クロック供給装置およびクロック供給方法
【課題】発振器のウォームアップの完了を容易に判定できるようにする。
【解決手段】クロック供給装置1は、通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給する。発振器1aは、クロック信号を生成する。測定部1bは、通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、クロック信号とリファレンスクロック信号との周波数ずれを測定する。判定部1cは、周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、発振器1aのウォームアップが完了したか否か判定する。
【解決手段】クロック供給装置1は、通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給する。発振器1aは、クロック信号を生成する。測定部1bは、通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、クロック信号とリファレンスクロック信号との周波数ずれを測定する。判定部1cは、周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、発振器1aのウォームアップが完了したか否か判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクロック供給装置およびクロック供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線基地局などの通信装置には、通信装置内の信号処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給装置が搭載される。クロック供給装置では、クロック信号を生成する発振器として、恒温槽付水晶発振器(OCXO:Oven Controlled Crystal Oscillator)が用いられることがある。OCXOは、水晶発振回路を恒温槽に挿入することで、安定した周波数のクロック信号を出力することを可能にしている。
【0003】
発振周波数が安定するための恒温槽の温度は、セ氏70〜80度など比較的高い温度に設定されることが多い。そのため、通信装置の電源がONになり電力供給が開始されてから恒温槽が規定の温度に上昇するまでの間、発振周波数が安定しないウォームアップ期間となり得る。OCXOがウォームアップ中であると判断される間は、通信装置内の一部または全部の信号処理が停止した状態となり得る。
【0004】
OCXOのウォームアップ制御については、電源がONになってから一定時間を、ウォームアップ中であると見なす方法が考えられる。しかし、この方法では、実際にはウォームアップが完了しているにも拘わらず、一定時間経過するまでクロック信号の供給を開始できないという問題が生じ得る。例えば、電源の瞬断が発生した場合のように電力供給の停止時間が短い場合には、電力供給が再開された時点で恒温槽が既にある程度の高温になっており、ウォームアップが短時間で完了する可能性がある。しかし、その場合でも、一定時間は待ち時間となってしまう(例えば、特許文献1の段落[0002]参照)。
【0005】
この問題に対し、OCXOと温度補償型水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)の両方を搭載した無線基地局が提案されている。この無線基地局は、OCXOの出力を分周したクロックとTCXOの出力を分周したクロックとの間で位相を比較し、位相差に基づいてOCXOのウォームアップが完了したか判定する(例えば、特許文献1の段落[0009]参照)。これにより、ウォームアップ待ち時間が過剰に長くなることを抑制し得る。
【0006】
なお、クロック供給装置に関し、異常箇所を検出できるようにした二重化構成のクロック供給装置が提案されている。このクロック供給装置は、運用系および予備系のOCXOそれぞれの出力クロックと、システム同期用に外部から入力されるリファレンスクロックとの周波数ずれを測定し、測定結果に基づいて、運用系のクロックと予備系のクロックとリファレンスクロックの中から異常箇所を特定する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−64445号公報
【特許文献2】特開2008−153910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載のウォームアップ制御方法では、クロック信号を供給するための発振器であるOCXOに加え、他の発振器としてTCXOをクロック供給装置に搭載することになる。よって、回路規模の増大などの問題が生じる。また、TCXOは発振周波数の安定度がOCXOより低いため、ウォームアップ完了のタイミングの判定精度が問題となる。なお、かかる問題は、クロック信号を生成する発振器としてOCXOを用いた場合に限らず、電力供給が開始されてから発振周波数が安定するまでにウォームアップ時間を要する他の種類の発振器を用いた場合にも生じ得る。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、発振器のウォームアップの完了を容易に判定できるようにしたクロック供給装置およびクロック供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給装置が提供される。このクロック供給装置は、発振器と測定部と判定部とを有する。発振器は、クロック信号を生成する。測定部は、通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、クロック信号とリファレンスクロック信号との周波数ずれを測定する。判定部は、周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、発振器のウォームアップが完了したか否か判定する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給方法が提供される。このクロック供給方法では、発振器を用いてクロック信号を生成する。通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、クロック信号とリファレンスクロック信号との周波数ずれを測定する。周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、発振器のウォームアップが完了したか否か判定する。
【発明の効果】
【0012】
上記クロック供給装置およびクロック供給方法によれば、発振器のウォームアップの完了を容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態のクロック供給装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態の移動通信システムを示す図である。
【図3】第2の実施の形態の無線基地局を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態のクロック供給部を示すブロック図である。
【図5】第2の実施の形態の測定部を示すブロック図である。
【図6】周波数ずれの測定方法を示すタイミング図である。
【図7】第2の実施の形態の判定部を示すブロック図である。
【図8】第2の実施の形態の状態管理部を示すブロック図である。
【図9】状態管理部の第1の実装例を示すブロック図である。
【図10】状態管理部の第2の実装例を示すブロック図である。
【図11】クロック供給部の状態を定義した表である。
【図12】クロック供給部の状態遷移を定義した表である。
【図13】クロック供給部の状態遷移(一部)を示す図である。
【図14】クロック供給部の出力を示す表である。
【図15】クロック供給部の状態管理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態のクロック供給装置を示す図である。第1の実施の形態のクロック供給装置1は、通信装置に搭載され、通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給する。通信装置の例としては、無線基地局が挙げられるが、それ以外の通信装置でもよい。クロック供給装置1は、発振器1a、測定部1bおよび判定部1cを有する。
【0015】
発振器1aは、クロック信号を生成する。発振器1aの例としては、OCXOが挙げられるが、それ以外の発振器でもよい。発振器1aは、電力供給が開始されてクロック信号の生成を開始してから発信周波数が安定するまで、ウォームアップを要する。ウォームアップの時間は、例えば、電力供給が開始された時点の恒温槽の温度に依存する。
【0016】
測定部1bは、通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得する。伝送路の例としては、無線基地局と無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)とを接続する有線路が挙げられる。リファレンスクロック信号は、例えば、通信装置間の同期のためにも用いられる。測定部1bは、発振器1aが生成したクロック信号とリファレンスクロック信号との間で、周波数ずれを測定する。
【0017】
判定部1cは、測定部1bが測定した周波数ずれの測定結果を取得する。また、判定部1cは、クロック供給装置1または発振器1aへの電力供給の状況を監視する。そして、判定部1cは、周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、発振器1aのウォームアップが完了したか否か判定する。例えば、判定部1cは、電力供給の開始後、最初に測定結果が所定の許容条件を満たしたとき、ウォームアップが完了したと判定する。
【0018】
また、判定部1cは、発振器1aが生成したクロック信号またはリファレンスクロック信号の異常を検出することも可能である。例えば、判定部1cは、ウォームアップが完了したと判定した後(すなわち、一度、測定結果が許容条件を満たした後)、測定結果が許容条件を満たさなくなった場合、異常が発生したと判定する。また、電力供給の開始から所定時間以内に、測定結果が許容条件を満たさない場合も、異常が発生したと判定する。
【0019】
このようなクロック供給装置1によれば、発振器1aが、クロック信号を生成する。測定部1bが、通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、クロック信号とリファレンスクロック信号との周波数ずれを測定する。判定部1cが、周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、発振器1aのウォームアップが完了したか否か判定する。
【0020】
これにより、発振器1aのウォームアップの完了を容易に判定することができる。すなわち、判定部1cは、周波数ずれの測定結果に基づいてウォームアップの完了を判定するため、一定時間をウォームアップ時間と見なす方法と比べて、過剰な待ち時間を抑制することができる。また、測定部1bは、伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を用いて周波数ずれを測定するため、クロック供給装置1の回路規模を抑制できると共に、ウォームアップ完了の判定精度の低下を抑制できる。また、判定部1cは、周波数ずれの測定結果から、ウォームアップの完了に加えて異常の発生も検出することが可能である。
【0021】
なお、クロック供給装置1は、単独の部品として流通させることもできるし、通信装置に組み込んだ状態で流通させることもできる。また、クロック供給装置1は、様々な種類の通信装置に組み込むことができる。以下の第2の実施の形態では、OCXOを用いてクロック信号を生成するクロック供給装置を搭載した無線基地局の例を挙げる。
【0022】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態の移動通信システムを示す図である。第2の実施の形態の移動通信システムは、無線基地局10、RNC20、コアネットワーク30および移動局40を含む。無線基地局10は、RNC20と有線の伝送路で接続されている。RNC20は、コアネットワーク30と有線の伝送路で接続されている。
【0023】
無線基地局10は、移動局40と無線通信を行う無線通信装置である。無線基地局10は、RNC20からユーザデータを受信し、移動局40に無線で送信する。また、移動局40から無線でユーザデータを受信し、RNC20経由でコアネットワーク30に転送する。無線基地局10は、移動通信事業者などによって設定され電源がONになると、運用開始の処理を行う。また、電力供給状況が良好でない地域に設置されたなどの理由により電力供給の瞬断が発生すると、電源回復後に運用再開の処理を行う。
【0024】
RNC20は、無線基地局10を制御する通信装置である。RNC20は、移動局40への無線チャネルの割り当てや移動局40の移動に伴うハンドオーバ制御を行う。RNC20は、無線基地局10とコアネットワーク30の間でユーザデータを転送する。なお、無線基地局10とRNC20は、無線アクセスネットワーク(RAN)を形成する。
【0025】
コアネットワーク30は、回線交換による音声通信やパケット交換によるデータ通信を実現するネットワークである。コアネットワーク30内には、回線交換器やパケット交換器が設けられる。また、移動局40の加入者情報を記憶するデータベースや、移動局40の在圏情報を記憶するデータベースが設けられる。
【0026】
移動局40は、無線基地局10に接続し、無線基地局10の制御に従って無線通信を行う無線端末装置である。移動局40は、無線基地局10にユーザデータを無線で送信し、無線基地局10からユーザデータを無線で受信する。なお、移動局でない加入者局(固定無線端末装置)も、無線基地局10に接続することが可能である。
【0027】
図3は、第2の実施の形態の無線基地局を示すブロック図である。無線基地局10は、制御部11および無線部12を有する。制御部11と無線部12は、例えば、それぞれIC(Integrated Circuit)回路として実装し、デジタル信号線で接続することができる。
【0028】
制御部11は、デジタルベースバンド信号処理を行うと共に、無線部12の無線信号処理を制御する。制御部11は、伝送路インタフェース(I/F)13n,13e、クロック供給部14n,14e、無線部I/F15および制御処理部16a,16bを有する。無線部12は、制御部11の制御に従って、無線信号処理を行う。無線部12は、制御部I/F17および無線処理部18を有する。
【0029】
伝送路I/F13n,13eは、無線基地局10とRNC20の間の伝送路に接続された有線通信インタフェースである。伝送路I/F13n,13eは、冗長化されている。伝送路I/F13nは、正常時に使用される現用系(以下、N(Normal)系と呼ぶことがある)である。伝送路I/F13eは、伝送路I/F13nの異常時に使用される予備系(以下、E(Emergency)系と呼ぶことがある)である。伝送路I/F13n,13eのリファレンスクロック信号の切り替えは、クロック供給部14n,14eが制御する。
【0030】
また、伝送路I/F13n,13eは、それぞれ伝送路からリファレンスクロック信号を抽出し、クロック供給部14n,14eに出力する。すなわち、伝送路I/F13n,13eは、リファレンスクロック供給部として動作する。リファレンスクロック信号は、無線基地局10とRNC20の同期に用いられ、例えば、その周波数は8kHzである。
【0031】
クロック供給部14n,14eは、制御部11および無線部12の信号処理に用いられるシステムクロック信号(例えば、5MHz)を供給する。クロック供給部14n,14eは、冗長化されている。クロック供給部14nはN系、クロック供給部14eはE系である。クロック供給部14n,14eは、無線部I/F15および制御処理部16a,16bにシステムクロック信号を出力する。また、クロック供給部14n,14eは、システムクロック信号の生成に用いる発振器のウォームアップ制御および異常検出を行い、N系とE系の切り替えを行う。ウォームアップ制御および異常検出の詳細は後述する。
【0032】
無線部I/F15は、無線部12との間で信号を入出力するインタフェースである。無線部I/F15は、移動局40への送信信号としてのベースバンド信号を無線部12に出力し、移動局40からの受信信号としてのベースバンド信号を無線部12から取得する。また、無線部I/F15は、クロック供給部14n,14eから供給されるシステムクロック信号を、無線部12に出力する。
【0033】
制御処理部16a,16bは、無線基地局10と移動局40との間の無線通信について各種の処理を実行する。図3には2つの制御処理部が記載されているが、制御部11は3つ以上の制御処理部を備えてもよい。制御処理部16a,16bが実行する処理には、呼制御、ファイルデータ制御、送信信号または受信信号としてのベースバンド信号の処理などが含まれ得る。制御処理部16a,16bは、クロック供給部14n,14eから供給されるシステムクロック信号を用いて処理を実行する。
【0034】
ここで、制御処理部16a,16bは、クロック供給部14n,14eが出力するシステムクロック信号の通過・遮断を切り替えるゲート回路を有している。このゲート回路により、発振器のウォームアップ中や異常発生中のシステムクロック信号が遮断される。ゲート回路は、クロック供給部14n,14eが出力するシステムクロックSEL(Select)信号に基づいて、システムクロック信号を取り込むか否か、および、クロック供給部14n,14eの何れが出力するシステムクロック信号を取り込むかを制御する。
【0035】
制御部I/F17は、制御部11との間で信号を入出力するインタフェースである。制御部I/F17は、送信信号としてのベースバンド信号を制御部11から取得し、無線処理部18に出力する。また、受信信号としてのベースバンド信号を無線処理部18から取得し、制御部11に出力する。また、制御部I/F17は、無線部I/F15経由でクロック供給部14n,14eから供給されるシステムクロック信号を、無線処理部18に出力する。制御部I/F17は、制御処理部16a,16bと同様にゲート回路を有している。このゲート回路は、システムクロック信号の通過・遮断を切り替える。
【0036】
無線処理部18は、移動局40と送受信する無線信号を処理する。無線処理部18は、アンテナを介して移動局40から受信した無線信号をベースバンド信号にダウンコンバートし、制御部I/F17に出力する。また、制御部I/F17から取得したベースバンド信号を無線信号にアップコンバートし、アンテナから出力する。無線処理部18は、制御部I/F17から取得するシステムクロック信号を用いて無線信号処理を行う。
【0037】
図4は、第2の実施の形態のクロック供給部を示すブロック図である。クロック供給部14nは、セレクタ141n、発振器142n、測定部143n、検出部144n、判定部145nおよびクロック出力部146nを有する。同様に、クロック供給部14eは、セレクタ141e、発振器142e、測定部143e、検出部144e、判定部145eおよびクロック出力部146eを有する。
【0038】
セレクタ141nは、伝送路I/F13n,13eからそれぞれリファレンスクロック信号を取得し、何れか一方の伝送路I/Fからのリファレンスクロック信号を選択して測定部143nに出力する。リファレンスクロック信号の選択は、判定部145nが出力するリファレンスクロックSEL信号に基づいて行う。セレクタ141eは、E系についてセレクタ141nと同様の動作を行う。セレクタ141nが選択するリファレンスクロック信号とセレクタ141eが選択するリファレンスクロック信号は同じである。
【0039】
発振器142nは、クロック信号(例えば、5MHzの信号)を生成する。発振器142nとしては、例えば、OCXOを用いることができる。発振器142nは、生成したクロック信号を測定部143nおよびクロック出力部146nに出力する。発振器142eは、E系について発振器142nと同様の動作を行う。
【0040】
測定部143nは、セレクタ141nから取得したリファレンスクロック信号と発振器142nから取得したクロック信号との周波数ずれを測定する。そして、測定結果が所定の許容範囲外である場合、異常検出信号を検出部144nに出力する。また、測定結果が所定の許容範囲内である場合、異常復旧信号を検出部144nに出力する。測定部143eは、E系について測定部143nと同様の動作を行う。
【0041】
検出部144nは、測定部143nからの異常検出信号および異常復旧信号の取得状況に基づいて、周波数ずれ測定の異常(周波数NG)を検出する。例えば、検出部144nは、異常検出信号を連続して所定回数取得した場合や、一定時間内に所定回数以上の異常検出信号を取得した場合に、周波数NGと判断する。このように、複数回の異常検出信号の取得を待つことで、異常検出の誤りを抑制できる。ただし、異常検出信号を1回取得した時点で、周波数NGと判断することも可能である。
【0042】
また、検出部144nは、周波数NGの検出と同様に、周波数ずれ測定の正常(周波数OK)を検出する。検出部144nは、周波数OKまたは周波数NGを示すN系測定結果を、判定部145n,145eに通知する。具体的には、電源ON後に最初に周波数OKとなったタイミングで、N系測定結果を通知する。その後、周波数OKと周波数NGが切り替わる毎に、N系測定結果を通知する。ただし、周波数OKと周波数NGが切り替わるタイミング以外でも、N測定結果を通知してよい。検出部144eは、E系について検出部144nと同様の動作を行い、E系測定結果を判定部145n,145eに通知する。
【0043】
判定部145nは、検出部144nからN系測定結果を取得し、検出部144eからE系測定結果を取得する。そして、判定部145nは、N系・E系の測定結果に基づいて、発振器142n,142eのウォームアップが完了しているか判定する。また、発振器142nが生成するクロック信号、発振器142eが生成するクロック信号、および、リファレンスクロック信号の3者の中に、異常が発生しているものがあるか判定する。
【0044】
判定結果に応じて、判定部145nは、システムクロックSEL信号を生成し、無線部I/F15や制御処理部16a,16bに出力する。また、リファレンスクロック信号が異常と判定された場合、判定部145nは、リファレンスクロックSEL信号を生成し、セレクタ141nに出力する。判定部145eは、判定部145nと同様の動作を行う。ただし、リファレンスクロック信号が異常と判定されると、判定部145eは、リファレンスクロックSEL信号をセレクタ141eに出力する。
【0045】
クロック出力部146nは、発振器142nが生成したクロック信号を取得し、N系のシステムクロック信号として無線部I/F15や制御処理部16a,16bに出力する。クロック出力部146eは、発振器142eが生成したクロック信号を取得し、E系のシステムクロック信号として無線部I/F15や制御処理部16a,16bに出力する。
【0046】
図5は、第2の実施の形態の測定部を示すブロック図である。測定部143は、測定部143n,143eとして用いられる。測定部143は、監視基準タイマ1431、周波数カウンタ1432、カウント監視部1433および通知部1444を有する。
【0047】
監視基準タイマ1431は、発振器が生成したクロック信号を基準として、所定時間を計測する。例えば、5MHzのクロック信号を基準として1秒を計測する。そして、所定時間の計測開始および計測終了のタイミングを示すフレーム信号を、周波数カウンタ1432およびカウント監視部1433に出力する。
【0048】
周波数カウンタ1432は、監視基準タイマ1431からのフレーム信号が示す1周期毎に、リファレンスクロック信号のクロックをカウントする。例えば、発振器のクロック信号を基準として計測された1秒間、8kHzのリファレンスクロック信号の立ち上がりエッジをカウントする。そして、カウント値をカウント監視部1433に出力する。
【0049】
カウント監視部1433は、監視基準タイマ1431からのフレーム信号が示す1周期毎に、周波数カウンタ1432から取得したカウント値が、所定の許容範囲に収まっているか判断する。リファレンスクロック信号が8kHzでありフレーム信号が示す1周期が1秒の場合、例えば、許容範囲を7999〜8001と設定する。そして、カウント監視部1433は、カウント値が許容範囲内か否かを通知部1444に通知する。
【0050】
通知部1444は、カウント値が許容範囲外である通知をカウント監視部1433から受けると、異常検出信号を生成して出力する。また、カウント値が許容範囲内である通知をカウント監視部1433から受けると、異常復旧信号を生成して出力する。
【0051】
図6は、周波数ずれの測定方法を示すタイミング図である。図6の例では、測定部143は、発振器が生成した5MHzのクロック信号を基準として1秒を計測する。そして、測定部143は、発振器のクロック信号を基準として計測された時間、8kHzのリファレンスクロック信号の立ち上がりエッジをカウントする。
【0052】
発振器のクロック信号とリファレンスクロック信号とが共に正確に送出されていれば、8000回の立ち上がりエッジがカウントされる。ただし、一定の偏差を許容することとし、7999〜8001回を許容範囲とすることが考えられる。ここで、発振器のクロック信号とリファレンスクロック信号の両方が異常である確率は小さいと考えられる。そこで、カウント値が許容範囲内であれば、両信号が正常であると判定し、カウント値が許容範囲外であれば、何れか一方の信号が異常であると判定することができる。
【0053】
図7は、第2の実施の形態の判定部を示すブロック図である。判定部145は、判定部145n,145eとして用いられる。判定部145は、状態管理部1451、異常状態表示部1452、ウォームアップ状態表示部1453、リファレンスクロックSEL信号生成部1454、N系/E系切替部1455およびシステムクロックSEL信号生成部1456を有する。
【0054】
状態管理部1451は、検出部144nからN系測定結果を取得し、検出部144eからE系測定結果を取得する。また、クロック供給部14n,14eまたは発振器142n,142eへの電力供給の状況を監視する。状態管理部1451は、N系測定結果とE系測定結果と電力供給状況とに基づいて、クロック供給部14n,14eの状態を管理し、異常状態およびウォームアップ状態を判定する。そして、異常状態を、異常状態表示部1452およびN系/E系切替部1455に通知する。ウォームアップ状態を、ウォームアップ状態表示部1453およびN系/E系切替部1455に通知する。
【0055】
異常状態表示部1452は、クロック供給部14n,14eが異常状態であるか否かを示すランプの点灯・消灯を制御する。例えば、異常状態表示部1452は、両系正常・N系異常・E系異常の3つを区別できる方法でランプを点灯させる。なお、判定部145n,145eそれぞれが、両系の表示を制御できるようにしてもよいし、判定部145nがN系の表示を制御し、判定部145eがE系の表示を制御するようにしてもよい。
【0056】
ウォームアップ状態表示部1453は、クロック供給部14n,14eがウォームアップ状態であるか否かを示すランプの点灯・消灯を制御する。例えば、ウォームアップ状態表示部1453は、両系ウォームアップ完了・N系ウォームアップ中・E系ウォームアップ中の3つを区別できるような方法でランプを点灯させる。なお、判定部145n,145eそれぞれが、両系の表示を制御できるようにしてもよいし、判定部145nがN系の表示を制御し、判定部145eがE系表示を制御するようにしてもよい。
【0057】
リファレンスクロックSEL信号生成部1454は、状態管理部1451からリファレンスクロック信号の異常が通知されると、伝送路I/F13n,13eの切り替えを示すリファレンスクロックSEL信号を生成する。そして、リファレンスクロックSEL信号をセレクタ141nまたはセレクタ141eに出力する。
【0058】
N系/E系切替部1455は、状態管理部1451から異常状態およびウォームアップ状態についての通知を取得し、N系およびE系のシステムクロック信号を有効にするか否か決定する。そして、決定を他系のN系/E系切替部に通知すると共に、決定をシステムクロックSEL信号生成部1456に通知する。
【0059】
システムクロックSEL信号生成部1456は、N系/E系切替部1455からの通知に基づいて、N系およびE系のシステムクロック信号の有効・無効を示すシステムクロックSEL信号を生成する。例えば、両系OFF・N系ON・E系ONの3つを区別できるような信号を生成する。そして、システムクロックSEL信号を、無線部I/F15や制御処理部16a,16bに出力する。なお、判定部145n,145eそれぞれが、N系ONとE系ONの両方を制御できるようにしてもよいし、判定部145nがN系ONを制御し、判定部145eがE系ONを制御するようにしてもよい。
【0060】
図8は、第2の実施の形態の状態管理部を示すブロック図である。状態管理部1451は、ウォームアップ/異常判定部110、電源監視部111およびウォームアップ通知生成部112を有する。
【0061】
ウォームアップ/異常判定部110は、N系測定結果およびE系測定結果を取得する。また、電源監視部111から、電力供給の開始(電源ON)および中断・終了(電源OFF)の通知を受け取る。また、電源ONの通知を受けて、監視タイマを起動させる。ウォームアップ/異常判定部110は、電源ON,電源OFF,N系周波数OK,N系周波数NG,E系周波数OK,E系周波数NG,タイムアウトをトリガとして、状態遷移を管理する。そして、遷移後の状態に応じて、異常通知を生成して出力すると共に、ウォームアップ状態をウォームアップ通知生成部112に通知する。
【0062】
電源監視部111は、クロック供給部14n,14eまたは発振器142n,142eへの電力供給の状況を監視する。そして、電源ONまたは電源OFFを検知すると、ウォームアップ/異常判定部110に通知する。
【0063】
ウォームアップ通知生成部112は、ウォームアップ/異常判定部110からの通知に基づいて、ウォームアップ中の系を示すウォームアップ通知を生成して出力する。
図9は、状態管理部の第1の実装例を示すブロック図である。状態管理部1451は、CPU(Central Processing Unit)101、バスブリッジ102、メモリ103、電源監視部111、ウォームアップ通知生成部112、測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115およびI/F制御部116を有する。
【0064】
CPU101、バスブリッジ102、メモリ103、測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115およびI/F制御部116の集合が、ウォームアップ/異常判定部110に対応する。ウォームアップ通知生成部112、測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115およびI/F制御部116は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI(Large Scale Integration)として実装することができる。
【0065】
CPU101は、状態管理のためのプログラムを実行する。CPU101は、測定結果I/F113や電源監視I/F114からイベントデータを取得し、次の状態を決定し、決定した状態に応じて異常通知およびウォームアップ通知を行うか判定する。そして、ウォームアップ通知生成部112や異常通知生成部115に通知データを出力する。また、CPU101は、管理用のプログラムを実行する。CPU101は、管理端末からコマンドを受け付け、現在の状態の報告や設定変更などを行う。なお、メモリ103へのアクセスの際には、CPU101は、メモリアドレスを指定する。
【0066】
バスブリッジ102は、CPU101、メモリ103およびI/F制御部116の間でデータの受け渡しを行う。
メモリ103は、プログラムやデータを一時的に記憶する揮発性メモリである。メモリ103には、電源ONの後、状態管理プログラムおよび当該プログラムの処理で参照されるデータ(例えば、状態遷移表)が展開される。状態管理プログラムや参照されるデータは、状態管理部1451が備える不揮発性メモリ(図示せず)に予め格納されている。メモリ103は、CPU101から指定されるアドレスに対応する記憶領域への書き込み、および、アドレスに対応する記憶領域からの読み出しを行う。
【0067】
電源監視部111は、前述のように、電力供給状況を監視する。電源監視部111は、電源ONまたは電源OFFを検知すると、電源監視I/F114に通知する。
ウォームアップ通知生成部112は、I/F制御部116経由でCPU101から通知データを取得する。そして、前述のように、ウォームアップ中の系を示すウォームアップ通知を生成して出力する。
【0068】
測定結果I/F113は、N系測定結果およびE系測定結果を取得する。そして、測定結果に関するイベントデータ(N系周波数OK,N系周波数NG,E系周波数OK,E系周波数NG)を生成し、I/F制御部116経由でCPU101に出力する。
【0069】
電源監視I/F114は、電源監視部111から電力供給状況の通知を取得する。そして、電源に関するイベントデータ(電源OK,電源NG)を生成し、I/F制御部116経由でCPU101に出力する。
【0070】
異常通知生成部115は、I/F制御部116経由でCPU101から通知データを取得する。そして、異常の発生箇所を示す異常通知を生成して出力する。
I/F制御部116は、バスブリッジ102との間のデータの受け渡しを制御する。バスブリッジ102とI/F制御部116とは、例えば、PCI(Peripheral Component Interconnect)やPCI−Xにより接続することができる。I/F制御部116には、信号線を介して、ウォームアップ通知生成部112、測定結果I/F113、電源監視I/F114および異常通知生成部115が接続されている。
【0071】
図10は、状態管理部の第2の実装例を示すブロック図である。状態管理部1451は、CPU101、バスブリッジ102、メモリ103、電源監視部111、ウォームアップ通知生成部112、測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115、I/F制御部116および状態遷移制御部117を有する。
【0072】
測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115および状態遷移制御部117の集合が、ウォームアップ/異常判定部110に対応する。ウォームアップ通知生成部112、測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115、I/F制御部116および状態遷移制御部117は、例えば、FPGAやLSIとして実装することができる。
【0073】
CPU101は、第1の実装例と同様、管理用のプログラムを実行する。ただし、第1の実装例と異なり、状態管理のためのプログラムは実行しなくてよい。バスブリッジ102、メモリ103、電源監視部111およびI/F制御部116の動作は、第1の実装例で説明したものと同様である。
【0074】
ウォームアップ通知生成部112は、状態遷移制御部117から通知データを取得し、ウォームアップ通知を生成して出力する。測定結果I/F113は、N系測定結果およびE系測定結果を取得し、測定結果に関するイベントデータを生成して状態遷移制御部117に出力する。電源監視I/F114は、電源監視部111から電力供給状況の通知を取得し、電源に関するイベントデータを生成して状態遷移制御部117に出力する。異常通知生成部115は、状態遷移制御部117から通知データを取得し、異常の発生箇所を示す異常通知を生成して出力する。
【0075】
状態遷移制御部117は、測定結果I/F113や電源監視I/F114からイベントデータを取得し、次の状態を決定し、決定した状態に応じて異常通知およびウォームアップ通知を行うか判定する。そして、ウォームアップ通知生成部112や異常通知生成部115に通知データを出力する。すなわち、状態遷移制御部117は、第1の実装例のCPU101がもつ状態管理機能を、結線論理(ワイヤードロジック)により実現している。状態遷移制御部117は、状態遷移表を記憶する不揮発性メモリを有していてもよい。
【0076】
図11は、クロック供給部の状態を定義した表である。クロック供給部14n,14eでは、それぞれ、状態#1〜#10が定義される。状態#1〜#10は、自系・他系それぞれの状態(電源OFF,ウォームアップ中,正常,異常)の組み合わせによって区別される。なお、クロック供給部14nから見ると、自系はN系であり、他系はE系である。一方、クロック供給部14eから見ると、自系はE系であり、他系はN系である。
【0077】
(1)状態#1は、自系・他系が共に電源OFFの状態(初期状態)である。
(2)状態#2は、自系・他系が共にウォームアップ中の状態である。
(3)状態#3は、自系が正常、他系がウォームアップ中の状態である。
【0078】
(4)状態#4は、自系がウォームアップ中、他系が正常の状態である。
(5)状態#5は、自系・他系が共に正常の状態である。
(6)状態#6は、自系が異常、他系がウォームアップ中の状態である。
【0079】
(7)状態#7は、自系が異常、他系が正常の状態である。
(8)状態#8は、自系がウォームアップ中、他系が異常の状態である。
(9)状態#9は、自系が正常、他系が異常の状態である。
【0080】
(10)状態#10は、自系・他系が共に異常の状態である。
図12は、クロック供給部の状態遷移を定義した表である。状態管理部1451は、図12に示す状態遷移表をデータとして保持し、状態管理を行ってもよい。
【0081】
(1)状態#1において、電源ONが検出されると、状態#2に遷移する。また、所定時間の監視タイマが起動する。なお、電力供給が開始されることにより、発振器142n,142eは、クロック信号の生成を開始する。
【0082】
(2)状態#2において、自系周波数OKが検出されると、状態#3に遷移する。他系周波数OKが検出されると、状態#4に遷移する。監視タイマのタイムアウトが検出されると、リファレンスクロック信号の異常が疑われることから、状態#10に遷移する。電源OFFが検出されると、監視タイマが停止し、状態#1に遷移する。
【0083】
(3)状態#3において、他系周波数OKが検出されると、監視タイマが停止し、状態#5に遷移する。自系周波数NGが検出されると、状態#6に遷移する。監視タイマのタイムアウトが検出されると、状態#9に遷移する。電源OFFが検出されると、監視タイマが停止し、状態#1に遷移する。
【0084】
(4)状態#4において、自系周波数OKが検出されると、監視タイマが停止し、状態#5に遷移する。他系周波数NGが検出されると、状態#8に遷移する。監視タイマのタイムアウトが検出されると、状態#7に遷移する。電源OFFが検出されると、監視タイマが停止し、状態#1に遷移する。
【0085】
(5)状態#5において、自系周波数NGが検出されると、状態#7に遷移する。他系周波数NGが検出されると、状態#9に遷移する。電源OFFが検出されると、状態#1に遷移する。
【0086】
(6)状態#6において、自系周波数OKが検出されると、状態#3に遷移する。他系周波数OKが検出されると、監視タイマが停止し、状態#7に遷移する。監視タイマのタイムアウトが検出されると、状態#10に遷移する。電源OFFが検出されると、監視タイマが停止し、状態#1に遷移する。
【0087】
(7)状態#7において、自系周波数OKが検出されると、状態#5に遷移する。他系周波数NGが検出されると、状態#10に遷移する。電源OFFが検出されると、状態#1に遷移する。
【0088】
(8)状態#8において、自系周波数OKが検出されると、監視タイマが停止し、状態#9に遷移する。他系周波数OKが検出されると、状態#4に遷移する。監視タイマのタイムアウトが検出されると、状態#10に遷移する。電源OFFが検出されると、監視タイマが停止し、状態#1に遷移する。
【0089】
(9)状態#9において、他系周波数OKが検出されると、状態#5に遷移する。自系周波数NGが検出されると、状態#10に遷移する。電源OFFが検出されると、状態#1に遷移する。
【0090】
(10)状態#10において、自系周波数OKが検出されると、状態#9に遷移する。他系周波数OKが検出されると、状態#7に遷移する。電源OFFが検出されると、状態#1に遷移する。
【0091】
図13は、クロック供給部の状態遷移(一部)を示す図である。状態#2〜#9は、クロック供給部14n,14eの両方がウォームアップを完了しているか、および、両方が正常に動作しているかに応じて、4つのグループに分類することができる。
【0092】
状態#2,#3,#4は、クロック供給部14n,14eの少なくとも一方がウォームアップ中であるが、正常に動作している状態である。状態#6,#8は、クロック供給部14n,14eの一方がウォームアップ中であり、他方に異常が検出された状態である。状態#7,#9は、クロック供給部14n,14eの両方が一旦はウォームアップを完了したが、一方に異常が検出された状態である。状態#5は、クロック供給部14n,14eの両方がウォームアップを完了し正常に動作している状態である。
【0093】
ここで、図13に示したように、電力供給が開始されてから、最初に周波数OKになるまでの間(周波数NGの間)は、ウォームアップ中と見なされる。これに対し、周波数OKになり、その後に周波数NGに変化すると、異常が発生したと見なされる。すなわち、ウォームアップが完了したと見なされた後は、電源ON・電源OFFのイベントが生じない限り、ウォームアップ中の状態には戻らない。
【0094】
図14は、クロック供給部の出力を示す表である。判定部145n,145eは、状態#1〜#10に応じて、図14に示す動作を行う。
(1)状態#1のとき、システムクロックSEL信号はOFF(N系・E系何れのシステムクロック信号も選択されない状態)に設定される。また、異常状態およびウォームアップ状態は表示されない。
【0095】
(2)状態#2のとき、システムクロックSEL信号はOFFに設定される。また、N系・E系両方がウォームアップ中であることが表示される。
(3)N系が状態#3(すなわち、E系が状態#4)のとき、システムクロックSEL信号はN系ON(N系のシステムクロック信号が選択された状態)に設定される。また、E系がウォームアップ中であることが表示される。ただし、システムクロックSEL信号をOFFに設定し、E系のウォームアップが完了するのを待ってもよい。
【0096】
(4)N系が状態#4(すなわち、E系が状態#3)のとき、システムクロックSEL信号はOFFに設定される。また、N系がウォームアップ中であることが表示される。
(5)状態#5のとき、システムクロックSEL信号はN系ONに設定される。また、N系・E系両方が正常であることが表示される。
【0097】
(6)N系が状態#6(すなわち、E系が状態#8)のとき、システムクロックSEL信号はOFFに設定される。また、N系に異常があること、および、E系がウォームアップ中であることが表示される。
【0098】
(7)N系が状態#7(すなわち、E系が状態#9)のとき、システムクロックSEL信号はE系ON(E系のシステムクロック信号が選択された状態)に設定される。また、N系に異常があることが表示される。
【0099】
(8)N系が状態#8(すなわち、E系が状態#6)のとき、システムクロックSEL信号はOFFに設定される。また、E系に異常があること、および、N系がウォームアップ中であることが表示される。
【0100】
(9)N系が状態#9(すなわち、E系が状態#7)のとき、システムクロックSEL信号はN系ONに設定される。また、E系に異常があることが表示される。
(10)状態#10のとき、システムクロックSEL信号はOFFに設定される。このとき、判定部145n,145eは、リファレンスクロック信号の切り替えを示すリファレンスクロックSEL信号を生成する。判定部145n,145eは、リファレンスクロック信号に異常があることを表示してもよい。
【0101】
図15は、クロック供給部の状態管理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、状態遷移のトリガとして、N系測定結果とE系測定結果の何れか一方に着目している。以下では、N系測定結果に着目し、クロック供給部14nが実行する処理として、図15に示す処理をステップ番号に沿って説明する。クロック供給部14eも、クロック供給部14nと同様の処理を実行する。
【0102】
(ステップS11)判定部145nは、電力供給が開始されたこと(電源ON)を検出する。なお、電源ONが検出されるタイミングには、管理者が電源のスイッチを操作したときや、電力供給が瞬断した後に電源が復旧したときが含まれる。
【0103】
(ステップS12)判定部145nは、発振器142nがウォームアップ中であると判定する。なお、電源ONの直後は、発振器142eもウォームアップ中と判定される。
(ステップS13)測定部143nは、発振器142nが生成したクロック信号と、伝送路I/F13nが抽出したリファレンスクロック信号の間で、周波数ずれを測定する。そして、周波数ずれが許容範囲内か許容範囲外かを判断する。
【0104】
(ステップS14)検出部144nは、周波数ずれが許容範囲内か否かに応じて、発振器142nのクロック信号が周波数OKか判断する。周波数OKになった場合、処理をステップS16に進める。周波数OKにならない場合、処理をステップS15に進める。
【0105】
(ステップS15)判定部145nは、電源ONが検出されてから所定時間経過したか判断する。経過した場合、処理をステップS19に進める。経過していない場合、処理をステップS13に進める。
【0106】
(ステップS16)判定部145nは、発振器142nのウォームアップが完了し正常に動作していると判定する。すなわち、状態が遷移する。判定部145nは、遷移後の状態に応じて、システムクロックSEL信号の出力や状態表示を行う。
【0107】
(ステップS17)測定部143nは、発振器142nが生成したクロック信号とリファレンスクロック信号の間で、周波数ずれを測定する。そして、周波数ずれが許容範囲内か許容範囲外かを判断する。
【0108】
(ステップS18)検出部144nは、周波数ずれが許容範囲内か否かに応じて、発振器142nのクロック信号が周波数OKか判断する。周波数OKである場合、処理をステップS17に進める。周波数NGになった場合、処理をステップS19に進める。
【0109】
(ステップS19)判定部145nは、発振器142nに異常があると判定する。すなわち、状態が遷移する。判定部145nは、遷移後の状態に応じて、システムクロックSEL信号の出力や状態表示を行う。
【0110】
(ステップS20)測定部143nは、発振器142nが生成したクロック信号とリファレンスクロック信号の間で、周波数ずれを測定する。そして、周波数ずれが許容範囲内か許容範囲外かを判断する。
【0111】
(ステップS21)検出部144nは、周波数ずれが許容範囲内か否かに応じて、発振器142nのクロック信号が周波数OKか判断する。周波数OKになった場合、処理をステップS16に進める。周波数NGである場合、処理をステップS20に進める。
【0112】
このように、判定部145nは、電源ONが検出されてから最初に周波数OKになるまでの間は、発振器142nのウォームアップ中と判断する。そして、ウォームアップ完了後は、周波数NGになると異常があると判断し、周波数OKに戻ると異常が解消したと判断する。ただし、電源ONから所定時間以内に周波数OKにならない場合には、異常があると判断する。なお、N系・E系の両方が異常と判断されたときは、リファレンスクロック信号の異常を疑う。
【0113】
このような第2の実施の形態の無線基地局10によれば、周波数ずれの測定結果に基づいて、発振器142n,142eのウォーアップが完了したタイミングを判断することができる。このため、一定時間をウォームアップ時間と見なす方法と比べて、過剰な待ち時間を抑制することができる。また、伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を用いて周波数ずれを測定するため、周波数ずれ測定のために他の発振器をクロック供給部14n,14eに搭載しなくてもよく、装置規模を抑制できる。
【0114】
また、判定部145n,145eは、周波数ずれに関するイベントと電力供給状況に関するイベントをトリガとする状態遷移を管理し、ウォームアップの完了と異常の発生とを一体的に管理している。これにより、ウォームアップ制御とN系・E系の切り替え制御との間の整合性をとることができ、適切なクロック供給制御を実現できる。
【符号の説明】
【0115】
1 クロック供給装置
1a 発振器
1b 測定部
1c 判定部
【技術分野】
【0001】
本発明はクロック供給装置およびクロック供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線基地局などの通信装置には、通信装置内の信号処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給装置が搭載される。クロック供給装置では、クロック信号を生成する発振器として、恒温槽付水晶発振器(OCXO:Oven Controlled Crystal Oscillator)が用いられることがある。OCXOは、水晶発振回路を恒温槽に挿入することで、安定した周波数のクロック信号を出力することを可能にしている。
【0003】
発振周波数が安定するための恒温槽の温度は、セ氏70〜80度など比較的高い温度に設定されることが多い。そのため、通信装置の電源がONになり電力供給が開始されてから恒温槽が規定の温度に上昇するまでの間、発振周波数が安定しないウォームアップ期間となり得る。OCXOがウォームアップ中であると判断される間は、通信装置内の一部または全部の信号処理が停止した状態となり得る。
【0004】
OCXOのウォームアップ制御については、電源がONになってから一定時間を、ウォームアップ中であると見なす方法が考えられる。しかし、この方法では、実際にはウォームアップが完了しているにも拘わらず、一定時間経過するまでクロック信号の供給を開始できないという問題が生じ得る。例えば、電源の瞬断が発生した場合のように電力供給の停止時間が短い場合には、電力供給が再開された時点で恒温槽が既にある程度の高温になっており、ウォームアップが短時間で完了する可能性がある。しかし、その場合でも、一定時間は待ち時間となってしまう(例えば、特許文献1の段落[0002]参照)。
【0005】
この問題に対し、OCXOと温度補償型水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)の両方を搭載した無線基地局が提案されている。この無線基地局は、OCXOの出力を分周したクロックとTCXOの出力を分周したクロックとの間で位相を比較し、位相差に基づいてOCXOのウォームアップが完了したか判定する(例えば、特許文献1の段落[0009]参照)。これにより、ウォームアップ待ち時間が過剰に長くなることを抑制し得る。
【0006】
なお、クロック供給装置に関し、異常箇所を検出できるようにした二重化構成のクロック供給装置が提案されている。このクロック供給装置は、運用系および予備系のOCXOそれぞれの出力クロックと、システム同期用に外部から入力されるリファレンスクロックとの周波数ずれを測定し、測定結果に基づいて、運用系のクロックと予備系のクロックとリファレンスクロックの中から異常箇所を特定する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−64445号公報
【特許文献2】特開2008−153910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載のウォームアップ制御方法では、クロック信号を供給するための発振器であるOCXOに加え、他の発振器としてTCXOをクロック供給装置に搭載することになる。よって、回路規模の増大などの問題が生じる。また、TCXOは発振周波数の安定度がOCXOより低いため、ウォームアップ完了のタイミングの判定精度が問題となる。なお、かかる問題は、クロック信号を生成する発振器としてOCXOを用いた場合に限らず、電力供給が開始されてから発振周波数が安定するまでにウォームアップ時間を要する他の種類の発振器を用いた場合にも生じ得る。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、発振器のウォームアップの完了を容易に判定できるようにしたクロック供給装置およびクロック供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給装置が提供される。このクロック供給装置は、発振器と測定部と判定部とを有する。発振器は、クロック信号を生成する。測定部は、通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、クロック信号とリファレンスクロック信号との周波数ずれを測定する。判定部は、周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、発振器のウォームアップが完了したか否か判定する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給方法が提供される。このクロック供給方法では、発振器を用いてクロック信号を生成する。通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、クロック信号とリファレンスクロック信号との周波数ずれを測定する。周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、発振器のウォームアップが完了したか否か判定する。
【発明の効果】
【0012】
上記クロック供給装置およびクロック供給方法によれば、発振器のウォームアップの完了を容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態のクロック供給装置を示す図である。
【図2】第2の実施の形態の移動通信システムを示す図である。
【図3】第2の実施の形態の無線基地局を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態のクロック供給部を示すブロック図である。
【図5】第2の実施の形態の測定部を示すブロック図である。
【図6】周波数ずれの測定方法を示すタイミング図である。
【図7】第2の実施の形態の判定部を示すブロック図である。
【図8】第2の実施の形態の状態管理部を示すブロック図である。
【図9】状態管理部の第1の実装例を示すブロック図である。
【図10】状態管理部の第2の実装例を示すブロック図である。
【図11】クロック供給部の状態を定義した表である。
【図12】クロック供給部の状態遷移を定義した表である。
【図13】クロック供給部の状態遷移(一部)を示す図である。
【図14】クロック供給部の出力を示す表である。
【図15】クロック供給部の状態管理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態のクロック供給装置を示す図である。第1の実施の形態のクロック供給装置1は、通信装置に搭載され、通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給する。通信装置の例としては、無線基地局が挙げられるが、それ以外の通信装置でもよい。クロック供給装置1は、発振器1a、測定部1bおよび判定部1cを有する。
【0015】
発振器1aは、クロック信号を生成する。発振器1aの例としては、OCXOが挙げられるが、それ以外の発振器でもよい。発振器1aは、電力供給が開始されてクロック信号の生成を開始してから発信周波数が安定するまで、ウォームアップを要する。ウォームアップの時間は、例えば、電力供給が開始された時点の恒温槽の温度に依存する。
【0016】
測定部1bは、通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得する。伝送路の例としては、無線基地局と無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)とを接続する有線路が挙げられる。リファレンスクロック信号は、例えば、通信装置間の同期のためにも用いられる。測定部1bは、発振器1aが生成したクロック信号とリファレンスクロック信号との間で、周波数ずれを測定する。
【0017】
判定部1cは、測定部1bが測定した周波数ずれの測定結果を取得する。また、判定部1cは、クロック供給装置1または発振器1aへの電力供給の状況を監視する。そして、判定部1cは、周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、発振器1aのウォームアップが完了したか否か判定する。例えば、判定部1cは、電力供給の開始後、最初に測定結果が所定の許容条件を満たしたとき、ウォームアップが完了したと判定する。
【0018】
また、判定部1cは、発振器1aが生成したクロック信号またはリファレンスクロック信号の異常を検出することも可能である。例えば、判定部1cは、ウォームアップが完了したと判定した後(すなわち、一度、測定結果が許容条件を満たした後)、測定結果が許容条件を満たさなくなった場合、異常が発生したと判定する。また、電力供給の開始から所定時間以内に、測定結果が許容条件を満たさない場合も、異常が発生したと判定する。
【0019】
このようなクロック供給装置1によれば、発振器1aが、クロック信号を生成する。測定部1bが、通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、クロック信号とリファレンスクロック信号との周波数ずれを測定する。判定部1cが、周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、発振器1aのウォームアップが完了したか否か判定する。
【0020】
これにより、発振器1aのウォームアップの完了を容易に判定することができる。すなわち、判定部1cは、周波数ずれの測定結果に基づいてウォームアップの完了を判定するため、一定時間をウォームアップ時間と見なす方法と比べて、過剰な待ち時間を抑制することができる。また、測定部1bは、伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を用いて周波数ずれを測定するため、クロック供給装置1の回路規模を抑制できると共に、ウォームアップ完了の判定精度の低下を抑制できる。また、判定部1cは、周波数ずれの測定結果から、ウォームアップの完了に加えて異常の発生も検出することが可能である。
【0021】
なお、クロック供給装置1は、単独の部品として流通させることもできるし、通信装置に組み込んだ状態で流通させることもできる。また、クロック供給装置1は、様々な種類の通信装置に組み込むことができる。以下の第2の実施の形態では、OCXOを用いてクロック信号を生成するクロック供給装置を搭載した無線基地局の例を挙げる。
【0022】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態の移動通信システムを示す図である。第2の実施の形態の移動通信システムは、無線基地局10、RNC20、コアネットワーク30および移動局40を含む。無線基地局10は、RNC20と有線の伝送路で接続されている。RNC20は、コアネットワーク30と有線の伝送路で接続されている。
【0023】
無線基地局10は、移動局40と無線通信を行う無線通信装置である。無線基地局10は、RNC20からユーザデータを受信し、移動局40に無線で送信する。また、移動局40から無線でユーザデータを受信し、RNC20経由でコアネットワーク30に転送する。無線基地局10は、移動通信事業者などによって設定され電源がONになると、運用開始の処理を行う。また、電力供給状況が良好でない地域に設置されたなどの理由により電力供給の瞬断が発生すると、電源回復後に運用再開の処理を行う。
【0024】
RNC20は、無線基地局10を制御する通信装置である。RNC20は、移動局40への無線チャネルの割り当てや移動局40の移動に伴うハンドオーバ制御を行う。RNC20は、無線基地局10とコアネットワーク30の間でユーザデータを転送する。なお、無線基地局10とRNC20は、無線アクセスネットワーク(RAN)を形成する。
【0025】
コアネットワーク30は、回線交換による音声通信やパケット交換によるデータ通信を実現するネットワークである。コアネットワーク30内には、回線交換器やパケット交換器が設けられる。また、移動局40の加入者情報を記憶するデータベースや、移動局40の在圏情報を記憶するデータベースが設けられる。
【0026】
移動局40は、無線基地局10に接続し、無線基地局10の制御に従って無線通信を行う無線端末装置である。移動局40は、無線基地局10にユーザデータを無線で送信し、無線基地局10からユーザデータを無線で受信する。なお、移動局でない加入者局(固定無線端末装置)も、無線基地局10に接続することが可能である。
【0027】
図3は、第2の実施の形態の無線基地局を示すブロック図である。無線基地局10は、制御部11および無線部12を有する。制御部11と無線部12は、例えば、それぞれIC(Integrated Circuit)回路として実装し、デジタル信号線で接続することができる。
【0028】
制御部11は、デジタルベースバンド信号処理を行うと共に、無線部12の無線信号処理を制御する。制御部11は、伝送路インタフェース(I/F)13n,13e、クロック供給部14n,14e、無線部I/F15および制御処理部16a,16bを有する。無線部12は、制御部11の制御に従って、無線信号処理を行う。無線部12は、制御部I/F17および無線処理部18を有する。
【0029】
伝送路I/F13n,13eは、無線基地局10とRNC20の間の伝送路に接続された有線通信インタフェースである。伝送路I/F13n,13eは、冗長化されている。伝送路I/F13nは、正常時に使用される現用系(以下、N(Normal)系と呼ぶことがある)である。伝送路I/F13eは、伝送路I/F13nの異常時に使用される予備系(以下、E(Emergency)系と呼ぶことがある)である。伝送路I/F13n,13eのリファレンスクロック信号の切り替えは、クロック供給部14n,14eが制御する。
【0030】
また、伝送路I/F13n,13eは、それぞれ伝送路からリファレンスクロック信号を抽出し、クロック供給部14n,14eに出力する。すなわち、伝送路I/F13n,13eは、リファレンスクロック供給部として動作する。リファレンスクロック信号は、無線基地局10とRNC20の同期に用いられ、例えば、その周波数は8kHzである。
【0031】
クロック供給部14n,14eは、制御部11および無線部12の信号処理に用いられるシステムクロック信号(例えば、5MHz)を供給する。クロック供給部14n,14eは、冗長化されている。クロック供給部14nはN系、クロック供給部14eはE系である。クロック供給部14n,14eは、無線部I/F15および制御処理部16a,16bにシステムクロック信号を出力する。また、クロック供給部14n,14eは、システムクロック信号の生成に用いる発振器のウォームアップ制御および異常検出を行い、N系とE系の切り替えを行う。ウォームアップ制御および異常検出の詳細は後述する。
【0032】
無線部I/F15は、無線部12との間で信号を入出力するインタフェースである。無線部I/F15は、移動局40への送信信号としてのベースバンド信号を無線部12に出力し、移動局40からの受信信号としてのベースバンド信号を無線部12から取得する。また、無線部I/F15は、クロック供給部14n,14eから供給されるシステムクロック信号を、無線部12に出力する。
【0033】
制御処理部16a,16bは、無線基地局10と移動局40との間の無線通信について各種の処理を実行する。図3には2つの制御処理部が記載されているが、制御部11は3つ以上の制御処理部を備えてもよい。制御処理部16a,16bが実行する処理には、呼制御、ファイルデータ制御、送信信号または受信信号としてのベースバンド信号の処理などが含まれ得る。制御処理部16a,16bは、クロック供給部14n,14eから供給されるシステムクロック信号を用いて処理を実行する。
【0034】
ここで、制御処理部16a,16bは、クロック供給部14n,14eが出力するシステムクロック信号の通過・遮断を切り替えるゲート回路を有している。このゲート回路により、発振器のウォームアップ中や異常発生中のシステムクロック信号が遮断される。ゲート回路は、クロック供給部14n,14eが出力するシステムクロックSEL(Select)信号に基づいて、システムクロック信号を取り込むか否か、および、クロック供給部14n,14eの何れが出力するシステムクロック信号を取り込むかを制御する。
【0035】
制御部I/F17は、制御部11との間で信号を入出力するインタフェースである。制御部I/F17は、送信信号としてのベースバンド信号を制御部11から取得し、無線処理部18に出力する。また、受信信号としてのベースバンド信号を無線処理部18から取得し、制御部11に出力する。また、制御部I/F17は、無線部I/F15経由でクロック供給部14n,14eから供給されるシステムクロック信号を、無線処理部18に出力する。制御部I/F17は、制御処理部16a,16bと同様にゲート回路を有している。このゲート回路は、システムクロック信号の通過・遮断を切り替える。
【0036】
無線処理部18は、移動局40と送受信する無線信号を処理する。無線処理部18は、アンテナを介して移動局40から受信した無線信号をベースバンド信号にダウンコンバートし、制御部I/F17に出力する。また、制御部I/F17から取得したベースバンド信号を無線信号にアップコンバートし、アンテナから出力する。無線処理部18は、制御部I/F17から取得するシステムクロック信号を用いて無線信号処理を行う。
【0037】
図4は、第2の実施の形態のクロック供給部を示すブロック図である。クロック供給部14nは、セレクタ141n、発振器142n、測定部143n、検出部144n、判定部145nおよびクロック出力部146nを有する。同様に、クロック供給部14eは、セレクタ141e、発振器142e、測定部143e、検出部144e、判定部145eおよびクロック出力部146eを有する。
【0038】
セレクタ141nは、伝送路I/F13n,13eからそれぞれリファレンスクロック信号を取得し、何れか一方の伝送路I/Fからのリファレンスクロック信号を選択して測定部143nに出力する。リファレンスクロック信号の選択は、判定部145nが出力するリファレンスクロックSEL信号に基づいて行う。セレクタ141eは、E系についてセレクタ141nと同様の動作を行う。セレクタ141nが選択するリファレンスクロック信号とセレクタ141eが選択するリファレンスクロック信号は同じである。
【0039】
発振器142nは、クロック信号(例えば、5MHzの信号)を生成する。発振器142nとしては、例えば、OCXOを用いることができる。発振器142nは、生成したクロック信号を測定部143nおよびクロック出力部146nに出力する。発振器142eは、E系について発振器142nと同様の動作を行う。
【0040】
測定部143nは、セレクタ141nから取得したリファレンスクロック信号と発振器142nから取得したクロック信号との周波数ずれを測定する。そして、測定結果が所定の許容範囲外である場合、異常検出信号を検出部144nに出力する。また、測定結果が所定の許容範囲内である場合、異常復旧信号を検出部144nに出力する。測定部143eは、E系について測定部143nと同様の動作を行う。
【0041】
検出部144nは、測定部143nからの異常検出信号および異常復旧信号の取得状況に基づいて、周波数ずれ測定の異常(周波数NG)を検出する。例えば、検出部144nは、異常検出信号を連続して所定回数取得した場合や、一定時間内に所定回数以上の異常検出信号を取得した場合に、周波数NGと判断する。このように、複数回の異常検出信号の取得を待つことで、異常検出の誤りを抑制できる。ただし、異常検出信号を1回取得した時点で、周波数NGと判断することも可能である。
【0042】
また、検出部144nは、周波数NGの検出と同様に、周波数ずれ測定の正常(周波数OK)を検出する。検出部144nは、周波数OKまたは周波数NGを示すN系測定結果を、判定部145n,145eに通知する。具体的には、電源ON後に最初に周波数OKとなったタイミングで、N系測定結果を通知する。その後、周波数OKと周波数NGが切り替わる毎に、N系測定結果を通知する。ただし、周波数OKと周波数NGが切り替わるタイミング以外でも、N測定結果を通知してよい。検出部144eは、E系について検出部144nと同様の動作を行い、E系測定結果を判定部145n,145eに通知する。
【0043】
判定部145nは、検出部144nからN系測定結果を取得し、検出部144eからE系測定結果を取得する。そして、判定部145nは、N系・E系の測定結果に基づいて、発振器142n,142eのウォームアップが完了しているか判定する。また、発振器142nが生成するクロック信号、発振器142eが生成するクロック信号、および、リファレンスクロック信号の3者の中に、異常が発生しているものがあるか判定する。
【0044】
判定結果に応じて、判定部145nは、システムクロックSEL信号を生成し、無線部I/F15や制御処理部16a,16bに出力する。また、リファレンスクロック信号が異常と判定された場合、判定部145nは、リファレンスクロックSEL信号を生成し、セレクタ141nに出力する。判定部145eは、判定部145nと同様の動作を行う。ただし、リファレンスクロック信号が異常と判定されると、判定部145eは、リファレンスクロックSEL信号をセレクタ141eに出力する。
【0045】
クロック出力部146nは、発振器142nが生成したクロック信号を取得し、N系のシステムクロック信号として無線部I/F15や制御処理部16a,16bに出力する。クロック出力部146eは、発振器142eが生成したクロック信号を取得し、E系のシステムクロック信号として無線部I/F15や制御処理部16a,16bに出力する。
【0046】
図5は、第2の実施の形態の測定部を示すブロック図である。測定部143は、測定部143n,143eとして用いられる。測定部143は、監視基準タイマ1431、周波数カウンタ1432、カウント監視部1433および通知部1444を有する。
【0047】
監視基準タイマ1431は、発振器が生成したクロック信号を基準として、所定時間を計測する。例えば、5MHzのクロック信号を基準として1秒を計測する。そして、所定時間の計測開始および計測終了のタイミングを示すフレーム信号を、周波数カウンタ1432およびカウント監視部1433に出力する。
【0048】
周波数カウンタ1432は、監視基準タイマ1431からのフレーム信号が示す1周期毎に、リファレンスクロック信号のクロックをカウントする。例えば、発振器のクロック信号を基準として計測された1秒間、8kHzのリファレンスクロック信号の立ち上がりエッジをカウントする。そして、カウント値をカウント監視部1433に出力する。
【0049】
カウント監視部1433は、監視基準タイマ1431からのフレーム信号が示す1周期毎に、周波数カウンタ1432から取得したカウント値が、所定の許容範囲に収まっているか判断する。リファレンスクロック信号が8kHzでありフレーム信号が示す1周期が1秒の場合、例えば、許容範囲を7999〜8001と設定する。そして、カウント監視部1433は、カウント値が許容範囲内か否かを通知部1444に通知する。
【0050】
通知部1444は、カウント値が許容範囲外である通知をカウント監視部1433から受けると、異常検出信号を生成して出力する。また、カウント値が許容範囲内である通知をカウント監視部1433から受けると、異常復旧信号を生成して出力する。
【0051】
図6は、周波数ずれの測定方法を示すタイミング図である。図6の例では、測定部143は、発振器が生成した5MHzのクロック信号を基準として1秒を計測する。そして、測定部143は、発振器のクロック信号を基準として計測された時間、8kHzのリファレンスクロック信号の立ち上がりエッジをカウントする。
【0052】
発振器のクロック信号とリファレンスクロック信号とが共に正確に送出されていれば、8000回の立ち上がりエッジがカウントされる。ただし、一定の偏差を許容することとし、7999〜8001回を許容範囲とすることが考えられる。ここで、発振器のクロック信号とリファレンスクロック信号の両方が異常である確率は小さいと考えられる。そこで、カウント値が許容範囲内であれば、両信号が正常であると判定し、カウント値が許容範囲外であれば、何れか一方の信号が異常であると判定することができる。
【0053】
図7は、第2の実施の形態の判定部を示すブロック図である。判定部145は、判定部145n,145eとして用いられる。判定部145は、状態管理部1451、異常状態表示部1452、ウォームアップ状態表示部1453、リファレンスクロックSEL信号生成部1454、N系/E系切替部1455およびシステムクロックSEL信号生成部1456を有する。
【0054】
状態管理部1451は、検出部144nからN系測定結果を取得し、検出部144eからE系測定結果を取得する。また、クロック供給部14n,14eまたは発振器142n,142eへの電力供給の状況を監視する。状態管理部1451は、N系測定結果とE系測定結果と電力供給状況とに基づいて、クロック供給部14n,14eの状態を管理し、異常状態およびウォームアップ状態を判定する。そして、異常状態を、異常状態表示部1452およびN系/E系切替部1455に通知する。ウォームアップ状態を、ウォームアップ状態表示部1453およびN系/E系切替部1455に通知する。
【0055】
異常状態表示部1452は、クロック供給部14n,14eが異常状態であるか否かを示すランプの点灯・消灯を制御する。例えば、異常状態表示部1452は、両系正常・N系異常・E系異常の3つを区別できる方法でランプを点灯させる。なお、判定部145n,145eそれぞれが、両系の表示を制御できるようにしてもよいし、判定部145nがN系の表示を制御し、判定部145eがE系の表示を制御するようにしてもよい。
【0056】
ウォームアップ状態表示部1453は、クロック供給部14n,14eがウォームアップ状態であるか否かを示すランプの点灯・消灯を制御する。例えば、ウォームアップ状態表示部1453は、両系ウォームアップ完了・N系ウォームアップ中・E系ウォームアップ中の3つを区別できるような方法でランプを点灯させる。なお、判定部145n,145eそれぞれが、両系の表示を制御できるようにしてもよいし、判定部145nがN系の表示を制御し、判定部145eがE系表示を制御するようにしてもよい。
【0057】
リファレンスクロックSEL信号生成部1454は、状態管理部1451からリファレンスクロック信号の異常が通知されると、伝送路I/F13n,13eの切り替えを示すリファレンスクロックSEL信号を生成する。そして、リファレンスクロックSEL信号をセレクタ141nまたはセレクタ141eに出力する。
【0058】
N系/E系切替部1455は、状態管理部1451から異常状態およびウォームアップ状態についての通知を取得し、N系およびE系のシステムクロック信号を有効にするか否か決定する。そして、決定を他系のN系/E系切替部に通知すると共に、決定をシステムクロックSEL信号生成部1456に通知する。
【0059】
システムクロックSEL信号生成部1456は、N系/E系切替部1455からの通知に基づいて、N系およびE系のシステムクロック信号の有効・無効を示すシステムクロックSEL信号を生成する。例えば、両系OFF・N系ON・E系ONの3つを区別できるような信号を生成する。そして、システムクロックSEL信号を、無線部I/F15や制御処理部16a,16bに出力する。なお、判定部145n,145eそれぞれが、N系ONとE系ONの両方を制御できるようにしてもよいし、判定部145nがN系ONを制御し、判定部145eがE系ONを制御するようにしてもよい。
【0060】
図8は、第2の実施の形態の状態管理部を示すブロック図である。状態管理部1451は、ウォームアップ/異常判定部110、電源監視部111およびウォームアップ通知生成部112を有する。
【0061】
ウォームアップ/異常判定部110は、N系測定結果およびE系測定結果を取得する。また、電源監視部111から、電力供給の開始(電源ON)および中断・終了(電源OFF)の通知を受け取る。また、電源ONの通知を受けて、監視タイマを起動させる。ウォームアップ/異常判定部110は、電源ON,電源OFF,N系周波数OK,N系周波数NG,E系周波数OK,E系周波数NG,タイムアウトをトリガとして、状態遷移を管理する。そして、遷移後の状態に応じて、異常通知を生成して出力すると共に、ウォームアップ状態をウォームアップ通知生成部112に通知する。
【0062】
電源監視部111は、クロック供給部14n,14eまたは発振器142n,142eへの電力供給の状況を監視する。そして、電源ONまたは電源OFFを検知すると、ウォームアップ/異常判定部110に通知する。
【0063】
ウォームアップ通知生成部112は、ウォームアップ/異常判定部110からの通知に基づいて、ウォームアップ中の系を示すウォームアップ通知を生成して出力する。
図9は、状態管理部の第1の実装例を示すブロック図である。状態管理部1451は、CPU(Central Processing Unit)101、バスブリッジ102、メモリ103、電源監視部111、ウォームアップ通知生成部112、測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115およびI/F制御部116を有する。
【0064】
CPU101、バスブリッジ102、メモリ103、測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115およびI/F制御部116の集合が、ウォームアップ/異常判定部110に対応する。ウォームアップ通知生成部112、測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115およびI/F制御部116は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI(Large Scale Integration)として実装することができる。
【0065】
CPU101は、状態管理のためのプログラムを実行する。CPU101は、測定結果I/F113や電源監視I/F114からイベントデータを取得し、次の状態を決定し、決定した状態に応じて異常通知およびウォームアップ通知を行うか判定する。そして、ウォームアップ通知生成部112や異常通知生成部115に通知データを出力する。また、CPU101は、管理用のプログラムを実行する。CPU101は、管理端末からコマンドを受け付け、現在の状態の報告や設定変更などを行う。なお、メモリ103へのアクセスの際には、CPU101は、メモリアドレスを指定する。
【0066】
バスブリッジ102は、CPU101、メモリ103およびI/F制御部116の間でデータの受け渡しを行う。
メモリ103は、プログラムやデータを一時的に記憶する揮発性メモリである。メモリ103には、電源ONの後、状態管理プログラムおよび当該プログラムの処理で参照されるデータ(例えば、状態遷移表)が展開される。状態管理プログラムや参照されるデータは、状態管理部1451が備える不揮発性メモリ(図示せず)に予め格納されている。メモリ103は、CPU101から指定されるアドレスに対応する記憶領域への書き込み、および、アドレスに対応する記憶領域からの読み出しを行う。
【0067】
電源監視部111は、前述のように、電力供給状況を監視する。電源監視部111は、電源ONまたは電源OFFを検知すると、電源監視I/F114に通知する。
ウォームアップ通知生成部112は、I/F制御部116経由でCPU101から通知データを取得する。そして、前述のように、ウォームアップ中の系を示すウォームアップ通知を生成して出力する。
【0068】
測定結果I/F113は、N系測定結果およびE系測定結果を取得する。そして、測定結果に関するイベントデータ(N系周波数OK,N系周波数NG,E系周波数OK,E系周波数NG)を生成し、I/F制御部116経由でCPU101に出力する。
【0069】
電源監視I/F114は、電源監視部111から電力供給状況の通知を取得する。そして、電源に関するイベントデータ(電源OK,電源NG)を生成し、I/F制御部116経由でCPU101に出力する。
【0070】
異常通知生成部115は、I/F制御部116経由でCPU101から通知データを取得する。そして、異常の発生箇所を示す異常通知を生成して出力する。
I/F制御部116は、バスブリッジ102との間のデータの受け渡しを制御する。バスブリッジ102とI/F制御部116とは、例えば、PCI(Peripheral Component Interconnect)やPCI−Xにより接続することができる。I/F制御部116には、信号線を介して、ウォームアップ通知生成部112、測定結果I/F113、電源監視I/F114および異常通知生成部115が接続されている。
【0071】
図10は、状態管理部の第2の実装例を示すブロック図である。状態管理部1451は、CPU101、バスブリッジ102、メモリ103、電源監視部111、ウォームアップ通知生成部112、測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115、I/F制御部116および状態遷移制御部117を有する。
【0072】
測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115および状態遷移制御部117の集合が、ウォームアップ/異常判定部110に対応する。ウォームアップ通知生成部112、測定結果I/F113、電源監視I/F114、異常通知生成部115、I/F制御部116および状態遷移制御部117は、例えば、FPGAやLSIとして実装することができる。
【0073】
CPU101は、第1の実装例と同様、管理用のプログラムを実行する。ただし、第1の実装例と異なり、状態管理のためのプログラムは実行しなくてよい。バスブリッジ102、メモリ103、電源監視部111およびI/F制御部116の動作は、第1の実装例で説明したものと同様である。
【0074】
ウォームアップ通知生成部112は、状態遷移制御部117から通知データを取得し、ウォームアップ通知を生成して出力する。測定結果I/F113は、N系測定結果およびE系測定結果を取得し、測定結果に関するイベントデータを生成して状態遷移制御部117に出力する。電源監視I/F114は、電源監視部111から電力供給状況の通知を取得し、電源に関するイベントデータを生成して状態遷移制御部117に出力する。異常通知生成部115は、状態遷移制御部117から通知データを取得し、異常の発生箇所を示す異常通知を生成して出力する。
【0075】
状態遷移制御部117は、測定結果I/F113や電源監視I/F114からイベントデータを取得し、次の状態を決定し、決定した状態に応じて異常通知およびウォームアップ通知を行うか判定する。そして、ウォームアップ通知生成部112や異常通知生成部115に通知データを出力する。すなわち、状態遷移制御部117は、第1の実装例のCPU101がもつ状態管理機能を、結線論理(ワイヤードロジック)により実現している。状態遷移制御部117は、状態遷移表を記憶する不揮発性メモリを有していてもよい。
【0076】
図11は、クロック供給部の状態を定義した表である。クロック供給部14n,14eでは、それぞれ、状態#1〜#10が定義される。状態#1〜#10は、自系・他系それぞれの状態(電源OFF,ウォームアップ中,正常,異常)の組み合わせによって区別される。なお、クロック供給部14nから見ると、自系はN系であり、他系はE系である。一方、クロック供給部14eから見ると、自系はE系であり、他系はN系である。
【0077】
(1)状態#1は、自系・他系が共に電源OFFの状態(初期状態)である。
(2)状態#2は、自系・他系が共にウォームアップ中の状態である。
(3)状態#3は、自系が正常、他系がウォームアップ中の状態である。
【0078】
(4)状態#4は、自系がウォームアップ中、他系が正常の状態である。
(5)状態#5は、自系・他系が共に正常の状態である。
(6)状態#6は、自系が異常、他系がウォームアップ中の状態である。
【0079】
(7)状態#7は、自系が異常、他系が正常の状態である。
(8)状態#8は、自系がウォームアップ中、他系が異常の状態である。
(9)状態#9は、自系が正常、他系が異常の状態である。
【0080】
(10)状態#10は、自系・他系が共に異常の状態である。
図12は、クロック供給部の状態遷移を定義した表である。状態管理部1451は、図12に示す状態遷移表をデータとして保持し、状態管理を行ってもよい。
【0081】
(1)状態#1において、電源ONが検出されると、状態#2に遷移する。また、所定時間の監視タイマが起動する。なお、電力供給が開始されることにより、発振器142n,142eは、クロック信号の生成を開始する。
【0082】
(2)状態#2において、自系周波数OKが検出されると、状態#3に遷移する。他系周波数OKが検出されると、状態#4に遷移する。監視タイマのタイムアウトが検出されると、リファレンスクロック信号の異常が疑われることから、状態#10に遷移する。電源OFFが検出されると、監視タイマが停止し、状態#1に遷移する。
【0083】
(3)状態#3において、他系周波数OKが検出されると、監視タイマが停止し、状態#5に遷移する。自系周波数NGが検出されると、状態#6に遷移する。監視タイマのタイムアウトが検出されると、状態#9に遷移する。電源OFFが検出されると、監視タイマが停止し、状態#1に遷移する。
【0084】
(4)状態#4において、自系周波数OKが検出されると、監視タイマが停止し、状態#5に遷移する。他系周波数NGが検出されると、状態#8に遷移する。監視タイマのタイムアウトが検出されると、状態#7に遷移する。電源OFFが検出されると、監視タイマが停止し、状態#1に遷移する。
【0085】
(5)状態#5において、自系周波数NGが検出されると、状態#7に遷移する。他系周波数NGが検出されると、状態#9に遷移する。電源OFFが検出されると、状態#1に遷移する。
【0086】
(6)状態#6において、自系周波数OKが検出されると、状態#3に遷移する。他系周波数OKが検出されると、監視タイマが停止し、状態#7に遷移する。監視タイマのタイムアウトが検出されると、状態#10に遷移する。電源OFFが検出されると、監視タイマが停止し、状態#1に遷移する。
【0087】
(7)状態#7において、自系周波数OKが検出されると、状態#5に遷移する。他系周波数NGが検出されると、状態#10に遷移する。電源OFFが検出されると、状態#1に遷移する。
【0088】
(8)状態#8において、自系周波数OKが検出されると、監視タイマが停止し、状態#9に遷移する。他系周波数OKが検出されると、状態#4に遷移する。監視タイマのタイムアウトが検出されると、状態#10に遷移する。電源OFFが検出されると、監視タイマが停止し、状態#1に遷移する。
【0089】
(9)状態#9において、他系周波数OKが検出されると、状態#5に遷移する。自系周波数NGが検出されると、状態#10に遷移する。電源OFFが検出されると、状態#1に遷移する。
【0090】
(10)状態#10において、自系周波数OKが検出されると、状態#9に遷移する。他系周波数OKが検出されると、状態#7に遷移する。電源OFFが検出されると、状態#1に遷移する。
【0091】
図13は、クロック供給部の状態遷移(一部)を示す図である。状態#2〜#9は、クロック供給部14n,14eの両方がウォームアップを完了しているか、および、両方が正常に動作しているかに応じて、4つのグループに分類することができる。
【0092】
状態#2,#3,#4は、クロック供給部14n,14eの少なくとも一方がウォームアップ中であるが、正常に動作している状態である。状態#6,#8は、クロック供給部14n,14eの一方がウォームアップ中であり、他方に異常が検出された状態である。状態#7,#9は、クロック供給部14n,14eの両方が一旦はウォームアップを完了したが、一方に異常が検出された状態である。状態#5は、クロック供給部14n,14eの両方がウォームアップを完了し正常に動作している状態である。
【0093】
ここで、図13に示したように、電力供給が開始されてから、最初に周波数OKになるまでの間(周波数NGの間)は、ウォームアップ中と見なされる。これに対し、周波数OKになり、その後に周波数NGに変化すると、異常が発生したと見なされる。すなわち、ウォームアップが完了したと見なされた後は、電源ON・電源OFFのイベントが生じない限り、ウォームアップ中の状態には戻らない。
【0094】
図14は、クロック供給部の出力を示す表である。判定部145n,145eは、状態#1〜#10に応じて、図14に示す動作を行う。
(1)状態#1のとき、システムクロックSEL信号はOFF(N系・E系何れのシステムクロック信号も選択されない状態)に設定される。また、異常状態およびウォームアップ状態は表示されない。
【0095】
(2)状態#2のとき、システムクロックSEL信号はOFFに設定される。また、N系・E系両方がウォームアップ中であることが表示される。
(3)N系が状態#3(すなわち、E系が状態#4)のとき、システムクロックSEL信号はN系ON(N系のシステムクロック信号が選択された状態)に設定される。また、E系がウォームアップ中であることが表示される。ただし、システムクロックSEL信号をOFFに設定し、E系のウォームアップが完了するのを待ってもよい。
【0096】
(4)N系が状態#4(すなわち、E系が状態#3)のとき、システムクロックSEL信号はOFFに設定される。また、N系がウォームアップ中であることが表示される。
(5)状態#5のとき、システムクロックSEL信号はN系ONに設定される。また、N系・E系両方が正常であることが表示される。
【0097】
(6)N系が状態#6(すなわち、E系が状態#8)のとき、システムクロックSEL信号はOFFに設定される。また、N系に異常があること、および、E系がウォームアップ中であることが表示される。
【0098】
(7)N系が状態#7(すなわち、E系が状態#9)のとき、システムクロックSEL信号はE系ON(E系のシステムクロック信号が選択された状態)に設定される。また、N系に異常があることが表示される。
【0099】
(8)N系が状態#8(すなわち、E系が状態#6)のとき、システムクロックSEL信号はOFFに設定される。また、E系に異常があること、および、N系がウォームアップ中であることが表示される。
【0100】
(9)N系が状態#9(すなわち、E系が状態#7)のとき、システムクロックSEL信号はN系ONに設定される。また、E系に異常があることが表示される。
(10)状態#10のとき、システムクロックSEL信号はOFFに設定される。このとき、判定部145n,145eは、リファレンスクロック信号の切り替えを示すリファレンスクロックSEL信号を生成する。判定部145n,145eは、リファレンスクロック信号に異常があることを表示してもよい。
【0101】
図15は、クロック供給部の状態管理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、状態遷移のトリガとして、N系測定結果とE系測定結果の何れか一方に着目している。以下では、N系測定結果に着目し、クロック供給部14nが実行する処理として、図15に示す処理をステップ番号に沿って説明する。クロック供給部14eも、クロック供給部14nと同様の処理を実行する。
【0102】
(ステップS11)判定部145nは、電力供給が開始されたこと(電源ON)を検出する。なお、電源ONが検出されるタイミングには、管理者が電源のスイッチを操作したときや、電力供給が瞬断した後に電源が復旧したときが含まれる。
【0103】
(ステップS12)判定部145nは、発振器142nがウォームアップ中であると判定する。なお、電源ONの直後は、発振器142eもウォームアップ中と判定される。
(ステップS13)測定部143nは、発振器142nが生成したクロック信号と、伝送路I/F13nが抽出したリファレンスクロック信号の間で、周波数ずれを測定する。そして、周波数ずれが許容範囲内か許容範囲外かを判断する。
【0104】
(ステップS14)検出部144nは、周波数ずれが許容範囲内か否かに応じて、発振器142nのクロック信号が周波数OKか判断する。周波数OKになった場合、処理をステップS16に進める。周波数OKにならない場合、処理をステップS15に進める。
【0105】
(ステップS15)判定部145nは、電源ONが検出されてから所定時間経過したか判断する。経過した場合、処理をステップS19に進める。経過していない場合、処理をステップS13に進める。
【0106】
(ステップS16)判定部145nは、発振器142nのウォームアップが完了し正常に動作していると判定する。すなわち、状態が遷移する。判定部145nは、遷移後の状態に応じて、システムクロックSEL信号の出力や状態表示を行う。
【0107】
(ステップS17)測定部143nは、発振器142nが生成したクロック信号とリファレンスクロック信号の間で、周波数ずれを測定する。そして、周波数ずれが許容範囲内か許容範囲外かを判断する。
【0108】
(ステップS18)検出部144nは、周波数ずれが許容範囲内か否かに応じて、発振器142nのクロック信号が周波数OKか判断する。周波数OKである場合、処理をステップS17に進める。周波数NGになった場合、処理をステップS19に進める。
【0109】
(ステップS19)判定部145nは、発振器142nに異常があると判定する。すなわち、状態が遷移する。判定部145nは、遷移後の状態に応じて、システムクロックSEL信号の出力や状態表示を行う。
【0110】
(ステップS20)測定部143nは、発振器142nが生成したクロック信号とリファレンスクロック信号の間で、周波数ずれを測定する。そして、周波数ずれが許容範囲内か許容範囲外かを判断する。
【0111】
(ステップS21)検出部144nは、周波数ずれが許容範囲内か否かに応じて、発振器142nのクロック信号が周波数OKか判断する。周波数OKになった場合、処理をステップS16に進める。周波数NGである場合、処理をステップS20に進める。
【0112】
このように、判定部145nは、電源ONが検出されてから最初に周波数OKになるまでの間は、発振器142nのウォームアップ中と判断する。そして、ウォームアップ完了後は、周波数NGになると異常があると判断し、周波数OKに戻ると異常が解消したと判断する。ただし、電源ONから所定時間以内に周波数OKにならない場合には、異常があると判断する。なお、N系・E系の両方が異常と判断されたときは、リファレンスクロック信号の異常を疑う。
【0113】
このような第2の実施の形態の無線基地局10によれば、周波数ずれの測定結果に基づいて、発振器142n,142eのウォーアップが完了したタイミングを判断することができる。このため、一定時間をウォームアップ時間と見なす方法と比べて、過剰な待ち時間を抑制することができる。また、伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を用いて周波数ずれを測定するため、周波数ずれ測定のために他の発振器をクロック供給部14n,14eに搭載しなくてもよく、装置規模を抑制できる。
【0114】
また、判定部145n,145eは、周波数ずれに関するイベントと電力供給状況に関するイベントをトリガとする状態遷移を管理し、ウォームアップの完了と異常の発生とを一体的に管理している。これにより、ウォームアップ制御とN系・E系の切り替え制御との間の整合性をとることができ、適切なクロック供給制御を実現できる。
【符号の説明】
【0115】
1 クロック供給装置
1a 発振器
1b 測定部
1c 判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給装置であって、
前記クロック信号を生成する発振器と、
前記通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、前記クロック信号と前記リファレンスクロック信号との周波数ずれを測定する測定部と、
前記周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、前記発振器のウォームアップが完了したか否か判定する判定部と、
を有することを特徴とするクロック供給装置。
【請求項2】
前記判定部は、電力供給が開始されてから最初に前記測定結果が所定の許容条件を満たしたとき、ウォームアップが完了したと判定することを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項3】
前記判定部は、電力供給が開始されてから所定時間経過するまでに前記測定結果が所定の許容条件を満たさないとき、異常状態と判定することを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項4】
前記判定部は、ウォームアップが完了したと判定した後、前記測定結果が所定の許容条件を満たさなくなったとき、異常状態と判定することを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項5】
前記発振器は、電力供給が開始されると、前記クロック供給装置の外部へ前記クロック信号の出力を開始し、
前記判定部は、ウォームアップが完了したと判定した後、前記クロック信号が使用可能であることを示す信号を前記クロック供給装置の外部へ出力する、
ことを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項6】
通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給装置であって、
第1のクロック信号を生成する第1の発振器と、
第2のクロック信号を生成する第2の発振器と、
前記通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、前記第1のクロック信号と前記リファレンスクロック信号との第1の周波数ずれを測定する第1の測定部と、
前記リファレンスクロック信号を取得し、前記第2のクロック信号と前記リファレンスクロック信号との第2の周波数ずれを測定する第2の測定部と、
前記第1および第2の周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、前記第1および第2の発振器のウォームアップが完了したか否か判定し、何れの発振器が生成したクロック信号を使用可能とするか制御する判定部と、
を有することを特徴とするクロック供給装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記第1および第2の発振器それぞれについてウォームアップが完了したか否かおよび異常が検出されたか否か判定し、前記第1および第2の発振器の判定結果の組み合わせに基づいて、使用可能なクロック信号を制御することを特徴とする請求項6記載のクロック供給装置。
【請求項8】
前記判定部は、使用可能なクロック信号を示す信号を前記クロック供給装置の外部へ出力することを特徴とする請求項6記載のクロック供給装置。
【請求項9】
通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給方法であって、
発振器を用いて前記クロック信号を生成し、
前記通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、前記クロック信号と前記リファレンスクロック信号との周波数ずれを測定し、
前記周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、前記発振器のウォームアップが完了したか否か判定する、
ことを特徴とするクロック供給方法。
【請求項1】
通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給装置であって、
前記クロック信号を生成する発振器と、
前記通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、前記クロック信号と前記リファレンスクロック信号との周波数ずれを測定する測定部と、
前記周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、前記発振器のウォームアップが完了したか否か判定する判定部と、
を有することを特徴とするクロック供給装置。
【請求項2】
前記判定部は、電力供給が開始されてから最初に前記測定結果が所定の許容条件を満たしたとき、ウォームアップが完了したと判定することを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項3】
前記判定部は、電力供給が開始されてから所定時間経過するまでに前記測定結果が所定の許容条件を満たさないとき、異常状態と判定することを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項4】
前記判定部は、ウォームアップが完了したと判定した後、前記測定結果が所定の許容条件を満たさなくなったとき、異常状態と判定することを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項5】
前記発振器は、電力供給が開始されると、前記クロック供給装置の外部へ前記クロック信号の出力を開始し、
前記判定部は、ウォームアップが完了したと判定した後、前記クロック信号が使用可能であることを示す信号を前記クロック供給装置の外部へ出力する、
ことを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項6】
通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給装置であって、
第1のクロック信号を生成する第1の発振器と、
第2のクロック信号を生成する第2の発振器と、
前記通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、前記第1のクロック信号と前記リファレンスクロック信号との第1の周波数ずれを測定する第1の測定部と、
前記リファレンスクロック信号を取得し、前記第2のクロック信号と前記リファレンスクロック信号との第2の周波数ずれを測定する第2の測定部と、
前記第1および第2の周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、前記第1および第2の発振器のウォームアップが完了したか否か判定し、何れの発振器が生成したクロック信号を使用可能とするか制御する判定部と、
を有することを特徴とするクロック供給装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記第1および第2の発振器それぞれについてウォームアップが完了したか否かおよび異常が検出されたか否か判定し、前記第1および第2の発振器の判定結果の組み合わせに基づいて、使用可能なクロック信号を制御することを特徴とする請求項6記載のクロック供給装置。
【請求項8】
前記判定部は、使用可能なクロック信号を示す信号を前記クロック供給装置の外部へ出力することを特徴とする請求項6記載のクロック供給装置。
【請求項9】
通信装置内の処理に用いられるクロック信号を供給するクロック供給方法であって、
発振器を用いて前記クロック信号を生成し、
前記通信装置に接続された伝送路から抽出されたリファレンスクロック信号を取得し、前記クロック信号と前記リファレンスクロック信号との周波数ずれを測定し、
前記周波数ずれの測定結果と電力供給の状況とに基づいて、前記発振器のウォームアップが完了したか否か判定する、
ことを特徴とするクロック供給方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−39580(P2012−39580A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180684(P2010−180684)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]