説明

クレンジング化粧水

【課題】油脂汚れに対するクレンジング力に優れ、かつ使用後のべたつきの少ないクレンジング化粧水を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】(A)水70〜90重量%、(B)多価アルコール(C)ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、(D)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、(E)ポリビニルピロリドン、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、コハク酸ジエトキシエチレ、シクロヘキサン−1.4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールから選ばれる1種以上を含有してなる洗い流さないクレンジング化粧水組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジング化粧料に関する。更に詳しくは化粧水タイプのクレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
クレンジング化粧料は油剤を主成分としたオイルクレンジング、油剤を含まず水とノニオン界面活性剤とゲル化剤からなる水系ゲル状クレンジングや、化粧水タイプのクレンジング化粧水等が用いられている。
【0003】
油剤を主成分としたオイルクレンジングの場合、メイクなどの油脂汚れに対する除去効果に優れる反面、拭き取り後又は洗い流した後でも油剤が残存してべたつき感が生じ、再度洗顔剤で洗浄しなければならず、過度の脱脂により肌荒れや刺激感が生じるといった問題を有している
【0004】
水系ゲル状クレンジングはべたつき感などの使用感や刺激を改善させることはできるものの、油脂汚れに対するなじみや除去効果に関しては未だ満足しうるものではない。また、非イオン性界面活性剤を配合すると、パラベンなどの防腐剤の防腐防黴効果を不活性化することが知られており、このため、非イオン性界面活性剤を用いた化粧料では、防腐剤を高濃度で含有させる必要があるといった問題も有している。
【0005】
化粧水タイプのクレンジングは、洗い流さずに使用できる手軽さと、使用後のさっぱり感が特徴であるが、メイクなどの油脂汚れに対する除去効果が低いことは否めないが、メイクなどの油脂汚れに対する除去効果の向上を図り、水とポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、多価アルコール、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・ピロリドンカ、ルボン酸塩および/又はN−[3−アルキル(12,14)オキシ−2−ヒドロキシプロピル]−L−アルギニン塩酸塩を含有してなるクレンジング化粧料(特許文献1)や、水、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、多価アルコールおよびスチレン系ポリマーを含有してなるクレンジング化粧料(特許文献2)或いは水、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルおよび多価アルコールを含有してなる水性クレンジング化粧料(特許文献3)が提案されているが、未だ油脂汚れに対する効果は満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−56609号公報
【特許文献2】特開2009−227629号公報
【特許文献3】特開2010−70521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は油脂汚れに対するクレンジング力に優れ、かつ使用後のべたつきの少ないクレンジング化粧水を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明の構成は(A)水70〜95重量%、(B)多価アルコール(C)ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、(D)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、(E)ポリビニルピロリドン、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、コハク酸ジエトキシエチル、シクロヘキサン−1.4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールから選ばれる1種以上を含有してなる洗い流さないクレンジング化粧水組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のクレンジング化粧料は、メイクなどの油脂汚れに対する除去効果に優れるとともに、べたつき感や肌荒れを抑え、しっとり感を付与するといった効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の構成を詳述する。
【0011】
本発明のクレンジング化粧料は、(A)水70〜90重量%、(B)多価アルコール(C)ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、(D)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、(E)ポリビニルピロリドン、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、コハク酸ジエトキシエチル、シクロヘキサン−1.4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールから選ばれる1種以上を含有してなる洗い流さないクレンジング化粧水組成物である。
【0012】
(A)成分の水は、化粧料原料として使用できるものであれば特に限定されないが通常、精製水が用いられる。本発明における(A)成分の含有量は、組成物中、70〜95重量%であり、好ましくは80〜90重量%である。なぜなら、70重量%未満の場合、べたつき感が生じて使用感に劣り、95重量%を超えて含有すると、クレンジング効果が得られないからである。
【0013】
(B)成分の多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類などが挙げられる。グリコール類はエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどが挙げられる。グリセリン類としては、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用い手も良い。
【0014】
(B)成分の含有量は、本発明の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。通常、しっとり感を付与する観点から、組成物中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは2重量%以上である。また、べたつき感を抑制する観点から、15重量%以下が好ましく、より好ましくは8重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、組成物中、1〜15重量%が好ましく、好ましくは3〜10重量%、より好ましくは4〜8重量%である。
【0015】
(C)成分のポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルは、ポリオキシエチレンの鎖長が5〜10のものが好ましく、特に6〜8が好ましい。グリセリン重合度はモノグリセリンが好ましい。特に好ましいのはPEG−6(カプリル/カプリン酸)グリセリル、PEG−7(カプリル/カプリン酸)グリセリル、PEG−8(カプリル/カプリン酸)グリセリルである。市販品の例としてはPEG−7(カプリル/カプリン酸)グリセリル(セチオールHE810(コグニスジャパン社製))が挙げられる。
【0016】
(C)成分の含有量は所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、優れたクレンジング効果を付与する観点から、組成物中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは3重量%以上である。また、べたつき感を抑制する観点から、10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、組成物中、1〜10重量%が好ましく、より好ましくは3〜5重量%である。
更に、(C)成分と(D)成分の配合量が(C)≧(D)の場合は高いクレンジング力を示すが、(C)<(D)の場合はクレンジング力が劣るため、(C)成分と(D)成分の関係は(C)≧(D)であることが好ましい。また、その比率が(C):(D)=3:1であると、最も高いクレンジング力が得られる。
【0017】
(D)成分のイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルのポリオキシエチレンの鎖長が5〜10のものが好ましく、グリセリン重合度はモノグリセリンが好ましい。具体的にイソステアリン酸PEG−8グリセリルが挙げられる、市販品の例としてはノイゲンGIS−108(第一工業製薬株式会社製)が挙げられる。
【0018】
(D)成分の含有量は所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、優れたクレンジング効果を付与する観点から、組成物中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは2重量%以上である。また、べたつき感を抑制する観点から、10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、組成物中、1〜10重量%が好ましく、より好ましくは2〜5重量%である。
【0019】
(E)成分はポリビニルピロリドン、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、コハク酸ジエトキシエチル、シクロヘキサン−1.4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールから選ばれる1種以上を用いる。
ポリビニルピロリドンは非イオン性の水溶性ポリマーであり、分子量や粘度は特に限定されない。市販品の例としてはPVPK−30N、K値30のものが挙げられる。K値は分子量と相関する粘性特性値で、毛細管粘度計により測定される相対粘度値(25℃)を下記のFikentscherの式に適用して計算した値である。
K=(1.5 logηrel −1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel +(c+1.5clogηrel )2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ηrel : ポリビニルピロリドン水溶液の水に対する相対粘度
c : ポリビニルピロリドン水溶液中のポリビニルピロリドン濃度(%)
ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテルは、ジグリセリンにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加重合したものである。これらのうち、プロピレンオキサイドの付加モル数が5〜30モルであるプロピレンオキサイドジグリセリルエーテルがより好ましく、特にプロピレンオキサイドが9モルのPPG−9ジグリセリルが好ましい。市販品としてはSY−DP9(阪本薬品工業社製)等が挙げられる。
モノラウリン酸ポリエチレングリコールはポリエチレングリコールのモノラウリン酸エステルであり、ポリオキシエチレンの鎖長が5〜15のものが好ましく、特にポリオキシエチレンの鎖長さが12モルのモノラウリン酸ポリエチレングリコール(12E.O.)が好ましい。市販品の例としてはエマノーン1112(花王株式会社製)が挙げられる。
コハク酸ジエトキシエチルはコハク酸(とエトキシエタノールのジエステルである。市販品としてはクロダモルDES(クローダジャパン株式会社製)が挙げられる。
シクロヘキサン−1.4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールはエトキシジグリコールとシクロヘキサンジカルボン酸のジエステルであり、Neosolue−Aqulio(日本精化社製)が挙げられる。
【0020】
(E)成分の含有量は所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、優れたクレンジング効果を付与する観点から、組成物中、0.05重量%以上が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上である。また、べたつき感を抑制する観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは2重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、組成物中、0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%である。
【0021】
本発明において、発明の効果を損なわない範囲であれば上記必須成分のほかに、必須成分以外の界面活性剤、必須成分以外の油剤、多価アルコール、香料、色素、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、油性ゲル化剤、抗炎症剤、植物エキスなど通常化粧料に用いられる原料を適宜配合することができる。
【0022】
尚、本発明のクレンジング化粧水は、顔面の皮脂やメイクなどによる油脂の除去に優れている観点から、フェイスマッサージ剤、メイクアップ除去剤として好適に用いられる。また、その使用方法としては、過度の脱脂による乾燥肌や皮膚のつっぱり感を抑制する観点から、施術後にぬるま湯による洗い流しや後洗顔を行なわず、コットンや不織布などにクレンジング化粧水を含浸させて適用部位に施術する方法、若しくは、クレンジング化粧料を適用部位に施術後、コットンや不織布などで拭き取る方法が好ましい。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。
【0024】
実施例、比較例に示したクレンジング力および官能試験の試験方法は下記の通りである。尚、以下の表に示す組成物の配合量は、それぞれ質量%で示す。
【0025】
<メイク落とし効果および官能・刺激感の評価>
20〜30代女性20名に市販のメイクアップ化粧料(ファンデーション)を使用してもらい、30分後、実施例、比較例の試料を2gコットンに含ませ、1分間一定の力及び速さで顔面をふきとった。その際のメイクアップ化粧料の落ち、使用後のべたつき感のなさ、しっとり感を5段階評価し、その平均点から下記基準により判定した。刺激感については刺激感を感じる人数を表した。
【0026】
5段階評価
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:やや悪い
1点:悪い
【0027】
実施例1〜19、比較例1〜8
表1、表2に示した処方のクレンジング化粧水を常法により作製し、前記各試験を実施した。その結果を表1、表2に併せて示す。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
表1、表2より明らかなように本発明の成分を用いた実施例のクレンジング化粧水はいずれも優れた性能を有していた。一方、必須成分のいずれかを欠いた比較例では、メイクアップ化粧料の落ち、使用後のべたつき感、しっとり感、刺激感のいずれかの面で劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
【0032】
処方例1
クレンジング化粧水
精製水 88.4%
1,3−ブチレングリコール 5%
PEG−7(カプリル/カプリン酸)グリセリル 4%
イソステアリン酸PEG−8グリセリル 1%
ポリビニルピロリドン 0.05%
シクロヘキサンー1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 1%
PPG−9ジグリセリル 0.5%
防腐剤
0.05%
合計 100%
常法により、上記成分を混合し調製した。

【0033】
処方例2
クレンジング化粧水
精製水 88.4%
1,3−ブチレングリコール 5%
PEG−7(カプリル/カプリン酸)グリセリル 4%
イソステアリン酸PEG−8グリセリル 1%
ポリビニルピロリドン 0.05%
コハク酸ジエトキシエチル 1%
PPG−9ジグリセリル 0.5%
防腐剤
0.05%
合計 100%
常法により、上記成分を混合し調製した。

【0034】
上記処方例1から2のクレンジング化粧水を作成し評価したところ、メイクアップ化粧料の落ち、使用後のべたつき感、しっとり感、刺激感のいずれも優れた結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のクレンジング化粧水は、メイクアップ化粧料の落ち、使用後のべたつき感、しっとり感、刺激感のいずれも優れた性能を有している。本発明は、このように顕著な作用効果を有する発明であり、産業上の貢献はまことに大きく、意義のある発明である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水70〜95重量%、(B)多価アルコール(C)ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、(D)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、(E)ポリビニルピロリドン、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、コハク酸ジエトキシエチル、シクロヘキサン−1.4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールから選ばれる1種以上を含有してなる洗い流さないクレンジング化粧水組成物
【請求項2】
(C)がポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルのポリオキシエチレン鎖長が5〜10、(D)がイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルのポリオキシエチレン鎖長が5〜10である請求項1の洗い流さないクレンジング化粧水組成物
【請求項3】
(E)のポリオキシアルキレンジグリセリルエーテルがPPG−9ジグリセリルであり、モノラウリン酸ポリエチレングリコールがモノラウリン酸ポリエチレングリコール(12E.O.)である請求項1〜2記載の洗い流さないクレンジング化粧水組成物
【請求項4】
(A)が70〜95重量%、(B)が1〜15重量%、(C)が1〜10重量%、(D)が1〜10重量%、(E)が0.05〜5重量%であり、(C)≧(D)であることを特徴とする請求項1〜3記載の洗い流さないクレンジング化粧水組成物

【公開番号】特開2012−214406(P2012−214406A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80612(P2011−80612)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】