説明

クロスセリング促進システム及びクロスセリング促進方法

【課題】買い物客のレジ待ち時間を有効に活用する。
【解決手段】買い物客は、店舗内で買い物の精算のためにレジに行く(S701)。基幹サーバは、顧客が会員であれば、レジ装置が携帯端末から取得した会員番号により、顧客の顧客管理データを特定する。非会員であれば、店員が見て判断した性別、年齢を取得し、顧客管理データに追加する。その後、レジ装置から購入商品情報を取得し、顧客管理データに上書きする。一方、顧客管理データや商品コンテンツ属性データ等を用いて、顧客の属性や購入履歴に合致する商材、広告等のコンテンツを選択し、その表示を指示する(S702)。顧客は、レジ待ちの間、表示装置に表示されたコンテンツを視聴し、購入アイコンに触れると、コンテンツの価格が精算金額に合算される。精算金額が確定すると、店員は買い物客に精算を依頼する(S703)。決済と同時に、コンテンツが表示装置から携帯端末にダウンロードされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗におけるクロスセリング及び顧客維持を促進するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や電子マネー決済環境等のインフラの普及、決済時の特典の充実、そして何よりも、支払いの手軽さ及び迅速さにより、スーパーやコンビニエンスストアでの電子マネー決済の利用が進み、その頻度及び金額は急速に増加している。また、精算を行うレジスタ自体にもPOS(Point Of Sale)管理機能や通信機能等が実装され、高機能化が著しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−355091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、決済の簡便化や迅速化が進む一方で、商品の読み取りは人手によりバーコード等で1品ずつ行われており、大量に商品を購入した際には、レジの前で待つ時間が長くなる。この間、買い物客は、店員を見続けることが憚れるため、レジで登録される商品の金額を眺めるか、店内を所在なく眺めるしかなく、居心地の悪い時間を過ごさなければならない。一方、店側としても、買い物客を無為に待たせるだけであり、せっかくの店内滞留時間に、何ら売上向上のための働きかけができず、商機会を無駄にしている。
【0005】
このような状況に対して、大手スーパーやコンビニエンスストアでは、レジ本体に小型のディスプレイ(デジタルサイネージ等)を付設し、買い物客がディスプレイを見て時間を潰せるようにしているところがある。
【0006】
しかし、買い物客は、単なる映画チケット等の広告を見せられることが多く、仮に欲しい商品があったとしても、その場で追加購入するには、精算中の店員に声を掛け、改めて商品を用意してもらう必要がある。そのため、店員に声をかけるのをためらったり、レジの前で更に待つことを敬遠したりしてしまい、購入につながらないことが多い。また、購入したとしても、その場限りの売上であり、次回の来店を促すようなものではないので、機会利益を失っている可能性がある。
【0007】
なお、買い物客が購入した商品に関連する他の商品を推奨し、販売することをクロスセリングという。例えば、特許文献1には、精算時に客面表示される宣伝情報を見て、POSレジ客面入力装置からリアルタイムに購入申請が行える販拡POSレジ制御方法及びシステムが開示されている。ただし、これは、客層及び購入商品情報に基づいて関連商品情報を表示するものであり、買い物客にさらなる購入を促すには十分とは言えない。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、買い物客のレジ待ち時間を有効に活用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、店舗で買い物のレジ精算を待つ購入者に対するクロスセルを促進するためのクロスセリング促進システムであって、購入者に固有のIDである購入者IDと、当該購入者に関する情報である購入者情報とを対応付けて記憶する手段と、コンテンツと、当該コンテンツの購入に関する情報であるコンテンツ情報とを対応付けて記憶する手段と、前記レジ精算を待つ購入者の購入者IDを取得する手段と、前記取得した購入者IDに対応付けられた前記購入者情報と、各コンテンツに対応付けられた前記コンテンツ情報とに基づいて、前記購入者に適合するコンテンツを特定する手段と、前記レジ精算の間に、前記特定したコンテンツに関するデータを前記購入者に向けて出力する手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、購入者に適合するコンテンツに関するデータを出力することにより、レジ精算待ちの買い物客が、その客にとってピンポイントで有意義なコンテンツについて視聴できるとともに、そのコンテンツを購入する可能性を高くすることができる。これによれば、買い物客がレジでの精算待ち時間を有意義に過ごせるとともに、店舗のさらなる売上向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明の上記クロスセリング促進システムにおいて、前記購入者情報及び前記コンテンツ情報は、購入者の属性、購入商品、購入価格帯及び購入時間帯を含み、前記コンテンツを特定する際に、前記購入者情報と、前記コンテンツ情報との間における、前記属性の合致率、前記購入商品の合致率、前記購入価格帯の合致率及び前記購入時間帯の合致率をそれぞれ計算し、前記計算した各合致率に基づいて、前記購入者情報と、前記コンテンツ情報との総合合致率を計算し、前記計算した総合合致率が所定値以上のコンテンツを特定することとしてもよい。
【0012】
この構成によれば、購入者の属性、購入商品、購入価格帯及び購入時間帯のそれぞれについて、買い物客の購入者情報に含まれるデータと、コンテンツのコンテンツ情報に含まれるデータとの合致率を計算し、計算した各合致率に基づいて総合合致率を求める。そして、求めた総合合致率が所定値以上のコンテンツを特定し、出力する。これによれば、各判断要素をコンテンツの特定に反映させることができるとともに、反映させる判断要素の比重を調整することができる。すなわち、総合合致率を求める際に、例えば、各判断要素をバランスよく評価したい場合には、各合致率の単純平均をとればよいし、店舗の事情に応じて判断要素ごとに比重を変えたい場合には、加重平均をとればよい。
【0013】
また、本発明の上記クロスセリング促進システムにおいて、前記コンテンツごとに、当該コンテンツの出力時間を記憶する手段と、前記買い物の商品点数を取得し、当該商品点数に基づいて、前記レジ精算に必要な時間である精算時間を推定する手段と、をさらに備え、前記コンテンツを特定する際に、前記出力時間又はその合計が前記精算時間に収まるように、前記総合合致率が所定値以上のコンテンツのうち、1又は複数のコンテンツを特定することとしてもよい。
【0014】
この構成によれば、総合合致率が所定値以上のコンテンツの出力時間が、レジ精算時間内に収まるように、さらにコンテンツを絞り込む。これによれば、レジ精算の終了により、出力が途切れることなく、完結したコンテンツを買い物客に見せることができる。
【0015】
また、本発明の上記クロスセリング促進システムにおいて、前記購入者情報は、当該購入者が携帯する端末の機種を含み、前記コンテンツ情報は、当該コンテンツを送信可能な端末の機種を含み、前記コンテンツを出力したときに、前記購入者が当該コンテンツを購入する旨のメッセージを入力可能とする手段と、前記メッセージを取得したときに、前記買い物のレジ精算に、前記購入するコンテンツの価格を反映する手段と、前記購入するコンテンツの価格を反映した後に、前記取得した購入者IDの前記購入者情報に含まれる端末の機種が、当該コンテンツの前記コンテンツ情報に含まれる端末の機種に対応している場合に、当該コンテンツを前記購入者の端末に送信する手段と、をさらに備えることとしてもよい。
【0016】
この構成によれば、買い物客は、レジ精算中に出力されたコンテンツを購入したいときに、その意思を入力する操作を行う。その操作を行うと、購入したいコンテンツの価格が精算され、その後にコンテンツを取得できるので、その場ですべての手続きが済み、非常に便利である。
【0017】
また、本発明の上記クロスセリング促進システムにおいて、前記メッセージを取得したときに、次回来店時に利用可能な無料のコンテンツを前記購入者の端末に送信する手段をさらに備えることとしてもよい。
【0018】
この構成によれば、買い物客は、レジ精算中に出力されたコンテンツを購入すれば、割引クーポンやセール情報等のコンテンツを取得できる。これによれば、有料コンテンツを購入しなければ、無料コンテンツを取得できないので、さらに有料コンテンツの販売促進を図ることができる。そして、次回利用可能な無料コンテンツを提供することにより、買い物客の囲い込み(リピーター化)を図ることができる。
【0019】
なお、本発明は、クロスセリング促進方法を含む。その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、買い物客のレジ待ち時間を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】クロスセリング促進システム1のネットワーク構成を示す図である。
【図2】基幹サーバ5のハードウェア構成を示す図である。
【図3】顧客管理データ55Aのデータ構成を示す図である。
【図4】商品マスタデータ55Bの構成を示す図である。
【図5】商品コンテンツ属性データ55Cの構成を示す。
【図6】プロモーション用データ55Dの構成を示す。
【図7】クロスセリング促進システム1における、買い物客及び店員の動作イメージを示す図である。
【図8】基幹サーバ5の処理を示すフローチャートである。
【図9】基幹サーバ5による商品コンテンツの選択処理を示すフローチャートである。
【図10】合致率を決定するためのテンプレートの例を示す図であり、(a)は趣味間の合致率を決定するためのテンプレートを示し、(b)は時間帯間の合致率を決定するためのテンプレートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係るクロスセリング促進システムは、スーパー等の店舗において、POSデータや携帯端末等の非接触通信機能を活用することにより、買い物客がレジの精算を待っている間に、その顧客の属性に合った商材を訴求(表示や音声出力等による)するとともに、その商材がデジタルコンテンツである場合には、その場で購入することを可能とし、新たな決済情報を精算中の決済情報に即時追加するものである。また、買い物客が店舗の会員である場合は、嗜好や購入履歴等を訴求内容に反映させる。さらに、最終的な精算の際に、次回来店時に利用できる割引クーポンやセール情報を買い物客の携帯端末に転送する。
【0023】
これによれば、買い物客にとってはレジ待ち時間を有意なものとし、店舗にとっては店内で購入した商品の他に追加で購入させるクロスセリングの機会として活用できる。そして、訴求商材と、顧客属性や購入履歴との合致化により、レジ脇でのついで買いの購買金額の高額化を図ることができる。また、無料のコンテンツを提供することにより、顧客維持(リピーター化)が可能になる。
【0024】
なお、ついで買いやクーポン利用等の傾向は、プロモーションに対する反応度(実際の効果)として、顧客や商品に関するDBに登録され、次回以降の訴求に利用される。
【0025】
≪システムの構成と概要≫
図1は、クロスセリング促進システム1のネットワーク構成を示す図である。クロスセリング促進システム1は、表示装置2、レジ装置3、店舗サーバ4、基幹サーバ5及び外部事業者サーバ6を備える。
【0026】
表示装置2は、レジ装置3の近くで精算待ちの買い物客が視聴できるように設置され、販売促進(プロモーション)のためのデータを表示するとともに、携帯端末7と無線通信可能なリーダライタを備える。そのリーダライタは、無線通信を、認証及び決算用と、コンテンツデータ用との2セッション化することにより、データ送受信処理の高速化を図る。例えば、NFC(Near Field Communication)方式の周波数は13.56MHzであり、トランスファージェット(TransferJet:登録商標)の周波数は4.48GHzであるので、これらの近距離大容量通信技術を利用する。特に、コンテンツデータは大容量であるので、トランスファージェットが有用である。そして、コンテンツデータ用のセッションは、キャリアや機種ごとの通信方式やデータ形式に対応する。表示装置2は、例えば、デジタルサイネージにより実現され、音声出力も可能とする。
【0027】
レジ装置3は、スーパーやコンビニエンスストア等の店舗で買い物の精算を行うために設置される装置であり、買い物客が購入した商品の決済及び課金を行うとともに、買い物客の属性や嗜好に関する情報をストックデータとして取得し、そのとき購入した商品やその価格、日時等をフローデータとして取得する。そして、買い物客の携帯端末7から会員番号等を取得し、店舗サーバ4に送信し、一方、店舗サーバ4からデジタルコンテンツを受信し、そのデジタルコンテンツを表示装置2に送信し、表示させる。なお、レジ装置3と、店舗サーバ4とは、LAN(Local Area Network)を介して通信可能に接続される。
【0028】
店舗サーバ4は、店舗ごとに設置される管理用コンピュータであり、店舗固有の情報を取得し、管理し、決算、課金、顧客及び商品に関する情報を基幹サーバ5との間で送受信するとともに、基幹サーバ5からレジ装置3にデジタルコンテンツを転送する際のデータキャッシュ機能を果たす。なお、店舗サーバ4と、基幹サーバ5とは、FTTH(Fiber To The Home)を介して通信可能に接続される。これにより、通信の安定化及び高速化を図ることができる。
【0029】
基幹サーバ5は、各店舗を運営する会社の基幹系システムのコンピュータであり、各店舗の発注、決算、課金、顧客及び商品に関する情報を管理するとともに、自社又は他社(外部事業者)のデジタルコンテンツを取得し、各店舗サーバ4に配信する。外部事業者のデジタルコンテンツは、外部事業者サーバ6から受信して取得する。なお、基幹サーバ5と、外部事業者サーバ6とは、例えば、VPN(Virtual Private Network:仮想私設網)を介して通信可能に接続される。
【0030】
外部事業者サーバ6は、各店舗を運営する会社以外の事業者のサーバであり、特に、当該会社にイベントチケットやクーポン等のデジタルコンテンツを送信し、登録する一方、例えば、電子マネー系システム(図示せず)により提供されるクラウドサービスを用いて、登録したデジタルコンテンツの、店舗における売上を回収する。
【0031】
携帯端末7は、当該店舗の会員になっている買い物客が所持する携帯電話やスマートフォンであり、個人の特定や認証のために会員番号や他の属性の情報を保持し、会員番号等をレジ装置3に送信し、一方、表示装置2からデジタルコンテンツを取得し、記憶し、表示することにより、買い物客による当該デジタルコンテンツの利用を可能にする。なお、会員情報の保持や送信の機能に限れば、携帯端末7の代わりに、IC(Integrated Circuit)カード等を用いてもよい。
【0032】
図2は、基幹サーバ5のハードウェア構成を示す図である。基幹サーバ5は、通信部51、表示部52、入力部53、処理部54及び記憶部55を備え、各部がバス56を介してデータを送受信可能なように構成される。通信部51は、ネットワークを介して店舗サーバ4や外部事業者サーバ6とIP(Internet Protocol)通信等を行う部分であり、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。表示部52は、処理部54からの指示によりデータを表示する部分であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等によって実現される。入力部53は、オペレータがデータ(例えば、自社のプロモーション用データ等)や指示を入力する部分であり、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等によって実現される。処理部54は、所定のメモリを介して各部間のデータの受け渡しを行うととともに、基幹サーバ5全体の制御を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部55は、処理部54からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0033】
処理部54は、プログラムモジュールとして、発注処理モジュール、決算課金管理モジュール及びコンテンツ収集配信モジュールを含む。発注処理モジュールは、記憶部55に格納されている顧客管理データや商品マスタデータに基づいて、注文すべき商品を決定し、例えば、外部の調達系システム(図示せず)により提供されるクラウドサービスを用いて発注処理を行う。決算課金管理モジュールは、店舗サーバ4から決算及び課金に関する情報を取得し、例えば、外部の電子マネー系システム(図示せず)により提供されるクラウドサービスを用いて決算課金管理を行う。コンテンツ収集配信モジュールは、外部事業者サーバ6からデジタルコンテンツを受信し、記憶し、自社のプロモーション用のデジタルコンテンツと合わせて、各店舗サーバ4に配信するとともに、デジタルコンテンツのうち、有料の商品デジタルコンテンツに関する情報を商品マスタデータに追加し、格納する。
【0034】
なお、店舗サーバ4及び外部事業者サーバ6は、基幹サーバ5と同様のハードウェア構成を有するものとする。
【0035】
≪データの構成≫
図3〜図6は、基幹サーバ5の記憶部55に記憶されるデータの構成を示す図である。
【0036】
図3は、顧客管理データ55Aのデータ構成を示す。顧客管理データ55Aは、店舗で商品を購入した買い物客ごとに、当該顧客の属性や購入履歴であるストックレコードと、今回の購入品、日時や天気であるフローレコードとを記憶した購入者情報である。ストックレコードには、基本情報55A1、属性55A2、購入商品55A3、購入単価55A4、時間帯55A5、天気55A6及び頻度55A7がある。基本情報55A1は、顧客の店舗関連情報であり、会員番号、蓄積ポイント及び最終購買日を含む。属性55A2は、顧客に固有の属性情報であり、年齢、生年月日、性別、血液型、住所、職業、年収、趣味及び端末を含む。顧客の携帯端末7の機種を把握することにより、その機種に応じたデジタルコンテンツの購入や利用を当該顧客に勧めることができる。
【0037】
購入商品55A3〜頻度55A7は、顧客の購入履歴に関する。購入商品55A3は、今まで自社の店舗で顧客が購入した商品の分類(例えば、食品、雑貨、嗜好品等)及びその割合を示す。購入単価55A4は、今まで自社の店舗で顧客が買い物をしたときの、1回あたりの金額であり、平均額、最大額、最小額及び最頻額を含む。
【0038】
時間帯55A5〜頻度55A7は、顧客が来店したときの状況である来店状況を示す。時間帯55A5は、来店時の時間帯(例えば、営業時間を5つに分けた時間帯)及びその割合を示す。天気55A6は、来店時の天気(例えば、晴れ、曇り、雨)及びその割合を示す。頻度55A7は、当年度に関して各月の来店回数を示し、過年度に関して各年の来店回数を示す。
【0039】
フローレコードには、購入商品55A8、日時55A9及び天気55A10がある。購入商品55A8は、今回顧客が購入した商品の内訳及び金額を示す。日時55A9は、今回の日付及び精算時刻を示す。天気55A10は、今回の精算時の天気を示す。フローレコードは、決済課金用のデータとしても利用される。
【0040】
なお、購入履歴である購入商品55A3、購入単価55A4、時間帯55A5及び天気55A6は、今までの単純平均に限ることなく、例えば、最近の購入時の状況ほど重み付けした加重平均としてもよい。
【0041】
以上、顧客が会員である場合について説明したが、顧客が一見客又は非会員である場合には、ストックデータが限られたものになる。すなわち、基本情報55A1は、会員番号等がないので、N/A(Not Applicable:該当なし)となる。属性55A2は、店員が見た目の判断によりPOSデータとしてレジ装置3に入力し、登録した年齢及び性別が設定される。購入商品55A3、購入単価55A4及び時間帯55A5は、過去の履歴がないので、フローレコードに対する分類がそのまま設定される。
【0042】
図4は、商品マスタデータ55Bの構成を示す。商品マスタデータ55Bは、各店舗で販売する商品の基礎データであり、品名55B1、金額55B2、主カテゴリ55B3、副カテゴリ55B4、取扱有効期間55B5及び取扱区分55B6を含む、商品ごとのレコードからなる。なお、商品は、店舗内に陳列されている物だけでなく、販売対象のデジタルコンテンツ(商品コンテンツ)を含む。
【0043】
品名55B1は、商品の名称を示す。金額55B2は、商品の価格を示す。主カテゴリ55B3は、商品を分類したときの主たる区分を示す。副カテゴリ55B4は、商品を分類したときの副的な区分を示す。レシピブックは、購入した食材に応じて複数の種類を用意してもよい。
【0044】
取扱有効期間55B5は、商品を取り扱うことのできる期間であり、特に外部事業者から取得した商品コンテンツの有効期間を把握し、有効期間内の物を店舗サーバ4に配信するために用いられる。取扱区分55B6は、自社の商材か、外部事業者からの委託販売かの区分を示し、自社のものと、他社(外部事業者)のものとを区別して、会計(売り上げの計上)を行うために用いられる。商品マスタデータ55Bは、特に、商品取扱の有効期限及び区分を含むことが特徴である。
【0045】
図5は、商品コンテンツ属性データ55Cの構成を示す。商品コンテンツ属性データ55Cは、販売対象である商品コンテンツの属性、適合する顧客属性及び購入状況を示すコンテンツ情報であり、品名55C1、金額55C2、主カテゴリ55C3、副カテゴリ55B4、データ形式55C5、データ容量55C6、指定端末55C7、性別55C8、年齢範囲55C9、趣味55C10、最頻決算価格帯55C11、最頻売上時間帯55C12及び最頻売上組合せ55C13を含む、商品コンテンツごとのレコードからなる。品名55C1は、商品コンテンツの名称を示す。
【0046】
金額55C2〜指定端末55C7は、コンテンツ属性である。金額55C2は、商品コンテンツの価格を示す。主カテゴリ55C3は、商品コンテンツを分類したときの主たる区分を示す。副カテゴリ55B4、商品コンテンツを分類したときの副的な区分を示す。データ形式55C5は、商品コンテンツのデータ形式を示す。データ容量55C6は、商品コンテンツのデータ容量を示す。指定端末55C7は、商品コンテンツを取得することが可能な携帯端末7を示し、複数の機種が設定されてもよい。そのとき、携帯端末7の機種ごとの通信方式やデータ形式に対応した複数の商品コンテンツが用意される。また、実際に表示装置2から携帯端末7に商品コンテンツを送信する際には、携帯端末7から個体識別情報(端末の機種等)を取得し、その個体識別情報に基づいて、対応する商品コンテンツがあるか否かを判断し、一方、その個体識別情報を取得できなければ、指定端末に該当する携帯端末7がないと判断する。なお、個体識別情報としては、当該顧客の顧客管理データ55Aのうち、属性55A2に含まれる「端末」を用いてもよい。
【0047】
性別55C8〜趣味55C10は、商品コンテンツに適合する顧客の属性である。性別55C8は、商品コンテンツを購入した顧客の性別の傾向を示す。年齢範囲55C9は、商品コンテンツを購入した顧客の年齢層の傾向を示し、年齢の範囲が設定される。趣味55C10は、商品コンテンツを購入した顧客の趣味の傾向を示す。
【0048】
最頻決算価格帯55C11〜最頻売上組合せ55C13は、商品コンテンツに適合する顧客の購入状況である。最頻決算価格帯55C11は、商品コンテンツを購入した顧客の買い物価格のうち、最も頻度の高い最終価格帯を示す。最頻売上時間帯55C12は、商品コンテンツを顧客が購入した時間のうち、最も頻度の高い時間帯を示す。最頻売上組合せ55C13は、商品コンテンツを購入した顧客の商品のうち、最も頻度の高いカテゴリの組合せを示す。
【0049】
なお、顧客属性及び購入状況は、当該商品コンテンツに適合する購入者の条件であり、レジ精算中の顧客の購入履歴等との合致率を計算し、その合致率が所定値以上の商品コンテンツを表示するために用いられる。
【0050】
図6は、プロモーション用データ55Dの構成を示す。プロモーション用データ55Dは、商品コンテンツ及び無料コンテンツを含む各デジタルコンテンツの表示方法等を示すものであり、品名55D1、プロモーションタイプ55D2、出力条件55D3、追跡タグ55D4、配信時間55D5及び取扱区分55D6を含む、デジタルコンテンツごとのレコードからなる。品名55D1は、デジタルコンテンツの名称を示す。プロモーションタイプ55D2は、表示装置2におけるコンテンツの表示形式を示し、静止画か動画か、顧客から見て一方向か双方向かが設定される。出力条件55D3は、コンテンツを携帯端末7に出力する際の条件を示し、換言すれば、顧客がコンテンツを入手する際の条件を示し、有料を示す「購入」か、無料を示す「取得」かが設定される。
【0051】
追跡タグ55D4は、無料コンテンツに付加されているタグ情報であり、後日当該無料コンテンツの利用実績等を把握し、その効果を検証するために用いられる。配信時間55D5は、コンテンツが表示装置2に表示される継続時間を示し、コンテンツによって「長」及び「短」の2つの時間が設定される。これは、買い物の商品点数から推定したレジ精算時間以内に収まるように、コンテンツの表示時間を調整し、適合する表示時間を選択するために用いられる。取扱区分55D6は、自社の商材か、外部事業者からの委託販売かの区分を示し、自社のものと、他社(外部事業者)のものとを区別して、会計(売り上げの計上)を行うために用いられる。
【0052】
なお、基幹サーバ5は、コンテンツデータ55E(図示せず)をさらに記憶するものとする。コンテンツデータ55Eは、商品コンテンツ及び無料コンテンツを含む各デジタルコンテンツ自体であり、商品コンテンツ属性データ55C及びプロモーション用データ55Dの各レコードから対応付けられて格納される。
【0053】
≪システムの処理≫
図7は、クロスセリング促進システム1における、買い物客及び店員の動作イメージを示す図である。以下、買い物客と店員の動作及びそれに伴うクロスセリング促進システム1の処理概要について説明する。
【0054】
まず、買い物客は、店舗内で買い物を行い、必要な商品を買い物かごに入れ終わると、その精算のためにレジに行く(S701)。そこで、買い物客が、その店舗の会員であれば、ポイント等のインセンティブを受けるために、精算の前に携帯端末7をレジ装置3にかざす。このとき、基幹サーバ5は、レジ装置3が携帯端末7から取得した会員番号により、顧客管理データ55Aのうち、当該顧客のレコードを特定する。一方、買い物客が非会員又は一見客であれば、店員がその顧客を見て判断した性別及び年齢をPOSデータとしてレジ装置3に入力する。このとき、基幹サーバ5は、レジ装置3から性別及び年齢を取得し、それらを含むフローレコードを顧客管理データ55Aに追加する。
【0055】
その後、店員が商品の精算を開始すると、レジ装置3に商品のバーコードが読み取られ、そのバーコードから変換された購入商品情報が基幹サーバ5に送信される。基幹サーバ5は、レジ装置3から購入商品情報を取得し、顧客管理データ55Aのフローレコードに上書きする。
【0056】
基幹サーバ5は、レジ待ちの買い物客の顧客管理データ55Aを特定又は追加すると、商品マスタデータ55B、商品コンテンツ属性データ55C、プロモーション用データ55D及びコンテンツデータ55Eを用いて、当該買い物客の属性や購入履歴に合致する商材、広告等のコンテンツを選択し、そのコンテンツを表示装置2に表示するように、レジ装置3に指示する。
【0057】
買い物客側にある表示装置2は、プロモーション用のコンテンツを表示する(S702)。例えば、動画・音楽コンテンツ、リフト券、映画チケット、入場・入園券が表示、出力される。買い物客は、レジ待ちの間、表示装置2のコンテンツを視聴することにより、待ち時間を楽しく、有意義に過ごすことができる。表示装置2は、タッチスクリーンになっており、コンテンツごとに購入アイコンが表示されるので、そのアイコンに触れることにより、コンテンツを購入することができる。これにより、店舗としては、買い物客の購入単価の向上を図ることができる。
【0058】
表示装置2に表示されたコンテンツの購入があれば、即時にそのコンテンツの価格が精算情報に合算される。最終的な精算金額が確定すると、店員は買い物客に精算を依頼する(S703)。それに対して、顧客が精算金額の支払いを行い、決済が行われると、購入したコンテンツが表示装置2から携帯端末7にダウンロードされる。そのコンテンツの情報は、基幹サーバ5に送信され、顧客管理データ55Aに反映される。
【0059】
買い物客は、自分の嗜好等に合ったコンテンツが表示されるので、レジ待ち時間を楽しく過ごすことができる。また、そのコンテンツをその場で購入することができるので、非常に便利である。これによれば、買い物客に対して、次回来店の動機付けを行うことができる。
【0060】
図8は、基幹サーバ5の処理を示すフローチャートである。本処理は、基幹サーバ5において、主として処理部54が、通信部51により店舗サーバ4及び外部事業者サーバ6との間でデータを送受信し、記憶部15のデータを参照、更新しながら、デジタルコンテンツの表示装置2への表示や携帯端末7への提供を指示し、買い物の精算を行うものである。以下のフローチャートでは、基幹サーバ5の処理が中心となるが、必要に応じて他の装置の処理を含めて説明する。
【0061】
まず、買い物客が店舗で会員登録を行うと、基幹サーバ5は、店舗サーバ4を通じて、顧客の属性や嗜好に関する情報を受信し、記憶部55の顧客管理データ55Aに対して、基本情報55A1及び属性55A2を含むレコードを新規に追加する(S801)。なお、会員登録した買い物客が店舗で商品を購入するごとに、基幹サーバ5は、顧客管理データ55Aのうち、当該顧客のレコードにフローレコードを記憶し、そのフローレコードに基づいて、ストックレコードの購入履歴を更新し、蓄積する。このように買い物客の購入履歴が蓄積された顧客管理データ55Aを利用して、期間限定のフラッシュマーケティング等を実施してもよい。
【0062】
次に、買い物客が店舗で商品を購入すると、基幹サーバ5は、店舗サーバ4を通じて、会員番号、日時や天気、POSデータ等を受信し、それらのデータにより記憶部55の顧客管理データ55Aを更新する(S802)。詳細には、買い物客が会員であれば、携帯端末7から取得した会員番号に該当するレコードにフローレコード(日時及び天気)を上書きする。買い物客が非会員又は一見客であれば、POSデータによるストックレコード(年齢及び性別)及びフローレコード(日時及び天気)からなるレコードを新規に追加する。POSデータは、店員が買い物客を見て判断し、入力したものである。なお、上記買い物客のレコードは、レジ精算が一旦終了し、基幹サーバ5が購入商品及びその金額を受信し、フローレコードの購入商品55A8として記憶したときに、決算情報(一次決算情報)として確定する。
【0063】
そして、基幹サーバ5は、顧客の属性や嗜好に合致する商品コンテンツがあるか否かを確認する(S803)。その詳細は、図9のフローチャートで別途説明する。
【0064】
確認の結果、合致率が80%以上の商品コンテンツがあれば(S804のYES)、基幹サーバ5は、該当する商品コンテンツを店舗サーバ4経由でレジ装置3に送信し、表示装置2に表示するように指示する(S805)。なお、合致率の閾値は、80%に限定されることなく、商品コンテンツを提供する外部事業者の意向やレベニューシェア率(利益配分率)に応じた閾値を設定可能とする。一方、合致率が80%以上の商品コンテンツがなければ(S804のNO)、無料コンテンツを店舗サーバ4経由でレジ装置3に送信し、表示装置2に表示するように指示する(S806)。無料コンテンツは、顧客の嗜好に合った情報や、会社や店舗独自の商品やサービスのPR等であり、例えば、割引クーポンや特売情報、ショートムービー等が考えられる。
【0065】
このとき、表示装置2は、精算待ちの買い物客に向けて、レジ装置3から受けた商品コンテンツ又は無料コンテンツを表示するとともに、商品コンテンツを購入する際に触れる購入アイコン、又は、無料コンテンツを利用する際に触れる利用アイコンを表示する。買い物客は、コンテンツの購入又は利用の意思があれば、購入アイコン、又は、利用アイコンに指を接触させる。なお、コンテンツの表示では、コンテンツの内容そのものを表示してもよいし、コンテンツの紹介や宣伝に関するデータを表示してもよい。
【0066】
基幹サーバ5は、レジ装置3及び店舗サーバ4経由で、表示装置2に表示された購入アイコン、又は、利用アイコンに接触があったことを通知されたとき、すなわち、商品コンテンツの購入又は無料コンテンツの利用があったとき(S807のYES)、それを決算情報(二次決算情報)又は付加情報に反映させる(S808)。詳細には、商品コンテンツの購入があれば、顧客管理データ55Aのフローレコードのうち、購入商品55A8に新たな品名(商品コンテンツの名称)及びその金額を追加するとともに、合計金額を更新する。一方、無料コンテンツの利用があれば、プロモーション用データ55Dのうち、当該無料コンテンツの追跡タグ55D4を取得し、顧客管理データ55Aのうち、当該顧客のレコードに付加情報として追加する。商品コンテンツの購入や無料コンテンツの利用がなかったとき(S807のNO)、S808の処理をスキップする。
【0067】
続いて、基幹サーバ5は、決算課金管理モジュールにより、フローレコードの購入商品55A8に記載されている品名及び金額で精算処理を行う(S809)。そして、店舗サーバ4及びレジ装置3経由で、表示装置2に対して、購入のあった商品コンテンツ、又は、利用のあった無料コンテンツを携帯端末7に送信するように指示する(S810)。デジタルコンテンツは、大容量であるので、トランスファージェットを使うことにより、速やかに携帯端末7にダウンロードすることができる。
【0068】
図9は、基幹サーバ5による商品コンテンツの選択処理を示すフローチャートであり、図8のS803の処理を詳細化したものである。
【0069】
まず、基幹サーバ5は、店舗サーバ4経由でレジ装置3から買い物の購入点数を取得する(S901)。これは、レジ精算を開始する前に、買い物かごに入っている商品の点数を把握するものであり、店員が目視でカウントした値を用いる。
【0070】
次に、基幹サーバ5は、商品コンテンツ属性データ55Cの各レコードと、顧客管理データ55Aのレジ待ち客のレコードとを比較し、各商品コンテンツの購入可能性率(顧客属性等との合致率)を計算する(S902)。以下、合致率の詳細について説明する。
【0071】
合致率には、年齢合致率、性別合致率、趣味合致率、価格帯合致率、時間帯合致率及び組合せ合致率の6つがある。年齢合致率は、顧客の属性55A2に含まれる年齢と、商品コンテンツの年齢範囲55C9との合致率であり、顧客の年齢が年齢範囲55C9内であれば100%とし、年齢範囲55C9の上限値又は下限値から10歳の範囲ごとに10%を減じる。なお、顧客の年齢が年齢範囲55C9の中央値と一致すれば100%とし、その中央値から10歳の範囲ごとに10%を減じるようにしてもよい。性別合致率は、顧客の属性55A2に含まれる性別と、商品コンテンツの性別55C8との合致率であり、同じであれば100%とし、異なっていれば0%とする。
【0072】
趣味合致率は、顧客の属性55A2に含まれる趣味と、商品コンテンツの趣味55C10との合致率である。代表的な趣味間の相互関連度を検討し、その相互関連度に応じて合致率を決定する。図10(a)は、趣味間の合致率を決定するためのテンプレートの例を示す図である。趣味が一致すれば100%とし、1ゾーンずれるごとに20%を減じる。例えば、グルメと、旅行との合致率は、80%とする。また、音楽と、映画との合致率は、60%とする。なお、趣味間の相互関連度が常識的な傾向を示すとは限らないので、テンプレートの構成は、店舗ごとに顧客の購入履歴等に応じて編集し直してもよい。
【0073】
価格帯合致率は、顧客の購入単価55A4に含まれる平均額と、商品コンテンツの最頻決算価格帯55C11との合致率である。詳細には、例えば、次の式1で計算する。式1においては、上限値を100%とし、「購入単価55A4の平均額」を、商品コンテンツの金額を除いた金額(陳列品だけの合計金額)とする。式1による価格帯合致率は、顧客の購入余力が商品コンテンツの価格に対して十分か否かを示すものである。
価格帯合致率[%]=|最頻決算価格帯55C11の中央値−購入単価55A4の平均額|/商品コンテンツの金額55C2×100 ・・・式1
【0074】
時間帯合致率は、顧客の来店状況の時間帯55A5のうち、最も割合の高い時間帯と、商品コンテンツの最頻売上時間帯55C12との合致率である。図10(b)は、時間帯間の合致率を決定するためのテンプレートの例を示す図である。時間帯同士が一致すれば100%とし、時間帯同士が1ゾーンずれるごとに20%減じる。例えば、顧客の来店時間帯が10〜12時であり、商品コンテンツの最頻売上時間帯55C12が13〜17時であれば、合致率は60%となる。
【0075】
組合せ合致率は、顧客の購入商品55A3と、商品コンテンツの最頻売上組合せ55C13との合致率である。詳細には、次の式2で計算する。
組合せ合致率[%] = 購入商品55A3の上位品目の該当数/最頻売上組合せ55C13の品目数×100 ・・・式2
【0076】
最頻売上組合せ55C13の品目数は、例えば、図5のレシピブックであれば、「生鮮」及び「青果」の2品目である。そのとき、購入商品55A3の上位品目の該当数は、図3の購入商品55A3に、上記2品目のうち「生鮮」しかないので、1品目となる。このとき、組合せ合致率は、1/2×100=50[%]となる。
【0077】
以上説明した6つの合致率の平均値を計算し、各商品コンテンツの合致率とする。なお、単純な平均値に限ることなく、式3に示すように各合致率の比重を変えた加重平均値であってもよい。
合致率 = (年齢合致率×1.2+性別合致率×1+趣味合致率×0.8+価格帯合致率×1.4+時間帯合致率×0.8+組合せ合致率×0.8)/6 ・・・式3
【0078】
なお、非会員や一見客の場合には、詳細な属性や過去の履歴が分からず、趣味合致率、価格帯合致率及び組合せ合致率を計算できないので、年齢合致率、性別合致率及び時間帯合致率(ただし、日時55A9に含まれる時刻を用いる)をそれぞれ計算し、その平均値を各商品コンテンツの合致率とする。
【0079】
続いて、基幹サーバ5は、顧客属性等との合致率が80%以上の商品コンテンツがあるか否かを判定する(S903)。該当する商品コンテンツがあれば(S903のYES)、S901で取得した購入点数からレジ精算に必要な時間を推定し、その時間以内に該当商品コンテンツの表示が収まるように、プロモーション用データ55Dの配信時間のうち、長又は短を選択する(S904)。一方、該当する商品コンテンツがなければ(S903のNO)、S904の処理をスキップする。
【0080】
なお、上記実施の形態では、図1に示すクロスセリング促進システム1内の各装置やサーバを機能させるために、CPUで実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係るクロスセリング促進システム1が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0081】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、買い物客がレジ待ち時間を有効に活用できるとともに、店舗がレジ待ち時間に有効なクロスセリングを実施することができる。特に、購買余力のある顧客に限って、購入商品の点数が多く、精算に時間がかかるので、レジの前で時間を持て余すことになるが、そのような顧客にとって有用であり、店舗にとっても販売促進の機会を最大限に活用できる。
【0082】
詳細には、まず、図8のS804及びS805に示すように、顧客の属性や嗜好に合致する商品コンテンツを表示装置2に表示することにより、プロモーションの精度が向上するので、レジ待ちの買い物客が精算時間を楽しく過ごすことができ、さらに、商品コンテンツを購入する可能性が高くなるので、店舗は売上の向上を期待することができる。
【0083】
また、S806に示すように、無料コンテンツを表示して、次回の来店時に利用可能とし、S809及びS810に示すように、その場で精算し、コンテンツを提供するので、非常に便利であり、顧客は十分に満足し、当然のように次回の来店を考えるようになる。
【0084】
以上によれば、小売の店舗等で、最後の会計時に買い物客の満足度向上を図ることができ、ひいては、顧客の維持・囲い込みにつなげることができる。
【0085】
≪その他の実施の形態≫
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
【0086】
(1)上記実施の形態では、図8のS804及びS806に示すように、顧客の属性等に合致する商品コンテンツがない場合に、商品コンテンツの代わりに無料コンテンツを表示装置2に表示するように説明したが、商品コンテンツの表示に続いて、無料コンテンツを表示してもよい。これによれば、合致する商品コンテンツの有無にかかわらず、無料コンテンツを利用できるので、すべての買い物客に対して次回の来店を促すことができ、顧客のリピーター化を図ることができる。
【0087】
また、商品コンテンツを表示装置2に表示し、買い物客が購入アイコンに触れたときに限り、無料コンテンツを表示又は提供するようにしてもよい。これによれば、買い物客は、商品コンテンツを購入しなければ、無料コンテンツを利用できないので、商品コンテンツの購入を促すことにより、売上の向上を図ることができる。それと同時に、無料コンテンツの利用もできるので、顧客のリピーター化を図ることができる。
【0088】
(2)上記実施の形態では、図8のS810に示すように、購入又は利用のあったコンテンツを携帯端末7に送信するように説明したが、それに限ることなく、例えば、レジ装置3により、当該コンテンツを入手可能なサイトのURL(Uniform Resource Locator)を含むQRコード(登録商標)等をレシートの下部に印刷したり、サービスカウンタで実物と交換可能な引換券を印刷したりしてもよい。引換券の場合、表示装置2の購入アイコンを押すと、「サービスカウンタまでお持ちください」という表示とともに、印刷出力される。これによれば、買い物客が携帯端末7を持っていない場合や、携帯端末7がコンテンツのデータ形式に対応しておらず、「端末の機種がコンテンツに合いません」というメッセージが表示された場合であっても、コンテンツを取得することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 クロスセリング促進システム
2 表示装置
3 レジ装置
4 店舗サーバ
5 基幹サーバ
54 処理部
55 記憶部
55A 顧客管理データ(購入者情報)
55A1 基本情報(購入者ID)
55C 商品コンテンツ属性データ(コンテンツ情報)
55E コンテンツデータ(コンテンツ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗で買い物のレジ精算を待つ購入者に対するクロスセルを促進するためのクロスセリング促進システムであって、
購入者に固有のIDである購入者IDと、当該購入者に関する情報である購入者情報とを対応付けて記憶する手段と、
コンテンツと、当該コンテンツの購入に関する情報であるコンテンツ情報とを対応付けて記憶する手段と、
前記レジ精算を待つ購入者の購入者IDを取得する手段と、
前記取得した購入者IDに対応付けられた前記購入者情報と、各コンテンツに対応付けられた前記コンテンツ情報とに基づいて、前記購入者に適合するコンテンツを特定する手段と、
前記レジ精算の間に、前記特定したコンテンツに関するデータを前記購入者に向けて出力する手段と、
備えることを特徴とするクロスセリング促進システム。
【請求項2】
請求項1に記載のクロスセリング促進システムであって、
前記購入者情報及び前記コンテンツ情報は、購入者の属性、購入商品、購入価格帯及び購入時間帯を含み、
前記コンテンツを特定する際に、
前記購入者情報と、前記コンテンツ情報との間における、前記属性の合致率、前記購入商品の合致率、前記購入価格帯の合致率及び前記購入時間帯の合致率をそれぞれ計算し、
前記計算した各合致率に基づいて、前記購入者情報と、前記コンテンツ情報との総合合致率を計算し、
前記計算した総合合致率が所定値以上のコンテンツを特定する
ことを特徴とするクロスセリング促進システム。
【請求項3】
請求項2に記載のクロスセリング促進システムであって、
前記コンテンツごとに、当該コンテンツの出力時間を記憶する手段と、
前記買い物の商品点数を取得し、当該商品点数に基づいて、前記レジ精算に必要な時間である精算時間を推定する手段と、
をさらに備え、
前記コンテンツを特定する際に、前記出力時間又はその合計が前記精算時間に収まるように、前記総合合致率が所定値以上のコンテンツのうち、1又は複数のコンテンツを特定する
ことを特徴とするクロスセリング促進システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のクロスセリング促進システムであって、
前記購入者情報は、当該購入者が携帯する端末の機種を含み、
前記コンテンツ情報は、当該コンテンツを送信可能な端末の機種を含み、
前記コンテンツを出力したときに、前記購入者が当該コンテンツを購入する旨のメッセージを入力可能とする手段と、
前記メッセージを取得したときに、前記買い物のレジ精算に、前記購入するコンテンツの価格を反映する手段と、
前記購入するコンテンツの価格を反映した後に、前記取得した購入者IDの前記購入者情報に含まれる端末の機種が、当該コンテンツの前記コンテンツ情報に含まれる端末の機種に対応している場合に、当該コンテンツを前記購入者の端末に送信する手段と、
をさらに備えることを特徴とするクロスセリング促進システム。
【請求項5】
請求項4に記載のクロスセリング促進システムであって、
前記メッセージを取得したときに、次回来店時に利用可能な無料のコンテンツを前記購入者の端末に送信する手段
をさらに備えることを特徴とするクロスセリング促進システム。
【請求項6】
コンピュータにより、店舗で買い物のレジ精算を待つ購入者に対するクロスセルを促進するためのクロスセリング促進方法であって、
前記コンピュータは、
購入者に固有のIDである購入者IDと、当該購入者に関する情報である購入者情報とを対応付けて記憶するステップと、
コンテンツと、当該コンテンツの購入に関する情報であるコンテンツ情報とを対応付けて記憶するステップと、
前記レジ精算を待つ購入者の購入者IDを取得するステップと、
前記取得した購入者IDに対応付けられた前記購入者情報と、各コンテンツに対応付けられた前記コンテンツ情報とに基づいて、前記購入者に適合するコンテンツを特定するステップと、
前記レジ精算の間に、前記特定したコンテンツに関するデータを前記購入者に向けて出力するステップと、
を実行することを特徴とするクロスセリング促進方法。
【請求項7】
請求項6に記載のクロスセリング促進方法であって、
前記購入者情報及び前記コンテンツ情報は、購入者の属性、購入商品、購入価格帯及び購入時間帯を含み、
前記コンピュータは、
前記コンテンツを特定する際に、
前記購入者情報と、前記コンテンツ情報との間における、前記属性の合致率、前記購入商品の合致率、前記購入価格帯の合致率及び前記購入時間帯の合致率をそれぞれ計算し、
前記計算した各合致率に基づいて、前記購入者情報と、前記コンテンツ情報との総合合致率を計算し、
前記計算した総合合致率が所定値以上のコンテンツを特定する
ことを特徴とするクロスセリング促進方法。
【請求項8】
請求項7に記載のクロスセリング促進方法であって、
前記コンピュータは、
前記コンテンツごとに、当該コンテンツの出力時間を記憶するステップと、
前記買い物の商品点数を取得し、当該商品点数に基づいて、前記レジ精算に必要な時間である精算時間を推定するステップと、
をさらに実行し、
前記コンテンツを特定する際に、前記出力時間又はその合計が前記精算時間に収まるように、前記総合合致率が所定値以上のコンテンツのうち、1又は複数のコンテンツを特定する
ことを特徴とするクロスセリング促進方法。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載のクロスセリング促進方法であって、
前記購入者情報は、当該購入者が携帯する端末の機種を含み、
前記コンテンツ情報は、当該コンテンツを送信可能な端末の機種を含み、
前記コンピュータは、
前記コンテンツを出力したときに、前記購入者が当該コンテンツを購入する旨のメッセージを入力可能とするステップと、
前記メッセージを取得したときに、前記買い物のレジ精算に、前記購入するコンテンツの価格を反映するステップと、
前記購入するコンテンツの価格を反映した後に、前記取得した購入者IDの前記購入者情報に含まれる端末の機種が、当該コンテンツの前記コンテンツ情報に含まれる端末の機種に対応している場合に、当該コンテンツを前記購入者の端末に送信するステップと、
をさらに実行することを特徴とするクロスセリング促進方法。
【請求項10】
請求項9に記載のクロスセリング促進方法であって、
前記コンピュータは、
前記メッセージを取得したときに、次回来店時に利用可能な無料のコンテンツを前記購入者の端末に送信するステップ
をさらに実行することを特徴とするクロスセリング促進方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−84151(P2013−84151A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224186(P2011−224186)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】