説明

グアニンリボスイッチ結合化合物及び抗生物質としてのその使用

本発明は、新規化合物及び当該化合物の医薬的に許容される製剤を含み、guaA遺伝子の発現を制御するグアニンリボスイッチを有する微生物に対して抗生物質活性を示す。当該微生物には、特定の抗生物質ファミリーに耐性を示す生物を含む。当該化合物は、特に乳腺の感染症に限定されない、動物又はヒトにおける細菌性感染症の治療又は予防用抗菌剤として、且つ/又は滅菌又は殺菌のための消毒薬、薬剤としてのその使用に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規抗菌化合物に関する。具体的には、本発明は、グアニンリボスイッチに結合し微生物遺伝子guaAの発現を阻害する新規抗菌化合物、その製造方法、それを使用した殺菌、滅菌又は消毒方法、及びその投与を含む微生物感染症の治療又は予防方法に関する。
【0002】
本願は、2010年6月14日に提出したPCT出願であり、PCT21条(2)のもと、英語により公開され、2009年6月12日に提出した米国仮出願第61/186669号、及び2010年2月23日に提出した米国仮出願第61/307,088号の優先権の利益を主張する。その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
ウシ乳房炎は、最も頻回に生じ、コストがかかり酪農業者に影響を与える疾患である。伝染性細菌の黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)は、ウシ乳房炎の最も一般的な原因であり、通常現在の抗生物質治療ではこの感染症を乳牛群から除去することができない(Sears, P M and K K McCarthy, 2003)。
【0004】
多剤耐性(MDR)は、ヒト医薬及び食用動物生産の双方において一部には抗生物質の過度の且つ不適当な使用が原因であるが、これは、特にこの10年間話題の中心となっている深刻な問題である。多剤耐性の蔓延の主たる原因は、今日の薬物設計の大部分が限られた数の新たな化学骨格に基づいているため、病原体が共通の抗生物質の作用機序に順応し且つ回避することができることによる(Blount and Breaker, 2006)。特に抗生物質耐性を生じる傾向のある黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)及びクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)は、院内高死亡率及び医療費増大の主要な原因となる院内病原体である(Talbot et al, 2006)。近年開発された、RNAを標的とする代替の抗菌薬は、主として外因性リガンドとそのRNA標的との間の偶発的な相互作用に基づくものであり、MDRの問題を軽減するのに寄与し得る(Knowles ef al., 2002)。しかしながら、新規の抗菌標的及び化合物の同定が依然として強く求められている。
【0005】
細菌性リボスイッチは、遺伝子発現を制御する機構として、当技術分野で周知である。リボスイッチは、特定のmRNA分子の5’−非翻訳領域のセグメントであり、個々のリガンドの認識の際に、当該メッセージによりコード化された1又は2以上のタンパク質の発現を調節する。リガンド結合はリボスイッチの構造変化を招き、これはmRNA分子が適切に転写又は翻訳される能力に影響を与える。このように、リボスイッチは、RNAセンサーとして機能し、mRNAレベルにおいて遺伝子発現の制御が可能である。最もよく解明されているリボスイッチは、リガンド結合に関与するアプタマー領域と、遺伝子発現の変化誘発に寄与する発現プラットフォームとを含む(Coppins et al., 2007)。
【0006】
本文献は、全ての細菌リボスイッチが無差別に分子抗菌標的となることを示唆する。しかしながら、MDRの蔓延の一因となることを回避する新規且つ特異的な抗菌治療を開発するには、治療上選択的であるリボスイッチを特定することが強く望まれる。すなわち、同様のスイッチを有する全ての微生物種又は共生微生物において抗菌標的を示すのではなく、むしろ標的化病原体においてのみ現れる特異的な特性を有するリボスイッチである。
【0007】
グアニンリボスイッチは、当技術分野で周知のリボスイッチのサブクラスを表す(Barrick and Breaker, 2007, Batey et al, 2004, Mulhbacher and Lafontaine, 2007)。国際特許出願第2006/55351号は、グアニンリガンドの存在下で、グアニンリボスイッチが非病原性細菌バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)中の遺伝子xpt及びpbuXの発現を阻害することを示す。国際特許出願第2006/55351号において治療薬候補として提案されるグアニン類似体の一部は、非病原性バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)を含む病原性及び非病原性細菌に対して広範な選択性を有し、これらにインビトロで(in vitro)非特異的抗菌活性を有することが報告された。さらに、同一の研究者のその後の研究から、これらの2つの遺伝子(xpt及びpbuX)は、グアニンリボスイッチによって制御されると想定され、黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)の生存又は病原性に不必要であることが期待されると報告された(Blount and Breaker, 2006)。微生物病原体の生存又は病原性に必須である遺伝子(及びこれらの生成物)は、迅速な微生物の死滅を得るために理想的な標的を表し、一方非必須の抗菌の標的を不活性化する変異から生じる微生物耐性の発生は回避されることは当技術分野で周知である。それ故、国際特許出願第2006/55351号及びBlount及びBreaker(2006)は、グアニンリボスイッチが、インビボでの(in vivo)病原体黄色ブドウ球菌(S aureus)の選択的な抗菌治療介入に好ましい標的でないことを示唆した。
【0008】
従って、この研究及び治療上の適用の分野において、リボスイッチの制御下で必須の生存又は病原性遺伝子を有する微生物病原体を同定することが強く望まれる。インビボで(in vivo)これらのリボスイッチに特異的に結合し、特異的病原体の生存又は病原性に必須である遺伝子の発現を選択的に阻害する抗菌化合物を同定することもまた強く望まれる。これらの化合物により、動物及びヒトに発症する病原体を選択的に治療することが可能となるであろう。宿主又は微生物叢による(例えばリボシル化による)化合物の形質転換を回避し、可能性のある広範且つ非特異的な細菌の成長阻害又は哺乳類宿主への毒性を防止するための、天然のリボスイッチリガンドと十分に異なる化合物を同定することもまた強く望まれる。
【0009】
本発明は、これら及び他の必要性を満たすことを目的とする。
【0010】
本明細書の記載は、多数の文献を参照し、これらの内容は参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、GMP(グアノシン-5’−一リン酸)の合成を触媒する、遺伝子guaAの発現(Tiedeman et al, 1985)をコードしているGMPシンセターゼ(グルタミンアミノトランスフェラーゼ)が、グアニンリボスイッチの制御下にあり、特異的な病原体の関連する環境(例えば、哺乳類宿主の感染中)における生存又は病原性に必要であることを開示する。本発明はまた、このような病原体に対して抗菌活性を有する抗生物質様化合物を示す。さらに、このような化合物は、リボシル化によって修飾されず、細胞ヌクレオシド、ヌクレオチド又は核酸中への取り込みを予防することができ、従って、その化合物によって標的とされない細菌種、及び治療上の治療介入のために本化合物が使用される哺乳類又は動物宿主に非特異的であり、広範の毒性を予防することができる。
【0012】
詳細としては、本発明の一態様によって、一般式1.0
【化1】

の化合物であって、但し、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(1.01)、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(1.13)、又は4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(1.16)でない、化合物が供される。
【0013】
ここで、当該化合物がグアニンリボスイッチに結合される場合、R3は水素結合受容体として機能し得るがリボシル化はされず;式中、−−−−は、単又は二重結合を表し;R3は、-N=、-S-、-CH-又は-O-であり;R6は、炭素原子であり;R1、R2、R4又はR5は、同一であるか又は異なり、独立して、-NR8-、-CHR8-、=CR8-、-C(O)-又は-C(=NR8)-であり;R8は、-H、-NH2、-OH、-SH、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-CH3、-POOH、-SO2アルキル、-SO2アリール、-SH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換ベンジルオキシ、置換又は非置換-NHアルキル、置換又は非置換-NHアルコキシ、置換又は非置換-NHC(O)アルキル、置換又は非置換-NHCO2アルキル、置換又は非置換-NH-NHアルキル、置換又は非置換-NH-NHアルコキシ、置換又は非置換-NH-SO2アルキル、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-SO2-R9、-NHCO2CH2-R9、-NH-OR9、-NH2-R9、-NH-NH-R9、-NHR9、-NH-CH2-R9、又は-NH-NH-CH2-R9であり、R9は:
【化2】

であり、
【0014】
式中、nは、1〜5の整数であり、R10は、-H、-NH2、-OH、アルコキシ、-N-モルフォリノ、ハライド、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、R7は、=O、-OH、-SH、-NH2、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-アルコキシ、-アリールオキシ、-ベンジルオキシ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-NHアルキル、-NHアルコキシ、-NHC(O)アルキル、-NHCO2アルキル、=NR8、=NR9、-NHCO2CH2-R9、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-NHアルキル、-NH-NHアルコキシ、-SO2アルキル、-SO2アリール、-NH-SO2アルキル、-NH-SO2-R9、-NH-OR9、-NH-R9、-NH-NH-R9、-NH-NH-CH2-R9、又は-NH-CH2-R9であり、ここで、R8及びR9は上述の通りである。
【0015】
本発明の化合物等の複素環化合物は異なる互変異性形態下で存在し、各互変異性形態は特定の式及び特定の名称を使用して記載されることは、当業者に十分に理解される。本明細書中、化合物の一互変異性形態名称の使用は、同一化合物の他の全ての互変異性形態に言及し、これらを包含することを意味する。例えば、本明細書中で使用する場合、用語「4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン」及び「式1.01」とは、「4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン」及び「2,5,6-トリアミノピリミジン-4-オン」の双方に言及することを意味する。
【0016】
本明細書中で使用する場合、用語「4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン」又は「式1.16」とは、「4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン」及び「5,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン-4-オン」の両方に言及することを意味する。
【0017】
本明細書中で使用する場合、用語「2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン」又は「式1.13」とは、「2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン」及び「2,6-ジアミノピリミジン-4-オン」両方に言及することを意味する。
【0018】
本明細書中で使用する場合、用語「9-オキソグアニン」又は「式2.02」とは、「9-オキソグアニン」及び「5-アミノ-6H-オキサゾロ[5,4-d]ピリミジン-7-オン」の両方に言及することを意味する。
【0019】
一般式1.0の組成物の特定の実施形態において、(i)R1は、-NH-である;(ii)R2は、-C(NH2)=又は=C(SH)-である;(iii)R3は、-N=である;(iv)R4は、=CNH2-である;R5は、-CH=又は-C(NH2)=である;R6は、-C=である;R7は=NH又は=Oである;或いは(i)から(vii)の任意の組合せである。
【0020】
本発明の他の態様によれば、一般式2.0、
【化3】

の化合物であって、但し、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン又は5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)でない化合物が供され、
【0021】
ここで、当該化合物が、グアニンリボスイッチに結合される場合、R9は水素結合供与体として機能し得るがリボシル化はされず;−−−−は、単又は二重結合を表し;R3は、-N=、-S-、又は-O-であり;R1又はR2は、同一であるか又は異なり、独立して-NR11-、-CHR11-、=CR11-、-C(=O)-又は-C(=NR11)-であり;R11は、-H、-NH2、-OH、-SH、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-CH3、-POOH、-SO2アルキル、-SO2アリール、-SH置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換ベンジルオキシ、置換又は非置換-NHアルキル、置換又は非置換-NHアルコキシ、置換又は非置換-NHC(O)アルキル、置換又は非置換-NHCO2アルキル、置換又は非置換-NH-NHアルキル、置換又は非置換-NH-NHアルコキシ、置換又は非置換-NH-SO2アルキル、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-SO2-R12、-NHCO2CH2-R12、-NH-OR12、-NH2-R12、-NH-NH-R12、-NHR12、-NH-CH2-R12、又は-NH-NH-CH2-R12であり;
【0022】
R12は:
【化4】

であり、
【0023】
nが、1〜5の整数であり;R13が、少なくとも-H、-NH2、-OH、アルコキシ、-N-モルフォリノ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の1つであり;R4、R5及びR6は、炭素原子であり;R7は、-=N-、-NH-、-CH2-、-O-又は-S-であり;R8は、-CH2、-O-、-S-、-CHR13-又は-CR13=であり、R13は、上述の通りであり;R9は、-CH2-、-O-、-S-、又は-P(OOH)-、-N=であり;R10は、=O、-OH、-SH、-NH2、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-アルコキシ、-アリールオキシ、-ベンジルオキシ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-NHアルキル、-NHアルコキシ、-NHC(O)アルキル、-NHCO2アルキル、=NR11、=NR12、-NHCO2CH2-R12、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-NHアルキル、-NH-NHアルコキシ、-SO2アルキル、-SO2アリール、-NH-SO2アルキル、-NH-SO2-R12、-NH-OR12、-NH-R12、-NH-NH-R12、-NH-NH-CH2-R12、又は-NH-CH2-R12であり;ここで、R11及びR12は、上述の通りである。
【0024】
本発明の他の態様によれば、一般式3.0、
【化5】

の化合物が供され、
【0025】
化合物がグアニンリボスイッチに結合する場合、R10は水素結合供与体として機能するが、リボシル化されず;−−−−は、単又は二重結合を表し;R3は、-N=、-S-、又は-O-であり;R10は、-N=、-CH2-、-O-、-S-、又は-P(OOH)-であり;R1、R2及びR9は、同一であるか又は異なり、独立して-NR12-、-CHR12-、=CR12-、-C(O)-又は-C(=NR12)-であり;R12は、-H、-NH2、-OH、-SH、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-CH3、-POOH、-SO2アルキル、-SO2アリール、-SH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換ベンジルオキシ、置換又は非置換-NHアルキル、置換又は非置換-NHアルコキシ、置換又は非置換-NHC(O)アルキル、置換又は非置換-NHCO2アルキル、置換又は非置換-NH-NHアルキル、置換又は非置換-NH-NHアルコキシ、置換又は非置換-NH-SO2アルキル、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-SO2-R13、-NHCO2CH2-R13、-NH-OR13、-N+H2-R13、-NH-NH-R13、-NHR13、-NH-CH2-R13、又は-NH-NH-CH2-R13であり;
【0026】
R13は:
【化6】

であり、
【0027】
nは1〜5の整数であり;R14は、-H、-NH2、-OH、アルコキシ、-N-モルフォリノ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり;R4、R5及びR6は、炭素原子であり;R7及びR8は、同一であるか又は異なり、独立して-CH=N-、-CH2-O-、CH2-S-、又はCH2SO2-であり;R11は、=O、-OH、-SH、-NH2、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-アルコキシ、-アリールオキシ、-ベンジルオキシ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-NHアルキル、-NHアルコキシ、-NHC(O)アルキル、-NHCO2アルキル、=NR12、=NR13、-NHCO2CH2-R13、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-NHアルキル、-NH-NHアルコキシ、-SO2アルキル、-SO2アリール、-NH-SO2アルキル、-NH-SO2-R13、-NH-OR13、-NH-R13、-NH-NH-R13、-NH-NH-CH2-R13、又は-NH-CH2-R13であり;R12及びR13は、上述の通りである。
【0028】
本発明の一態様によれば、一般式(2.0a)、
【化7】

の化合物が供され、
【0029】
式中、R2、R7、R8、R9及びR10は、式2.0に関する上記の通りである。
【0030】
本発明の化合物の具体的な実施形態において、一般式(2.0)の化合物が供され、式中:(i)R1は、-NH-である;(ii)R2は、=CNH2-である;(iii)R3は、-N=である;(iv)R7は、-N=又は-S-である;(v)R8は、-CR13=である;(vi)R9は、-O-又は-N=である;(vii)R10は、=O又は=NHである;又は(viii)(i)〜(vii)の任意の組合せである。
【0031】
本発明の式2.0aの化合物の他の具体的な実施形態において、R2は=CNH2であり、他の具体的な実施形態において、R7は、-N=又は-S-であり、他の具体的な実施形態において、R8は、-CR13=であり、他の具体的な実施形態において、R9は、-O-又は-N=であり、他の具体的な実施形態において、R10は、=O又は=NHである。
【0032】
本発明の一態様によれば、一般式3.0a、
【化8】

の化合物が供され、
【0033】
式中、R2、R7、R10及びR11は、式3.0に関する上記の通りである。
【0034】
本発明の他の態様によれば、一般式1.0a、
【化9】

の化合物が供され、
【0035】
式中、R2及びR7は、式1.0に関する上記の通りであり、R5は、-CH=又は-C(NH2)=であり、R4は、-C(NH2)=である。
【0036】
一般式1.0aの化合物の具体的な実施形態において、R7は、=O又は=NHである。一般式1.0aの化合物の具体的な実施形態において、R2は、-C(NH2)=又は-C(SH)=である。
【0037】
本発明の他の態様によれば、(a)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を、対象において予防又は治療する;又は(b)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体の対象における殺菌、滅菌及び/又は消毒;又は(c)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療する又は当該多剤耐性細菌の発生を予防するための上記の化合物が供される。
【0038】
本発明の他の態様によれば、一般式1.0、
【化10】

の化合物であって、
【0039】
ここで、式中、当該化合物がグアニンリボスイッチに結合する場合、R3は、水素結合受容体として機能し得るが、リボシル化はされず;式中、−−−−は、単又は二重結合を表し;R3は、-N=、-S-、-CH-又は-O-であり;R6は、炭素原子であり;R1、R2、R4又はR5は、同一であるか又は異なり、独立して-NR8-、-CHR8-、=CR8-、-C(O)-又は-C(=NR8)-であり;R8は、-H、-NH2、-OH、-SH、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-CH3、-POOH、-SO2アルキル、-SO2アリール、-SH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換ベンジルオキシ、置換又は非置換-NHアルキル、置換又は非置換-NHアルコキシ、置換又は非置換-NHC(O)アルキル、置換又は非置換-NHCO2アルキル、置換又は非置換-NH-NHアルキル、置換又は非置換-NH-NHアルコキシ、置換又は非置換-NH-SO2アルキル、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-SO2-R9、-NHCO2CH2-R9、-NH-OR9、-NH2-R9、-NH-NH-R9、-NHR9、-NH-CH2-R9、又は-NH-NH-CH2-R9であり、ここでR9は:
【化11】

であり、
【0040】
ここでnは、1〜5の整数であり;R10は、-H、-NH2、-OH、アルコキシ、-N-モルフォリノ、ハライド、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり;R7は、=O、-OH、-SH、-NH2、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-アルコキシ、-アリールオキシ、-ベンジルオキシ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-NHアルキル、-NHアルコキシ、-NHC(O)アルキル、-NHCO2アルキル、=NR8、=NR9、-NHCO2CH2-R9、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-NHアルキル、-NH-NHアルコキシ、-SO2アルキル、-SO2アリール、-NH-SO2アルキル、-NH-SO2-R9、-NH-OR9、-NH-R9、-NH-NH-R9、-NH-NH-CH2-R9、又は-NH-CH2-R9であり、R8及びR9は、上述の通りである化合物、
及び(a)抗生物質;(b)消毒薬;(c)殺菌剤;(d)希釈剤;(e)賦形剤;(f)医薬的に許容される担体;又は(a)〜(f)の任意の組合せを含む組成物が供される。
【0041】
本発明の他の態様によれば、一般式2.0,
【化12】

の化合物であって、
【0042】
式中、当該化合物がグアニンリボスイッチに結合する場合、R9は水素結合供与体として機能するが、リボシル化されず;−−−−は、単又は二重結合を表し;R3は、-N=、-S-、又は-O-を表し;R1又はR2は、同一であるか又は異なり、独立して-NR11-、-CHR11-、=CR11-、-C(=O)-又は-C(=NR11)-であり;R11は、-H、-NH2、-OH、-SH、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-CH3、-POOH、-SO2アルキル、-SO2アリール、-SH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換ベンジルオキシ、置換又は非置換-NHアルキル、置換又は非置換-NHアルコキシ、置換又は非置換-NHC(O)アルキル、置換又は非置換-NHCO2アルキル、置換又は非置換-NH-NHアルキル、置換又は非置換-NH-NHアルコキシ、置換又は非置換-NH-SO2アルキル、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-SO2-R12、-NHCO2CH2-R12、-NH-OR12、-NH2-R12、-NH-NH-R12、-NHR12、-NH-CH2-R12、又は-NH-NH-CH2-R12であり;
【0043】
R12は:
【化13】

であり、
【0044】
式中、nは、1〜5の整数であり;R13は、少なくとも-H、-NH2、-OH、アルコキシ、-N-モルフォリノ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の1つであり;R4、R5及びR6は、炭素原子であり;R7は、-=N-、-NH-、-CH2-、-O-又は-S-であり;R8は、-CH2、-O-、-S-、-CHR13-又は-CR13=であり、R13は、上述の通りであり;R9は、-CH2-、-O-、-S-、又は-P(OOH)-、-N=であり;R10は、=O、-OH、-SH、-NH2、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-アルコキシ、-アリールオキシ、-ベンジルオキシ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-NHアルキル、-NHアルコキシ、-NHC(O)アルキル、-NHCO2アルキル、=NR11、=NR12、-NHCO2CH2-R12、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-NHアルキル、-NH-NHアルコキシ、-SO2アルキル、-SO2アリール、-NH-SO2アルキル、-NH-SO2-R12、-NH-OR12、-NH-R12、-NH-NH-R12、-NH-NH-CH2-R12、又は-NH-CH2-R12であり;R11及び R12が、上述の通りである化合物、及び(a)抗生物質;(b)消毒薬;(c)殺菌剤;(d)希釈剤;(e)賦形剤;(f)医薬的に許容される担体;又は(a)〜(f)の任意の組合せを含む組成物が供される。
【0045】
本発明の他の態様によれば、一般式3.0、
【化14】

の化合物であって、
【0046】
式中、当該化合物が、グアニンリボスイッチに結合する場合、R10は水素結合供与体として機能するが、リボシル化されず;−−−−は、単又は二重結合を表し;R3は、-N=、-S-、又は-O-であり;R10は、-N=、-CH2-、-O-、-S-、又は-P(OOH)-であり;R1、R2及びR9は、同一であるか又は異なり、独立して-NR12-、-CHR12-、=CR12-、-C(O)-又は-C(=NR12)-であり;
【0047】
R12は、-H、-NH2、-OH、-SH、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-CH3、-POOH、-SO2アルキル、-SO2アリール、-SH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換ベンジルオキシ、置換又は非置換-NHアルキル、置換又は非置換-NHアルコキシ、置換又は非置換-NHC(O)アルキル、置換又は非置換-NHCO2アルキル、置換又は非置換-NH-NHアルキル、置換又は非置換-NH-NHアルコキシ、置換又は非置換-NH-SO2アルキル、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-SO2-R13、-NHCO2CH2-R13、-NH-OR13、-N+H2-R13、-NH-NH-R13、-NHR13、-NH-CH2-R13、又は-NH-NH-CH2-R13であり;
【0048】
R13は:
【化15】

であり、
【0049】
nは、1〜5の整数であり;R14は、-H、-NH2、-OH、アルコキシ、-N-モルフォリノ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり;R4、R5及びR6は、炭素原子であり;R7及びR8は、同一であるか又は異なり、独立して-CH=N-、-CH2-O-、CH2-S-、又はCH2SO2-であり;R11は、=O、-OH、-SH、-NH2、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-アルコキシ、-アリールオキシ、-ベンジルオキシ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-NHアルキル、-NHアルコキシ、-NHC(O)アルキル、-NHCO2アルキル、=NR12、=NR13、-NHCO2CH2-R13、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-NHアルキル、-NH-NHアルコキシ、-SO2アルキル、-SO2アリール、-NH-SO2アルキル、-NH-SO2-R13、-NH-OR13、-NH-R13、-NH-NH-R13、-NH-NH-CH2-R13、又は-NH-CH2-R13であり;R12及びR13は、上述の通りであるの化合物、及び(a)抗生物質;(b)消毒薬;(c)殺菌剤;(d)希釈剤;(e)賦形剤;(f)医薬的に許容される担体; 又は(a)〜(f)の任意の組合せを含む組成物が供される。
【0050】
本発明の組成物の具体的な実施形態において、化合物は、一般式、
【化16】

の化合物である。
【0051】
本発明の組成物他の具体的な実施形態において、化合物は、一般式、
【化17】

の化合物である。
【0052】
本発明の組成物の他の具体的な実施形態において、化合物は、一般式、
【化18】

の化合物であり、
【0053】
R5及びR4は、独立して-CH=又は-C(NH2)=である。
【0054】
本発明の他の態様によれば、(i)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);(ii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);(iii)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13); 又は(iv)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17);及び(a)抗生物質;(b)消毒薬;(c)殺菌剤;(d)医薬的に許容される担体; 又は(e)(a)〜(d)の任意の組合せを含む組成物が供される。
【0055】
本発明の他の態様によれば、上記の組成物は、(a)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を、対象において予防又は治療する;又は(b)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体を対象において殺菌、滅菌及び/又は消毒;又は(c)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療又は多剤耐性細菌の発生を予防するためのものである。
【0056】
他の具体的な実施形態において、本願の組成物は、医薬組成物である。
【0057】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を、対象において予防又は治療する方法が供され、当該方法は、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの治療有効量を対象に投与することを含む。
【0058】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を対象において予防又は治療する方法が供され、当該方法は、上記化合物又は上記組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。
【0059】
本願の方法の具体的な実施形態において、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドは、(i)上記の化合物、(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01)、(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16)、(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13)、又は(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)である。
【0060】
本発明の方法の具体的な実施形態において、対象は動物(例えば、乳牛等のウシ、ヤギ、雌ヒツジ、ロバ、ウマ、ブタ、ネコ、イヌ)である。他の具体的な実施形態において、対象は、乳牛である。他の具体的な実施形態において、対象はヒトである。他の具体的な実施形態において、病原体は、ブドウ球菌属(Staphylococcus)又はクロストリジウム属(Clostridium)に属する細菌である。他の具体的な実施形態において、細菌は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)である。他の具体的な実施形態において、感染症は、乳腺感染症である。
【0061】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を対象において予防又は治療するためのグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの治療有効量の使用が供される。
【0062】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症の対象における予防又は治療用の医薬の製造のためのグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの治療有効量の使用が供される。
【0063】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を、対象において予防又は治療するための上記の化合物又は上記組成物の使用が供される。
【0064】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症の対象における予防又は治療用医薬の製造のための上記の化合物又は上記組成物の使用が供される。
【0065】
前記使用の具体的な実施形態において、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドは、(i)上記の化合物、(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01)、(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16)、(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13)、又は(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)である。
【0066】
本発明の使用の具体的な実施形態において、対象は、動物(例えば、乳牛等のウシ、ヤギ、雌ヒツジ、ロバ、ウマ、ブタ、ネコ、イヌ)である。他の具体的な実施形態において、対象は、乳牛である。他の具体的な実施形態において、対象は、ヒトである。他の具体的な実施形態において、病原体は、ブドウ球菌属(Staphylococcus)又はクロストリジウム属(Clostridium)に属する細菌である。他の具体的な実施形態において、細菌は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)である。他の具体的な実施形態において、感染症は、乳腺感染症である。
【0067】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体の対象を殺菌及び/又は滅菌する方法が供され、当該方法は、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの有効量を対象に適用することを含む。
【0068】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体を対象において殺菌及び/又は滅菌する方法が供され、当該方法は、上記の化合物又は上記組成物の有効量を対象に適用することを含む。
【0069】
具体的な実施形態において、本発明の方法は、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドは、(i)上記のの化合物、(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01)、(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16)、(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13)、又は(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)である。
【0070】
本発明の方法の具体的な実施形態において、対象は、動物又は乳である。
【0071】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体を対象において殺菌、滅菌及び/又は消毒のためのグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの有効量の使用が供される。
【0072】
本願の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体を対象において殺菌、滅菌及び/又は消毒のための上記の化合物又は上記組成物の使用が供される。
【0073】
本願の使用の具体的な実施形態において、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドは、(i)上記の化合物;(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13); 又は(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)である。
【0074】
本願の使用の具体的な実施形態において、対象は、動物又は乳である。
【0075】
本発明の他の態様によれば、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンド、又は上記の化合物、又は上記組成物によって治療可能な病原体を選択する方法が供され、当該方法は、病原体がguaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有するかを決定する工程を含む。
【0076】
本願の方法の具体的な実施形態において、方法は、(i)上記の化合物;(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13);(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17); 又は(vi)上記組成物によって治療可能な病原体を選択するの方法であり、当該方法は、病原体がguaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有するかを決定する工程を含む。
【0077】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を治療又は予防するための化合物を同定する方法が供され、当該方法は、病原体を候補化合物と接触させる工程、及び病原体の成長又は生存への化合物の影響を決定する工程を含み、ここで候補化合物の非存在下と比較して、存在下で病原体の成長又は生存の減少は、当該化合物が微生物感染症の治療又は予防に適するという指標となる。
【0078】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を予防又は治療するための化合物を同定する方法が供され、当該方法は、グアニンリボスイッチを当該化合物と接触させる工程;化合物がグアニンリボスイッチに結合するかを決定する工程を含み;ここで化合物のグアニンリボスイッチへの結合は、化合物が微生物感染症を治療することに適するという指標となる。
【0079】
本願の方法の具体的な実施形態において、グアニンリボスイッチは、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)(STPY-xpt)由来のグアニンxptリボスイッチである。他の具体的な実施形態において、本願の方法は、グアニンリボスイッチをグアニン又はグアニン様リガンドに接触させる工程を更に含む。他の具体的な実施形態において、本願の方法は、化合物がリボシル化されるかを決定する工程を更に含む。
【0080】
本発明の他の態様によれば、対象における細菌の多剤耐性の発生を予防するのための方法が供され、当該方法は、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドを対象に投与する工程を含み、ここで細菌は、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する。
【0081】
本発明の他の態様によれば、対象における細菌の多剤耐性の発生を予防する、又は対象において細菌の多剤耐性を治療するための方法が供され、当該方法はグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドを対象に投与する工程を含み、ここで細菌はguaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する。
【0082】
本願の方法の具体的な実施形態において、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドは:(i)上記の化合物;(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13); 又は(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)である。
【0083】
本発明の他の態様によれば、多剤耐性細菌を治療する又は多剤耐性細菌の発生を予防するためのグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの使用が供され、ここで細菌はguaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する。
【0084】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療又は多剤耐性細菌の発生を予防するための医薬の製造用グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの使用が供される。
【0085】
本発明の他の態様によれば、guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療又は多剤耐性細菌の発生を予防するための上記の化合物又は上記組成物の使用が供される。
【0086】
本願の使用の具体的な実施形態において、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドは:(i)上記の化合物;(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13); 又は(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)である。
【0087】
本発明の他の態様によれば、(a)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を、対象において予防又は治療するため;又は(b)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体の対象における殺菌、滅菌及び/又は消毒用;又は(c)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療又は多剤耐性細菌の発生を予防するため、のグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドが供される。
【0088】
対象における殺菌、滅菌及び/又は消毒のための本願のリガンドの具体的な実施形態において、対象は動物又は乳である。
【0089】
本発明の他の態様によれば、(i)上記の化合物;(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13); 又は(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)が供され、これらは(a)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を対象において予防又は治療する;又は(b)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体の対象における殺菌、滅菌及び/又は消毒;又は(c)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療又は多剤耐性細菌の発生を予防するためのものである。
【0090】
対象における殺菌、滅菌及び/又は消毒のための組成物の具体的な実施形態において、対象は動物又は乳である。
【0091】
本発明の他の態様によれば、(i)請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物;(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13); 又は(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17);及び(a)抗生物質;(b)消毒薬;(c)殺菌剤;(d)希釈剤;(e)賦形剤;(f)医薬的に許容される担体; 又は(g)(a)〜(f)の任意の組合せを含む組成物が供され、当該組成物は:(aa)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を、対象において予防又は治療する用;又は(bb)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体の対象における殺菌、滅菌及び/又は消毒用; 又は(cc)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療又は多剤耐性細菌の発生を予防する用である。
【0092】
上記の使用のための本願のリガンド、化合物及び組成物の具体的な実施形態において、対象は、動物(例えば、乳牛等のウシ;ヤギ、雌ヒツジ、ロバ、ウマ、ブタ;ネコ、イヌ)である。他の具体的な実施形態において、対象は、乳牛である。他の具体的な実施形態において、対象は、ヒトである。他の具体的な実施形態において、病原体は、ブドウ球菌属(Staphylococcus)又はクロストリジウム属(Clostridium)に属する細菌である。他の具体的な実施形態において、細菌は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)である。他の具体的な実施形態において、感染症は、乳腺感染症である。
【0093】
本発明の他の態様によれば、上記の化合物又は上記組成物、及び微生物感染症の予防又は治療においてそれらを使用するための説明書を含むキットが供される。
【0094】
具体的な実施形態において、当該キットは(i)上記の化合物、(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01)、(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16)、(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13)、(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)、又は(vi)上記の組成物、及び微生物感染症の予防又は治療におけるそれらの使用のための説明書を含む。
【0095】
本発明の他の態様によれば、式2.02
【化19】

の化合物を調製するための方法が供される。
【0096】
当該方法は、(a)ナトリウムメトキシド及びメタノールの存在下で、マロン酸ジエチルアセトアミドをグアニジンヒドロクロリドと反応させ、固体を得る工程、(b)水性溶媒に(a)の固体を溶解させる工程、(c)(b)の溶液を酸沈殿に供し、5-ホルムアミノ(formamino)-2-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン沈殿物を得る工程、(d)酸に5-ホルムアミノ2-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン沈殿物を溶解する工程、及び(e)(d)の溶液を沈殿させ、式2.02の化合物を得る工程を含む。
【0097】
当該方法の具体的な実施形態において、反応させる工程は、還流下で行う。他の具体的な実施形態において、(b)の酸沈殿は、塩酸(HCl)溶液を使用して行う。他の具体的な実施形態において、HCl溶液は50% HCl溶液である。他の具体的な実施形態において、(d)を溶解する工程は、硫酸を使用して行う。他の具体的な実施形態において、硫酸は12 Mの硫酸である。他の具体的な実施形態において、当該方法は、(a)の固体をメタノール及びクロロホルムで洗浄する工程を更に含む。他の具体的な実施形態において、上記水溶液は、水である。他の具体的な実施形態において、(e)を沈殿させる工程は、テトラヒドロフラン(THF)を使用して行う。
【0098】
本発明の他の目的、利点及び特徴は、添付図面に関する実施例を通して、これらの具体的な実施形態の次の非限定的な説明を読むことによってより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、原型の乳腺炎黄色ブドウ球菌(S aureus)分離株(SHY97-3906)及び持続性及び慢性ウシ乳房炎を生じている黄色ブドウ球菌(S aureus)分離株(分離株#3, #557及び#1290)によって一般に又は異なって発現される遺伝子(guaAを含む)の数を示しているベン図を示す。
【0100】
【図2】図2は、対応する黄色ブドウ球菌(S aureus)分離株を健康な乳牛から新鮮に採取した乳中でインビトロで(in vitro)成長させた場合と比較した、インビボ(in vivo)の乳牛の採取サンプルにおける、黄色ブドウ球菌(S aureus)の乳腺炎分離株によるguaA mRNA発現の相対的なレベルを示している定量PCR分析を示す。黄色ブドウ球菌(S aureus)遺伝子gyrBの発現レベルに、全ての結果を規準化した。水平バーは中央値を表す。2種の異なる動物において成長させた黄色ブドウ球菌(S aureus)由来のRNAサンプルを分析した:株SHY97-3906(o)、#3(Δ)、#557(◇)、#1290(□)での感染10日後の乳牛#5325。感染8日後の乳牛#307(黒)及び14日後の乳牛#307(灰色)由来のサンプルに対して、4つの異なる株に関して同一の形を使用した。定量PCRはまた、感染10日後の乳牛5325中の株#1290から回収したRNAサンプルに関して3通り行い、エラーバーはそれに応じて示す。
【0101】
【図3A】図3Aは、遺伝子間領域に存在する塩基対(bps)の数(第1の数)で再定義される黄色ブドウ球菌(S aureus)由来のオペロンxpt/pbuX/guaB/guaAの構成の略図を示し、図3BにおいてRT-PCRによって増幅された領域の塩基対中の断片長を示す(バー1、2及び3の下の数)。
【図3B】図3Bは、xpt及びpbuX(1);pbuX及びguaB(2);及びguaB及びguaA(3)の間の遺伝子間領域のRT-PCR分析の結果を示す。
【0102】
【図4A】図4Aは、化合物:2,5,6-トリアミノピリミジン-4-オン(化合物1.01)として示される4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2,6-ジアミノピリミジン-4-オン(化合物1.13)及び5,6-ジアミノ-ウラシル(2AU)として示される2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン等のグアニンリボスイッチリガンドの構造及びそれらの予測水素結合を示す。黒及び灰色矢印は、それぞれ水素受容及び供与基を表す。
【図4B】図4Bは、Mulhbacher and Lafontaine, 2007に記載されるアッセイを使用して測定された化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)(STPY-xpf)由来のグアニンxptリボスイッチに関して2つの濃度(1又は10μM)における複数の化合物の相対結合親和性を表しているヒストグラムを示す。試験化合物は:グアニン(G又はGua)、アデニン(A)、キサンチン(X)、ヒポキサンチン(H)、化合物1.13、化合物1.01、5,6-ジアミノ-ウラシル(2AU)及び6-チオグアニン(6-thio)を含む。
【0103】
【図5】図5A及び5Bは、グアニンリボスイッチがguaA遺伝子の発現を制御する(図5B)又は制御しない(図5A) 様々な細菌種の成長に対する化合物1.01の影響を示す。リボスイッチの制御下で化合物1.01に非感受性の株がguaAの発現を有しない一方で(Bs:バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、Ef:エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus feacium)、Lm:リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、STRd:ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(Streptococcus dysgalactiae)、STRpy:化膿レンサ球菌(Streptococus pyogenes)、及びSTRu:ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis))、化合物 1.01に感受性のある株は、リボスイッチ機序を介してguaA発現を制御する(Bh:バチルス・ハロドゥランス(Bacillus halodurans)、STAh:表皮ブドウ球菌(S.haemolyticus)、STAa:黄色ブドウ球菌(S aureus)ATCC29213、SA228a:βラクタム、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン及びテトラサイクリンに耐性を示す黄色ブドウ球菌(S aureus)、MRSAcol:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S aureus)COL、Cb:クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、Cd6:Quebecにおいて単離された病原性クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、Cd630:完全な配列のゲノムを有するクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)株630、STAe:表皮ブドウ球菌(S epidermidis))
【0104】
【図6A】図6Aは、ヌクレオシドの形成に通じるリボシル化反応及びこのリボシル化が生じるのを予防する本発明の化合物の例を示す。アステリスク(*)は、化学修飾がリボシル化を妨げる位置を意味する。
【図6B】図6Bは、6-チオグアニンの欠如(1)又は6-チオグアニンの濃度0.5mg/mL(2)又は1 mg/mL(3)の存在下で生長させた大腸菌(E.coli)ATCC 35695株(guaAリボスイッチを欠如している)及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S aureus)株(guaAリボスイッチを含む)において行った典型的なアンチバイオグラムを示す。
【図6C】図6Cは、6-チオグアニンがリボシル化され且つDNA 及び RNA中に取り込まれることができ(Swann et al, 1996)、大腸菌(E.coli)及び黄色ブドウ球菌(S aureus)双方に対してそのリボスイッチ非依存性、非特異的抗生物質活性を (図6Bに示されるように)生じ得ることを示す。
【0105】
【図7】図7A-Dは、インビトロでの(in vitro)黄色ブドウ球菌(S aureus)の成長に対する化合物1.13及び1.01を含む様々な抗菌化合物の影響を示す。図7Aは、化合物1.13(・)又は1.01(□)の存在下でのリガンド濃度を関数として黄色ブドウ球菌(S aureus)株ATCC 29213の成長を示す。図7B及び7Cは、それらの対応する最小阻害濃度(MIC)(図7B)又はそれらのMICの1/4(図7C)と同等である濃度における、エリスロマイシン(▲)、バンコマイシン(■)、シプロフロキサシン(◆)、及び化合物1.01(▼)を含む様々な化合物の欠如(・)又は存在下での、時間を関数とした黄色ブドウ球菌(S aureus)株ATCC 29213の成長を示す。図7Dは、培地単独(・)、化合物1.01の存在下(▼)、又はGMP(すなわち、guaAにコードされた酵素GMPシンセターゼによって通常合成される分子)を追加した化合物1.01の存在下で(▲)の、時間を関数とした黄色ブドウ球菌(S aureus)株ATCC 29213の成長を示す。
【0106】
【図8A】図8Aは、化合物1.01単独の存在下又はGMPを追加した化合物1.01の存在下でインビトロで(in vitro)細菌を成長させた場合の、グアニンリボスイッチ(xpt、pbuX、guaA及びguaB)の制御下での複数の黄色ブドウ球菌(S aureus)遺伝子の相対的な遺伝子発現を示す。遺伝子発現を、化合物1.01の存在下でのxptの発現レベルに規準化した。遺伝子gyrA及びgyrBは、GMPの存在下で発現が下方制御されないジャイレースタンパク質サブユニットをコードしている制御遺伝子を表す。結果は、3つの実験の平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す。
【図8B】図8Bは、黄色ブドウ球菌(S aureus)における化合物1.01の阻害性効果の略図を示す。特有のグアニンリボスイッチは、4つのグアニン関連遺伝子(xpt、pbux、guaA及びguaB)全ての遺伝子発現制御を行う。リボスイッチ制御遺伝子は灰色で表し、化合物1.01阻害効果を灰色のバーで示す。太いバーは、guaAの発現に対する化合物1.01の影響を示す。点矢印は、図中に示されない複数の合成ステップを表す。黒色卵円は、様々な代謝トランスポーターをコードしている遺伝子を表す。
【0107】
【図9】図9は、黄色ブドウ球菌(S aureus)に以前に感染したマウス乳腺ホモジネートから得られるコロニーを形成している単位(CFU)数を示す。マウス乳腺を、感染後に10、50又は100 μg/腺の化合物1.01と共に又はなしにPBSで4時間処理した。アステリスクは、観察された違いが統計的に有意であることを示す。
【0108】
【図10】図10は、黄色ブドウ球菌(S aureus)の化合物1.01に耐性を生じる能力のないことを示す。黄色ブドウ球菌(S aureus)株ATCC 29213の成長における化合物1.01のMICを、5継代ごとに(最大30継代)測定した。比較のために、対応する結果を2つの周知の抗生物質、シプロフロキサシン及びリファンピシンで得た。
【0109】
【図11】図11は、式1.0、2.0及び3.0由来の本発明の化合物の代表的な構造の例を示す。全ての例は、広範及び非特異的毒性につながり得る細菌性又は哺乳類酵素によるによるリボシル化を受けるのに必須の化学的構造が欠如している。
【0110】
実施形態の詳細な説明
遺伝子guaAは、様々な微生物病原体の生存又は病原性に必須であり、XMP(キサントシン 5-一リン酸)からGMP(グアノシン5’−一リン酸)の合成(E.C.6.3.5.2)を触媒する酵素GMPシンセターゼをコードする。本発明は、一部の微生物病原体において、必須の遺伝子guaAの発現がグアニンリボスイッチの制御下であることを示した。添付の実施例に示されるように、黄色ブドウ球菌(S aureus)中のグアニンリボスイッチがその中で、同一のmRNA転写物上に存在する4つの遺伝子:xpt、pbuX、guaB及びguaAの発現を制御することが発見された。バイオインフォマティクス分析によって、このようなグアニンリボスイッチが、黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)及びクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)等の病原体微生物中で見つかるが、一方グアニンリボスイッチがguaAの発現を制御しないバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及び連鎖球菌(Streptococci)等の微生物中では発見されないことが明らかとなった。guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを含む又は含まない微生物を例示する以下の表3を参照されたい。
【0111】
本発明はまた、黄色ブドウ球菌(S aureus)等の一部の病原体微生物は、特定の環境において哺乳類等の動物宿主の感染中にguaAを顕著に発現するという予期せぬ発見に関する。添付の実施例に示されるように、ウシの乳房内感染症から単離された様々な黄色ブドウ球菌(S aureus)株において、マイクロアレイ及び定量PCR遺伝子発現分析を行った。これらの研究は、ウシ乳房炎を生じることが知られる原型の黄色ブドウ球菌(S aureus)株及び持続性及び慢性乳腺炎を生じることが知られる株に乳牛が感染中、guaAが非常に発現されることを明らかにする。従って、本発明はまた、guaA遺伝子の発現を制御しているグアニンリボスイッチが、治療上の抗菌治療介入に適切な標的であるという驚くべき発見に関する。
【0112】
本発明はまた、リボシル化を受けることができないように修飾されるグアニン様化合物が、それにもかかわらずリボスイッチアプタマーに結合する又はそれと相互作用することができ、リボスイッチ制御下にある発現遺伝子に影響し得るという驚くべき発見に関する。添付の実施例に示されるように、周知のグアニンリボスイッチリガンドを置換する様々な化合物の能力を測定する結合及び競合アッセイにより、本発明の化合物がグアニンリボスイッチに結合することができることが示された。マイクロアレイ遺伝子発現分析により、本発明の化合物がグアニンリボスイッチに結合するだけでなく、グアニンリボスイッチの制御下にある発現遺伝子を調節することができることが確認された。さらに、本発明の化合物と代謝物GMPを併用する試験によって、この調節の特異性及び機序を検証した。
【0113】
本発明はまた、本発明の化合物が、微生物病原体(グアニンリボスイッチの制御下のguaA遺伝子を有する)が耐性を生じることができない特異的又は選択的な抗菌剤として機能し得るという発見に関する。本発明はまた、本発明の化合物が、遺伝子guaAがグアニンリボスイッチによって制御されていない微生物に対して実質的な阻害活性を有しないという発見に関する。添付の実施例に示されるように、本発明の化合物は、インビトロで(in vitro)(例えば、培地又は乳中で)又はインビボで(in vivo)(例えば、マウス乳腺感染において)成長させた場合の黄色ブドウ球菌(S aureus)及びクロストリジウム・ディフィシル(C difficile)株に抗菌効果を示すことができる。本発明の化合物の特異性は、これらがグアニンリボスイッチの制御下のguaAを欠如する株(例えば、大腸菌(E.coli))に抗菌効果を発揮することができないということによって示された。本発明の化合物の抗菌効果は、複数の周知の抗菌化合物と比較して明細書中に示される。周知の抗菌化合物、シプロフロキサシン及びリファンピシンと異なり、黄色ブドウ球菌(S aureus)株は本発明の化合物に対して著しく抗生物質耐性を生じなかった。従って、本発明の化合物は、黄色ブドウ球菌(S aureus)中の細菌性耐性の急速な発生を予防しながら、遺伝子guaAの発現を阻害することができることもまた明細書中に開示する。
【0114】
本発明はまた、以下の一般式の化合物に関する。
【0115】
グアニン
【化20】

【0116】
式1.0:
【化21】

【0117】
式1.01(4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジンとして、ここではグアニンリボスイッチリガンド2,5,6-トリアミノピリミジン-4-オンが示される):
【化22】

【0118】
式1.13(グアニンリボスイッチリガンド2,6-ジアミノピリミジン-4-オンとして、ここでは2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジンが示される):
【化23】

【0119】
式1.16(グアニンリボスイッチリガンド5,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン-4-オンとして、ここでは4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジンが示される)
【化24】

【0120】
式2.0:
【化25】

【0121】
式2.02(5-アミノ-6H-オキサゾロ[5,4-d]ピリミジン-7-オンとして、ここでは9-オキソグアニンが示される)
【化26】

【0122】
式2.17(5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン)
【化27】

【0123】
式3.0:
【化28】

【0124】
本発明の化合物は、グアニンリボスイッチ結合部位に結合するにもかかわらず、標的病原体によって化学的にリボシル化されない。この特性は、細胞ヌクレオシド、ヌクレオチド又は核酸中への化合物の取り込みを予防する。これによって、化合物によって標的とされない細菌種、及び治療上の治療介入のために本化合物が使用される哺乳類又は動物宿主に対する、広範の、非特異的毒性を予防する。
【0125】
定義
請求項及び/又は明細書中で用語「を含む」と共に使用する場合、用語「a」又は「an」の使用は、「1つ」を意味するが、「1又は2以上」、「少なくとも1つ」、及び「1又は2以上」も意味する。
【0126】
本明細書及び請求項において使用する場合、用語「を含む(comprising)」(及び「を含む(comprise)」及び「を含む(comprises)」等の、「を含む(comprising)」の任意の形態)、「を有する(having)」(及び「を有する(have)」及び「を有する(has)」等の、「を有する(having)」の任意の形態)、「を含む(including)」(及び「を含む(inclides)」及び「を含む(inclide)」等の、「を含む(incliding)」の任意の形態)又は「を含む(containing)」(及び「を含む(contains)」及び「を含む(contain)」等の、「を含む(containing)」の任意の形態)とは、包括的又は非制限的であり、さらなる非記載の要素又は方法工程を除外しないことを意味する。
【0127】
本明細書中で使用する場合、用語「分子」、「化合物」、「薬剤」又は「リガンド」は、互換的に且つ広く使用され、天然、合成又は半合成分子又は化合物を意味する。従って、用語「化合物」は、例えば、化学薬品、高分子、(植物又は動物由来の)細胞又は組織抽出物等を意味する。化合物の非限定的な例として、ペプチド、抗体、炭水化物、核酸分子及び医薬品を含む。化合物は、ランダムスクリーニング、合理的選択を含む種々の手段によって、及び例えば、コンピューターモデリング等のリガンドモデリング方法を使用した合理的なデザインによって、選択及びスクリーニングすることができる。用語「合理的に選択され」又は「合理的にデザインされ」は、本発明の相互作用ドメイン(例えば、グアニンリボスイッチ)の立体構造に基づいて選択された化合物を定義することを意味する。当業者に当然のことながら、自然には生じない修飾を有する分子もまた、用語「化合物」の範囲内である。例えば、本発明の化合物は、その活性、安定性、毒性及び/又は生体利用能を増強するように修飾することができる。本発明の教示に従って同定される当該化合物又は分子は、微生物感染症に関連した疾患又は状態において治療上の価値を有する。
【0128】
本明細書中で使用する場合、用語「対象」又は「患者」は、動物、好ましくは乳牛等のウシ;ヤギ;雌ヒツジ;ロバ、ウマ;ブタ;ネコ、イヌ;等又はヒト等の哺乳類であるがこれらに限定されず、治療、観察又は実験の対象であることを意味する。
【0129】
本明細書中で使用する場合、用語「医薬的に許容される」とは、動物(例えば、乳牛) 又はヒトに投与された場合に、生理的に許容され、且つ胃ぜん動、目まい等のアレルギー又は同様の有害反応を典型的に生じない分子的実体及び組成物を意味する。好ましくは、本明細書中で使用する場合、用語「医薬的に許容される」とは、動物、より具体的にはヒトにおける使用のために、連邦又は州政府の規制当局によって承認される、又は米国薬局方又は他の一般的に認識される薬局方においてリストに記載されていることを意味する。
【0130】
用語「担体」とは、共に本発明の化合物を投与することができる、希釈剤、アジュバント、賦形剤又は溶媒を意味する。担体として、特に注射溶液のために、滅菌水又は水性生理食塩水溶液及び水性ブドウ糖及びグリセロール溶液を採用することができる。適した医薬担体は、E.W. Martinの「Remington's pharmaceutical Sciences」に記載される。
【0131】
本発明の化合物は、医薬組成物中に投与することができる。医薬組成物は、単位剤形で投与することができる。任意の適した投与経路を採用することができ、例えば、非経口的、皮下、筋肉内、乳房内、頭蓋内、眼窩内、眼部、脳室内、関節内、関節腔内、脊髄内、嚢内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、又は経口投与である。特定の投与経路の例は、非経口的、例えば、静脈内、皮内、皮下、乳房内; 経口(例えば、吸入); 経皮(局所的);経粘膜的、及び直腸内投与を含む。
【0132】
これらの組成物を患者に投与するのに適する製剤又は組成物を供するために、従来の医薬的習慣を採用することができる。医薬組成物及び製剤を製造するための当技術分野で周知の方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, (20th ed.) ed. A. R. Gennaro A R., 2000, Lippincott: Philadelphiaに掲載されている。
【0133】
経口投与のための治療上の製剤は、錠剤又はカプセルの形態とすることができ;経粘膜的(例えば、直腸内、鼻腔内)又は経皮/経皮(percutaneous)投与用は、軟膏、粉末、点鼻薬、スプレー/エアロゾル又は坐薬の形態とすることができ;局所的投与用は、軟膏、クリーム、ゲル又は溶液の形態とすることができ;非経口的投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、乳房内、皮下、髄腔内又は経皮)用は、例えば注射溶液を使用する。さらに、投与は、舌下に又は眼科調製物として、又はエアロゾルとして、例えばスプレーの形態で行うことができる。静脈内、筋肉内又は経口投与は、使用の好適な形態である。
【0134】
経口
経口治療投与の目的のために、活性化合物を賦形剤と共に取り込み、例えば錠剤、トローチ、糖衣錠、ハード又はソフトゼラチンカプセル、溶液(例えば、シロップ)、エマルション又は懸濁液、又はカプセルの形態で使用することができる。経口投与用製剤の調製のために、本発明の化合物を医薬的に不活性な、無機又は有機賦形剤(例えば、医薬的にコンパチの結合薬剤、及び/又はアジュバント)と混合することができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等は、次の成分:結晶セルロース、トラガント又はゼラチン等の結合剤;デンプン又はラクトース等の賦形剤、アルギン酸、プリモジェル(登録商標)、又はコーンスターチ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はステローテ(Sterote)等の潤滑剤;コロイド性ケイ素ジオキシド等の流動促進剤;スクロース又はサッカリン等の甘味剤; 又はペパーミントサリチル酸メチル、又はオレンジ香味料等の香味料、又は同様の性質の化合物のいずれかを含むことができる。錠剤、糖衣錠又はハードゼラチンカプセルに適する賦形剤の例は、例えばラクトース、トウモロコシデンプン又はそれらの誘導体、滑石又はステアリン酸又はその塩を含む。ソフトゼラチンカプセルとの使用に適した賦形剤は、例えば植物油、ワックス、脂肪、半固体又は液体ポリオール等を含むが、活性成分の性質に従って、ソフトゼラチンカプセルに賦形剤が全く必要ない場合もある。
【0135】
溶液及びシロップの調製物に関して、使用される賦形剤は、例えば水、ポリオール、ショ糖、転化糖及びグルコースを含む。
【0136】
経鼻
吸入による投与に関して、化合物は、適した噴霧剤、例えば、二酸化炭素等の気体を含む加圧された容器又はディスペンサーからのエアロゾルスプレー、又はネブライザーの形態で送達することができる。吸入用製剤は、点鼻薬の形態又はゲルとしての投与のために、賦形剤、例えばラクトースを含んでよく、又は例えば、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸及びデオキシコール酸を含む水溶液、又は油性溶液とすることができる。
【0137】
経粘膜又は経皮
経粘膜又は経皮投与ために、透過されるバリアに適した浸透剤は、製剤に使用される。これらの浸透剤は、一般的に当技術分野で周知であり、経粘膜投与のために、例えば、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、経鼻スプレー又は坐薬の使用を介して達成できる。経皮投与のために、活性化合物は、一般的に当技術分野で周知の軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、又はクリーム中に製剤される。坐薬、及び局所又は経皮投与に関して、使用することができる賦形剤は、例えば天然又は硬化油、ワックス、脂肪及び半固体又は液状ポリオールを含む。
【0138】
非経口
注射可能な使用に適する医薬組成物は、滅菌注射溶液の即時調製又は分散のための滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び滅菌粉末を含む。非経口適用に使用される溶液又は懸濁液は、次の成分:例えば水等の注射用の滅菌希釈剤(水溶性の場合)、生理食塩水溶液、固定油(例えば、パラフィン油)、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール又は他の合成溶媒、植物由来の油、又は水素化ナフタレン;ベンジルアルコール又はメチルパラベン等の抗菌薬剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤;ジチオスレイトール等の還元剤、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩等の緩衝剤及び塩化ナトリウム又はブドウ糖等の浸透圧調節用の薬剤を含むことができる。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムで調整することができる。生体適合性、生分解性ラクチド重合体、ラクチド/グリコリド共重合体、又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体を使用し、化合物の放出を制御することができる。本発明の化合物のための他の極めて有効な非経口送達システムは、エチレンビニル酢酸塩共重合体粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型注入システム、及びリポソームを含む。非経口調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ又はガラス又はプラスティックで作られた複数回投与バイアル中に封入することもできる。
【0139】
静脈内又は乳房内投与に関して、適切な担体は、生理食塩水、静菌性水、Cremophor ELTM(BASF, Parsippany, N.J.)又はリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)を含む。
【0140】
リポソームの懸濁液(特定の細胞型に標的化されたリポソームを含む)は、医薬的に許容される担体としてもまた使用することができる。化合物を動物に送達することに適する種々のリポソーム製剤は、例えば、低分子、核酸、及びポリペプチドを含む種々の化合物を送達することに有効であることが記載され且つ示されている。
【0141】
上記の通り、本発明の化合物を含む医薬もまた、本発明の目的であり、このような医薬の製造方法もまた本発明の目的であり、当該方法は、本発明の化合物のうち1又は2以上を、必要に応じて、さらに他の治療的に有用な物質のうち1又は2以上をガレヌス(galenical)投与形態中に加えることを含む。
【0142】
塩、エステル、水和物及び溶媒和化合物
本発明の化合物は、その薬理学的に許容される塩及びエステル誘導体及びその水和物又は溶媒和化合物及び関連化合物の全立体異性体を含む。本発明の化合物及びその薬理学的に許容されるエステルは、必要であれば薬理学的に許容される塩を形成することができる。
【0143】

用語「その薬理学的に許容される塩」とは、本発明の化合物を変換して生じる塩を意味する。これらの塩の好適な例は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、マグネシウム又はカルシウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩及びマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩及びコバルト塩等の金属塩;アンモニウム塩を含む無機塩等のアミン塩;t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N-メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N-ベンジル-フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩等の有機塩又はアンモニウム塩;フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩又はヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩又はリン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート又はエタンスルホナート等の低級アルカンスルホナート;ベンゼンスルホナート又はp-トルエンスルホナート等の生物に無毒性のアリールスルホナート;酢酸塩、リンゴ酸塩、アジピン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホナート、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩(camphorsulfonate)、桂皮酸塩、シクロペンタンピオン酸塩、ジグルコン酸塩(digluconate)、ドデシル硫酸塩、エタンスルホナート、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホナート、イタコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マンデレート、スルホナート、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、エタンスルホナート、2-ナフタレンスルホナート、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルピオン酸塩、ピクレート、ピバリン酸塩、ピオン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、及びウンデカン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩又はマレイン酸塩等の有機酸塩;及びグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、ヒスチジン、グルタマート又はアスパルタート塩等のアミノ酸塩を含む。さらに、塩基窒素を含む基は、低級アルキルハライド、メチル、エチル、プロピル、及びブチルクロリド、臭化物及びヨウ化物;ジメチル、ジエチル、及びジブチル硫酸塩を含むジアルキル硫酸塩;及びジアミル硫酸塩、デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリール(strearyl)クロリド等の長鎖ハライド、臭化物及びヨウ化物、ベンジル及びフェネチル臭化物を含むアラルキルハライド、及びその他の薬剤で四級化することができる。さらなる例としては、S. M. Berge, et al.の「Pharmaceutical Salts」J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19を参照されたい。これらの塩は、当業者は標準的な技術を使用して非常に容易に形成することができる。
【0144】
本発明の化合物に存在する酸性基で形成される塩の好適な例は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩及びマグネシウム塩)、アルミニウム塩及び鉄塩等の金属塩;無機アミン塩(例えば、アンモニウム塩)及び有機アミン塩(例えば、t-オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N-メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩);N-ベンジルフェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩等のアミン塩;及びグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタマート及びアスパルタート等のアミノ酸塩を含む。
【0145】
全ての塩は本発明の範囲内の医薬的に許容される塩であることを意図し、全ての塩は本発明の目的に相当する化合物の遊離型と均等であるとみなす。
【0146】
エステル
生理的に/医薬的に許容されるエステルはまた、活性医薬として有用である。用語「医薬的に許容されるエステル」は、本発明の化合物のエステルを含み、その中にあるヒドロキシ基(例えば、カルボン酸中の)は、対応するエステルに変換されており、温血動物の血流に吸収される場合、プロドラッグとして機能し、その医薬形態を解除しその医薬により治療上の効果を改善することができるような方法で開裂することができる。このようなエステルは、無機又は有機酸、例えば硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルフィン酸、p-トルエンスルホン酸等と形成することができ、これらは生物に無毒である。さらなる例は、例えば酢酸等の脂肪酸又は芳香族酸、或いは脂肪族アルコール(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル又はペンチルエステル、等を含むアルキルエステル)又は芳香族アルコール(例えば、ベンジルエステル)とのエステルである。
【0147】
エステルは、当業者に周知の種々の方法によって、例えばまず酸を酸塩化物に変換し、次にこの酸塩化物を適したアルコールと反応させることによって、その対応する酸又は塩から調製することができる。エステルを作成する他の適した方法は、Kemp及びVellaccio, 1980に記載される。
【0148】
本発明のエステルがアミノ基等の塩基性基を有する場合、それを酸と反応させることによって化合物は塩に変換することができ、そしてエステルがスルホンアミド基等の酸性基を有する場合、塩基と反応させることによって化合物を塩に変換することができる。本発明の化合物は、これらの塩を包含する。
【0149】
本発明の化合物の塩及びエステルは、即利用できる及び/又は本願明細書中に記載される適した出発原料又は中間化合物を採用することによる周知の方法によって調製することができる。
【0150】
一般的に、本発明の化合物の所望の塩は、化合物の最終的な単離及び精製中にインサイチュで(in situ)当技術分野で周知の手段によって調製することができる。例えば、所望の塩は、その遊離塩基又は遊離酸形態の精製化合物を別々に適した有機又は無機酸、又は適した有機又は無機塩基とそれぞれ反応させること、及びこれにより形成された塩を単離することにより調製することができる。塩基化合物の場合は、例えば、遊離塩基をTHF等の適した溶媒中で無水HClで処理し、そして塩は単離により塩酸塩として得られる。酸化合物の場合は、例えば、エーテル等の適した溶媒中で遊離酸を無水アンモニアで処理し、続いて単離によりアンモニウム塩として得ることができる。これらの方法は従来のものであり、当業者は見て即座に分かるであろう。
【0151】
本発明の化合物は、適した無水物、カルボン酸又は酸塩化物を本発明の化合物のアルコール基と反応させることを含む種々の従来の手順によってエステル化することができる。適した無水物を、1,8-ビス[ジメチルアミノ]ナフタレン又はN,N-ジメチルアミノピリジン等のアシル化を促進する塩基の存在下でアルコールと反応させる。あるいは、水の除去によって脱水反応を促進するために使用されるジシクロヘキシルカルボジイミド、1-[3-ジメチルアミノプロピル]-3-エチルカルボジイミド等の脱水化薬剤又は他の水溶性脱水化薬剤、及び任意にはアシル化触媒の存在下で、適したカルボン酸を、アルコールと反応させることができる。エステル化はまた、トリフルオロ無水酢酸、任意には、ピリジンの存在下で、又はN,N-カルボニルジイミダゾールの存在下でピリジンと共に、適したカルボン酸を使用して達成することができる。酸塩化物のアルコールとの反応は、4-DMAP又はピリジン等のアシル化触媒で行うことができる。
【0152】
当業者は、アルコールのエステル化の他の周知の方法と同様にこれらを実施できるか容易に知ることができるであろう。
【0153】
水和物
本明細書中で使用する場合、用語「医薬的に許容される水和物」とは、水和物形態を形成する1又は2以上の水分子で結晶化された本発明の化合物を意味する。
【0154】
プロドラッグ及び溶媒和化合物
本発明の化合物のプロドラッグ及び溶媒和化合物もまた、本願明細書中で意図する。プロドラッグの検討は、T. Higuchi and V. Stella, A.C.S. Symposium Series のProdrug as Novel Delivery Systems (1987) 14、及びBioreversible Carriers in Drug Design, (1987) Edward B. Roche, ed., American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressで提供されている。用語「プロドラッグ」とは、インビボで(in vivo)変換され、本発明の化合物又はその医薬として許容される塩、水和物又は溶媒和物が得られる化合物(例えば、薬物前駆体)を意味する。形質転換は、様々な機序(例えば、代謝又は化学的過程)によって、例えば、血液中の加水分解を介して生じる。プロドラッグの使用の検討は、T. Higuchi and W. Stella, A.C.S. Symposium Seriesの「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」Vol. 14,及びBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987において提供されている。
【0155】
例えば、本発明の化合物またはその医薬として許容される塩、水和物又は溶媒和物がカルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、酸性基の水素原子の、例えば(C1-C8)アルキル、(C2-C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)-エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、ガンマ-ブチロラクトン-4−イル、ジ−N,N-(C1-C2)アルキルアミノ(C2-C3)アルキル(β-ジメチルアミノエチル等)、カルバモイル-(C1-C2)アルキル、N,N-ジ(C1-C2)アルキルカルバモイル-(C1-C2)アルキル及びピペリジノ-、ピロリジノ-又はモルフォリノ(C2-C3)アルキル等の基との置換によって形成されるエステルを含んでよい。
【0156】
同様に、本発明の化合物がアルコール官能基を含む場合、アルコール基の水素原子の、例えば、(C1-C6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1-C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C1-C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-C6)アルカノイル、α-アミノ(C1-C4)アルカニル、アリールアシル及びα-アミノアシル、又はα-アミノアシル-α-アミノアシルであり、各α-アミノアシル基が、天然に生じるL-アミノ酸、P(O)(OH)2、−P(O)(O(C1-C6)アルキル)2又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去に起因するラジカル)、等から独立して選択される基との置換によってプロドラッグを形成することができる。
【0157】
本発明の化合物がアミン官能基を含む場合、アミン基の水素原子の、例えば、R-カルボニル、RO-カルボニル、NRR'-カルボニル(式中、R及びR'は、各々独立して(C1-C10)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ベンジルであるか、R-カルボニルが天然α-アミノアシル又は天然α-アミノアシルである)、-C(OH)C(O)OY1(式中、Y1がHである)、(C1-C6)アルキル又はベンジル、−C(OY2)Y3(式中、Y2が(C1-C4)アルキルであり、Y3が(C1-C6)アルキル、カルボキシ(C1-C6)アルキル、アミノ(C1-C4)アルキル又はモノ-N−又はジ−N,N-(C1-C6)アルキルアミノアルキルである)、−C(Y4)Y5(式中、Y4が、H又はメチルであり、Y5が、モノ-N−又はジ−N,N-(C1-C6)アルキルアミノモルフォリノ、ピペリジン-1−イル又はピロリジン-1−イルである)等の基との置換によってプロドラッグを形成することができる。
【0158】
本発明の1又は2以上の化合物は、非溶媒和物形態並びに水、エタノール等の医薬的に許容される溶媒との溶媒和物形態中に存在してよく、本発明は溶媒和物形態及び非溶媒和物形態いずれも含むことを意図する。「溶媒和物」は、本発明の化合物の1又は2以上の溶媒分子との物理的結合を意味する。この物理的結合は、イオン結合及び水素結合を含む高変動度の共有結合を含む。一部の例において、例えば結晶固体中の結晶格子中に1又は2以上の溶媒分子が取り込まれる場合、溶媒和物は単離することができる。「溶媒和物」とは、液相及び単離可能な溶媒和化合物の双方を包含する。適した溶媒和化合物の非限定的な例は、エタノレート、メタノレート等を含む。「水和物」とは、溶媒分子がH2Oである溶媒和物である。
【0159】
本発明の1又は2以上の化合物は、任意には溶媒和物に変換することができる。溶媒和化合物の調製物は、一般的に周知である。例えば、M. Caira et al, J. Pharmaceutical Sci., 93(3), 601-611 (2004)は、酢酸エチル中及び水由来の抗真菌性フルコナゾールの溶媒和化合物の調製物を記載する。溶媒和化合物、半溶媒和物、水和物等の同様の調製物は、E. C. van Tonder et al, AAPS Pharm Sci Tech., 5(1), article 12 (2004);及びA. L. Bingham et al, Chem. Commun., 603-604 (2001)によって記載される。典型的、非限定的な方法は、所望の溶媒(有機又は水又はそれらの混合物)の所望の量中に、室温以上で発明の化合物を溶解する工程、及び結晶を形成するのに十分なペースで溶液を冷却し、続いて標準的な方法によって単離する工程を含む。例えば、I. R. spectroscopy, 等の分析技術は、溶媒和物(又は水和物)としての結晶中の溶媒(又は水)の存在を示す。
【0160】
立体異性体、エナンチオマー、ラセミ体、互変異性体
本発明の化合物は非対称の炭素原子を有し、光学的に純粋なエナンチオマーの形態で又はラセミ体として存在し得る。本発明は、これらの形態全てを含む。
【0161】
本明細書の目的として、「医薬的に許容される互変異性体」とは、本発明の任意の化合物の任意の互変異性形態を意味する。
【0162】
本発明の化合物のエナンチオマーの精製及び異性体混合物の分離は、当技術分野で周知の標準的な技術によって達成することができる。
【0163】
医薬組成物は、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着臭剤、浸透圧変化のための塩、緩衝剤、コーティング剤又は抗酸化剤もまた含む。上記の通り、これらは他の治療的に有用な薬剤もまた含む。
【0164】
用量
有効量で本発明の化合物が投与される用量は、特異的活性成分、患者の年齢及び必要条件及び適用モードの本質次第である。一般に、1日に約1mg〜1000mg、好ましくは5mg〜500mgの1日服用量が考慮されている。
【0165】
専門家は、疾患又は疾病の重症度、以前の治療、総体的な健康及び/又は対象の年齢、及び存在する他の疾患を含むがこれに限定されない一部の要因が、対象を効果的に治療するのに必要な用量に影響することがわかるであろう。さらに、本発明の化合物の治療有効量での対象の治療は、一連の治療を含むことができる。
【0166】
毒性及び治療上の効果
こらの化合物の毒性及び治療上の効果は、例えばLD50(集団の50%において致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するために、細胞培養又は実験動物において標準的な医薬手順によって決定することができる。有毒及び治療上の効果との間の用量比は、治療上の指標であり、LD50/ED50比として表すことができる。大きな治療指標を示す化合物が好適である。中毒性副作用を呈する化合物が使用される間、未感染細胞への可能性のあるダメージを最小限に抑制し、これにより副作用を低下させるために、患部組織部位へのこのような化合物を標的にする送達システムをデザインするケアが図られるべきである。
【0167】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータを、ヒトにおける使用に関する用量の範囲の策定に使用することができる。これらの化合物の用量は、好ましくはほとんど又は全く毒性のないED50を含む血中濃度の範囲内である。用量は、採用する用量形態及び利用される投与経路に従ってこの範囲内で変化してよい。本発明の方法において使用される任意の化合物に関して、治療有効用量はまず細胞培養アッセイから推定することができる。IC50を含む循環血漿濃度範囲を達成する用量(すなわち、症状の最大半量の抑制を達成する試験化合物の濃度)を、細胞培養において決定されるように動物モデルにおいて策定することができる。同様の情報を使用し、ヒトにおける有用用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0168】
キット
本発明はまた、本発明の化合物を含むキットを包含する。例えば、キットは、1又は2以上のグアニンリボスイッチに結合する化合物又は薬剤を含み、遺伝子guaAの発現を阻害又は減少することができる。キットは、任意には1又は2以上の対照サンプルを含むことができる。化合物又は薬剤は、適した容器中にまとめることができる。キットは、キットの使用説明書をさらに含むことができる。
【0169】
本発明はまた、上記化合物の調製方法に関する。実施形態において、当該方法は、以下の実施例13及び16に定義されるものである。
【0170】
次の非限定的実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0171】
実施例1
感染した乳牛及び乳由来の黄色ブドウ球菌(S aureus)分離株におけるguaAの発現
【0172】
本発明は、哺乳類又は動物宿主の感染中の特定の環境において、黄色ブドウ球菌(S aureus)等の一部の病原体微生物が、(一部の周知の必須の遺伝子と比較して)遺伝子guaAの顕著なレベルの発現を持続する、との発見に関する。本発明はまた、乳牛における感染中の、持続性及び慢性ウシ乳房炎を生じるものを含む一部の黄色ブドウ球菌(S aureus)分離株における、guaAの持続された発現を開示する。本発明はまた、持続性及び慢性ウシ乳房炎を生じるものを含む一部の黄色ブドウ球菌(S aureus)分離株におけるguaAの発現が、乳牛における感染中、健康な乳牛由来の新鮮に採取した乳中のインビトロで(in vitro)成長させた対応する黄色ブドウ球菌(S aureus)分離株中のguaAの発現と比較して相対的に高いことを開示する。
【0173】
DNAマイクロアレイ遺伝子発現分析を使用し、ウシ乳房炎中、インビボで(in vivo)様々な黄色ブドウ球菌(S aureus)株によって発現される遺伝子を(異なる時点において)同定した。2頭の乳牛における乳腺炎感染症を調査した:乳牛#310及び乳牛#5325。全遺伝子に関するこの分析の結果を、図1に示されるベン図に要約する。簡潔には、発明者の実験室で増幅且つ選択された遺伝子からチップを作成した。図1は、原型の黄色ブドウ球菌(S aureus)乳腺炎分離株(SHY97-3906)及び持続性及び慢性ウシ乳房炎を生じている黄色ブドウ球菌(S aureus)分離株(分離株#3、#557及び#1290)によって一般的に又は異なって発現される遺伝子(guaAを含む) の数を示す。guaAの発現に関するこのマイクロアレイ分析の結果は、以下の表1に要約する。分析した全サンプル中でguaA mRNAの発現が検出されたが、ほとんどのサンプルが、アレイ上で検出された全遺伝子に関する発現の平均レベルより高いレベルでguaAが発現されることを示した(表1)。これらの結果は、異なる黄色ブドウ球菌(S aureus)株(原型及び慢性)はそれらが互いに発現する遺伝子において違いを示すにも関わらず、原型の乳腺炎株(SHY97-3906)及び慢性株群(#3、#557及び#1290)共にguaAを共通して発現することを示すように思われる。また、インビボで(in vivo)乳房炎乳の3つの異なるサンプルから単離された株#1290に関して、リアルタイムPCRによって測定されるguaAの発現のレベルが、gyrB関して測定されたものと非常に酷似しており(1.19 ± 0.33倍 vs. gyrB)、guaAは感染中に、必須のDNAジャイレースをコードする周知の黄色ブドウ球菌(S aureus)必須の遺伝子gyrBに匹敵するレベルで発現されることを示している(Anderson ef al, 2000)。
【0174】
表1:2頭の動物中の4つの異なる黄色ブドウ球菌(S aureus)株に関して、2つの異なる時点におけるマイクロアレイ上の全遺伝子の平均発現よりguaAの発現が多いことを示す乳房炎乳サンプル
【0175】
【表1】

【0176】
対応する黄色ブドウ球菌(S aureus)分離株を健康な乳牛由来の新鮮に採取した乳中でインビトロで(in vitro)成長させた場合と比較した、インビボで(in vivo)の乳牛採取サンプルにおける黄色ブドウ球菌(S aureus)の乳腺炎分離株によるguaA mRNA発現の相対的なレベルを示す定量PCR分析結果を図2に示す。全ての結果は、黄色ブドウ球菌(S aureus)に必須の遺伝子、gyrBの発現レベルを使用して規準化した。水平バーは、中央値を表す。2頭の異なる動物において成長させた黄色ブドウ球菌(S aureus)由来のRNAサンプルを分析した:株SHY97-3906(o)、#3(Δ)、#557(◇)、#1290(□)で感染10日後の乳牛#5325。感染8日後の乳牛#307(黒)及び14日後の乳牛#307(灰色)由来のサンプルに対して、4つの異なる株に関して同一の形を使用した。感染10日後に乳牛5325中の株#1290から回収したRNAサンプルに関して定量PCRもまた3通り行い、エラーバーはそれぞれに応じて示す。
【0177】
簡潔には、4つの異なる黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)株(臨床分離株SHY97-3906及び慢性分離株3、557及び1290)を、Dairy and Swine Research and Development Centre of Agriculture and Agri-Food Canada in Sherbrooke, QC, Canadaで中間の乳分泌中の8頭の出産経験のあるホルスタイン乳牛に接種した。乳牛の乳腺の各4分の1に各黄色ブドウ球菌(S aureus)株の50CFUを注入した。播種後、2-4日に1度午前中に合計18日間、乳を各乳牛の各4分の1から採取した。黄色ブドウ球菌(S aureus)を乳房炎乳から単離し、インビボで(in vivo)成長させた黄色ブドウ球菌(S aureus)からRNAを抽出物した。RNAで、アミノアリルcDNA標識手順を通してDNAアレイへのハイブリダイゼーション用蛍光プローブを作成した。蛍光プローブ(Cy5で標識した)を、周知の530の選択又は推定遺伝子を含んだDNAアレイにハイブリダイズした。Cy5シグナル強度100%、すなわち、全体アレイの平均Cy5強度以上又は同等の強度を有する遺伝子のみ分析した。定量PCRによって結果を確認し、黄色ブドウ球菌(S aureus)によって乳腺炎中強く発現されることがわかった発現遺伝子のレベルを、インビトロで(in vitro)成長させた黄色ブドウ球菌(S aureus)のものと比較した。図2は、guaAが、乳房炎乳中に存在する黄色ブドウ球菌(S aureus)において必須の遺伝子gyrBとおおよそ同等又はそれ以上のレベルで発現されることを示す(Mayer et al, 1988)。
【0178】
実施例2
ポリシストロニック RNA をコードしている xpt/pbuX/guaB/guaA
【0179】
本発明は、黄色ブドウ球菌(S aureus)のグアニンリボスイッチは、必須でない遺伝子xpt及びpbuXだけでなくxpt/pbuX/guaB/guaAをコードしているポリシストロニックmRNAの発現を制御し、これは黄色ブドウ球菌(S aureus)グアニンリボスイッチが病原体の生存又は病原性に必須でない遺伝子を制御するという先行技術の教示と矛盾しているという発見に関する。実施例1は、乳牛の感染中の黄色ブドウ球菌(S aureus)において持続されたguaAの発現を示した。
【0180】
遺伝子間領域に存在する塩基対の数で再定義する黄色ブドウ球菌(S aureus)由来のオペロンxpt/pbuX/guaB/guaAの構成の略図を図3Aに示す。灰色の四角形は、グアニンリボスイッチを表す。注釈付の矢印は、隣接遺伝子間の塩基の数を示す。この略図は、xpt及びpbuX(1); pbuX及びguaB(2);及びguaB及びguaA(3)間の遺伝子間領域の黄色ブドウ球菌(S aureus)由来の総RNAのRT-PCR分析の結果(図3B)から収集した。簡潔には、黄色ブドウ球菌(S aureus)由来の総RNA抽出物を、デオキシリボヌクレアーゼIに提示し、続いて逆転写を行った。続いて得られたcDNAを、遺伝子間領域を増幅するようデザインされた次のプライマーを使用してPCRによって増幅した。これらの結果は明らかにグアニンリボスイッチの下流のmRNA転写物のポリシストロニックな性質を示す。
【0181】
実施例3
本発明の化合物のグアニンリボスイッチに結合する能力
【0182】
本発明の化合物は、グアニンリボスイッチに結合するためのグアニン様リガンドと競合することができる。これら及び他の関連化合物の構造上の修飾は、この特性に影響する。
【0183】
図4Aに、グアニンリガンド及び化合物:2,5,6-トリアミノピリミジン-4-オン(化合物1.01)として示す4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2,6-ジアミノピリミジン-4-オン(化合物1.13)として示す2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン及び5,6-ジアミノ-ウラシル(2AU)の構造及びそれらの予測される水素結合(矢印)を示す。図4Bは、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)(STPY-xpf)由来のグアニンxptリボスイッチに関する、複数の化合物(すなわち、グアニン(G又はGua)、アデニン(A)、キサンチン(X)、ヒポキサンチン(H)、化合物1.13、化合物1.01、5,6-ジアミノ-ウラシル(2AU)及び6-チオグアニン(6-thio)の2つの濃度(1又は10μM)での相対的な結合親和性を表すヒストグラムを示す。例えばMulhbacher及びLafontaine, 2007に示されるように実験を行った。化合物1.01及び1.13をFluka product numbers 17376及び33050からそれぞれ購入した。簡潔には、STPY-xpfアプタマーを、グアニン様リガンド2-アミノプリンのみ(負の対照)の存在下又は1又は10μMの上記記載の化合物の存在下でインキュベートした。相対的な結合親和性を、グアニンリボスイッチSTPY-xpfアプタマーから2-アミノプリンを置換するリガンドの能力から得た。1μM グアニンの相対的な結合を10μMの様々な試験化合物と比較する結果を、以下の表2に要約する。語句「適した特性」は、グアニンリボスイッチの活性部位に適合する又はそれと相互作用することができるが、リボシル化を受けるのに必要な化学構造を欠如し、従って、非標的細菌又はこれらの化合物で処理した哺乳類宿主の細胞ヌクレオシド、ヌクレオチド又は核酸中への化合物の取り込みを防止する化合物の構造上の特性を意味する。
【0184】
表2 様々な周知のグアニンリボスイッチリガンドの特性の説明
【0185】
【表2】

【0186】
実施例4
guaA遺伝子の発現を制御するグアニンリボスイッチを保有する細菌種の本発明の化合物による増殖阻害
【0187】
本願の明細書中に開示するように、本発明の化合物(例えば、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(化合物1.01))は、細菌がguaA遺伝子の発現を制御するグアニンリボスイッチを有する場合、細菌の成長を阻害することができる。また、本発明の化合物(例えば、化合物1.01)は、guaA 遺伝子を有するがその発現を制御するグアニンリボスイッチを有しない細菌の成長を実質的に阻害しない。
【0188】
Mulhbacher及びLafontaine, 2007に記載される配列相同性アルゴリズムを含むバイオインフォマティクス分析に従って、複数の細菌種におけるグアニンリボスイッチによって制御される遺伝子及びオペロンの例を以下の表3に示す。簡潔には、guaAを制御するリボスイッチの同定を、Rfam database又は刊行されたグアニンリボスイッチのレパートリーの論文(Barrick JE and Breaker RR, Genome Biol. 2007)を使用して行った。続いて、NCBI databaseを使用し関連遺伝子を見つけた。RNAmotif(登録商標)ソフトウェアを使用して、新たに配列決定されたゲノムにおける新たなグアニンリボスイッチの同定をすることもできる。guaAに対応している遺伝子が強調される。細菌のゲノムの受入番号及びリボスイッチの開始及びguaAを含む遺伝子又はオペロンに対応する位置もまた示す。本発明の教示と一致して、グアニンリボスイッチの制御下でguaA遺伝子を発現している細菌性株(例えば、黄色ブドウ球菌(S aureus)及びクロストリジウム・ディフィシル(C difficile))は、本発明の化合物の抗菌効果に感受性のあることが期待される。また、本発明の教示と一致して、グアニンリボスイッチから独立してguaA遺伝子を発現している細菌性株(例えば、大腸菌(E.coli)及びバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis))は、本発明の化合物の抗菌効果によって顕著には影響を受けないことが期待される。
【0189】
表3: 様々な細菌性株におけるグアニンリボスイッチによって制御される遺伝子及びオペロン
【0190】
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【0191】
図5は、グアニンリボスイッチが必須のguaA遺伝子の発現を制御する(図5B)(すなわち、Bh:バチルス・ハロドゥランス(Bacillus halodurans)、STAh:表皮ブドウ球菌(S.haemolyticus)、STAa:黄色ブドウ球菌(S aureus)ATCC29213、SA228a:βラクタム、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン及びテトラサイクリンに耐性を示す黄色ブドウ球菌(S aureus)、MRSAcol:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S aureus)col,:Cb:クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、Cd6:Quebecにおいて単離された病原性クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、Cd630:完全な配列決定されたゲノムを有するクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)株630、及びSTAe:表皮ブドウ球菌(S epidermidis))、又は制御しない(図5A)(すなわち、Bs バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis), Ef:エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus feacium)、Lm:リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、STRd:ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(Streptococcus dysgalactiae)、STRpy:化膿レンサ球菌(Streptococus pyogenes)、及びSTRu:ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)) 細菌種の成長への化合物1.01の様々な影響を示しているアンチバイオグラムを表す。簡潔に言うと、各株に関して、Muller-Hinton 寒天において希釈によって細菌を105 CFU/mLで播種した。寒天培地を凝固させた後、4 mm直径の6つのウェルを作成し、15 μlの試験分子で満たした(5mg/mL)。化合物1.01に非感受性の株(図5Aに示す)はリボスイッチの制御下でguaAの発現を有しない一方で、化合物1.01に感受性のある株(図5Bに示す)はリボスイッチ機序を介してguaAの発現を制御する。
【0192】
実施例5
本発明の化合物のリボシル化の防止
【0193】
ヌクレオシドの形成に通じるリボシル化反応及び生じるこのリボシル化を予防し得る本発明の化合物の例を、図6A中に模式的に示す。アステリスク(*)は、化学的修飾がリボシル化を妨げる化合物内の位置を意味する。図6Bは、6-チオグアニンの欠如下(1)又は濃度0.5 mg/mL(2)又は1 mg/mL(3)の6-チオグアニンの存在下で成長させた株 大腸菌(E.coli)ATCC 35695 (guaAリボスイッチを欠如する)及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S aureus)(guaAリボスイッチを含む)における、前述の実施例の記載の通り行われる典型的なアンチバイオグラムを示す。図6Cは、6-チオグアニンがリボシル化され、DNA及びRNA中に取り込まれ(Swann et al., 1996)、大腸菌(E.coli)及び黄色ブドウ球菌(S aureus)両方に対してそのリボスイッチ非依存的、非特異的抗生物質活性を生じ得る(図6Bに示されるように)ことを示す。
【0194】
大腸菌(E.coli)の様々な株の成長及び生存に対する複数の抗菌化合物の効果を表4に要約し、最小阻害濃度(MIC, 単位μg/mL)の形態で示す。簡潔には、化合物1.01及び1.13の最小阻害濃度を、96-ウェルマイクロプレート中で微量希釈法を使用して測定した。Muller-Hinton カチオン調整培地中に、細菌を105 CFU/mLで播種し、37℃で24時間インキュベートした。続いて、マイクロプレートリーダー上でOD595nmを読んだ。
【0195】
表4:大腸菌(E.coli)株に対する様々な抗菌化合物の最小阻害濃度(MIC)
【0196】
【表4】

【0197】
上記表4に示す結果は、グアニンスイッチ欠如細菌の大腸菌(Escherichia coli)が化合物1.01及び1.13によって阻害されず、大腸菌(E.coli)株はエリスロマイシン及びバンコマイシン等の大きな抗生物質分子を非常に透過させる(株 大腸菌(E.coli)Imp)、又は毒性分子を細胞の外にくみ出すことができる排出ポンプAcrABを欠如する(株 大腸菌(E.coli)AcrAB-/-)ことを示す。これらの結果は、guaAの発現制御しているグアニンリボスイッチを有する細菌に対する、本発明の化合物(例えば、化合物1.01及び1.13)の抗菌特異性を示す。これらの結果はまた、本発明の化合物(例えば、化合物1.01及び1.13)が、guaAの発現を制御しているグアニンリボスイッチを欠如する他の細菌に対して広範な毒性はないことを示す。従って、本発明の化合物により、動物及びヒトに感染する微生物病原体の選択的な治療が可能である。例えば、化合物1.01は、天然グアニンリボスイッチリガンド(グアニン) と十分に異なり、細胞ヌクレオシド、ヌクレオチド又は核酸中への化合物の取り込みを予防し、従って、このような化合物が治療介入に使用される哺乳類又は動物宿主への毒性を予防する。
【0198】
実施例6
本発明の化合物の最小阻害濃度及び殺菌活性
【0199】
本願明細書中で開示するように、本発明の化合物(例えば、化合物1.01及び1.13)は、黄色ブドウ球菌(S aureus)及びクロストリジウム・ディフィシル(C difficile)等のguaAの発現を制御しているグアニンリボスイッチを有する細菌種の成長を特異的且つ選択的に阻害する及び/又は細菌種を死滅させることができる。本発明の化合物は、持続性及び慢性ウシ乳房炎をインビトロで(in vitro)で(例えば、培地又は乳中で)及びインビボで(in vivo)(例えば、マウス乳腺感染症において) 生じる原型の細菌性株又は細菌性株への抗菌効果を示す。さらに、本発明の化合物(例えば、化合物1.01)の抗菌効果は、ヒト及び獣医医薬において使用される周知の抗生物質シプロフロキサシンほど速効性がある。
【0200】
Muller-Hintonカチオン調整培地中のインビトロでの(in vitro)、黄色ブドウ球菌(S aureus)株ATCC 29213の成長への化合物1.13及び1.01を含む様々な抗菌化合物の効果を試験し、以下の図7及び/又は表5に示す。各実験に関して、細菌を濃度105 CFU/mLで播種し様々な抗菌化合物の存在下又は欠如下でMuller-Hintonカチオン調整培地中で成長させたた。特定の時間経過後、TSAプレート上に播種する前に、細菌を試料採取し、96-ウェルマイクロプレート中に希釈した。37℃で24時間後、CFUをカウントした。図7Aは、化合物1.13(・)及び1.01(□) に関してリガンド濃度を関数として黄色ブドウ球菌(S aureus)株ATCC 29213の成長を示す。96-ウェルマイクロプレート中でMICを微量希釈法を使用して測定し、播種後に細菌を37℃で24時間インキュベートした。化合物1.13に関するMICを測定し約5000 μg/mLであり、化合物1.01に関して測定したところ約600 μg/mLであった。図7B及び7Cは、様々な化合物の欠如下()又は存在下における、時間を関数とした黄色ブドウ球菌(S aureus)株ATCC 29213の成長を示す。詳細には、図7Bは、0.5μg/mLのエリスロマイシン(▲)、1μg/mLのバンコマイシン(■)、600 μg/mLの化合物1.01(▼)、及び0.5 μg/mLのシプロフロキサシン(◆)に対応したMICの抗菌効果を示す。図7Cは、これらと同一の化合物の欠如(・)又はそれらの対応するMICの1/4の用量の存在下(すなわち、0.125 μg/mL シプロフロキサシン(◆)、0.125 μg/mL エリスロマイシン(▲)、0.25 μg/mL バンコマイシン(■), 150 μg/mL 化合物1.01(▼)) における抗菌効果を示す。図7Dは、培地単独(・)、600 μg/mLの化合物1.01(T )の存在下、又は100μM GMP(すなわち、guaAにコードされた酵素GMPシンセターゼによって通常合成される分子)を追加した600 μg/mLの化合物1.01の存在下(▲)における、時間を関数とした黄色ブドウ球菌(S aureus)株ATCC 29213の成長を示す。
【0201】
実施例7
様々な黄色ブドウ球菌(S aureus)株における化合物1.01の殺菌活性
【0202】
黄色ブドウ球菌(S aureus)の様々な株(3種の慢性株及び3原型株を含む)における化合物1.01の殺菌活性を測定した。これらの株は、原型の黄色ブドウ球菌(S aureus)株 ATCC 29213、Newbould 305、SHY97-3906並びに、持続性及び慢性ウシ乳房炎症例から単離された黄色ブドウ球菌(S aureus)株(分離株#3、#557、#1290)を含む。クロストリジウム・ディフィシル(C difficile)株 Cd6もまた調べた。Muller-Hintonカチオン調整培地において、細菌を105 CFU/mLで化合物 1.01の欠如又は化合物 1.01の600 μg/mLの存在下で播種し、4時間成長させた。結果を以下の表5に要約し、CFU/mLの平均倍数的減少(すなわち、対照細菌のCFU/mLの数を処理細菌のCFU/mLの数で割った)として表す。これらの結果は、化合物1.01が試験した全ての株に対して顕著な抗菌効果を有し、黄色ブドウ球菌(S aureus)株ATCC 29213に対して最も高い効果を有することを示す。
【0203】
表5:黄色ブドウ球菌(S aureus)及びクロストリジウム・ディフィシル(C difficile)株に対する化合物1.01の殺菌活性
【0204】
【表5】

【0205】
実施例8
本発明の化合物の作用機序
【0206】
化合物1.01の特異性を確認し作用機序を調査するために、トランスクリプトミックマイクロアレイ分析を使用し、500 黄色ブドウ球菌(S aureus)遺伝子以上の発現に従った。化合物1.01を単独又はGMPと組合せて使用し、図8Aに結果を示す。簡潔に説明すると、化合物1.01又はGMPを追加した化合物1.01の存在下で成長させた場合の、グアニンリボスイッチの制御下における黄色ブドウ球菌(S aureus)遺伝子(xpt、pbuX、guaA及びguaB)の相対的な発現を調べた。化合物1.01の欠如又は600 μg/mLの化合物1.01又は100μM GMPを追加した600 μg/mLの化合物1.01の存在下で、細菌を108 CFU/mLでMuller-Hintonカチオン調整培地に播種した。増殖の30分後、マイクロアレイ上でハイブリダイズする前に、RNAを抽出し2.5 μgのRNAを逆転写に供し、アミノアリルcDNA標識手順を介して蛍光プローブを作成した(Moisan et al., 2006)。実験を3回繰り返し、平均値及び標準偏差を示す。遺伝子発現を、化合物1.01の存在下でのxptの発現に規準化した。遺伝子gyrA及びgyrB(ジャイレースタンパク質サブユニットをコードしている) の発現レベルもまた、それらの発現がGMPの存在下で下方制御されないので、対照として含まれる。化合物1.01を単独で使用する場合、グアニンリボスイッチによって制御されるもの、xpt/pbuX/guaB/guaAを含む75%以上の遺伝子が表示された(図8A)。これは、メッセンジャーRNAの合成に必須であるGMP生成の抑制によって説明することができた(図8Bを参照されたい)。化合物1.01及びGMPを組合せて添加する場合、GMPは大抵の試験遺伝子の発現レベルを維持し、わずか20%の遺伝子だけが抑制され、これらはグアニンリボスイッチ、xpt/pbuX/guaB/guaAによって制御されたものである(図8A)。図8Bに示されるように、本発明の化合物(例えば、化合物1.01)は、グアニンリボスイッチと相互作用し、遺伝子xpt/pbuX/guaB/guaAの発現を減少することができる。特に、guaAの抑制は、GMPのレベルの細胞性不足を生じ、順に一般的なDNA及びRNA合成を阻害する。GMPの補足は、DNA及びRNA合成における本発明の化合物(例えば、化合物1.01)の効果を相殺する。これらの結果は、図8Bの模式図上で示すように化合物1.01の特異性を示す。
【0207】
図8Bは、黄色ブドウ球菌(S aureus)における化合物1.01の阻害性効果の略図を示す。特有のグアニンリボスイッチは、全ての4つのグアニン関連遺伝子(xpt、pbux、guaA及びguaB) の遺伝子発現制御を行う。リボスイッチ制御遺伝子は灰色で表示され、化合物1.01阻害効果を灰色のバーで示す。太いバーは、guaAの発現への化合物1.01の影響を示す。点矢印は、図示されない複数の合成ステップを表す。卵円は、様々な代謝トランスポーターをコードしている遺伝子を表す。
【0208】
実施例9
マウス及び乳牛におけるインビボ(in vivo)での感染中の本発明の化合物の阻害効果
【0209】
本発明の化合物(例えば、化合物1.01)は、マウスにおいて乳腺の感染中、guaAの発現を制御しているグアニンリボスイッチを有する微生物病原体の成長を阻害する及び/又は死滅させることができる。
【0210】
マウスの乳腺中の黄色ブドウ球菌(S aureus)感染症の治療における化合物1.01の効果を調べた。簡潔に説明すると、マウス乳腺を100 CFUの黄色ブドウ球菌(S aureus)で感染させた。播種の4時間後、腺を溶媒(PBS)、10、50又は100 μg/腺の化合物 1.01で処理した。6時間後、腺を切除し、ホモジナイズしMueller-Hinton寒天上に蒔いた。続いて、35°Cで18時間後にCFUをカウントした。これらの試験の結果を図9に示す。各点は、個々の腺のCFU(n=6-12)を表し、各群に関する中央値をバーによって示す。処理及び未処理動物から回収したCFU間の統計的有意差(P < 0.05)を、アステリスクによって示す(non-parametric Kruskal-Wallis ANOVA with Dunn's post test)。これらの結果は、化合物1.01の黄色ブドウ球菌(S aureus)感染に対するインビボにおける(in vivo)抗菌効果を明確に示す。これは、化合物1.01等の化合物が十分に溶解し、安定で且つ動物宿主に感染中に抗菌活性を示し生物利用可能であることを示す。化合物1.01等の化合物の有効量の10回の乳房内注射により、マウスにおいて、姿勢の変更、呼吸、立毛又は動作等の毒性のいずれかの顕著な徴候を生じることなく>3 log10まで細菌数を減少することができる。1.01処理マウス(100 μg/腺)における乳房組織の組織観察上で、PBS処理の腺と比較して明らかな細胞毒性もまたない。同様に、48時間にわたって4頭のホルスタイン乳牛で行った試験において、0(生理食塩水対照)、4つの各々の4分の1における100 mg、250 mg又は500 mgでの化合物1.01の乳房内注射は、いずれかの治療と関連し得る体温、乳の見た目、乳の体細胞数又は個々の乳の4分の1の生成に変化を生じなかった。
【0211】
実施例10
本発明の化合物は、黄色ブドウ球菌(S aureus)における細菌耐性の急激な発生を予防する。
【0212】
本発明は、本発明の化合物が、遺伝子guaAがリボスイッチ制御下の場合にその発現を阻害することができるだけでなく、細菌耐性の発生もまた予防することができるという発見に関する。詳細には、黄色ブドウ球菌(S aureus)が化合物1.01に耐性を生じる能力のないことを図10に示す。簡潔には、黄色ブドウ球菌(S aureus)が1.01に対して耐性を生じる能力の無いことを示している試験抗生物質の抑制濃度以下の存在下での連続継代を行った。抑制濃度以下の抗生物質を含む、ブロス培養から回収した黄色ブドウ球菌(S aureus)株 ATCC 29213に対する試験化合物のMICを、5継代ごとに30継代まで測定した。比較として、2つの周知の抗生物質、シプロフロキサシン及びリファンピシンで得られた結果を、ヒストグラムに加えた。シプロフロキサシン及びリファンピシンへの高レベルの耐性は、黄色ブドウ球菌(S aureus)において急速に選択された(5日継代内)。従来の薬物へのこのような耐性の急速な発生は、細菌の細胞標的に関する薬物親和性の減少を供し得る周知の一点変異の選択性と一致する。変異(少なくとも3つの変異の可能性)を通して生じてもいるNorA排出ポンプシステムの可能性のある過度の発現に加え、シプロフロキサシンに耐性を与えるGyrAにおいて少なくとも2つの周知の点変異が存在し(Jones et al., 2000)、またリファンピシンに耐性を生じうるRpoBにおける少なくとも17の可能性のある異なる変異が記載されている(Wilchelhaus et al., 2001)。黄色ブドウ球菌(S aureus)株は、培養下の少なくとも30継代後に抗生物質耐性を化合物1.01へ発生しなかった。1.01の存在下で観察される耐性の欠如は、おそらく、1.01の存在下でguaA遺伝子発現の回復が複数の変異ステップを必要とし、これにより耐性発生の頻度を減少するため、及び/又は機能性リボスイッチを維持することが、細菌に1.01抗生物質作用を回避させない重要なプロセスだからである。これらの結果はまた、本発明の化合物が抗菌効果を有するだけでなく、多剤耐性細菌の発生を予防し得ることを強く示唆する。
【0213】
実施例11
本発明の化合物の説明
【0214】
本発明は、グアニンリボスイッチの制御下のguaAを含む微生物病原体に選択的な抗菌活性を有するが、グアニンリボスイッチによって制御されたguaAを欠如する微生物に対して実質的な抗菌活性を有しない多くの低分子化合物に関する。本発明の化合物は、グアニンリボスイッチ結合部位に結合するための構造上の要求に合うが、標的病原体によってリボシル化することが化学的にできない。後者は、化合物の細胞ヌクレオシド、ヌクレオチド又は核酸中への取り込みを予防し、従って、本化合物が治療介入のために使用される哺乳類又は動物宿主に関する広範の、非特異的毒性を予防することを意味する。
【0215】
式1.0、2.0及び3.0由来の本発明の化合物の代表的な構造を図11に示す。これらの化合物は全て、広範且つ非特異的毒性につながり得る細菌性又は哺乳類酵素によるリボシル化を受けるのに必要な化学構造を欠如している。
【0216】
実施例12
本発明の化合物の感染症の治療への影響
【0217】
乳房内感染症に加えて、黄色ブドウ球菌(S aureus)は、皮膚及び皮膚組織感染、気道感染症、血液及び尿でもまた見られる病原体である(Garau et al., 2009; Araki et al, 2002; Corey, 2009)。クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)、クロストリジウム・ボツリヌム(C.botulmum)、クロストリジウム・テタニ(C.tetani)及びクロストリジウム・パーフリンジェンス(C.perfringens)によって生じるもの等のヒトにおける(Leffler and Lamont, 2009; Khanna, 2008)、家禽におけるクロストリジウム・パーフリンジェンス(C.perfringens)(Van lmmerseel et al., 2004)、及びブタにおけるクロストリジウム感染症もまた重要であり、MRSAによるブタのコロニー形成もまたヒトの健康に関係した問題である(Songer and Uzal, 2005; Khanna et al., 2008)。従って、本発明は、動物及びヒトにおける乳腺以外の身体部位の生じる種々のクロストリジウム性又はブドウ球菌性の感染症の治療に使用することもまたできる。
【0218】
実施例13
本発明の化合物の合成に関する態様
【化29】

【0219】
類似体Aをクロロニトロピリミジン(A1)から合成することができる(Patel et al., 2007)。Sircar et al., 1986に記載されるようにA1の合成は、前駆体アミノメルカプトピリミジン(A2)を生じる。続いて後者は、エチルオキソ酢酸塩(oxaloacetate)で誘導体化され、所望の生成物A(R=H)を生じる。この模式図は、さらなる機能分化も可能である。
【化30】

【0220】
ピリドピリミジンBは、同様の類似体に関してUrleb et al., 1990に報告される手順に従って合成することができる。プテリン(X=N)は、市販される。
【化31】

【0221】
メチル化類似体の合成と同様に、オキサゾール誘導体Dを合成した(Miller et al, 2002)。
【化32】

【0222】
Taylor及びYoung, 1995に記載されるように、ピロール誘導体Eを合成することができる。
【0223】
実施例14
グアニンリボスイッチのバイオインフォマティクス検索。
【0224】
天然リボスイッチは、進化を通して保存される細胞性代謝物を結合しなければならない場合、それらの配列及び構造において典型的に非常に保存されるアプタマードメインを含む。これらのアプタマードメインは、各アプタマーの全体的な折り畳みを構築する塩基対らせんの保存骨格を示す。これらのらせん体における各塩基の同定は、ほとんどの場合それらが塩基対である必要性を反映するが、一方結合代謝物に直接結合する塩基の同定は、リガンド結合部位の形成における非常に保存された特定の正確な役割を反映する。従って、全ての可能性のあるアプタマー配列を表す共通配列を定義することは可能であり、生物学的な配列決定データーベースにおいてコンピューターによる検索を行うために使用することができる。例えば、アルゴリズム検索の中に共通配列を翻訳することによって、ソフトウェアRNAmotif(登録商標)(Macke et al., 2001 )は、RefSeq(登録商標)微生物データーベース(Pruitt et al., 2005)において、全てのアプタマーの発生に関してスクリーニングすることができる。ソフトウェアの結果は、確認されるアプタマー全てのゲノム位置を供する。科学団体によって回収された様々なリボスイッチファミリーに関して、既にアプタマー配列のサブグループが存在し、Rfam(登録商標)データーベースで確認することができるが(Griffiths-Jones et al., 2005)、部分的にのみ完全であることが観察されたので、RNAmotif(登録商標)を使用してデーターベースを構築することが好適であることが分かった。
【0225】
以下は、バイオインフォマティクス検索に使用した共通配列の例である。コンセンサスにおいて記載される文字及びコマンドの有意味性は、元のRNAmotif(登録商標)文献に非常によく記載されている(Macke et al., 2001)。これは、周知のグアニンリボスイッチと同様の構造を採用し得る可能性のあるグアニンリボスイッチに相当する。
【0226】
【表6】

【0227】
実施例15
黄色ブドウ球菌(S aureus)の成長を阻害する本発明の化合物の能力
【0228】
明細書中に開示するように、本発明の化合物(例えば、化合物1.16、2.02及び2.17)(1.16及び2.17をSigma-Aldhch及びToronto Research Chemicalからそれぞれ購入した)は、黄色ブドウ球菌(S aureus)等の、guaAの発現を制御しているグアニンリボスイッチを有している細菌種の成長を特異的且つ選択的に阻害及び/又は細菌種を特異且つ選択的に死滅させることができる。表6で報告するように(以下)、化合物1.16、2.02及び2.17は、それぞれ0.128、1.024及び0.128 mg/mLのMICで、グアニンリボスイッチに結合し且つ黄色ブドウ球菌(S aureus)の成長を阻害することができる。
【0229】
Muller-Hintonカチオン調整培地における、化合物2.02及び2 17を含む式2.0の抗菌化合物の、インビトロでの(in vitro)黄色ブドウ球菌(S aureus)株 ATCC 29213への効果により、抗生物質活性を達成する一般式2.0の化合物の効率性を確認できる。各化合物に関して、抗生物質活性もまた大腸菌(E.coli)株ATCC 35695で試験し、化合物(1.16、2.02及び2.17)の抗菌活性の欠如が確認された。96-ウェルマイクロプレート上で微量希釈法を使用してMICを測定し、播種後に細菌を37℃で24時間インキュベートした。
【0230】
必要に応じて、表6の化合物は非リボシル化部位を提示し、よってそれらのDNA中の取り込み及びそれらの変異原性潜在力を予防する。
【0231】
表6:様々なグアニンリボスイッチリガンドの特性の説明
【表7】

【0232】
実施例16
化合物2.02:5-アミノ-6H-オキサゾロ[5,4-d]ピリミジン-7-オンを得るための経路。
【0233】
【化33】

【0234】
ナトリウム小片(242 mg, 10.5 mmol)をMeOH (20 mL)に添加した。全ナトリウムが反応した後、グアニジン塩酸塩(1.00 g, 10.5 mmol)を添加し反応混合物を15分間撹拌した。続いて反応混合物を加熱し還流し、この時間中マロン酸ジエチルアセトアミド(2.13 g, 10.5 mmol)を添加した。2時間後、さらにMeOH(20 mL)を添加し、反応混合物を一晩還流した。続いて反応混合物を室温まで冷却し、濾過し、MeOH及びクロロホルムで洗浄し、真空下で50℃で乾燥した。得られた固体を水(25 mL)に溶解し、50% 塩酸の添加により沈殿させた。溶液を濾過し固体を水及びアセトンで洗浄し、最終的に真空下で50℃で乾燥させ、化合物7を白色の固体として得た(900 mg, 50%)。
【化34】

5-アミノ-6H-オキサゾロ[5,4-d]ピリミジン-7-オン
【化35】

【0235】
化合物7(125 mg, 0.73 mmol)を、超音波槽を使用して12 M H2SO4(1.50 mL) 中に溶解した。濃黄色溶液を一晩撹拌した。続いてTHF(5 mL)を0℃で添加し、黄色沈殿物を形成した。混合物を4℃で2時間保存し、遠心分離し、化合物8を黄色固体として得た。
【化36】

【0236】
本発明はその特定の実施形態によって上記したが、添付の請求項に規定する対象発明の趣旨及び本質から離れることのない範囲で変更することができる。
【0237】
参考文献
【0238】
【表8】

【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1.0、
【化1】

(式中、
化合物がグアニンリボスイッチに結合される場合、R3は水素結合受容体として機能し得るが、リボシル化はされず;
−−−−は、単又は二重結合を表し;
R3は、-N=、-S-、-CH-又は-O-であり;
R6は、炭素原子であり;
R1、R2、R4又はR5は、同一であるか又は異なり、独立して-NR8-、-CHR8-、=CR8-、-C(O)-又は-C(=NR8)-であり;
R8は、-H、-NH2、-OH、-SH、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-CH3、-POOH、-SO2アルキル、-SO2アリール、-SH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換ベンジルオキシ、置換又は非置換-NHアルキル、置換又は非置換-NHアルコキシ、-置換又は非置換NHC(O)アルキル、置換又は非置換-NHCO2アルキル、置換又は非置換-NH-NHアルキル、置換又は非置換NH-NHアルコキシ、置換又は非置換-NH-SO2アルキル、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-SO2-R9、-NHCO2CH2-R9、-NH-OR9、-NH2-R9、-NH-NH-R9、-NHR9、-NH-CH2-R9、又は-NH-NH-CH2-R9であり、
ここでR9は:
【化2】

であり、
式中、nは、1〜5の整数であり;
R10は、-H、-NH2、-OH、アルコキシ、-N-モルフォリノ、ハライド、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり;
R7は、O、-OH、-SH、-NH2、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-アルコキシ、-アリールオキシ、-ベンジルオキシ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-NHアルキル、-NHアルコキシ、-NHC(O)アルキル、-NHCO2アルキル、=NR8、=NR9、-NHCO2CH2-R9、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-NHアルキル、-NH-NHアルコキシ、-SO2アルキル、-SO2アリール、-NH-SO2アルキル、-NH-SO2-R9、-NH-OR9、-NH-R9、-NH-NH-R9、-NH-NH-CH2-R9、又は-NH-CH2-R9であり,
式中、R8及びR9が上述の通りである)
の化合物であって、但し、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(1.01);
2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(1.13);又は
4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(1.16)でない化合物。
【請求項2】
一般式2.0,
【化3】

(式中、
化合物がグアニンリボスイッチに結合される場合、R9は水素結合供与体として機能し得るが、リボシル化はされず;
−−−−は、単又は二重結合を表し;
R3は、-N=、-S-、又は-O-であり;
R1又はR2は、同一であるか又は異なり、独立して-NR11-、-CHR11-、=CR11-、-C(=O)-又は-C(=NR11)-であり;
R11は、-H、-NH2、-OH、-SH、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-CH3、-POOH、-SO2アルキル、-SO2アリール、-SH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換ベンジルオキシ、置換又は非置換-NHアルキル、置換又は非置換-NHアルコキシ、置換又は非置換-NHC(O)アルキル、置換又は非置換-NHCO2アルキル、置換又は非置換-NH-NHアルキル、置換又は非置換-NH-NHアルコキシ、置換又は非置換-NH-SO2アルキル、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-SO2-R12、-NHCO2CH2-R12、-NH-OR12、-NH2-R12、-NH-NH-R12、-NHR12、-NH-CH2-R12、又は-NH-NH-CH2-R12であり;
ここで、R12は:
【化4】

であり、
式中、nは、1〜5の整数であり;
R13は、-H、-NH2、-OH、アルコキシ、-N-モルフォリノ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の少なくとも1つであり;
R4、R5及びR6は、炭素原子であり;
R7は、-=N-、-NH-、-CH2-、-O-又は-S-であり;
R8は、-CH2、-O-、-S-、-CHR13-又は-CR13=であり、式中、R13は、上述の通りであり;
R9は、-CH2-、-O-、-S-、又は-P(OOH)-、-N=であり;
R10は、=O、-OH、-SH、-NH2、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-アルコキシ、-アリールオキシ、-ベンジルオキシ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-NHアルキル、-NHアルコキシ、-NHC(O)アルキル、-NHCO2アルキル、=NR11、=NR12、-NHCO2CH2-R12、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-NHアルキル、-NH-NHアルコキシ、-SO2アルキル、-SO2アリール、-NH-SO2アルキル、-NH-SO2-R12、-NH-OR12、-NH-R12、-NH-NH-R12、-NH-NH-CH2-R12、又は-NH-CH2-R12であり;
式中、R11及びR12は、上述の通りである)
の化合物であって、但し、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン又は5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)でない化合物。
【請求項3】
一般式3.0、
【化5】

(式中、
化合物がグアニンリボスイッチに結合される場合、R10は水素結合供与体として機能し得るが、リボシル化はされず;
−−−−は、単又は二重結合を表し;
R3は、-N=、-S-、又は-O-であり;
R10は、-N=、-CH2-、-O-、-S-、又は-P(OOH)-であり;
R1、R2及びR9は、同一であるか又は異なり、独立して-NR12-、-CHR12-、=CR12-、-C(O)-又は-C(=NR12)-であり;
R12は、-H、-NH2、-OH、-SH、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-CH3、-POOH、-SO2アルキル、-SO2アリール、-SH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換ベンジルオキシ、-置換又は非置換NHアルキル、置換又は非置換-NHアルコキシ、置換又は非置換-NHC(O)アルキル、置換又は非置換-NHCO2アルキル、置換又は非置換-NH-NHアルキル、置換又は非置換-NH-NHアルコキシ、置換又は非置換-NH-SO2アルキル、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-SO2-R13、-NHCO2CH2-R13、-NH-OR13、-N+H2-R13、-NH-NH-R13、-NHR13、-NH-CH2-R13、又は-NH-NH-CH2-R13であり;
R13は:
【化6】

であり、
式中、nは、1〜5の整数であり;
R14は、-H、-NH2、-OH、アルコキシ、-N-モルフォリノ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり;
R4、R5及びR6は、炭素原子であり;
R7及びR8は、同一であるか又は異なり、独立して-CH=N-、-CH2-O-、CH2-S-、又はCH2SO2-であり;
R11は、=O、-OH、-SH、-NH2、-CO2H、-CO2-アルキル、-CO2-アリール、-C(O)NH2、-アルコキシ、-アリールオキシ、-ベンジルオキシ、ハライド、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、-NHアルキル、-NHアルコキシ、-NHC(O)アルキル、-NHCO2アルキル、=NR12、=NR13、-NHCO2CH2-R13、-NHC(O)NH2、-NH-NH2、-NH-NHアルキル、-NH-NHアルコキシ、-SO2アルキル、-SO2アリール、-NH-SO2アルキル、-NH-SO2-R13、-NH-OR13、-NH-R13、-NH-NH-R13、-NH-NH-CH2-R13、又は-NH-CH2-R13であり;そして
式中、R12及びR13は、上述の通りである)
の化合物。
【請求項4】
(i)R1は、-NH-である;
(ii)R2は、=CNH2-である;
(iii)R3は、-N=である;
(iv)R7は、-N=又は-S-である;
(V)R8は、-CR13=である;
(Vi)R9は、-O-又は-N=である;
(vii)R10は、=O又は=NHである; 又は
(viii)(i)〜(vii)の任意の組合せ
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
化合物が、一般式2.0a,
【化7】

(式中、R2、R7、R8、R9及びR10は、請求項2で定義される通りである)
の化合物である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
R2が=CNH2-である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R7が-N=又は-S-である、請求項5又は6に記載の化合物。
【請求項8】
R8が-CR13=である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
R9が-O-又は-N=である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R10が=O又は=NHである、請求項5〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
一般式3.0a,
【化8】

(式中、R2、R7、R10及びR11は、請求項3で定義される通りである)
の化合物。
【請求項12】
(i)R1は、-NH-である;
(ii)R2は、-C(NH2)=又は=C(SH)-である;
(iii)R3は、-N=である;
(iv)R4は、=CNH2-である;
(V)R5は、-CH=又は-C(NH2)=である;
(vi)R6は、-C=である;
(vii)R7は、=NH又は=Oである;又は
(viii)(i)〜(vii)の任意の組合せ
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
化合物が、一般式1.0a,
【化9】

(式中、R2及びR7は、請求項1で定義される通りであり、
R5は、-CH=又は-C(NH2)=であり、
R4は、-C(NH2)=である)
請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
R7が=O又は=NHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
R2が-C(NH2)=又は-C(SH)=である、請求項13又は14に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物、及び
(a)抗生物質;
(b)消毒薬;
(c)殺菌剤;
(d)希釈剤;
(e)賦形剤;
(f)医薬的に許容される担体;又は
(g)(a)〜(f)の任意の組合せ、
を含む組成物。
【請求項17】
(i)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);
(ii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16)
(iii)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13);又は
(iv)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17);及び
(a)抗生物質;
(b)消毒薬;
(c)殺菌剤;
(d)医薬的に許容される担体;又は
(e)(a)〜(d)の任意の組合せ、
を含む組成物。
【請求項18】
組成物が医薬組成物である、請求項16又は17に記載の組成物。
【請求項19】
対象において微生物感染症を予防又は治療する方法であって、
対象に治療有効量のグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドを投与する工程を含むとともに、
前記微生物感染症が前記グアニンリボスイッチを有する病原体によって生じ、
前記グアニンリボスイッチがguaAの発現を制御する、方法。
【請求項20】
グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドが、
(i)請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物;
(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);
(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);
(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13);又は
(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)、
である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
対象が動物である、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
対象が乳牛又はヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
病原体が、ブドウ球菌属(Staphylococcus)又はクロストリジウム属(Clostridium)に属する細菌である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
細菌が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
感染症が乳腺感染症である、請求項19〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を対象において予防又は治療するための、治療有効量のグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの使用。
【請求項27】
guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を対象において予防又は治療するための医薬の製造のための、治療有効量のグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの使用。
【請求項28】
グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドが、
(i)請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物、
(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01)、
(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16)、
(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13)、又は
(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)、
である、請求項26又は27に記載の使用。
【請求項29】
対象が動物である、請求項26〜28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
対象が乳牛又はヒトである、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
病原体が、ブドウ球菌属(Staphylococcus)又はクロストリジウム属(Clostridium)に属する細菌である、請求項26〜30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
細菌が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)である、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
感染症が乳腺感染症である、請求項26〜32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項34】
対象において病原体を殺菌及び/又は滅菌する方法であって、有効量のグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドを対象に適用する工程を含むとともに、前記病原体がguaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する、方法。
【請求項35】
グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドが、
(i)請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物;
(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);
(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);
(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13);又は
(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)、
である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
対象が動物又は乳である、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
対象において病原体を殺菌、滅菌及び/又は消毒するための、有効量のグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの使用であって、前記病原体がguaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する、使用。
【請求項38】
グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドが、
(i)請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物;
(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);
(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン (式 1.16);
(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン (式 1.13); 又は
(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)
である、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
対象が動物又は乳である、請求項37又は38に記載の使用。
【請求項40】
(i)請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物;
(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);
(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);
(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13);
(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17); 又は
(vi)請求項16〜18のいずれか1項に記載の組成物、
によって治療可能な病原体を選択する方法であって、病原体がguaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有するかを決定する工程を含む、方法。
【請求項41】
guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を予防又は治療するための化合物を同定する方法であって、
グアニンリボスイッチを化合物と接触させる工程;
化合物がグアニンリボスイッチに結合するかを決定する工程;
を含むとともに、化合物のグアニンリボスイッチへの結合が、化合物が微生物感染症の予防又は治療に適するという指標である、方法。
【請求項42】
グアニンリボスイッチが、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)(STPY-xpt)由来のグアニンxptリボスイッチである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
グアニンリボスイッチをグアニン又はグアニン様リガンドと接触させる工程、をさらに含む請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
化合物がリボシル化されるかを決定する工程をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
対象において細菌の多剤耐性の発生を予防する、又は対象において細菌の多剤耐性を治療するための方法であって、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドを対象に投与する工程を含むとともに、前記細菌がguaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する、方法。
【請求項46】
グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドが:
(i)請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物;
(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);
(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);
(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13); 又は
(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)、
である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療又は多剤耐性細菌の発生を予防するための、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの使用。
【請求項48】
guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療又は多剤耐性細菌の発生を予防するための医薬の製造のための、グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドの使用。
【請求項49】
グアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンドが:
(i)請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物;
(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);
(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);
(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13); 又は
(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)、
である、請求項47又は48に記載の使用。
【請求項50】
(i)請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物;
(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);
(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);
(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13);
(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17); 又は
(vi)請求項16〜18のいずれか1項に記載の組成物、
及び微生物感染症の予防又は治療におけるその使用のための説明書を含む、キット。
【請求項51】
式2.02
【化10】

の化合物を調製する方法であって、
(a)ナトリウムメトキシド及びメタノールの存在下で、マロン酸ジエチルアセトアミドをグアニジン塩酸塩と反応させ、固体を得る工程;
(b)(a)の固体を水性溶媒に溶解させる工程;
(c)(b)の溶液を酸沈殿に供し、5-ホルムアミノ2-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン沈殿物を得る工程;
(d)5-ホルムアミノ2-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン沈殿物を酸に溶解させる工程;及び
(e)(d)の溶液を沈殿させ、式2.02の化合物を得る工程、
を含む、方法。
【請求項52】
反応させる工程が還流下で行われる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
(b)の酸沈殿を塩酸(HCl)溶液を使用して行う、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
HCl溶液が50%HCl溶液である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
(d)の溶解が硫酸を使用して行われる、請求項51〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
硫酸が12M 硫酸である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
(a)の固体をメタノール及びクロロホルムで洗浄する工程をさらに含む、請求項51〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
水性溶媒が水である、請求項51〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
(e)の沈殿がテトラヒドロフラン(THF)を使用して行われる、請求項51〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
(a)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を、対象において予防又は治療するため;
(b) guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体の、対象における殺菌、滅菌及び/又は消毒のため;又は
(c)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療又は多剤耐性細菌の発生を予防するため、
のグアニンリボスイッチのリボシル化不可能なリガンド。
【請求項61】
リガンドが対象の殺菌、滅菌及び/又は消毒用であり、ここで対象が動物又は乳である、請求項60に記載のリガンド。
【請求項62】
(a)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を対象において予防又は治療するため;又は
(b)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体を対象において殺菌、滅菌及び/又は消毒するため;又は
(c)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療し、又は多剤耐性細菌の発生を予防するための、
(i)1〜15請求項のいずれか1項に記載の化合物;又は
(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01);又は
(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16);又は
(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13);又は
(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)。
【請求項63】
対象の殺菌、滅菌及び/又は消毒用の化合物であって、対象が動物又は乳である、請求項62に記載の化合物。
【請求項64】
(i)請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物;
(ii)4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン(式1.01),
(iii)4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(式1.16),
(iv)2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(式1.13)、又は
(v)5-アミノ-2-クロロ-2,3-ジヒドロチアゾロ[4,5]ピリミジン-7-(6H)-オン(2.17)、及び
(a)抗生物質、
(b)消毒薬、
(c)殺菌剤、
(d)希釈剤、
(e)賦形剤、
(f)医薬的に許容される担体、又は
(g)(a)〜(f)の任意の組合せ、
を含む組成物であって、
(aa)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体によって生じる微生物感染症を、対象において予防又は治療するため、又は
(bb)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する病原体の、対象における殺菌、滅菌及び/又は消毒のため、又は
(cc)guaAの発現を制御するグアニンリボスイッチを有する多剤耐性細菌を治療又は多剤耐性細菌の発生を予防するための、組成物。
【請求項65】
対象が動物である、請求項60又は61に記載のリガンド、又は請求項62又は63に記載の化合物、又は請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
対象が乳牛である、請求項65に記載のリガンド、又は化合物、又は組成物。
【請求項67】
対象がヒトである、請求項65に記載のリガンド、又は化合物、又は組成物。
【請求項68】
病原体が、ブドウ球菌属(Staphylococcus)又はクロストリジウム属(Clostridium)に属する細菌である、請求項65〜67のいずれか1項に記載のリガンド、又は化合物、又は組成物。
【請求項69】
細菌が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcu aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)である、請求項68に記載のリガンド、又は化合物、又は組成物。
【請求項70】
感染症が乳腺感染症である、請求項65〜69のいずれか1項に記載のリガンド、又は化合物、又は組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−529441(P2012−529441A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514305(P2012−514305)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000868
【国際公開番号】WO2010/142027
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511302301)
【Fターム(参考)】