説明

クレジットカード取引依頼装置、加盟店端末、クレジットカード取引依頼方法、コンピュータプログラム、及びICチップ

【課題】 既存のシステムを利用しながら、カード会員の携帯端末でクレジットカード取引の認証処理を行うことができるクレジットカード取引依頼装置を提供する。
【解決手段】 クレジットカードによる取引を依頼するカード会員の携帯端末20に設けられ、取引の処理を行う加盟店端末30と携帯端末を介して通信するクレジットカード取引依頼装置(CPU)4であって、加盟店端末から複数のコマンドを受信した場合に、該複数のコマンドから、携帯端末に搭載されクレジットカードの情報を記憶したICチップ2とのやりとりに用いる第1のコマンドと、携帯端末での処理に用いる第2のコマンドとを判別し、第1のコマンドに対するICチップからの応答を取得し、第2のコマンドに基づき、携帯端末での処理をし、携帯端末の処理結果と、ICチップ内のクレジットカード情報との照合結果を加盟店端末に送信する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クレジットカード取引を依頼するためのクレジットカード取引依頼装置、加盟店端末、クレジットカード取引依頼方法、コンピュータプログラム、及びICチップに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、IC(半導体集積回路)チップが実装されたクレジットカードが普及している。このクレジットカードにおいては、従来の磁気カードに代え、ICチップ内の情報を加盟店の端末で読み取ることにより、認証を行うようになっている。つまり、ICチップ内にはクレジットカードの情報(クレジットカード番号、会員の属性情報等)が記録されている。
【0003】このICチップを搭載したクレジットカード(ICカード)と加盟店端末との間のインターフェースの仕様、及び加盟店端末とクレジットカード会社間で送受信されるデータ項目(電文項目)の形式は、EMV(Europay,Mastercard,Visaにより策定されたICカードを利用したクレジット・デビット取引仕様)に規定されており、この仕様に沿ったシステムが構築されている。また、最近では、このICチップを携帯電話機等の携帯端末に搭載することも計画されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、EMVによる取引システムにおいては、カード会員の認証情報(PINと称される暗証番号)の入力は加盟店端末上で行われるので、カード会員にとっては自分の暗証情報を店側に知られるのではないかという不安がある。そこで、上記ICチップを搭載した携帯端末を用いることで、認証作業の一部をカード会員の携帯端末側で行うことができれば、ユーザにとって好ましい。ところが、このようなシステムを構築するには、上述のEMVのような既存のシステムとは別の取引システムが必要となり、システム構築の費用負担が大きくなるという問題があった。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑み、加盟店端末で行っていた既存のシステムを利用しながら、カード会員の携帯端末でクレジットカード取引の認証処理を行うことができるクレジットカード取引依頼装置、加盟店端末、クレジットカード取引依頼方法、コンピュータプログラム、及びICチップを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明のクレジットカード取引依頼装置は、クレジットカードによる取引を依頼するカード会員の携帯端末に設けられ、前記取引の処理を行う加盟店端末と前記携帯端末を介して通信し、前記加盟店端末から複数のコマンドを受信した場合に、該複数のコマンドから、前記携帯端末に搭載され前記クレジットカードの情報を記憶したICチップとのやりとりに用いる第1のコマンドと、前記携帯端末での処理に用いる第2のコマンドとを判別する判別手段と、前記第1のコマンドに対する前記ICチップからの応答を取得するチップ情報取得手段と、前記第2のコマンドに基づき、前記携帯端末での処理をする処理手段と、前記携帯端末の処理結果と、前記ICチップ内のクレジットカード情報との照合結果を前記加盟店端末に送信する通信指示手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】請求項2記載のクレジットカード取引依頼装置において、前記第2のコマンドは、前記カード会員に対し、前記携帯端末上で認証情報の入力を指示する入力指示コマンドを含み、前記第1のコマンドは、前記ICチップに記憶された前記カード会員の認証情報と、前記第2のコマンドに基づき入力された認証情報との照合を前記ICチップに指示する照合指示コマンドを含むことを特徴とする。
【0008】請求項3記載のクレジットカード取引依頼装置において、前記通信は、近距離無線通信により行われることを特徴とする。
【0009】請求項4記載のクレジットカード取引依頼装置において、前記コマンドは、ICカードを利用したクレジット取引仕様に基づくものであることを特徴とする。
【0010】本発明の加盟店端末は、前記クレジットカード取引依頼装置を設けた携帯端末と通信し、前記携帯端末に複数のコマンドを送信する送信手段と、前記複数のコマンドに対する前記携帯端末からの処理結果を受信する受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】請求項6記載の加盟店端末において、前記複数のコマンドは、前記携帯端末上で、前記カード会員に対し認証情報の入力を指示する入力指示コマンドと、前記携帯端末に搭載され前記クレジットカードの情報を記憶したICチップに記憶された前記カード会員の認証情報と、前記第2のコマンドに基づき入力された認証情報との照合を前記ICチップに指示する照合指示コマンドを含むことを特徴とする。
【0012】本発明のクレジットカード取引依頼方法は、前記加盟店端末から複数のコマンドを受信した場合に、該複数のコマンドから、前記携帯端末に搭載され前記クレジットカードの情報を記憶したICチップとのやりとりに用いる第1のコマンドと、前記携帯端末での処理に用いる第2のコマンドとを判別する過程と、前記第1のコマンドに対する前記ICチップからの応答を取得する過程と、前記第2のコマンドに基づき、前記携帯端末での処理をする過程と、前記携帯端末の処理結果と、前記ICチップ内のクレジットカード情報との照合結果を前記加盟店端末に送信する過程とを有することを特徴とする。
【0013】本発明のコンピュータプログラムは、前記加盟店端末から複数のコマンドを受信した場合に、該複数のコマンドから、前記携帯端末に搭載され前記クレジットカードの情報を記憶したICチップとのやりとりに用いる第1のコマンドと、前記携帯端末での処理に用いる第2のコマンドとを判別する過程と、前記第1のコマンドに対する前記ICチップからの応答を取得する過程と、前記第2のコマンドに基づき、前記携帯端末での処理をする過程と、前記携帯端末の処理結果と、前記ICチップ内のクレジットカード情報との照合結果を前記加盟店端末に送信する過程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】本発明のICチップは、前記クレジットカード取引依頼装置が設けられ、クレジットカードによる取引を依頼するカード会員の携帯端末に搭載され、前記クレジットカードの情報を記憶する記憶部と、所定のコマンドが入力されると、前記クレジットカードの情報に基づいた応答をする処理部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明によるクレジットカード取引依頼装置4及びICチップ2が搭載された携帯端末20、及び近距離無線通信により携帯端末20と通信する加盟店端末50を含めたシステム全体の一実施形態を示すブロック図である。なお、カード会員は、予めクレジットカード発行会社(イシュア)によりクレジットカードの発行を受け、当該クレジットカードの情報を記録したICチップ2を携帯端末20に割当てられていることが前提となる。ここで、ICチップに、複数のクレジットカード会社が発行するクレジットカードに対応する情報がそれぞれ記録されていてもよい。携帯端末20の構成については後述する。
【0016】この図において、加盟店端末30は、中央制御装置等からなり端末全体を制御する制御部(送信手段、受信手段)32、各種データを格納するデータベース(DB)34、携帯端末20との間で近距離無線通信する近距離無線通信部36、以下のアクワイアラやイシュアと通信するための通信部38を備える。加盟店端末30は、加盟店契約をしているクレジットカード会社(アクワイアラ)60に専用回線(又はインターネット等のネットワーク)50を介して接続され、さらにアクワイアラは上記イシュア70に専用回線(又はインターネット等のネットワーク)51を介して接続されている。そして、カード会員が加盟店でクレジットカード取引を依頼すると、加盟店は加盟店端末30を操作して携帯端末20と通信し、カードの認証処理を行うとともに、決済処理を自ら行ったり、あるいは決済処理の依頼をアクワイアラやイシュアに送信するようになっている。
【0017】ここで、アクワイアラは、イシュアが発行したクレジットカードの加盟店(このクレジットカードが使用できる店舗)の獲得・管理業務を行うクレジットカード会社である。このように、加盟店が多いほどイシュア及びカード会員にとってメリットがある。そして、加盟店でクレジットカード取引があった場合、その加盟店と契約しているアクワイアラ、クレジットカードのイシュア、の順に与信要求(取引依頼の承認要求)が渡され、イシュアで与信が行われる。さらに、アクワイアラは、加盟店へ取引額を支払う(立替)とともにその額をイシュアへ請求し、イシュアはカード会員への取引額の請求及びアクワイアラへの支払いを行う。なお、アクワイアラとイシュアが同一の場合にも本発明は適用されるものとする。
【0018】図2は、携帯端末20の詳細な構成を示すブロック図である。携帯端末20は、上記したICチップ2、クレジットカード取引依頼装置(CPU)4、近距離無線通信部6、無線部8等を備える。ここで、無線部8は移動体通信網を介した通信を行うもので、無線通信部、復変調器、複合化器、符号化器等を含み、通常の携帯電話機に搭載されているものであるので説明を省略する。また、携帯端末20は、図示しないテンキー等からなる入力部、液晶パネル等の表示部、あるいはメモリ等を備える。なお、以降の実施形態で携帯端末20と加盟店端末50との通信という場合、近距離無線通信を用いるものとする。
【0019】ICチップ2は、クレジットカード情報(カード会員の認証情報(PIN:暗証番号)、クレジットカードのイシュア情報、クレジットカード番号、暗号鍵等からなり、クレジットカード機能をなす)を記憶する記憶部2bと、コマンドが入力されると記憶部の情報を読み出して応答する処理部2aとを備えている。
【0020】CPU(判別手段、チップ情報取得手段、処理手段、通信指示手段)4は、携帯端末20全体の制御をするとともに、後述するコマンドに対応した処理を行う。また、CPU4のアプリケーション実行環境は、ICチップ2へアクセス可能なインターフェース4aを有している。一方、ICチップ2の処理部2aは、CPU4側からICチップ2に送られる指示(プロトコル)をもとにアプリケーションを動作させる機能(例えばUSAT)を備える。
【0021】近距離無線通信部6は、例えばブルートゥース(Bluetooth)と称される極近距離の機器間で無線通信を行う規格に準拠した通信装置であり、ブルートウースの他にIrDAと称される赤外線を用いた通信規格に準拠した通信装置を用いてもよい。
【0022】なお、現在、ICチップを搭載したクレジットカード(ICカード)と加盟店のカード読取端末との間のインターフェースの仕様、及びカード読取端末とクレジットカード会社間で送受信されるデータ項目(電文項目)の形式は、EMV(Europay,Mastercard,Visaにより策定されたICカードを利用したクレジット・デビット取引仕様)に規定されており、本発明においても、ICチップと携帯端末(のCPU)とのインターフェース、携帯端末と加盟店端末の送受信のデータ形式、あるいは加盟店端末、アクワイアラ、及びイシュア間での送受信のデータ形式として、上記EMVを適用することができる。
【0023】次に、図3及び図4を参照して、携帯端末(クレジットカード取引依頼装置)と加盟店端末間で行う処理内容について説明する。
【0024】図3において、まず、カード会員は、加盟店でクレジットカード取引を依頼する。すると、加盟店は加盟店端末30を操作して携帯端末20と通信し、加盟店端末30(の制御部32)は決済アプリケーション問合せコマンドを送信する(ステップS100)。なお、以下の説明では簡単のため、制御部32の行う動作を、「加盟店端末30」の動作として表記する。また、問合せコマンドは、携帯端末20内のICチップで処理部2aが実行するアプリケーションの種別を問合せ、それに対応したアプリケーションを加盟店端末30で実行するためのものである。ここで、ICチップで実行するアプリケーションが複数あった場合、つまり、ICチップが複数のクレジットカード会社のカード機能を有する場合、カード会員は、その中から使用するクレジットカードを指定するようになっている。
【0025】そして、携帯端末20のCPU4は、近距離無線通信部6を介して問合せコマンドを受信し、このコマンドがICチップ2へ送信するコマンド(第1のコマンド)か、CPU4で処理するコマンド(第2のコマンド)かを判別する。ここで、問合せコマンドは第1のコマンドであるので、CPU4はこのコマンドをインターフェース4aを介してICチップ2へ送信する(ステップS200)。ICチップ2の処理部2aは、受信したコマンドに基づき、記憶部2bから決済アプリケーションの種別を取得してCPU4へ送信する(ステップS300)。CPU4は、受信した種別を近距離無線通信部6を介して加盟店端末30へ送信する(ステップS202)。加盟店端末30は当該種別を受信し(ステップS102)、その種別に応じた決済アプリケーションを動作させる。
【0026】次に、加盟店端末30はクレジットカード情報の読出しコマンドを携帯端末20へ送信する(ステップS104)。CPU4は、上記と同様にコマンドの判別を行った後、受信した読出しコマンドをICチップ2へ送信し(ステップS204)、ICチップ2の処理部2aは、受信したコマンドに基づき、記憶部2bからクレジットカード情報を取得してCPU4へ送信する(ステップS302)。CPU4は、受信したクレジットカード情報を加盟店端末30へ送信し(ステップS206)、加盟店端末30はクレジットカード情報を受信してDB34に格納する(ステップS106)。なお、読出されるクレジットカード情報としては、カード番号、カードの有効期限、通貨コード、国コード、後述の公開鍵等がある。
【0027】続いて、加盟店端末30はクレジットカードのチェックコマンドを携帯端末20へ送信する(ステップS108)。CPU4は、コマンドの判別を行った後、受信したチェックコマンドをICチップ2へ送信し(ステップS208)、ICチップ2の処理部2aは、受信したコマンドに基づき、所定の応答を生成してCPU4へ送信する(ステップS304)。CPU4は、受信した応答結果を加盟店端末30へ送信し(ステップS210)、加盟店端末30は受信した応答結果に基づき、カードの正当性をチェックする(ステップS110)。
【0028】ここで、カードの正当性(確かにクレジットカード会社(イシュア)が発行したものであること)のチェック方法は、加盟店端末30がICチップ内の署名データを認証することで行う。具体的には、SDAと呼ばれる静的データ認証(Static Data Authentication)と、DDAと呼ばれる動的データ認証がある。前者は、加盟店端末30がICチップ内の署名データ(イシュアの秘密鍵で署名されている)を読出し、イシュアの公開鍵を用いて署名データの正当性を判定する。後者は、加盟店端末30内で乱数を生成し、ICチップはこの乱数について秘密鍵で暗号演算を行い、加盟店端末30はその演算結果を前記したクレジットカード情報に含まれる公開鍵で検証する。以上のようにして、クレジットカード自体の認証が終了する。
【0029】次に、カード会員の認証処理が行われる。ここでは、上記したPIN(カード会員の暗証番号)による認証を行うこととする。まず、加盟店端末30は、PIN認証に関する複数のコマンドを携帯端末20へ送信する(ステップS112)。CPU4は、上記と同様、第1及び第2のコマンドを判別する(ステップS212)。
【0030】CPU4は、まず第2のコマンドであるPINの入力指示コマンドに基づき、入力指示画面を携帯端末20の表示部に表示させる(ステップS216)。そして、カード会員は入力部を介してPINを入力し、CPU4は入力されたPINをICチップ2へ送信する(ステップS218)。CPU4はまた、第1のコマンドであるPINの検証コマンド(照合指示コマンド)をICチップ2へ送信する(ステップS220)。ICチップ2の処理部2aは、受信したコマンドに基づいて記憶部2bからPINを取得し、これと入力PINを照合する(ステップS306)。照合結果は、ICチップ2から携帯端末20へ送信され(ステップS308)。携帯端末20から加盟店端末30へ送信される(ステップS222)。
【0031】以上のようにして、加盟店端末30はクレジットカードの認証をし、一方でカード会員の認証結果を携帯端末20から受信する。そして、これらの処理が終了したことを契機として、加盟店端末30は適宜与信処理に移行する。この与信処理は加盟店端末30が独自の判断で行うこともできる。つまり、少額取引の場合には、イシュア70による後述の信用照会(与信)を行うことなく、加盟店端末30で与信をすればよい。この場合、予めイシュア70で信用照会に必要なデータ(認証情報)を携帯端末20のICチップから取得しておき、そのデータに基づいて信用照会を行うようにする。このようにすると、イシュア70と通信することなく加盟店端末30内で迅速に、かつオフラインで与信ができる。なお、加盟店端末30は、与信結果を適宜アクワイアラ60及びイシュア70に送信し、決済を依頼する。
【0032】しかしながら、イシュア70で信用照会を行った方が安全な場合もある。このような場合は図5に示すようにして加盟店端末30とアクワイアラ(イシュア)間でやりとりを行う。
【0033】この図において、クレジットカード取引依頼の内容(取引商品名、取引個数、取引金額、支払い方法等)が加盟店端末30に入力され、カード会員が内容を確認すると、加盟店端末30はトランザクションIDを発行し、取引依頼データを生成する(ステップS120)。この取引依頼データは、クレジットカード番号、取引金額、トランザクションID、カード所有者のみが生成しうる暗号化データ等を含んでいる。ここで、上記暗号化データは、後述のイシュアがカード認証をする際に、不正カードの使用か否かの判断に利用される。つまり、暗号化データは、携帯端末のICチップ内で生成され、またイシュア内でも同様に元データから同じ暗号鍵を用いて暗号化データが生成される。そして、イシュアが上記2つの暗号化データを照合(突合)し、一致すれば不正カードでないと判定する。
【0034】次に、加盟店端末30は、取引依頼データに含まれるクレジットカード番号からアクワイアラを判定する(ステップS122)。具体的には、カード番号の数字列が所定のアクワイアラに対応しているので、この数字列を読み取ることで判定できるようになっている。そして、加盟店端末30は、判定したアクワイアラ60へ専用回線50(あるいはネットワーク)を介して取引依頼に対する承認要求を送信する(ステップS124)。承認要求のデータは、クレジットカード番号、取引金額、トランザクションID等を含んでいる。
【0035】アクワイアラ60は、受信した承認要求をイシュア70に送信する(ステップS400)。この場合、アクワイアラ60は、承認要求データに含まれるイシュア情報等に基づき、送信するイシュアを決定する。イシュア70は、受信した承認要求についてカード認証を行い(ステップS500)、承認結果をアクワイアラ60に送信する(ステップS502)。このカード認証は、このクレジットカードが不正使用カードか否か、利用限度額を超えていないか等の信用照会をすることにより行う。承認結果は、アクワイアラ60から加盟店端末30へ送信され(ステップS402)、加盟店端末30に表示される(ステップS126)。これにより、加盟店側は取引依頼が承認されたことを確認し、これに基づき、取引の実行(売上処理、商品の配送処理等)を行う。つまり、承認結果を受信しない場合は取引を実行しないので取引の安全が図られる。
【0036】なお、ステップS500において、イシュア70がイシュアスクリプトと呼ばれる命令を生成し、承認結果とともに加盟店端末30に送信してもよい。このイシュアスクリプトは、携帯端末20におけるCPU4あるいはICチップ2の動作を規制する指示を含んでいる。例えば、ステップS500のカード認証の際、カードの購入履歴からこのクレジットカード(ICチップ)が偽造されていると判断された場合、イシュア70は、ICチップ2の処理部2aで動作する取引依頼アプリケーションを停止(ブロック)するイシュアスクリプトを送信する。そして、上記したイシュアスクリプトは、加盟店端末30から近距離無線通信を介して携帯端末20へ送信され、スクリプトが実行される。
【0037】本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、携帯端末と加盟店端末間の通信を近距離無線通信でなく、所定のケーブルや接続端子を介して両者を接続して通信するようにしてもよい。
【0038】また本発明のクレジットカード取引依頼装置は、コンピューターと、通信装置等の各種周辺機器と、コンピューターによって動作するソフトウェアプログラムによって実現可能である。このソフトウェアプログラムは、コンピューター読み取り可能な記憶媒体や通信回線を介して配布可能である。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明のクレジットカード取引依頼装置によれば、加盟店端末で行うクレジットカード取引処理のコマンドを携帯端末で受信し、それに基づいて携帯端末内のICチップ及び携帯端末上の処理を行い、その結果を加盟店端末に送信するので、クレジットカード取引処理の一部を携帯端末で行うことができる。そのため、カード会員にとっての利便性向上や、カード会員の情報を加盟店端末を操作する加盟店側に知られなくなるという利点がある。
【0040】また、請求項2記載の本発明によれば、カード会員の認証情報を加盟店側に知られるおそれがなくなる。請求項3記載の本発明によれば、携帯端末と加盟店端末間の通信を簡便かつ通信費用をかけずに行える。請求項4記載の本発明によれば、ICカードを利用したクレジット取引仕様に基づくコマンドを用いるので、当該仕様を用いた既存のクレジットカード取引システムを流用でき、システム構築費用が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のクレジットカード取引依頼装置、及び加盟店端末を含むシステムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】 携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図3】 携帯端末と加盟店端末間で行う処理手順を示すフロー図である。
【図4】 図3に続くフロー図である。
【図5】 加盟店端末とアクワイアラ(イシュア)間で行う処理手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
2 ICチップ
4 クレジットカード取引依頼装置(CPU)
20 携帯端末
30 加盟店端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】 クレジットカードによる取引を依頼するカード会員の携帯端末に設けられ、前記取引の処理を行う加盟店端末と前記携帯端末を介して通信するクレジットカード取引依頼装置であって、前記加盟店端末から複数のコマンドを受信した場合に、該複数のコマンドから、前記携帯端末に搭載され前記クレジットカードの情報を記憶したICチップとのやりとりに用いる第1のコマンドと、前記携帯端末での処理に用いる第2のコマンドとを判別する判別手段と、前記第1のコマンドに対する前記ICチップからの応答を取得するチップ情報取得手段と、前記第2のコマンドに基づき、前記携帯端末での処理をする処理手段と、前記携帯端末の処理結果と、前記ICチップ内のクレジットカード情報との照合結果を前記加盟店端末に送信する通信指示手段とを備えたことを特徴とするクレジットカード取引依頼装置。
【請求項2】 前記第2のコマンドは、前記カード会員に対し、前記携帯端末上で認証情報の入力を指示する入力指示コマンドを含み、前記第1のコマンドは、前記ICチップに記憶された前記カード会員の認証情報と、前記第2のコマンドに基づき入力された認証情報との照合を前記ICチップに指示する照合指示コマンドを含むことを特徴とする請求項1に記載のクレジットカード取引依頼装置。
【請求項3】 前記通信は、近距離無線通信により行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のクレジットカード取引依頼装置。
【請求項4】 前記コマンドは、ICカードを利用したクレジット取引仕様に基づくものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のクレジットカード取引依頼装置。
【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載のクレジットカード取引依頼装置を設けた携帯端末と通信する加盟店端末であって、前記携帯端末に複数のコマンドを送信する送信手段と、前記複数のコマンドに対する前記携帯端末からの処理結果を受信する受信手段とを備えたことを特徴とする加盟店端末。
【請求項6】 前記複数のコマンドは、前記携帯端末上で、前記カード会員に対し認証情報の入力を指示する入力指示コマンドと、前記携帯端末に搭載され前記クレジットカードの情報を記憶したICチップに記憶された前記カード会員の認証情報と、前記第2のコマンドに基づき入力された認証情報との照合を前記ICチップに指示する照合指示コマンドを含むことを特徴とする請求項5に記載の加盟店端末。
【請求項7】 クレジットカードによる取引の処理を行う加盟店端末から複数のコマンドを受信した場合に、該複数のコマンドから、前記携帯端末に搭載され前記クレジットカードの情報を記憶したICチップとのやりとりに用いる第1のコマンドと、前記携帯端末での処理に用いる第2のコマンドとを判別する過程と、前記第1のコマンドに対する前記ICチップからの応答を取得する過程と、前記第2のコマンドに基づき、前記携帯端末での処理をする過程と、前記携帯端末の処理結果と、前記ICチップ内のクレジットカード情報との照合結果を前記加盟店端末に送信する過程とを有することを特徴とするクレジットカード取引依頼方法。
【請求項8】 クレジットカードによる取引の処理を行う加盟店端末から複数のコマンドを受信した場合に、該複数のコマンドから、前記携帯端末に搭載され前記クレジットカードの情報を記憶したICチップとのやりとりに用いる第1のコマンドと、前記携帯端末での処理に用いる第2のコマンドとを判別する過程と、前記第1のコマンドに対する前記ICチップからの応答を取得する過程と、前記第2のコマンドに基づき、前記携帯端末での処理をする過程と、前記携帯端末の処理結果と、前記ICチップ内のクレジットカード情報との照合結果を前記加盟店端末に送信する過程とをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】 請求項1ないし4のいずれかに記載のクレジットカード取引依頼装置が設けられ、クレジットカードによる取引を依頼するカード会員の携帯端末に搭載されるICチップであって、前記クレジットカードの情報を記憶する記憶部と、所定のコマンドが入力されると、前記クレジットカードの情報に基づいた応答をする処理部とを備えたことを特徴とするICチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−44765(P2003−44765A)
【公開日】平成15年2月14日(2003.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−232430(P2001−232430)
【出願日】平成13年7月31日(2001.7.31)
【出願人】(593022629)株式会社ジェーシービー (20)
【Fターム(参考)】