説明

クーリングモジュール

【課題】沸騰冷却器専用の送風機を廃止することができるクーリングモジュールを提供する。
【解決手段】車両に搭載される冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換させるコンデンサ1と、パワーカード3と熱媒体との熱交換により熱媒体を沸騰気化させることでパワーカード3を冷却する蒸発部21と、熱媒体と空気との熱交換により熱媒体を凝縮させることで熱媒体の熱を空気に放熱する凝縮部22とを有する沸騰冷却器2と、コンデンサ1および凝縮部22の双方に空気を送風する送風機4とを備え、コンデンサ1および凝縮部22を、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置された状態で一体化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器と、冷却対象物で発生する熱により熱媒体を沸騰させて冷却対象物から吸熱する沸騰冷却器とを備えるクーリングモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるパワーカードやインバータ素子等の冷却対象物を冷却するために、冷却対象物で発生する熱により熱媒体を沸騰させて冷却対象物から吸熱する沸騰冷却器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この沸騰冷却器は、内部に熱媒体を収容するとともに外部に冷却対象物が取り付けられた熱媒体槽、熱媒体槽の上部に設けられるとともに熱媒体槽で蒸発した熱媒体を冷却液化する凝縮部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3487382号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の従来技術では、沸騰冷却器の凝縮部は、熱媒体と空気との熱交換により熱媒体を凝縮させるように構成されている。したがって、車両に搭載されているコンデンサ等の熱交換器に空気を供給する送風機とは別に、凝縮部に空気を供給するための沸騰冷却器専用の送風機が必要となるため、部品点数が増大して、コストアップに繋がる。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、沸騰冷却器専用の送風機を廃止することができるクーリングモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車両に搭載される冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器(1)と、冷却対象物(3)と熱媒体との熱交換により熱媒体を沸騰気化させることで冷却対象物(3)を冷却する蒸発部(21)と、熱媒体と空気との熱交換により熱媒体を凝縮させることで熱媒体の熱を空気に放熱する凝縮部(22)とを有する沸騰冷却器(2)と、熱交換器(1)および凝縮部(22)の双方に空気を送風する送風機(4)とを備え、熱交換器(1)および凝縮部(22)は、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置された状態で一体化されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、送風機(4)により熱交換器(1)および凝縮部(22)の双方に空気を送風することができるので、沸騰冷却器(2)専用の送風機を廃止することができる。
【0008】
また、熱交換器(1)および凝縮部(22)を、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置された状態で一体化することで、熱交換器(1)および凝縮部(22)の双方に、送風空気を直接供給することができる。
【0009】
すなわち、熱交換器(1)および凝縮部(22)を、送風空気の流れ方向に対して直列的に配置された状態で一体化した場合、熱交換器(1)および凝縮部(22)のうち一方には、他方と熱交換することにより昇温された空気が供給されることになる。これに対し、熱交換器(1)および凝縮部(22)を、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置された状態で一体化することで、熱交換器(1)および凝縮部(22)の双方に、昇温されていない比較的低温な空気を供給することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、車両に搭載される冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器(1)と、車両に搭載される電子部品(3)と熱媒体との熱交換により熱媒体を沸騰気化させることで電子部品(3)を冷却する蒸発部(21)と、熱媒体と空気との熱交換により熱媒体を凝縮させることで熱媒体の熱を空気に放熱する凝縮部(22)とを有する沸騰冷却器(2)と、熱交換器(1)および凝縮部(22)の双方に空気を送風する送風機(4)とを備え、熱交換器(1)および凝縮部(22)は、送風空気が蒸発部(21)を迂回して流れるように一体化されていることを特徴とする。
【0011】
これによれば、送風機(4)により熱交換器(1)および凝縮部(22)の双方に空気を送風することができるので、沸騰冷却器(2)専用の送風機を廃止することができる。
【0012】
また、熱交換器(1)および凝縮部(22)を、送風空気が蒸発部(21)を迂回して流れるように一体化することで、電子部品(3)に直接送風空気が当たらないようにできるので、電子部品(3)に水が付着することを抑制できる。すなわち、電子部品(3)を水から保護しながら電子部品(3)を冷却することが可能となる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のクーリングモジュールにおいて、沸騰冷却器(2)は、蒸発部(21)で沸騰した熱媒体を凝縮部(22)に導く蒸気通路(23)と、凝縮部(22)で凝縮した熱媒体を蒸発部(21)に導く凝縮液通路(24)とを有しており、蒸気通路(23)および凝縮液通路(24)の少なくとも一方が、一体化された熱交換器(1)および凝縮部(22)の最外側に配置されていることを特徴とする。
【0014】
これによれば、蒸気通路(23)および凝縮液通路(24)の少なくとも一方を、熱交換器(1)から離れた位置に配置することができるので、蒸気通路(23)および凝縮液通路(24)の少なくとも一方に熱交換器(1)から熱が伝達することを抑制できる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のクーリングモジュールにおいて、熱交換器(1)において送風空気と冷媒とを熱交換させる熱交換器側熱交換コア部(113)の面積は、凝縮部(22)において送風空気と熱媒体とを熱交換させる凝縮部側熱交換コア部(223)の面積よりも大きいことを特徴とする。
【0016】
これによれば、必要性能に応じた熱交換器(1)および沸騰冷却器(2)を備えるクーリングモジュールを容易に提供することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のクーリングモジュールにおいて、凝縮部(22)は、熱媒体が流通する熱媒体通路を形成する複数の凝縮側チューブ(221)と、複数の凝縮側チューブ(221)の両端側に配置されて熱媒体の集合あるいは分配を行う一対の凝縮側ヘッダタンク(224、225)とを有しており、凝縮側チューブ(221)は、その長手方向が鉛直方向に平行な向きとなるように車両に搭載されており、凝縮側ヘッダタンク(224、225)は、その長手方向が水平方向と一致するように、車両に搭載されていることを特徴とする。
【0018】
これによれば、凝縮側チューブ(221)内部において凝縮した熱媒体を、重力により容易に凝縮側ヘッダタンク(225)に集合させることができる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のクーリングモジュールにおいて、蒸発部(21)および凝縮部(22)は、鉛直方向において直列に配置されており、熱交換器(1)の鉛直方向の長さは、蒸発部(21)の鉛直方向の長さおよび凝縮部(22)の鉛直方向の長さの合計と等しいことを特徴とする。
【0020】
これによれば、一体化した熱交換器(1)および凝縮部(22)の構造体から蒸発部(221)が突出して配置されることを防止できる。このため、クーリングモジュールの配置スペースを縮小することが可能となる。
【0021】
また、請求項7に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のクーリングモジュールにおいて、内部に冷媒が流通する熱交換側チューブ(111)と、内部に熱媒体が流通する凝縮側チューブ(221)と、熱交換側チューブ(111)および凝縮側チューブ(221)を積層配置して構成されて、冷媒と空気とを熱交換させるとともに、熱媒体と空気とを熱交換させる熱交換部(70)とを有しており、蒸発部(21)は、熱交換部(70)の鉛直方向下側に配置されていてもよい。
【0022】
また、請求項8に記載の発明のように、請求項7に記載のクーリングモジュールにおいて、さらに、蒸発部(21)で沸騰した熱媒体を凝縮側チューブ(221)の入口側に導く蒸気通路(23)を備え、蒸気通路(23)は、熱交換部(70)における熱交換側チューブ(111)および凝縮側チューブ(221)の積層方向最外側に設けられていてもよい。
【0023】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態のクーリングモジュールを車両前方側からみた正面図である。
【図2】図1のクーリングモジュールの模式的な断面図である。
【図3】第2実施形態のクーリングモジュールを車両前方側からみた正面図である。
【図4】図3のクーリングモジュールの模式的な断面図である。
【図5】第3実施形態のクーリングモジュールを車両前方側からみた正面図である。
【図6】図5のクーリングモジュールの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0026】
(第1実施形態)
本実施形態のクーリングモジュールは車両用であり、このクーリングモジュールは、通常、エンジン(内燃機関)を走行用駆動源とする車両の前端部に搭載されるものである。図1に本第1実施形態のクーリングモジュールを車両前方側からみた正面図を示し、図2に図1のクーリングモジュールの模式的な断面図を示す。なお、各図に示す上下前後等の方向は車両搭載時の方向を示している。
【0027】
図1、2に示すように、クーリングモジュールは、車両に搭載される冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器としてのコンデンサ1と、冷却対象物としてのパワーカード3を冷却する蒸発部21および凝縮部22を有する沸騰冷却器2と、コンデンサ1および沸騰冷却器2の凝縮部22の双方に空気を送風する電動式の送風機4と、送風機4を保持するとともに、送風機4により誘起される空気流がコンデンサ1および凝縮部22の双方に流れるように空気流をガイドするシュラウド5とを備えている。
【0028】
コンデンサ1は、冷媒と空気とを熱交換させて冷媒を過冷却域まで冷却する、いわゆるサブクールコンデンサである。
【0029】
図1に示すように、コンデンサ1は、冷媒と空気とを熱交換させる熱交換部11と、熱交換部11から流出した冷媒を蓄える受液器12とを有して構成されている。
【0030】
熱交換部11は、冷媒が流通する複数本のチューブ111とフィン112とを交互に積層してなるコア部113、およびチューブ111の長手方向両端側に配設されて複数本のチューブ111と連通する一対のヘッダタンク114、115等を有して構成される。
【0031】
コア部113を構成するチューブ111は、冷媒が流れる扁平状の管であり、その長径方向が空気流れ方向(紙面垂直方向)と一致すると共に、その長手方向が水平方向に一致するように、上下方向(鉛直方向)において、複数本平行に配置されている。
【0032】
フィン112は、波状に成形され、複数本のチューブ111間において、チューブ111の両扁平面に接合されている。このフィン112により送風空気との伝熱面積を増大させて冷媒と送風空気との熱交換を促進している。
【0033】
一対のヘッダタンク114、115は、チューブ111の長手方向両端部にてチューブ111の長手方向と直交する方向(図1における上下方向)に延びて、複数本のチューブ111に連通している。一対のヘッダタンク114、115は、チューブ111が挿入接合されるコアプレート114a、115a、コアプレート114a、115aと共にタンク内空間を構成するタンク本体部114b、115b等で構成されている。なお、一対のヘッダタンク114、115としては、押し出し成形により略円筒形状に形成されたものを採用してもよい。
【0034】
一対のヘッダタンク114、115のうち右方側のヘッダタンク114(以下、第1ヘッダタンクと称する)には、その上端側部位に冷媒入口部114cが設けられ、その下端側部位に冷媒出口部114dが設けられている。また、第1ヘッダタンク114は、その内部における冷媒入口部114cと冷媒出口部114dとの間に、第1仕切板116が配置されている。
【0035】
一対のヘッダタンク114、115のうち左方側のヘッダタンク115(以下、第2ヘッダタンクと称する)には、その内部における第2仕切板117が、第1ヘッダタンク114内部の第1仕切板116と同一高さに配置されている。
【0036】
コア部113のうち、一対のヘッダタンク114、115の各仕切板116、117よりも上方側の部位は、冷媒入口部114cから流入した気相冷媒と空気とを熱交換させて、冷媒を凝縮させる凝縮部113aを構成している。一方、コア部113のうち、一対のヘッダタンク114、115の各仕切板116、117よりも下方側の部位は、液相冷媒と空気とを熱交換させて、液相冷媒を冷却する過冷却部113bを構成している。このように、コア部113は、冷媒と送風空気との間で熱交換を行う部位である。
【0037】
なお、熱交換部11を構成する各部材および受液器12を構成する部材の一部は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材からなり、治具によって仮組みされ、予め各部材の表面に被覆されたろう材によって一体に接合されている。
【0038】
受液器12は、気相冷媒と液相冷媒とを分離して、液相冷媒を溜める気液分離手段を構成するもので、一対のヘッダタンク114、115のうち、第2ヘッダタンク115に隣接して設けられている。
【0039】
受液器12は、第2ヘッダタンク115に接合するための座面部121aを有する有底筒状のモジュレータタンク121、およびモジュレータタンク121の長手方向一端側(上端側)に形成された上端側開口部を閉塞するタンクキャップ(閉塞部材)122等を有して構成される。
【0040】
モジュレータタンク121は、その内部に図示しない乾燥材やフィルタが収容されており、円筒状の筒部121b、筒部121bの下端側の開口部を閉鎖する蓋部121cからなる。受液器12の耐圧性を確保するため、モジュレータタンク121の筒部121bは、筒部121bに段差(縮径部)を設けることなく、押し出し成形等により一体に形成することが望ましい。なお、筒部121bの座面部121aは、筒部121bにおける第2ヘッダタンク115に対向する部位に形成されており、ろう付けによってモジュレータタンク121を第2ヘッダタンク115に接合する接合部を構成する。
【0041】
また、本実施形態のモジュレータタンク121の蓋部121cは、モジュレータタンク121の底面を構成している。モジュレータタンク121の下端側に形成された開口部は、蓋部121cがろう付けされることで閉鎖されている。
【0042】
このように構成されるコンデンサ1では、以下のように冷媒が流れる。すなわち、冷媒入口部114cから第1ヘッダタンク114内部の上方側空間に流入した気相冷媒は、凝縮部113aを第1ヘッダタンク114側から第2ヘッダタンク115側へと一方向に流れて送風空気と熱交換して凝縮する。そして、凝縮部113aで凝縮された冷媒は、第2ヘッダタンク115内部の上方側空間に集合した後、受液器12の内部に流入する(図1に示す矢印a参照)。
【0043】
受液器12に溜まった液相冷媒は、第2ヘッダタンク115内部の下方側空間に流入する(図1に示す矢印b参照)。そして、第2ヘッダタンク115の下方側空間に流入した液相冷媒は、過冷却部113bを第2ヘッダタンク115側から第1ヘッダタンク114側へと一方向に流れて空気と熱交換して冷却される。過冷却部113bにて冷却された液相冷媒は、第1ヘッダタンク114の下方側空間に集合した後、冷媒出口部114dから流出する。
【0044】
上述したように、沸騰冷却器2は、蒸発部21と凝縮部22とを有して構成されている。
【0045】
蒸発部21は、電子部品であるパワーカード(パワー素子)3と熱媒体との熱交換により熱媒体を沸騰気化させることでパワーカードを冷却する熱交換器である。凝縮部22は、蒸発部21で気化した熱媒体を凝縮させることで熱媒体の熱を送風空気に放熱する熱交換器である。熱媒体としては、水またはアルコール等の蒸発および凝縮可能な流体を採用することができる。
【0046】
次に、蒸発部21の構成について説明する。
【0047】
蒸発部21は、熱媒体が流通する複数本の蒸発側チューブ211を積層してなる蒸発側コア部213、および蒸発側チューブ211の長手方向両端側に配設されて複数本の蒸発側チューブ211と連通する一対の蒸発側ヘッダタンク214、215等を有して構成される。
【0048】
蒸発側コア部213を構成する蒸発側チューブ211は、熱媒体が流れる扁平状の管であり、その長径方向が空気流れ方向(紙面垂直方向)と一致すると共に、その長手方向が上下方向に一致するように、水平方向において、複数本平行に配置されている。
【0049】
蒸発側コア部213、すなわち複数本の蒸発側チューブ211の間には、パワーカード3がそれぞれ接合されている。このため、蒸発側チューブ211内の熱媒体には、パワーカード3から熱が伝わるようになっている。
【0050】
一対の蒸発側ヘッダタンク214、215は、蒸発側チューブ211の長手方向両端部にて蒸発側チューブ211の長手方向と直交する方向(図1における左右方向)に延びて、複数本の蒸発側チューブ211に連通している。
【0051】
蒸発部21およびパワーカード3は、パワーカード3を水滴や埃等から保護するための筐体6の内部に収容されている。このため、蒸発部21およびパワーカード3には、送風空気が直接当たらないようになっている。
【0052】
次に、凝縮部22の構成について説明する。
【0053】
凝縮部22は、蒸発部21の上側に配置されている。凝縮部22は、熱媒体が流通する複数本の凝縮側チューブ221と凝縮側フィン222とを交互に積層してなる凝縮側コア部223、および凝縮側チューブ221の長手方向両端側に配設されて複数本の凝縮側チューブ221と連通する一対の凝縮側ヘッダタンク224、225等を有して構成される。
【0054】
凝縮側コア部223を構成する凝縮側チューブ221は、熱媒体が流れる扁平状の管であり、その長径方向が空気流れ方向(紙面垂直方向)と一致すると共に、その長手方向が上下方向に一致するように、水平方向において、複数本平行に配置されている。
【0055】
凝縮側フィン222は、波状に成形され、複数本の凝縮側チューブ221間において、凝縮側チューブ221の両扁平面に接合されている。この凝縮側フィン222により送風空気との伝熱面積を増大させて熱媒体と送風空気との熱交換を促進している。
【0056】
一対の凝縮側ヘッダタンク224、225は、凝縮側チューブ221の長手方向両端部にて凝縮側チューブ221の長手方向と直交する方向(図1における左右方向)に延びて、複数本の凝縮側チューブ221に連通している。
【0057】
ところで、沸騰冷却器2は、蒸発部21で沸騰気化した気相熱媒体を凝縮側チューブ221の入口側に導く蒸気通路23を有している。具体的には、蒸気通路23は、一対の蒸発側ヘッダタンク214、215のうち上方側の蒸発側ヘッダタンク214(以下、第1蒸発側ヘッダタンクと称する)と、一対の凝縮側ヘッダタンク224、225のうち上方側の凝縮側ヘッダタンク224(以下、第1凝縮側ヘッダタンクと称する)とを連通させるように構成されている。蒸気通路23は、その長手方向が上下方向に一致するように配置されている。
【0058】
また、沸騰冷却器2は、凝縮部22で凝縮液化した液相熱媒体を蒸発側チューブ211の入口側に導く凝縮液通路24を有している。具体的には、凝縮液通路24は、一対の凝縮側ヘッダタンク224、225のうち下方側の凝縮側ヘッダタンク225(以下、第2凝縮側ヘッダタンクと称する)と、一対の蒸発側ヘッダタンク214、215のうち下方側の蒸発側ヘッダタンク215(以下、第2蒸発側ヘッダタンクと称する)とを連通させるように構成されている。凝縮液通路24は、その長手方向が上下方向に一致するように配置されている。
【0059】
蒸気通路23および凝縮液通路24は、沸騰冷却器2の左右方向における最外側に配置されている。本実施形態では、蒸気通路23は沸騰冷却器2の右方側に配置されており、凝縮液通路24は、沸騰冷却器2の左方側に配置されている。
【0060】
このように構成される沸騰冷却器2では、蒸発部21において、高温であるパワーカード3と蒸発側チューブ211内の液相熱媒体との間で、熱交換がされる。これにより、パワーカード3の熱量が液相熱媒体に移動することで、液相熱媒体が沸騰して気相熱媒体となり、パワーカード3が冷却される。一方、凝縮部22では、凝縮側フィン222を介して、送風空気と凝縮側チューブ221内の気相熱媒体との間で熱交換がされる。これにより、気相熱媒体が凝縮して、液相熱媒体となり、熱媒体の熱が送風空気に放出される。
【0061】
すなわち、蒸発部21では、熱媒体とパワーカード3との間での熱交換により、パワーカード3から熱媒体へ放熱させるようになっている。また、凝縮部22では、蒸発部21にて吸熱した熱媒体と送風空気との間での熱交換により、熱媒体から送風空気へ放熱させるようになっている。これにより、パワーカード3と送風空気とを熱媒体を介して熱交換させている。
【0062】
このとき、凝縮部22は、蒸発部21よりも上側に配置されているので、気相熱媒体と液相熱媒体との密度差により、沸騰冷却器2内の熱媒体は、蒸発部21→蒸気通路23(図1に示す矢印c参照)→凝縮部22→凝縮液通路24(図1に示す矢印d参照)→蒸発部21の順に自然循環する。
【0063】
このように、本実施形態の沸騰冷却器2は、蒸発部21および凝縮部22での熱媒体の熱交換サイクル(沸騰冷却サイクル)を利用して、パワーカード3を送風空気と直接接させることなく、パワーカード3を冷却するようになっている。したがって、パワーカード3と送風空気とを、熱媒体を介して熱交換させることができる。
【0064】
すなわち、パワーカード3を直接送風空気と熱交換させて冷却する方法も考えられるが、この場合、パワーカード3が外気に対して露出しているので、パワーカード3に水が付着するおそれがある。これに対し、本実施形態では、パワーカード3を送風空気と直接接させることなく、パワーカード3を冷却することができるので、パワーカード3に水が付着することを防止しつつ、パワーカード3を確実に冷却することができる。
【0065】
ところで、図1に示すように、クーリングモジュールにおいて、コンデンサ1および沸騰冷却器2の凝縮部22は、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置された状態で一体化されている。
【0066】
本実施形態では、コンデンサ1の鉛直方向の長さが、沸騰冷却器2の長さと等しくなっている。すなわち、コンデンサ1の鉛直方向の長さが、蒸発部21の鉛直方向の長さおよび凝縮部22の鉛直方向の長さの合計と等しくなっている。このため、クーリングモジュールにおいて、コンデンサ1および沸騰冷却器2は、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置された状態で一体化されている。
【0067】
また、クーリングモジュールにおいて、コンデンサ1および沸騰冷却器2は、コンデンサ1の第1ヘッダタンク114と沸騰冷却器2の凝縮液通路24との間に断熱材(図示せず)を介した状態で一体化されている。つまり、コンデンサ1の第1ヘッダタンク114および沸騰冷却器2の凝縮液通路24は、断熱材を介して接合されている。これにより、コンデンサ1から沸騰冷却器2への伝熱を遮断することができる。
【0068】
ここで、蒸気通路23は、一体化されたコンデンサ1および沸騰冷却器2の左右方向(コンデンサ1および沸騰冷却器2の配置方向)における最外側に配置されている。つまり、クーリングモジュールにおいて、コンデンサ1、沸騰冷却器2および蒸気通路23は、この順に配置されている。換言すると、蒸気通路23は、沸騰冷却器2を挟んでコンデンサ1とは反対側に配置されている。本実施形態では、クーリングモジュールにおいて、コンデンサ1、凝縮液通路24、沸騰冷却器2および蒸気通路23は、この順に配置されている。
【0069】
ところで、図1に示すように、クーリングモジュールにおいて、コンデンサ1側のコア部113の面積は、凝縮側コア部223の面積よりも大きくなっている。より詳細には、コンデンサ1側のコア部113の面積は、蒸発側コア部213および凝縮側コア部223の合計面積よりも大きくなっている。
【0070】
なお、本実施形態では、通常の使用時において、コンデンサ1は約60℃、蒸発部21は約100℃、凝縮部22は約40℃になる。
【0071】
クーリングモジュールは、送風機4を2つ有している。2つの送風機4は、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置されている。また、シュラウド5は、一体化されたコンデンサ1および沸騰冷却器2の空気流れ下流側(車両後方側)に配置されるものであって、コンデンサ1および沸騰冷却器2の背面(車両後方側の面)を覆うようになっている。
【0072】
図2に示すように、沸騰冷却器2の蒸発部21の背面は、シュラウド5に覆われている。しかしながら、上述したように、蒸発部21は筐体6の内部に収容されているので、蒸発部21に送風空気が直接当たることはない。つまり、コンデンサ1および凝縮部22は、送風空気が蒸発部21を迂回して流れるように一体化されている。
【0073】
以上説明したように、コンデンサ1および凝縮部22を、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置された状態で一体化することで、送風機4によりコンデンサ1および凝縮部22の双方に空気を送風することができる。このため、沸騰冷却器2専用の送風機を廃止することができる。
【0074】
ところで、コンデンサ1および凝縮部22を、送風空気の流れ方向に対して直列的に配置された状態で一体化した場合、コンデンサ1および凝縮部22のうち一方には、他方と熱交換することにより昇温された空気が供給されることになる。
【0075】
これに対し、本実施形態では、コンデンサ1および凝縮部22を、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置された状態で一体化しているので、コンデンサ1および凝縮部22の双方に、昇温されていない比較的低温な空気を直接供給することができる。
【0076】
また、パワーカード3が接合された蒸発部21を筐体6に収容する、すなわち、コンデンサ1および凝縮部22を、送風空気が蒸発部21を迂回して流れるように一体化することで、パワーカード3に直接送風空気が当たらないようにできる。このため、水に弱い電子部品であるパワーカード3に水が付着することを抑制できる。すなわち、パワーカード3を水から保護しながらパワーカード3を冷却することが可能となる。
【0077】
また、蒸気通路23を、一体化されたコンデンサ1および沸騰冷却器2の左右方向における最外側に配置することで、蒸気通路23をコンデンサ1から離れた位置に配置することができるので、蒸気通路23にコンデンサ1から熱が伝達することを抑制できる。
【0078】
また、コンデンサ1側のコア部113の面積を、凝縮側コア部223の面積よりも大きくすることで、必要性能に応じたコンデンサ1および沸騰冷却器2を備えるクーリングモジュールを容易に提供することができる。さらに、本実施形態のクーリングモジュールを、電気自動車(EV車)やハイブリッド車(HV車)に適用して有効である。
【0079】
また、コンデンサ1の鉛直方向の長さを、蒸発部21の鉛直方向の長さおよび凝縮部22の鉛直方向の長さの合計と等しくすることで、一体化したコンデンサ1および凝縮部22の構造体から蒸発部21が突出して配置されることを防止できる。すなわち、クーリングモジュールの外形を略矩形状にすることができる。このため、クーリングモジュールの配置スペースを縮小することが可能となる。
【0080】
また、凝縮側チューブ221を、その長手方向が鉛直方向に平行な向きとなるように配置するとともに、凝縮側ヘッダタンク224、225を、その長手方向が水平方向と一致するように配置することで、凝縮側チューブ221内部において凝縮した熱媒体を、重力により容易に凝縮側ヘッダタンク225に集合させることができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3および図4に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、蒸発部21の配置が異なるものである。図3は本第2実施形態のクーリングモジュールを車両前方側からみた正面図、図4に図3のクーリングモジュールの模式的な断面図である。
【0082】
図3に示すように、本実施形態では、沸騰冷却器2における凝縮部22の鉛直方向の長さが、コンデンサ1の鉛直方向の長さと等しくなっている。クーリングモジュールにおいて、コンデンサ1およびの凝縮部22は、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置された状態で一体化されている。一方、クーリングモジュールにおいて、蒸発部21は、一体化されたコンデンサ1および凝縮部22から、下方側に突出した状態で配置されている。
【0083】
ここで、蒸気通路23は、一体化されたコンデンサ1および凝縮部22の左右方向(コンデンサ1および凝縮部22の配置方向)における最外側に配置されている。つまり、クーリングモジュールにおいて、コンデンサ1、凝縮部22および蒸気通路23は、この順に配置されている。換言すると、蒸気通路23は、凝縮部22を挟んでコンデンサ1とは反対側に配置されている。本実施形態では、クーリングモジュールにおいて、コンデンサ1、凝縮液通路24、凝縮部22および蒸気通路23は、この順に配置されている。
【0084】
図4に示すように、シュラウド5は、一体化されたコンデンサ1および凝縮部22の背面(車両後方側の面)のみを覆うようになっている。つまり、蒸発部21の背面、すなわち筐体6の背面は、シュラウド5に覆われていない。したがって、本実施形態のクーリングモジュールは、蒸発部21に送風空気が直接当たらないように構成されている。
【0085】
すなわち、本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を得られるとともに、蒸発部21に送風空気が直接当たらないようにすることができるので、パワーカード3を水から保護しながらパワーカード3を冷却することが可能となる。
【0086】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図5および図6に基づいて説明する。図5は本第3実施形態のクーリングモジュールを車両前方側からみた正面図、図6に図5のクーリングモジュールの模式的な断面図である。
【0087】
図5に示すように、本実施形態のクーリングモジュールは、コンデンサ1と沸騰冷却器2の凝縮部22が一体化された複合型熱交換器7を有している。複合型熱交換器7は、内部に冷媒が流通する冷媒用チューブ111と、内部に熱媒体が流通する熱媒体用チューブ221とを備えている。
【0088】
また、複合型熱交換器7は、冷媒用チューブ111および熱媒体用チューブ221を交互に積層配置して構成された熱交換部70を備えている。熱交換部70は、冷媒用チューブ111を流通する冷媒と冷媒用チューブ111の周囲を流れる空気(送風機4から送風された外気)とを熱交換させるとともに、熱媒体用チューブ221を流通する熱媒体と熱媒体用チューブ221の周囲を流れる空気(送風機4から送風された外気)とを熱交換させる熱交換部である。
【0089】
熱交換部70を構成する冷媒用チューブ111および熱媒体用チューブ221は、その外表面のうち平坦面同士が互いに平行に、かつ、対向するように所定の間隔を開けて交互に積層配置されている。また、熱交換部70を構成する冷媒用チューブ111は、熱媒体用チューブ221の間に配置され、熱媒体用チューブ221は、冷媒用チューブ111の間に配置されている。
【0090】
複合型熱交換器7において、熱交換部70を構成する冷媒用チューブ111と熱媒体用チューブ221との間に形成される空間は、送風機4によって送風された空気流通する空気通路71を形成している。そして、この空気通路71には、冷媒と送風空気との熱交換および熱媒体と送風空気との熱交換を促進するフィン72が配置されている。このフィン72としては、伝熱性に優れる金属の薄板を波状に曲げ成形したコルゲートフィンが採用されている。
【0091】
複合型熱交換器7は、熱交換部70を構成する冷媒用チューブ111および熱媒体用チューブ221の積層方向に延びる一対のヘッダタンク73を備えている。
【0092】
ヘッダタンク73には、熱交換部70を構成する熱媒体用チューブ221を流通する熱媒体の集合あるいは分配を行う熱媒体空間731と、熱交換部70を構成する冷媒用チューブ111の集合あるいは分配を行う冷媒空間732とが形成されている。
【0093】
ヘッダタンク73は、冷媒用チューブ111および熱媒体用チューブ221の双方が固定されるヘッダプレート733、ヘッダプレート733に固定される中間プレート部材734、並びに、タンク形成部材735を有している。
【0094】
タンク形成部材735は、ヘッダプレート733および中間プレート部材734に固定されることによって、その内部に上述した熱媒体空間731および冷媒空間732を形成するものである。
【0095】
ところで、複合型熱交換器7において、熱媒体用チューブ221が冷媒用チューブ111よりも、ヘッダタンク73側へ突出している。つまり、熱媒体用チューブ221のヘッダタンク73側の端部と冷媒用チューブ111のヘッダタンク73側の端部は、不揃いに配置されている。
【0096】
中間プレート部材734は、ヘッダプレート733に固定されることによって、ヘッダプレート733との間に冷媒用チューブ111に連通する冷媒空間732を形成している。
【0097】
中間プレート部材734には、熱媒体用チューブ221が貫通する貫通穴(図示せず)が形成されている。これにより、熱媒体用チューブ221がタンク形成部材735内に形成される熱媒体空間731に連通している。
【0098】
冷媒用チューブ111の長手方向一端側(図5の紙面上側)に配置されるヘッダタンク73の長手方向一端側(図5の紙面左側)には、冷媒空間732へ冷媒を流入させる冷媒流入配管736が接続されている。また、冷媒用チューブ111の長手方向他端側(図5の紙面下側)に配置されるヘッダタンク73の長手方向一端側(図5の紙面左側)には、冷媒空間732から冷媒を流出させる冷媒流出配管737が接続されている。
【0099】
上述した複合型熱交換器7では、熱交換部70を構成する冷媒用チューブ111によりコンデンサ1が構成されており、熱交換部70を構成する熱媒体用チューブ221により沸騰冷却器2の凝縮部22が構成されている。
【0100】
また、上述した複合型熱交換器7の冷媒用チューブ111、熱媒体用チューブ221、ヘッダタンク73の各構成部品およびフィン72は、いずれも同一の金属材料(本実施形態では、アルミニウム合金)で形成されている。そして、中間プレート部材734を挟み込んだ状態でヘッダプレート733とタンク形成部材735がかしめによって固定されている。
【0101】
さらに、かしめ固定された状態の複合型熱交換器7全体を加熱炉内へ投入して加熱し、各構成部品表面に予めクラッドされたろう材を融解させ、さらに、再びろう材が凝固するまで冷却することで、各構成部品が一体にろう付けされる。これにより、コンデンサ1と凝縮部22とが一体化されている。
【0102】
ところで、上述した複合型熱交換器7の下方側には、沸騰冷却器2の蒸発部21が設けられている。蒸発部21の構成は上記第1実施形態と同様であるので、蒸発部21の詳細構造については説明を省略する。
【0103】
複合型熱交換器7の熱交換部70の面積は、蒸発部21の蒸発側コア部213の面積よりも大きくなっている。また、蒸発部21は、複合型熱交換器7の一対のヘッダタンク73のうち下方側のヘッダタンク(以下、下方側ヘッダタンク73Bと称する)に接合されている。より詳細には、蒸発部21の右側端面と複合型熱交換器7の右側端面とは、隙間なく連続してつながった同一平面、いわゆる面一(ツライチ)とされている。
【0104】
複合型熱交換器7におけるヘッダタンク73の長手方向他端側(図5の紙面右側)には、蒸発部21で沸騰気化した気相熱媒体を熱媒体用チューブ221の入口側に導く蒸気通路23が設けられている。すなわち、蒸気通路23は、熱交換部70における冷媒用チューブ111および熱媒体用チューブ211の積層方向最外側に設けられている。
【0105】
具体的には、蒸気通路23は、第1蒸発側ヘッダタンク214と、一対のヘッダタンク73のうち上方側のヘッダタンク(以下、上方側ヘッダタンク73Aと称する)の熱媒体空間731とを連通させるように構成されている。蒸気通路23は、その長手方向が上下方向に一致するように配置されている。
【0106】
蒸発部21における第2蒸発側ヘッダタンク215の長手方向一端側(図5の紙面左側)には、凝縮部22で凝縮液化した液相熱媒体を蒸発側チューブ211の入口側に導く凝縮液通路24が設けられている。凝縮液通路24は、蒸気通路23と蒸発側コア部213を挟んで反対側に配置されている。
【0107】
具体的には、凝縮液通路24は、下方側ヘッダタンク73Bと第2蒸発側ヘッダタンク215とを連通させるように構成されている。凝縮液通路24は、その長手方向が上下方向に一致するように配置されている。
【0108】
従って、本実施形態のクーリングモジュールでは、冷媒は、冷媒流入配管736→上方側ヘッダタンク73Aの冷媒空間732(図5に示す矢印a参照)→冷媒用チューブ111→下方側ヘッダタンク73Bの冷媒空間732(図5に示す矢印b参照)→冷媒流出配管737の順に流れる。
【0109】
一方、凝縮部22は、蒸発部21よりも上側に配置されているので、気相熱媒体と液相熱媒体との密度差により、熱媒体は、蒸発部21→蒸気通路23(図5に示す矢印c参照)→上方側ヘッダタンク73Aの熱媒体空間731→熱媒体用チューブ221→下方側ヘッダタンク73Bの熱媒体空間731→凝縮液通路24(図5に示す矢印d参照)→蒸発部21の順に自然循環する。
【0110】
図6に示すように、シュラウド5は、複合型熱交換器7の背面(車両後方側の面)のみを覆うようになっている。つまり、蒸発部21の背面、すなわち筐体6の背面は、シュラウド5に覆われていない。したがって、本実施形態のクーリングモジュールは、蒸発部21に送風空気が直接当たらないように構成されている。
【0111】
すなわち、本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を得られるとともに、蒸発部21に送風空気が直接当たらないようにすることができるので、パワーカード3を水から保護しながらパワーカード3を冷却することが可能となる。
【0112】
なお、上記の説明から明らかなように、本実施形態の冷媒用チューブ111は、特許請求の範囲に記載された熱交換側チューブに対応し、熱媒体用チューブ221は凝縮側チューブに対応している。
【0113】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
【0114】
(1)上記実施形態では、蒸気通路23を一体化されたコンデンサ1および沸騰冷却器2の左右方向における最外側に配置するとともに、凝縮液通路24をコンデンサ1と沸騰冷却器2との間に配置した例について説明したが、蒸気通路23および凝縮液通路24の配置はこれに限定されない。
【0115】
例えば、凝縮液通路24を一体化されたコンデンサ1および沸騰冷却器2の左右方向における最外側に配置するとともに、蒸気通路23をコンデンサ1と沸騰冷却器2との間に配置してもよいし、蒸気通路23および凝縮液通路24の双方を一体化されたコンデンサ1および沸騰冷却器2の左右方向における最外側に配置してもよい。
【0116】
(2)上記実施形態では、車両に搭載される冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器として、冷媒と空気とを熱交換させて冷媒を凝縮させるコンデンサ1を採用した例について説明したが、これに限らず、熱交換器として、冷媒と空気とを熱交換させて冷媒を蒸発させる蒸発器を採用してもよい。
【0117】
特に、上記第3実施形態において、熱交換器として蒸発器を採用することで、熱媒体用チューブ221を流れる熱媒体が有する熱を、隣接する冷媒用チューブ111に伝熱させることができる。これにより、熱媒体用チューブ221を流れる熱媒体が有する熱を利用して、冷媒の吸熱作用により生じた霜を溶解させることができる。
【符号の説明】
【0118】
1 コンデンサ(熱交換器)
2 沸騰冷却器
3 パワーカード(冷却対象物、電子部品)
4 送風機
21 蒸発部
22 凝縮部
23 蒸気通路
24 凝縮液通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器(1)と、
冷却対象物(3)と熱媒体との熱交換により前記熱媒体を沸騰気化させることで前記冷却対象物(3)を冷却する蒸発部(21)と、前記熱媒体と空気との熱交換により前記熱媒体を凝縮させることで前記熱媒体の熱を前記空気に放熱する凝縮部(22)とを有する沸騰冷却器(2)と、
前記熱交換器(1)および前記凝縮部(22)の双方に前記空気を送風する送風機(4)とを備え、
前記熱交換器(1)および前記凝縮部(22)は、送風空気の流れ方向に対して並列的に配置された状態で一体化されていることを特徴とするクーリングモジュール。
【請求項2】
車両に搭載される冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器(1)と、
前記車両に搭載される電子部品(3)と熱媒体との熱交換により前記熱媒体を沸騰気化させることで前記電子部品(3)を冷却する蒸発部(21)と、前記熱媒体と空気との熱交換により前記熱媒体を凝縮させることで前記熱媒体の熱を前記空気に放熱する凝縮部(22)とを有する沸騰冷却器(2)と、
前記熱交換器(1)および前記凝縮部(22)の双方に前記空気を送風する送風機(4)とを備え、
前記熱交換器(1)および前記凝縮部(22)は、送風空気が前記蒸発部(21)を迂回して流れるように一体化されていることを特徴とするクーリングモジュール。
【請求項3】
前記沸騰冷却器(2)は、前記蒸発部(21)で沸騰した前記熱媒体を前記凝縮部(22)に導く蒸気通路(23)と、前記凝縮部(22)で凝縮した前記熱媒体を前記蒸発部(21)に導く凝縮液通路(24)とを有しており、
前記蒸気通路(23)および前記凝縮液通路(24)の少なくとも一方が、一体化された前記熱交換器(1)および前記凝縮部(22)の最外側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のクーリングモジュール。
【請求項4】
前記熱交換器(1)において前記送風空気と前記冷媒とを熱交換させる熱交換器側熱交換コア部(113)の面積は、前記凝縮部(22)において前記送風空気と前記熱媒体とを熱交換させる凝縮部側熱交換コア部(223)の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
【請求項5】
前記凝縮部(22)は、前記熱媒体が流通する熱媒体通路を形成する複数の凝縮側チューブ(221)と、前記複数の凝縮側チューブ(221)の両端側に配置されて前記熱媒体の集合あるいは分配を行う一対の凝縮側ヘッダタンク(224、225)とを有しており、
前記凝縮側チューブ(221)は、その長手方向が鉛直方向に平行な向きとなるように前記車両に搭載されており、
前記凝縮側ヘッダタンク(224、225)は、その長手方向が水平方向と一致するように、前記車両に搭載されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
【請求項6】
前記蒸発部(21)および前記凝縮部(22)は、鉛直方向において直列に配置されており、
前記熱交換器(1)の鉛直方向の長さは、前記蒸発部(21)の鉛直方向の長さおよび前記凝縮部(22)の鉛直方向の長さの合計と等しいことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
【請求項7】
内部に前記冷媒が流通する熱交換側チューブ(111)と、
内部に前記熱媒体が流通する凝縮側チューブ(221)と、
前記熱交換側チューブ(111)および前記凝縮側チューブ(221)を積層配置して構成されて、前記冷媒と前記空気とを熱交換させるとともに、前記熱媒体と前記空気とを熱交換させる熱交換部(70)とを有しており、
前記蒸発部(21)は、前記熱交換部(70)の鉛直方向下側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
【請求項8】
さらに、前記蒸発部(21)で沸騰した前記熱媒体を前記凝縮側チューブ(221)の入口側に導く蒸気通路(23)を備え、
前記蒸気通路(23)は、前記熱交換部(70)における前記熱交換側チューブ(111)および前記凝縮側チューブ(211)の積層方向最外側に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のクーリングモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−50277(P2013−50277A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189218(P2011−189218)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】