説明

クロストリジウム・ディフィシルを検出及び/又は同定する方法

本発明は、クロストリジウム・ディフィシルを検出及び/又は同定する方法に関する。本方法は、a)クロストリジウム・ディフィシルを同定することができる少なくとも1つのβ−グルコシダーゼ基質を含む反応培地を提供するステップと、b)試験される生物試料を培地に播種するステップと、c)インキュベーションさせるステップと、d)クロストリジウム・ディフィシルの存在を示すβ−グルコシダーゼ基質の加水分解を検出するステップとを含むことを特徴とする。本発明は、クロストリジウム・ディフィシルを同定することができる少なくとも1つのβ−グルコシダーゼ基質を含む、クロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定のための反応培地にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロストリジウム・ディフィシルに特異的な反応培地に関する。本発明は、そのような培地を用いるクロストリジウム・ディフィシルを検出及び/又は同定する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
クロストリジウム・ディフィシルは腸内細菌叢の共生微生物である。クロストリジウム・ディフィシルの胞子は土壌及び病院において見出され、その活性形態は腸内にのみ見出される。グラム染色後の顕微鏡下、胞子はわずかに膨隆した端部を有する細長い桿菌である。クロストリジウム・ディフィシルは大部分の抗生物質に耐性を示すため、抗生物質による処置による腸内細菌叢の破壊の場合には相当に発達し得る。そして、クロストリジウム・ディフィシルは偽膜性大腸炎又は抗生物質投与後下痢症の原因である2つの毒素A及びB、エンテロトキシン及び細胞毒素を分泌する。その結果として現在、クロストリジウム・ディフィシルは主に成人における院内下痢症に関与する主要な腸管病原体であると認識されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
診断は毒素活性(細胞毒素活性、CTA)の検出のような種々の技法に基づく。しかし、この技法は特にそれを実施するのに必要な時間量及び結果を読み取るための技術者の専門知識の必要性などの欠点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
診断はELISAアッセイにより免疫学によっても実施され得る。しかし、クロストリジウム・ディフィシル株を分離するために毒素を検出するために用いられる免疫学的技法と細菌培養とを組み合わせることが推奨される。この培養ステップは本出願人によって販売されているクロストリジウム・ディフィシル寒天上で実施され得、そしてクロストリジウム・ディフィシルコロニーはアピ20Aストリップ又はラピッドID 32Aストリップのような化学的方法によって同定される。しかし、ストリップを用いた同定は十分な生物量(3〜4Mc Farland)を得るためには好適な増殖培地での同定される細菌の純粋培養を必要とし、これはせいぜい48時間を要する(推定的検出を与える試料から開始して24〜72時間の分離のための培養と十分な生物量を生じさせるための24〜72時間の培養)。そして、ストリップはラピッドID 32Aでは4時間、20Aストリップでは24〜48時間、インキュベーション後に読み取られる。
【0005】
最後に、診断は分子生物学技法によって実施され得る。しかし、これらの技法はこのときにルーチンには用いられない。驚くべきことに、本発明者らは、1つ以上のβ−グルコシダーゼ酵素基質の使用がクロストリジウム・ディフィシルの容易且つ迅速な同定を可能にすることを示した。ラピッドID 32Aストリップのβ−グルコシダーゼ試験はこの種には陰性であるため、この結果は全く予想外である。本発明による培地は24時間以降の試料からの検出及び明確な同定を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明を提示する前に、本発明をより明確に理解することを可能にするために以下の定義が与えられる。それらは決して限定的ではない。
【0007】
「反応培地」という用語は、代謝の発現及び/又は微生物の増殖に必要なあらゆる要素を含む培地を意味するものとする。反応培地は固体、半固体又は液体でもよい。「固体培地」という用語は、例えば、ゲル状培地を意味するものとする。寒天が微生物を培養するための微生物学における従来のゲル化剤であるが、ゼラチン、アガロース又は他の天然若しくは人工ゲル化剤を用いることが可能である。いくつかの調製物、例えば、コロンビア寒天培地、トリプチケースソイ寒天培地、MacConkey寒天培地、Sabouraud寒天培地又はHandbook of Microbiological Media(CRC Press)に記載されている寒天培地が市販されている。本発明による反応培地はクロストリジウム・ディフィシルの増殖を可能にすべきである。
【0008】
反応培地は1つ以上の要素の組合せ、例えば、アミノ酸、ペプトン、炭水化物、ヌクレオチド、ミネラル、ビタミンなどを含み得る。培地は着色剤も含み得る。例示として、着色剤としてエバンスブルー、ニュートラルレッド、ヒツジ血液、ウマ血液、酸化チタンのような乳白剤、ニトロアニリン、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン、1つ以上の代謝指標、1つ以上の代謝調節剤などが言及され得る。
【0009】
反応培地は顕現培地又は培養・顕現培地でもよい。前者の場合、微生物は播種前に培養され、後者の場合、検出及び/又は同定培地は培地も構成する。
【0010】
当業者は、同じ生物試料が沈着された、種々の基質又は種々の選択的混合物を含む2つの培地を容易に比較することを可能にするバイプレートを用いてもよい。
【0011】
反応培地は1つ以上のβ−グルコシダーゼ誘導因子を含み得る。「β−グルコシダーゼ誘導因子」という用語は、標的代謝活性の発現の増大を誘導する化合物を意味するものとする。すべての実験条件が他の点で同等であるとして、代謝活性は誘導因子が存在しない又は不適当な濃度の場合より好適な濃度の場合に高い。
【0012】
特に、β位置においてグルコースに連結したラジカルからなる炭水化物又はβ−グルコシドサブユニットを有する炭水化物、特に、セロビオース、セルロース、デンプン、セロトリオース、トレハロース又はメチルβ−グルコシドが言及され得る。限定されないが、100ng/l〜10g/l、好ましくは10mg/l〜3g/lの濃度が本発明に特に好適である。
【0013】
反応培地はクロストリジウム・ディフィシル株の1つ以上の増殖活性化因子を含み得る。「増殖活性化因子」という用語は、微生物の増殖を刺激する化合物又は一群の化合物を意味するものとする。特に、血液、血清及び卵黄が言及され得る。
【0014】
限定されないが、0.1%〜10%の濃度が本発明に特に好適である。
【0015】
反応培地は1つ以上の還元剤を含み得る。
【0016】
「還元剤」という用語は、培地に存在する溶解Oを中和することによって嫌気性菌の増殖を促進する化合物又は一群の化合物を意味するものとする。特に、システイン、ピルビン酸塩、オキシラーゼ、亜硫酸ナトリウム、亜ジチオン酸塩、ヒスチジン及び硫化第一鉄が言及され得る。
【0017】
限定されないが、0.05〜50g/l、好ましくは0.1〜2g/lの濃度が本発明に特に好適である。
【0018】
反応培地は1つ以上のクロストリジウム・ディフィシル胞子発芽誘導因子を含み得る。「胞子発芽誘導因子」という用語は、クロストリジウム・ディフィシルの胞子状態から成長状態への変化を促進する化合物又は一群の化合物を意味するものとする。特に、タウロコール酸ナトリウムが言及され得る。
【0019】
限定されないが、0.1〜10g/l、好ましくは1〜5g/lの濃度が本発明に特に好適である。
【0020】
反応培地は1つ以上の選択剤を含み得る。
【0021】
「選択剤」という用語は、微生物の増殖を阻止又は抑制することができる任意の化合物を意味するものとする。限定されないが、5mg/l〜5g/lの濃度が本発明に特に好適である。
【0022】
「選択剤」として、抗生物質、例えば、D−サイクロセリン、セファロスポリン、例えば、セフォキシチン又はセフォタキシム、コリスチン、ポリミキシン、ホスホマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アズトレオナム、トリメトプリム、キノロン、例えば、ナリジクス酸、抗真菌薬、例えば、特にアンホテリシンB、フルコナゾール又はイトラコナゾールが言及され得る。
【0023】
「抗生物質」という用語は、細菌の増殖を阻止又は抑制することができる任意の化合物を意味するものとする。特に、抗生物質はセファロスポリン、アミノグリコシド、ポリペプチド、スルファミド及びキノロン群に属する。例示として、特に抗生物質のセフォタキシム、セフタジジム、セフォキシチン、セフトリアキソン、セフポドキシム、アズトレオナム、トリメトプリム、トブラマイシン、モキサラクタム、ホスホマイシン、D−サイクロセリン、ポリミキシン及びコリスチンが言及され得る。
【0024】
「抗真菌薬」という用語は、酵母又はカビの増殖を阻止又は抑制することができる任意の化合物を意味するものとする。例示として、特にアンホテリシンB、フルコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール及びシクロヘキシミドが言及され得る。
【0025】
反応培地は第二の酵素基質、例えば、特にオキシダーゼ基質、エステラーゼ基質、ペプチダーゼ基質などを含み得る。第二の酵素基質はクロストリジウム・ディフィシルによって発現される酵素、例えば、プロリンアミノペプチダーゼ又はクロストリジウム・ディフィシルによって発現されない酵素、例えば、β−リボシダーゼを標的とする基質でもよい。「基質」という用語は、微生物の直接又は間接的検出を可能にする生成物を与えるためにβ−グルコシダーゼのような酵素によって加水分解され得る分子を意味するものとする。この基質は、特に、顕現される酵素活性に特異的な第一の部分と以下、標識部分と称される標識として作用する第二の部分とを含む。この標識部分は発色性、蛍光性、発光性などでもよい。
【0026】
「クロストリジウム・ディフィシルを同定することができるβ−グルコシダーゼ基質」という表現は、好適な増殖条件下でクロストリジウム・ディフィシルの呈色を誘導する基質を意味するものとする。そのような基質は、特に、実施例1に述べられる試験によって選択され得る。
【0027】
前記表現は、特に、2−ヒドロキシフェニル−β−グルコシド(カテコール−β−グルコシド);マゼンタ−β−グルコシド(5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−β−グルコシド);DHF−β−グルコシド(ジヒドロキシフラボン−β−グルコシド);エスクリン(エスクレチン−β−グルコシド);CHE−β−グルコシド(3,4−シクロヘキセノエスクレチン−β−グルコシド);8−ヒドロキシキノリン−β−グルコシド;X−β−グルコシド(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−β−グルコシド);ピンク−β−グルコシド(6−クロロ−3−インドキシル−β−グルコシド;6−ブロモ−3−インドキシル−β−グルコシド;ブルー−β−グルコシド(5−ブロモ−3−インドキシル−β−グルコシド);6−フルオロ−3−インドキシル−β−グルコシド;アリザリン−β−グルコシド;(P)−ニトロフェニル−β−グルコシド;4−メチルウンベリフェリル−β−グルコシド、ナフトールベンゼイン−β−グルコシド、インドキシル−N−メチル−β−グルコシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−N−メチル−β−グルコシド、ナフチル−β−グルコシド;アミノフェニル−β−グルコシド;ジクロロアミノフェニル−β−グルコシドを意味するものとする。
【0028】
好ましくは、クロストリジウム・ディフィシルを同定することができるβ−グルコシダーゼ基質は、2−ヒドロキシフェニル−β−グルコシド(カテコール−β−グルコシド);マゼンタ−β−グルコシド(5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−β−グルコシド);ジヒドロキシフラボン−β−グルコシド;エスクリン(エスクレチン−β−グルコシド);3,4−シクロヘキセノエスクレチン−β−グルコシド及びアリザリン−β−グルコシドから選択される。好ましくは、本発明による培地におけるβ−グルコシダーゼ基質の濃度は25〜1000mg/l、好ましくは50〜400mg/lである。
【0029】
反応培地は、好ましくはオキシダーゼ基質、エステラーゼ基質又はペプチダーゼ基質から選択される第二の酵素基質又は複数の酵素基質を含み得る。
【0030】
「オキシダーゼ基質」とは、特に、α−グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、リボシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロシダーゼ、フコシダーゼ、セロビオシダーゼ、アラビノシダーゼ及びマンノシダーゼ基質を意味するものとする。
【0031】
「リボシド」という用語は、リボフラノシド及び/又はリボピラノシドを意味するものとする。「アラビノシド」という用語は、アラビノフラノシド及び/又はアラビノピラノシドを意味するものとする。「フコシド」という用語は、D−フコシド及び/又はL−フコシドを意味するものとする。明記されない場合、それはα−グルコシド又はβ−グルコシドでもよい。
【0032】
以下のものが特に意図される:5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−α−グルコシド;ジヒドロキシフラボン−α−グルコシド;3,4−シクロヘキセノエスクレチン−α−グルコシド;8−ヒドロキシキノリン−α−グルコシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−α−グルコシド;6−クロロ−3−インドキシル−α−グルコシド;5−ブロモ−3−インドキシル−α−グルコシド;アリザリン−α−グルコシド;ニトロフェニル−α−グルコシド;4−メチルウンベリフェリル−α−グルコシド;ナフトールベンゼイン−α−グルコシド;インドキシル−N−メチル−α−グルコシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−N−メチル−α−グルコシド;ナフチル−α−グルコシド;アミノフェニル−α−グルコシド;ジクロロアミノフェニル−α−グルコシド;2−ヒドロキシフェニル−ガラクトシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−ガラクトシド;ジヒドロキシフラボン−ガラクトシド;3,4−シクロヘキセノエスクレチン−ガラクトシド;8−ヒドロキシキノリン−ガラクトシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ガラクトシド;4−クロロ−3−インドキシル−ガラクトシド;6−クロロ−3−インドキシル−ガラクトシド;6−ブロモ−3−インドキシル−ガラクトシド;5−ブロモ−3−インドキシル−ガラクトシド;6−フルオロ−3−インドキシル−ガラクトシド;アリザリン−ガラクトシド;ニトロフェニル−ガラクトシド;4−メチルウンベリフェリル−ガラクトシド;ナフトールベンゼイン−ガラクトシド;インドキシル−N−メチル−ガラクトシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−N−メチル−ガラクトシド;ナフチル−ガラクトシド;アミノフェニル−ガラクトシド;ジクロロアミノフェニル−ガラクトシド;2−ヒドロキシフェニル−リボシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−リボシド;ジヒドロキシフラボン−リボシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−リボシド;6−クロロ−3−インドキシル−リボシド;5−ブロモ−3−インドキシル−リボシド;6−フルオロ−3−インドキシル−リボシド;アリザリン−リボシド;ニトロフェニル−リボシド;4−メチルウンベリフェリル−リボシド;ナフチル−リボシド;アミノフェニル−リボシド;ジクロロアミノフェニル−リボシド;2−ヒドロキシフェニル−N−アセチル−グルコサミニド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−N−アセチル−グルコサミニド;ジヒドロキシフラボン−N−アセチル−グルコサミニド;3,4−シクロヘキセノエスクレチン−N−アセチル−グルコサミニド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−N−アセチル−グルコサミニド;6−クロロ−3−インドキシル−N−アセチル−グルコサミニド;6−ブロモ−3−インドキシル−N−アセチル−グルコサミニド;5−ブロモ−3−インドキシル−N−アセチル−グルコサミニド;6−フルオロ−3−インドキシル−N−アセチル−グルコサミニド;アリザリン−N−アセチル−グルコサミニド;ニトロフェニル−N−アセチル−グルコサミニド;4−メチルウンベリフェリル−N−アセチル−グルコサミニド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−N−メチル−N−アセチル−グルコサミニド;ナフチル−N−アセチル−グルコサミニド;アミノフェニル−N−アセチル−グルコサミニド;ジクロロアミノフェニル−N−アセチル−グルコサミニド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−グルクロニド;ジヒドロキシフラボン−グルクロニド;3,4−シクロヘキセノエスクレチン−グルクロニド;8−ヒドロキシキノリン−グルクロニド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−グルクロニド;6−クロロ−3−インドキシル−グルクロニド;6−ブロモ−3−インドキシル−グルクロニド;5−ブロモ−3−インドキシル−グルクロニド;6−フルオロ−3−インドキシル−グルクロニド;アリザリン−グルクロニド;ニトロフェニル−グルクロニド;4−メチルウンベリフェリル−グルクロニド;ナフトールベンゼイン−グルクロニド;インドキシル−N−メチル−グルクロニド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−N−メチル−グルクロニド;ナフチル−グルクロニド;アミノフェニル−グルクロニド;ジクロロアミノフェニル−グルクロニド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−キシロシド;ジヒドロキシフラボン−キシロシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−キシロシド;6−クロロ−3−インドキシル−キシロシド;5−ブロモ−3−インドキシル−キシロシド;アリザリン−キシロシド;ニトロフェニル−キシロシド;4−メチルウンベリフェリル−キシロシド;ナフチル−キシロシド;アミノフェニル−キシロシド;ジクロロアミノフェニル−キシロシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−フコシド;ジヒドロキシフラボン−フコシド;3,4−シクロヘキセノエスクレチン−フコシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−フコシド;6−クロロ−3−インドキシル−フコシド;5−ブロモ−3−インドキシル−フコシド;アリザリン−フコシド;ニトロフェニル−フコシド;4−メチルウンベリフェリル−フコシド;ナフチル−フコシド;アミノフェニル−フコシド;ジクロロアミノフェニル−フコシド;2−ヒドロキシフェニル−セロビオシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−セロビオシド;ジヒドロキシフラボン−セロビオシド;3,4−シクロヘキセノエスクレチン−セロビオシド;8−ヒドロキシキノリン−セロビオシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−セロビオシド;6−クロロ−3−インドキシル−セロビオシド;6−ブロモ−3−インドキシル−セロビオシド;5−ブロモ−3−インドキシル−セロビオシド;6−フルオロ−3−インドキシル−セロビオシド;アリザリン−セロビオシド;ニトロフェニル−セロビオシド;4−メチルウンベリフェリル−セロビオシド;ナフトールベンゼイン−セロビオシド;インドキシル−N−メチル−セロビオシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−N−メチル−セロビオシド;ナフチル−セロビオシド;アミノフェニル−セロビオシド;ジクロロアミノフェニル−セロビオシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−アラビノシド;ジヒドロキシフラボン−アラビノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−アラビノシド;6−クロロ−3−インドキシル−アラビノシド;5−ブロモ−3−インドキシル−アラビノシド;アリザリン−アラビノシド;ニトロフェニル−アラビノシド;4−メチルウンベリフェリル−アラビノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−N−メチル−アラビノシド;ナフチル−アラビノシド;アミノフェニル−アラビノシド;ジクロロアミノフェニル−アラビノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−マンノシド;ジヒドロキシフラボン−マンノシド;3,4−シクロヘキセノエスクレチン−マンノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−マンノシド;4−クロロ−3−インドキシル−マンノシド;6−クロロ−3−インドキシル−マンノシド;6−ブロモ−3−インドキシル−マンノシド;5−ブロモ−3−インドキシル−マンノシド;アリザリン−マンノシド;ニトロフェニル−マンノシド;4−メチルウンベリフェリル−マンノシド;インドキシル−N−メチル−マンノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−N−メチル−マンノシド;ナフチル−マンノシド;アミノフェニル−マンノシド;ジクロロアミノフェニル−マンノシド。限定されないが、25〜1000mg/lの濃度が本発明に特に好適である。
【0033】
好ましくは、オシダーゼ基質は、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ及びセロビオシダーゼ基質から、特に、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ガラクトシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−N−アセチル−グルコサミニド;3,4−シクロヘキセノエスクレチン−セロビオシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−セロビオシドから選択される。
【0034】
「エステラーゼ基質」という用語は、特に、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−オクタノアート;ジヒドロキシフラボン−オクタノアート;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−オクタノアート;6−クロロ−3−インドキシル−オクタノアート;6−ブロモ−3−インドキシル−オクタノアート;5−ブロモ−3−インドキシル−オクタノアート;6−フルオロ−3−インドキシル−オクタノアート;アリザリン−オクタノアート;ニトロフェニル−オクタノアート;4−メチルウンベリフェリル−オクタノアート;ナフチル−オクタノアート;アミノフェニル−オクタノアート;ジクロロアミノフェニル−オクタノアート;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−ブチラート;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ブチラート;6−クロロ−3−インドキシル−ブチラート;6−ブロモ−3−インドキシル−ブチラート;5−ブロモ−3−インドキシル−ブチラート;アリザリン−ブチラート;ニトロフェニル−ブチラート;4−メチルウンベリフェリル−ブチラート;ナフチル−ブチラート;アミノフェニル−ブチラート;ジクロロアミノフェニル−ブチラート;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−ノナノアート;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ノナノアート;6−クロロ−3−インドキシル−ノナノアート;6−ブロモ−3−インドキシル−ノナノアート;5−ブロモ−3−インドキシル−ノナノアート;アリザリン−ノナノアート;ニトロフェニル−ノナノアート;4−メチルウンベリフェリル−ノナノアート;ナフチル−ノナノアート;アミノフェニル−ノナノアート;ジクロロアミノフェニル−ノナノアート;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−ホスファート;ジヒドロキシフラボン−ホスファート;3,4−シクロヘキセノエスクレチン−ホスファート;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ホスファート;6−クロロ−3−インドキシル−ホスファート;6−ブロモ−3−インドキシル−ホスファート;5−ブロモ−3−インドキシル−ホスファート;6−フルオロ−3−インドキシル−ホスファート;アリザリン−ホスファート;ニトロフェニル−ホスファート;4−メチルウンベリフェリル−ホスファート;ナフトールベンゼイン−ホスファート;インドキシル−N−メチル−ホスファート;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−N−メチル−ホスファート;ナフチル−ホスファート;アミノフェニル−ホスファート;ジクロロアミノフェニル−ホスファートを意味するものとする。限定されないが、25〜1000mg/lの濃度が本発明に特に好適である。
【0035】
好ましくは、エステラーゼ基質はブチラートエステラーゼ、リパーゼ及びホスファターゼ、特に、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−オクタノアート;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ブチラート;5−ブロモ−3−インドキシル−ノナノアート及び5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−ホスファートから選択される。
【0036】
「ペプチダーゼ基質」という用語は、特にプロリン−アミノペプチダーゼ、アラニン−アミノペプチダーゼ、ロイシン−アミノペプチダーゼ、ピロリドニル−アリールアミダーゼ、フェニルアラニン−アミノペプチダーゼ、Ala−Phe−Pro−ペプチダーゼ及びチロシン−アミノペプチダーゼ基質を意味するものとする。これらの基質は、特に、ペプチド結合を介してアミノ酸若しくは対応するペプチド及びp−ニトロアニリン、7−アミノメチルクマリン、7−アミノフェノキサジンオン、ナフチルアミン、アミノフェニル若しくはジクロロアミノフェニルラジカルを結合する化合物である。特に、プロリル−p−ニトロアニリド、プロリル−7−アミド−4−メチルクマリン、プロリル−ジクロロアミドフェノール、アラニル−ジクロロアミドフェノール、ロイシル−p−ニトロアニリド、ピロリドニル−7−アミド−4−メチルクマリン、フェニルアラニル−p−ニトロアニリド、Ala−Phe−Pro−アミド−ペンチルフェノキサジン−3−オン及びチロシル−ジクロロアミドフェノールが言及され得る。限定されないが、25〜1000mg/lの濃度が本発明に特に好適である。
【0037】
好ましくは、ペプチド基質はプロリン−アミノペプチダーゼ(又はプロリル−アリールアミダーゼ)、ロイシン−アミノペプチダーゼ(又はロイシル−アリールアミダーゼ)及びピロリドニル−アリールアミダーゼ基質、特に、プロリル−p−ニトロアニリド、プロリル−7−アミド−4−メチルクマリン、ロイシル−p−ニトロアニリド及びピロリドニル−7−アミド−4−メチルクマリンから選択される。
【0038】
「生物試料」という用語は、生体液の試料に由来する臨床試料又は任意のタイプの食物に由来する食物試料を意味するものとする。従って、この試料は液体又は固体でもよく、限定されずに、臨床血液、血漿、尿又は糞便試料、鼻、喉、皮膚、創傷又は脳脊髄液試料、水、飲料、例えば、牛乳又は果汁、ヨーグルト、肉、卵、野菜、マヨネーズ、チーズ由来の食物試料;魚などに由来する食物試料、動物の餌に由来する食物試料、例えば、特に動物の食物に由来する試料が言及され得る。
【0039】
この点において、本発明は、以下のステップ:
a)クロストリジウム・ディフィシルを同定することができる少なくとも1つのβ−グルコシダーゼ基質を含む反応培地を提供するステップと、
b)試験される生物試料を培地に播種するステップと、
c)インキュベーションさせるステップと、
d)クロストリジウム・ディフィシルの存在を示すβ−グルコシダーゼ基質の加水分解を検出するステップと
を含むことを特徴とする、クロストリジウム・ディフィシルを検出及び/又は同定する方法に関する。
【0040】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、ステップc)では、インキュベーションは嫌気性条件下で行う。
【0041】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記β−グルコシダーゼ基質はアリザリン−β−グルコシド、マゼンタ−β−グルコシド(5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−β−グルコシド)及びCHE−β−グルコシド(3,4−シクロヘキセノエスクレチン−β−グルコシド)から選択される。
【0042】
好ましくは、前記β−グルコシダーゼ基質は25〜1000mg/l、より好ましくは50〜400mg/lの濃度である。
【0043】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地はエスクリンも含む。好ましくは、エスクリンは5〜500mg/l、好ましくは10〜100mg/lの濃度である。
【0044】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は、好ましくはセロビオース又はメチル−β−グルコシドから選択される少なくとも1つのβ−グルコシダーゼ誘導因子も含む。
【0045】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は、好ましくは血液、血清及び還元剤、例えば、特にシステイン、ピルビン酸塩若しくは硫化第一鉄から選択されるクロストリジウム・ディフィシル株の少なくとも1つの増殖活性化因子も含む。
【0046】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は少なくとも1つのクロストリジウム・ディフィシル胞子発芽誘導因子、好ましくはタウロコール酸ナトリウムも含む。
【0047】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は、好ましくは抗生物質、例えば、特にD−サイクロセリン、セフォキシチン、セフォタキシム及び抗真菌薬、例えば、特にアンホテリシンB、フルコナゾール、イトラコナゾール若しくはボリコナゾールから選択される少なくとも1つの選択剤も含む。
【0048】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は、好ましくはオシダーゼ基質、エステラーゼ基質及びペプチダーゼ基質から選択される少なくとも1つの第二の酵素基質も含む。
【0049】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は少なくとも1つの還元剤、好ましくはシステインも含む。
【0050】
本発明は、クロストリジウム・ディフィシルを同定することができる少なくとも1つのβ−グルコシダーゼ基質を含む、クロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定のための反応培地にも関する。
【0051】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記β−グルコシダーゼ基質はアリザリン−β−グルコシド、マゼンタ−β−グルコシド(5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−β−グルコシド)及びCHE−β−グルコシド(3,4−シクロヘキセノエスクレチン−β−グルコシド)から選択される。
【0052】
好ましくは、前記β−グルコシダーゼ基質は25〜1000mg/l、より好ましくは50〜400mg/lの濃度である。
【0053】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地はエスクリンも含む。
【0054】
好ましくは、エスクリンは5〜500mg/l、好ましくは10〜100mg/lの濃度である。
【0055】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は、好ましくはセロビオース又はメチル−β−グルコシドから選択される少なくとも1つのβ−グルコシダーゼ誘導因子も含む。
【0056】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は、好ましくは血液、血清及び還元剤、例えば、特にシステイン、ピルビン酸塩若しくは硫化第一鉄から選択されるクロストリジウム・ディフィシル株の少なくとも1つの増殖活性化因子も含む。
【0057】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は少なくとも1つのクロストリジウム・ディフィシル胞子発芽誘導因子、好ましくはタウロコール酸ナトリウムも含む。
【0058】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は少なくとも1つの選択剤も含む。好ましくは、その選択剤は抗生物質、好ましくはD−サイクロセリン、セフォキシチン若しくはセフォタキシム及び抗真菌薬、好ましくはアンホテリシンB、フルコナゾール、イトラコナゾール若しくはボリコナゾールから選択される。
【0059】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は少なくとも1つの第二の酵素基質も含む。好ましくは、前記第二の酵素基質はオキシダーゼ基質、エステラーゼ基質又はペプチダーゼ基質である。
【0060】
本発明の1つの好ましい実施形態に従って、前記反応培地は少なくとも1つの還元剤、好ましくはシステインも含む。
【0061】
本発明は、クロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定のための上記に定義された培地の使用にも関する。
【0062】
以下の実施例は説明する目的で述べられ、決して限定するものではない。実施例は本発明をより明確に理解することを可能にする。
【実施例1】
【0063】
クロストリジウム・ディフィシルを同定することができるβ−グルコシダーゼ基質の同定
本発明に基づき、クロストリジウム・ディフィシル株を検出することができるβ−グルコシダーゼ基質は、以下の実施例によって当業者により同定され得る。
【0064】
潜在的β−グルコシダーゼ基質は、例えば、ある細菌若しくはある真核生物の増殖を低下させるためのインヒビターを含む選択培地又はフラスコ中のコロンビア寒天培地(ref 41244)若しくはGeorgeらによる卵ベース(実施例2参照)のような非選択培地のようなクロストリジウム・ディフィシルの増殖を可能にする培地に組み込むことによって試験される。
【0065】
試験されるβ−グルコシダーゼ基質に依存し、加水分解産物を顕現するために追加の試薬、例えば、特に鉄塩又はα−ナフトール誘導体を加えることが必要であり得る。
【0066】
好ましくは、試験される基質は25〜1000mg/lの濃度にて試験される。このようにして調製された培地は消耗アイテム、例えば、ペトリ皿又はチューブに分配される。少なくとも1つのクロストリジウム・ディフィシル株を含む株の集合体が、好ましくは1培地当たり単一株にて播種される。次に、培地は好適な温度、概して20〜50℃、好ましくは30〜40℃で嫌気性条件下にてインキュベートされる。
【0067】
好適な基質はクロストリジウム・ディフィシル株による加水分解がインキュベーション後に検出される基質である。検出は、自然光、人工光若しくはUV光下にて視覚的に又は好適な器具、特に分光光度計、蛍光光度計、照度計若しくは画像分析器によって光学特性(呈色又は蛍光コロニー及び/又は培地)の変動を観察することによって行われる。
【実施例2】
【0068】
各々が発色性β−グルコシダーゼ基質を含む6つの異なる培地にてクロストリジウム(Clostridium)属spp株を試験した。次に、各基質の特異性を求めるために48時間にて皿を読み取る。
【0069】
1.培地及び微生物
培地のベースはGeorgeらによる卵黄ベースであり、その組成は以下の通りである(g/l):

【0070】
培地を6つの画分に分ける。次の基質の1つをこれらの各画分に加える:マゼンタ−β−グルコシド(80mg/l)、アリザリン−β−グルコシド(50mg/l)、CHE−β−グルコシド(300mg/l)、8−ヒドロキシキノリン−β−グルコシド(300mg/l)、DHF−β−グルコシド(300mg/l)、ブルー−β−グルコシド(150mg/l)。基質は合成酵素基質の供給を専門に扱う企業から得られた市販の基質であった。アリザリンベースの基質は特許出願欧州特許第1235928号に記載のプロトコルに従って合成した。CHEベースの基質は特許出願欧州特許第0900230号に記載のプロトコルに従って合成した。
【0071】
2.試験
培地をペトリ皿に分配する。
【0072】
嫌気性条件下にて37℃で48時間調製された前培養から播種を行う。
【0073】
0.5McFでの生理食塩水の懸濁液を調製し、次に、1μlの各懸濁液を各皿に沈着させる。
【0074】
48時間のインキュベーション後に読み取りを行う。
【0075】
3.結果


Gr=増殖;Co=呈色
=+500mg/lのアンモニア性クエン酸鉄
=+50mgのアンモニア性クエン酸鉄
【0076】
4.解釈
すべての基質がクロストリジウム・ディフィシルを顕現することを可能にした。アリザリン−β−グルコシド、マゼンタ−β−グルコシド(5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−β−グルコシド)及び、特にCHE−β−グルコシド(3,4−シクロヘキセノエスクレチン−β−グルコシド)がクロストリジウム・ディフィシルに関して良好な感受性を示した。
【実施例3】
【0077】
各々が発色性β−グルコシダーゼ基質及び300mg/lのアンモニア性クエン酸鉄を含む4つの異なる培地にて、実施例2に述べたプロトコルと同様のプロトコルに従ってクロストリジウム(Clostridium)属spp株を試験した。培地のベースはコロンビアベースであり、試験を行った基質は以下の通りであった:
−300mg/lの濃度でのブルー−β−グルコシド(5−ブロモ−3−インドキシル−β−グルコシド)、
−150mg/lの濃度での8HQ−β−グルコシド(8−ヒドロキシキノリン−β−グルコシド)、
−50mg/lの濃度でのアリザリン−β−グルコシド(1,2−ジヒドロキシアントラキノン−β−グルコシド)、
−300mg/lの濃度でのDHF−β−グルコシド。
【0078】
次に、各基質の特異性を求めるために48時間にて皿を読み取った。その結果を下記に示す。


Gr=増殖;Co=呈色;=呈色の拡散
【0079】
すべての基質がクロストリジウム・ディフィシルを顕現することを可能にした。
【実施例4】
【0080】
1.培地及び微生物
各々が48.10g/lのコロンビアベース、2.5g/lのタウロコール酸ナトリウム、200mg/lのアンモニア性クエン酸鉄、100mg/lのCHE−β−グルコシド、更にD−サイクロセリンに基づくクロストリジウム・ディフィシル用の培地に通常用いられるインヒビター系並びに種々の濃度のエスクリン及びグルコースを含む5つの培地(以下の表を参照)。
【0081】

【0082】
1.試験
嫌気性条件下にて37℃で48時間調製された前培養から播種を行う。
【0083】
0.5McFでの生理食塩水の懸濁液を調製し、次に、10μlの較正ループを用いて株を播種する。
【0084】
37℃で24時間のインキュベーション後に読み取りを行う。
【0085】
2.結果
増殖では:
・示した値はコロニーの直径に対応する。
【0086】
呈色強度では:
・1は弱い強度の明確な呈色の存在に対応する。
・1.5は呈色1と2の中間である呈色の存在に対応する。
・2は中間強度の明確な呈色の存在に対応する。
・2.5は呈色2と3の中間である呈色の存在に対応する。
・3は強い呈色の存在に対応する。
【0087】


G=増殖,I=呈色強度,=呈色の拡散
【0088】
4.解釈
培地2によれば、グルコースの非存在はコロニーのサイズの縮小をもたらし、エスクリンとしては呈色の強度に正の作用を有する。培地3、4及び5では2つの化合物が混合された。培地4及び5では寒天におけるかなり大きい呈色の拡散が注目される。
【0089】
従って、培地3が増殖の向上と呈色強度との最良の折衷を表す。
【実施例5】
【0090】
1.培地及び微生物
クロストリジウム・ディフィシルの2つのプロトタイプ培地に対して107株を試験し、その組成は以下の通りである(1リットル当たり):


Georgeら、「Selective and differential medium for isolation of Clostridium difficile」,Journal of Clinical Microbiology Vol.9,p.214−219,1979による2つの培地における選択系
【0091】
2.試験
嫌気性条件下にて37℃で48時間調製された前培養から播種を行う。
【0092】
0.5McFでの生理食塩水の懸濁液を調製し、次に、10μlの較正ループを用いて株を播種する。
【0093】
37℃で24及び48時間のインキュベーション後に読み取りを行う。
【0094】
3.結果
【0095】


4.解釈
CHE−β−グルコシド基質は24時間以降、クロストリジウム・ディフィシルに関して良好な感受性を示す。24時間においてクロストリジウム・ディフィシル以外の76株から8つの株のみが培地において増殖するため、培地の選択性それ自体も極めて良好である。クロストリジウム・ディフィシルの呈色強度を高め、培地1において不均一な外観を有する株を均一にすることが可能になる。
【0096】
結論として、CHE−β−グルコシド基質は24時間以降、最小限の偽陽性をもって90%に近い株を顕現することを可能にするため、クロストリジウム・ディフィシルに関して良好な特異性及び良好な感受性を示す。
【実施例6】
【0097】
クロストリジウム・ディフィシル株に感染した可能性がある患者由来の糞便試料を4つの異なる培地に対して試験した。
【0098】
1.培地及び微生物
第一の培地(A)は実施例1の培地に対応し、これにD−サイクロセリン(250mg/l)及びセフォキシチン(16mg/l)を加えた。第二の培地(B)は実施例5の培地1に対応する。第三(C)及び第四(D)の培地は、その酵素基質を含まず、0.5g/lでのシステインを充填された本出願人のchromIDサルモネラ培地に基づき、その選択系は実施例5の培地1の選択系に置き換えた。培地Cは100mg/lでのCHE−グルコシド、200mg/lでのアンモニア性クエン酸鉄、2.5g/lでのタウロコール酸ナトリウム及び1.25g/lでのグルコースも含む。培地Dは300mg/lでのCHE−グルコシド、500mg/lでのアンモニア性クエン酸鉄、1g/lでのタウロコール酸ナトリウム及び3%ウマ血清も含む。
【0099】
2.試験
培地をペトリ皿に分配する。
【0100】
均質化した糞便試料から播種を行う。
【0101】
48時間のインキュベーション後に読み取りを行う。
【0102】
3.結果


1:No.=検出微生物数
【0103】
4.解釈
これらの4つの培地は糞便のような多微生物試料に存在するクロストリジウム・ディフィシル株の容易な検出を可能にした。驚くべきことに、検出は培地C及びDにおいて一層容易であったが、これらは条件的好気性代謝を有する細菌の培地に基づく。しかし、クロストリジウム・ディフィシルコロニーの平均サイズは培地B、C及びD(それぞれ1.6、2.1及び2mm)より培地A(3.8mm)において大きかった。培地C及びDでは、この少ない増殖はより良好な選択性(他の微生物の全体的又は部分的な抑制)及びより良好な特異性によって補われ、クロストリジウム・ディフィシル種に属さない株によって黒色コロニーは生成されない。
【0104】
培地CとDとの間のβ−グルコシダーゼ基質の濃度のばらつきは、正確に検出される株の数の点から培地の有効性を妨げることなく呈色対照の修正をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)クロストリジウム・ディフィシルを同定することができる少なくとも1つのβ−グルコシダーゼ基質を含む反応培地を提供するステップと、
b)試験される生物試料を培地に播種するステップと、
c)インキュベーションさせるステップと、
d)クロストリジウム・ディフィシルの存在を示すβ−グルコシダーゼ基質の加水分解を検出するステップと
を含むことを特徴とする、クロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項2】
前記ステップc)では、嫌気性条件下で前記播種を行う、請求項1に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項3】
前記β−グルコシダーゼ基質が、アリザリン−β−グルコシド、マゼンタ−β−グルコシド(5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−β−グルコシド)及びCHE−β−グルコシド(3,4−シクロヘキセノエスクレチン−β−グルコシド)から選択される、請求項1又は2に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項4】
前記β−グルコシダーゼ基質の濃度が、25〜1000mg/l、より好ましくは50〜400mg/lである、請求項1から3のいずれか一項に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項5】
前記反応培地がエスクリンも含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項6】
前記エスクリンの濃度が、5〜500mg/l、好ましくは10〜100mg/lである、請求項5に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項7】
前記反応培地がβ−グルコシダーゼ誘導因子も含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項8】
前記反応培地が、クロストリジウム・ディフィシル株の少なくとも1つの増殖活性化因子も含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項9】
前記反応培地が、少なくとも1つのクロストリジウム・ディフィシル胞子発芽誘導因子も含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項10】
前記反応培地が少なくとも1つの選択剤も含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項11】
前記反応培地が、少なくとも1つの第二の酵素基質も含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項12】
前記反応培地が少なくとも1つの還元剤も含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のクロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定方法。
【請求項13】
クロストリジウム・ディフィシルを同定することができるβ−グルコシダーゼ基質を含む、クロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定のための反応培地。
【請求項14】
前記β−グルコシダーゼ基質が、アリザリン−β−グルコシド、マゼンタ−β−グルコシド(5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−β−グルコシド)及びCHE−β−グルコシド(3,4−シクロヘキセノエスクレチン−β−グルコシド)から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の反応培地。
【請求項15】
前記β−グルコシダーゼ基質の濃度が、25〜1000mg/l、より好ましくは50〜400mg/lであることを特徴とする、請求項13又は14に記載の反応培地。
【請求項16】
エスクリンも含むことを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の反応培地。
【請求項17】
前記エスクリンの濃度が5〜500mg/lであることを特徴とする、請求項16に記載の反応培地。
【請求項18】
β−グルコシダーゼ誘導因子も含むことを特徴とする、請求項13から17のいずれか一項に記載の反応培地。
【請求項19】
クロストリジウム・ディフィシル株の1つ又はそれ以上の増殖活性化因子も含むことを特徴とする、請求項13から18のいずれか一項に記載の反応培地。
【請求項20】
少なくとも1つのクロストリジウム・ディフィシル胞子発芽誘導因子も含むことを特徴とする、請求項13から19のいずれか一項に記載の反応培地。
【請求項21】
少なくとも1つの選択剤も含むことを特徴とする、請求項13から20のいずれか一項に記載の反応培地。
【請求項22】
少なくとも1つの第二の酵素基質も含むことを特徴とする、請求項13から21のいずれか一項に記載の反応培地。
【請求項23】
少なくとも1つの還元剤も含むことを特徴とする、請求項13から22のいずれか一項に記載の反応培地。
【請求項24】
クロストリジウム・ディフィシルの検出及び/又は同定のための請求項7から23のいずれか一項に記載の培地の使用。

【公表番号】特表2011−509680(P2011−509680A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543548(P2010−543548)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050072
【国際公開番号】WO2009/092982
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】