説明

クロマン誘導体、特にα−トコフェロールおよびそのアルカノエートの製造方法

【課題】α−トコフェロール(TCP)のアルカノエート、特にα−トコフェリルアセテート(TCPA)などのクロマン誘導体製造方法の提供。
【解決手段】α−トコフェロール(TCP)及びその誘導体とアシル化剤を、少なくとも1.1バールの絶対圧で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に反応する方法。好適な酸混合物は鉄/塩化鉄(II)/塩化水素および塩化亜鉛(II)/塩化水素である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、クロマン誘導体の製造の、特に、α−トコフェロール(TCP)およびα−トコフェリルアセテート(TCPAc)などのそのアルカノエート(TCPA)の製造の新規方法であって、該方法の少なくとも1つの工程が圧力下で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に実施される方法に関する。好ましくは反応の絶対圧は少なくとも1.1バールであり、より好ましくはそれは約1.1バール〜約20.0バールであり、さらにより好ましくはそれは約1.1バール〜約6.0バールである。
【0002】
TCPおよびそのアルカノエートの製造のための出発原料として2,3,5−トリメチルヒドロキノン(TMHQ)または2,3,6−トリメチルヒドロキノン−1−アルカノエート(TMHQA)とフィトール(PH)、イソフィトール(IP)および(イソ)フィトール誘導体からなる群から選択された化合物との混合物か、「開環」化合物2−フィチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(PTMHQ)、3−フィチル−2,5,6−トリメチルヒドロキノン−1−アルカノエート(PTMHQA)および/またはその異性体かのどちらかが使用される。
【0003】
公知のように、(全ラセミ体)−α−トコフェロール(またはそれが先行技術で普通示されてきたように、「d,l−α−トコフェロール」)は、ビタミンE群の生物学的に最も活性なおよび工業的に最も重要な一員である、2,5,7,8−テトラメチル−2−(4’,8’,12’−トリメチル−トリデシル)−6−クロマノール(α−トコフェノール)のエナンチオマーの4ジアステレオマー対の混合物である。触媒または触媒システムの存在下におよび溶媒または溶媒システム中でのTMHQ/2,3,6−トリメチルヒドロキノン−1−アセテート(TMHQAc)とIPまたはPHとの反応による「d,l−α−トコフェロール」(本明細書で以下に概説される文献におけるように呼ぶ)およびそのアセテートの多くの製造方法は次の選択される文献に記載されている。
【0004】
無水ZnClの存在下でのTMHQとPHまたは臭化フィチルとの反応によるα−トコフェロールの製造は、例えば米国特許第2,411,967号明細書に記載されている。独国特許出願公開第19654 038A1号明細書によればTMHQはZnClおよびプロトン供与体の存在下にPHまたはIPとα−トコフェロールおよびそのアセテートへと反応させられ、それによって米国特許第3,708,505号明細書の方法ではZnClなどのルイス酸とp−トルエンスルホン酸などの少なくとも1つの強酸と硫酸水素ナトリウムとを含む組み合わせ酸縮合剤が触媒として使用される。
【0005】
EP−A 0 100471号明細書では触媒システムとしてルイス酸、例えばZnCl、BFまたはAlCl、強酸、例えばHCl、およびアミン塩の存在下でのTMHQとIPまたはPHとの反応が記載されている。DE−OS26 06830号明細書および米国特許第4,191,692号明細書の方法ではIPまたはPHは、ZnClの存在下にTMHQとの反応前にアンモニアまたはアミンで前処理され、酸が発効される。
【0006】
米国特許第3,789,086号明細書だけでなくDE−OS21 60103号明細書の方法でも、例えばα−トコフェロールを得るための触媒としてHClとFeおよび/またはFeClとの存在下に次の式
【化1】



(式中、Xは水素、アルカノイルまたはアロイルであり、R、RおよびRは個々に水素またはメチルである)
の化合物が次の式
【化2】



(式中、Yは−CH−CH(CH)−または−CH=C(CH)−であり、Aはハロゲン、ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシまたはエステル化ヒドロキシである)
の化合物と反応させられる。
【0007】
EP−A 0 694541号明細書によれば、TMHQおよびIP、PHまたはPH誘導体は、触媒として鉱酸、ルイス酸、酸性イオン交換樹脂またはSc、Yまたはランタニド元素のトリフレート、硝酸塩または硫酸塩の存在下に反応させられる。TMHQとIPとの縮合用の触媒としてのSc(III)トリフレートの使用はまた、Bull.Chem.Soc.Jpn、68(1995年)、3569−3571頁にも記載されている。
【0008】
TCPは、標準的な方法によって、例えばウルマンの工業化学百科事典(Ullmann’s Encyclopediaof IndustrialChemistry)、第A27巻、第5版、484−485頁、VCH出版株式会社(VCHVerlagsgesellschaft mbH)、D−69451 ワインハイム(Weinheim)、1996年に記載されているようにそのアセテート、スクシネートおよびさらなる公知の適用形へ変換することができる。酸化条件に対して不安定であるTCPとは対照的に、エステル(TCPA)はより安定であり、取り扱うのにより便利である。
【0009】
本発明の目的は、高い選択率および収率で、トコールおよびトコフェロールならびにそれらのアルカノエートなどのクロマン誘導体の、特にα−トコフェロールおよびそのアルカノエートの製造方法を提供することである。
【0010】
本発明によればこの目的は圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で、より好ましくは約1.1バール〜約20.0バールの絶対圧で、さらにより好ましくは約1.1バール〜約6.0バールの絶対圧で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の使用によって達成される。圧力がTMHQまたはTMHQAなどのフェノールとIP、PHまたはそれらの誘導体などの化合物との縮合反応にならびにトコールおよびトコフェロールのアシル化にだけでなくα−トコフェロールを生み出すためのPTMHQまたはPTMHQAおよび/またはその異性体の閉環反応にもプラス効果を有することが驚くべきことにも分かった。
【0011】
それ故、一態様では、本発明は2,3,5−トリメチルヒドロキノン(R=Hの式II)および2,3,6−トリメチルヒドロキノン−1−アルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルの式II)
【化3】



を、それぞれ、有機溶媒中で式IIIおよび/またはIV
【化4】



の化合物と反応させることによる2−アルケニル−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(n=0〜3、R=水素の式I)および3−アルケニル−2,5,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート(n=0〜3、R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルの式I)の製造方法、最も好ましくは2−フィチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(R=水素およびn=3の式I)および3−フィチル−2,5,6−トリメチルヒドロキノン−1−アルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルおよびn=3の式I)の製造方法であって、
【化5】



(式中、Rは水素、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルであり、
はヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシまたはハロゲンであり、そして
nは0〜3の整数である)
それによって反応が圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で、より好ましくは約1.1バール〜20.0バールの絶対圧で、さらにより好ましくは約1.1バール〜約6.0バールの絶対圧で、触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に実施される方法に関する。
この方法は本明細書では以下方法1と呼ばれる。
【0012】
置換基Rに関して:好ましくはそれは水素またはアセチル、より好ましくはそれは水素である。
【0013】
置換基Rに関して:好ましくはRはヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、塩素または臭素であり、より好ましくはRはヒドロキシ、アセチルオキシまたは塩素であり、最も好ましくはRはヒドロキシである。
【0014】
整数nに関して:好ましくはnは3である。
【0015】
本発明の方法1では(全ラセミ体)−2−アルケニル−3,5,6−トリメチルヒドロキノン、例えば(全ラセミ体)−PTMHQ、または(全ラセミ体)−3−アルケニル−2,5,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート、例えば(全ラセミ体)−PTMHQA、特に(全ラセミ体)−3−フィチル−2,5,6−トリメチルヒドロキノン−1−アセテート(PTMHQAc)の製造が好ましいが、本発明は当該特定異性体の製造に限定されず、他の異性体は、適切な異性体の出発原料として例えばフィトール(R=OHおよびn=3の式IV)、イソフィトール(R=OHおよびn=3の式III)またはそれらの誘導体を使用することによって得ることができる。このように、(R,R)−PTMHQまたは(R,R)−PTMHQAは、例えば(R,R)−フィトール、(R,R,R)−イソフィトール、(S,R,R)−イソフィトールもしくは(RS,R,R)−イソフィトールまたは適切な(イソ)フィトール誘導体を使用する時に得られるであろう。
【0016】
方法1はまた、0〜4個のメチル基、計1〜3個のヒドロキシ基およびヒドロキシ基のオルトにある少なくとも1つの非置換位置を含むフィトールのアルケニル化にも適用できる。
【0017】
それ故、本発明のさらなる目的は、有機溶媒中で式IIIおよび/またはIV
【化6】



(式中、Rおよびnは上記と同じ意味および選好を有する)
の化合物での、0〜4個のメチル基、計1〜3個のヒドロキシ基およびヒドロキシ基のオルトにある少なくとも1つの非置換位置を含むフェノールのアルケニル化方法であって、
それによって反応が圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で、より好ましくは約1.1バール〜約20.0バールの絶対圧で、さらにより好ましくは約1.1バール〜約6.0バールの絶対圧で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に実施される方法である。この方法は本明細書では以下方法1Aと呼ばれる。
【0018】
出発原料として方法1Aで使用されるフィトールに関して:
特に好適なフェノールは、次の式IIa
【化7】



(式中、Rは水素、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルであり、そしてX、XおよびXは互いに独立して水素またはメチルであり、ただし、X、XおよびXがすべてメチルである場合、Rはアセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルだけである)
を有する、すなわちヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2,3−ジメチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、2,3,5−トリメチルヒドロキノンおよび2,3,6−トリメチルヒドロキノン−1−アルカノエートである。この群から2,3,5−トリメチルヒドロキノンおよび2,3,6−トリメチルヒドロキノン−1−アルカノエートが好ましく、2,3,5−トリメチルヒドロキノンおよび2,3,6−トリメチルヒドロキノン−1−アセテートがより好ましく、2,3,5−トリメチルヒドロキノンが最も好ましい。
【0019】
別の態様では、本発明は、
a)(工程a)場合により2,3,5−トリメチルヒドロキノン(R=水素の式II)および2,3,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルの式II)
【化8】



を、それぞれ、有機溶媒中で式IIIおよび/またはIV
【化9】



(式中、R、Rおよびnは上記と同じ意味および選好を有する)
の化合物と反応させる工程と、
b)(工程b)工程a)によってすべて得られる、2−アルケニル−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(R=水素の式I)、好ましくは2−フィチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(R=水素およびn=3の式I)、3−アルケニル−2,5,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルの式I)、好ましくは3−フィチル−2,5,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルおよびn=3の式I)
【化10】



および場合により1つもしくはそれ以上のその二重結合異性体を有機溶媒中で閉環にかけてクロマン誘導体VII、好ましくはα−トコフェロール(R=水素およびn=3の式VII)またはそのアルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルおよびn=3の式VII)を形成する工程と
による式VII
【化11】



の化合物、好ましくはα−トコフェロール(R=水素およびn=3の式VII)およびそのアルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルおよびn=3の式VII)の製造方法であって
それによって工程a)およびb)の少なくとも1つが圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で、より好ましくは約1.1バール〜約20.0バールの絶対圧で、さらにより好ましくは約1.1バール〜約6.0バールの絶対圧で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に実施される方法に関する。この方法は下記において方法2と呼ばれる。
【0020】
触媒の活性および反応条件に依存して、式IIの化合物と式IIIおよび/またはIVの化合物との反応は式VIIの最終生成物、好ましくはα−トコフェロールおよびそのアルカノエートまで進み、その結果PTMHQ(R=水素およびn=3の式I)ならびにPTMHQA(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルおよびn=3の式I)などの式Iの化合物は単離されない。
【0021】
それ故、本発明のさらなる態様は、2,3,5−トリメチルヒドロキノン(R=水素の式II)および2,3,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルの式II)
【化12】



を、それぞれ、有機溶媒中で式IIIおよび/またはIV
【化13】



の化合物と反応させることによるα−トコフェロール(R=水素およびn=3の式VII)およびそのアルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルおよびn=3の式VII)などのクロマン誘導体VII
【化14】



(式中、R、Rおよびnは上記と同じ意味および選好を有する)
の製造であって、
それによって反応が圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で、より好ましくは約1.1バール〜約20.0バールの絶対圧で、さらにより好ましくは約1.1バール〜約6.0バールの絶対圧で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に実施される製造である。この方法は下記において方法3と呼ばれる。
【0022】
方法3での出発原料として式IIIおよび/またはIVの化合物の代わりに式IX
【化15】



の化合物もまた使用されてもよく、その結果式X
【化16】



の化合物が得られる。R、Rおよびnは上記と同じ意味および選好を有する。この方法についてそれは下記において方法4と呼ばれるであろう。
【0023】
本発明の方法2および3において(全ラセミ体)−TCP(R=水素およびn=3の式VII)ならびに(全ラセミ体)−TCPA(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルおよびn=3の式VII)などの(全ラセミ体)−クロマン誘導体、特に(全ラセミ体)−TCPAc(R=アセチルおよびn=3の式VII)の製造が好ましいが、本発明は当該特定異性体の製造に限定されず、他の異性体は、適切な異性体の出発原料として例えばフィトール、イソフィトールまたはそれらの誘導体を使用することによって得ることができる。従って、例えば(RS,R,R)−TCP/(RS,R,R)−TCPAは、(R,R)−PTMHQ、(R,R)−PTMHQA、(R,R)−フィトール、(R,R,R)−イソフィトール、(S,R,R)−イソフィトールもしくは(RS,R,R)−イソフィトールまたは適切な(イソ)フィトール誘導体を使用した時に得られるであろう。
【0024】
本発明の特に好ましい実施形態では、TMHQはα−トコフェロール(R=水素およびn=3の式VII)へ、PH(R=OHおよびn=3の式IV)および/またはIP(R=OHおよびn=3の式III)、好ましくはIPと反応させられ、それによって2−フィトール−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(R=水素およびn=3の式I;主成分として)、2−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデカ−3−エニル)−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(R=水素の式Va)および2−[3−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−ブト−3−エニル]−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(R=水素の式VIa)などの式V(下を参照されたい)およびVI(下を参照されたい)の中間化合物として形成される。
【化17】



【0025】
方法2および3はまた、式IIaのフェノールを使用することによって実施することができ、それによってα−トコフェロールおよびそのアルカノエートに加えて、例えば他のトコール(n=3の式VIIa)およびトコフェロール(n=3の式VIIa)を得ることができる。
【化18】



【0026】
それ故、別の態様では、本発明は
a)(工程a)場合により式IIa
【化19】



の化合物を有機溶媒中で式IIIおよび/またはIV
【化20】



(式中、R、R、n、X、XおよびXは上記と同じ意味および選好を有する)
の化合物と反応させる工程と、
b)(工程b)工程a)によってすべて得られる、式Ia
【化21】



の化合物および場合により1つもしくはそれ以上のその二重結合異性体を有機溶媒中で閉環にかけて式VIIaの化合物を形成する工程と
による式VIIaの化合物の製造方法であって、
それによって工程a)およびb)の少なくとも1つが圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で、より好ましくは約1.1バール〜約20.0バールの絶対圧で、さらにより好ましくは約1.1バール〜約6.0バールの絶対圧で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に実施される方法に関する。この方法についてそれは下記において方法2Aと呼ばれるであろう。
【0027】
触媒の活性および反応条件に依存して、方法2Aの工程aはまた最終生成物、式VIIaの化合物まで進み、その結果式Iaの化合物は単離されない。
【0028】
それ故、本発明のさらなる態様は、式IIa
【化22】



の化合物を有機溶媒中で式IIIおよび/またはIV
【化23】



の化合物と反応させることによる式VIIa
【化24】



(式中、R、R、n、X、XおよびXは上記と同じ意味および選好を有する)
の化合物の製造であって、
それによって反応が圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で、より好ましくは約1.1バール〜約20.0バールの絶対圧で、さらにより好ましくは約1.1バール〜約6.0バールの絶対圧で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に実施される製造である。この方法についてそれは下記において方法3Aと呼ばれるであろう。
【0029】
さらに別の態様では本発明は、式VIId
【化25】



の化合物(n=3の場合、トコールまたはトコフェロール)、特に、本発明の方法に従って得られる、α−トコフェロール(n=3、X=X=X=メチルのVIId)をアシル化剤と反応させることによる式VIIId
【化26】



の化合物(n=3の場合、トクイル(tocyl)アルカノエートおよびトコフェリルアルカノエート)、特にα−トコフェリルアルカノエート(n=3、X=X=X=メチルの式VIIId)の製造方法に関する。好ましい実施形態では反応は触媒としてルイス酸の存在下に実施される。別の好ましい実施形態では反応は減圧で、好ましくは0.9バール未満の圧力で、または圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で実施される(下記において方法5と呼ばれる)。
【0030】
記号nに関して:それは0〜3の整数である。
【0031】
記号X、XおよびXに関して:それらは上に与えられたものと同じ意味を有する。
【0032】
置換基Rに関して:それはアセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルからなる群から選択され、好ましくはRはHOC−CH−CH−COまたはアセチルであり、より好ましくはRはアセチルである。
【0033】
好ましい態様では本発明は、化合物VIIc
【化27】



の化合物、好ましくはn=3の式VIIcの化合物(トコールまたはトコフェロール)、より好ましくはα−トコフェロール(n=3の式VIIb)をアシル化剤と反応させることによる式VIIIa
【化28】



の化合物の、好ましくはn=3の式VIIIaの化合物(トクイルアルカノエートおよびトコフェニルアルカノエート)の、より好ましくはα−トコフェリルアルカノエート(n=3の式VIII)の製造方法であって、反応が減圧で、好ましくは0.9バール未満の絶対圧で、または圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で触媒としてルイス酸の存在下に実施されることを特徴とする方法(下記において方法5Aと呼ばれる)に関する。
【0034】
記号n、X、XおよびXに関して:それらは上に与えられたものと同じ意味を有する。
【0035】
置換基Rに関して:それはアセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルからなる群から選択され、好ましくはRはHOC−CH−CH−COまたはアセチルであり、より好ましくはRはアセチルである。
【0036】
式VIIIおよびVIIIaの化合物と同じやり方で、Rがアセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルであり、nが0〜3の整数である式X
【化29】



の製造化合物もまた、Rが水素であり、nが上記と同じ意味を有する式Xの化合物を減圧で、好ましくは0.9バール未満の絶対圧で、または圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で触媒としてルイス酸の存在下に適切なアシル化剤と反応させることにより製造することができる。同様に本発明の目的であるこの方法についてそれは下記において方法5Bと呼ばれるであろう。
【0037】
本発明の方法5Aの好ましい実施形態では(全ラセミ体)−TCPA(n=3の式VIII、上を参照されたい)などの式VIIIaのクロマンアルカノエート、特に(全ラセミ体)−TCPAc(n=3およびR=アセチルの式VIII)が製造されるが、本発明は当該特定異性体の製造に限定されず、他の異性体は例えば、適切な異性体での出発原料としてTCP(n=3の式VIIb)を使用することによって得ることができる。従って、例えば(R,R,R)−TCPA/TCPAcは、120℃未満の反応温度ではエピマー化が全く起こらないので、出発原料として(R,R,R)−TCPを使用する時に得られるであろう。同じことは、n=3の場合、例えばトコールおよびトコフェロールなどの出発原料として使用される式VIIcの他の化合物に適用される。
【0038】
好ましい実施形態では方法2または3によって得られる(全ラセミ体)−α−トコフェロール(n=3の式VIIb)は、方法2または3が触媒としてルイス酸の存在下に実施される場合、溶媒の除去後さらなる精製なしに無水酢酸でそして全転換でアセチル化される。触媒(ルイス酸)は前の反応から依然として存在するので、追加の触媒を使用する必要は全くない。さらに、例えば(全ラセミ体)−α−トコフェロールの製造の反応混合物が例えば、混合物が既に有する反応温度で(全ラセミ体)−α−トコフェロールの製造の反応混合物をアセチル化できることを有利点とし得ることは特別な利点である。インジウム(III)塩が触媒として使用される場合、アセチル化は室温でさえも短い反応時間(10分以下)で進行する。アセチル化後に(全ラセミ体)−α−トコフェリルアセテートは優れた収率[(全ラセミ体)−α−トコフェロールを基準にして99.5%を超える]で単離された。
【0039】
ルイス酸およびルイス酸とブレンステッド酸との混合物
すべての方法1〜5Bにおいて圧力下で触媒として使用されるルイス酸および/またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物に関して:
【0040】
TMHQまたはTMHQAとIP、PHまたはそれらの誘導体との縮合反応のための触媒として当業者に公知の原則としてすべてのルイス酸およびルイス酸とブレンステッド酸との混合物を使用することができる。好適な触媒は、例えば三フッ化ホウ素(BF)、ホウ酸(特にオルトホウ酸)とシュウ酸との混合物、トリフレートおよびヘテロウォルフラム酸である。Fe+2(0.74Å)、Zn+2(0.74Å)、In+3(0.81Å)およびSc+3(0.73Å)の半径などの、金属カチオンの半径が約73pm〜約90pm、好ましくは約73pm〜約82pmで変わる、ルイス酸が好ましい。
【0041】
特に好適なルイス酸は、インジウム(III)ハロゲン化物、インジウム(III)トリフルオロメタンスルホネート(=トリフレート)[In(SOCF、In(OTf)]およびインジウム(III)ビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)[In((NSOCF、In(NTf]などのインジウム(III)塩;欧州特許出願公開第0658 552A1号明細書の6頁、23行〜7頁、33行と組み合わせて5頁、14〜21行に記載されているもの、例えばスカンジウム(III)フルオロスルホネート[Sc(SOF)]、スカンジウム(III)トリフレート[Sc(OTf)]およびスカンジウム(III)フルオロベンゼンスルホネート[Sc(SOF)];スカンジウム(III)ビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)[Sc(NTf]、硝酸スカンジウム(III)[Sc(NO]、硫酸スカンジウム(III)[Sc(SO]などのスカンジウム(III)塩ならびに亜鉛(II)ビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)[Zn(NTf]である。
【0042】
InCl、In(OTf)およびSc(OTf)がより好ましく、それによってInClが最も好ましいものである。インジウムおよびスカンジウム塩InCl、In(OTf)およびSc(OTf)は、InClが例えばフルカ(Fluka)(No.57100)から、In(OTf)およびSc(OTf)が例えばアルドリッチ(Aldrich)(No.442151および418 218)から、商業的に入手可能である公知の化合物である。それらは、溶液でまたは懸濁液でだけでなく、固体形、無水または水和(そのうちInCl・4HOが例である)でも使用することができる。方法1および2のためには触媒は好ましくは水に溶解されるまたは懸濁される。かかる水溶液の濃度は決定的に重要ではない。さらに、上に引用されたルイス酸はすべて、酢酸、メタノール、エタノールおよび水などのプロトン性溶媒だけでなく無水酢酸および他のアシル化剤にも耐性がある。反応の終了後に触媒として使用されたルイス酸はリサイクルすることができる。
【0043】
ルイス酸とブレンステッド酸との特に好適な混合物は次のシステムである:亜鉛(II)化合物/塩化水素酸、亜鉛(II)化合物(好ましくはZnCl)/ガス状HClおよび塩化Fe(II)/ガス状HCl。塩化Fe(II)はFeとHClとの反応によってその場で製造することができ、それはそれ故システム塩化Fe(II)/ガス状HClに同等のシステムを表す。好適な亜鉛(II)化合物は、反応条件下でZnClを形成する亜鉛(II)化合物、例えばZnOだけでなくZnCl、ZnBrなどの亜鉛(II)塩である。システムZnCl/塩化水素酸またはZnCl/ガス状HClが使用される場合、参照により本明細書によって援用される欧州特許出願公開第0100 471A1号明細書の4頁の最終段落および5頁の第1段落に開示されているようなアミンの存在下に、またはアンモニウム塩の存在下に反応を実施することが好ましい。あるいはまた反応は、DE−OS26 06830号明細書に記載されているようにアミンまたはNHで前処理されたIPまたはPHなどの式IIIまたはIVの化合物を使用することによって好ましくは実施される。
【0044】
出発原料の製造
出発原料TMHQAcは、EP−A 1 239045号明細書に記載されているように例えば2,3,5−トリメチルヒドロキノンジアセテートの選択的加水分解によって得られてもよい。2,3,5−トリメチルヒドロキノンジアセテートは、EP−A0 850910号明細書、EP−A 0 916 642号明細書、EP−A 0952 137号明細書またはEP−A1 028103号明細書に記載されているように、例えば、無水酢酸または別のアセチル化剤の存在下でのケトイソホロンの酸触媒転位によって製造することができる。
【0045】
(イソ)フィトール化合物は、当業者に公知の通常の方法によって製造することができる。n=3の式IVで表されるフィトールおよびその誘導体は、純E−または純Z−形でだけでなくE/Z−混合物としても使用することができる。E/Z−混合物として式IVで表されるフィトールおよびその誘導体の使用が好ましい。(イソ)フィチル化合物から選択される最も好ましい出発原料はIPである。
【0046】
(イソ)フィトール誘導体のもちろん任意の他の適切な異性体も使用することができる。(R,R)−フィトール、(R,R,R)−イソフィトール、(S,R,R)−イソフィトールもしくは(RS,R,R)−イソフィトールまたは適切な(イソ)フィトール誘導体は例えば、TMHQ/TMHQAが他の成分として使用される場合、(R,R)−PTMHQ/(R,R)−PTMHQAまたは(RS,R,R)−TCP/(RS,R,R)−TCPAを得るために使用することができる。
【0047】
他の(ジ)(メチル)ヒドロキノンおよびnが0、1または2である式IIIおよびIVの化合物は、当業者に公知の方法によって製造することができる。
【0048】
方法1、方法2の工程a、方法2aの工程a
容易に明らかであるように、本発明のこの方法での反応体としてのR=Hの式II(=TMHQ;=X,XおよびX=メチルおよびR=水素の式IIa)の化合物の使用は、PTMHQ(n=3)などのR=Hの式Iの化合物の製造をもたらすが、R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイル(=TMHQA)の式IIの化合物、特にTMHQAcを使用した場合、PTMHQA/PTMHQAc(n=3)のようなR=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルの式Iのそれぞれの化合物が得られるであろう。
【0049】
TMHQ/TMHQAが、両式でnが3である式IIIおよび/またはIVの化合物と反応させられた場合、マイナー量のPTMHQ/PTMHQAの異性体、(Z)−または(E)−2−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデカ−3−エニル)−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(R=水素の式Va;上を参照されたい)/(Z)−または(E)−3−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデカ−3−エニル)−2,5,6−トリメチルヒドロキノン−1−アルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルの式Va;上を参照されたい)および/または2−[3−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−ブテ−3−ニル]−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(R=水素の式VIa;上を参照されたい)/3−[3−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−ブテ−3−ニル]−2,5,6−トリメチルヒドロキノン−1−アルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルの式VIa;上を参照されたい)が方法2および2Aの工程aだけでなく方法1でも副生物として形成されるかもしれない。n=0、1または2の式IIIおよび/またはIVの他の化合物が使用される場合、マイナー量の式VおよびVIの化合物もまた副生物として形成されるかもしれない。
【化30】



【0050】
式VaおよびVIa(上を参照されたい)で表されるPTMHQ/PTMHQAおよびそれらの異性体は、α−トコフェロールまたはそのアルカノエート(最終生成物)の製造のための中間体である。
【0051】
触媒の活性および反応条件に依存して、反応は最終生成物まで進行するか(方法2の工程aおよびb)またはこれらの中間体が単離できるほど十分に遅い(方法2の工程aのみが行われる)。同じことが方法2aの工程aおよびbにも適用される。
【0052】
方法1および方法2の好ましい実施形態ではTMHQはPHおよび/またはIPと、より好ましくはIPと反応させられる。
【0053】
好都合にも反応は不活性ガス雰囲気下に、好ましくはガス状窒素またはアルゴン下に実施される。
【0054】
反応は好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で、より好ましくは約1.1バール〜約20.0バールの絶対圧で、さらにより好ましくは約1.1バール〜約6.0バールの絶対圧で、さらにより一層好ましくは約1.7バール〜約5.1バールの絶対圧で、最も好ましくは約2.0バール〜約3.6バールの絶対圧で実施される。
【0055】
反応温度は、反応が還流下に実施されるので、加えられた圧力および溶媒に依存する。それ故、反応温度は好都合にも約90℃〜約170℃、好ましくは約90℃〜約160℃、より好ましくは約112℃〜約160℃、そして最も好ましくは約125℃〜約150℃である。
【0056】
好適な有機溶媒は脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素およびそれらの混合物などの非プロトン性の非極性有機溶媒である。
【0057】
脂肪族炭化水素の好ましい例は線状、分岐または環式C−〜C15−アルカンである。線状、分岐または環式C−〜C10−アルカンが特に好ましく、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびシクロヘキサンまたはそれらの混合物が特に好ましい。
【0058】
ハロゲン化脂肪族炭化水素の好ましい例はモノ−またはポリハロゲン化線状、分岐または環式C−〜C15−アルカンである。特に好ましい例はモノ−またはポリ塩素化または臭素化線状、分岐または環式C−〜C15−アルカンである。モノ−またはポリ塩素化線状、分岐または環式C−〜C15−アルカンがより好ましい。1,1,1−トリクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレンおよび臭化メチレンが最も好ましい。
【0059】
芳香族炭化水素の好ましい例はベンゼン、トルエン、o−、m−およびp−キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、ナフタレンおよびそれらの混合物であり、トルエンが特に好ましい。
【0060】
ハロゲン化芳香族炭化水素の好ましい例はモノ−またはポリハロゲン化ベンゼンである。クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼンおよび1,4−ジクロロベンゼンが特に好ましい。
【0061】
最も好ましい非極性溶媒は触媒ごとに異なる。InClが触媒として使用される場合、トルエンおよびヘプタンが好ましい溶媒であり、ヘプタンが特に好ましい。Sc(OTf)が触媒として使用される場合、最も好ましい溶媒はトルエンである。触媒システムFe(FeCl)/HCl(g)(「(g)」=ガス状)が使用される場合、最も好ましい溶媒はまたトルエンである。
【0062】
システムZnCl/塩化水素酸またはZnCl/HCl(g)(「(g)」=ガス状)が使用される場合、参照により本明細書によって援用される欧州特許出願公開第0100 471A1号明細書の4頁の最終段落および5頁の第1段落に開示されているようなアミンの存在下に方法1または方法2/2aの工程a)を実施することが好ましい。本方法はまた、DE−OS26 06830号明細書に記載されているようにアミンまたはNHでIPまたはPHなどの式IIIまたはIVの化合物を前処理することによって実施することができる。アミンが約0.05〜約5.0重量%の、好ましくは約0.1〜約2.0重量%の量で−どちらが用いられるとしても化合物IIIまたはIVの重量を基準にして−存在する場合、Zn(II)触媒システムで反応を実施するための最も好ましい溶媒はヘキサンである。アミンが全く存在しない場合、Zn(II)触媒システムで反応を実施するための最も好ましい溶媒はヘプタンである。反応混合物中の、式IIまたはIIaの化合物(最も好ましくはTMHQまたはTMHQA(c))対どちらが用いられるとしても式IIIまたはIVの化合物のモル比は好都合にも約0.95:1〜約1:1.1、好ましくは約1:1.01〜約1:1.05で変わる。
【0063】
使用される非プロトン性の非極性有機溶媒の量は好都合にも、どちらが用いられるとしても式IIIまたはIVの化合物の1ミリモルを基準にして、約0.1ml〜約6.0ml、好ましくは約0.15ml〜約3.0mlである。
【0064】
どちらが用いられるとしても化合物IIIまたはIVを基準とする触媒の相対量は、使用される触媒システムと反応体とに依存する。好都合にも、どちらが用いられるとしても化合物IIIまたはIVを基準とする触媒の相対量は、少なくとも0.01モル%である。一般に触媒の相対量は約0.01〜約30モル%で変わる。触媒の最適相対量は触媒ごとに異なり、そしてまた反応体にも依存する。
【0065】
InClが触媒として使用される場合、それは、どちらが用いられるとしても化合物IIIまたはIVを基準にして、例えば約0.1モル%〜約2.5モル%の相対量で、特に好ましくは約0.1モル%〜約2.0モル%の相対量で、より好ましくは約0.1モル%〜約1.0モル%の相対量で、さらにより好ましくは約0.1モル%〜約0.5モル%の相対量で好ましくは存在してもよい。
【0066】
Sc(OTf)が触媒として使用される場合、それは、どちらが用いられるとしても化合物IIIまたはIVを基準にして、約0.05モル%〜約2.0モル%の相対量で、好ましくは約0.075モル%〜約1.5モル%の相対量で、より好ましくは約0.1モル%〜約1.0モル%の相対量で好ましくは存在してもよい。
【0067】
HClと組み合わせてFeおよび/またはFeClが触媒として使用される場合、それは、例えばDE−OS21 60103号明細書(5頁、第2段落の終わりおよび請求項9)にならびに米国特許第3,789,086号明細書(3列、27−60行)に記載されているような量で存在してもよい。
【0068】
Zn(II)および/またはZnClが触媒として使用される場合、それは、例えば米国特許第2,411,967号明細書の実施例1〜12に、米国特許第3,708,505号明細書(1頁、右列、26−44行)に、DE−OS196 54038号明細書(2頁、55−63行;3頁、4−6行;3頁、60行〜4頁、19行);4頁、29−38行)に、EP−A0 100471号明細書(7頁、19−24行)に、DE−OS 26 06830号明細書(4頁、最後の2行〜5頁、最初の2段落)に、米国特許第4,191,692号明細書(第2列、49−62行)に記載されているような量で存在してもよい。
【0069】
これに関連して、表現「触媒の量」は、たとえ触媒が純粋でない、溶媒との付加体および/または溶液/懸濁液の形にあるかもしれないが、存在する純粋なルイス酸または純粋なブレンステッド酸の重量を意味するとして理解されるべきである。ブレンステッド酸の相対量はまた、使用されるルイス酸にも依存し、従って選ぶことができる。
【0070】
反応は回分式にまたは連続的に、そして一般に運転上非常に簡単なやり方で、例えば(i)式IIIまたはIVの化合物を−そのままでまたは溶媒に溶解されて、好ましくはそのままで−ルイス酸、式IIa/IIの化合物(好ましくは:TMHQまたはTMHQA;最も好ましくは:TMHQまたはTMHQAc)および溶媒の混合物に少しずつまたは連続的に加えることによって実施することができる。ルイス酸およびブレンステッド酸からなる触媒システムが用いられる場合、ブレンステッド酸は連続的にまたは回分式に、好ましくは連続的に、ルイス酸、式IIa/IIの化合物(最も好ましくは:TMHQまたはTMHQA(c))および溶媒の混合物に加えられる。
【0071】
(ii)ルイス酸を、好ましくはそのままでまたは水溶液として、および式IIIおよび/またはIVの化合物を引き続いて−そのままでまたは非極性溶媒に溶解されて、好ましくはそのままで−式IIa/IIの化合物(最も好ましくは:TMHQまたはTMHQA(c))および溶媒に加えることもまた可能である。ブレンステッド酸は次に連続的にまたは回分式に、好ましくは連続的にこの混合物に加えられる。
【0072】
好都合にも、式IIIまたはIVの化合物は式IIa/IIの化合物(最も好ましくは:TMHQまたはTMHQA(c))に約15〜約180分以内に、好ましくは約30〜約150分以内に、より好ましくは約45〜約130分以内に連続的に加えられる。ルイス酸は好ましくは一度に、すなわちその全量で式IIa/IIの化合物(最も好ましくは:TMHQまたはTMHQA(c))および溶媒の混合物に加えられる。
【0073】
式IIIまたはIVの化合物(非極性溶媒中の)の添加の完了後に、反応混合物は反応温度で約10分〜約360分間、好ましくは約30分〜約240分間さらに好適に加熱される。ワークアップは、有機化学で通常用いられる手順によって達成することができる。
【0074】
方法2の工程b、方法2aの工程b
容易に明らかであるように、本発明の方法で反応体としてPTMHQまたはその異性体のようなRおよびRがそれぞれ、水素である式IIまたはIIaの化合物の使用は、トコールまたはα−トコフェロールなどのトコフェロールの製造をもたらすが、Rがアセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルであり、そしてnが3である式IIの化合物を使用する場合、それぞれのトクイルアルカノエートまたはα−トコフェリルアルカノエートなどのトコフェリルアルカノエートが得られるであろう。
【0075】
α−トコフェロールまたはα−トコフェリルアルカノエートの製造のために、PTMHQまたはPTMHQAおよび当業者に公知の任意の方法に製造される、PTMHQまたはPTMHQAの製造でマイナー副生物として得られる、場合により1つもしくはそれ以上のそれらの異性体を出発原料として使用することができる。
【0076】
この閉環は、式IIの化合物(例えばTMHQ:R=水素の式II;またはTMHQA:R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルの式II)またはIIaと式IIIの化合物および/または式IVの化合物との反応について上に記載されたのと実質的に同じ反応条件下に同じ触媒を使用して実施することができる。それ故、例えばPTMHQまたはPTMHQAおよび場合により1つもしくはそれ以上のそれらの異性体が工程aに従って生み出されるケースでは、工程bを実現するためには工程aの反応時間を単に延ばすこと、すなわち反応時間を約30分〜約240分間延ばすこと、触媒の量を増やすことおよび/または反応温度を上げることで十分である。
【0077】
方法3および3a
この反応は、方法2および2aの工程a)について上に記載されたのと実質的に同じ反応条件下に同じ触媒を使用して実施することができる。触媒の種類、触媒の量および反応温度に依存して、反応は式Ia/Iの中間体で停止するかまたは式VII/VIIaの最終生成物まで進行する。
【0078】
方法4
この反応は、方法2および2aの工程a)について上に記載されたのと実質的に同じ反応条件下に同じ触媒を使用して実施することができる。反応は、触媒の性質、触媒の量および反応温度とは無関係に式Xの最終生成物まで進行する。
【0079】
方法5A
本発明のさらに別の態様によれば、例えばα−トコフェロールもしくはγ−トコフェロール、またはDE−OS21 60103号明細書の5頁、第3および第4段落に記載されているような任意の他のトコールなどの式VIIcの化合物は、減圧で、好ましくは0.9バール未満の絶対圧で、または圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で触媒としてルイス酸の存在下にアシル化剤での処理によって、そのアルカノエート(式VIIIaの化合物)、例えばそのアセテートへ変換されてもよい。
【0080】
より好ましくは絶対反応圧力は約0.02バール〜約0.9バール(さらにより好ましくは約0.1バール〜約0.9バール、最も好ましくは約0.2バール〜約0.9バール)、そして約1.1バール〜約10.0バール(さらにより好ましくは約1.1バール〜約6.0バール、さらにより一層好ましくは約1.1バール〜約5.0バール、最も好ましくは約1.1バール〜約3.0バール)で変わる。
【0081】
それ故、本発明はまた、減圧で、好ましくは0.9バール未満の絶対圧で、または圧力下で、好ましくは少なくとも1.1バールの絶対圧で触媒としてルイス酸の存在下にトクイルアルカノエートの製造方法に関する。
【0082】
本発明の当該態様に従ったアシル化は、酸無水物またはハロゲン化物などのトコフェロールのアシル化で通常使用されるアシル化剤を使用して実施することができる。
【0083】
これらの例は、酢酸、プロピオン酸、ピバリン酸、コハク酸、ニコチン酸および安息香酸などのアルカン酸の無水物またはハロゲン化物である。好ましくは、無水酢酸または酸クロリド、特に無水酢酸が使用される。
【0084】
反応混合物における式VIIcの化合物対アシル化剤のモル比は好都合にも約1:1〜約1:5、好ましくは約1:1〜約1:3、より好ましくは約1:1.1〜約1:2で変わる。
【0085】
好適なルイス酸は上に名前を挙げられたものである。
【0086】
触媒として使用されるルイス酸の量は、反応体、すなわち式VIIcの化合物またはアシル化剤のより少ないモル量を基準とし、回分様式の運転では、約0.006モル%〜約2.0モル%、好ましくは約0.0075モル%〜約1.5モル%、より好ましくは約0.01モル%〜約1.0モル%の範囲にあることができる。連続運転については、触媒の量は、反応器のサイズおよび反応体の流れに合わせられるであろう。回分式運転についての数字を基準とする適切な数字の決定は通常技能内にある。本発明の他の方法におけると同様に、ルイス酸は一度に、すなわちその全量で加えられる。好ましくは触媒は水溶液または懸濁液として加えられる。
【0087】
アシル化の温度は、使用される触媒システムおよび反応体(前のプロセス工程から生じた)が既に有する温度に依存する。アシル化反応は一般に、約20〜約200℃、好ましくは約60〜約180℃、より好ましくは約80〜約160℃の温度で実施することができる。インジウム(III)塩が触媒として使用される場合、アシル化反応は好ましくは、120℃未満の温度で、より好ましくは約15〜約120℃、より好ましくは室温で、すなわち約15〜約40℃で実施される。
【0088】
反応は本質的に追加の有機溶媒なしで実施することができ、それが好ましい。
【0089】
本発明との関連で「本質的に追加の有機溶媒なしで」は、本質的に何の有機溶媒も反応中に存在しないこと、そして何の有機溶媒も意図的に加えられないことを意味する。しかしながら、微量の有機溶媒が不純物として出発原料または触媒中に存在することは可能であるかもしれない。言い換えると、反応は実質的に実施され、すなわち式VIIcの化合物、アシル化剤および触媒以外の他の化合物は反応のために意図的に全く使用されず、その結果、反応の開始時に反応混合物中には出発原料、式VIIcの化合物およびアシル化剤を除いて、ならびに触媒を除いていかなる物質の量も5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であり、そしてさらなる化合物は反応中に全く加えられない。
【0090】
あるいはまた、追加の有機溶媒、例えばピリジンの存在下に反応を実施することもまた可能である。
【0091】
反応は不活性ガス雰囲気、好ましくはガス状窒素またはアルゴン下に好都合にも実施される。
【0092】
キラルのトコールおよびトコフェロール、例えば(エナンチオマー的純粋な)(R,R,R)−α−トコフェロールを使用する場合、アシル化が触媒としてインジウム(III)塩の存在下にそして120℃未満の、例えば約20℃〜約120℃の温度で実質的にエピマー化なしに進行することが本発明によるアシル化の特有な特徴である。このように、例えば(R,R,R)−α−トコフェロールが方法5Aのための出発原料として使用される場合、(R,R,R)−α−トコフェリルアルカノエートが得られる。
【0093】
方法5Aの特に好ましい実施形態では、α−トコフェロール(n=3の式VIIb、上を参照されたい)、β−トコフェロール(X=X=CH、X=Hおよびn=3の式VIIc)、γ−トコフェロール(X=X=CH、X=Hおよびn=3の式VIIc)ならびにδ−トコフェロール(X=X=H、X=CHおよびn=3の式VIIc)、好ましくはα−トコフェロールおよびβ−トコフェロール、より好ましくはα−トコフェロールは、適切なトコフェリルアルカノエート(n=3のおよびR、X、XおよびXが上記と同じ意味および選好を有する式VIII/VIIIaの化合物)にアシル化される。より好ましくは適切なアセテートは、触媒として特にインジウム(III)塩(選好は上を参照されたい)を使って120℃未満の温度で、好ましくは室温で、すなわち15〜40℃の温度で製造される。
【0094】
方法5B
それは、方法5Aについて上に記載されたのと実質的に同じ反応条件下に同じ触媒を使用して実施することができる。
【0095】
α−トコフェロールまたはそのアルカノエートの調合物の製造方法
本発明の方法の1つによって得られたα−トコフェロールまたはそのアルカノエートは、当業者に公知の任意の方法によって、例えば米国特許第6,162,474号明細書、米国特許出願公開第2001/0009679号明細書、米国特許第6,180,130第号明細書、米国特許第6,426,078号明細書、米国特許第6,030,645第号明細書、米国特許第6,150,086号明細書、米国特許第6,146,825号明細書、米国特許第6,001,554号明細書、米国特許第5,938,990号明細書、米国特許第6,530,684号明細書、米国特許第6,536,940号明細書、米国特許出願公開第2004/0053372号明細書、米国特許第5,668,183号明細書、米国特許第5,891,907号明細書、米国特許第5,350,773号明細書、米国特許第6,020,003号明細書、米国特許第6,329,423号明細書、国際公開第96/32949号パンフレット、米国特許第5,234,695号明細書、国際公開第00/27362号パンフレット、EP0 664116号明細書、米国特許出願公開第2002/0127303号明細書、米国特許第5,478,569号明細書、米国特許第5,925,381号明細書、米国特許第6,651,898号明細書、米国特許第6,358,301号明細書、米国特許第6,444,227号明細書、国際公開第96/01103号パンフレットおよび国際公開第98/15195号パンフレットに開示されているもののようにさらに調合することができる。
【0096】
次の実施例は本発明をさらに例示する。
【実施例】
【0097】
次の実施例では、マイナー量の次の副生物が得られた:
PTMQ:フィチルトリメチルキノン:
【化31】



PTD:フィタジエン=IPの脱水副生物(容易に分離できる)
BZF:ベンゾフラン:
【化32】



フィチル−トルエン化合物およびそれらの二重結合異性体(容易に分離できる)
【化33】



【0098】
生成物の分析は内部標準を用いるガスクロマトグラフィー(GC)によって行った。
【0099】
ジェフソル(Jeffsol)EC50(登録商標)は、容量比1:1のエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートからなる、ハンツマン社、POボックス15730、米国テキサス州オースチン(HuntsmanCorp.,PO Box 15730 Austin,Texas,USA)/ベルギー国アントワープ2030(Antwerp 2030,Belgium)から入手可能な溶媒混合物である。
【0100】
実施例を「大気圧」で実施した場合(比較例)、これは、反応を約0.96バール〜約1.03バールの圧力で実施したことを示す。
【0101】
実施例1−32:触媒としてInClまたはIn(OTf)を使った方法
実施例1−14:PTMHQの製造
【0102】
実施例1−3:触媒としてInCl
12.88ミリモルのTMHQおよび8.58ミリモルのIPを、触媒としてInCl(表1に示す触媒の量)の存在下におよび大気圧で表1に示す溶媒または溶媒システム中で反応させた。反応時間は2時間であった。さらなる詳細および結果については表1を参照されたい。
【0103】
実施例4および5:触媒としてIn(OTf)
12.88ミリモルのTMHQおよび8.58ミリモルのIPを、触媒として増加する量(表1を参照されたい)のIn(OTf)の存在下におよび大気圧で20mlのヘプタンと20mlのジェフソルBC50(登録商標)との混合物中で反応させた。反応条件に関するさらなる詳細および結果については表1を参照されたい。
【0104】
【表1】



【0105】
実施例6および7:触媒としてInCl
様々な量のTMHQを、触媒として1.0モル%のInCl−IP基準−の存在下におよび大気圧で45mlのトルエン中110℃で17.17ミリモルのIPと反応させた。さらなる詳細および結果については表2に示されている。
【0106】
実施例8:触媒としてIn(OTf)
TMHQ(38.63ミリモル)およびIP(25.75ミリモル、97%、1時間中に加えた)を、22℃でおよび大気圧で触媒として1.0モル%のIn(OTf)(IPを基準とする量)の存在下に1.5:1のモル比で反応させた。さらなる詳細および結果については表2を参照されたい。ヘプタン相の分離およびジェフソルEC50(登録商標)(60ml)でのヘプタン相の洗浄後に、得られた混合物(ヘプタン中の懸濁液)を減圧下に濾過した。ペースト状のほぼ無色の固体を定量GCによって分析した。
【0107】
実施例9:触媒としてIn(OTf)
TMHQ(24.691g.161.1ミリモル)およびIP(38.833ml、107.4ミリモル、97%、1時間中に加えた)を、22℃でおよび大気圧で触媒として1.0モル%のIn(OTf)(IPを基準とする量)の存在下に1.5:1のモル比で反応させた。さらなる詳細および結果については表2を参照されたい。ヘプタン相の分離およびジェフソルEC50(登録商標)(250ml)でのヘプタン相の洗浄後に、得られたヘプタン中の懸濁液を減圧下に濾過した。ペースト状のほぼ無色の固体を定量GCによって分析した。
【0108】
【表2】



【0109】
実施例10−14
200ミリモルのTMHQを、100mlの有機溶媒中で触媒として増加する量のIn(OTf)(実施例10)またはInCl(実施例11−14)の存在下に、それぞれ、200ミリモルのIP(実施例10および13)ならびに203ミリモルのIP(実施例11、12および14)と反応させた。実施例10および14は圧力下に実施し、それによって実施例11−13は大気圧で実施した。反応温度、圧力、反応時間および溶媒のタイプについては表3を参照されたい。
【0110】
【表3】



【0111】
実施例15−29:(全ラセミ体)−TCPの製造
実施例15−16:大気圧での(全ラセミ体)−TCPの製造
撹拌機、温度計、圧力計、ディーン−スターク(Dean−Stark)分離器、および還流冷却器を備えた250mlビュッヒ(Buechi)反応器またはオートクレーブで、30.447g(200ミリモル)のTMHQ(99.97%)、一定量のInCl(表4を参照されたい;IPを基準とする量)および100mlのトルエンを、連続窒素流れ下でおよび1.0バールの絶対圧下に114℃で加熱した。74.035ml(200ミリモル)のIP(94.6%)を1.234ml毎分の供給速度で加えた。反応の終了までにおよそ3.6mlの水を集めた。添加の完了後に反応混合物を114℃で1時間撹拌し、そして室温まで冷却した。反応混合物を減圧下に(95〜15ミリバールで45℃)濃縮した。(全ラセミ体)−TCPを粘稠なオイルとして得た。結果については表4を参照されたい。
【0112】
実施例17−18:圧力下での(全ラセミ体)−TCPの製造
実施例15および16を繰り返したが、反応を2バールの絶対圧下に137℃で実施した。137℃で1時間後、反応混合物を室温まで冷却し、室温になるとすぐに圧力を解除した。結果については表4、5(実施例18のみ)および12(実施例18のみ)を参照されたい。
【0113】
実施例19:圧力下での(全ラセミ体)−TCPの製造
撹拌機、温度計、圧力計、ディーン−スターク分離器、および還流冷却器を備えた250mlビュッヒ反応器またはオートクレーブで、30.447g(200ミリモル)のTMHQ(99.97%)、5mlのInCl(0.2M水溶液、0.5モル%、1ミリモル)および100mlのヘプタンを、連続窒素流れ下でおよび3.4バールの絶対圧下に147℃で加熱した。75.304ml(203ミリモル)のIP(94.6%)を0.605ml毎分の供給速度で加えた。反応の終了までにおよそ3.6mlの水を集めた。添加の完了後に反応混合物を147℃で1時間撹拌し、そして室温まで冷却した。次に圧力を解除した。反応混合物を減圧下に(110〜15ミリバールで45℃)濃縮した。(全ラセミ体)−TCPを粘稠なオイル(91.51g)として得た。収率は92.0%−IP基準−であった。結果については表4、6、7、8および12を参照されたい。
【0114】
【表4】



【0115】
実施例20および22():異なる溶媒中および圧力下で触媒としてInClを使っての(全ラセミ体)−TCPの製造
200ミリモルのTMHQおよび203ミリモルのIP(TMHQの量を基準として−1.38モル%のモル過剰に相当する)を、100mlのトルエン中137℃でまたは100mlのヘプタン中147℃で反応させた。IPを120分の間に加えた。その後混合物をさらなる60分間反応させた。すべての収率および選択率(表5に示す)はIP基準である。表6もまた参照されたい。
【0116】
実施例21、23および24:触媒として異なる量のインジウム塩を使っておよび圧力下での(全ラセミ体)−TCPの製造
200ミリモルのTMHQおよび200ミリモルのIPを100mlのトルエン中137℃でまたは100mlのヘプタン中147℃で反応させた。IPを60分の間に加えた。その後混合物をさらなる60分間反応させた。すべての収率および選択率(表5に示す)はIP基準である。
【0117】
【表5】



【0118】
InClで優れた収率が両溶媒、ヘプタンおよびトルエンで得られた。この触媒での所望の6員環生成物(全ラセミ体)−TCPの形成についての選択率は、28〜30%の差が選択率について観察されるようにIn(OTf)での結果と比べて非常に高かった。
【0119】
ヘプタンでは小過剰のIP(+1.38モル%)が等モル量のIPおよびTMHQでの反応の実施よりはるかに良好な収率(表5、実施例22を参照されたい)につながることもまた分かった。実際に、(全ラセミ体)−TCPをワークアップ後に93.9%収率で単離することができた。大気圧では1.5/1のTMHQ/IP比を用いなければないが、圧力下では等モル比が所望のクロマン環化合物(全ラセミ体)−TCPを優れた収率で生み出すのに十分であったことは強調されなければならない。
【0120】
圧力下でこれらの反応に使用されたTMHQの割合は大気圧でよりも20倍高く(0.2モル/Lの代わりに4モル/L)、そしてそれが反応の収率に影響を及ぼさなかったことは注目に値する。
【0121】
実施例25:触媒としてInClを使っておよび圧力下での(全ラセミ体)−TCPの製造
200ミリモルのTMHQおよび203ミリモルのIPを100mlのトルエン中137℃で反応させた。IPを120分の間に加えた。反応混合物を次にもう60分間さらに反応させた。収率−IP基準−を表6に示す。表7もまた参照されたい。
【0122】
実施例26:触媒としてInClを使っておよび圧力下での(全ラセミ体)−TCPの製造
200ミリモルのTMHQおよび203ミリモルのIPを100mlのトルエン中137℃で反応させた。IPを120分の間に加えた。反応混合物を次にさらに566分間反応させた。収率−IP基準−を表6に示す。
【0123】
実施例27:触媒としてInClを使っておよび圧力下での(全ラセミ体)−TCPの製造
200ミリモルのTMHQおよび203ミリモルのIPを100mlのヘプタン中147℃で反応させた。IPを120分の間に加えた。反応混合物を次にもう120分間さらに反応させた。収率−IP基準−を表6に示す。
【0124】
【表6】



【0125】
InClの量を0.25モル%まで減らした時に(全ラセミ体)−TCPは依然として良好な収率で得られた(表6、実施例26および27を参照されたい)。しかしながらより長い反応時間(例えばトルエン中566分まで、実施例26)がほぼ全閉環を得るために必要とされた。
【0126】
最良の結果(選択率(収率))は、特にヘプタン中で、0.5モル%〜2%InClの触媒量を使用して(全ラセミ体)−TCPについて得られることが分かった。トルエン中でおよびヘプタン中で、所望のクロマン生成物(全ラセミ体)−TCPを90.2〜96.0%以下の収率で単離することができた。
【0127】
実施例28:4.0バールの絶対圧でシクロヘキサン中での(全ラセミ体)−TCPの製造
200ミリモルのTMHQおよび203ミリモルのIPを、0.5モル%のInCl−IP基準−の存在下に100mlのシクロヘキサン中135℃でおよび4.0バールの絶対圧下で反応させた。IPを120分の間に加えた。その後混合物をさらなる380分間反応させた。表7に示す(全ラセミ体)−TCPの収率はIP基準である。
【0128】
実施例29:圧力下でヘキサン中での(全ラセミ体)−TCPの製造
200ミリモルのTMHQおよび203ミリモルのIPを、0.5モル%のInCl−IP基準−の存在下に100mlのヘキサン中で反応させた。IPを125℃でおよび4.0バールの絶対圧下で120分の間に加えた。その後混合物を125℃でおよび4.0バールの絶対圧下でさらなる180分間、そして135℃でおよび5.1バールの絶対圧下でさらなる206分反応させた。表7に示す(全ラセミ体)−TCPの収率はIP基準である。
【0129】
【表7】



【0130】
トルエンと比べてヘプタンの有利な点の1つは、溶媒によるフィチル−トルエン化合物などの副生物の欠如であった。
【0131】
実施例19(−a)−19−e:再現性
すべての反応を3.4バールの絶対圧下および147℃で200ミリモルのTMHQ、203ミリモルのIP、0.5モル%のInClを使って100mlのヘプタン中で実施した。IPを120分以内に加えた。反応時間は60分であった。すべての収率はIP基準である。結果を表8にまとめる。
【0132】
【表8】



【0133】
収率の1.04%最大偏差が5実験にわたっての91.6%の平均収率で観察されたにすぎないので、優れた再現性が確認された。
【0134】
実施例30−37:触媒としてSc(OTf)を使っての方法
実施例30−31:水の共沸除去ありの(全ラセミ体)−TCPの製造
ディーン−スターク分離器付きビュッヒ反応器で200ミリモルのTMHQおよび200ミリモルのIPを、0.1モル%のSc(OTf)−IP基準−の存在下に100mlのトルエン中で反応させた。IPを表9に示す温度でおよび圧力で60分の間に加えた。その後混合物を同じ温度および圧力でさらなる60分間反応させた。表9に示す(全ラセミ体)−TCPの収率および選択率はIP基準である。
【0135】
実施例32:水の共沸除去なしでの(全ラセミ体)−TCPの製造
オートクレーブ反応器で200ミリモルのTMHQおよび200ミリモルのIPを、0.1モル%のSc(OTf)−IP基準−の存在下に100mlのトルエン中で反応させた。IPを3.6バールの絶対圧でおよび140℃の温度度で60分の間に加えた。その後混合物を同じ温度および圧力でさらなる60分間反応させた。表9に示す(全ラセミ体)−TCPの収率および選択率はIP基準である。
【0136】
実施例33:水の共沸除去なしでの(全ラセミ体)−TCPの製造
機械撹拌機、温度計および圧力計を備えた250mlオートクレーブ反応器で34.396g(221ミリモル)のTMHQ(98%)、1ミリモルのSc(OTf)(0.5モル%−IP基準)および50mlのトルエンを、窒素雰囲気下および5.6バールの絶対圧下に140℃で加熱した。72.350ml(200ミリモル)のIP(97%)を2.412ml毎分の供給速度で加えた。添加の完了後に反応混合物を140℃で1時間撹拌し、室温まで冷却し、そして室温に達した時に圧力を解除した。反応混合物を減圧下に(95〜15ミリバールで45℃)濃縮した。粘稠なオイル(94.76g)を得て、定量GCによって分析した。(全ラセミ体)−TCPの収率は81.4%−IP基準−であった。
【0137】
実施例34−35:水の共沸除去ありの(全ラセミ体)−TCPの製造
実施例30および31を繰り返したが、0.1モル%のSc(OTf)の代わりに1.0モル%のSc(OTf)を使用した。IP基準の(全ラセミ体)−TCPの収率および選択率を表9に示す。
【0138】
実施例36
実施例35を繰り返したが、反応をより高い温度でおよびより高い圧力で実施した。詳細および結果については表9および12を参照されたい。
【0139】
実施例37:水の共沸除去なしでの(全ラセミ体)−TCPの製造
実施例32を繰り返したが、0.1モル%のSc(OTf)の代わりに1.0モル%のSc(OTf)を使用した。IP基準の(全ラセミ体)−TCPの収率および選択率を表9に示す。
【0140】
【表9】



【0141】
実施例38−47:触媒としてFe/HClを使っての方法
実施例38:ビュッヒ反応器での(全ラセミ体)−TCPの製造
撹拌機、温度計、圧力計、ディーン−スターク分離器および還流冷却器を備えた500mlビュッヒ反応器で91.3g(595ミリモル)のTMHQ(99.5%)、0.16g(2.86ミリモル)の鉄粉および137gのトルエンを、連続アルゴン流れ下でおよび1.9バールの絶対圧下で140℃に加熱した。反応混合物の温度が140℃になった時に塩化水素を0.333g毎分の供給速度で次の5時間(飽和の30分、IPの4時間添加およびその後さらなる30分反応;全体で100gのガス状HClをこれらの5時間の間に使用した)反応混合物に加えた。136℃でのおよび2.05バールの絶対圧下での塩化水素流れ下での30分後に、187.9g(616ミリモル)のIP(97.5%)を0.78g毎分の供給速度で加えた。IPの添加(4時間)の間に反応混合物の温度は136℃から146℃へ上昇した。反応の終了までにおよそ14mlの水相を集めた。IPの添加が完了した後、反応混合物を146℃でさらなる30分間撹拌し、次に塩化水素流れを止め、アルゴン流れと取り替え、そして溶液を室温まで冷却した。室温に達した時に圧力を解除した。反応混合物を減圧下に(95〜15ミリバールで45℃)濃縮した。粘稠なオイル(270.2g)を得て、定量GCによって分析した。(全ラセミ体)−TCPの収率は91.5%−IP基準−であった。
【0142】
実施例39−42:圧力下での(全ラセミ体)−TCPの製造
実施例38を同じ量のTMHQ、IPおよびFeで繰り返した。しかしながら、HClの量およびIPの添加の時間が異なった。反応を実施する圧力もまた、実施例39−41では僅かに異なった。さらなる詳細および結果については表10および13(実施例41および42のみ)を参照されたい。
【0143】
実施例43−46:大気圧での(全ラセミ体)−TCPの製造
ディーン−スターク分離器付きビュッヒ反応器で600ミリモルのTMHQおよび様々な量のIP(表10を参照されたい)を、様々な量の鉄粉および供給ガス状HCl(表10を参照されたい)の存在下に137gのトルエン(実施例48および49のみ:171.1gのトルエン)中で反応させた。ガス状HClを0.333g毎分の供給速度でトルエン中のTMHQに加えた。IPを連続HCl流れ下で表10に示す時間の間におよび1.0バールの絶対圧で加える前に、TMHQとトルエンとの混合物を30分の間にHClで飽和させた。IPの完全な添加後に混合物を同じ温度および圧力ならびに連続HCl流れでさらなる30分間反応させた。次にHCl流れを止め、反応混合物をワークアップした。表10に示す(全ラセミ体)−TCPの収率および選択率はIP基準である。
【0144】
実施例47:圧力下での(全ラセミ体)−TCPの製造
実施例46を繰り返したが、反応を1.0バールの代わりに2.1バールの絶対圧下で実施した。さらなる詳細および結果は表10に示す。
【0145】
【表10】



【0146】
実施例48−53:触媒としてZnCl/HClを使っての方法
実施例48:大気圧でアミンなしでヘプタン中での(全ラセミ体)−TCPの製造
322ミリモルのTMHQおよび320ミリモルのIPを、触媒としてZnClおよびガス状HCl(量は表11を参照されたい)の存在下に還流下で163.3gのヘプタン中で反応させた。反応を1.0バールで実施した。さらなる詳細および結果は表11に示す。
【0147】
実施例49:圧力下でアミンなしでヘプタン中での(全ラセミ体)−TCPの製造
実施例48を繰り返したが、反応を1.0バールでではなく2.1バールの絶対圧下で実施した。さらなる詳細および結果は表11に示す。
【0148】
実施例50:圧力下でアミンの存在下にヘキサン中での(全ラセミ体)−TCPの製造
撹拌機、温度計、圧力計、ディーン−スターク分離器および還流冷却器を備えた500mlビュッヒ反応器で60g(394ミリモル)のTMHQ(99.5%)、12.5g(91.7ミリモル)のZnCl、1.2gのトリデシルアミンおよび177.7gのヘキサンを、連続アルゴン流れ下でおよび2.2バールの絶対圧下で92℃に加熱した。反応混合物の温度が92℃に達した時にガス状塩化水素を0.035g毎分の供給速度で反応混合物に加えて反応混合物をHClで飽和させた。(HCl流れはIPの添加およびさらなる反応時間の間ずっと続行した、すなわちガス状HClを2.5時間の間ずっと加えた。)94℃でおよび2.2バールの絶対圧で塩化水素流れ下で30分後に、122.6g(403ミリモル)のIP(97.5%)を2.05g毎分の供給速度で加えた。IPの添加の間に反応混合物の温度は94℃から100℃へ上昇した。反応の終了までにおよそ7.4mlの水相を集めた。すべてのIPを加えた後、反応混合物を102℃でさらなる60分間撹拌し、次に塩化水素流れを止め(計5.3gの塩化水素を2.5時間の間に使用した)、アルゴン流れと取り替え、そして溶液を室温まで冷却した。室温に達した時に圧力を解除した。反応混合物を減圧下に(110〜15ミリバールで45℃)濃縮した。粘稠なオイル(176.88g)を得て、定量GCによって分析した。(全ラセミ体)−TCPの収率は94.9%−IP基準−であった。
【0149】
実施例51:圧力下でアミンの存在下にヘキサン中での(全ラセミ体)−TCPの製造
実施例50を繰り返したが、403ミリモルのIPの代わりに404ミリモルのIPを加え、5.3gのガス状HClの代わりに49.9gのガス状HClを使用した。さらなる詳細および結果については表11を参照されたい。
【0150】
実施例52:大気圧でアミンの存在下にヘキサン中での(全ラセミ体)−TCPの製造
実施例51を、表11に示すTMHQ、IP、ZnCl、トリデシルアミンおよびガス状HClの量で繰り返した。しかしながら、反応を2.2バールでではなく、1.0バールで実施した。結果を表11に示す。
【0151】
実施例53:大気圧でアミンの存在下にヘプタン中での(全ラセミ体)−TCPの製造
実施例51を、表11に示すTMHQ、IP、ZnCl、トリデシルアミンおよびガス状HClの量で繰り返した。しかしながら、反応をヘキサン中でではなく、ヘプタン中で実施した。結果を表11および13に示す。
【0152】
【表11】



【0153】
実施例18、19−d、23:副生物の量
これらの5つの実験について副生物に関する正確な分析データを表12に示す。
【0154】
【表12】



【0155】
既に述べたように、InClはTCPの形成についてIn(OTf)およびSc(OTf)より高い選択性を示す。
【0156】
【表13】



【0157】
実施例54:(全ラセミ体)−3,4−デヒドロ−α−トコフェロールの製造
15.22g(99.2ミリモル)のTMHQ(99.2%)、29mg(0.5ミリモル)の鉄粉および70mlのトルエンを、ビュッヒ反応器のように装備した200mlフラスコに加え、生じたベージュ色懸濁液を750回転毎分で撹拌した。反応混合物を2K毎分の一定加熱速度で111℃まで加熱した。HClを33.8ml毎分の流量で加え、アルゴンを3.5ml毎分の流量で加えた。45分後に111℃の反応温度に達し、31.01g(102.4ミリモル)の1,2−デヒドロイソフィトール(97.3%;スイス国ラルデンのテラノール(Teranolin Lalden,Switzerland)製)を225分の間ずっと0.138g毎分の供給速度で加えた。1,2−デヒドロイソフィトールの添加中に、溶液の容積を反応すべての間ずっと一定に保つためにトルエンをゆっくり留去した。反応温度もまた111℃から157℃に上昇した。1,2−デヒドロ−イソフィトールの添加の完了後に反応混合物をこの温度で45分間撹拌し、そして室温まで冷却した。加熱のスイッチを切った時、HCl流れを止め、より強いアルゴン流れと取り替えた。1時間後に反応混合物の温度は60℃であった。反応混合物を次に減圧下に濃縮した(300〜18ミリバールで60℃)。得られたオイルを2時間より長い間減圧下にさらに濃縮して(0.3〜0.1ミリバールで60℃)粗生成物(45.6g)をもたらした。粗生成物の定量GC分析は、それが主としてTMHQ(25.6%)および(全ラセミ体)−3,4−デヒドロ−α−トコフェロール(21.1%)を含有することを示した。粗生成物を2つの引き続くカラムクロマトグラフィー(先ず酢酸エチル/ヘキサン=1/9(v/v;シリカゲル60(メルク(Merck))、粒径0.063−0.2mm)で、そして最後に酢酸エチル/ヘキサン=1/19(v/v)で)によって精製して(全ラセミ体)−3,4−デヒドロ−α−トコフェロール(5.23g、GC81.7%、10.0%単離収率、転化率基準で44.1%収率)をもたらした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIIおよび/またはIV
【化1】




(式中、Rはヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシまたはハロゲンであり、そして
nは0〜3の整数である)
の化合物での、0〜4個のメチル基、計1〜3個のヒドロキシ基およびヒドロキシ基のオルトにある少なくとも1つの非置換位置を含むフェノールのアルケニル化方法であって、
それによって反応が圧力下で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に有機溶媒中で実施される方法。
【請求項2】
前記フェノールが式IIa
【化2】



(式中、X、XおよびXは互いに独立して水素またはメチルであり、そして
は水素、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルであり、ただし、X、XおよびXがすべてメチルである場合、Rはアセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルだけである)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フェノールが式II
【化3】



(式中、Rは水素、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルである)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
a)(工程a)場合により式IIa
【化4】



の化合物を有機溶媒中で式IIIおよび/またはIV
【化5】



の化合物と反応させる工程と、
b)(工程b)工程a)によってすべて得られる、式Ia
【化6】



の化合物および場合により1つもしくはそれ以上のその二重結合異性体を有機溶媒中で閉環にかけてクロマン誘導体VIIaを形成する工程と
による式VIIa
【化7】



(式中、Rはヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシまたはハロゲンであり、
は水素、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルであり、
、XおよびXは互いに独立して水素またはメチルであり、ただし、X、XおよびXがすべてメチルである場合、Rはアセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルだけであり、そして
nは0〜3の整数である)
の化合物の製造方法であって、
それによって工程a)およびb)の少なくとも1つが圧力下で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に実施される方法。
【請求項5】
0〜4個のメチル基、計1〜3個のヒドロキシ基およびヒドロキシ基のオルトにある少なくとも1つの非置換位置を含むフェノールと式IIIまたはIV
【化8】



の化合物との反応によるクロマン誘導体VIIa
【化9】



(式中、Rはヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシまたはハロゲンであり、そして
nは0〜3の整数である)
の製造方法であって、
それによって反応が圧力下で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に有機溶媒中で実施される方法。
【請求項6】
式IIIおよびIVでのnが3である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式VIIc
【化10】



の化合物を適切なアシル化剤と反応させることによるVIIIa
【化11】



(式中、nは0〜3の整数であり、X、XおよびXは互いに独立して水素またはメチルであり、そしてRはアセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイル、およびベンゾイルからなる群から選択される)
のアルカノエートの製造方法であって、
反応が減圧でまたは圧力下で触媒としてルイス酸の存在下に実施されることを特徴とする方法。
【請求項8】
、XおよびXがメチルであり、そしてn=3である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒として使用されるルイス酸が三塩化インジウム、三臭化インジウム、三ヨウ化インジウム、三酢酸インジウム、インジウムトリス[ビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)]、インジウムトリフレートまたはスカンジウムトリフレートであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒として使用されるルイス酸とブレンステッド酸との混合物がZnClとHClとのまたはFeおよび/またはFeClとHClとの混合物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
使用されるα−トコフェロール(X=X=X=メチルおよびn=3の式VIIc)が請求項4に記載の方法の工程b)によって得られた反応混合物であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
すべての工程が圧力下で実施されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記有機溶媒が非極性の非プロトン性有機溶媒であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のおよびそれらが請求項1〜6のいずれか一項を参照する限り請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記非極性の非プロトン性有機溶媒がシクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、臭化メチレン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼンおよび1,4−ジクロロベンゼンからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
それぞれ、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法によって得られた、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロールおよびδ−トコフェロールがアシル化剤と反応させられる、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロールおよびδ−トコフェロールのアルカノエートの、好ましくはα−トコフェロールのアルカノエートの、より好ましくは酢酸α−トコフェロールの製造方法。
【請求項16】
反応が好ましくは120℃未満の温度で、触媒としてインジウム(III)塩の存在下に実施されることを特徴とする、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロールおよびδ−トコフェロールを、それぞれ、酢酸、プロピオン酸、ピバリン酸、コハク酸、ニコチン酸、および安息香酸の無水物およびハロゲン化物からなる群から選択されたアシル化剤と反応させることによるα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロールおよびδ−トコフェロールのアルカノエートの製造方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法によって得られた、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールまたはそれらのアルカノエートが、それぞれ、好ましくはα−トコフェロールまたはそのアルカノエートが使用される、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールまたはそれらのアルカノエートの、好ましくはα−トコフェロールまたはそのアルカノエートの調合物の製造方法。
【請求項18】
式II
【化12】



の化合物を式IX
【化13】



の化合物と有機溶剤中で反応させることによる式X
【化14】



(式中、Rは水素、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルであり、
はヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシまたはハロゲンであり、
そしてnは0〜3の整数である)
の化合物の製造方法であって、
それによって反応が圧力下で触媒としてルイス酸またはルイス酸とブレンステッド酸との混合物の存在下に実施される方法。
【請求項19】
が水素である式X
【化15】



(式中、nは0〜3の整数である)
の化合物を適切なアシル化剤と反応させることによるRがアセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイルまたはベンゾイルである式Xの化合物の製造方法であって、
反応が減圧でまたは圧力下で触媒としてルイス酸の存在下に実施されることを特徴とする方法。

【公開番号】特開2011−121968(P2011−121968A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14524(P2011−14524)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【分割の表示】特願2007−526211(P2007−526211)の分割
【原出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】