説明

クレーンゲーム機

【課題】クレーンを操作する手段としてレバーやボタンを用いるのではなく、タッチパネルに対しタッチペンで特定の形状を描いたり、プレイヤが希望する座標位置に接触操作したりしてクレーンをX軸およびY軸方向移動,下降動作,掴み取り動作などを行わせることにより、クレーン操作を細かく行うとともに従来のクレーンゲーム機にないゲーム性を実現できるクレーンゲーム機を提供する。
【解決手段】タッチ式コンパネ部20のタッチパネルをタッチペンで接触すると、接触した位置対応の景品置き場2の位置にクレーン1が移動する。さらにタッチペンをタップ操作すると、クレーン1は下降を開始し、景品置き場2に置かれている景品をつかむ動作を行う。プレイヤがタッチパネルに円に近い形状を描けば、その形状に対応した回転を行う。クレーン1は景品を掴む動作を行った後、景品獲得口3まで移動して景品を落下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンゲーム機において、タッチパネルおよびタッチペンによる操作系を用いることにより従来にないゲーム性を導き出すことができるクレーンゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
プレイフィールドに載置した景品を掴み取るクレーンゲーム機が広く普及している。
従来のクレーンゲーム機ではクレーンを操作する手段はレバーやボタン類であり、プレイヤがレバーまたはボタンを操作し、操作を停止した位置でクレーンの左右または前後の動きを止めてクレーンの位置付けを行うものである。また、つかみ取り操作でもクレーン位置付けに連動するもので、クレーンの位置付けを決定することにより自動的にクレーンが下降を開始し、所定量下降した位置でクレーンアームを開閉するものである。
【0003】
特許文献1はこの種のクレーンゲーム機の従来例であり、支持部材5に取り付けられているアーム6を操作するためにボタン7が設けられている。ボタンをオンさせてその状態を維持している間、アーム6が移動し、ボタンから手を離しオフすると、その位置でアームが停止し、引き続きアームが下降を開始する動作に移行するものである。
【0004】
この景品取得ゲーム装置には表示モニタが設置されており、支持部材に取り付けられているカメラ10によってアーム6の下方の景品を表示モニタに映し出するように構成されている。このような機構によりプレイヤはゲーム機の上方から景品収容部を覗くことなく、アーム6下の景品の状態を確認できるので、止める瞬間を表示モニタで見ながら調整することができるものである。これによって景品位置の把握を容易にし景品を獲得しやすくするものである。
【特許文献1】特開平7−132186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、この景品取得ゲーム装置の表示モニタをタッチパネルで構成し、画面上に景品収容部内部を上から見た状態を表示させ、そして画面上でクレーンの支持部材の左右・前後方向の移動を操作できるように構成することができる旨の記載がある。
この開示内容は、タッチパネルを表示モニタとして用いるものであり、表示される範囲は支持部材に取り付けてあるカメラの視野範囲であり、景品収容部全体を示すものではない。また、このようなカメラ視野の限定した範囲において支持部材を左右・前後方向に移動させるものと考えられるため座標を指定するものではない。
本件出願人は、プレイヤがより正確にクレーンを望み位置に移動させることができ、プレイヤの操作通りにクレーンを移動・動作させることができるクレーンゲーム機が実現できないかを考えた。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みなしたもので、その目的は、クレーンを操作する手段としてレバーやボタンを用いるのではなく、タッチパネルに対しタッチペンで特定の形状を描いたり、プレイヤが希望する座標位置に接触操作したりしてクレーンをX軸およびY軸方向移動,下降動作,掴み取り動作などを行わせることにより、クレーン操作を細かく行うとともに従来のクレーンゲーム機にないゲーム性を実現できるクレーンゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明の請求項1記載の発明は、操作系を操作することによりクレーンをX軸方向およびY軸方向に移動させ、Z軸方向に上下動させ、クレーンを動作させることにより景品置き場にある景品を獲得するクレーンゲーム機において、前記操作系をタッチパネルとタッチペンで構成し、前記タッチパネルの各位置を前記景品置き場の各位置に対応付け、前記タッチペンを前記タッチパネルに接触させることにより、該タッチパネルに接触させたX軸方向およびY軸方向にクレーンをもたらすX−Y軸制御手段と、前記タッチペンを前記タッチパネルに対しタップさせることにより、X軸およびY軸に位置付けられたクレーンを下降させるZ軸制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2記載の発明は請求項1記載の発明において前記クレーンを回転させる回転機構を有し、前記タッチペンで前記タッチパネルに円形状の軌跡を描くことにより、前記回転機構を駆動し前記クレーンを回転制御する回転制御手段を有することを特徴とする。
本発明の請求項3記載の発明は請求項1記載の発明において前記クレーンはスコップ式クレーンであり、前記スコップ式クレーンを一端を支点に回転させることによりスコップ式クレーンを掬い上げる掬い上げ機構を有し、前記タッチペンを掬い上げる方向に前記タッチパネル上で軌跡を描くことにより前記掬い上げ機構を駆動し前記クレーンを掬い上げ制御する掬い上げ制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によればレバーやボタンでの操作とは異なり、ペンを使って「なぞる」,「描く」といった操作でクレーンを動かすことができ従来のクレーンゲーム機にないゲーム性を備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は本発明によるクレーンゲーム機の外観を示す斜視図である。
本図は1人用クレーンゲーム機10であり、中央に景品置き場2を有し、その上を前後・左右にクレーン1が移動できるようになっている。景品置き場2の左側に景品を払い出すための景品獲得口3が設けられている。前面にタッチ式コンパネ部20が配置され、景品獲得口3に繋がる景品取り出し口4が設けられている。タッチ式コンパネ部20に併設されているコイン投入口22にコインを投入し、タッチペンをタッチパネル上でなぞったり、特定形状を描いたりすることによりクレーンをプレイヤが意図する位置に正確に動かすことができる。
【0010】
図2はタッチ式コンパネ部の詳細を示す斜視図である。
タッチ式コンパネ部20の右側面にタッチペン収容部25が設けられている。
タッチ式コンパネ部20の上面に設置されているタッチパネル23は景品置き場のフィールドに対応しており、目安として4つの領域に分割され、その位置はX座標およびY座標で特定される。タッチペン21の先端部をタッチパネル23の、プレイヤが希望する位置に接触させてX座標およびY座標を指定すると、その位置にクレーンは駆動機構により移動させられる。タッチペン21の基部に設けられている決定ボタン24を押すことによりその接触した位置を決定することができる。なお、決定は他の方法としてタッチペンの先端をタップすることにより行い同時に下降も開始させることができる。タッチペン21の先端部でプレイヤが望むようなクレーンを動作させるための形状を描くと、その形状に対応する動きをクレーンはする。
【0011】
図3はクレーンのX軸移動とY軸移動の機構を説明するための斜視図である。
上下に伸縮可能なクレーン1は基部35に固定されている。基部35の背面にX軸螺旋ネジ螺合部31が取り付けられている。X軸螺旋ネジ螺合部31は左右方向に掛け渡されているX軸螺旋ネジ部32に螺合し、後述のX軸モータが駆動することによりクレーン1を左右方向に移動させる。X軸螺旋ネジ部32の両端にY軸螺旋ネジ螺合部33a,33bが固定され、Y軸螺旋ネジ螺合部33a,33bは前後方向に配置されているY軸螺旋ネジ部34a,34bにそれぞれ螺合し、後述のY軸モータを駆動することによりクレーン1を前後方向に移動させる。
【0012】
図4は本発明によるクレーンゲーム機の回路の実施の形態を示す斜視図である。
本図はコイン投入口からのコイン投入を検知する回路に関連する部分は省略してある。 ROM45にクレーンゲーム機全体を制御する制御プログラムおよびゲームを実行するためのゲームプログラム、さらにクレーンゲーム機に必要なデータが格納されている。
CPU40はROM45から制御プログラムおよびゲームプログラムを読み込むことによりゲーム制御部40aの機能を実現する。
ゲーム制御部40aは、ゲーム機の待ち受け状態での制御,クレーンゲーム機開始時の制御,ゲーム実行時の制御,ゲーム終了時の制御等を行う。メモリ部43はCPU40がゲーム実行に際して行う演算等のための作業領域として使用されるとともに生成されたゲームデータを一時的に格納する。
またゲーム制御部40aはサウンド出力インターフェース41を介してスピーカ等で構成されるサウンド出力装置42に待ち受け状態やゲーム状態におけるBGMや案内音声などを出力させるための指令を送出する。
【0013】
タッチパネル制御部47はCPU40からの指示に従いタッチパネル23を制御し、プレイヤがタッチペン21を操作する入力情報、すなわちタッチ位置情報(タッチパネル23の接触点のX座標,Y座標,ドラッグした軌跡の情報など)をCPU40に伝達する。タッチペン制御部46はCPU40からの指示によりタッチペン21および決定ボタン24を制御する。
タッチパネル制御部47,タッチペン制御部46,移動制御部48,回転制御部57および開閉制御部60はI/O制御系44を介してCPU40とデータの送受信を行う。
【0014】
ゲーム制御部40aはゲーム実行時、プレイヤの操作情報に基づき送られるタッチパネル制御部47からのタッチ位置情報によってモータを駆動すべき指令を移動制御部48,回転制御部57,開閉制御部60に送る。移動制御部48にはX軸方向,Y軸方向,Z軸方向に移動させる指令を送り、各指令によりX軸駆動回路49はX軸モータ50を、Y軸駆動回路52はY軸モータ53を,Z軸駆動回路55はZ軸モータ56をそれぞれ駆動する。同様に回転制御部57,開閉制御部60にはクレーンを回転させる指令,クレーンのアームを開閉させる指令をそれぞれ送り、回転駆動回路58は回転モータ59を、開閉駆動回路61は開閉モータ62をそれぞれ駆動する。
【0015】
図5は本発明によるクレーンゲーム機の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
プレイヤがコインを投入する(ステップ(以下「S」という)01)と、クレーンゲーム機が操作可能となる。プレイヤはタッチペン21を持ち、タッチパネル23にタッチペン21の先端を接触させ、クレーン1を移動などさせるための操作を開始する(S02)。プレイヤはまず景品置き場2の景品の配置状況を見て景品置き場2のどの位置にクレーンを移動させるかを決め、タッチペン21でタッチパネル23上の、景品置き場2に対応する座標位置に接触する。タッチパネル制御部47は接触位置の電気信号の変化(例えば抵抗膜方式)を検知し、その位置情報をCPU40に送る。
【0016】
CPU40は位置情報からX軸座標とY軸座標を認識し、移動制御部48にX軸位置とY軸位置を移動させる指令を送出する。移動制御部48からの制御によってX軸駆動回路49はX軸モータ50を回転させ、Y軸駆動回路52はY軸モータ53を回転させる。これによりクレーン1は、プレイヤがタッチペン21でタッチパネル23に接触した景品置き場2に対応する位置にもたらされる。図6(a)にその状態を示す。
つぎにプレイヤはその位置でクレーンを降ろす動作に移行する場合、タッチペン21をタッチパネル23上でタップする操作を行う。タッチパネル制御部47はこの時の所定の時間内に連続して接触動作された2つの位置情報を検出してCPU40に送出する。CPU40はこのようにして送られてきた位置情報を解析しクレーンを下降すべき指示であると判定する。
【0017】
CPU40は移動制御部48にZ軸位置を移動させる指令を送出する。移動制御部48からの制御によってZ軸駆動回路55はZ軸モータ56を回転させクレーン1を下降させる。図6(b)にクレーンを下降させる状態を示す。なお、決定ボタン24をオンして下降動作に移行させることもできる。
このようにして下降動作を行った後、CPU40は開閉制御部60にクレーン1のアームを開閉させる指令を送出する。開閉制御部60からの制御によって開閉駆動回路61は開閉モータ62を回転させクレーン1のアームを開き、閉める動作を行わせる(S03)。開閉動作を行った後は、CPU40の指令の下、クレーン1は上昇し景品獲得口3まで移動し、クレーン1のアームを開き、景品を掴んでいれば、景品を落下させる(S04)。落下した景品は景品取り出し口4に払い出される(S05)。クレーン1はこの後初期位置に戻る。
【0018】
上記工程においてクレーンの移動位置を決めた後、またはクレーンを下降させた後、プレイヤがタッチペン21をタッチパネル23で円形状や円弧を描くようにドラッグさせた場合、その情報はタッチパネル制御部47に伝達される。この時の伝達される情報は接触する位置情報が連続して検出され、しかもその位置情報が略円形状や円弧に近い形で繋がるものとなる。タッチパネル制御部47はこのドラッグさせた検出情報をCPU40に送る。CPU40はこの検出情報がクレーンを回転させる情報であり、どれだけ回転させるかを解析し、回転制御部57にクレーンを回転させる指令を送出する。回転制御部57からの制御によって回転駆動回路58は回転モータ59を指示された角度だけ回転させる。これによりクレーン1は景品置き場2でプレイヤが意図する角度だけ回転させられる。図6(c)にその回転の状態を示す。
【0019】
この実施の形態はアームを開閉して景品を掴むクレーンの例について説明したが、クレーンがスコップ式の場合はつぎのように動作させることができる。スコップ式クレーンの位置移動,下降動作は図6(a)〜図6(c)と同じであるが、スコップ式クレーンが景品を景品置き場2から獲得する動作は掬い上げとなる。この場合、開閉制御部,開閉駆動回路および開閉モータの代わりに掬い上げ制御部,掬い上げ駆動回路および掬い上げモータを設ける必要がある。プレイヤは掬い上げる方向をタッチペン21でタッチパネル23上にドラッグして指定できる。CPU40はタッチパネル制御部47から方向を示すドラッグの情報を得て、スコップ式クレーンを回転させる回転制御部および掬い上げ制御部に指令を出してスコップ式クレーンを指定方向に掬い上げる動作を行わせる。図6(d)にその状態を示す。
【産業上の利用可能性】
【0020】
ゲームセンタやイベント会場などに設置されるクレーンゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるクレーンゲーム機の外観を示す斜視図である。
【図2】タッチ式コンパネ部の詳細を示す斜視図である。
【図3】クレーンのX軸移動とY軸移動の機構を説明するための斜視図である。
【図4】本発明によるクレーンゲーム機の回路の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】本発明によるクレーンゲーム機の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【図6】タッチペン操作とクレーンの動きの関連を説明するための図である。
【符号の説明】
【0022】
1 クレーン
2 景品置き場
3 景品獲得口
4 景品取り出し口
10 クレーンゲーム機
20 タッチ式コンパネ部
21 タッチペン
22 コイン投入口
23 タッチパネル
24 決定ボタン
31 X軸螺旋ネジ螺合部
32 X軸螺旋ネジ部
33a,33b Y軸螺旋ネジ螺合部
34a,34b Y軸螺旋ネジ部
40 CPU
41 サウンド出力インターフェース
42 サウンド出力装置
43 メモリ部
44 I/O制御系
45 ROM
46 タッチペン制御部
47 タッチパネル制御部
48 移動制御部
49 X軸駆動回路
50 X軸モータ
52 Y軸駆動回路
53 Y軸モータ
55 Z軸駆動回路
56 Z軸モータ
57 回転制御部
58 回転駆動回路
59 回転モータ
60 開閉制御部
61 開閉駆動回路
62 開閉モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作系を操作することによりクレーンをX軸方向およびY軸方向に移動させ、Z軸方向に上下動させ、クレーンを動作させることにより景品置き場にある景品を獲得するクレーンゲーム機において、
前記操作系をタッチパネルとタッチペンで構成し、
前記タッチパネルの各位置を前記景品置き場の各位置に対応付け、
前記タッチペンを前記タッチパネルに接触させることにより、該タッチパネルに接触させたX軸方向およびY軸方向にクレーンをもたらすX−Y軸制御手段と、
前記タッチペンを前記タッチパネルに対しタップさせることにより、X軸およびY軸に位置付けられたクレーンを下降させるZ軸制御手段と、
を備えたことを特徴とするクレーンゲーム機。
【請求項2】
前記クレーンを回転させる回転機構を有し、
前記タッチペンで前記タッチパネルに円形状の軌跡を描くことにより、前記回転機構を駆動し前記クレーンを回転制御する回転制御手段を有することを特徴とする請求項1記載のクレーンゲーム機。
【請求項3】
前記クレーンはスコップ式クレーンであり、
前記スコップ式クレーンを一端を支点に回転させることによりスコップ式クレーンを掬い上げる掬い上げ機構を有し、
前記タッチペンを掬い上げる方向に前記タッチパネル上で軌跡を描くことにより前記掬い上げ機構を駆動し前記クレーンを掬い上げ制御する掬い上げ制御手段を有することを特徴とする請求項1記載のクレーンゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−110355(P2010−110355A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282999(P2008−282999)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)