クリーニング装置および画像形成装置
【課題】部品点数の増加を抑え、かつ、クリーニング機能を低下させずに、ブラシローラの毛倒れを抑制することができるクリーニング装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】回収ローラ103に、クリーニングブラシ102に対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分103aを設けている。これにより、回収ローラの食い込み量減少部分が、クリーニングブラシと対向するように組み立てれば、装置の輸送中に、クリーニングブラシの対向ローラとの接触部分の毛倒れを、回収ローラの食い込み量減少部分以外の部分である真円部分との接触により毛倒れした場合の毛倒れ量よりも少なくできる。
【解決手段】回収ローラ103に、クリーニングブラシ102に対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分103aを設けている。これにより、回収ローラの食い込み量減少部分が、クリーニングブラシと対向するように組み立てれば、装置の輸送中に、クリーニングブラシの対向ローラとの接触部分の毛倒れを、回収ローラの食い込み量減少部分以外の部分である真円部分との接触により毛倒れした場合の毛倒れ量よりも少なくできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成に用いられるトナーは、近年の高画質化に伴い、粉砕法によるものよりも、重合法によるものが主流になってきている。重合法によるトナー粒子は、粉砕法によるトナー粒子に比べて球形に近く、且つ小径であることから、高解像度に対応する小さなドットでも優れた再現性を発揮することができる。反面、クリーニングブレードを被清掃体たる像担持体や搬送体に当接させるブレードクリーニング方式では、クリーニング不良を引き起こし易いという不具合がある。球形に近く且つ小径であることから、ブレードと、像担持体や搬送体との間に形成される僅かな隙間をすり抜けてしまうからである。
【0003】
特許文献1に記載のクリーニング装置のように、静電クリーニング方式を採用すれば、重合法によるトナーであっても良好にクリーニングすることができる。具体的には、特許文献1に記載のクリーニング装置は、被清掃体たる像担持体に当接しながら回転するクリーニングブラシと、これに当接しながら回転する回収ローラと、回収ローラに当接する掻き取りブレードとを有している。そして、クリーニングブラシには、トナーの正規帯電極性とは逆極性のクリーニング電圧を印加している。また、回収ローラには、クリーニング電圧と同極性で且つクリーニング電圧よりも値の大きな回収電圧を印加している。像担持体の表面上に付着している付着物たる転写残トナーは、クリーニングブラシのブラシによって引っ掻かれながら、クリーニング電圧によってベルト表面からブラシに静電転移する。その後、クリーニングブラシから回収ローラに静電転移した後、掻き取りブレードによって回収ローラ表面から掻き落とされる。球形に近く且つ小径であることから、クリーニングブレードによるクリーニングが困難な重合法によるトナーであっても、静電転移によって像担持体表面から良好に除去することができる。
【0004】
クリーニングブラシはトナーを一旦付着させると、ブラシ内部にトナーを溜め込む傾向がある。特許文献1に記載のクリーニング装置においては、回収ローラのブラシに対しての食い込み量を、クリーニングブラシの像担持体に対する食い込み量よりも大きくしている。かかる構成とすることで、ブラシ内部のトナーも静電的に回収ローラで回収することができる。
【0005】
上記のようなクリーニングブラシを用いたクリーニング装置においては、長期間にわたって画像形成動作を行わないと、クリーニングブラシも回転しないため、ある一定の部分の毛が回収ローラに接触したままになり、その部分だけ変形(毛倒れ)した状態になってしまうことがある。特許文献1に記載のように、回収ローラのブラシに対しての食い込み量を、クリーニングブラシの像担持体に対する食い込み量よりも大きくした構成においては、クリーニングブラシの回収ローラに接触していた部分の毛倒れ量が、クリーニングブラシの像担持体に対する食い込み量よりも大きくなってしまう。その結果、その毛倒れしたままの状態で画像形成動作を行うと、クリーニングブラシが回転する際に、回収ローラとの接触によって毛倒れした部分が、像担持体と接触しなくなる。その結果、その部分で像担持体からトナーを除去できなくなり、クリーニング不良となるおそれがある。
【0006】
特許文献2には、クリーニングブラシに対して一定量食い込ませて配設され、クリーニングブラシの毛を起毛させる起毛ブラシを設けたクリーニング装置が記載されている。クリーニングブラシの毛倒れした部分が、起毛ブラシのクリーニングブラシとの接触部分に突入すると、クリーニングブラシの毛倒れした毛と、起毛ブラシのブラシとが絡みあい、クリーニングブラシの倒れた毛を起毛させる。これにより、クリーニングブラシのクリーニング能力を長期にわたり維持することができる。
【0007】
特許文献3には、クリーニングブラシの毛倒れを抑制するために、クリーニングブラシの毛の長さを2[mm]以下にしたクリーニング装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載のクリーニング装置においては、クリーニングブラシの毛を起毛させる起毛ブラシを新たに設ける必要があり、部品点数が増加し、装置のコスト高に繋がるという問題がある。また、特許文献3に記載のクリーニング装置においては、クリーニングブラシの毛足が短いので、トナーに対する毛の接触面積が小さい。そのため、トナーを静電的に吸着できる量が少なくなり、クリーニング機能が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、部品点数の増加を抑え、かつ、クリーニング機能を低下させずに、ブラシローラの毛倒れを抑制することができるクリーニング装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転しながら被清掃体表面に接触し、上記被清掃体表面上の付着物を静電的に除去するブラシローラと、上記ブラシローラに対して一定量食い込ませて配設され、上記ブラシローラに付着した付着物を、回転しながら上記ブラシローラから静電的に回収する回収ローラとを備えたクリーニング装置において、上記回収ローラに、上記ブラシローラに対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のクリーニング装置において、当該装置停止時において、上記回収ローラの上記食い込み量減少部分が、上記ブラシローラと対向するように、上記回収ローラの回転を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2のクリーニング装置において、上記ブラシローラを上記被清掃体表面に食い込ませて配設しており、上記回収ローラの上記食い込み量減少部分の上記ブラシローラに対する食い込み量を、上記ブラシローラの上記被清掃体に対する食い込み量以下にしたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかのクリーニング装置において、上記ブラシローラのブラシが、回収ローラとの食い込み領域に進入したときのブラシと回収ローラ表面との当接箇所が、前回の異なる回収ローラ表面との当接箇所と異なるよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のクリーニング装置において、上記回収ローラの回転数[rpm]をn、上記ブラシローラの回転速数[rpm]をmとしたとき、(n/m)が、整数以外となるよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5のクリーニング装置において、上記回収ローラの線速が、上記ブラシローラの線速と同じとなるよう構成されており、上記回収ローラの上記食い込み量減少部分以外の部分の外径をM、上記ブラシローラの外径Nとしたとき、(N/M)が、整数以外となるよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、転写後に上記像担持体上に残留した転写残トナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1乃至6いずれかのクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記記録材を搬送する搬送ベルト上に残留するトナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1乃至7いずれかのクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の画像形成装置において、上記トナーとして、体積平均粒径が3[μm]以上6[μm]以下、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、1.00以上、1.40以下のトナーを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回収ローラに、ブラシローラに対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分を設けたので、次のように回収ローラの回転を制御すれば、ブラシローラの毛倒れを抑制することができる。すなわち、クリーニング装置停止時において、上記食い込み量減少部分が、ブラシローラと対向するように、回収ローラの回転を制御するのである。このように、回収ローラの回転を制御することによって、ブラシローラの回収ローラとの接触部分に毛倒れが発生してもその毛倒れ量が、回収ローラの食い込み量減少部分以外との接触により毛倒れした場合の毛倒れ量よりも少なくできる。
また、回収ローラの食い込み量減少部分以外の部分は、ブラシローラに対する食い込み量が、所定量あるので、ブラシの内部の付着物も良好に回収ローラで静電的回収することができる。
また、起毛ブラシなどを設けずに、毛倒れを防止できるので、特許文献2に記載のクリーニング装置に比べて、部品点数の増加を抑制することができる。また、ブラシローラの毛足が長くても、毛倒れを抑制できるので、クリーニング機能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。
【図2】同プリンタのベルトクリーニング装置とその周囲とを拡大して示す拡大構成図。
【図3】電気抵抗が、1×105Ω・cm、1×107Ω・cm、1×109Ω・cmであるクリーニングブラシローラのクリーニング性を示すグラフ。
【図4】従来のクリーニング装置における毛倒れの様子を説明する図。
【図5】第1クリーニング部周辺の概略構成図。
【図6】回収ローラの回転を制御について説明する制御ブロック図。
【図7】ベルトクリーニング装置において、長期間の放置で毛倒れが発生した場合の様子を示す図。
【図8】毛倒れが発生した状態で第1クリーニングブラシを回転させた様子を示す図。
【図9】第1回収ローラと第1クリーニングブラシとを回転させたときの様子を示す図。
【図10】食い込み量減少部分の第1変形例を示す図。
【図11】食い込み量減少部分の第2変形例を示す図。
【図12】同プリンタの回収ローラにおける電気抵抗と環境との関係を示すグラフ。
【図13】実施形態に係るプリンタの第1変形例におけるベルトクリーニング装置とその周囲とを示す拡大構成図。
【図14】(a)、(b)、(c)は、1次転写ニップ通過後の感光体表面に残留した転写残トナーの帯電量分布と、極性制御ブレードとの接触位置を通過した後の転写残トナーの帯電量分布との関係の第1例、第2例、第3例を示すグラフ。
【図15】No1、No2の極性制御ブレードにおけるおける環境と電気抵抗との関係を示すグラフ。
【図16】No3、No4の極性制御ブレードにおけるおける環境と電気抵抗との関係を示すグラフ。
【図17】極性制御ブレードとの接触位置を通過する前後における転写残トナーの電荷量分布の変化を示すグラフ。
【図18】実施形態に係るプリンタの第2変形例におけるベルトクリーニング装置とその周囲とを示す拡大構成図。
【図19】実施形態に係るプリンタの第3変形例における要部を示す概略構成図。
【図20】トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGと平面積AREAとを説明する模式図。
【図21】トナー粒子の2次元平面に対する投影像の周長PERIと平面積AREAとを説明する模式図。
【図22】(a)、(b)、(c)はそれぞれトナーの形状を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、いわゆるタンデム型中間転写方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの要部を示す概略構成図である。本プリンタは、イエロー,マゼンタ,シアン,黒(以下、Y,M,C,Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kを備えている。4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kは、ドラム状の感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ有している。感光体1Y,M,C,Kの回りにはそれぞれ帯電装置2Y,M,C,K、現像装置5Y,M,C,K、ドラムクリーニング装置4Y,M,C,K、除電装置(不図示)等を有している。プロセスユニット6Y,M,C,Kは、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。プロセスユニット6Y,M,C,Kの上方には、感光体1Y,M,C,Kの表面に対してレーザー光Lを照射して静電潜像を書き込むための図示しない光書込ユニットが配設されている。
【0014】
プロセスユニット6Y,M,C,Kの下方には、ベルト部材たる無端状の中間転写ベルト8を具備するベルト装置としての転写ユニット7が配設されている。中間転写ベルト8の他、そのループ内側に配設された複数の張架ローラや、ループ外側に配設された2次転写ローラ15、押圧ローラ16、ベルトクリーニング装置100などを有している。
【0015】
中間転写ベルト8のループ内側には、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kと、テンションローラ10と、1次転写後ローラ11と、2次転写対向ローラ12と、極性制御対向ローラ13と、クリーニング対向ローラ14とが配設されている。これらローラは何れも、自らの周面の一部に中間転写ベルト8を掛け回してベルト張架を行う張架ローラとして機能している。中間転写ベルト8は、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される駆動ローラ12の回転により、図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0016】
ベルトループ内側に配設された4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、感光体1Y,M,C,Kとの間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト8のおもて面と、感光体1Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。なお、1次転写ローラ9Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によってトナーとは逆極性の1次転写バイアスが印加される。
【0017】
また、ベルトループ内側に配設された2次転写対向ローラ12は、ベルトループ外側に配設された2次転写ローラ12との間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト8のおもて面と、2次転写ローラ12とが当接する2次転写ニップが形成されている。なお、2次転写ローラ12には、図示しない電源によってトナーとは逆極性の2次転写バイアスが印加される。
【0018】
また、ベルトループ内側に配設されたクリーニング対向ローラ13、14は、ベルトループ外側に配設されたベルトクリーニング装置100のクリーニングブラシ102との間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト8のおもて面と、クリーニングブラシ102とが当接するクリーニングニップが形成されている。ベルトクリーニング装置100は中間転写ベルト8と一体的に交換可能になっているが、ベルトクリーニング装置100と中間転写ベルト8とで寿命設定が異なる場合には、ベルトクリーニング装置100を中間転写ベルトとは独立してプリンタ本体に着脱可能としてもよい。
【0019】
本プリンタは、記録紙Pを収容する給紙カセットや、給紙カセットから記録紙Pを給紙路に給紙する給紙ローラなどを有する図示しない給紙部を備えている。また、給紙部から送られてきた記録紙を受け入れて2次転写ニップに向けて所定のタイミングで送り出す図示しないレジストローラ対を、上述した2次転写ニップの図中右側方に備えている。また、2次転写ニップから送り出される記録紙Pを受け入れてその記録紙Pに対してトナー像の定着処理を施す図示しない定着装置を、上述した2次転写ニップの図中左側方に備えている。また、必要に応じて、現像装置5Y,M,C,Kに対してY,M,C,Kトナーを補給する図示しないY,M,C,K用のトナー補給装置も備えている。
【0020】
近年、記録紙として従来広く用いられてきた普通紙に加え、デザインとして表面に凹凸を有する特殊紙やアイロンプリントなどの熱転写に用いる特殊な記録紙が用いられることが増えている。このような特殊紙を用いると、従来の普通紙の場合よりもカラートナーを重ね合わせた中間転写ベルト8上のトナー像を紙に2次転写する際に転写不良が発生し易くなる。そこで、本プリンタでは、中間転写ベルト8に弾性をもたせることにより、記録紙との接触性を高めている。
【0021】
中間転写ベルト8としては、多層構造のものが用いられる。ベース層としては、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の導電剤を適当量含有させて、その体積抵抗率が106〜1014Ω・cmとなるものが用いられている。また、弾性を持たせたベルトにする場合には、その導電性弾性層の主基材として、シリコーンゴム、NBR、H−NBR、CR、EPDM、ウレタンゴム等が用いられる。また、導電性保護層の材料は、摩擦抵抗の低減、電気特性の環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性能の向上といった目的を達成できるものであれば、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、PVDFなどのフッ素樹脂系ポリマーを、アルコール可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルジョンや有機溶媒に、溶解・分散した塗料を使用することができる。これら保護層は、上記の塗料をディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどにより設けることができる。さらに、保護層に表面処理または研磨を施すことにより離型性、導電性、耐磨耗性、表面クリーニング性等を改善することができる。弾性を有する中間転写ベルト8とドラム状の感光体1とは比較的広い接触領域にて接触配置されており、しかも、中間転写ベルト8により弾性押圧されているため、ドラム状の感光体1と中間転写ベルト8との間のタック面圧はそれほど高くなく、しかも、中間転写ベルト8によるトナー像の包み込み動作が行われ、感光体1Y,M,C,K上のトナー像が中間転写ベルト8側に一次転写される。このとき、中間転写ベルト8への転写画像には、大きなタック面圧によるホロキャラクタなどの画像欠陥はなく、高い転写効率で転写されるため、記録材(特に凹凸を有する特殊紙など)上のカラー画像品質はきわめて良好に保たれる。
【0022】
パーソナルコンピュータ等から画像情報が送られてくると、本プリンタは、駆動ローラ12を回転駆動して、中間転写ベルト8を無端移動させる。駆動ローラ12以外の張架ローラについては、ベルトに従動回転させる。同時に、プロセスユニット6Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kを回転駆動する。また、感光体1Y,M,C,Kの表面を帯電装置2Y,M,C,Kによって一様に帯電させながら、帯電後の表面に対してレーザー光Lの照射によって静電潜像を形成する。そして、感光体1Y,M,C,Kの表面に形成した静電潜像を現像装置5Y,M,C,Kすることで、感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,Kトナー像を得る。Y,M,C,Kトナー像は、上述したY,M,C,K用の1次転写ニップにて、中間転写ベルト8のおもて面に重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8のおもて面には4色重ね合わせトナー像が形成される。
【0023】
一方、給紙部では、給紙ローラ27によって給紙カセットから記録紙Pを1枚づつ送り出してレジストローラ対まで搬送する。そして、中間転写ベルト8上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで、レジストローラ対を駆動して記録紙Pを2次転写ニップに送り込んで、ベルト上の4色重ね合わせトナー像を記録紙Pに一括2次転写する。これにより、記録紙Pの表面にフルカラー画像を形成する。フルカラー画像形成後の記録紙Pについては、2次転写ニップから定着装置に搬送してトナー像の定着処理を施す。
【0024】
Y,M,C,Kトナー像を中間転写ベルト8に1次転写した後の感光体1Y,M,C,Kについては、ドラムクリーニング装置4Y,M,C,Kによって転写残トナーのクリーニング処理を施す。その後、図示しない除電ランプで除電した後、帯電装置2Y,M,C,Kで一様に帯電せしめて、次の画像形成に備える。
【0025】
ここで、従来のブレードクリーニング方式の問題点について説明する。上述のように、近年、高画質化の要望が高まり、トナーは小粒径化の傾向にある。また、トナー製造コスト低減および転写率向上の要望から粉砕トナーではなく重合法等により球形化トナーを採用する傾向にある。小粒径化や球形化の進んだトナーの使用に伴い、像担持体上に残留したトナーを除去する手段として主に用いられてきたブレードクリーニング方式では、ブレードと像担持体表面の密着の精度が低いとトナーがすり抜けてしまいクリーニング性が低下しやすい。これを防ぐため、ブレードを強い当接圧で押しつけると、ブレードのめくれが発生し、いわゆるスジ状あるいは帯状のクリーニング不良を引き起こす原因となり、安定したクリーニング性能を保ちつづけることが困難である。また、球形トナーでも線圧を極端に高くすれば(具体的には、線圧100gf/cm以上)クリーニングできるが、その分クリーニングブレードの磨耗やベルトのキズ等により寿命が極端に短くなる。通常の線圧20gf/cmでのクリーニングブレード寿命(削れてクリーニング不良が発生する時の寿命)は、約120K枚である。線圧100gf/cmの時は、クリーニングブレードの寿命は約20K枚程度である。また、転写性が良いとされている球形トナーに対して、ブレードクリーニング性は、粉砕(異型)トナーに対するクリーニング性より劣ることは良く知られていることである。
【0026】
そこで、本プリンタでは、ブレードクリーニング方式よりも良好に球形化トナーをクリーニングすることが可能な静電クリーニング方式のベルトクリーニング装置100を採用している。
【0027】
図2は、本プリンタのベルトクリーニング装置100とその周囲とを拡大して示す拡大構成図である。このベルトクリーニング装置100は、中間転写ベルト8上のトナーのうち正規帯電極性である負極性トナーをクリーニングするための第1クリーニング部100aと、中間転写ベルト8上のトナーのうち正規帯電極性と逆極性である正極性トナーをクリーニングする第2クリーニング部100bとを有している。
【0028】
第1クリーニング部100aは、ブラシローラとしての第1クリーニングブラシ102、第1クリーニングブラシ102に付着したトナーを回収する第1回収ローラ103、第1回収ローラ103に当接して第1回収ローラ表面からトナーを掻き取るトナー掻き取り部材としての第1トナー掻き取りブレード104を備えている。
【0029】
第1クリーニングブラシ102は、回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛(導電性繊維)からなるブラシローラ部とを具備しており、図示しないブラシ用電源によってトナーの正規帯電極性と逆極性である正極性の第1クリーニングバイアスが印加される。また、第1回収ローラ103には、図示しない回収電源より、正極性で且つ第1クリーニングバイアスよりも大きな値の第1回収バイアスが印加される。また、第1掻き取りブレード104を、導電性とし、第1回収ローラ103の表面電位を維持するためにバイアスを印加しても良い。また、第1クリーニングブラシ102にトナーが多く回収された場合にブラシ先端の電位が低下してしまうことがある。このため、第1クリーニングブラシ102の表面に電荷を付与するブラシ表面電荷付与手段を設けてもよい。ブラシ表面電荷付与部材は、金属の丸棒や金属の板状部材などの当接部材を第1クリーニングブラシ102に当接させ、当接部材に正極性のバイアスを印加することで、ブラシ表面に電荷が付与される。ブラシ表面に電荷を付与することにより、ブラシ先端の電位が低下してもその電位を補うことができる。
【0030】
第2クリーニング部100bは、第1クリーニング部100aよりも中間転写ベルト8移動方向下流側に配置され、第1クリーニング部100aと同様、クリーニングブラシ106、回収ローラ107、掻き取りブレード108を備えている。
【0031】
第2クリーニングブラシ106は、回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛(導電性繊維)からなるブラシローラ部とを具備しており、図示しないブラシ用電源によってトナーの正規帯電極性と同極性である負極性の第2クリーニングバイアスが印加される。また、第2回収ローラ107には、図示しない回収電源より、負極性で且つ第2クリーニングバイアスよりも大きな値の第2回収バイアスが印加される。また、第2掻き取りブレード108を、導電性とし、第2回収ローラ107の表面電位を維持するために負極性のバイアスを印加しても良い。また、第2クリーニングブラシ106のブラシ先端の電位の低下を抑制するために、上述と同様な構成のブラシ電荷付与手段を設けてもよい。
【0032】
また、本ベルトクリーニング装置100は、第1、第2クリーニング部100a,100bで除去したトナーを、装置ケーシングの一端部に向けて搬送してベルトクリーニング装置100ケーシングの外に排出する排出スクリュ109が設けられている。排出スクリュ109によってクリーニング装置から排出されたトナーは、プリンタ本体に備えられた図示しない廃トナータンク(不図示)内に落下する。また、廃タンクではなく、現像装置に戻すようにしてもよい。
【0033】
また、中間転写ベルト8表面保護のために、第2クリーニングブラシ106で中間転写ベルト8の表面に潤滑剤塗布を塗布してもよい。この場合は潤滑剤を固形化したものを第2クリーニングブラシ106に当接させ、潤滑剤を塗布するようにする。また、第2クリーニングブラシ106よりも中間転写ベルト8移動方向下流側に、中間転写ベルト表面に塗布した潤滑剤を均す均しブレードを設けてもよい。また、第2クリーニングブラシ106とは別に潤滑剤塗布用のブラシを設けてもよい。第2クリーニングブラシ106とは別に潤滑剤塗布用のブラシを設けることで、第2クリーニングブラシ106で潤滑剤を塗布する場合、第2クリーニングブラシ106にはトナーが常時回収されているため、トナーと潤滑剤とが交じり合い、潤滑剤塗布時にいったん回収したトナーが、再度中間転写ベルト上に付着する場合がある。一方、第2クリーニングブラシ106とは別に潤滑剤塗布用のブラシを設けることで、回収されたトナーが中間転写ベルト8に再付着するのを抑制できる。
【0034】
図3に、電気抵抗が、1×105Ω・cm、1×107Ω・cm、1×109Ω・cmであるクリーニングブラシのクリーニング性を示す。電気抵抗が1×109Ω・cmの時は、印加電圧が大きいため、電源コストがアップする。一方、電気抵抗が1×105Ω・cmの時は中間転写ベルト8に電流を流し易いことにより、1×107Ω・cmのときよりも低い電圧でトナーが正極性に帯電して感光体1に再付着する。このため、クリーニング性の余裕度が小さい。したがって、1×107Ω・cmの条件がもっとも適している。但し、ブラシ抵抗は直径10mmのSUSローラにクリーニングブラシを1mm食い込ませて当接させて200mm/secで両方を回転させ、ブラシ芯金に電圧を印加して電流測定し抵抗を算出したものである。繊維はナイロン、ポリエステル、アクリル等の絶縁材が一般的で何れの材料の場合も同じ効果である。また、芯鞘構造の代表的な繊維は特開平10−310974号公報、特開平10−131035、特開平01−292116号公報、特公平07−033637号公報、特公平07−033606号公報、特公平03−064604号公報に開示されている。
【0035】
2次転写ニップを通過した転写残トナーは、第1クリーニングブラシ102の位置に中間転写ベルト8の回転により移送される。第1クリーニングブラシ102には、トナーの正規帯電極性と反対極性(正極性)の電圧が印加されており、中間転写ベルト8と第1クリーニングブラシ102表面電位との電位差で形成される電界により、中間転写ベルト8上の負極性に帯電したトナーを静電的に吸着して第1クリーニングブラシ102へ移動させる。第1クリーニングブラシ102に移動した負極性のトナーは、第1クリーニングブラシ102よりも値が大きな正極性の電圧が印加された第1回収ローラ103との当接位置まで移送される。そして、第1クリーニングブラシ102の表面電位と第1回収ローラ103の表面電位との電位差で形成される電界により、第1クリーニングブラシ102上に移動したトナーを静電的に吸着して第1回収ローラ103上へ移動させ、第1回収ローラ103に移動した負極性のトナーは、第1掻き取りブレード104により回収ローラ表面から掻き落とされる。第1掻き取りブレード104により掻き落とされたトナーは、排出スクリュ109で装置外に排出される。
【0036】
第1クリーニングブラシ102により除去できたかった中間転写ベルト8上の正極性の転写残トナーは、第2クリーニングブラシ106の位置に移送される。第2クリーニングブラシ106には、トナーの正規帯電極性と同極性(負極性)の電圧が印加されており、中間転写ベルト8と第2クリーニングブラシ106表面電位との電位差で形成される電界により、中間転写ベルト8上の正極性に帯電したトナーを静電的に吸着して第2クリーニングブラシ106へ移動させる。第2クリーニングブラシ106に移動した正極性のトナーは、第2クリーニングブラシ106よりも値が大きな負極性の電圧が印加された第2回収ローラ107との当接位置まで移送される。そして、第2クリーニングブラシ106の表面電位と第2回収ローラ107の表面電位との電位差で形成される電界により、第2クリーニングブラシ106上に移動したトナーを静電的に吸着して第2回収ローラ107上へ移動させる。第2回収ローラ107に移動した正極性のトナーは、第2掻き取りブレード108により第2回収ローラ表面から掻き落とされる。第2掻き取りブレード108により掻き落とされたトナーは、排出スクリュ109で装置外に排出される。
【0037】
また、上述では、第1クリーニング部100aで、中間転写ベルト8上の負極性トナーを除去し、第2クリーニング部100bで正極性トナーを除去しているが、第1クリーニング部100aで正極性のトナーを除去し、第2クリーニング部100bで負極性のトナーを除去する構成でもよい。
【0038】
次に、本クリーニング装置の特徴点について説明する。
クリーニングブラシを用いたクリーニング装置においては、長期間にわたって画像形成動作を行わないと、クリーニングブラシも回転しないため、ある一定の部分の毛が回収ローラに接触したままになり、その部分だけ変形(毛倒れ)した状態になってしまうことがある。
図4は、従来のクリーニング装置の毛倒れの様子を説明する図である。図4は、中間転写ベルト8へのブラシ繊維喰い込み量:2mm、回収ローラ103へのブラシ繊維喰い込み量:3mmである。また、図中二点鎖線は毛倒れしていない場合のブラシ(外径)形状であり、実線が毛倒れを起こした状態のブラシ(外径)形状である。図4(b)は、クリーニングブラシが図4(a)の位置から180度回転した状態を示した図(断面図)である。
回収ローラ103へのブラシ繊維食い込み量が3mmであるため、クリーニングブラシ102の回収ローラ103との接触部分は、最大で3mm毛倒れする。このため、図4(b)に示すように、回収ローラ103との接触部で生じたブラシの毛倒れ部分が中間転写ベルト8の位置に来ると、ブラシと中間転写ベルト8が接触せず空間ができる。この状態だと中間転写ベルト8からクリーニングブラシ102にトナーが移動しないため、クリーニング性が悪化する。
【0039】
そこで、本実施形態のクリーニング装置においては、各回収ローラ103,107に、クリーニングブラシ102,106に対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分を設けた。以下、具体的に説明する。なお、第1回収ローラ103と第2回収ローラ107の構成は、同じであるので、以下の説明では、第1回収ローラ103を用いて説明する。
【0040】
図5は、第1クリーニング部100a周辺の概略構成図である。
図5に示すように、第1回収ローラ103の一部が楕円となっており、この楕円の部分が、食い込み量減少部分103aである。食い込み量減少部分103aは、図に示すように、第1回収ローラ103の真円部分103bの外径よりも小さくなっている。
【0041】
図6は、第1回収ローラ103の停止位置を制御について説明するための制御ブロック図である。
第1回収ローラ103の軸には、エンコーダ200が配置されており、エンコーダ200からの信号が制御手段たる制御部201に入力される。エンコーダ200は、例えば、食い込み量減少部分103aが第1クリーニングブラシ102と対向する位置に来ると、制御部200にパルス信号を送信するような簡易な構成でよい。装置の停止信号を制御部200が受けてから、エンコーダ200からのパルス信号を受信するまで、第1回収ローラ103を回転させる駆動モータ202を駆動させ、エンコーダ200からパルス信号を受信したら、制御部200は、駆動モータの駆動を停止させる。これにより、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aが、第1クリーニングブラシ102と対向して停止される。
【0042】
第1回収ローラ103の真円部分103bのブラシに対する食い込み量は、第1クリーニングブラシ102の中間転写ベルト8への食い込み量よりも大きくなっており、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aの第1クリーニングブラシ102に対する食い込み量は、第1クリーニングブラシ102の中間転写ベルト8への食い込み量以下となっている。
【0043】
図7は、本発明のベルトクリーニング装置100において、長期間の放置で毛倒れが発生した場合の様子を示す図であり、図8は、毛倒れが発生した状態で第1クリーニングブラシ102を回転させた様子を示す図である。
図7に示すように、毛倒れを起こした場合、第1クリーニングブラシ102の(外径)形状は、図7の実線に示す形状になり、第1クリーニングブラシの食い込み減少部分103aとの接触部分が、食い込み減少部分103aに沿うようにして毛倒れする。また、第1クリーニングブラシ102の中間転写ベルト8との接触部分が、中間転写ベルト8に沿った形状に毛倒れする。ここで、仮に、第1クリーニングブラシ102が第1回収ローラ103の真円部分103bに沿って毛倒れした場合、最大の毛倒れ部分の外径は、図7、図8に示す2点鎖線Aとなる。この場合、中間転写ベルト8と当接しない部分が生じてしまう。一方、第1クリーニングブラシ102が第1回収ローラ103の食い込み減少部分103aに沿って毛倒れした場合、最大の毛倒れ部分の外径は、図7、図8に示す破線Bとなる。食い込み量減少部分103aの第1クリーニングブラシ102に対する食い込み量は、第1クリーニングブラシ102の中間転写ベルト8に対する食い込み量以下にしてあるので、図8に示すように、第1回収ローラ103との当接によって毛倒れした部分が、中間転写ベルト8と当接する。その結果、クリーニング不良が生じるのを抑制することができる。
【0044】
また、第1回収ローラ103の真円部分103bの第1クリーニングブラシ102に対する食い込み量は多いので、ブラシ繊維の内部と接触する。このため、ブラシ繊維内部に入り込んだトナーも、良好に第1回収ローラ103により回収することができる。
【0045】
図9は、第1回収ローラ103と第1クリーニングブラシ102とを回転させたときの様子を示す図である。図に示すように、中間転写ベルト8表面の転写残トナーを除去するために、第1クリーニングブラシ102および第1回収ローラ103を回転させると、第1クリーニングブラシ102は、第1回収ローラ103の真円部分103bと接触したり、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aと接触したりする。第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aは、真円部分103bの食い込み量よりも少ないため、真円部分103bに比べて、ブラシ内部のトナーまで回収することができない。このため、第1クリーニングブラシ102の所定の箇所が、常に第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aと接触すると、第1クリーニングブラシ102の所定の箇所にトナーが溜まっていってしまう。そして、回収ローラに回収されずにクリーニングブラシに留まり続けたトナーが、電荷注入などにより、帯電量が減少し、最終的に中間転写ベルトに再付着してしまうおそれがある。
【0046】
ここで、第1回収ローラ103の回転数(rpm)が、第1クリーニングブラシ102の回転数(rpm)の整数倍、すなわち、第1回収ローラ103の回転数をn、第1クリーニングブラシ102の回転数をmとした場合、(n/m)が整数の場合、第1クリーニングブラシ102の所定の箇所が、常に第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aと接触することになる。そのため、第1回収ローラ103の回転数をn、第1クリーニングブラシ102の回転数をmとした場合、(n/m)が整数以外となるように構成することが好ましい。
【0047】
第1回収ローラ103の回転数をn、第1クリーニングブラシ102の回転数をmとしたとき、(n/m)を整数以外とすることによって、第1クリーニングブラシ102のブラシが、第1回収ローラ103との食い込み領域に進入したときのブラシと第1回収ローラ103表面との当接箇所を、前回と異ならせることができる。これにより、前回、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aとしか当接せず、十分にトナーが回収されなかったブラシ部分が、今回は、第1回収ローラ103の真円部分103bと当接させることができ、ブラシ内部に溜まったトナーを回収することができる。これにより、第1クリーニングブラシ102の所定の箇所にトナーが溜まり続けるのを抑制することができる。その結果、第1回収ローラ103に回収されずにクリーニングブラシ102に留まり続けたトナーが、電荷注入などにより、帯電量が減少し、最終的に中間転写ベルトに再付着してしまうのを抑制することができる。
【0048】
本実施形態においては、第1クリーニングブラシ102の回転数は、84.8rpmとなり、第1回収ローラ103の回転数は、127.3rpmとなっている。
【0049】
また、第1回収ローラ103が、第1クリーニングブラシ102と連れ回るように構成した場合など、第1回収ローラ103の線速と第1クリーニングブラシ102の線速とが同じ場合は、第1回収ローラ103の真円部分103bの外径をM、第1クリーニングブラシ102の外径をNとしたとき、(N/M)が整数以外となるよう構成する。このように構成することによって、第1回収ローラ103と第1クリーニングブラシ102の線速が同じ場合において、第1回収ローラ103の回転数(rpm)が、第1クリーニングブラシ102の回転数(rpm)の整数倍以外となり、第1クリーニングブラシ102のブラシが、第1回収ローラ103との食い込み領域に進入したときのブラシと第1回収ローラ103表面との当接箇所を、前回と異ならせることができる。
本実施形態では、第1クリーニングブラシ102の直径:16mm、第1回収ローラ103の直径:15mmにしている。
【0050】
また、毛倒れはベルトクリーニング装置100(または、ベルトクリーニング装置100が組み込まれたユニット)の輸送時に発生しやすい。これは、ベルトクリーニング装置100(または、ベルトクリーニング装置100が組み込まれたユニット)輸送時は、長時間同じ姿勢で放置され、周囲の温度が高温になる場合があるからである。このため、ベルトクリーニング装置100組み立て時に、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aを第1クリーニングブラシ102と対向させる。これにより、装置輸送時の毛倒れを抑制できる。
また、ベルトクリーニング装置100(または、ベルトクリーニング装置100が組み込まれたユニット)がプリンタにセットされた後は、適当な間隔で第1クリーニングブラシ102が回転するため、輸送時に比べて、第1クリーニングブラシ102のある一定の部分のブラシが第1回収ローラ103に接触したままになる期間が短い。また、周囲の温度が輸送時ほど高温にならない。このため、上述のように、エンコーダを設けて、第1回収ローラ103の回転を制御する構成を有していなくても、少なくともベルトクリーニング装置100輸送時に、第1回収ローラ103の食い込み減少部分103aを対向させてあれば、十分毛倒れ抑制効果がある。
【0051】
また、上述では、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aを楕円にしているが、図10に示すように、食い込み量減少部分103aを軸方向断面が直線状となるような構成にしてもよい。この場合、第1掻き取りブレード104の第1回収ローラ103に対する掻き取り性能が悪くならないように、第1回収ローラ103の真円部分103bと食い込み量減少部分103aとをスムーズな曲線でつなぐようにするのが好ましい。
【0052】
また、図11に示すように、食い込み量減少部分103aを、第1回収ローラ103の回転中心側に凹んだ形状にしてもよい。図11に示す構成は、食い込み量減少部分103aが、第1クリーニングブラシ102を中心とする仮想円Cに沿うような曲線となっている。このように、食い込み量減少部分103aが、第1クリーニングブラシ102を中心とする仮想円Cに沿うような曲線とすることで、真円部分103bを多く取ることができ、第1クリーニングブラシ102からのトナーの回収能力の低下を最も抑えることができる。
【0053】
本プリンタのベルトクリーニング装置100における具体的な構成条件の一例は、通常環境(高温高湿環境以外)で以下のとおりである。
<第1クリーニングブラシ102の条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×107Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):+1000V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルト8へのブラシ食い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0054】
<第2クリーニングブラシ106の条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×107Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):−800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルト8へのブラシ食い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0055】
第1、第2クリーニングブラシ102、106のブラシ繊維は繊維全体としては導電性であるが、繊維表面は絶縁層で覆われているものを用いる。繊維表面に絶縁層を有することで、各クリーニングブラシ102、106と中間転写ベルト8とが接触する際に電流が流れ難くなり、ブラシ繊維がベルトからトナーを静電吸引する際に余分な電流が流れ難くなる。このため、トナーに逆極性の電荷を与えてしまうことがなく、いったんブラシ内に捕捉したトナーを中間転写ベルト8に再付着させる恐れが少なくなる。ただし、このようなブラシを使用しても、繊維表面の絶縁を破壊して電流を流すほどの電圧を回転軸に印加すると、結果として中間転写ベルト8にトナーを戻してしまうことになるので、電圧値の設定には注意を要する。
【0056】
各クリーニングブラシ102、106は、ブラシロール状に形成後、一方向に毛を倒す斜毛処理を施すと、繊維断面に露出している導電剤を中間転写ベルト8に接触させ難くなる。これにより、トナーへの電荷注入性が低減され、クリーニング性の余裕度が向上する。繊維はナイロン、ポリエステル、アクリル等の絶縁材が一般的で何れの材料の場合も同じ効果である。また、芯鞘構造の代表的な繊維は特開平10−310974号公報、特開平10−131035、特開平01−292116号公報、特公平07−033637号公報、特公平07−033606号公報、特公平03−064604号公報に開示されている。
【0057】
<第1回収ローラ103の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):+1600V
回転方向:第1クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0058】
<第2回収ローラ107の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):−1200V
回転方向:第2クリーニングブラシ106に対してカウンター方向
【0059】
各回収ローラ103,107は、アルミ芯金をダイスから押し出すことでこれらの形状を実現可能である。また中空のSUSパイプをスピニング加工(へら絞り加工)で作ることも可能である。さらに、図10の断面形状がD形状の回収ローラの場合は、真円のローラの一部をフライス盤で切削することでも成形することができる。
各回収ローラ103,107はアルミからなる芯金の表面にPVDFを100μmの厚みで有し、さらにその表面にアクリル系のUV硬化樹脂層を有するもの(中抵抗ローラ)を用いた。各回収ローラ103、107の電気抵抗は、低温低湿環境下(LL)、中温中湿環境下(MM)、高温高湿環境下(HH)でそれぞれ図12に示す通りである。本実施形態で用いた回収ローラ103、107のみならず、導電性芯金に数μm〜100μm程度の高抵抗弾性チューブを被せたもの、あるいはさらに絶縁コーティングしたものでも同じ性能を得られる。回収ローラ103,107の表面の材料としては、PVDFチューブ、PFAチューブ、PIチューブ、アクリルコート、シリコーンコート(例えばシリコーン粒子を含有したPC(ポリカーボネート)をコート)、セラミックス、フッ素コーティングなどがある。
【0060】
<第1掻き取りブレード104の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第1回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):+1600V
【0061】
<第2掻き取りブレード108の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第2回収ローラ107へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):−1200V
【0062】
回収ローラ103,107は、先の図4、図10、図11に示したような食い込み量減少部分を有するため、掻き取りブレード104,108の回収ローラ103,107への食込み量は変化する。本実施例では、0.7mm〜1.2mm変化の範囲ならば掻き取りブレード104,108のクリーニング性は確保できる。
【0063】
各回収ローラ103,107には芯金に回収バイアスが印加され、その表面電位を測定すると回収バイアスとほぼ同電位になっているのであるが、クリーニング動作中、多くのトナーが入力されると、各回収ローラ103,107の表面電位はトナーの入力とともに低下していく。すると、各回収ローラ103,107とクリーニングブラシ102,106との電位差(回収電位差)が必要な値だけ確保できなくなり、クリーニングブラシ102,106からトナーを回収する能力が低下する。このため、例えば、A4サイズ1枚分のプリントであれば必要な大きさの回収電位差が確保できるが、連続プリント動作で且つブラシへの入力トナー量が多い場合には回収電位差が確保できなくなるといった事態を引き起こすことがある。すると、クリーニングブラシ102,106内にトナーが溜まった状態となり、ブラシからベルトにトナーを吐き出してしまうといった問題がある。このため、導電性の掻き取りブレード104,108に掻き取り電圧を印加して、回収ローラ103,107の表面に電荷を与えることで、回収電位差を大きくして回収性能を向上させるようになっている。
【0064】
[変形例1]
図13は、実施形態に係るプリンタの第1変形例におけるベルトクリーニング装置100と、その周囲とを示す拡大構成図である。
図に示すように、この変形例1のベルトクリーニング装置100は、中間転写ベルト8上のトナーの帯電極性を揃えるための極性制御部100cと、極性制御部100cよりも中間転写ベルト8移動方向下流側に、クリーニング部100aを備えている。クリーニング部100aの構成は、上記第1クリーニング部100aと同様の構成であるため、符号を同じにしている。
【0065】
極性制御部100cは、中間転写ベルト8と、クリーニングブラシ102とが当接するクリーニングニップよりもベルト移動方向上流側で、ベルト面に当接する極性制御部材たる極性制御ブレード101を有している。この極性制御ブレード101には、トナーの正規帯電極性と同極性の極性(負極性)制御バイアスが印加される。
【0066】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8に付着している転写残トナーの帯電量と、極性制御ブレード101との接触位置を通過した後(以下、極性制御ブレード通過後という)のトナーの帯電量とについて説明する。感光体1の表面上では、殆どのトナー粒子が正規極性である負極性に帯電している。これに対し、中間転写ベルト8の表面上に付着している転写残トナーには、正規極性とは逆極性に帯電している逆帯電トナー粒子が多く存在している。1次転写ニップや2次転写ニップ内で転写残トナー粒子に対して逆極性の電荷注入などが起こるからである。
【0067】
図14(a)、(b)、(c)は、2次転写ニップ通過後の中間転写ベルト表面に残留した転写残トナーの帯電量分布と、極性制御ブレードとの接触位置を通過した後の転写残トナーの帯電量分布との関係の第1例、第2例、第3例を示すグラフである。トナー帯電量分布については、次のようにして測定した。即ち、ホソカワミクロン製 E−スパートアナライザ(EST−3)によってトナー1個ずつの電荷量Qとそのトナーの粒径dとを測定したデータをもとに、本プリンタで作像した時の感光体1上の転写残トナー数百個をサンプリングした時のQ/d(単位はfc/μm)分布を帯電量分布とした。
【0068】
図14(a)に示した第1例は、正極性のトナーと負極性のトナーとが半分づつの状態で混在したブロードな分布(以下、転写残トナーAという)になっている。また、図14(b)に示した第2例は、正極性のトナーが負極性トナーよりも多い状態で混在したブロードな分布(以下、転写残トナーBという)である。また、図14(c)に示した第3例は、プロセスコントロール時等の未転写トナーであり、ほとんどが負極性トナーでシャープな分布になっている。
【0069】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト表面に残留している転写残トナーA、転写残トナーBが中間転写ベルトの回転に伴って極性制御ブレード101の位置まで達すると、ほとんどの転写残トナーが極性制御ブレード101によって機械的に掻き落される。しかし、いわゆるスティックスリップが発生することで、一部の転写残トナーが極性制御ブレード101をすり抜けて行く。この際、転写残トナーが正規の帯電極性(負極性)に帯電する。図14(a)、(b)に示したように、極性制御ブレード101の当接位置を通過する前のトナーの帯電量分布により、通過後の帯電量分布も異なってくるが、ブレード通過後にはどちらも殆どのトナー粒子が負極性に帯電している。図14(c)に示される未転写トナーは、ほとんど変化しないか、あるいはやや負極性よりになる。
【0070】
極性制御ブレード101は、例えばポリウレタン等からなる弾性体からなり、素材にカーボンブラックやイオン系の導電剤が混練されていることで導電性を発揮する。その電気抵抗は、2×105Ω・cm〜1×108Ω・cm、より好ましくは、1×106Ω・cm〜5×107Ω・cmである。また、厚みは1〜3mmの範囲内とするのが良い。厚さが薄すぎると、中間転写ベルト表面及び極性制御ブレード自体のうねり等によって中間転写ベルト8への押しつけ量が確保しにくくなる。硬度はJIS−A硬度計で40〜85の範囲内であれば良い。極性制御ブレード101に対しては、中間転写ベルト上の転写残トナーの全量を確実にクリーニングすることは要求されず、多少のトナーのすり抜けを許容しても問題ない。
【0071】
本発明者らが実験に使用した極性制御ブレード101の諸条件は次の通りである。
・板金に接着固定
・電気抵抗:1×106Ω・cm
・厚み:2.4、又は2.8mm
・自由長:7、又は9mm
・硬度:JIS−A硬度で60〜80
・ブレード反発弾性係数:45%
・極性制御バイアス:定電流−40μA
・中間転写ベルトとの当接圧:20〜40g/cm、カウンター当接
【0072】
かかる諸条件を具備する極性制御ブレード101の電気抵抗は、環境によって変化する。参考までに、No1〜No4の4種類の極性制御ブレード101について、設置条件の例を次の表1に示す。また、それらブレードにおけるおける環境と電気抵抗との関係を図15、図16に示す。
【表1】
【0073】
このような極性制御ブレードと、中間転写ベルト8との間にトナーが挟まれた時、極性制御ブレード101に印加された極性制御バイアスによってトナーに電流が流れ込む。そして、トナーは、印加電圧と同極性に帯電して極性制御ブレード101との当接位置を通過する。また、中間転写ベルト8と極性制御ブレード101とで形成された当接部の入口や出口における中間転写ベルト〜ブレード間の微小ギャップでの放電あるいは電荷注入によっても、トナーは印加電圧と同極性に帯電する。この結果、トナーは図14(a)、(b)の「ブレード通過後」に示すような負極性の帯電量分布となる。図17は、極性制御ブレード101との当接位置を通過する前後における転写残トナーの電荷量分布の変化を示すグラフである。
【0074】
極性制御ブレード通過後のトナーは、中間転写ベルト8に当接しながら回転するクリーニングブラシ102によってドラム表面から除去される。
【0075】
また、極性制御ブレード101の代わりに、コロナチャージャによって転写残トナーの極性を正規極性に揃えるようにしてもよい。この場合、コロナチャージャに対して−800μAの定電流を印加すればよい。
【0076】
また、この変形例1のベルトクリーニング装置100のクリーニング部100aの各条件は、次の通りである。
<クリーニングブラシ102条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×105Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):+800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0077】
<回収ローラ103の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):+1400V
回転方向:クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0078】
<掻き取りブレード104の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):+2000V
【0079】
[変形例2]
図18は、実施形態に係るプリンタの第2変形例におけるベルトクリーニング装置100と、その周囲とを示す拡大構成図である。第2変形例のベルトクリーニング装置100は、極性制御部100c、第1クリーニング部100a、第2クリーニング部100bを有している。極性制御部100cで、中間転写ベルト8上のトナーの極性を負極性に揃え、第1クリーニング部100aで、中間転写ベルト8上の負極性トナーを静電的に除去する。そして、極性制御部100cで極性制御できなかった正極性トナーや、第1クリーニング部のところで、正極性の電荷が注入され、正極性となったトナーが、第2クリーニング部100bで静電的に除去される。このように、極性制御を行い、2セットのクリーニングブラシでクリーニングを行うため、クリーニングの信頼性が高くなる。
【0080】
第1クリーニング部100a、第2クリーニング部100bにおけるそれぞれの条件は、次の通りである。
【0081】
[第1クリーニング部100a]
<第1クリーニングブラシ102条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×105Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):+800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0082】
<第1回収ローラ103の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):+1400V
回転方向:第1クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0083】
<第1掻き取りブレード104の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第1回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):+2000V
【0084】
[第2クリーニング部100b]
<第2クリーニングブラシ106条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×107Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):−800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0085】
<第2回収ローラ107の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):−1200V
回転方向:第1クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0086】
<第2掻き取りブレード108の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第2回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):−1200V
【0087】
[変形例3]
図19は、実施形態に係るプリンタの第3変形例における要部を示す概略構成図である。第3変形例では、転写ユニット50の構成が実施形態と異なっている。具体的には、ベルト装置としての転写ユニット50は、中間転写ベルトではなく、転写搬送ベルト51を無端移動させている。この転写搬送ベルト51のループ内側には、Y,M,C,K用の転写ローラ59Y,M,C,Kが配設されており、ループ外側の感光体1Y,M,C,Kとの間に中間転写ベルト8を挟み込んでY,M,C,K用の転写ニップを形成している。
【0088】
転写ユニット50の図中左側方に配設されたレジストローラ対は、所定のタイミングで記録紙Pを転写搬送ベルト51の上部張架面に向けて送り出す。送り出された記録紙Pは、ベルト表面に吸着されながら、ベルトの移動に伴って上述したY,M,C,K用の転写ニップを順次通過する。この際、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が記録紙Pの表面に順次重ね合わせて転写される。
【0089】
最下流のK用の1次転写ニップを通過した後の記録紙Pは、転写搬送ベルト51の表面から分離して図示しない定着装置に送られる。記録紙Pを分離した後のベルト表面に付着しているトナーは、ベルトクリーニング装置100によって除去される。このベルトクリーニング装置100は、中間転写ベルトではなく、転写搬送ベルト51をクリーニングするものであるが、それ以外の点が実施形態のベルトクリーニング装置と同様の構成になっている。転写搬送ベルト51は、PIベルト(厚み:80μm、体積抵抗率:ρv1E9Ω・cm)を用いた。また、PVDFベルト、ゴム層のある弾性体ベルトを、転写搬送ベルト51として用いることができる。
【0090】
この変形例3のベルトクリーニング装置100の第1クリーニング部100a、第2クリーニング部100bにおけるそれぞれの条件は、次の通りである。
【0091】
[第1クリーニング部100a]
<第1クリーニングブラシ102条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×105Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):+800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0092】
<第1回収ローラ103の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):+1400V
回転方向:第1クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0093】
<第1掻き取りブレード104の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第1回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):+2000V
【0094】
[第2クリーニング部100b]
<第2クリーニングブラシ106条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×107Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):−800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0095】
<第2回収ローラ107の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):−1200V
回転方向:第1クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0096】
<第2掻き取りブレード108の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第2回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):−1200V
【0097】
次に、実施形態、各変形例に係るプリンタにそれぞれ好適に用いられるトナーについて説明する。それらプリンタで600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜6μmが好ましい。また、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0098】
また、上述では、ベルトクリーニング装置100に本発明を適用した例について説明したが、感光体表面をクリーニングするドラムクリーニング装置(図1の4Y,M,C,K)にも本発明のクリーニング装置を適用することができる。
【0099】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図20は、トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGと平面積AREAとを説明する模式図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、「SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π)/4」という式で求められる。トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGの二乗を平面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0100】
図21は、トナー粒子の2次元平面に対する投影像の周長PERIと平面積AREAとを説明する模式図である。形状係数SF−2は、トナー粒子の形状の凹凸の割合を示すものであり、「SF−2={(PERI)2/AREA}×100/(4π)」という式で求められる。トナー粒子を2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0101】
形状係数の測定は、具体的には、トナーの中から100個のトナー粒子を無作為に選出してその写真を走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)で撮影し、その撮影像を画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入し、個々のトナー粒子の形状係数を解析した後、それらの平均値を最終的な形状係数とした。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0102】
また、トナーは少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0103】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0104】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0105】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0106】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−イソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0107】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0108】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2や、1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0109】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0110】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0111】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0112】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0113】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0114】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0115】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0116】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0117】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0118】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0119】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
【0120】
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0121】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−4μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0122】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
【0123】
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0124】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0125】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0126】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0127】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0128】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm、及び、2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0129】
上記樹脂微粒子や無機化合物分散剤などと併用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0130】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0131】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0132】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0133】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0134】
またトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。即ち、図22(a)、(b)、(c)に示すように、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定する。そして、トナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図22(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図22(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【0135】
なお、トナーQ/M(トナーの単位重量あたりの電荷量)、トナー帯電量分布の測定方法は以下のとおりである。また、極性制御率は以下で定義した。
【0136】
<トナーQ/M>
トナーパッチパターンを感光体上に作像し、現像、転写、極性制御後などの各プロセス終了後に複写機本体のメインスイッチを強制的にOFFにし、作像途中で機械を止める。感光体や転写ベルト上に形成されたトナー像を吸引治具を用いてエアーポンプで吸引しながら、そのトナーのクーロン量をクーロンメータ(ケスレー製エレクトロメータ617)により測定し、吸引治具により吸引したトナーの重量とクーロン量から単位重量あたりのトナー電荷量(μC/g)を算出する。
【0137】
<トナー帯電量分布>
ホソカワミクロン製 E−SPARTアナライザで測定する。感光体上に付着したトナーをエアーで吹き飛ばして測定部に落下させ、トナー1個ずつの粒径と電荷量を測定し、X軸に「電荷量/トナー粒径」、Y軸に「頻度(%)=予め設定した「電荷量/トナー粒径」のヒストグラムの帯の範囲にある数(個)/サンプル全数(個)×100」を算出しグラフ化した。
【0138】
<極性制御率>
上述のトナー帯電量分布の測定データをもとに算出する。極性制御率[%]=制御したい極性のトナーの数(個)/サンプル全数(個)×100。なお、制御したい極性とは、感光体表面電位を比較対象としたときの、極性制御部材に印加している電圧の相対的な極性である。例えば、感光体表面電位が−100Vで、極性制御部材印加電圧がー700Vの場合は、「トナーを−極性に制御したい」とする。本方式のようなトナー極性制御+単一極性印加ブラシによる静電クリーニング方式では、クリーニングブラシに入力するトナーの極性が揃っていることが重要になる。言い換えると、極性制御率が高いことが重要となる。
【0139】
以上、本実施形態のクリーニング装置によれば、回転しながら被清掃体たる中間転写ベルト8表面に接触し、中間転写ベルト8表面上の付着物を静電的に除去するブラシローラたるクリーニングブラシ102と、クリーニングブラシ102に対して一定量食い込ませて配設され、クリーニングブラシ102に付着したトナーを、回転しながらクリーニングブラシ102から静電的に回収する回収ローラ103とを備えている。そして、回収ローラ103に、クリーニングブラシ102に対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分103aを設けている。これにより、回収ローラの食い込み量減少部分が、クリーニングブラシと対向するように組み立てれば、装置の輸送中に、クリーニングブラシの対向ローラとの接触部分の毛倒れを、回収ローラの食い込み量減少部分以外の部分である真円部分との接触により毛倒れした場合の毛倒れ量よりも少なくできる。
また、回収ローラ103の真円部分103bは、クリーニングブラシ102に対する食い込み量が、所定量あるので、ブラシの内部の付着物も良好に回収ローラ103で静電的回収することができる。
【0140】
また、装置停止時において、回収ローラ103の食い込み量減少部分が、クリーニングブラシ102と対向するように、回収ローラ103の回転を制御することで、長期間にわたって画像形成動作を行われなかったことで、クリーニングブラシの対向ローラとの接触部分の毛倒れを、回収ローラの食い込み量減少部分以外の部分である真円部分との接触により毛倒れした場合の毛倒れ量よりも少なくできる。
【0141】
また、回収ローラ103の食い込み量減少部分103aのクリーニングブラシ102に対する食い込み量を、クリーニングブラシ102の中間転写ベルト8に対する食い込み量以下にすることで、クリーニングブラシの回収ローラとの接触部で毛倒れが発生しても、その毛倒れした部分は、中間転写ベルトと当接する。その結果、この毛倒れした部分でも中間転写ベルト上のトナーを除去することができ、クリーニング不良が生じるのを抑制することができる。
【0142】
また、クリーニングブラシ102のブラシが、回収ローラ103との食い込み領域に進入したときのブラシと回収ローラ表面との当接箇所が、前回の異なる回収ローラ表面との当接箇所と異なるよう構成した。具体的には、回収ローラの回転数[rpm]をn、上記ブラシローラの回転速数[rpm]をmとしたとき、(n/m)が、整数以外となるよう構成する。例えば、回収ローラが、クリーニングブラシと連れ回る構成など、回収ローラの線速が、ブラシローラの線速と同じとなるよう構成されている場合は、回収ローラの上記食い込み量減少部分以外の部分の外径をM、上記ブラシローラの外径Nとしたとき、(N/M)が、整数以外となるよう構成することで、(n/m)が、整数以外となるよう構成できる。このように、回収ローラ103との食い込み領域に進入したときのブラシと回収ローラ表面との当接箇所が、前回の異なる回収ローラ表面との当接箇所と異なるよう構成することにより、前回、回収ローラの食い込み量減少部分にのみ接触したクリーニングブラシの箇所が、今回は、回収ローラの真円部分の箇所と接触させることができる。これにより、前回回収しきれなかったブラシ内部のトナーも回収することができ、クリーニングブラシ102の所定の箇所にトナーが溜まることが抑制される。その結果、回収ローラに回収されずにクリーニングブラシにい留まり続けたトナーが、電荷注入などにより、帯電量が減少し、最終的に中間転写ベルトに再付着するのを抑制することができる。
【0143】
また、本実施形態の画像形成装置たるプリンタは、上述したクリーニング装置を備えることで、像担持体たる中間転写ベルトの転写残トナーを良好に除去することができ、地汚れなどが抑制された高品位な画像を得ることができる。
【0144】
また、変形例3に示すように、搬送ベルトたる転写搬送ベルト表面をクリーニングするクリーニング装置として、上述のクリーニング装置を用いることで、記録材たる記録紙の汚れを抑制することができる。
【0145】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、トナーとして、体積平均粒径が3〜6[μm]であり、且つ体積平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00〜1.40であるものを用いるようになっている。かかる構成では、トナーの帯電量の均一性により、地肌汚れの少ない高品位な画像を得ることができ、また転写率を高くすることができる。
【符号の説明】
【0146】
8:中間転写ベルト
51:転写搬送ベルト
100:本ベルトクリーニング装置
100a:第1クリーニング部
100b:第2クリーニング部
100c:極性制御部
101:極性制御ブレード
102:第1クリーニングブラシ
103:第1回収ローラ
103a:食い込み量減少部分
104:第1掻き取りブレード
106:第2クリーニングブラシ
107:第2回収ローラ
108:第2掻き取りブレード
【先行技術文献】
【特許文献】
【0147】
【特許文献1】特開平9−179466号公報
【特許文献2】特開2008−70518号公報
【特許文献3】特許第3695696号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成に用いられるトナーは、近年の高画質化に伴い、粉砕法によるものよりも、重合法によるものが主流になってきている。重合法によるトナー粒子は、粉砕法によるトナー粒子に比べて球形に近く、且つ小径であることから、高解像度に対応する小さなドットでも優れた再現性を発揮することができる。反面、クリーニングブレードを被清掃体たる像担持体や搬送体に当接させるブレードクリーニング方式では、クリーニング不良を引き起こし易いという不具合がある。球形に近く且つ小径であることから、ブレードと、像担持体や搬送体との間に形成される僅かな隙間をすり抜けてしまうからである。
【0003】
特許文献1に記載のクリーニング装置のように、静電クリーニング方式を採用すれば、重合法によるトナーであっても良好にクリーニングすることができる。具体的には、特許文献1に記載のクリーニング装置は、被清掃体たる像担持体に当接しながら回転するクリーニングブラシと、これに当接しながら回転する回収ローラと、回収ローラに当接する掻き取りブレードとを有している。そして、クリーニングブラシには、トナーの正規帯電極性とは逆極性のクリーニング電圧を印加している。また、回収ローラには、クリーニング電圧と同極性で且つクリーニング電圧よりも値の大きな回収電圧を印加している。像担持体の表面上に付着している付着物たる転写残トナーは、クリーニングブラシのブラシによって引っ掻かれながら、クリーニング電圧によってベルト表面からブラシに静電転移する。その後、クリーニングブラシから回収ローラに静電転移した後、掻き取りブレードによって回収ローラ表面から掻き落とされる。球形に近く且つ小径であることから、クリーニングブレードによるクリーニングが困難な重合法によるトナーであっても、静電転移によって像担持体表面から良好に除去することができる。
【0004】
クリーニングブラシはトナーを一旦付着させると、ブラシ内部にトナーを溜め込む傾向がある。特許文献1に記載のクリーニング装置においては、回収ローラのブラシに対しての食い込み量を、クリーニングブラシの像担持体に対する食い込み量よりも大きくしている。かかる構成とすることで、ブラシ内部のトナーも静電的に回収ローラで回収することができる。
【0005】
上記のようなクリーニングブラシを用いたクリーニング装置においては、長期間にわたって画像形成動作を行わないと、クリーニングブラシも回転しないため、ある一定の部分の毛が回収ローラに接触したままになり、その部分だけ変形(毛倒れ)した状態になってしまうことがある。特許文献1に記載のように、回収ローラのブラシに対しての食い込み量を、クリーニングブラシの像担持体に対する食い込み量よりも大きくした構成においては、クリーニングブラシの回収ローラに接触していた部分の毛倒れ量が、クリーニングブラシの像担持体に対する食い込み量よりも大きくなってしまう。その結果、その毛倒れしたままの状態で画像形成動作を行うと、クリーニングブラシが回転する際に、回収ローラとの接触によって毛倒れした部分が、像担持体と接触しなくなる。その結果、その部分で像担持体からトナーを除去できなくなり、クリーニング不良となるおそれがある。
【0006】
特許文献2には、クリーニングブラシに対して一定量食い込ませて配設され、クリーニングブラシの毛を起毛させる起毛ブラシを設けたクリーニング装置が記載されている。クリーニングブラシの毛倒れした部分が、起毛ブラシのクリーニングブラシとの接触部分に突入すると、クリーニングブラシの毛倒れした毛と、起毛ブラシのブラシとが絡みあい、クリーニングブラシの倒れた毛を起毛させる。これにより、クリーニングブラシのクリーニング能力を長期にわたり維持することができる。
【0007】
特許文献3には、クリーニングブラシの毛倒れを抑制するために、クリーニングブラシの毛の長さを2[mm]以下にしたクリーニング装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載のクリーニング装置においては、クリーニングブラシの毛を起毛させる起毛ブラシを新たに設ける必要があり、部品点数が増加し、装置のコスト高に繋がるという問題がある。また、特許文献3に記載のクリーニング装置においては、クリーニングブラシの毛足が短いので、トナーに対する毛の接触面積が小さい。そのため、トナーを静電的に吸着できる量が少なくなり、クリーニング機能が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、部品点数の増加を抑え、かつ、クリーニング機能を低下させずに、ブラシローラの毛倒れを抑制することができるクリーニング装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転しながら被清掃体表面に接触し、上記被清掃体表面上の付着物を静電的に除去するブラシローラと、上記ブラシローラに対して一定量食い込ませて配設され、上記ブラシローラに付着した付着物を、回転しながら上記ブラシローラから静電的に回収する回収ローラとを備えたクリーニング装置において、上記回収ローラに、上記ブラシローラに対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のクリーニング装置において、当該装置停止時において、上記回収ローラの上記食い込み量減少部分が、上記ブラシローラと対向するように、上記回収ローラの回転を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2のクリーニング装置において、上記ブラシローラを上記被清掃体表面に食い込ませて配設しており、上記回収ローラの上記食い込み量減少部分の上記ブラシローラに対する食い込み量を、上記ブラシローラの上記被清掃体に対する食い込み量以下にしたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかのクリーニング装置において、上記ブラシローラのブラシが、回収ローラとの食い込み領域に進入したときのブラシと回収ローラ表面との当接箇所が、前回の異なる回収ローラ表面との当接箇所と異なるよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のクリーニング装置において、上記回収ローラの回転数[rpm]をn、上記ブラシローラの回転速数[rpm]をmとしたとき、(n/m)が、整数以外となるよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5のクリーニング装置において、上記回収ローラの線速が、上記ブラシローラの線速と同じとなるよう構成されており、上記回収ローラの上記食い込み量減少部分以外の部分の外径をM、上記ブラシローラの外径Nとしたとき、(N/M)が、整数以外となるよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、転写後に上記像担持体上に残留した転写残トナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1乃至6いずれかのクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記記録材を搬送する搬送ベルト上に残留するトナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1乃至7いずれかのクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の画像形成装置において、上記トナーとして、体積平均粒径が3[μm]以上6[μm]以下、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、1.00以上、1.40以下のトナーを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回収ローラに、ブラシローラに対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分を設けたので、次のように回収ローラの回転を制御すれば、ブラシローラの毛倒れを抑制することができる。すなわち、クリーニング装置停止時において、上記食い込み量減少部分が、ブラシローラと対向するように、回収ローラの回転を制御するのである。このように、回収ローラの回転を制御することによって、ブラシローラの回収ローラとの接触部分に毛倒れが発生してもその毛倒れ量が、回収ローラの食い込み量減少部分以外との接触により毛倒れした場合の毛倒れ量よりも少なくできる。
また、回収ローラの食い込み量減少部分以外の部分は、ブラシローラに対する食い込み量が、所定量あるので、ブラシの内部の付着物も良好に回収ローラで静電的回収することができる。
また、起毛ブラシなどを設けずに、毛倒れを防止できるので、特許文献2に記載のクリーニング装置に比べて、部品点数の増加を抑制することができる。また、ブラシローラの毛足が長くても、毛倒れを抑制できるので、クリーニング機能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。
【図2】同プリンタのベルトクリーニング装置とその周囲とを拡大して示す拡大構成図。
【図3】電気抵抗が、1×105Ω・cm、1×107Ω・cm、1×109Ω・cmであるクリーニングブラシローラのクリーニング性を示すグラフ。
【図4】従来のクリーニング装置における毛倒れの様子を説明する図。
【図5】第1クリーニング部周辺の概略構成図。
【図6】回収ローラの回転を制御について説明する制御ブロック図。
【図7】ベルトクリーニング装置において、長期間の放置で毛倒れが発生した場合の様子を示す図。
【図8】毛倒れが発生した状態で第1クリーニングブラシを回転させた様子を示す図。
【図9】第1回収ローラと第1クリーニングブラシとを回転させたときの様子を示す図。
【図10】食い込み量減少部分の第1変形例を示す図。
【図11】食い込み量減少部分の第2変形例を示す図。
【図12】同プリンタの回収ローラにおける電気抵抗と環境との関係を示すグラフ。
【図13】実施形態に係るプリンタの第1変形例におけるベルトクリーニング装置とその周囲とを示す拡大構成図。
【図14】(a)、(b)、(c)は、1次転写ニップ通過後の感光体表面に残留した転写残トナーの帯電量分布と、極性制御ブレードとの接触位置を通過した後の転写残トナーの帯電量分布との関係の第1例、第2例、第3例を示すグラフ。
【図15】No1、No2の極性制御ブレードにおけるおける環境と電気抵抗との関係を示すグラフ。
【図16】No3、No4の極性制御ブレードにおけるおける環境と電気抵抗との関係を示すグラフ。
【図17】極性制御ブレードとの接触位置を通過する前後における転写残トナーの電荷量分布の変化を示すグラフ。
【図18】実施形態に係るプリンタの第2変形例におけるベルトクリーニング装置とその周囲とを示す拡大構成図。
【図19】実施形態に係るプリンタの第3変形例における要部を示す概略構成図。
【図20】トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGと平面積AREAとを説明する模式図。
【図21】トナー粒子の2次元平面に対する投影像の周長PERIと平面積AREAとを説明する模式図。
【図22】(a)、(b)、(c)はそれぞれトナーの形状を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、いわゆるタンデム型中間転写方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの要部を示す概略構成図である。本プリンタは、イエロー,マゼンタ,シアン,黒(以下、Y,M,C,Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kを備えている。4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kは、ドラム状の感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ有している。感光体1Y,M,C,Kの回りにはそれぞれ帯電装置2Y,M,C,K、現像装置5Y,M,C,K、ドラムクリーニング装置4Y,M,C,K、除電装置(不図示)等を有している。プロセスユニット6Y,M,C,Kは、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。プロセスユニット6Y,M,C,Kの上方には、感光体1Y,M,C,Kの表面に対してレーザー光Lを照射して静電潜像を書き込むための図示しない光書込ユニットが配設されている。
【0014】
プロセスユニット6Y,M,C,Kの下方には、ベルト部材たる無端状の中間転写ベルト8を具備するベルト装置としての転写ユニット7が配設されている。中間転写ベルト8の他、そのループ内側に配設された複数の張架ローラや、ループ外側に配設された2次転写ローラ15、押圧ローラ16、ベルトクリーニング装置100などを有している。
【0015】
中間転写ベルト8のループ内側には、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kと、テンションローラ10と、1次転写後ローラ11と、2次転写対向ローラ12と、極性制御対向ローラ13と、クリーニング対向ローラ14とが配設されている。これらローラは何れも、自らの周面の一部に中間転写ベルト8を掛け回してベルト張架を行う張架ローラとして機能している。中間転写ベルト8は、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される駆動ローラ12の回転により、図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0016】
ベルトループ内側に配設された4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、感光体1Y,M,C,Kとの間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト8のおもて面と、感光体1Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。なお、1次転写ローラ9Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によってトナーとは逆極性の1次転写バイアスが印加される。
【0017】
また、ベルトループ内側に配設された2次転写対向ローラ12は、ベルトループ外側に配設された2次転写ローラ12との間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト8のおもて面と、2次転写ローラ12とが当接する2次転写ニップが形成されている。なお、2次転写ローラ12には、図示しない電源によってトナーとは逆極性の2次転写バイアスが印加される。
【0018】
また、ベルトループ内側に配設されたクリーニング対向ローラ13、14は、ベルトループ外側に配設されたベルトクリーニング装置100のクリーニングブラシ102との間に中間転写ベルト8を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト8のおもて面と、クリーニングブラシ102とが当接するクリーニングニップが形成されている。ベルトクリーニング装置100は中間転写ベルト8と一体的に交換可能になっているが、ベルトクリーニング装置100と中間転写ベルト8とで寿命設定が異なる場合には、ベルトクリーニング装置100を中間転写ベルトとは独立してプリンタ本体に着脱可能としてもよい。
【0019】
本プリンタは、記録紙Pを収容する給紙カセットや、給紙カセットから記録紙Pを給紙路に給紙する給紙ローラなどを有する図示しない給紙部を備えている。また、給紙部から送られてきた記録紙を受け入れて2次転写ニップに向けて所定のタイミングで送り出す図示しないレジストローラ対を、上述した2次転写ニップの図中右側方に備えている。また、2次転写ニップから送り出される記録紙Pを受け入れてその記録紙Pに対してトナー像の定着処理を施す図示しない定着装置を、上述した2次転写ニップの図中左側方に備えている。また、必要に応じて、現像装置5Y,M,C,Kに対してY,M,C,Kトナーを補給する図示しないY,M,C,K用のトナー補給装置も備えている。
【0020】
近年、記録紙として従来広く用いられてきた普通紙に加え、デザインとして表面に凹凸を有する特殊紙やアイロンプリントなどの熱転写に用いる特殊な記録紙が用いられることが増えている。このような特殊紙を用いると、従来の普通紙の場合よりもカラートナーを重ね合わせた中間転写ベルト8上のトナー像を紙に2次転写する際に転写不良が発生し易くなる。そこで、本プリンタでは、中間転写ベルト8に弾性をもたせることにより、記録紙との接触性を高めている。
【0021】
中間転写ベルト8としては、多層構造のものが用いられる。ベース層としては、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の導電剤を適当量含有させて、その体積抵抗率が106〜1014Ω・cmとなるものが用いられている。また、弾性を持たせたベルトにする場合には、その導電性弾性層の主基材として、シリコーンゴム、NBR、H−NBR、CR、EPDM、ウレタンゴム等が用いられる。また、導電性保護層の材料は、摩擦抵抗の低減、電気特性の環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性能の向上といった目的を達成できるものであれば、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、PVDFなどのフッ素樹脂系ポリマーを、アルコール可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルジョンや有機溶媒に、溶解・分散した塗料を使用することができる。これら保護層は、上記の塗料をディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどにより設けることができる。さらに、保護層に表面処理または研磨を施すことにより離型性、導電性、耐磨耗性、表面クリーニング性等を改善することができる。弾性を有する中間転写ベルト8とドラム状の感光体1とは比較的広い接触領域にて接触配置されており、しかも、中間転写ベルト8により弾性押圧されているため、ドラム状の感光体1と中間転写ベルト8との間のタック面圧はそれほど高くなく、しかも、中間転写ベルト8によるトナー像の包み込み動作が行われ、感光体1Y,M,C,K上のトナー像が中間転写ベルト8側に一次転写される。このとき、中間転写ベルト8への転写画像には、大きなタック面圧によるホロキャラクタなどの画像欠陥はなく、高い転写効率で転写されるため、記録材(特に凹凸を有する特殊紙など)上のカラー画像品質はきわめて良好に保たれる。
【0022】
パーソナルコンピュータ等から画像情報が送られてくると、本プリンタは、駆動ローラ12を回転駆動して、中間転写ベルト8を無端移動させる。駆動ローラ12以外の張架ローラについては、ベルトに従動回転させる。同時に、プロセスユニット6Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,Kを回転駆動する。また、感光体1Y,M,C,Kの表面を帯電装置2Y,M,C,Kによって一様に帯電させながら、帯電後の表面に対してレーザー光Lの照射によって静電潜像を形成する。そして、感光体1Y,M,C,Kの表面に形成した静電潜像を現像装置5Y,M,C,Kすることで、感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,Kトナー像を得る。Y,M,C,Kトナー像は、上述したY,M,C,K用の1次転写ニップにて、中間転写ベルト8のおもて面に重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8のおもて面には4色重ね合わせトナー像が形成される。
【0023】
一方、給紙部では、給紙ローラ27によって給紙カセットから記録紙Pを1枚づつ送り出してレジストローラ対まで搬送する。そして、中間転写ベルト8上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで、レジストローラ対を駆動して記録紙Pを2次転写ニップに送り込んで、ベルト上の4色重ね合わせトナー像を記録紙Pに一括2次転写する。これにより、記録紙Pの表面にフルカラー画像を形成する。フルカラー画像形成後の記録紙Pについては、2次転写ニップから定着装置に搬送してトナー像の定着処理を施す。
【0024】
Y,M,C,Kトナー像を中間転写ベルト8に1次転写した後の感光体1Y,M,C,Kについては、ドラムクリーニング装置4Y,M,C,Kによって転写残トナーのクリーニング処理を施す。その後、図示しない除電ランプで除電した後、帯電装置2Y,M,C,Kで一様に帯電せしめて、次の画像形成に備える。
【0025】
ここで、従来のブレードクリーニング方式の問題点について説明する。上述のように、近年、高画質化の要望が高まり、トナーは小粒径化の傾向にある。また、トナー製造コスト低減および転写率向上の要望から粉砕トナーではなく重合法等により球形化トナーを採用する傾向にある。小粒径化や球形化の進んだトナーの使用に伴い、像担持体上に残留したトナーを除去する手段として主に用いられてきたブレードクリーニング方式では、ブレードと像担持体表面の密着の精度が低いとトナーがすり抜けてしまいクリーニング性が低下しやすい。これを防ぐため、ブレードを強い当接圧で押しつけると、ブレードのめくれが発生し、いわゆるスジ状あるいは帯状のクリーニング不良を引き起こす原因となり、安定したクリーニング性能を保ちつづけることが困難である。また、球形トナーでも線圧を極端に高くすれば(具体的には、線圧100gf/cm以上)クリーニングできるが、その分クリーニングブレードの磨耗やベルトのキズ等により寿命が極端に短くなる。通常の線圧20gf/cmでのクリーニングブレード寿命(削れてクリーニング不良が発生する時の寿命)は、約120K枚である。線圧100gf/cmの時は、クリーニングブレードの寿命は約20K枚程度である。また、転写性が良いとされている球形トナーに対して、ブレードクリーニング性は、粉砕(異型)トナーに対するクリーニング性より劣ることは良く知られていることである。
【0026】
そこで、本プリンタでは、ブレードクリーニング方式よりも良好に球形化トナーをクリーニングすることが可能な静電クリーニング方式のベルトクリーニング装置100を採用している。
【0027】
図2は、本プリンタのベルトクリーニング装置100とその周囲とを拡大して示す拡大構成図である。このベルトクリーニング装置100は、中間転写ベルト8上のトナーのうち正規帯電極性である負極性トナーをクリーニングするための第1クリーニング部100aと、中間転写ベルト8上のトナーのうち正規帯電極性と逆極性である正極性トナーをクリーニングする第2クリーニング部100bとを有している。
【0028】
第1クリーニング部100aは、ブラシローラとしての第1クリーニングブラシ102、第1クリーニングブラシ102に付着したトナーを回収する第1回収ローラ103、第1回収ローラ103に当接して第1回収ローラ表面からトナーを掻き取るトナー掻き取り部材としての第1トナー掻き取りブレード104を備えている。
【0029】
第1クリーニングブラシ102は、回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛(導電性繊維)からなるブラシローラ部とを具備しており、図示しないブラシ用電源によってトナーの正規帯電極性と逆極性である正極性の第1クリーニングバイアスが印加される。また、第1回収ローラ103には、図示しない回収電源より、正極性で且つ第1クリーニングバイアスよりも大きな値の第1回収バイアスが印加される。また、第1掻き取りブレード104を、導電性とし、第1回収ローラ103の表面電位を維持するためにバイアスを印加しても良い。また、第1クリーニングブラシ102にトナーが多く回収された場合にブラシ先端の電位が低下してしまうことがある。このため、第1クリーニングブラシ102の表面に電荷を付与するブラシ表面電荷付与手段を設けてもよい。ブラシ表面電荷付与部材は、金属の丸棒や金属の板状部材などの当接部材を第1クリーニングブラシ102に当接させ、当接部材に正極性のバイアスを印加することで、ブラシ表面に電荷が付与される。ブラシ表面に電荷を付与することにより、ブラシ先端の電位が低下してもその電位を補うことができる。
【0030】
第2クリーニング部100bは、第1クリーニング部100aよりも中間転写ベルト8移動方向下流側に配置され、第1クリーニング部100aと同様、クリーニングブラシ106、回収ローラ107、掻き取りブレード108を備えている。
【0031】
第2クリーニングブラシ106は、回転自在に支持される金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛(導電性繊維)からなるブラシローラ部とを具備しており、図示しないブラシ用電源によってトナーの正規帯電極性と同極性である負極性の第2クリーニングバイアスが印加される。また、第2回収ローラ107には、図示しない回収電源より、負極性で且つ第2クリーニングバイアスよりも大きな値の第2回収バイアスが印加される。また、第2掻き取りブレード108を、導電性とし、第2回収ローラ107の表面電位を維持するために負極性のバイアスを印加しても良い。また、第2クリーニングブラシ106のブラシ先端の電位の低下を抑制するために、上述と同様な構成のブラシ電荷付与手段を設けてもよい。
【0032】
また、本ベルトクリーニング装置100は、第1、第2クリーニング部100a,100bで除去したトナーを、装置ケーシングの一端部に向けて搬送してベルトクリーニング装置100ケーシングの外に排出する排出スクリュ109が設けられている。排出スクリュ109によってクリーニング装置から排出されたトナーは、プリンタ本体に備えられた図示しない廃トナータンク(不図示)内に落下する。また、廃タンクではなく、現像装置に戻すようにしてもよい。
【0033】
また、中間転写ベルト8表面保護のために、第2クリーニングブラシ106で中間転写ベルト8の表面に潤滑剤塗布を塗布してもよい。この場合は潤滑剤を固形化したものを第2クリーニングブラシ106に当接させ、潤滑剤を塗布するようにする。また、第2クリーニングブラシ106よりも中間転写ベルト8移動方向下流側に、中間転写ベルト表面に塗布した潤滑剤を均す均しブレードを設けてもよい。また、第2クリーニングブラシ106とは別に潤滑剤塗布用のブラシを設けてもよい。第2クリーニングブラシ106とは別に潤滑剤塗布用のブラシを設けることで、第2クリーニングブラシ106で潤滑剤を塗布する場合、第2クリーニングブラシ106にはトナーが常時回収されているため、トナーと潤滑剤とが交じり合い、潤滑剤塗布時にいったん回収したトナーが、再度中間転写ベルト上に付着する場合がある。一方、第2クリーニングブラシ106とは別に潤滑剤塗布用のブラシを設けることで、回収されたトナーが中間転写ベルト8に再付着するのを抑制できる。
【0034】
図3に、電気抵抗が、1×105Ω・cm、1×107Ω・cm、1×109Ω・cmであるクリーニングブラシのクリーニング性を示す。電気抵抗が1×109Ω・cmの時は、印加電圧が大きいため、電源コストがアップする。一方、電気抵抗が1×105Ω・cmの時は中間転写ベルト8に電流を流し易いことにより、1×107Ω・cmのときよりも低い電圧でトナーが正極性に帯電して感光体1に再付着する。このため、クリーニング性の余裕度が小さい。したがって、1×107Ω・cmの条件がもっとも適している。但し、ブラシ抵抗は直径10mmのSUSローラにクリーニングブラシを1mm食い込ませて当接させて200mm/secで両方を回転させ、ブラシ芯金に電圧を印加して電流測定し抵抗を算出したものである。繊維はナイロン、ポリエステル、アクリル等の絶縁材が一般的で何れの材料の場合も同じ効果である。また、芯鞘構造の代表的な繊維は特開平10−310974号公報、特開平10−131035、特開平01−292116号公報、特公平07−033637号公報、特公平07−033606号公報、特公平03−064604号公報に開示されている。
【0035】
2次転写ニップを通過した転写残トナーは、第1クリーニングブラシ102の位置に中間転写ベルト8の回転により移送される。第1クリーニングブラシ102には、トナーの正規帯電極性と反対極性(正極性)の電圧が印加されており、中間転写ベルト8と第1クリーニングブラシ102表面電位との電位差で形成される電界により、中間転写ベルト8上の負極性に帯電したトナーを静電的に吸着して第1クリーニングブラシ102へ移動させる。第1クリーニングブラシ102に移動した負極性のトナーは、第1クリーニングブラシ102よりも値が大きな正極性の電圧が印加された第1回収ローラ103との当接位置まで移送される。そして、第1クリーニングブラシ102の表面電位と第1回収ローラ103の表面電位との電位差で形成される電界により、第1クリーニングブラシ102上に移動したトナーを静電的に吸着して第1回収ローラ103上へ移動させ、第1回収ローラ103に移動した負極性のトナーは、第1掻き取りブレード104により回収ローラ表面から掻き落とされる。第1掻き取りブレード104により掻き落とされたトナーは、排出スクリュ109で装置外に排出される。
【0036】
第1クリーニングブラシ102により除去できたかった中間転写ベルト8上の正極性の転写残トナーは、第2クリーニングブラシ106の位置に移送される。第2クリーニングブラシ106には、トナーの正規帯電極性と同極性(負極性)の電圧が印加されており、中間転写ベルト8と第2クリーニングブラシ106表面電位との電位差で形成される電界により、中間転写ベルト8上の正極性に帯電したトナーを静電的に吸着して第2クリーニングブラシ106へ移動させる。第2クリーニングブラシ106に移動した正極性のトナーは、第2クリーニングブラシ106よりも値が大きな負極性の電圧が印加された第2回収ローラ107との当接位置まで移送される。そして、第2クリーニングブラシ106の表面電位と第2回収ローラ107の表面電位との電位差で形成される電界により、第2クリーニングブラシ106上に移動したトナーを静電的に吸着して第2回収ローラ107上へ移動させる。第2回収ローラ107に移動した正極性のトナーは、第2掻き取りブレード108により第2回収ローラ表面から掻き落とされる。第2掻き取りブレード108により掻き落とされたトナーは、排出スクリュ109で装置外に排出される。
【0037】
また、上述では、第1クリーニング部100aで、中間転写ベルト8上の負極性トナーを除去し、第2クリーニング部100bで正極性トナーを除去しているが、第1クリーニング部100aで正極性のトナーを除去し、第2クリーニング部100bで負極性のトナーを除去する構成でもよい。
【0038】
次に、本クリーニング装置の特徴点について説明する。
クリーニングブラシを用いたクリーニング装置においては、長期間にわたって画像形成動作を行わないと、クリーニングブラシも回転しないため、ある一定の部分の毛が回収ローラに接触したままになり、その部分だけ変形(毛倒れ)した状態になってしまうことがある。
図4は、従来のクリーニング装置の毛倒れの様子を説明する図である。図4は、中間転写ベルト8へのブラシ繊維喰い込み量:2mm、回収ローラ103へのブラシ繊維喰い込み量:3mmである。また、図中二点鎖線は毛倒れしていない場合のブラシ(外径)形状であり、実線が毛倒れを起こした状態のブラシ(外径)形状である。図4(b)は、クリーニングブラシが図4(a)の位置から180度回転した状態を示した図(断面図)である。
回収ローラ103へのブラシ繊維食い込み量が3mmであるため、クリーニングブラシ102の回収ローラ103との接触部分は、最大で3mm毛倒れする。このため、図4(b)に示すように、回収ローラ103との接触部で生じたブラシの毛倒れ部分が中間転写ベルト8の位置に来ると、ブラシと中間転写ベルト8が接触せず空間ができる。この状態だと中間転写ベルト8からクリーニングブラシ102にトナーが移動しないため、クリーニング性が悪化する。
【0039】
そこで、本実施形態のクリーニング装置においては、各回収ローラ103,107に、クリーニングブラシ102,106に対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分を設けた。以下、具体的に説明する。なお、第1回収ローラ103と第2回収ローラ107の構成は、同じであるので、以下の説明では、第1回収ローラ103を用いて説明する。
【0040】
図5は、第1クリーニング部100a周辺の概略構成図である。
図5に示すように、第1回収ローラ103の一部が楕円となっており、この楕円の部分が、食い込み量減少部分103aである。食い込み量減少部分103aは、図に示すように、第1回収ローラ103の真円部分103bの外径よりも小さくなっている。
【0041】
図6は、第1回収ローラ103の停止位置を制御について説明するための制御ブロック図である。
第1回収ローラ103の軸には、エンコーダ200が配置されており、エンコーダ200からの信号が制御手段たる制御部201に入力される。エンコーダ200は、例えば、食い込み量減少部分103aが第1クリーニングブラシ102と対向する位置に来ると、制御部200にパルス信号を送信するような簡易な構成でよい。装置の停止信号を制御部200が受けてから、エンコーダ200からのパルス信号を受信するまで、第1回収ローラ103を回転させる駆動モータ202を駆動させ、エンコーダ200からパルス信号を受信したら、制御部200は、駆動モータの駆動を停止させる。これにより、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aが、第1クリーニングブラシ102と対向して停止される。
【0042】
第1回収ローラ103の真円部分103bのブラシに対する食い込み量は、第1クリーニングブラシ102の中間転写ベルト8への食い込み量よりも大きくなっており、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aの第1クリーニングブラシ102に対する食い込み量は、第1クリーニングブラシ102の中間転写ベルト8への食い込み量以下となっている。
【0043】
図7は、本発明のベルトクリーニング装置100において、長期間の放置で毛倒れが発生した場合の様子を示す図であり、図8は、毛倒れが発生した状態で第1クリーニングブラシ102を回転させた様子を示す図である。
図7に示すように、毛倒れを起こした場合、第1クリーニングブラシ102の(外径)形状は、図7の実線に示す形状になり、第1クリーニングブラシの食い込み減少部分103aとの接触部分が、食い込み減少部分103aに沿うようにして毛倒れする。また、第1クリーニングブラシ102の中間転写ベルト8との接触部分が、中間転写ベルト8に沿った形状に毛倒れする。ここで、仮に、第1クリーニングブラシ102が第1回収ローラ103の真円部分103bに沿って毛倒れした場合、最大の毛倒れ部分の外径は、図7、図8に示す2点鎖線Aとなる。この場合、中間転写ベルト8と当接しない部分が生じてしまう。一方、第1クリーニングブラシ102が第1回収ローラ103の食い込み減少部分103aに沿って毛倒れした場合、最大の毛倒れ部分の外径は、図7、図8に示す破線Bとなる。食い込み量減少部分103aの第1クリーニングブラシ102に対する食い込み量は、第1クリーニングブラシ102の中間転写ベルト8に対する食い込み量以下にしてあるので、図8に示すように、第1回収ローラ103との当接によって毛倒れした部分が、中間転写ベルト8と当接する。その結果、クリーニング不良が生じるのを抑制することができる。
【0044】
また、第1回収ローラ103の真円部分103bの第1クリーニングブラシ102に対する食い込み量は多いので、ブラシ繊維の内部と接触する。このため、ブラシ繊維内部に入り込んだトナーも、良好に第1回収ローラ103により回収することができる。
【0045】
図9は、第1回収ローラ103と第1クリーニングブラシ102とを回転させたときの様子を示す図である。図に示すように、中間転写ベルト8表面の転写残トナーを除去するために、第1クリーニングブラシ102および第1回収ローラ103を回転させると、第1クリーニングブラシ102は、第1回収ローラ103の真円部分103bと接触したり、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aと接触したりする。第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aは、真円部分103bの食い込み量よりも少ないため、真円部分103bに比べて、ブラシ内部のトナーまで回収することができない。このため、第1クリーニングブラシ102の所定の箇所が、常に第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aと接触すると、第1クリーニングブラシ102の所定の箇所にトナーが溜まっていってしまう。そして、回収ローラに回収されずにクリーニングブラシに留まり続けたトナーが、電荷注入などにより、帯電量が減少し、最終的に中間転写ベルトに再付着してしまうおそれがある。
【0046】
ここで、第1回収ローラ103の回転数(rpm)が、第1クリーニングブラシ102の回転数(rpm)の整数倍、すなわち、第1回収ローラ103の回転数をn、第1クリーニングブラシ102の回転数をmとした場合、(n/m)が整数の場合、第1クリーニングブラシ102の所定の箇所が、常に第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aと接触することになる。そのため、第1回収ローラ103の回転数をn、第1クリーニングブラシ102の回転数をmとした場合、(n/m)が整数以外となるように構成することが好ましい。
【0047】
第1回収ローラ103の回転数をn、第1クリーニングブラシ102の回転数をmとしたとき、(n/m)を整数以外とすることによって、第1クリーニングブラシ102のブラシが、第1回収ローラ103との食い込み領域に進入したときのブラシと第1回収ローラ103表面との当接箇所を、前回と異ならせることができる。これにより、前回、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aとしか当接せず、十分にトナーが回収されなかったブラシ部分が、今回は、第1回収ローラ103の真円部分103bと当接させることができ、ブラシ内部に溜まったトナーを回収することができる。これにより、第1クリーニングブラシ102の所定の箇所にトナーが溜まり続けるのを抑制することができる。その結果、第1回収ローラ103に回収されずにクリーニングブラシ102に留まり続けたトナーが、電荷注入などにより、帯電量が減少し、最終的に中間転写ベルトに再付着してしまうのを抑制することができる。
【0048】
本実施形態においては、第1クリーニングブラシ102の回転数は、84.8rpmとなり、第1回収ローラ103の回転数は、127.3rpmとなっている。
【0049】
また、第1回収ローラ103が、第1クリーニングブラシ102と連れ回るように構成した場合など、第1回収ローラ103の線速と第1クリーニングブラシ102の線速とが同じ場合は、第1回収ローラ103の真円部分103bの外径をM、第1クリーニングブラシ102の外径をNとしたとき、(N/M)が整数以外となるよう構成する。このように構成することによって、第1回収ローラ103と第1クリーニングブラシ102の線速が同じ場合において、第1回収ローラ103の回転数(rpm)が、第1クリーニングブラシ102の回転数(rpm)の整数倍以外となり、第1クリーニングブラシ102のブラシが、第1回収ローラ103との食い込み領域に進入したときのブラシと第1回収ローラ103表面との当接箇所を、前回と異ならせることができる。
本実施形態では、第1クリーニングブラシ102の直径:16mm、第1回収ローラ103の直径:15mmにしている。
【0050】
また、毛倒れはベルトクリーニング装置100(または、ベルトクリーニング装置100が組み込まれたユニット)の輸送時に発生しやすい。これは、ベルトクリーニング装置100(または、ベルトクリーニング装置100が組み込まれたユニット)輸送時は、長時間同じ姿勢で放置され、周囲の温度が高温になる場合があるからである。このため、ベルトクリーニング装置100組み立て時に、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aを第1クリーニングブラシ102と対向させる。これにより、装置輸送時の毛倒れを抑制できる。
また、ベルトクリーニング装置100(または、ベルトクリーニング装置100が組み込まれたユニット)がプリンタにセットされた後は、適当な間隔で第1クリーニングブラシ102が回転するため、輸送時に比べて、第1クリーニングブラシ102のある一定の部分のブラシが第1回収ローラ103に接触したままになる期間が短い。また、周囲の温度が輸送時ほど高温にならない。このため、上述のように、エンコーダを設けて、第1回収ローラ103の回転を制御する構成を有していなくても、少なくともベルトクリーニング装置100輸送時に、第1回収ローラ103の食い込み減少部分103aを対向させてあれば、十分毛倒れ抑制効果がある。
【0051】
また、上述では、第1回収ローラ103の食い込み量減少部分103aを楕円にしているが、図10に示すように、食い込み量減少部分103aを軸方向断面が直線状となるような構成にしてもよい。この場合、第1掻き取りブレード104の第1回収ローラ103に対する掻き取り性能が悪くならないように、第1回収ローラ103の真円部分103bと食い込み量減少部分103aとをスムーズな曲線でつなぐようにするのが好ましい。
【0052】
また、図11に示すように、食い込み量減少部分103aを、第1回収ローラ103の回転中心側に凹んだ形状にしてもよい。図11に示す構成は、食い込み量減少部分103aが、第1クリーニングブラシ102を中心とする仮想円Cに沿うような曲線となっている。このように、食い込み量減少部分103aが、第1クリーニングブラシ102を中心とする仮想円Cに沿うような曲線とすることで、真円部分103bを多く取ることができ、第1クリーニングブラシ102からのトナーの回収能力の低下を最も抑えることができる。
【0053】
本プリンタのベルトクリーニング装置100における具体的な構成条件の一例は、通常環境(高温高湿環境以外)で以下のとおりである。
<第1クリーニングブラシ102の条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×107Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):+1000V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルト8へのブラシ食い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0054】
<第2クリーニングブラシ106の条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×107Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):−800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルト8へのブラシ食い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0055】
第1、第2クリーニングブラシ102、106のブラシ繊維は繊維全体としては導電性であるが、繊維表面は絶縁層で覆われているものを用いる。繊維表面に絶縁層を有することで、各クリーニングブラシ102、106と中間転写ベルト8とが接触する際に電流が流れ難くなり、ブラシ繊維がベルトからトナーを静電吸引する際に余分な電流が流れ難くなる。このため、トナーに逆極性の電荷を与えてしまうことがなく、いったんブラシ内に捕捉したトナーを中間転写ベルト8に再付着させる恐れが少なくなる。ただし、このようなブラシを使用しても、繊維表面の絶縁を破壊して電流を流すほどの電圧を回転軸に印加すると、結果として中間転写ベルト8にトナーを戻してしまうことになるので、電圧値の設定には注意を要する。
【0056】
各クリーニングブラシ102、106は、ブラシロール状に形成後、一方向に毛を倒す斜毛処理を施すと、繊維断面に露出している導電剤を中間転写ベルト8に接触させ難くなる。これにより、トナーへの電荷注入性が低減され、クリーニング性の余裕度が向上する。繊維はナイロン、ポリエステル、アクリル等の絶縁材が一般的で何れの材料の場合も同じ効果である。また、芯鞘構造の代表的な繊維は特開平10−310974号公報、特開平10−131035、特開平01−292116号公報、特公平07−033637号公報、特公平07−033606号公報、特公平03−064604号公報に開示されている。
【0057】
<第1回収ローラ103の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):+1600V
回転方向:第1クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0058】
<第2回収ローラ107の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):−1200V
回転方向:第2クリーニングブラシ106に対してカウンター方向
【0059】
各回収ローラ103,107は、アルミ芯金をダイスから押し出すことでこれらの形状を実現可能である。また中空のSUSパイプをスピニング加工(へら絞り加工)で作ることも可能である。さらに、図10の断面形状がD形状の回収ローラの場合は、真円のローラの一部をフライス盤で切削することでも成形することができる。
各回収ローラ103,107はアルミからなる芯金の表面にPVDFを100μmの厚みで有し、さらにその表面にアクリル系のUV硬化樹脂層を有するもの(中抵抗ローラ)を用いた。各回収ローラ103、107の電気抵抗は、低温低湿環境下(LL)、中温中湿環境下(MM)、高温高湿環境下(HH)でそれぞれ図12に示す通りである。本実施形態で用いた回収ローラ103、107のみならず、導電性芯金に数μm〜100μm程度の高抵抗弾性チューブを被せたもの、あるいはさらに絶縁コーティングしたものでも同じ性能を得られる。回収ローラ103,107の表面の材料としては、PVDFチューブ、PFAチューブ、PIチューブ、アクリルコート、シリコーンコート(例えばシリコーン粒子を含有したPC(ポリカーボネート)をコート)、セラミックス、フッ素コーティングなどがある。
【0060】
<第1掻き取りブレード104の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第1回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):+1600V
【0061】
<第2掻き取りブレード108の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第2回収ローラ107へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):−1200V
【0062】
回収ローラ103,107は、先の図4、図10、図11に示したような食い込み量減少部分を有するため、掻き取りブレード104,108の回収ローラ103,107への食込み量は変化する。本実施例では、0.7mm〜1.2mm変化の範囲ならば掻き取りブレード104,108のクリーニング性は確保できる。
【0063】
各回収ローラ103,107には芯金に回収バイアスが印加され、その表面電位を測定すると回収バイアスとほぼ同電位になっているのであるが、クリーニング動作中、多くのトナーが入力されると、各回収ローラ103,107の表面電位はトナーの入力とともに低下していく。すると、各回収ローラ103,107とクリーニングブラシ102,106との電位差(回収電位差)が必要な値だけ確保できなくなり、クリーニングブラシ102,106からトナーを回収する能力が低下する。このため、例えば、A4サイズ1枚分のプリントであれば必要な大きさの回収電位差が確保できるが、連続プリント動作で且つブラシへの入力トナー量が多い場合には回収電位差が確保できなくなるといった事態を引き起こすことがある。すると、クリーニングブラシ102,106内にトナーが溜まった状態となり、ブラシからベルトにトナーを吐き出してしまうといった問題がある。このため、導電性の掻き取りブレード104,108に掻き取り電圧を印加して、回収ローラ103,107の表面に電荷を与えることで、回収電位差を大きくして回収性能を向上させるようになっている。
【0064】
[変形例1]
図13は、実施形態に係るプリンタの第1変形例におけるベルトクリーニング装置100と、その周囲とを示す拡大構成図である。
図に示すように、この変形例1のベルトクリーニング装置100は、中間転写ベルト8上のトナーの帯電極性を揃えるための極性制御部100cと、極性制御部100cよりも中間転写ベルト8移動方向下流側に、クリーニング部100aを備えている。クリーニング部100aの構成は、上記第1クリーニング部100aと同様の構成であるため、符号を同じにしている。
【0065】
極性制御部100cは、中間転写ベルト8と、クリーニングブラシ102とが当接するクリーニングニップよりもベルト移動方向上流側で、ベルト面に当接する極性制御部材たる極性制御ブレード101を有している。この極性制御ブレード101には、トナーの正規帯電極性と同極性の極性(負極性)制御バイアスが印加される。
【0066】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8に付着している転写残トナーの帯電量と、極性制御ブレード101との接触位置を通過した後(以下、極性制御ブレード通過後という)のトナーの帯電量とについて説明する。感光体1の表面上では、殆どのトナー粒子が正規極性である負極性に帯電している。これに対し、中間転写ベルト8の表面上に付着している転写残トナーには、正規極性とは逆極性に帯電している逆帯電トナー粒子が多く存在している。1次転写ニップや2次転写ニップ内で転写残トナー粒子に対して逆極性の電荷注入などが起こるからである。
【0067】
図14(a)、(b)、(c)は、2次転写ニップ通過後の中間転写ベルト表面に残留した転写残トナーの帯電量分布と、極性制御ブレードとの接触位置を通過した後の転写残トナーの帯電量分布との関係の第1例、第2例、第3例を示すグラフである。トナー帯電量分布については、次のようにして測定した。即ち、ホソカワミクロン製 E−スパートアナライザ(EST−3)によってトナー1個ずつの電荷量Qとそのトナーの粒径dとを測定したデータをもとに、本プリンタで作像した時の感光体1上の転写残トナー数百個をサンプリングした時のQ/d(単位はfc/μm)分布を帯電量分布とした。
【0068】
図14(a)に示した第1例は、正極性のトナーと負極性のトナーとが半分づつの状態で混在したブロードな分布(以下、転写残トナーAという)になっている。また、図14(b)に示した第2例は、正極性のトナーが負極性トナーよりも多い状態で混在したブロードな分布(以下、転写残トナーBという)である。また、図14(c)に示した第3例は、プロセスコントロール時等の未転写トナーであり、ほとんどが負極性トナーでシャープな分布になっている。
【0069】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト表面に残留している転写残トナーA、転写残トナーBが中間転写ベルトの回転に伴って極性制御ブレード101の位置まで達すると、ほとんどの転写残トナーが極性制御ブレード101によって機械的に掻き落される。しかし、いわゆるスティックスリップが発生することで、一部の転写残トナーが極性制御ブレード101をすり抜けて行く。この際、転写残トナーが正規の帯電極性(負極性)に帯電する。図14(a)、(b)に示したように、極性制御ブレード101の当接位置を通過する前のトナーの帯電量分布により、通過後の帯電量分布も異なってくるが、ブレード通過後にはどちらも殆どのトナー粒子が負極性に帯電している。図14(c)に示される未転写トナーは、ほとんど変化しないか、あるいはやや負極性よりになる。
【0070】
極性制御ブレード101は、例えばポリウレタン等からなる弾性体からなり、素材にカーボンブラックやイオン系の導電剤が混練されていることで導電性を発揮する。その電気抵抗は、2×105Ω・cm〜1×108Ω・cm、より好ましくは、1×106Ω・cm〜5×107Ω・cmである。また、厚みは1〜3mmの範囲内とするのが良い。厚さが薄すぎると、中間転写ベルト表面及び極性制御ブレード自体のうねり等によって中間転写ベルト8への押しつけ量が確保しにくくなる。硬度はJIS−A硬度計で40〜85の範囲内であれば良い。極性制御ブレード101に対しては、中間転写ベルト上の転写残トナーの全量を確実にクリーニングすることは要求されず、多少のトナーのすり抜けを許容しても問題ない。
【0071】
本発明者らが実験に使用した極性制御ブレード101の諸条件は次の通りである。
・板金に接着固定
・電気抵抗:1×106Ω・cm
・厚み:2.4、又は2.8mm
・自由長:7、又は9mm
・硬度:JIS−A硬度で60〜80
・ブレード反発弾性係数:45%
・極性制御バイアス:定電流−40μA
・中間転写ベルトとの当接圧:20〜40g/cm、カウンター当接
【0072】
かかる諸条件を具備する極性制御ブレード101の電気抵抗は、環境によって変化する。参考までに、No1〜No4の4種類の極性制御ブレード101について、設置条件の例を次の表1に示す。また、それらブレードにおけるおける環境と電気抵抗との関係を図15、図16に示す。
【表1】
【0073】
このような極性制御ブレードと、中間転写ベルト8との間にトナーが挟まれた時、極性制御ブレード101に印加された極性制御バイアスによってトナーに電流が流れ込む。そして、トナーは、印加電圧と同極性に帯電して極性制御ブレード101との当接位置を通過する。また、中間転写ベルト8と極性制御ブレード101とで形成された当接部の入口や出口における中間転写ベルト〜ブレード間の微小ギャップでの放電あるいは電荷注入によっても、トナーは印加電圧と同極性に帯電する。この結果、トナーは図14(a)、(b)の「ブレード通過後」に示すような負極性の帯電量分布となる。図17は、極性制御ブレード101との当接位置を通過する前後における転写残トナーの電荷量分布の変化を示すグラフである。
【0074】
極性制御ブレード通過後のトナーは、中間転写ベルト8に当接しながら回転するクリーニングブラシ102によってドラム表面から除去される。
【0075】
また、極性制御ブレード101の代わりに、コロナチャージャによって転写残トナーの極性を正規極性に揃えるようにしてもよい。この場合、コロナチャージャに対して−800μAの定電流を印加すればよい。
【0076】
また、この変形例1のベルトクリーニング装置100のクリーニング部100aの各条件は、次の通りである。
<クリーニングブラシ102条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×105Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):+800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0077】
<回収ローラ103の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):+1400V
回転方向:クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0078】
<掻き取りブレード104の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):+2000V
【0079】
[変形例2]
図18は、実施形態に係るプリンタの第2変形例におけるベルトクリーニング装置100と、その周囲とを示す拡大構成図である。第2変形例のベルトクリーニング装置100は、極性制御部100c、第1クリーニング部100a、第2クリーニング部100bを有している。極性制御部100cで、中間転写ベルト8上のトナーの極性を負極性に揃え、第1クリーニング部100aで、中間転写ベルト8上の負極性トナーを静電的に除去する。そして、極性制御部100cで極性制御できなかった正極性トナーや、第1クリーニング部のところで、正極性の電荷が注入され、正極性となったトナーが、第2クリーニング部100bで静電的に除去される。このように、極性制御を行い、2セットのクリーニングブラシでクリーニングを行うため、クリーニングの信頼性が高くなる。
【0080】
第1クリーニング部100a、第2クリーニング部100bにおけるそれぞれの条件は、次の通りである。
【0081】
[第1クリーニング部100a]
<第1クリーニングブラシ102条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×105Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):+800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0082】
<第1回収ローラ103の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):+1400V
回転方向:第1クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0083】
<第1掻き取りブレード104の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第1回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):+2000V
【0084】
[第2クリーニング部100b]
<第2クリーニングブラシ106条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×107Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):−800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0085】
<第2回収ローラ107の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):−1200V
回転方向:第1クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0086】
<第2掻き取りブレード108の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第2回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):−1200V
【0087】
[変形例3]
図19は、実施形態に係るプリンタの第3変形例における要部を示す概略構成図である。第3変形例では、転写ユニット50の構成が実施形態と異なっている。具体的には、ベルト装置としての転写ユニット50は、中間転写ベルトではなく、転写搬送ベルト51を無端移動させている。この転写搬送ベルト51のループ内側には、Y,M,C,K用の転写ローラ59Y,M,C,Kが配設されており、ループ外側の感光体1Y,M,C,Kとの間に中間転写ベルト8を挟み込んでY,M,C,K用の転写ニップを形成している。
【0088】
転写ユニット50の図中左側方に配設されたレジストローラ対は、所定のタイミングで記録紙Pを転写搬送ベルト51の上部張架面に向けて送り出す。送り出された記録紙Pは、ベルト表面に吸着されながら、ベルトの移動に伴って上述したY,M,C,K用の転写ニップを順次通過する。この際、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が記録紙Pの表面に順次重ね合わせて転写される。
【0089】
最下流のK用の1次転写ニップを通過した後の記録紙Pは、転写搬送ベルト51の表面から分離して図示しない定着装置に送られる。記録紙Pを分離した後のベルト表面に付着しているトナーは、ベルトクリーニング装置100によって除去される。このベルトクリーニング装置100は、中間転写ベルトではなく、転写搬送ベルト51をクリーニングするものであるが、それ以外の点が実施形態のベルトクリーニング装置と同様の構成になっている。転写搬送ベルト51は、PIベルト(厚み:80μm、体積抵抗率:ρv1E9Ω・cm)を用いた。また、PVDFベルト、ゴム層のある弾性体ベルトを、転写搬送ベルト51として用いることができる。
【0090】
この変形例3のベルトクリーニング装置100の第1クリーニング部100a、第2クリーニング部100bにおけるそれぞれの条件は、次の通りである。
【0091】
[第1クリーニング部100a]
<第1クリーニングブラシ102条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×105Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):+800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0092】
<第1回収ローラ103の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):+1400V
回転方向:第1クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0093】
<第1掻き取りブレード104の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第1回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):+2000V
【0094】
[第2クリーニング部100b]
<第2クリーニングブラシ106条件>
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:1×107Ω(1000Vの電圧印加条件で軸線方向全域測定)
ブラシ軸印加電圧(クリーニングバイアス):−800V
ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の斜毛処理あり
ブラシ直径:16mm
中間転写ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
回転方向:ベルトに対してカウンター方向
【0095】
<第2回収ローラ107の条件>
回収ローラ芯金材質:アルミ
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
ローラ直径:15mm
回収ローラ真円部分へのブラシ繊維食い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧(回収バイアス):−1200V
回転方向:第1クリーニングブラシ102に対してカウンター方向
【0096】
<第2掻き取りブレード108の条件>
材質:SUS
厚み:100μm
ブレード当接角度:20°
第2回収ローラ103へのブレード食い込み量:1.2mm
掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取りバイアス):−1200V
【0097】
次に、実施形態、各変形例に係るプリンタにそれぞれ好適に用いられるトナーについて説明する。それらプリンタで600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜6μmが好ましい。また、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0098】
また、上述では、ベルトクリーニング装置100に本発明を適用した例について説明したが、感光体表面をクリーニングするドラムクリーニング装置(図1の4Y,M,C,K)にも本発明のクリーニング装置を適用することができる。
【0099】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図20は、トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGと平面積AREAとを説明する模式図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、「SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π)/4」という式で求められる。トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGの二乗を平面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0100】
図21は、トナー粒子の2次元平面に対する投影像の周長PERIと平面積AREAとを説明する模式図である。形状係数SF−2は、トナー粒子の形状の凹凸の割合を示すものであり、「SF−2={(PERI)2/AREA}×100/(4π)」という式で求められる。トナー粒子を2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0101】
形状係数の測定は、具体的には、トナーの中から100個のトナー粒子を無作為に選出してその写真を走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)で撮影し、その撮影像を画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入し、個々のトナー粒子の形状係数を解析した後、それらの平均値を最終的な形状係数とした。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0102】
また、トナーは少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0103】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0104】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0105】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0106】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−イソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0107】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0108】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2や、1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0109】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0110】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0111】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0112】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0113】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0114】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0115】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0116】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0117】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0118】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0119】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
【0120】
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0121】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−4μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0122】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
【0123】
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0124】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0125】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0126】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0127】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0128】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm、及び、2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0129】
上記樹脂微粒子や無機化合物分散剤などと併用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0130】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0131】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0132】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0133】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0134】
またトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。即ち、図22(a)、(b)、(c)に示すように、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定する。そして、トナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図22(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図22(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【0135】
なお、トナーQ/M(トナーの単位重量あたりの電荷量)、トナー帯電量分布の測定方法は以下のとおりである。また、極性制御率は以下で定義した。
【0136】
<トナーQ/M>
トナーパッチパターンを感光体上に作像し、現像、転写、極性制御後などの各プロセス終了後に複写機本体のメインスイッチを強制的にOFFにし、作像途中で機械を止める。感光体や転写ベルト上に形成されたトナー像を吸引治具を用いてエアーポンプで吸引しながら、そのトナーのクーロン量をクーロンメータ(ケスレー製エレクトロメータ617)により測定し、吸引治具により吸引したトナーの重量とクーロン量から単位重量あたりのトナー電荷量(μC/g)を算出する。
【0137】
<トナー帯電量分布>
ホソカワミクロン製 E−SPARTアナライザで測定する。感光体上に付着したトナーをエアーで吹き飛ばして測定部に落下させ、トナー1個ずつの粒径と電荷量を測定し、X軸に「電荷量/トナー粒径」、Y軸に「頻度(%)=予め設定した「電荷量/トナー粒径」のヒストグラムの帯の範囲にある数(個)/サンプル全数(個)×100」を算出しグラフ化した。
【0138】
<極性制御率>
上述のトナー帯電量分布の測定データをもとに算出する。極性制御率[%]=制御したい極性のトナーの数(個)/サンプル全数(個)×100。なお、制御したい極性とは、感光体表面電位を比較対象としたときの、極性制御部材に印加している電圧の相対的な極性である。例えば、感光体表面電位が−100Vで、極性制御部材印加電圧がー700Vの場合は、「トナーを−極性に制御したい」とする。本方式のようなトナー極性制御+単一極性印加ブラシによる静電クリーニング方式では、クリーニングブラシに入力するトナーの極性が揃っていることが重要になる。言い換えると、極性制御率が高いことが重要となる。
【0139】
以上、本実施形態のクリーニング装置によれば、回転しながら被清掃体たる中間転写ベルト8表面に接触し、中間転写ベルト8表面上の付着物を静電的に除去するブラシローラたるクリーニングブラシ102と、クリーニングブラシ102に対して一定量食い込ませて配設され、クリーニングブラシ102に付着したトナーを、回転しながらクリーニングブラシ102から静電的に回収する回収ローラ103とを備えている。そして、回収ローラ103に、クリーニングブラシ102に対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分103aを設けている。これにより、回収ローラの食い込み量減少部分が、クリーニングブラシと対向するように組み立てれば、装置の輸送中に、クリーニングブラシの対向ローラとの接触部分の毛倒れを、回収ローラの食い込み量減少部分以外の部分である真円部分との接触により毛倒れした場合の毛倒れ量よりも少なくできる。
また、回収ローラ103の真円部分103bは、クリーニングブラシ102に対する食い込み量が、所定量あるので、ブラシの内部の付着物も良好に回収ローラ103で静電的回収することができる。
【0140】
また、装置停止時において、回収ローラ103の食い込み量減少部分が、クリーニングブラシ102と対向するように、回収ローラ103の回転を制御することで、長期間にわたって画像形成動作を行われなかったことで、クリーニングブラシの対向ローラとの接触部分の毛倒れを、回収ローラの食い込み量減少部分以外の部分である真円部分との接触により毛倒れした場合の毛倒れ量よりも少なくできる。
【0141】
また、回収ローラ103の食い込み量減少部分103aのクリーニングブラシ102に対する食い込み量を、クリーニングブラシ102の中間転写ベルト8に対する食い込み量以下にすることで、クリーニングブラシの回収ローラとの接触部で毛倒れが発生しても、その毛倒れした部分は、中間転写ベルトと当接する。その結果、この毛倒れした部分でも中間転写ベルト上のトナーを除去することができ、クリーニング不良が生じるのを抑制することができる。
【0142】
また、クリーニングブラシ102のブラシが、回収ローラ103との食い込み領域に進入したときのブラシと回収ローラ表面との当接箇所が、前回の異なる回収ローラ表面との当接箇所と異なるよう構成した。具体的には、回収ローラの回転数[rpm]をn、上記ブラシローラの回転速数[rpm]をmとしたとき、(n/m)が、整数以外となるよう構成する。例えば、回収ローラが、クリーニングブラシと連れ回る構成など、回収ローラの線速が、ブラシローラの線速と同じとなるよう構成されている場合は、回収ローラの上記食い込み量減少部分以外の部分の外径をM、上記ブラシローラの外径Nとしたとき、(N/M)が、整数以外となるよう構成することで、(n/m)が、整数以外となるよう構成できる。このように、回収ローラ103との食い込み領域に進入したときのブラシと回収ローラ表面との当接箇所が、前回の異なる回収ローラ表面との当接箇所と異なるよう構成することにより、前回、回収ローラの食い込み量減少部分にのみ接触したクリーニングブラシの箇所が、今回は、回収ローラの真円部分の箇所と接触させることができる。これにより、前回回収しきれなかったブラシ内部のトナーも回収することができ、クリーニングブラシ102の所定の箇所にトナーが溜まることが抑制される。その結果、回収ローラに回収されずにクリーニングブラシにい留まり続けたトナーが、電荷注入などにより、帯電量が減少し、最終的に中間転写ベルトに再付着するのを抑制することができる。
【0143】
また、本実施形態の画像形成装置たるプリンタは、上述したクリーニング装置を備えることで、像担持体たる中間転写ベルトの転写残トナーを良好に除去することができ、地汚れなどが抑制された高品位な画像を得ることができる。
【0144】
また、変形例3に示すように、搬送ベルトたる転写搬送ベルト表面をクリーニングするクリーニング装置として、上述のクリーニング装置を用いることで、記録材たる記録紙の汚れを抑制することができる。
【0145】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、トナーとして、体積平均粒径が3〜6[μm]であり、且つ体積平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00〜1.40であるものを用いるようになっている。かかる構成では、トナーの帯電量の均一性により、地肌汚れの少ない高品位な画像を得ることができ、また転写率を高くすることができる。
【符号の説明】
【0146】
8:中間転写ベルト
51:転写搬送ベルト
100:本ベルトクリーニング装置
100a:第1クリーニング部
100b:第2クリーニング部
100c:極性制御部
101:極性制御ブレード
102:第1クリーニングブラシ
103:第1回収ローラ
103a:食い込み量減少部分
104:第1掻き取りブレード
106:第2クリーニングブラシ
107:第2回収ローラ
108:第2掻き取りブレード
【先行技術文献】
【特許文献】
【0147】
【特許文献1】特開平9−179466号公報
【特許文献2】特開2008−70518号公報
【特許文献3】特許第3695696号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら被清掃体表面に接触し、上記被清掃体表面上の付着物を静電的に除去するブラシローラと、
上記ブラシローラに対して一定量食い込ませて配設され、上記ブラシローラに付着した付着物を、回転しながら上記ブラシローラから静電的に回収する回収ローラとを備えたクリーニング装置において、
上記回収ローラに、上記ブラシローラに対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分を設けたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1のクリーニング装置において、
当該装置停止時において、上記回収ローラの上記食い込み量減少部分が、上記ブラシローラと対向するように、上記回収ローラの回転を制御する制御手段を備えたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1または2のクリーニング装置において、
上記ブラシローラを上記被清掃体表面に食い込ませて配設しており、
上記回収ローラの上記食い込み量減少部分の上記ブラシローラに対する食い込み量を、上記ブラシローラの上記被清掃体に対する食い込み量以下にしたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかのクリーニング装置において、
上記ブラシローラのブラシが、回収ローラとの食い込み領域に進入したときのブラシと回収ローラ表面との当接箇所が、前回の異なる回収ローラ表面との当接箇所と異なるよう構成したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項4のクリーニング装置において、
上記回収ローラの回転数[rpm]をn、上記ブラシローラの回転速数[rpm]をmとしたとき、(n/m)が、整数以外となるよう構成したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項5のクリーニング装置において、
上記回収ローラの線速が、上記ブラシローラの線速と同じとなるよう構成されており、
上記回収ローラの上記食い込み量減少部分以外の部分の外径をM、上記ブラシローラの外径Nとしたとき、(N/M)が、整数以外となるよう構成したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
転写後に上記像担持体上に残留した転写残トナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1乃至6いずれかのクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記記録材を搬送する搬送ベルト上に残留するトナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1乃至7いずれかのクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7または8の画像形成装置において、
上記トナーとして、体積平均粒径が3[μm]以上6[μm]以下、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、1.00以上、1.40以下のトナーを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
回転しながら被清掃体表面に接触し、上記被清掃体表面上の付着物を静電的に除去するブラシローラと、
上記ブラシローラに対して一定量食い込ませて配設され、上記ブラシローラに付着した付着物を、回転しながら上記ブラシローラから静電的に回収する回収ローラとを備えたクリーニング装置において、
上記回収ローラに、上記ブラシローラに対する食い込み量が、他の部分よりも少ない食い込み量減少部分を設けたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1のクリーニング装置において、
当該装置停止時において、上記回収ローラの上記食い込み量減少部分が、上記ブラシローラと対向するように、上記回収ローラの回転を制御する制御手段を備えたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1または2のクリーニング装置において、
上記ブラシローラを上記被清掃体表面に食い込ませて配設しており、
上記回収ローラの上記食い込み量減少部分の上記ブラシローラに対する食い込み量を、上記ブラシローラの上記被清掃体に対する食い込み量以下にしたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかのクリーニング装置において、
上記ブラシローラのブラシが、回収ローラとの食い込み領域に進入したときのブラシと回収ローラ表面との当接箇所が、前回の異なる回収ローラ表面との当接箇所と異なるよう構成したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項4のクリーニング装置において、
上記回収ローラの回転数[rpm]をn、上記ブラシローラの回転速数[rpm]をmとしたとき、(n/m)が、整数以外となるよう構成したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項5のクリーニング装置において、
上記回収ローラの線速が、上記ブラシローラの線速と同じとなるよう構成されており、
上記回収ローラの上記食い込み量減少部分以外の部分の外径をM、上記ブラシローラの外径Nとしたとき、(N/M)が、整数以外となるよう構成したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
転写後に上記像担持体上に残留した転写残トナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1乃至6いずれかのクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記記録材を搬送する搬送ベルト上に残留するトナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1乃至7いずれかのクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7または8の画像形成装置において、
上記トナーとして、体積平均粒径が3[μm]以上6[μm]以下、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、1.00以上、1.40以下のトナーを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−164452(P2011−164452A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28629(P2010−28629)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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