説明

クレンジングクリーム

【課題】
本発明の目的はよりメイクアップ化粧料とのなじみがよく、洗浄力に優れたクレンジングクリームを作成することにある。さらには界面活性剤、油剤等の種類や量の限定を減らし、官能面でも満足するクレンジングクリームを得ることにある。
【解決手段】
以下の成分を含むO/W型クレンジングクリームが本課題を解決することがわかった。
A)30〜80重量%の界面活性剤を除く油相成分
B)0.5〜20重量%のポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤
C)0.2〜15重量%のマルチトール
D)水

なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧料とのなじみがよく、洗浄力に優れたクレンジングクリームに関する。
【背景技術】
【0002】
クレンジングには、界面活性剤を主剤とするジェル状、シート状の製剤、油剤を主剤とする(油剤型)のジェル状、液状、クリーム状の製剤等がある。
この中で油剤型のクリーム状形態はW/O型と、O/W型があり、なかでもO/W型クリームのクレンジングはメイクアップ化粧料とのなじみがよく、また、ふき取りしても、水で洗い流してもよく、このタイプのクレンジングクリームは根強い人気がある。
しかしながら、メイクアップ化粧料の種類も多くなり、クレンジングクリームでも落ちにくい製剤も増え、よりメイクアップ化粧料とのなじみがよく、洗浄力に優れたクレンジングクリームの開発が望まれていた。
このため、従来は、界面活性剤、油剤等の種類や量を調製することによって、この問題を解決しようと試みられてきた。
しかしながら面活性剤は安全性の面で問題があるものもあり、油剤等も官能面で種類や量の制限があった。
界面活性剤、油剤等の種類や量だけではなく、或いは界面活性剤、油剤等の種類や量の調製の上にさらに改善する手段が求められている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−191438号公報
【特許文献2】特開2003−95867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的はよりメイクアップ化粧料とのなじみがよく、洗浄力に優れたクレンジングクリームを作成することにある。さらには界面活性剤、油剤等の種類や量の限定を減らし、官能面でも満足するクレンジングクリームを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来、界面活性剤、油剤等の種類や量に関して種々の試みがなされていたが、本発明者は他の配合原料にも注目し、鋭意検討した結果、以下の成分を含むO/W型クレンジングクリームが本課題を解決することがわかった。
A)30〜80重量%の界面活性剤を除く油相成分
B)0.5〜20重量%のポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤
C)0.2〜15重量%のマルチトール
D)水
【0006】
まず、界面活性剤を除く油相成分であるが、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、、セレシン、マイクロクリスタンワックス、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、オレンジ油、スクワラン、プリスタン、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロール、フィトステロール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状メチルポリシロキサン等が例示され、これらの1種または2種以上を用いる。但し、界面活性剤を除く油相成分は他用途のO/W型エマルジョンに比較して多いので、界面活性剤を除く油相成分全体としては液状で感触の軽い油相成分が好まれる。
また、これ以外にも油溶性のビタミンや薬剤等も配合できる。
これら界面活性剤を除く油相成分を油相成分の種類などによって異なるが、組成物の30〜80重量%用いる。30重量%以下であるとクレンジングとしての効果が不足し、80%以上では製剤の安定性を保ちにくい。また、クレンジングとしての効果、製剤の安定性を考えると、40〜75重量%がさらに好ましい。
【0007】
次にポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤であるが、例示すれば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
これらを1種以上を用いる。
ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤の種類や油相成分の量や種類等で配合量は異なるが、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%であり、下限以下であると製剤安定性やクレンジング効果が不足し、上限以上の場合は配合した効果が薄れ、場合によっては安全性に問題が発生する場合がある。
このほかの界面活性剤も当然使用でき、ポリオキシエチレン型以外の非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤等使用できる。
但し、界面活性剤の総量の50%以上はポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤であることが好ましい。
また、親油性の界面活性剤、例えばグリセリンモノ脂肪酸エステル等は併用すると安定性が向上する。
【0008】
これにマルチトールを配合する。マルチトールは化学名4−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルシトールで糖アルコールの1種である。配合量は好ましくは、0.2〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%で、下限以下であると、メイクアップ化粧料とのなじみの改善が少なく、上限以上配合しても効果はあまり増加しない。
また、マルチトールの配合量は水の配合量によって効果に対する影響の度合いが異なるので、上記の条件に加えて、水の配合量を1として、0.03〜0.4を配合することが好ましく、さらには0.05〜0.3の割合がさらに好ましい。
【0009】
D)成分として水を配合する。量は特に制限はないが、O/W型エマルジョンが形成される最低の量は必要であり、他の配合成分(油相成分、界面活性剤、多価アルコール他)との兼ね合いであるが、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましい量は10〜50重量%である。
このほか、水相成分として、グリセリン、1.3ブチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ヒアルロン酸、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子、動植物の抽出物等の水溶性薬剤等必要な原料を配合して製剤を作成する。
製剤の作成方法は常法に従って作成すればよい。すなわち、必要なら加熱溶解した油相成分、水相成分(界面活性剤は油相成分でも水相成分どちらに加えて溶解してもよく、一部を油相成分、一部を水相成分としてもよい)を撹拌しつつどちらか一方からもう一方へ加え、冷却し作成する。また、高圧乳化装置等を用いても問題はない。
しかしながら、O/W型クレンジングクリームの場合は転相乳化で作成すると、製剤がよりよく作成できる場合が多いので、加熱した油相成分に撹拌しながら徐々に加え乳化し、弱い撹拌しながら冷却し、製剤を得る方法がよく採用される。
【実施例】
【0010】
以下に実施例を記すがこれに限定されるものではない。実施例1〜4及び比較例1〜2について表1に示す。数値は重量部を表す。また、その作成方法は油相、水相それぞれ80℃に加温溶解して水相を油相に撹拌しながら徐々に加え乳化する。
パドル撹拌しながら冷却し、35〜30℃で撹拌をとめ放置した。
【0011】
【表1】

【0012】
実施例5〜8及び比較例3について表2に示す。数値は重量部を表す。作成方法は上記の実施例1〜4及び比較例1〜2で行った方法と同じ方法で行った。
【0013】
【表2】

【0014】
実施例および比較例の原料は以下の商品を用いた。
1)パラフィンは、日本精蝋株式会社製、商品名『パラフィン155』
2)セチルアルコールは、花王株式会社製、商品名『カルコール6098』
3)ワセリンは、日興リカ株式会社製、商品名『サンホワイト(P−200)』
4)流動パラフィンは、株式会社製、商品名松村石油研究所『シリコールP−70』
5)モノステアリン酸グリセリンは、日光ケミカルズ株式会社製、商品名『ニッコール MGS−50V』
6)ポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル(10E.O.)は、日光ケミカルズ株式会社製、商品名『MYL−10』
7)パラ安息香酸メチルは、上野薬品株式会社製、商品名『メッキンスM』
8)マルチトールは、株式会社林原製、商品名『マビット』
9)1,3ブチレングリコールは、ダイセル化学株式会社製、商品名『1,3−ブチレングリコール』
10)グリセリンは、阪本薬品工業株式会社製、商品名『化粧用濃グリセリン』
11)スクワランは、日光ケミカルズ株式会社製、商品名『NIKKOLスクワラン』
12)パルミチン酸セチルは、日光ケミカルズ株式会社製、商品名『NIKKOL N−SP』
13)パルミチン酸イソプロピルは、日光ケミカルズ株式会社製、商品名『NIKKOL IPP』
14)ステアリン酸は、日油株式会社製、商品名『NAA−173K』
15)ミツロウは、日本シェラック工業株式会社製、商品名『サラシミツロウ』
16)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルは、日光ケミカルズ株式会社製、商品名『NIKKOL Trifat S−308』
17)テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール(40E.O.) は、日光ケミカルズ株式会社製、商品名『NIKKOL GO−440』
18)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) は、日光ケミカルズ株式会社製、商品名『NIKKOL TS−10』
19)ジプロピレングリコールは、株式会社ADEKA製、商品名『DPG−RF
【0015】
効果を確認するため以下のような実験を行った。
実験1(口紅とのなじみ)
前腕内側部に市販の口紅を長さ5cm塗布した。
口紅を塗布した部位に実施例及び比較例を0.2g、30秒間、一定の力でなじませた後、テッシュペーパーで軽くふき取った。これを以下の基準で評価した。

基準
1:口紅が、塗布した時の部分の色がほとんど変化していない。
2:口紅が、塗布した時の部分の色が1/2程度になっている。
3:口紅が、塗布した時の部分の色が1/3程度になっている。
4:口紅が、塗布した時の部分の色が1/4程度になっている。
5:口紅が、塗布した時の部分の色が1/5程度になっている。
6:口紅が、塗布した時の部分の色がほとんど残っていない。
【0016】
実験2(洗い流しやすさ)
前腕内側部に市販の口紅を長さ5cm塗布した。
口紅を塗布した部位に実施例及び比較例を0.2g、30秒間、一定の力でなじませた後、水道水で洗い流した。これを以下の基準で評価した。
基準

1:クレンジングクリームや口紅が、洗い流しにくい。
2:クレンジングクリームや口紅が、やや容易に洗い流せた。
3:クレンジングクリームや口紅が、かなり容易に洗い流せた。
4:クレンジングクリームや口紅が、非常に容易に洗い流せた。

実験1及び2いずれも、3名の評価者で行い、その平均値を結果とし、表3に示す。
【0017】
【表3】

【0018】
市販のファンデーション、マスカラ、口紅等、通常のメイクを実施してもらい、実施例と比較例を比較検討したもらった結果、実施例の方がいずれもメイクアップ化粧料とのなじみがよく、テッシュでふき取る場合でも、水で洗い流す場合でも、非常に容易にメイクアップ化粧料を除去できた。
【0019】
以上のように本発明のクレンジングは口紅、ファンデーション等のメイクアップ製品を除去するのに最適であり、洗い流しやすさも比較例に比べて良好であった。さらには使用後の感触も充分満足するものであった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】は実験1(口紅とのなじみ)で前腕内側部に口紅を塗布したときの写真である。
【図2】は実験1(口紅とのなじみ)で実施例1を用いて実験したときの写真である。(これは基準4である。)
【図3】は実験1(口紅とのなじみ)で比較例1を用いて実験したときの写真である。(これは基準2である。)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含むO/W型クレンジングクリーム
A)30〜80重量%の界面活性剤を除く油相成分
B)0.5〜20重量%のポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤
C)0.2〜15重量%のマルチトール
D)水

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−51921(P2011−51921A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201256(P2009−201256)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000166959)御木本製薬株式会社 (66)
【Fターム(参考)】