説明

クレーンジブ製造方法

【課題】クレーンジブを容易に製造すること。
【解決手段】長手方向Lに沿って側部が開口して形成された長尺の本体部材21aに対し、当該本体部材21aの開口部分に長尺の板部材21bを溶接することでクレーンジブ2をなす長尺中空の支持部21を形成するクレーンジブ製造方法であって、本体部材21aと板部材21bとを仮溶接して支持部21を仮組みする仮組み工程と、仮組みされた2つの支持部21を並設して、本溶接による予想歪みの反対方向に曲げを付与した状態で、2つの支持部21相互を拘束する曲げ工程と、拘束した状態の2つの支持部21の本溶接を同時施工する本溶接工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンジブを製造するためのクレーンジブ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デッキクレーンは、固定ポストの上に旋回ポストが旋回可能に設けられている。旋回ポストは、クレーンジブが設けられている。クレーンジブは、長尺の2本の支持部が互いに連結して構成されている。2本の支持部は、各基端が旋回ポストに支持されて上下に揺動可能に設けられている。そして、クレーンジブは、旋回ポストに設けられた俯仰用ウインチによるワイヤの巻き取りまたは繰り出しによって俯仰する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−101292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載されたデッキクレーンのように、2本の支持部からなるクレーンジブは、俯仰のために支持部を軽量化し、かつ剛性を持たせる必要があるので、通常、クレーンジブを構成する一対の支持部は中空の構造体として、軽量化および高剛性化を図っている。
【0005】
この中空長尺の支持部は複数の部材を溶接接合して製造しているが、溶接後、溶接箇所の熱収縮により歪みが生じ、長尺の支持部が湾曲変形する。このため、従来、支持部を拘束、または、逆歪を与えた状態で溶接することで、支持部の湾曲変形を抑える製造方法が採用されているが、依然として湾曲変形が発生するので、溶接後、支持部をガスバーナで加熱、水冷却により歪取りを行っていた。この場合、支持部の形成後に歪みを取る補正作業が必要であった。この結果、クレーンジブを製造するにあたり、多くの手間がかかり、製造コストが嵩むことになる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、クレーンジブを容易に製造することのできるクレーンジブ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明のクレーンジブ製造方法は、長手方向に沿って側部が開口して形成された長尺の本体部材に対し、当該本体部材の開口部分に長尺の板部材を溶接することでクレーンジブをなす長尺中空の支持部を形成するクレーンジブ製造方法であって、前記本体部材と前記板部材とを仮溶接して前記支持部を仮組みする仮組み工程と、仮組みされた2つの前記支持部を並設して、本溶接による予想歪みの反対方向に曲げを付与した状態で、2つの前記支持部相互を拘束する曲げ工程と、拘束した状態の前記2つの支持部の本溶接を同時施工する本溶接工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
このクレーンジブ製造方法によれば、支持部を仮組みした状態で、本溶接による予想歪みの反対方向に支持部に対して予め曲げを付与することから、本溶接後の熱収縮による歪みを十分に吸収することが可能である。しかも、仮組みされた2つの支持部を並設して各支持部に対して曲げを付与することから、クレーンジブをなす2つの支持部に対して同等に曲げを付与することが可能である。しかも、本溶接を、2つの支持部に対して同時施工で行うことにより、2つの支持部に対して同等に熱収縮による反対方向歪み応力を生じさせ、1つの支持部毎に溶接する場合に比べ、遥かに直線状にすることが可能となり、拘束を解いた各支持部の歪発生を最小限に止め得る。この結果、クレーンジブを容易に製造することができる。
【0009】
また、本発明のクレーンジブ製造方法は、前記本溶接工程後、拘束した状態のまま支持部を回転させ、次に、前記2つの支持部の他の溶接部位の本溶接を同時施工することを特徴とする。
【0010】
このクレーンジブ製造方法によれば、拘束した状態のまま支持部を回転させることで、本溶接をし易い位置に他の溶接部位を配置できる。このため、本溶接作業を容易に行うことが可能である。この結果、クレーンジブを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クレーンジブを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るクレーンジブを有するデッキクレーンの概略側面図である。
【図2】図2は、図1に示すデッキクレーンの概略平面図である。
【図3】図3は、図1に示すデッキクレーンのワイヤを示す概略斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係るクレーンジブを示す概略断面図(図2のA−A断面拡大図)である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係るクレーンジブの製造工程を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係るクレーンジブの製造工程を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係るクレーンジブの製造工程を示す概略図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係るクレーンジブの製造工程を示す概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係るクレーンジブの製造工程を示す概略図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態に係るクレーンジブの他の製造方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
図1は、本実施の形態に係るクレーンジブを有するデッキクレーンの概略側面図であり、図2は、図1に示すデッキクレーンの概略平面図であり、図3は、図1に示すデッキクレーンのワイヤを示す概略斜視図である。
【0015】
図1および図2に示すように、デッキクレーンは、旋回ポスト1にクレーンジブ(以下、単にジブと称す)2が設けられている。旋回ポスト1は、デッキ3に固定された固定ポスト4に対して軸心Sの廻りに回転可能に設けられている。この旋回ポスト1は、図示しない駆動機構により軸心Sの廻りに旋回駆動される。
【0016】
また、旋回ポスト1は、その下側に、俯仰用ウインチ5および巻上用ウインチ6が設けられている。また、旋回ポスト1は、その上端に、5つの滑車7a〜7eが設けられている。
【0017】
ジブ2は、長尺に形成されている。ジブ2は、その基端が旋回ポスト1の下側に水平な軸2aを介して取り付けられ、上下に揺動可能に設けられている。具体的に、ジブ2は、長尺に形成された2つの支持部21が並設されつつ、連結部22により連結され、平面視、A字状に形成されたもので、各支持部21の基端が軸2aを介して旋回ポスト1に取り付けられている。
【0018】
また、ジブ2は、その先端上部に、5つの滑車7f〜7jが設けられている。また、ジブ2は、その中間上部に、1つの滑車7kが設けられている。
【0019】
図3に示すように、俯仰用ウインチ5に巻かれたワイヤ8aは、旋回ポスト1側の滑車7b、ジブ2先端側の滑車7g、旋回ポスト1側の滑車7c、ジブ2中間側の滑車7kの順で架け渡され、先端が旋回ポスト1に固定されている。そして、俯仰用ウインチ5によりワイヤ8aを巻き取ることでワイヤ8aが引っ張られ、ジブ2の先端側の滑車7gおよび中間側の滑車7kが引き上げられる。このため、ジブ2が、軸2aを中心に上方に揺動し、先端が上昇する。一方、俯仰用ウインチ5によりワイヤ8aを繰り出すことでワイヤ8aが弛み、ジブ2の先端側の滑車7gおよび中間側の滑車7kが吊り下ろされる。このため、ジブ2が、軸2aを中心に下方に揺動し、先端が下降する。このように、ジブ2は、俯仰用ウインチ5によるワイヤ8aの巻き上げまたは繰り出しにより俯仰する。
【0020】
図3に示すように、昇降用ウインチ6に巻かれたワイヤ8bは、旋回ポスト1側の滑車7a、ジブ2先端側の滑車7f、フックなどからなる昇降部材9に設けられた滑車9a、ジブ2先端側の滑車7j、旋回ポスト1側の滑車7e、ジブ2先端側の滑車7i、旋回ポスト1側の滑車7d、ジブ2先端側の滑車7hの順で架け渡され、先端が旋回ポスト1に固定されている。そして、昇降用ウインチ6によりワイヤ8bを巻き取ることでワイヤ8bが引っ張られ、滑車9aが引き上げられる。このため、ジブ2先端下側にて昇降部材9が上昇する。一方、昇降用ウインチ6によりワイヤ8bを繰り出すことでワイヤ8bが弛み、滑車9aが吊り下ろされる。このため、ジブ2先端下側にて昇降部材9が下降する。このように、昇降部材9は、昇降用ウインチ6によるワイヤ8bの巻き上げまたは繰り出しにより昇降する。つまり、昇降部材9に荷(図示せず)を取り付けることで荷を昇降することが可能になる。
【0021】
そして、上述した旋回ポスト1の旋回、ジブ2の俯仰、昇降部材9の昇降により、昇降部材9に取り付けた荷を移動させることが可能である。なお、旋回ポスト1の旋回、ジブ2の俯仰、昇降部材9の昇降は、旋回ポスト1に設けられた操縦室1aでオペレータにより操作される。
【0022】
図4は、本実施の形態に係るクレーンジブを示す概略断面図(図2のA−A断面拡大図)である。図4に示すように、ジブ2を構成する2つの支持部21は、長手方向に沿って側部が開口して形成された略断面コ字形の長尺の本体部材21aと、本体部材21aの開口部分に固定された長尺の板部材21bとで構成されている。このように構成することで、支持部21が長尺中空に形成されるので、ジブ2の軽量化および高剛性化を図ることができる。
【0023】
本体部材21aに板部材21bを固定するには、本体部材21aの開口端に開先を設け、この開先部分に板部材21bを溶接10する。ところが、本体部材21aの側部に板部材21bを溶接10により固定すると、溶接10の後の冷却により本体部材21aの側部が収縮して歪みが生じ、側方に弧状に湾曲してしまう。特に、支持部21は、例えば30mほどの長尺であるため、先端と中央部との歪み差が300mmほど生じてしまう。
【0024】
そこで、本実施の形態のクレーンジブ製造方法は、上記の歪みを補正しつつ、容易に支持部21を形成するためのものである。図5〜図9は、本実施の形態に係るクレーンジブの製造工程を示す概略図である。
【0025】
まず、図5に示すように、本体部材21aと板部材21bとを仮溶接11により仮組みする(仮組み工程)。そして、仮組みされた支持部21を2つ用意する。
【0026】
次に、図6に示すように、仮組みされた2つの支持部21を、板部材21b側が相反するように並設しつつ、後の本溶接10による予想歪みの反対方向に支持部21に対して曲げ(逆歪)を付与する(曲げ工程)。この曲げ工程では、保持機構100および水平ジャッキ200が用いられる。
【0027】
保持機構100は、作業床に配置されるもので、並設された仮組みの各支持部21の端部を保持する保持部110と、並設された各支持部21の上下を反転させる態様で回転する回転部120とを有する。保持部110は、支持部21の端部を挟むことで支持部21を保持する。回転部120は、保持部110を支持部21の長手方向Lに沿う水平な軸心で回転可能に支える回転架台121と、保持部110に設けた従動ギア122と、モータ123とを備え、モータ123の駆動ギア123aと従動ギア122とをチェーンで接続したものである。この回転部120は、モータ123の駆動により保持部110を回転させることで、保持部110で保持された各支持部21の上下を反転させる。
【0028】
なお、保持機構100は、支持部21を保持するにあたり、支持部21の端部を挿入したり抜き出したりする態様で支持部21の長手方向Lに沿って移動可能に作業床に設けられていることが好ましい。
【0029】
水平ジャッキ200は、並設された仮組みの各支持部21の間であって、長手方向Lの中央部分に配置される。そして、水平ジャッキ200を伸長させることで、保持機構100により端部が保持された各支持部21の中央部分が離反し、当該各支持部21に対して曲げを付与する。上記水平ジャッキ200に代えて隙間保持具を2つの支持部21間に挟み込み設置してもよい、要するに、2つの支持部21間の中央部に隙間を空けた状態で、両支持部21相互を拘束する。
【0030】
次に、図7に示すように、本体部材21aと板部材21bとの本溶接10を支持部21の長手方向Lに沿って2つの支持部21に対して共に行う(本溶接工程)。この本溶接工程では、多電極溶接装置300が用いられる。
【0031】
多電極溶接装置300は、多電極溶接法の1つは、MAG溶接の高能率化を目的としたもので、複数(本実施の形態では2つ)の溶接トーチを具え、隣接する各支持部21の溶接部位に沿って走行し、同時にアークを発生させる。この多電極溶接装置300は、長手方向Lに沿うレール(図示せず)上に移動可能に配置されており、長手方向Lに沿って連続して本溶接10を行うことが可能である。すなわち、多電極溶接装置300を図6に示す位置から図7に示す位置に移動させることで、長手方向Lに沿って各支持部21に対して同期して本溶接10を行う。一対の溶接トーチは長手方向Lに直交する幅方向に移動可能となっており、各支持部21の溶接部位に沿って移動し溶接を行う。
【0032】
この本溶接工程は、支持部21の長手方向Lに沿って所定の溶接部位の本溶接10を行った後、図8に示すように、保持機構100により各支持部21を回転させ、図7同様に、各支持部21の長手方向Lに沿う他の溶接部位の本溶接10を行う。図4に示すように、支持部21は、本体部材21aの開口部分の上側縁(所定の溶接部位)と下側縁(他の溶接部位)とに板部材21bが固定される。したがって、本体部材21aの上側縁における本溶接10を行った後は、各支持部21を上下に反転(180度回転)させる必要がある。そこで、保持機構100の回転部120によって各支持部21を回転させる。
【0033】
そして、全ての溶接部位の本溶接10を行った後は、水平ジャッキ200を取り外す。このため、図9に示すように、各支持部21の熱収縮による歪みにより、曲げ工程での曲げとは逆に湾曲することで、各支持部21が長手方向Lに沿って直線状になる。なお、この場合、保持機構100による各支持部21の保持を外し、保持機構100により各支持部21を支える程度とする。
【0034】
ところで、上述した実施の形態では、仮組みされた2つの支持部21を、板部材21b側が相反するように並設しつつ、後の本溶接10による予想歪みの反対方向に支持部21に対して曲げを付与し、本溶接10を行っているが、この限りではない。
【0035】
図10は、本実施の形態に係るクレーンジブの他の製造方法を示す概略図である。図10に示すように、曲げ工程において、仮組みされた2つの支持部21を、板部材21b側が向き合うように並設しつつ、後の本溶接10による予想歪みの反対方向に支持部21に対して曲げ(逆歪)を付与してもよい。この場合、各支持部21の中央部を拘束治具201で拘束すると共に、両端部に水平ジャッキ200が配置され、この水平ジャッキ200を伸長させることで、保持機構100により端部が保持された各支持部21の端部が離反し、当該各支持部21に対して曲げを付与する。なお、図には明示しないが、上記水平ジャッキ200に代えて、隙間保持具を2つの支持部21の両端部に挟み込み設置してもよい。要するに、2つの支持部21間の両端部に隙間を空けて、両支持部21の中央部を近づけるように隙間が無い状態(または、スペーサ12を介在した状態)で拘束する。この場合での両支持部21中央部の拘束は、両支持部21の中央部に設けた拘束治具201で固定するか、または、両板部材21b相互を冶具(図示せず)で挟み込み固定すればよい。
【0036】
また、仮組み工程および本溶接工程については、上述と同様である。
【0037】
なお、図10において、並設された仮組みの各支持部21の間であって、長手方向Lの中央部分に配置されたものは、スペーサ12であって、板部材21b同士の接触による傷付きを防ぐものである。
【0038】
なお、本体部材21aは、略断面コ字形として図示して説明したが、この限りではない。本体部材21aは、側部が開口して形成された長尺のもので、その開口部分に板部材21bを固定することで、ジブ2の軽量化および高剛性化を図れればよい。例えば、本体部材21aは、略断面U字形や略断面C字形状などであってもよい。また、板部材21bも平板でなくてもよく、断面形状が湾曲や屈曲したものであってもよい。
【0039】
上述したように、本実施の形態のクレーンジブ製造方法は、長手方向Lに沿って側部が開口して形成された長尺の本体部材21aに対し、当該本体部材21aの開口部分に長尺の板部材21bを溶接することでクレーンジブ2をなす長尺中空の支持部21を形成するクレーンジブ製造方法である。そして、本体部材21aと板部材21bとを仮溶接して支持部21を仮組みする仮組み工程と、仮組みされた2つの支持部21を並設して、本溶接10による予想歪みの反対方向に曲げを付与した状態で、2つの支持部21相互を拘束する曲げ工程と、拘束した状態の2つの支持部21の本溶接を同時施工する本溶接工程とを含む。なお、本溶接工程は、本体部材21aと板部材21bとの本溶接10を、支持部21の長手方向に沿って2つの支持部21に対して共に行うことを含む。
【0040】
このクレーンジブ製造方法によれば、支持部21を仮組みした状態で、本溶接10による予想歪みの反対方向に支持部21に対して予め曲げを付与することから、本溶接10後の熱収縮による歪みを十分に吸収することが可能である。しかも、仮組みされた2つの支持部21を並設しつつ各支持部21に対して曲げを付与することから、ジブ2をなす2つの支持部21に対して同等に曲げを付与することが可能である。しかも、本溶接10を、2つの支持部21に対して同時施工で行うことにより、2つの支持部21に対して同等に熱収縮による反対方向歪み応力を生じさせ、1つの支持部21毎に溶接する場合に比べ、遥かに直線状にすることが可能となり、拘束を解いた各支持部21の歪発生を最小限に止め得る。この結果、クレーンジブを容易に製造することができる。
【0041】
また、本実施の形態のクレーンジブ製造方法は、本溶接工程後、拘束した状態のまま支持部21を回転させ、次に、2つの支持部21の他の溶接部位の本溶接を同時施工する。すなわち、本溶接工程では、各支持部21の長手方向Lに沿って所定の溶接部位の本溶接10を行った後、並設した各支持部21を保持する態様で作業床に配置された保持機構100により各支持部21を回転させ、各支持部21の長手方向Lに沿って他の溶接部位の本溶接10を行うことを含む。
【0042】
このクレーンジブ製造方法によれば、拘束した状態のまま支持部21を回転させることで、本溶接10をし易い位置に他の溶接部位を配置できる。このため、本溶接10の作業を容易に行うことが可能である。この結果、クレーンジブを容易に製造することができる。なお、保持機構100により各支持部21を保持しつつ、当該保持機構100により支持部21を回転させることで、本溶接10をし易い位置に他の溶接部位を配置できる。このため、本溶接作業を容易に行うことが可能である。しかも、作業床に設置されて各支持部21を保持する保持機構100を適用することで、クレーンなどで吊り上げて支持部21を回転させることがなく、本溶接作業を容易に行うことが可能である。この結果、クレーンジブを容易に製造することが可能になる。
【0043】
なお、上述した実施の形態のクレーンジブ製造方法では、ジブ2を有するクレーンとしてデッキクレーンを一例として説明したが、この限りではなく、支持部21から構成されるジブ2を有するクレーン全てに適用される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明に係るクレーンジブ製造方法は、クレーンジブを容易に製造することに適している。
【符号の説明】
【0045】
2 クレーンジブ(ジブ)
21 支持部
21a 本体部材
21b 板部材
10 溶接(本溶接)
11 仮溶接
12 スペーサ
100 保持機構
110 保持部
120 回転部
121 回転架台
122 従動ギア
123 モータ
123a 駆動ギア
200 水平ジャッキ
201 拘束治具
300 多電極溶接装置
L 支持部の長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って側部が開口して形成された長尺の本体部材に対し、当該本体部材の開口部分に長尺の板部材を溶接することでクレーンジブをなす長尺中空の支持部を形成するクレーンジブ製造方法であって、
前記本体部材と前記板部材とを仮溶接して前記支持部を仮組みする仮組み工程と、
仮組みされた2つの前記支持部を並設して、本溶接による予想歪みの反対方向に曲げを付与した状態で、2つの前記支持部相互を拘束する曲げ工程と、
拘束した状態の前記2つの支持部の本溶接を同時施工する本溶接工程と、
を含むことを特徴とするクレーンジブ製造方法。
【請求項2】
前記本溶接工程後、拘束した状態のまま支持部を回転させ、次に、前記2つの支持部の他の溶接部位の本溶接を同時施工することを特徴とする請求項1に記載のクレーンジブ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−255986(P2011−255986A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130265(P2010−130265)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】