説明

クレーベースの止血剤およびその送達のためのデバイス

血液の凝固を促進するためのデバイスは、粒子の形をしたクレー材料およびそのクレー材料を収容するための容器を含む。その容器の少なくとも一部は、メッシュによって境界が限定されている。別のデバイスは、ガーゼ基材およびそのガーゼ基材に配置されたクレー材料を含む。別のデバイスは、基材と、その基材上に組み込まれたメッシュと、そのメッシュ中に保持されたクレー材料の粒子とを含む絆創膏である。止血スポンジは、基材と、その基材の第1の表面に配置された止血材と、その基材の第2の表面に配置された剥離剤とを含む。その剥離剤は、基材の傷口と接する表面に配置されている。出血している傷口を治療するとき、止血スポンジの適用によって、止血材の少なくとも一部の、剥離剤および基材を通る血液との接触が生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2006年5月26日に出願し、題名が「血液凝固化合物(Blood Clotting Compound)」である米国特許仮出願第60/808618号;2006年6月1日に出願し、題名が「酸化セルロースパッドを備えた止血デバイス(Hemostatic Device with Oxidized Cellulose Pad)」である米国特許仮出願第60/810447号;2006年10月6日に出願し、題名が「止血剤組成物および製造の方法(Hemostatic Compositions and Method of Manufacture)」である米国特許出願代理人整理番号第6989-0067号;および2006年10月20日に出願し、題名が「出血している傷口に止血剤を送達するためのデバイスおよび方法(Devices and Methods for the Delivery of Hemostatic Agents to Bleeding Wounds)」米国特許出願代理人整理番号第6989-0069号と関連する、2006年10月30日に出願した米国特許出願第11/590427号の優先権を主張するものであり、上で引用した出願のすべての内容は、それら全体として参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は概して止血を促進する薬剤およびデバイスに関し、より詳しくはクレーベースの止血剤および出血している傷口にそれを送達するためのかかる薬剤を包含しているデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
血液は、液相中に分散した、赤血球、白血球、小体、および血小板を含む液体組織である。その液相は、酸類、脂質類、可溶化された電解質類、およびタンパク質類を含む血漿である。そのタンパク質類は、その液相中に懸濁しており、様々な方法、例えば、濾過、遠心分離、電気泳動、および免疫化学的技法などのいずれかによって、その液相から分離することができる。その液相中に懸濁している1つの特別なタンパク質がフィブリノゲンである。出血が起こると、そのフィブリノゲンは、水およびトロンビン(酵素)と反応して血液中に溶解せず、重合して血餅を形成するフィブリンを形成する。
【0004】
多岐にわたる状況の中で、ヒトを含めた動物は、負傷し得る。多くの場合そのような負傷には出血が伴う。状況次第でその負傷および出血は軽微であり、簡単な応急処置に加えての正常な血液凝固作用が必要なことのすべてである。しかしながら、不幸にしてその他の状況においては大量の出血が起こり得る。このような状況は、通常専門の設備および材料ならびに適切な助けを施す訓練を受けた人材を必要とする。そのような助けが迅速に得られない場合は、過剰な血液喪失が起こり得る。出血が重度のときは、たまに、設備および訓練を受けた人材の即座の利用が可能でも、直ちに血液の流れを止めるのには依然として十分ではない。
【0005】
その上、重傷は、適切な医療扶助が早急には得られない辺ぴな地域または状況、例えば戦場などで多くの場合負わされ得る。このような場合に、たとえ重傷とまではいかなくても負傷したヒトまたは動物が治療を受けることができる時間、出血を止めることが重要である。
【0006】
上記の問題に対処する努力の中で、従来の援助が利用できないかまたは効果が決して最適までいかない状況における、過剰な出血を制御するための材料が開発されている。これらの材料は、多少は功を奏することが示されてはいるが、それらは時に外傷に対しては十分に効果がなく、かつ高価である傾向がある。さらにこれらの材料は、時に状況によっては効果がなく、創傷への適用ならびに創傷からの除去が困難であり得る。
【0007】
加えて、または別に、これまでに開発された材料は、望ましくない副作用を生じ得る。例えば、従来技術の血液凝固材料の1つのタイプは、一般に、粉末または微細な粒子であり、その材料の表面積が、血液にその材料を適用する際に発熱反応をしばしば生じる。しばしば、過剰な材料が傷に不必要に注がれて、それが発熱効果を増幅させる可能性がある。その材料の特有の特性により、得られる発熱は、患者に不快症状を引き起こし、患者にやけどさえさせるのに十分であり得る。いくつかの従来技術の特許は、得られる発熱を、焼灼と同様の傷に対する凝固効果を提供することができる望ましい特徴であるとして具体的に挙げているが、その傷口およびその周辺の組織は望ましくない影響を受ける可能性がある。
【0008】
その上、そのような材料を傷から取り除くためには、傷の洗浄が多くの場合必要となる。不快症状またはやけどを引き起こすような量の材料が施されている場合、その傷は即座に洗い流されることが必要であり得る。負傷したヒトまたは動物が必要な洗浄を提供できる施設にまだ輸送されていない場合においては、傷の望ましくない影響または過度の処置が生じ得る。
【0009】
出血は、また、外科手術の間の問題でもあり得る。切開の縫合またはステープリングあるいは内部で出血している領域は別として、出血は、多くの場合、出血部位に対して圧迫を加えるためおよび/または血液を吸収するために使用する、スポンジまたはその他の材料を用いて制御される。しかしながら、出血が過剰になるとこれらの手段は、血流を止めるのに十分でない可能性がある。さらに、発熱性の高い出血制御材料はどれも、出血部位の周辺組織を損傷する可能性があり、使用後に容易に除去されるように形成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願第11/590427号明細書
【特許文献2】米国特許仮出願第60/808618号明細書
【特許文献3】米国特許仮出願第60/810447号明細書
【特許文献4】米国特許出願代理人整理番号第6989-0067号明細書
【特許文献5】米国特許出願代理人整理番号第6989-0069号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述に基づいて、従来技術と関係する欠点について克服または改善する止血剤を提供することが本発明の全般的な目的である。上記止血剤を適用することができるデバイスを提供することも本発明の全般的な目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様によれば、本発明は、血液の凝固を促進し、それによって出血を制御するデバイスである。そのデバイスは、粒子の形をしたクレー材料およびそのクレー材料を収容するための容器を含む。その容器の少なくとも一部は、そのデバイスが出血部位に適用されたとき、クレーの粒子がその開口部を通って血液と接触するように開口部をそこに有するメッシュが特徴である。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、出血している傷口に対して止血効果を提供して傷口からの血流を制御することができる別のデバイスを備える。そのデバイスは、ガーゼ基材およびそのガーゼ基材上に配置されたクレー材料を含む。そのデバイスを出血している傷口に施す際、クレー材料の少なくとも一部が血液と接触して止血効果を生ずる。
【0014】
別の態様によれば、本発明は、出血している傷口に適用して血液の凝固を促進し、それによって出血を制御することができる絆創膏を備える。その絆創膏は、基材と、その基材上に取り付けられたメッシュと、そのメッシュ中に保持されたクレー材料の粒子とを含む。そのメッシュは、そのメッシュ中およびクレー材料中に血液が流れ込むことを可能にし、それにより凝固効果を生ずる開口部の境界を限定するように配置された複数の部材が特徴である。
【0015】
別の態様によれば、本発明は、出血している傷口に適用して血液を凝固させ、出血を制御することができる止血スポンジを備える。上記スポンジは、基材と、その基材の第1の表面に配置した止血材と、その基材の第2の表面に配置した剥離剤とを含む。その剥離剤は、血栓形成後にスポンジが傷口の組織に付着するのを防ぐために、基材の傷口と接触する表面に配置される。出血している傷口を治療するとき、止血スポンジの適用によって、止血材の少なくとも一部が、剥離剤および基材を通る血液と接触する。
【0016】
さらに別の態様によれば、本発明は、別の形態の止血スポンジを備える。そのような形態において、その止血スポンジは、フィルムおよびそのフィルムに組み込まれた止血材;基材、その基材上に配置された止血材、およびその止血材の上に配置されたフィルム;または2つの基材の間に挟まれた止血材を含むことができる。
【0017】
本発明の一つの利点は、他の材料、例えばゼオライトなどと違い、該クレー成分が血液と発熱反応を生じないことである。傷口における熱の発生の除去は、患者に対する不快症状および/またはさらなる損傷を最小にするのに役立ち、小児または高齢者患者などの特定の患者の治療、または治療する傷が特に敏感な、または細心の注意を要する領域であるとき、特に有用であり得る。
【0018】
別の利点は、クレーは、微粉化し、多数の表面に付着させることができ、それによって、様々な血液制御デバイスにおける成分としてのその使用を容易にすることである。特に、クレーは粒子の形で(例えば、メッシュ中またはフィルム中に保持して)使用することができ、あるいは、それは粉末の形で(例えば、ガーゼまたはスポンジを形成する繊維質基材に付着させて)使用することができる。いずれの実施形態においても、傷口における止血を促進するクレーの有効性は、使用できるのが1つの形のみ(例えば特定サイズの粒子)である類似の薬剤より改良されており、過剰な発熱反応などの望ましくない副作用を制限する。
【0019】
本発明のさらに別の利点は、本発明のデバイスおよび薬剤が、開放創に容易に適用されることである。特に、止血剤がメッシュまたは類似のデバイスに保持されるとき、またはそれが織物構造に組み込まれてガーゼを形成するとき、そのデバイスは、殺菌した包装から容易に取り出し、血液が出てくる点に直接配置または保持して凝固を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の血液凝固デバイスのメッシュ構造を示す略図である。
【図2】メッシュ構造中でクレー粒子の保持を示す図1の血液凝固デバイスの側面図である。
【図3】クレー材料をガーゼに組み込んでいる血液凝固デバイスを示す斜視図である。
【図4】クレー材料を布に組み込んでいる血液凝固デバイスを示す斜視図である。
【図5】出血している傷口に適用するためのメッシュコンテナ中にクレー粒子を組み込んでいる絆創膏を示す斜視図である。
【図6】止血能力を有するスポンジを示す略図である。
【図7】止血能力を有するスポンジの別の実施形態を示す略図である。
【図8】止血能力を有するスポンジの別の実施形態を示す略図である。
【図9】止血能力を有するスポンジの別の実施形態を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に開示されているのは、止血を促進するために、出血している傷口に適用することができる止血デバイス、および止血剤である。その止血剤は、一般に、出血している傷口に接触させると、血液の液相の少なくとも一部を吸収することによって、血の流れを最小限に抑えるかまたは停止させ、それによって凝固を促進することができるクレー材料、またはその他のシリカをベースとする材料を含む。しかしながら、本発明は、生体活性ガラス、生物学的止血剤、分子篩材料、珪藻土、前述のものの組合せなどの他の材料も本発明の範囲内であり、クレーと共にまたは別々に止血剤として使用することができるので、クレーに限定されるものではない。
【0022】
本明細書で使用される用語「クレー」とは、水和したケイ酸アルミニウムの結晶形態を意味する。クレーの結晶は、不規則な形をしており、水に不溶である。いくつかのタイプのクレーの水との組合せは、ある程度可塑性を有する塊を生じ得る。クレーのタイプによって、それらの水との組合せは、チキソトロピー性を有するコロイド状ゲルを生ずることができる。
【0023】
本発明の好ましい一実施形態において、該クレー材料は、鉱物「カオリナイト」を含むカオリンである。本発明を説明するために、以下、用語「カオリン」を使用するが、カオリナイトもカオリンと併せて、またはカオリンの代わりに使用することができる。しかしながら、カオリンまたはカオリナイトに関しても、本発明は限定されるものではなく、他の材料も本発明の範囲内である。かかる材料としては、アタパルジャイト、ベントナイト、前述のものの組合せ、前述のもののカオリンおよび/または珪藻土との組合せなどが挙げられるがそれらに限定はされない。
【0024】
本明細書で使用される用語「カオリン」とは、化学式Al2Si2O5(OH)4を有する軟質で土類のアルミノケイ酸塩クレーを指す(および、より具体的には、複八面体(dioctahedral)のフィロケイ酸塩クレーを指す)。カオリンは、ヒドロキシル基の酸素原子を介して連結しているアルミナ八面体からなる、四面体シートと八面体シートとを交互に有する、天然に存在する層状ケイ酸塩鉱物である。カオリンは、約50%のアルミナ、約50%のシリカ、および微量不純物を含む。
【0025】
より好ましくは、そのクレーは、フロリダ州のエドガー付近で採掘されて処理される、水洗されたカオリンクレーである、エドガープラスチックカオリン(Edgar's plastic kaolin)(以下「EPK」という。)である。エドガープラスチックカオリンは、望ましい塑性特性を有し、キャスタブルであり、水と混合したとき、チキソトロピー性のスラリーを生ずる。
【0026】
本発明のカオリン材料は、さらなる凝固機能および/または改善された効果を提供するために、その他の材料と混合するか、さもなければ一緒に使用することができる。かかる材料としては、硫酸マグネシウム、メタリン酸ナトリウム、塩化カルシウム、デキストリン、前述の材料の組合せ、および前述の材料の水和物が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0027】
傷口における殺菌環境を維持するため、またはクレーの凝固機能に対して補助となる機能を提供するために、様々な材料を、カオリンと混合したり、結び付けたり、またはカオリン中に組み込むことができる。使用することができる典型的な材料としては、以下に限定はされないが、薬学的に活性な組成物、例えば、抗生物質、抗真菌薬、抗菌薬、抗炎症薬、鎮痛薬、抗ヒスタミン剤(例えば、シメチジン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸プロメタジンなど)、銀イオンまたは銅イオン含有化合物、前述の組成物の組合せなどが挙げられる。さらなる止血機能を提供するために組み込むことができるその他の材料としては、アスコルビン酸、トラネキサム酸、ルチン、トロンビンなどが挙げられる。傷口に望ましい効果を有する植物薬剤もまた加えることができる。
【0028】
本発明における使用において、カオリン(またはその他のクレー材料もしくは珪藻土)は、粒子の形が好ましい。本明細書で使用する「粒子」としては、ビーズ、ペレット、顆粒、棒状体、または任意のその他の表面形態、もしくは表面形態の組合せが挙げられる。その表面形態に関係なく、その粒子は、有効径が、約0.2mm(ミリメートル)〜約10mm、好ましくは約0.5mm〜約5mm、より好ましくは、約1mm〜約2mmである。
【0029】
そのクレー粒子は、いくつかの様々な方法のいずれかによって製造することができる。そのような方法としては、混合、押出し、球形化などが挙げられる。そのクレーの混合、押出し、球形化のために利用することができる設備は、英国ドーセット州のCaleva Process Solutions Ltd.社から入手可能である。その他の方法としては、流動床またはペレット化装置の使用が挙げられる。クレー粒子の製造のための流動床は、米国ニュージャージー州ラムジーのGlatt Air Technologies社から入手可能である。クレー粒子製造のためのディスクペレタイザーは、米国ウィスコンシン州グリーンベイのFeeco international,Inc.社から入手可能である。好ましくは、該クレーは、適当なペレット化デバイスによって押出される。しかしながら、本発明は、粒子化クレーを製造するためのその他のデバイスおよび方法も本発明の範囲内であるので、これに限定されることはない。
【0030】
本発明で使用されるEPKは、粒子化され、乾燥され、約600℃に加熱される。粒子を形成する適当に均一なEPKの混合物を得るために、適当な混合装置を用いてEPKの塊に比較的高いせん断をかける。せん断をかける前にクレーの含水量を測定し、押出しおよびその後の取り扱いに対して、十分に実行可能な混合物を与えるために、含推量を約20重量%に調整する。
【0031】
約600℃へのEPKの加熱の間に、その材料はガラス化する。ガラス化は、EPK(またはその他のクレー材料)が、ガラス状の物質に転化することを可能にするための、繰り返される溶融と冷却のサイクルによって達成される。サイクルの数を増やすにつれて結晶構造は壊れ、非晶質の組成物をもたらす。EPKの非晶質性は、その後湿潤されたときのその構造的完全性をそれが維持することを可能にする。その結果、EPKは、使用中、例えば血液に適用されたとき、湿潤したときのその構造的完全性を維持する。しかしながら、本発明は、ガラス化されていないクレー材料も範囲内であるので、ガラス化したクレーの使用に限定されない。特にガラス化してないクレーも、出血している傷口に適用して止血をもたらすことができる。
【0032】
クレーの細胞凝固機構は、血液に適用したとき、特定の接触因子を活性化するものと考えられる。より具体的には、カオリン(特にEPK)は、血液中の水が吸収される機構を開始して、凝固機能を促進するものと考えられる。
【0033】
ここで図1を参照すると、粒子の形態のカオリンが組み込まれている止血デバイスの一実施形態が示されている。そのデバイスは、液体が流入し、内部に保持されているカオリン粒子に接触することができる浸透性のポーチである。密封した包装(図示せず)が、該止血デバイスを、それを使用するまで保存するための無菌環境を提供する。一般に10で示され、以下「ポーチ10」と称するデバイスは、スクリーンまたはメッシュ12およびそのスクリーンまたはメッシュによってそこに保持されている粒子化されたカオリン14を含む。そのメッシュ12は、すべての側面が閉鎖されており、粒子化されたカオリン14をその中に保持することができ、一方液体が貫流することが可能な開口部を画定している。図示されているように、そのメッシュ12は、平らに延びたものとして示されており、一例として少数の粒子化されたカオリン14の粒子のみが示されている。その粒子化されたカオリン14は、別のタイプのクレー、珪藻土などの粒子とブレンドされて、均一な混合物を形成していてもよい。
【0034】
そのメッシュ12は、相互に接続した材料のストランド、フィラメント、または条片によって境界が規定されている。そのストランド、フィラメント、または条片は、ガーゼに織り込むこと、より合わすこと、一体的に成型することなどを含むが、これらに限定されない方法の任意の1つまたは組合せで、相互に接続させることができる。好ましくは、その相互接続は、そのメッシュが、それによって境界が規定されている開口部の寸法を実質的に維持しながら、柔軟に動き得るようなものである。ストランド、フィラメント、または条片を作製する材料は、ポリマー(例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなど)、金属、グラスファイバー、または有機物(例えば、綿、羊毛、絹など)であり得る。
【0035】
ここで図2を参照すると、メッシュ12によって境界が規定されている開口部は、粒子化されたカオリン14を保持する大きさであるが、そこを通る血液の流れを許容する。メッシュ12は、粒子化されたカオリン14の周りにぴったりと引っ張られ得るので、その粒子は、その開口部を経て間隔dだけ広がることができる。その粒子が開口部を経て広がる場合、それらはポーチ10が適用される組織と直接接触する。従って、その組織から出てくる血液は、粒子化したカオリン14と速やかに接触し、その水相がカオリン中に運ばれ、それによって血液の凝固が促進される。しかしながら、その粒子がメッシュからはみ出すことは本発明の要件ではない。
【0036】
出血している傷口にポーチ10を適用するためには、そのポーチを包装から取り出してその出血している傷口に当てる。メッシュ12中の粒子化されたカオリン14は、その傷の組織および/またはその傷から出てくる血液と接触し、血液の液相の少なくとも一部がクレー材料によって吸着され、それによって凝固が促進される。メッシュ12の柔軟性によって、そのメッシュが、出血している傷口の形状に適合し、使用した際その形状を保持することが可能となる。
【0037】
ここで図3を参照すると、本発明の止血デバイスの別の実施形態は、20で概して示されるカオリンガーゼであり、以下、「ガーゼ20」と称する。カオリンを、任意の適当な方法を用いてガーゼ基材に塗布し、ガーゼ20が得られる。ガーゼ基材にカオリンを塗布する1つの典型的な方法は、該基材をカオリン/水スラリー中に浸すものである。本発明は、カオリン粒子、フレーク、チップ、ビーズ、棒状体、顆粒などを代わりにまたはさらに使用するので、この点に関して限定はしないが、そのスラリーのために使用するカオリン材料は、好ましくは細く粉砕したカオリン粉末である。そのガーゼ基材は、綿、絹、羊毛、プラスチック、セルロース、レーヨン、ポリエステル、前述のものの組合せなどを含むが、これらには限定されない任意の適当な、織られたまたは織られていない繊維質材料であり得る。しかしながら、ガーゼ基材として、フェルトなどもまた本発明の範囲内であるので、本発明は、織られたまたは織られていない繊維質材料に限定はされない。
【0038】
しかしながら、本発明のガーゼ20は、カオリンに限定はされず、その他のクレー類、例えばアタパルジャイト、ベントナイト、およびそれらの組合せなどもカオリンの代わりまたはカオリンに加えて使用することができる。その上、その他のシリカをベースとする材料、例えば生体活性ガラス、珪藻土、それらの組合せなども、前述のクレー材料のいずれかに加えて、または代わりに利用することができる。
【0039】
いずれの実施形態においても該カオリンがガーゼ基材上で乾燥されてガーゼ20が形成された時点で、そのガーゼは十分に柔軟性があって、そのガーゼを折り曲げたり、巻き取ったり、あるいはさもなければ包装のために操作することができる。
【0040】
ガーゼ20の基材の柔軟性は、そのガーゼが出血している傷口の形状に合う形を成し、使用したときその出血している傷口の形状を保持することを可能にする。
【0041】
ガーゼ基材上にカオリン(またはその他のクレー)のコーティングを堆積させる1つの方法としては、カオリン/水スラリーを加熱することが挙げられる。より高温であるほどカオリンの基材への付着が促進される傾向があるので、好ましくは、そのスラリーは沸騰するまで加熱される。しかしながら、本発明はこの点で限定されることはなく、該スラリーは、カオリンコーティングの望ましい特性に応じてより低い温度まで加熱してもよい。スラリーの沸騰は、また、カオリンを液相中に均一に分散させる攪拌の効果的な形態も提供する。
【0042】
次に、該基材を、沸騰しているスラリーに、カオリンをその基材上に堆積させる十分な時間浸す。湿潤したカオリン、および、ガーゼまたは基材を作製する材料のレオロジーにより、そのカオリンは、その基材の表面に直接フィルムとして付着し得るかまたはそれはストランドのすき間の中、ならびにそのストランド自体に沿って塊になることができ、それによって繊維マトリックス中に捕捉される。
【0043】
カオリンのコーティングを基材に堆積させる別のやり方としては、スラリーの形態のカオリンを、吹き付け技法、スロットダイ技法またはそれらの組合せを用いて、ガーゼ基材の片面に塗布することが挙げられる。いずれの技法の使用においても、ガーゼ基材に塗布するスラリーの量は、その基材の飽和状態を避けるか、少なくとも最小限にするために制限される。好ましくは、スロットダイ技法を用いる塗布のための、適当な粘度を有するその材料の安定な懸濁液を提供するために、カオリン(またはその他のクレー)のコロイド形態が使用される。
【0044】
一旦吹き付けられ、またはスロットダイ技法を用いて塗布されたら、次に、その被覆したガーゼ基材は、そのカオリンを基材材料中にさらに埋め込むために、巻き取られるかこすりつけられる。次に、そのガーゼ基材を乾燥する。
【0045】
実施形態によっては、該カオリンは、バインダーを用いてガーゼ基材に接着させることができる。バインダーを使用する複数の実施形態において、そのバインダーの材料は、生体適合性である。好ましいバインダーとしては、キトサンならびにポリビニルアルコールが挙げられ、両方とも接着特性を有し、生物組織に適合し、止血効果を発揮する。
【0046】
このデバイスを製造するための1つの例示的な方法は、ロールから綿ガーゼを巻き戻すステップ、そのガーゼを止血材および水のスラリーに浸すステップ、その濡れたガーゼを高圧下で巻き取ることによってそのガーゼに圧力を加えて、該止血材をガーゼの材料中に組み入れるステップ、その巻き取った濡れたガーゼを乾燥するステップ、および、そのガーゼから粉塵を取り除くステップ(例えば、エアナイフもしくはエアノズルを用いる噴射仕上げ、静電エネルギーの使用、真空引き、または直の接触ブラシによるブラッシングによる)を含み得る。そのガーゼからの粉塵の除去に続いて、そのガーゼの裏は、ロールに巻き戻してもよく、またはそれは個別の包装用としてシートに切断してもよい。
【0047】
ガーゼ上に保持されるカオリンの量および一体性を最適化するために、1つまたは複数の可変部分を操作することができる。これらの可変部分としては、スラリー温度、浸漬時間、スラリー攪拌方法、および(スラリーの)液体のタイプを挙げることができるがこれらに限定はされない。スラリー温度の上昇は、上で示したように、カオリンのガーゼ上の保持に役立つ。攪拌は、ノズルによる空気またはその他のガスの押し込み、かき混ぜ、泡立て、沸騰、または超音波振動により実施することができる。
【0048】
スラリーに使用する液体は、また、水以外の何かであり得る。例えば、その液体は、アンモニア水の溶液であり得る。アンモニア水は、特定の繊維質材料、例えば、ガーゼを製造するために一般的に利用される材料などの膨潤を引き起こすことが見出されている。
【0049】
ここで図4を参照すると、本発明の止血デバイスの別の実施形態は、30で概して示され、以下「布30」と称する、止血特性を有する布である。布30は、止血性生体物質が注入または含浸されている、織られたまたは織られていないストランドまたはフェルトなどによって定義することができる繊維である。布30の繊維中に注入または含浸させることができる止血材としては、粒子32の形態のクレー類(例えばカオリンなど)、その他のシリカをベースとする材料(例えば、珪藻土、それらの組合せなど)、キトサン、前述のものの組合せなどが挙げられるが、それらに限定はされない。かかる材料が布に注入または含浸される複数の実施形態において、その材料は、好ましくは、水和状態で布に組み込み、後で乾燥する。
【0050】
ガーゼまたは布の実施形態のいずれにおいても、そのガーゼまたは布材料は、多糖類または類似の材料によって架橋させることができる。
【0051】
ここで図5を参照すると、本発明の別の実施形態は、メッシュ12に保持され、傷に適用することができる(例えば、その絆創膏50を着用者の皮膚に接着させる感圧接着剤を用いる)柔軟性基材52に取り付けられている粒子化されたカオリン14(または何か別のクレー材料もしくは珪藻土)を含む、50で示されている絆創膏である。メッシュ12は、絆創膏50を形成するために、基材52に縫い合わされているか、糊付けされているか、さもなければ取り付けられている。
【0052】
基材52は、負傷したヒトまたは動物の、皮膚の出血している傷口の上または最も近くに保持されることを促す、プラスチックまたは布の部材である。接着剤54は、負傷したヒトまたは動物の皮膚に当てる基材52の表面に配置される。特に基材52が通気性のないプラスチック材料である場合は、その基材は皮膚表面から蒸発する水分の消散を可能にする穴56を含むことができる。
【0053】
ここで図6を参照すると、本発明の別の実施形態は、基材62、その基材62の1つの面に配置されている粒子化されたカオリン14(または何か別のクレー材料もしくは珪藻土)、およびその基材の反対の面に配置されている剥離剤64を含む、60で示されているスポンジである。そのスポンジ60は、傷ついた組織へのスポンジの接着を最小限にする一方で、傷から、そして、剥離剤64および基材62を通って出てくる血液と粒子化したカオリン14との十分な接触を可能にする。そのスポンジ60は、また、生体組織に適合する。
【0054】
基材62は、マトリックスの範囲を限定する吸収性のガーゼ材料である。しかしながら、本発明は、他の材料、例えばレーヨン/ポリエステルセルロースブレンドなども本発明の範囲内であるので、それに限定はされない。基材62を作製することができるその他の材料としては、織布、不織布、紙(例えばクラフト紙など)、およびセルロース材料(例えば、ボール、スワブなどの形態の綿)が挙げられる。基材62を作製することができるいずれの材料も、弾性の性質を有することができる。弾性材料が基材62として使用されるとき、特にスポンジを、傷口を覆う場所に固定するために、表面粘着剤または機械的な留め具を加える実施形態においては、そのスポンジ60は、止血デバイスおよび圧迫絆創膏の両方となる。
【0055】
スポンジ60で使用する止血剤は、粒子化したカオリン14に限定されない。その他の材料、例えば、アタパルジャイト、ベントナイト、前述のものの組合せ、前述のもののカオリンとの組合せなどを使用することができる。本発明は、また、クレーには限定されず、その他の材料、例えば、生体活性ガラス、生物学的止血剤、珪藻土、それらの組合せ、それらのクレーとの組合せなども本発明の範囲内である。
【0056】
粒子化したカオリン14は、そのクレーまたはその他の止血材を、バインダーを用いるか、止血材をマトリックス内に捕捉するなどして、直接その基材の材料中に、含浸させるか、さもなければ組み込むことによって、クーロン力を介して基材62に結合させることができる。
【0057】
粒子化したカオリン14を基材62に結合するためにバインダーを使用するとき、そのバインダー材料は、付加的な機能をそのスポンジ60に提供することができる。そのバインダーを作製することができる材料としては、キトサン、ポリビニルアルコール、グアーガム、ゼラチン化デンプン、多糖類、セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、アルギン酸カルシウムなど、ならびに前述のものの組合せが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0058】
粒子化したカオリン14を基材62中に直接組み込む複数の実施形態において、その粒子化したカオリンは、基材作製の途中で加えることができる。その基材がレーヨンおよびポリエステルを含む不織ガーゼ材料である場合は、その粒子化したカオリン14は、レーヨンおよびポリエステルの繊維の中または上に組み込むことができる。例えば、その粒子化したカオリン14は、粉末の形態をしていて溶融ポリエステルに加えることができ、ポリエステル繊維をそのポリエステル/止血材溶融物から引き出すことができる。その基材が織られたガーゼ(例えば綿)である場合は、粉末形態のカオリン14は、その木綿糸中に糸の形成途中で組み込むことができる。
【0059】
剥離剤64は、血餅の形成後の傷口の組織からのスポンジ60の容易な除去を促すために、基材62の傷口と接触する側に配置される材料である。その剥離剤64は、連続フィルムであり得、またはそれは基材の表面で不連続であり得る。剥離剤として使用することができる1つの材料は、薄膜として形成することができ、スポンジ60の吸収性および液体浸透性に著しく影響することのない、生体適合性材料の、ポリビニルアルコールである。その剥離剤64は、基材62の傷口と接触する面に直接塗布することができる。
【0060】
別法では、その剥離剤64は、基材62の傷口と接触しない面に、クレーと剥離剤のスラリーとして塗布することができる。かかる実施形態においては、該ポリビニルアルコールの濃度は、そのアルコールの少なくとも幾分かが基材62の傷口と接する面に浸透し、同時にそのクレー材料が傷口と接触しない面上またはその近くに留まるようになるものである。いずれの実施形態においても、該ポリビニルアルコールは剥離剤としてのみでなく、粒子化したカオリン14の粉塵を抑える薬剤としての役目を果たす。
【0061】
剥離剤として使用することができ、本発明の範囲内にあるその他の材料としては、シリコーンおよびゼラチン化デンプンが挙げられるが、これらに限定はされない。ポリビニルアルコールと同様に、いずれもフィルムの形で適用することができる。
【0062】
スポンジ60は、そのスポンジに放射線不透過性を付与する成分をさらに含むことができる。かかる実施形態においては、硫酸バリウムを、粒子化したカオリン14を含むスラリー中に組み込み、基材62に塗布することができる。
【0063】
スポンジ60は、水またはアルコールをさらに含ませて、それによりそのスポンジを拭き取り具として使用することを可能にすることができる。
【0064】
ここで図7を参照すると、スポンジの別の実施形態が概して160で示されている。スポンジ160は、粒子化したカオリン14がその中に分散しているフィルム162を含む。スポンジ160の物理的完全さは、フィルム162によって維持される。フィルム162が作製される材料は、好ましくは、ポリビニルアルコールである。スポンジ160の作製においては粒子化されたカオリン14をポリビニルアルコール中に分散させ、それを次にシートに成型する。スポンジ160は、絆創膏に組み込まれたとき特に役立つ。
【0065】
ここで図8を参照すると、スポンジの別の実施形態が、概して260で示されている。スポンジ260は、基材262、その基材上に配置された粒子化したカオリン14、および止血材上に配置されたフィルム266を含む。その粒子化されたカオリン14は、結合していない(バインダーを含まない)血液凝固剤であり、好ましくはスポンジ260の折り畳みを容易にするために基材262上に条片状に配置されている。そのフィルム266は、ポリビニルアルコールなどであり、粒子化したカオリン14を包含すること、および粉塵の発生を最小限にすることの両方のために塗布されている。出血している傷口に適用すると、傷口からの血液は、基材262中に運ばれ、粒子化したカオリン14と接触する。
【0066】
ここで図9を参照すると、スポンジの別の実施形態が、概して360で示されている。スポンジ360は、2つの基材362の間に挟まれた粒子化したカオリン14を含む。基材362は、任意の適当な方式、例えば、粒子化したカオリン14が選択的に存在しない領域を介するヒートシール、選択した領域における接着剤もしくはバインダーの使用、スポンジ360全体を覆う材料(例えばポリビニルアルコールなど)の封じ込めフィルムの貼り付け、あるいは前述のどれかの組合せなどにより、一緒に結合させることができる。
【0067】
スポンジ60(ならびに160、260、および360で示されているスポンジ)は、折り畳んで様々な様式で使用することができる。スポンジ60は、粉塵の問題および止血材の基材62からの脱離を最少にするように、粒子化したカオリン14が配置されている表面が折り畳んだスポンジの内側表面になるように折り畳むことができる。スポンジ60(ならびに160、260、および360)は、また、ひだのある形、または端に沿って付いている多数のはっきりと区別できる層を生ずる立体配置に折り畳むこともできる。スポンジ60を上記の様式で構成することによって、様々な応用の順応性および吸収性の要件に対応することができる。該スポンジ60は、また、負傷したヒトまたは動物の傷を包むために、あるいはシリンダーまたはスワブ中への組込みのために、細長い条片に切断または成型することもできる。該スポンジ60は、また、メッシュ容器に詰めるなどの用途のための小片に、切断したり、切り取ったり、すりつぶしたり、またはさもなければ成型したりすることもできる。
【実施例1】
【0068】
綿のガーゼのカオリンクレーを保持する能力に対するスラリー温度の影響
カオリン/水のスラリーの温度を変えて綿ガーゼのカオリンクレーを保持する能力を評価した。カオリンがスラリーの全体重量の40%である水とEPKとのスラリーを調製した。綿ガーゼを様々な温度の前記スラリー中に浸漬し、濡れたスポンジを加圧下で巻き取り、乾燥させることにより3つのスポンジを作製した(各ガーゼ片から1つ)。下の表は、各スラリーに対するパラメーターおよび得られた結果を示す。
【0069】
【表1】

【0070】
終了後ガーゼ重量は、巻き取りおよび乾燥後のガーゼの重量である。スラリー温度を上昇させると、保持されるカオリンの量が増加することがわかった。これに対する理論は、ガーゼの綿繊維構造が高温の液体中のその浸漬によって緩められ、肥大したということである。
【実施例2】
【0071】
止血デバイスを形成するための乾燥綿ガーゼに対する乾燥カオリンの適用
乾燥カオリンを乾燥綿ガーゼに適用した。次に、そのガーゼを巻き取った。そのガーゼ上のカオリン保持の量は、明白にかつ著しく、試料3のガーゼ(実施例1)に保持されたカオリンの量より少なかった。しかしながら、この試料は、ヒツジの全血において加速されなかった血液の凝固時間より70%凝固時間を速めた。
【0072】
本発明をその詳細な実施形態について示しかつ説明してきたが、様々な変更を行うことが可能であり、本発明の範囲から逸脱することなくその要素について等価物を置換することが可能であることは、当業者であれば理解されよう。さらに、本発明の教示にその本質的範囲から逸脱することなく特定の状況または材料を適合させる修正を行うことができる。それ故、本発明は、上の詳細な説明で開示した特定の実施形態に限定するのではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に入るすべての実施形態を含めることを目的とする。
【符号の説明】
【0073】
10 ポーチ
12 メッシュ
14 カオリン
d 間隔
20 ガーゼ
30 布
32 粒子
50 絆創膏
52 柔軟性基材
54 接着剤
56 穴
60、160、260、360 スポンジ
62、262、362 基材
64 剥離材
162、266 フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出血している傷口に止血効果を提供することができるデバイスであって、
柔軟なガーゼ基材と、
前記ガーゼ基材上に配置されたクレー材料と、を含み、
出血している傷口を治療するとき、前記デバイスの適用によって前記クレー材料の少なくとも一部を血液と接触させるようにするデバイス。
【請求項2】
前記クレー材料がカオリンである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記クレー材料が、アタパルジャイト、ベントナイト、カオリン、および前述の材料の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ガーゼ基材上に配置された珪藻土をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記クレー材料が、硫酸マグネシウム、メタリン酸ナトリウム、塩化カルシウム、デキストリン、前述の材料の水和物、および前述の材料の組合せからなる群から選択される材料をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
抗生物質、抗真菌薬、抗菌薬、抗炎症薬、鎮痛薬、抗ヒスタミン剤、銀イオンまたは銅イオン含有化合物、および前述の組成物の組合せからなる群から選択される薬学的に活性な組成物をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ガーゼ基材が、綿、絹、羊毛、プラスチック、セルロース、レーヨン、ポリエステル、および前述のものの組合せからなる群から選択される材料から作製される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記クレー材料を前記ガーゼ基材に付着させるバインダーをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記バインダーが、キトサンまたはポリビニルアルコールである、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
血液の凝固を促進するためのデバイスを製造する方法であって、
クレーと水とのスラリーを提供するステップと、
第1のロールからガーゼを巻き戻すステップと、
前記クレーと水とのスラリーを前記ガーゼ上に堆積させるステップと、を含む方法。
【請求項11】
前記クレーと水とのスラリーを前記ガーゼ上に堆積させる前記ステップが、前記ガーゼを前記スラリー中に浸すステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記クレーと水とのスラリーを前記ガーゼ上に堆積させる前記ステップが、スロットダイ技法を利用するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記クレーと水とのスラリーを前記ガーゼ上に堆積させる前記ステップが、前記スラリーを前記ガーゼに吹き付けるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
濡れた前記ガーゼに圧力を加えることによって、前記クレーを前記ガーゼ中に組み込むステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ガーゼから粉塵を除去するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記クレーを組み込んだ前記ガーゼを第2のロールに巻き付けるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ガーゼを切断してシートにするステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記ガーゼから粉塵を除去する前記ステップが、前記ガーゼに空気を吹き付けるステップ、前記ガーゼに静電エネルギーを加えるステップ、前記ガーゼを真空引きするステップ、および前記ガーゼにブラシがけするステップからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ガーゼが絆創膏中に組み込まれている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記絆創膏が接着剤を含む、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
剥離剤をさらに含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項22】
前記剥離剤が、ポリビニルアルコール、シリコーン、およびゼラチン化デンプンからなる群から選択される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
放射線不透過成分をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
バインダーを前記スラリーに加えるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
前記バインダーが、キトサンまたはポリビニルアルコールである、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−508064(P2010−508064A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534569(P2009−534569)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/016509
【国際公開番号】WO2008/054566
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(508287415)ゼット メディカ コーポレーション (1)
【氏名又は名称原語表記】Z−Medica Corporation
【住所又は居所原語表記】4, Fairfield Boulevard, Wallingford, CT 06492 U.S.A
【Fターム(参考)】