】
中間転写ベルト22Aを対象としたクリーニング装置100が新品の場合には、中間転写ベルト22A上での2次転写後に残存する残トナーは極性制御ブレード101によってほぼすべて掻きとられ、清掃済みの中間転写ベルト22Aがブラシローラ102によって摺擦され、さらにブラシローラ102は電圧を印加した回収ローラ103によって摺擦され、回収ローラ103表面は電圧を印加した回収ローラクリーニングブレード104によって摺擦される。
【0073】
このような摺擦による摩擦抵抗の増加を防止する構成として、図4に示すように、固形潤滑剤106を中間転写ベルト22A表面に塗布する構成がある。
潤滑剤塗布機能に関しては、ブラシローラ102の回転・摺擦により固形潤滑剤106の表面を摺擦して削り取ることで、粉状の潤滑剤がブラシローラに付着され、中間転写ベルト22A上に塗布される。これにより中間転写ベルト22Aの摩擦係数を低摩擦係数に維持することができる。
【0074】
しかしながら、残トナーのクリーニング機能に関しては、極性制御ブレード101の新品時には極性制御ブレード101によって全ての残トナーが掻き取られてしまうことから、ブラシローラ102、回収ローラ103、回収ローラクリーニングブレード104に対してトナーが入力されない(進入しない)ことになり、回収ローラ103はトナーの回収動作を行わず、無駄に回転しつづけることになる。しかも、同時に回収ローラクリーニングブレード104も回収ローラ103が回転している間中、接触していることによって磨耗が進行することになる。
【0075】
従って、極性制御ブレード101が未使用の新品状態から、極性制御ブレード101が磨耗してトナーがすり抜け始める時点(時間t1)までは、回収ローラ103の回転駆動を停止させて、回収ローラ103と回収ローラクリーニングブレード104の磨耗を防ぐようにすることが対処として考えられる。
【0076】
また、極性制御ブレード101およびブラシローラ102に対する電圧印加も停止するようにして、放電あるいは通電ストレスによる極性制御ブレード101およびブラシローラ102のブラシで発生する虞のある高抵抗化を低減する。
【0077】
極性制御ブレード101が磨耗してトナーがすり抜けるまでの時間t1は、ユーザーの使用環境やどのような原稿で作像するかなどの作像条件その他種々の条件によって厳密には異なるが、ユーザーの使用条件を幅広く想定してテストを行うことにより、ある程度見積もることが可能である。
【0078】
そこで、本実施形態では、n=4(4種類の印刷枚数)のトナーすり抜け試験を行うと、A4用紙の通紙で約50000枚、約70000枚、1300000枚、約100000枚と、ばらばらの通紙枚数となり、もっともはやくトナーすり抜けが発生したのは50000枚であった。
そこで、正常に稼動していれば、すくなくとも50000枚まではトナーすり抜けが発生しないと判断し、中間転写ベルトクリーニングユニットの新品検知を行い、A4通紙50000枚相当の中間転写ベルト走行時間(ベルト線速138mm/secでt1:約60時間)までは回収ローラ駆動を停止することとする。
但し、ベルトの線速やブレード材質、押し付け力その他の条件によって、前記時間t1は異なってくるため、厳密にはもっと多くのトナーすり抜け実験のデータ収集を行い、回収ローラ停止時間を設定することが望ましい。
【0079】
一方、経時磨耗が原因して極性制御ブレード101からのトナーすり抜けが起こることとは別の要因によるトナーすり抜け発生がある。
この場合の別の要因とは、クリーニングに用いられる各部材の帯電特性に影響する温度湿度、およびトナーの進入量に影響する条件、つまり、中間転写ベルト22A上での残トナーの量が多い場合がある。
後者の残トナーが多い場合とは、後述するが、転写紙搬送系での不具合発生時において本来転写されるべき画像が転写されないままとなる場合、あるいは、画像濃度制御のために形成されて転写工程を実行されないままとなる画像が形成される場合のように画像が転写されないことによって大量のトナーがベルト22A上に残ってしまったような場合を指す。
【0080】
したがって、前述したように、新品検知に基づく所定時間の間、つまりトナーのすり抜けが発生しない間はブラシローラ102や回収ローラ103の回転を停止するようにした場合でも、具体的には、新品検知してタイムカウンタを用いた走行時間測定結果をもとに回収ローラ103の駆動制御および極性制御ブレード101,ブラシローラ102,回収ローラ103,回収ローラクリーニングブレード104への電圧印加停止が行なわれている期間であっても、その駆動・電圧印加をONにする場合がある。以下にONすべき形態を説明する。
【0081】
まず、ONすべき形態の一つとして温度検知による制御について説明する。
つまり、回収ローラクリーニングブレード104などのゴム材料は温湿度の変動でゴム物性が変化してしまうのは周知である。
ポリウレタンゴムを用いる場合の極性制御ブレード101も例外ではなく、低温環境ではゴムが堅くなり、中間転写ベルト表面と喰い込み量1mmで接して摺動していても、中間転写ベルト表面に追従できなくなりトナーのすり抜けが発生しやすくなる。
【0082】
そこで、本発明者は、環境温度Tを変えて次のような加速試験を行い、温度とトナーすり抜けの関係を調べた。
加速条件:極性制御ブレードのクリーニングに寄与するエッジを、酸化アルミニウムの砥粒が全面に塗布されたフィルムにこすりつけて機械的に磨耗させ、エッジが20μm磨耗した劣化ブレードを作成した。
この劣化ブレードを10℃、15℃、20℃、30℃(いずれも湿度は15%)の環境で、全面ベタの未転写トナーパターンを連続でA4サイズ2枚分入力すると、10℃、15℃ではトナーのすり抜けが発生した。
従って、本実施例においては、15℃以下になるとトナーすり抜けが発生しやすいと判断した。
【0083】
さらに、中間転写ベルト上に大量のトナーが残って、これがすり抜けの原因となる場合としては、前述したように、転写紙の搬送不良などが発生した場合の未転写トナーの発生がある。
転写紙の搬送不良が発生すると、転写紙が本来の転写位置に達しな場合があり、この場合には、中間転写ベルト22Aに担持されているトナー像が転写されないまま残ってしまう。このような大量のトナーが中間転写ベルト22A上に残る場合としては、転写紙の搬送不良だけではなく、例えば、画像濃度調整制御の際に形成されて転写されることのないトナー濃度制御用パターン画像を作成した場合も含まれる。
【0084】
このような場合には、極性制御ブレード101による掻き取りが十分でないと、極性制御ブレード101をすり抜けるトナーが出てくる。特に、多色画像を重畳転写されるような場合には、トナーの付着量も多くなるばかりでなく、転写順序の最初のトナーは転写が繰り返されることで帯電量が多くなっていることから中間転写ベルト22Aに対する付着力も強く、極性制御ブレード101での掻き取りが不十分となることがある。
【0085】
以上のようなトナーのすり抜けが起こる条件を踏まえて、本実施形態で実施される制御について説明する。
図5および図7は、本実施形態におけるクリーニング装置の制御に用いられる制御システム系の構成を示す模式図である。
【0086】
図5は、極性制御ブレード101が新品である場合を対象として、回収ローラ103の回転制御を行うための制御システムを示しており、図7は、極性制御ブレード101の摩耗が進行した際に発生するトナーのすり抜け状況の検知に応じて回収ローラ103の回転制御を行うための制御システムを示している。
【0087】
図5において、制御部200は、画像形成処理シーケンスを実行するために用いられるマイクロコンピュータで構成されており、制御部200には、クリーニング装置100が新品の状態で画像形成装置1に装着された時点からの計時を行うタイムカウンタ201からの信号、画像形成装置1内での温湿度計202からの温度検知信号、画像濃度調整、いわゆる、プロセスコントロールが実行された際に出力されるパターン作成モード時の信号(図5では、パターン作成検知と表示してある)、転写紙の搬送不良を検知する搬送検知センサ(図5では、便宜上、不通紙検知と表示した部分の符号203で示す)などからの信号がそれぞれ入力される。
制御部200では、これらの入力信号に応じて極性制御ブレード101,ブラシローラ102,回収ローラ103および回収ローラクリーニングブレード104に対するバイアス電圧信号および、これら部材のうちで、独立して回転制御される回収ローラ104への駆動制御信号が出力されるようになっている。なお、図5では、制御部200に入力される信号の内容が表示されている部分に上記した各部材の符号がつけてある。
【0088】
タイムカウンタ201は、極性制御ブレード101から残トナーがすり抜け始める時期までを新品時から計時する部材であり、パターン作成モード検知信号は、画像濃度センサなどにより転写されないテストパッチ画像を形成する時期、つまり、画像形成装置の始動時などに出力されるものであり、さらに、搬送検知センサ203は、予め設定されている転写紙の搬送時間を検知することで正常な搬送状態か搬送不良であるかを判別するための信号を出力する部材である。
【0089】
図7では、図5に示した構成に加えて、トナーのすり抜けを光学的に検知する光学センサ204が設けられ、光学センサ204からの信号が極性制御ブレード通過トナー判定手段への信号として用いられる。なお、図7においては、図5に示したタイムカウンタが省略されているが、実際には図5の場合と同様に制御部200に接続されている。
【0090】
制御部200では、予め実験などによって求めておいたトナーすり抜けが発生する時期を登録しておき、タイムカウンタからの信号に応じて回収ローラ103をはじめとして静電クリーニングに係る部材の駆動制御を行う。この場合の駆動制御は、回転駆動だけではなく、電圧印加制御も含む。
【0091】
図6は、制御部200で実行される駆動制御マップであり、駆動制御マップは、極性制御ブレード101の新品時からの稼働時間(t)、この場合は、中間転写ベルト22Aの稼働時間が用いられて極性制御ブレード101に摩耗が発生してトナーのすり抜けが起こり始める時間(t1)と対比できる内容となっている。本実施形態においては、上記時間(t1)として、概ね60時間を設定している。
【0092】
以上のような構成の制御部200では、回収ローラ103を対象として、他のクリーニングに係る部材と独立して動作態位である回転制御を行うようになっており、その内容は、図8に示すフローチャートの通りである。
【0093】
(実施例1)
図8において、制御部200では、新品の中間転写ベルトクリーニング装置が画像形成装置本体にセットされると、この状態を、図示しないが、例えば、クリーニング装置を構成するユニットに貼付されているバーコードなどで確認する。確認した結果により新品であると判断した場合には、フラグを立ち上げてタイムカウンタ201を起動し、稼働時間(t)を計時する(ST1)。極性制御ブレード101が新品である場合には、後述するトナーのすり抜けが起こる時間(t1)に至るまでの間、回収ローラ103は停止されている。
【0094】
画像形成処理が実行されると、その処理に用いられる中間転写ベルト22Aの稼働時間が計時され、稼働時間(t)を図7に示した駆動制御マップに基づき所定時間、つまり、トナーのすり抜けが起こる時間(t1)と比較する(ST2)。
【0095】
ステップST2において、稼働時間(t)がトナーのすり抜けが起こる時間(t1)に達した場合には、回収ローラ103を回転させるように駆動モータをONする(ST3)。
【0096】
回収ローラ103が回転を開始されると、図6に示した駆動制御マップに基づき、図3あるいは図4に示した極性制御ブレード101、ブラシローラ102、回収ローラ103、回収ローラクリーニングブレード104に対して所定の電圧を印加する。なお、このとき、ブラシローラ102は別の駆動モータより回転されている(ST4)。
【0097】
図8において、極性制御ブレード101に対して、トナーのすり抜けが起こる時間(t1)までの間、極性揃えのためのバイアス電圧の印加が行われないのは、残トナーの掻き取り能力が高いためにトナーのすり抜けが起こらないためである。従って、トナーすり抜けが起こる時間(t1)に達してからは、掻き取り能力の低下があるので、残トナーの極性揃えの機能を優先させるためにバイアス電圧の印加が行われる。極性制御ブレード101による極性揃えは、図10に示すように、正負混在していた残トナーの極性を一方の極性に揃えることになる。
【0098】
ステップST2において、稼働時間(t)がトナーのすり抜けが起こる時間(t1)に相当していない場合には、温度検知センサ202からの検知温度(T)を入力し、検知温度(T)が予め定めた温度(T1)と比較される(ST5)。
この場合の予め定めた温度とは、前述したように、予備実験により求めた15℃が用いられるが、これに限るものではない。
【0099】
ステップST5において予め定めた温度(T1)よりも低い場合には、ステップST3以降の処理が実行される。ステップST5において検知温度(T)が予め定めた温度(T1)より大きい場合には、回収ローラ103の回転動を行わず、また極性制御ブレード101とブラシローラ102と回収ローラ103と回収ローラブレード104への電圧印加も行わない。この場合は中間転写ベルト22Aが駆動中にはブラシローラ102の回転駆動のみを行う。
【0100】
なお、上記動作中にブラシローラ102のみの回転駆動を行うのは、静止させ続けると中間転写ベルト22Aや回収ローラ103と喰い込み量1mmで接触していることが原因して、毛倒れが生じるのを防止するためである。
【0101】
以上のような構成においては、極性制御ブレード101においてトナーのすり抜けが起こり始めた時点で回収ローラ103の回転を行わせるようになっているので、極性制御ブレード101が新品の時から継続して回転させている場合と違って、回収ローラ103およびこれに接触している回収ローラクリーニングブレード104の摩耗を低減させることに大きく貢献できる。しかも、極性制御ブレード101において摩耗が進行し、トナーのすり抜けが起こった場合には、これに対応して回収ローラ103を回転させることができるので、摩耗低減に加えて、回収ローラ本来の機能である、ブラシローラ102に付着したトナーの確実な回収が行えることになる。
【0102】
(実施例2)
本実施例は、転写されないトナー像が中間転写ベルト22Aに形成された場合の回収ローラ103の駆動制御に特徴がある。
【0103】
まず、この制御を行う背景について説明する。
画像形成装置では、従来から、高画質化および同じ画像の繰り返しで色味が再現できるように画像濃度を一定に維持するために画像濃度制御、いわゆる、作像プロセスの条件、具体的には、帯電バイアスや書き込み光量あるいは現像剤の濃度や現像バイアスなどを対象として調整制御が行われている。
【0104】
上述した調整制御には、例えば、色毎に数十個のパターン画像を形成し、その濃度が目標とする濃度となるように各作像条件を調整する作業が行われる。
【0105】
さらに、調整制御の他の項目として、複数色の画像を重畳転写する場合の転写位置のずれを矯正する項目がある。この場合には、像担持体上に位置ずれ補正パターン画像を形成し、補正パターン画像を検知センサにより検知して各色の画像位置ずれを割り出すようになっている。
【0106】
いずれの場合にも、像担持体に形成される画像は、通常の画像よりも高濃度のベタ画像が用いられるために、トナーの付着量および帯電量もかなり高い。
【0107】
複数の色画像を形成する画像形成装置では、中間転写体に重畳転写することがあり、この場合には、前述したように、中間転写体上に大量のトナーが残ることになるので、クリーニング装置による回収能力も高くなければならない。調整制御に用いられる画像は、像担持体の幅方向全域ではなく、幅方向一方側の端部に形成されることが多い。このため、極性制御ブレードに対しては常に同じ位置に大量のトナーが進入することになる。これによって、新品時からの稼働時間が上述した時間(t1)に達しなくてもトナーのすり抜けが発生することがある。
【0108】
さらに中間転写体上では、複数の色画像を重畳転写する場合、前述したように、転写順序の早いトナー像はそれ以降にトナー像が転写される際の転写バイアスの影響によって電荷量が多くなり、中間転写体への付着力が強くなる。このため、付着力の強いトナー像が中間転写体に付着していると、極性制御ブレードでの掻き取り効果も小さく、また、極性揃えの効果も小さくなる場合がある。
【0109】
そこで、本実施例では、極性制御ブレードでのトナーすり抜けが多く発生すると判断した場合には、極性制御ブレードが本来設定されているトナーすり抜けが起こる時間(t1)内であっても、回収ローラを起動してブラシローラに付着する残トナーを回収できるようになっている。
【0110】
図11は、この場合の処理を示すフローチャートである。
同図において、トナー濃度制御用パターンが作成されるモードであるかどうかが判別され、作成モードである場合には、回収ローラ103を回転させるとともに図10に示した場合と同様な処理が行われる。
【0111】
一方、トナー濃度制御用パターンの作成モードでないと判断した場合には、位置ずれ補正用パターンの作成モードであるかどうかが判別され、作成モードである場合にはトナー濃度制御用パターンの作成モード時と同じ処理が行われる。
【0112】
位置ずれ補正用パターンの作成モードでないと判断された場合には、タイムカウンタ201からの稼働時間(t)とトナーのすり抜けが起こる時間(t1)との比較が行われ、その比較結果に応じて図8に示した場合と同様な処理が実行される。
【0113】
なお、図11においてジャムの有無判別が行われているのは、大量のトナーが転写されないまま像担持体上に残っている場合が、前述した各パターンの作成時と同じ状態に相当していることを考慮し、ジャムが発生している場合に大量のトナーすり抜けが起こると判断して回収ローラ103を回転させる。
【0114】
(実施例3)
本実施例は、極性制御ブレードの新品時からの中間転写ベルト22Aの稼働時間(t)がトナーのすり抜けが起こる時間(t1)に達していない場合でも、極性制御ブレードをすり抜けたトナーが像担持体の一つである中間転写ベルト22Aに存在していると判断した場合に、回収ローラ103を回転させることを特徴としている。
【0115】
この制御には、図7に示した制御システムおよび図12に示す光学センサ204が用いられる。
光学センサ204は、光出射部である光源204Aと中間転写ベルト22A上からの反射光が入射する受光部204Bとを備えた反射型の光学センサである。
【0116】
光学センサ204では、中間転写ベルト22Aからの反射光量を計測するようになっており、中間転写ベルト22Aの地肌部からの反射光量およびすり抜けたトナーHからの反射光量を信号として出力する。
【0117】
図7において制御部200では、光学センサ204からの信号の出力変化を割り出し、その出力変化が、図12において符号Hで示されている、すり抜けたトナーからの反射光量に相当していると判断した場合に回収ローラ103を回転させるようになっている。
【0118】
具体的には、次の条件が用いられる。
中間転写ベルト上にさまざまなトナーM/A(単位面積当たりのトナー重量。単位は[mg/cm])でトナーを付着させて光学センサで検知したときの、トナーM/Aに対するセンサの正反射出力電圧を図13に示す。
本実施例では正反射出力電圧を特性値としたが、正反射出力電圧以外に限らず、拡散反射出力電圧を特性値にしてもよく、また異なる反射光を用いてもよい。
【0119】
また、精度良くトナー有無検知が行なえるように補正をかけて規格化した値を用いても良く、いずれにしても光学センサの出力値あるいは規格化した値と中間転写ベルト上トナーM/Aの関係が予め定められれば良い。
ベルト上トナーに発光部204Aから光を照射し、受光部204Bによって検知した光量を電圧値に換算した値のデータをVsb、ベルトの地肌部(トナーがない部分)に同様に光を照射し受光部204Bによって検知した光量を電圧値に換算した値のデータをVsgとし、
α=Vsb/Vsg
で定義する。
【0120】
本実施例ではVsg=3.0V、トナーM/Aが0.05mg/cm2のときのVsb=2.7Vと検知された。
トナーM/Aを変えてVsbを測定したデータをプロットしたのが図13である。
トナーM/Aが0.05mg/cmとは、極性制御ブレード通過トナー(すり抜けたトナー)としては充分多い値であり、これ以上Vsbが低下するとブレード通過トナー量が多すぎてクリーニング不良が発生する。
従って、閾値α1をα1=2.7/3.0=0.9とし、α≦α1となったら回収ローラ駆動およびクリーニングパーツへの電圧印加を開始する。但し、αの数値は用いるセンサや中間転写ベルトの材質、光沢度などによって毎回実験的に求める必要があり、上記値に限るものではない。
【0121】
図14は、この場合の処理手順を示すフローチャートである。
図14において、画像形成装置の稼働中には、光学センサ204による中間転写ベルト22A上での反射光量検知が行われる。
反射光量において、上述したように、地肌部分を対象とした場合の基準反射光量に対応した電圧値(Vsg)と光学センサ204により計測された反射光量に対応した電圧値(Vsb)との比が演算され、閾値α1と比較される。
【0122】
閾値α1に対して反射光量に応じた電圧値の比が前述した関係であるかが判別され、閾値α1に対して電圧比が小さい場合、つまり、反射光量が少ない場合には中間転写ベルト22A上に極性制御ブレード101からすり抜けたトナーが存在していると判断して回収ローラ103を起動する。
【0123】
一方、閾値α1に対して電圧比が大きい場合には、図8に示した場合と同様に、温度検知センサからの検知温度の比較結果に応じて回収ローラ103への駆動制御を行う。
【0124】
図15は、図8および図11に示した制御手順を総合したものである。
【0125】
以上のようなクリーニング制御を実行することにより、クリーニング装置100が新品で用いられる場合から極性制御ブレード101の摩耗が進行してトナーのすり抜けが起こるまでは、回収ローラ103の回転が停止されることにより、回収ローラ103はもちろんのこと、回収ローラクリーニングブレード104での摩耗が防止される。さらには、停止状態にある回収ローラが極性制御ブレード出トナーのすり抜けが起こっていると判断されると、停止状態から回転状態に切り換えられることで、温度湿度による極性制御ブレードの物理的変化が原因するトナーのすり抜け、および、転写されないままで中間転写ベルト上に残っている大量のトナーの存在によるトナーのすり抜けに対して回収ローラ103の回転を再開させることで、すり抜けたトナーがブラシローラに付着した場合でも、迅速に回収することができる。この結果、ブラシローラから中間転写体へのトナーの再付着などが発生するのを防止することができる。
【0126】
(実施例4)
本実施例は、像担持体として、上述した中間転写体ではなく感光体ドラムを対象とすることを特徴としている。
【0127】
この場合のように、感光体ドラムを対象とするクリーニングに適用した場合、ブラシローラ外径、回収ローラ外径などの大きさは感光体クリーニング装置のサイズに合うように適正化する必要があるが、基本的な構成・動作はほぼ同じでよい。
像担持体の線速とブラシローラ、回収ローラの線速は等速が望ましく、回転方向は感光体とブラシローラの当接点においてカウンター回転、ブラシローラと回収ローラも当接点においてカウンター回転となるようにする。但し、像担持体の表面抵抗ρsが感光体はlog(ρs)=14〜15、中間転写ベルトはそれより低抵抗(一般的にlog(ρs)9〜14)であり、同じ部品・同じ電圧値を用いると、極性制御性能が異なる。感光体に適用する場合には極性制御ブレード印加電圧は中間転写ベルトの場合よりも低い電圧でよい。本実施例では−1000Vとする。
ブラシローラ、回収ローラ、回収ブレードの印加電圧値は中間転写ベルトのときと同じ値でもよいが、最良のクリーニング性が得られるように調整する。
【0128】
次に、本実施形態に用いられるトナーの特性について説明する。
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。また、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0129】
さらに、本実施形態に用いられるトナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。
図16は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【0130】
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
【0131】
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0132】
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
【0133】
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π)・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0134】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0135】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。
【0136】
カラープリンタに好適として使用されるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0137】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0138】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0139】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。
ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには転写紙への定着時、転写紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0140】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−イソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0141】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0142】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0143】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2や、1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0144】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0145】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0146】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0147】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0148】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0149】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
【0150】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0151】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0152】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0153】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0154】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0155】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0156】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0157】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0158】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−4μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0159】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
【0160】
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0161】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
【0162】
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
【0163】
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0164】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0165】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0166】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0167】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0168】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0169】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0170】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0171】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0172】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
【0173】
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0174】
またトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。図17(a),(b),(c)はトナーの形状を模式的に示す図である。
図17(a),(b),(c)において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、本発明のトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図17(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図17(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明によるクリーニング装置を備えた画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられる転写装置の要部構成を示す模式図である。
【図3】本発明によるクリーニング装置の要部構成を説明するための模式図である。
【図4】図3に示したクリーニング装置の一部変形例を示す模式図である。
【図5】本発明によるクリーニング装置で用いられる制御システムを説明するための図である。
【図6】図5に示した制御システムで用いられる駆動制御マップを示す図である。
【図7】図5に示した制御システムの一部変形例を説明するための図である。
【図8】図5に示した制御システムで実行される制御手順を説明するためのフローチャートである。
【図9】像担持体上の残トナーの極性および極性揃えの作用について説明する線図である。
【図10】本発明によるクリーニング装置に用いられる極性制御部材での機能の一つを説明するための線図である。
【図11】図7に示した制御システムで実行される制御手順を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明によるクリーニング装置において用いられる残トナー検知構造の一例を示す図である。
【図13】図12に示した残トナー検知構造の出力変化を説明するための線図である。
【図14】図12に示した残トナー検知構造を用いた場合の制御手順を説明するためのフローチャートである。
【図15】図11,14に示した制御手順を総合した手順を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明によるクリーニング対象となるトナーの形状係数を説明するための模式図である。
【図17】本発明によるクリーニング対象となるトナーの球形状に関する特性を説明するための模式図である。
【図18】静電クリーニングの原理を説明するためのトナー移動モデル図である。
【符号の説明】
【0176】
1 画像形成装置
22 転写装置
22A 像担持体の一つである中間転写ベルト
25 像担持体の他の一つである感光体ドラム
100 クリーニング装置
101 極性制御ブレード
102 ブラシローラ
103 回収ローラ
104 回収ローラクリーニングブレード
200 制御部
201 タイムカウンタ
202 温度検知手段
203 搬送検知センサ
204 光学センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写後の像担持体上に残存するトナーを除去するために用いられるクリーニング装置であって、
前記像担持体上の残トナーに有する極性を揃える極性制御部材と、該極性制御部材により極性が揃えられた残トナーを静電的に清掃する部材と、該清掃部材に転移した残トナーを回収する回収部材と、該回収する部材から残トナーを除去するブレードとを備え、
前記回収部材の駆動源が他の部材とは独立して設けられ、他の部材の動作態位とは別に単独でオン・オフ制御されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記回収部材の駆動源は制御部に接続され、該制御部には、クリーニング装置の稼働状態を検知する新品検知機構が接続され、
前記制御部は、新品状態から一定時間の間の前記回収部材の駆動および前記極性制御部材と前記ブレードとに対するバイアス電圧の印加を停止させ、上記一定時間経過後に前記駆動の開始およびバイアス電圧の印加を開始することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記回収部材には潤滑剤が接触させて設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記回収部材は、前記像担持体に形成されて転写されない状態で残っている残トナーを回収可能であり、該残トナーの回収時には、前記制御部からの信号により駆動されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記転写されない状態と異なる状態で大量の転写残トナーの存在を判断した場合に前記回収部材の駆動および前記極性制御部材とブレードとに対するバイアス電圧の印加を行うことを特徴とする請求項1,2または4のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記転写されない状態と異なる状態で大量の転写残トナーが存在する状態として、トナーの転写対象となる記録媒体の搬送不良時であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記回収部材の使用環境での温度検知手段が接続され、該温度検知手段による検知結果に応じて前記回収部材の駆動および極性制御部材と前記ブレードとに対するバイアス電圧の印加をオン・オフ制御することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記極性制御部材を通過した像担持体上での残トナーの有無情報に対応して前記回収部材の駆動制御を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記極性制御部材を通過した像担持体上での残トナーの有無を検知する手段として、像担持体上での残トナーの量に応じて出力が変化する光学検知手段が用いられることを特徴とする請求項8に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載したクリーニング装置を用いる画像形成装置であって、
前記像担持体は、潜像形成が可能な部材であり、該潜像形成可能な部材が前記クリーニング装置によりクリーニングされることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記像担持体に形成された静電潜像の可視像処理に用いられるトナーとして、体積平均粒径が3〜8μmで、かつ、体積平均経(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるトナーが用いられることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−14911(P2010−14911A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173969(P2008−173969)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】