説明

クリープ傾向が低い可塑剤含有シートを有する太陽電池モジュール

【課題】低いポリビニルアルコール含有率を有するが、同時に100℃までの温度範囲において低いクリープ傾向を有するポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートを太陽電池モジュールの製造のために提供する。
【解決手段】透明な表面側保護部材と、光電性の半導体層と、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートと、裏面側保護部材とから成る積層体を含み、前記シートが、18質量%未満のポリビニルアルコール割合を有するポリビニルアセタールを含有し、かつ3mmのフロートガラス/0.76mmのシートc)/3mmのフロートガラスという構造を有する積層体で測定したクリープ傾向が100℃の温度で7日後に5mm未満を示す、太陽電池モジュールによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリープ傾向が低いポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートを使用して太陽電池モジュールを製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、外的作用から保護するために透明な保護部材が設けられた光電性(photosensitive)の半導体層から成る。光電性の半導体層としては、単結晶性の太陽電池又は支持体上の多結晶性の半導体薄膜を使用できる。薄膜型ソーラーモジュールは、大抵は透明なプレート上に、例えば蒸着、気相堆積、スパッタリングもしくは湿式堆積によって施与されている光電性の半導体層から成る。
【0003】
両方のシステムは、しばしば、ガラス板と、ガラスもしくはプラスチックからなる硬質の裏面側保護プレートとの間に、透明な接着剤を用いて積層される。
【0004】
透明な接着剤は、光電性の半導体層とその接続導線を完全に取り囲み、紫外線安定性であり、かつ湿気抵抗性であり、かつ積層化工程の後に完全に気泡不含でなければならない。
【0005】
透明な接着剤としては、複合ガラス製造から公知のポリビニルブチラール(PVB)などのポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートを使用することができる。太陽電池ユニットは、モジュール型に応じて、1もしくは複数のPVBシートで覆われ又は被包され、次いで高められた圧力及び高められた温度で所望の保護材料と結合されて積層体となる。
【0006】
PVBシートを用いたソーラーモジュールの製造方法は、例えばDE4026165号C2、DE4227860号A1、DE2923770号C2、DE3538986号C2、US4,321,418号、DE20302045号U1、EP1617487号A1又はDE3538986号C2によって知られている。DE102007000818号は、更に、吸湿とそれによる漏出流(Leckstroem)の発生とが、低いポリビニルアルコール含有率を有するポリビニルアセタールから成るシートを、低い極性の可塑剤と組み合わせて使用することによってどのように低減されうるかを開示している。
【0007】
その場合に、低いポリビニルアルコール含有量は、シートの吸湿に作用するだけでなく、そのために加えて、強く非極性の可塑剤がポリビニルアセタールに対して良好な相容性を有することが前提条件である。非極性の可塑剤は、湿分の低減あるいは低減された吸湿に付加的に寄与する。この理由から、DE102007000818号では、好ましくは18.0質量%以下のポリビニルアルコール含有率を有するポリビニルアセタールが使用される。
【0008】
ここで好ましくは前記の選択は、吸湿あるいは漏出流の低減を目的とするものであり、このように低いポリビニルアルコール含有率では、中間層の機械的特性を、幾つかの特徴において悪化させる。これらの特徴の1つは、高められた温度での中間層のクリープ挙動であり、それは太陽電池モジュールの長時間挙動のためには重要である。太陽電池モジュールは、好ましくは、できる限り高い日射をもって取り付けられるため、それによって該モジュール中では光活性層の高い放射線吸収に基づき80〜100℃の範囲の温度が生じうる。
【0009】
中間層材料が前記の温度範囲で高すぎるクリープ傾向を有する場合には、そのことは、例えばガラス/ガラス−モジュールであって両方のガラス板が中間層のみによって機械的に互いに結合されているモジュールの場合に、高い温度で長時間にわたり作用されたときに、その両方のガラス板が相互に滑ることを至らしめうる。付加的に、該モジュールの点状もしくは二側面での保持装置は、モジュールの撓みをもたらしうる。
【0010】
温度負荷下でのPVBシートのクリープ傾向は、可塑剤含有率にも依存するものの、より高い規模においては、例えばポリビニルアルコール含有率などのポリビニルアセタールの特性によって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE4026165号C2
【特許文献2】DE4227860号A1
【特許文献3】DE2923770号C2
【特許文献4】DE3538986号C2
【特許文献5】US4,321,418号
【特許文献6】DE20302045号U1
【特許文献7】EP1617487号A1
【特許文献8】DE3538986号C2
【特許文献9】DE102007000818号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の課題は、低いポリビニルアルコール含有率を有するが、同時に100℃までの温度範囲において低いクリープ傾向を有するポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートを太陽電池モジュールの製造のために提供することである。
【0013】
ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートの温度負荷下でのクリープ傾向が、製造に際しての、そのポリビニルアルコール含有率、モル質量、架橋度もしくはアセタール化条件に決定的に依存することが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明の対象は、
a)透明な表面側保護部材と、
b)1もしくは複数の光電性の半導体層と、
c)少なくとも1つのポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートと、
d)裏面側保護部材と
から成る積層体を含み、前記のポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートc)が、18質量%未満のポリビニルアルコール割合を有するポリビニルアセタールを含有し、かつ3mmのフロートガラス/0.76mmのシートc)/3mmのフロートガラスという構造を有する積層体で測定したクリープ傾向が、100℃の温度で7日後に5mm未満を示す、太陽電池モジュールである。
【0015】
好ましくは、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートc)のクリープ傾向は、以下に詳細に記載する測定法において、3mm未満、好ましくは2mm未満、最も好ましくは1mm未満でありうる。
【0016】
低いポリビニルアルコール含有率によって、低い極性を有する可塑剤は、比較的多量に使用でき、これによりシートの湿分耐久性が更に改善されるが、そのクリープ傾向は過分に高められることはない。
【0017】
この場合に、十分に低いポリビニルアルコール含有率は、シートの吸湿に直接的に作用するだけでなく、そのために加えて、強く非極性の可塑剤がポリビニルアセタールに対して良好な相容性を有することが前提条件であるので、かかる可塑剤の選択によって湿分低減に対する付加的な寄与がなされることがある。
【0018】
この理由から、本発明により使用されるシートのためには、18.0質量%未満のポリビニルアルコール含有率を有するポリビニルアセタールが使用される。本発明により使用されるポリビニルアセタールは、好ましくは、16質量%未満の、特に好ましくは15質量%未満の、特に13質量%未満のポリビニルアルコール割合を有する。10質量%のポリビニルアルコール割合は、下回るべきではない。
【0019】
本発明の第一の態様においては、シートの製造のために、ポリビニルアセタールであって、その分子量Mwの質量平均が、110000g/モルより大きく、好ましくは120000g/モルより大きく、かつ/又は溶液粘度が、80mPasより大きい、好ましくは90mPasより大きいポリビニルアセタールが使用される。分子量Mwもしくは溶液粘度は、実施例に示されるように、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって、それぞれにエタノール中の5%のポリビニルアセタール溶液で測定される。
【0020】
ポリビニルアセタールの押出成形性を低下させないために、分子量Mwは、500000g/モルを上回らず、かつ/又は溶液粘度は、300mPasを上回るべきではない。
【0021】
分子量Mwもしくは溶液粘度は、使用されるポリビニルアセタールで巨視的に測定された値である。従って、また、複数のポリビニルアセタールから成る混合物であって、それらの分子量Mwもしくは溶液粘度が、それぞれ示された限界値を上回りかつ下回ることがある混合物も使用できる。複数のポリビニルアセタールを混合して、分子量Mwもしくは溶液粘度についての上述の下限値を有する混合物を得ることは、当業者には公知である。
【0022】
高められた分子量もしくは高められた溶液粘度は、ポリビニルアセタールの製造のために相応のポリビニルアルコールを使用することによって達成することができる。好ましくは、ポリビニルアセタールの製造のために使用されるポリビニルアルコールは、4%水溶液として測定して、35mPasより大きい溶液粘度を有する。ポリビニルアルコールは、本発明の範囲においては、純粋に、又は種々の重合度もしくは加水分解度を有するポリビニルアルコールの混合物として使用してよい。ポリビニルアルコールの混合物が使用される場合に、その溶液粘度は、本発明によれば35mPasより大きい。
【0023】
分子量Mwもしくは溶液粘度について前記の仕様を有するポリビニルアセタールを含有するシートは、更に、他の所望の特性、例えば低い吸湿、漏出流の低減もしくは高い光学的透明性に関して、分子量Mw110000g/モル未満もしくは溶液粘度80mPas未満を有するポリビニルアセタールを基礎とするシートに対して、実質的に等価である。
【0024】
本発明により使用されるシートの製造のために必要なポリビニルアセタールは、公知の方法に応じて、相応の分子量と残留アセテート含有率を有するポリビニルアルコールと、1もしくは複数のアルデヒドとの反応によって得られる。
【0025】
ポリビニルアルコールとしては、本発明の範囲では、ビニルアルコール及びビニルアセテートから成るコポリマーの他に、加水分解されたビニルアセテート/エチレン−コポリマーから成るターポリマーを使用してよい。これらの化合物は、一般に、98%より高い程度まで加水分解されており、かつエチレンを基礎とする単位1〜10質量%を含有する(例えばKuraray Europe GmbH社の"Exceval"型)。
【0026】
ポリビニルアルコールとしては、本発明の範囲においては、更に、ビニルアセテートと、少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマーとから成る加水分解されたコポリマーを使用してもよい。
【0027】
2〜10個の炭素原子を有するアルデヒド、好ましくはアセトアルデヒド、ブチルアルデヒドもしくはバレルアルデヒドによるアセタール化を実施することが可能である。
【0028】
本発明の更なる第二の一態様においては、本発明により使用されるポリビニルアセタールは、カルボキシル基を介した、ポリアルデヒド、グルタルジアルデヒドもしくはグリオキシル酸による架橋によって、高められた分子量及び高められた溶液粘度を有する。
【0029】
架橋されたポリビニルアセタールは、例えばカルボキシル基置換されたポリビニルアセタールの分子間架橋によって得られる。前記ポリビニルアセタールは、例えばポリビニルアルコールの、ポリアルデヒド、グルタルジアルデヒドもしくはグリオキシル酸による同時アセタール化によって製造できる。特に好ましくは、ここで、得られたポリビニルアセタールは、分子量Mwもしくは溶液粘度について既に記載した下限値を有する。
【0030】
ポリビニルアセタールについての適した架橋可能性は、例えばEP1527107号B1及びWO2004/063231号A1(カルボキシル基含有のポリビニルアセタールの熱的自己架橋)、EP1606325号A1(ポリアルデヒドで架橋されたポリビニルアセタール)、EP1622946号A1(グルタルジアルデヒドで架橋されたポリビニルアセタール)及びWO03/020776号A1(グリオキシル酸で架橋されたポリビニルアセタール)に記載されている。前記の特許出願の開示内容は、全範囲について、参照をもって開示されたものとする。ポリビニルアセタールの架橋は、巨視的に、エタノール性溶液の高められた分子量並びに高められた粘度を介して認められる。
【0031】
本発明の第三の変法において、本発明により使用されるポリビニルアセタールの特性は、その製造に際してのアセタール化条件によって調整される。ポリビニルアセタールの製造に際して、通常は、ポリビニルアルコール及びアルデヒドの混合物又はポリビニルアルコール及び例えばHClなどの酸の混合物が装入され、そして酸もしくはアルデヒドの添加によって、0〜20℃の温度で反応させることで、ポリビニルアセタールが沈殿する(沈殿段階)。沈殿段階は、最後の成分(酸もしくはアルデヒド)の添加から始まり、一般に60〜360分、好ましくは60〜240分にわたり継続する。沈殿段階は、最終温度への加熱の開始で終了する。
【0032】
加熱の開始は、加熱段階の開始である。引き続き、該反応は、30〜80℃の最終温度で完全なものにし、その後に、反応混合物を冷却し、そしてポリビニルアセタールを分離し、そして後処理する。加熱段階は、冷却の開始で終了し、そして一般に30〜300分にわたり継続する。
【0033】
本発明による太陽電池モジュールのために特に適しているのは、以下の工程
− ポリビニルアルコールと少なくとも1種のアルデヒドの水溶液を装入する工程、
− 酸を添加して、低い温度でポリビニルアセタールを沈殿させる工程(沈殿段階)、
その際、前記沈殿段階は、60〜360分、好ましくは60〜240分にわたり継続する
を有する方法によって製造されたポリビニルアセタールである。
【0034】
選択的に、前記の沈殿段階は、以下のように実施してもよい:
− ポリビニルアルコールと酸の水溶液を装入し、
− 少なくとも1種のアルデヒドを添加して、低い温度でポリビニルアセタールを沈殿させ(沈殿段階)、その際、前記沈殿段階は、60〜360分、好ましくは60〜240分にわたり継続する。
【0035】
酸及びアルデヒドの添加は、両方の変法において、1回で又は部分量で行うことができる。
【0036】
両方の変法において、その後に、以下の方法工程が実施される(加熱段階):
− 反応混合物を高められた温度に加熱し、
− 高められた温度で後加熱し、その際、加熱段階全体は、30〜300分にわたり継続する。
【0037】
本発明に適したポリビニルアセタールは、加熱段階に対して明らかに時間的に長い沈殿段階を伴って、例えばDE2838025号、US5187217号、EP1384731号、WO2004/005358号、EP0211819号、JP01318009号又はWO2005070669号に記載されるように製造される。前記の特許出願の開示内容は、全範囲について、参照をもって開示されたものとする。特に好ましくは、ここで、得られたポリビニルアセタールは、分子量Mwもしくは溶液粘度について既に記載した下限値を有する。
【0038】
本発明のために特に適したポリビニルアセタールは、本発明の第四の変法において、第三の変法のように長い沈殿段階を有する製造方法と、架橋反応とを組み合わせることによって、例えばカルボキシル基含有のポリビニルアセタールの、ポリビニルアセタールのポリアルデヒド、グルタルジアルデヒドもしくはグリオキシル酸による架橋による熱的自己架橋によって得られる。架橋反応は、ポリビニルアセタールの製造の間に(すなわちポリビニルアルコールとアルデヒドとの反応の間に)、アルデヒドもしくは架橋剤の同時の添加によって、又は別の反応工程でも、可塑剤含有シートの押出成形へと架橋剤を添加するのと同様に行うことができる。特に好ましくは、ここで、得られたポリビニルアセタールは、分子量Mwもしくは溶液粘度について既に記載した下限値を有する。
【0039】
製造方法と架橋とは無関係に、本発明により使用されるポリビニルアセタールは、アセタール単位の他にも、更に、ビニルアセテートとビニルアルコールとから得られる単位も有するのと同様に、場合により他のコモノマーも有する。
【0040】
本発明により使用されるポリビニルアセタールのポリビニルアセテート割合は、好ましくは、14質量%未満、特に好ましくは10質量%未満、もしくは5質量%未満、特に2質量%未満である。ポリビニルアルコール割合と残留アセテート含有率から、アセタール化度は、計算により決定することができる。
【0041】
本発明により使用されるシートは、好ましくはまた、周囲における湿潤条件下で、最大で2.3質量%の、最大で2.0質量%の、最大で1.8質量%の、特に好ましくは最大で1.5質量%の湿分含有率もしくは含水率を有する。前記の種類のシートを有する太陽電池モジュールは、シート縁部の非常に近いところで光電性の半導体層によって覆われていてよく、それにより高められた面積効率(Flaechenausbeute)及び電流効率を有する。
【0042】
好ましくは、本発明により使用されるシートは、23℃で85%rFの周囲湿度において、少なくとも1E+11オーム*cm、好ましくは少なくとも5E+11オーム*cm、好ましくは1E+12オーム*cm、好ましくは5E+12オーム*cm、好ましくは1E+13オーム*cm、好ましくは5E+13オーム*cm、好ましくは1E+14オーム*cmの比抵抗を有する。
【0043】
ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートの吸湿及び比抵抗は、付加的に、使用される可塑剤の割合及び極性もしくは可塑性作用によって決定される。従って、シートの吸湿及び比抵抗は、また、簡単に可塑剤によって調整できる。
【0044】
好ましくは、該シートは、可塑剤含有率を、18〜32質量%の範囲で、好ましくは20〜30質量%の範囲で、特に好ましくは22〜28質量%の範囲で、特に24〜27質量%の範囲で有する。本発明によるシートもしくは太陽電池モジュールは、1もしくは複数の可塑剤を含有してよい。
【0045】
本発明により特に適しているのは、可塑剤であって、その極性が、式100×O/(C+H)[式中、O、C及びHは、その都度の分子中の酸素原子、炭素原子及び水素原子の数を表す]によって表されて、9.4以下である可塑剤である。以下の表は、本発明により使用可能な可塑剤と、式100×O/(C+H)によるその極性値を示す。
【0046】
【表1】

【0047】
あまり適していないのは、以下の可塑剤である。
【0048】
【表2】

【0049】
ポリビニルアセタールシートのガラスへの付着能は、通常は、付着調節剤、例えばWO03/033584号A1に開示される有機酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩などの付着調節剤の添加によって調整される。特に適していることが判明したのは、酢酸カリウム及び/又は酢酸マグネシウムである。更に、前記の製造方法からのポリビニルアセタールは、しばしば、有機酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩、例えば塩化ナトリウムなどの塩を含有する。
【0050】
塩は同様に比抵抗に影響を及ぼすので、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートであって、50ppm未満の、特に好ましくは30ppm未満の、特に20ppm未満の金属イオンを有するシートを使用することが合理的である。そのことは、ポリビニルアセタールの相応の洗浄方法によって、かつ特に良好に作用する付着防止剤、例えば当業者に公知の有機酸のマグネシウム塩、カルシウム塩及び/又は亜鉛塩(例えば酢酸塩)の使用によって達成できる。
【0051】
更に、該シートの含水率に依存すると考えられるイオン移動度と、それによる比抵抗は、熱分解法ケイ酸の添加によって影響を及ぼすことができる。好ましくは、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートは、0.001〜15質量%の、好ましくは0.5〜5質量%の熱分解法SiO2を含有する。
【0052】
ポリビニルアセタールを基礎とするシートの原則的な製造と組成は、例えばEP185863号B1、EP1118258号B1、WO02/102591号A1、EP1118258号B1又はEP387148号B1に記載されている。
【0053】
太陽電池モジュールの積層化は、シートを溶融させつつ行われるので、光電性の半導体層の該シートによる無気泡かつ縞模様のない封入が達成される。
【0054】
本発明による太陽電池モジュールの一別形においては、光電性の半導体層は、保護部材d)上に(例えば蒸着、気相堆積、スパッタリングもしくは湿式堆積によって)施与され、そしてシートc)によって保護部材a)と貼り付けられる。
【0055】
選択的に、該光電性の半導体層は、2つのシートc)の間に埋設され、こうして保護部材a)及びd)と貼り付けられる。
【0056】
可塑剤含有のポリビニルアセタールを基礎とするシートの厚さは、0.2〜2.5mmである。
【0057】
本発明により使用されるシートは、積層化プロセスの間に、光電性の半導体層もしくはその電気接続部のそばに存在する空所を埋める。
【0058】
透明な表面側保護部材は、一般にガラスもしくはPMMAから成る。本発明による太陽電池モジュールの裏面側保護部材は、ガラス、プラスチックもしくは金属又はその複合物から成ってよく、その際、支持体の少なくとも1つが透明であってよい。同様に、一方もしくは両方の保護部材は、複合ガラスとして(すなわち、少なくとも2枚のガラス板と少なくとも1枚のPVBシートとから成る積層体として)、又はガス間隙を有する断熱ガラスとして構成することができる。当然のように、前記の措置の組み合わせも可能である。
【0059】
該モジュール中で使用される光電性の半導体層は、特定の特性を有する必要はない。単結晶の系、多結晶の系もしくは非晶質の系を使用することができる。
【0060】
薄膜ソーラーモジュールの場合に、光電性の半導体層は、支持体上に直接的に施与されている。ここでは被包は不可能である。従って、光電性の半導体層と透明な表面側保護部材とを有する支持体(例えば裏面側保護部材)から成る層構成体(Schichtkoerper)は、少なくとも1つの間にある、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートc)によって統合され、該シートによって高められた温度で貼り付けられる。選択的に、光電性の半導体層は、支持体としての透明な表面側保護部材上に施与され、そして裏面側保護部材と、少なくとも1つのその間にある、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートc)によって貼り付けられていてよい。
【0061】
こうして得られた層構成体の積層化のために、予備複合物を事前に製造する場合と製造しない場合の当業者によく知られた方法を使用することができる。
【0062】
いわゆるオートクレーブ過程は、約10〜15バールの高められた圧力及び130〜145℃の温度で約2時間にわたって実施される。例えばEP1235683号B1による真空袋(Vakuumsack)法又は真空リング(Vakuumring)法は、約200ミリバール及び130〜145℃で行われる。
【0063】
好ましくは、本発明による太陽電池モジュールの製造のためには、真空ラミネーターが使用される。前記の真空ラミネーターは、加熱可能で排気可能なチャンバであって、複合ガラスを30〜60分以内で積層化できるチャンバから成る。低減された圧力0.01〜300ミリバール及び温度100〜200℃、特に130〜160℃は、実際に有効であると実証された。
【0064】
選択的に、こうして前記された統合された層構成体は、少なくとも1つのローラ対の間で、60〜150℃の温度で加圧されて本発明によるモジュールとすることができる。この型の装置は、複合ガラスの製造のために公知であり、通常は、2つの押圧工具を有する装置の場合には、第一の押圧工具の前もしくはその後に、少なくとも1つの加熱トンネルを有する。
【0065】
更に、本発明の対象は、ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートc)であって、該ポリビニルアセタールのポリビニルアルコール割合が18質量%未満であり、かつ3mmのフロートガラス/0.76mmのシートc)/3mmのフロートガラスから成る構造を有する積層体で測定したクリープ傾向が、100℃の温度で7日後に5mm未満であるシートc)を、太陽電池モジュールの製造のために用いる使用である。該太陽電池モジュールは、好ましくは、
a)透明な表面側保護部材と、
b)1もしくは複数の光電性の半導体層と、
c)少なくとも1つのポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートと、
d)裏面側保護部材と
から成る積層体を含む。
【0066】
該太陽電池モジュールの製造のためには、記載した好ましい実施態様によるシートc)を使用してよい。
【0067】
本発明による太陽電池モジュールは、ファッサード部材、屋根面、温室保護部材、防音壁、ベランダもしくは胸壁エレメントとして、又は窓面の構成要素として使用することができる。
【0068】
測定方法:
シートのガラス転移温度の測定は、DIN53765による動的示差熱量測定(DSC)によって、−50℃〜150℃の温度間隔において10K/分の加熱速度を使用して行われる。第一の加熱ランプに引き続き、冷却ランプに進み、それに引き続いて第二の加熱ランプに進む。ガラス転移温度の位置は、第二の加熱ランプに属する測定カーブ上でDIN51007に従って測定される。DIN中点(Tg DIN)は、半分の段高さでの水平線と測定カーブとの交点として定義されている。前記の段高さは、中点接線(Mitteltangente)とガラス転移前後の測定カーブのベースラインとの両方の交点の垂直距離によって定義される。
【0069】
シートの流動挙動の測定は、メルトインデックス(マスフロー:MFR)としてISO1133に従って相応の装置で、例えばGoettfert社製のモデルMI2の装置で行われる。MFR値は、例えば100℃及び140℃の相応の温度で2mmのノズルを用いて21.6kgの荷重において、10分間あたりのグラム数(g/10分)で示される。
【0070】
シートの体積抵抗率の測定は、オーム*cmにおいてDIN IEC 60093に従って、定義された温度及び周囲湿度(23℃及び85%rF)で、該シートをこの条件で少なくとも24時間コンディショニングした後で行われる。測定の実施のために、Fetronic GmbH社製の302 132型の板状電極並びにAmprobe社製の抵抗測定装置ISO−Digi 5kVを使用した。試験電圧は2.5kVであり、測定値検出までの試験電圧印加後の待ち時間は60秒であった。測定電極の平板とシートとの間に十分な接触を保証するために、その表面粗さRzは、DIN EN ISO 4287による測定に際しては、10μmより大きくないことが望ましい。すなわち、場合により、PVBシートの本来の表面を、抵抗測定前に、熱的鋳直し(Umpraege)によって平滑化することが望ましい。
【0071】
ポリビニルアセタールのポリビニルアルコール含有率とポリビニルアルコールアセテート含有率は、ASTM D 1396−92に従って測定される。
【0072】
金属イオン含有率の分析は、原子吸光分析(AAS)によって行った。
【0073】
ポリビニルアセタールの分子量Mw(=質量平均)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって氷酢酸中でRI検出器を使用して測定した。該検出器の校正は、PVB校正スタンダードを用いて行った。その絶対値は静的光散乱によって測定した。
【0074】
ポリビニルアセタールの溶液粘度の測定は、DIN 53015に従って20℃で、95部のエタノールと5部の水とからなる混合物中で行った。粘度溶液の固体含有率は、5質量%であった。
【0075】
ポリビニルアルコールの溶液粘度の測定は、DIN 53015に従って20℃で、水中で行った。粘度溶液の固体含有率は、4質量%であった。
【0076】
シートの含水率もしくは湿分含有率は、カール・フィッシャー法によって質量%で測定する。湿潤条件下での湿り挙動のシミュレーションのために、シートを事前に23℃及び85%rFで24時間貯蔵する。該方法は、積層化されていないシートでも、積層化された太陽電池モジュールでも、シートの縁部までの距離に応じて行うことができる。
【0077】
クリープ傾向についての試験
シートのクリープ傾向は、厚さ3mm及び辺寸法150×300mmの2枚のフロートガラスと、その間に厚さ0.76mmのシートを積層したものから、その両方のガラスが長さとして互いに2cmのずれを有するように製造された試験積層体で測定する(図1及び2におけるA/B)。そのクリープ傾向について調査されるべきシートは、積層体の製造の前に、23℃/23%rFの気候で一晩コンディショニングされる。
【0078】
両方の張り出しているガラス部分は、シートで覆われていない。すなわち、間に積層された中間層は、単に28cmの長さを有するにすぎない。試験積層体は、鉛筆で両側から厳密に向かい合わせて横線で印しを付ける。それをもとに、後に滑りにより生じたずれを簡単に計ることができる。(図1中のC)。試験積層体を、加熱キャビネット中で100℃で垂直に、前面の床と接触しない方のガラス(図1及び2中のB)をその自重により自由に滑り落ちることができるように設置しもしくは固定する。すなわち、中間層シートのみによって保持され、そしてまたこの接点だけしか有さないので、その結果は摩擦作用によって狂いが生じない。試験積層体を、7日(1週間)の経過後に、両方の印の間の距離を、定規で計ることによって起こりうるずれを調べる。(図2中のC及びC′)。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、クリープ傾向についての試験のために製造された試験積層体を示す。
【図2】図2は、クリープ傾向についての試験のために製造された試験積層体を示す。
【実施例】
【0080】
厚さ0.76mmのシートを、以下の表に挙げられる組成の混合物で製造し、そして厚さ3mmの2枚の白色ガラス板(オプチホワイト(Optiwhite))の間の積層体として、太陽電池モジュールの製造のためのその適正について、すなわちそのクリープ傾向及び電気的体積抵抗率について調査する。
【0081】
本発明により使用されるシートは、太陽電池モジュールへと良好に加工できることが判明している。それというのも、該シートは、太陽電池を完全に被包するからである。それに対して、100℃での低いクリープ値(=滑落)は、この温度での低い流動性を示すので、環境的及び機械的な影響に対して安定なモジュールが得られる。
【0082】
記載された流動性を有するシートは、太陽電池モジュールの製造のために特に適している。それというのも、該シートは、接着シートに対するカバー層の滑りを示さないが、それにもかかわらず良好に加工できるからである。
【0083】
略語は以下の意味を有する。
【0084】
【表3】

【0085】
比較例1:
100質量部のポリビニルアルコールMowiol 28−99(Kuraray Europe GmbH社の商品)を、1075質量部の水中で90℃に加熱しつつ溶解させた。40℃の温度で、56.8質量部のn−ブチルアルデヒドを添加し、そして12℃の温度で撹拌しつつ6分以内で75質量部の20%塩酸を添加し、その後にポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。該混合物を、次いで撹拌しつつ更に15分間にわたり12℃で保持し、次いで80分以内で69℃に加熱し、そしてこの温度で120分間にわたり保持した。PVBを、室温に冷却した後に分離し、水で中性になるまで洗浄し、そして乾燥させた。ポリビニルアルコール含有率20.2質量%及びポリビニルアセテート含有率1.5質量%を有するPVBが得られた。
【0086】
こうして得られた290gのPVBと100gの可塑剤3G8と10gの可塑剤DBEAとを、研究所用ミキサー(製造元:ブラベンダー、モデル826801)中で混合した。得られた混合物を押し出して、0.8mmの厚さを有する平面シートにした。押出成形は、溶融ポンプと幅広スリットノズルを備えた、反転するスクリューを有する二軸スクリュー押出機(製造元:Haake、システムRhecord 90)で行った。押出機のシリンダ温度は、220℃であり、ノズル温度は150℃であった。
【0087】
比較例2:
ポリマー合成に際して、63.9質量部のn−ブチルアルデヒドを使用した。シート製造に際して、370gのPVBと130gの可塑剤DINCHを使用した。他のやり方は比較例1に従った。
【0088】
比較例3〜4:
ポリマー合成に際して、66.3質量部及び68.4質量部のn−ブチルアルデヒドを使用した。他のやり方は比較例2に従った。
【0089】
実施例1、2及び3:
ポリマー合成に際して、100質量部のポリビニルアルコールMowiol 56−98(Kuraray Europe GmbHの商品)と、1333質量部の水と、67.9質量部、68.4質量部及び69質量部のn−ブチルアルデヒドを使用した。他のやり方は比較例2に従った。
【0090】
実施例4及び5:
ポリマー合成に際して、100質量部のポリビニルアルコールKuraray社のPoval 624(Kuraray Co.Ltd.の商品)と、1333質量部の水と、100質量部の20%塩酸と、70質量部もしくは73質量部のn−ブチルアルデヒドを使用した。他のやり方は比較例2に従った。
【0091】
比較例5:
シート製造に際して、比較例4からのPVB333gと実施例2からのPVB37gとの混合物を使用した。他のやり方は比較例2に従った。
【0092】
実施例6:
シート製造に際して、比較例4からのPVB259gと実施例2からのPVB111gとの混合物を使用した。他のやり方は比較例2に従った。
【0093】
実施例7:
シート製造に際して、比較例4からのPVB185gと実施例2からのPVB185gとの混合物を使用した。他のやり方は比較例2に従った。
【0094】
実施例8:
シート製造に際して、比較例4からのPVB185gと実施例3からのPVB185gとの混合物を使用した。他のやり方は比較例2に従った。
【0095】
実施例9〜12:
ポリマー合成に際して、68.4質量部のn−ブチルアルデヒドと、付加的に0.02質量部、0.04質量部、0.06質量部及び0.08質量部のグルタルアルデヒドを使用した。他のやり方は比較例2に従った。
【0096】
実施例13〜14:
ポリマー合成に際して、100質量部のポリビニルアルコールMowiol 30〜92(Kuraray Europe GmbHの商品)と、1075質量部の水と、67.1質量部のn−ブチルアルデヒドと、100質量部の20%塩酸と、0.04質量部もしくは0.08質量部のグルタルアルデヒドを使用した。他のやり方は比較例2に従った。
【0097】
実施例15:
100質量部のポリビニルアルコールMowiol 28−99(Kuraray Europe GmbH社の商品)を、1075質量部の水中で90℃に加熱しつつ溶解させた。40℃の温度で、68.4質量部のn−ブチルアルデヒドを添加し、そして12℃の温度で撹拌しつつ15分以内で15質量部の20%塩酸を添加し、その後にポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。該混合物を、次いで撹拌しながら60分間にわたり12℃で保持した。次いで、40分以内で更なる50質量部の20%塩酸を添加した。該混合物を、次いで撹拌しつつ更に15分間にわたり12℃で保持し、次いで80分以内で69℃に加熱し、そしてこの温度で120分間にわたり保持した。他のやり方は比較例2に従った。
【0098】
実施例16〜17:
第一の酸の部分量を添加した後の休止時間は、120分もしくは180分であった。他のやり方は実施例15に従った。
【0099】
実施例18:
100質量部のポリビニルアルコールMowiol 28−99(Kuraray Europe GmbH社の商品)を、1075質量部の水中で90℃に加熱しつつ溶解させた。40℃の温度で、68.4質量部のn−ブチルアルデヒド及び0.03質量部のグルタルアルデヒドを添加した。12℃の温度で、撹拌しながら6分間以内で、75質量部の20%塩酸を添加し、その後にポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。該混合物を、次いで撹拌しつつ更に120分間にわたり12℃で保持し、次いで80分以内で69℃に加熱し、そしてこの温度で120分間にわたり保持した。他のやり方は比較例2に従った。
【0100】
実施例19:
100質量部のポリビニルアルコールMowiol 28−99(Kuraray Europe GmbH社の商品)を、1075質量部の水中で90℃に加熱しつつ溶解させた。40℃の温度で、68.4質量部のn−ブチルアルデヒド及び0.03質量部のグルタルアルデヒドを添加した。
【0101】
12℃の温度で、撹拌しながら15分間以内で、15質量部の20%塩酸を添加し、その後にポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。該混合物を、次いで撹拌しながら120分間にわたり12℃で保持した。次いで、40分以内で50質量部の20%塩酸を添加した。該混合物を、次いで撹拌しつつ更に15分間にわたり12℃で保持し、次いで80分以内で69℃に加熱し、そしてこの温度で120分間にわたり保持した。他のやり方は比較例2に従った。
【0102】
実施例20〜21:
100質量部のポリビニルアルコールMowiol 30−92(Kuraray Europe GmbH社の商品)を、1075質量部の水中で90℃に加熱しつつ溶解させた。40℃の温度で、67.1質量部のn−ブチルアルデヒド及び0.06質量部のグルタルアルデヒドを添加した。12℃の温度で、撹拌しながら6分間以内で、100質量部の20%塩酸を添加し、その後にポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。該混合物を、次いで撹拌しつつ更に60分間もしくは120分間にわたり12℃で保持し、次いで80分以内で69℃に加熱し、そしてこの温度で120分間にわたり保持した。他のやり方は比較例2に従った。
【0103】
【表4】

【0104】
【表5】

【0105】
【表6】

【0106】
【表7】

【0107】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の
a)透明な表面側保護部材と、
b)1もしくは複数の光電性の半導体層と、
c)少なくとも1つのポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートと、
d)裏面側保護部材と
から成る積層体を含む太陽電池モジュールにおいて、前記のポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートc)が、18質量%未満のポリビニルアルコール割合を有するポリビニルアセタールを含有し、かつ3mmのフロートガラス/0.76mmのシートc)/3mmのフロートガラスから成る構造を有する積層体で測定したクリープ傾向が、100℃の温度で7日後に5mm未満を示すことを特徴とする、太陽電池モジュール。
【請求項2】
ポリビニルアセタールが、110000g/モルより大きい分子量Mwを有することを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
ポリビニルアセタールが、80mPasより大きい溶液粘度を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
ポリビニルアセタールが、カルボキシル基を介して、ポリアルデヒド、グルタルジアルデヒドもしくはグリオキシル酸によって架橋されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
ポリビニルアセタールが、以下の工程
− ポリビニルアルコールと少なくとも1種のアルデヒドの水溶液を装入する工程、
− 酸を添加して、低い温度でポリビニルアセタールを沈殿させる工程(沈殿段階)、
− 反応混合物を高められた温度に加熱する工程(加熱段階)、
その際、前記沈殿段階は、60〜360分にわたり継続する
を有する方法によって製造されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
ポリビニルアセタールが、以下の工程
− ポリビニルアルコールと酸の水溶液を装入する工程、
− 少なくとも1種のアルデヒドを添加して、低い温度でポリビニルアセタールを沈殿させる工程(沈殿段階)、
− 反応混合物を高められた温度に加熱する工程(加熱段階)、
その際、前記沈殿段階は、60〜360分にわたり継続する
を有する方法によって製造されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
ポリビニルアセタールが、14質量%未満のポリビニルアセテート割合を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートc)が、18〜32質量%の可塑剤含有率を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
可塑剤として、1種もしくは複数種の化合物であって、その極性が、式100×O/(C+H)[式中、O、C及びHは、その都度の分子中の酸素原子、炭素原子及び水素原子の数を表す]によって表されて、9.4以下である化合物を使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
可塑剤として、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジヘキシルアジペート、ジブチルセバケート、ジ−2−ブトキシエチルセバケート、トリエチレングリコール−ビス−2−エチルヘキサノエート及び1,2−シクロヘキサンジカルボン酸−ジイソノニルエステルの群からの1種もしくは複数種の化合物を使用することを特徴とする、太陽電池モジュール。
【請求項11】
ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートが、50ppm未満の金属イオンを含有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項12】
ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートが、0.001〜5質量%のSiO2を含有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項13】
ポリビニルアセタールとして、ポリビニルブチラールを使用することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項14】
ポリビニルアセタールを基礎とする可塑剤含有シートc)であって、該ポリビニルアセタールのポリビニルアルコール割合が18質量%未満であり、かつ3mmのフロートガラス/0.76mmのシートc)/3mmのフロートガラスから成る構造を有する積層体で測定したクリープ傾向が、100℃の温度で7日後に5mm未満であるシートc)を、太陽電池モジュールの製造のために用いる使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−283352(P2010−283352A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129811(P2010−129811)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(507052393)クラレイ ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (29)
【氏名又は名称原語表記】Kuraray Europe GmbH
【住所又は居所原語表記】Brueningstrasse 50, D−65926 Frankfurt , Germany
【Fターム(参考)】