説明

クロック発生装置

【課題】広い温度範囲で高精度なクロック信号を出力可能な、安価でかつコンパクトなサイズのクロック発生装置を提供する。
【解決手段】クロック発生装置は、基準クロック信号を生成する基準クロック生成部11と、第1のクロック信号を生成する第1の発振器12と、前記第1のクロック信号を前記基準クロック信号と同周波数、同位相となるように補正した第2のクロック信号を生成する第1の精度保証部13と、温度検知部15と、第3のクロック信号を生成する第2の発振器17と、前記第3のクロック信号を前記基準クロック信号と同周波数、同位相となるように補正した第4のクロック信号を生成する第2の精度保証部18と、温度が第1の発振器12の保証温度範囲内の場合には前記第2のクロック信号、保証温度範囲外の場合には前記第4のクロック信号を出力するクロック切替部20と備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度に応じてクロック信号を切り替えて出力するクロック発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の無線基地局では、データ通信時に隣接する無線基地局との干渉を低減するために、各基地局はクロック発生装置を備え、基地局間でデータの送信タイミングの同期をとっている。データ通信速度が高速になるにつれて高い同期精度が要求されるため、クロック発生装置には高精度なクロック信号を供給可能なOCXO(恒温槽付水晶発振器:Oven Controlled Crystal Oscillator)が実装されている。
【0003】
OCXOには、恒温槽内の温度を目標温度に安定させるまでの時間を短縮することが可能なものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、基準発振器及びOCXO等の高精度発振器を使用し、高精度発振器を基準に出力用クロック信号の精度を高めるクロック信号出力装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−259345号公報
【特許文献2】再表2006/090831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、低温環境や高温環境でも確実に高精度なクロック信号を発生させるには、動作が保証されている温度範囲(以下、保証温度範囲という)が広いOCXOを使用する必要があり、このようなOCXOは非常に高価であるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載のOCXOや特許文献2に記載のクロック信号出力装置を実装したとしても、保証温度範囲を広くすることは困難であり、基地局内部の雰囲気温度がOCXOの保証温度範囲を越えないように基地局を設計しなければならなかった。例えば、OCXOの雰囲気温度からの影響を極力小さくするために、オーブン部分を2重化したり、高熱部分を分離して別の筐体内に収め、OCXOを隔離したりしていた。そのため、基地局全体の構造が複雑となり、コスト及びサイズが増加するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記問題を解決するため、広い温度範囲で高精度なクロック信号を出力可能な、安価でかつコンパクトなサイズのクロック発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るクロック発生装置は、基準クロック信号を生成する基準クロック生成部と、第1の保証温度範囲において動作が保証された、第1のクロック信号を生成する第1の発振器(OCXO)と、前記第1のクロック信号を、前記基準クロック信号と同じ周波数、同じ位相となるように補正した第2のクロック信号(OCXO_clk信号)を生成する第1の精度保証部(OCXO精度保証部)と、当該クロック発生装置近傍の温度を検知する温度検知部と、前記第1の保証温度範囲よりも広い第2の保証温度範囲において動作が保証された、第3のクロック信号を生成する第2の発振器(TCXO)と、前記第3のクロック信号を、前記基準クロック信号と同じ周波数、同じ位相となるように補正した第4のクロック信号(TCXO_clk信号)を生成する第2の精度保証部(TCXO精度保証部)と、前記温度検知部によって取得した温度が、前記第1の保証温度範囲内である場合には前記第2のクロック信号を出力し、前記第1の保証温度範囲外である場合には前記第4のクロック信号を出力するクロック切替部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るクロック発生装置において、補正テーブル生成部を更に備え、前記第1の精度保証部は、前記第1のクロック信号の前記基準クロック信号に対する第1の周波数偏差を検出し、前記第2の精度保証部は、前記第3のクロック信号の前記基準クロック信号に対する第2の周波数偏差を検出し、前記補正テーブル生成部は、前記温度検知部から取得した温度、前記第1の精度保証部から取得した前記第1の周波数偏差、及び前記第2の精度保証部から取得した前記第2の周波数偏差を対応付けた補正テーブルを生成し、前記第1の精度保証部は、ホールドオーバー発生時に前記温度検知部により取得した温度が前記第1の保証温度範囲内である場合には、前記補正テーブルを参照して該取得した温度に対応する第1の周波数偏差を求め、該第1の周波数偏差を補償する補正を施して前記第2のクロック信号を生成し、前記第2の精度保証部は、ホールドオーバー発生時に前記温度検知部により取得した温度が前記第1の保証温度範囲外である場合には、前記補正テーブルを参照して該取得した温度に対応する第2の周波数偏差を求め、該第2の周波数偏差を補償する補正を施して前記第4のクロック信号を生成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るクロック発生装置において、前記第1の精度保証部は、前記第1の周波数偏差を、前記補正テーブルに記憶された、前記取得した温度に最も近い温度に対応付けられた周波数偏差とし、前記第2の精度保証部は、前記第2の周波数偏差を、前記補正テーブルに記憶された、前記取得した温度に最も近い温度に対応付けられた周波数偏差とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るクロック発生装置において、前記第1の精度保証部は、前記第1の周波数偏差を、前記補正テーブルに記憶された複数の周波数偏差の補間演算により求め、前記第2の精度保証部は、前記第2の周波数偏差を、前記補正テーブルに記憶された複数の周波数偏差の補間演算により求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保証温度範囲の広くない安価な発振器を用い、雰囲気温度が該発振器の保証温度範囲外に至った場合には、保証温度範囲の広い発振器に切り替えることにより、広い温度範囲で高精度なクロック信号を出力可能な、安価でかつコンパクトなサイズのクロック発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による一実施形態のクロック発生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による一実施形態のクロック発生装置の補正テーブルの生成動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明による一実施形態のクロック発生装置のクロックの切替動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明による一実施形態のクロック発生装置のホールドオーバー発生時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明によるクロック発生装置の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明による一実施形態のクロック発生装置の構成を示すブロック図である。本実施形態のクロック発生装置1は、基準クロック生成部11と、OCXO12と、OCXO精度保証部13と、時刻取得部14と、温度検知部15と、補正テーブル生成部16と、TCXO(温度保障型水晶発振器:Temperature Compensated Crystal Oscillator)17と、TCXO精度保証部18と、切替タイミング生成部19と、クロック切替部20とを備える。補正テーブル生成部16は、OCXO補正テーブル161と、TCXO補正テーブル162とを備える。
【0016】
基準クロック生成部11は、GPS(Global Positioning System)衛星の電波を受信して基準クロック信号(例えば、1pps信号)を生成し、OCXO精度保証部13及びTCXO精度保証部18に出力する。なお、基準クロック信号は、IEEE1588などのネットワーク制御により生成してもよい。
【0017】
OCXO12は、保証温度範囲は広くない(例えば0℃〜70℃)が、この保証温度範囲内において高精度なクロック信号を出力する恒温槽付水晶発振器である。クロック発生装置1は、GPS衛星からの信号を捕捉できなくなる状態(この状態をホールドオーバーという)が発生してもクロック信号を提供できるように、OCXO12により生成したクロックを使用する。なお、本実施形態ではOCXOを採用しているが、これに限定されるものではなく、定常状態の平均的な使用温度範囲における性能を満足する発振器であればよい。
【0018】
OCXO精度保証部13は、OCXO12から入力されるクロック信号を分周し、基準クロック生成部11から入力される基準クロック信号と同じ周波数、同じ位相となるように、周波数及び位相を補正したOCXO_clk信号を生成し、OCXO_clk信号をクロック切替部20に出力する。また、OCXO精度保証部13は、OCXO12の保証温度範囲での周波数偏差(周波数誤差)を検出し、周波数偏差を補正テーブル生成部16に出力する。
【0019】
時刻取得部14は、例えば、内蔵された時計、GPS衛星から送信されるGPS信号に含まれる時刻データ(UTC時刻)等から時刻を取得し、取得した時刻を補正テーブル生成部16に出力する。
【0020】
温度検知部15は、クロック発生装置1近傍の温度、好適にはOCXO12及びTCXO17近傍の温度を検知し、検知した温度を補正テーブル生成部16、及び切替タイミング生成部19に出力する。温度検知部15は、例えば、接触式の白金測温抵抗体、サーミスタ、熱電対等、又は非接触式の放射温度計等によって構成される。
【0021】
TCXO17は、OCXO12よりも保証温度範囲が広い(例えば−40℃〜85℃)が、OCXO12よりも周波数偏差の大きな温度保障型水晶発振器である。なお、本実施形態ではTCXOを採用しているが、これに限定されるものではなく、通常的に使用される発振器であるOCXO12よりも保証温度範囲の広い発振器であればよい。
【0022】
TCXO精度保証部18は、TCXO17から入力されるクロック信号を分周し、基準クロック生成部11から入力される基準クロック信号と同じ周波数、同じ位相となるように、周波数及び位相を補正したTCXO_clk信号を生成し、TCXO_clk信号をクロック切替部20に出力する。また、TCXO17の保証温度範囲での周波数偏差(周波数誤差)を検出し、周波数偏差を補正テーブル生成部16に出力する。
【0023】
補正テーブル生成部16は、時刻取得部14から入力される時刻、温度検知部15から入力される温度、及びOCXO精度保証部13から入力される周波数偏差を対応付けたOCXO補正テーブル161を生成し、記憶する。同様に、時刻取得部14から入力される時刻、温度検知部15から入力される温度、及びTCXO精度保証部18から入力される周波数偏差を対応付けたTCXO補正テーブル162を生成し、記憶する。
【0024】
切替タイミング生成部19は、温度検知部15から取得した温度がOCXO12の保証温度範囲内であるか否かを判定し、判定結果を示す切替信号をクロック切替部20に出力する。
【0025】
また、切替タイミング生成部19は、温度検知部15から取得した温度がOCXO12の保証温度範囲内であると判定した場合には、消費電力や放射ノイズを抑えるためにTCXO17の発振を停止させ、温度検知部15から取得した温度がOCXO12の保証温度範囲外であると判定した場合にのみTCXO17を発振させるように制御してもよい。
【0026】
クロック切替部20は、切替タイミング生成部19から入力される切替信号に従って、クロック信号の瞬断を発生させることなく、OCXO精度保証部13から入力されるOCXO_clk信号と、TCXO精度保証部18から入力されるTCXO_clk信号とを切り替えて、いずれか一方をクロック信号として出力する。すなわち、クロック切替部20は、切替信号が、温度検知部15から取得した温度がOCXO12の保証温度範囲内であることを示していた場合にはOCXO_clk信号を出力し、OCXO12の保証温度範囲外であることを示していた場合にはTCXO_clk信号を出力する。クロック切替部20は、信号を切り替える際には、位相シフト回路(図示せず)により、OCXO_clk信号とTCXO_clk信号との位相を揃えてから出力する。
【0027】
なお、OCXO補正テーブル161及びTCXO補正テーブル162をまとめて一つの補正テーブルとしてもよく、その場合には、以下の説明における「OCXO補正テーブル161」を「補正テーブル内のOCXO12に関するテーブル」と、「TCXO補正テーブル162」を「補正テーブル内のTCXO17に関するテーブル」と読み替えるものとする。
【0028】
図2は、クロック発生装置1の補正テーブル生成動作を示すフローチャートである。クロック発生装置1は、補正テーブル生成部16により、温度検知部15から温度を取得し(ステップS101)、時刻取得部14から時刻を取得し(ステップS102)、OCXO精度保証部13からOCXO12の周波数偏差を取得し(ステップS103)、これらを対応付けたOCXO補正テーブル161を生成する(ステップS104)。同様に、クロック発生装置1は、補正テーブル生成部16により、時刻取得部14から時刻を取得し(ステップS101)、温度検知部15から温度を取得し(ステップS102)、TCXO精度保証部18からTCXO17の周波数偏差を取得し(ステップS103)、これらを対応付けたTCXO補正テーブル162を生成する(ステップS104)。クロック発生装置1は、このような補正テーブル生成処理を所定の間隔で行う。
【0029】
なお、クロック発生装置1は、ステップS101にて取得した温度がOCXO12の保証温度範囲内である場合にはOCXO補正テーブル161のみを生成し、OCXO12の保証温度範囲外である場合にはTCXO補正テーブル162のみを生成してもよい。下記の表1に、OCXO補正テーブル161の一例を示す。
【0030】
【表1】

【0031】
クロック発生装置1は、過去に近い温度におけるデータを取得している場合には、時刻及び周波数偏差を取得しないようにすることもできるが、周波数偏差はOCXO12、TCXO17の使用時間、使用環境に応じて変化することも考えられるため、最新の周波数偏差を常に更新するのが好適である。クロック発生装置1は、TCXO17の周波数偏差が大きい場合には、同一温度に対して複数回の周波数偏差を取得し、その平均値をTCXO補正テーブル162に記憶するようにしてもよい。
【0032】
図3は、クロック発生装置1のクロックの切替動作を示すフローチャートである。クロック発生装置1は、温度検知部15により、温度を取得する(ステップS201)。そして、切替タイミング生成部19により、ステップS201にて取得した温度がOCXO12の保証温度範囲内であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0033】
クロック発生装置1は、ステップS202にて取得した温度がOCXO12の保証温度範囲内でないと判定した場合には、TCXO精度保証部18によりTCXO_clk信号を生成し(ステップS203)、クロック切替部20によりTCXO_clk信号を出力する(ステップS204)。
【0034】
一方、ステップS202にて取得した温度がOCXO12の保証温度範囲内であると判定した場合には、クロック発生装置1は、クロック切替部20によりOCXO_clk信号を出力する(ステップS205)。クロック発生装置1は、このようなクロックの切替処理を所定の間隔で行う。
【0035】
図4は、クロック発生装置1のホールドオーバー発生時の動作を示すフローチャートである。クロック発生装置1は、基準クロック生成部11により、ホールドオーバーが発生したか否かを検知する(ステップS301)。ホールドオーバーが発生した場合には、温度検知部15により温度を取得する(ステップS302)。
【0036】
ステップS302にて取得した温度がOCXO12の保証温度範囲内である場合には、クロック発生装置1はOCXO精度保証部13により、OCXO補正テーブル161を参照し、取得した温度に対応する周波数偏差を求める(ステップS303)。同様に、ステップS302にて取得した温度がOCXO12の保証温度範囲外である場合には、クロック発生装置1はTCXO精度保証部18により、TCXO補正テーブル162を参照し、取得した温度に対応する周波数偏差を求める(ステップS303)。
【0037】
OCXO_clk信号は、基準クロック生成部11からの基準クロック信号に同期させることができなくなると、ステップS303にて取得した周波数偏差分だけ誤差が生じていると考えられる。そこで、ステップS302にて取得した温度がOCXO12の保証温度範囲内である場合には、クロック発生装置1はOCXO精度保証部13により、ステップS303にて取得した周波数偏差を補償する補正を施したOCXO_clk信号を生成し、クロック切替部20によりクロック信号として出力する(ステップS304)。同様に、ステップS302にて取得した温度がOCXO12の保証温度範囲外である場合には、クロック発生装置1はTCXO精度保証部18により、ステップS303にて取得した周波数偏差を補償する補正を施したTCXO_clk信号を生成し、クロック切替部20によりクロック信号として出力する(ステップS304)。
【0038】
ステップS303において、周波数偏差を求める方法は幾つか考えられる。第1の方法では、クロック発生装置1は、OCXO精度保証部13又はTCXO精度保証部18により、OCXO補正テーブル161又はTCXO補正テーブル162を参照し、ステップS302にて取得した温度に最も近い温度を検索し、該温度に対応付けられた周波数偏差を求める。検索した温度に近似する温度が複数記憶されている場合には、温度に対応付けられた時刻(日付)が一番最近である周波数偏差とする。
【0039】
第2の方法では、クロック発生装置1は、OCXO精度保証部13又はTCXO精度保証部18により、OCXO補正テーブル161又はTCXO補正テーブル162を参照し、ステップS302にて取得した温度近辺の複数の温度を検索し、該温度に対応付けられた複数の周波数偏差を取得し、取得した複数の周波数偏差の補間演算(例えば、線形補間、又はラグランジュ補間、スプライン補間、ニュートン補間等の非線形補間による演算)により周波数偏差を求める。
【0040】
このように、本実施形態のクロック発生装置1によれば、保証温度範囲の広くない安価なOCXO12を用い、雰囲気温度がOCXO12の保証温度範囲外に至った場合には、TCXO精度保証部18が出力するクロック信号に切り替えることにより、広い温度範囲で高精度なクロック信号を出力することができる。かかるクロック発生装置1は、安価でかつコンパクトなサイズで提供することができる。
【0041】
また、ホールドオーバーが発生した場合には、OCXO補正テーブル161又はTCXO補正テーブル162を参照して周波数偏差を求めることにより、クロック信号の精度を保証することができる。温度検知部15により取得した温度における周波数偏差が補正テーブルに記憶されていない場合でも、周波数偏差の近似値を用いることができる。特に、補正テーブルに記憶された複数の周波数偏差の補間演算を行うことで、精度の高い周波数偏差値を算出することができる。
【0042】
上述の実施形態は、代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。従って、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、補正テーブル生成部16を備えず、温度に応じてOCXO_clk信号とTCXO_clk信号とを切り替えるのみの構成としてもよい。また、TCXO精度保証部18は、雰囲気温度がOCXO12の保証温度範囲内であるか否かに関わらず、絶えずTCXO_clk信号を出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 クロック発生装置
11 基準クロック生成部
12 OCXO
13 OCXO精度保証部
14 時刻取得部
15 温度検知部
16 補正テーブル生成部
161 OCXO補正テーブル
162 TCXO補正テーブル
17 TCXO
18 TCXO精度保証部
19 切替タイミング生成部
20 クロック切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロック信号を生成する基準クロック生成部と、
第1の保証温度範囲において動作が保証された、第1のクロック信号を生成する第1の発振器と、
前記第1のクロック信号を、前記基準クロック信号と同じ周波数、同じ位相となるように補正した第2のクロック信号を生成する第1の精度保証部と、
当該クロック発生装置近傍の温度を検知する温度検知部と、
前記第1の保証温度範囲よりも広い第2の保証温度範囲において動作が保証された、第3のクロック信号を生成する第2の発振器と、
前記第3のクロック信号を、前記基準クロック信号と同じ周波数、同じ位相となるように補正した第4のクロック信号を生成する第2の精度保証部と、
前記温度検知部によって取得した温度が、前記第1の保証温度範囲内である場合には前記第2のクロック信号を出力し、前記第1の保証温度範囲外である場合には前記第4のクロック信号を出力するクロック切替部と、
を備えることを特徴とするクロック発生装置。
【請求項2】
補正テーブル生成部を更に備え、
前記第1の精度保証部は、前記第1のクロック信号の前記基準クロック信号に対する第1の周波数偏差を検出し、
前記第2の精度保証部は、前記第3のクロック信号の前記基準クロック信号に対する第2の周波数偏差を検出し、
前記補正テーブル生成部は、前記温度検知部から取得した温度、前記第1の精度保証部から取得した前記第1の周波数偏差、及び前記第2の精度保証部から取得した前記第2の周波数偏差を対応付けた補正テーブルを生成し、
前記第1の精度保証部は、ホールドオーバー発生時に前記温度検知部により取得した温度が前記第1の保証温度範囲内である場合には、前記補正テーブルを参照して該取得した温度に対応する第1の周波数偏差を求め、該第1の周波数偏差を補償する補正を施して前記第2のクロック信号を生成し、
前記第2の精度保証部は、ホールドオーバー発生時に前記温度検知部により取得した温度が前記第1の保証温度範囲外である場合には、前記補正テーブルを参照して該取得した温度に対応する第2の周波数偏差を求め、該第2の周波数偏差を補償する補正を施して前記第4のクロック信号を生成する
ことを特徴とする、請求項1に記載のクロック発生装置。
【請求項3】
前記第1の精度保証部は、前記第1の周波数偏差を、前記補正テーブルに記憶された、前記取得した温度に最も近い温度に対応付けられた周波数偏差とし、
前記第2の精度保証部は、前記第2の周波数偏差を、前記補正テーブルに記憶された、前記取得した温度に最も近い温度に対応付けられた周波数偏差とする
ことを特徴とする、請求項2に記載のクロック発生装置。
【請求項4】
前記第1の精度保証部は、前記第1の周波数偏差を、前記補正テーブルに記憶された複数の周波数偏差の補間演算により求め、
前記第2の精度保証部は、前記第2の周波数偏差を、前記補正テーブルに記憶された複数の周波数偏差の補間演算により求める
ことを特徴とする、請求項2に記載のクロック発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−60583(P2012−60583A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204519(P2010−204519)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】