説明

クロマトグラフィー用カラム、その製造方法、および分析装置

【課題】分解能を大きく向上させたクロマトグラフィー用カラムを提供する。
【解決手段】クロマトグラフィー用カラム13は、一対の側壁23および底壁を有し、その内部に移動相を流すことが可能な流路12と、所定の間隔を空けてそれぞれ規則的に配置される複数の柱部31、32とを備える。ここで、各柱部31、32の外形面は、曲面を含んでいる。側壁23は、柱部31の外形面に沿った曲面をその一部に含む。ここで、移動相の流れ方向において、最も側壁23に近い位置に設けられている柱部31、32と側壁23との最短距離は、柱部31、32同士の最短距離と同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クロマトグラフィー(Chromatography)用カラム(以下、単に「カラム」ということがある。)、その製造方法、および分析装置に関するものであり、特に、固定相として複数の柱部をその流路内に設けたクロマトグラフィー用カラム、その製造方法、およびこのようなクロマトグラフィー用カラムを備える分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今のクロマトグラフィーについては、移動相によって移動させられる混合試料の各成分の分離に用いられるクロマトグラフィー用カラムにおいて、固定相として筒状のカラム内に充填され、所定の粒径を有する複数の粒子の代わりに、カラムの流路内に無数の柱部(ピラー)を設け、この無数の柱部を固定相として適用するものがある。すなわち、カラムは、対向して配置される一対の側壁、および一対の側壁に連なって一対の側壁の底側に配置される底壁を有し、その内部に移動相を流すことが可能な流路と、底壁から側壁に沿って延び、それぞれが所定の間隔を空けて設けられる複数の柱部とを備える構成である。そして、移動相を用いて流路の一方端部側から混合試料を導入して、混合試料を下流側に移動させる際に、柱部の間を通過する成分毎の移動速度差を利用して、混合試料における各成分の分離を行なうものである。このようなクロマトグラフィー用カラムは、化学分離チップとも呼ばれる。混合試料の成分や用いる移動層等に応じて、柱部の表面に化学修飾が適宜施される。
【0003】
このようなクロマトグラフィー用カラムに関する技術が、Analytical Chemistry,Vol.76,No.15,August 1,2004(非特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Analytical Chemistry,Vol.76,No.15,August 1,2004(Figure 1.(b)、Figure 1.(c))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、カラムの流路内において、混合試料に含まれる各成分の移動状態について考える。流路内を移動する混合試料の各成分は、流路内の移動方向において多少の広がりを持って移動していく。このような移動状態において、同一成分における移動方向の幅は、分解能の向上の観点から、できるだけ狭い方が好ましい。すなわち、流路内における移動方向において、同一成分のものについては、中央領域を移動する移動速度と、端部領域、具体的には、側壁に近い領域を移動する移動速度とが、できるだけ等しいことが望まれる。
【0006】
ここで、非特許文献1には、流れ方向に真直ぐに延びる側壁に対して、柱部が配置される部分を略半円形状に突出させた側壁形状を有するカラム、および流れ方向に真直ぐに延びる側壁形状を有するカラムが記載されている。しかし、このようなカラムの形状では、中央領域と端部領域との移動速度差が大きく、分解能としては不十分である。これは、混合試料を分離する際の非特許文献1に開示の側壁形状における多数の流路拡散や分子拡散等の影響であると考えられる。
【0007】
この発明の目的は、分解能を大きく向上させたクロマトグラフィー用カラムを提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、分解能を大きく向上させたクロマトグラフィー用カラムを精度よく、かつ効率的に製造することができるクロマトグラフィー用カラムの製造方法を提供することである。
【0009】
この発明のさらに他の目的は、分析精度を向上させた分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るクロマトグラフィー用カラムは、対向して配置される一対の側壁、および一対の側壁に連なって一対の側壁の底側に配置される底壁を有し、その内部に移動相を流すことが可能な流路と、底壁から側壁に沿う方向に延びるようにして設けられ、所定の間隔を空けてそれぞれ規則的に配置される複数の柱部とを備える。そして、複数の柱部を固定相として、移動相によって移動させられる複数種類の成分を含む混合試料の各成分を分離可能である。ここで、各柱部の外形面は、曲面を含んでおり、側壁は、柱部の外形面に沿った曲面をその一部に含む。また、移動相の流れ方向において、最も側壁に近い位置に設けられている柱部と側壁との最短距離は、柱部同士の最短距離と同じである。
【0011】
このように構成することにより、流路内の中央領域において隣り合う柱部同士の間隔と、流路内の側壁に近い領域における柱部と側壁との間隔とを等しくして、流路内を流れる移動層の移動方向において、中央領域における移動速度と側壁に近い端部領域の移動速度との差を小さくすることができる。すなわち、各領域における移動速度の差を小さくすることができる。この場合、柱部の外形面は曲面を含んでおり、側壁は、柱部の外形面に沿った曲面をその一部に含むため、側壁に近い領域における移動相の流れを円滑にすることができる。したがって、このような構成のクロマトグラフィー用カラムは、混合試料を各成分に分離する際の流路拡散等の影響を低減して、分解能の向上を図ることができる。
【0012】
好ましくは、複数の柱部は、円筒状である。また、複数の柱部は、柱部の延びる方向に直交する平面で柱部を切断した断面において、各柱部の中心の座標が最密(細密)充填構造における配置となるように設けられている。ここで、上記した断面において、側壁は、最も側壁に近い位置に設けられている第一の柱部の中心を中心として第一の柱部に隣り合う第二の柱部の外形線と接する仮想の円の外形線の一部、およびその径が柱部の径と同じであり、その中心を第一および第二の柱部のそれぞれの中心とを結んだ際に正三角形が形成されるような位置とする仮想の柱部の外形線の一部を連ねた線で構成される凹凸形状を移動相の流れ方向において繰り返した形状である。
【0013】
こうすることにより、上記した断面において、円弧を構成する線で側壁を連ねて形成することができ、端部領域における移動相の滞留の発生を効率的に抑制して、流路内における滑らかな移動相の移動が可能となる。
【0014】
また、複数の柱部は、柱部の延びる方向に直交する平面で柱部を切断した断面において、断面楕円形状であって、各柱部の中心の座標が最密充填構造における配置となるように設けられており、上記した断面において、側壁は、最も側壁に近い位置に設けられている第一の柱部の中心を中心として第一の柱部に隣り合う第二の柱部の外形線と接し、上記した楕円と相似形の仮想の楕円の外形線の一部、およびその円弧が柱部を構成する円弧と同じであり、その中心を第一および第二の柱部のそれぞれの中心とを結んだ際に二等辺三角形が形成されるような位置とする仮想の柱部の外形線の一部を連ねた線で構成される凹凸形状を移動相の流れ方向において繰り返した形状であってもよい。
【0015】
この発明の他の局面において、クロマトグラフィー用カラムの製造方法は、対向して配置される一対の側壁、および一対の側壁に連なって一対の側壁の底側に配置される底壁を有し、その内部に移動相を流すことが可能な流路と、底壁から側壁に沿う方向に延びるようにして設けられ、所定の間隔を空けてそれぞれ規則的に配置される複数の柱部とを備え、各柱部の外形面は、曲面を含んでおり、側壁は、柱部の外形面に沿った曲面をその一部に含み、移動相の流れ方向において、最も側壁に近い位置に設けられている柱部と側壁との最短距離は、柱部同士の最短距離と同じであり、複数の柱部を固定相として、移動相によって移動させられる複数種類の成分を含む混合試料の各成分を分離可能なクロマトグラフィー用カラムの製造方法である。ここで、クロマトグラフィー用カラムの製造方法は、略平板状の被エッチング部材を準備し、被エッチング部材に対して、複数の柱部および側壁の外形形状に該当する領域にマスキングを行なう工程と、マスキングを行なった被エッチング部材に対して、エッチングを施して、複数の柱部間および柱部と一対の側壁との間に流路を形成する工程とを含む。
【0016】
このようなクロマトグラフィー用カラムの製造方法によると、分解能の高いクロマトグラフィー用カラムを精度よくかつ効率的に製造することができる。
【0017】
この発明のさらに他の局面において、分析装置は、対向して配置される一対の側壁、および一対の側壁に連なって一対の側壁の底側に配置される底壁を有し、その内部に移動相を流すことが可能な流路と、底壁から側壁に沿う方向に延びるようにして設けられ、所定の間隔を空けてそれぞれ規則的に配置される複数の柱部とを備え、各柱部の外形面は、曲面を含んでおり、側壁は、柱部の外形面に沿った曲面をその一部に含み、移動相の流れ方向において、最も側壁に近い位置に設けられている柱部と側壁との最短距離は、柱部同士の最短距離と同じであり、複数の柱部を固定相として、移動相によって移動させられる複数種類の成分を含む混合試料の各成分を分離可能なクロマトグラフィー用カラムと、流路の上流側に配置され、移動相と共に混合試料を流路内に導入させるポンプと、流路の下流側に配置され、クロマトグラフィー用カラムによって分離された各成分を検出する検出部とを備える。
【0018】
このような分析装置によれば、分析精度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
このようなクロマトグラフィー用カラムによると、流路内の中央領域において隣り合う柱部同士の間隔と、流路内の側壁に近い領域における柱部と側壁との間隔とを等しくして、流路内を流れる移動層の移動方向において、中央領域における移動速度と側壁に近い端部領域の移動速度との差を小さくすることができる。すなわち、各領域における移動速度の差を小さくすることができる。この場合、柱部の外形面は曲面を含んでおり、側壁は、柱部の外形面に沿った曲面をその一部に含むため、側壁に近い領域における移動相の流れを円滑にすることができる。したがって、このような構成のクロマトグラフィー用カラムは、混合試料を各成分に分離する際の流路拡散等の影響を低減して、分解能の向上を図ることができる。
【0020】
また、このようなクロマトグラフィー用カラムの製造方法によると、分解能の高いクロマトグラフィー用カラムを精度よく、かつ効率的に製造することができる。
【0021】
また、このような分析装置によれば、分析精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係る分析装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】この発明に係るカラムのうちの流路の外観の一部を示す拡大写真である。
【図3】図2中のIIIで示す部分の拡大写真である。
【図4】この発明に係るカラムの外形形状を示す概略断面図である。
【図5】この発明に係るカラムのうちの流路の一部を示す概略断面図である。
【図6】図5中のVIで示す部分の拡大図である。
【図7】図6中のVIIで示す部分の拡大図である。
【図8】従来における第一のカラムの流路の構成を示す図である。
【図9】図8中のIXで示す部分の拡大図である。
【図10】従来における第二のカラムの流路の構成を示す図である。
【図11】図10中のXIで示す部分の拡大図である。
【図12】従来における第一のカラムにおいて、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。
【図13】従来における第二のカラムにおいて、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。
【図14】この発明に係るカラムにおいて、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。
【図15】柱部同士の間隔を2μm、柱部と側壁との間隔を1μmとしたカラムにおいて、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。
【図16】柱部同士の間隔を2μm、柱部と側壁との間隔を3μmとしたカラムにおいて、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。
【図17】柱部同士の間隔を2μm、柱部と側壁との間隔を4μmとしたカラムにおいて、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。
【図18】各カラムにおいて、検出器で濃度を検出した場合の解析結果を示すグラフである。
【図19】柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を1μmとした場合の解析結果を示す。
【図20】柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を3μmとした場合の解析結果を示す。
【図21】柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を4μmとした場合の解析結果を示す。
【図22】この発明の他の実施形態に係るカラムのうちの流路の一部を示す概略断面図であり、柱部が幅方向に長い断面楕円形状の場合である。
【図23】この発明のさらに他の実施形態に係るカラムのうちの流路の一部を示す概略断面図であり、柱部が流れ方向に長い断面楕円形状の場合である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、この発明の一実施形態に係る分析装置の構成について説明する。図1は、この発明に係る分析装置の構成を概略的に示す図である。
【0024】
図1を参照して、この発明に係る分析装置11は、複数種類の成分が混合された混合試料について、クロマトグラフィーの原理を利用し、クロマトグラフィー用カラムを通して混合試料の各成分を分離し、分離した各成分をそれぞれ検出して分析するものである。このような分析装置11は、例えば、複数の種類のタンパク質等が混合された生体液の混合試料における各成分の分析等に対して用いられる。
【0025】
分析装置11は、おおよそ真直ぐ一方方向に延び、その内部に移動相および混合試料を流すことが可能な流路12を有し、移動相によって移動させられる複数種類の成分を含む混合試料の成分を分離するクロマトグラフィー用カラム13と、移動相と共に混合試料をカラム13に導入するポンプ14と、カラム13によって分離された試料の各成分を検出する検出器15と、検出器15の動作等を制御するコンピュータ16とを備える。
【0026】
ポンプ14は、流路12の上流側に配置されており、ポンプ14とカラム13とは、パイプ20によって接続されている。ポンプ14は、パイプ20を介して、カラム13のうち、流路12の一方端部となる上流側から移動相および混合試料を導入する。検出器15は、流路12の下流側に配置されており、検出器15とカラム13とは、パイプ21によって接続されている。混合試料は、カラム13によって各成分に分離された後、カラム13の他方端部となる下流側から排出され、パイプ21を介して検出器15内に導入される。検出器15は、導入された各成分の検出、すなわち、各成分がどのような成分であるかの検出を行なう。なお、検出器15には、検出し終えた各成分を含む移動相を検出器15外、引いては分析装置11外に排出するためのパイプ22も設けられている。なお、移動相の流量や流速等については、要求されるカラム13の性能、分解能、混合試料に含まれる成分の種類、混合試料の量等によって適宜選択される。また、移動相としては、例えば、液体が用いられる。
【0027】
カラム13は、略平板状のベース部17と、ベース部17全体を覆う略平板状のカバー部18とから構成されている。上記した流路12は、略平板状のベース部17の一方側の面19から凹むようにして設けられている。流路12は、図1中の左側から右側に向かって、移動相および混合試料を流すことが可能な構成である。すなわち、図1中の流路12の左側が上流側となり、図1中の流路12の右側が下流側となる。
【0028】
図2は、この発明に係るカラム13の外観の一部を示す拡大写真である。図3は、図2中のIIIで示す部分の拡大写真である。図4は、この発明に係るカラム13の外形形状を示す概略断面図である。図4は、柱部26の延びる方向に直交する平面でカラム13を切断した場合の断面図である。
【0029】
図1〜図4を参照して、流路12は、対向する一対の側壁23、24と、一対の側壁23、24の底側に配置される底壁25とを備える。理解の容易の観点から、図4においては、側壁23、24の形状を左右方向に真直ぐに延びるように図示しているが、正確には、側壁23、24の形状は、図5〜図7に示す通りである。なお、側壁23、24の具体的な形状については、後述する。
【0030】
流路12を構成する底壁25から円柱状に延びる複数の柱部26が設けられている。柱部26は、底壁25から上方向、すなわち、図2中の紙面上方向に真直ぐに延びるように設けられている。円柱状の柱部26の先端は、ベース部17上にカバー部18が配置された際に、カバー部18の下面に当接するよう構成されている。すなわち、ベース部17上にカバー部18が配置された際に、一対の側壁23、24、底壁25、およびカバー部18に囲われた空間内で、複数の柱部26の間に位置する領域が、移動相および混合試料を流れるようにして移動させる流路12となる。柱部26の表面、すなわち、柱部26の外形面は、曲面で構成されており、いわゆる化学修飾が可能なように構成されている。この複数の柱部26が、クロマトグラフィーにおける固定相となる。なお、複数の柱部26の具体的な配置構成については、後述する。
【0031】
両側壁23、24は、柱部26の延びる方向に沿って上方向に延びる形状である。流路12のうち、上流側端部となり、移動相および混合試料が導入されるインレット27の大きさ、具体的には、図4中におけるインレット27の上下方向の幅は、下流側端部となり、各成分に分離された試料が排出されるアウトレット28の上下方向の幅よりも小さく構成されている。両側壁23、24については、インレット27から移動方向に真直ぐに延びた後、テーパ状にその幅を広げるようにして延びるように構成されている。このような構成とすることにより、効率的に流路12内で混合試料を分離することができる。
【0032】
なお、流路12の具体的な寸法については、以下の通りである。すなわち、いわゆるカラム長さとして、図4中の長さ寸法Aで示すインレット27からアウトレット28までの長さは、約300μmである。図4中の長さ寸法Aで示すインレット27の幅は、約20μmである。図4中の長さ寸法Aで示すアウトレット28の幅は、約50μmである。この発明に係るカラム13は、このようなスケール、すなわち、マイクロメートルオーダーのものである。なお、図4等からも把握できるように、カラム13は、左右方向、すなわち、横方向に長い形状である。
【0033】
次に、カラム13の具体的な構成について説明する。図5は、この発明に係るカラム13の一部を示す概略断面図である。図6は、図5中のVIで示す部分の拡大図である。図7は、図6中のVIIで示す部分の拡大図である。図5〜図7は、柱部26の延びる方向に直交する平面でカラム13を切断した断面に相当する。なお、図5〜図7において、長さ方向とは、図5〜図7において紙面左右方向で表されるカラム長さ方向を示し、幅方向とは、図5〜図7において紙面上下方向で表されるカラムの幅方向を示す。また、移動相および混合試料の移動方向については、図5〜図7中、矢印Vで示す。
【0034】
図5〜図7を参照して、まず、複数の柱部26の具体的な配置構成について説明する。図5〜図7において、円柱状の柱部26は、その外形線が円となる。複数の柱部26は、各柱部26の中心の座標が最密充填構造における配置となるように、所定の間隔を空けてそれぞれ規則的に配置されている。すなわち、各柱部26において、隣り合う柱部26との最短距離は、それぞれ等しい構成である。ここでは、幅方向に7つに並ぶ柱部26が設けられた第一の列29と、幅方向に6つに並ぶ柱部26が設けられた第二の列30とが、長さ方向において交互に配置された構成である。そして、第一および第二の列29、30に跨って隣り合う3つの柱部26のうち、図5等に示す断面において、3つの柱部26のそれぞれの中心を直線で結んだ形状は、正三角形となる。なお、この実施形態において、例えば、図6中に示される柱部26間の最短距離Aは、上記した所定の間隔であって、2μmとしている。また、柱部26同士の間を移動相および混合試料が移動する領域を中央領域となり、柱部26と側壁23、24との間を移動相および混合試料が移動する領域を端部領域となる。
【0035】
次に、流路12を構成する一対の側壁23、24のうち、一方側の側壁23の具体的な形状について説明する。所定の間隔を空けて設けられる複数の柱部26のうち、上記した第一の列29において側壁23に最も近い位置にある柱部26を第一の柱部31とし、第二の列30において側壁23に最も近い位置にある柱部26を第二の柱部32とする。第一および第二の柱部31、32は、移動方向にずれて隣り合った構成であり、幅方向において、第一の柱部31は、第二の柱部32よりも外側、すなわち、流路12の幅方向の中心から遠い位置に設けられている。
【0036】
そして、第一の柱部31の中心33を中心として、第二の柱部32の外形線34と接する仮想の円を描く。図7において、仮想の円の外形線35は、点線で示している。また、その中心と第一および第二の柱部31、32のそれぞれの中心33、36とを結んだ線が正三角形となるような中心37を有し、その径が柱部26の径と同じである仮想の柱部38を描く。仮想の柱部38の外形線39は、一点鎖線で示している。また、それぞれの中心33、36、37を結んで作成される正三角形も、一点鎖線で示している。なお、仮想の柱部38は、側壁23がなければ、最密充填構造における配置パターンで流路に形成されていた柱部となる。なお、いずれの外形線35、39も、円弧状である。
【0037】
ここで、側壁23は、上記した断面、すなわち、例えば、図7に示す断面において、描いた仮想の円の外形線35の一部、および描いた仮想の柱部38の外形線39の一部を連ねた線で構成される凹凸形状を移動相の流れ方向において繰り返した形状である。この側壁23を構成する線は、図7において、太い実線40で示している。
【0038】
詳しく説明すると、図7に示す断面において、第二の柱部32に近い領域、具体的には、仮想の円の外形線35と仮想の柱部38の外形線39との交点41から、第二の柱部32にさらに移動方向に隣り合う第三の柱部42において、第三の柱部42の中心43を中心として第二の柱部32の外形線34に接する仮想の円の外形線44と第二の柱部32の外形線34との交点45までの長さ方向の領域においては、側壁23を構成する線は、仮想の柱部38の外形線39となる。この第一の柱部31に近い領域、具体的には、交点41から交点45までの長さ方向の領域において、側壁23は、柱部31の外形面に沿った曲面となる。また、交点41の下流側であって第一の柱部31に近い領域では、側壁23を構成する線は、仮想の円の外形線35に沿った線となる。交点41の上流側であって第三の柱部42に近い領域においては、側壁23を構成する線は、仮想の円の外形線44に沿った線となる。そして、仮想の柱部38の中心37を通り、長さ方向に真直ぐに延びる線を図7中の二点鎖線で示す基準線46とすると、図7に示す断面において側壁23を構成する線は、この基準線46に対して凹凸を繰り返す形状、すなわち、流路12の中心側、この場合、図7における紙面上方向に向かって基準線46から突出する部分と、流路12の中心から離れる側、この場合、図7における紙面下方向に向かって基準線46から凹む部分とが、長さ方向において交互に繰り返し出現する形状である。繰り返す側壁形状の単位については、描いた仮想の円の外形線35と同様にして作図される仮想の柱部の外形線(図示せず)との交点47から交点45までの長さ方向の領域Aが繰り返す側壁形状の単位であり、この領域において形成される側壁形状を、設けられる複数の柱部26の数に応じて繰り返す形状となる。
【0039】
この実施形態においては、図6中の長さ寸法Aで示す第一の柱部31と側壁23との最短距離、および長さ寸法Aで示す第二の柱部32と側壁23との最短距離は、共に2μmとなる。なお、側壁23のうち、テーパ状の領域についても、図5で示すように、同様の形状で構成されている。
【0040】
なお、他方側の側壁24の形状についても、上述した一方側の側壁23の形状と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0041】
このような構成のカラム13によると、流路12内の中央領域において隣り合う柱部26同士の間隔と、流路12内の側壁23に近い領域における柱部31、32と側壁23との間隔とを等しくして、流路12内を流れる移動層の移動方向において、中央領域における移動速度と側壁23に近い端部領域の移動速度との差を小さくすることができる。すなわち、各領域における移動速度の差を小さくすることができる。この場合、柱部26の外形面は曲面を含んでおり、側壁23は、柱部26の外形面に沿った曲面をその一部に含むため、側壁23に近い領域における移動相の流れを円滑にすることができる。したがって、このような構成のカラム13は、混合試料を各成分に分離する際の流路拡散等の影響を低減して、分解能の向上を図ることができる。
【0042】
また、この場合、円弧を構成する線で側壁23を連ねて形成することができ、端部領域における移動相の滞留の発生を効率的に抑制して、流路内における滑らかな移動相の移動が可能となる。
【0043】
次に、このような形状を有するカラムを製造する方法の一例について説明する。まず、シリコン(Si)等を素材とする略平板状のベース部を準備する。そして、ベース部の板厚方向の一方側の面となる主表面に対して、後に柱部となる部分および側壁となる部分に対して、マスキングを行なう。すなわち、複数の柱部および側壁の外形形状に該当する領域にマスキングを行う。この場合、例えば、半導体素子の製造等において用いられるフォトリソグラフィーの技術を応用してもよい。その後、エッチングにより、マスキングした領域を残存させ、それ以外の領域を底壁に該当する部分に至るまで削るようにしてエッチング処理を行う。すなわち、マスキングを行なった非エッチング部材に対して、エッチングを施して、複数の柱部間および柱部と一対の側壁との間に流路を形成する。このようにして、この発明に係る流路を形成し、カラムを製造する。
【0044】
このような製造方法によれば、分解能の高いクロマトグラフィー用カラムを精度よく、かつ効率的に製造することができる。特に、上記したようなスケールにおいて、カラムの微細な構造、具体的には、上記した柱部および側壁の形状をより忠実に再現して製造する際に、精度よく、かつ効率的に行なうことができる。
【0045】
次に、この発明に係るカラムと、従来におけるカラムとの差について説明する。図8は、従来における第一のカラムの流路の構成を示す図である。図9は、図8中のIXで示す部分の拡大図である。図8は、図5に対応し、図9は、図6に対応する。図8および図9は、非特許文献1のFigure 1.(b)に開示された流路のモデルである。具体的には、従来の第一のカラム51は、側壁52が設けられる位置において、柱部を半分に切った半円筒状の柱部が設けられた構成である。図9中で示す第一の柱部に該当する柱部53と側壁52との最短距離である幅方向の長さ寸法Bは、1μmであり、図9中で示す第二の柱部に該当する柱部54と側壁52との最短距離である幅方向の長さ寸法Bは、2μmである。なお、柱部間の最短距離は、2μmである。
【0046】
また、図10は、従来における第二のカラムの流路の構成を示す図である。図11は、図10中のXIで示す部分の拡大図である。図10は、図5に対応し、図11は、図6に対応する。図10および図11は、非特許文献1のFigure 1.(c)に開示された流路のモデルである。具体的には、従来の第二のカラム56は、側壁57を長さ方向に真直ぐ連ねた構成である。図11中で示す第一の柱部に該当する柱部58と側壁57との最短距離である幅方向の長さ寸法Cは、1μmであり、図11中で示す第二の柱部に該当する柱部59と側壁57との最短距離である幅方向の長さ寸法Cは、4μmである。なお、柱部間の最短距離は、2μmである。
【0047】
なお、この発明に係るカラム13の流路12の構成は、図5〜図7に示す通りであり、第一の柱部31と側壁23との幅方向の長さ寸法、および第二の柱部32と側壁23との幅方向の長さ寸法は、共に2μmである。なお、柱部26間の最短距離についても、2μmである。
【0048】
図12は、従来における第一のカラム51において、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。図13は、従来における第二のカラム56において、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。図14は、この発明に係るカラム13において、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。ここで、解析の入力条件については、柱部の径を5μm、フローレートを52266μm/秒、拡散係数を500μm/秒、溶液の濃度を20μM(Mol)とし、クーラン数(C)を0.5よりも小さくして、クーラン数(C)<0.5としている。ここで、クーラン数とは、解析時において、時間刻みを決める指標であり、解析結果の安定性を示す指標でもある。なお。通常、C<1で解析を行なうことで、解析結果の信頼性が向上すると言われている。
【0049】
また、比較例として、柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を異ならせたものについても解析を行なった。図15は、柱部同士の間隔を2μm、柱部と側壁との間隔を1μmとしたカラムにおいて、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。図16は、柱部同士の間隔を2μm、柱部と側壁との間隔を3μmとしたカラムにおいて、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。図17は、柱部同士の間隔を2μm、柱部と側壁との間隔を4μmとしたカラムにおいて、所定時間経過した後の混合試料の流れ方向の分布状態を示す解析図である。なお、図12〜図17において、混合試料の同一成分については、同じハッチングで示しているが、その境界については、明確ではないものであり、理解の容易の観点から、実線として図示するものである。
【0050】
図12〜図17を参照して、図12に示す解析結果および図13に示す解析結果によると、端部領域、すなわち、側壁に近い領域における移動速度が、幅方向の中央領域における移動速度よりも遅くなっていることが把握できる。すなわち、従来における第一および第二のカラム51、56においては、同一成分の移動方向の分布が、大きな略V字状となって移動している。また、図15に示す解析結果によると、図12および図13の場合と同様に、同一成分の移動方向の分布が、大きな略V字状となって移動している。図16および図17に示す解析結果によると、側壁に近い領域における移動速度が、幅方向の中央領域における移動速度よりも速くなっていることが把握でき、同一成分の移動方向の分布が、上記した図12、図13、図15の場合と略V字状の形状が逆となっている。すなわち、図12、図13、図15、図16、図17の場合は、同一成分における移動方向の幅は、広くなっている。
【0051】
これに対し、図14に示す解析結果からすると、端部領域における移動速度と中心領域における移動速度とが、ほとんど変わらず、同一成分における移動方向の幅は、狭くなっている。すなわち、この発明に係るカラム13においては、端部領域における移動速度と中心領域における移動速度とがほとんど等しく、その速度差は極めて小さいものであることが把握できる。
【0052】
ここで、理論段高について考える。理論段高は、理論段高(H)=σ(バンド幅)/カラム長さ(A)によって算出され、カラムの分解能を示す一つの指標である。この理論段高の値が小さいほど、カラムの分解能が優れているといえるものである。なお、バンド幅については、分離された成分のうち、最も早く移動している成分の流れ方向の位置と最も遅く移動している成分の流れ方向の位置から算出されるものである。また、このようにして算出されるバンド幅は、通常4σとして算出されるものであるため、理論段高の計算においては、算出したバンド幅を4σの値として用いている。なお、バンド幅(4σ)については、図13中の長さ寸法Dで示している。
【0053】
各カラムにおける理論段高の値については、表1に示している。なお、算出に当って、カラム長さは、図4中の長さ寸法Aの値であり、具体的には、295μmという値を用いている。
【0054】
【表1】

【0055】
表1を参照して、従来における第一のカラム51の理論段高は、4.49μmであり、従来における第二のカラム56の理論段高は、2.52μmである。これに対し、この発明に係るカラム13の理論段高は、1.75μmであり、従来における第一および第二のカラム51、56の理論段高の値に対して、大幅に小さくなっている。このような結果からも、この発明に係るカラム13の分解能の高さを把握することができる。
【0056】
図18は、上記した図12〜図14で解析を行なった各カラムにおいて、検出器で濃度を検出した場合の解析結果を示すグラフである。図18において、横軸は、経過時間(秒)を示し、縦軸は、濃度変化(duM/dt)を示す。なお、経過時間については、測定開始、すなわち、混合試料をインレットに導入した時からの経過時間を示している。
【0057】
図18を参照して、四角印で示す従来における第一のカラム51の場合、約0.12秒経過後から濃度の値が上昇するように濃度の変化が表れ、約0.18秒経過するまで濃度が減少して濃度変化が続いている。また、三角印で示す従来における第二のカラムの場合、約0.125秒経過後から濃度の変化が表れ、約0.18秒経過するまで濃度変化が続いている。
【0058】
これに対し、丸印で示すこの発明に係るカラムの場合、約0.125秒経過後から濃度変化が表れ、約0.17秒経過後まで濃度変化が続いている。また、濃度変化のピークについても、この発明に係るカラムの場合の方が、従来における第一および第二のカラムの場合よりも高くなっている。すなわち、この発明に係るカラムの方が、従来における第一および第二のカラムよりも、よりシャープな濃度変化の分布になっており、このような結果からも、この発明に係るカラムの分解能の高さを把握することができる。
【0059】
以上より、この発明に係るカラムおよび分析装置によれば、分解能を向上させることができる。
【0060】
なお、上記の実施の形態においては、柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を2μmとしたが、これに限らず、柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔は、要求されるカラムの性能や混合試料の各成分の種類等に応じて任意に定められる。ここで、上記した柱部の径を5μm等とする解析の入力条件下においては、柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を2μm以下とすることが好ましい。こうすることにより、より高い分解能の実現が可能になる。
【0061】
図19は、柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を1μmとした場合の解析結果を示し、図20は、柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を3μmとした場合の解析結果を示し、図21は、柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を4μmとした場合の解析結果を示す。解析の入力条件については、図12等に示す場合と同様である。図19〜図21および図14を参照して、上記した解析の入力条件においては、柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を広げれば、バンド幅が大きくなる傾向にある。したがって、上記した解析の入力条件に近いモデルについては、柱部同士の間隔および柱部と側壁との間隔を2μm以下とすれば、高い分解能で混合試料を分離することができる。
【0062】
なお、上記の実施の形態において、カラムに設けられる流路は、左右方向に真直ぐに延びる形状としたが、これに限らず、例えば、略U字状に折り返すような形状としてもよく、さらには、流路の折り返しを複数回行なった蛇行形状としてもよい。この場合の流路の折り返しの数は、一方側の側壁における移動速度と他方側の側壁における移動速度とをアウトレットの位置において等しくするためにも、一方側への折り返し数と他方側への折り返し数とを同数とすることが好ましい。
【0063】
また、上記の実施の形態においては、柱部は、円筒状であることとしたが、これに限らず、柱部の形状は、その外形面が曲面を含んでいれば良く、例えば、上から見た場合に長さ方向に長手方向を有する楕円形状や、幅方向に長手方向を有する楕円形状を備える構成としてもよい。なお、柱部の数等についても、要求されるカラムの性能等に応じて、任意に選択可能である。
【0064】
柱部が断面楕円形状のカラムの構成について説明する。図22は、カラムのうちの流路の一部を示す概略断面図であり、柱部が幅方向、ここでは、紙面上下方向に長い断面楕円形状の場合である。なお、図22に示す断面は、図7に示す断面に相当する。図22を参照して、この発明の他の実施形態に係るカラム61に備えられる第一および第二の柱部62、63は、柱部62、63の延びる方向に直交する平面で柱部62、63を切断した断面において、幅方向に長い断面楕円形状である。柱部62、63は、いわゆる楕円筒状である。そして、各柱部62、63の中心64、65の座標が最密充填構造における配置となるように設けられている。上記した断面において、側壁66は、最も側壁66に近い位置に設けられている第一の柱部62の中心64を中心として第一の柱部62に隣り合う第二の柱部63の外形線67と接し、柱部62の外形線68で構成される楕円と相似形の仮想の楕円の外形線69の一部、およびその円弧が柱部62を構成する円弧と同じであり、その中心70を第一および第二の柱部62、63のそれぞれの中心64、65とを結んだ際に図22中の一点鎖線で示す二等辺三角形が形成されるような位置とする仮想の柱部71の外形線72の一部を連ねた線で構成される凹凸形状を移動相の流れ方向において繰り返した形状である。このような形状であっても良い。なお、二等辺三角形のうち、底辺に当たる線分は、中心65と中心70を結んだ線分となる。
【0065】
さらに、柱部が、流れ方向、すなわち、紙面左右方向である移動方向に長い断面楕円形状であっても良い。図23は、この場合のカラムの流路の一部を示す断面図である。図23を参照して、この発明のさらに他の実施形態に係るカラム76は、図22に示すカラムと、楕円の形状が移動方向に長いことを除いては、同様の構成であるため、その説明を省略する。このような形状であっても良い。
【0066】
また、上記の実施の形態においては、インレット側の幅を小さくし、アウトレット側の幅を大きくするよう構成することとしたが、これに限らず、例えば、インレット側の幅とアウトレット側の幅とを等しくするよう構成してもよい。
【0067】
なお、上記の実施の形態においては、半導体素子の製造技術におけるエッチングを用いて、上記した構成のカラムを製造することとしたが、これに限らず、例えば、平板状のベース部に対して、上記した配置の柱部および側壁の位置に該当する領域を、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により堆積させて、流路の底壁から延びるように構成させるようにして製造することにしてもよい。さらに、半導体素子の製造技術を応用せず、柱部間を削るような微細加工において、上記した構成のカラムを製造することにしてもよい。
【0068】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
11 分析装置、12 流路、13,51,56,61,76 カラム、14 ポンプ、15 検出器、16 コンピュータ、17 ベース部、18 カバー部、19 面、20,21,22 パイプ、23,24,52,57,66 側壁、25 底壁、26,31,32,38,42,53,54,58,59,62,63,71 柱部、27 インレット、28 アウトレット、29,30 列、33,36,37,43,64,65,70 中心、34,35,39,44,67,68,69,72 外形線、40 実線、41,45,47 交点、46 基準線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置される一対の側壁、および前記一対の側壁に連なって前記一対の側壁の底側に配置される底壁を有し、その内部に移動相を流すことが可能な流路と、前記底壁から前記側壁に沿う方向に延びるようにして設けられ、所定の間隔を空けてそれぞれ規則的に配置される複数の柱部とを備え、前記複数の柱部を固定相として、前記移動相によって移動させられる複数種類の成分を含む混合試料の各成分を分離可能なクロマトグラフィー用カラムであって、
前記各柱部の外形面は、曲面を含んでおり、
前記側壁は、前記柱部の外形面に沿った曲面をその一部に含み、
前記移動相の流れ方向において、最も前記側壁に近い位置に設けられている柱部と前記側壁との最短距離は、前記柱部同士の最短距離と同じである、クロマトグラフィー用カラム。
【請求項2】
前記複数の柱部は、円筒状であり、
前記複数の柱部は、前記柱部の延びる方向に直交する平面で前記柱部を切断した断面において、前記各柱部の中心の座標が最密充填構造における配置となるように設けられており、
前記断面において、前記側壁は、最も前記側壁に近い位置に設けられている第一の柱部の中心を中心として前記第一の柱部に隣り合う第二の柱部の外形線と接する仮想の円の外形線の一部、およびその径が前記柱部の径と同じであり、その中心を前記第一および第二の柱部のそれぞれの中心とを結んだ際に正三角形が形成されるような位置とする仮想の柱部の外形線の一部を連ねた線で構成される凹凸形状を前記移動相の流れ方向において繰り返した形状である、請求項1に記載のクロマトグラフィー用カラム。
【請求項3】
前記複数の柱部は、前記柱部の延びる方向に直交する平面で前記柱部を切断した断面において、断面楕円形状であって、前記各柱部の中心の座標が最密充填構造における配置となるように設けられており、
前記断面において、前記側壁は、最も前記側壁に近い位置に設けられている第一の柱部の中心を中心として前記第一の柱部に隣り合う第二の柱部の外形線と接し、前記楕円と相似形の仮想の楕円の外形線の一部、およびその円弧が前記柱部を構成する円弧と同じであり、その中心を前記第一および第二の柱部のそれぞれの中心とを結んだ際に二等辺三角形が形成されるような位置とする仮想の柱部の外形線の一部を連ねた線で構成される凹凸形状を前記移動相の流れ方向において繰り返した形状である、請求項1に記載のクロマトグラフィー用カラム。
【請求項4】
対向して配置される一対の側壁、および前記一対の側壁に連なって前記一対の側壁の底側に配置される底壁を有し、その内部に移動相を流すことが可能な流路と、前記底壁から前記側壁に沿う方向に延びるようにして設けられ、所定の間隔を空けてそれぞれ規則的に配置される複数の柱部とを備え、前記各柱部の外形面は、曲面を含んでおり、前記側壁は、前記柱部の外形面に沿った曲面をその一部に含み、前記移動相の流れ方向において、最も前記側壁に近い位置に設けられている柱部と前記側壁との最短距離は、前記柱部同士の最短距離と同じであり、前記複数の柱部を固定相として、前記移動相によって移動させられる複数種類の成分を含む混合試料の各成分を分離可能なクロマトグラフィー用カラムの製造方法であって、
略平板状の被エッチング部材を準備し、
前記被エッチング部材に対して、前記複数の柱部および前記側壁の外形形状に該当する領域にマスキングを行なう工程と、
前記マスキングを行なった前記被エッチング部材に対して、エッチングを施して、前記複数の柱部間および前記柱部と前記一対の側壁との間に前記流路を形成する工程とを含む、クロマトグラフィー用カラムの製造方法。
【請求項5】
対向して配置される一対の側壁、および前記一対の側壁に連なって前記一対の側壁の底側に配置される底壁を有し、その内部に移動相を流すことが可能な流路と、前記底壁から前記側壁に沿う方向に延びるようにして設けられ、所定の間隔を空けてそれぞれ規則的に配置される複数の柱部とを備え、前記各柱部の外形面は、曲面を含んでおり、前記側壁は、前記柱部の外形面に沿った曲面をその一部に含み、前記移動相の流れ方向において、最も前記側壁に近い位置に設けられている柱部と前記側壁との最短距離は、前記柱部同士の最短距離と同じであり、前記複数の柱部を固定相として、前記移動相によって移動させられる複数種類の成分を含む混合試料の各成分を分離可能なクロマトグラフィー用カラムと、
前記流路の上流側に配置され、前記移動相と共に前記混合試料を前記流路内に導入させるポンプと、
前記流路の下流側に配置され、前記クロマトグラフィー用カラムによって分離された各成分を検出する検出部とを備える、分析装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−174856(P2011−174856A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40077(P2010−40077)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(591159251)信和化工株式会社 (10)