クロピドグレル硫酸水素塩の多型体
【課題】クロピドグレル硫酸水素塩の新規結晶質形態及び非晶質形態の提供。
【解決手段】クロピドグレル硫酸水素塩の新規結晶質形態III、IV、V及びVIとクロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態、並びにそれらの医薬組成物、及びかかる組成物による治療の方法が供されている。クロピドグレル硫酸水素塩形態I、形態II、形態III、形態IV、形態V、形態VI及び非晶質形態を調製するための新規方法も供されている。
【解決手段】クロピドグレル硫酸水素塩の新規結晶質形態III、IV、V及びVIとクロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態、並びにそれらの医薬組成物、及びかかる組成物による治療の方法が供されている。クロピドグレル硫酸水素塩形態I、形態II、形態III、形態IV、形態V、形態VI及び非晶質形態を調製するための新規方法も供されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許
本願は、2001年12月18日に提出された仮出願番号60/342,440;2001年12月21日に提出された仮出願番号60/342,351;2002年1月11日に提出された仮出願番号60/348,182;2002年2月12日に提出された仮出願番号10/074,409;2002年2月21日に提出された仮出願番号60/359,157;の優先権を主張し、それらの全ては参照として本明細書中に組み込まれている。
【0002】
発明の分野
本発明はクロピドグレル硫酸水素塩の固体状態の化学に関連する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
アテローム性動脈硬化症は、動脈の肥厚及び弾力性の低下につながる動脈の壁におけるプラークの蓄積である。アテローム性動脈硬化症は、動脈の内層に対する傷害によりもたらされる。この傷害は、高コレステロール、高血圧、喫煙及び感染症などの共通の作用及び疾患によって生じる。
【0004】
プラークは動脈の内壁上、これら傷害の部位にて形成される。プラークは主に、脂肪組織及び平滑筋細胞からなる。プラークの形成は、往々にして、傷害の部位における血小板の凝集による血液の凝固をもたらす。この凝固は、重要な器官に対する血流の減少もしくは排除をもたらし、心臓発作もしくは他の深刻な症状を生じうる。プラークは破裂もして血餅を動脈じゅうに送り、これは塞栓に言及されており、もしそれが、より小さな血管内に沈着すれば、完全に血流を妨害してしまうことがある。
【0005】
抗血小板作用は、往々にして、アテローム性動脈硬化症の致死的結果を予防することにおいて望ましい。クロピドグレルは、血小板凝集の誘導の阻害物質であり、それはアデノシン二リン酸塩のそのレセプターに対する結合を阻害することによって作用する。クロピドグレルは肝臓によって活性形態へと代謝される。その抗血小板作用は、それが全ての血小板作用を、投与の後最大10日でさえも、止めるように拡張されている。
【0006】
クロピドグレルの化学名は、メチル(+)−(S)−α−(o−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートであり、それは以下の構造:
【化1】
を有する。
【0007】
クロピドグレルの血しょう板阻害作用は、クロピドグレルを、虚血性脳卒中、又はアテローム性動脈硬化症など心臓疾患による心臓発作又は跛行を減らすための有効な薬物にする。クロピドグレルは、血小板の凝集を阻害することによって、動脈遮断の機会を減らし、従って、発作及び心臓発作を予防する。米国特許第5,576,328号には、クロピドグレルの投与による二次発作事象の発生を予防する方法が記載されており、そしてそれは本明細書中に参照として組み込まれている。
【0008】
最近の研究では、クロピドグレルが、アスピリンよりも血しょう板凝集を遮断することにおいて一層効果的であり、そして胃腸管に対して非常により一層やさしいことが示されている。クロピドグレルは、アスピリンよりも非常に少ない容量で一層効果的である。75mg塩基当量の用量は、アスピリンの325mgの用量よりも一層効果的であることが示されている。一層効果的であることに加えて、クロピドグレルにより生じる胃腸出血はアスピリンに比べて非常に少ない。
【0009】
クロピドグレルはその硫酸水素塩(重硫酸塩と同義)として投与されている。クロピドグレル硫酸水素塩は、実験式C16H16ClNO2S・H2SO4を有する。それは現在、PLAVIX(登録商標)として市販されおり、それは、75mgのクロピドグレル塩基当量である、およそ98mgのクロピドグレル硫酸水素塩を含む。PLAVIX(登録商標)は白〜オフホワイトの粉末であり、実際には中性のpHでは水に不溶性であるが酸性のpHでは非常に可溶性である。それはメタノール中では多量に、塩化メチレン中では多少溶け、そしてエチルエーテル中では乏しい。
【0010】
米国特許第4,847,265号;5,1321,435号;6,258,961号、6,215,005号及び6,180,793号には、クロピドグレル硫酸水素塩を調製するために使用できうる方法が開示されており、それら全てが本明細書中、参照として組み込まれている。
【0011】
本発明は、任意のこれら又は他の方法によって調製されたクロピドグレル硫酸水素塩の固体状態の物理特性に関連する。これらの特性は、クロピドグレルが固体形態で獲得される条件を調節することによって影響されうる。固体状態の物理的特性としては、例えば、破砕された固体の流動性が挙げられる。流動性は、物質を医薬製品へと加工する間の取り扱いの容易さに影響を及ぼす。粉末化された化合物の粒子が、互いに簡単に流れ通過しない場合には、調剤専門家は、錠剤又はカプセル製剤を開発する場合、それには例えば、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、デンプン又は三塩基性リン酸カルシウムなどの流動促進剤の使用が必要となりうることを考慮しなければならい。
【0012】
医薬組成物の他の重要な固体状体の特性とは、その水性流体中での溶解の速度である。患者の胃の流体における活性成分の溶解の速度が治療の結末を有しており、その理由は、それが、経口投与された活性成分が血流に到達できる速度に上限を与えるからだ。溶解の速度はシロップ、エリキシル及び他の液体状医薬を処方することにおける検討物質でもある。化合物の固体状態形態は、その圧縮における挙動及びその保存安定性にも影響を与える。
【0013】
これらの実際上の物理特性は、物質の特定の多型体を規定する、単位セルにおける分子の配置及び方向によって調節されている。多型体は、非晶質形態又は他の多型体とは異なる熱的挙動を生じうる。熱的挙動は、研究室においてキャピラリー融点、熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)などの技術によって測定されており、そしてある多型体を他のものから区別するために使用できうる。特定の多型体は、粉末X線回折、固体状態13C NMRスペクトロメトリー及び赤外スペクトロメトリーによって検出可能でありうる独特の特性をも生じうる。
【0014】
医薬的に有用な化合物の新規結晶質形態の発見は、医薬製品の性能特性を向上せしめる新たなる機会を供する。それは、調剤科学者が、例えば、標的放出プロファイル又は他の所望の特性を有する薬物の医薬投与形態を設計するために使用可能である物質のレパートリーを拡大する。
【0015】
米国特許第4,529,596はクロピドグレルの組成物及びその使用に関する。この596号特許はクロピドグレルの合成を開示するが、クロピドグレルの多型体もしくは非晶質形態の存在を示唆もしくは開示することを欠いている。米国特許第4,847,265号はクロピドグレルのエナンチオマーに関し、そしてまた、いかなるクロピドグレルの多型体もしくは非晶質を示唆もしくは開示していない。これらの米国特許は本明細書中参照として組み込まれている。
【0016】
国際特許出願WO99/65915号は、形態I及びIIに言及されるクロピドグレル硫酸水素塩の2つの多型を開示しているが、形態Iは本来、EP281459中に開示されている。
【0017】
国際特許WO99/65915号によれば、形態Iは、9.2、10.9、15.2、17.9、18.5、20.6、23.0、23.2、23.4及び25.5±0.2度2シータにPXDRパターンを有する。形態Iは、2987、1753、1222、1175及び841cm-1に吸収バンドを伴う赤外スペクトルをも有する。
【0018】
そしてまた国際特許WO99/65915号は、12.9、13.6、15.6、17.7、19.5、21.6、23.0、23.3及び24.7±0.2度2シータにPXDRパターンを有する形態IIも開示する。形態IIは、2551、1753、1497、1189及び1029cm-1に吸収バンドを伴う赤外スペクトルを有する。
【0019】
出願人の英語翻訳によれば、例1Bにおいて、形態Iは、窒素雰囲気下でクロピドグレルカンフルスルホネートをジクロロメタン中に溶かすことによって調製されている。次いで、水中炭酸カリウムの溶液が導入されている。次いで、有機層が取り除かれ、濃縮されてアセトンへと加えられている。このアセトン溶液を窒素下でリアクター中に置き、そして濃硫酸の94%溶液が加えられている。次いで、この混合物は蒸留され、そして冷却され、しかる後に続いて結晶化されている。この結晶は洗浄及び乾燥されて形態Iが獲得されている。
【0020】
Chemical abstractアクセス番号1999:811251によれば、形態IIは、100mLのジクロロメタン中50gのクロピドグレルカンフルスルホネートの溶液の、70mLの水中9.1gの炭酸カリウムの溶液に対する添加によって調製されている。この有機層は分離され、濃縮されて229mLのアセトン中に溶かされている。このアセトン溶液は7.4gの80%硫酸溶液中で窒素の下2時間に渡り還流されていた。次いで、溶媒が取り除かれ形態IIが獲得された。
【0021】
形態IIは、形態Iの結晶質に由来する親水溶液を3〜6月に渡り保存することによって形態Iからも調製されても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】国際特許出願WO99/65915号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素1−ブタノレート、クロピドグレル硫酸水素イソプロパノレート、クロピドグレル硫酸水素2−ブタノレート及び硫酸水素1−プロタノレートをも提供する。
【0024】
形態III、IV、V及びVIと命名された、クロピドグレル硫酸水素塩の4つの新たなる結晶形態及びクロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態、並びに、それらの調製、及びクロピドグレルの形態I及びIIの調製ための新規方法が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
発明の概要
1つの観点において、本発明は、およそ8.1、8.7、14.3、15.4、20.1、22.3、22.5、23.5及び24.1±0.2度2シータにピークを伴う粉末X線回折パターン、およそ105℃に吸熱ピークを伴う示差走査熱量測定サーモグラム並びにおよそ581、707、755、971、1057、1196、1252、1436、1476、1748、2590、2670及び2963cm-1にピークを伴うFTIRスペクトルからなる群から選択されたデータを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩を提供する。この固体結晶質形態を形態IIIとする。
【0026】
他の観点において、本発明は、1−ブタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液から1−ブタノールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該残留物を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、形態IIIの特徴(例えば、本明細書中で開示されているPXRDピーク及び/もしくはFTIRピーク及び/もしくはDSCピーク)を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。前記湿った試料は好適に乾燥されている。
【0027】
他の観点において、本発明は:図4に実質的に描かれているPXRDパターン、並びにおよそ583、723、762、846、1040、1167、1223、1438、1478、1638、1752、2585及び2960cm-1にピークを伴うFTIRスペクトルからなる群から選択されたデータを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩を提供する。この固体形態は非晶質形態である。
【0028】
他の観点において、本発明は、メタノール及びエタノールからなる群から選択されたアルコール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液とアンチ溶媒を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、非晶質形態の特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0029】
他の観点において、本発明は、メタノール及びエタノールからなる群から選択されたアルコール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液からアルコールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該溶液を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、非晶質形態の特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0030】
他の観点において、本発明は、メタノール及びエタノールからなる群から選択されたアルコール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液とアンチ溶媒を混合し、そして当該アルコール及び当該アンチ溶媒を取り除く段階を含んで成る、非晶質形態の特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0031】
他の観点において、本発明は、アセトン中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、そして当該アセトンを取り除く段階を含んで成る、非晶質形態の特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0032】
他の観点において、本発明は、非晶質クロピドグレル硫酸水素塩をエーテルと接触させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩形態Iを分離することを含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態Iを調製するための方法を供する。好適に、前記非晶質クロピドグレル硫酸水素塩はエーテル中で懸濁されている。
【0033】
他の観点において、本発明は:およそ22.0、25.9、26.9、27.4、28.1、28.6及び28.9±0.2度2シータにピークを伴うPXRDパターン、およそ160〜170℃に吸熱ピークを伴うDSCサーモグラム並びにおよそ681、769、842、893、935、974、1038、1116、1370、1384cm-1にピークを伴うFTIRスペクトルからなる群から選択されたデータを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩を提供する。この固体結晶質形態を形態IVとする。
【0034】
他の観点において、本発明は、イソプロパノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、クロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そして当該クロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、形態IVの特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0035】
他の観点において、本発明は、イソプロパノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、そして当該イソプロパノールを取り除く段階を含んで成る、形態IVの特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0036】
他の観点において、本発明は:およそ25.5、26.6、27.8及び28.5±0.2度2シータにピークを伴うPXRDパターン、およそ126〜132℃に吸熱ピークを伴うDSCプロファイル並びにおよそ623、743、802、817、843、963、972、1028及び1374cm-1にピークを伴うFTIRスペクトルからなる群から選択されたデータを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩を提供する。この固体結晶質形態を形態Vとする。
【0037】
他の観点において、本発明は、2−ブタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、アンチ溶媒と当該溶液を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、形態Vの特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0038】
他の観点において、本発明は、2−ブタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液から2−ブタノールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該残留物を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、形態Vの特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0039】
他の観点において、本発明は:およそ8.3、9.1、23.2、23.6±0.2度2シータにピークを伴う粉末X線回折パターン、およそ136℃に吸熱ピークを有する示差走査熱測定サーモグラム並びにおよそ959、1061、1430、1751、1757及び3119cm-1にピークを伴うFTIRスペクトルからなる群から選択されたデータを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩を提供する。この固体結晶質形態を形態VIとする。
【0040】
他の観点において、本発明は、1−プロパノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液から1−プロパノールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該残留物を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0041】
好適に除去は、本発明の方法中、蒸発によって行われている。
【0042】
他の観点において、本発明は、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルエチルケトン及びt−ブチルメチルエーテルからなる群から選択された溶媒中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液からクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法を供する。
【0043】
他の観点において、本発明は、アセトニトリル中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液とアンチ溶媒を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そして当該沈殿を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法を供する。
【0044】
好適なアンチ溶媒はC2〜C8エーテルである。
【0045】
本発明は、医薬組成物及びそれらの、血小板凝集を阻害する投与の方法をも供する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIの粉末X線回折パターンである。
【図2】クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。
【図3】クロピドグレル硫酸水素塩形態形態IIIのFTIRスペクトルである。
【図4】クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の粉末X線回折(PXRD)パターンである。
【図5】クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態のFTIRスペクトルである。
【図6】クロピドグレル硫酸水素塩形態IVのPXRDパターンである。
【図7】クロピドグレル硫酸水素塩形態IVのDSCサーモグラムである。
【図8】クロピドグレル硫酸水素塩形態IVのMRスペクトルである。
【図9】クロピドグレル硫酸水素塩形態VのPXRDパターンである。
【図10】クロピドグレル硫酸水素塩形態VのDSCサーモグラムである。
【図11】クロピドグレル硫酸水素塩形態VのFTIRスペクトルである。
【図12】クロピドグレル硫酸水素塩形態VIのPXRDパターンである。
【図13】クロピドグレル硫酸水素塩形態VIのDSCサーモグラムである。
【図14】クロピドグレル硫酸水素塩VIのFTIRスペクトルである。
【図15】HPLCを使用することによる不純物の面積分析である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
発明の詳細な説明
本明細書中で使用されている場合、用語「IPA」、「イソプロパノール」、「イソプロピルアルコール」及び「2−プロパノール」は同じアルコールを意味する。
【0048】
本明細書中で使用されている場合、用語「結晶化」及び「沈殿」は同義語である。
【0049】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩の新規多型及び新規非晶質形態を提供する。とりわけて、様々な形態が、様々なアルコールを使用することによって獲得されている。
【0050】
第1の観点において、本発明は、形態IIIと命名されているクロピドグレル硫酸水素塩の新規結晶質形態を提供する。クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIは、およそ8.1、8.7、14.3、15.4、20.1、22.3、22.5、23.5及び24.1±0.2度2シータにピークを伴う粉末X線回折パターン(図1)を特徴としている。
【0051】
クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIは、およそ105℃の最大吸熱を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(図2)を生み出す。
【0052】
クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIは、およそ581、707、755、971、1057、1196、1252、1436、1476、1748、2590、2670及び2963cm-1に特徴的な吸収バンドを有するFTIRスペクトル(図3)を生み出す。クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIのFTIRスペクトルは、およそ838、886及び1594cm-1に更なる吸収バンドを有する。
【0053】
本発明は更に、クロピドグレル硫酸水素塩と1−ブタノールの溶液を調製し、1−ブタノールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該残留物を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIを調製するための方法を供する。
【0054】
前記方法において、クロピドグレル硫酸水素塩は、当該クロピドグレル硫酸水素塩を、アルコールの還流温度にて又はそれ未満で溶かすために十分な量のアルコールと混合されている。クロピドグレル硫酸水素塩を完全に溶かすために、混合物は最大でアルコールの還流温度へと加熱されて良い。好適に、この混合物はおよそ30分に渡り還流されている。この溶液をクロピドグレル塩基と硫酸により調製する場合、その溶液は好適により長い時間、例えば、およそ2時間に渡り還流されている。時間と温度における些細な違いでは同じ結果が生まれ、そして他の温度及び時間では他の条件下で同じ結果が生じることを当業者は理解できるだろう。
【0055】
最も好適な実施態様において、アルコールは周囲温度又は減圧下で冷却、そして任意の即時冷却後に蒸発せしめられている。好適に、前記溶液は室温へと冷却されてアルコールが減圧下で蒸発している。蒸発の後に残留物が残る。
【0056】
次いで、アンチ溶媒が前記残留物に対して加えられている。好適に、前記アンチ溶媒はエーテルである。一層好適には、酸素原子に対し連結しているエーテルのアルキル基の各々は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている。最も好適に、前記エーテルはジエチルエーテル又はメチルt−ブチルエーテルである。
【0057】
次いで、残留物とアンチ溶媒の混合物は、クロピドグレル塩基で出発した場合には、1日又は2日に渡り、好適にはより長い時間に渡り撹拌されて良い。沈殿が形成し始まる。次いで、この沈殿がこの混合物から分離されている。当業者は、沈殿を混合物から分離する多くの方法が在ることを理解するだろう。好適に、前記沈殿はろ過によって分離されている。分離後、沈殿は、不純物を取り除くためにジエチルエーテルなどの有機溶媒により任意に洗浄されて良い。
【0058】
次いで、前記分離された沈殿は、好適に、周囲温度又は減圧下で乾燥されている。好適な実施態様において、沈殿は真空下で乾燥されている。好適に、沈殿は乾燥方法を促進させるために加熱されている。一層好適には、それは、およそ40℃〜およそ80℃で加熱されている。一層好適には、それは、およそ50℃〜65℃でおよそ24時間に渡り真空オーブン中で乾燥されている。当業者は、化合物を乾燥させるための多くの方法が在り、そしてそれは、条件、他の温度、圧力及び時間を操作することにより足りることを理解するだろう。
【0059】
クロピドグレル形態IIIは、およそ97%の収率で獲得されて良く、それはこの新規方法の高い効率及び有効性を示している。
【0060】
他の観点において、本発明は、新規非晶質クロピドグレル硫酸水素塩を提供する。本発明によれば、非晶質クロピドグレル硫酸水素塩は非常に純粋である。一層好適には、それは本質的に結晶質クロピドグレル硫酸水素塩を含んでいない。最も好適には、前記非晶質クロピドグレル硫酸水素塩は、記載された装置に見合う粉末X線走査計の検出限界内に結晶質クロピドグレル硫酸水素塩を含んでいない。クロピドグレル硫酸水素塩の純度は、未知の試料のPXRDパターンを、真に純粋な非晶質クリピドグレル硫酸水素塩と真に純粋な結晶質クリピドグリル硫酸水素塩の混合物のパターンと比較することによって評価できうる。
【0061】
我々が生産した物質の非晶質特性と純度は、それらの試料から獲得された粉末X線回折パターンによって確認されており、それは図4として供されている。このパターンは、強焦点反射を伴わず且つおよそ24度2シータに最大中心(maximum centered)を伴うハロー以外に特徴がない。
【0062】
前記非晶質形態は、およそ583、723、762、846、1040、1167、1223、1438、1478、1638、1752、2585及び2960cm-1にピークを伴うFTIRスペクトル(図5)を有する。
【0063】
本発明は更に、メタノール又はエタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、そして当該溶液とアンチ溶媒を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態を調製するための方法を供する。
【0064】
クロピドグレル硫酸水素塩のアルコール溶液は、アルコール中でのクロピドグレル硫酸水素塩の溶解度を高めるために加熱されて良い。好適に、当該溶液は、およそ室温〜およそ還流温度に加熱されて良く、そして還流又はその付近での温度が最も好適である。溶解の後、溶液は、好適に室温へと冷却されて良い。
【0065】
アルコールは、溶液から、泡沫又は油性残留物を獲得するために任意に取り除かれて良い。好適に、アルコールは蒸発によって取り除かれている。アルコールは周囲圧又は減圧下で蒸発され、そして任意に蒸発を促進させるために加熱されて良い。次いで、かかる場合には、アンチ溶媒が泡沫又は油性残留物へと加えられている。
【0066】
代わりに、クロピドグレル硫酸水素塩とアルコールの溶液は、クロピドグレル硫酸水素塩を沈殿せしめるためにアンチ溶媒に対して加えられて良い。好適に、溶液はアンチ溶媒に対して徐々に加えられている。好適に、前記アンチ溶媒はエーテルである。エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びtert−ブチルからなる群から選択されて良い。1つの好適な実施態様において、エーテルはメチルt−ブチルエーテルである。他の好適な実施態様において、エーテルはジエチルエーテルである。
【0067】
エーテル中での沈殿形態。この沈殿はエーテルから、初い段階、好適には数時間内に分離されるべきだ。さもなければ、非晶質形態は、形態Iへと変化され、より少ない収量でもたらされるだろう。
【0068】
前記沈殿は、当業者に公知の方法によって分離されて良い。好適に、前記沈殿は、ろ過によって分離されている。任意に、真空ろ過が使用されうる。
【0069】
前記沈殿は、周囲圧又は減圧下で乾燥されて良い。好適に、前記沈殿は、真空オーブン中でおよそ24時間に渡り加熱されている。一層好適には、前記沈殿は、およそ40℃〜およそ70℃の温度に過熱されている。最も好適には、それはおよそ50℃でおよそ24時間に渡り乾燥されている。
【0070】
本発明は、メタノール又はエタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液とアンチ溶媒を混合し;そしてアルコールとアンチ溶媒を取り除く段階を含んで成る、非晶質クロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。好適に、前記溶液は前記アンチ溶媒に対して加えられている。
【0071】
1つの好適な実施態様において、前記アンチ溶媒は単環式芳香族炭化水素、例えば、トルエン、ベンゼン又はキシレンである。最も好適には、前記単環式芳香族炭化水素はトルエンである。
【0072】
クロピドグレル硫酸水素塩は、第一番目に、溶液を形成するためにアルコール中に溶かされている。クロピドグレル硫酸水素塩をアルコール中で溶かした後に、当該溶液は、アンチ溶媒へと加えられている。好適さに劣る実施態様において、前記溶液は、アンチ溶媒に対する添加前に濃縮されている。好適に、前記アンチ溶媒は、クロピドグレル硫酸水素塩が一層アンチ溶媒中で可溶性になるよう還流するために、およそ室温へと加熱されており、還流する温度又はそれに近い温度が好適である。最も好適には、前記アンチ溶媒は還流温度へと過熱されている。アンチ溶媒を加熱することに加え、混合物はアンチ溶媒に対して、アンチ溶媒によって取り込まれるクロピドグレルの総量を高めるために、実質的に低い割合で加えられている。
【0073】
混合物のアンチ溶媒に対する添加の後、生じる混合物は、好適に、およそ室温へと冷却されているが、当業者は、他の温度も同じ結果を達成し得ることを理解しうる。非晶質形態を獲得するために、アンチ溶媒とアルコールが、好適には蒸発によって取り除かれ、非晶質形態が残る。蒸発は周囲圧又は減圧下で生じて良く、そして溶液は蒸発方法を促進させるために加熱されて良い。
【0074】
本発明は、アセトン中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、そしてアセトンを除去して非晶質形態を獲得する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態を調製するための方法を供する。クロピドグレル硫酸水素塩とアセトンの混合物は溶液を形成するために加熱されている。好適に、この混合物は、均質な溶液が形成される温度へ加熱されている。最も好適には、前記混合物は還流(温度)で少ない時間に渡り加熱されている。
【0075】
加熱後、前記溶液は、およそ室温へと冷却されている。この溶液は撹拌されて良い。好適に、この溶液は少ない時間に渡り撹拌されている。撹拌後、アセトンが取り除かれて粉末が獲得され、それはクロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態である。好適に、アセトンは蒸発によって取り除かれている。乾燥方法を促進させるために、圧力が下げられて良くそして温度は高められて良い。当業者は、非晶質形態の調製は他の条件下でも可能でありうることを理解するだろう。
【0076】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩形態I及びクロピドグレル形態Iと非晶質クロピドグレル硫酸水素塩の混合物を調製するための方法を供する。前記非晶質形態は、エーテル中で接触、好適には懸濁されている場合に、時間を経て形態Iへと転換する。好適に、エーテルは上記C2〜C8エーテルであり、一層好適には、メチルt−ブチルエーテル又はジエチルエーテルである。当業者は、非晶質形態に対する形態Iの割合は時間により増加し、そして所定の実験により、形態のそれぞれの割合は任意の特異的な時間に渡り決定されうることを理解するだろう。
【0077】
この例は、クロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態はエーテル中、特におよそ45分〜1時間の時間において、形態Iへと転換されることを説明する。十分に形態Iを獲得するために、クロピドグレル硫酸水素塩はエーテル中で、好適には1時間、そしてより長い時間、例えば、4及び8時間に渡り撹拌されているのが最も好適である。この転換時間は、もし出発原料が、クロピドグレル硫酸水素塩ではなくクロピドグレル遊離塩基であるならば、より長いだろう。
【0078】
例が示し、そして当業者が理解しうるように、クロピドグレル硫酸水素塩形態Iをクロピドグレル硫酸水素塩から、中間体としての非晶質形態を使用することにより獲得するが可能である。第一番目に、例示されているように、非晶質形態が獲得されており、次いでエーテル中で懸濁されて形態Iが獲得される。本発明の例は、この機構により形態Iを獲得する。
【0079】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩形態IVをも提供する。クロピドグレル硫酸水素塩形態IVは、粉末X線回折(PXRD)、熱分析及びFTIR分光法を特徴としている。本発明のクロピドグレル硫酸水素塩形態IVは、およそ22.0、25.9、26.9、27.4、28.1、28.6及び28.9±0.2度2シータにピークを伴うPXRDパターン(図6)を特徴としている。一層詳細には、クロピドグレル硫酸水素塩形態IVは、およそ11.0、12.5、13.3、14.0、17.6、18.2、18.8、20.5、22.0、22.9、24.1、25.9、26.9、27.4、28.1、28.6及び28.9±0.2度2シータにピークを伴うPXRDパターンを特徴としている。
【0080】
クロピドグレル硫酸水素塩形態IVはDSCをも特徴としている。クロピドグレル硫酸水素塩形態IVのDSCサーモグラム(図7)は、およそ160℃〜170℃における吸熱ピークを特徴としている。クロピドグレル硫酸水素塩形態IVは、およそ618、769、842、893、935、974、1038、1116、1370、1384cm-1にピークを伴うFTIRスペクトル(図8)をも特徴としている。
【0081】
本発明は、イソプロパノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、クロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IVを調製するための方法を供する。
【0082】
クロピドグレル硫酸水素塩は、溶液を形成するためにイソプロパノール中に溶かされている。好適に、前記イソプロパノールは、クロピドグレル硫酸水素塩の添加前、当該イソプロパノールを当該クロピドグレル硫酸水素塩のために実質的に可溶性にするために、およそ還流(温度)へと過熱されている。次いで、生じる溶液は、室温へと冷却されている。当業者は、他の条件及び温度が同じ結果を有することを理解するだろう。
【0083】
1つの実施態様において、前記冷却された溶液は、沈殿が生じる迄室温におかれている。この溶液は任意に撹拌されて良い。少ない時間に渡る撹拌後、沈殿が生じ、そして分離されている。沈殿は、当業者に周知の方法によって分離されており、それは例えば、ろ過、デカンテーション及び遠心により、ろ過が最も好適な方法である。
【0084】
沈殿の分離後、それは任意に乾燥されて良い。乾燥させるために、沈殿は加熱されるかあるいは乾燥方法を促進せしめるために減圧されて良い。好適に、真空オーブンが、沈殿をおよそ50℃の温度で16時間に渡り加熱するために使用されている。この方法の結果は、クロピドグレル硫酸水素塩形態IVである。
【0085】
他の実施態様において、溶液を冷却した後、乾燥残留物を残すために溶媒が取り除かれている。この溶媒は、好適に蒸発によって取り除かれている。圧力は、乾燥方法を促進させるために下げられていて良い。残留物の分析により、それはクロピドグレル硫酸水素塩形態IVであることが確認された。この実施態様により、その後の分離及び乾燥段階は必須ではなく、その理由は、獲得された残留物が既に乾燥しており且つ溶媒から分離されているからだ。形態IVを調製するための方法は、アンチ溶媒を使用する更なる段階を必要としない。
【0086】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩形態Vをも提供する。クロピドグレル硫酸水素塩形態VはPXRD、熱分析及びFTIR分光法を特徴としている。
【0087】
クロピドグレル硫酸水素塩形態Vは、およそ25.5、26.6、27.8及び28.5±0.2度2シータにピークを伴うPXDR回折パターン(図9)を特徴としている。クロピドグレル硫酸水素塩形態Vは、およそ11.0、12.4、13.1、13.8、15.2、17.5、18.1、18.6、20.2、21.6、22.7、24.0、25.5、26.6、27.8及び28.5±0.2度2シータにピークを伴うPXRD回折パターンを特に特徴としている。
【0088】
クロピドグレル硫酸水素塩形態Vは、示差走査熱量測定(DSC)(10℃/分、窒素雰囲気)を特徴としている。クロピドグレル硫酸水素塩形態VのDSCプロファイル(図10)は、およそ126℃〜132℃における鋭い吸熱ピークを特徴としている。クロピドグレル硫酸水素形態Vは、およそ623、743、802、817、843、963、972、1028及び1374cm-1にピークを伴うFTIRスペクトル(図11)をも特徴としている。
【0089】
本発明は、溶液を形成するために2−ブタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩を溶かし、アンチ溶媒と当該溶液を混合しクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル形態Vを調製するための方法を供する。好適に、前記アンチ溶媒は前記溶液に対して加えられている。この沈殿は任意に乾燥されていて良い。好適に、この沈殿は減圧下及び上昇した温度にて乾燥させされている。最も好適には、沈殿は、真空オーブン中およそ50℃でおよそ24時間に渡り乾燥させられている。
【0090】
第一番目に、クロピドグレル硫酸水素塩が2−ブタノール中に溶かされている。この溶液は、クロピドグレル硫酸水素塩をアルコール中で十分に溶かすために加熱されて良い。好適に、前記溶液は、およそ還流(温度)に加熱されている。
【0091】
加熱後に、前記溶液は冷却されている。1つの好適な実施態様において、冷却後、前記溶媒は前記溶液から、残留物を獲得するために、好適には減圧下での蒸発により取り除かれている。次いで、アンチ溶媒が残留物に対して加えられている。
【0092】
他の実施態様において、溶液を冷却した後、アンチ溶媒が、前記溶液に対して溶媒を取り除くことなく加えられている。アンチ溶媒は、好適には徐々に、例えば滴下などによって加えられている。
【0093】
好適に、前記アンチ溶媒はエーテルである。一層好適には、エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている。最も好適には、前記エーテルはジエチルエーテル又はメチル−t−ブチルエーテルである。
【0094】
アンチ溶媒の添加の後、沈殿が形成される。溶液又は懸濁は任意におよそ少ない時間〜およそ数日に渡り撹拌されている。次いで、沈殿が分離されている。沈殿は、当業者に公知の、例えば、ろ過によって分離されている。
【0095】
分離後、沈殿は任意に、有機溶媒、例えば、エーテルで洗浄されて良い。次いで、沈殿は乾燥されて良い。乾燥方法を促進させるために、圧力が下げられているかあるいは温度が上げられて良い。好適に、前記沈殿は、真空オーブン中、およそ40℃〜70℃の温度でおよそ24時間に渡り乾燥されている。
【0096】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩形態VIをも提供する。クロピドグレル硫酸水素塩形態VIは、およそ8.3、9.1、23.2及び23.6±0.2度2シータにピークを伴うPXDR回折パターン(図12)を特徴としている。一層詳細には、クロピドグレル硫酸水素塩形態VIは、およそ12.6、13.2、13.8、14.7、15.0、15.4、19.1、20.0、20.4、21.5、22.1、22.5、24.3、24.7及び25.1±0.2度2シータにピークを伴うPXRD回折パターンを特徴としている。
【0097】
クロピドグレル硫酸水素塩形態VIは、およそ136℃に吸熱ピークを伴うDSCサーモグラム(図13)をも特徴としている。
【0098】
クロピドグレル硫酸水素塩形態VIは、およそ959、1061、1430、1751、1757及び3118cm-1にピークを伴うFTIRスペクトル(図14)をも特徴としている。
【0099】
本発明は、1−プロパノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液から1−プロパノールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該残留物を混合しクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そして当該沈殿を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IVを調製するための方法をも供する。
【0100】
クロピドグレル硫酸水素塩が、溶液を獲得するために、1−プロパノール中に溶かされている。この溶液は、クロピドグレル硫酸水素塩を1−プロパノール中に十分溶かすために加熱されて良い。好適に、前記溶液は、およそ還流(温度)に少ない時間に渡り加熱されている。
【0101】
加熱後、前記溶液は、好適におよそ室温へと冷却されて撹拌されている。次いで、前記溶媒は、好適に蒸発によって、取り除かれている。蒸発方法を促進させるために、圧力は下げられていて良い。好適に、油性残留物を獲得するために、溶媒は完全に蒸発されている。
【0102】
次いで、アンチ溶媒が残留物に対して加えられている。好適に、前記アンチ溶媒はエーテルである。一層好適に、エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている。最も好適に、前記エーテルはメチルt−ブチルエーテルである。
【0103】
アンチ溶媒は残留物に対して加えられており、そして生じる混合物は好適に1日に渡り撹拌されている。沈殿が形成されはじめ、それは、当業者に公知の、例えば、ろ過によって分離されて良い。
【0104】
沈殿は好適に乾燥されている。沈殿は、乾燥方法を促進させるために、加熱又は減圧されていて良い。好適に、沈殿はおよそ40℃〜およそ60℃に加熱されており、およそ50℃が最も好適である。当業者に公知の真空オーブンも、沈殿を乾燥させるために、およそ1又は2日に渡り使用されて良い。
【0105】
本発明は更に、クロロホルム、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン及びt−ブチルメチルエーテルからなる群から選択された溶媒中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液からクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法を供する。
【0106】
例が示すように、当業者は、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIをこれらの溶媒から結晶化させるための至適条件が溶媒依存性であることを理解するだろう。結晶化のために使用される条件はある溶媒からある溶媒に至り多彩でありうる。
【0107】
典型的に、クロピドグレル硫酸水素塩は、前記溶媒のうちの一つに溶かされており、そして好適に完全な溶液が獲得される迄加熱されている。好適に、溶液はおよそ少ない時間に渡り加熱されている。
【0108】
溶解の後、溶液は冷却されている。好適に、溶液はおよそ室温へと冷却されている。前記溶液は使用されている溶媒に依存する僅かに異なる条件下で沈殿しうる。溶液は、溶媒を、蒸発などにより部分的に取り除くことによって濃縮されて良い。溶液は、およそ少ない時間〜数日に渡り撹拌されて良い。沈殿後、沈殿は当業者に周知の、例えば、ろ過などの方法によって分離されて良い。
【0109】
好適に、沈殿は乾燥されている。沈殿は、乾燥方法を促進させるために加熱又は減圧されていて良い。好適に、沈殿は、およそ40℃〜およそ60℃に加熱されており、およそ50℃が最も好適である。当業者に周知の真空オーブンが、沈殿を乾燥させるためにおよそ1又は2日に渡り使用されて良い。
【0110】
本発明は更に、アセトニトリル中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液をアンチ溶媒と混合しクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法を供する。好適に、溶液はアンチ溶媒に対して加えられている。
【0111】
好適に、溶液は、非晶質クロピドグレル硫酸水素塩をアセトニトリルと混合することによって調製されている。好適に、この溶液は室温に維持されている。次いで、この溶液が溶媒に対して加えられ、クロピドグレル硫酸水素塩が沈殿する。好適に、溶液はアンチ溶媒に対して徐々に加えられている。
【0112】
前記アンチ溶媒は、好適にエーテルである。一層好適に、エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている。最も好適に、前記エーテルはジエチルエーテルである。
【0113】
溶液のアンチ溶媒に対する添加の後、沈殿が形成される。懸濁は、好適におよそ1日に渡り撹拌されて良い。次いで、沈殿は、当業者に公知の、例えば、ろ過によって分離されている。
【0114】
好適に、沈殿は乾燥されている。沈殿は、乾燥方法を促進させるために、減圧又は加熱されていて良い。好適に、沈澱は、およそ50℃〜およそ70℃で加熱されており、およそ65℃が最も好適である。当業者に周知の真空オーブンが使用されていて良い。
【0115】
クロピドグレル硫酸水素塩の新規結晶形態は、様々な溶媒の溶媒和物である。クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIは、1−ブタノールの溶媒和物であり、そしておよそ7〜およそ8重量%の1−ブタノールを含む。形態IVは、イソプロパノールの溶媒和物であるとみなされ、そしておよそ3重量%〜およそ9重量%のイソプロパノールを含む。形態Vは、2−ブタノールの溶媒和物であり、そしておよそ9重量%〜およそ10重量%の2−ブタノールを含む。形態VIは、1−プロパノールの溶媒和物であり、そしておよそ6重量%のプロパノールを含む。
【0116】
当業者は、本発明の方法が出発原料としてクロピドグレル硫酸水素塩ではなくクロピドグレル遊離塩基を使用しうることを理解するだろう。アルコールと遊離塩基の溶液の調製後、遊離塩基は硫酸で処理されて硫酸水素塩形態が獲得されうる。次いで、この溶液が還流へと少ない時間に渡り加熱されている。好適に、使用された硫酸は、およそ20%〜およそ98%の水性硫酸、最も好適にはおよそ80%の水性硫酸である。硫酸の、使用されたクロピドグレル塩基に対するモル当量は好適に、およそ0.66当量〜およそ1.1当量である。
【0117】
当業者は、条件と収率は、クロピドグレル硫酸水素塩ではなくクロピドグレル塩基から出発する場合、変わり得ることを理解するだろう。
【0118】
収率及び条件は、使用した硫酸のモル比及び濃度により更に変わりうる。本発明の例は、至適条件に関して当業者に誘導を提供する。
【0119】
当業者は、この開示の範囲が、アンチ溶媒を添加することにおける添加の順序によって制限されていないことも理解するだろう。もっとも、ある実施態様には他より1つが好ましいのだが、例えば、混合物がアンチ溶媒に対して又はその逆で加えられて良い。通常、クロピドグレルの結晶化は、溶液がアンチ溶媒に対して加えられている場合により有利であるが、操作上、往々にして、アンチ溶媒を溶液に対して加えることが一層都合が良い。アンチ溶媒を残留物に対して加える場合、添加の順序は最も関連性が低い。
【0120】
当業者は、アンチ溶媒の使用により化合物の沈殿が生じることを理解するだろう。1つの実施態様において、アンチ溶媒は、特定の化合物の特定の溶媒中での溶解度を下げるために溶液に対して加えられており、従って沈殿がもたらされている。他の実施態様において、アンチ溶媒が油性残留物又は粘着性物質に対して加えられており、ここでアンチ溶媒の特定の化合物に対する低溶解度が当該化合物の沈殿をもたらす。
【0121】
本発明の多くの方法は、特定の溶媒からの結晶化を伴う。当業者は、結晶化に関わる条件が、獲得される多型の形態に影響を与えることなく変更されて良いことを理解するだろう。例えば、溶液を形成するためにクロピドグレル硫酸水素塩を溶媒中で混合する場合には、出発原料を完全に溶かすために混合物の加温は必須でありうる。もし、加温により混合物が透明にならなければ、当該混合物は希釈又はろ過されて良い。ろ過するために、熱い混合物が紙、グラスファイバー、もしくは他の膜物質、又はセライトなどの清澄剤を通過させられて良い。使用されている設備及び溶液の濃度と温度に依存して、不完全な結晶化を避けるために、ろ過装置が予め暖められている必要がありうる。
【0122】
条件は、沈殿を誘導/促進させるように変更されても良い。沈殿を誘導する好適な方法は、溶媒の溶解度を下げることである。溶媒の溶解度は、例えば、溶媒を冷却することなどによって下げられて良い。
【0123】
結晶化を促進させる他の方法は、生成物の結晶を播くこと又は結晶化容器の内部表層をガラス棒で引掻くことによる。他の時に、結晶化が、何の誘導をせずとも自然に生じうる。本発明は、結晶化又は沈殿が自然に生じる、又は、誘導/促進されている(もしかかる誘導が特定の多型を獲得するために重要であるならば別だが)両方の実施態様を網羅する。
【0124】
血小板阻害物質として、クロピドグレルは、血液凝固の致死効果を抑制することにおいて効果的である。血小板の凝集は往々にして傷害された血管の周囲で生じる。このような血管は、血小板の凝集を誘導する小さな裂溝又はプラークのみを有しうる。
【0125】
血小板の凝集は動脈の遮断につながり、これにより一次及び二次発作及び心臓発作の危険性が高まる。血小板の凝集を阻害することによって、クロピドグレル硫酸水素塩は心臓発作及び発作の危険を減らす。クロピドグレルは、当業界において、体の器官、組織に対する血液の供給の減少、又は血管の狭窄又は妨害によって生じた部分として規定されている、虚血性事象の二次的な予防において特に有効である。
【0126】
本発明の医薬組成物は、クロピドグレル硫酸水素塩形態III、IV、V、IV及び非晶質形態を、任意に他の1もしくは複数の形態もしくは非晶質クロピドグレル及び/もしくは活性成分との混合物において、含む。本発明の方法によって獲得されたクロピドグレル硫酸水素塩形態III、IV、V及びVIは、それらがおよそ90%以上の純度、一層好適にはおよそ95%以上、そして最も好適にはおよそ99%以上(HPLCによって測定した場合の面積%)を有する点において医薬組成物のために理想的である。1もしくは複数の活性成分に加えて、本発明の医薬組成物は1もしくは複数の賦形剤を含んで成りうる。賦形剤は、様々な目的のために前記組成物に対して加えられている。
【0127】
希釈剤は固体状医薬組成物のかさを増やし、そして患者又は介護者の取り扱いをより簡単にするための組成物を含む医薬投与形態を可能にしうる。固体状組成物のための希釈剤としては、例えば、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)など)、微細(microfine)セルロース、ラクトース、デンプン、αデンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(Eudragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末状セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール及びタルクが挙げられる。
【0128】
錠剤などの投与形態へと圧縮されている固体状医薬組成物としては、賦形剤が挙げられ、その機能は、活性成分と他の賦形剤を圧縮後に一緒に結合するのに役立つことなどである。医薬組成物のための結合剤としては、アカシア、アルギニン酸、カルボマー(carbopolなど)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアールガム、水素化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標)など)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel(登録商標)など)、液体グルコース、マグネシウムアルミニウムシリケート、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(Kolidon(登録商標)、Plasdone(登録商標)など)、αデンプン、アルギン酸ナトリウム及びデンプンが挙げられる。
【0129】
圧縮された固体状医薬組成物の患者の胃における溶解の速度は、当該組成物に対して錠剤分解物質を加えることによって高められうる。錠剤分解物質としては、アルギン酸、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標)など)、コロイド状二酸化ケイ素、ナトリウムクロスカルメロース、クロスポビドン(Kollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標)など)、グアールガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、微結晶性セルロース、カリウムポラクリリン、粉末状セルロース、αデンプン、アルギン酸ナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート(Explotab(登録商標)など)及びデンプンが挙げられる。
【0130】
流動促進剤は、圧縮されていない固体状組成部の流動性を向上するため及び投与の精度を向上させるために加えられて良い。流動促進剤として機能しうる賦形剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末状セルロース、デンプン、タルク及び第三リン酸カルシウムが挙げられる。
【0131】
錠剤などの投与形態は、粉末状組成物の圧縮によって作製されており、当該組成物は穿孔機の圧力及び色素に委ねられる。いくつかの賦形剤と活性成分は穿孔機の表層と色素に対して接着する傾向を有し、それにより製品がピッチングと他に表層の凹凸を持つようになる。当該組成物に対して、粘着性を減らして色素から簡単に製品を放出せしめるために、潤滑剤が加えられて良い。潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、グリセリルパルミトステアレート、水素化カスター油、水素化植物油、鉱物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムステアリルフマレート、ステアリン酸、タルク及びステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0132】
風味剤及び風味増強剤が一層、投与形態の患者に対する口当たりを良くする。本発明の組成物中に含まれうる、医薬製品のための通常の風味剤と風味増強剤としては、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、及び酒石酸が挙げられる。
【0133】
固体状及び液体状組成物は、それらの概観を良くするため及び/又は患者による製品及び単位投与量の認知を促すために、医薬的に許容できる任意の着色剤を使用して染色されても良い。
【0134】
本発明の液体状医薬組成物において、クロピドグレル硫酸水素塩と任意の他の固体状賦形剤が、水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセリンなどの液体担体中で溶かされているかあるいは懸濁されている。
【0135】
液体状医薬組成物は、活性成分又は液体担体中で不溶性である他の賦形剤を当該組成物の全体的に均一に分散させるために、乳化剤を含んでも良い。本発明の液体組成物中で有用でありうる乳化剤としては、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、コンドラス、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール、及びセチルアルコールが挙げられる。
【0136】
本発明の液体状医薬組成物は、製品の口当たりを良くするため及び/又は胃腸管の裏層を覆うために増粘剤を含んでも良い。かかる薬剤としては、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルシウムカルボキシメチルセルロース又はナトリウムカルボキシメチルセルロース、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアールガム、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、プロピレングリコールアルギネート、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、デンプントラガカント及びキサンチンガムが挙げられる。
【0137】
甘味剤の、例えば、ソルビトール、サッカリン、ナトリウムサッカリン、スクロース、アスパルターム、フルクトース、マンニトール及び転化糖が風味を良くするために加えられて良い。
【0138】
防腐剤及びキレート剤の、例えばアルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール及びエチレンジアミン四酢酸が摂取に安全な量にて保存安定性を向上させるために加えられて良い。
【0139】
本発明によれば、液体状組成物は、グコン酸(guconic acid)、乳酸、クエン酸又は酢酸、グコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム又は酢酸ナトリウムなどの緩衝剤を含んでも良い。
【0140】
賦形剤と使用される量の選択は、実験及び標準的な方法及び当該分野における参考となる仕事を考慮することに基づき製剤科学者によって容易に決定されうる。
【0141】
本発明の固体状組成物としては、粉末、顆粒、凝集体及び圧縮された組成物が挙げられる。投与形態としては、経口、口腔、腸管、非経口(皮下、筋内、及び静脈内など)吸入及び眼への投与に適した投与形態が挙げられる。全ての場合において最も適切な投与は治療される症状の性質と症度に依存するだろうが、本発明の最も好適な経路は経口である。用量は単位投与形態に都合良く存在して良く、そして医薬業界で周知の任意の方法によって調製されている。
【0142】
投与形態としては、錠剤、粉末、カプセル、座薬、小袋、トローチ及びロゼンジなどの固体投与形態、並びに液体状シロップ、懸濁及びエリキシルが挙げられる。
【0143】
本発明の投与形態は、前記組成物、好適には本発明の粉末化又は顆粒化された固体状組成物を、硬い又は軟らかいシェルのいずれかの内に含むカプセルでありうる。前記シェルはゼラチンから作製されて良く、そして任意に可塑剤の、例えばグリセリン及びソルビトール、並びに隠蔽剤又は着色剤を含んでも良い。
【0144】
前記活性成分及び賦形剤は、当業界で公知の方法により組成物及び投与形態へと処方されて良い。
【0145】
錠剤形成又はカプセル充填するための組成物は、湿式造粒法によって調製されて良い。湿式造粒法において、活性成分のいくつか又は全てと粉末形態における賦形剤が混合され、次いで更に液体、典型的には水の存在下で混合され、それにより当該粉末が顆粒へと塊状になる。前記顆粒は篩分けそして/もしくは粉砕され、乾燥されて次いで篩分けられそして/もしくは粉砕され所望の粒子サイズになる。次いで、前記顆粒は錠剤化されうるかあるいは錠剤化される前に他の賦形剤の、例えば流動促進剤及び/又は潤滑剤が加えられて良い。
【0146】
錠剤形成組成物は、典型的に乾燥混合により調製されて良い。例えば、活性物質と賦形剤の混合組成物は、スラグ又はシートへと圧縮され、次いで圧縮された顆粒へと粉砕されうる。前記圧縮された粒子は続いて錠剤へと圧縮されて良い。
【0147】
乾燥造粒法の代わりとして、混合された組成物は、直接圧縮技術を使用することで圧縮された投与形態へと直接圧縮されて良い。直接圧縮は、顆粒を伴わない一層均一な錠剤を生産する。直接圧縮錠剤成形に特に適した賦形剤としては、微結晶性セルロース、噴霧乾燥されたラクトース、第二リン酸カルシウム二水和物及びコロイド状シリカが挙げられる。これら及び他の賦形剤の直接圧縮錠剤形成における適切な使用法は、実験を伴う当業界及び特に直接圧縮錠剤成形の処方問題に身を置く当業者に公知である。
【0148】
本発明のカプセル充填は、錠剤成形について記載されており、最終錠剤成形段階には委ねられていない全ての上記混合物及び顆粒を含んで成りうる。
【0149】
カプセル、錠剤及びロゼンジ、並びに他の単位投与形態は好適に、およそ75mg当量の塩基を含み、それはおよそ98gのクロピドグレル硫酸水素塩形態III、IV、V、VI又はその非晶質形態である。本明細書中で使用されている用量とは、投与のビヒクル、例えば、錠剤、又はカプセル中に含まれている様々な形態のクロピドグレルの量を意味する。好適な実施態様において、経口投与のための錠剤における単位用量は、およそ25mg〜150mgの塩基当量を含む。最も好適には、それはおよそ75mg塩基当量である。当業者は、通常の方法において必須である場合、他の単位用量が作製されて良いことを理解するだろう。
【0150】
使用した装置
PXRD
粉末X線回折パターンを、Scintag X線粉末回折装置モデルX’TRA、可変ゴニオメーター、Cu標的陽極及び固体状態検出器を有するX線管を使用する当業界で公知の方法によって獲得した。ラウンドゼロバックグラウンド水晶板を伴う円形標準アルミニウム試料ホルダーを使用した。スキャンは、2〜40度2シータの範囲に渡り、3度/分のスキャン速度で行った。
【0151】
DSC
DSCサーモグラムを、DSC Mettler 821e Stareを使用して獲得した。スキャンの温度範囲は、10℃/分の速度で、30〜350℃であった。試料の重量は3〜5mgであった。試料を窒素ガスにより40mL/分の流速でパージした。3つの穴を伴うフタを有する標準40μlアルミニウムキュベットを使用した。
【0152】
FTIR
FTIR結果を獲得するために、拡散反射技術を伴うPerkin-Elmer Spectrum One FTIRスペクトロメーターを使用した。試料は臭化カリウムにより微細に砕かれ、そしてスペクトルは、拡散反射アクセサリー中で、臭化カリウムバックグランドを使用して記録されていた。スペクトルは4000〜400cm-1で記録されていた。4.0cm-1の解像度で16回のスキャンが行われた。
【0153】
FTIRについて、KBr錠を使用しなかった。従来技術においては、形態IIはKBr錠を使用するFTIRによって特性決定されていた。開示されているように、出願人は拡散反射技術(「DRIFT」)によってFTIRを行った。クロピドグレル硫酸水素塩形態I及び形態IIは、DRIFT技術及びKBr錠技術の両方よって分析されている。様々な技術によって、同結晶形態について類似するパターンを獲得した。
【0154】
HPLC
カラム及びパッキング:Keystone、Betasil C18、250×4.6
溶離剤:70%メタノール、30%バッファー(10.01M K2HPO4、pH=7.5とH3PO4)
流速:1ml/分
カラム温度:30℃
検出波長=230nm、
希釈剤:70%メタノール/30%水
試料:10mg/10ml希釈剤
注入体積:20μl、装置:Varian
【0155】
以下の例が更に本発明を説明する。
【実施例】
【0156】
実施例
実施例1−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(5.01g、1当量)をメチルエチルケトン(MEK)(39.5mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.74mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却して溶媒の量の半分を減圧下で蒸発させ、その間に沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、MEKで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、3.55g(54%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0157】
実施例2−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.27g、1当量)をメチルエチルケトン(MEK)(33.7mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(1.03mL、1当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる67時間に渡り撹拌し、その間に沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、MEKで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、4.59g(82%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0158】
実施例3−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(3.73g、1当量)をジクロロメタン(29.4mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.55mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、その間に沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却して溶媒の量の半分を減圧下で蒸発させた。白色固体をろ過によって回収し、ジクロロメタンで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、1.42g(30%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0159】
実施例4−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.37g、1当量)をジクロロメタン(34.5mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(1.06mL、1当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、その間に混濁溶液が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる16時間に渡り撹拌し、その間に巨大な沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、ジクロロメタンで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、2.76g(48%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0160】
実施例5−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.29g、1当量)をトルエン(33.8mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(1.04mL、1.1当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと3時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる16時間に渡り撹拌し、その間に巨大な沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、トルエンで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、4.59g(82%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0161】
実施例6−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.24g、1当量)をクロロホルム(33.4mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.62mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、その間に沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却して溶媒の半分の量を減圧下で蒸発させた。白色固体をろ過によって回収し、クロロホルムで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、3.14g(56%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0162】
実施例7−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.37g、1当量)をクロロホルム(34.5mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(1.06mL、1.1当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、この間に沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる16時間に渡り撹拌し、その間に巨大な沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、クロロホルムで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、5.01g(88%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0163】
実施例8−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.03g、1当量)を酢酸エチル(31.8mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.59mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと3時間に渡り加熱し、その間に粘着性の沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる16時間に渡り撹拌し、その間に巨大な沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、酢酸エチルで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、2.59g(49%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0164】
実施例9−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(5.31g、1当量)を酢酸エチル(41.9mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(1.29mL、1.1当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、その間に巨大な沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる3時間に渡り撹拌した。白色固体をろ過によって回収し、酢酸エチルで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、4.60g(66%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0165】
実施例10−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.39g、1当量)をtert-ブチルメチルエーテル(MTBE)(34.6mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.64mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと3時間に渡り加熱し、その間に粘着性の沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌した。獲得した白色固体をろ過によって回収し、MTBEで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、2.96g(52%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0166】
実施例11−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.17g、1当量)を1,4-ジオキサン(32.9mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.61mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、その間に巨大な沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌した。白色固体をろ過によって回収し、1,4-ジオキサンで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、2.61g(48%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0167】
実施例12−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
非晶質クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をアセトニトリル(6mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をDEE(350mL)に滴下して加え、獲得した懸濁を室温で19時間に渡り撹拌した。白色固体をろ過によって回収し、DEEで洗浄(15mL)して真空オーブン中65℃で24時間に渡り乾燥させ、0.71g(71%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0168】
実施例13−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)をメタノール(6mL)中に溶かした。別にトルエン(350mL)を還流温度へと過熱した。クロピドグレル硫酸水素塩のメタノール溶液を沸騰するトルエンに対して滴下して加えた。生じる溶液を更なる20時間に渡り還流した。溶液を室温へと冷却してこの温度で16時間に渡り撹拌した。乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、クリーム状泡沫(1.26g、42%)を獲得し、その特徴的なデータにより非晶質形態であることが示された。
【0169】
実施例14−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の調製
クロピドグレル硫酸水素塩(2g)をメタノール(4mL)中に溶かした。生じる溶液をジエチルエーテルに対して滴下(350mL)して加えた。懸濁をRTで45分に渡り撹拌した。固体をろ過にして真空オーブン中およそ50℃で24時間に渡り乾燥させ、1.12g(56%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得し、その特徴的なデータにより非晶質形態であることが示された。
【0170】
実施例15−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の調製
クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をメタノール(3mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をジエチルエーテル(DEE)(350mL)に対して滴下して加えた。獲得した混合物を室温で0.5時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で16時間に渡り乾燥させ、0.86g(86%)の非晶質クロピドグレル硫酸水素塩を獲得した。
【0171】
実施例16−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の調製
クロピドグレル塩基(3.42g)をアセトン(27mL)中に溶かした。水性硫酸(20%、4.57mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる1.5時間に渡り撹拌した。次いで、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、粉末(3.59g、78%)を獲得し、その特徴的なデータにより非晶質形態であることが示された。
【0172】
実施例17−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の調製
クロピドグレル塩基(2.88g)をアセトン(23mL)中に溶かした。水性硫酸(20%、2.56mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌した。次いで、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、粉末(3.08g、82%)を獲得し、その特徴的なデータにより非晶質形態であることが示された。
【0173】
実施例18−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(2g)をメタノール(4mL)中に溶かした。生じる溶液をメチルt−ブチルエーテルに対して滴下(300mL)して加えた。懸濁をRTで16時間に渡り撹拌した。生じる沈殿をろ過して真空オーブン中65℃で24時間に渡り乾燥させ、結晶(1.5g、75%)を獲得した。その後の分析により、この結晶はクロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態Iであることが示された。
【0174】
実施例19−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)を無水トルエン(9mL)中に還流温度で溶かし透明な溶液を獲得した。次いで、この溶液を室温へと冷却して、乾燥のため、溶媒を減圧下で蒸発させ油を獲得した。次いで、メチルt−ブタノールエーテル又はジエチルエーテル(28mL)を油性残留物へと滴下して加え、そして生じる混合物を室温で24時間に渡り撹拌した。白色の生成物をろ過して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ2.6g(87%)のクロピドグレル硫酸水素塩形態Iを得た。
【0175】
実施例20−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)をメタノール(4mL)中に還流温度で溶かし透明な溶液を獲得した。次いで、この溶液を室温へと冷却して、乾燥のため、溶媒を減圧下で蒸発させ油を獲得した。次いで、tert−ブチルメチルエーテル又はジエチルエーテル(30mL)を油性残留物へと滴下して加え、そして生じる混合物を室温で16時間に渡り撹拌した。白色の生成物をろ過して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ2.65g(88%)のクロピドグレル硫酸水素塩形態Iを得た。
【0176】
実施例21−クロピドグレル硫酸水素塩形態I及び非晶質形態の調製
クロピドグレル塩基(3.85g)を無水エタノール(30.4mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.56mL)をこの溶液に対して加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却して乾燥のため、溶媒を減圧下で蒸発させ白色泡沫を残した。この泡沫をメチルt−ブチルエーテル(MTBE)(70mL)中で3時間に渡り室温で撹拌した。MTBEのおよそ半分を減圧下で蒸発させて固体をろ過によって回収した。固体を真空オーブン中50℃で乾燥させ、2.82g(56%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Iと非晶質クロピドグレル硫酸水素塩の混合物を獲得した。
【0177】
実施例22−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をメタノール(3mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をジエチルエーテル(DEE)(350mL)に対して滴下して加えた。獲得した混合物を室温で1時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で19.5時間に渡り乾燥させ、0.76g(76%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Iを得た。
【0178】
実施例23−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をメタノール(3mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をジエチルエーテル(DEE)(350mL)に対して滴下して加えた。獲得した混合物を室温で5時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で14時間に渡り乾燥させ、0.74g(74%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Iを得た。
【0179】
実施例24−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をメタノール(3mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をジエチルエーテル(DEE)(350mL)に対して滴下して加えた。獲得した混合物を室温で8時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で13時間に渡り乾燥させ、0.78g(78%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Iを得た。
【0180】
実施例25−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をメタノール(3mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をジエチルエーテル(DEE)(350mL)に対して滴下して加えた。獲得した混合物を室温で19.5時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で23時間に渡り乾燥させ、0.74g(74%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Iを得た。
【0181】
実施例26−クロピドグレル結晶形態IIIの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)の1-ブタノール中(5mL)の懸濁を還流温度で30分に渡り加熱し透明な溶液を獲得した。この溶液を室温(RT)へと冷却して溶媒を減圧下で蒸発させ油性残留物を獲得した。ジエチルエーテル(30mL)をこの残留物に対して加えた。生じる混合物を室温で24〜48時間に渡り撹拌した。白色の生成物が混合物から沈殿し、次いでそれをろ過し、ジエチルエーテルで洗浄(2×10mL)した。白色の生成物を真空オーブン中65℃で24時間に渡り乾燥させ、2.91gの結晶質クロピドグレル硫酸水素塩(97%)を得、それをPXRDによって形態IIIとして同定した。
【0182】
実施例27−クロピドグレル結晶形態IIIの調製
クロピドグレル塩基(4.28g)を1−ブタノール(16.9mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.63mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却して、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色の油が残った。この油をメチルt−ブチルエーテル(MTBE)(125mL)中96時間に渡り室温で撹拌し、沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、MTBEで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、3.33g(60%)のクロピドグレル硫酸水素結晶形態IIIを獲得した。
【0183】
実施例28−クロピドグレル結晶形態IIIの調製
クロピドグレル硫酸水素塩結晶形態I(1g)を1−ブタノール(5mL)中に還流温度で溶かした。透明な溶液が獲得された場合、溶液を室温へと冷却し、そして、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、油性残留物を獲得した。次いで、ジエチルエーテル(DEE)(7mL)をこの残留物に対して加えて生じる混合物を24時間に渡り撹拌し、その間に沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、DEEで洗浄(25mL)して真空オーブン中60℃で20時間に渡り乾燥させ、0.86g(86%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIIを獲得した。
【0184】
実施例29−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)をイソプロパノール(IPA)(32mL(およそ11体積))中に還流室温で溶かした。生じる溶液を室温へと冷却してこの温度で1時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で16時間に渡り乾燥させ、1.66g(55%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを得た。
【0185】
注釈:溶媒の体積を最大21体積/1gのクロピドグレル硫酸水素塩に高ることができうる。
【0186】
実施例30−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)をイソプロパノール(IPA)(60mL(20体積))中に還流室温で溶かした。生じる溶液を室温へと冷却して、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、2.0g(67%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを得た。
【0187】
実施例31−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.96g)をイソプロパノール(45mL)中に溶かした。水性硫酸(98%、0.50mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌し白色沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、イソプロパノールで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で28時間に渡り乾燥させ、2.78g(71%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0188】
実施例32−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.91g)をイソプロパノール(IPA)(44mL)中に溶かした。98%の水性硫酸(0.32mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。次いで、固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で26時間に渡り乾燥させ、3.04g(80%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0189】
実施例33−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.93g)をイソプロパノール(45mL)中に溶かした。60%の水性硫酸(0.99mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2.5時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、イソプロパノールで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で15時間に渡り乾燥させ、2.22g(58%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0190】
実施例34−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.98g)をイソプロパノール(45mL)中に溶かした。60%の水性硫酸(0.67mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で15時間に渡り乾燥させ、0.93g(24%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0191】
実施例35−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.85g)をイソプロパノール(43mL)中に溶かした。40%の水性硫酸(1.67mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる3.5時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で14.5時間に渡り乾燥させ、1.47g(40%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0192】
実施例36−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.95g)をイソプロパノール(45mL)中に溶かした。40%の水性硫酸(1.15mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる3.5時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で14.5時間に渡り乾燥させ、0.49g(13%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0193】
実施例37−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.89g)をイソプロパノール(44mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.42mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる5時間に渡り撹拌した。次いで、溶媒の半分を減圧下で蒸発によって取り除き、そして生じる溶液を室温で45時間に渡り保存し、白色沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(3×10mL)して真空オーブン中50℃で15時間に渡り乾燥させ、1.24g(33%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0194】
実施例38−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.96g)をイソプロパノール(IPA)(45mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.65mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる1.5時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で15時間に渡り乾燥させ、3.24g(84%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0195】
実施例39−クロピドグレル硫酸水素塩形態Vの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)を2−ブタノール(9mL)中に還流温度で溶かした。生じる溶液を室温へと冷却してメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(40mL)滴下して加えた。獲得した混合物を室温で72時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、3.15gのクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Vを獲得した。
【0196】
実施例40−クロピドグレル硫酸水素塩形態Vの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)を2−ブタノール(8mL)中に還流温度で溶かした。生じる溶液を室温へと冷却して乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させた。次いで、ジエチルエーテル(DEE)(26mL)を滴下して加え、そして獲得した混合物を室温で24時間に渡り撹拌した。次いで固体をろ過して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、3.08gのクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Vを獲得した。
【0197】
実施例41−クロピドグレル硫酸水素塩形態Vの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)を2−ブタノール(8mL)中に還流温度で溶かした。生じる溶液を室温へと冷却した。次いで、MTBE(35mL)を滴下して加え、そして獲得した混合物を室温で16時間に渡り撹拌した。更なるMTBE(11mL)を加えて懸濁を室温で更なる2時間に渡り撹拌した。固体をろ過し、MTBE(25mL)で洗浄して真空オーブン中65℃で24時間に渡り乾燥させ、2.95g(98%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Vを獲得した。
【0198】
実施例42−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態Vの調製
クロピドグレル塩基(2.98g)を2−ブタノール(23mL)中に溶かした。98%の水性硫酸(0.50mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる3時間に渡り撹拌した。次いで、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ油を獲得した。次いで、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)(44mL)を油性残留物に対して加え、そして生じる溶液を室温で16時間に渡り撹拌した。沈殿をろ過によって獲得し、MTBEで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で22.5時間に渡り乾燥させ、3.38g(87%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Vを獲得した。
【0199】
実施例43−クロピドグレル硫酸水素塩形態Vの調製
クロピドグレル塩基(2.94g)を2−ブタノール(23mL)中に溶かした。98%の水性硫酸(0.43mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる1.5時間に渡り撹拌した。次いで、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ油を獲得した。次いで、ジエチルエーテル(DEE)(40mL)を油性残留物に対して加え、そして生じる溶液を室温で16時間に渡り撹拌した。沈殿をろ過によって回収し、DEEで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で19時間に渡り乾燥させ、2.11g(55%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Vを獲得した。
【0200】
実施例44−クロピドグレル硫酸水素塩形態VIの調製
クロピドグレル塩基(2.86g、1当量)を1−プロパノール(22.6mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.59mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる16時間に渡り撹拌した。次いで、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ油性残留物を獲得した。次いで、この残留物に対してMTBE(50mL)を加え、そして生じる混合物を室温で24時間に渡り撹拌し、その間に強大な沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、MTBEで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で30時間に渡り乾燥させ、2.58g(69%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態VIを獲得した。
【0201】
従って、本発明は、特定の好適な実施態様及び説明のための例を参照にすることにより記載されており、当業者は、記載及び説明されたような本発明に対する変更は、本間異彩書中に開示されている本発明の精神及び範囲を逸脱しないことを理解するだろう。これらの例は、本発明の理解を助けるために開示されているが、そのいかなる範囲を限定するものとしおらず、そしてそう解されるべきではない。この例は、典型的な方法の詳細を挙げてはいない。かかる方法は当業者に周知であり、多くの刊行物中に記載がある。手引書としてはPolymorphism in Pharmaceutical Solids、Drugs and the Pharmaceutical Science、 Vol.95を使用できうる。本明細書中で説明した全ての参考文献はそれらの全体が組み込まれている。
【技術分野】
【0001】
関連特許
本願は、2001年12月18日に提出された仮出願番号60/342,440;2001年12月21日に提出された仮出願番号60/342,351;2002年1月11日に提出された仮出願番号60/348,182;2002年2月12日に提出された仮出願番号10/074,409;2002年2月21日に提出された仮出願番号60/359,157;の優先権を主張し、それらの全ては参照として本明細書中に組み込まれている。
【0002】
発明の分野
本発明はクロピドグレル硫酸水素塩の固体状態の化学に関連する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
アテローム性動脈硬化症は、動脈の肥厚及び弾力性の低下につながる動脈の壁におけるプラークの蓄積である。アテローム性動脈硬化症は、動脈の内層に対する傷害によりもたらされる。この傷害は、高コレステロール、高血圧、喫煙及び感染症などの共通の作用及び疾患によって生じる。
【0004】
プラークは動脈の内壁上、これら傷害の部位にて形成される。プラークは主に、脂肪組織及び平滑筋細胞からなる。プラークの形成は、往々にして、傷害の部位における血小板の凝集による血液の凝固をもたらす。この凝固は、重要な器官に対する血流の減少もしくは排除をもたらし、心臓発作もしくは他の深刻な症状を生じうる。プラークは破裂もして血餅を動脈じゅうに送り、これは塞栓に言及されており、もしそれが、より小さな血管内に沈着すれば、完全に血流を妨害してしまうことがある。
【0005】
抗血小板作用は、往々にして、アテローム性動脈硬化症の致死的結果を予防することにおいて望ましい。クロピドグレルは、血小板凝集の誘導の阻害物質であり、それはアデノシン二リン酸塩のそのレセプターに対する結合を阻害することによって作用する。クロピドグレルは肝臓によって活性形態へと代謝される。その抗血小板作用は、それが全ての血小板作用を、投与の後最大10日でさえも、止めるように拡張されている。
【0006】
クロピドグレルの化学名は、メチル(+)−(S)−α−(o−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5(4H)−アセテートであり、それは以下の構造:
【化1】
を有する。
【0007】
クロピドグレルの血しょう板阻害作用は、クロピドグレルを、虚血性脳卒中、又はアテローム性動脈硬化症など心臓疾患による心臓発作又は跛行を減らすための有効な薬物にする。クロピドグレルは、血小板の凝集を阻害することによって、動脈遮断の機会を減らし、従って、発作及び心臓発作を予防する。米国特許第5,576,328号には、クロピドグレルの投与による二次発作事象の発生を予防する方法が記載されており、そしてそれは本明細書中に参照として組み込まれている。
【0008】
最近の研究では、クロピドグレルが、アスピリンよりも血しょう板凝集を遮断することにおいて一層効果的であり、そして胃腸管に対して非常により一層やさしいことが示されている。クロピドグレルは、アスピリンよりも非常に少ない容量で一層効果的である。75mg塩基当量の用量は、アスピリンの325mgの用量よりも一層効果的であることが示されている。一層効果的であることに加えて、クロピドグレルにより生じる胃腸出血はアスピリンに比べて非常に少ない。
【0009】
クロピドグレルはその硫酸水素塩(重硫酸塩と同義)として投与されている。クロピドグレル硫酸水素塩は、実験式C16H16ClNO2S・H2SO4を有する。それは現在、PLAVIX(登録商標)として市販されおり、それは、75mgのクロピドグレル塩基当量である、およそ98mgのクロピドグレル硫酸水素塩を含む。PLAVIX(登録商標)は白〜オフホワイトの粉末であり、実際には中性のpHでは水に不溶性であるが酸性のpHでは非常に可溶性である。それはメタノール中では多量に、塩化メチレン中では多少溶け、そしてエチルエーテル中では乏しい。
【0010】
米国特許第4,847,265号;5,1321,435号;6,258,961号、6,215,005号及び6,180,793号には、クロピドグレル硫酸水素塩を調製するために使用できうる方法が開示されており、それら全てが本明細書中、参照として組み込まれている。
【0011】
本発明は、任意のこれら又は他の方法によって調製されたクロピドグレル硫酸水素塩の固体状態の物理特性に関連する。これらの特性は、クロピドグレルが固体形態で獲得される条件を調節することによって影響されうる。固体状態の物理的特性としては、例えば、破砕された固体の流動性が挙げられる。流動性は、物質を医薬製品へと加工する間の取り扱いの容易さに影響を及ぼす。粉末化された化合物の粒子が、互いに簡単に流れ通過しない場合には、調剤専門家は、錠剤又はカプセル製剤を開発する場合、それには例えば、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、デンプン又は三塩基性リン酸カルシウムなどの流動促進剤の使用が必要となりうることを考慮しなければならい。
【0012】
医薬組成物の他の重要な固体状体の特性とは、その水性流体中での溶解の速度である。患者の胃の流体における活性成分の溶解の速度が治療の結末を有しており、その理由は、それが、経口投与された活性成分が血流に到達できる速度に上限を与えるからだ。溶解の速度はシロップ、エリキシル及び他の液体状医薬を処方することにおける検討物質でもある。化合物の固体状態形態は、その圧縮における挙動及びその保存安定性にも影響を与える。
【0013】
これらの実際上の物理特性は、物質の特定の多型体を規定する、単位セルにおける分子の配置及び方向によって調節されている。多型体は、非晶質形態又は他の多型体とは異なる熱的挙動を生じうる。熱的挙動は、研究室においてキャピラリー融点、熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)などの技術によって測定されており、そしてある多型体を他のものから区別するために使用できうる。特定の多型体は、粉末X線回折、固体状態13C NMRスペクトロメトリー及び赤外スペクトロメトリーによって検出可能でありうる独特の特性をも生じうる。
【0014】
医薬的に有用な化合物の新規結晶質形態の発見は、医薬製品の性能特性を向上せしめる新たなる機会を供する。それは、調剤科学者が、例えば、標的放出プロファイル又は他の所望の特性を有する薬物の医薬投与形態を設計するために使用可能である物質のレパートリーを拡大する。
【0015】
米国特許第4,529,596はクロピドグレルの組成物及びその使用に関する。この596号特許はクロピドグレルの合成を開示するが、クロピドグレルの多型体もしくは非晶質形態の存在を示唆もしくは開示することを欠いている。米国特許第4,847,265号はクロピドグレルのエナンチオマーに関し、そしてまた、いかなるクロピドグレルの多型体もしくは非晶質を示唆もしくは開示していない。これらの米国特許は本明細書中参照として組み込まれている。
【0016】
国際特許出願WO99/65915号は、形態I及びIIに言及されるクロピドグレル硫酸水素塩の2つの多型を開示しているが、形態Iは本来、EP281459中に開示されている。
【0017】
国際特許WO99/65915号によれば、形態Iは、9.2、10.9、15.2、17.9、18.5、20.6、23.0、23.2、23.4及び25.5±0.2度2シータにPXDRパターンを有する。形態Iは、2987、1753、1222、1175及び841cm-1に吸収バンドを伴う赤外スペクトルをも有する。
【0018】
そしてまた国際特許WO99/65915号は、12.9、13.6、15.6、17.7、19.5、21.6、23.0、23.3及び24.7±0.2度2シータにPXDRパターンを有する形態IIも開示する。形態IIは、2551、1753、1497、1189及び1029cm-1に吸収バンドを伴う赤外スペクトルを有する。
【0019】
出願人の英語翻訳によれば、例1Bにおいて、形態Iは、窒素雰囲気下でクロピドグレルカンフルスルホネートをジクロロメタン中に溶かすことによって調製されている。次いで、水中炭酸カリウムの溶液が導入されている。次いで、有機層が取り除かれ、濃縮されてアセトンへと加えられている。このアセトン溶液を窒素下でリアクター中に置き、そして濃硫酸の94%溶液が加えられている。次いで、この混合物は蒸留され、そして冷却され、しかる後に続いて結晶化されている。この結晶は洗浄及び乾燥されて形態Iが獲得されている。
【0020】
Chemical abstractアクセス番号1999:811251によれば、形態IIは、100mLのジクロロメタン中50gのクロピドグレルカンフルスルホネートの溶液の、70mLの水中9.1gの炭酸カリウムの溶液に対する添加によって調製されている。この有機層は分離され、濃縮されて229mLのアセトン中に溶かされている。このアセトン溶液は7.4gの80%硫酸溶液中で窒素の下2時間に渡り還流されていた。次いで、溶媒が取り除かれ形態IIが獲得された。
【0021】
形態IIは、形態Iの結晶質に由来する親水溶液を3〜6月に渡り保存することによって形態Iからも調製されても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】国際特許出願WO99/65915号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素1−ブタノレート、クロピドグレル硫酸水素イソプロパノレート、クロピドグレル硫酸水素2−ブタノレート及び硫酸水素1−プロタノレートをも提供する。
【0024】
形態III、IV、V及びVIと命名された、クロピドグレル硫酸水素塩の4つの新たなる結晶形態及びクロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態、並びに、それらの調製、及びクロピドグレルの形態I及びIIの調製ための新規方法が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
発明の概要
1つの観点において、本発明は、およそ8.1、8.7、14.3、15.4、20.1、22.3、22.5、23.5及び24.1±0.2度2シータにピークを伴う粉末X線回折パターン、およそ105℃に吸熱ピークを伴う示差走査熱量測定サーモグラム並びにおよそ581、707、755、971、1057、1196、1252、1436、1476、1748、2590、2670及び2963cm-1にピークを伴うFTIRスペクトルからなる群から選択されたデータを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩を提供する。この固体結晶質形態を形態IIIとする。
【0026】
他の観点において、本発明は、1−ブタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液から1−ブタノールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該残留物を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、形態IIIの特徴(例えば、本明細書中で開示されているPXRDピーク及び/もしくはFTIRピーク及び/もしくはDSCピーク)を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。前記湿った試料は好適に乾燥されている。
【0027】
他の観点において、本発明は:図4に実質的に描かれているPXRDパターン、並びにおよそ583、723、762、846、1040、1167、1223、1438、1478、1638、1752、2585及び2960cm-1にピークを伴うFTIRスペクトルからなる群から選択されたデータを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩を提供する。この固体形態は非晶質形態である。
【0028】
他の観点において、本発明は、メタノール及びエタノールからなる群から選択されたアルコール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液とアンチ溶媒を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、非晶質形態の特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0029】
他の観点において、本発明は、メタノール及びエタノールからなる群から選択されたアルコール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液からアルコールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該溶液を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、非晶質形態の特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0030】
他の観点において、本発明は、メタノール及びエタノールからなる群から選択されたアルコール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液とアンチ溶媒を混合し、そして当該アルコール及び当該アンチ溶媒を取り除く段階を含んで成る、非晶質形態の特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0031】
他の観点において、本発明は、アセトン中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、そして当該アセトンを取り除く段階を含んで成る、非晶質形態の特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0032】
他の観点において、本発明は、非晶質クロピドグレル硫酸水素塩をエーテルと接触させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩形態Iを分離することを含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態Iを調製するための方法を供する。好適に、前記非晶質クロピドグレル硫酸水素塩はエーテル中で懸濁されている。
【0033】
他の観点において、本発明は:およそ22.0、25.9、26.9、27.4、28.1、28.6及び28.9±0.2度2シータにピークを伴うPXRDパターン、およそ160〜170℃に吸熱ピークを伴うDSCサーモグラム並びにおよそ681、769、842、893、935、974、1038、1116、1370、1384cm-1にピークを伴うFTIRスペクトルからなる群から選択されたデータを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩を提供する。この固体結晶質形態を形態IVとする。
【0034】
他の観点において、本発明は、イソプロパノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、クロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そして当該クロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、形態IVの特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0035】
他の観点において、本発明は、イソプロパノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、そして当該イソプロパノールを取り除く段階を含んで成る、形態IVの特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0036】
他の観点において、本発明は:およそ25.5、26.6、27.8及び28.5±0.2度2シータにピークを伴うPXRDパターン、およそ126〜132℃に吸熱ピークを伴うDSCプロファイル並びにおよそ623、743、802、817、843、963、972、1028及び1374cm-1にピークを伴うFTIRスペクトルからなる群から選択されたデータを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩を提供する。この固体結晶質形態を形態Vとする。
【0037】
他の観点において、本発明は、2−ブタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、アンチ溶媒と当該溶液を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、形態Vの特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0038】
他の観点において、本発明は、2−ブタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液から2−ブタノールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該残留物を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、形態Vの特徴を1つ以上有するクロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0039】
他の観点において、本発明は:およそ8.3、9.1、23.2、23.6±0.2度2シータにピークを伴う粉末X線回折パターン、およそ136℃に吸熱ピークを有する示差走査熱測定サーモグラム並びにおよそ959、1061、1430、1751、1757及び3119cm-1にピークを伴うFTIRスペクトルからなる群から選択されたデータを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩を提供する。この固体結晶質形態を形態VIとする。
【0040】
他の観点において、本発明は、1−プロパノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液から1−プロパノールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該残留物を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。
【0041】
好適に除去は、本発明の方法中、蒸発によって行われている。
【0042】
他の観点において、本発明は、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルエチルケトン及びt−ブチルメチルエーテルからなる群から選択された溶媒中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液からクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法を供する。
【0043】
他の観点において、本発明は、アセトニトリル中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液とアンチ溶媒を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そして当該沈殿を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法を供する。
【0044】
好適なアンチ溶媒はC2〜C8エーテルである。
【0045】
本発明は、医薬組成物及びそれらの、血小板凝集を阻害する投与の方法をも供する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIの粉末X線回折パターンである。
【図2】クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。
【図3】クロピドグレル硫酸水素塩形態形態IIIのFTIRスペクトルである。
【図4】クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の粉末X線回折(PXRD)パターンである。
【図5】クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態のFTIRスペクトルである。
【図6】クロピドグレル硫酸水素塩形態IVのPXRDパターンである。
【図7】クロピドグレル硫酸水素塩形態IVのDSCサーモグラムである。
【図8】クロピドグレル硫酸水素塩形態IVのMRスペクトルである。
【図9】クロピドグレル硫酸水素塩形態VのPXRDパターンである。
【図10】クロピドグレル硫酸水素塩形態VのDSCサーモグラムである。
【図11】クロピドグレル硫酸水素塩形態VのFTIRスペクトルである。
【図12】クロピドグレル硫酸水素塩形態VIのPXRDパターンである。
【図13】クロピドグレル硫酸水素塩形態VIのDSCサーモグラムである。
【図14】クロピドグレル硫酸水素塩VIのFTIRスペクトルである。
【図15】HPLCを使用することによる不純物の面積分析である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
発明の詳細な説明
本明細書中で使用されている場合、用語「IPA」、「イソプロパノール」、「イソプロピルアルコール」及び「2−プロパノール」は同じアルコールを意味する。
【0048】
本明細書中で使用されている場合、用語「結晶化」及び「沈殿」は同義語である。
【0049】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩の新規多型及び新規非晶質形態を提供する。とりわけて、様々な形態が、様々なアルコールを使用することによって獲得されている。
【0050】
第1の観点において、本発明は、形態IIIと命名されているクロピドグレル硫酸水素塩の新規結晶質形態を提供する。クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIは、およそ8.1、8.7、14.3、15.4、20.1、22.3、22.5、23.5及び24.1±0.2度2シータにピークを伴う粉末X線回折パターン(図1)を特徴としている。
【0051】
クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIは、およそ105℃の最大吸熱を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(図2)を生み出す。
【0052】
クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIは、およそ581、707、755、971、1057、1196、1252、1436、1476、1748、2590、2670及び2963cm-1に特徴的な吸収バンドを有するFTIRスペクトル(図3)を生み出す。クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIのFTIRスペクトルは、およそ838、886及び1594cm-1に更なる吸収バンドを有する。
【0053】
本発明は更に、クロピドグレル硫酸水素塩と1−ブタノールの溶液を調製し、1−ブタノールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該残留物を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIを調製するための方法を供する。
【0054】
前記方法において、クロピドグレル硫酸水素塩は、当該クロピドグレル硫酸水素塩を、アルコールの還流温度にて又はそれ未満で溶かすために十分な量のアルコールと混合されている。クロピドグレル硫酸水素塩を完全に溶かすために、混合物は最大でアルコールの還流温度へと加熱されて良い。好適に、この混合物はおよそ30分に渡り還流されている。この溶液をクロピドグレル塩基と硫酸により調製する場合、その溶液は好適により長い時間、例えば、およそ2時間に渡り還流されている。時間と温度における些細な違いでは同じ結果が生まれ、そして他の温度及び時間では他の条件下で同じ結果が生じることを当業者は理解できるだろう。
【0055】
最も好適な実施態様において、アルコールは周囲温度又は減圧下で冷却、そして任意の即時冷却後に蒸発せしめられている。好適に、前記溶液は室温へと冷却されてアルコールが減圧下で蒸発している。蒸発の後に残留物が残る。
【0056】
次いで、アンチ溶媒が前記残留物に対して加えられている。好適に、前記アンチ溶媒はエーテルである。一層好適には、酸素原子に対し連結しているエーテルのアルキル基の各々は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている。最も好適に、前記エーテルはジエチルエーテル又はメチルt−ブチルエーテルである。
【0057】
次いで、残留物とアンチ溶媒の混合物は、クロピドグレル塩基で出発した場合には、1日又は2日に渡り、好適にはより長い時間に渡り撹拌されて良い。沈殿が形成し始まる。次いで、この沈殿がこの混合物から分離されている。当業者は、沈殿を混合物から分離する多くの方法が在ることを理解するだろう。好適に、前記沈殿はろ過によって分離されている。分離後、沈殿は、不純物を取り除くためにジエチルエーテルなどの有機溶媒により任意に洗浄されて良い。
【0058】
次いで、前記分離された沈殿は、好適に、周囲温度又は減圧下で乾燥されている。好適な実施態様において、沈殿は真空下で乾燥されている。好適に、沈殿は乾燥方法を促進させるために加熱されている。一層好適には、それは、およそ40℃〜およそ80℃で加熱されている。一層好適には、それは、およそ50℃〜65℃でおよそ24時間に渡り真空オーブン中で乾燥されている。当業者は、化合物を乾燥させるための多くの方法が在り、そしてそれは、条件、他の温度、圧力及び時間を操作することにより足りることを理解するだろう。
【0059】
クロピドグレル形態IIIは、およそ97%の収率で獲得されて良く、それはこの新規方法の高い効率及び有効性を示している。
【0060】
他の観点において、本発明は、新規非晶質クロピドグレル硫酸水素塩を提供する。本発明によれば、非晶質クロピドグレル硫酸水素塩は非常に純粋である。一層好適には、それは本質的に結晶質クロピドグレル硫酸水素塩を含んでいない。最も好適には、前記非晶質クロピドグレル硫酸水素塩は、記載された装置に見合う粉末X線走査計の検出限界内に結晶質クロピドグレル硫酸水素塩を含んでいない。クロピドグレル硫酸水素塩の純度は、未知の試料のPXRDパターンを、真に純粋な非晶質クリピドグレル硫酸水素塩と真に純粋な結晶質クリピドグリル硫酸水素塩の混合物のパターンと比較することによって評価できうる。
【0061】
我々が生産した物質の非晶質特性と純度は、それらの試料から獲得された粉末X線回折パターンによって確認されており、それは図4として供されている。このパターンは、強焦点反射を伴わず且つおよそ24度2シータに最大中心(maximum centered)を伴うハロー以外に特徴がない。
【0062】
前記非晶質形態は、およそ583、723、762、846、1040、1167、1223、1438、1478、1638、1752、2585及び2960cm-1にピークを伴うFTIRスペクトル(図5)を有する。
【0063】
本発明は更に、メタノール又はエタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、そして当該溶液とアンチ溶媒を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態を調製するための方法を供する。
【0064】
クロピドグレル硫酸水素塩のアルコール溶液は、アルコール中でのクロピドグレル硫酸水素塩の溶解度を高めるために加熱されて良い。好適に、当該溶液は、およそ室温〜およそ還流温度に加熱されて良く、そして還流又はその付近での温度が最も好適である。溶解の後、溶液は、好適に室温へと冷却されて良い。
【0065】
アルコールは、溶液から、泡沫又は油性残留物を獲得するために任意に取り除かれて良い。好適に、アルコールは蒸発によって取り除かれている。アルコールは周囲圧又は減圧下で蒸発され、そして任意に蒸発を促進させるために加熱されて良い。次いで、かかる場合には、アンチ溶媒が泡沫又は油性残留物へと加えられている。
【0066】
代わりに、クロピドグレル硫酸水素塩とアルコールの溶液は、クロピドグレル硫酸水素塩を沈殿せしめるためにアンチ溶媒に対して加えられて良い。好適に、溶液はアンチ溶媒に対して徐々に加えられている。好適に、前記アンチ溶媒はエーテルである。エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びtert−ブチルからなる群から選択されて良い。1つの好適な実施態様において、エーテルはメチルt−ブチルエーテルである。他の好適な実施態様において、エーテルはジエチルエーテルである。
【0067】
エーテル中での沈殿形態。この沈殿はエーテルから、初い段階、好適には数時間内に分離されるべきだ。さもなければ、非晶質形態は、形態Iへと変化され、より少ない収量でもたらされるだろう。
【0068】
前記沈殿は、当業者に公知の方法によって分離されて良い。好適に、前記沈殿は、ろ過によって分離されている。任意に、真空ろ過が使用されうる。
【0069】
前記沈殿は、周囲圧又は減圧下で乾燥されて良い。好適に、前記沈殿は、真空オーブン中でおよそ24時間に渡り加熱されている。一層好適には、前記沈殿は、およそ40℃〜およそ70℃の温度に過熱されている。最も好適には、それはおよそ50℃でおよそ24時間に渡り乾燥されている。
【0070】
本発明は、メタノール又はエタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液とアンチ溶媒を混合し;そしてアルコールとアンチ溶媒を取り除く段階を含んで成る、非晶質クロピドグレル硫酸水素塩を調製するための方法を供する。好適に、前記溶液は前記アンチ溶媒に対して加えられている。
【0071】
1つの好適な実施態様において、前記アンチ溶媒は単環式芳香族炭化水素、例えば、トルエン、ベンゼン又はキシレンである。最も好適には、前記単環式芳香族炭化水素はトルエンである。
【0072】
クロピドグレル硫酸水素塩は、第一番目に、溶液を形成するためにアルコール中に溶かされている。クロピドグレル硫酸水素塩をアルコール中で溶かした後に、当該溶液は、アンチ溶媒へと加えられている。好適さに劣る実施態様において、前記溶液は、アンチ溶媒に対する添加前に濃縮されている。好適に、前記アンチ溶媒は、クロピドグレル硫酸水素塩が一層アンチ溶媒中で可溶性になるよう還流するために、およそ室温へと加熱されており、還流する温度又はそれに近い温度が好適である。最も好適には、前記アンチ溶媒は還流温度へと過熱されている。アンチ溶媒を加熱することに加え、混合物はアンチ溶媒に対して、アンチ溶媒によって取り込まれるクロピドグレルの総量を高めるために、実質的に低い割合で加えられている。
【0073】
混合物のアンチ溶媒に対する添加の後、生じる混合物は、好適に、およそ室温へと冷却されているが、当業者は、他の温度も同じ結果を達成し得ることを理解しうる。非晶質形態を獲得するために、アンチ溶媒とアルコールが、好適には蒸発によって取り除かれ、非晶質形態が残る。蒸発は周囲圧又は減圧下で生じて良く、そして溶液は蒸発方法を促進させるために加熱されて良い。
【0074】
本発明は、アセトン中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、そしてアセトンを除去して非晶質形態を獲得する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態を調製するための方法を供する。クロピドグレル硫酸水素塩とアセトンの混合物は溶液を形成するために加熱されている。好適に、この混合物は、均質な溶液が形成される温度へ加熱されている。最も好適には、前記混合物は還流(温度)で少ない時間に渡り加熱されている。
【0075】
加熱後、前記溶液は、およそ室温へと冷却されている。この溶液は撹拌されて良い。好適に、この溶液は少ない時間に渡り撹拌されている。撹拌後、アセトンが取り除かれて粉末が獲得され、それはクロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態である。好適に、アセトンは蒸発によって取り除かれている。乾燥方法を促進させるために、圧力が下げられて良くそして温度は高められて良い。当業者は、非晶質形態の調製は他の条件下でも可能でありうることを理解するだろう。
【0076】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩形態I及びクロピドグレル形態Iと非晶質クロピドグレル硫酸水素塩の混合物を調製するための方法を供する。前記非晶質形態は、エーテル中で接触、好適には懸濁されている場合に、時間を経て形態Iへと転換する。好適に、エーテルは上記C2〜C8エーテルであり、一層好適には、メチルt−ブチルエーテル又はジエチルエーテルである。当業者は、非晶質形態に対する形態Iの割合は時間により増加し、そして所定の実験により、形態のそれぞれの割合は任意の特異的な時間に渡り決定されうることを理解するだろう。
【0077】
この例は、クロピドグレル硫酸水素塩の非晶質形態はエーテル中、特におよそ45分〜1時間の時間において、形態Iへと転換されることを説明する。十分に形態Iを獲得するために、クロピドグレル硫酸水素塩はエーテル中で、好適には1時間、そしてより長い時間、例えば、4及び8時間に渡り撹拌されているのが最も好適である。この転換時間は、もし出発原料が、クロピドグレル硫酸水素塩ではなくクロピドグレル遊離塩基であるならば、より長いだろう。
【0078】
例が示し、そして当業者が理解しうるように、クロピドグレル硫酸水素塩形態Iをクロピドグレル硫酸水素塩から、中間体としての非晶質形態を使用することにより獲得するが可能である。第一番目に、例示されているように、非晶質形態が獲得されており、次いでエーテル中で懸濁されて形態Iが獲得される。本発明の例は、この機構により形態Iを獲得する。
【0079】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩形態IVをも提供する。クロピドグレル硫酸水素塩形態IVは、粉末X線回折(PXRD)、熱分析及びFTIR分光法を特徴としている。本発明のクロピドグレル硫酸水素塩形態IVは、およそ22.0、25.9、26.9、27.4、28.1、28.6及び28.9±0.2度2シータにピークを伴うPXRDパターン(図6)を特徴としている。一層詳細には、クロピドグレル硫酸水素塩形態IVは、およそ11.0、12.5、13.3、14.0、17.6、18.2、18.8、20.5、22.0、22.9、24.1、25.9、26.9、27.4、28.1、28.6及び28.9±0.2度2シータにピークを伴うPXRDパターンを特徴としている。
【0080】
クロピドグレル硫酸水素塩形態IVはDSCをも特徴としている。クロピドグレル硫酸水素塩形態IVのDSCサーモグラム(図7)は、およそ160℃〜170℃における吸熱ピークを特徴としている。クロピドグレル硫酸水素塩形態IVは、およそ618、769、842、893、935、974、1038、1116、1370、1384cm-1にピークを伴うFTIRスペクトル(図8)をも特徴としている。
【0081】
本発明は、イソプロパノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、クロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IVを調製するための方法を供する。
【0082】
クロピドグレル硫酸水素塩は、溶液を形成するためにイソプロパノール中に溶かされている。好適に、前記イソプロパノールは、クロピドグレル硫酸水素塩の添加前、当該イソプロパノールを当該クロピドグレル硫酸水素塩のために実質的に可溶性にするために、およそ還流(温度)へと過熱されている。次いで、生じる溶液は、室温へと冷却されている。当業者は、他の条件及び温度が同じ結果を有することを理解するだろう。
【0083】
1つの実施態様において、前記冷却された溶液は、沈殿が生じる迄室温におかれている。この溶液は任意に撹拌されて良い。少ない時間に渡る撹拌後、沈殿が生じ、そして分離されている。沈殿は、当業者に周知の方法によって分離されており、それは例えば、ろ過、デカンテーション及び遠心により、ろ過が最も好適な方法である。
【0084】
沈殿の分離後、それは任意に乾燥されて良い。乾燥させるために、沈殿は加熱されるかあるいは乾燥方法を促進せしめるために減圧されて良い。好適に、真空オーブンが、沈殿をおよそ50℃の温度で16時間に渡り加熱するために使用されている。この方法の結果は、クロピドグレル硫酸水素塩形態IVである。
【0085】
他の実施態様において、溶液を冷却した後、乾燥残留物を残すために溶媒が取り除かれている。この溶媒は、好適に蒸発によって取り除かれている。圧力は、乾燥方法を促進させるために下げられていて良い。残留物の分析により、それはクロピドグレル硫酸水素塩形態IVであることが確認された。この実施態様により、その後の分離及び乾燥段階は必須ではなく、その理由は、獲得された残留物が既に乾燥しており且つ溶媒から分離されているからだ。形態IVを調製するための方法は、アンチ溶媒を使用する更なる段階を必要としない。
【0086】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩形態Vをも提供する。クロピドグレル硫酸水素塩形態VはPXRD、熱分析及びFTIR分光法を特徴としている。
【0087】
クロピドグレル硫酸水素塩形態Vは、およそ25.5、26.6、27.8及び28.5±0.2度2シータにピークを伴うPXDR回折パターン(図9)を特徴としている。クロピドグレル硫酸水素塩形態Vは、およそ11.0、12.4、13.1、13.8、15.2、17.5、18.1、18.6、20.2、21.6、22.7、24.0、25.5、26.6、27.8及び28.5±0.2度2シータにピークを伴うPXRD回折パターンを特に特徴としている。
【0088】
クロピドグレル硫酸水素塩形態Vは、示差走査熱量測定(DSC)(10℃/分、窒素雰囲気)を特徴としている。クロピドグレル硫酸水素塩形態VのDSCプロファイル(図10)は、およそ126℃〜132℃における鋭い吸熱ピークを特徴としている。クロピドグレル硫酸水素形態Vは、およそ623、743、802、817、843、963、972、1028及び1374cm-1にピークを伴うFTIRスペクトル(図11)をも特徴としている。
【0089】
本発明は、溶液を形成するために2−ブタノール中でクロピドグレル硫酸水素塩を溶かし、アンチ溶媒と当該溶液を混合しクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル形態Vを調製するための方法を供する。好適に、前記アンチ溶媒は前記溶液に対して加えられている。この沈殿は任意に乾燥されていて良い。好適に、この沈殿は減圧下及び上昇した温度にて乾燥させされている。最も好適には、沈殿は、真空オーブン中およそ50℃でおよそ24時間に渡り乾燥させられている。
【0090】
第一番目に、クロピドグレル硫酸水素塩が2−ブタノール中に溶かされている。この溶液は、クロピドグレル硫酸水素塩をアルコール中で十分に溶かすために加熱されて良い。好適に、前記溶液は、およそ還流(温度)に加熱されている。
【0091】
加熱後に、前記溶液は冷却されている。1つの好適な実施態様において、冷却後、前記溶媒は前記溶液から、残留物を獲得するために、好適には減圧下での蒸発により取り除かれている。次いで、アンチ溶媒が残留物に対して加えられている。
【0092】
他の実施態様において、溶液を冷却した後、アンチ溶媒が、前記溶液に対して溶媒を取り除くことなく加えられている。アンチ溶媒は、好適には徐々に、例えば滴下などによって加えられている。
【0093】
好適に、前記アンチ溶媒はエーテルである。一層好適には、エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている。最も好適には、前記エーテルはジエチルエーテル又はメチル−t−ブチルエーテルである。
【0094】
アンチ溶媒の添加の後、沈殿が形成される。溶液又は懸濁は任意におよそ少ない時間〜およそ数日に渡り撹拌されている。次いで、沈殿が分離されている。沈殿は、当業者に公知の、例えば、ろ過によって分離されている。
【0095】
分離後、沈殿は任意に、有機溶媒、例えば、エーテルで洗浄されて良い。次いで、沈殿は乾燥されて良い。乾燥方法を促進させるために、圧力が下げられているかあるいは温度が上げられて良い。好適に、前記沈殿は、真空オーブン中、およそ40℃〜70℃の温度でおよそ24時間に渡り乾燥されている。
【0096】
本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩形態VIをも提供する。クロピドグレル硫酸水素塩形態VIは、およそ8.3、9.1、23.2及び23.6±0.2度2シータにピークを伴うPXDR回折パターン(図12)を特徴としている。一層詳細には、クロピドグレル硫酸水素塩形態VIは、およそ12.6、13.2、13.8、14.7、15.0、15.4、19.1、20.0、20.4、21.5、22.1、22.5、24.3、24.7及び25.1±0.2度2シータにピークを伴うPXRD回折パターンを特徴としている。
【0097】
クロピドグレル硫酸水素塩形態VIは、およそ136℃に吸熱ピークを伴うDSCサーモグラム(図13)をも特徴としている。
【0098】
クロピドグレル硫酸水素塩形態VIは、およそ959、1061、1430、1751、1757及び3118cm-1にピークを伴うFTIRスペクトル(図14)をも特徴としている。
【0099】
本発明は、1−プロパノール中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液から1−プロパノールを取り除いて残留物を獲得し、アンチ溶媒と当該残留物を混合しクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そして当該沈殿を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IVを調製するための方法をも供する。
【0100】
クロピドグレル硫酸水素塩が、溶液を獲得するために、1−プロパノール中に溶かされている。この溶液は、クロピドグレル硫酸水素塩を1−プロパノール中に十分溶かすために加熱されて良い。好適に、前記溶液は、およそ還流(温度)に少ない時間に渡り加熱されている。
【0101】
加熱後、前記溶液は、好適におよそ室温へと冷却されて撹拌されている。次いで、前記溶媒は、好適に蒸発によって、取り除かれている。蒸発方法を促進させるために、圧力は下げられていて良い。好適に、油性残留物を獲得するために、溶媒は完全に蒸発されている。
【0102】
次いで、アンチ溶媒が残留物に対して加えられている。好適に、前記アンチ溶媒はエーテルである。一層好適に、エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている。最も好適に、前記エーテルはメチルt−ブチルエーテルである。
【0103】
アンチ溶媒は残留物に対して加えられており、そして生じる混合物は好適に1日に渡り撹拌されている。沈殿が形成されはじめ、それは、当業者に公知の、例えば、ろ過によって分離されて良い。
【0104】
沈殿は好適に乾燥されている。沈殿は、乾燥方法を促進させるために、加熱又は減圧されていて良い。好適に、沈殿はおよそ40℃〜およそ60℃に加熱されており、およそ50℃が最も好適である。当業者に公知の真空オーブンも、沈殿を乾燥させるために、およそ1又は2日に渡り使用されて良い。
【0105】
本発明は更に、クロロホルム、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン及びt−ブチルメチルエーテルからなる群から選択された溶媒中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液からクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法を供する。
【0106】
例が示すように、当業者は、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIをこれらの溶媒から結晶化させるための至適条件が溶媒依存性であることを理解するだろう。結晶化のために使用される条件はある溶媒からある溶媒に至り多彩でありうる。
【0107】
典型的に、クロピドグレル硫酸水素塩は、前記溶媒のうちの一つに溶かされており、そして好適に完全な溶液が獲得される迄加熱されている。好適に、溶液はおよそ少ない時間に渡り加熱されている。
【0108】
溶解の後、溶液は冷却されている。好適に、溶液はおよそ室温へと冷却されている。前記溶液は使用されている溶媒に依存する僅かに異なる条件下で沈殿しうる。溶液は、溶媒を、蒸発などにより部分的に取り除くことによって濃縮されて良い。溶液は、およそ少ない時間〜数日に渡り撹拌されて良い。沈殿後、沈殿は当業者に周知の、例えば、ろ過などの方法によって分離されて良い。
【0109】
好適に、沈殿は乾燥されている。沈殿は、乾燥方法を促進させるために加熱又は減圧されていて良い。好適に、沈殿は、およそ40℃〜およそ60℃に加熱されており、およそ50℃が最も好適である。当業者に周知の真空オーブンが、沈殿を乾燥させるためにおよそ1又は2日に渡り使用されて良い。
【0110】
本発明は更に、アセトニトリル中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し、当該溶液をアンチ溶媒と混合しクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ、そしてクロピドグレル硫酸水素塩を分離する段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法を供する。好適に、溶液はアンチ溶媒に対して加えられている。
【0111】
好適に、溶液は、非晶質クロピドグレル硫酸水素塩をアセトニトリルと混合することによって調製されている。好適に、この溶液は室温に維持されている。次いで、この溶液が溶媒に対して加えられ、クロピドグレル硫酸水素塩が沈殿する。好適に、溶液はアンチ溶媒に対して徐々に加えられている。
【0112】
前記アンチ溶媒は、好適にエーテルである。一層好適に、エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている。最も好適に、前記エーテルはジエチルエーテルである。
【0113】
溶液のアンチ溶媒に対する添加の後、沈殿が形成される。懸濁は、好適におよそ1日に渡り撹拌されて良い。次いで、沈殿は、当業者に公知の、例えば、ろ過によって分離されている。
【0114】
好適に、沈殿は乾燥されている。沈殿は、乾燥方法を促進させるために、減圧又は加熱されていて良い。好適に、沈澱は、およそ50℃〜およそ70℃で加熱されており、およそ65℃が最も好適である。当業者に周知の真空オーブンが使用されていて良い。
【0115】
クロピドグレル硫酸水素塩の新規結晶形態は、様々な溶媒の溶媒和物である。クロピドグレル硫酸水素塩形態IIIは、1−ブタノールの溶媒和物であり、そしておよそ7〜およそ8重量%の1−ブタノールを含む。形態IVは、イソプロパノールの溶媒和物であるとみなされ、そしておよそ3重量%〜およそ9重量%のイソプロパノールを含む。形態Vは、2−ブタノールの溶媒和物であり、そしておよそ9重量%〜およそ10重量%の2−ブタノールを含む。形態VIは、1−プロパノールの溶媒和物であり、そしておよそ6重量%のプロパノールを含む。
【0116】
当業者は、本発明の方法が出発原料としてクロピドグレル硫酸水素塩ではなくクロピドグレル遊離塩基を使用しうることを理解するだろう。アルコールと遊離塩基の溶液の調製後、遊離塩基は硫酸で処理されて硫酸水素塩形態が獲得されうる。次いで、この溶液が還流へと少ない時間に渡り加熱されている。好適に、使用された硫酸は、およそ20%〜およそ98%の水性硫酸、最も好適にはおよそ80%の水性硫酸である。硫酸の、使用されたクロピドグレル塩基に対するモル当量は好適に、およそ0.66当量〜およそ1.1当量である。
【0117】
当業者は、条件と収率は、クロピドグレル硫酸水素塩ではなくクロピドグレル塩基から出発する場合、変わり得ることを理解するだろう。
【0118】
収率及び条件は、使用した硫酸のモル比及び濃度により更に変わりうる。本発明の例は、至適条件に関して当業者に誘導を提供する。
【0119】
当業者は、この開示の範囲が、アンチ溶媒を添加することにおける添加の順序によって制限されていないことも理解するだろう。もっとも、ある実施態様には他より1つが好ましいのだが、例えば、混合物がアンチ溶媒に対して又はその逆で加えられて良い。通常、クロピドグレルの結晶化は、溶液がアンチ溶媒に対して加えられている場合により有利であるが、操作上、往々にして、アンチ溶媒を溶液に対して加えることが一層都合が良い。アンチ溶媒を残留物に対して加える場合、添加の順序は最も関連性が低い。
【0120】
当業者は、アンチ溶媒の使用により化合物の沈殿が生じることを理解するだろう。1つの実施態様において、アンチ溶媒は、特定の化合物の特定の溶媒中での溶解度を下げるために溶液に対して加えられており、従って沈殿がもたらされている。他の実施態様において、アンチ溶媒が油性残留物又は粘着性物質に対して加えられており、ここでアンチ溶媒の特定の化合物に対する低溶解度が当該化合物の沈殿をもたらす。
【0121】
本発明の多くの方法は、特定の溶媒からの結晶化を伴う。当業者は、結晶化に関わる条件が、獲得される多型の形態に影響を与えることなく変更されて良いことを理解するだろう。例えば、溶液を形成するためにクロピドグレル硫酸水素塩を溶媒中で混合する場合には、出発原料を完全に溶かすために混合物の加温は必須でありうる。もし、加温により混合物が透明にならなければ、当該混合物は希釈又はろ過されて良い。ろ過するために、熱い混合物が紙、グラスファイバー、もしくは他の膜物質、又はセライトなどの清澄剤を通過させられて良い。使用されている設備及び溶液の濃度と温度に依存して、不完全な結晶化を避けるために、ろ過装置が予め暖められている必要がありうる。
【0122】
条件は、沈殿を誘導/促進させるように変更されても良い。沈殿を誘導する好適な方法は、溶媒の溶解度を下げることである。溶媒の溶解度は、例えば、溶媒を冷却することなどによって下げられて良い。
【0123】
結晶化を促進させる他の方法は、生成物の結晶を播くこと又は結晶化容器の内部表層をガラス棒で引掻くことによる。他の時に、結晶化が、何の誘導をせずとも自然に生じうる。本発明は、結晶化又は沈殿が自然に生じる、又は、誘導/促進されている(もしかかる誘導が特定の多型を獲得するために重要であるならば別だが)両方の実施態様を網羅する。
【0124】
血小板阻害物質として、クロピドグレルは、血液凝固の致死効果を抑制することにおいて効果的である。血小板の凝集は往々にして傷害された血管の周囲で生じる。このような血管は、血小板の凝集を誘導する小さな裂溝又はプラークのみを有しうる。
【0125】
血小板の凝集は動脈の遮断につながり、これにより一次及び二次発作及び心臓発作の危険性が高まる。血小板の凝集を阻害することによって、クロピドグレル硫酸水素塩は心臓発作及び発作の危険を減らす。クロピドグレルは、当業界において、体の器官、組織に対する血液の供給の減少、又は血管の狭窄又は妨害によって生じた部分として規定されている、虚血性事象の二次的な予防において特に有効である。
【0126】
本発明の医薬組成物は、クロピドグレル硫酸水素塩形態III、IV、V、IV及び非晶質形態を、任意に他の1もしくは複数の形態もしくは非晶質クロピドグレル及び/もしくは活性成分との混合物において、含む。本発明の方法によって獲得されたクロピドグレル硫酸水素塩形態III、IV、V及びVIは、それらがおよそ90%以上の純度、一層好適にはおよそ95%以上、そして最も好適にはおよそ99%以上(HPLCによって測定した場合の面積%)を有する点において医薬組成物のために理想的である。1もしくは複数の活性成分に加えて、本発明の医薬組成物は1もしくは複数の賦形剤を含んで成りうる。賦形剤は、様々な目的のために前記組成物に対して加えられている。
【0127】
希釈剤は固体状医薬組成物のかさを増やし、そして患者又は介護者の取り扱いをより簡単にするための組成物を含む医薬投与形態を可能にしうる。固体状組成物のための希釈剤としては、例えば、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)など)、微細(microfine)セルロース、ラクトース、デンプン、αデンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(Eudragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末状セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール及びタルクが挙げられる。
【0128】
錠剤などの投与形態へと圧縮されている固体状医薬組成物としては、賦形剤が挙げられ、その機能は、活性成分と他の賦形剤を圧縮後に一緒に結合するのに役立つことなどである。医薬組成物のための結合剤としては、アカシア、アルギニン酸、カルボマー(carbopolなど)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアールガム、水素化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標)など)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel(登録商標)など)、液体グルコース、マグネシウムアルミニウムシリケート、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(Kolidon(登録商標)、Plasdone(登録商標)など)、αデンプン、アルギン酸ナトリウム及びデンプンが挙げられる。
【0129】
圧縮された固体状医薬組成物の患者の胃における溶解の速度は、当該組成物に対して錠剤分解物質を加えることによって高められうる。錠剤分解物質としては、アルギン酸、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標)など)、コロイド状二酸化ケイ素、ナトリウムクロスカルメロース、クロスポビドン(Kollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標)など)、グアールガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、微結晶性セルロース、カリウムポラクリリン、粉末状セルロース、αデンプン、アルギン酸ナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート(Explotab(登録商標)など)及びデンプンが挙げられる。
【0130】
流動促進剤は、圧縮されていない固体状組成部の流動性を向上するため及び投与の精度を向上させるために加えられて良い。流動促進剤として機能しうる賦形剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末状セルロース、デンプン、タルク及び第三リン酸カルシウムが挙げられる。
【0131】
錠剤などの投与形態は、粉末状組成物の圧縮によって作製されており、当該組成物は穿孔機の圧力及び色素に委ねられる。いくつかの賦形剤と活性成分は穿孔機の表層と色素に対して接着する傾向を有し、それにより製品がピッチングと他に表層の凹凸を持つようになる。当該組成物に対して、粘着性を減らして色素から簡単に製品を放出せしめるために、潤滑剤が加えられて良い。潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、グリセリルパルミトステアレート、水素化カスター油、水素化植物油、鉱物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムステアリルフマレート、ステアリン酸、タルク及びステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0132】
風味剤及び風味増強剤が一層、投与形態の患者に対する口当たりを良くする。本発明の組成物中に含まれうる、医薬製品のための通常の風味剤と風味増強剤としては、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、及び酒石酸が挙げられる。
【0133】
固体状及び液体状組成物は、それらの概観を良くするため及び/又は患者による製品及び単位投与量の認知を促すために、医薬的に許容できる任意の着色剤を使用して染色されても良い。
【0134】
本発明の液体状医薬組成物において、クロピドグレル硫酸水素塩と任意の他の固体状賦形剤が、水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセリンなどの液体担体中で溶かされているかあるいは懸濁されている。
【0135】
液体状医薬組成物は、活性成分又は液体担体中で不溶性である他の賦形剤を当該組成物の全体的に均一に分散させるために、乳化剤を含んでも良い。本発明の液体組成物中で有用でありうる乳化剤としては、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、コンドラス、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール、及びセチルアルコールが挙げられる。
【0136】
本発明の液体状医薬組成物は、製品の口当たりを良くするため及び/又は胃腸管の裏層を覆うために増粘剤を含んでも良い。かかる薬剤としては、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルシウムカルボキシメチルセルロース又はナトリウムカルボキシメチルセルロース、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアールガム、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、プロピレングリコールアルギネート、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、デンプントラガカント及びキサンチンガムが挙げられる。
【0137】
甘味剤の、例えば、ソルビトール、サッカリン、ナトリウムサッカリン、スクロース、アスパルターム、フルクトース、マンニトール及び転化糖が風味を良くするために加えられて良い。
【0138】
防腐剤及びキレート剤の、例えばアルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール及びエチレンジアミン四酢酸が摂取に安全な量にて保存安定性を向上させるために加えられて良い。
【0139】
本発明によれば、液体状組成物は、グコン酸(guconic acid)、乳酸、クエン酸又は酢酸、グコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム又は酢酸ナトリウムなどの緩衝剤を含んでも良い。
【0140】
賦形剤と使用される量の選択は、実験及び標準的な方法及び当該分野における参考となる仕事を考慮することに基づき製剤科学者によって容易に決定されうる。
【0141】
本発明の固体状組成物としては、粉末、顆粒、凝集体及び圧縮された組成物が挙げられる。投与形態としては、経口、口腔、腸管、非経口(皮下、筋内、及び静脈内など)吸入及び眼への投与に適した投与形態が挙げられる。全ての場合において最も適切な投与は治療される症状の性質と症度に依存するだろうが、本発明の最も好適な経路は経口である。用量は単位投与形態に都合良く存在して良く、そして医薬業界で周知の任意の方法によって調製されている。
【0142】
投与形態としては、錠剤、粉末、カプセル、座薬、小袋、トローチ及びロゼンジなどの固体投与形態、並びに液体状シロップ、懸濁及びエリキシルが挙げられる。
【0143】
本発明の投与形態は、前記組成物、好適には本発明の粉末化又は顆粒化された固体状組成物を、硬い又は軟らかいシェルのいずれかの内に含むカプセルでありうる。前記シェルはゼラチンから作製されて良く、そして任意に可塑剤の、例えばグリセリン及びソルビトール、並びに隠蔽剤又は着色剤を含んでも良い。
【0144】
前記活性成分及び賦形剤は、当業界で公知の方法により組成物及び投与形態へと処方されて良い。
【0145】
錠剤形成又はカプセル充填するための組成物は、湿式造粒法によって調製されて良い。湿式造粒法において、活性成分のいくつか又は全てと粉末形態における賦形剤が混合され、次いで更に液体、典型的には水の存在下で混合され、それにより当該粉末が顆粒へと塊状になる。前記顆粒は篩分けそして/もしくは粉砕され、乾燥されて次いで篩分けられそして/もしくは粉砕され所望の粒子サイズになる。次いで、前記顆粒は錠剤化されうるかあるいは錠剤化される前に他の賦形剤の、例えば流動促進剤及び/又は潤滑剤が加えられて良い。
【0146】
錠剤形成組成物は、典型的に乾燥混合により調製されて良い。例えば、活性物質と賦形剤の混合組成物は、スラグ又はシートへと圧縮され、次いで圧縮された顆粒へと粉砕されうる。前記圧縮された粒子は続いて錠剤へと圧縮されて良い。
【0147】
乾燥造粒法の代わりとして、混合された組成物は、直接圧縮技術を使用することで圧縮された投与形態へと直接圧縮されて良い。直接圧縮は、顆粒を伴わない一層均一な錠剤を生産する。直接圧縮錠剤成形に特に適した賦形剤としては、微結晶性セルロース、噴霧乾燥されたラクトース、第二リン酸カルシウム二水和物及びコロイド状シリカが挙げられる。これら及び他の賦形剤の直接圧縮錠剤形成における適切な使用法は、実験を伴う当業界及び特に直接圧縮錠剤成形の処方問題に身を置く当業者に公知である。
【0148】
本発明のカプセル充填は、錠剤成形について記載されており、最終錠剤成形段階には委ねられていない全ての上記混合物及び顆粒を含んで成りうる。
【0149】
カプセル、錠剤及びロゼンジ、並びに他の単位投与形態は好適に、およそ75mg当量の塩基を含み、それはおよそ98gのクロピドグレル硫酸水素塩形態III、IV、V、VI又はその非晶質形態である。本明細書中で使用されている用量とは、投与のビヒクル、例えば、錠剤、又はカプセル中に含まれている様々な形態のクロピドグレルの量を意味する。好適な実施態様において、経口投与のための錠剤における単位用量は、およそ25mg〜150mgの塩基当量を含む。最も好適には、それはおよそ75mg塩基当量である。当業者は、通常の方法において必須である場合、他の単位用量が作製されて良いことを理解するだろう。
【0150】
使用した装置
PXRD
粉末X線回折パターンを、Scintag X線粉末回折装置モデルX’TRA、可変ゴニオメーター、Cu標的陽極及び固体状態検出器を有するX線管を使用する当業界で公知の方法によって獲得した。ラウンドゼロバックグラウンド水晶板を伴う円形標準アルミニウム試料ホルダーを使用した。スキャンは、2〜40度2シータの範囲に渡り、3度/分のスキャン速度で行った。
【0151】
DSC
DSCサーモグラムを、DSC Mettler 821e Stareを使用して獲得した。スキャンの温度範囲は、10℃/分の速度で、30〜350℃であった。試料の重量は3〜5mgであった。試料を窒素ガスにより40mL/分の流速でパージした。3つの穴を伴うフタを有する標準40μlアルミニウムキュベットを使用した。
【0152】
FTIR
FTIR結果を獲得するために、拡散反射技術を伴うPerkin-Elmer Spectrum One FTIRスペクトロメーターを使用した。試料は臭化カリウムにより微細に砕かれ、そしてスペクトルは、拡散反射アクセサリー中で、臭化カリウムバックグランドを使用して記録されていた。スペクトルは4000〜400cm-1で記録されていた。4.0cm-1の解像度で16回のスキャンが行われた。
【0153】
FTIRについて、KBr錠を使用しなかった。従来技術においては、形態IIはKBr錠を使用するFTIRによって特性決定されていた。開示されているように、出願人は拡散反射技術(「DRIFT」)によってFTIRを行った。クロピドグレル硫酸水素塩形態I及び形態IIは、DRIFT技術及びKBr錠技術の両方よって分析されている。様々な技術によって、同結晶形態について類似するパターンを獲得した。
【0154】
HPLC
カラム及びパッキング:Keystone、Betasil C18、250×4.6
溶離剤:70%メタノール、30%バッファー(10.01M K2HPO4、pH=7.5とH3PO4)
流速:1ml/分
カラム温度:30℃
検出波長=230nm、
希釈剤:70%メタノール/30%水
試料:10mg/10ml希釈剤
注入体積:20μl、装置:Varian
【0155】
以下の例が更に本発明を説明する。
【実施例】
【0156】
実施例
実施例1−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(5.01g、1当量)をメチルエチルケトン(MEK)(39.5mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.74mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却して溶媒の量の半分を減圧下で蒸発させ、その間に沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、MEKで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、3.55g(54%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0157】
実施例2−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.27g、1当量)をメチルエチルケトン(MEK)(33.7mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(1.03mL、1当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる67時間に渡り撹拌し、その間に沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、MEKで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、4.59g(82%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0158】
実施例3−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(3.73g、1当量)をジクロロメタン(29.4mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.55mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、その間に沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却して溶媒の量の半分を減圧下で蒸発させた。白色固体をろ過によって回収し、ジクロロメタンで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、1.42g(30%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0159】
実施例4−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.37g、1当量)をジクロロメタン(34.5mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(1.06mL、1当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、その間に混濁溶液が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる16時間に渡り撹拌し、その間に巨大な沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、ジクロロメタンで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、2.76g(48%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0160】
実施例5−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.29g、1当量)をトルエン(33.8mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(1.04mL、1.1当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと3時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる16時間に渡り撹拌し、その間に巨大な沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、トルエンで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、4.59g(82%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0161】
実施例6−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.24g、1当量)をクロロホルム(33.4mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.62mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、その間に沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却して溶媒の半分の量を減圧下で蒸発させた。白色固体をろ過によって回収し、クロロホルムで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、3.14g(56%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0162】
実施例7−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.37g、1当量)をクロロホルム(34.5mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(1.06mL、1.1当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、この間に沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる16時間に渡り撹拌し、その間に巨大な沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、クロロホルムで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、5.01g(88%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0163】
実施例8−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.03g、1当量)を酢酸エチル(31.8mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.59mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと3時間に渡り加熱し、その間に粘着性の沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる16時間に渡り撹拌し、その間に巨大な沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、酢酸エチルで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、2.59g(49%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0164】
実施例9−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(5.31g、1当量)を酢酸エチル(41.9mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(1.29mL、1.1当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、その間に巨大な沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる3時間に渡り撹拌した。白色固体をろ過によって回収し、酢酸エチルで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、4.60g(66%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0165】
実施例10−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.39g、1当量)をtert-ブチルメチルエーテル(MTBE)(34.6mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.64mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと3時間に渡り加熱し、その間に粘着性の沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌した。獲得した白色固体をろ過によって回収し、MTBEで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、2.96g(52%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0166】
実施例11−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
クロピドグレル塩基(4.17g、1当量)を1,4-ジオキサン(32.9mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.61mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱し、その間に巨大な沈殿が形成された。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌した。白色固体をろ過によって回収し、1,4-ジオキサンで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、2.61g(48%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0167】
実施例12−クロピドグレル硫酸水素塩形態IIの調製
非晶質クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をアセトニトリル(6mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をDEE(350mL)に滴下して加え、獲得した懸濁を室温で19時間に渡り撹拌した。白色固体をろ過によって回収し、DEEで洗浄(15mL)して真空オーブン中65℃で24時間に渡り乾燥させ、0.71g(71%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得した。
【0168】
実施例13−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)をメタノール(6mL)中に溶かした。別にトルエン(350mL)を還流温度へと過熱した。クロピドグレル硫酸水素塩のメタノール溶液を沸騰するトルエンに対して滴下して加えた。生じる溶液を更なる20時間に渡り還流した。溶液を室温へと冷却してこの温度で16時間に渡り撹拌した。乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、クリーム状泡沫(1.26g、42%)を獲得し、その特徴的なデータにより非晶質形態であることが示された。
【0169】
実施例14−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の調製
クロピドグレル硫酸水素塩(2g)をメタノール(4mL)中に溶かした。生じる溶液をジエチルエーテルに対して滴下(350mL)して加えた。懸濁をRTで45分に渡り撹拌した。固体をろ過にして真空オーブン中およそ50℃で24時間に渡り乾燥させ、1.12g(56%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIを獲得し、その特徴的なデータにより非晶質形態であることが示された。
【0170】
実施例15−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の調製
クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をメタノール(3mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をジエチルエーテル(DEE)(350mL)に対して滴下して加えた。獲得した混合物を室温で0.5時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で16時間に渡り乾燥させ、0.86g(86%)の非晶質クロピドグレル硫酸水素塩を獲得した。
【0171】
実施例16−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の調製
クロピドグレル塩基(3.42g)をアセトン(27mL)中に溶かした。水性硫酸(20%、4.57mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる1.5時間に渡り撹拌した。次いで、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、粉末(3.59g、78%)を獲得し、その特徴的なデータにより非晶質形態であることが示された。
【0172】
実施例17−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態の調製
クロピドグレル塩基(2.88g)をアセトン(23mL)中に溶かした。水性硫酸(20%、2.56mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌した。次いで、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、粉末(3.08g、82%)を獲得し、その特徴的なデータにより非晶質形態であることが示された。
【0173】
実施例18−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(2g)をメタノール(4mL)中に溶かした。生じる溶液をメチルt−ブチルエーテルに対して滴下(300mL)して加えた。懸濁をRTで16時間に渡り撹拌した。生じる沈殿をろ過して真空オーブン中65℃で24時間に渡り乾燥させ、結晶(1.5g、75%)を獲得した。その後の分析により、この結晶はクロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態Iであることが示された。
【0174】
実施例19−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)を無水トルエン(9mL)中に還流温度で溶かし透明な溶液を獲得した。次いで、この溶液を室温へと冷却して、乾燥のため、溶媒を減圧下で蒸発させ油を獲得した。次いで、メチルt−ブタノールエーテル又はジエチルエーテル(28mL)を油性残留物へと滴下して加え、そして生じる混合物を室温で24時間に渡り撹拌した。白色の生成物をろ過して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ2.6g(87%)のクロピドグレル硫酸水素塩形態Iを得た。
【0175】
実施例20−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)をメタノール(4mL)中に還流温度で溶かし透明な溶液を獲得した。次いで、この溶液を室温へと冷却して、乾燥のため、溶媒を減圧下で蒸発させ油を獲得した。次いで、tert−ブチルメチルエーテル又はジエチルエーテル(30mL)を油性残留物へと滴下して加え、そして生じる混合物を室温で16時間に渡り撹拌した。白色の生成物をろ過して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ2.65g(88%)のクロピドグレル硫酸水素塩形態Iを得た。
【0176】
実施例21−クロピドグレル硫酸水素塩形態I及び非晶質形態の調製
クロピドグレル塩基(3.85g)を無水エタノール(30.4mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.56mL)をこの溶液に対して加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却して乾燥のため、溶媒を減圧下で蒸発させ白色泡沫を残した。この泡沫をメチルt−ブチルエーテル(MTBE)(70mL)中で3時間に渡り室温で撹拌した。MTBEのおよそ半分を減圧下で蒸発させて固体をろ過によって回収した。固体を真空オーブン中50℃で乾燥させ、2.82g(56%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Iと非晶質クロピドグレル硫酸水素塩の混合物を獲得した。
【0177】
実施例22−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をメタノール(3mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をジエチルエーテル(DEE)(350mL)に対して滴下して加えた。獲得した混合物を室温で1時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で19.5時間に渡り乾燥させ、0.76g(76%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Iを得た。
【0178】
実施例23−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をメタノール(3mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をジエチルエーテル(DEE)(350mL)に対して滴下して加えた。獲得した混合物を室温で5時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で14時間に渡り乾燥させ、0.74g(74%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Iを得た。
【0179】
実施例24−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をメタノール(3mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をジエチルエーテル(DEE)(350mL)に対して滴下して加えた。獲得した混合物を室温で8時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で13時間に渡り乾燥させ、0.78g(78%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Iを得た。
【0180】
実施例25−クロピドグレル硫酸水素塩形態Iの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(1g)をメタノール(3mL)中に室温で溶かした。生じる溶液をジエチルエーテル(DEE)(350mL)に対して滴下して加えた。獲得した混合物を室温で19.5時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で23時間に渡り乾燥させ、0.74g(74%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Iを得た。
【0181】
実施例26−クロピドグレル結晶形態IIIの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)の1-ブタノール中(5mL)の懸濁を還流温度で30分に渡り加熱し透明な溶液を獲得した。この溶液を室温(RT)へと冷却して溶媒を減圧下で蒸発させ油性残留物を獲得した。ジエチルエーテル(30mL)をこの残留物に対して加えた。生じる混合物を室温で24〜48時間に渡り撹拌した。白色の生成物が混合物から沈殿し、次いでそれをろ過し、ジエチルエーテルで洗浄(2×10mL)した。白色の生成物を真空オーブン中65℃で24時間に渡り乾燥させ、2.91gの結晶質クロピドグレル硫酸水素塩(97%)を得、それをPXRDによって形態IIIとして同定した。
【0182】
実施例27−クロピドグレル結晶形態IIIの調製
クロピドグレル塩基(4.28g)を1−ブタノール(16.9mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.63mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却して、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色の油が残った。この油をメチルt−ブチルエーテル(MTBE)(125mL)中96時間に渡り室温で撹拌し、沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、MTBEで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、3.33g(60%)のクロピドグレル硫酸水素結晶形態IIIを獲得した。
【0183】
実施例28−クロピドグレル結晶形態IIIの調製
クロピドグレル硫酸水素塩結晶形態I(1g)を1−ブタノール(5mL)中に還流温度で溶かした。透明な溶液が獲得された場合、溶液を室温へと冷却し、そして、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、油性残留物を獲得した。次いで、ジエチルエーテル(DEE)(7mL)をこの残留物に対して加えて生じる混合物を24時間に渡り撹拌し、その間に沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、DEEで洗浄(25mL)して真空オーブン中60℃で20時間に渡り乾燥させ、0.86g(86%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IIIを獲得した。
【0184】
実施例29−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)をイソプロパノール(IPA)(32mL(およそ11体積))中に還流室温で溶かした。生じる溶液を室温へと冷却してこの温度で1時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で16時間に渡り乾燥させ、1.66g(55%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを得た。
【0185】
注釈:溶媒の体積を最大21体積/1gのクロピドグレル硫酸水素塩に高ることができうる。
【0186】
実施例30−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)をイソプロパノール(IPA)(60mL(20体積))中に還流室温で溶かした。生じる溶液を室温へと冷却して、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ、2.0g(67%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを得た。
【0187】
実施例31−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.96g)をイソプロパノール(45mL)中に溶かした。水性硫酸(98%、0.50mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌し白色沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、イソプロパノールで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で28時間に渡り乾燥させ、2.78g(71%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0188】
実施例32−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.91g)をイソプロパノール(IPA)(44mL)中に溶かした。98%の水性硫酸(0.32mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。次いで、固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で26時間に渡り乾燥させ、3.04g(80%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0189】
実施例33−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.93g)をイソプロパノール(45mL)中に溶かした。60%の水性硫酸(0.99mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2.5時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、イソプロパノールで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で15時間に渡り乾燥させ、2.22g(58%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0190】
実施例34−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.98g)をイソプロパノール(45mL)中に溶かした。60%の水性硫酸(0.67mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる2時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で15時間に渡り乾燥させ、0.93g(24%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0191】
実施例35−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.85g)をイソプロパノール(43mL)中に溶かした。40%の水性硫酸(1.67mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる3.5時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で14.5時間に渡り乾燥させ、1.47g(40%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0192】
実施例36−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.95g)をイソプロパノール(45mL)中に溶かした。40%の水性硫酸(1.15mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる3.5時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で14.5時間に渡り乾燥させ、0.49g(13%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0193】
実施例37−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.89g)をイソプロパノール(44mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.42mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる5時間に渡り撹拌した。次いで、溶媒の半分を減圧下で蒸発によって取り除き、そして生じる溶液を室温で45時間に渡り保存し、白色沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(3×10mL)して真空オーブン中50℃で15時間に渡り乾燥させ、1.24g(33%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0194】
実施例38−クロピドグレル硫酸水素塩形態IVの調製
クロピドグレル塩基(2.96g)をイソプロパノール(IPA)(45mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.65mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる1.5時間に渡り撹拌し白色の沈殿を獲得した。固体をろ過によって回収し、IPAで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で15時間に渡り乾燥させ、3.24g(84%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態IVを獲得した。
【0195】
実施例39−クロピドグレル硫酸水素塩形態Vの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)を2−ブタノール(9mL)中に還流温度で溶かした。生じる溶液を室温へと冷却してメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(40mL)滴下して加えた。獲得した混合物を室温で72時間に渡り撹拌した。次いで、固体をろ過して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、3.15gのクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Vを獲得した。
【0196】
実施例40−クロピドグレル硫酸水素塩形態Vの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)を2−ブタノール(8mL)中に還流温度で溶かした。生じる溶液を室温へと冷却して乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させた。次いで、ジエチルエーテル(DEE)(26mL)を滴下して加え、そして獲得した混合物を室温で24時間に渡り撹拌した。次いで固体をろ過して真空オーブン中50℃で24時間に渡り乾燥させ、3.08gのクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Vを獲得した。
【0197】
実施例41−クロピドグレル硫酸水素塩形態Vの調製
クロピドグレル硫酸水素塩(3g)を2−ブタノール(8mL)中に還流温度で溶かした。生じる溶液を室温へと冷却した。次いで、MTBE(35mL)を滴下して加え、そして獲得した混合物を室温で16時間に渡り撹拌した。更なるMTBE(11mL)を加えて懸濁を室温で更なる2時間に渡り撹拌した。固体をろ過し、MTBE(25mL)で洗浄して真空オーブン中65℃で24時間に渡り乾燥させ、2.95g(98%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Vを獲得した。
【0198】
実施例42−クロピドグレル硫酸水素塩非晶質形態Vの調製
クロピドグレル塩基(2.98g)を2−ブタノール(23mL)中に溶かした。98%の水性硫酸(0.50mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる3時間に渡り撹拌した。次いで、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ油を獲得した。次いで、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)(44mL)を油性残留物に対して加え、そして生じる溶液を室温で16時間に渡り撹拌した。沈殿をろ過によって獲得し、MTBEで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で22.5時間に渡り乾燥させ、3.38g(87%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Vを獲得した。
【0199】
実施例43−クロピドグレル硫酸水素塩形態Vの調製
クロピドグレル塩基(2.94g)を2−ブタノール(23mL)中に溶かした。98%の水性硫酸(0.43mL)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる1.5時間に渡り撹拌した。次いで、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ油を獲得した。次いで、ジエチルエーテル(DEE)(40mL)を油性残留物に対して加え、そして生じる溶液を室温で16時間に渡り撹拌した。沈殿をろ過によって回収し、DEEで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で19時間に渡り乾燥させ、2.11g(55%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態Vを獲得した。
【0200】
実施例44−クロピドグレル硫酸水素塩形態VIの調製
クロピドグレル塩基(2.86g、1当量)を1−プロパノール(22.6mL)中に溶かした。80%の水性硫酸(0.59mL、0.66当量)をこの溶液に対して20℃で加えた。反応混合物を還流温度へと2時間に渡り加熱した。次いで、この溶液を室温へと冷却してこの温度で更なる16時間に渡り撹拌した。次いで、乾燥のために、溶媒を減圧下で蒸発させ油性残留物を獲得した。次いで、この残留物に対してMTBE(50mL)を加え、そして生じる混合物を室温で24時間に渡り撹拌し、その間に強大な沈殿が形成された。白色固体をろ過によって回収し、MTBEで洗浄(2×10mL)して真空オーブン中50℃で30時間に渡り乾燥させ、2.58g(69%)のクロピドグレル硫酸水素塩結晶形態VIを獲得した。
【0201】
従って、本発明は、特定の好適な実施態様及び説明のための例を参照にすることにより記載されており、当業者は、記載及び説明されたような本発明に対する変更は、本間異彩書中に開示されている本発明の精神及び範囲を逸脱しないことを理解するだろう。これらの例は、本発明の理解を助けるために開示されているが、そのいかなる範囲を限定するものとしおらず、そしてそう解されるべきではない。この例は、典型的な方法の詳細を挙げてはいない。かかる方法は当業者に周知であり、多くの刊行物中に記載がある。手引書としてはPolymorphism in Pharmaceutical Solids、Drugs and the Pharmaceutical Science、 Vol.95を使用できうる。本明細書中で説明した全ての参考文献はそれらの全体が組み込まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質クロピドグレル硫酸水素塩をエーテルと接触させ、そして当該クロピドグレル硫酸水素塩形態Iを分離することを含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態Iを調製するための方法。
【請求項2】
前記エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エーテルがジエチルエーテル及びメチルt−ブチルエーテルからなる群から選択されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記非晶質クロピドグレル硫酸水素塩をエーテル中で懸濁させている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記クロピドグレル硫酸水素塩をエーテル中でおよそ1時間超に渡り懸濁させている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記非晶質クロピドグレル硫酸水素塩を、形態Iの獲得を十分にするためにおよそ4時間超に渡りエーテル中で懸濁させている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
a)ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルエチルケトン及びt−ブチルメチルエーテルからなる群から選択された溶媒中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し;
b)当該溶液からクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ;そして、
c)当該クロピドグレル硫酸水素塩を分離する、
段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法。
【請求項8】
前記溶媒がジクロロメタンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が1,4−ジオキサンである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒がトルエンである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒がクロロホルムである、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒が酢酸エチルである、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒がメチルエチルケトンである、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒がt−ブチルメチルエーテルである、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
a)アセトニトリル中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し;
b)当該溶液とアンチ溶媒を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ;そして
c)当該沈殿を分離する段階を含んで成る、
クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法。
【請求項16】
前記混合が前記溶液の前記アンチ溶媒に対する添加を伴い、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液を調製するために使用した前記クロピドグレル硫酸水素塩が非晶質クロピドグレル硫酸水素塩である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記アンチ溶媒がエーテルである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エーテルがジエチルエーテルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
溶液の調製が、クロピドグレル塩基を、生じる溶液の溶媒中で硫化水素酸と接触させることによって、クロピドグレル硫酸水素塩へと転換することを含む、請求項7又は15に記載の方法。
【請求項1】
非晶質クロピドグレル硫酸水素塩をエーテルと接触させ、そして当該クロピドグレル硫酸水素塩形態Iを分離することを含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態Iを調製するための方法。
【請求項2】
前記エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エーテルがジエチルエーテル及びメチルt−ブチルエーテルからなる群から選択されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記非晶質クロピドグレル硫酸水素塩をエーテル中で懸濁させている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記クロピドグレル硫酸水素塩をエーテル中でおよそ1時間超に渡り懸濁させている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記非晶質クロピドグレル硫酸水素塩を、形態Iの獲得を十分にするためにおよそ4時間超に渡りエーテル中で懸濁させている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
a)ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルエチルケトン及びt−ブチルメチルエーテルからなる群から選択された溶媒中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し;
b)当該溶液からクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ;そして、
c)当該クロピドグレル硫酸水素塩を分離する、
段階を含んで成る、クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法。
【請求項8】
前記溶媒がジクロロメタンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が1,4−ジオキサンである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒がトルエンである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒がクロロホルムである、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒が酢酸エチルである、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒がメチルエチルケトンである、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒がt−ブチルメチルエーテルである、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
a)アセトニトリル中でクロピドグレル硫酸水素塩の溶液を調製し;
b)当該溶液とアンチ溶媒を混合してクロピドグレル硫酸水素塩を沈殿させ;そして
c)当該沈殿を分離する段階を含んで成る、
クロピドグレル硫酸水素塩形態IIを調製するための方法。
【請求項16】
前記混合が前記溶液の前記アンチ溶媒に対する添加を伴い、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液を調製するために使用した前記クロピドグレル硫酸水素塩が非晶質クロピドグレル硫酸水素塩である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記アンチ溶媒がエーテルである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記エーテルの各々のアルキル基は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−ブチル、2−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エーテルがジエチルエーテルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
溶液の調製が、クロピドグレル塩基を、生じる溶液の溶媒中で硫化水素酸と接触させることによって、クロピドグレル硫酸水素塩へと転換することを含む、請求項7又は15に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−108107(P2009−108107A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36569(P2009−36569)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【分割の表示】特願2003−552295(P2003−552295)の分割
【原出願日】平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【分割の表示】特願2003−552295(P2003−552295)の分割
【原出願日】平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】
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