説明

クロマトグラフ分析装置用試料注入システム

【課題】 0.1μLから数mLの幅広い試料注入量が可能なクロマトグラフ分析装置用試料注入システムを提供すること。
【解決の手段】 数μLから数mLの試料を注入するための試料注入装置と、数μL以下の微量試料を注入するための試料注入装置とを、試料注入量に応じて切り替えることで、0.1μLから数mLの幅広い試料注入量に対応可能なクロマトグラフ分析装置用試料注入システムを実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフ分析装置におけるサンプルループ方式の試料注入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフやイオンクロマトグラフにおいて試料を分析する場合に、その分析の目的により、使用するカラムは種々の大きさのものが、そして、種々の検出器が使われる。その試料注入量は、そのカラムの大きさ、検出器の感度、試料中の測定を目的とする対象物の濃度に依存される。通常、カラムサイズが小さい場合、マススペクトロメトリーのような高感度な検出器を使用する場合、及び試料中の測定対象物の濃度が濃い場合は、試料注入量を少なくする。
【0003】
液体クロマトグラフやイオンクロマトグラフに利用される試料注入装置の方式には、可変注入方式とサンプルループ方式とがある。可変注入方式とは、試料を注入装置に注入する量を、注入装置が有するシリンジの試料を吸引する量を変化させることにより、ループへの注入量を変える。この方式では、試料を注入するためサンプルループを変更することなく、シリンジの注入量を変えるだけで、試料注入量を変化させることができるので、クロマトグラフを連続測定する場合に試料注入量を外部制御により自動的に変化させることができる。ただし、後述するサンプルループ方式と比較すると再現性に劣ることが知られている。
【0004】
サンプルループ方式は、注入したい試料容量のループをステーターに接続し、接続したループに試料を完全に満たして、ローターシールを回転することにより流路を切り換えて、クロマトグラムに試料を注入する方式であり、可変注入方式と比較して再現性に優れているのが特長である。通常、試料注入量が数μLから数mL程度の場合には、目的とする容量のサンプルループをステーターに接続する方式が用いられ、当該サンプルループを交換することで試料注入量を変更できる。また、試料注入量が数μL以下と微量な場合には、特殊な機構を有したサンプルループが用いられる。微量試料の注入を目的としたサンプルループ方式には、次の4つの方式が知られている。
【0005】
(1)ローターシールに微量の固定ループが接続された方式;本方式の例としては、レオダイン社製のモデル7410およびモデル7413がある。本装置は固定ループが接続されたローターシールが60度回転することにより流路を切り替えて、試料をクロマトグラムに注入する方式であり、0.5μL、1.0μL、5.0μLの3種類の固定ループが準備されている。
【0006】
(2)ローターシールに試料注入する容量の溝が含まれた方式;本方式の例としては、バルコ社製のHPLC Internal Volume Sample Injector(W Type)がある。本装置では試料注入用の45度の溝があるローターシールを90度回転することにより流路を切り替えて、試料をクロマトグラムに注入する方式であり、0.06μL、0.1μL、0.2μL、0.5μL、1.0μL、2.0μLの6種類の溝の容量が異なるローターシールが準備されている。
【0007】
(3)ステーターに試料注入する容量の溝が含まれた方式(特許文献1及び2);本方式の例としては、バルコ社製のMicrovolume Internal Sample Injectorがある。本装置では、ステーターに試料注入用の溝があるタイプであり、60度回転することにより流路を切り替えて、試料をクロマトグラムに注入する方式であり、0.5μLと1.0μLの2種類の溝の大きさが異なるステーターが準備されている。ただし、本方式では注入する試料を満たす流路としてステーターの長径方向に溝を切るタイプであるので、一定の長さ以下にすることが出来ないことから、0.5μLより微量の試料注入量とするのは難しい。また、ローターシールとステーターの両方に溝を持つことから、耐久性をあげるために両方の接触面の材料を樹脂にすることが必要となり、高コストとなるのが欠点である(特許文献2)。
【0008】
(4)2つのステーターと、それに挟まれたローターシールを持ち、ローターシールに貫通する穴を2つ持ち、一方に試料を満たしローターシールを回転させることにより、その試料をクロマトグラムの流路に注入する方式;本方式の例としては、レオダイン社製のモデル7520およびモデル7526がある。本装置では2つのステーターを持ち、そのステーターに挟まれたローターシールに試料注入用の貫通孔を持ち、そのローターシールを45度回転することにより流路を切り替えて、試料をクロマトグラムに注入する方式であり、0.2μL、0.5μL、1.0μLの3種類の貫通孔の用量が異なるローターシールが準備されている。
【0009】
クロマトグラフを使用する技術者からは、サンプルループ方式の試料注入装置のほうが、再現性が高いため、0.1μLから数mLの幅広い試料注入量を可能とするサンプルループ方式の試料注入装置が望まれていた。しかしながら、上述の通り、試料注入量が数μLから数mL程度の場合と、数μL以下の微量な場合とでは、サンプルループ方式が異なるため、従来の装置で前記目的を満たすものは存在しない。
【0010】
【特許文献1】特開平4−204155号公報
【特許文献2】特許4019372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、0.1μLから数mLの幅広い試料注入量が可能なサンプルループ方式のクロマトグラフ分析装置用試料注入システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を鑑みてなされた本発明は、以下の発明を包含する。
【0013】
第一の発明は、数μLから数mLの試料を注入するための試料注入装置と、数μL以下の微量試料を注入するための試料注入装置とを、試料注入量に応じて切り替えることで幅広い試料注入量に対応可能なクロマトグラフ分析装置用試料注入システムである。
【0014】
第二の発明は、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有するステーター、前記ステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有するローターシール及びn方バルブを有する構成、または、数μL以下の微量試料を注入するためのステーター、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシール及びn方バルブを有する構成、からなる単一の試料注入装置が流路上に配置され、試料注入量に応じて前記注入装置構成要素のうちのステーター及びローターシールを切り替えることを特徴とする、前記システムである。
【0015】
第三の発明は、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有する第一のステーター、第一のステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有する第一のローターシール、数μL以下の微量試料を注入するための第二のステーター、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有する第二のローターシール及びn方バルブを有する構成からなる単一の試料注入装置が流路上に配置され、試料注入量に応じて使用するステーター及びローターシールに接続された流路を切り替えることを特徴とする、前記システムである。
【0016】
第四の発明は、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有し、かつ、数μL以下の微量試料を注入可能なステーター、
前記ステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有し、かつ、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシール、
及びn方バルブを有する構成からなる単一の試料注入装置が流路上に配置され、試料注入量に応じてステーター及びローターシールに接続された流路を切り替えることを特徴とする、前記システムである。
【0017】
第五の発明は、請求項4に記載のローターシールにおける、数μL以下の微量試料を注入するための溝が、前記ステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝よりも内側に彫られていることを特徴とする、前記システムである。
【0018】
第六の発明は、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なステーター、ローターシール及びバルブからなる試料注入装置と、数μL以下の微量試料を注入するためのステーター、ローターシール及びバルブからなる試料注入装置とが、試料を注入する流路に対して並列に配置され、試料注入量に応じて使用する試料注入装置を切り替えることを特徴とする、前記システムである。
【0019】
第七の発明は、数μL以下の微量試料を注入するためのステーターが4以上の偶数の流路のための孔を有しており、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシールが前記ステーターの隣り合う奇数番目と偶数番目の前記孔を連通した(360/n)度(ただしnは6以上の偶数)以下(A度)の角度の間隔で彫られた、(360/n)度以下(B度)の角度の溝(ただしAとBの角度の和が(360/n)度)を3個以上有し、かつ、前記溝のうちの少なくとも1つが微量試料を注入するための溝であることを特徴とする、第二から第六の発明に記載のシステムである。
【0020】
第八の発明は、数μL以下の微量の試料を注入するためのステーターが4以上の偶数の流路のための等間隔の孔を有しており、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシールが前記ステーターの隣り合う奇数番目と偶数番目の前記孔を連通した(360/2n)度(ただしnは6以上の偶数)の角度の間隔で彫られた、(360/2n)度の角度の溝を3個以上有し、かつ、前記溝のうちの少なくとも1つが微量試料を注入するための溝であることを特徴とする、第二から第六の発明に記載のシステムである。
【0021】
第九の発明は、第二から第八の発明に記載のnが6である、前記システムである。
【0022】
第十の発明は、第二から第八の発明に記載のnが8である、前記システムである。
【0023】
第十一の発明は、数μL以下の微量試料を注入するためのステーターの隣り合う流路に繋がる配管の設置位置が、前記ステーターの上面と側面、または前記ステーター側面の上部と下部であることを特徴とする、第二から第十の発明に記載のシステムである。
【0024】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0025】
本発明のクロマトグラフ用試料注入システムは、数μLから数mLの試料を注入するための試料注入装置と、数μL以下の微量試料を注入するための試料注入装置と用意し、試料注入量に応じて、適切な試料注入装置に切り替えることで、0.1μLから数mLの幅広い試料注入量に対応可能としていることを特徴としている。本発明の試料注入システムにおける試料注入装置の切り替え方法としては以下の方法が例示できる。
【0026】
(A)数μLから数mLの試料を注入するための試料注入装置、または、数μL以下の微量試料を注入するための試料注入装置を流路上に配置し、試料注入量に応じて試料注入装置ごと切り替える方法。
【0027】
(B)数μLから数mLの試料を注入するための試料注入装置と、数μL以下の微量試料を注入するための試料注入装置とを、試料を注入する流路に対して並列に配置し、試料注入装置への流路を切り替えることで、試料注入量に応じた適切な試料注入装置に切り替える方法。
【0028】
(C)数μLから数mLの試料を注入するためのステーター、ローターシール及びバルブを有する構成、または、数μL以下の微量試料を注入するためのステーター、ローターシール及びバルブを有する構成、からなる単一の試料注入装置を流路上に配置し、試料注入量に応じて試料注入装置のうちのステーター及びローターシールを切り替える方法。
【0029】
(D)数μLから数mLの試料を注入するためのステーターとそれに対応したローターシール、数μL以下の微量試料を注入するためのステーターとそれに対応したローターシール、及びバルブを有する構成からなる単一の試料注入装置を流路上に設置し、試料注入量に応じて使用するステーター及びローターシールに接続された流路を切り替える方法。
【0030】
(E)数μLから数mLの試料または数μL以下の微量試料を注入するためのステーター、前記ステーターに対応したローターシール、及びバルブを有する構成からなる単一の試料注入装置を流路上に設置し、試料注入量に応じてステーター及びローターシールに接続された流路を切り替える方法。
【0031】
このうち、(A)の切り替え方法は、試料注入装置を駆動部ごと交換する必要があり、交換作業が煩雑となるため、本発明における試料注入装置の切り替え方法としては(B)から(E)の方法が好ましい。また、(C)から(E)の切り替え方法は単一の試料注入装置を用いるため、(B)の切り替え方法を採用したシステムよりも設置スペースを小さくすることができ、かつ駆動部の共通化により装置コストを低減させることができるため、より好ましい。さらに好ましくは、接続する配管の交換、または3方電磁弁といった切り替え手段を用いることで、数μLから数mLの試料を注入するための試料注入装置と数μL以下の微量試料を注入するための試料注入装置とを容易に切り替え可能な(D)または(E)の切り替え方法である。
【0032】
数μLから数mLの試料を注入するための試料注入装置としては、従来より用いられている、目的容量のサンプルループをステーターに接続した方式を用いた装置が好ましい。
【0033】
数μL以下の微量試料の注入を目的とした試料注入装置で用いるサンプルループ方式としては前述した4つの方式が例示できる。
【0034】
(1)ローターシールに微量の固定ループが接続された方式
(2)ローターシールに試料注入する容量の溝が含まれた方式
(3)ステーターに試料注入する容量の溝が含まれた方式
(4)2つのステーターと、それに挟まれたローターシールを持ち、ローターシールに貫通する穴を2つ持ち、一方に試料を満たしローターシールを回転させることにより、その試料をクロマトグラムの流路に注入する方式
このうち、本発明の試料注入システムにおける、微量試料の注入を目的とした試料注入装置で用いるサンプルループ方式としては、機構が簡素でかつ、容量変化にも対応可能な(2)の方式が好ましい。なお、本発明の試料注入システムのうち(E)の切り替え方法を採用した場合における、ローターシールに彫られる試料注入するための溝の位置は、注入容量を少なくすることができる利点から、数μLから数mLの試料を注入するための試料注入装置用に彫られたローターシールの溝よりも内側が好ましい。
【0035】
本発明の試料注入システムにおける試料注入装置の一態様として、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有するステーター、前記ステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有するローターシール及びn方バルブを有する構成、または、数μL以下の微量試料を注入するためのステーター、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシール及びn方バルブを有する構成、からなり、試料注入量に応じて前記注入装置構成要素のうちのステーター及びローターシールを切り替え可能な装置をあげることができる。
【0036】
本発明の試料注入システムにおける試料注入装置の別の態様として、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有する第一のステーター、第一のステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有する第一のローターシール、数μL以下の微量試料を注入するための第二のステーター、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有する第二のローターシール及びn方バルブを有する構成からなり、試料注入量に応じて使用するステーター及びローターシールに接続された流路を、配管の交換、または3方電磁弁といった切り替え手段を用いることで切り替え可能な装置をあげることができる。
【0037】
本発明の試料注入システムにおける試料注入装置のさらに別の態様として、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)有し、かつ、数μL以下の微量試料を注入可能なステーター、
前記ステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有し、かつ、前記溝より内側に数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシール、
及びn方バルブを有する構成からなり、試料注入量に応じてステーター及びローターシールに接続された流路を、配管の交換、または3方電磁弁といった切り替え手段を用いることで切り替え可能な装置をあげることができる。
【0038】
本発明の試料注入システムにおける試料注入装置の好ましい態様として、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有するステーター、前記ステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有するローターシール及びn方バルブを有する構成、または、4以上の偶数の流路のための孔を有した数μL以下の微量試料を注入するためのステーター、前記ステーターの隣り合う奇数番目と偶数番目の前記孔(流路のための孔が4つの場合は1つ目の孔と2つ目の孔、及び3つ目の孔と4つ目の孔)を連通した(360/n)度(ただしnは6以上の偶数)以下(A度)の角度の間隔で彫られた、(360/n)度以下(B度)の角度の溝(ただし、AとBの角度の和が(360/n)度)を3個以上有し、かつ、前記溝のうちの少なくとも1つが微量の試料を注入するための溝であることを特徴とする、数μL以下の微量の試料を注入するための溝を有するローターシール及びn方バルブを有する構成、からなり、試料注入量に応じて前記注入装置構成要素のうちのステーター及びローターシールを切り替え可能な装置をあげることができる。
【0039】
本発明の試料注入システムにおける試料注入装置の別の好ましい態様として、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有する第一のステーター、第一のステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有する第一のローターシール、4以上の偶数の流路のための孔を有した数μL以下の微量試料を注入するための第二のステーター、第二のステーターの隣り合う奇数番目と偶数番目の前記孔(流路のための孔が4つの場合は1つ目の孔と2つ目の孔、及び3つ目の孔と4つ目の孔)を連通した(360/n)度(ただしnは6以上の偶数)以下(A度)の角度の間隔で彫られた、(360/n)度以下(B度)の角度の溝(ただし、AとBの角度の和が(360/n)度)を3個以上有し、かつ、前記溝のうちの少なくとも1つが微量の試料を注入するための溝であることを特徴とする、数μL以下の微量の試料を注入するための溝を有する第二のローターシール、及びn方バルブを有する構成からなり、試料注入量に応じて使用するステーター及びローターシールに接続された流路を、配管の交換、または3方電磁弁といった切り替え手段を用いることで切り替え可能な装置をあげることができる。
【0040】
本発明の試料注入システムにおける試料注入装置のさらに別の好ましい態様として、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有し、かつ、4以上の偶数の流路のための孔を有した数μL以下の微量試料を注入可能なステーター、
前記ステーターの有する数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔の隣り合う孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有し、かつ、前記溝より内側に、前記ステーターの有する数μL以下の微量試料を注入可能な4以上の偶数の流路のための孔の隣り合う奇数番目と偶数番目の孔(流路のための孔が4つの場合は1つ目の孔と2つ目の孔、及び3つ目の孔と4つ目の孔)を連通した(360/n)度(ただしnは6以上の偶数)以下(A度)の角度の間隔で彫られた、(360/n)度以下(B度)の角度の溝(ただし、AとBの角度の和が(360/n)度)を3個以上有し、かつ、前記溝のうちの少なくとも1つが微量の試料を注入するための溝であることを特徴とする、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシール、
及びn方バルブを有する構成からなり、試料注入量に応じてステーター及びローターシールに接続された流路を、配管の交換、または3方電磁弁といった切り替え手段を用いることで切り替え可能な装置をあげることができる。
【0041】
なお、前記ローターシールに彫られた溝の角度(B度)については、溝間の角度(A度)が小さいと、隣の流路との間が短くなり、隣の流路を流れる溶液と混合してしまう恐れが生じるため、少なくとも10度の差が必要である。よって、nが6の場合には、試料を注入する溝の角度は60度から10度を引いた50度以下が好ましく、最も好ましい角度は60度の半分の30度である。また、nが8の場合には、試料を注入する溝の角度は45度から10度を引いた35度以下が好ましく、最も好ましい角度は45度の半分の22.5度である。
【0042】
n数については6以上の偶数であればよいが、一般的に用いられる試料注入装置のバルブが、6方バルブまたは8方バルブであることから、6または8が特に好ましい。
【0043】
クロマトグラフ分析装置では配管を繋げる部品として、スパナで締め付けが可能なフェラルを用いるので、配管をつなぐ流路が隣り合う場合には、ある程度幅が必要となる。本発明の試料注入システムにおける試料注入装置は、特に前述の(C)から(E)の切り替え方法を採用した場合、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なステーターとローターシールとの組み合わせを用いたときと、微量試料を注入するためのステーターと微量の試料を注入するための溝を有するローターシールとの組み合わせを用いたときで、ローターシールの回転角度が等しい試料注入装置であることから、必然的に微量試料を注入するためのステーターとローターシールとの組み合わせを用いたときにステーターの配管をつなぐ流路の間隔が狭くなるため、配管部品(フェラル)の交換作業時に困難を生ずる。このため、本発明の試料注入システムにおける、微量試料の注入を目的とした試料注入装置に用いるステーターは、当該ステーターに接続する隣り合う流路に繋がる配管をステーターの上面と側面、または側面の上部と下部に交互に設置するのが好ましい。
【発明の効果】
【0044】
本発明のクロマトグラフ分析装置用試料注入システムは、数μLから数mLの試料を注入するための試料注入装置と、数μL以下の微量試料を注入するための試料注入装置とを、試料注入量に応じて切り替えるシステムである。本発明のシステムを用いることにより、0.1μLから数mLの幅広い試料を再現性よく注入することができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
実施例1 本発明の試料注入システム(その1)
図1から3は、試料が数μLから数mL程度の場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式の試料注入方式を使用したクロマトグラフ分析装置を示している。図1から3における試料注入装置(2)は、サンプルループ(1)が接続されたステーター(ローターシールとの接触面を図4に示す)、60度の間隔で60度の溝が3箇所彫られているローターシール(図5)、及び6方バルブからなる。なお、図4で示したステーターのローターシールとの接触面にある6つの流路を接続する孔と図5で示したローターシールの溝の両端とは一致する。また、試料注入装置(2)のステーターに接続される6つの流路には、サンプルループ(1)の他にも試料吸引用のニードル(4)、シリンジ(5)、カラム(6)、ポンプ(7)が接続されている。
【0047】
まず、試料注入装置(2)及び流路変更バルブ(3)を図1の状態にすることで、シリンジ(5)を用いて試料吸引用のニードル(4)から測定試料を吸引し、サンプルループ(1)を測定試料で満たす。次に、試料注入装置(2)及び流路変更バルブ(3)のローターシールを60度回転した図2の状態にすることで、サンプルループ(1)に満たした測定試料をカラム(6)に注入するのと同時にシリンジ(5)を洗浄液で満たす。シリンジ(5)を洗浄液で満たしたら、流路変更バルブ(3)のローターシールを元の位置に戻した図3の状態にし、シリンジ(5)により洗浄液を押し出して測定試料を吸引した配管を洗浄する。
【0048】
図6から8は、試料が数μL以下と微量な場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式の試料注入方式を使用したクロマトグラフ分析装置を示している。図6から8における試料注入装置(8)は、微量の試料を注入するためのステーター(ローターシールとの接触面を図9に示す)、30度の間隔で30度の溝が3箇所彫られているローターシール(図10)、及び6方バルブからなる。なお、図9のステーターのローターシールとの接触面にある6つの流路を接続する孔と図10のローターシールの溝の両端とは一致する。また、図6から図8の試料注入装置(8)における、試料を注入するための溝(9)の容量は、角度30度(長さ2mm)、深さ0.4mm、幅0.3mmの0.24μLである。
【0049】
まず、試料注入装置(8)及び流路変更バルブ(3)を図6の状態にすることで、シリンジ(5)を用いて試料吸引用のニードル(4)から測定試料を吸引し、試料を注入するための溝(9)に測定試料を満たす。次に、試料注入装置(8)及び流路変更バルブ(3)のローターシールを60度回転した図7の状態にすることで、試料を注入するための溝(9)に満たした測定試料をカラム(6)に注入するのと同時にシリンジ(5)を洗浄液で満たす。シリンジ(5)を洗浄液で満たしたら、流路変更バルブ(3)のローターシールを元の位置に戻した図8の状態にし、シリンジ(5)により洗浄液を押し出して測定試料を吸引した配管を洗浄する。図10は、図6から8で使用した試料注入装置にセットしたステーターであり、ローターシールと接触する面を示したものである。
【0050】
なお、微量な試料を注入するための試料注入装置(8)の他の例として、図11に示す30度の間隔で30度の溝が6箇所彫られているローターシールと、図12に示す図11のローターシールの溝の両端に流路を接続する孔を有したステーターがあげられる。図9のステーターと図10のローターシールとの組み合わせを使用した場合には、試料を注入する際にローターシールを60度左回転させ、その後、60度右回転させることで、次の測定試料をローターシールの試料注入用の溝(9)に満たすが、図12のステーターと図11のローターシールとの組み合わせを使用した場合には、試料を注入する際にローターシールを60度左回転させ、その後、60度左回転させることで、次の測定試料をローターシールの試料注入用の溝(9)に満たすことが可能なため、図11のローターシールに彫られた6つの溝すべてを順に試料注入用の溝として使用することができる。
【0051】
このように、ローターシールを60度回転することができる6方バルブを用いた試料注入装置において、60度の間隔で60度の溝が3箇所彫られたローターシール、当該ローターシールの溝の両端に流路が接続できるような孔を有し、かつ試料注入用のサンプルループ(1)が接続されたステーター、及び6方バルブからなる試料注入装置と、30度の間隔で30度の溝が少なくとも3箇所彫られたローターシール(溝のうちの少なくとも1つは試料注入するための溝である)、当該ローターシールの溝の両端に流路が接続できるような孔を有したステーター、及び6方バルブからなる試料注入装置を用いることにより、約0.2μLから数mLまでの幅広い試料注入量が可能な試料注入システムを提供することができる。
【0052】
実施例2 本発明の試料注入システム(その2)
図13から15は、試料が数μLから数mL程度の場合の、8つの流路が接続できる8方バルブ方式の試料注入方式を使用したクロマトグラフ分析装置を示している。図13から15における試料注入装置(10)は、サンプルループ(1)が接続されたステーター(ローターシールとの接触面を図16に示す)、45度の溝が均等に4箇所刻んであるローターシール(図17)、及び8方バルブからなる。なお、図16で示したステーターのローターシールとの接触面にある8つの流路を接続する孔と図17で示したローターシールの溝の両端とは一致する。また、試料注入用のサンプルループ(1)は試料注入装置(10)のステーターに接続してあり、試料注入装置の6つの流路には、サンプルループ(1)の他に、試料吸引用のニードル(4)、シリンジ(5)、カラム(6)、ポンプ(7)が接続されている。
【0053】
まず、試料注入装置(10)及び流路変更バルブ(3)を図13の状態にすることで、シリンジ(5)を用いて試料吸引用のニードル(4)から測定試料を吸引し、サンプルループ(1)を測定試料で満たす。次に、試料注入装置(10)のローターシールを45度、流路変更バルブ(3)のローターシールを60度、それぞれ回転させた図14の状態にすることで、サンプルループ(1)に満たした測定試料をカラム(6)に注入するのと同時にシリンジ(5)を洗浄液で満たす。シリンジ(5)を洗浄液で満たしたら、流路変更バルブ(3)のローターシールを元の位置に戻した図15の状態にし、シリンジ(5)により洗浄液を押し出して測定試料を吸引した配管を洗浄する。
【0054】
図18から20は、試料が数μL以下と微量な場合の、8つの流路が接続できる8方バルブ方式の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置を示している。図18から20における試料注入装置(8)は、微量の試料を注入するためのステーター(ローターシールとの接触面を図21に示す)、22.5度の間隔で22.5度の溝が3箇所彫られているローターシール(図22)、及び8方バルブからなる。なお、図21に示したステーターのローターシールとの接触面にある6つの流路を接続する孔と図22に示したローターシールの溝の両端とは一致する。また、図18から図20の試料注入装置(11)における、試料を注入するための溝(9)の容量は、角度22.5度(長さ1.6mm)、深さ0.4mm、幅0.3mmの0.19μLである。
【0055】
まず、試料注入装置(11)及び流路変更バルブ(3)を図18の状態にすることで、シリンジ(5)を用いて試料吸引用のニードル(4)から測定試料を吸引し、試料を注入するための溝(9)に測定試料を満たす。次に、試料注入装置(11)のローターシールを45度、流路変更バルブ(3)のローターシールを60度それぞれ回転した図19の状態にすることで、試料を注入するための溝(9)に満たした測定試料をカラム(6)に注入するのと同時にシリンジ(5)を洗浄液で満たす。シリンジ(5)を洗浄液で満たしたら、流路変更バルブ(3)のローターシールを元の位置に戻した図20の状態にし、シリンジ(5)により洗浄液を押し出して測定試料を吸引した配管を洗浄する。
【0056】
このように、ローターシールを45度回転することができる8方バルブを用いた試料注入装置において、45度の間隔で45度の溝が4箇所彫られたローターシール、当該ローターシールの溝の両端に流路が接続できるような孔を有し、かつ試料注入用のサンプルループ(1)が接続されたステーター、及び8方バルブからなる試料注入装置と、22.5度の間隔で22.5度の溝が少なくとも3箇所彫られたローターシール(溝のうちの少なくとも1つは試料注入するための溝である)、当該ローターシールの溝の両端に流路が接続できるような孔を有したステーター、及び8方バルブからなる試料注入装置を用いることにより、約0.2μLから数mLまでの幅広い試料注入量が可能な試料注入システムを提供することができる。
【0057】
実施例3 微量試料注入用の試料注入装置におけるステーター構造
図23及び24には、実施例1に示した6方バルブを用いた微量試料注入用の試料注入装置(8)におけるステーターとローターシールの別の例を示す。ローターシール(図23)には直径8mm程度の30度の溝が3箇所彫られており、中央の溝が試料注入するための溝(9)となる。溝の幅を0.5mm、深さを0.4mmとすると、試料注入容量は0.4μLとなる。図24はローターシール(図23)に対応したステーターであり、ローターシールとの接触面を示したものである。当該ステーターには試料注入用のニードル(12)、試料吸引用のシリンジ(13)、カラム(14)、ポンプ(15)に通じる配管を繋げる貫通孔を設置してある。
【0058】
図25はステーターの表面図を、図26にはステーターの側面断面図をそれぞれ示す。3箇所にビスを設置し、ローターシール(図23)を挟んで、固定するようにしてある。ステーターにある4箇所の貫通孔のうち、試料を注入するためのニードル(12)とカラム(14)に通じる配管を繋げる貫通孔は、図26のBのように、ステーターの側面に外形6mmのフェラルを接続できるようにして、試料吸引用のシリンジ(13)とポンプ(15)に通じる配管を繋げる貫通孔は、図26のAのように、ステーターの上面に外形6mmのフェラルを接続できるようにしている。
【0059】
このように、ステーターの隣り合う流路に繋がる配管の設置する位置がステーターの上面と側面に設定することで、用いる配管部品(フェラル)の大きさの制約が極端に少なくなる。
【0060】
実施例4 本発明の試料注入システム(その3)
図27には、数μLから数mLの容量を有するサンプルループ(1)を接続可能なステーター、ローターシール及びバルブからなる試料注入装置(2)と、数μL以下の微量試料を注入するためのステーター、ローターシール及びバルブからなる試料注入装置(8)とが、試料を注入するニードル(4)からシリンジ(5)につながる流路に対して並列に配置され、試料注入量に応じて使用する試料注入装置を切り替えることを特徴とするクロマトグラフ分析装置を示している。流路上に設置された3方電磁弁(16)を切り替えることで、試料注入量に応じた最適な試料注入装置を選択することができる。なお、図27の装置では、3方電磁弁(16)を各試料注入装置(2、8)の入口側と出口側の両方に設置しているが、3方電磁弁(16)をどちらか片方に設置して、もう一方を単なる3方の結合した流路としてもよい。3方電磁弁(16)により流路が接続された試料注入装置(2、8)へ、ニードル(4)から試料が導かれ、ローターシールを回転させることによりカラム(6)に試料が注入される。
【0061】
実施例5 本発明の試料注入システムで使用する試料注入装置(その1)
図28は、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なステーター(第一のステーター;17)、第一のステーターに対応したローターシール(第一のローターシール;18)、数μL以下の微量試料を注入するためのステーター(第二のステーター;22)、第二のステーターに対応したローターシール(第二のローターシール;23)、及び駆動部からなる単一の試料注入装置を示している。第一のステーター(17)、第一のローターシールを囲う枠(21)、第二のステーター(22)、第二のローターシールを囲う枠(25)は結合し固定されている。第一のローターシール(18)、第一のローターシール(18)と駆動軸(20)を結合させるためのローター(19)、駆動軸(20)、第二のローターシール(23)、第二のローターシール(23)と駆動軸(20)を結合させるためのローター(24)は結合されている。駆動軸(20)を回転させることにより、第一または第二のステーター及びローターシールの流路を切り換えることができる。サンプルループを接続することが可能な第一のステーター(17)は、図4のように6つの流路の配管に繋げるための貫通孔を有する。第一のローターシール(18)は、図5のように3つの溝を有する。第一のローターシール(18)と、第一のローターシールと駆動軸(20)を結合させるためのローター(19)とは複数のピンにより結合されている。第二のステーター(22)はニードル、シリンジ、カラム、ポンプに通じる4つの流路の配管にそれぞれ繋げるための貫通孔を有し、前記ステーターの配管は配管部品の交換を容易にするために、ステーター側面の上部(Aの位置)と下部(Bの位置)に交互に設置している。また、第二のステーター(22)には中心に駆動軸(20)を通すための貫通穴も有する。第二のローターシール(23)は、図23のように3つの溝を持ち、その1つは数μL以下の微量試料を注入するための溝(9)として使用される。また、第二のローターシール(23)には中心に駆動軸(20)を通すための貫通穴も有する。第二のローターシール(23)と、第二のローターシール(23)と駆動軸(20)を結合させるためのローター(24)とは複数のピンにより結合されている。第二のローターシール(23)と駆動軸(20)を結合するローター(24)は、通常、駆動部の回転角度を決めるためのピン(26)を有し、さらに、前記装置の最下部に手動バルブや、モーターといった駆動部が取り付けられる。
【0062】
試料注入量に応じて、配管の交換、または3方電磁弁といった切り替え手段を用いて、使用するステーター及びローターシールの組み合わせを選択し、第一のステーター(17)に結合されたサンプルループ、または第二のローターシール(23)に刻まれた試料注入用の溝に、測定する試料を満たしておく。その後、駆動部を60度回転させることで、ローターシールを回転させ、サンプルループまたは試料注入用の溝にある試料をカラムへ注入することができる。
【0063】
実施例6 本発明の試料注入システムで使用する試料注入装置(その2)
図29は、外側に彫られた、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なステーターの流路を切り換えるための同一円周上にある3つの溝と、内側に彫られた、数μL以下の微量試料を注入するための同一円周上にある3つの溝(うち、1つは試料を注入するための溝(9)である)と、合計で6つの溝を有したローターシールを示す。図30は、図29で示したローターシールに対応したステーターであり、数μL以下の微量試料を注入するための溝に対応したニードル、シリンジ、カラム、ポンプに通じる4つの流路の配管にそれぞれ繋げるための4つの貫通孔(配管部品の交換を容易にするために、前記ステーターの配管はステーターの上面(Aの位置)と側面(Bの位置)に交互に設置されている)と、数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なステーターの流路を切り換えるための3つの溝に対応した6つの貫通孔(配管部品の交換を容易にするために、前記ステーターの配管はステーターの側面上部(Cの位置)と側面下部(Dの位置)に交互に設置されている)の、合計10個の配管と結合するための貫通孔を有している。図29のローターシールと図30のステーターを使用することにより、1つの駆動部で2つの方式の試料注入を実行することができる。
【0064】
試料注入量に応じて、配管の交換、または3方電磁弁といった切り替え手段を用いて、ステーター及びローターシールに接続された流路を選択し、サンプルループ、またはローターシールの内側に彫られた試料注入用の溝に、測定する試料を満たしておく。その後、駆動部を60度回転させることで、ローターシールを回転させ、サンプルループまたは試料注入用の溝にある試料をカラムへ注入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】試料が数μLから数mL程度の場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式(回転角度;60度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、シリンジで試料を吸引する工程
【図2】試料が数μLから数mL程度の場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式(回転角度;60度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、カラムに試料を注入し、かつシリンジに洗浄液を満たす工程
【図3】試料が数μLから数mL程度の場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式(回転角度;60度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、試料を吸引した配管を洗浄する工程
【図4】図1から3で用いた試料注入装置のステーター
【図5】図1から3で用いた試料注入装置のローターシール
【図6】試料が数μL以下の微量な場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式(回転角度;60度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、シリンジで試料を吸引する工程
【図7】試料が数μL以下の微量な場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式(回転角度;60度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、カラムに試料を注入し、かつシリンジに洗浄液を満たす工程
【図8】試料が数μL以下の微量な場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式(回転角度;60度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、試料を吸引した配管を洗浄する工程
【図9】図6から8で用いた試料注入装置のステーター
【図10】図6から8で用いた試料注入装置のローターシール
【図11】図10と同じ6方バルブ用のローターシールであるが溝を6個としたもの
【図12】図11に対応するステーター
【図13】試料が数μLから数mL程度の場合の、8つの流路が接続できる8方バルブ方式(回転角度;45度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、シリンジで試料を吸引する工程
【図14】試料が数μLから数mL程度の場合の、8つの流路が接続できる8方バルブ方式(回転角度;45度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、カラムに試料を注入し、かつシリンジに洗浄液を満たす工程
【図15】試料が数μLから数mL程度の場合の、8つの流路が接続できる8方バルブ方式(回転角度;45度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、試料を吸引した配管を洗浄する工程
【図16】図13から15で用いた試料注入装置のステーター
【図17】図13から15で用いた試料注入装置のローターシール
【図18】試料が数μL以下の微量な場合の、8つの流路が接続できる8方バルブ方式(回転角度;45度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、シリンジで試料を吸引する工程
【図19】試料が数μL以下の微量な場合の、8つの流路が接続できる8方バルブ方式(回転角度;45度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、カラムに試料を注入し、かつシリンジに洗浄液を満たす工程
【図20】試料が数μL以下の微量な場合の、8つの流路が接続できる8方バルブ方式(回転角度;45度)の試料注入方式を使用したクロマトグラフ装置であり、試料を吸引した配管を洗浄する工程
【図21】図18から20で用いた試料注入装置のステーター
【図22】図18から20で用いた試料注入装置のローターシール
【図23】実施例1(図6から8)に用いることが可能な試料注入装置のローターシール
【図24】実施例1(図6から8)に用いることが可能な試料注入装置のステーター(ローターシールと接触する面)
【図25】実施例1(図6から8)に用いることが可能な試料注入装置のステーター(表面図)
【図26】実施例1(図6から8)に用いることが可能な試料注入装置のステーター(側面断面図)
【図27】試料が数μLから数mL程度の場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式(回転角度;60度)の試料注入装置と、試料が数μL以下の微量な場合の、4つの流路が接続できる試料注入装置(回転角度;60度)の両方を、試料を注入する流路に対して並列に配し、3方電磁弁でどちらかの試料注入方式を選択ができるようにしたクロマトグラフ装置
【図28】実施例5の試料注入装置(側面断面図)
【図29】実施例6で使用の、試料が数μLから数mL程度の場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式(回転角度;60度)の試料注入方式と、試料が数μL以下の微量な場合の、4つの流路が接続できる試料注入方式(回転角度;60度)の両方を併せ持つローターシール
【図30】実施例6で使用の、試料が数μLから数mL程度の場合の、6つの流路が接続できる6方バルブ方式(回転角度;60度)の試料注入方式と、試料が数μL以下の微量な場合の、4つの流路が接続できる試料注入方式(回転角度;60度)の両方を併せ持つステーター(側面断面図)
【符号の説明】
【0066】
1 サンプルループ
2 試料が数μLから数mL程度の時の6方バルブ方式試料注入装置(回転角度;60度)
3 流路変更バルブ
4 ニードル
5 シリンジ
6 カラム
7 ポンプ
8 微量試料の時の試料注入装置(回転角度;60度)
9 試料を注入するための溝
10 試料が数μLから数mL程度の時の8方バルブ方式試料注入装置(回転角度;45度)
11 微量試料の時の試料注入装置(回転角度;45度)
12 試料を注入するためのニードルに通じる配管を繋げる貫通孔
13 シリンジに通じる配管を繋げる貫通孔
14 カラムに通じる配管を繋げる貫通孔
15 ポンプに通じる配管を繋げる貫通孔
16 3方電磁弁
17 第一のステーター
18 第一のローターシール
19 第一のローターシールと駆動軸を結合するローター
20 駆動軸
21 第一のローターシールを囲う枠
22 第二のステーター
23 第二のローターシール
24 第二のローターシールと駆動軸を結合するローター
25 第二のローターシールを囲う枠
26 駆動軸が回転する角度を決めるピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数μLから数mLの試料を注入するための試料注入装置と、数μL以下の微量試料を注入するための試料注入装置とを、試料注入量に応じて切り替えることで幅広い試料注入量に対応可能なクロマトグラフ分析装置用試料注入システム。
【請求項2】
数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有するステーター、前記ステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有するローターシール及びn方バルブを有する構成、または、数μL以下の微量試料を注入するためのステーター、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシール及びn方バルブを有する構成、からなる単一の試料注入装置が流路上に配置され、試料注入量に応じて前記注入装置構成要素のうちのステーター及びローターシールを切り替えることを特徴とする、前記システム。
【請求項3】
数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有する第一のステーター、第一のステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有する第一のローターシール、数μL以下の微量試料を注入するための第二のステーター、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有する第二のローターシール及びn方バルブを有する構成からなる単一の試料注入装置が流路上に配置され、試料注入量に応じて使用するステーター及びローターシールに接続された流路を切り替えることを特徴とする、前記システム。
【請求項4】
数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なn個の孔(ただしnは6以上の偶数)を有し、かつ、数μL以下の微量試料を注入可能なステーター、
前記ステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝を有し、かつ、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシール、
及びn方バルブを有する構成からなる単一の試料注入装置が流路上に配置され、試料注入量に応じてステーター及びローターシールに接続された流路を切り替えることを特徴とする、前記システム。
【請求項5】
請求項4に記載のローターシールにおける、数μL以下の微量試料を注入するための溝が、前記ステーターの隣り合う前記孔を連通した(360/n)度の角度の間隔で彫られた(360/n)度の角度の溝よりも内側に彫られていることを特徴とする、前記システム。
【請求項6】
数μLから数mLの容量を有するサンプルループを接続可能なステーター、ローターシール及びバルブからなる試料注入装置と、数μL以下の微量試料を注入するためのステーター、ローターシール及びバルブからなる試料注入装置とが、試料を注入する流路に対して並列に配置され、試料注入量に応じて使用する試料注入装置を切り替えることを特徴とする、前記システム。
【請求項7】
数μL以下の微量試料を注入するためのステーターが4以上の偶数の流路のための孔を有しており、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシールが前記ステーターの隣り合う奇数番目と偶数番目の前記孔を連通した(360/n)度(ただしnは6以上の偶数)以下(A度)の角度の間隔で彫られた、(360/n)度以下(B度)の角度の溝(ただしAとBの角度の和が(360/n)度)を3個以上有し、かつ、前記溝のうちの少なくとも1つが微量試料を注入するための溝であることを特徴とする、請求項2から6に記載のシステム。
【請求項8】
数μL以下の微量の試料を注入するためのステーターが4以上の偶数の流路のための等間隔の孔を有しており、数μL以下の微量試料を注入するための溝を有するローターシールが前記ステーターの隣り合う奇数番目と偶数番目の前記孔を連通した(360/2n)度(ただしnは6以上の偶数)の角度の間隔で彫られた、(360/2n)度の角度の溝を3個以上有し、かつ、前記溝のうちの少なくとも1つが微量試料を注入するための溝であることを特徴とする、請求項2から6に記載のシステム。
【請求項9】
請求項2から8に記載のnが6である、前記システム。
【請求項10】
請求項2から8に記載のnが8である、前記システム。
【請求項11】
数μL以下の微量試料を注入するためのステーターの隣り合う流路に繋がる配管の設置位置が、前記ステーターの上面と側面、または前記ステーター側面の上部と下部であることを特徴とする、請求項2から10に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−276110(P2009−276110A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125564(P2008−125564)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】