説明

クレープの製造方法及びクレープ焼き装置

【課題】コーン状に折り畳んでトッピングをする時に底部から生クリーム等の食材の汁や液等が漏れにくくなるクレープの製造方法を提供する。
【解決手段】メカシリンダを上昇させてブレード10を所定高さに位置させた状態で水容器12の中心位置まで水平回動させ、ブレード10を水容器12の中心位置に下降させて該ブレードを洗浄する工程と、ブレードの洗浄後、該ブレードを熱盤の中心部に回動させる工程と、所定温度に加熱した円形の熱盤上の中心部に定量のクレープ生地を投与した後、ブレードを前記熱盤の中心部に下降させ、ブレードをクレープ生地に接触させてクレープ生地を円形に均す工程と、クレープの膨潤を考慮してブレードを0.8mm以内の範囲で上昇させた状態でブレードを1回転させてブレードに付着したクレープ生地残渣をクレープ側に移す工程を備えたクレープの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホットプレート上に投入されたクレープ生地を連続的に製造することができるクレープの製造方法及びクレープ焼き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクレープ生地の引延し装置の発明として、特開平9−154471(特許文献1)がある。特許文献1の請求項1には、 ホットプレート上のクレープ生地を公転しながら自転する引延し用ヘラによって引延ばす装置において、引延し用ヘラのクレープ生地接触部を面取りし、その材質をフッ素樹脂製として上部に補強材を設けるか、又はフッ素樹脂コーティング鋼材とし、クレープ接触側が進行方向後方となるよう傾斜させたことを特徴とするクレープ生地の引延し装置が記載されている。請求項2には、
ホットプレート上のクレープ生地を公転しながら自転する引延し用ヘラによって引延ばす装置において、引延し用ヘラの自転と公転とを別個に制御する制御手段を設けたことを特徴とするクレープ生地の引延し装置が記載されている。請求項3には、
請求項2記載の引延し用ヘラの自転と公転とを別個に制御する制御手段が、自転軸と公転軸を回転させる自転用モータと公転用モータを設けそれらを別個に制御するよう設けられてなるクレープ生地の引延し装置が記載されている。そして、請求項4には、
請求項2記載の引延し用ヘラの自転と公転とを別個に制御する制御手段が、自転軸と公転軸の回転駆動を共通のモータとそれにより回転する共通軸で行ない、公転軸を回転させるギヤを共通軸に対してワンウエイクラッチを介して装着し、該ギヤの回転を制御するよう設けられてなるクレープ生地の引延し装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−154471
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は、装置がホットプレート上に公転しながら自転するクレープ生地の引延し用ヘラを設けている。
この引延し用ヘラは、クレープ生地をホットプレート上へ載せたり、焼上がったクレープを取り除く際には、アームが回動して上方へ逃すことができる。支持アームの先端部へ公転アームが設けられている。駆動機構によって回転して引延し用ヘラを公転させる。引延し用ヘラの自転は公転に比べて遅く、公転が5〜10回転する間にほぼ70°程度公転方向後方が内方中心向きに回動する程度である。引延し用ヘラの構造は、クレープ生地接触部を面取りしている。この面取りは接触部の先端のみでなく、その上部の肉厚を次第に薄くする屈曲部においても同様に面取りがされている。引延し用ヘラの材質はクレープ生地の粘着を防ぐために、この例ではフッ素樹脂のテフロン製であって、上部にチャンネル鋼の補強材を設けている。補強材は重量を調整する役目もしている。鋼材にフッ素樹脂コーティングしたものの使用も可能である。引延し用ヘラはクレープ生地接触部が進行方向後方となるよう傾斜させている。そのための構造として、引延し用ヘラを保持するブラケットは、ヘラ自転軸に取付けられるブラケット片aと引延し用ヘラの固着片とをピンによって軸支して、引延し用ヘラの回動傾斜を可能にしている。引延し用ヘラの傾斜は、ホットプレートとのなす角度がほぼ60〜80°程度であって、クレープ生地接触部とホットプレートとのなす角度は15°程度である。ブラケット片とヘラ自転軸とはマグネットを介して連結されているので、単に引延し用ヘラを取外すだけで引延し用ヘラの清掃ができる。
【0005】
ホットプレート上のクレープ生地を公転しながら自転する引延し用ヘラによって引延ばす場合に、クレープ生地の展開が終わると、引延し用ヘラを元の角度まで戻す必要がある。そのために本装置では自転軸と公転軸とを別個に制御する制御手段を設けたのである。公転軸が5〜10回転する間に、引延し用ヘラの公転方向後方がほぼ70°程度内方中心向きに自転軸が回動するように制御することができる。このように制御するのはクレープ生地を展開しながら均一な厚みとなるようにすると共に、中心側へクレープ生地を寄せて所定の厚みを確保するためである。また、クレープ生地の展開後においては、自転用モータのみを逆回転させることによって直ちに元の角度へ引延し用ヘラを復帰させることができる。
【0006】
上記特許文献1の発明は、クレープ生地の展開焼き上げが熟練した職人に近い状態にうまく行なわれ、清掃も容易であり、しかも、焼き上げ作業の高能率化を可能にした点が記載されている。しかしながら、上記特許文献1の発明は、クレープ生地を展開しながら均一な厚みと、中心側へクレープ生地を寄せて所定の厚みを確保するために、能率向上の観点から引延し用ヘラの自転と公転を別個に制御する制御手段で行っていたので、引延し用ヘラの動きも複雑化し、実用化には難点があった。
また、板状の引延し用ヘラはクレープ生地の接触部の先端およびその上部の肉厚を次第に薄くする屈曲部においても面取りがされている構造であるが、クレープ生地の展開後、引延し用ヘラをクレープ生地から引き上げる時に未だ引延し用ヘラに残存する生のクレープ生地が焼き上がったクレープ上に落下することが避けられなかった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、線形のブレードを円形クレープの中心位置に相当する位置の上方で回転する回転軸に着脱自在に取付けた断面円形の丸棒の最下端とクレープ生地を線接触状態で均一な円形に均し、クレープを薄くも厚くも延ばすことができ、前記回転軸に取付けた断面円形の丸棒からなるブレードを中心部から円周方向に向けて次第に熱盤に近接する如く設置することにより円形のクレープの外周面をパリパリの食感に焼くことができる上にクレープ生地の引延し完了後にブレードを迅速に自動洗浄することができる。また、クレープ生地と線接触するブレードの接触部分を断面円形の丸棒とし、かつブレードの外周付近及びその近傍をブレードの回転方向に対し内側に湾曲させる形状とすることによりトッピング時にクレープの底部の厚みが厚くなり該底部から生クリーム等の食材の汁や液等が漏れにくい形状に仕上げることができる。クレープ生地も全体的に迅速かつスムーズに伸ばすことができる上にブレードに付着したクレープ生地残渣もブレードを数回転させた後にブレードをほんの少し例えば0.5mm程上昇させた状態で再度ブレードを1回転させるだけでブレードに付着したクレープ生地を熱盤上のクレープ生地に返すことができ、ブレードからクレープ生地残渣の落下を最小限に食い止めることができ、さらに食品衛生環境が良好な状態でクレープを製造できるクレープの製造方法及びクレープ焼き装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係るクレープの製造方法は、電動シリンダにより昇降可能なメカシリンダを上昇させてブレードを所定高さに位置させた状態で水容器の中心位置までアーム回転モーターで駆動するアームにより水平回動させ、ブレードを水容器の中心位置に下降させて該ブレードを洗浄する工程と、ブレードの洗浄後、該ブレードを電動シリンダにより上昇させ前記アームを介してブレードを熱盤の中心部に回動させる工程と、所定温度に加熱した円形の熱盤上の中心部に予め設定した定量のクレープ生地を投与した後、電動シリンダによりブレードを前記熱盤の中心部に下降させ、該ブレード回転モーターにより回転する回転軸に着脱自在に取付けた断面円形の丸棒からなるブレードの最下端が熱盤に近接した状態でブレードを数秒間で数回転させてブレードを線接触状態でクレープ生地に接触させてクレープ生地を円形に均す工程と、クレープの膨潤を考慮してブレードを0.8mm以内の範囲で上昇させた状態でブレードを1回転させてブレードに付着したクレープ生地残渣をクレープ側に移すとともにクレープ表面を均一に均す工程と、ブレードを上昇させてブレードを焼き上げたクレープから離反させ該ブレードを水容器位置まで前記アームを介して回動させてブレードを水容器内に位置させて使用後のブレードを洗浄し、再びブレードを熱盤の中心部まで回動させる工程を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係るクレープの製造方法は、請求項1において、断面円形の丸棒からなるブレードの最下端を熱盤に近接させる時に、ブレードを前記熱盤の中心部に位置させた状態で断面円形の丸棒からなるブレードはブレード回転モーターにより回転する回転軸の下端取付け位置に近い部分から次第に円周方向に向かうに従い熱盤に近接するように僅かに傾斜させて取付けてクレープ外周部分の焼き上がりをパリパリの食感を持たせて焼き上げることを特徴とする請求項1記載のクレープの製造方法である。
【0010】
請求項3に係るクレープ焼き装置の発明は、電動シリンダにより昇降するブレードを設け、該ブレードは所定温度に加熱した熱盤の中心部位置から水容器の中心部までをアームを介して往復回動し、熱盤の中心部位置及び水容器の中心部の各位置で昇降しブレードを回転させるブレード回転モーターで回転する回転軸の下端に断面円形の丸棒からなるブレードを着脱自在に装着し、該ブレードは最下端部位で熱盤中心部に投与されたクレープ生地を線接触状態で数秒間に数回転させる手段と、該ブレードの数回転後に1mm以内の範囲で回転軸を上昇させて該ブレードを1回転させて断面円形の丸棒からなるブレードに付着したクレープ生地残渣を膨潤したクレープ側に移動させると同時にクレープ表面を前記ブレードの最下端の線接触部位で均一に均す手段を備えとともに、使用後のブレードを前記水容器内で回転させて洗浄する手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係るクレープ焼き装置の発明は、請求項3の発明において、クレープの外周部分の焼き上がりをパリパリの食感を持たせるためにブレード回転モーターにより回転する回転軸の下端に着脱自在に装着した断面円形の丸棒からなるブレードを回転軸の取付け位置に近い部分から次第に円周方向に向かうに従い熱盤に近接するように僅かに傾斜させて取付けたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係るクレープ焼き装置の発明は、請求項3の発明において、ブレード回転モーターにより回転する回転軸の下端に着脱自在に装着した断面円形の丸棒からなるブレードの形状は、回転軸の先端部に取付けたブレードは左右横方向に中間部位までまっすぐに伸び、右側に伸びる丸棒と同じ長さの真っ直ぐに伸びる左側の丸棒はブレードの回転方向に対し、徐々に内側に向けて湾曲する湾曲線形状に形成し、湾曲した丸棒の先端は熱盤の円形外周に達する長さに形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係るクレープ焼き装置の発明は、請求項3の発明において、熱盤の中心位置で垂直方向に上下に昇降するブレードは2本の略直交する断面円形の丸棒からなるブレードであって該直交する各ブレードの両端部がクレープの円形外周に達する長さに形成し、各ブレードは中心部近傍が直線的に形成され、途中から回転方向に対し内側に湾曲する形状に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、一本の断面円形の丸棒からなるブレードの回転によりクレープ生地と線接触状態で接触するブレードで円形のクレープを均一に均し薄くも厚くも延ばすことができ、特にブレードを熱盤の外周方向に向けて次第に近接させるように傾斜させて取付けることにより焼き上がる円形クレープの外周部である上部のクレープ部分を薄く固焼きに仕上げ、クレープ外周部をパリパリの食感に焼くことができると同時に円形クレープの中心部分に相当する裾部は厚く穴が埋められるように形成されるのでコーン状に折り畳んでトッピングをする時にクレープの底部から生クリーム等の食材の汁や液等が漏れにくくなる。また、本発明のクレープ焼き装置は回転軸の昇降動作を電動シリンダで行うこととしたので、食品衛生上、エアコンプレッサーや油圧等によるオイルの使用によるオイルミストの飛散が解消され、良好な衛生環境下でクレープの製造作業が行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るクレープ焼き装置の正面図である。
【図2】本発明に係るクレープ焼き装置の平面図である。
【図3】本発明に係るブレード形状を示す正面図、平面図および側面図である。
【図4】本発明に係るブレード形状を示す正面図、平面図および側面図である。
【図5】本発明に係るブレード形状を示す平面図、正面図および側面図である。
【図6】本発明に係るクレープ焼き装置の使用状態を示す説明図である。
【図7】本発明に係るクレープ焼き装置に備えたスイッチとボタンを有する操作箱を示す概略説明図である。
【図8】本発明の方法により得られたクレープを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明に係るクレープ焼き装置の正面図、図2は本発明に係るクレープ焼き装置の平面図である。図中、1は基礎、2は基礎1上に設置した作業台である。3は作業台2の中央部に設置した平坦な円形の熱盤であり、この熱盤3上でクレープ生地Cを焼く。この熱盤3には電熱線による面状ヒーター(図示せず)が螺旋状に組み込まれた状態で内蔵されている。加熱する温度は約200℃前後の温度に加熱する。円形の熱盤3を均一加熱する熱源は電気ヒーターに限定されるものではなく他の熱源であっても良いが要は均一な熱盤3の加熱と省エネが図れるものであることが望ましい。例えば円形の大きさを直径40cm等で示したがこれに限定されるものではなく、これよりも大きいサイズ或いは小さいサイズであってもよい。
【0017】
5は作業台2に隣接して基礎1上に設置したスタンド5aに内蔵したアーム回転モーターである。スタンド5aの天面からはアーム回転モーター5の回転軸6が垂直上方に突出している。7はブレード保持ボックス7aに内蔵したブレード回転モーターである。回転軸6に枢着したアーム8により熱盤3の中心位置から水容器11の中心位置に亘って水平方向に往復回動自在に支承されている。9はブレード保持ボックス7aに取付けた電動シリンダであり、ブレード10を熱盤3に近接させたり熱盤3から上方に離反させたり垂直方向に上下動の昇降運動をするシリンダである。電動シリンダ9はロッドタイプメカシリンダ(型名:SCN5−010)を使用し、正逆回転モーター(図示せず)によりシリンダが上限昇降する構造である。電動シリンダ9は、ポンプが不要で電源に接続するだけの簡単な配線で使えるほか、オイルミストの飛散がない、ランニングコストが安いなどの利点がある。本発明ではエアシリンダや油圧シリンダを使用することなく電動シリンダを使用した理由は、食品衛生上、エアコンプレッサーや油圧等によるオイルの使用をなくし、クレープを焼く作業環境がより衛生的であることを配慮したものである。図2において両端を矢印で示す太い線の円弧はアーム8が回動して移動する可動域を示す。
【0018】
図1および図2で示す作業台2に隣接して基礎1上に設置した水容器台11に使用後のブレード10を洗浄する水容器12が載置される。
本発明で使用するブレード10の形状は断面円形の丸棒が使用される。丸棒は防錆上の観点からステンレス鋼材等が使用される。丸棒の直径は5mm〜6mmの大きさである。丸棒の直径が5mm未満ではブレード10を回転させてクレープ生地Cを円形に広げる時に拡散ないし分散が不十分となり作業性が悪くなり、反対に丸棒の直径が6mmを超えるとブレード10の回転時にクレープ生地Cを押す力が強すぎて分散が阻害され、いびつなクレープ形状となるおそれがある。特に丸棒の直径を5mm〜6mmの大きさに特定することにより、ブレード10の回転時にクレープ生地Cの分散がスムーズに行われ作業性が一段と向上する。そして、クレープ生地Cは丸棒と線接触で接しながら分散されるのでクレープ生地Cに過度な荷重負担がかからず、丸棒の最下端の直線ないし曲線に付着するクレープ生地Cは最小限で済み、ブレード10が熱盤3から例えば1mm上がった位置で0.8秒から1秒間に1回転するように調節し、合計2回転半連続して回転させる。ブレード10が熱盤3から1mmの高さで2回転半した後、さらにブレード10を例えば0.5mm程上昇させて1回転させると焼き上がったクレープ表面が均されると同時にブレード10である丸棒に付着したクレープ生地C残渣もブレード10の回転中にクレープ表面に付着し、丸棒表面に付着したクレープ生地C残渣が除去される。
【0019】
図3および図4はブレード形状を示す正面図、平面図および側面図である。図5はブレード形状を示す平面図、正面図および側面図である。
本発明のブレード形状は直径5mmから6mmのステレス鋼材の丸棒である点は共通であるが、熱盤3の中心位置で垂直方向に上下に移動する回転軸9aの先端部で着脱自在に取付けるブレード10の形状は図3においては回転軸9aの先端を中心にブレード10は熱盤の中間部位までは左右横方向にまっすぐ伸び、右側に伸びる丸棒と同じ長さの真っ直ぐに伸びる左側の丸棒は回転軸9aの回転方向に対し、徐々に内側に向けて湾曲する湾曲線形状に形成し、湾曲した丸棒の先端は熱盤3の外周に達する長さに形成する。このように回転軸9aの回転方向に対し、徐々に内側に向けて湾曲する湾曲線形状に形成した理由は、熱盤3の中心部に投与したクレープ生地Cを効率良く短時間で所望する円形形状のクレープに形成することが出来るようにするためであり、ブレード10の最下端位置である線接触部位を熱盤3から0.8mmないし1mmに近づけた状態でブレード10を0.8秒ないし1秒間に1回転する速さで数回転させる。本例では、ブレード10を合計2回転半回転させた後、さらにブレード10を回転させた状態で回転軸9aを例えば0.5mm程上昇させて1回転させる。こうしてクレープ生地Cはブレード10の回転中に湾曲部位でクレープ生地Cが中心部に寄せられ、クレープ生地Cが湾曲部位の先端から外側にはみ出さないようにすることができる。またブレード10を回転させるブレード回転モーター7により回転する回転軸9aの下端部でブレード10が着脱自在に取付けられている。回転軸9aの下端のブレード取付け位置から右側にはブレード10が全く無いとした場合はブレード10の回転時にクレープ生地Cが中心部から後方に拡散して所望する厚みのクレープが得られない。図4はブレード10の全体が直線形状であり、回転軸9aのブレード取付け位置から右側に位置するブレード10部分は円形の熱盤3の中間部位までの短位長さに形成され、左側のブレード10部分は先端が熱盤3の外周に達する長さに形成する。
【0020】
図5は熱盤3の中心位置で垂直方向に上下に移動する回転軸9aに2本のブレード10の各両端部が熱盤3の外周に達する長さに形成し、各ブレード10は中心部近傍が直線的に形成され、途中から回転方向に対し内側に湾曲する形状に形成し、クレープ生地Cが熱盤3の外周から外れた外側に散逸しないように工夫するとともにクレープを迅速に均した状態で焼くことができ、綺麗に仕上げることができる。
【0021】
13はスイッチとボタンを備えた操作箱で、基礎1に立設した柱14に設置されている。(図1及び図7参照)。
15は電源をON/OFFに切り替える電源スイッチ、16は本装置を自動運転又は手動運転に切り替える自動/手動スイッチ、17は本装置を初期状態にする原点復帰ボタンをそれぞれ示す。本装置の起動時(電源ON時)には、必ずボタンを押す。原点は水容器12の中心である。18は本装置の運転を開始する時に押す運転開始ボタンである。19は通常では使用しない停止ボタンである。20は本装置の運転中に運転停止をしたい場合に使用する。ただし、非常停止をした場合は、原点復帰ボタンを必ず押す。21はブレード10の上昇/下降を切り替える上昇/下降スイッチである。上昇スイッチを押すとブレード10が所定の位置まで上昇する。下降スイッチを押すとブレード10が所定位置まで下降する。22はアーム8の移動先の切り替えをする移動スイッチである。前方移動のスイッチを押すとアーム8が円形の熱盤3の中心まで移動する。後方移動スイッチを押すとアーム8が原点まで移動する。23はスイッチを下げると、ブレード10が回転する回転スイッチである。スイッチを下げている間のみ、ブレード10が回転する。
【0022】
次に、次に本発明の装置を使用してクレープを焼く方法について説明する。
電動シリンダにより昇降可能なメカシリンダを上昇させてブレードを所定高さに位置させた状態で水容器の中心位置までアーム回転モーターで駆動するアームにより水平回動させ、ブレードを水容器の中心位置に下降させて該ブレードを洗浄する工程と、ブレードの洗浄後、該ブレードを電動シリンダにより上昇させ前記アームを介してブレードを熱盤の中心部に回動させる工程と、所定温度に加熱した円形の熱盤上の中心部に予め設定した定量のクレープ生地を投与した後、電動シリンダによりブレードを前記熱盤の中心部に下降させ、該ブレード回転モーターにより回転する回転軸に着脱自在に取付けた断面円形の丸棒からなるブレードの最下端が熱盤に近接した状態でブレードを数秒間で数回転させてブレードを線接触状態でクレープ生地に接触させてクレープ生地を円形に均す工程と、クレープの膨潤を考慮してブレードを0.8mm以内の範囲で上昇させた状態でブレードを1回転させてブレードに付着したクレープ生地残渣をクレープ側に移すとともにクレープ表面を均一に均す工程と、ブレードを上昇させてブレードを焼き上げたクレープから離反させ該ブレードを水容器位置まで前記アームを介して回動させてブレードを水容器内に位置させて使用後のブレードを洗浄し、再びブレードを熱盤の中心部まで回動させる工程を備えている。
すなわち、約200℃前後の温度に加熱した熱盤3上の中心部に図6で示すように予め設定した器具を使用して定量のクレープ生地を投与した後、電動シリンダ9により昇降及び回転自在な回転軸9aを円形の熱盤3の中心部に位置させた状態まで回動させて停止させる工程と、回転軸9aの先端部に着脱自在に取付けた断面円形の丸棒からなるブレード10の最下端を熱盤3に例えば0.5mmから1mmの範囲に近接させた状態でブレード10を0.8秒から1秒の間に数回転させてブレード10を線接触状態でクレープ生地Cに接触させてクレープ生地を円形に均す工程と、ブレード10を数回転させた後、クレープの熱による膨潤を考慮して例えばブレードを0.8mm以内の範囲で回転軸9a及びブレード10を上昇させた状態で、ブレード10を1回転させてブレード10に付着したクレープ生地残渣をクレープ側に移すとともにクレープ表面を均一にブレード10の最下端で均す工程と、電動シリンダ9の駆動により回転軸9aを所定の高さまで上昇させてアーム8を介して回転軸9aを水容器12の中心位置まで回動させて停止後回転軸9aを下降させて水容器12内で使用後のブレード10を回転させながら洗浄した後、アーム8を回動させて回転軸9aを熱盤3の中心部まで回動させる工程を備える。以後、この動作を繰返す。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のクレープ製造方法及びクレープ焼き装置の提供により、クレープ上部の周縁部はパリパリした食感を味わうことができ子供から大人まで受入れられる装置であり、クレープ製造職人でない素人でも操作して仕上がりの良いクレープが短時間で量産でき、客の前で実演しながら衛生的な環境下でクレープを提供でき、クレープ製造業界における販路拡大が図れる。
【符号の説明】
【0024】
1 基礎
2 作業台
3 円形の熱盤
5 アーム回転モーター
6 回転軸
7 ブレード回転モーター
8 アーム
9 電動シリンダ
9a 回転軸
10 ブレード
12 水容器
13 スイッチとボタンを備えた操作箱
C クレープ生地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動シリンダにより昇降可能なメカシリンダを上昇させてブレードを所定高さに位置させた状態で水容器の中心位置までアーム回転モーターで駆動するアームにより水平回動させ、ブレードを水容器の中心位置に下降させて該ブレードを洗浄する工程と、ブレードの洗浄後、該ブレードを電動シリンダにより上昇させ前記アームを介してブレードを熱盤の中心部に回動させる工程と、所定温度に加熱した円形の熱盤上の中心部に予め設定した定量のクレープ生地を投与した後、電動シリンダによりブレードを前記熱盤の中心部に下降させ、該ブレード回転モーターにより回転する回転軸に着脱自在に取付けた断面円形の丸棒からなるブレードの最下端が熱盤に近接した状態でブレードを数秒間で数回転させてブレードを線接触状態でクレープ生地に接触させてクレープ生地を円形に均す工程と、クレープの膨潤を考慮してブレードを0.8mm以内の範囲で上昇させた状態でブレードを1回転させてブレードに付着したクレープ生地残渣をクレープ側に移すとともにクレープ表面を均一に均す工程と、ブレードを上昇させてブレードを焼き上げたクレープから離反させ該ブレードを水容器位置まで前記アームを介して回動させてブレードを水容器内に位置させて使用後のブレードを洗浄し、再びブレードを熱盤の中心部まで回動させる工程を備えたことを特徴とするクレープの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、断面円形の丸棒からなるブレードの最下端を熱盤に近接させる時に、ブレードを前記熱盤の中心部に位置させた状態で断面円形の丸棒からなるブレードはブレード回転モーターにより回転する回転軸の下端取付け位置に近い部分から次第に円周方向に向かうに従い熱盤に近接するように僅かに傾斜させて取付けてクレープ外周部分の焼き上がりをパリパリの食感を持たせて焼き上げることを特徴とする請求項1記載のクレープの製造方法クレープの製造方法。
【請求項3】
電動シリンダにより昇降するブレードを設け、該ブレードは所定温度に加熱した熱盤の中心部位置から水容器の中心部までをアームを介して往復回動し、熱盤の中心部位置及び水容器の中心部の各位置で昇降しブレードを回転させるブレード回転モーターで回転する回転軸の下端に断面円形の丸棒からなるブレードを着脱自在に装着し、該ブレードは最下端部位で熱盤中心部に投与されたクレープ生地を線接触状態で数秒間に数回転させる手段と、該ブレードの数回転後に1mm以内の範囲で回転軸を上昇させて該ブレードを1回転させて断面円形の丸棒からなるブレードに付着したクレープ生地残渣を膨潤したクレープ側に移動させると同時にクレープ表面を前記ブレードの最下端の線接触部位で均一に均す手段を備えとともに、使用後のブレードを前記水容器内で回転させて洗浄する手段を備えていることを特徴とするクレープ焼き装置。
【請求項4】
請求項3の発明において、クレープの外周部分の焼き上がりをパリパリの食感を持たせるためにブレード回転モーターにより回転する回転軸の下端に着脱自在に装着した断面円形の丸棒からなるブレードを回転軸の取付け位置に近い部分から次第に円周方向に向かうに従い熱盤に近接するように僅かに傾斜させて取付けたことを特徴とするクレープ焼き装置。
【請求項5】
請求項3の発明において、ブレード回転モーターにより回転する回転軸の下端に着脱自在に装着した断面円形の丸棒からなるブレードの形状は、回転軸の先端部に取付けたブレードは左右横方向に中間部位までまっすぐに伸び、右側に伸びる丸棒と同じ長さの真っ直ぐに伸びる左側の丸棒はブレードの回転方向に対し、徐々に内側に向けて湾曲する湾曲線形状に形成し、湾曲した丸棒の先端は熱盤の円形外周に達する長さに形成したことを特徴とするクレープ焼き装置。
【請求項6】
請求項3の発明において、熱盤の中心位置で垂直方向に上下に昇降するブレードは2本の略直交する断面円形の丸棒からなるブレードであって該直交する各ブレードの両端部がクレープの円形外周に達する長さに形成し、各ブレードは中心部近傍が直線的に形成され、途中から回転方向に対し内側に湾曲する形状に形成したことを特徴とするクレープ焼き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−34635(P2012−34635A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178210(P2010−178210)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(508242621)東都クリエート株式会社 (1)
【出願人】(502437517)野原産業 株式会社 (1)
【出願人】(510216120)株式会社日東パーツ (1)
【Fターム(参考)】