説明

クリーンな動力システム

本発明は、クリーンな動力発生システムに関し、特徴の一つとして、内燃機関を操作して軸の駆動力と排気流を生じさせる。排気流は燃料電池によって処理する。動力要求の変動は、少なくとも部分的に、燃料電池からの動力出力を増減させたり、及び/又は、パワーストレージ装置からの動力の取り出し又は出力を増減させることで対応する。エンジンは、安定した排気流を提供するように、比較的に一定の割合で操作でき、汚染制御と燃料電池の操作を助ける。本発明の他の特徴では、陽子を導く電解質を有する燃料電池を用いてエンジン排気を処理する。有用な動力を発生させながら排気から汚染を除くことに加え、燃料電池は弱酸性の水を提供できる。この水は、燃料改質装置に利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力発生システム一般に関するが、具体的には、低エミッションで、ディーゼル燃料供給型のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を備えた自動車から放出されるNOXエミッションは、世界的に環境問題として認知されている。そこで、米国を含む、複数の国では、長い間、自動車から放出されるNOXエミッションを制限するように規制中である。製造者や研究者達は、これら規制を満足させるためにかなりの努力を行っている。理論燃料・空気混合気(stoichiometric fuel-air mixtures)を用いる、通常のガソリン駆動自動車では、三元触媒を用いてNOXエミッションを制御できる。三元触媒は、酸素が不在の場合、COと未燃焼炭化水素と反応してNOXを減らす。しかしながら、ディーゼル駆動自動車や希薄燃焼ガソリンエンジンでは、三元触媒を効果的に用いるには、排気が酸素過多である。
【0003】
そこで、ディーゼル駆動自動車でNOXエミッションを制御するため、様々な解決策が提案されている。あるアプローチの仕方では、エンジンに焦点を合わせている。NOXは主に高温で生じる。断熱フレーム温度(adiabatic flame temperature)を制限することで、例えば排気ガス循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)を介して、NOXの発生を減らすことができる。断熱フレーム温度を低下させることで、NOXの発生を減らすことができるが、この場合、エンジン効率を低下させ、排気内にスモークを生じさせる。一般に、ディーゼルエンジン内で粒子状物質の発生とNOXの発生との間には関係があると信じられている。しかし、断熱フレーム温度を十分に低下させることで、粒子状物質の発生をも減らすことについては十分に理解されていない。また、如何なる場合でも、ディーゼルエンジンが操作される際の断熱フレーム温度を変化させるだけでは、クリーンな燃焼を達成することはできない。
【0004】
全ての燃焼の副生成物を減らす一つの仕方として、ディーゼルエンジン内で燃料・空気混合気を均質化させる仕方がある。これは、噴射に先立って燃料を空気と混合させたり、圧縮ストロークの前又はこの初期で、エンジンシリンダ内に燃料の全部又は一部を噴射することで達成できる。研究によるとエミッションの削減が認められたが、このアプローチは商業的であるとは認められておらず、しかもディーゼル燃焼の副生成物を削減できていない。
【0005】
他のアプローチの仕方では、自動車の排気からNOXを除くようにしている。これには、希薄燃焼NOX触媒、NOX吸着−触媒、及び選択還元触媒(SCR)を用いることが含まれる。希薄燃焼NOX触媒は、酸素が豊富(リッチ)な状況下でNOXの還元を促進する。但し、酸化雰囲気中でのNOXの還元は困難である。また、所望の作用、持続性、及び作動温度範囲を有する希薄燃焼NOX触媒を見つけることは困難なことが知られている。また、希薄燃焼NOX触媒は、熱水的に不安定な傾向がある。また、比較的にわずかな使用の後、作用の喪失が顕著に生じることがある。希薄燃焼NOX触媒は、典型的に沸石ウォッシュコートを用いるが、これは、還元微環境(reducing microenvironment)を提供すると考えられている。また、ディーゼル燃料のような還元剤(reductant)を排気中に導入することを一般に必要としており、3%又はこれ以上の燃料経済ペナルティーを招いている。現在、希薄燃焼触媒を用いた、ピークのNOXの変換効率は、許容できない程小さなものである。
【0006】
NOX吸着−触媒は、交互に、NOXを吸着して、これを還元する。吸着装置は、再生中にオフラインにすることができ、還元環境が提供される。一般に、吸着物はアルカリ土類酸素吸着物(alkaline earth oxide adsorbant)、例えばBaCO3であり、触媒は貴金属、例えばRuである。
【0007】
SCRは、還元剤としてアンモニアを用いる。NOXを吸着物内に一時的に蓄えることができ、又は、アンモニアを排気内に連続して供給できる。SCRは、NOXの還元を90%以上達成できるが、アンモニアや適当な先駆物を分配するための基盤が足りないことが課題とされている。また、SCRは、環境中にアンモニアを放つ可能性があることについても懸念されている。
【0008】
エミッションを減らす他のアプローチとして、燃料電池を用いて、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに変えるものがある。燃料電池は、長鎖の炭化水素からパワーを引出すには非常に効果的ではないが、燃料改質装置を用いて長鎖の炭化水素を分断して、より小さく反応性のよい分子、例えば短鎖の炭化水素、酸素化された炭化水素、水素及び一酸化炭素であって、燃料電池に適する燃料に変えることができる。例えば、特許文献1は、改質装置を介して処理された通常の燃料を用いて、自動車の駆動システム用に燃料電池に動力を与える技術について開示している。この改質装置と燃料電池は、利用可能な動力を生じさせるように操作される前に、加熱される必要がある。
【0009】
特許文献2を参照すると、エンジン、燃料改質装置、及び燃料電池を備えた、ハイブリッド動力発生システムについて開示している。エンジンは、コールドスタート(冷めた状態からの始動)用の動力を提供するように用いられ、エンジン排気を用いて燃料改質装置と燃料電池を加熱している。改質装置と燃料電池がこれらの作動温度に達すると、改質装置/燃料電池システムが動力の発生を開始する。エンジンは、ワームアップ後操作され続けられてもよく、又は停止されてもよい。
【0010】
特許文献3を参照すると、内燃機関と燃料電池を備えた動力発生システムについて開示している。エンジンは、改質装置として操作することができ、燃料電池用の燃料を提供する。また、エンジンは、軸の駆動力を提供することができ、あるいは、全ての軸の駆動力を燃料電池から引出すことができる。エンジン排気内の粒子状物質は、燃料電池と触媒コンバーターによって除かれると記載されている。また、触媒コンバーターを用いて燃料電池の排気を処理することで、炭化水素と酸化窒素のエミッションをほぼゼロにすることができると示唆している。
【0011】
このような技術の発展にかかわらず、従来、環境に優しく、効率的で、信頼性のある自動車用の動力発生システムが求められている。
【特許文献1】米国特許第5,678,647号
【特許文献2】米国特許第6,276,473号
【特許文献3】米国特許第6,655,325号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明は、上記従来技術に鑑みて、動力発生システムの操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、本発明の幾つかの特徴について基本的な理解が得られるように、簡略化された要約を示す。但し、この要約は、本発明について広範囲な概要を示すことを目的とするものではない。この要約の主な目的は、以下に詳述する詳細な説明に先立って、本発明の幾つかのコンセプトを簡略化された形で提供することにある。
【0014】
本発明は、燃料電池を用いる自動車の動力発生システムに関する。動力発生システムに関する本発明の特徴の一つは、内燃機関を操作して、軸の駆動力と排気流を生じさせる。燃料電池を用いて、排気流を処理する。動力要求の変動に対応するため、少なくとも部分的に、燃料電池からの動力出力及び/又は、一つ又は複数のパワーストレージ装置からの動力の取り出し又は出力を、増大させたり、減少させる。これによって、エンジン操作と排気流の特性を安定させる。排気流を安定させることで、汚染制御用の排気処理を助けることができる。また、排気流を安定させることで、排気を燃料として用いる燃料電池の操作を助けることができる。本発明のこの特徴に従う動力発生システムは、ほとんどあらゆるエミッション制御調整に合わせて構成することができる。
【0015】
燃料電池は、エンジン排気から有用な動力を発生できるが、燃料電池に他の燃料源を備えることは可能である。他の燃料源は、例えば、燃料改質装置や、排気内に直接的に噴射されるエンジン燃料でもよい。本発明に関するさらなる特徴によると、陽子を導く電解質を有する燃料電池を用いて、エンジン排気を処理する。有用な動力を生じながら、排気からの汚染を除くことに加えて、燃料電池は、弱酸性の水を供給できる。この水は、燃料電池用の燃料を改質するのに用いることができる。燃料は、燃料電池単体で、又は別体の改質装置で、改質されてもよい。
【0016】
上記目的及び関連した目的を達成するため、以下の説明と添付した図には、本発明の要点と実施形態について詳細に例示している。これらは、本発明の特徴を用いることができる例を示しているが、様々な方法のうちの幾つかについてだけを示したものである。本発明に関する他の要点、長所、新規な特徴は、添付した図と合わせて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1を参照すると、本発明の幾つかの特徴を実行するための動力発生システム10について概略的に示されている。動力発生システム10は、内燃機関11、燃料電池12、モータ/ジェネレータ13、及び燃料改質装置14を含む。動力発生システム10は、燃料タンク30と車軸32と接続するように構成されている。そして、動力発生システム10は、車軸32に対して軸の駆動力を供給する。
【0018】
好ましくは、システム10は、ユーザーからの要求に応じて動力を供給するように適用される。動力要求には、軸の駆動力の要求と、電気動力の要求、例えば、自動車の補機に動力を与える電気の要求の双方が含まれる。好ましくは、このシステムは、第一の割合で動力を発生し、第二の割合で動力を出すことができる。過剰の要求によって生じた動力は、一つ又は複数のエネルギーストレージ装置、例えば、バッテリーシステム22に蓄えることができる。
【0019】
軸の駆動力要求は、内燃機関11、燃料電池12、又はバッテリーシステム22の一つ又は複数から動力を引出すことで対応できる。エンジン11からの機械的なエネルギーを用いて、軸32を直接的に駆動できる。また、モータ/ジェネレータ13によって、燃料電池12及び/又はバッテリーシステム22からの電気エネルギーを軸の駆動力に変換できる。
【0020】
モータ/ジェネレータ13は、機械的なエネルギーを電気エネルギーに変換するためにも用いることができる。機械的なエネルギーは、エンジン11から得ることができる。あるいは、機械的なエネルギーは、車軸32を介して、システム10の外部から取り出すことができる。特に、モータ/ジェネレータ13は、車軸32にブレーキ力を適用でき、自動車の運動エネルギーを、蓄えることができる電気エネルギーに転換できる(回生ブレーキ)。
【0021】
システム10は、限定的な期間で、発生することよりも多く動力を出すことができる。このような場合、動力は、パワーストレージ装置から取り出される。発生よりも多い要求が一時的であると予測できる場合や、ストレージ容量が十分であると考えられる場合、動力発生割合を一定に保つことができる。あるいは、エンジン11により多くの燃料を供給したり、燃料電池12に追加の燃料を直接的に(エンジンを介さないで)供給することで、動力発生割合を向上できる。
【0022】
本発明の特徴の一つによると、軸の駆動力に関するシステム10の要求の変動の全て又は一部は、燃料電池12に対する、エンジン排気の他、燃料の供給割合を変化させることで、及び/又は、一つ又は複数のパワーストレージ装置に対するエネルギーの取り出し又は出力の割合を変化させることで、エンジン11操作の要求を変化させることの影響を減らしたりなくすように、対応できる。通常の動力発生システムでは、軸の駆動力に関する要求の変化は、内燃機関に対して供給される燃料を変化することで対応できる。燃料電池12及び/又はパワーストレージ装置を用いて、動力要求の変動を全体的に又は部分的に満たすことで、従来のシステムにおけるエンジンと比べて、エンジン11操作を安定させて、エンジン11を比較的に一定の割合で駆動できるようにする。
【0023】
比較的に一定の割合でエンジン11を駆動することには様々な利点がある。第一に、より大きなエンジンを可変の割合で駆動するのと同じ全エネルギーを提供できるように、より小さなエンジンを一定の割合で駆動することができる。従って、エンジン11をより小さく、軽量で、低コストにすることができる。また、一定の速度により、エンジンを特定の操作モード、例えば、以下で詳述する低温燃焼のような操作モードに保つことを助けることができる。
【0024】
第二に、排気が、一定の又は狭い変動でフローレート、温度、及び成分を有する時、汚染物を除くようにエンジン排気を処理することが一層容易になる。典型的な自動車の動力発生システムでは、排気のフローレートは数次元の大きさで変化し、排気の温度は数百度で変化する。これら変化は、汚染制御装置にとって重荷となるが、本発明を用いることでこの重荷を減らすことができる。好ましくは、排気の温度は、ワームアップ後、約100℃の範囲内で、より好ましくは、約60℃の範囲内で、残りのものに制限される。好ましくは、エンジンがワームアップ後に駆動される際、エンジン排気のフローレートは、3の係数(ファクター)よりも変化せず、より好ましくは、2の係数よりも変化しないようにする。
【0025】
第三に、排気のフローレート、温度、及び成分を安定させることで、排気を燃料として用いる燃料電池12の操作の効率を助けることができる。ピークフローレートを減らすことで、燃料電池12に必要な大きさを減らすことができる。また、排気流を安定させることで、燃料電池12に対する酸素の供給の制御を容易にできるが、これは特に、燃料電池12の効率を向上させるために圧縮空気や濃縮酸素のような高価な酸素源を用いる時に重要となる。最後に、排気流を安定させることで、燃料電池12の温度調整を容易にできる。
【0026】
燃料電池12及び/又はパワーストレージ装置を用いて動力要求の変動に対応することは、エンジン操作において何ら変化の制限とはならない。例えば、動力要求が発生するものよりも小さく、システムがストレージの容量に達していれば、エンジンを全体的に停止してもよい。また、エンジン動力の出力は、停止することなく変えることができるが、しかしながらこのような変化は、エンジンが自身の動力要求の変動を満たす場合、かなり小さい。
【0027】
上述した目的のために、任意の適当な制御方法をエンジン11に用いることができる。例えば、排気の温度、排気の成分、又は排気のフローレートの一つ又は複数の制限に従って、エンジン動力出力の変化を最小にしたり、エンジン動力出力の変化を限定させるように、制御方法を構成してもよい。あるいは、パワーストレージシステムに蓄えられた動力の量の推定に基づいて、エンジン動力出力を増大させたり、減少させてもよい。また、上述したものや、他の制御方法を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
動力発生システム10で求められる全動力が、エンジン11の動力出力と、エンジン排気によって燃料供給される燃料電池12の動力出力を超える、延長期間では、要求を満たすために、燃料電池12に追加の燃料を供給することが望ましい場合がある。追加の燃料は、燃料改質装置14内で燃料タンク30からの燃料を改質して、この燃料を管15内に噴射するように、動力発生システム10に供給できる。改質油(reformate)は、燃料電池12内で反応して、さらなる動力を提供する。選択的に、燃料改質装置14を除くことは可能である。燃料電池12が十分に高い温度で操作される場合、燃料電池12内で燃料を改質することができる。ほとんどの燃料は、約600−650℃で、またはこれ以上の温度で改質できる。
【0029】
また、燃料電池12用に他の燃料源を備えることで、エンジン11から独立して燃料電池12を操作可能にする利点を提供できる。エンジン11は、他の源から十分な動力が利用可能な時には、完全に停止できる。
【0030】
バッテリーシステムは、燃料電池を備えるシステム内のエネルギーストレージ装置として自然な選択であるが、システム10内のバッテリーシステム22に加えて、又はこの替わりに、他のエネルギーストレージ装置を用いることは可能である。エネルギーストレージ装置の他のタイプとして、流体パワーキュムレーター、スプリング、フライホイール等があるが、これらに限定されない。
【0031】
モータ/ジェネレータ13は、バッテリーシステム22又は燃料電池12からの動力を用いて軸32を駆動するか、軸32から引出した動力をバッテリーシステム22内に蓄えるように構成される。モータ/ジェネレータは、ジェネレータとして作用するように逆に駆動可能な電気モータである。モータ/ジェネレータ13は、エンジン11からさらなる動力を引出すために使うことができる。
【0032】
内燃機関11は、任意のタイプの内燃機関でもよい。適当なエンジンとして、例えば、圧縮点火エンジンやスパーク点火エンジンがある。エンジン11は、例えば、ディーゼル、ガソリン、天然ガス、又はメタノールを含む、炭化水素や酸素化された炭化水素の燃料の一つ又は複数の任意の適当なタイプに合わせて構成できる。
【0033】
実施形態の一つでは、内燃機関11は、排気の粒子状物質成分とNOXを限定するように操作される。特定の限定に基づいて、任意の適当な操作方法を用いることができる。例えば、均質チャージ圧縮点火(HCCI:Homogenous Charge Compression Ignition)ディーゼルエンジンとして操作するようにエンジン11を構成することで、NOXと粒子状物質(PM)の幾つかの制限を満足することができる。
【0034】
実施形態の一つでは、内燃機関11は、低温燃焼モードで操作するように構成される。低温燃焼モードは、エンジンがかなりの量の動力を生じさせながら、エンジン排気がわずかなNOXとわずかな粒子状物質を含む、十分に低い断熱フレーム温度でのエンジン操作に関する。燃料・空気混合気は、空気圧縮後にシリンダ内に燃料を直接的に噴射するディーゼルエンジンのように、不均質又は不均一(heterogeneous)でもよい。燃料と空気の割合は、希薄(リーン)から豊富(リッチ)までの範囲内のいずれでもよいが、断熱フレーム温度を制御するために用いられる燃料と空気の割合の範囲を除く。
【0035】
低温燃焼モードでは、断熱フレーム温度は、エンジンシリンダ内で起こり得る最も高い局所的な断熱フレーム温度に関する。予混合燃焼では、断熱フレーム温度は、全体的な燃料−空気のチャージに基づく。不均質燃焼では、断熱フレーム温度は、空気の理論(又は化学量論)量と組み合わせた燃料に基づく。低温燃焼モード用の断熱フレーム温度は、一般に、約2000Kかこれよりも小さく、好ましくは約1900Kかこれよりも小さく、より好ましくは約1800Kかこれよりも小さい。好ましくは、エンジンは、燃料エネルギーの少なくとも約50%を消費し続け、より好ましくは少なくとも約70%、さらに好ましくは少なくとも約85%を消費する。
【0036】
断熱フレーム温度を十分に低下させることで、排気は、NOXとPMの発生に関するほとんどあらゆる制限を満たすことができる。断熱フレーム温度の制限は、好ましくは、排気がNOXを約0.4g/bhp−hrよりも少なく、より好ましくは約0.2g/bhp−hrよりも少なく含むようにする。また、好ましくは排気がPM(粒子状物質)を約0.04g/bhp−hrよりも少なく、より好ましくは約0.01g/bhp−hrよりも少なく含むようにする。
【0037】
上述したエミッション制限を満足する必要はないが、選択的に、断熱フレーム温度を約1500Kまで低下させて、この温度では、エンジン11が基本的に燃料改質装置として作用して、有用な動力をわずかにしか発生しないようにしてもよい。これは、燃料電池12がエンジン11よりも高い理論効率を有する場合に長所となり得る。排気内の改質油の割合は、エンジン11をリッチに駆動することで増加できるが、特にエミッション停止が低くなるような限界にする。
【0038】
断熱フレーム温度は、一般に、排気ガス循環(EGR)によって制限される。動力発生システム10は、外部EGRループを有し、EGR弁16とEGRクーラー17を介して管15から排気を選択的に引出して、エンジン11用のチャージエアーと組み合わせる。これは、排気システムの高圧部から循環排気を引出す、高圧の外部EGRループの例であり、これによって、排気は、圧縮機によって加圧されることなく、エンジン11のインテークに流動できる。高圧の排気は燃料電池12の下流でも見出すことができ、EGR流はこの位置からも引出すことができる。燃料電池12の下流からEGRを引出して、クリーンな循環流を提供するが、より大量でより希釈した排気流を処理するように燃料電池12を強制する。これによって、燃料電池12に必要な大きさが増大する。
【0039】
エンジン11は、高圧EGRの替わりに、低圧EGRを用いることができる。低圧EGRは、圧縮機を介して循環排気を移動させることを含む。従来のシステムでは、低圧EGRは、一般に、圧縮機の汚染を防ぐために触媒粒子フィルタを必要とする。しかしながら、低温燃焼モードでは、排気は、一般に粒子フィルタを必要としない程粒子では十分に小さい。低圧EGRは、排気システムの任意の場所から排気を引出すことができるが、この場所には、例えば、動力発生システム10のタービン18の下流のような比較的に冷たい低温の場所が含まれる。高圧EGRは、排気マニホルドとエンジンインテークの間で適当な圧力差があるトルク/速度状態でのみ利用できたのに対して、低圧EGRは、エンジンの操作状態にかかわらず利用できるという長所がある。
【0040】
上述した方法に替えて、又はこれに加えて利用できるさらなるEGR方法として、内部EGR(インターナルEGR)がある。内部EGRは、弁のタイミングを介して行われる。内部EGRの一態様では、排気ストローク上でシリンダが空になる前に排気弁を閉ざす。他の態様では、排気マニホルドから排気を引出すインテークストローク中に排気弁を開く。さらなる態様では、排気ストローク中にインテーク弁を開き、これによって、インテークマニホルドまで排気を流動させる。後者の態様は、インテークマニホルドを好ましくないように加熱することになる。これを緩和するため、好ましくは、インテーク側で内部EGRを用いる場合、インテークマニホルド内に熱交換器を備える。この場合、マニホルドは、内部で循環する排気を保持するために十分な容量を備えるように構成されることが好ましい。内部EGRは、一般に、可変弁タイミングと共に選択的に用いられるが、特に動力発生システム10がエンジン11を一定の速度で操作するように構成される時には、タイミング特性を不変なように設定することは可能である。
【0041】
低温燃焼モードでの如何なるエンジン操作も、COと未燃焼の有機成分を発生させる。低温燃焼モードのディーゼルエンジンは、特に、かなりの量のCOと未燃焼の有機成分を排出する。排気の幾らかはEGR、又は可能であれば燃料改質装置に反らすことができ、排気の相当量は、管15によって、燃料電池12の燃料側に送られる。管15は、一つ又は複数のマニホルド及び/又はパイプを含む。
【0042】
燃料電池12内では、COと有機成分は水とCO2に酸化されて、この際、有用な動力を発生する。排気内のCOと未燃焼の有機成分の濃度は、好ましくは、かなり減らされる。実施形態の一つでは、燃料電池12は、排気内でCOの少なくとも約50%を取り除く。他の実施形態では、燃料電池は、COの少なくとも約80%を取り除く。さらなる実施形態では、燃料電池は、COの少なくとも約90%を取り除く。未燃焼の有機成分もまた、上述したパーセンテージで取り除くことができる。
【0043】
燃料電池12は、任意のタイプの燃料電池でもよい。例えば、燃料電池は、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Moleten Carbonate Fuel Cell)、リン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)でもよい。尚、本明細書で用いられる用語の燃料電池には、並列又は直列に、個々の燃料電池を複数組み合わせたものが含まれる。燃料電池は、任意の適当な構造を有していてもよい。適当な構造として、例えば、チューブ状又は平面状の構造が含まれる。
【0044】
本発明に従う燃料電池は、安定操作中にかなりの量の動力を発生できる。尚、本明細書で用いられる用語の「安定操作中のかなりの量の動力」と「かなりの有用な動力」は、センサとしてのみ機能して、自身の操作のために必要なものを越える動力をわずかにだけ提供する燃料電池を区別するために用いられている。
【0045】
固体酸化物型燃料電池は、一般に、これらの電解質に関して特徴付けられる。尚、任意の適当な電解質を用いることができる。電解質の例には、安定ジルコニウム、例えばY23安定ZrO2、セリアに基づく酸化物、塩化物及びフッ化物、例えばガドリニウムをドープしたCeO2、アルミナ電解質、例えば塩化物、フッ化物又はナトリウムをドープしたアルミナ、ランタン電解質、例えばストロンチウムをドープしたランタンマガナイト(lanthanum maganite)とランタンガレート(lanthanum gallate)と、ドープしたビスマス酸化物、例えばビスマスバナジウムコバルト酸化物がある。
【0046】
陽極と陰極は、任意の適当なタイプでもよい。適当な電極は、電解質材料との熱のミスマッチが低い。陰極は、電気伝導性であり、酸素と反応して酸素イオンを生じさせて、このイオンが電解質まで通れるようにする。電解質に基づき、適当な陰極材料は、有孔性のランタンストロンチウムマガナイト、ランタンストロンチウムフェライト、又はランタンストロンチウムコバルトフェライトでもよい。陽極も電気伝導性であり、酸素イオンを通れるようにする。適当な陽極材料は、ニッケルでもよい。これら例示した陽極と陰極の材料は、通常、電解質の材料と混合され、これによって一般に性能を向上させる。
【0047】
好適な燃料電池は、中間温度の固体酸化物型燃料電池である。中間温度の固体酸化物型燃料電池は、約250から約600℃の範囲内の温度で作用する燃料電池であり、より好ましくは約400から約550℃の範囲内の温度で作用する。温度で作用することは、相当な期間にわたって、少なくともCOからエネルギーの発生を行うことに関して、実質的な効率でこの温度で燃料電池が作用できることを意味する。
【0048】
好ましくは、燃料電池12は、内燃機関11を離れる排気と同じ温度付近で作用する。さらに、好ましくは、この排気は、ディーゼルエンジンによって発生するように、比較的に低温の排気である。好ましくは、この排気は、エンジン11と燃料電池12の間で加熱されずに、燃料電池に供給できる。好ましくは、燃料電池12は、排気温度の約100℃内の温度で作用し、より好ましくは、約50℃内で作用する。好ましくは、エンジン排気は、燃料電池12をこの作動温度まで加熱するのに用いることができる。
【0049】
燃料電池12は、酸素源を必要とする。この源は、空気でもよく、あるいは、酸素のより濃縮された形態でもよい。実施形態の一つでは、酸素の濃度は、加圧空気によって向上される。他の実施形態では、酸素の濃度は、空気から酸素を区別することで向上される。空気から酸素を区別する適当なプロセスとして、例えば、膜による区別のプロセスや、吸着による区別のプロセスでもよい。また、上述した実施形態を組み合わせて、加圧酸素を燃料電池12に供給してもよい。
【0050】
好適な実施形態では、燃料電池12は中間温度の固体酸化物型燃料電池(ITSOFC:Intermediate Temperature Solid Oxide Fuel Cell)であり、陽子(プロトン)を導く電解質を有する。陽子を導くITSOFC電解質の例としてペロブスカイト(perovskite)があり、具体例として、BaZrO3(選択的にYをドープしたもの)、BaCeO3、及びSrCeO3がある。このタイプの燃料電池の典型的な操作範囲は、約400から約700℃である。陽極には、燃料ガスから陽子を生成する材料を備えていてもよい。適当な陽極の材料として、グループVIIIの金属があり、具体例として、NiとPtがある。
【0051】
燃料電池12が陽子を導く電解質を有する時、空気側から水を発生できる。動力発生システム10では、この水は、コンデンサ23内で回復される。この源から水を得ることの利点として、比較的に自然なpHの水を提供できる。主要な排気流から圧縮された水は、一般に酸性であって、腐食を生じさせる。水源は、自動車内で様々に用いることができる。動力発生システム10では、水をリザーバ24内で蓄えて、ポンプ25によって送って、燃料改質装置14で利用する。燃料電池12の空気側からの排気も、改質装置14に向って直接的に送ることができ、これによって、圧縮、蓄え、ポンプ作用を必要とすることなく水を利用できる。
【0052】
改質装置14は、任意のタイプの改質装置でもよい。改質装置は、供給される酸素源の量とタイプと、反応を促進するステップに関して特徴付けることができる。酸素源は、一般に、酸素又は水である。酸素は、空気から、希薄排気から、又は、比較的に純粋な形態で、過酸化水素や水から生じる酸素のように供給できる。酸素による部分的な酸化は発熱を伴い、水による部分的な酸化は吸熱を伴う。これら2つの間で選択されたバランスにより、改質装置14内で、熱放出、熱消費、又はエネルギーのニュートラルな反応を所望の度合いで得ることができる。改質装置14は、熱、触媒、及びプラズマの一つ又は複数との反応を促進できる。プラズマは、典型的に電気アークによって生じる。特別な改質装置のタイプには、蒸気改質装置、オートサーマル改質装置、部分的な酸化改質装置、及びプラズマ改質装置が含まれる。
【0053】
改質によって、重い炭化水素をより軽い炭化水素と酸素化された炭化水素、CO及び水に分断する。これら成分は、燃料電池12によって、動力を発生するために用いることができる。動力発生システム10では、燃料電池12からの動力出力を増大させるため、マニホルド15内に改質油を噴射してもよい。改質装置/燃料電池の組合せは、エンジン/燃料電池の組合せよりも高い効率を有することがあり、これによって、内燃機関11と燃料改質装置14を介して送られる燃料よりも、作動温度で、改質装置14と燃料電池12を介して送られる燃料からより動力を得ることができる。マニホルド15内に燃料を噴射することによっても、エンジン11の操作を変えることなく、動力発生の割合を向上する手段を提供できる。これはまた、エンジン11に改質油を提供することができ、これによってよりクリーンな排気を生成できる。
【0054】
動力発生システム10では、タービン18が排気からエネルギーを回復する。タービン18は、例えば、圧縮機20を駆動して、エンジン11にターボ(Turbo Charging)を提供できる。エンジン11にチャージされた圧縮された空気は、まず、チャージエアクーラー21内で冷却できる。圧縮された空気はまた、燃料電池12と改質装置14に供給できる。
【0055】
理想的には、燃料電池12は、十分な量のCOと炭化水素を除いて、エミッションの規制に対応するが、選択的に、酸化触媒26を用いて、これら成分の濃度をさらに減らしてもよい。酸化触媒26は、例えば、自動車の排気システムで用いられる三元触媒でもよい。三元触媒は、NOを減らしながら、未燃焼の炭化水素とCOを酸化する。しかしながら、好適な実施形態では、排気は非常にわずかなNOXを有し、酸化触媒26は酸化の提供だけを要する。適当な酸化触媒は、貴金属、例えば、プラチナである。
【0056】
酸化触媒26が用いられる時、排気内で酸素が利用可能でなくてはならない。酸素は、エンジン11が希薄で駆動される時に利用可能となる。エンジン11が希薄で駆動されない場合、排気内に酸素を含むガスを噴射してもよい。また、圧縮機20は、燃料電池12の排気内に酸素を噴射するために空気を提供してもよい。
【0057】
燃料電池12の大きさを大きくしたり、十分に大きな酸化触媒26を備えた燃料電池12を用いることで、COの発生や有機成分グループの発生にけるほとんどあらゆる規制を満足させるように、排気を処理することができる。有機成分グループは、例えば、全未燃焼炭化水素と酸素化された炭化水素、非メタン有機ガス(NMOG)、非メタン炭化水素(NMHC)、又はホルムアルデヒドでもよい。好ましくは、処理された排気は、COを約4.0g/bhp-hrよりも含まず、より好ましくは約2.0g/bhp-hrよりも含まない。好ましくは、処理された排気は、NMOGを約0.28g/bhp-hrよりも含まず、より好ましくは約0.14g/bhp-hrよりも含まない。
【0058】
尚、特定のエミッション基準を満たすようにシステムを構成することについて、幾つかの基準は、特定の試験プロトコルに基づきg/miを用いて示されることを理解されたい。g/bhp-hrをg/miに変換するファクターであるCFは、次式によって得られる。
CF=ρ/BSFC*FE
上式において、ρは、lb/galによる燃料密度であり、BSFCは、lb/bhp-hrによる分断用の特定の燃料消費(brake-specific fuel consumption)であり、FEは、mi/galによる燃料経済(fuel economy)である。ガソリン駆動乗用車用の典型的な変換ファクターは、大凡0.6であり、ディーゼル駆動バスやトラック用の典型的な変換ファクターは、約2から約4の範囲内にある。
【0059】
本発明に関する他の実施形態では、エンジン11は、幾らかのNOXを発生するが、これは、エンジン11と燃料電池12の間に設けた還元触媒を用いて取り除くことができる。好ましくは、エンジン11は、粒子状物質をほとんど、あるいは全く生じさせない態様で駆動される。他方で、エンジン11は、かなりの量のCOと未燃焼の炭化水素を発生できる。好ましくは、これら成分の一つ又は複数の濃度は、NOX濃度と比べて高いため、還元触媒においてNOX還元用に過剰の還元剤が利用できる。この実施形態では、エンジン11は、好ましくは、理論的(化学量論的)又はリッチな燃料と空気の割合で操作され、これによって、排気は、還元反応と干渉することがある酸素を小さくする。
【0060】
還元触媒は、H2、CO及び炭化水素を含むグループから選ばれた排気ガス成分の一つ又は複数と反応することでNOXを還元する任意の触媒でもよい。例えば、乗用車の排気システムで一般に用いられる三元触媒や、窒素トラップを再生するために用いられる触媒でもよい。触媒は、例えば、一つ又は複数の貴金属、具体例としてAu、Ag、及びCu、グループVIIIの金属、具体例として、Pt、Pd、Ru、Ni、及びCo、Cr、Mo、又はKでもよい。また、還元触媒14は、NOX吸着物を備えることができるが、これは、一般に必要ではない。また、触媒は、希薄NOX触媒でもよく、特定の応用のために満足できる触媒を見つけることができる。
【0061】
エンジン11と燃料電池12の間に還元触媒を設ける利点として、燃料ペナルティーをこうむることなく、十分な還元剤を還元触媒14に提供することができる。過剰の還元剤は、燃料電池12によって用いることができ、同じ燃料がエンジン11に供給された場合と比べて、さらに高い効率でエネルギーの発生を可能にする。ディーゼル動力発生システムでは、エンジンは、希薄で駆動される必要はないが、この理由は、希薄操作の通常の因果関係である、高いエミッションと低い効率を、燃料電池12によって除くことができるためである。ガソリン駆動システムにおいても、燃料ペナルティーをこうむることなく、過剰の還元剤を提供できることに利点がある。過剰の還元剤は、還元触媒の還元効率を向上させて、これに必要な大きさ、コスト、ワームアップ時間を減らすことができる。
【0062】
還元触媒によってNOXが除かれる際、任意の適当な方法によって、PMの発生を限定できる。例えば、通常のディーゼルエンジンでは、PMの発生は、断熱フレーム温度を向上することで限定できる。また、PMの発生は、燃料と空気のチャージの全部又は一部を均質化することでも減らすことができる。好ましくは、排気はPM(粒子状物質)を約0.04g/bhp-hrよりも含まず、より好ましくは約0.01g/bhp-hrよりも含まない。
【0063】
バッテリーシステム22は、一つ又は複数のバッテリーを含む。好ましくは、バッテリーシステム22は、大きなストレージ容量とピーク出力を有し、これによって、バッテリーシステム22によって提供されるエネルギーが、約15分かこれ以上の間、より好ましくは約30分かこれ以上の間、動力発生システム10の全出力と匹敵できるようにする。
【0064】
好ましくは、動力発生システム10は、始動時に動力と低エミッションを提供できるように適用される。コールドスタート操作の一つの方法は、エンジン11を始動させる前に、燃料電池12及び/又は酸化触媒26を予め加熱することである。これには、約30秒要する。この時間の間、システムは、バッテリーシステム22が十分な容量を有している場合には、モータ/ジェネレータ13を介して軸の駆動力を提供できる。
【0065】
コールドスタート操作の他の方法は、ワームアップ時に通常の態様でエンジン11を駆動することである。平均のNOXとPMの発生レベルが規制を満たす場合、ワームアップ中にNOXとPMの発生のより高いレベルを緩和できる。動力発生システム10は、バイパス弁19を備えて、ワームアップ中に燃料電池12をバイパスさせる。燃料電池12をバイパスすることで、エンジン11が粒子状物質を高濃度で生じさせる際に、燃料電池12の汚染を防ぐことができる。必要に応じて、バイパス管27と燃料電池12の間に熱交換器を設けて、バイパスモード中に燃料電池12を加熱するためにエンジン排気を依然として用いるようにしてもよい。
【0066】
バイパス弁19は他の目的を有していてもよい。一般に、これは、燃料の節約と、排気の浄化装置をユーザーに明瞭にするのに有用である。幾つかの形態において、例えば、燃料電池12が高度に排気を浄化できる程大きい時、燃料電池12は、かなりの背圧をエンジン11に及ぼすことができる。この背圧は、高い動力要求がある期間では、重大となることがある。バイパス弁19は、この期間中に上記背圧を緩和させて、重大とならないように用いることができる。
【0067】
以上、幾つかの要点、具体例及び実施形態に関して、本発明について図示して、説明した。本発明の特徴は、幾つかの要点、具体例及び実施形態のうちの一つだけに関して開示されている所もあるが、この特徴は、所定の又は特定の応用で有用となるように、他の要点、具体例及び実施形態の一つ又は複数のものと組み合わせられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、低エミッションで、動力発生システムを操作して、動力を発生させることに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の幾つかの特徴について例示した動力発生システムについて概略的に示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力発生システムの操作方法であって、
ディーゼル又はガソリン駆動の内燃機関に燃料と空気を供給して、エンジン排気を生じさせ、
前記エンジン排気を用いて、陽子を導く電解質を有する燃料電池に燃料を供給し、
前記燃料電池によって、前記エンジン排気からかなりの量の動力を生じさせることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記電解質は、ペロブスカイトを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エンジン排気は、COを含み、
前記燃料電池は、前記エンジン排気内で少なくとも約50%のCOを酸化させることを特徴とする請求項1に記載の動力発生システムの方法。
【請求項4】
前記燃料電池は、約250と約600℃の間の温度で操作されることを特徴とする請求項1に記載の動力発生システムの方法。
【請求項5】
前記内燃機関は、ディーゼル駆動され、
前記内燃機関を操作することで、さらなる処理をすることなく、前記エンジン排気が、約0.4g/bhp-hrより少ないNOXと、約0.04g/bhp-hrより少ないPMを含むようにし、
前記燃料電池は、前記排気の未燃焼の炭化水素とCOの成分を実質的に減らすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エンジンは、圧縮空気を含むエンジンシリンダ内に燃料を直接的に噴射するように操作されることで、燃焼を不均質にすることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
動力発生システムの操作方法であって、
ディーゼル又はガソリン駆動の内燃機関を操作して、動力と排気流を生じさせ、
燃料電池に少なくとも前記排気流を燃料供給し、
前記燃料電池からの動力出力を増大させたり減少させたり、及び/又は、エネルギーストレージ装置からの動力の取り出し又は出力を増大させたり減少させて、動力要求の変動に応じて、エンジン操作を安定させるようにし、
前記燃料電池によって、前記排気流からかなりの量の動力を生じさせることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記動力要求が実質的に変動しながらも、比較的に一定の動力の出力を行うように前記エンジンを操作することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記要求を超える前記エンジンからの動力をストレージに蓄えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エンジンは、圧縮空気を含むエンジンシリンダ内に燃料を直接的に噴射するように操作されることで、燃焼を不均質にすることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記エンジンは、化学量論的にリッチな燃料と空気の割合で操作されることを特徴とする請求項10に記載の方法。


【図1】
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【公表番号】特表2008−513285(P2008−513285A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531854(P2007−531854)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002663
【国際公開番号】WO2006/030273
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】