説明

クレードル

【課題】電気機器に接続するケーブルを目立たぬように保持し且つケーブルを支持台の下に挟んでしまう不具合を回避するとともに、保持するケーブルに強い引き外力が加わったとき容易に保持力を開放するクレードルを提供する。
【解決手段】クレードル1の底面6と下向きの縁部7とで形成される底部空間内にコード押さえ板9と支点押さえ板10が配設される。コード押さえ板9のコード押さえ部15は4個のうち2個のゴム足11の周囲を回り込んで配置され、コード引き込み口12に近い方の角部に反り返り部24が形成されている。コード引き込み口12から底部空間内に導入されるコード8は反り返り部24からコード押さえ部15と底面6との間に入り込みコード押さえ部15によって底面6に押さえ込まれる。コード押さえ部15は外力に従って撓む弾力性を備えているので、押さえ込んだコード8bの部分に強く引く力が外部から加えられると、外力が加わった方向に撓んで、コード8bを押さえ込みから容易に開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を載置するクレードルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型表示装置等の電気機器を背面から保持するスタンドにおいて、断面が略C字形状でC字形状の開口部を外側にしてスタンドの背面の上下方向に取り付けられたクランパーを備え、このクランパーにより表示装置本体に接続されるケーブルの長さの余剰な部分を収容するとともにケーブルをスタンドの背面で確実に保持するようにしたスタンドが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、ケーブル部材を支持台の下に挟んでしまったり、ディスプレイ部の左右方向の角度調整の際に、ケーブル部材によって周囲のものを転倒させたり、落下させたりしないようにするために、支持台に対して左右方向に角度調整可能なスタンド支柱と、このスタンド支柱に形成されたクランプとを備え、このクランプにケーブルを係止させるようにした支持台が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−196009号公報
【特許文献2】特開平08−261392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のスタンドや支持台と同様に、載置された電気機器を保持するクレードル等も、例えば銀行の窓口などでは多用されている。このようなスタンド、支持台、クレードル等において、電気機器に接続する電源コード等は、電気機器を保持するスタンド、支持台、クレードル側で固定して保持するようにしたものが多い。
【0005】
しかしながら、一般に、テレビジョンのように頻繁に向きの調整や場所の移動を行わない電気機器の場合は、電源コード等をスタンドや支持台で固定して保持するのもよいが、顧客窓口で使用する小型表示装置等の電気機器を保持するクレードル等では、頻繁に向きを変えたり場所の移動を行うので、ややもするとケーブルが他の機器に絡んだりして強く引かれる場合がある。
【0006】
そのようなとき、クランパーのケーブル保持力が強固であると、ケーブルを破損するかあるいはケーブル端部のコネクタを破損する不具合が発生する恐れが多分にある。また、ケーブル側が丈夫であると、クランパーが破損する不具合が発生する。
【0007】
ところが、特許文献1又は2において、ケーブルが他の機器に絡んだりして強く引かれた場合に生じる可能性が高い上述したような不具合については何ら考慮されていない。
また、特許文献1ではケーブルの電気機器への接続態様は、図示されていないため明確でないが、ケーブル部材を支持台の下に挟んでしまう不具合を回避することは何処にも記載が見当たらない。
【0008】
特許文献2では、ケーブル部材を支持台の下に挟んでしまう不具合を回避することを課題としているが、ケーブルを保持する態様は、ケーブルの一部分を単にクランプに保持させているだけで、ケーブルはスタンド支柱の背面で全て露出したままになっている。窓口業務に使用されるクレードル等では背面でケーブルが全て露出しているのでは外見上好ましくない。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、電気機器に接続するケーブルを目立たぬように保持し且つケーブルを支持台の下に挟んでしまう不具合を回避するとともに、保持するケーブルに強い引き外力が加わったとき容易に保持力を開放するクレードルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のクレードルは、電気機器を載置部に着脱自在に保持するクレードルにおいて、コード押さえ板と、支点押さえ板と、を有し、上記コード押さえ板及び上記支点押さえ板は、上記クレードルの底面と該底面の周囲に形成された縁部とで形成される底部空間内に配置され、上記コード押さえ板は、コード押さえ部と、中間板部と、被保持部とから成り、上記中間板部に複数の支点を有し、上記支点押さえ板は、上記コード押さえ板の上記被保持部を上記載置部の底部裏面に押さえて保持するとともに上記複数の支点を押えた状態で上記底面に固定され、上記コード押さえ板の上記コード押さえ部は、上記底面から離れる引き起こし方向に外力が加わったとき上記複数の支点を基点として上記外力に従って撓む弾力性を有する、ように構成される。
【0011】
上記コード押さえ部は、例えば、コード引き込み口から上記底部空間に引き込まれてコード引き出し口から引き出されるコードを上記底面に押さえ込み、該底面に押さえ込んだ上記コードを介して上記引き起こし方向の外力が加わったとき上記コードを押さえ込みから開放する、ように構成され、また、例えば、上記コード引き込み口及び/又は上記コード引き出し口に近い方の角部に上記底面から離れる方向への反り返りが形成されている、ように構成される。
【0012】
このクレードルにおいて、例えば、上記底面は、複数のゴム足を備えるように構成され、この場合、上記コード押さえ部は、例えば、上記ゴム足の周囲を回り込むように構成される。
【0013】
また、上記コード押さえ部は、例えば、上記底面に対面する外周部に沿って形成されたリブを有する、ように構成される。また、上記コードは、電源コード及び/又は信号コードである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、電源コードや信号コードをクレードルの底面とその縁部とで形成される底部空間内に引き込んでコード押え板で押さえて保持するので、コードを目立たぬように保持できるとともに、コードをクレードルの下に挟んでしまう不具合を回避することができるという効果を奏する。
【0015】
また、コード押さえ板のコード押さえ部は、引き起こし方向に外力が加わったとき複数の支点を基点として外力に従って撓む弾力性を有するので、保持部のコードに強い引き外力が加わったとき容易に保持力を開放することができ、これにより、保持部のコードに強い引き外力が加わってもコード押さえ板を破損することもコードを破損することもないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の実施例1に係るクレードルをそれが保持するコードと共に背面側から見た斜視図、(b)はその底面をやや前方側から見た斜視図である。
【図2】実施例1に係るクレードルの分解斜視図である。
【図3】(a)は図1(a)のA−A´断面矢視図でケーブル保持状態を示す図、(b)はケーブル保持力を開放した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1(a)は本発明の実施例1に係るクレードルをそれが保持するコードと共に背面側から見た斜視図であり、図1(b)はその底面をやや前方側から見た斜視図である。
図2は、上記クレードルの分解斜視図である。
【0019】
図3(a)は図1(a)のA−A´断面矢視図でケーブル保持状態を示す図であり、図3(b)はケーブル保持力を開放した状態を示す図である。先ず、図1(a),(b)及び図2に示すように、本例のクレードル1は、例えば液晶表示装置等の不図示の電気機器を載置部2に着脱自在に保持するクレードルである。
【0020】
載置部2は後部支持部3と、この後部支持部3よりも高さの低い前部支持部4と、後部支持部3の下部と前部支持部4の下部とに連接する載置部底部5とで前後下方の三方を囲まれる空間部で形成されている。
【0021】
このクレードル1は、クレードル底面6の周囲に下向きの縁部7が形成されている。この縁部7とクレードル底面6とで形成される底部空間内に、コード8を押えるためのコード押さえ板9と、支点押さえ板10が配設されている。また、クレードル底面6の四方にはそれぞれゴム足11が取り付けられている。
【0022】
また、縁部7には、底部の後方中央に形成されているコード引き込み孔12にコード8を導入するための引き込み口13が形成されている。そして底部長手方向の後方両端部には、底部空間内に引き込まれたコード8を引き出すコード引き出し孔14がそれぞれ形成されている。
【0023】
上記のコード押さえ板9は、図2に示すように、最初にクレードル底面6に形成されている大穴6aにはめ込まれる。図2では、クレードル底面6の大穴6aの奥に、後部支持部3の載置部側内部面3aや、前部支持部4(図1(a)参照)の前面側内部面4aや、載置部底部5(図1(a)参照)の内部面5aが見えている。
【0024】
この大穴6aを塞ぐようにコード押さえ板9が大穴6aにはめ込まれる。コード押さえ板9は、コード押さえ部15、コード押さえ部15とコード押さえ部15の反対側端部に形成された被保持部16、被保持部16とコード押さえ部15との間にあって被保持部16とコード押さえ部15と一体に形成された中間板部17、及び中間板部17に形成された複数(図2では3個)の支点18とで構成されている。
【0025】
コード押さえ板9は、図3(a)に示すように、被保持部16を載置部底部5の内部面5aに当接させ、中間板部17を、後部支持部3の載置部側内部面3aと外側内部面3bとの間に嵌り込ませている。
【0026】
支点押さえ板10は、コード押さえ板9の被保持部16を載置部底部5の内部面5aに下から押さえ付け、コード押さえ板9の3個の支点18の下端面を下から押さえ付けて、コード押さえ板9をクレードル底面6に位置決めしている。
【0027】
この状態で支点押さえ板10は、図2に示すように、4箇所に形成されているネジ通し孔19を介し、4個のネジ釘21により、クレードル底面6の大穴6aの周囲に沿って設けられているネジ孔22に、図1(b)に示すように固定されている。
【0028】
図1(a)に示すように、引き込み口13及びコード引き込み孔12を通してクレードル1の底部空間内に導入され、コード引き出し孔14から引き出されるコード8(8a、8c)は、図1(b)に示すように、底部空間内のコード8bの部分がコード押さえ板9のコード押さえ部15によってクレードル底面6に押さえ込まれている。
【0029】
コード押さえ部15は、ゴム足11の周囲を回り込むように形成されている。また、コード押さえ部15は、図1(b)及び図2では定かに見えないが、図3(a),(b)に示すように、クレードル底面6に対面する外周部に沿ってリブ23を形成されている。
【0030】
これにより、図1(b)及び図3(a)に示すようにコード押さえ部15によってクレードル底面6に押さえ込まれたコード8bは、容易にはクレードル底面6とコード押さえ部15との間から抜け出すことはなく、したがって、ゴム足11と窓口テーブル面との間や、縁部7と窓口テーブル面との間に挟まるようなことはない。
【0031】
一方、コード押さえ部15のコード引き込み口12(コード引き込み孔13)に近い方の角部には、図1(b)及び図2に示すように、クレードル底面6から離れる方向へ反り返っている反り返り部24が形成されている。尚、この反り返り部24は、図1(b)に示すコード引き出し口14に近い方の角部25にも形成するのが好ましい。
【0032】
これにより、コード引き込み口12又はコード引き出し口14のいずれの方からコード8をクレードル底面6に導入した場合でも、コード8bの部分を反り返り部24からコード押さえ部15とクレードル底面6との間に容易にもぐり込ませることができる。
【0033】
尚、底部空間内に導入されるコード8(8a、8b、8c)は、電源コードの場合であれば、コード引き込み孔12に挿通される電源コード8aを電源プラグ側の電源コードとし、コード引き出し孔14から引き出される電源コード8cを電気機器に接続するコネクタ側の電源コードとしてもよく、又はクレードル使用者の好みによって上記とは逆の挿通のし方であってもよい。
【0034】
また、特には図示しないが、コード8は電源コードのみとは限らず、親機から電気機器に接続する信号コードを電源コードと共に底部空間内に引き込む場合もある。もちろん、電源コードのみの場合もあれば(例えば充電時やクレードルに載置したまま電気機器単体で使用される場合)、信号線のみの場合もある(電気機器の充電が十分であり、親機との通信を行う場合)。
【0035】
いずれの場合も、電源コンセント又は親機から来ているコードを、コード引き込み孔12に挿通する形で底部空間内に通すか、コード引き出し孔14から引き出す形で底部空間内に通すかは、クレードル使用者の裁量に任される事柄である。
【0036】
このように、本例のクレードルによれば、電源コードや信号コードをクレードルの底面とその縁部とで形成される底部空間内に引き込んでコード押え板で押さえて保持するので、コードを目立たぬように保持することができる。
【0037】
尚、クレードル1のコード引き出し孔14は、クレードル1の底部の長手方向両端部に形成されているので、コード引き出し孔14に電源コンセント側又は親機から来ているコードを通すと、クレードル1の向きを変えたり位置を移動しても、窓口テーブル面に這わせてあるコード8は、コード引き出し孔14の移動に追随して大回りしながら移動する。
【0038】
したがって、クレードル1を置き直した後も、窓口テーブル面に這わせてあるコード8が、クレードル1の底部の縁部7又はゴム足11と窓口テーブル面の間に挟まったりすることはない。
【0039】
ここで、コード押さえ板9のコード押さえ部15について更に説明する。コード押さえ部15は、引き起こし方向、すなわちクレードル底面6から離れる方向に外力が加わったとき、3個の支点18を基点として上記の外力に従って撓む弾力性を備えている。
【0040】
これにより、コード押さえ部15は、クレードル底面6に押さえ込んだコード8bの部分に、例えば、図1(a),(b)に示すコード8a又は8cの方から強く引く力が外部から加えられ、結果として、図3(b)に示すように、コード押さえ部15に対しコード8bを介して引き起こし方向の外力が加わったとき、コード押さえ部15は外力が加わった方向に撓んで、コード8bを押さえ込みから開放する。
【0041】
したがって、クレードルに保持されているコードに強い引き外力が加わってもコード押さえ板を破損することもコードを破損することもない。
尚、本実施例では、コード押さえ部15は、3個の支点18を備えているが、これに限るものではなく、1つ以上あればよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、電気機器を載置するクレードルに利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 クレードル
2 載置部
3 後部支持部
3a 載置部側内部面
3b 外側内部面
4 前部支持部
4a 前面側内部面
5 載置部底部
5a 内部面
6 クレードル底面
6a 大穴
7 縁部
8(8a、8b、8c) コード
9 コード押さえ板
10 支点押さえ板
11 ゴム足
12 コード引き込み孔
13 引き込み口
14 コード引き出し孔
15 コード押さえ部
16 被保持部
17 中間板部
18 支点
19 ネジ通し孔
21 ネジ釘
22 ネジ孔
23 リブ
24 反り返り部
25 コード引き出し口に近い方の角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を載置部に着脱自在に保持するクレードルにおいて、
コード押さえ板と、
支点押さえ板と、
を有し、
前記コード押さえ板及び前記支点押さえ板は、前記クレードルの底面と該底面の周囲に形成された縁部とで形成される底部空間内に配置され、
前記コード押さえ板は、コード押さえ部と、中間板部と、被保持部とから成り、前記中間板部に1以上の支点を有し、
前記支点押さえ板は、前記コード押さえ板の前記被保持部を前記載置部の底部裏面に押さえて保持するとともに前記1以上の支点を押えた状態で前記底面に固定され、
前記コード押さえ板の前記コード押さえ部は、前記底面から離れる引き起こし方向に外力が加わったとき前記1以上の支点を基点として前記外力に従って撓む弾力性を有する、
ことを特徴とするクレードル。
【請求項2】
前記コード押さえ部は、コード引き込み口から前記底部空間に引き込まれてコード引き出し口から引き出されるコードを前記底面に押さえ込み、該底面に押さえ込んだ前記コードを介して前記引き起こし方向の外力が加わったとき前記コードを押さえ込みから開放する、
ことを特徴とする請求項1記載のクレードル。
【請求項3】
前記コード押さえ部は、前記コード引き込み口、又は前記コード引き出し口に近い方の角部に前記底面から離れる方向への反り返りが形成されている、ことを特徴とする請求項2記載のクレードル。
【請求項4】
前記底面は、複数のゴム足を備え、前記コード押さえ部は、前記ゴム足の周囲を回り込むよう形成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のクレードル。
【請求項5】
前記コード押さえ部は、前記底面に対面する外周部に沿って形成されたリブを有する、
ことを特徴とする請求項2、3又は4記載のクレードル。
【請求項6】
前記コードは電源コード、又は信号コードである、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のクレードル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−21212(P2013−21212A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154637(P2011−154637)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】