説明

クレーンゲーム機の難易度調整装置

【課題】管理者等が目標とする景品取得率を設定しゲームで得られる実際の景品取得の状態を得、所定の演算により実際の景品取得率を算出し、算出した景品取得率と目標とする景品取得率の差がなくなるようにキャッチャー部のアームの把持力を変化させるなど調整機構の調整によって自動的にゲーム難易度を調整するクレーンゲーム機の難易度調整装置を提供する。
【解決手段】操作ボタン6,操作レバー5を操作することによりキャッチャー2は左右,前後に移動し、下降して景品13を把持する。制御部は景品取得数検出手段,プレイ回数設定手段および移動平均景品取得率算出手段を有しており、目標とする景品取得率より実際の景品取得率が小さい場合、キャッチャー機構のアームの把持力を大きくする。目標とする景品取得率より大きい場合、キャッチャー機構のアームの把持力を小さくすることにより難易度調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め設定した景品の取得率に対し実際の取得率を算出し、その増減に対応してアームの把持力などを変化させることにより難易度の調整を行うクレーンゲーム機の難易度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
難易度の調整を行う方法として、キャッチャー部のスプリングの強さを調整して把持力を変化させ、難易度の調整を行うものがあった。
【0003】
難易度の調整を行うためには筐体を扱う店舗経営者などが難易度を変更するごとに毎回手動で設定の変更を行わなければならなかった。また、難易度が変更されたとしてもキャッチャーの把持力を変更することによる難易度調整であるため、プレイヤからは何がどう変わったのかが非常に分かりにくいものであった。
【0004】
この種のクレーンゲーム機のキャッチャー部の構造の従来例を示す。
図7は特許文献1のキャッチャー部の構造を示す図である。
モータ132により移動部材134が上下に移動する。上方への移動限界はリミットスイッチ139で制限し、下方への移動限界はモータの回転数によって制御している。
景品108を掴むときの把持力は移動部材が一番上にあるときに、バネ141の押す力によってきまる。
把持力の調整は、管理者等が調整ネジ144を回して、バネ受け143を上下に移動させ、バネの押す力を変化させて行う。
【0005】
図8は特許文献2のキャッチャー部の構造およびその部分拡大図である。
モータ150の回転によってウォーム152が回転し、該ウォーム152に連動してウォームホイール142,143が回転し、突出し部144,145が上下に動く。
突出し部144,145が下に動こうとすると、当接されたアーム130,131が押し出され開く。突出し部144,145が上に動くと、付属されたスプリング156,157が引っ張られ把持力を増加させる。
把持力の調整は、管理者等が突出し部の上下の移動量によって行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−227474号公報
【特許文献2】特開2005−34249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のクレーンゲーム機のキャッチャー部のアーム把持力調整機構は、このように手動によってアームのバネ力を調整することによって行っていた。
本発明の目的は管理者等が目標とする景品取得率を設定しゲームで得られる実際の景品取得の状態を得、所定の演算により実際の景品取得率を算出し、算出した景品取得率と目標とする景品取得率の差がなくなるようにキャッチャー部のアームの把持力を変化させるなど調整機構の調整によって自動的にゲーム難易度を調整するクレーンゲーム機の難易度調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、景品取得率の難易度を変化させる景品取得難易度調整手段を有し、キャッチャー機構により景品を把持して払い出すクレーンゲーム機の難易度調整装置において、景品取得数とプレイ設定回数とによって平均景品取得率を算出する景品取得率算出手段と、目標とする景品取得率を設定する目標景品取得率設定手段と、算出した前記平均景品取得率が目標とする景品取得率より異なる場合、前記景品取得難易度調整手段により目標とする景品取得率になるように難易度を調整する自動調整部とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2は請求項1記載の発明において、景品取得率の難易度を変化させるためアームの把持力を調整する機構を有するキャッチャー機構と、景品取得数n1 を検出する景品取得数検出手段と、移動平均景品取得率を算出するためのプレイ設定回数m1 を設定するプレイ設定回数設定手段と、目標とする移動平均景品取得率を設定する目標移動平均景品取得率設定手段と、景品取得数と設定されたプレイ設定回数との比n1 /m1 を取ることにより移動平均景品取得率を算出する移動平均景品取得率算出手段と、前記プレイ設定回数m1 に達した以後、所定プレイ回数毎にn1 /m1 を算出して順次移動平均景品取得率を得、得られる移動平均景品取得率が目標とする景品取得率より小さい場合、前記キャッチャー機構のアームの把持力を大きくすることにより難易度を調整する自動調整部とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項3は請求項2記載の発明において、前記所定プレイ回数は1回であることを特徴とする。
本発明の請求項4は請求項2または3記載の発明において、前記アームの把持力の大小は、アームを閉じるバネの強さを調整することを特徴とする。
本発明の請求項5は請求項1,2,3または4記載の発明において、難易度を容易にする方向に調整する場合、音を発するか、照明の発光によるか、または画面によってその旨を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、最初に景品取得率を設定することによって、以降はゲーム機自体が制御で自動的に難易度を調整するので、筐体を扱う経営者などが何度もキャッチャーの把持力や料金設定の設定変更を行わずに済むようになる。難易度が容易になる方向に調整した場合には筐体を音や光で演出することによって、設定が甘くなったことをプレイヤに教えることができる。設定が甘くなることと、それが限定的なものであることによって、プレイヤにそのクレーンゲームに対しての興味を惹かせることができる。
キャッチャーの把持力の調整で難易度を調整する構成のため、プレイヤにとっても具体的に何がどう変わったかを理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による難易度調整装置を適用したクレーンゲーム機の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明による難易度調整装置を適用したクレーンゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】キャッチャー機構の詳細を説明するための図である。
【図4】本発明による難易度調整装置の移動平均景品取得率を求める方法を説明するための図である。
【図5】図4の具体的数値を折れ線グラフで示す図である。
【図6】本発明による難易度調整装置を適用したクレーンゲーム機の動作および処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】クレーンゲーム機の難易度を調整する機構の従来例を示す図である。
【図8】クレーンゲーム機の難易度を調整する機構の他の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明による難易度調整装置を適用したクレーンゲーム機の外観を示す斜視図である。
クレーンゲーム機筐体内の左右にそれぞれクレーンキャッチャー2,2が左右前後および回転移動ならびに下降上昇可能に吊架されている。筐体内下部に景品を載置するプレイフィールド3,3が設けられ、該プレイフィールド3,3の手前左右位置にそれぞれ景品払い出し口12,12を備えている。景品払い出し口12,12は左右前面下部に設けられた景品取り出し口8,8に繋がっており、経路途中に払い出される景品を検知するための払い出しセンサ11,11が設けられている。
操作パネル面にプレイヤがクレーンキャッチャーを操作するための操作レバー5,5,操作ボタン6,6およびコインを投入するためのコイン投入口7,7が配置されている。
【0012】
また、筐体内部後部左右には、景品がアームなどに引っかかり管理者などが手動で払い出したときカウントするためのカウントスイッチ4,4が設けられている。
例えば、左側のプレイヤが操作レバー5,操作ボタン6によってクレーンキャッチャー2を左右方向および前後方向に移動させて停止させると、クレーンキャッチャー2は下降し、プレイフィールド3の景品13を把持する動作を行う。景品13を掴んでいれば、景品13は景品払い出し口12に落下し、景品取り出し口8より払い出される。
クレーンキャッチャー2の景品を把持する力は、コイルスプリング25(図3参照)の張力とアームを閉じるときのモータの駆動時間により決められる。したがって、管理者が目標とする景品取得率を設定し、この目標とする景品取得率に自動的になるようにモータの駆動時間を制御するように構成されており、これによりキャッチャーの把持力が調整されることとなる。
【0013】
図2は本発明による難易度調整装置を適用したクレーンゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
クレーンゲーム機は制御部16によりクレーンゲーム動作が制御される。制御部16は出力部18を通してディスプレイ1の表示制御およびスピーカ9のサウンド出力制御を行う。また、入力部15を通して操作レバー5,操作ボタン6の操作情報を受ける。さらにコインセンサ14および払い出しセンサ11からコイン検出情報および景品払い出し情報ならびにカウントスイッチ4からの手動によるカウント情報を受ける。設定部38は制御部16に対し景品の取得率(例えば30%)を管理者などが設定するものであり、景品の取得率を算出するためのプレイ設定回数を設定することも可能である。スイッチやキーボタンなどにより構成される。
【0014】
記憶装置17にはクレーンゲーム機全体を制御する制御プログラムおよびクレーンゲームを実行するためのクレーンゲームプログラムおよびゲームに必要なデータが格納される。制御部16はCPUにより構成され、CPUは記憶装置17の制御プログラムを読み込むことにより、ゲーム全体の制御を行い、クレーンゲームプログラムを読み込むことによりクレーンゲームを実行する。
制御部16は待ち受け状態では出力部18を通じてディスプレイ1に「CHANCE
TIME!!」を表示しており、コイン投入の監視をしている。
コインが投入されて操作レバー5,操作ボタン6が操作されると、その情報を得て、キャッチャー位置移動,上下移動機構20を駆動する。また、キャッチャー駆動のため駆動情報をキャッチャー駆動部19に送る。キャッチャー駆動部19は駆動情報に従いキャッチャー2のアーム開閉機構2aを制御する。同時に把持力調整部2a−1による把持力調整を行う。
【0015】
このブロック図はキャッチャー2を動かす際、操作レバー5と操作ボタン6を使用してキャッチャー2を動かす方法を示したが、操作レバー5を省き、操作ボタン6を複数個用いて、キャッチャー2を動かす構造とすることもできる。
カウントスイッチ4は、景品13が手払い(景品がアームに引っ掛かったままなどの特殊な獲得例)の場合、払い出しセンサ11を通ることが無いため、カウントスイッチ4を用いて制御部に景品が払い出されたことを認識させるものである。すなわち、カウントスイッチ4を管理者などが押すことにより、制御部16(図2参照)は、加算した景品の取得数に1を加える。
【0016】
図3はキャッチャー機構の詳細を説明するための図である。
キャッチャー2は伸縮する伸縮部30で吊架され、伸縮部30の下端にセンサフレーム31が取り付けられている。センサフレーム31は矩形体形状であり、内部にモータ21およびマグネットセンサ24a,24bを収容する。センサフレーム31内にはマグネットセンサ24a,24bで検知されるマグネット23を取り付けたマグネットプレート32が上下方向に移動可能に収容されている。マグネットプレート32はシリンダ22に固定され、シリンダ22の上昇下降に従って上昇し下降する。
【0017】
センサフレーム31の下部はキャッチャーフレーム34の上部に固定されている。キャッチャーフレーム34も矩形体形状しており、図2に示すアーム開閉機構2a(図3の符号21,22,22a,24a,24b,25,26,26a,26b,27,28,28a,29,31,32,33,34,35,36および37を含む部分)および把持力調整部2a−1(同じく図3の符号22,22a,25,27,28,28a,29,36および37を含む部分)を収容している。
モータ21の出力軸にギアヘッド27が固定され、ギアヘッド27のギア出力軸にスクリュー取付軸29が取り付けられている。スクリュー取付軸29にスクリュー28がピン29aにより固定されている。スクリュー28は減速されたモータ21の回転出力により回転させられる。
スクリュー28の外周歯28aはシリンダ22の内周歯22aに噛合させられている。
【0018】
シリンダ22は円筒形状であり、上端面に3個のフックプレート37をそれぞれ固定する3つのネジ孔を有している。各フックプレート37の先端にそれぞれコイルスプリング25の一端が係止されている。
アーム26はキャッチャーフレーム34に固定されたアーム軸35に回動可能に取り付けられている。アーム26のアーム軸35の回動部分付近にスプリング係止孔36を有し、その外側部分に押し当て部26aが設けられている。スプリング係止孔36に上記コイルスプリング25の他端が係止されている。さらにアーム軸35の回動部分付近の下側に回転制限部26bが設けられている。
【0019】
押し当て部26aはシリンダ22の下端により押され、シリンダ22の下降によりアーム26は開く方向に動作させられる。また回転制限部26bはシリンダ22が上昇するとアームが閉じる方向に移動するが、所定位置までアームが閉じると回転制限部26bはキャッチャーフレーム34の側面に突き当たり、アームの回転に制限を加える。これはアーム同士の干渉を防止するため、および把持力を発生させるためのアーム26の回転停止位置を定めるものである。
【0020】
本発明では景品の取得率の実績をゲーム毎に実測して、このデータを基に目標とする景品取得率になるようにキャッチャーのアームのバネの強さを調整することによって難易度の調整を行う。
目標とする景品取得率は管理者が設定部38を操作してその数値を設定することができる。また、プレイ設定回数もその数値を設定することができる。
景品取得率は以下の演算によって求めることができる。
景品取得率(%)=プレイ設定回数m1 内での景品取得数n1 /プレイ設定回数m1 × 100 ・・・(1)

具体値
プレイ設定回数を100回に設定し、景品取得数n1 が30個であると、(1)式は30%となる。100回までの景品取得率を算出した後、1回プレイが増える毎に景品取得率を順次算出するので、このように算出した多数の景品取得率は移動平均景品取得率でもある。
なお、プレイ設定回数は、プレイするための最低料金を投入した回数(最低料金投入回数)に対応するものである。
【0021】
図4は本発明による難易度調整装置の移動平均景品取得率を求める方法を説明するための図である。図5は図4の具体的数値を折れ線グラフで示す図である。
これらは(1)式に基づき演算し、移動平均景品取得率の具体的数値とそのグラフを求めたものである。
図4はプレイ設定回数を100回に設定し景品取得数をセンサの検出により得て、100回目の移動平均景品取得率を算出し、以後1回プレイする毎に移動平均景品取得率を算出した具体的数値である。
プレイ設定回数が100回目では移動景品取得率が30.00%,101回から105回までそれぞれ移動景品取得率が30.00%となっている。106回から112回までそれぞれ移動景品取得率が29.00%となっている。
【0022】
ここで、例えば、管理者が設定部38によって目標の景品取得率を30%に設定している場合、把持力調整部2a−1によってキャッチャーの把持力が調整されることはないが、29.00%になった場合、30%になるようにキャッチャーの把持力が調整される。キャッチャーの把持力を大きくするには、シリンダ上昇側でのモータの回転数を多くし、把持力を小さくするには、シリンダ上昇側でのモータの回転数を小さくすることとなる。
図5の例では移動平均景品取得率が106回付近から112回にかけて29%に、113回から120回にかけて28%に、144回から162回にかけて29%に、194回から202回にかけて29%になっていることから、制御部16は難易度を容易になるように制御する。すなわちシリンダ上昇側でのモータの回転数を多くしてキャッチャーの把持力を大きくなるように調整する。
【0023】
図6は本発明による難易度調整装置を適用したクレーンゲーム機の動作および処理の流れを示すフローチャートである。
制御部16はコインを検知するコインセンサ14からの信号を得て、ユーザが所定のコインを投入したか否かを監視している(ステップ(以下「S」という)001)。コインが投入されると、制御部16はプレイを開始し、プレイヤが操作レバー5を操作すると、その操作に従ってキャッチャー位置移動,上下移動機構20を制御し、キャッチャー2の移動の制御を行う。下降操作のための操作ボタン6が押されるとキャッチャー位置移動,上下移動機構20が駆動され下降を開始し、キャッチャー駆動部19によりモータ21が駆動されアーム開閉機構2aによりアームの開閉が行われるともに把持力調整部2a−1によってアーム26の把持力が調整される。すなわち制御部16から設定された景品取得率になるようにモータの回転数が指示され、その回転数だけアームが閉じることによりアームの把持力が変わる。モータ21の回転数が多くなれば、回転数増加分コイルスプリング25が伸長するため、アームの把持力が大きくなる。
このようにしてキャッチャーのための処理が実行される(S002)。
【0024】
このように処理動作において、制御部16はゲーム回数をカウントするとともに景品の取得数(払い出し数)を払い出しセンサ11によって検出している。
制御部16は上記処理中に、ゲーム回数が所定のプレイ設定回数になったか否かを判断する(S003)。例えば、図4のプレイ設定回数(100回,101回・・・)になったか否かを監視している。プレイ設定回数になれば、ゲーム回数のプレイ設定回数とそのプレイ設定回数中に獲得した景品の取得数より移動平均景品取得率を算出する(S004)。
【0025】
そして制御部16はこのように算出される移動平均景品取得率が予め管理者などが設定した景品取得率より小さいか否かを判断する(S006)。
管理者が設定した景品取得率より小さい場合、アームが下降して開閉動作を行うときの、シリンダ上昇側のモータの駆動時間を現在の駆動時間より大きくしてアームの把持力を大きくする(S007)。例えば、現在のモータの駆動時間を2.55秒であれば、生じた取得率の差に対応させた時間のみ増加させ、2.70秒などとする。
反対に管理者が設定した景品取得率より大きい場合、アームが下降して開閉動作を行うときの、モータの駆動時間を現在の駆動時間より小さくしてアームの把持力を小さくする(S008)。例えば、現在のモータの駆動時間を2.55秒であれば、生じた取得率の差に対応させた時間のみ小さくして、2.40秒などとする。
景品取得の難易度が容易になる方向に調整された場合、制御部16はスピーカ9よりその旨の音を発しプレイヤに知らせる。また、ディスプレイ1や照明、例えばLEDのなどの発光内容によってその旨をプレイヤに知らせる。
【0026】
このような処理を行った後、制御部16はゲームが終了したか否かを判断する(S009)。投入したコインに対応するプレイ設定回数だけプレイヤは未だゲームを終了していないか、またはプレイヤが操作レバー,操作ボタンの操作中でゲーム中である場合は、S003に戻って再度、取得率の算出のシーケンスに戻る。
ゲームが終了した場合、この処理シーケンスも終了する。
【0027】
以上の実施の形態は、予め設定した景品取得率に対し、プレイ設定回数に達したときの移動平均景品取得率を算出し、設定した景品取得率に対する増減に対応してアームの把持力を変化させることにより、難易度を調整する例を示したが、難易度調整の方法として設定した景品取得率に対する増減に対応して所定の料金に対するプレイ回数を変化させることにより難易度調整を行うことも可能である。所定の料金に対するプレイ回数を増加すれば、難易度が容易になり、プレイ回数を減少すれば、難易度は上昇する。
また、難易度を容易にしたことを音の発生またはディスプレイ1や照明、例えばLEDなどの発光内容によってその旨をプレイヤに知らせる例を示したが、別体で液晶モニタを設け、その画面によってその旨を表示しプレイヤに認識させることもできる。
【0028】
さらに図6のフローチャートの処理の例では難易度が容易になった場合も設定した難易度になるように調整する例を示したが、図5で示したように移動平均景品取得率が低下した場合にのみ難易度を容易になるように調整し、移動平均景品取得率が設定した景品取得率より増加した場合は調整しないようにすることもできる。
また、プレイ設定回数に達したとき、および以後に所定プレイ回数が1回増す毎に景品取得率を順次算出する例を示したが、所定プレイ数は2回,3回,・・・として順次景品取得率を算出することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
予め設定した景品取得率に対し実際の景品取得率を算出し、その増減に対応してアームの把持力を変化させるなどの難易度の調整を自動的に行うクレーンゲーム機である。
【符号の説明】
【0030】
1 ディスプレイ
2 キャッチャー
3 プレイフィールド
4 カウントスイッチ
5 操作レバー
6 操作ボタン
7 コイン投入口
8 景品取り出し口
9 スピーカ
10 コイン返却口
11 払い出しセンサ
12 景品払い出し口
13 景品
14 コインセンサ
15 入力部
16 制御部
17 記憶装置
18 出力部
19 キャッチャー駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品取得率の難易度を変化させる景品取得難易度調整手段を有し、キャッチャー機構により景品を把持して払い出すクレーンゲーム機の難易度調整装置において、
景品取得数とプレイ設定回数とによって平均景品取得率を算出する景品取得率算出手段と、
目標とする景品取得率を設定する目標景品取得率設定手段と、
算出した前記平均景品取得率が目標とする景品取得率より異なる場合、前記景品取得難易度調整手段により目標とする景品取得率になるように難易度を調整する自動調整部と、 を備えたことを特徴とするクレーンゲーム機の難易度調整装置。
【請求項2】
景品取得率の難易度を変化させるためアームの把持力を調整する機構を有するキャッチャー機構と、
景品取得数n1 を検出する景品取得数検出手段と、
移動平均景品取得率を算出するためのプレイ設定回数m1 を設定するプレイ設定回数設定手段と、
目標とする移動平均景品取得率を設定する目標移動平均景品取得率設定手段と、
景品取得数と設定されたプレイ設定回数との比n1 /m1 を取ることにより移動平均景品取得率を算出する移動平均景品取得率算出手段と、
前記プレイ設定回数m1 に達した以後、所定プレイ回数毎にn1 /m1 を算出して順次移動平均景品取得率を得、得られる移動平均景品取得率が目標とする景品取得率より小さい場合、前記キャッチャー機構のアームの把持力を大きくすることにより難易度を調整する自動調整部と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のクレーンゲーム機の難易度調整装置。
【請求項3】
前記所定プレイ回数は1回であることを特徴とする請求項2記載のクレーンゲーム機の難易度調整装置。
【請求項4】
前記アームの把持力の大小は、アームを閉じるバネの強さを調整することを特徴とする請求項2または3記載のクレーンゲーム機の難易度調整装置。
【請求項5】
難易度を容易にする方向に調整する場合、音を発するか、照明の発光によるか、または画面によってその旨を表示することを特徴とする請求項1,2,3または4記載のクレーンゲーム機の難易度調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−29825(P2012−29825A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171463(P2010−171463)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)