説明

クロムを含まない変色防止・接着促進処理組成物

本発明は、亜鉛イオン;タングステンイオン、モリブデンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、ジルコニウムイオン、チタンイオン、マンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、スズイオン、インジウムイオン、銀イオン、及びこれらの組合せからなる群から選択される金属イオン;並びに任意選択で、カリウムイオン又はナトリウムイオンを含んでいない電解質;を含み、実質的にクロムを含まず、材料へのポリマーの接着を向上させる被膜を基板若しくは材料上に生成する耐変色・接着促進性水性処理組成物を対象とする。本発明はまた、前記処理組成物により被覆された材料、並びに、前記組成物を用いて材料を被覆する方法も対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐変色(tarnish−resistant)・接着促進処理組成物、より詳細には、実質的にクロムを含まない耐変色・接着促進処理組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
金属の耐変色性と、金属・ポリマー間の強靭な接着は、印刷回路、電子パッケージ、自動車車体トリム(例えば、PVC又はABSプラスチックへのアルミニウム)、スチールベルトタイヤ、及びペイント若しくは他のポリマー被覆材のような様々な用途で長い間求められ続けている。例えば、印刷回路用途でのCu箔の耐変色性は、貯蔵寿命のために、また、印刷回路製造工程におけるラミネートとハンダ付けの間に曝される熱に耐えられるために必要とされている。耐変色被膜(coating)はまた、部品の耐用年数の間に曝される湿度と温度による、Cuの酸化とポリマー基板との反応を防止する。この機能は、Cuとポリマーとの間の良好な結合を保つために極めて重要である。電子パッケージの用途では、良好な接着は、金属ジャックとそれを囲む成形プラスチック絶縁シースとの間電気接点で必要とされる。第2の例として、金属リードフレームの内部リード線が、集積回路を収納する電子パッケージのアセンブリにおいて、モールディングポリマー樹脂に封止され得る。
【0003】
ポリマー樹脂と金属基板との間の接着は、より強靭な結合をポリマー樹脂と生成する第2の金属により金属基板を被覆することにより強化される。適切な被膜には、耐火性酸化物生成金属(例えば、ニッケル及びニッケル合金)、或いは、金属間化合物生成被膜(例えば、銅基板上のスズ)が含まれる。これらの被膜、並びに他の被膜は、Crane等の米国特許第4888449号に開示されており、この特許は全体として本明細書に参照を通じて組み込まれる。
【0004】
現在、亜鉛/クロム(ZnCr)を含む被膜が、耐変色性とポリマー基板への金属の結合強度を向上させるために、エレクトロニクス用途において銅箔及びリードフレームに広く用いられている。通常、これらの被膜は、耐変色性を付与するZn/Crの酸化物混合物を生成するように、NaOH、Zn及びCr(VI)のイオンを含むアルカリ溶液中で電着される。
【0005】
米国特許第4387006号は、印刷配線基板に使用される銅箔表面を処理する方法を開示する。銅箔は、亜鉛イオンとクロム(VI)イオンを含むクロム酸亜鉛水溶液中で電解処理され、アミノシラン、ケイ酸ナトリウム、及び/又はケイ酸カリウムを含む水溶液に浸漬される。
【0006】
米国特許第5230932号、米国特許第5098796号、及び米国特許第5022968号は、銅及び銅系合金材料の耐変色性と耐酸化性を向上させる方法と組成物を開示する。この材料は、NaOH、亜鉛イオン及びクロム(VI)イオンを含む電解質水溶液に浸漬することにより、電解被覆される。この被膜により、190℃を超える温度での耐変色性が付与される。
【0007】
Chenの米国特許第5250363号は、金属基板の耐変色性と耐酸化性を向上させる方法を開示する。この基板は、NaOH、亜鉛イオン、及びクロム(VI)イオンを含む水溶液に浸漬され、クロム−亜鉛の被膜が基板に電解的に適用される。この被膜により、230℃を超える温度での耐変色性が付与され、この被膜は硫酸に浸漬することにより容易に除去される。
【0008】
特定の条件の下で、これらの被膜のいくつかは、リードフレームとモールディングコンパウンドとの間からの湿分の浸透を減らすことができるであろうということもまた主張されている。この作用により、「ポップコーン効果」(デバイスがハンダ付け温度(例えば、約230℃の温度)に曝されると、ダイ取付けパドルの下に捕捉され溜まった湿分から水蒸気が発生することにより引き起こされると考えられる)を大幅に減らすことができるであろう。この水蒸気の発生は、クラック及び剥離によるデバイス不良の原因であると考えられている。さらに、主に環境への配慮と強化される規制のために、業界は鉛及び他の毒性元素を含むハンダの使用を控えようとしており、代替となるハンダは、より高いハンダ付け温度になりそうであり、金属/ポリマーの接着の特性が、より重要になりそうである。
【0009】
金属とポリマー物質との間を接着させる多くの組成物が知られている。Parthasarathi等の米国特許第5573845号は、所望の表面仕上げをもつ金属コアを有する複合材料を開示する。見かけの厚さが275オングストローム未満の針状(ノジュラー(nodular))表面被膜層が金属コアの少なくとも一部と隣り合っている。この表面被膜層は、容易に認められるような変化を金属コアの表面仕上げに生じることなく、金属コアから除去され得る。
【0010】
Parthasarathi等の米国特許第5449951号は、ポリマー樹脂に対する接着が向上したリードフレームを開示する。このリードフレームは、クロム、亜鉛、又はクロム及び亜鉛の混合物を含む薄い層で被覆される。この被覆されたリードフレームは、ポリマー樹脂に対する接着が向上している。
【0011】
Lee等の国際公開公報WO 00/74131 A1において、半導体デバイスパッケージのアセンブリ方法が開示されており、デバイス/リードフレームのアセンブリが形成され、次に、デバイス/リードフレームのアセンブリの露出した表面に、接着を向上させる被膜が堆積し(deposit)、次いで、封止される。この被膜は、無機Zn−Cr被膜であり得る金属被膜である。この公開公報は、その全体が参照として本明細書に明確に組み込まれる。
【0012】
Ogawa等の米国特許第5252855号は、基板を陽極酸化して針状結晶の集合体を形成することによって、銅系金属基板とポリマー樹脂との間の接着を向上させることを開示する。Mahulikar等の米国特許第4939316号に開示されているように、アルミニウム合金基板の陽極酸化は、ポリマー結合の強度を増加させる。他の満足のいく被膜には、Yamazaki等の米国特許第5192995号に開示されているような、厚さが300〜5,000オングストロームである耐酸化性材料が含まれる。
【0013】
上記技術に開示されているように、ナトリウム(Na)及び/又はカリウム(K)のイオンは、浸漬浴に頻繁に用いられる。しかし、ナトリウムイオン及びカリウムイオンには、これらのイオンがシリコンダイに拡散し、製造されたデバイスの不良の原因になる可能性があるという不都合な点がある。このような不良は詳細に文献に記載されている(例えば、以下を参照:「金属化汚染(Metallization Contamination)」(Microelectronic Defects Database,CALCE Electronic Products and Systems Center,University of Maryland,April 12,2000)は、モールディングコンパウンド、ダイコーティング、及びダイ取付けコーティングからの、塩化物及びナトリウムの汚染を確認している;「デバイス性能へのダイ取付け接着剤中のイオン性不純物の影響(The Impact of Ionic Impurities in Die Attach Adhesives on Device Performance)」(Barnes and Robinson,Proceedings of 34th Electronics Components Conf.,May,1984,p.68)は、ダイ取付け接着剤を特定のイオン汚染源として認めている)。
【0014】
さらに、メッキ液中のCr(VI)イオンの存在は、取扱いと廃棄に際して環境問題を引き起こす。Cr(VI)含有メッキ浴は数十年間世界中で使用されてきたが、Cr(VI)の使用は、健康及び環境への影響に関する高まる関心により益々厳しい目で見られるようになっている。したがって、Cr(VI)メッキ浴を毒性の低いCr(III)浴に置き換えるか、或いは、Crを完全に無くすかの何れかが望ましいであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このように、当技術分野において、実質的にクロム(VI)を含まず、また、カリウムイオン又はナトリウムイオンを含んでいない電解質を任意選択で利用する、接着促進・耐変色処理水性組成物を提供することが求められている。本発明は、この要求に対する答えであると確信する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様において、本発明は、亜鉛イオン;タングステンイオン、モリブデンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、ジルコニウムイオン、チタンイオン、マンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、スズイオン、インジウムイオン、銀イオン、及びこれらの組合せからなる群から選択される金属イオン;並びに任意選択で、カリウムイオン又はナトリウムイオンを含んでいない電解質;を含む処理組成物であって、処理組成物は実質的にクロムを含まず、処理組成物は被膜を材料上に生成することができ、被膜は材料へのポリマーの接着を向上させる、耐変色・接着促進性水性処理組成物を対象とする。
【0017】
別の態様において、本発明は、亜鉛若しくは酸化亜鉛の原子;並びに、タングステン、モリブデン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、チタン、マンガン、バナジウム、鉄、スズ、インジウム、銀、及びこれらの組合せからなる群から選択される金属若しくは金属酸化物の原子;を含み、実質的にクロムを含まず、250℃にて少なくとも30分間の耐変色性を付与し、材料へのポリマーの接着を向上させるノジュラー構造を含む耐変色・接着処理被膜によって被覆された材料を対象とする。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、耐変色・接着促進性被膜により被覆された材料を生成させる方法を対象とし、この方法は、材料を耐変色・接着促進性水性処理組成物(亜鉛イオン;タングステンイオン、モリブデンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、ジルコニウムイオン、チタンイオン、マンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、スズイオン、インジウムイオン、銀イオン、及びこれらの組合せからなる群から選択される金属イオン;並びに任意選択で、カリウムイオン又はナトリウムイオンを含んでいない電解質;を含み、クロムを含まない)と接触させるステップ;及び、耐変色・接着促進性被膜を材料上に析出・堆積させる条件の下で前記処理組成物に電流を流して、材料へのポリマーの接着を向上させる耐変色・接着促進性被膜により被覆された材料を生成させるステップ;を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
これら及び他の態様は、以下の本発明の詳細な説明においてより詳細に記載される。
【0020】
本発明は、添付図と関連させて行われる以下の詳細な説明によって、より完全に理解されるであろう。
【0021】
驚くべきことに、本発明者等は、金属とポリマーとの間に強靭な結合の生成が可能で、このような組成物の取扱いと廃棄に関して環境と健康への影響に対処する、耐変色・接着促進性水性処理組成物を製造することが可能であることを見出した。本発明により、今や、本発明者等は、ポリマー材料と金属との間の接着結合が向上し、Na/Kを含まないメッキ溶液を用いてこのような元素によるシリコンダイの汚染を防ぎ、また、このような溶液の取扱いにおける環境と健康への関わり合いを無くすために実質的にクロム(VI)を含まない、耐変色・接着促進性水性処理組成物を見出した。
【0022】
上で示されたように、本発明は、耐変色・接着促進性水性処理組成物を対象とし、この処理組成物は、(1)亜鉛イオン;(2)タングステンイオン、モリブデンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、ジルコニウムイオン、チタンイオン、マンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、スズイオン、インジウムイオン、銀イオン、及びこれらの組合せからなる群から選択される金属イオン;並びに、(3)任意選択で、カリウムイオン又はナトリウムイオンを含んでいない電解質;を含み、実質的にクロムを含まず、材料若しくは基板へのポリマーの接着を向上させる被膜を材料若しくは基板上に生成する。これらの成分の各々は、下でより詳細に検討される。
【0023】
本発明の処理組成物の亜鉛イオン成分は、水溶液中で相当量の亜鉛イオンを生成し得る亜鉛塩に由来し得る。有用な亜鉛塩の例には、これらに限定されないが、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、ホウフッ化亜鉛、酢酸亜鉛、及びこれらの組合せが含まれる。上記亜鉛塩の水和物もまた、1種類で、或いは組み合わせて、本発明の組成物において使用され得ることもまた理解される。例えば、好ましい一実施形態において、亜鉛塩は硫酸亜鉛七水和物(ZnSO・7HO)である。
【0024】
好ましくは、亜鉛イオンは、本発明の組成物中に、約0.1から100g/L、より好ましくは、約0.5から約50g/L、最も好ましくは、約0.5から20g/L(全て、組成物の全容積に対するものである)で存在する。好ましい一実施形態において、亜鉛塩は硫酸亜鉛七水和物(ZnSO・7HO)であり、本発明の組成物において約2から約80g/Lの範囲にある。
【0025】
本発明の耐変色・接着促進性水性処理組成物は、さらに、亜鉛と共析出・堆積物(codeposit)を生成し、材料若しくは基板の表面に析出・堆積して全体がノジュラー構造となり得る金属イオンを含む。有用な金属イオンには、タングステンイオン、モリブデンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、ジルコニウムイオン、チタンイオン、マンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、スズイオン、インジウムイオン、及び銀イオンが含まれる。本発明の処理組成物に、この金属イオンを、1種だけで用いても、或いは如何なる組合せで用いてもよい。
【0026】
前記金属イオンは、対応する金属塩又はその水和物、或いは金属酸に由来し得る。本発明の組成物において有用な金属塩又は金属塩水和物の例には、硫酸ニッケル若しくは硫酸ニッケル水和物、モリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン、過マンガン酸カリウム、硫酸マンガン、及びこれらの組合せが含まれる。金属酸の例には、モリブデン酸、タングステン酸、タングストケイ酸、及びこれらの組合せが含まれる。好ましい例示的一実施形態において、この金属イオンはモリブデンイオン、タングステンイオン、又はこれらの組合せである。本発明は、これらの例に限定されず、他の金属塩(若しくはそれらの水和物)或いは金属酸を用いることもできるであろう。
【0027】
好ましくは、前記金属イオンは、本発明の組成物中に、約5から約20,000ppm、より好ましくは、約15から約2,000ppm、最も好ましくは、約25から約300ppm(全て、組成物の全部分に対してのものである)で存在する。
【0028】
多くの事例において、亜鉛塩は本発明の組成物に十分な伝導性を付与して、材料若しくは基板上に亜鉛及び金属のイオンの析出・堆積を可能にする。しかし、亜鉛塩の濃度が低ければ、組成物の適切な電着にとって十分な電気伝導性がないことがあり得る。このような場合には、適切な析出・堆積が起こり得るように、さらなる電解質を処理組成物に加えることが好ましい。どのような水溶性の塩を電解質として用いてもよいが、このような電解質はナトリウム或いはカリウムを含んでいないことが望ましい。WO 00/74131に記載されているように、メッキ水性組成物中にナトリウムイオン又はカリウムイオンが存在すると、これらのイオンが、WO 00/74131の教示に従って処理されたシリコンダイに拡散し、次いで電子デバイスの不良が生じる。したがって、ナトリウム又はカリウムを含まない電解質が好ましい。
【0029】
有用な前記電解質の非限定的な例には、硫酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、グルコン酸、水酸化ルビジウム、塩化アンモニウム、及びこれらの組合せが含まれる。一般に、電解質成分は、約1g/Lから約500g/L、より好ましくは、約5g/Lから約200g/L、最も好ましくは、約10g/Lから約50g/Lで含まれる。
【0030】
上に示されたように、本発明の耐変色・接着促進性水性処理組成物は、実質的にクロムを含まない。クロムの存在は、原料化学物質又は環境からの不可避的な汚染によってのみ生じる。本明細書では、「実質的にクロムを含まない」は、一般に、組成物の全重量に対して、約0.001重量%未満のクロムレベルを表す。クロム(VI)は、毒性のあることが示されており、環境、健康、及び安全上、不利な問題点がある。したがって、実質的にクロムを含まない本発明の組成物は、これらの不利な問題を生じることはないと考えられる。
【0031】
本発明の処理組成物は、各成分の濃度が所望のものとなるように、適量の亜鉛及び金属の化合物、並びに、任意選択の電解質を水中で混合することにより製造され得る。溶液のpHは、酸(例えば、ホウ酸、硫酸、塩酸、クエン酸、グルコン酸など)、或いは、ナトリウム又はカリウムを含んでいない塩基(例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ルビジウム、水酸化アンモニウムなど)を添加することにより、定められる。本発明の処理組成物にとって好ましいpHの範囲は約0.5から約14.0であり、より好ましいpHの範囲は約1.5から約13.5であり、最も好ましいpHの範囲は約2.5から約13.0である。さらに、本発明の組成物のpHが中性範囲(例えば、pH5〜9)にある場合、メッキ液中で金属イオンを可溶状態に保つために、クエン酸若しくはグルコン酸の塩のような錯化剤が必要であり得る。
【0032】
通常、本発明のクロムを含まない耐変色・接着促進処理組成物は、被膜を適用する公知の方法により使用され得る。例えば、材料又は基板に被膜を生成させる前に、その材料又は基板は、残留潤滑剤、オイル、埃、若しくは表面酸化物を除去するために、市販のアルカリ洗剤(alkaline cleaner)又はNaOH中で電解洗浄(electroclean)され得る。洗剤の例示的な濃度は、130°Fの浴温度で、20秒間、30asf(アンペア/平方フィート)の電流密度を用いる場合、典型的には、30g/lである。しかし、当技術分野において知られているように、如何なる所望の洗浄パラメータを用い得るであろう。洗浄後、試料は、表面を活性化させるために、5%の硫酸溶液に浸漬される。
【0033】
析出・堆積の間は、以下の条件が望ましい。析出・堆積の間、メッキ浴の温度は、好ましくは、約100から約150°F、より好ましくは、約110から約140°F、最も好ましくは、約120から約140°Fの範囲であろう。析出・堆積の間の電流密度は、好ましくは、約2から約200asf、より好ましくは、約5から約100asf、最も好ましくは、約5から約30asfの範囲であろう。析出・堆積の時間は、好ましくは、約1から200秒、より好ましくは、約2から約50秒、最も好ましくは、約2から約20秒の範囲であろう。
【0034】
材料又は基板上に析出・堆積した時、本発明の組成物は、図1(a)、1(b)、及び1(c)に示されているようにノジュラー構造を含む被膜を生成する。被膜の厚さは、析出・堆積の条件に応じて(下でより詳細に検討される)、好ましくは、約15から約500オングストロームの範囲にある。平均で、好ましくは、16平方ミクロン当たり約25から約1000個のノジュラー構造があり、最も好ましくは、平均密度は、平方ミクロン当たりノジュラー構造が約50から約500個である。各ノジュラー構造の平均長さは、好ましくは、約0.01ミクロンから約1ミクロンであり、より好ましくは、平均長さは、約0.05ミクロンから約0.5ミクロンである。好ましいアスペクト比(長さ:直径)は、好ましくは、約1:1から約8:1、より好ましくは、約2:1から約6:1である。
【0035】
ノジュラー構造のほとんどは表面から垂直に伸びているのではなく、むしろ、表面から様々な角度で伸びており、相互に絡まったメッシュを形成していると考えられる。個々のノジュラー構造の間の空隙に流入するポリマーが、隙間の曲がりくねった経路に従い、固化して、ポリマーは機械的にその場所に固定されるようである。被膜層はまたポリマーへの材料又は基板の接着を向上させる。基板表面のノジュラー構造の存在により、ノジュラー構造がない表面に比べて、ポリマー接着体の機械的固定が強化される。例えば、試料を85%RH/80〜85℃に168時間曝し、次に、約260℃のハンダでの120秒間の熱ショックに曝した後、ポリマー接着体のタイプに応じて、好ましくは1000psiを超え、より好ましくは1100〜2400psiの範囲の結合強度を得ることができる。被膜層は金属基板にしっかりと結合し、金属基板と被膜層との界面で、或いは被膜層自体の内部で剥がれる(銅酸化物被膜では通常そうである)傾向がない。本発明において記載されている耐変色ノジュラー被膜なしでは、金属とポリマーとの間の結合強度は、通常、前記のものの半分に達しない。
【0036】
被膜層は、この複合材料が保管、処理若しくは使用される間に曝され得る温度での耐酸化性を付与する。これらの温度は、通常、約250℃までである。被膜層には不連続な空隙と間隙があるが、空隙及び間隙の何れも完全に被膜層全体に広がっておらず、さもなければ、酸化部位が生じる。耐酸化性以外に、被膜層は、塩化物、硫化物及び、工業的な環境において、或いは作業者の指に見出される他の汚染物質の低濃度汚染に対する耐腐食性を付与する。
【0037】
本発明において記載されている耐変色・接着促進性被膜及び堆積方法は、如何なる導体に対しても、また電気化学的原理に基づく如何なる方法ステップにおいても適用可能である。例えば、銅及び銅合金、並びに、ニッケル、鉄、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、亜鉛、スズ、銀、パラジウム、金、チタン、カーボン、及び、電流を流すのに十分な伝導性がある他の材料又は基板を電気メッキすることができる。さらに、金属化された不導体でさえも、電気メッキされるようになり得るであろう。別の例として、リードフレーム製造工程における銀メッキの後に、この耐変色被膜を堆積させると好都合である。必要であれば、この被膜は、次の銀剥離工程(通常、銀の裏面メッキ或いは流出(spill−over)メッキを除去するために適用される)においてマスクを用いて、ワイヤボンディングが必要とされる箇所で除去され得る。別法として、ICチップの取付け及びワイヤボンディングの後で、この耐変色被膜を付けてもよい。このやり方では、ワイヤボンド部分での、この被膜の除去は不要である。
【0038】
本発明は以下の実施例により詳細に説明される。明確にそうでないと記載されない限り、全ての部及びパーセンテージは重量に基づくものであり、全ての温度はセルシウス度である。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
C110銅箔(Cu>99.9%、O<0.05%)を、市販のアルカリ洗剤中で電解洗浄して、残留潤滑剤、汚染物質、及び酸化物を表面から除去した。次に、洗浄後の銅箔を、10g/LのZnSO・7HO、10g/Lの(NHSO及び25ppmのW(タングステン、タングストケイ酸として)を含む溶液に浸漬した。0.035ftの面積に、10アンペア/平方フィート(ASF)のメッキ電流を、2秒間、5秒間及び10秒間、流した。次に、試料をすすぎ洗いし、乾燥した。図1(a)、1(b)、及び1(c)は、3つの時間で処理された表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示している。それぞれの場合に、ノジュラーモルホロジーが見られる。
【0040】
銅箔試料に、Scotch 600テープを用いるテープ試験を行った。最初に、テープをメッキ面に押し付け、次に、表面から引き離した。粘着剤(glue)がメッキ試料に残されたことが目で見て分かり、ノジュラー構造が銅箔上に析出・堆積したことが示された。
【0041】
さらに、試料を、250℃で30分間焼き付けた。焼付けの後、試料は全く酸化していなかったが、未処理部分はひどく酸化された。この結果により、析出・堆積した被膜が優れた耐変色性を付与することが示された。焼付け試料に、さらに、前記のScotch 600テープを用いるテープ試験を行った。粘着剤がメッキ試料に残されたことが目で見て分かり、やはり、銅箔表面上のノジュラー構造の存在が示された。
【0042】
(実施例2)
一方の側に純粋な銅の樹枝状晶があり、他の側に樹枝状晶がないC110銅箔試料を5wt%のHSOに30秒間浸漬して、存在する表面酸化物を全て除去した。この試料を、10g/lのZnSO・7HO、20g/lの(NHSO及び25ppmのWを含む水性メッキ組成物に、一方の表面だけを曝す固体具に取り付けて、0.104ftの面積に、10ASFのメッキ電流を5秒間流した。次に、試料をすすぎ洗いし、乾燥した。この手順を第2の試料で、反対の表面を同じ溶液とメッキ電流に曝して、繰り返した。さらに、これらの試料に、60分間の95℃/55%RH試験を行って、高温・高湿条件における長期保管のシミュレーションを行った。次に、試料を190℃で30分間焼き付けたが、全く酸化されなかった。未処理部分はひどく酸化された。被膜により優れた耐変色性が付与されたことが、これにより示された。
【0043】
(実施例3)
C110銅箔を、市販のアルカリ洗剤中で電解洗浄して、残留潤滑剤、汚染物質、及び酸化物を表面から除去した。5g/lのZnS0・7HO、3g/lのNiSO・6H0、50mlのKMnO(N/10)及び2.5ml/lのMITIQUE(1〜3%のモリブデン酸アンモニウムを含む無機酸組成物;Hubbard Hall、Waterbury、コネチカット州)を含む溶液中、0.035ftの面積に、5ASFのメッキ電流を5秒間流した。次に、試料をすすぎ洗いし、乾燥し、Scotch 600テープを用いるテープ試験を行った。最初に、テープをメッキ面に押し付け、次に、表面から引き離した。粘着剤がメッキ試料に残されたことが目で見て分かった。この結果により、ノジュラー構造が析出・堆積したことが示された。
【0044】
さらに、試料に、250℃×10分間の焼付け試験を行ったが、焼付けの後、試料は全く酸化していなかった。未処理部分はひどく酸化された。被膜により優れた耐変色性が付与されたことが、この結果により示された。
【0045】
(実施例4)
厚さが0.03インチのC7025銅箔(96.2%のCu、3.0%のNi、0.65%のSi、及び0.15%のMg)を、市販のアルカリ洗剤中で電解洗浄して、残留潤滑剤、汚染物質、及び酸化物を表面から除去した。10g/lのZnSO・7HO及び1.5ml/lのMITIQUEを含む溶液中で、0.035ftの面積に、10ASFのメッキ電流を10秒間流した。次に、試料をすすぎ洗いし、乾燥した。Scotch 600テープを用いるテープ試験により、処理表面に粘着剤が転移し、ノジュラー表面、すなわち粗な表面が得られたことが示された。さらなる試料をメッキし、Sumicon 6300モールディングコンパウンドを用いて封止し、168時間、85%RH/85℃の加湿試験(Testing Standard IPC/JEDEC J−STD−020Aに記載されている)を行った。試験後、試料を約260℃で120秒間、ハンダに浮かせ、引張り試験で接着強度を測定した(封止された金属試料をモールドコンパウンドから引き離し、その分離力を、Instron引張試験機を用いて記録した)。温度/湿気に曝されなかった試料と比較して、結合強度の低下はほとんど起こってないことが見出された。比較として、ノジュラー化処理を行っていない試料では、一般的に結合強度はその元の値の50%以下になった。
【0046】
(実施例5)
C110銅箔を、市販のアルカリ洗剤中で電解洗浄して、残留潤滑剤、汚染物質、及び酸化物を表面から除去した。10g/lのZnSO・7HO及び45ppmのMoOを含む溶液中で、0.035ftの面積に、10ASFのメッキ電流を10秒間流した。次に、試料をすすぎ洗いし、乾燥し、Scotch 600テープを用いるテープ試験を行った。最初に、テープをメッキ表面に押し付け、次に、テープを表面から引き剥がした。粘着剤がメッキ試料に残されたことが目で見て分かった。この結果により、ノジュラー構造が析出・堆積したことが示された。
【0047】
さらに、試料に、250℃×10分間の焼付け試験を行ったが、焼付けの後、試料は全く酸化していなかった。未処理部分はひどく酸化された。被膜により優れた耐変色性が付与されたことが、この結果により示された。
【0048】
(実施例6)
厚さが0.03インチのC7025銅箔を、市販のアルカリ洗剤中で電解洗浄して、残留潤滑剤、汚染物質、及び酸化物を表面から除去した。10g/lのZnSO・7HO及び30ppmのMo(モリブデン酸として)を含む溶液中で、0.035ftの面積に、10ASFのメッキ電流を10秒間流した。次に、試料をすすぎ洗いし、乾燥し、Scotch 600テープを用いるテープ試験を行った。テープ試験により、粘着剤が処理表面に転移し、ノジュラー表面、すなわち粗な表面が得られたことが示された。さらなる試料をメッキし、Sumicon 6300及びShinetsu KMC−289−3ECSモールディングコンパウンドを用いて封止し、168時間、85%RH/85℃の加湿試験(IPC/JEDEC J−STD−020Aに記載されている)を行った。試験後、試料を約260℃で120秒間、ハンダに浮かせ、接着強度を測定した。図2に示すように、温度/湿気に曝されなかった試料と比較して、結合強度の低下はほとんど起こってないことが見出された。
【0049】
(実施例7)
厚さが0.03インチのC7025銅箔を、市販のアルカリ洗剤中で電解洗浄して、残留潤滑剤、汚染物質、及び酸化物を表面から除去した。15g/lのZnSO・7HO、15g/lの(NHSO、及び25ppmのW(タングストケイ酸として)を含む溶液中で、0.035ftの面積に、10ASFのメッキ電流を5秒間流した。次に、試料をすすぎ洗いし、乾燥し、Scotch 600テープを用いるテープ試験を行った。最初に、テープをメッキ表面に押し付け、次に、テープを表面から引き剥がした。粘着剤がメッキ試料に残されたことが目で見て分かった。この結果により、ノジュラー構造が析出・堆積したことが示された。
【0050】
さらに、試料に、250℃×10分間の焼付け試験を行ったが、焼付けの後、試料は全く酸化していなかった。未処理部分はひどく酸化された。被膜により優れた耐変色性が付与されたことが、この結果により示された。
【0051】
さらなる試料をメッキし、Sumicon 6300及びShineto KMC−289−3ECSモールディングコンパウンドを用いて封止し、168時間、85%RH/85℃の加湿試験(IPC/JEDEC J−STD−020Aに記載されている)を行った。試験後、試料を約260℃で120秒間、ハンダに浮かせ、接着強度を測定した。図2に示すように、温度/湿気に曝されなかった試料と比較して、結合強度の低下は全く起こってないことが見出された。
【0052】
(実施例8)
厚さが0.03インチのC7025銅箔を、市販のアルカリ洗剤中で電解洗浄して、残留潤滑剤、汚染物質、及び酸化物を表面から除去した。12.5g/lのNaOH、2.25g/lの亜鉛、及び0.65g/lのWを含む溶液中で、0.035ftの面積に、5ASFのメッキ電流を4秒間流した。次に、試料をすすぎ洗いし、乾燥した。試料に、Scotch 600テープを用いるテープ試験を行った。最初に、テープをメッキ表面に押し付け、次に、テープを表面から引き剥がした。粘着剤がメッキ試料に残されたことが目で見て分かった。この結果により、ノジュラー構造が析出・堆積したことが示された。
【0053】
さらに、試料に、250℃×30分間の焼付け試験を行ったが、焼付けの後、試料は全く酸化していなかった。未処理部分はひどく酸化された。被膜により優れた耐変色性が付与されたことが、この結果により示された。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1(a)】2秒間のメッキ時間で、本発明の組成物と方法により処理された表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図1(b)】5秒間のメッキ時間で、本発明の組成物と方法により処理された表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図1(c)】10秒間のメッキ時間で、本発明の組成物と方法により処理された表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図2】様々な表面処理及びモールドコンパウンドと処理された表面との間の結合強度へのそれらの効果を示す棒グラフである。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛イオン;
タングステンイオン、モリブデンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、ジルコニウムイオン、チタンイオン、マンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、スズイオン、インジウムイオン、銀イオン、及びこれらの組合せからなる群から選択される金属イオン;並びに
任意選択で、カリウムイオン又はナトリウムイオンを含んでいない電解質;
を含み、
実質的にクロムを含まず、材料へのポリマーの接着を向上させる被膜を前記材料上に生成することができる、耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項2】
前記亜鉛イオンが亜鉛塩に由来する請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項3】
前記亜鉛塩が、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、ホウフッ化亜鉛、酢酸亜鉛、これらの水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項2に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項4】
前記亜鉛イオンが、約0.1g/Lから約100g/Lで含まれる請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項5】
前記亜鉛イオンが、約0.5g/Lから約50g/Lで含まれる請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項6】
前記亜鉛イオンが、約0.5g/Lから約20g/Lで含まれる請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項7】
前記金属イオンが、対応する金属塩又は金属酸に由来する請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項8】
前記金属塩が、硫酸ニッケル、モリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン、カマンガン酸カリウム、硫酸マンガン、これらの水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項7に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項9】
前記金属酸が、モリブデン酸、タングステン酸、タングストケイ酸からなる群から選択される請求項7に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項10】
前記金属イオンが、モリブデン及びタングステンからなる群から選択される請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項11】
前記金属イオンが、前記処理組成物の全部分に対して、約5から約20,000ppmで含まれる請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項12】
前記金属イオンが、前記処理組成物の全部分に対して、約15から約2,000ppmで含まれる請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項13】
前記金属イオンが、前記処理組成物の全部分に対して、約25から約300ppmで含まれる請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項14】
前記の任意選択の電解質が、硫酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、グルコン酸、水酸化ルビジウム、塩化アンモニウム、及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項15】
前記電解質が、約1g/Lから約500g/Lで含まれる請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項16】
前記電解質が、約5g/Lから約200g/Lで含まれる請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項17】
前記電解質が、約10g/Lから約50g/Lで含まれる請求項1に記載の耐変色・接着促進性水性処理組成物。
【請求項18】
亜鉛若しくは酸化亜鉛の原子;並びに
タングステン、モリブデン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、チタン、マンガン、バナジウム、鉄、スズ、インジウム、銀、及びこれらの組合せからなる群から選択される金属若しくは金属酸化物の原子;
を含み、
実質的にクロムを含まず、250℃にて少なくとも30分間の耐変色性を付与し、材料へのポリマーの接着を向上させるノジュラー構造を含む耐変色・接着処理被膜により被覆された材料。
【請求項19】
前記材料が、銅、銅合金、ニッケル、鉄、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、亜鉛、スズ、銀、パラジウム、金、チタン、カーボン、金属化された不導体、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む請求項18に記載の被覆された材料。
【請求項20】
前記基板上の前記被膜の厚さが、約15から約500オングストロームの範囲である請求項18に記載の被覆された材料。
【請求項21】
前記被膜が、16平方ミクロン当たり、約25から約1000個の前記ノジュラー構造を含む請求項18に記載の被覆された材料。
【請求項22】
個々の前記ノジュラー構造が、約0.01ミクロンから約1ミクロンの範囲の平均長さと、約1:1から約8:1のアスペクト比(長さ:直径)とを有する請求項18に記載の被覆された材料。
【請求項23】
被覆された基板を含む請求項18に記載の被覆された材料。
【請求項24】
電子デバイスを含む請求項23に記載の基板。
【請求項25】
デバイス/リードフレームのアセンブリを含む請求項23に記載の基板。
【請求項26】
前記の向上した接着が、前記の被覆された基板を85%RH/80〜85℃に168時間曝し、次に、約260℃のハンダでの120秒間の熱ショックに曝した後で、1000psiを超える接着を備える請求項18に記載の被覆された材料。
【請求項27】
亜鉛イオン;
タングステンイオン、モリブデンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、ジルコニウムイオン、チタンイオン、マンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、スズイオン、インジウムイオン、銀イオン、及びこれらの組合せからなる群から選択される金属イオン;並びに
任意選択で、カリウムイオン又はナトリウムイオンを含んでいない電解質;
を含み、実質的にクロムを含まない耐変色・接着促進性水性処理組成物と材料を接触させるステップ;並びに
前記耐変色・接着促進性被膜を前記材料上に析出・堆積させる条件の下で前記処理組成物に電流を流して、前記材料へのポリマーの接着を向上させる前記耐変色・接着促進性被膜により被覆された前記材料を生成させるステップ;
を含む、耐変色・接着促進性被膜により被覆された材料を生成させる方法。
【請求項28】
前記材料が、銅、銅合金、ニッケル、鉄、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、亜鉛、スズ、銀、パラジウム、金、チタン、カーボン、金属化された不導体、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記条件が、約100から約150°Fの範囲の温度を含む請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記電流が、約2から約200asfの範囲である請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記条件が、約1から約200秒の範囲の析出・堆積時間を含む請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記亜鉛イオンが、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、ホウフッ化亜鉛、酢酸亜鉛、これらの水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される亜鉛塩に由来する請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記亜鉛イオンが、約0.1g/Lから約100g/Lで含まれる請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記金属イオンが、硫酸ニッケル、モリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン、過マンガン酸カリウム、これらの水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される対応する金属塩;或いは、モリブデン酸、タングステン酸、タングストケイ酸、及びこれらの組合せからなる群から選択される金属酸;に由来する請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記金属イオンが、前記処理組成物の全部分に対して、約5から約20,000ppmで含まれる請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記電解質が、硫酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、グルコン酸、水酸化ルビジウム、塩化アンモニウム、及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記電解質が、約1g/Lから約500g/Lで含まれる請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記基板上の前記被膜の厚さが、約15から約500オングストロームの範囲である請求項27に記載の方法。
【請求項39】
被覆された基板が、16平方ミクロン当たり、約25から約1000個の前記ノジュラー構造を含む請求項27に記載の方法。
【請求項40】
前記ノジュラー構造が、それぞれ、約0.01ミクロンから約1ミクロンの範囲の平均長さと、約1:1から約8:1のアスペクト比(長さ:直径)とを有する請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記材料が基板を含む請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記基板が電子デバイスを含む請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記基板がデバイス/リードフレームのアセンブリを含む請求項41に記載の方法。

【図2】
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【公表番号】特表2007−508448(P2007−508448A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525381(P2006−525381)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2004/028188
【国際公開番号】WO2005/021836
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506071210)オリン コーポレイション (12)
【Fターム(参考)】