説明

クロニジンを含んでなる、術後疼痛を治療するための方法及び組成物

本発明は、術後疼痛を抑制、予防、又は治療するような治療を必要とする患者においてそれを抑制、予防、又は治療するのに有用な埋込型薬物デポー剤へ向けられ、該埋込型薬物デポー剤は、治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩とポリマーを含んでなり、ここで該デポー剤は、術後疼痛を抑制、予防、又は治療するために皮膚の下の部位に埋め込み可能であり、そして該デポー剤は、(i)その薬物デポー剤に負荷したクロニジン又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約5%〜約45%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を48時間までの第一期間にわたり、そして(ii)その薬物デポー剤に負荷したクロニジン又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約55%〜約95%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を少なくとも3日間のそれに引き続く期間にわたり放出することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、2009年4月9日に出願されて「Methods and Compositions for Treating Post-Operative Pain Comprising Clonidine(クロニジンを含んでなる、術後疼痛を治療するための方法及び組成物)」と題する米国特許出願番号12/421,144、及び2008年4月18日に出願されて「Methods and Compositions for Treating Post-Operative Pain Comprising Clonidine(クロニジンを含んでなる、術後疼痛を治療するための方法及び組成物)」と題する米国仮特許出願番号61/046,277の出願日の利益を特許請求し、これらのいずれも、それへの参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 疼痛緩和は、外科手術を受ける患者を治療するどの人にもきわめて重要である。適切な疼痛緩和は、有意義な生理学及び心理学上の利益を患者へ付与する。有効な疼痛緩和は、医療/外科/外来施設からの早期の退院を伴う、より円滑でより快適な術後経過(例えば、気分、睡眠、生命の質、等)を意味するだけでなく、慢性疼痛症候群(例えば、線維筋肉痛、筋肉痛、等)の発症を抑える場合もある。
【0003】
[0003] 疼痛は、生理学的機能を果たす。それは、身体内の障害又は疾患の存在をしばしば警告し、炎症(発赤、腫脹、および/または灼熱)をしばしば伴う。術後疼痛の場合、それは、外科手術、又は例えば、熱傷又は非外科的手術外傷に続く急性疼痛の管理などの他の治療の結果であってもよい。術後疼痛管理の目標は、副作用をほとんど又は全く引き起こさない医薬品で、疼痛及び不快感を抑制するか又は消失させることである。
【0004】
[0004] 外科手術の部位は、患者が患う可能性がある術後疼痛の度合いに対して重大な影響を及ぼす。一般に、胸部及び上腹部に対する手術は、下腹部に対する手術より有痛性であり、後者は、四肢に対する末梢手術よりは有痛性である。しかしながら、体腔、大関節表面、脊椎、又は深在組織が関与するどの手術も有痛性とみなすべきである。特に、胸部又は上腹部に対する手術は、肺機能の広汎な変化、腹筋緊張の増加、及び横隔膜機能の随伴減少をもたらす場合がある。この結果は、咳や分泌物の除去をできなくなることであり、肺崩壊や肺炎をもたらす場合がある。疼痛の延長化は、身体活動を抑制して、静脈うっ血と深在性静脈血栓症のリスク増加、そして必然的に肺塞栓症をもたらす可能性がある。加えて、消化管と尿路の運動性に対する広汎な影響があり得て、これがやがて術後イレウス、悪心、嘔吐、及び尿貯留をもたらす場合がある。これらの問題は患者にとって不快であり、入院を長引かせる場合がある。中等度〜重度の術後疼痛、外傷後疼痛、及び灼熱疼痛を経験する多くの患者には、外傷又は外科手術後少なくとも最初の3日間は疼痛管理がしばしば必要とされる。
【0005】
[0005] 術後疼痛を治療するための医薬品の1つの知られた群は、オピオイドである。この化合物の群は、術後疼痛を制御するのに最も有効な種類の薬物であるとしてよく認知されている。残念ながら、オピオイドは、全身投与されるので、患者を不能にすること、呼吸系を抑圧すること、便秘、並びに、鎮静及び多幸感などの精神活性効果が含まれる関連した副作用(これらにより、回復と運動能力の再獲得へのハードルが提起される)が重大な懸念となる。さらに、これらの副作用のために、医師は、典型的には、オピオイドの投与を外科手術後最初の24時間以内に制限する。従って、直接的で局在化した疼痛制御を外科手術部位に送達する非麻薬性の薬物を使用することは、好ましいであろう。
【0006】
[0006] 医療専門家に知られている1つの医薬品は、α2アドレナリン作動性受容体に対するアゴニストとして、そして神経受容体アゴニストとして作用する降圧剤として広く認知されているクロニジンである。一般に、クロニジンは、2,6-ジクロロ-N-2-イミダゾリジニルデンベンゼンアミン(C9H9Cl2N3)とも呼ばれて、以下の化学構造:
【0007】
【化1】

【0008】
によって表すことができる。
【0009】
[0007] しかしながら、今日まで、それは、術後の疼痛および/または炎症が含まれる疼痛に有効な治療薬として広くは認められてはいない。従って、この適用のためにこの化合物の有効な製剤を開発することへのニーズがある。
【発明の概要】
【0010】
[0008] 術後の疼痛又は炎症を効果的に予防、治療、又は抑制する、新しい組成物及び方法を提供する。様々な態様において、少なくとも3日の期間にわたる長期作用性の鎮痛及び抗炎症効果を有する組成物及び方法を、単一の薬物デポー剤又は多数の薬物デポー剤で提供する。患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど伴わない、降圧剤が含まれる薬物デポー剤の正確かつ精密な埋め込みを容易に可能にし得る、新しい組成物及び方法を提供する。それにより、薬物デポー剤は、標的組織部位(例えば、腹部、滑膜性関節、脊柱又はその付近、等)へ容易に送達されて、少なくとも3〜10日の間疼痛を軽減および/または治療することができる。このようにして、薬物デポー剤をほとんど侵襲性のない手技で正確かつ精密に埋め込むことが達成され得る。
【0011】
[0009] 1つの例示的な態様では、術後の疼痛又は炎症を抑制、予防、又は治療するような治療を必要とする患者においてそれを抑制、予防、又は治療するのに有用な埋込型薬物デポー剤を提供する。埋込型薬物デポー剤は、治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩とポリマーを含む。このデポー剤は、術後疼痛を抑制、予防、又は治療するために皮膚の下の部位に埋め込み可能である。このデポー剤は、(i)その薬物デポー剤中に負荷したクロニジン又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約5%〜約45%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を、48時間までの第一期間、24時間までの第一期間、又は約24〜48時間の第一期間にわたり、そして(ii)その薬物デポー剤中に負荷したクロニジン又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約55%〜約95%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を少なくとも3日、少なくとも7日、3〜30日、又は3〜10日のそれに引き続く期間にわたり放出することが可能である。このポリマーは、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、D-ラクチド、D,L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド)、L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン)、ポリカプロラクトン、又はこれらの組合せの1以上を含む。ポリマーは、生分解性であってよい。様々な態様において、第一期間が24時間までか又は約24〜48時間であるとき、デポー剤は、約5%〜約30%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を放出することが可能である。
【0012】
[0010] 別の例示的な態様では、埋込型薬物デポー剤を作製する方法を提供する。この方法は、生体適合性ポリマーと治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を組み合わせる工程と、その組合せより埋込型薬物デポー剤を成形する工程を含む。
【0013】
[0011] さらになお別の例示的な態様では、術後疼痛を治療、予防、又は抑制するような治療を必要とする患者においてそれを治療、予防、又は抑制する方法を提供する。この方法は、治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を外科手術の前、間、又は後に皮膚の下の標的組織部位へ送達することを含み、ここで薬物デポー剤は、皮膚の下の部位で、有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩の初期ボーラス用量を放出し、続いて有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩の持続放出用量を少なくとも3日、少なくとも7日、3〜30日、3〜10日、又は5〜7日の期間にわたり放出することが可能である。薬物デポー剤はポリマーを含んでよく、このポリマーは、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、D-ラクチド、D,L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド)、L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン)、ポリカプロラクトン、又はこれらの組合せの1以上を含んでよい。薬物デポー剤は、薬物デポー剤に負荷したクロニジン又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約40〜90%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を、薬物デポー剤を標的組織部位へ投与後3〜10日の持続放出期間にわたり放出することが可能である。クロニジンの初期ボーラス用量は、薬物デポー剤に負荷したクロニジンの全量に対して約15%〜約45%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩であってよい。
【0014】
[0012] 別の例示的な態様では、埋込型薬物デポー剤を提供する。この埋込型薬物デポー剤は:(i)治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩;及び(ii)ポリマーを含む。デポー剤は、初期ボーラス用量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を皮膚の下の部位に放出することが可能であり、そしてデポー剤は、有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩の持続放出用量を3〜30日、3〜10日、又は7〜10日のそれに引き続く期間にわたり放出することが可能である。薬物デポー剤は、薬物デポー剤に負荷したクロニジンの全量に対して約55%〜約85%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を、薬物デポー剤を投与後3〜30日、3〜10日、又は7〜10日の持続放出期間にわたり放出することが可能である。このポリマーは、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、D-ラクチド、D,L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド)、L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン)、ポリカプロラクトン、又はこれらの組合せの1以上を含む。クロニジンの初期ボーラス用量は、薬物デポー剤に負荷したクロニジンの全量に対して約15%〜約45%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩であってよい。
【0015】
[0013] クロニジンは、様々な態様において、塩の形態であってよい。塩の1例は、塩酸塩である。様々な態様において、クロニジンは、塩基の形態であってよい。さらに、クロニジン又はその医薬的に許容される塩は、ゲル剤に懸濁し得る、微粒子剤、マイクロスフェア剤、マイクロカプセル剤、および/またはマイクロファイバー剤を含んでなる複数のデポー剤に被包化されてよい。薬物デポー剤は、リボン様ストリップ剤(a ribbon-like strip)であってよい。薬物デポー剤は、ゲル製剤でもあり得る。
【0016】
[0014] ポリマーは、様々な態様において、薬物デポー剤の全重量%の約60%〜約90%を含んでよい。ポリマーは、薬物デポー剤を部位に埋め込んだ後で、30日以内に分解することが可能であるか又は分解する。様々な態様において、ポリマーは、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)を含んでよく、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)は、ポリグリコリド及びポリラクチドの混合物を含む。この混合物は、ポリグリコリドより多くのポリラクチドを含む。
【0017】
[0015] 薬物デポー剤は、様々な態様において、X線造影法に役立つように適用されるX線撮影用マーカーを含んでよい。X線撮影用マーカーは、バリウム、ビスマス、タングステン、タンタル、ヨウ素、リン酸カルシウム、および/または金属ビーズを含んでよい。
【0018】
[0016] 薬物デポー剤は、様々な態様において、少なくとも1つの追加の抗炎症剤又は鎮痛剤、少なくとも1つの同化成長因子又は抗異化成長因子、又はこれらの組合せを含んでよい。
【0019】
[0017] 薬物デポー剤は、術後疼痛を抑えるために、1日につき0.05マイクログラム(μg)と3ミリグラム(mg)の間のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を放出することが可能である。
【0020】
[0018] 標的組織部位は、少なくとも1つの筋肉、靭帯、腱、軟骨、椎間板、脊髄神経根付近の脊椎孔空間、椎間又は滑膜性関節、又は脊柱管を含む。
【0021】
[0019] 疼痛は、外科手術切断、ヘルニア修復、整形外科手術又は脊椎外科手術、又はこれらの組合せに関連する場合がある。外科手術は、関節鏡外科手術、塊の切除、ヘルニア修復、脊椎癒合、胸部、頚部、又は腰部外科手術、切断、骨盤外科手術、又はこれらの組合せであってもよい。
【0022】
[0020] 本発明の1以上の薬物デポー剤は、関節リウマチ、骨関節炎、坐骨神経痛、手根管症候群、腰痛、下肢疼痛、上肢疼痛、切断に関連した疼痛(「幻痛」と時々呼ばれる)、癌、組織疼痛、及び頚椎、胸椎、および/または腰椎又は椎間板、肩腱板、関節連結部、TMJ、腱、靭帯、筋肉、等の損傷又は修復に関連した疼痛が含まれる、慢性状態の疼痛および/または炎症の症状を治療するために使用してよい。
【0023】
[0021] 様々な態様の追加の特徴及び利点は、以下に続く記載において一部は示されて、一部はその記載より明らかになるか、又は様々な態様の実施より理解され得る。様々な態様の目的と他の利点は、本明細書の記載と添付される特許請求の範囲において特に指摘される種々の構成要素(elements)と組合せによって実現及び達成されよう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
[0022] 部分的には、以下の記載、添付される特許請求の範囲、及び添付される図面に関連して、本発明の態様の他の側面、特徴、利益、及び利点が明らかになる。ここで:
【図1】[0023] 図1は、外科手術が実施される部位であってもよい、患者内のいくつかの一般的な位置と、降圧剤又はクロニジンを含有する薬物デポー剤を投与し得る位置を図解する。
【図2】[0024] 図2は、脊椎及び降圧剤又はクロニジンを含有する薬物デポー剤を投与し得る部位の概略側面図を図解する。
【図3】[0025] 図3は、実施例1に記載のクロニジンストリップインプラント剤についてのクロニジンの平均累積放出試験(μg)のグラフ図である。
【図4】[0026] 図4は、実施例1に記載のクロニジンストリップインプラント剤についてのクロニジンの平均累積放出試験(百分率)のグラフ図である。
【図5】[0027] 図5は、実施例1からのクロニジンインプラント剤についての、術後日数あたりのグラム数における熱刺激足逃避反応潜時のグラフ図である。
【図6】[0028] 図6は、実施例2からのいくつかの照射クロニジンHClストリップ又はリボンインプラント剤についての、1〜8日目の間のクロニジンの平均累積放出百分率のグラフ図である。
【図7】[0029] 図7は、実施例2からのクロニジンHClストリップ又はリボンインプラント剤についての、1〜8日目の間のクロニジンの計算平均1日放出(マイクログラム)のグラフ図である。
【図8】[0030] 図8は、図6に例示した特定のクロニジンHClストリップ又はリボンインプラント剤についての、クロニジンの平均累積放出百分率のグラフ図である。
【図9】[0031] 図9は、図8に例示した特定のクロニジンHClストリップ又はリボンインプラント剤についての、1〜8日目の間のクロニジンの平均1日放出(マイクログラム)のグラフ図である。
【図10】[0032] 図10は、図6に例示した特定のクロニジンHClストリップ又はリボンインプラント剤についての、1〜14日目の間のクロニジンの平均累積放出百分率のグラフ図である。
【図11】[0033] 図11は、図10に例示した特定のクロニジンHClストリップ又はリボンインプラント剤についての、1〜14日目の間のクロニジンの平均一日放出のグラフ図である。
【図12】[0034] 図12は、図6に例示した特定のクロニジンHClストリップ又はリボンインプラント剤についての、1〜14日目の間のクロニジンの平均累積放出百分率のグラフ図である。
【図13】[0035] 図13は、図12に例示した特定のクロニジンHClストリップ又はリボンインプラント剤についての、1〜14日目の間のクロニジンの平均一日放出のグラフ図である。
【図14】[0036] 図14は、実施例3に記載の試験からのクロニジンストリップインプラント剤についての平均累積 in vitro 放出プロフィールのグラフ図である。
【図15】[0037] 図15は、実施例4に記載の試験からのクロニジンストリップインプラント剤についての平均累積 in vitro 放出プロフィールを示す。
【図16】[0038] 図16は、実施例5に記載の試験からの3つのクロニジンストリップインプラント剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図17】[0039] 図17は、図16に示すクロニジンストリップインプラント剤についてのクロニジンの平均累積放出百分率のグラフ図である。
【図18】[0040] 図18は、実施例5に記載の3つのクロニジンストリップインプラント剤についての、クロニジンの累積 in vitro 放出(μg)のグラフ図である。
【図19】[0041] 図19は、図18に示すクロニジンストリップインプラント剤についての、クロニジンの平均累積 in vitro 放出(μg)のグラフ図である。
【図20】[0042] 図20は、術後に外科手術切開部分に埋め込んだクロニジンデポー剤の疼痛スコアのグラフ図である。
【0025】
[0043] 図面は、一定比率で描かれてはいないことを理解される。さらに、図中の対象間の関係も一定比率ではなく、実のところ、大きさに関して逆の関係を有する場合もある。この図面は、示される各対象の構造への理解と明確性をもたらすように企図されているので、構造の具体的な特徴を例解するために、ある特徴が誇張される場合もある。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0044] 本明細書と添付される特許請求の範囲の目的のために、他に示さなければ、本明細書及び特許請求項において使用される、成分量、材料の百分率又は比率、反応条件、及び他の数値を表すすべての数字は、すべての例において「約」という用語によって修飾されていると理解される。従って、反対に示さなければ、以下の明細書と添付される特許請求の範囲に示す数的変数は、本発明により得られることが求められる所望の特性に依存して変動し得る概数である。少なくとも、そして均等論の適用を特許請求の範囲へ制限する試みとしてではなく、それぞれの数的変数は、少なくとも報告される有効数字の数に照らして、そして通常の丸め方法を適用することによって解釈されるべきである。
【0027】
[0045] 本明細書と本発明の広い範囲に示す数的範囲及び変数が概数であるにもかかわらず、具体例な実施例において示す数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、どの数値も、本来的には、そのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差より必然的に生じるある種の誤差を含有するものである。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲には、そこに包含されるありとあらゆるサブ範囲が含まれると理解される。例えば、「1〜10」の範囲には、最小値の1と最大値の10の間(及び、含まれる)のありとあらゆるサブ範囲、即ち、1以上の最小値と10以下の最大値を有するありとあらゆるサブ範囲(例えば、5.5〜10)が含まれる。
【0028】
[0046] 本明細書と添付される特許請求の範囲に使用されるように、単数形の「a」、「an」(不定冠詞)及び「the」(定冠詞)には、明白かつ明確に1つの指示物へ限定されなければ、複数の指示物が含まれることに留意される。従って、例えば、「薬物デポー剤(a drug depot)」への言及には、1、2、3以上の薬物デポー剤(drug depots)が含まれる。
【0029】
[0047] 以下に、その実施例が添付される図面に図解される、本発明のある態様について詳細に言及する。本発明を例解の態様とともに記載するが、それらは本発明をその態様へ制限することを企図しないと理解されよう。むしろ、本発明には、添付される特許請求の範囲により規定されるような、本発明内に含まれ得る、すべての代替物、修飾物、及び等価物が含まれると企図される。
【0030】
[0048] 以下の見出しは、本開示を決して制限するものではなく;ある見出し下の態様を他の見出し下の態様とともに使用してよい。
【0031】
[0049] 術後の疼痛又は炎症を効果的に予防、治療、又は抑制する、新しい組成物及び方法を提供する。様々な態様において、少なくとも3日の期間にわたる長期作用性の鎮痛及び抗炎症効果を有する組成物及び方法を、単一の薬物デポー剤又は多数の薬物デポー剤で提供する。患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど伴わない、クロニジンが含まれる薬物デポー剤の正確かつ精密な埋め込みを容易に可能にし得る、新しい組成物及び方法を提供する。それにより、薬物デポー剤は、標的組織部位(例えば、腹部、滑膜性関節、脊柱又はその付近、等)へ容易に送達して、少なくとも3〜10日の間疼痛を軽減および/または治療することができる。このようにして、開腹手術だけでなく、侵襲性のない手術でも、薬物デポー剤をほとんど正確かつ精密に埋め込むことが達成され得る。
【0032】
クロニジン
[0050] クロニジンを薬物デポー剤に含めてよい。薬物デポー剤は、所望の部位(例えば、患者の滑膜性関節、椎間板腔、脊柱管、腹部領域、組織、等)における埋込み及び保持を促進する物理構造を含む。薬物デポー剤は、薬物も含む。本明細書において使用する「薬物」という用語は、一般に、患者の生理機能を改変させるあらゆる物質を意味するとする。「薬物」という用語は、本明細書において、「治療薬剤」、「治療有効量」、及び「活性医薬成分」又は「API」という用語と交換可能的に使用してよい。「薬物」製剤には、1より多い治療薬剤が含まれてよく、ここで治療薬剤の例示的な組合せには、2以上の薬物の組合せが含まれると理解される。薬物デポー剤は、その部位への送達のために治療薬剤の濃度勾配を提供する。様々な態様において、薬物デポー剤は、埋込み部位より約1 cm〜約10 cmまでの距離で治療薬剤の最適な薬物濃度勾配を提供する。
【0033】
[0051] 「治療有効量」又は「有効量」は、投与されるときに、薬物が、例えば、炎症の阻害、疼痛の抑制又は軽減、状態の改善、等といった生物活性の改変をもたらすような量である。様々な態様において、クロニジンの治療有効量は、約0.1μg/日〜100 mg/日を含む。いくつかの態様において、クロニジンの治療有効量は、1日につき約30μg〜1 mgのクロニジンを含む。いくつかの態様において、クロニジンの治療有効量は、1日につき約30μg〜2.4 mgのクロニジンを含む。いくつかの態様において、クロニジンの治療有効量は、1日につき約0.1 mg〜0.3 mgのクロニジンを含む。いくつかの態様において、クロニジンの治療有効量は、1日につき0.1μg、0.2μg、0.3μg、0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1μg、10μg、20μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、0.1 mg、0.2 mg、0.3 mg、0.4 mg、0.5 mg、0.6 mg、0.7 mg、0.8 mg、0.9 mg、1 mg、1.1 mg、1.2 mg、1.3 mg、1.4 mg、1.5 mg、1.6 mg、1.7 mg、1.8 mg、1.9 mg、2 mg、3 mg、4 mg、5 mg、6 mg、7 mg、8 mg、9 mg、10 mg、11 mg、12 mg、13 mg、14 mg、15 mg、16 mg、17 mg、18 mg、19 mg、20 mg、21 mg、22 mg、23 mg、24 mg、25 mg、30 mg、35 mg、又は40 mg(及び、この間のすべての範囲及びサブ範囲)のクロニジンを含む。1つの態様において、ヒトへの投与量は、1日につき0.1 mgと0.3 mgの間のクロニジンである。患者へ投与される投与量は、薬物の投与される薬物動態特性、投与経路、患者の状態及び特性(性別、年齢、体重、健康、サイズ、等)、症状の程度、併用治療法、治療の頻度、及び所望される効果が含まれる多様な要因に依って、単一のデポー剤又は多数のデポー剤であってもよい。例えば、オピオイド(例えば、モルヒネ)との併用治療があるときは、より低い1日用量のクロニジンが必要とされ得る。あるいは、術後疼痛を制御するためにオピオイド(例えば、モルヒネ)の投与量が抑えられるか又は消失されるので、患者がより高い用量のクロニジンを必要とする場合もある。
【0034】
[0052] 様々な態様では、術後の疼痛又は炎症を阻害、抑制、治療、および/または予防するために、治療有効量のクロニジンを提供する。一般に、クロニジンの化学名は、2,6-ジクロロ-N-2-イミダゾリジニルデンベンゼンアミン(C9H9Cl2N3)である。クロニジンは、230.09の分子量を有して、以下の一般構造:
【0035】
【化2】

【0036】
を示す。
【0037】
[0053] 他に特定されなければ、又は文脈より明らかでなければ、本明細書と以下に続く特許請求項のセットがクロニジンに言及する場合、本発明者は、医薬的に許容される塩にも言及していると理解される。クロニジンの1つのよく知られた市販の塩は、その塩酸塩である。潜在的に医薬的に許容される塩の他のいくつかの例には、マグネシウム、カリウムなどのアルカリ金属とアンモニウムの塩、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸などの鉱酸の塩、並びに、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸、例えば、p-トルエンスルホン酸、等の有機酸の塩といった、化合物の毒性を実質的には高めない、塩生成の酸及び塩基が含まれる。
【0038】
[0054] さらに、クロニジンに言及するとき、その有効成分は、塩型だけでなく、塩基型(例えば、遊離塩基)であってもよい。様々な態様において、それが塩基型であるならば、それは、PLGA又はPLAとともに生じ得る加熱処理又は溶媒処理時に見られる場合のように、重大なポリマー分解がない条件の下でポリマーと組み合わされてよい。非限定的な例によれば、クロニジンをポリ(オルトエステル)とともに製剤化するときは、クロニジン塩基製剤を使用することが望ましい可能性がある。対照的に、クロニジンをPLGAとともに製剤化するときは、HCl塩型を使用することが望ましい可能性がある。様々な態様において、クロニジンは、塩と塩基の組合せの形態であってよい。
【0039】
[0055] クロニジンに加えて、薬物デポー剤は、1以上の追加の治療薬剤を含んでよい。治療薬剤の例には、限定されないが、可溶性腫瘍壊死因子α受容体、あらゆるペグ化可溶性腫瘍壊死因子α受容体、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体、又は抗体断片、又はこれらの組合せが含まれる、TNF-α及びIL-1などの前炎症性サイトカインの直接的で局所作用性のモジュレーターであるものが含まれる。好適な治療薬剤の例には、受容体アンタゴニスト、標的分子への結合について受容体と競合する分子、アンチセンスポリヌクレオチド、及び標的タンパク質をコードするDNAの転写の阻害剤が含まれる。好適な例には、限定されないが、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ペグスネルセプト(PEG sTNF-R1)、sTNF-R1、CDP-870、CDP-571、CNI-1493、RDP58、ISIS 104838、1→3-β-D-グルカン、レネルセプト、PEG-sTNFRII Fcムテイン、D2E7、アフェリモマブ、及びこれらの組合せが含まれる。他の態様において、治療薬剤には、メタロプロテアーゼ阻害剤、グルタミン酸アンタゴニスト、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、B2受容体アンタゴニスト、カプサイシン及びシバミドなどのサブスタンスP受容体(NK1)アンタゴニスト、下流調節要素拮抗モジュレーター(DREAM)、iNOS、テトロドトキシン(TTX)抵抗性Naチャネル受容体サブタイプ、PN3及びSNS2の阻害剤、IL-1、IL-6、及びIL-8などのインターロイキン及び抗炎症性サイトカインの阻害剤、TNF結合タンパク質、オネルセプト(r-hTBP-1)、阻害剤、エンハンサー、ポテンシエーター、又は中和剤をコードする組換えアデノ関連ウイルス(rAAV)ベクター、抗体(限定されないが、天然に存在する抗体又は合成抗体、二本鎖抗体、単鎖抗体、又はこれらの断片が含まれる)が含まれる。例えば、好適な治療薬剤には、天然に存在する単一ドメイン抗体の最小の機能性断片として定義される、NanobodiesTM(Ablynx, ゲント、ベルギー)と呼ばれる単鎖抗体に基づいた分子が含まれる。あるいは、治療薬剤には、キナーゼに奏効する薬剤、および/または細胞シグナル伝達マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、p38 MAPK、Src、又はタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)を阻害する薬剤が含まれる。治療薬剤には、例えば、Gleevec、Herceptin、Iressa、イマチニブ(STI571)、ヘルビマイシンA、チルフォスチン47、エルブスタチン、ゲニスタイン、スタウロスポリン、PD98059、SB203580、CNI-1493、VX-50/702(バーテックス/キッセイ薬品)、SB203580、BIRB796(ベーリンガー・インゲルハイム)、Glaxo P38 MAPキナーゼ阻害剤、RWJ67657(J&J)、UO126、Gd、SCIO-469(Scios)、RO3201195(ロシュ)、Semipimod(Cytokine PharmaSciences)、又はこれらの誘導体などのキナーゼ阻害剤が含まれる。
【0040】
[0056] 治療薬剤は、様々な態様において、炎症カスケード中のTNF-α又は他のタンパク質の転写又は翻訳を阻止する。好適な治療薬剤には、限定されないが、インテグリンアンタゴニスト、α4,β7インテグリンアンタゴニスト、細胞接着阻害剤、γインターフェロンアンタゴニスト、CTLA4-Igアゴニスト/アンタゴニスト(BMS-188667)、CD40リガンドアンタゴニスト、ヒト化抗IL-6 mAb(MRA、トシリズマブ、中外製薬)、HMGB-1 mAb(Critical Therapeutics 社)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ、バシリシマブ)、ABX(抗IL-8抗体)、組換えヒトIL-10、又はHuMax IL-15(抗IL15抗体)が含まれる。
【0041】
[0057] 他の好適な治療薬剤には、ヒトのインターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)の組換え非グリコシル化型である、Kineret(登録商標)(アナキンラ)などのIL-1阻害剤、又はIL-1の作用を阻止するモノクローナル抗体であるAMG108が含まれる。治療薬剤には、グルタミン酸及びアスパラギン酸などの興奮性アミノ酸、又はNMDA受容体、AMPA受容体、および/またはカイニン酸受容体へ結合するグルタミン酸のアンタゴニストまたは阻害剤も含まれる。例えば、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト、サリドマイド(TNF-α放出阻害剤)、サリドマイド類似体(マクロファージによるTNF-α産生を抑制する)、骨形成タンパク質(BMP)2型及びBMP-4(カスパーゼ8、TNF-αアクチベータの阻害剤)、キナプリル(TNF-αをアップレギュレートするアンジオテンシンIIの阻害剤)、IL-11などのインターフェロン(TNF-α受容体発現を調節する)、及びオーリントリカルボン酸(TNF-αを阻害する)も、炎症を抑えるための治療薬剤として有用であってもよい。望まれる場合は、上記のペグ化型も使用してよいと考慮される。他の治療薬剤の例には、グルココルチコイドなどのNFκB阻害剤、クロニジン;ジチオカルバメートなどの抗酸化剤、及び、例えば、スルファサラジンなどの他の化合物が含まれる。
【0042】
[0058] 使用に適した治療薬剤の具体的な例には、限定されないが、抗炎症剤、鎮痛剤、又は骨誘導成長因子、又はこれらの組合せが含まれる。抗炎症剤には、限定されないが、サリチル酸塩、ジフルニサール、スルファサラジン、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、トルメチン、ジクロフェナク、ケトプロフェン、フェナム酸(メフェナム酸、メクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、メロキシカム)、ナブメトン、セレコキシブ、エトドラク、ニメスリド、アパゾン、金、スリンダク、又はテポキサリン;ジチオカルバメートなどの抗酸化剤、並びに、スルファサラジン[2-ヒドロキシ-5-[-4-[C2-ピリジニルアミノ]スルホニル]アゾ]安息香酸などの他の化合物、フルオシノロン、コルチゾール、コーチゾン、ヒドロコーチゾン、フルドロコーチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、フルチカゾンなどのステロイド、又はこれらの組合せが含まれる。
【0043】
[0059] 好適な同化成長又は抗異化成長因子には、限定されないが、骨形成タンパク質、成長分化因子、LIM鉱化作用タンパク質、CDMP又は前駆細胞、又はこれらの組合せが含まれる。
【0044】
[0060] デポー剤には、追加の鎮痛剤も含めてよい。好適な鎮痛剤には、限定されないが、アセトアミノフェン、ブピバカイン、リドカイン;ブプレノルフィン、ブトルファノール、デキストロモラミド、デゾシン、デキストロプロポキシフェン、ジアモルフィン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ケトベミドン、レボメタジル、メピリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、アヘン、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ぺチジン、フェノペリジン、ピリトラミド、デキストロプロポキシフェン、レミフェンタニル、チリジン、トラマドール、コデイン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、デゾシン、エプタゾシン、フルピルチンなどのオピオイド鎮痛薬、又はこれらの組合せが含まれる。
【0045】
[0061] 好適な鎮痛薬には、例えば、アミトリプチン、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、又はこれらの組合せなどの、鎮痛特性のある薬剤も含まれる。
【0046】
[0062] デポー剤は、筋弛緩薬を含有してよい。例示的な筋弛緩薬には、例によれば、そして限定せずに、塩化アルクロニウム、アトラクリウムベシラート、バクロフェン、カルボロニウム、カリソプロドール、カルバミン酸クロルフェネシン、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、ダントロレン、臭化デカメトニウム、ファザジニウム、ガラミントリエチオジド、ヘキサフルオレニウム、メラドラジン、メフェンシン、メタキサロン、メトカルバモール、ヨウ化メトクリン、パンクロニウム、メシル酸プリジノール、スチラメート、スキサメトニウム、スキセトニウム、チオコルチコシド、チザニジン、トルペリゾン、ツボクラリン、ベクロニウム、又はこれらの組合せが含まれる。
【0047】
[0063] デポー剤は、単数又は複数の治療薬剤を含み、他の非活性成分も含有してよい。これらの非有効成分は、治療薬剤(複数)を運搬すること、安定化させること、及びその放出を制御することが含まれる、多機能の目的を有する場合がある。例えば、持続放出プロセスは、溶解拡散機序によっても、あるいはそれは、浸食-制御プロセスによって支配されてもよい。典型的には、デポー剤は、生分解性であってもよい生体適合性材料からなる、固体又は半固体の製剤であろう。「固体」という用語は、非ゲル様の材料を意味すると企図されるが、一方「半固体」は、ある度合いの流動性を有することにより、デポー剤が曲がって、周囲の組織要求性に従うことを可能にするゲル様の材料を意味すると企図される。「ゲル」という用語は、軟らかくて、外科手術部位へのその適用においてどの点でも変形可能である材料を意味すると企図される。
【0048】
[0064] 様々な態様において、デポー剤の材料は、薬物送達の予定期間と等しい時間帯の間(生分解性の成分について)、又はそれより長い時間帯の間(非生分解性の成分について)、組織部位の内側で耐久可能である。例えば、デポー剤の材料は、体温に近いか又はそれより高いが、治療薬剤の崩壊又は分解温度よりは低い、融点又はガラス遷移温度を有し得る。しかしながら、デポー剤の材料の所定の侵食は、負荷した治療薬剤(複数)の遅い放出をもたらすためにも使用することができる。
【0049】
[0065] 様々な態様において、薬物デポー剤は、in vivo での埋込み後にあるトリガー点(例えば、温度、pH、等)に達したときにクロニジンを放出するように設計され得る。例えば、薬物デポー剤は、特にその薬物が解熱特性を保有するならば、体温が例えば102°Fより高くなるにつれてより多くの薬物を放出するポリマーを含んでよい。様々な態様において、埋め込みの部位に依って、薬物デポー剤は、あるpHに達するにつれてより多いか又はより少ない薬物を放出してよい。例えば、薬物デポー剤は、あるpHを有する体液(例えば、CSFは約7.35〜約7.70のpHを有し、滑液は約7.29〜約7.45のpHを有し;尿は約4.6〜約8.0のpHを有し、胸膜液は約7.2〜約7.4のpHを有し、血液は約7.35〜7.45のpHを有する、等)が薬物デポー剤と接触するときに薬物を放出するように設計してよい。
【0050】
[0066] 様々な態様において、デポー剤は、クロニジンおよび/または他の治療薬剤がデポー剤の約0.5〜90重量%、又はデポー剤の1〜50重量%、又はデポー剤の1〜25重量%、又はデポー剤の1〜10重量%を含むように、高い薬物ローディングを有してよい。様々な態様において、クロニジンおよび/または他の治療薬剤の量は、デポー剤において、デポー剤の約0.1重量%〜約40重量%の範囲(0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、及びこれらの点の任意の2つの間の範囲、例えば、0.5〜5%、5〜10%、及び10〜20%、等が含まれる)に存在する。
【0051】
[0067] 様々な態様において、薬物デポー剤は、1日につき0.1μg、0.2μg、0.3μg、0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1μg、10μg、20μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、0.1 mg、0.2 mg、0.3 mg、0.4 mg、0.5 mg、0.6 mg、0.7 mg、0.8 mg、0.9 mg、1 mg、1.1 mg、1.2 mg、1.3 mg、1.4 mg、1.5 mg、1.6 mg、1.7 mg、1.8 mg、1.9 mg、2 mg、3 mg、4 mg、5 mg、6 mg、7 mg、8 mg、9 mg、10 mg、11 mg、12 mg、13 mg、14 mg、15 mg、16 mg、17 mg、18 mg、19 mg、20 mg、21 mg、22 mg、23 mg、24 mg、25 mg、30 mg、35 mg、又は40 mg、45 mg、又は50 mgのクロニジンを、全部で少なくとも3日、少なくとも7日、少なくとも8日、3〜30日、3〜10日、3〜8日、5〜7日、又は7〜10日の間放出し得る。様々な態様において、薬物デポー剤は、術後疼痛を抑制、治療、又は予防するために、1時間につき0.5 mg〜1 mgのクロニジンを全部で少なくとも3日、3〜10日、5〜7日、又は7〜10日の間放出し得る。様々な態様において、薬物デポー剤は、クロニジンの5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%を、薬物デポー剤を標的組織部位へ投与後3〜10日、又は5〜7日の期間にわたり放出する。薬物デポー剤は、一定の単位時間にわたり放出される有効成分の割合、例えば、mg/時間、mg/日、10日間10%/日、等を意味する「放出速度プロフィール」を有してよい。当業者が知っているように、放出速度プロフィールは、線形であってもなくてもよい。非限定的な例によれば、薬物デポー剤は、クロニジンをある時間帯にわたり放出するストリップ剤又はリボン様ストリップ剤又はファイバー剤であってもよい。
【0052】
[0068] 様々な態様において、薬物デポー剤は、約1重量%〜10重量%のクロニジン、75重量%〜94重量%のポリマー、及び5重量%〜15重量%の賦形剤を含む。mPEGは、得られる製剤に対して可鍛性を付与するので、ポリマーの賦形剤又は可塑剤として使用してよい。PEG 300は、賦形剤としても使用してよい。加えて、PEG 300及びNMPの組合せを賦形剤として使用してよい。
【0053】
[0069] 生分解性ポリマーに加えてクロニジンとともに製剤化し得る例示的な賦形剤には、限定されないが、MgO(例えば、1重量%)、5050 DLG 6E、5050 DLG 1A、mPEG、TBO-Ac、mPEG、Span-65、Span-85、プルロニックF127、TBO-Ac、ソルビタール、シクロデキストリン、マルトデキストリン、及びこれらの組合せが含まれる。いくつかの態様において、単数又は複数の賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約50重量%を含んでよい。いくつかの態様において、賦形剤(1または複数)は、製剤の約0.001重量%〜約40重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤(1または複数)は、製剤の約0.001重量%〜約30重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤(1または複数)は、製剤の約0.001重量%〜約20重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤(1または複数)は、製剤の約0.5重量%〜約20重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤(1または複数)は、製剤の約0.001重量%〜約10重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤(1または複数)は、製剤の約0.001重量%〜約2重量%を含む。
【0054】
[0070] いくつかの態様において、薬物デポー剤は、生分解性でなくてよい。例えば、薬物デポー剤は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマーオレフィン、コポリエステル、及びスチレン熱可塑性エラストマー、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、高含量の非鉄金属と低相対比率の鉄を有する金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミックス、又はこれらの組合せを含んでよい。典型的には、この種の薬物デポー剤は、ある時間量の後で取り除くことが必要になり得る。
【0055】
[0071] ある例では、薬物デポー剤を使用後に取り除くことを回避することが望ましい場合がある。これらの例において、デポー剤は、生分解性材料を含んでよい。この目的に利用可能で、標的組織又はその付近に位置づけられるときに、延長された時間帯にわたり分解又は崩壊することが可能であるという特徴を有する、数多くの材料がある。生分解性材料の化学の関数として、この分解プロセスの機序は、本質において加水分解的又は酵素的、又はその両方であってもよい。様々な態様において、分解は、薬物送達系デポー剤の表面(不均一又は表面侵食)で、又はその全体で均質に(均一又はバルク侵食)起こり得る。
【0056】
[0072] 薬物デポー剤は、ポリマー性又は非ポリマー性の材料、並びに合成又は天然に存在する材料、又はこれらの組合せを含んでよい。非ポリマー性材料には、例えば、コレステロール、スチグマステロール、グリセロール、エストラジオール、スクロース、ジステアレート、ソルビタン、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリステアレート、等が含まれる。
【0057】
[0073] 様々な態様において、薬物デポー剤はポリマーを含み、このポリマーは、1年未満の期間にわたり in vivo で分解し、そのポリマーの少なくとも50%は、6ヶ月以内に分解する。いくつかの態様において、ポリマーは、2ヶ月、1ヶ月、又はそれ未満で分解することが可能であるか又は分解するものである。いくつかの態様において、ポリマーは、1ヶ月以内に有意に分解して、そのポリマーの少なくとも50%は、身体によって取り除かれる無毒の残渣へ分解されて、その薬物の100%は、2週の期間の内に放出される。ポリマーは、放出が持続的であるだけでなく線形でもあるように、バルク侵食よりはむしろ表面侵食による加水分解によっても分解すべきである。この判断基準を満たすポリマーには、ポリ無水物の一部、乳酸及びグリコール酸の共重合体(ここで乳酸のグリコール酸に対する重量比は、4:1以下である(即ち、80重量%以下の乳酸に対して20重量%以上のグリコール酸))、及び触媒又は分解増強化合物を含有する(例えば、無水マレイン酸などの無水物触媒を少なくとも1重量%含有する)ポリオルトエステルが含まれる。他のポリマーには、ゼラチン及びフィブリンなどのタンパク質ポリマーとヒアルロン酸などの多糖が含まれる。
【0058】
[0074] 「デポー剤」には、限定されないが、カプセル剤、マイクロスフェア剤、微粒子剤、マイクロカプセル剤、マイクロファイバー剤、粒子剤、ナノスフェア剤、ナノ粒子剤、コーティング剤、マトリックス剤、ウェハー剤、ピル剤、ペレット剤、エマルジョン剤、リポソーム剤、ミセル剤、シート剤、ストリップ剤、リボン様ストリップ剤又はファイバー剤、メッシュ剤、ペースト剤、スラブ剤、ペレット剤、ゲル剤、又は他の医薬送達組成物が含まれる。デポー剤に適した材料は、理想的には、好ましくはFDA承認されている医薬的に許容される生分解性および/またはあらゆる生体吸収性の材料、又はGRAS(一般に安全と認められている)材料である。これらの材料は、ポリマー又は非ポリマー性であり得て、並びに、合成品又は天然に存在するもの、又はこれらの組合せであってもよい。
【0059】
[0075] 「生分解性」という用語には、薬物デポー剤の全体又は部分が酵素の作用によって、加水分解作用によって、および/または人体中の他の類似の機序によって経時的に分解されることが含まれる。様々な態様において、「生分解性」には、治療薬剤が放出された後で、又は放出されている間に、デポー剤(例えば、微粒子剤、マイクロスフェア剤、ゲル剤、等)が身体内で無毒の成分へ崩壊又は分解され得ることが含まれる。「生侵食性」は、デポー剤および/またはゲル剤が、少なくとも一部は、周囲組織に見出される物質、体液との接触によるか又は細胞の作用によって経時的に侵食又は分解されることを意味する。「生体吸収性」は、デポー剤が人体内で、例えば細胞又は組織によって崩壊されて吸収されることを意味する。「生体適合性」は、デポー剤が標的組織部位で実質的な組織刺激又は壊死を引き起こさないことを意味する。
【0060】
[0076] 様々な態様において、デポー剤は、薬物の即時放出、持続放出、又は制御放出をもたらすことができる、生体吸収性、生体吸収性、および/または生分解性のバイオポリマーを含んでよい。好適な持続放出バイオポリマーの例には、限定されないが、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA又はPLG)(これには、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(D-ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)、及びポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)が含まれる)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D-ラクチド)、ポリ(L-ラクチド)、ポリグリコリド(PG)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 500、PEG 550、PEG 600、PEG 700、PEG 800、PEG 900、PEG 1000、PEG 1450、PEG 3350、PEG 4500、PEG 8000、ポリ(α-ヒドロキシ酸)のコンジュゲート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(グリコリド-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリ(乳酸-コ-リジン)、ポリ(ラクチド-コ-ウレタン)、ポリ(エステルコアミド)、ポリオルトエステル(POE)、ポリアスピリン、ポリホスファゼン、ポリ無水物;ポリケタール、コラーゲン、デンプン、ゼラチン化デンプン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギン酸塩、アルブミン、フィブリン、αトコフェリルアセテート、d-αトコフェリルスクシネートなどのビタミンE類似体、D-ラクチド、D,L-ラクチド、L-ラクチド、ε-カプロラクトン、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-CL又はDLCL)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン)(DL-G-CL)、ポリカプロラクトン(PCL)、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA-g-PLGA、PEGT-PBT共重合体(ポリアクティブ)、メタクリレート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、PEO-PPO-PEO(プルロニック)、PEO-PPO-PAA共重合体、PLGA-PEO-PLGA、PEG-PLG、PLA-PLGA、ポロキサマー407、PEG-PLGA-PEGトリブロック共重合体、SAIB(スクロースアセテートイソブチレート)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はその塩、Carbopol、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエトキシ-エチルメタクリレート)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、又はこれらの組合せが含まれる。
【0061】
[0077] 様々な態様において、ポリマーの分子量は、広範囲の数値であってもよい。ポリマーの平均分子量は、約1000〜約10,000,000;又は約1,000〜約1,000,000;又は約5,000〜約500,000;又は約10,000〜約100,000;又は約20,000〜約50,000であってもよい。
【0062】
[0078] いくつかの態様において、ポリマーは、PLGA又はPOE、又はこれらの組合せを含む。PLGAは、ポリグリコリド及びポリラクチドの混合物を含んでよく、いくつかの態様において、その混合物には、ポリグリコリドより多くのポリラクチドがある。いくつかの態様において、ポリラクチドのポリグリコリドに対するモル比は、50:50と100:0の間にある。様々な態様では、100%のポリラクチドと0%のポリグリコリド;95%のポリラクチドと5%のポリグリコリド;90%のポリラクチドと10%のポリグリコリド;85%のポリラクチドと15%のポリグリコリド;80%のポリラクチドと20%のポリグリコリド;75%のポリラクチドと25%のポリグリコリド;70%のポリラクチドと30%のポリグリコリド;65%のポリラクチドと35%のポリグリコリド;60%のポリラクチドと40%のポリグリコリド;55%のポリラクチドと45%のポリグリコリド;50%のポリラクチドと50%のポリグリコリド;45%のポリラクチドと55%のポリグリコリド;40%のポリラクチドと60%のポリグリコリド;35%のポリラクチドと65%のポリグリコリド;30%のポリラクチドと70%のポリグリコリド;25%のポリラクチドと75%のポリグリコリド;20%のポリラクチドと80%のポリグリコリド;15%のポリラクチドと85%のポリグリコリド;10%のポリラクチドと90%のポリグリコリド;5%のポリラクチドと95%のポリグリコリド;並びに、0%のポリラクチドと100%のポリグリコリドがある。
【0063】
[0079] ポリラクチドとポリグリコリドをともに含む様々な態様では、少なくとも95%のポリラクチド;少なくとも90%のポリラクチド;少なくとも85%のポリラクチド;少なくとも80%のポリラクチド;少なくとも75%のポリラクチド;少なくとも70%のポリラクチド;少なくとも65%のポリラクチド;少なくとも60%のポリラクチド;少なくとも55%のポリラクチド;少なくとも50%のポリラクチド;少なくとも45%のポリラクチド;少なくとも40%のポリラクチド;少なくとも35%のポリラクチド;少なくとも30%のポリラクチド;少なくとも25%のポリラクチド;少なくとも20%のポリラクチド;少なくとも15%のポリラクチド;少なくとも10%のポリラクチド;又は少なくとも5%のポリラクチドがあり;そしてそのバイオポリマーの残りは、ポリグリコリドである。
【0064】
[0080] いくつかの態様において、ポリマーは、DL-CL又はその組合せを含む。DL-CLは、ラクチド及びカプロラクトンの混合物を含んでよい。ラクチドのカプロラクトンに対するモル比は、10:90〜90:10とその間のすべてのサブ範囲(例えば、20:80、30:70、45:55、65:35、67:33、89:11、等)であってもよい。
【0065】
[0081] いくつかの態様において、ポリマーは、DL-G-CL又はその組合せを含む。DL-G-CLは、ラクチド、グリコリド、及びカプロラクトンの混合物を含んでよい。いくつかの態様において、ラクチドのグリコリドとカプロラクトンに対するモル比は、30:20:50であってよい。いくつかの態様において、この混合物は、5〜50%のラクチド、5〜50%のグリコリド、及び20〜80%のカプロラクトンを含んでよい。
【0066】
[0082] 様々な態様において、薬物デポー剤がポリマーを含むとき、それは、薬物デポー剤の重量に基づいて、約10重量%〜約90重量%、10重量%〜約50重量%、又は約20重量%〜約40重量%で利用される。
【0067】
[0083] いくつかの態様では、粒子の少なくとも75%が約1マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも85%が約1マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも95%が約1マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子のすべてが約1マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。
【0068】
[0084] いくつかの態様では、粒子の少なくとも75%が約20マイクロメートル〜約100マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも85%が約20マイクロメートル〜約100マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも95%が約20マイクロメートル〜約100マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子のすべてが約20マイクロメートル〜約100マイクロメートルのサイズを有する。
【0069】
[0085] デポー剤は、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、又はリン酸ナトリウムなどの緩衝剤及びpH調整剤;分解/放出修飾剤;薬物放出調整剤;乳化剤;塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、酢酸フェニル水銀及び硝酸フェニル水銀、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チメロサール、メチルパラベンと他のパラベン、ポリビニルアルコール、及びフェニルエチルアルコールなどの保存剤;溶解調整剤;安定化剤;および/または接着修飾剤などの不活性材料を含有してもよい。典型的には、どのそなどの材料も、0〜75重量%の範囲内に、そしてより典型的には0〜30重量%の範囲内に存在するものである。デポー剤を脊椎領域又は関節領域に配置するならば、様々な態様において、デポー剤は、無菌で保存剤なしの材料を含む場合がある。
【0070】
[0086] デポー剤は、多くの様々なサイズ、形状、及び配置を有し得る。薬物デポー剤のサイズ、形状、及び配置を決定するときに考慮に容れるべきいくつかの因子がある。例えば、サイズと形状は、ともに埋込み又は注射の部位として選択される標的組織部位に薬物デポー剤を位置づけることを容易にする場合がある。加えて、その系の形状及びサイズは、薬物デポー剤が埋込み又は注射の後で動くことを最小にするか又は防ぐように選択すべきである。様々な態様において、薬物デポー剤は、スフェア状、ロッド状又はファイバーなどのシリンダー状、ディスク、フィルム、ストリップ、リボン、又はシートなどの平坦表面状、ペースト状、スラブ状、微粒子状、ナノ粒子状、ペレット状、メッシュ状、等の形状にすることができる。柔軟性は、薬物デポー剤の配置を容易にするための考慮事項であってもよい。様々な態様において、薬物デポー剤は、異なるサイズであり得て、例えば、薬物デポー剤は、約0.5 mm〜100 mmの長さであってよく、約0.01〜約5 mmの直径又は厚さを有してよい。様々な態様において、薬物デポー剤は、例えば、0.05〜2.0 mmなどの、約0.005〜5.0 mmの層厚を有してよい。いくつかの態様において、形状は、ストリップ又はリボン様ストリップであってよく、このストリップ又はリボン様ストリップは、幅の厚さに対する比を2〜20以上の範囲に有する。
【0071】
[0087] 使用者が薬物デポー剤を患者の標的部位中へ正確に位置づけることを可能にするために、X線撮影用マーカーをデポー剤の上に含めることができる。これらのX線撮影用マーカーはまた、使用者がデポー剤のその部位での動き及び分解を経時的に追跡することも可能にする。この態様において、使用者は、数多くの診断造影手法のいずれを使用しても、デポー剤をその部位に正確に位置づけることができる。そなどの診断造影手法には、例えば、X線造影法又は蛍光透視法が含まれる。そなどのX線撮影用マーカーの例には、限定されないが、バリウム、ビスマス、ヨウ素、タンタル、タングステン、カルシウム、および/または金属のビーズ及び粒子が含まれる。存在する場合、X線撮影用マーカーは、典型的には、約10%〜約40%(10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、及び40%、並びにこれらの数値の任意の2つの間の範囲、例えば、10〜15%、15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜35%、35〜40%、等が含まれ、15〜30%がより典型的であり、なおより典型的には、20〜25%である)の量で存在する。様々な態様において、X線撮影用マーカーは、デポー剤周囲の球体形状又はリングであってもよい。
【0072】
[0088] いくつかの態様において、薬物デポー剤は、薬物のデポー剤からの放出を可能にする空孔を有する。薬物デポー剤は、デポー剤中で体液が薬物を移送することを可能にする。しかしながら、デポー剤中への細胞浸潤は、デポー剤の空孔のサイズによって妨げられる。このように、いくつかの態様において、デポー剤は、組織基盤として機能せず、組織増殖を許容しない。むしろ、薬物デポー剤は、薬物送達にのみ利用される。いくつかの態様において、薬物デポー剤中の空孔は、250〜500ミクロン未満であろう。この孔径は、細胞が薬物デポー剤に浸潤して基盤細胞を構築することを妨げる。このように、この態様では、体液が薬物デポー剤に入るときに薬物が薬物デポー剤より溶出されるが、細胞は入ることを妨げられる。いくつかの態様において、空孔がほとんど又はまったくない場合、薬物は、酵素の作用によって、加水分解作用によって、および/または人体中の他の類似の機序によって、薬物デポー剤より溶出される。他の態様において、薬物デポー剤は、細胞の流入と薬物放出を可能にする500ミクロン以上の孔径を有してよく、薬物デポー剤は、この態様において、組織基盤として機能してよい。
【0073】
[0089] 1つの例示的な態様では、患者の皮膚の下の標的組織部位へ治療薬剤を送達するための薬物デポー剤が提供され、この薬物デポー剤は、有効量のクロニジンを含んでなり、ここで標的組織部位は、少なくとも1つの筋肉、靭帯、腱、軟骨、椎間板、脊髄神経根付近の脊椎孔空間、椎間関節又は滑液関節、又は脊柱管を含む。
【0074】
[0090] 様々な態様において、薬物デポー剤は、室温でゼラチン状、ゼリー様、又はコロイド性の特性を有する物質が含まれる、ゲル剤を含む。ゲル剤は、様々な態様において、ゲル剤全体に分散しているか又はその内部に懸濁した、クロニジンと任意選択的に1以上の追加治療薬剤を有してよい。治療薬剤の分散は、ゲル剤全体であってもよい。あるいは、治療薬剤の濃度は、その全体で変化してよい。ゲル剤又は薬物デポー剤の生分解性材料がその部位で分解するにつれて、治療薬剤が放出される。
【0075】
[0091] 薬物デポー剤がゲル剤であるときは、典型的には低粘度ポリマーを利用する噴霧可能なゲル剤とは対照的に、より高い粘度のゲル剤が他の適用に望まれる場合があり、例えば、骨再生の適用では、パテ様の堅さを有するゲル剤がより好ましい場合がある。様々な態様において、ゲル剤にポリマーが利用されるとき、ポリマー組成物には、約40重量%〜約99重量%、又は約90重量%〜約99重量%のゲル剤が含まれる。
【0076】
[0092] 別の例示的な態様において、ゲル剤は、粘稠な形態で、1以上の薬物デポー剤が負荷され(例えば、治療薬剤を負荷したマイクロスフェア剤)、ここで粘稠なゲル剤は、被検者の滑液関節、椎間板、脊椎管、又は脊椎管を囲む柔組織の中へ位置づけられる。ゲル剤はまた、様々な態様において、組織を封鎖又は修復するためにも使用することができる。なお別の例示的な態様において、ゲル剤は注射可能である、および/または組織との接触時に固化する付着性ゲル剤である。例えば、ゲル剤は、標的組織部位にその場でゲル化する液剤として投与してよい。様々な態様において、ゲル剤は、液剤を投与して、引き続きゲル化剤を加えて液剤をゲル化又は硬化させる、2パート系を含み得る。
【0077】
[0093] 様々な態様において、ゲル剤は硬化ゲル剤であり、ここでゲル剤は、標的部位へ適用された後で硬化して、薬物は、体液がそのゲル剤と接触するにつれて放出され得る。
【0078】
[0094] 様々な態様では、薬物デポー剤にクロニジンと任意選択的に1以上の追加治療薬剤を負荷して、所望の標的組織部位(例えば、外科手術創傷部位、炎症組織、変性組織、等)へ送達して、様々な態様において、薬物デポー剤は、縫合、バーブ(barb)、ステープル、付着性ゲル剤、等(これらは、薬物デポー剤が静脈系の循環によってその部位から移動するか又は他のやり方で広く分散して、所望の治療効果を低下させることを妨げる)によって、適所に保持され得る。例えば、数時間又は数日後、薬物デポー剤は分解して、それにより薬物デポー剤(例えば、ストリップ剤、リボン様ストリップ剤、等)が治療薬剤を放出し始めることが可能になる。ストリップ剤は、不溶性又は不活性の物質より成形し得るが、標的組織部位と接触したならば、可溶性又は活性になってよい。同様に、薬物デポー剤は、組織内に溶解又は分散する物質を含んでよい。薬物デポー剤が数時間〜数日以内に分解し始めるにつれて、薬物デポー剤(例えば、ストリップ剤)は、体液へ曝露されて、その中身を放出することを始める。薬物デポー剤は、薬物デポー剤の曝露時間と治療薬剤の薬物デポー剤からの放出を最適化するように製剤化し得る。
【0079】
[0095] 様々な態様において、薬物デポー剤(例えば、ゲル剤)は、流動可能であり、標的組織部位へ、その上に、又はその中に注射、噴霧、点滴注入、および/または分散させることができる。「流動可能」は、ゲル製剤が操作し易くて、標的組織又はその付近でブラッシング、噴霧、滴下、塗布、注射、形状化、および/または成形し得えて、そのときにそれが凝固することを意味する。「流動可能」には、低粘度又は水様の粘度(consistency)の製剤〜ペースト様の材料などの高粘度の製剤が含まれる。様々な態様において、製剤の流動性は、それが組織部位の不規則部分、裂け目、割れ目、および/または隙間へ合致することを可能にする。例えば、様々な態様では、ゲル剤を使用して、骨溶解病巣中の1以上の隙間を充たしてよい。
【0080】
[0096] 様々な態様において、薬物デポー剤は、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、PLGA、PLA、D,L-ラクチド-グリコリド-ε-カプロラクトン、PG、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(グリコリド-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリ(乳酸-コ-リジン)、ポリ(ラクチド-コ-ウレタン)、ポリ(エステル-コ-アミド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)のPEGコンジュゲート、ポリオルトエステル、ポリアスピリン、ポリホスファゼン、ポリ無水物;ポリケタール、コラーゲン、デンプン、ゼラチン化デンプン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギン酸塩、アルブミン、フィブリン、αトコフェリルアセテート、d-αトコフェリルスクシネートなどのビタミンE類似体、ε-カプロラクトン、D,L-ラクチド、D-ラクチド、L-ラクチド、D,L-ラクチド-カプロラクトン、D,L-ラクチド-グリコリド-カプロラクトン、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA-g-PLGA、PEGT-PBT共重合体(ポリアクティブ)、メタクリレート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、PEO-PPO-PEO(プルロニック)、PEO-PPO-PAA共重合体、PLGA-PEO-PLGA、PEG-PLG(ポリ(d,l-ラクチド-コ-グリコリド)、PLA-PLGA、ポロキサマー407、PEG-PLGA-PEGトリブロック共重合体、SAIB(スクロースアセテートイソブチレート)、又はこれらの組合せを含む。これらの1以上の成分は、治療薬剤が薬物デポー剤より制御された、および/または持続的なやり方で放出されることを可能にする。例えば、治療薬剤とポリマーマトリックスを含有する薬物デポー剤を標的組織部位に注射することができて、ポリマーマトリックスは、標的組織部位の内部で経時的に(例えば、数時間、数日)分解して、クロニジンと、追加してもよい治療薬剤を放出する。このように、薬物デポー剤の投与は、局在化し得て、ある時間帯(例えば、少なくとも1日〜約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、及び90日)にわたり起こり得る。
【0081】
[0097] 「持続(sustained)放出」又は「継続(sustain)放出」(延長放出又は制御放出とも呼ばれる)という用語は、ヒト又は他の哺乳動物の身体へ導入されて、1以上の治療薬剤の流れを所定の時間帯にわたり、そしてその所定の時間帯を通して所望の治療効果を達成するのに十分な治療レベルで連続的に放出する、1以上の治療薬剤に言及するために本明細書で使用される。連続的な放出の流れへの言及には、薬物デポー剤又はそのマトリックス若しくは成分の in vivo での生物分解の結果として、又は治療薬剤(1または複数)又は治療薬剤(1または複数)のコンジュゲートの代謝変換又は溶解の結果として生じる放出が含まれると企図される。
【0082】
[0098] 「即時放出」という句は、本明細書において、身体へ導入されて、それが投与される部位において溶解するか又はそこで吸収されることが可能であり、薬物の溶解又は吸収を遅延又は延長させる意図がない、1以上の治療薬剤へ言及するために使用される。
【0083】
[0099] 二種類の製剤(継続放出と即時放出)は、一緒に使用してよい。持続放出と即時放出は、同じデポー剤の1以上の中にあってよい。様々な態様において、持続放出と即時放出は、別々のデポー剤の一部であってよい。例えば、クロニジンのボーラス又は即時放出製剤を標的部位又はその付近に配置してよく、継続放出製剤も同じ部位又はその付近に配置してよい。従って、ボーラス(放出製剤)が完全に受け入れられた(accessible)後でも、継続放出製剤は、有効成分を企図された組織へ提供し続けるものである。
【0084】
[00100] 様々な態様において、薬物デポー剤は、埋込み後の最初の48時間又は24時間以内に治療薬剤の初期バースト投薬を引き起こすように設計される。「初期バースト」又は「バースト効果」又は「ボーラス用量」は、デポー剤が水性の体液(例えば、滑液、脳脊髄液、等)と接触した後の最初の48時間又は24時間の間に治療薬剤がデポー剤より放出されることを意味する。いくつかの態様では、この初期バースト効果を回避するように薬物デポー剤を設計する。
【0085】
[00101] 様々な態様において、薬物デポー剤は、クロニジン又はその医薬的に許容される塩のボーラス用量(例えば、皮膚の下の標的部位で100μg〜300μg)を放出する1以上の異なる放出層(1または複数)とクロニジン又はその医薬的に許容される塩の有効量を3〜30日、3〜10日、又は7〜10日の期間にわたり放出する1以上の持続放出層(1または複数)を含有する。様々な態様において、1以上の即時放出層(1または複数)はPLGAを含み、これは、PLGAより遅い速度で分解するPLAを含む、1以上の持続放出層(1または複数)より速く分解する。
【0086】
[00102] 様々な態様において、薬物デポー剤がゲル剤を含むとき、そのゲル剤は、約1〜約2000センチポアズ(cps)、1〜約500 cps、1〜約200 cps、又は1〜約100 cpsの範囲の投薬前粘度を有してよい。ゲル剤を標的部位へ投与した後で、ゲル剤の粘度は増加して、ゲル剤は、約1×102〜約6×105ダイン/cm2、又は2×104〜約5×105ダイン/cm2、又は5×104〜約5×105ダイン/cm2の範囲の弾性係数(ヤング率)を有するものである。
【0087】
[00103] 1つの態様において、ゲル剤は、ゲル剤全体に等しく分布する治療薬剤を含む付着性ゲル剤であってよい。ゲル剤は、先に示したような、どの好適なタイプであってもよく、一度配置されたならばゲル剤がその標的指向された送達部位より移動することを防ぐほどに十分粘稠であるべきであり;ゲル剤は、標的指向された組織部位へ実効的に「粘着」又は付着するべきである。ゲル剤は、例えば、標的指向された組織との接触時に、又は標的指向される送達系からの配置の後で固化してよい。標的指向される送達系は、例えば、シリンジ、カテーテル、針、又はカニューレ、又は他の好適なデバイスであってよい。標的指向される送達系は、標的指向された組織部位の中又は上にゲル剤を注射又は噴霧することができる。治療薬剤は、標的指向された組織部位にゲル剤が配置される前にゲル剤へ混合してよい。様々な態様において、ゲル剤は、2成分送達系の一部であってよくて、2つの成分が混合されるときには、ゲル剤を成形してそれが標的組織へ粘着又は付着することを引き起こすように化学プロセスが活性化される。
【0088】
[00104] 様々な態様において、ポリマーを含有するゲル製剤では、ゲル剤が硬化する速度にポリマー濃度が影響を及ぼす場合がある(例えば、より高濃度のポリマーを有するゲル剤は、より低濃度のポリマーを有するゲル剤より速やかに凝固し得る)。様々な態様において、ゲル剤が硬化するとき、得られるマトリックスはしっかりとしているが、組織の不規則な表面(例えば、骨の窪みおよび/または突起)に従うことも可能である。
【0089】
[00105] ゲル剤に存在するポリマーの百分率は、ポリマー組成物の粘度にも影響を及ぼす場合がある。例えば、より高いポリマー重量百分率を有する組成物は、典型的には、より低いポリマー重量百分率を有する組成物よりも濃厚でより粘稠である。より粘稠な組成物は、よりゆっくり流動する傾向がある。故に、いくつかの事例では、例えば、製剤を噴霧により適用するときは、より低い粘度を有する組成物が好ましい場合がある。
【0090】
[00106] 様々な態様において、ゲル剤の分子量は、当該技術分野で知られている多くの方法によって変化させることができる。分子量を変化させる方法の選択は、典型的には、ゲル剤の組成(例えば、ポリマー対非ポリマー)によって決定される。例えば、様々な態様において、ゲル剤が1以上のポリマーを含むとき、重合化の度合いは、ポリマー開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル)、有機溶媒又はアクチベータ(例えば、DMPT)、架橋連結剤、重合化剤の量、連鎖移動剤又は連鎖キャッピング剤の取込み、および/または反応時間を変化させることによって制御することができる。
【0091】
[00107] 好適なゲルポリマーは、有機溶媒に溶けてよい。ポリマーの溶媒中の溶解性は、ポリマーの結晶性、疎水性、水素結合、及び分子量に依って変動する。より低分子量のポリマーは、通常、有機溶媒中で高分子量のポリマーより容易に溶ける。高分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル剤は、低分子量ポリマーが含まれるポリマー組成物より速やかに凝固又は固化する傾向がある。高分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル製剤はまた、低分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル剤より高い溶液粘度を有する傾向がある。
【0092】
[00108] 様々な態様において、ゲル剤は、ゲル剤の分子量と分解時間の測定値である、固有粘度(「I.V.」と略されて、単位は、デシリットル/グラムである)を有する(例えば、高い固有粘度のゲル剤は、より高い分子量とより長い分解時間を有する)。典型的には、高分子量のゲル剤は、より強いマトリックスを提供して、そのマトリックスは、分解するのにより多くの時間がかかる。対照的に、低分子量のゲル剤は、より速やかに分解して、より軟らかなマトリックスを提供する。様々な態様において、ゲル剤は、約0.10 dL/g〜約1.2 dL/g又は約0.10 dL/g〜約0.40 dL/gの固有粘度によって示されるような分子量を有する。他のIV範囲には、限定されないが、約0.05〜約0.15 dL/g、約0.10〜約0.20 dL/g、約0.15〜約0.25 dL/g、約0.20〜約0.30 dL/g、約0.25〜約0.35 dL/g、約0.30〜約0.35 dL/g、約0.35〜約0.45 dL/g、約0.40〜約0.45 dL/g、約0.45〜約0.50 dL/g、約0.50〜約0.70 dL/g、約0.60〜約0.80 dL/g、約0.70〜約0.90 dL/g、及び約0.80〜約1.00 dL/gが含まれる。
【0093】
[00109] 様々な態様において、ゲル剤は、約300〜約5,000センチポアズ(cp)の粘度を有し得る。他の態様において、ゲル剤は、室温で、約5〜約300 cps、約10 cps〜約50 cps、約15 cps〜約75 cpsの粘度を有し得て、これによりそれを標的部位又はその付近で噴霧することが可能になる。
【0094】
[00110] 様々な態様において、薬物デポー剤は、粘度を高めて薬物の放出を制御する材料を含んでよい。そなどの材料には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとその塩、Carbopol、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエトキシエチルメタクリレート)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 500、PEG 550、PEG 600、PEG 700、PEG 800、PEG 900、PEG 1000、PEG 1450、PEG 3350、PEG 4500、PEG 8000、又はこれらの組合せを含めてよい。例えば、様々な態様において、薬物デポー剤は、約2.5重量%〜5重量%のクロニジン、約85重量%〜87.5重量%のPLGA、及び約10重量%のmPEGを含む。
【0095】
[00111] 薬物デポー剤の放出プロフィールは、とりわけ、薬物デポー剤の成分の粒径分布を制御することによっても制御することができる。様々な態様において、薬物デポー剤の成分(例えば、クロニジン、ゲル剤、等)の粒径分布は、約10μM〜200μMの範囲にあってよく、それで薬物デポー剤は、注射、噴霧、点滴注入、等によって標的部位又はその付近へ容易に送達することができる。様々な態様において、粒径は、10μM、13μM、85μM、100μM、151μM、200μM、及びその間のすべてのサブ範囲であってもよい。
【0096】
[00112] 様々な態様において、薬物デポー剤は、合成又は天然起源の高分子量の生体適合性エラストマーポリマーより作られるヒドロゲル剤を含んでよい。ヒドロゲル剤が有する望ましい特性は、人体において、機械応力(特に、剪断と荷重)へ迅速に対応する能力である。
【0097】
[00113] 天然源より得られるヒドロゲル剤が特に興味深いのは、それらが in vivo での適用のために生分解性で生体適合性である可能性がより高いからである。好適なヒドロゲル剤には、例えば、ゼラチン、コラーゲン、シルク、エラスチン、フィブリンなどの天然ヒドロゲル剤とアガロースなどの多糖由来ポリマー、及びキトサン、グルコマンナンゲル、ヒアルロン酸、架橋連結カルボキシル含有多糖などの多糖、又はこれらの組合せが含まれる。合成ヒドロゲル剤には、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びポリ(アクリロニトリル-アクリル酸)などのアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 3350、PEG 4500、PEG 8000)、シリコーン、ポリイソブチレン及びポリイソプレンなどのポリオレフィン、シリコーン及びポリウレタンの共重合体、ネオプレン、ニトリル、硫化ゴム、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)などのアクリレート、N-ビニルピロリドンとアクリレートの共重合体、N-ビニルラクタム、ポリアクリロニトリル、又はこれらの組合せより生成されるものが含まれる。ヒドロゲル剤の材料は、必要に応じてさらに架橋連結して、さらなる強度を提供してよい。異なる種類のポリウレタンの例には、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタン、脂肪族又は芳香族ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネート-ウレタン、又はシリコーンポリエーテル-ウレタン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0098】
[00114] 様々な態様では、治療薬剤をゲル剤中へ直に混合するのではなく、マイクロスフェア剤をゲル剤の内側に分散させてよく、マイクロスフェア剤には、クロニジンが負荷される。1つの態様において、マイクロスフェア剤は、クロニジンの持続放出をもたらす。なお別の態様において、生分解性であるゲル剤は、マイクロスフェア剤がクロニジンを放出することを妨げるので、マイクロスフェア剤は、それがゲル剤より放出されてしまうまで、クロニジンを放出しない。例えば、標的組織部位(例えば、神経根)の周囲にゲル剤を配置してよい。ゲル剤の内側には、所望の治療薬剤を被包化する複数のマイクロスフェア剤が分散している。これらマイクロスフェア剤のあるものは、一度ゲル剤より放出されたならば分解して、それによりクロニジンを放出する。
【0099】
[00115] マイクロスフェア剤は、周囲の組織タイプに依って、体液と同様に、比較的速やかに分散して、それによりクロニジンを分散させることができる。ある状況では上記が望ましい可能性があるが、他の状況では、クロニジンを明確に定義された標的部位へ緊密に束縛したままにすることがより望ましい可能性がある。本発明では、治療薬剤の分散を束縛するような付着性ゲル剤の使用も考慮する。これらのゲル剤は、例えば、椎間板腔に、脊柱管に、又は周囲組織に配置してよい。
【0100】
薬物送達
[00116] 当業者には、デポー剤を、薬物送達デバイス(例えば、シリンジ、銃式(gun)薬物送達デバイス、又は指向された臓器又は解剖領域への薬物の適用に適したあらゆる医療用デバイス)の一部であってもよい「カニューレ」又は「針」を使用して標的部位へ投与し得ることが理解されよう。薬物デポー剤デバイスのカニューレ又は針は、患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど引き起こさないように設計される。
【0101】
[00117] カニューレ又は針には、例えば、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマーオレフィン、コポリエステル、及びスチレン熱可塑性エラストマー、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、高含量の非鉄金属と低相対比率の鉄を有する金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミックス、又はこれらの組合せなどの材料より作製され得るチューブが含まれる。カニューレ又は針には、1以上の先細り領域が含まれてもよい。様々な態様において、カニューレ又は針は、斜めに切られてよい。カニューレ又は針は、埋込みの部位に依存して、患者の正確な治療に必須の先端形状を有してもよい。先端形状の例には、例えば、Trephine、Cournand、Veress、Huber、Seldinger、Chiba、Francine、Bias、Crawford、偏向チップ、Hustead、Lancet、又はTuohey が含まれる。様々な態様において、カニューレ又は針はまた、ノンコアリングであって、望まれない針突きを避けるためにそれをカバーする鞘を有してよい。
【0102】
[00118] 中空のカニューレ又は針の寸法は、とりわけ、埋込みの部位に依存する。例えば、硬膜外腔の幅は、胸部領域で約3〜5 mmにすぎず、腰部領域で約5〜7 mmである。従って、針又はカニューレは、様々な態様において、これらの具体的領域用に設計することができる。様々な態様において、カニューレ又は針は、経椎間孔アプローチを使用して、、例えば炎症した神経根に沿って脊椎孔空間に挿入してよく、薬物デポー剤は、その症状を治療するためにこの部位に埋め込んでよい。典型的には、経椎間孔アプローチは、椎間孔を通って椎間腔に接近することを伴う。
【0103】
[00119] カニューレ又は針の長さのいくつかの例には、限定されないが、約50〜150 mmの長さ(例えば、硬膜外の小児使用では約65 mm、標準成人用では約85 mm、そして肥満の成人患者では約110 mm)が含まれる。カニューレ又は針の厚さもまた、埋込みの部位に依存する。様々な態様において、その厚さには、限定されないが、約0.05〜約1.655が含まれる。カニューレ又は針のゲージは、ヒト又は動物の身体への挿入のために、最も広い直径又は最も狭い直径でも、その間の直径でもよい。最も広い直径は、典型的には約14ゲージであり、一方、最も狭い直径は、約22ゲージである。様々な態様において、針又はカニューレのゲージは、約18〜約22ゲージである。
【0104】
[00120] 様々な態様において、薬物デポー剤および/またはゲル剤と同じように、カニューレ又は針には、使用者が数多くの診断造影手法のいずれかを使用してデポー剤を皮膚の下の部位又はその付近へ正確に位置づけられるように、その部位又はその付近での位置を示すX線撮影用マーカーが含まれる。そなどの診断造影手法には、例えば、X線造影法又は蛍光透視法が含まれる。そなどのX線撮影用マーカーの例には、限定されないが、バリウム、ビスマス、タンタル、タングステン、ヨウ素、カルシウム、および/または金属のビーズ又は粒子が含まれる。
【0105】
[00121] 様々な態様において、針又はカニューレには、超音波、蛍光透視法、X線、又は他の造影技術によって可視化し得る透明又は半透明の部分を含めてよい。そなどの態様において、透明又は半透明の部分には、その材料又はトポグラフィーの非存在時に比べて針又はカニューレのコントラストを高める、放射線不透過性材料又は超音波応答性トポグラフィーを含めてよい。
【0106】
[00122] 薬物デポー剤、および/または薬物を投与するための医療用デバイスは、滅菌可能であってもよい。様々な態様において、薬物デポー剤、および/または薬物を投与するための医療用デバイスの1以上の成分は、最終包装時の最終滅菌工程において放射線によって滅菌される。製品の最終滅菌は、個々の製品成分を別々に滅菌して、最終包装を無菌環境で組立てることが求められる無菌プロセスなどの方法よりも大きな無菌状態の保証を提供する。
【0107】
[00123] 典型的には、様々な態様において、デバイスに深く透過するγ線由来のイオン化エネルギーを利用することを伴う、最終滅菌工程においてγ放射線を使用する。γ線は、微生物を殺すのにきわめて有効であり、それらは、残留物を残さないし、デバイスへ放射活性を付与するほど十分なエネルギーは有さない。γ線は、デバイスが包装状態にあって、γ線滅菌が高圧も真空条件も必要とせず、包装シールと他の成分に応力がかからないときに、利用することができる。さらに、γ放射線は、透過可能な包装材料の必要性を除去する。
【0108】
[00124] 様々な態様では、デバイスの1以上の成分を滅菌するために電子ビーム(e-ビーム)放射線を使用してよい。e-ビーム放射線は、一般に低い透過率と高い線量率を特徴とするイオン化エネルギーの形態を含む。e-ビーム照射は、微生物の生殖細胞を含めて、様々な化学及び分子の結合を接触時に変化させる点では、γ線処理に似ている。e-ビーム滅菌のために産生されるビームは、電気の加速及び変換によって産生される、濃縮された高荷電の電子流である。e-ビーム滅菌は、例えば、薬物デポー剤がゲル剤に含まれるときに使用してよい。
【0109】
[00125] デポー剤および/またはデバイスの1以上の成分を滅菌するのに他の方法も使用してよく、限定されないが、ガス滅菌(例えば、酸化エチレンを用いるような)又は蒸気滅菌が含まれる。
【0110】
[00126] 様々な態様において、キットを提供するが、それには、薬物デポー剤、および/または薬物デポー剤(例えば、リボン様ストリップ剤)を埋め込むために使用される、一緒に組み合わされた医療用デバイスとともに、追加のパーツを含めてよい。キットには、第一のコンパートメントに薬物デポー剤デバイスを含めてよい。第二のコンパートメントには、薬物デポー剤と局所化薬物送達に必要とされる他のあらゆる機器を保持するケースを含めてよい。第三のコンパートメントには、埋め込み法の無菌状態を維持するためのグローブ、ドレープ、創傷包帯剤、及び他の手技用具、並びに説明用冊子を含めてよい。第四のコンパートメントには、追加のカニューレおよび/または針を含めてよい。各ツールは、プラスチックの小袋に別々に包装して、、これを放射線滅菌することができる。キットのカバーには、埋め込み手技の図解を含めてよく、無菌状態を維持するために、このコンパートメント全体に透明なプラスチックカバーをかけてよい。
【0111】
[00127] 様々な態様において、患者の標的組織部位の中へクロニジンを送達するための方法を提供する。この方法は、カニューレ又は針を標的組織部位又はその付近に挿入して、クロニジンを含有する薬物デポー剤を患者の皮膚の下の標的部位に埋め込むことを含む。様々な態様において、薬物デポー剤を所望の部位へ投与するには、初めにカニューレ又は針を皮膚及び柔組織を介して標的組織部位へ挿入して、薬物デポー剤を標的部位又はその近くに投与する(例えば、注射、埋め込み、点滴注入、噴霧、等)ことができる。薬物デポー剤がゲル剤から分離している態様では、初めにカニューレ又は針を皮膚及び柔組織を介して注射の部位へ挿入することができて、1以上のゲルの基層(1または複数)を標的部位へ投与することができる。1以上の基層(1または複数)の投与に続き、ゲル剤がデポー剤を適所に保持するか又は移動を抑えることができるように、薬物デポー剤を基層(1または複数)の上又は中に埋め込むことができる。必要とあれば、薬物デポー剤を囲んでそれをさらに適所に保持するために、単数又は複数の後続ゲル層をそのデポー剤の上に適用することができる。あるいは、薬物デポー剤を初めに埋め込むか又は注射してから、それを適所に保持するために、薬物デポー剤の周りにゲル剤を配置する(例えば、ブラッシング、滴下、注射、又は塗布、等)ことができる。ゲル剤を使用することによって、患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど与えずに、薬物デポー剤の正確かつ精密な埋込みを達成することができる。様々な態様において、薬物デポー剤は、標的部位へ縫合し得るか、あるいは薬物デポー剤は、縫合せずに埋め込むことができる。例えば、様々な態様において、薬物デポー剤は、ストリップ形状又はリボン形状のデポー剤であって、外科手術の前、間、又は後に標的部位へ配置することができる。別の例として、薬物デポー剤は、ゲル剤の形態でシリンジ又は他の注射可能な送達により、外科手術の前、間、又は後に標的部位へ直接送達することができる。
【0112】
[00128] 様々な態様において、標的部位が脊椎領域を含むとき、初めに体液(例えば、脊髄液、等)の一部をカニューレ又は針を介して標的部位より吸引してから、デポー剤を投与する(例えば、配置、滴下、注射、又は埋込み、等)ことができる。標的部位を再水和させて(例えば、体液の補充)、この水性環境によって、薬物がデポー剤より放出されるようにする。
【0113】
[00129] 疾患又は症状を治療すること又はその治療は、疾患の徴候又は症状を軽減する努力において、患者(正常又は他の状態のヒト)へ1以上の薬物を投与することが含まれ得るプロトコールを実行することを意味する。軽減は、疾患又は状態の徴候又は症状が出現する前に、並びにその出現の後に起こり得る。このように、「治療すること」又は「治療」には、疾患又は望まれない状態を「予防すること」又はその「予防」を含めてよい。加えて、「治療すること」又は「治療」は、徴候又は症状の完全な軽減を必要とせず、治癒を求めず、そして具体的には、患者に対してわずかな効果しか及ぼさないプロトコールも含まれる。「疼痛を抑制すること」には、疼痛の減少が含まれるが、疼痛の徴候又は症状の完全な軽減が求められるわけではなく、治癒を必要としない。様々な態様において、疼痛を抑制することには、疼痛のわずかな減少さえ含まれる。例によれば、1以上の有効投与量のクロニジンの投与を使用して、外科手術に随伴する術後疼痛の症状を予防、治療、又は緩和することができる。
【0114】
[00130] 「局在化」送達には、1以上の薬物が組織の内側、その部位、又は付近に沈積される送達が含まれる。例えば、局在化送達には、神経系の神経根又は脳の領域、又はそれらのごく近傍(例えば、約10 cm以内、又は好ましくは約5 cm以内)への送達が含まれる。「標的指向される送達系」は、外科手術に随伴する疼痛および/または炎症の治療に必要とされるような標的組織部位又はその付近に沈積され得る一定量の治療薬剤を有する1以上の薬物デポー剤(例えば、ゲル剤、又はゲル剤に分散したデポー剤、等)の送達を提供する。
【0115】
[00131] 図1は、外科手術が起こる部位であってもよい、患者内のいくつかの一般的な位置を図解する。図1に図解する位置は、外科手術が起こる、患者内の多くの異なる位置を単に例示していると理解される。例えば、外科手術は、患者の膝(21)、股関節(22)、指(23)、親指(24)、首(25)、及び脊椎(26)で必要とされる場合がある。このように、これらの外科手術の間又はその後で、患者は、術後の疼痛および/または炎症を体験している可能性がある。
【0116】
[00132] 「疼痛」という用語には、侵害刺激と疼痛感覚が含まれ、そのいずれも、当該技術分野でよく知られた疼痛スコアや他の方法を使用して、客観的及び主観的に評価することができる。様々な態様において、疼痛には、異疼痛(例えば、通常は無害な刺激に対する反応の増加)又は痛覚過敏(例えば、通常は有害又は不快な刺激に対する反応の増加)を含めてよく、これらはまた、本質的には熱的又は機械的(触覚)であってもよい。いくつかの態様において、疼痛は、熱感受性、機械感受性、および/または安静時痛を特徴とする。他の態様において、疼痛は、機械起因性疼痛、又は安静時痛を含む。なお他の態様において、疼痛は、安静時痛を含む。疼痛は、当該技術分野でよく知られているように、原発性又は続発性の疼痛であってもよい。本明細書に開示される方法及び組成物によって抑制可能、予防可能、又は治療可能な疼痛の例示的な種類には、限定なしに、例えば、背中及び腰の領域(下部腰痛)又は頚部領域(頚痛)の術後疼痛、脚痛、神経根性疼痛(腰部外科手術からは腰と脚で、胸部外科手術からは首と腕で体験される)、腹部外科手術からの腹部痛、及び腕、首、背、腰、脚の神経病性疼痛、並びに椎間板又は脊椎の外科手術より生じる関連した疼痛分布が含まれる。神経病性疼痛には、神経根、後根神経節、又は末梢神経への外科手術より生じる疼痛を含めてよい。
【0117】
[00133] 様々な態様において、疼痛は、「外科手術後疼痛」又は「術後疼痛」又は「外科手術起因性疼痛」より生じ、これらは本明細書において交換可能的に使用されて、外科手術手技(例えば、ヘルニア修復、整形又は脊椎外科手術、等)に続く数秒、数分、数時間、数日、又は数週の回復期間に生じる疼痛を意味する。外科手術手技には、皮膚の下に穿通して患者へ疼痛および/または炎症を引き起こすあらゆる手技が含まれる。外科手術手技には、関節鏡外科手術、塊の切除、脊椎癒合、胸部、頚部、又は腰部外科手術、骨盤外科手術、又はこれらの組合せも含まれる。
【0118】
[00134] 「疼痛管理投薬」という句には、疼痛を完全に抑制、予防、軽減、又は除去するために投与される1以上の治療薬剤が含まれる。これらには、抗炎症剤、筋弛緩薬、鎮痛薬、麻酔薬、麻薬、等、又はこれらの組合せが含まれる。
【0119】
[00135] 様々な態様において、外科手術後疼痛又は術後疼痛又は外科手術起因性疼痛には、炎症が伴う。炎症は、外傷又は外科手術に対する急性応答であってもよい。組織が傷害されるときは、TNF-αが細胞へ付着して、炎症を引き起こす他のサイトカインを放出させる。この炎症カスケードの目的は、傷害組織の治癒を促進することであるが、組織が治癒したらすぐに炎症プロセスが必ず終わるわけではない。放置しておけば、これは周囲組織の分解と関連する疼痛をもたらす可能性がある。このように、疼痛は、それ自体が疾患状態になり得る。即ち、この経路が活性化されるときに、炎症及び疼痛が続くのである。しばしば、発作、炎症、及び疼痛の終わりなきように見える悪魔のサイクルが始まる。
【0120】
[00136] 疼痛および/または炎症の管理(例えば、術後の疼痛および/または炎症の管理)における使用にデポー剤が適している1つの例示的な態様を図2に例解する。図2に概略的に示すのは、シリンジ、カニューレ、又は針を皮膚(34)の下から脊椎部位(32)(例えば、椎間板腔、脊柱管、脊椎周囲の柔組織、神経根、等)へ使用して薬物デポー剤を挿入し得る、脊椎及び部位の側面図であり、1以上の薬物デポー剤(28及び32)が脊椎に沿った様々な部位へ送達される。このようにして、いくつかの薬物デポー剤が埋め込まれるとき、それらは、位置、正確なスペーシング、及び薬物分布を最適化するやり方で埋め込まれる。
【0121】
[00137] 上記のように脊椎部位を示したが、薬物デポー剤は、限定されないが、少なくとも1つの筋肉、靭帯、腱、軟骨、椎間板、脊椎孔空間、脊髄神経根付近、又は脊柱管が含まれる、皮膚の下のどの部位へも送達することができる。様々な態様において、クロニジンを含有する薬物デポー剤は、術中に、静脈内、筋肉内、連続的又は間欠的な注入、腹腔内、胸骨内、皮下、髄腔内、椎間板内、椎間板周囲、硬膜外、脊椎周囲、関節内の注射、非経口、又はこれらの組合せにより患者へ投与することができる。いくつかの態様において、注射は、髄腔内注射であり、これは、脊柱管(脊髄を囲む髄腔スペース)への注射を意味する。注射は、筋肉又は他の組織中でもよい。
【0122】
[00138] いくつかの態様では、望まれない効果(例えば、クロニジンによって引き起こされ得る血圧低下)に対抗するアンタゴニストとクロニジンを同時投与することが好ましい。例示的なアンタゴニストには、限定されないが、フェントラミン、ヨヒンビン、トラゾリン、及びピペロキサンが含まれる。追加的に、5-フルオロデオキシウリジン(FUDR)及び3,4-デヒドロプロレンなどの化合物も含めてよい。これらの化合物は、ある種の外科手術手技と関連した神経膠及び線維芽細胞の瘢痕形成を防ぐか又は抑える可能性がある。
【0123】
[00139] 本出願のクロニジンベースの製剤は、医薬調製物の形態の医薬品として使用してよい。この調製物は、固体又は液体で、有機又は無機であってもよい好適な医薬担体との投与において成形して、所望されるように非経口又は他の投与に適した形態で配置してよい。当業者が知っているように、既知の担体には、限定されないが、水、ゼラチン、乳糖、デンプン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、シカリル(sicaryl)アルコール、タルク、植物油、ベンジルアルコール、ゴム、ワックス、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、及び医薬品用の他の既知担体が含まれる。
【0124】
[00140] 非経口投与には、追加的に、例えば、医薬組成物(例えば、鎮痛薬及び抗炎症薬の組合せ)を脊椎又は1以上の炎症関節の近くへカテーテルを介して投与する注入ポンプ、標的部位又はその付近に挿入し得る埋込型ミニポンプ、一定量のスタチンを時間ごとに、又は間欠的なボーラス用量で放出し得る埋込型制御放出デバイス又は持続放出送達系を含めてよい。使用に適したポンプの1例は、SynchroMed(登録商標)(Medtronic, ミネソタ州ミネアポリス)ポンプである。このポンプは、3つの密閉チャンバを有する。第一のものは、電子モジュールと電池を含有する。第二のものは、ペリスタポンプと薬物レザバーを含有する。第三のものは不活性ガスを含有し、これは、医薬組成物をペリスタポンプ中へ押しやるのに必要とされる圧力を提供する。ポンプを満たすのに、医薬組成物は、リザバー充填口を通って拡張可能リザバーへ注入される。不活性ガスがリザバーに圧力をかけて、その圧力が医薬組成物をフィルターを介してポンプチャンバへ押しやる。次いで、医薬組成物は、ポンプチャンバからデバイスの外へ汲み出されてカテーテルへ入り、標的部位での沈積に指向される。医薬組成物の送達速度は、マイクロプロセッサーによって制御される。これにより、類似量又は異なる量の医薬組成物を特定の時間に連続的に、又は送達間の設定間隔で送達するようにポンプを使用することが可能になる。
【0125】
[00141] 様々な態様において、標的組織部位が血管を含む場合、薬物デポー剤中に血管収縮薬を利用してよい。血管収縮薬が放出されるとき、それは、鎮痛応答の期間を長くして、その薬剤の全身取込みを抑える。鎮痛薬は、例えば、クロニジンであってよくて、血管収縮薬は、例えば、エピネフリン又はフェニレフリンであってよい。
【0126】
[00142] 「患者」という用語は、「哺乳動物」という命名法の群からの生物を意味し、限定されないが、ヒト、チンパンジー、類人猿、オランウータン、及びサルなどの他の霊長動物、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、等が含まれる。
【0127】
クロニジンデポー剤を作製する方法
[00143] 様々な態様において、クロニジンを含んでなる薬物デポー剤は、生体適合性ポリマーとクロニジン又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を組み合わせる工程と、その組合せより埋込型薬物デポー剤を成形する工程によって作製することができる。
【0128】
[00144] 薬物デポー剤の少なくとも一部を生体適合性ポリマー(1または複数)、治療薬剤(1または複数)、及び任意選択の材料より成形するための様々な技術が利用可能であり、溶液加工技術および/または熱可塑加工技術が含まれる。溶液加工技術を使用する場合、典型的には、1以上の溶媒種を含有する溶媒系が選択される。溶媒系は、一般的には、注目される少なくとも1つの成分、例えば、生体適合性ポリマーおよび/または治療薬剤にとって良好な溶媒である。溶媒系を構成する特別な溶媒種は、乾燥速度及び表面張力が含まれる、他の特性に基づいて選択することもできる。
【0129】
[00145] 溶液加工技術には、溶媒キャスティング技術、スピンコーティング技術、ウェブコーティング技術、溶媒噴霧技術、ディッピング技術、空気サスペンションが含まれる機械サスペンションによるコーティング(例えば、流動コーティング)を伴う技術、インクジェット技術、及び静電技術が含まれる。適切な場合、所望の放出速度と所望の厚さを得るためにデポー剤を構築するには、上記に列挙したような技術を繰り返すか又は組み合わせることができる。
【0130】
[00146] 様々な態様では、溶媒を含有する溶液と生体適合性ポリマーを組み合わせて、所望のサイズ及び形状の型へ入れる。このようにして、バリアー層、滑面層、等が含まれるポリマー領域を成形することができる。所望されるならば、この溶液剤は、以下:クロニジンと他の治療薬剤(1または複数)とX線造影剤(1または複数)、等の他の任意選択の添加剤、を溶解型又は分散型でさらに含むことができる。これにより、溶媒除去後には、上記の分子種を含有するポリマーマトリックス領域が得られる。他の態様では、溶解又は分散した治療薬剤とともに溶媒を含有する溶液剤を、溶液加工及び熱可塑加工の技術が含まれる多様な技術を使用して成形し得る既存のポリマー領域へ適用すると、このとき治療薬剤は、ポリマー領域中へ吸収される。
【0131】
[00147] デポー剤又はその一部を成形するための熱可塑加工技術には、成形技術(例えば、注入成形、回転成形、等)、押出技術(例えば、押出、共押出、多層押出、等)、及び鋳造法が含まれる。
【0132】
[00148] 熱可塑加工法は、様々な態様に従って、1以上の段階において、生体適合性ポリマー(1または複数)と以下:クロニジン、任意選択の追加の治療薬剤(1または複数)、X線造影剤(1または複数)、等を混合又は調合することを含む。次いで、得られる混合物を埋込型薬物デポー剤へ成形する。この混合及び成形の操作は、そなどの目的のために当該技術分野で知られている慣用のデバイスのいずれも使用して実施してよい。
【0133】
[00149] 熱可塑加工の間、治療薬剤(1または複数)には、例えば、そなどの加工に伴う上昇温度および/または機械的剪断力により分解する潜在可能性が存在する。例えば、クロニジンは、通常の熱可塑加工条件の下で、実質的な分解を受ける場合がある。従って、加工は、好ましくは、治療薬剤(1または複数)の実質的な分解を防ぐ、改善された条件の下で実施する。熱可塑加工の間にはいくらかの分解が不可避であってもよいと理解されるが、分解は、一般的には、10%以下へ制限される。治療薬剤(1または複数)の実質的な分解を回避するために加工の間に制御し得る加工条件には、温度、適用される剪断速度、適用される剪断応力、治療薬剤を含有する混合物の滞留時間、並びにポリマー材料と治療薬剤(1または複数)を混合する技術がある。
【0134】
[00150] 生体適合性ポリマーを治療薬剤(1または複数)とあらゆる追加の添加剤と混合又は調合してその実質的に均質な混合物を成形することは、当該技術分野で知られていて、ポリマー材料を添加剤と混合するために慣用的に使用されるどのデバイスでも実施してよい。
【0135】
[00151] 熱可塑性材料を利用する場合、様々な添加剤(例えば、治療薬剤(1または複数)、不活性成分、等)と混合し得る生体適合性ポリマーを加熱することによってポリマー溶融物を生成して、混合物を生成してよい。そのようにする一般的な方法は、生体適合性ポリマー(1または複数)及び添加剤(1または複数)の混合物へ機械的剪断力をかけることである。この形式で生体適合性ポリマー(1または複数)と添加剤(1または複数)を混合し得るデバイスには、単軸押出機、二軸押出機、バンバリー型混合機、高速混合機、ross圧力鍋、等のデバイスが含まれる。
【0136】
[00152] 生体適合性ポリマー(1または複数)と様々な添加剤のいずれも、所望されるならば(例えば、他の理由に増して、治療薬剤の実質的な分解を防ぐために)、最終の熱可塑性の混合及び成形プロセスに先立って、プレ混合してよい。
【0137】
[00153] 例えば、様々な態様では、それが存在すれば治療薬剤の実質的な分解をもたらすはずの温度及び機械的剪断力の条件の下で、生体適合性ポリマーをX線造影剤(例えば、放射線不透過剤)とプレ調合する。次いで、このプレ調合された材料をより低い温度及び機械的剪断力の条件下で治療薬剤と混合して、得られる混合物を、クロニジン含有薬物デポー剤へ成形する。逆に、別の態様では、抑えられた温度及び機械的剪断力の条件の下で、生体適合性ポリマーを治療薬剤とプレ調合することができる。次いで、このプレ調合材料を、やはり抑えられた温度及び機械的剪断力の条件の下で、例えば放射線不透過剤と混合して、得られる混合物を薬物デポー剤へ成形する。
【0138】
[00154] 生体適合性ポリマー及び治療薬剤と他の添加剤の混合物を獲得するために使用する条件は、例えば、使用する特定の生体適合性ポリマー(1または複数)及び添加剤(1または複数)、並びに使用する混合デバイスの種類が含まれる、いくつかの要因に依存するものである。
【0139】
[00155] 1例として、異なる温度での混合を促進するために、典型的には、異なる生体適合性ポリマーを軟化させる。例えば、PLGA又はPLAポリマー、放射線不透過剤(例えば、次炭酸ビスマス)、及び加熱および/または機械的剪断力により分解し易い治療薬剤を含んでなるデポー剤を成形する場合、様々な態様において、PGLA又はPLAは、例えば、約150℃〜170℃の温度で放射線不透過剤とプレ混合することができる。次いで、このプレ混合された組成物と治療薬剤を組み合わせて、PGLA又はPLA組成物に典型的であるものより実質的に低い温度及び機械的剪断力の条件で、さらなる熱可塑加工へ処する。例えば、押出機を使用する場合、バレル温度、容量出力は、典型的には、剪断力を制限して、それ故に治療薬剤(1または複数)の実質的な分解を防ぐように制御する。例えば、治療薬剤とプレ混合組成物は、二軸押出機を実質的により低い温度(例えば、100〜105℃)で使用して、そして実質的に抑えられた容量出力(例えば、全容量の30%未満、これは200 cc/分未満の容量出力に概ね相当する)を使用して、混合/調合することができる。この加工温度は、これらの温度以上での加工は実質的な治療薬剤の分解をもたらすので、クロニジンの融点より十分に低いことが注目される。さらに、ある種の態様では、加工温度が、治療薬剤を含めて組成物内のすべての生理活性化合物の融点未満であることも注目される。調合の後で、得られるデポー剤は、やはり抑えられた温度及び剪断力の条件の下で、所望の形状へ成形される。
【0140】
[00156] 他の態様では、非熱可塑性技術を使用して、生分解性ポリマー(1または複数)と1以上の治療薬剤をプレ混合する。例えば、生体適合性ポリマーは、1以上の溶媒種を含有する溶媒系に溶かすことができる。どの所望の薬剤(例えば、放射線不透過剤、治療薬剤、又は放射線不透過剤と治療薬剤の両方)もこの溶媒系に溶かすか又は分散させることができる。次いで、得られる溶液/分散液より溶媒を除去して、固体材料を生成する。次いで、得られる固体材料は、所望されるならば、さらなる熱可塑加工(例えば、押出)のために造粒することができる。
【0141】
[00157] 別の例として、治療薬剤は、溶媒系に溶かすか又は分散させることができて、次いでこれを既存の薬物デポー剤(この既存の薬物デポー剤は、溶解及び熱可塑加工技術が含まれる多様な技術を使用して成形し得て、放射線不透過剤および/または粘度増強剤が含まれる多様な添加剤を含み得る)へ適用すると、このとき治療薬剤は、薬物デポー剤の上又は中に吸収される。次いで、上記のように、得られる固体材料は、所望されるならば、さらなる加工のために造粒することができる。
【0142】
[00158] 典型的には、生体適合性ポリマー(1または複数)、治療薬剤(1または複数)、及び放射線不透過剤(1または複数)を含んでなる薬物デポー剤を成形するために、押出法を使用してよい。共押出法も利用してよく、これは、同一又は異種の層又は領域を含んでなる薬物デポー剤(例えば、即時および/または持続薬物放出を可能にする流体透過性を有する1以上のポリマーマトリックス層又は領域を含んでなる構造体)を産生するために使用することができる成形法である。共注入又は連続注入成形技術などの他の加工技術及び成形技術によって、多重領域デポー剤も成形することができる。
【0143】
[00159] 様々な態様において、熱可塑加工法より出現し得るデポー剤(例えば、リボン剤、ペレット剤、ストリップ剤、等)は、冷却される。冷却法の例には、空気冷却、および/または冷却浴中の浸漬が含まれる。いくつかの態様では、押出されたデポー剤を冷却するために水浴を使用する。しかしながら、治療薬剤が水溶性である場合、治療薬剤の水浴への無用な損失を回避するために、浸漬時間は、最小限に保つべきである。
【0144】
[00160] 様々な態様では、浴より出した後に、周囲温か又は温かい空気ジェットの使用により水分又は湿分をすぐに除去することで、薬物のデポー剤表面での再結晶も防いで、その結果、この放出プロフィールが望まれていない場合に、埋込み又は挿入時の高い薬物用量の「初期バースト」又は「ボーラス用量」を制御又は最小化する。
【0145】
[00161] 様々な態様では、薬物をポリマーと混合又は噴霧してから、そのデポー剤を所望の形状へ成形することによって、薬物デポー剤を製造することができる。様々な態様では、クロニジンをPLGA、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)ポリマー、および/またはポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン)ポリマーとともに使用して混合又は噴霧して、そして得られるデポー剤を押出によって成形して、乾燥させてよい。
【0146】
[00162] 例示的な製剤には、0.1〜10%のクロニジン、75〜94%のPLGA、及び5〜15%のmPEGがある。これら製剤の中には、10%と30%の間の有効成分を1日目に、そして有効成分の全部又は実質的に全部を10日目までに放出するものがある。これら製剤の中には、15%と25%の間の有効成分を1日目に、そして生成物の全部又は実質的に全部を10日目までに放出するものがある。
【0147】
[00163] 別の例示的な態様では、術後疼痛を抑制、予防、又は治療するような治療を必要とする患者においてそれを抑制、予防、又は治療するのに有用な埋込型薬物デポー剤を提供する。この埋込型薬物デポー剤は、治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を含み、そして該デポー剤は、術後疼痛を抑制、予防、又は治療するために、皮膚の下の部位に埋め込み可能である。この薬物デポー剤は、(i)薬物デポー剤に負荷したクロニジン又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約15%〜約45%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を48時間までの第一期間にわたり放出することが可能である1以上の即時放出層(1または複数)と(ii)薬物デポー剤に負荷したクロニジン又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約55%〜約85%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を4〜10日までのそれに引き続く期間にわたり放出することが可能である1以上の持続放出層(1または複数)を含む。
【0148】
[00164] なお別の例示的な態様では、デポー剤が(i)治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩;(ii)ボーラス用量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を皮膚の下の部位で放出することが可能である1以上の即時放出層(1または複数);及び(iii)有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を4〜10日の期間にわたり放出することが可能である1以上の持続放出層(1または複数)を含む、埋込型薬物デポー剤を提供する。1以上の即時放出層(1または複数)は、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、D-ラクチド、D,L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド)、L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン)、ポリカプロラクトン、又はこれらの組合せの1以上を含み、1以上の持続放出層(1または複数)は、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、D-ラクチド、D,L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド)、L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン)、ポリカプロラクトン、又はこれらの組合せの1以上を含む。
【0149】
[00165] 本発明について今や概ね記載したので、以下の実施例(これは、例示のために提供して、他に特定しなければ、本発明を限定することを企図しない)への以下の言及を通して、それはより容易に理解することができよう。
【実施例】
【0150】
実施例1
[00166] 以下の手順に従って、クロニジンを含んでなるインプラント剤を製造した。
【0151】
[00167] 材料:50:50のラクチド対グリコリドモル比、8 kDaの分子量、0.12 dL/gの固有粘度、及び酸末端キャップポリマー鎖末端を有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA50501A)を Lakeshore Biomaterials(アラバマ州バーミンガム)より購入した。クロニジンHClを Spectrum Chemicals(カリフォルニア州ガーデナ)より購入した。550の平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(mPEG)をシグマ・アルドリッチより購入した。メタノールとアセトンもシグマ・アルドリッチより購入した。
【0152】
[00168] 方法:
[00169] スプレー乾燥クロニジンHClの製造:クロニジンHClをメタノールに溶かして、12%(w/w)溶液を得た。この溶液を、120 kHz Sono-Tek超音波ノズル(Sono-Tek 社、ニューヨーク州ミルトン)を使用するBuchi B-290 Mini Spray Dryer(Buchi Laboratorium AG, スイス)においてスプレー乾燥させた。加工処理変数は以下のように設定した:インレット温度(70℃)、アスピレーター(80%)、窒素インレット(50 mm)、スプレー流速(80 mL/時間)、及び超音波発生器(0.8ワット)。スプレー乾燥した粉末を採取して、70℃及び15 mmHgの真空でさらに24時間乾燥させた。
【0153】
[00170] 溶融押出ロッド剤の製造:溶融押出用に2つの製剤を製造した。両製剤は、Retsch(Retsch GmbH, ドイツ)ローターミルを80マイクロメートルふるいフィルターとともに使用して粉末へ粉砕した、PLGA50501Aを含有した。第一のそなどの製剤は、85%(w/w)の粉砕PLGA50501A、5%(w/w)のスプレー乾燥クロニジンHCl、及び10%(w/w)のmPEGを含有した。第二の製剤は、87.5%(w/w)の粉砕PLGA50501A、2.5%(w/w)のスプレー乾燥クロニジンHCl、及び10%(w/w)のmPEGを含有した。両製剤をスパーテルで乾燥混合させた後で、Haake Mini-Lab二軸押出機(Thermo Fischer Scientific, マサチューセッツ州ウォルサム)へ供給した。押出機の設定は、以下の通りであった:2.5%及び5%のクロニジン製剤に対して、70℃及び30 RPM。両製剤を1.5 mm径のダイス型より押出した。
【0154】
[00171] ストリップ剤の製造:押出された製剤を、50℃に設定したCarver Laboratory Heat Press(Carver 社、インディアナ州ワバシ)を使用して、所望の厚さのシート剤へ圧延した。このシート剤をレーザーブレードにより切断して、所望の寸法のストリップ剤又はリボン剤を成形した。このストリップ剤又はリボン剤の寸法は、以下のようであった(LxWxHは、長さx幅x高さである):2.5%クロニジン製剤を含んでなるストリップ剤又はリボン剤は、9 mm×1.5 mm×0.5 mmであり、5.0%クロニジン製剤を含んでなるストリップ剤又はリボン剤は、9 mm×1.5 mm×0.5 mmであった。このストリップ剤又はリボン剤のサイズは、ラットの足インプラント剤のために選択したことに留意される。
【0155】
[00172] In Vitro 薬物溶出試験:それぞれのストリップ又はリボンインプラント剤について同一3検体で試験して、薬物溶出試験のために20 mLシンチレーションバイアルに入れた。5%クロニジン及び2.5%クロニジンのストリップ剤又はリボン剤を、5 mLのリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)(Hyclone)において37℃で穏和な撹拌下にインキュベートした。予め選択した時点で、緩衝液を分析用に取り出して、新鮮な緩衝液媒体と交換した。Molecular Devices SpectraMax M2(カリフォルニア州サニーヴェイル)プレートリーダーによって、クロニジンの薬物含量を226 nmで定量した。図3及び図4は、ストリップ又はリボンインプラント剤について、クロニジンの平均放出速度をマイクログラム数と百分率で示す。特に、図3において、5%クロニジンストリップ剤(9日で450 mcg以上)は、2.5%クロニジンストリップ剤(9日にわたり200 mcg以上)より速く放出した。図3より、薬物負荷の重量%が大きいほど、薬物の放出が多いことが明らかである。図4において、2.5%クロニジンストリップ剤は、5%クロニジンストリップ剤より速く放出したが、5%クロニジンストリップ剤は、2.5%クロニジンストリップ剤より着実な放出を有した。以下の表1は、5%クロニジンストリップ剤と2.5%クロニジンストリップ剤の溶出プロフィールを要約する。
【0156】
[00173] In vivo データ:上記のクロニジンのインプラント剤について、Brennan ラットにおいて試験して、その in vivo 性能を定量した。この結果を以下の表1に要約する:
表1
【0157】
【表1】

【0158】
[00174] クロニジン1及び2のインプラント剤のすべてで、ポリマーは1ヶ月未満に分解して、取扱いは、ストリップ又はリボン様の剤形へ押出し得る、可鍛性で成形可能な生成物のものであった。クロニジン1及び2のインプラント製剤の効力について、切開後疼痛の Brennan ラットモデルにおいて試験した。これら薬物製剤での処置後の動物モデルにおける疼痛の存在/非存在を評価するための行動エンドポイントとして機械的痛覚過敏を使用した。クロニジン1インプラント剤は、処置を受けない Brennan ラットに比較して、投与後2及び3日目に機械的痛覚過敏の統計学的に有意な低下を示した。一方、クロニジン2インプラント剤は、2、3、及び4日目に機械的痛覚過敏の統計学的な逆転を示した。この予備的な in vivo 試験は、クロニジン1及び2のインプラント製剤が、クロニジンインプラント剤での処置に続く機械的刺激へのラットの行動応答により評価されるように、Brennan ラットにおいて切開後疼痛を治療するとともに有効であることを実証した。図5は、クロニジン1及び2のインプラント剤について、外科手術後の熱刺激足逃避反応潜時をグラム/日で示す(-1日目、外科手術後1日目、2日目、3日目、4日目、6日目、8日目、及び10日目に測定)。図5において、「n」は動物の匹数を表す。これらの測定値は、クロニジン処置動物における機械的痛覚過敏の存在を示唆する。デポー剤を埋め込んだ2日後より始まる、疼痛の有意な減少(*によって示す)があった。
【0159】
実施例2
[00175] ポリマー種類、薬物負荷、及び賦形剤(賦形剤のない製剤も含まれる)を変化させた、クロニジンを含んでなるいくつかのストリップ又はリボンインプラント剤を製造した。ストリップ又はリボンインプラント剤の代表的な製剤を以下の表2に記載する。これらのストリップ又はリボンインプラント剤に対して、クロニジンの放出されるマイクログラム数、並びに累積放出百分率を測定する in vitro 放出試験を含めて、多数の試験を実施した。これらの試験の結果を図6〜図13に表す。
【0160】
[00176] 材料:50:50のラクチド対グリコリドモル比を有して、18 kDaの分子量、0.2 dL/gの固有粘度、及び酸末端キャップポリマー鎖末端を有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(5050DLG 2A)を Lakeshore Biomaterials(アラバマ州バーミンガム)より購入した。10:90のラクチド対カプロラクトンモル比、149 kDaの分子量、1.0 dL/gの固有粘度、及び酸末端キャップポリマー鎖末端を有するポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)(1090 DLCL 10A)を Lakeshore Biomaterials(アラバマ州バーミンガム)より購入した。65:35のラクチド対カプロラクトンモル比、51 kDaの分子量、0.4 dL/gの固有粘度、及び酸末端キャップポリマー鎖末端を有するポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)(6535 DLCL 4A)を Lakeshore Biomaterials(アラバマ州バーミンガム)より購入した。25:75のラクチド対カプロラクトンモル比、62 kDaの分子量、0.5 dL/gの固有粘度、及び酸末端キャップポリマー鎖末端を有するポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)(2575 DLCL 5A)を Lakeshore Biomaterials(アラバマ州バーミンガム)より購入した。クロニジンHClを Spectrum Chemicals(カリフォルニア州ガーデナ)より購入した。非イオン性界面活性剤であるプルロニックF127、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体(ポロキサマー407としても知られる)をBASFより購入した。メタノールとアセトンもシグマ・アルドリッチより購入した。
【0161】
[00177] ストリップインプラント剤の製造法:以下の方法に従っていくつかの製剤を作製して、これら製剤の組成をバッチ番号とともに以下の表2に示す。各製剤について、ポリマー、クロニジン、及び賦形剤(含める場合)をガラス製の凍結乾燥ボトル中へ秤量した。このボトルへ氷酢酸を加えて、ほぼ45分間音波処理して、すべての成分(80 mLの酢酸につきほぼ5グラムの固形物)を溶かした。次いで、この溶液をイソプロピルアルコール/ドライアイス浴において表層(shell)凍結させた。次いで、この凍結材料を24〜72時間凍結乾燥させて、氷酢酸を除去した。次いで、得られるバルク材料中間体を、Carver Laboratory Heat Press(Carver 社、インディアナ州ワバシ)を使用して、薄いフィルム又はシートへ圧延した。0.25 mmシムを65℃で使用してフィルム剤又はシート剤を製造して、5000 psi圧で1分間圧延した。各製剤のシート剤をレーザーブレードにより切断して、所望の寸法のストリップ剤又はリボン剤を成形した。このストリップ剤又はリボン剤のすべての寸法は、長さ10 mm、幅2 mm、厚さ4 mmで、ラットの足用に寸取りした。ストリップ剤又はリボン剤を作製するために使用した製剤の組成を以下の表2にバッチ番号とともに提供して、各製剤より作成したストリップ剤又はリボン剤により毎日放出されるクロニジンの平均量を以下の表2に提供する。
【0162】
表2
【0163】
【表2】

【0164】
[00178] 表2に特定したバッチ番号からのストリップ剤又はリボン剤の取扱い特性に注目した。特に、バッチ番号:00268-15、00268-22、00268-23、及び00268-24のストリップ剤又はリボン剤は、いずれもきわめて柔軟性であることがわかった。バッチ番号:00268-15のストリップ剤は堅く、バッチ番号:00268-22のストリップ剤は軟らかくて、バッチ番号:00268-23及び00268-24のストリップ剤は、粘着性であった。バッチ番号:00268-31、00268-32、00268-33、00268-34、及び00268-35のストリップ剤は、いずれもきわめて柔軟性であることがわかった。
【0165】
[00179] In Vitro 薬物溶出試験:表2のバッチ番号からの各ストリップ剤について同一3検体で試験して、薬物溶出試験のために4 mLシンチレーションバイアルに入れた。それぞれのストリップ剤又はリボン剤を、2 mLのリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)(Hyclone)において37℃で穏和な撹拌下にインキュベートした。予め選択した時点で、緩衝液を分析用に取り出して、新鮮な緩衝液媒体と交換した。薬物含量は、HPLCによって定量した。図6及び図7は、表2のバッチ番号のストリップ剤について、1〜8日目の間のクロニジンの平均放出速度を百分率とマイクログラム数でそれぞれ示す。図8及び図9は、表2からのバッチ番号:00268-15、00268-24、00268-31、及び00268-35のストリップ剤について、1〜8日目の間のクロニジンの平均放出速度を百分率とマイクログラム数でそれぞれ示す。図10及び図11は、表2からのバッチ番号:00268-15、00268-22、00268-31、00268-32、及び00268-33のストリップ剤について、1〜14日目の間のクロニジンの平均放出速度を百分率とマイクログラム数でそれぞれ示す。図12及び図13は、表2からのバッチ番号:00268-24、00268-34、00268-35、及び00268-36のストリップ剤について、1〜14日目の間のクロニジンの平均放出速度を百分率とマイクログラム数でそれぞれ示す。
【0166】
[00180] 本発明者は、初めにバースト放出する製剤と線形の定常放出をする製剤を含めて、広範囲の放出プロフィールを達成することができた。これらの製剤は、少なくとも14日の間、薬物放出をもたらすことに成功した。
【0167】
実施例3
[00181] 薬物負荷を変化させる、いくつかのクロニジンHClインプラント剤を製造した。ストリップ又はリボンインプラント剤の代表的な製剤について以下の表3に記載する。このストリップ又はリボンインプラント剤に対して、クロニジンの放出されるマイクログラム数、並びに累積放出百分率を測定する in vitro 放出試験を含めて、多数の試験を実施した。これらの試験の結果を図14に表す。
【0168】
[00182] 材料:50:50のラクチド対グリコリドモル比、8 kDaの分子量、0.12 dL/gの固有粘度、及び酸末端キャップポリマー鎖末端を有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(5050 DLG 1A)を Lakeshore Biomaterials(アラバマ州バーミンガム)より購入した。クロニジンHClを Spectrum Chemicals(カリフォルニア州ガーデナ)より購入した。550の平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(mPEG)をシグマ・アルドリッチより購入した。メタノールとアセトンもシグマ・アルドリッチより購入した。
【0169】
[00183] スプレー乾燥クロニジンHClの製造法:クロニジンHClをメタノールに溶かして、12%(w/w)溶液を得た。この溶液を、120 kHz Sono-Tek超音波ノズル(Sono-Tek 社、ニューヨーク州ミルトン)を使用するBuchi B-290 Mini Spray Dryer(Buchi Laboratorium AG, スイス)においてスプレー乾燥させた。加工処理変数は以下のように設定した:インレット温度(70℃)、アスピレーター(80%)、窒素インレット(50 mm)、スプレー流速(80 mL/時間)、及び超音波発生器(0.8ワット)。スプレー乾燥した粉末を採取して、70℃及び15 mmHgの真空でさらに24時間乾燥させた。
【0170】
[00184] 溶融押出ロッド剤の製造:溶融押出用にいくつかの製剤を製造した。これらの製剤はいずれも、Retsch(Retsch GmbH, ドイツ)ローターミルを80マイクロメートルふるいフィルターとともに使用して粉末へ粉砕した、5050 DLG 1Aを含有した。これらの製剤のいずれも10%(w/w)のmPEGを含有した。これら製剤のそれぞれの残りは、5050 DLG 1AポリマーとクロニジンHClを以下の表3に示す重量百分率で含有した。この製剤をスパーテルで乾燥混合させた後で、Haake Mini-Lab二軸押出機(Thermo Fischer Scientific, マサチューセッツ州ウォルサム)へ供給した。押出機の設定は、以下の通りであった:製剤のすべてに対して、70℃及び30 RPM。これらの製剤のすべてを1.5 mm径のダイス型より押出した。
【0171】
[00185] ストリップ剤の製造:押出された製剤を、50℃に設定したCarver Laboratory Heat Press(Carver 社、インディアナ州ワバシ)を使用して、所望の厚さのシート剤へ圧延した。このシート剤をレーザーブレードにより切断して、ラットの足に望まれる寸法のストリップ剤又はリボン剤を成形した。これらの製剤より作製したストリップ剤又はリボン剤の寸法を以下の表3に提供する。
【0172】
表3
【0173】
【表3】

【0174】
[00186] In Vitro 薬物溶出試験:表3からの製剤より作製したクロニジンのストリップ又はリボンインプラント剤について同一3検体で試験して、薬物溶出試験のために20 mLシンチレーションバイアルに入れた。このクロニジンのストリップ又はリボンインプラント剤を、5 mLのリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)(Hyclone)において37℃で穏和な撹拌下にインキュベートした。予め選択した時点で、緩衝液を分析用に取り出して、新鮮な緩衝液媒体と交換した。Molecular Devices SpectraMax M2(カリフォルニア州サニーヴェイル)プレートリーダーによって、クロニジンの薬物含量を226 nmで定量した。製剤由来のストリップ剤の薬物負荷を表3に示す。図14は、表3の製剤ID番号:13335-76-4a、13335-76-4d、13335-76-5a、13335-76-5d、及び13335-76-6からのストリップ剤について、1〜12日目の間のクロニジンの平均放出速度(百分率)を示す。クロニジンの in vitro 放出プロフィールを有するクロニジン製剤は、少なくとも11日の間、成功裡に製剤化された(図14)。
【0175】
実施例4
[00187] クロニジンHClゲル製剤を製造した。クロニジンの平均 in vitro 累積放出百分率を測定して、図15に示す。
【0176】
[00188] PLAゲルの製造:ポリ乳酸のドデカノールでの脱重合化
[00189] ポリ乳酸(5.71の固有粘度と15.0グラムの重量)、4-ジメチルアミノピリジン(9.16グラムの重量)、及びドデカノール(5.59グラムの重量)を100 mL丸底フラスコ中へ加え、充満させ、ゴム栓で蓋をして、140℃の油浴に入れた。すべてのものを融かした後でこの材料をその温度で30分間加熱して、磁気撹拌子で自由に撹拌した。冷却後、15 mLのテトラヒドロフランをフラスコへ加えて材料を溶かして、ヘプタンを加えることによって沈殿させた。溶媒をデカントして取り除いた後で、この材料をクロロホルム(30 mL)に溶かし、塩酸(1モル濃度、20 mL、3回)で洗浄して、塩水で1回洗浄した。この溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ロータリーエバポレーションによる溶媒除去の後で、黄色いオイルを入手した(H-NMRによる末端基分析によれば、約800 g/モルのMn)。
【0177】
[00190] クロニジンHClゲル製剤の製造法:この製剤は、99%(w/w)のPLAゲル剤と1%(w/w)のスプレー乾燥クロニジンHClを含有するように製造した。この2つの成分を2 ccの移送カップへ加えて、Flacktek 社のSpeedmixer DAC 150 FVZにおいて2分間混合した。次いで、この混合した製剤を18G 1.5インチの鈍針で1 mL BDシリンジ中へ戻し負荷した。
【0178】
[00191] In Vitro 薬物溶出試験:このゲル製剤の100μLを薬物溶出試験のために20 mLシンチレーションバイアルへ注入した。この製剤を同一3検体で試験して、0.5%(w/w)ドデシル硫酸ナトリウムを含む10 mLのリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)において37℃で穏和な撹拌下にインキュベートした。予め選択した時点で、緩衝液を分析用に取り出して、新鮮な緩衝液媒体と交換した。Molecular Devices SpectraMax M2(カリフォルニア州サニーヴェイル)プレートリーダーによって、クロニジンの薬物含量を226 nmで定量した。得られる製剤(製剤ID:13699-13-2)には、1%のクロニジンHCLが含まれた。図15は、試験した製剤の3つの試料について、クロニジンの1日あたりの平均 in vitro 累積放出百分率を示す。
【0179】
実施例5
[00192] クロニジンHCl製剤を製造して、この製剤より作製したストリップ剤又はリボン剤に対して、クロニジンの放出されるマイクログラム数、並びに累積放出百分率を測定する in vitro 放出試験を含めて、多数の試験を実施した。これらの試験の結果を図16〜図19に表す。
【0180】
[00193] 材料:50:50のラクチド対グリコリドモル比、8 kDaの分子量、0.12 dL/gの固有粘度、及び酸末端キャップポリマー鎖末端を有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(5050 DLG 1A)を Lakeshore Biomaterials(アラバマ州バーミンガム)より購入した。50:50のラクチド対グリコリドモル比、58 kDaの分子量、0.43 dL/gの固有粘度、及び酸末端キャップポリマー鎖末端を有するポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(5050 DLG 4A)を Lakeshore Biomaterials(アラバマ州バーミンガム)より購入した。クロニジンHClを Spectrum Chemicals(カリフォルニア州ガーデナ)より購入した。550の平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(mPEG)をシグマ・アルドリッチより購入した。メタノールもシグマ・アルドリッチより購入した。
【0181】
[00194] スプレー乾燥クロニジンHClの製造法:クロニジンHClをメタノールに溶かして、12%(w/w)溶液を得た。この溶液を、120 kHz Sono-Tek超音波ノズル(Sono-Tek 社、ニューヨーク州ミルトン)を使用するBuchi B-290 Mini Spray Dryer(Buchi Laboratorium AG, スイス)においてスプレー乾燥させた。加工処理変数は以下のように設定した:インレット温度(70℃)、アスピレーター(80%)、窒素インレット(50 mm)、スプレー流速(80 mL/時間)、及び超音波発生器(0.8ワット)。スプレー乾燥した粉末を採取して、70℃及び15 mmHgの真空でさらに24時間乾燥させた。
【0182】
[00195] 溶融押出ロッド剤の製造:Retsch(Retsch GmbH,ドイツ)ローターミルを80マイクロメートルふるいフィルターとともに使用して、25重量%の5050 DLG 1Aと64.5重量%の5050 DLG 4Aを含有する製剤を粉末へ粉砕した。このポリマー粉末を10重量%のmPEGとスパーテルで乾燥混合させた後で、70℃で最高RPMを設定したLaboratory Mixer Molder(Dynisco,マサチューセッツ州フランクリン)へ供給した。このポリマー混合物を5分間溶融混合した。次に、このポリマー溶融物へ0.5重量%のスプレー乾燥クロニジンHClを加えて、混合造型機において70℃の最高RPMで3分間混合した。
【0183】
[00196] ストリップ剤の製造:上記の混合製剤を、50℃に設定したCarver Laboratory Heat Press(Carver 社、インディアナ州ワバシ)を使用して、0.5 mm厚のシート剤へ圧延した。このシート剤をレーザーブレードにより切断して、所望の寸法のストリップ剤/リボン剤を成形した。次いで、25重量%の5050 DLG 1A、64.5重量%の5050 DLG 4A、10重量%のmPEG、及び0.5%のスプレー乾燥クロニジンHClを含んでなるストリップインプラント剤について、その in vitro 放出を試験した。
【0184】
[00197] In Vitro 薬物溶出試験:本実施例に記載の手順に従って製造した、20 mm×5 mm×0.5 mmの寸法を有する3種のクロニジンストリップインプラント剤を、薬物溶出試験のために20 mLシンチレーションバイアルに入れた。このクロニジンストリップ剤を5 mLのリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)(Hyclone)において37℃で穏和な撹拌下にインキュベートした。予め選択した時点で、緩衝液を分析用に取り出して、新鮮な緩衝液媒体と交換した。Molecular Devices SpectraMax M2(カリフォルニア州サニーヴェイル)プレートリーダーによって、クロニジンの薬物含量を226 nmで定量した。
【0185】
[00198] 図16及び図17は、3種の滅菌クロニジンストリップインプラント剤の累積放出百分率の in vitro グラフ図である。これらの図で容易に明らかであるように、各ストリップ剤は、90%と100%の間のクロニジンを14日にわたり放出して、平均して5%〜10%の薬物を毎日放出した。この3種のストリップ剤の平均累積薬物放出を図17に示すが、ここでは薬物の95%が14日のうちに放出された。
【0186】
[00199] 図18及び図19は、3種の滅菌クロニジンストリップインプラント剤の1日放出プロフィールとそれらの累積平均1日放出(マイクログラム/日)の in vitro グラフ図である。これらの図で容易に明らかであるように、各薬物デポー剤は、約45〜60 mcgの用量で約1日以内にクロニジンHClの放出を伴う初期バースト効果を有した。第一日目の後で、各薬物デポー剤は1日につき約5〜35 mcgを放出して、薬物デポー剤は、14日目に空になった。
【0187】
実施例6:クロニジンインプラント剤のブタ外科手術モデルにおける in vivo 効力評価
[00200] 子豚における術後疼痛の誘導:顔マスクを通して投与したイソフルラン/酸素混合物によって子豚を麻酔した。筋肉をインタクトなままにして、鼠径部の右大腿へ5 cm長の皮膚及び筋膜切開を施した。この皮膚切開部を金属クランプで閉じた。麻酔の継続時間は、10分未満であった。切開後すぐに、動物の切開スペースへ対照又は薬物インプラントのいずれかを投与した。陽性対照としてのモルヒネ群では、モルヒネ(Mor)を動物の皮下に投与した。
【0188】
[00201] 痛覚消失の評価:疼痛行動スコアを使用して、クロニジンインプラント剤の鎮痛効果を評価した。疼痛スコア化システムは、3つの主要カテゴリーの総和であった:
1.動物の単独機能(歩行と発声)
2.動物の社会行動
3.豚が吊り支持具上に留まった時間の長さ
[00202] すべての動物をベースライン(外科手術の3日前)と外科手術後1及び3時間(試験日0)で観察した。次いで、疼痛行動を連日、4日以上(試験日1、2、3、及び4)評価した。インプラント剤は、試験日0の外科手術の直後に外科手術創傷床へ投与した。モルヒネは、モルヒネ群(Mor)の動物における疼痛評価の1時間前に投与した。
【0189】
[00203] 結果:図20は、0時間(ベースライン)、処置後1時間、3時間、1日、2日、3日、及び4日での疼痛スコアにより測定した、クロニジン高用量(デポー剤に1500 mcg負荷、150 mcg/日を放出するように設計)インプラント剤とクロニジン低用量(デポー剤に750 mcg負荷、75 mcg/日を放出するように設計)インプラント剤の in vivo 効力評価を示す。クロニジン低用量インプラント剤を受けた豚は、対照ポリマーを受けた豚と比較して、0日目の処置後1時間及び3時間と1日及び2日目に、有意に低下した疼痛スコアを明示した。このモデルでは術後疼痛が3日目又は4日目頃に消失したので、低用量クロニジンインプラント剤の3及び4日目の効果は、判定できなかった。低用量クロニジンインプラント剤は、対照ポリマーと比較して、統計学的に有意な疼痛の低下を1日目と2日目に示した。図20はまた、試験したすべての時点でのモルヒネの効果を示す。
【0190】
[00204] クロニジン高用量インプラント剤を受けた豚は、対照ポリマーを受けた豚と比較して、0日目の処置後1時間及び3時間と1日及び2日目に、有意に低下した疼痛スコアを明示した。また、図20より、クロニジン高用量インプラント剤を受けた豚では、対照ポリマーと比較して、疼痛スコアがすべての時点で低下したことが容易に明らかである。
【0191】
[00205] 結論:本試験の条件下で得られた知見に照らせば、クロニジン高用量及び低用量のインプラント剤での処置は、豚の術後疼痛を抑えるのに有効であった。
【0192】
[00206] 当業者には、本明細書に記載の様々な態様に対して、本明細書の教示の精神又は範囲より逸脱することなく様々な修飾及び変形を作製し得ることが明らかであろう。従って、様々な態様には、本教示の範囲内の様々な態様の他の修飾及び変形も含まれると企図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
術後疼痛を抑制、予防、又は治療するような治療を必要とする患者においてそれを抑制、予防、又は治療するのに有用な埋込型薬物デポー剤であり、治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩とポリマーを含んでなり、術後疼痛を抑制、予防、又は治療するために皮膚の下の部位に埋め込み可能であり、(i)その中に負荷したクロニジン又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約5%〜約45%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を48時間までの第一期間にわたり、そして(ii)その中に負荷したクロニジン又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約55%〜約95%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を少なくとも3日間のそれに引き続く期間にわたり放出することが可能である、前記埋込型薬物デポー剤。
【請求項2】
クロニジンが塩酸塩の形態である、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項3】
ポリマーが、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、D-ラクチド、D,L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド)、L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン)、ポリカプロラクトン、又はこれらの組合せの1以上を含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項4】
ポリマーが、その全重量%の約60%〜90%を含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項5】
部位に埋め込まれてから30日以内にポリマーが分解することが可能である、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項6】
クロニジンが、3〜10日の期間の間に、1日につき0.05μgと3 mgの間の量で放出される、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項7】
クロニジンがその約0.1〜約10重量%の量で存在して、ポリマーがその約75〜約94重量%の量で存在し、そして約5〜約15重量%の賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項8】
クロニジンがその約0.1〜約10重量%の量で存在して、ポリマーがその約75〜約94重量%の量でPLGAを含み、そして約5〜約15重量%のmPEGをさらに含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項9】
生体適合性ポリマーと治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を組み合わせる工程とその組合せより埋込型薬物デポー剤を成形する工程を含んでなる、請求項1の埋込型薬物デポー剤を作製する方法。
【請求項10】
術後疼痛を治療又は予防するような治療を必要とする患者においてそれを治療又は予防する方法であって、治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を外科手術の前、間、又は後に皮膚の下の標的組織部位へ送達することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は、皮膚の下の部位で、クロニジン又はその医薬的に許容される塩の初期ボーラス用量を放出し、続いて有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩の持続放出用量を少なくとも3日の期間にわたり放出することが可能である、前記方法。
【請求項11】
薬物デポー剤が、薬物デポー剤に負荷したクロニジンの全量に対して約55%〜約85%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を、薬物デポー剤を標的組織部位へ投与後3〜10日の期間にわたり放出する、請求項10に記載の術後疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項12】
薬物デポー剤が、0.05μg/日と3 mg/日の間のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を4〜10日の期間の間放出する、請求項10に記載の術後疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項13】
薬物デポー剤が、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、D-ラクチド、D,L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド)、L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン)、ポリカプロラクトン、又はこれらの組合せの1以上を含んでなるポリマーを含む、請求項10に記載の術後疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項14】
ポリマーが、薬物デポー剤の全重量%の約60%〜約90%を含む、請求項13に記載の術後疼痛を治療又は予防する方法。
【請求項15】
(i)治療有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩;及び(ii)ポリマーを含んでなる埋込型薬物デポー剤であり;ここで、初期ボーラス用量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を皮膚の下の部位に放出することが可能であり、そして有効量のクロニジン又はその医薬的に許容される塩の持続放出用量を3〜10日のそれに引き続く期間にわたり放出することが可能であり;そしてここでポリマーは、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、D-ラクチド、D,L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド)、L-ラクチド、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド-コ-カプロラクトン)、ポリカプロラクトン、又はこれらの組合せの1以上を含む、前記埋込型薬物デポー剤。
【請求項16】
その中に負荷したクロニジンの全量に対して約55%〜約85%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を、それを投与後3〜10日のそれに引き続く期間にわたり放出する、請求項15に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項17】
0.05μg/日と3 mg/日の間のクロニジン又はその医薬的に許容される塩を放出する、請求項15に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項18】
ポリマーが、その全重量%の約60%〜約90%を含む、請求項15に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項19】
クロニジンが塩酸塩の形態である、請求項15に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項20】
クロニジンの初期ボーラス用量が、その中に負荷したクロニジンの全量に対して約15%〜約45%のクロニジン又はその医薬的に許容される塩である、請求項15に記載の埋込型薬物デポー剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−518180(P2011−518180A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505221(P2011−505221)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/040910
【国際公開番号】WO2009/129437
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】