クロルフェニラミンマレイン酸塩を含有する安定なフィルム製剤

【課題】クロルフェニラミンマレイン酸塩の薬効が持続し、且つ保存安定性に優れたフィルム製剤の提供。
【解決手段】クロルフェニラミンマレイン酸塩、水溶性フィルム形成剤及び抗酸化剤を含有することを特徴とするフィルム製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロルフェニラミンマレイン酸塩を含有するフィルム製剤に関し、詳しくは、クロルフェニラミンマレイン酸塩の薬効が持続し、且つ保存安定性に優れたフィルム製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
クロルフェニラミンマレイン酸塩は、ヒスタミン受容体拮抗薬の一つとして知られ、その薬理作用から、かゆみや炎症の抑制に広く使用されている。例えば、風邪によるくしゃみや鼻づまり、湿疹、蕁麻疹、皮膚炎、アレルギー症状等の予防・治療を目的に、総合感冒薬や抗アレルギー作用を謳った点眼薬等に配合されている。なかでも、市販されているアレルギー用点眼薬には、その殆どにクロルフェニラミンマレイン酸塩が配合されている。しかし、クロルフェニラミンマレイン酸塩のみを有効成分として配合しているものは、安価であるが作用が弱く、効果の持続性が悪いという欠点がある。一方で、クロルフェニラミンマレイン酸塩以外の抗アレルギー薬やステロイド剤を併用したものが上市されているが、経済性や副作用の観点から好ましいものではない。
【0003】
現在、眼科用医薬製剤として最も汎用されている剤型は液体点眼薬である。一般的に、液体点眼薬の投与は、眼球部に適量の点眼液を滴下することによりなされる。滴下された点眼液は、まず結膜嚢に貯留され、その後結膜上皮又は角膜上皮に浸透し、眼内に移行する。結膜上皮に吸収された薬物は、さらに強膜を拡散して眼内に到達する。また、角膜上皮に吸収された薬物はまず角膜実質を通り、前房に至り、さらに虹彩や水晶体に到達する。またその一部は、虹彩根部より毛様体間質、さらに後ろの脈絡膜へと流れて行く房水の流れにより毛様体、さらに後方の視神経乳頭部にまで到達する(非特許文献1)。
通常、点眼薬の角膜内部への移行率は、薬物の総投与量の数パーセント以下である。また、角膜上皮は脂溶性の薬物との親和性が高いため、水溶性の薬物の場合は脂溶性の薬物と比べ角膜透過率が低下する。よって、水溶性薬物を有効成分として配合している点眼薬は、その薬物利用率も低いということになる。点眼後、利用されなかった大半の薬物は、涙液と混ざり体外に流れ落ちて失われるか、涙点から鼻涙管を通って鼻腔粘膜又は咽頭粘膜に到達し、そこで吸収され全身循環に入ることが知られている。
【0004】
このように、液体点眼薬、特にクロルフェニラミンマレイン酸塩等の水溶性薬物を含む液体点眼薬では、大半の薬物が眼内で利用されていないのが実情である。
この問題を克服するために、液体点眼薬中の薬物濃度を高め、薬物の眼内移行を増強させることが考えられるが、鼻涙管を通って鼻や喉の粘膜で高濃度の薬物が吸収され全身循環に入った場合、副作用が強く現れる恐れがあるため、好ましい対処法とはいえない。
薬物の眼における薬効を効率よく発揮させるためには、目的とする部位に、目的とする濃度で、目的とする時間、薬物を暴露する必要がある。しかし、通常の液体点眼薬ではこれをコントロールすることは難しい。加えて、液体点眼薬には、点眼液の差し過ぎや、失敗、瞬きによる薬物の流出等の問題もある。
【0005】
そのため、これら液体点眼薬の諸問題を克服するために、点眼液をゲル、フィルム又は埋め込み製剤にすることが提案されている。
例えば、眼から薬物が流出することを防止するため、又は薬効を延長するために、点眼液に高分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロース又はメチルセルロースを添加した水溶性レバミピド含有懸濁性ハイドロゲル(特許文献1)、パクリタキセル、水溶性フィルム形成ポリマー及び150〜4000の分子量を有する脂肪酸グリセリド又は脂肪酸エステルを配合した眼への薬物送達に適したフィルム組成物(特許文献2)、1回の眼内投与で眼内における薬物濃度を所要の期間維持させるために、ポリ乳酸中に抗炎症剤又は細胞増殖抑制剤を均一に分散し成形したことを特徴とする短棒状の徐放性眼内埋め込み用製剤(特許文献3)、通常の点眼液にゲル化剤としてカルボキシビニルポリマーを配合し、デキサメタゾンリン酸二水素二ナトリウムの耐久性を改良した眼科用製剤(特許文献4)、点眼液にメチルセルロース及びポリエチレングリコールを配合し、点眼後に体内でゲル化するように調製されたレボフロキサシン含有熱ゲル化抗菌性水性医薬組成物(特許文献5)等が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−536940号公報
【特許文献2】特開2005−533106号公報
【特許文献3】特開平5−17370号公報
【特許文献4】特表2001−518510号公報
【特許文献5】国際公開第2002/011734号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】CLINICAN’96 No.453 80−81
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フィルム製剤は、投与が簡便で、確実に薬物を患部に投与することができ、また、別の部位に薬物が移送されるリスクが少ないため、薬物利用率の向上及び副作用軽減の観点から好ましい製剤である。本発明者らが検討したところ、水溶性フィルム形成剤を基剤とするフィルム製剤にクロルフェニラミンマレイン酸塩を含有させると、通常の点眼液よりもクロルフェニラミンマレイン酸塩が徐放的に放出されることを見出した。
しかしながら、その保存中、特に高温条件下で保存すると、経時的にクロルフェニラミンマレイン酸塩の含量が低下し、安定性に課題があることが判明した。
本発明は、斯かる実情に鑑み、クロルフェニラミンマレイン酸塩の薬効が持続し、且つ保存安定性に優れたフィルム製剤を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討したところ、フィルム製剤に抗酸化剤を含有させれば、経時的なクロルフェニラミンマレイン酸塩の含量低下が抑制され、安定性に優れたクロルフェニラミンマレイン酸塩含有製剤とすることができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、クロルフェニラミンマレイン酸塩、水溶性フィルム形成剤及び抗酸化剤を含有することを特徴とするフィルム製剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クロルフェニラミンマレイン酸塩の薬効が持続し、且つ保存安定性に優れたフィルム製剤を提供することができる。本発明のフィルム製剤を眼に適用すれば、通常の液体点眼薬を用いるよりも、目的とする患部で持続的にクロルフェニラミンマレイン酸塩の薬理作用を発揮させ、例えば、花粉症や各種アレルギー症状に伴う眼のかゆみ、炎症、結膜炎等に対して長時間の有効性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】フィルム製剤の保存安定性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に用いるクロルフェニラミンマレイン酸塩とは、IUPAC名で3−(4−chlorophenyl)−N,N−dimethyl−3−pyridin−2−yl−propan−1−amine monomaleateと表記される化合物である。その立体化学の特性上、d体、l体及びdl体が存在するが、それらのいずれも本発明に包含される。
【0014】
本発明のフィルム製剤におけるクロルフェニラミンマレイン酸塩の含有量は、特に制限はないが、製剤全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましく、0.6〜7質量%がさらに好ましい。
【0015】
本発明に用いる水溶性フィルム形成剤とは、水と接触すると溶解又は粘稠な液となるか、或いは膨潤してヒドロゲルを形成する性質を有し、乾燥状態ではフィルムを形成する性質を有する高分子である。
水溶性フィルム形成剤としては、例えば、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸又はその塩、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、デンプン、トラガントゴム、キサンタンゴム、コラーゲン、ゼラチン、ガラクトマンナン、糖タンパク質、プロテオグリカン、グルコサミノグリカン、ポリビニルアルコール、又は水溶性セルロース誘導体等が挙げられる。
水溶性セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はそれらの塩が挙げられる。
本発明に用いる水溶性フィルム形成剤としては、透明で均一な膜を形成させることができる点から、水溶性セルロース誘導体が好ましく、なかでもヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
これらの水溶性フィルム形成剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
ヒドロキシプロピルセルロースは、公知の方法により製造してもよいし、市販のものを使用してもよい。市販品としてはHPC−SSL、HPC−SL、HPC−L、HPC−M、HPC−H、HPC−SFP(以上、日本曹達製)等が挙げられる。
ヒドロキシプロピルセルロースにおける置換度は、特に限定されず所望の置換度のものを得ることができるが、ヒドロキシプロポキシル基を53〜78%含むものが好ましい。また、ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は、特に制限はないが、例えば、20℃における2%水溶液の動粘度(第15改正日本薬局方)が1000〜4000mPa・sであるものが好ましい。
【0017】
本発明のフィルム製剤における水溶性フィルム形成剤の含有量は、特に制限はないが、製剤全量に対して85〜98.5質量%が好ましく、90〜98.5質量%がより好ましく、92.5〜97.5質量%がさらに好ましい。
【0018】
本発明に用いる抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸又はその誘導体、クエン酸等の有機酸、βカロチン、リコピン、ルティン、アスタキサンチン等のカロテノイド、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、酢酸d‐α‐トコフェロール、酢酸dl‐α‐トコフェロール、コハク酸d‐α‐トコフェロール、コハク酸dl‐α‐トコフェロール等のトコフェロール類、ローズマリーエキス等のハーブエキス、カテキン、サポニン、フラボノイド、又はアントシアニン等のポリフェノール類が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なかでも、クロルフェニラミンマレイン酸塩の安定化の点から、クエン酸等の有機酸、又はトコフェロール類が好ましく、クエン酸、酢酸d‐α‐トコフェロール、又は酢酸dl‐α‐トコフェロールがより好ましい。有機酸は、塩、無水物、水和物のいずれでもよいが、水和物が好ましい。
【0019】
本発明のフィルム製剤における抗酸化剤の含有量は、その種類によって相違するものの、通常、製剤全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、1〜4質量%がさらに好ましい。
【0020】
本発明のフィルム製剤における水溶性フィルム形成剤と抗酸化剤の含有質量比(水溶性フィルム形成剤/抗酸化剤)は、配合したクロルフェニラミンマレイン酸塩の加温保存時の安定性の点から、10〜1000が好ましく、20〜200がより好ましく、25〜100がさらに好ましい。
【0021】
本発明のフィルム製剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてクロルフェニラミンマレイン酸塩以外の他の有効成分を配合することができる。
他の有効成分としては、例えば、クロモグリク酸ナトリウム、プラノプロフェン、テトラヒドロゾリン塩酸塩、グリチルリチン酸ジカリウム、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム、アズレンスルホン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウムマグネシウム、ビタミンB2、活性型ビタミンB2、ビタミンB6、パンテノール、ビタミンB12、ビタミンE、タウリン、ネオスチグミンメチル硫酸塩、イプシロンアミノカプロン酸塩、ナファゾリン塩酸塩、アラントイン、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、ケトチフェンフマル酸塩、又はレバミピド等が挙げられる。
【0022】
また、本発明のフィルム製剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてpH調節剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、又は清涼化剤等の任意成分を配合することができる。
pH調節剤としては、例えば、塩酸、ホウ酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、又はリン酸二水素カリウム等が挙げられる。
【0023】
安定化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、又はエデト酸ナトリウム等が挙げられる。
【0024】
防腐剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ホウ酸、又はホウ砂等が挙げられる。
【0025】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、又はモノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0026】
清涼化剤としては、例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、又はケイヒ油等が挙げられる。
【0027】
本発明のフィルム製剤の製造方法に特に制限はなく、公知慣用の製造方法に従って製造することができる。具体的には、以下の製造方法<製法1>〜<製法4>が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
<製法1>
クロルフェニラミンマレイン酸塩、水溶性フィルム形成剤、カルボキシビニルポリマー、さらに必要に応じて任意成分を適切な溶媒中で均一に混合し、フィルム製剤用混合溶液を調製する。これを塗工機で展延、乾燥後、目的の形状・サイズに切り出してフィルム製剤とする。
【0028】
<製法2>
ガラス等の平板上に穴を空けたシリコンコートを設置し、その穴に製法1と同様の手順で調製したフィルム製剤用混合溶液を滴下し、乾燥させることによりフィルム製剤とする。
【0029】
<製法3>
製法1と同様の手順で調製したフィルム製剤用混合溶液を、ガラス等の平板に載せたシリコンコートの枠に滴下し、乾燥後、目的のサイズの穴あきパンチ等で切り抜くことによりフィルム製剤とする。
【0030】
<製法4>
製法1と同様の手順で調製したフィルム製剤用混合溶液を適量計り取り、ガラス等の平板上に滴下し、乾燥させることによりフィルム製剤とする。
【0031】
<製法1>〜<製法4>におけるフィルム製剤用混合溶液の溶媒としては、フィルム製剤の配合成分を溶解又は均一に分散させるものであれば特に制限されないが、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、又はこれらの混液を使用することが好ましい。
【0032】
また、フィルム製剤用混合溶液において、クロルフェニラミンマレイン酸塩、水溶性フィルム形成剤及びカルボキシビニルポリマーの合計濃度は、特に制限されるものではないが、フィルム製剤用混合溶液全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜8質量%がより好ましく、0.5〜6質量%がさらに好ましい。
【0033】
また、このフィルム製剤用混合溶液には、上記と同様のpH調節剤を添加してもよい。このフィルム製剤用混合溶液のpH(25℃)は、4.5〜9.5が好ましく、5〜9がより好ましく、5.5〜8.5がさらに好ましい。
【0034】
本発明のフィルム製剤は、医薬製剤として使用される。フィルム製剤の適用部位は特に限定されるものではないが、本発明の効果が有効に発揮される点から、眼に適用することが好ましい。
本発明のフィルム製剤を眼科用フィルム製剤として使用する場合は、目の疲れ、目のかすみ(目やにの多いとき等)、目のかゆみ、眼の充血(結膜充血等)、眼瞼炎(まぶたのただれ)、なみだ目、ものもらい、結膜炎(はやり目)、紫外線その他の光線による眼炎(雪目等)、眼病予防(水泳のあと、ほこりや汗が目に入ったとき等)、ハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感の改善、又は異物感(コロコロする感じ)の改善等に好ましく適用できる。
【0035】
本発明のフィルム製剤の厚さ、1枚辺りの面積及び形状は特に限定されるものではないが、眼科用フィルム製剤として使用する場合、最終的に厚さ0.01mm〜0.5mmのフィルムとするのが好ましく、1枚辺りの面積を20mm2〜35mm2にするのが好ましい。形状としては、例えば、正方形、長方形、ひし形、楕円形、円形、半円形、又は三日月形等を採用することができる。
【0036】
本発明のフィルム製剤におけるクロルフェニラミンマレイン酸塩残存率は、例えば、60℃条件下で4週間保存した場合、少なくとも85%以上、好ましくは90%以上である。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0038】
実施例1
メタノール90g中にクロルフェニラミンマレイン酸塩0.135g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)4.0g、及びクエン酸水和物0.1gを混合し、均一になるまで撹拌した。次いで、この混合溶液を撹拌しながら1N水酸化ナトリウムを加えてpHを8.0に調整し、さらにメタノールを加えて全量を100gとし、フィルム製剤用混合溶液を得た。
得られたフィルム製剤用混合溶液を、マイクロピペットを用いてスライドガラス上に75μLずつドロップし、40℃で2時間乾燥後、本発明のフィルム製剤(平均薬物含量:0.0764mg/sheet、n=10)を得た。
【0039】
実施例2
クエン酸水和物の代わりに酢酸dl‐α‐トコフェロール0.1gを用いた以外は実施例1と同様にして本発明のフィルム製剤(平均薬物含量:0.0764mg/sheet、n=10)を得た。
【0040】
比較例1
メタノール90g中にクロルフェニラミンマレイン酸塩0.135g、及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)4.0gを混合し、均一になるまで撹拌した。次いで、この混合溶液を撹拌しながら1N水酸化ナトリウムを加えてpHを8.0に調整し、さらにメタノールを加えて全量を100gとし、フィルム製剤用混合溶液を得た。
得られたフィルム製剤用混合溶液を、マイクロピペットを用いてスライドガラス上に75μLずつドロップし、40℃2時間乾燥後、フィルム製剤(平均薬物含量:0.0743mg/sheet、n=10)を得た。
【0041】
試験例1(熱安定性試験)
実施例1、2及び比較例1で得られたフィルム製剤それぞれについて、60℃保存条件下での含量安定性試験を実施した。
フィルム製剤をガラス瓶に入れ、60℃で1〜4週間保存した後、クロルフェニラミンマレイン酸塩残存率を求めた。クロルフェニラミンマレイン酸塩残存率はHPLC法で測定した。
【0042】
図1より、フィルム基剤に抗酸化剤を配合すれば60℃で4週間保存した場合であってもクロルフェニラミンマレイン酸塩の経時的な含量低下が抑えられることがわかった。一方、抗酸化剤を配合しない比較例1のフィルム製剤の場合、60℃4週間保存後の残存率は84%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロルフェニラミンマレイン酸塩、水溶性フィルム形成剤及び抗酸化剤を含有することを特徴とするフィルム製剤。
【請求項2】
水溶性フィルム形成剤が水溶性セルロース誘導体である請求項1記載のフィルム製剤。
【請求項3】
水溶性セルロース誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項2記載のフィルム製剤。
【請求項4】
抗酸化剤がクエン酸、酢酸d‐α‐トコフェロール及び酢酸dl‐α‐トコフェロールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項記載のフィルム製剤。
【請求項5】
眼科用フィルム製剤である請求項1〜4のいずれか1項記載のフィルム製剤。
【請求項6】
クロルフェニラミンマレイン酸塩及び水溶性フィルム形成剤を含有するフィルム製剤に、抗酸化剤を含有させることを特徴とする、該フィルム製剤におけるクロルフェニラミンマレイン酸塩の安定化方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−103917(P2013−103917A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250050(P2011−250050)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】