説明

クロック再生装置

【課題】高速で安定したクロックを再生できるクロック再生装置を提供すること。
【解決手段】受信データからデータ受信用の再生クロックを得るクロック再生装置において、前記受信データから不連続を含む再生クロックを生成する再生クロック生成部と、この再生クロック生成部から出力される再生クロックを所定時間逓倍する再生クロック逓倍部とを有し、前記再生クロック生成部から出力された不連続を含む再生クロック信号を前記再生クロック逓倍部で演算し、連続した再生クロックを得ることを特徴とするクロック再生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック再生装置に関し、詳しくは、高速デジタル通信に有用なクロック再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル信号の送受信にあたっては、受信側で各データビットを正しいタイミングで判定する必要がある。そこで、たとえば高速シリアル伝送では、データ信号にタイミング情報を重畳して送信し、受信側ではデータ信号のエッジを検出して内部の基準クロックの位相を調整することにより、タイミング情報に基づくクロックを再生することが行われている。
【0003】
図14は、このようなクロック再生装置の従来の構成例を示すブロック図である。図14のクロック再生装置は、受信データD1がリセット端(Reset)に入力される発振器1と、この発振器1に対して並列に設けられ、受信データD1の論理をインバータ回路3で反転したデータがリセット端に入力される発振器2とを備える。発振器1は、受信データD1が「H」レベルの場合には出力端から所定の周波数の信号を出力し、「L」レベルの場合には発振を停止する。これに対し、発振器2は、受信データD1が「H」レベルの場合には発振を停止し、「L」レベルの場合には出力端から所定の周波数の信号を出力する。
【0004】
発振器1,2の出力端は、OR回路4の入力端にそれぞれ接続されている。OR回路4は、発振器1,2の出力端から出力される信号の論理和を演算する。この演算結果が受信データD1と同期した再生クロックCK1になる。また、受信データD1はDフリップフロップ(DFF)5のD入力端に入力され、再生クロックCK1はDフリップフロップ5のクロック端に入力されている。このDフリップフロップ5の出力が再生データD2となる。周波数制御部6は、発振器1,2の各々の出力端から出力される信号と参照クロックRC1とを入力としており、これらの入力信号に基づいて発振器1,2の発振周波数を制御する。具体的には、発振器1,2の各々から出力される信号の周波数を一致させる制御を行っている。
【0005】
図15は、従来のクロック再生装置の他の構成例を示すブロック図である。図15のクロック再生装置は、分周器7、再生クロック生成部8、逓倍器9およびDフリップフロップ(DFF)5を備えており、入力される受信データD1から再生クロックCK1を得るとともに再生データD2を得るものである。
【0006】
分周器7は、再生クロック生成部8の前段に設けられており、受信データD1を所定の分周比N(Nは1以上の整数)で分周する。再生クロック生成部8は、発振器1(第1発振器)、発振器2(第2発振器)、及び周波数制御部6を備えており、分周器7を介した受信データD1から再生クロックを生成する。
【0007】
発振器1は、受信データD1のレベルが所定のレベルである場合に、受信データD1に同期した所定周波数の信号S1(第1信号)を出力する。発振器2は、発振器1に直列に接続されており、発振器1から出力される信号S1のレベルが所定のレベルである場合に、その信号S1に同期した所定周波数の信号S2(第2信号)を出力する。
【0008】
図16は、これら発振器1,2の構成例を示す回路図である。発振器1,2は、AND回路11、バッファ回路12、奇数個のインバータ回路12a〜12nおよびインバータ回路13を備える。AND回路11の一方の入力端T1は発振器1,22のリセット端(Reset)に相当する。AND回路11の出力端にはバッファ回路12が接続され、バッファ回路12の出力端にはインバータ回路12a〜12nが縦続接続されている。インバータ回路12a〜12nのうちの最終段のインバータ回路12nの出力端がAND回路11の他方の入力端に接続され、リセット付きリング発振器が構成されている。
【0009】
特許文献1は、安定化した高速動作が可能なクロック再生装置に関するものである。
【0010】
【特許文献1】特開2008−211742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、図14のクロック再生装置では、ハーフレートの発振周波数の発振器でクロックを再生すると、片側の発振器出力は「H」の状態で止まって再生クロック出力は「H」となる。その後入力データが交番すると、停止側だった発振器が発振動作するため、再生クロック出力は「H」となる。再生クロックは「H」が連続するため不連続となり、正常な再生クロックが得られないという問題がある。
【0012】
また、図15のクロック再生装置では、ハーフレートクロックの発振器でクロックを再生する場合、データ1bitはハーフレートクロックの1/2周期に相当する。入力データの1連が偶数個であった場合に、前段発振器の出力は「L」で止まるため後段発振器の出力は「H」で止まる。その後入力データが「L」に交番すると前段発振器は停止状態となり、その出力は「L」となる。後段発振器は発振動作となるため出力は「H」となり、出力は「H」が連続する。再生クロックは不連続となり、ハーフレートの発振器では正常な動作が得られないという問題もある。
【0013】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、高速で安定したクロックを再生できるクロック再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような目的を達成するために、本発明の請求項1は、
受信データからデータ受信用の再生クロックを得るクロック再生装置において、
前記受信データから不連続を含む再生クロックを生成する再生クロック生成部と、
この再生クロック生成部から出力される再生クロックを所定時間逓倍する再生クロック逓倍部とを有し、
前記再生クロック生成部から出力された不連続を含む再生クロック信号を前記再生クロック逓倍部で演算し、連続した再生クロックを得ることを特徴とするクロック再生装置である。
【0015】
請求項2は、請求項1記載のクロック再生装置において、
前記再生クロック生成部は、
前記受信データのレベルが所定のレベルである場合に、前記受信データに同期した所定周波数の第1信号を出力する第1発振器と、
この第1の発振器からの出力信号を反転させるインバータ回路と、
前記第1発振器に直列に接続され、前記第1信号のレベルが所定のレベルである場合に、前記第1信号に同期した所定周波数の第2信号を出力する第2発振器と
を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3は、請求項1または2記載のクロック再生装置において、
前記再生クロック逓倍部は、
前記再生クロック生成部から出力された信号を所定時間遅延させる遅延部と、
この遅延部によって遅延された信号と前記再生クロック生成部から出力された信号を演算する論理演算器と
を有することを特徴とする。
【0017】
請求項4は、請求項3記載のクロック再生装置において、
前記論理演算器は、OR、AND、EXOR、あるいはEXNORであることを特徴とする。
【0018】
請求項5は、請求項1〜4のいずれかに記載のクロック再生装置において、
前記再生クロック逓倍部は、
不連続の再生クロックを逓倍した信号と、この信号を1bit位相遅延した信号とのORまたはANDを取り、連続の再生クロックを得ることを特徴とする。
【0019】
請求項6は、請求項1〜4のいずれかに記載のクロック再生装置において、
前記再生クロック逓倍部は、
不連続な再生クロックを逓倍した信号と、不連続な再生クロックとを1bit遅延して前記不連続な再生クロックを逓倍した信号のORまたはANDを取り、連続の再生クロックを得ることを特徴とする。
【0020】
請求項7は、請求項1〜4のいずれかに記載のクロック再生装置において、
前記再生クロック逓倍部は、
不連続な再生クロックを1bit遅延した信号の反転信号と、前記不連続な再生クロックをさらに1/2bit位相遅延した信号とのANDを取り、
このAND信号と、不連続な再生クロックを逓倍した信号とのORを取り、連続の再生クロックを得ることを特徴とする。
【0021】
請求項8は、請求項1〜4のいずれかに記載のクロック再生装置において、
前記再生クロック逓倍部は、
不連続な再生クロックの反転信号と、前記不連続な再生クロックを1/2bit位相遅延した信号とのANDを取り、
このAND信号と、不連続な再生クロックを逓倍した信号を1bit遅延し逓倍した信号のORを取り、連続の再生クロックを得ることを特徴とする。
【0022】
請求項9は、請求項6〜8のいずれかに記載のクロック再生装置において、
前記再生クロック逓倍部は、
前記遅延部により1/2bitずつ遅延した信号を取り出すことを特徴とする。
【0023】
請求項10は、請求項5〜9のいずれかに記載のクロック再生装置において、
前記逓倍は、
遅延していない信号と、1/2bit位相遅延した信号とをEXORあるいはEXNORに入力して得られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
このように構成することにより、高速で安定したクロックを再生できるクロック再生装置が実現できる。
【0025】
また、高速な発振器が必要ないため、技術的な難易度を低くできる。
【0026】
また、高速な同期引き込みができ、パケット長の制限をなくすことができる。
【0027】
また、パケット同期信号、あるいはパケット検出回路を使用しなくてもよい。
【0028】
プリアンブルが不要になることにより、データの伝送効率を改善できる。
【0029】
パケットがない期間においてもクロックを発生(発振)していることにより、システム設計が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を用いて、本発明のクロック再生装置を説明する。図1は本発明の一実施例を示すブロック図である。図1のクロック再生装置は、分周器20、再生クロック生成部21、1/2bit遅延させるフェーズシフタ22、EXOR回路23、1bit遅延させるフェーズシフタ24、OR回路25、及びDフリップフロップ(DFF)26から構成されている。入力される受信データD1から再生クロックCK1を得るとともに再生データD2を得るものである。
【0031】
分周器20は、再生クロック生成部21の前段に設けられており、受信データD1を所定の分周比N(Nは1以上の整数)で分周する。なお、説明を簡単にするために、分周器20の分周比Nは「1」に設定されているとする。再生クロック生成部21は、発振器51(第1発振器)、インバータ回路52、発振器53(第2発振器)、及び周波数制御部54を備えており、分周器20を介して入力される受信データD1に基づき発振器53から出力されるデータを生成する。
【0032】
発振器51は、受信データD1が所定のレベルである場合に、受信データD1に同期した所定周波数の信号を出力する。発振器53は、インバータ回路52を介して発振器53と直列に接続されており、発振器51から出力される信号が所定のレベルである場合に、その信号に同期した所定周波数の信号(第2信号)を出力する。なお、これらの発振器51,53は、ハーフレートの発振器として構成されている。発振器53から出力される信号が、1/2bit遅延させるフェーズシフタ22、EXOR回路23、1bit遅延させるフェーズシフタ24およびOR回路25で構成される逓倍器で逓倍されることにより、再生クロックCK1が生成される。
【0033】
図2は、発振器51,53の構成を示す回路図である。発振器51,53は、AND回路510、バッファ回路511および奇数個のインバータ回路512a〜512nを備えている。AND回路510の一方の入力端は発振器51,53のリセット端(Reset)に相当する。このAND回路510の出力端にはバッファ回路511が接続され、バッファ回路511の出力端にはインバータ回路512a〜512nが縦続接続されている。インバータ回路512a〜512nのうちの最終段のインバータ回路512nの出力端がAND回路510の他方の入力端に接続されている。これにより、リセット付きリング発振器が構成されている。
【0034】
また、インバータ回路512nの出力端は端子Outputに接続されていて、この端子Outputは発振器51,53の出力端Outputに相当する。さらに、リング発振器の一部を構成するバッファ回路511及びインバータ回路512a〜512nは端子FCに接続されている。この端子FCは、周波数制御部54からの周波数制御信号が入力される発振器51,53の周波数制御信号入力端Cに相当するものである。
【0035】
発振器51,53は、端子Resetに「H」レベルの信号が入力されると、AND回路510が開状態になってインバータ回路512nの出力端とバッファ回路511の入力端とが電気的に接続されてリング発振器が発振状態になる。これにより、インバータ回路512a〜512nの段数に応じた周波数を有する信号が端子Outputから出力される。これに対し、端子Resetに「L」レベルの信号が入力されると、AND回路510が閉状態になってインバータ回路512nの出力端とバッファ回路511の入力端とが電気的に分離されてリング発振器の発振が停止する。
【0036】
発振器53と発振器51の出力信号は等しい周波数に設定されている。なお、ここでいう「等しい周波数」とは、発振器51、53のそれぞれの信号の周波数が完全一致する場合のみを意味するのではく、回路誤差などに起因する多少の誤差は許容される意である。また、これら発振器53と発振器51の出力信号の周波数は、少なくとも受信データD1の周波数を分周器20の分周比で除算して得られる周波数以上に設定される。
【0037】
再び図1において、分周器20の出力端は発振器51のInput端に接続され、発振器51の出力端子Outputはインバータ回路52を介して発振器53の入力端子Inputに接続されている。つまり、発振器51は分周器20を介して入力される受信データD1により発振状態が制御され、発振器53は発振器51から出力される信号によって発振状態が制御されるものであり、カスケードタイプのクロック再生装置を構成している。
【0038】
周波数制御部54にはOR回路25の出力信号と外部からの参照クロックRCが入力され、これらの入力信号に基づき発振器51,53の各々から出力される信号の周波数を一致させるように制御する。このような制御により、温度変動で発振器51,53の発振周波数が変化しても、発振器51,53の出力信号の周波数を一致させることができる。
【0039】
発振器53の出力信号が逓倍されて再生クロックCK1となる。また、受信データD1はDフリップフロップ26のData入力端に入力され、再生クロックCK1はDフリップフロップ26のClock端に入力されていて、このDフリップフロップ26の出力が再生データD2となる。
【0040】
図3は、図1のクロック再生装置の動作を説明するタイミングチャートである。なお、図3に示す信号s1は受信データD1を、信号s2は発振器51の出力信号を、信号s3は発信器53の出力信号を、信号s4は信号s3を1/2bit遅延させた信号を、信号s5は信号s3と信号s4のEXNORを取った信号を、信号s6は信号s5の位相を1bit遅らせた信号を、信号s7は信号s5と信号s6をORした信号を示している。
【0041】
受信データD1は分周器20を介して再生クロック生成部21に設けられた発振器51のInput端に入力される。なお、本実施形態では、分周器20の分周比Nが「1」に設定されているため、図3に示す受信データD1がそのまま発振器51のInput端に入力される。
【0042】
発振器51のInput端に入力される受信データD1が「H」レベルの場合には、図2に示すAND回路510が開状態になってインバータ回路512nの出力端とバッファ回路511の入力端とが電気的に接続されてリング発振器が発振状態になる。これにより、インバータ回路512a〜512nの段数に応じた周波数を有する信号が発振器51のOutput端から出力され、インバータ回路52で、その論理を反転した信号が発振器53のInput端に入力される。
【0043】
図3において、受信データD1は時刻t1〜t3の各々において立ち上がり、時刻t1,t3の立ち上がりでは1/2周期の期間、時刻t2の立ち上がりでは3/2周期の期間だけ「H」レベルが維持される。このため、発振器51のOutput端からは、時刻t1,t3の立ち上がりから1/2周期の期間、時刻t2の立ち上がりでは3/2周期の期間のそれぞれの期間において、信号s2が出力される。なお、この信号s2は、時刻t1〜t3のそれぞれにおいて受信データに同期した正のパルス状の信号である。
【0044】
一方、発振器51のInput端に入力される受信データD1が「L」レベルの場合には、図2に示すAND回路が閉状態になってインバータ回路512nの出力端とバッファ回路511の入力端とが電気的に分離されてリング発振器は発振停止状態になる。このため、発振器51のOutput端から信号s2は出力されず、信号s2のレベルは「L」に維持される。
【0045】
発振器51のOutput端から出力された信号s2は、インバータ回路52で、その論理を反転した信号が発振器53のInput端に入力される。発振器53のInput端に入力される信号が「L」レベルである場合には、図2に示すAND回路510が閉状態になってインバータ回路512nの出力端とバッファ回路511の入力端とが電気的に分離されてリング発振器は発振停止状態になる。このため、信号s2が「H」レベルから「L」レベルに立ち下がると、この立ち下がりに同期して信号s3は「L」レベルになる。
【0046】
信号s2がインバータ回路52で反転されると、時刻t1〜t3のそれぞれにおいて立ち下がり、時刻t2から信号s2の反転信号の1周期分の時間が経過した時点においても立ち下がる。このため、発振器51のOutput端から出力される信号s2の反転信号は、これらの立ち下がりのそれぞれの時点において「H」レベルから「L」レベルに立ち下がる。
【0047】
一方、発振器53のInput端に入力される信号s2の反転信号が「H」レベルの場合には、図2に示すAND回路510が開状態になってインバータ回路512nの出力端とバッファ回路511の入力端とが電気的に接続されてリング発振器が発振状態になる。これにより、インバータ回路512a〜512nの段数に応じた周波数を有する信号s3がOutput端から出力される。
【0048】
図3において、発振器53のInput端に入力される信号s2の反転信号が「L」レベルから「H」レベルに立ち上がる度に発振器53のリング発振器が発振状態になり、Output端から出力される信号s3はこれらの立ち上がりのそれぞれの時点において「L」レベルから「H」レベルに立ち上がる。信号s2の反転信号が「H」レベルに維持される間はリング発振器が発振状態にあるため、発振器53のOutput端からは信号s3が継続して出力される。
【0049】
このようにして、発振器53のOutput端から、信号s2の反転信号の立ち上がりおよび立ち下がりにそれぞれ同期して連続する信号s3が出力される。
【0050】
また、信号s3がフェーズシフタ22に入力されると1/2bit遅延させられ、信号s4が出力される。この信号s4と信号s3がEXOR回路23に入力されると、信号s5が出力される。この信号s5がフェーズシフタ24に入力されると1bit遅延させられ、信号s6が出力される。この信号s6と信号s5がOR回路25に入力されると、信号s7、すなわち再生クロックCK1が出力される。つまり、信号s3は、論理回路のEXOR回路23、OR回路25およびフェーズシフタ22、24からなる逓倍器を介して再生クロックCK1として出力される。
【0051】
また、受信データD1はDフリップフロップ26のData端に入力され、再生クロックCK1はDフリップフロップ26のClock端に入力される。再生クロックCK1が入力される度にData端に入力される受信データD1が出力され、これにより再生データD2が得られる。
【0052】
図4は本発明の他の実施例を示すクロック再生装置のブロック図であり、図1と共通する部分には同一の符号を付けている。図4の再生クロック生成部21は、図5の波形図に示すように信号s3を出力している。信号s3がフェーズシフタ22に入力されると1/2bit遅延させられ、信号s4が出力される。この信号s4と信号s3がEXNOR回路28に入力されると、信号s5が出力される。この信号s5がフェーズシフタ24に入力されると1bit遅延させられ、信号s6が出力される。この信号s6と信号s5がAND回路28に入力されると、信号s7、すなわち再生クロックCK1が出力される。つまり、信号s3は、論理回路のEXNOR回路27、AND回路28およびフェーズシフタ22、24からなる逓倍器を介して再生クロックCK1として出力される。
【0053】
また、受信データD1はDフリップフロップ26のData端に入力され、再生クロックCK1はDフリップフロップ26のClock端に入力される。再生クロックCK1が入力される度にData端に入力される受信データD1が出力され、これにより再生データD2が得られる。
【0054】
図6も本発明の他の実施例を示すクロック再生装置のブロック図であり、図1と共通する部分には同一の符号を付けている。図6の再生クロック生成部21は、図7の波形図に示すように信号s3を出力している。信号s3がフェーズシフタ22aに入力されると1/2bit遅延させられ、信号s4が出力される。この信号s4と信号s3がEXOR回路23aに入力されると、信号s7が出力される。
【0055】
また、信号s3がフェーズシフタ24に入力されると1bit遅延させられ、信号s5が出力される。この信号s5がさらにフェーズシフタ22bに入力されると1/2bit遅延させられ、信号s6が出力される。この信号s6と信号s5がEXOR回路23bに入力されると、信号s8が出力される。この信号s8と信号s7がOR回路25に入力されると、信号s9、すなわち再生クロックCK1が出力される。
【0056】
つまり、信号s3は、論理回路のEXOR回路23a、23b、OR回路25およびフェーズシフタ22a、22b、24からなる逓倍器を介して再生クロックCK1として出力される。
【0057】
また、受信データD1はDフリップフロップ26のData端に入力され、再生クロックCK1はDフリップフロップ26のClock端に入力される。再生クロックCK1が入力される度にData端に入力される受信データD1が出力され、これにより再生データD2が得られる。
【0058】
図8も本発明の他の実施例を示すクロック再生装置のブロック図であり、図1と共通する部分には同一の符号を付けている。図8の再生クロック生成部21は、図9の波形図に示すように信号s3を出力している。信号s3がフェーズシフタ22aに入力されると1/2bit遅延させられ、信号s4が出力される。この信号s4と信号s3がEXNOR回路37に入力されると、信号s7が出力される。
【0059】
また、信号s3がフェーズシフタ24に入力されると1bit遅延させられ、信号s5が出力される。この信号s5がさらにフェーズシフタ24に入力されると1/2bit遅延させられ、信号s6が出力される。この信号s6と信号s5がEXNOR回路27aに入力されると、信号s8が出力される。この信号s8と信号s7がAND回路28に入力されると、信号s9、すなわち再生クロックCK1が出力される。
【0060】
つまり、信号s3は、論理回路のEXNOR回路27a、27b、AND回路28およびフェーズシフタ22a、22b、24からなる逓倍器を介して再生クロックCK1として出力される。
【0061】
また、受信データD1はDフリップフロップ26のData端に入力され、再生クロックCK1はDフリップフロップ26のClock端に入力される。再生クロックCK1が入力される度にData端に入力される受信データD1が出力され、これにより再生データD2が得られる。
【0062】
図10も本発明の他の実施例を示すクロック再生装置のブロック図であり、図1と共通する部分には同一の符号を付けている。図10の再生クロック生成部21は、図11の波形図に示すように信号s3を出力している。信号s3がフェーズシフタ22aに入力されると1/2bit遅延させられ、信号s4が出力される。この信号s4と信号s3がEXOR回路23に入力されると、信号s7が出力される。
【0063】
また、信号s3がフェーズシフタ24に入力されると1bit遅延させられ、信号s5が出力される。この信号s5がさらにフェーズシフタ22bに入力されると1/2bit遅延させられ、信号s6が出力される。この信号s6と信号s5の反転信号がAND回路29に入力されると、信号s8が出力される。この信号s8と信号s7がOR回路25に入力されると、信号s9、すなわち再生クロックCK1が出力される。
【0064】
つまり、信号s3は、論理回路のEXOR回路23、AND回路29、OR回路25およびフェーズシフタ22a、22b、24からなる逓倍器を介して再生クロックCK1として出力される。
【0065】
また、受信データD1はDフリップフロップ26のData端に入力され、再生クロックCK1はDフリップフロップ26のClock端に入力される。再生クロックCK1が入力される度にData端に入力される受信データD1が出力され、これにより再生データD2が得られる。
【0066】
図12も本発明の他の実施例を示すクロック再生装置のブロック図であり、図1と共通する部分には同一の符号を付けている。図12の再生クロック生成部21は、図13の波形図に示すように信号s3を出力している。信号s3がフェーズシフタ22aに入力されると1/2bit遅延させられ、信号s4が出力される。この信号s4の反転信号と信号s3がAND回路29に入力されると、信号s7が出力される。
【0067】
また、信号s3がフェーズシフタ24に入力されると1bit遅延させられ、信号s5が出力される。この信号s5がさらにフェーズシフタ22bに入力されると1/2bit遅延させられ、信号s6が出力される。この信号s6と信号s5の反転信号がEXOR回路23に入力されると、信号s8が出力される。この信号s8と信号s7がOR回路25に入力されると、信号s9、すなわち再生クロックCK1が出力される。
【0068】
つまり、信号s3は、論理回路のAND回路29、EXOR回路23、OR回路25およびフェーズシフタ22a、22b、24からなる逓倍器を介して再生クロックCK1として出力される。
【0069】
また、受信データD1はDフリップフロップ26のData端に入力され、再生クロックCK1はDフリップフロップ26のClock端に入力される。再生クロックCK1が入力される度にData端に入力される受信データD1が出力され、これにより再生データD2が得られる。
【0070】
本発明のクロック再生装置は、カスケードタイプであり、前段の発振器51の出力を受けて後段の発振器53が動作する構造となっている。発振器51の出力信号は”H”の状態が連続することはないため、発振器53の停止期間は1bitを超えることはない。また、クロックが不連続となるのは必ず2bit分の期間となるため、上記の構成で連続クロックを作り出すことができる。
【0071】
また、上記の構成における位相シフトは、発振器と同構造の遅延バッファで与えられ、発振器のPLLと同じ制御信号が与えられることを特徴とし、温度や電源電圧などの変動に対し、発振器と同じ遅延時間に保たれる。
【0072】
また、遅延バッファの段数は、1/2bitの位相を遅延させる遅延バッファは発振器の半分、1bitの位相を遅延させる遅延バッファは発振器と同数となる。また、位相シフトは、配線長による遅延を利用した位相シフタなどでもよい。
【0073】
ハーフレートの発振器51,53によりクロックを再生でき、またより高速なバーストデータから安定したクロックを再生できるクロック再生装置が実現できる。
【0074】
また、高速な発振器が必要ないため、技術的な難易度を低くできる。
【0075】
また、高速な同期引き込みができ、パケット長の制限をなくすことができる。
【0076】
また、パケット同期信号、あるいはパケット検出回路を使用しなくてもよい。
【0077】
プリアンブルが不要になることにより、データの伝送効率を改善できる。
【0078】
パケットがない期間においてもクロックを発生(発振)していることにより、システム設計が容易にできる。
【0079】
以上説明したように、本発明によれば、高速で安定したクロックを再生できるクロック再生装置が実現でき、高速デジタル通信などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の発振器51,53の構成を示す回路図である。
【図3】図1の波形図である。
【図4】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図5】図4の波形図である。
【図6】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図7】図6の波形図である。
【図8】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図9】図8の波形図である。
【図10】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図11】図10の波形図である。
【図12】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図13】図12の波形図である。
【図14】従来のクロック再生装置の構成を示すブロック図である。
【図15】従来のクロック再生装置の構成を示すブロック図である。
【図16】従来の発振器1,2の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0081】
1 発振器
2 発振器
3 インバータ回路
4 OR回路
5 DFF
6 周波数制御部
7 分周器
8 再生クロック生成部
9 逓倍器
11 AND回路
12 バッファ回路
12a〜n、13 インバータ回路
20 分周器
21 再生クロック生成部
22 フェーズシフタ
23 EXOR回路
24 フェーズシフタ
25 OR回路
26 DFF
27 EXNOR回路
28 AND回路
29 AND回路
51、53 発振器
52 インバータ回路
54 周波数制御部
510 AND回路
511 バッファ回路
512a〜n インバータ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信データからデータ受信用の再生クロックを得るクロック再生装置において、
前記受信データから不連続を含む再生クロックを生成する再生クロック生成部と、
この再生クロック生成部から出力される再生クロックを所定時間逓倍する再生クロック逓倍部とを有し、
前記再生クロック生成部から出力された不連続を含む再生クロック信号を前記再生クロック逓倍部で演算し、連続した再生クロックを得ることを特徴とする再生クロック装置。
【請求項2】
前記再生クロック生成部は、
前記受信データのレベルが所定のレベルである場合に、前記受信データに同期した所定周波数の第1信号を出力する第1発振器と、
この第1の発振器からの出力信号を反転させるインバータ回路と、
前記第1発振器に直列に接続され、前記第1信号のレベルが所定のレベルである場合に、前記第1信号に同期した所定周波数の第2信号を出力する第2発振器と
を有することを特徴とする請求項1記載のクロック再生装置。
【請求項3】
前記再生クロック逓倍部は、
前記再生クロック生成部から出力された信号を所定時間遅延させる遅延部と、
この遅延部によって遅延された信号と前記再生クロック生成部から出力された信号を演算する論理演算器と
を有することを特徴とする請求項1または2記載のクロック再生装置。
【請求項4】
前記論理演算器は、OR、AND、EXOR、あるいはEXNORであることを特徴とする請求項3記載のクロック再生装置。
【請求項5】
前記再生クロック逓倍部は、
不連続の再生クロックを逓倍した信号と、この信号を1bit位相遅延した信号とのORまたはANDを取り、連続の再生クロックを得ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクロック再生装置。
【請求項6】
前記再生クロック逓倍部は、
不連続な再生クロックを逓倍した信号と、不連続な再生クロックとを1bit遅延して前記不連続な再生クロックを逓倍した信号のORまたはANDを取り、連続の再生クロックを得ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクロック再生装置。
【請求項7】
前記再生クロック逓倍部は、
不連続な再生クロックを1bit遅延した信号の反転信号と、前記不連続な再生クロックをさらに1/2bit位相遅延した信号とのANDを取り、
このAND信号と、不連続な再生クロックを逓倍した信号とのORを取り、連続の再生クロックを得ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクロック再生装置。
【請求項8】
前記再生クロック逓倍部は、
不連続な再生クロックの反転信号と、前記不連続な再生クロックを1/2bit位相遅延した信号とのANDを取り、
このAND信号と、不連続な再生クロックを逓倍した信号を1bit遅延し逓倍した信号のORを取り、連続の再生クロックを得ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクロック再生装置。
【請求項9】
前記再生クロック逓倍部は、
前記遅延部により1/2bitずつ遅延した信号を取り出すことを特徴とする請求項6〜8のいずれか記載のクロック再生装置。
【請求項10】
前記逓倍は、
遅延していない信号と、1/2bit位相遅延した信号とをEXORあるいはEXNORに入力して得られることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の再生クロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−103789(P2010−103789A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273786(P2008−273786)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】