説明

クリールのモジュラーユニット

リール又は糸スプール(25、26)を支持するのに適する、少なくとも1個の支持体(22、23)を備える構造体(2)を有するクリールのモジュラーユニット(1)。構造体(2)は、多角立体形の形状をし、張力及び速度の特性から選択された、少なくとも1個の特性を、予め定めた固定値又は機械の運転段階の関数に等しくなるように絶えず維持しながら、リール又は糸スプール(25、26)から巻き戻される糸を供給するのに適する供給装置(30)を備え、構造体(2)は、他の同様な構造体(2)とモジュラー式に接続されて、繊維機械に複数本の糸を供給できるように構成され、モジュラーユニットの各々により供給される糸は、対応するモジュラーユニット(1)と連動する供給装置により規定される固有の選択された特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的をなすものは、メインクレーム前提事項部に記載されたクリール用モジュラーユニットである。
【背景技術】
【0002】
公知のように、クリールは、稼働中、例えば、ダイパー用製造ラインで、糸を直接巻き戻して繊維機械に向かわせる、複数個のスプール又はリールを保持するのに適した構造体である。
【0003】
複数個の支持体を備えたモジュラー式クリールは、公知であり、支持体は、互いに接続することができるようになっており、スプールを載せることができる、複数個の可動ピンを支持する。こうしたピンにより、リールの搭載が容易になっている。糸ガイドも、こうした支持体に取り付けられ、リールから繊維機械に向かって巻き戻される糸を方向付けるようにガイドする。
【0004】
こうしたモジュラー式クリールは、換気され又は換気されることなく、種々の寸法のキャビネットを構成できる。しかしながら、こうした構造体は、寸法が大きく、縦方向に接続できるが、糸の張力特性及び速度特性をチェックする装置を備えていない。このことが、公知のクリールでは、難点であり、生産される製品の製造用の繊維機械により使用される糸は、好ましくは、繊維機械に、一定速度及び/又は一定張力で供給されて、欠陥品が製造されないようにする必要がある。こうした理由で、少なくとも一定の張力で糸の供給をすることができる種々の装置が、既に知られている。
【0005】
こうした装置は、繊維製造工程の品質を確保するのに、一般的に用いられている。これは、こうした装置が、リアルタイムで糸を一定張力で繊維機械に供給できる性能を有しているからである。
【0006】
英国特許第1202991号には、互いに接続でき、対応する糸スプールを支持するのに適した複数個のアームを備える、モジュラー式クリールが開示されている。糸は、それぞれのスプールから取出され、繊維機械、例えば、タフティング機等に送られる。第1のスプールに巻かれている糸の終端部は、第1のスプールの近傍に置かれた第2のスプールの始端部に接続されるようになっていて、糸を繊維機械に連続供給、すなわち、ヘッド・テール継ぎでき、糸が無くなると、新たなスプールと第1スプールを交換できる。
【0007】
この英国先行技術文献では、複数個のモジュラー式クリールが、各クリールの柱部材に固定されたスプールを支持する複数個のアームを備える。このため、アームが、モジュラー式に重ね合わされたクリールの比較的高い箇所に設けられている場合、たとえ、クリール間に、通路又は通り道が、共通の支持面にもたれて設けられてオペレータがクリール間を移動できるようになっていても、空のスプールを満杯のスプールと交換するのは困難である。
【0008】
さらに、モジュラー式クリールは、スプールを単に支持するに過ぎず、繊維機械に供給される糸の張力又は速度の制御する装置を備えていない。モジュラー式クリールからなる構造体のクリール毎に、こうした装置を設けることについては、記載も示唆もされていない。上述した、こうした制御装置の配置は、設けることすらできない。これは、第1の柱部材に用意した複数のスプールを、第1の柱部材と向かい合う第2の柱部材により支持された複数個のスプールに向くように回転させ、支持されている糸同士は、互いに反対方向に、重なり合い状態で供給される(英国特許第1202991号の図2参照)ためである。したがって、柱部材と互いに向かい合うスプールとの間には、供給される各糸の張力及び速度を制御し及び/又は調節するのに適した装置を入れるスペースすらない。
【0009】
米国特許第6676054号は、ヘッド・テール式の糸供給方法によるスプールから糸エラストマーを繰り出し、一つのスプールからの糸の終端を別のスプールからの糸の終端に接続する装置に関する。これらのスプールは、確実にかなり大きな構造体を構成する柱部材に取り付けた複数個のピンにより支持される。
【0010】
この米国特許は、上述した構造体が、複数個の糸スプールを支持することを開示しているが、複数本の糸を一定の速度で供給する装置は、1個だけである。したがって、各糸の供給速度を調整するように制御することはできず、供給される糸毎に、速度を異ならせることはない。こうした特徴は、複数本の糸を用いる繊維機械にとっては、複数本の糸が、断続的に又は異なる速度で供給される必要がある場合、例えば、番手が異なる毎に、クリールを異なる位置で供給する場合、張力を異ならせて、糸の所望の引き出しを、ひいては、異なる供給速度を達成するのに、重要となり得る。
【0011】
さらに、この米国特許は、一定の供給速度が、次のような理由で、繊維機械の予めセットされている加速段階及び減速段階では、繊維機械と同期させる必要があるとしている。
【0012】
この米国先行技術文献は、第1の糸ガイド、糸スプール(距離)並びに第1の糸ガイド及びスプールの回転軸線(角度)に対する距離と角度とを測定することにより、糸が繰り出されるスプールが、満杯であるか空であるかに拘わらず、出口側での張力変動を許容限界内に収めることを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題は、寸法を抑えたモジュラー式クリールユニットであって、同一構造のモジュラー式クリールユニットと容易に接続して、寸法及び容量を異にする複数個のクリールを提供でき、及び/又は複数個のスプール又はリールを支持でき、同じクリールのユニットに支持されたスプールから繰り出され又は巻き戻される糸の張力及び速度の少なくとも一方の特性を制御し一定にするのに適切な装置を備えモジュラー式クリールユニットを提供することにある。
【0014】
本発明が提示するもう一つの目的は、ヘッド・テール方式で糸の供給を行うことができるモジュラー式クリールユニットを提供することにある。
【0015】
もう一つの目的は、リール交換に介入し、1個以上のスプールを装填する必要性をオペレータに知らせるのに適した装置を、本発明によるモジュラー式クリールユニットに設けることにある。
【0016】
この他の目的は、スプールを手動式及び自動式のいずれでも、スプールの移動及び交換を容易化できるという技術的課題を解決するモジュラー式クリールユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これら目的、及び当業者には明らかとなる他の目的は、請求の範囲に記載したモジュラー式ユニットにより達成される。
【0018】
本発明を正しく理解できるように、単なる例示として、何らの限定をもたらさない、下記の図面を添付する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるクリールユニットを正面方向から見た斜視図である。
【図2】図1のクリールユニットが使用又は運転段階にある、背面方向から見た斜視図である。
【図3】図1に示すタイプのクリールユニットを複数個備えた構造体を正面方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照すると、モジュラークリールユニットは、全体を符号1で示してあり、対向側面部3(正面側)及び5(背面側)と、対向側面部4及び6と、上部7と、下部8とを備えた構造体2(図示の例では、多角立体形)とを有する。下部8は、平坦な格子部材10か、又は透明としてよいが、正面側側面部3は、後述する機能を持つ平面部11を支持する。平面部10の機能は、後述する。
【0021】
構造体2は、特に、互いに機械的に結合された複数個の区画部(又は輪郭部)13で構成される。上部7の四隅14に対応して、実施形態の一つでは、座部すなわち凹部15を設け、ピン(図示せず)が、下部8の四隅17から下方に突出する。これにより、上部7の座部15内に下部8の上述したピンを収容することによって、2個の同一構造の構造体2を安定的に重ね合わせることができる(図3に示す)。同一構造の構造体を横方向に接続することもできる、機械的手段(例えば、磁気を利用した装置)以外に、同一構造の構造体2間を接続する、他の装置を用いてもよいことは明らかである。
【0022】
複数個の構造体により構成される全体は、個々の原子に相当する装置が、互いに接続された複数個の構造体により構成される、複雑なマトリックス状すなわち分子状構造体を構成してもよい。
【0023】
構造体2の背面側側面部5の両側柱部材20及び21の箇所では、アーム22及び23が、それぞれ、好ましくは、これらの柱部材にヒンジで連結されて設けられ、ヒンジ把持部22A、23Aを備える。アームは、構造体2の内部空間部19の内側と外側とに回転でき、少なくとも1個のスプール又は糸リール25及び26を支持するのに適する。こうした動きができるため、オペレータは、空になったスプールを満杯のスプールに容易に交換でき、糸が供給中に破断した場合、糸に関与できる。
【0024】
スプール25及び26は、使用状態(図1)で内部空間部19に収容されると、ヘッド−テール法、すなわち、スプール26からの糸の始端を、スプール25の糸の「テール」すなわち終端に継ぐ方法で、接続された糸を提供する。後者の糸の始端は、構造体2の正面側側面部3に結合した平面部11に設けた、それ自体公知の糸供給装置30に接続される。糸は、例えば、平面部に設けた穴を通りぬけて糸供給装置30に達する。糸供給装置は、好ましくは、繊維機械に糸を、連続して又は断続的に、一定張力及び/又は一定速度で供給するのに適したタイプのものである。こうした制御は、この糸供給装置30により行われる。糸供給装置は、構造体2の別の箇所に設けてもよい。
【0025】
糸供給装置は、公知のように、回転アクチュエータ30Aを備え、回転アクチュエータは、糸供給装置30の運転用制御ユニット(図示せず)と張力センサ装置30Bとに接続される。こうしたセンサ装置及び回転アクチュエータは、制御ユニットとともに、糸供給用の閉ループ制御系を構成する。
【0026】
背面側側面部5の周囲を区画する区画部13(好ましくは、取手で開けることができるドア5A、5Bで閉じされる)に対応して、センサ装置33が、スプール26の始端に接続されたスプール25の糸の終端(又はその逆)を通しながら収容するのに適するように設けられる。センサ装置33は、糸供給装置30の制御ユニットに好ましくは接続される。センサ装置33は、糸ガイド(例えば、オープン型のもの)を備え、スプール25からの糸が、使い果たされると、糸供給装置30がスプール26からの糸を供給するように具体化されるとよい。
【0027】
こうした場合、供給される糸(満杯のスプール26から送られてくる糸)は、センサ装置33から出ると、センサ装置は、制御ユニット35(供給装置30内に収容され、供給装置30の制御ユニットに一体化され又は接続されてもよい)に送る信号を、全部品(スプール及び供給装置30)についてモジュラーユニット1の動作を監視する構造体2に関する表示を含めて、発生させる。したがって、こうした信号により、制御ユニット35内で、スプール25の糸が使用され尽くされたという警告を生成し、視覚的及び/又は聴覚的警告信号を出して、オペレータを介入させる。
【0028】
オペレータは、空のスプール25を載せたアーム22を、対応する柱部材20を中心としてアームを回転させて構造体の内部空間部19から取出す。すると、このアームは、内部空間部内の外側に位置付けられるので、空のスプール(糸40用の通常管状の支持体)を、取り除いて、新しい満杯のスプール25をアームに装着できる。
【0029】
一旦、アーム22と新しいスプール(25)とが、内部空間部19に再挿入されると、スプール25により支持されている糸のヘッドすなわち始端を、スプール26の糸の終端に継ぐ。こうした一連の作業は、スプール26から供給装置30へ進行し、したがって、糸が導かれる繊維機械に向かう、糸の供給を停止させることなく、行われる。
【0030】
当然ながら、センサ装置33は、スプール26の糸の終端、又は新しいスプール25の糸の始端をここに通すことにより、再作動される。
【0031】
潜在生産力を増加する目的では、各アーム22、23に、より多くのスプールを載せ(添付図面に示すように、アーム22には、2個のスプール25を、アーム23には、2個のスプール26を載せる)、糸を、ヘッド−テール法で継ぐ(上述してある)。第1アームに載っている2個のスプールの一方の自由端である始端を、第2アームに載っている2個のスプールの一方の終端に(又は、その逆に)、既に述べたのと同様に接続することは明らかである。
【0032】
本発明によれば、いずれの寸法のクリールでも、複数個のモジュラーユニット1を互いに重ねるか横に並べるだけで、必要とされる操業条件に基づいて自由に選択して、選ぶことができる(モジュラーユニット同士は、クランプ、ねじ若しくはボルト、雄型・雌型継手又は磁気継手により、機械的に互いに接続してよく、好ましい)。
【0033】
こうして得られるクリールは、各モジュラーユニットが支持するスプールの点(複数本の糸が、複数個の接続されたクリールのモジュラーユニットから繰り出されて供給される繊維機械の運転を停止することなく、モジュラーユニット毎に独立して交換可能である)、及び各モジュラーユニットからの糸についての供給制御の点で、独立している、複数個の自動式モジュラーユニットを備える。
【0034】
こうして、各々が糸を1本ずつ供給できるモジュラーユニット1で構成される上述のクリールは、繊維製造段階、及び、使用者は、クリール全体を混乱させることなく、モジュラーユニットを追加または外すことができる点で、大きな融通性をもたらす。
【0035】
クリール1を構成するモジュラーユニットの各々は、さらに、あるスプールから(又は、固定式又は好ましくて推奨される可動式のアーム22又は23と連動して複数個のスプールから、)繰り出される糸の端部を検出し、あるスプール(又は複数個のスプール)が、積載糸を交換すべきことを正確に知らせる手段(センサ装置33又はスプールで糸の存在を検出する、光学センサ装置を含む類似の手段)を備える。
【0036】
各モジュラーユニットは、モータと制御電子機器と張力センサとを備えた、一定張力で糸を供給する独立した供給装置を有してもよい。したがって、こうしたモジュラーユニット1の各々は、全体的な諸条件(変動する摩擦、満杯のスプールと空のスプール間の入口側での張力相違、速度変化の吸収)下で、糸を一定張力で独立して供給できる。こうして、モジュラーユニット1は、出口側での張力を一定に保つ閉ループで作動するので、最終製品の品質を向上させることになる。各モジュラーユニットは、糸供給を独立して調整できる供給装置(閉ループで作動する)を備えるので、糸が供給される繊維機械と同期させる必要がなく、繊維製造工程での速度変化に自律的に追従でき、繊維製造工程で著しい簡易化をもたらす。
【0037】
各モジュラーユニットは、糸供給を独立して調整できる供給装置(閉ループで作動する)を備えるので、モジュラー式のクリール(複数個のクリール部材を備える場合を含む)のモジュラーユニット毎に、したがって、繊維機械に供給される糸毎に、作業中張力を変え、糸の引き出しを変えることができるため、融通性が大幅に増し、革新的な製品の創造に資する。作業全体に亘って、又は、運転段階に応じて、所定の張力を一定にしてもよいし、例えば、最初の供給段階(繊維機械の始動時)では張力を低くし、供給が開始してから若しくは所定量の糸を供給してから一定時間経過後、又は、所定の供給速度に到達後、当初の張力を、製造段階用に別の値(通常、高い値)に、完全自動方式で移行させてもよい。こうした張力は、例えば、製造された製品に基づいた所定の分析結果に従って、製造段階中に変更してもよい。
【0038】
モジュラー式のクリール部材と組み合わせ、他のモジュラーユニットとは、独立して糸供給を調整できる供給装置を使用することにより、糸の供給に、第2制御ループを適用して、クリールの出力側張力のみならず糸が繊維製造工程に入る箇所近傍での糸の張力を一定に保つことができる。これは、例えば、欧州特許第1901984号に開示されている。
【0039】
したがって、本発明は、張力について閉ループで作動することにより、制御に大きな正確性を保証するが、繊維機械と連動することは必ずしも必要ではないので、システム全体の設置及び管理を簡素化する点で、米国特許第6676054号とは異なっている。
【0040】
さらに、本発明によれば、2個以上のモジュラーユニット1を備えたクリールでは、各モジュラーユニットを独立して管理することが可能であるので、糸毎に、張力と引出しとを変える運転が可能であり、この点が、米国特許第66760540号とは異なっている。
【0041】
最後に、本明細書に記載した発明は、各クリールの位置及び入力角度に影響を及ぼす出力側張力を許容数値範囲内に維持することを提案している、米国特許第6676054号に開示されたものとは、全く異なっている。先行発明は、結局は出力側張力に影響を及ぼす、入力側張力(リールからの引っ張り)の突然の変動を補償することができない。本明細書に記載した発明は、上述した米国特許公報に開示された発明と異なり、閉ループ供給システムを用いて位置付け角度及びリール間距離とは全く無関係に、出口側で、一定の張力、ひいては、一定の引っ張りを実際に保証する。
【0042】
明らかなように、本発明によるクリールのモジュラーユニット1は、また、モジュラーユニットの構造体2に取り付けた、可動又は固定アームにより支持された単一のスプール(又は、複数個のスプール)を、内部空間部19に収容する。明らかなように、こうしたアームは、構造体2の外側に設けてもよい。
【0043】
上述したタイプのモジュラーユニット1は、繊維機械の制御ユニットに制御ユニット35を通じて接続されていると、糸供給装置30に供給される糸の破裂、供給張力の誤り又はセンサ装置30での糸の不存在が検出された場合、繊維機械を停止して、製造される製品の製造品質に一定性を保証でき、こうしたことの発生後に製品に生じうる欠陥に基づく付加費用を回避できる。
【0044】
平坦な格子部材10は、第1構造体2の糸スプール又は糸自体が、下にある、すなわち通常隣接しているモジュラーユニット1の機能を阻害しないようにするのに適するように、重なり合った構造体2間を分離し保護する部材として機能する。
【0045】
さらに、センサ装置33により検出され、制御ユニット35(糸供給装置30の外部にあってもよいし、その一部をなしていてもよい)に送られる情報は、スプール(25,26)に生ずる糸の消尽、及び他のスプール(25、26)から送られる糸の使用開始に関する情報を収集するのに適する遠隔制御ユニットに送ってもよい。こうした情報は、スプールでの糸の消尽の警告を行うのに、また、消尽したスプールの交換用自動装置を起動するのに使用される。こうした情報は、また、使用し消尽したスプールの数に関するデータを収集するのに、又は、製造バッチを特定のバッチの糸に連動させて、製造された製品の生産履歴管理を確保するのに利用できる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態を説明した。以上の説明に基づいて、他の実施形態も可能であり、これらは、本明細書に続く請求の範囲内に入るとみなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール又は糸スプール(25、26)を支持するのに適する、少なくとも1個の支持体(22、23)を備える構造体(2)を有するクリールのモジュラーユニット(1)において、構造体(2)は、多角立体形の形状をし、張力及び速度の特性から選択された、少なくとも1個の特性を、予め定めた固定値又は機械の運転段階の関数に等しくなるように絶えず維持しながら、リール又は糸スプール(25、26)から巻き戻して糸を供給するのに適する供給装置(30)を備え、構造体(2)は、他の同様な構造体(2)とモジュラー式に接続されて、繊維機械に複数本の糸を供給できるように構成され、モジュラーユニットの各々により供給される糸は、対応するモジュラーユニット(1)と連動する供給装置により規定される固有の選択された特性を有することを特徴とするモジュラーユニット。
【請求項2】
前記構造体は、内部空間部(19)を画定する区画部又は輪郭部(13)を持ち、区画部は、同様な構造体を前述した構造体に重ね合わせるのに、又は、重ね合わせた構造体にさらに同様な構造体に重ね合わせるのに、又は、同様な構造体を向かい合わせるのに適することを特徴とする、請求項1に記載のモジュラーユニット。
【請求項3】
前記接続部材は、ピン、凹部等の機械的接続装置又は磁気的接続装置であることを特徴とする、請求項2に記載のモジュラーユニット。
【請求項4】
前記多角形形状をした構造体は、正面側側面部(3)と対向側面部(4、6)と背面側側面部(5)と上部(7)と下部(8)とで構成され、少なくとも1個のスプール(25、26)が、前記構造体(2)に対して可動である支持アームに取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載のモジュラーユニット。
【請求項5】
前記構造体(2)に対して固定され又は好ましくは可動自在な2個のアームを備え、各アームは、少なくとも1個のスプール(25、26)を支持することを特徴とする、請求項1に記載のモジュラーユニット。
【請求項6】
各アーム(22、23)は、少なくとも1個のスプールを支持し、各スプールの糸は、ヘッド−テール法で継がれることを特徴とする、請求項5に記載のモジュラーユニット。
【請求項7】
各アーム(22、23)には、複数個のスプールを載せ、スプール同士は、ヘッド−テール式に結合され、2個のアーム(22、23)のスプールも又、ヘッド−テール式に結合されることを特徴とする、請求項5に記載のモジュラーユニット。
【請求項8】
あるスプール(25、26)での糸の終端の存在と他のスプール(25、26)からの糸の使用開始とを検知するのに適する手段(33)を備えることを特徴とする、請求項5に記載のモジュラーユニット。
【請求項9】
前記手段は、制御ユニット(35)と信号を交わすのに適する、センサ装置(33)であって、前記糸供給装置(30)の一部をなしてもよく、あるスプール(25、26)での糸の終端の検出と、他のスプール(25、26)にある糸の使用開始とを警告するのに適するセンサ装置であり、警告は、同じ構造体に設けた視覚的及び/又は聴覚的検出部材を通じて行われることを特徴とする、請求項8に記載のモジュラーユニット。
【請求項10】
前記手段は、あるスプール(25、26)で生じた糸の終端および他のスプール(25、26)からの糸の使用開始に関する情報を収集するのに適する遠隔制御ユニットに接続される、センサ装置(33)であり、この情報は、こうしたスプールでの糸の終端の警告を行い、空になったスプールを満杯のスプールと交換する自動装置をオンするのに使用されるとともに、この情報は、使用されている及び消尽されたスプールの数又は生産履歴に関するデータを収集するのにも利用可能であることを特徴とする、請求項8に記載のモジュラーユニット。
【請求項11】
前記遠隔制御ユニットとの接続は、前記供給装置(30)を介して、又は、前記供給装置(30)が接続されている制御ユニット(35)を介して行われることを特徴とする、請求項10に記載のモジュラーユニット。
【請求項12】
前記モジュラー式ユニット(1)は、前記遠隔制御ユニットに直列接続されることを特徴とする、請求項10に記載のモジュラーユニット。
【請求項13】
前記接続は、ワイヤレス接続による前記遠隔制御ユニットへの接続により行われることを特徴とする、請求項10に記載のモジュラーユニット。
【請求項14】
前記供給装置(30)は、回転自在なアクチュエータ(30A)と、糸供給制御ユニットに接続された張力センサ(30B)とを備え、糸供給制御ユニットは、モジュラーユニットに支持された前記スプール(25、26)から巻き戻される糸の選択された特性を、回転自在なアクチュエータ(30A)と張力センサ(30B)とから得たデータに基づいて制御し、回転自在なアクチュエータと張力センサと糸供給制御ユニットとは、前記繊維機械に向ってスプールから巻き戻される糸の供給用に閉制御ループを構成して、糸を一定速度又は一定張力で供することを特徴とする、請求項10に記載のモジュラーユニット。
【請求項15】
前記制御ユニット(35)は、前記供給装置(30)に組み込まれて前記供給装置を構成することを特徴とする、請求項10に記載のモジュラーユニット。
【請求項16】
前記選択された特性は、前記繊維機械の全運転段階に亘って固定値で一定に維持され、又は、前記繊維機械の特定の運転段階に応じて定まることを特徴とする、請求項1に記載のモジュラーユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2013−511456(P2013−511456A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539428(P2012−539428)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002948
【国際公開番号】WO2011/061602
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(596111896)ビ.ティ.エッセ.エルレ.インターナショナル ソチエタ ペル アチオーニ (8)
【Fターム(参考)】