説明

クロマトグラフィ/質量分析/質量分析装置における動的信号選択

物質の質量スペクトログラム・データを得るための方法と装置である。この方法は、(a)物質にクロマトグラフィ・プロセスを行ってその出力をイオン化し、(b)出力の現在の質量スペクトログラムを得、(c)ステップ(b)で得た現在の質量スペクトルと出力の1つ以上の前に収集した質量スペクトルとを比較して速く立ち上がる質量信号を有する少なくとも1つのイオンを同定し、(d)同定されたイオンをフラグメント化して、得られる質量スペクトルを記録する。質量分析計装置は、クロマトグラフィ・カラムと、質量分析計であって、クロマトグラフィ・カラムの出力をイオン化するためのイオン源を含み、選択された質量のイオンを分離し、フラグメント化し、質量分析する機能を有する質量分析計と、質量分析計を動作させるようプログラムされたデータ依存のデータ収集コントローラであって、出力の現在の質量スペクトログラムを得て、現在の質量スペクトルと出力の1つ以上の前に収集した質量スペクトルとを比較して速く立ち上がる質量信号を有する少なくとも1つのイオンを同定し、前記同定されたイオンをフラグメント化して、得られる質量スペクトルを記録するコントローラと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に質量分析計の分野に関するものであって、特に、クロマトグラフィ/質量スペクトル装置内で溶出する化合物を同定するためのデータ依存収集法を用いた自動MS/MS収集に関するものである。本発明は複雑な混合物内の関心のある種を同定するときの収集後のデータ処理にも用いることができる。
【背景技術】
【0002】
質量分析計は、しばしばクロマトグラフィ装置と連結し、テスト・サンプルから溶出する種(species)を同定して特徴付ける。かかる結合装置では、溶出する溶剤をイオン化して、後でデータを分析するために、指定された時間間隔(例えば、0.01−10秒の範囲)で、溶出する溶剤の一連の質量スペクトログラムを得る。テスト・サンプルは多くの種または化合物を含んでよいので、関心のある種または化合物を溶出するに従って自動的に決定し(すなわち、同定し)、MS/MS分析を行ってそれらを特徴付けるのが望ましいことが多い。しかし、複雑な混合物内の関心のある種を実時間で同定することはなかなか困難である。
【0003】
この目的を達成するために、質量分析計に関連する種々の自動化ツールとデータ取得および分析ソフトウエアとが開発されてきた。周知の自動化ツールは、MDS Sciex Inc.およびApplera Corporationが販売しているInformation Dependant AcquisitionTM(IDATM)である。データ収集プロセス中、このツールは質量スペクトログラム内の質量ピークを同定してプリカーサ・イオンを選択する。このツールは質量分析の1つ以上の後段階(MS/MSまたはMS/MS/MS)を行って、選択されたプリカーサ・イオンをフラグメント化する。得られたMS/MS(または更に高次の)スペクトルは、エネルギー的に可能な全てのフラグメンテーション・プロセス(プリカーサ・イオンからフラグメント・イオンへ、更にフラグメント・イオンから他のフラグメント・イオンへ)の合成物である。スペクトル・データベース(すなわち、MS/MSライブラリ)を探索しまたは化合物を特徴付けるのに用いられる構造情報を与えるとき、後のMS段階により解明されるスペクトルの豊富さおよび/または解離経路は化合物を同定するのに非常に有用である。
【0004】
他の質量分析計装置のメーカも同様の実時間のデータ依存切替え機能を提供している。例えば、カリフォルニア州サンホゼのThermo Finnigan LLCはData Dependent ExperimentTM(DDE)ツールを販売し、またWaters Corporation(MicromassTM)はデータ向け分析(DDA)ツールを販売している。
【0005】
上に述べた実時間のデータ依存切替え機能は、関心のある質量ピークの検出がかなり容易な、試験管内サンプル分析または単一蛋白質消化分析などのアプリケーションでは良い結果を与える。しかし生物体液(例えば、尿や血漿溶出物)または消化された蛋白質の混合(例えば、消化された細胞分解物)などの更に複雑なサンプル集合を処理するときは、同時に溶出される多くの他の主成分や種があって、関心のある(しかし信号強度が弱い)被分析物や種の信号を「さえぎる」(すなわち、隠す)ことが多く、実際に関心のある(イオン化された)種を効率的に選択することが不可能になる。本質的に、低レベルの濃度で溶出する種を自動的に検出するのは困難なことが多い。
【0006】
IDATMツールでは、包含リストの使用に依存することにより、または本質的にこの技術で周知のニュートラル・ロスおよびプリカーサ走査などの更に特殊な調査走査を用いることにより、MS/MS用の装置で「選ばれた」質量ピークの選択を改善することができる。しかし、常にそうではないが、かかる方法は分析するサンプルの或る知識を妨げる。または、動的除外プロセスを活動化してよい。すなわち、或るイオンを解離のために選択すると、次の数回の走査ではそのイオンを無視して、次に大きな強度のピークを有するイオンを解離のために選択する。しかしこれは、多数の他の主成分と同時に溶出する弱い濃度の種の問題を解決しない。
【0007】
認識されるように、プリカーサ・イオンを正しく選択することは種の同定において重要なステップである。イオンを正しく選択すると、データ依存収集方式で集められる情報の有用でしかも最小の量も保証するので、種の同定および特徴付けを迅速にかつ簡単に行うのに役立つ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的に述べると、本発明は、速く立ち上がる質量信号を有するイオンを同定することにより、多数の他の主成分と同時に溶出する弱い濃度の種を同定する。これは、好ましくは、質量スペクトルと、1つ以上の前に収集された質量スペクトルを含むスペクトログラム背景とを比較することにより行う。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、本発明は物質の質量スペクトログラム・データを得る方法を提供する。この方法では、物質にクロマトグラフィ・プロセスを行ってその出力をイオン化する。これにより、現在の出力の質量スペクトログラムが得られる。次に、現在の質量スペクトルと、出力の1つ以上の前に収集された質量スペクトルを含むスペクトログラム背景とを比較することにより、最も速く立ち上がる質量信号を有するイオンを同定する。次に、同定されたイオンをフラグメント化して、得られる質量スペクトルを記録する。これらのステップを好ましくは動的に繰り返して、クロマトグラフィ・カラムからの実質的に全ての溶出する種を質量で同定し、フラグメント化して追加の質量スペクトル情報を得る。
【0010】
最も速く立ち上がる質量信号を有するイオンは、現在の質量スペクトルから前に収集した質量スペクトルの1つまたは平均を引くことにより同定してよい。または、最も速く立ち上がる質量信号を有するイオンは、出力の前に収集した質量スペクトルの1つ以上の値または平均値に対する現在の質量スペクトル内の各質量信号の値の百分率変化を決定することにより同定してよい。
【0011】
必要であれば、同定されたイオンは動的除外リストに載せてよい。その後このイオンは最も速く立ち上がる質量信号とは考えないので、2次質量分析で次に速く立ち上がるイオンを同定して選択することができる。必要であれば、最も速く立ち上がる質量信号を有するイオンを同定する前にプリカーサまたはニュートラル・ロス走査も行ってよい。
【0012】
質量スペクトログラム・データを収集すると、同定されたイオンのフラグメンテーションから得られる質量スペクトルと質量スペクトルのデータベースとを比較して、溶出する化合物を自動的に同定し、または化合物の特徴付けに用いることができる。
上記の方法とプロセスを行う装置と機器も開示する。
【実施例】
【0013】
図1は液体クロマトグラフィ、質量分析(LCMS)装置10の基本的構成を示す。装置10は、本来この技術で周知のように、多段の質量分析法を行うことのできる質量分析計14に、本来この技術で周知のように結合するクロマトグラフィ・カラム12を含む。かかる装置の一例はMDX Sciexが販売するAPI3000TMまたはAPI4000TMLC/MS/MS装置である。ただし当業者が認識するように、本発明はMSおよびMS/MS機能(例えば、3Dトラップ)を有する任意の装置に適用することができる。データ依存のデータ収集コントローラ16により、自動化されたMSおよびMS/MSで、1回のLC/MSの運転から情報を最大に取り出すことができる。
【0014】
図2は、API3000TM装置を用いて人の生長ホルモン(Hgh)消化について行った或るCL/MSの運転からのデータ出力の一部を示す。図に示すデータは57分から63分の運転に関する。信号40は運転の全イオン強度(TCI)をプロットする。これは全ての溶出する種の全濃度を表す。質量分析計14は予め定められた範囲の質量(より特定すると、m/z範囲)のイオン強度と、質量694m/z、578m/z,713m/z,734m/z,748m/z,913m/zのイオンの溶出されたイオン・カウントの信号42から52のそれぞれのプロットも記録する。これらの信号はこの期間にわたる種々の(しかし全てではない)溶出する種の強度を示す。
【0015】
約58.5分から59分の運転の間に多数の溶出する種があることに注意していただきたい。その部分集合を図2に示す。時刻t0とt1に得られたこれらの溶出する種のMSスペクトログラムを図3(時刻t1)と図4(時刻t0)に示し、それぞれの時刻でのイオン強度を下の表1に示す。
【0016】
スペクトル内に多数の質量ピークがほぼ同時に表れるので、コントローラ16が実行するソフトウエアは2次質量分析を行うための質量ピークを選ぶのが困難である。イオン694m/zが生成する高い強度の信号と共に多数の低い強度の信号(特に質量578m/z,713m/z,748m/zのイオン)が存在するので、この問題は更に難しくなる。図5は、57.16分と60.76分の間の運転を示す。従来のデータ収集コントローラ(IDATM装置)なら2次質量分析を行うのにイオン694m/zだけを選択したはずである(この装置が動的除外評価基準を適用するようプログラムされていないとき)。
【0017】
対照的に、好ましい実施の形態は最も新しく収集したMSスペクトログラムと動的「スペクトログラム背景」とを比較することにより、任意の所定の時点で最も速く立ち上がる信号を同定しようと試みる。分かりやすくするため、図3(遅い時刻)と図4(速い時刻)とを比較すればこの方法の簡単な例を理解することができる。この比較から、質量748m/zが最も速く立ち上がる信号(これは図2の信号50に対応する)を有することが分かる。
【0018】
この現象は2つの簡単な数量化方法を用いて数量化することができる。すなわち、(1)前に収集したMSスペクトログラム内の信号の値から信号の現在の値の引き算と、(2)信号の値の百分率変化とである。表1はこれらの評価基準のどちらかを用いて、イオン748m/zと713m/zとを共にIDA選択のためのリストのトップに動かしたものを示す。
【0019】
【表1】

【0020】
このようにして質量748m/zと713m/zのイオンを選択したので、コントローラ16は本来この技術で周知のように分析計を動的に動作させて、これらのイオンをフラグメント化し、得られた質量スペクトルを記録することにより2次質量分析を行う。好ましい実施の形態では予め定められた数の選択されたイオンをフラグメント化するが、別の実施の形態では「最も良く」合致するもの(例えば、イオン748m/z)だけをその後のフラグメンテーションのために選択してよい。
【0021】
上に述べた2つの数量化方法は次の利点を有する。すなわち、増加の速度に焦点を当てるときは百分率(すなわち、相対的利得)が好ましい方法であるが、引き算法により計算する絶対利得は大幅に増加する種に焦点を当てる。「速く立ち上がる信号」という用語は、相対的な意味で(すなわち、増加の速度で計算して)または絶対的な意味で(すなわち、引き算法で計算して)、早く立ち上がる信号を含むと明確に定義される。
【0022】
図6は、57.16分と60.76分の間の運転で得られたデータにこれらの方法を適用した結果を示す。各ブロック60は、2次MS分析を行うためにコントローラ16が異なるイオン質量ピークを選択した1つ以上の連続的な走査を表す。
【0023】
これまで述べた例はスペクトログラム背景を決定するのに1つの直前のMSスペクトログラムを用いた。しかし別の実施の形態では、比較のためのスペクトログラム背景を得るのに多数のMSスペクトログラムにわたる質量信号を平均してもよい。例えば図7は、信号62,64,66でそれぞれ示す質量668.5m/z,1412.0m/z,1466.0m/zのイオンについて51.4分から53.6分の間のLC/MSの運転で得られた種々の溶出イオン・カウントを示す。図7のブロック70a,70b,70cで示すように、信号の平均背景値を決定するのに用いられたスペクトルの数が、カバレージの範囲(すなわち、質量ピークの全域で選択されたデータ点の数)を決定する。例えばブロック70aでは、時刻t4での信号62の背景平均値は1つの直前のスペクトログラム(5秒前に得られたもの)から得られ、したがってコントローラは信号内の立上りだけを考慮する。信号がそのピーク値を過ぎると、時刻t4での信号62の値を時刻t3でのその値から引けば分かるように、引き算を用いても百分率変化を用いても結果は負の数である。
【0024】
しかしブロック70bでは、3つの直前のスペクトルを用いて信号62の背景の値を決定し、その結果、カバレージの範囲(すなわち、質量ピークの全域で考慮したデータ点の数)が大きくなった。ブロック70cは、10の前のスペクトルを用いて信号62の背景の値を決定したときのカバレージの範囲を示す。これらの方法は、移動平均と同様に、信号内の急激な変動(したがって偽の結果)を平滑するのを助ける。質量信号の平均背景値を決定するのにコントローラが用いるスペクトルの数は、好ましくはユーザが編集可能なパラメータである。
【0025】
好ましい実施の形態では、2次MS分析用のイオンの選択は、最も速く立ち上がる質量信号の評価基準に加えて、またはこれと組み合わせて、他の評価基準に基づいてよい。例えば、必要であれば、上に説明した動的背景比較と動的除外とを組み合わせてよい。この方法では、或るイオンが最も速く立ち上がる質量信号を有すると決定すると、そのイオンを除外リストに載せて、その後のMS走査の予め定められた数には考慮しない。或るイオンが最も速く立ち上がる質量信号を有するものとして予め定められた連続回数選択されるまではそのイオンを除外リストに載せるのを遅らせることにより、この方法を更に強化してよい。また必要であれば、コントローラは動的背景比較を適用する前にプリカーサおよびニュートラル・ロス走査を用いてよい。
【0026】
本発明は、濃度の更に高い種が存在するときに、共に溶出する低い強度の種の検出を改善する。したがって、アイソトープおよびアイソトープ比の完全性が保存されると期待される。また本発明により、コントローラをプログラムするのにユーザが入力する必要のある評価基準の数を少なくすることができる。
【0027】
また本発明により、有用な情報を収集する効率が改善されると共に、収集されるデータの量が最小になる。これにより、選別しなければならない情報の量が小さくなるという追加の利点が得られる。
【0028】
好ましい実施の形態について、1つの反応を監視する走査を参照して説明した。理解されるように、本発明は、本質的にこの技術で周知の、選択されたイオンの監視(SIM)、選択された反応の監視(SRM)、多重反応の監視(MRM)(イオン変換の多重生成の監視を含む)、多重荷電走査(multiple charged scan)に適用できる。また理解されるように、本発明はキャピラリ電気泳動質量分析装置(CE−MS)およびガス・クロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)に適用することができる。当業者が認識するように、本発明の精神から逸れることなく好ましい実施の形態に種々の変更を行ってよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の上記の態様は、特定の実施の形態の説明と、制限するのではなく単なる例として本発明の原理を示す添付の図面とから明らかになる。
【図1】LC/MS装置の略ブロック図である。
【図2】或るLC/MSの運転の一部にわたって時間(分)の関数として検出される種々の質量の強度(cps)をプロットするグラフである。TIC、694XIC(参照番号42)、578XIC(参照番号44)、713(参照番号46)、734XIC(参照番号48)、748XIC(参照番号50)、913(参照番号52)。
【図3】図2に示すLC/MSの運転の部分の第1の時刻(t1)で取った質量スペクトログラムである。
【図4】図2に示すLC/MSの運転の部分の第2の時刻(t0)で取った質量スペクトログラムである。
【図5】57.16分と60.76分の間に、動的背景信号除外のない従来のデータ依存収集ツールを用いれば2次質量分析のために選択されるはずのイオンを示す略図で、IDAのために質量694だけが選択される。しかし、この時間中に溶出されたクロマトグラフィ挙動を持つ他の質量はリストされた影のついた領域で溶出された質量を表わす。
【図6】任意の所定の時点で最も速く立ち上がる質量信号を同定しようとする好ましい実施の形態の下で2次質量分析のために選択されたイオンを示す略図である。動的背景信号除外を行うと、より多くのイオンがIDAのために選択される。質量スペクトルのベース・ピークでない場合でも、他のイオンより速く立ち上がる信号を有する場合は検出される。
【図7】最も速く立ち上がる質量信号の検出において考慮してよい質量ピークの割合を示す略図である。動的背景信号除外を行うと、平均背景を決定するのに用いられるスペクトルの数はLCピークの全域で選択される点の数を決定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質の質量スペクトログラム・データを得る方法であって、
(a)前記物質にクロマトグラフィ・プロセスを行ってその出力をイオン化し、
(b)前記出力の現在の質量スペクトログラムを得、
(c)ステップ(b)で得た前記現在の質量スペクトルと前記出力の1つ以上の前に収集した質量スペクトルとを比較して速く立ち上がる質量信号を有する少なくとも1つのイオンを同定し、
(d)前記同定されたイオンをフラグメント化して、得られる質量スペクトルを記録する、
物質の質量スペクトログラム・データを得る方法。
【請求項2】
前記出力の異なる部分についてステップ1(b)から1(d)を繰り返すことを含む、請求項1記載の物質の質量スペクトログラム・データを得る方法。
【請求項3】
速く立ち上がる質量信号を有するイオンを、前記前に収集した質量スペクトルの1つを前記現在の質量スペクトルから引いて同定する、請求項2記載の物質の質量スペクトログラム・データを得る方法。
【請求項4】
速く立ち上がる質量信号を有するイオンを、複数の前記前に収集した質量スペクトルの平均を前記現在の質量スペクトルから引いて同定する、請求項2記載の物質の質量スペクトログラム・データを得る方法。
【請求項5】
速く立ち上がる質量信号を有するイオンを、前記現在の質量スペクトル内の各質量信号の値の、前記前に収集した質量スペクトルの1つ内の値に対する百分率変化を決定して同定する、請求項2記載の物質の質量スペクトログラム・データを得る方法。
【請求項6】
速く立ち上がる質量信号を有するイオンを、前記現在の質量スペクトル内の各質量信号の値の、複数の前記前に収集した質量スペクトル内の信号の平均値に対する百分率変化を決定して同定する、請求項2記載の物質の質量スペクトログラム・データを得る方法。
【請求項7】
動的除外リストに少なくとも1つの同定されたイオンを載せて、他の速く立ち上がるイオンの同定を可能にすることを含む、請求項2記載の物質の質量スペクトログラム・データを得る方法。
【請求項8】
ステップ1(b)から1(d)を実行する前にプリカーサ走査を行うことを含む、請求項2記載の物質の質量スペクトログラム・データを得る方法。
【請求項9】
ステップ1(b)から1(d)を実行する前にニュートラル・ロス走査を行うことを含む、請求項2記載の物質の質量スペクトログラム・データを得る方法。
【請求項10】
同定されたイオンのフラグメンテーションから得られた質量スペクトルと質量スペクトルのデータベースとを比較して、溶出する化合物を自動的に同定することを含む、請求項2記載の物質の質量スペクトログラム・データを得る方法。
【請求項11】
質量分析計装置であって、
(a)クロマトグラフィ・カラムと、
(b)質量分析計であって、前記クロマトグラフィ・カラムの出力をイオン化するためのイオン源を含み、選択された質量のイオンを分離し、フラグメント化し、質量分析する機能を有する質量分析計と、
(c)前記質量分析計を動作させるようプログラムされたデータ依存のデータ収集コントローラであって、
1)前記出力の現在の質量スペクトログラムを得て、
2)前記現在の質量スペクトルと前記出力の1つ以上の前に収集した質量スペクトルとを比較して、速く立ち上がる質量信号を有する少なくとも1つのイオンを同定し、
3)前記同定されたイオンをフラグメント化して、得られる質量スペクトルを記録する、
コントローラと、
を含む質量分析計装置。
【請求項12】
前記出力の異なる部分について、前記コントローラは前記出力の現在の質量スペクトログラムを繰り返して得て、前記現在の質量スペクトルと前記出力の1つ以上の前に収集した質量スペクトルとを比較して、早く立ち上がる質量信号を有する1つ以上のイオンを同定し、前記同定されたイオンをフラグメント化して、得られる質量スペクトルを記録する、請求項11記載の質量分析計装置。
【請求項13】
速く立ち上がる質量信号を有するイオンを、前記前に収集した質量スペクトルの1つを前記現在の質量スペクトルから引いて同定する、請求項11記載の質量分析計装置。
【請求項14】
速く立ち上がる質量信号を有するイオンを、複数の前記前に収集した質量スペクトルの平均を前記現在の質量スペクトルから引いて同定する、請求項11記載の質量分析計装置。
【請求項15】
速く立ち上がる質量信号を有するイオンを、前記現在の質量スペクトル内の各質量信号の値の、前記前に収集した質量スペクトルの1つ内の値に対する百分率変化を決定して同定する、請求項11記載の質量分析計装置。
【請求項16】
速く立ち上がる質量信号を有するイオンを、前記現在の質量スペクトル内の各質量信号の値の、複数の前記前に収集した質量スペクトル内のその平均値に対する百分率変化を決定して同定する、請求項11記載の物質の質量分析計装置。
【請求項17】
動的除外リストに同定されたイオンを載せて、他の速く立ち上がるイオンの同定を可能にする、請求項11記載の質量分析計装置。
【請求項18】
速く立ち上がる質量信号を決定する前にプリカーサ走査を行うことを含む、請求項11記載の質量分析計装置。
【請求項19】
速く立ち上がる質量信号を決定する前にニュートラル・ロス走査を行うことを含む、請求項11記載の質量分析計装置。
【請求項20】
同定されたイオンの前記フラグメンテーションから得られた質量スペクトルと質量スペクトルのデータベースとを比較して、溶出する化合物を自動的に同定する手段を含む、請求項11記載の質量分析計装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−522999(P2006−522999A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504106(P2006−504106)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000540
【国際公開番号】WO2004/090933
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(505377197)エムディーエス インコーポレイテッド ドゥーイング ビジネス スルー イッツ エムディーエス サイエックス ディヴィジョン (12)
【出願人】(503229742)アプレラ コーポレイション (8)
【Fターム(参考)】