説明

グアンファシンのプロドラッグ

アミノ酸または短ペプチドを有するグアンファシンのプロドラッグ、そのようなプロドラッグを含有する薬学的組成物、およびグアンファシンプロドラッグによるADHD/ODD(注意欠陥多動性障害および反抗挑戦性障害)の治療において治療利益を提供するための方法が、本明細書に提供される。さらに、グアンファシン投与に随伴する有害な胃腸副作用を最小限にするか、または回避するための方法、ならびにグアンファシンの薬物動態を向上させるための方法が、本明細書に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年9月15日に出願された米国特許仮出願第61/242,507号の優先権の利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、グアンファシンの種々のプロドラッグに関する。特に、本発明は、グアンファシン自体に対して、向上した薬物動態特性をもたらす、グアンファシンのアミノ酸およびペプチドプロドラッグに関する。本発明は、グアンファシン治療と関連付けられる胃腸(GI)副作用を軽減する方法にも関する。これらの複合利点は、患者のコンプライアンスを向上させ、したがって、薬物の治療効果および患者の利益を向上させるはずである。
【背景技術】
【0003】
注意欠陥多動性障害(ADHD)は、子どもに発症する最も一般的な精神病態の1つである。有病率の推定は様々であるが、子どもの健康に関する全国調査からのデータによれば、米国の子どもの約8%が、2003年にADHDと診断され、その56%が薬物により治療された(Centers for Disease Control and Prevention(2005),Morb.Mortal.Wkly.Rep.54,842−847)。精神刺激薬がADHD患者に対する治療の主力である(Pediatrics(2001),108,1033−1044、Arch Gen Psychiatry(1999),56,1073−1085、Pediatrics(2004),113,754−761)。こうした患者の80%より多くが刺激薬を受けているが、40%未満が治療により正常な挙動を示すことが報告されている。さらに、患者の約30%が、これらの薬剤による長期治療に応答しないか、または耐えられないかのいずれかである。さらなる懸念は、これらの刺激薬が、米国麻薬取締局によって、スケジュールII規制薬物として分類されていることである。
【0004】
三環式抗鬱薬(イミプラミンおよびデシプラミン)、ブプロピオン、ノルエピネフリンおよびドーパミン再取り込み阻害薬、アトモキセチン、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ならびにα−2アドレナリン受容体作動薬クロニジンおよびグアンファシンを含む、いくつかの分類群の非刺激薬がADHD患者において有用であると考えられる。後者は、ラット、サル、およびヒトにおいて、前頭葉機能(PCF)を強化することが報告された。グアンファシンでADHD治療を受けた患者において、この薬物は、前頭葉前部皮質の欠陥を改善し得る。特に、グアンファシンは、主に前頭葉前部皮質においてα−2アドレナリン受容体に作用し、作業記憶、認知機能、および注意力を強化すると考えられる。
【0005】
【化1】

【0006】
従来、グアンファシンは、血圧を低下させることにおけるその有効性に起因して、抗高血圧薬(TENEX(登録商標))として用いられた。通常、用量1〜2mgおよび場合によって3mg/日が、高血圧の治療に使用される。血漿薬物レベルのピークには、早ければ投与後1時間で到達し、心血管副作用または傾眠を随伴する場合がある。薬物は、通常、この影響を最小限にするように、夜に摂取される。近年、ADHDの治療に対する新しいグアンファシン製剤(INTUNIV(登録商標)が開発された。これは、通常急速な血漿薬物濃度の上昇に起因する、薬物のあらゆる急性心血管またはCNS抑制作用を最小限にするように設計された、徐放性製剤である。Swearingenら(2007),Clin.Therap.29,617−624によって報告されるINTUNIV(登録商標)に関する近年の薬物動態研究において、ピーク血漿レベルは、投与後6時間まで見られず、そのため望ましくない心血管またはCNS作用を最小限にした。
【0007】
クロニジン等の他のα−2アドレナリン受容体作動薬と同様に、グアンファシンは、腸管運動性を阻害し得、一部の例において、特に高用量後に便秘をもたらす。例えば、3mg用量のTENEX(登録商標)に関して報告される便秘の発生は、約15%(FDAラベル)である。これは、腸内の薬物とα−2アドレナリン受容体との間の直接局所的相互作用に部分的に起因し得る。公開データは、消化管におけるα−2アドレナリン受容体の存在、および腸管運動性に作用するそれらの役割だけでなく(Blandizzi(2007),Neurochemistry International,51,282−288)、モルモットの回腸の運動性反射に対するUK14,304等の選択的α−2アドレナリン受容体作動薬の直接作用(Stebbing et al(2001),J of Physiol.534,465−478)に関する証拠を提供する。そのような作用は明らかに望ましくない。
【0008】
INTUNIV(登録商標)は、制御放出製剤であり、そのような製剤の欠点の1つは、それらが食物相互作用の影響を受け得ることである。胃内の食物の存在は、胃内pHを上昇させ、胃内容排出を減速させる役割を果たす。これは、高いpHで分解するように設計された腸溶コーティングの一部浸食、および結果として、いくらか早い薬物放出をもたらし得る。高脂肪食とともにINTUNIV(登録商標)を投与すると、Cmaxを75%上昇させ、AUCを40%増加させることが示された(FDAラベル)。より適切な食事条件下で薬物を摂取することが望ましい場合があるが、これは常に可能であるとは限らない。したがって、食事状態の変化は、薬物暴露の割合および程度にいくらかの変動性をもたらし得る。
【0009】
グアンファシンにより提供される利点に関わらず、グアンファシン治療と関連付けられる副作用を軽減する必要性が依然として存在する。したがって、ADHDならびに高血圧の治療において、薬物分子の固有の薬物学的利点をすべて保持するが、胃腸副作用を誘発するというその欠点を克服する、グアンファシン製剤が依然として真に必要とされている。本発明は、この必要性に取り組む。
【発明の概要】
【0010】
本発明の一態様において、式(I)のグアンファシンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体が提供され、
【化2】


【0011】
一実施形態において、式(I)のグアンファシンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体が提供され、
【化3】

【0012】
本発明の範囲内に含まれるLおよびR基の組み合わせは、LおよびR基の変数(および置換基)の組み合わせが、そのような組み合わせが、式(I)の安定した化合物をもたらすように許容される。本発明の目的で、変数の組み合わせは、化学的に安定であり、本技術分野において知られている技法によって容易に合成することができる、式(I)の化合物、ならびに実施例の節および図面に記載されるそれらの方法を提供するように、当業者によって選択され得ることが理解される。
【0013】

【0014】
一実施形態において、式(I)の化合物は、式(II)に記載の構造
【化4】

【0015】
この点において、プロドラッグは、構造
【化5】

【0016】
一実施形態において、nは、各事例で独立して、値0、1、2、3、または4から選択される。一実施形態において、nは0である。別の実施形態において、nは1である。さらなる実施形態において、nは2である。さらに別の実施形態において、nは3である。なおもさらなる実施形態において、nは4である。
【0017】


【0018】

【0019】

【0020】

【0021】

【0022】

【0023】
一実施形態において、R2およびR3は、各事例でそれぞれ独立して、H、C1-3アルキル(例えば、メチル、エチル、i−プロピル)、および−C(=O)R6から成る群から選択される。好ましくは、R6は−OHである。
【0024】
実施形態において、Lは、以下の表に列挙されるものから選択される部分である。

【0025】

【0026】

【0027】

【0028】

【0029】

【0030】
一実施形態において、R2およびR3は、各事例でそれぞれ独立して、H、−OH、および−C(=O)R6から成る群から選択される。好ましくは、R6は−OHである。
【0031】
一実施形態において、Lは、ジカルボン酸部分を含む残基である。実際のカルボン酸(すなわち、グアンファシンとRとの間のその結合に先行する)は、以下の表に列挙されることが分かる。

【0032】



【0033】

【0034】

【0035】

【0036】

【0037】

【0038】

【0039】
一実施形態において、R2およびR3は、各事例でそれぞれ独立して、H、C1-3アルキル、−OH、および−C(=O)R6から成る群から選択されるか、またはR2およびR3は、それらが結合する原子と一緒に、カルボニル基を形成する。好ましくは、R6は−OHである。

【0040】
一実施形態において、Lは以下の表に列挙されるものから選択される部分である。

【0041】

【0042】
一実施形態において、Lは、2〜20個の炭素原子を含有するアミノ酸残基である。好適な実施形態において、Lは、グルタミン酸およびアスパラギン酸から成る群から選択され、好ましくは、Lは、グルタミン酸である。別の好適な実施形態において、Lはβ−アラニンである。
【0043】
一実施形態において、Rは、2〜20個の炭素原子を含有するアミノ酸残基である。さらなる実施形態において、Rは、アミノ酸、アミノ酸アルキルエステル(例えば、アミノ酸C1-6アルキルエステル)、N−アルキル化アミノ酸(例えば、N−メチルシクロプロピル化アミノ酸を含むことができる、C1-6N−アルキル化アミノ酸、好ましくはN−アルキル化アミノ酸は、N−メチル化アミノ酸である)、N,N−ジアルキル化アミノ酸(例えば、N,N−ジメチルシクロプロピル化アミノ酸を含むことができる、C1-6N,N−ジアルキル化アミノ酸、好ましくは、N,N−ジアルキル化アミノ酸は、N,N−ジメチル化アミノである)、N−アシル化アミノ酸(例えば、C1-6N−アシル化アミノ酸)、またはO−アルキル化アミノ酸(C1-6O−アルキル化アミノ)である。N,N−ジアルキル化アミノ酸において、アルキル基は、同一であるか、または異なってもよい。
【0044】
一実施形態において、Rは、アミノ酸であり、バリン、N−C1-6アルキル化バリン、N,N−C1-6ジアルキル化バリン、N−メチルバリン、N,N−ジメチルバリン、アラニン、N−C1-6アルキル化アラニン、N,N−C1-6ジアルキル化アラニン、N−メチルアラニン、N,N−ジメチルアラニン、ロイシン、N−C1-6アルキル化ロイシン、N,N−C1-6ジアルキル化ロイシン、N−メチルロイシン、N,N−ジメチルロイシン、イソロイシン、N−C1-6アルキル化イソロイシン、N,N−C1-6ジアルキル化イソロイシン、N−メチルイソロイシン、およびN,N−ジメチルイソロイシンから成る群から選択される。
【0045】
一実施形態において、Rは、アミノ酸であり、グリシン、N−C1-6アルキル化グリシン、N,N−C1-6ジアルキル化グリシン、N−メチルグリシン、N−メチルシクロプロピルグリシン、N,N−ジメチルグリシン、N,N−ジメチルシクロプロピルグリシン、アラニン、N−C1-6アルキル化アラニン、N,N−C1-6ジアルキル化アラニン、N−メチルアラニン、N,N−ジメチルアラニンから成る群から選択される。
【0046】
一実施形態において、Rは、ペプチドであり、セリン−グリシン、セリン−アラニン、セリン−ジメチルグリシン、セリン−ジメチルシクロプロピルグリシン、およびセリン−サルコシンから成る群から選択される。
【0047】
一実施形態において、Rは、ペプチドであり、トレオニン−グリシン、トレオニン−アラニン、トレオニン−ジメチルグリシン、トレオニン−ジメチルシクロプロピルグリシン、およびトレオニン−サルコシンから成る群から選択される。
【0048】
一実施形態において、Rは、以下のアミノ酸成分を有するペプチドであり、「アミノ酸1」は、結合体のグアンファシン末端に共役され、「アミノ酸2」は、ペプチドの末端アミノ酸である。


【0049】
一実施形態において、LはC(=O)であり、Rは、セリン−グリシン、セリン−アラニン、セリン−ジメチルグリシン、セリン−ジメチルシクロプロピルグリシン、セリン−サルコシン、トレオニン−グリシン、トレオニン−アラニン、トレオニン−ジメチルグリシン、トレオニン−ジメチルシクロプロピルグリシン、トレオニン−サルコシン、ホモセリン−グリシン、ホモセリン−アラニン、ホモセリン−ジメチルグリシン、ホモセリン−ジメチルシクロプロピルグリシン、ホモセリン−サルコシン、アロトレオニン−グリシン、アロトレオニン−アラニン、アロトレオニン−ジメチルグリシン、アロトレオニン−ジメチルシクロプロピルグリシン、およびアロトレオニン−サルコシンである。この点において、R基のセリン、トレオニン、ホモセリン、およびアロトレオニンのヒドロキシル基は、L基に結合される。
【0050】
一実施形態において、Lは、2〜20個の炭素原子を含有するアミノ酸残基であり、Rは、2〜20個の炭素原子を含有するアミノ酸残基である。好適な実施形態において、Lはγ−グルタミン酸であり、Rはバリンである。好適な実施形態において、Lはアスパラギン酸であり、Rはバリンである。別の好適な実施形態において、Lはβ−アラニンであり、Rはバリンである。
【0051】
一実施形態において、Lがアミノ酸であり、Rがアミノ酸である場合、−L−Rは、Lのαカルボン酸を通してグアンファシンに共役される、タンパク新生ジペプチドを含まない。実施例6に示されるように、Lのαカルボン酸を通してグアンファシンに共役されるタンパク新生ジペプチド結合体は、胃腸管に既存の条件下で、非以上に不安定であり得る。
【0052】
一実施形態において、L−Rは、以下の成分を有する結合体である。

【0053】
一実施形態において、L−Rは一緒に、以下の成分を有するジカルボン酸−アミノ酸結合体である。



【0054】
代替実施形態において、Rは、それぞれ2〜20個の炭素原子を含有する、2〜10個の独立して選択されるアミノ酸から形成されるペプチドである。
【0055】
一実施形態において、R1はHである。
【0056】
一実施形態において、R2およびR3は、各事例でそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、−C(=O)R6、およびC1-4アルキル(例えば、−CH3または−CH2CH3)から成る群から選択される。一実施形態において、R2およびR3は、いずれも水素である。

【0057】
一実施形態において、R4およびR5は、それぞれ独立して、HおよびC1-4アルキルから成る群から選択される。

【0058】
一実施形態において、R6は−OHである。
【0059】

【0060】

【0061】

【0062】
本発明の文脈において、「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸(タンパク新生アミノ酸を含む)および非天然アミノ酸の両方を含む。「天然アミノ酸」という用語は、翻訳中にタンパク質に組み込むことができる他のアミノ酸をさらに含んでもよい(プロリシン、オルニチン、およびセレノシステイン)。アミノ酸は、概して、以下の式を有し、
【化6】

式中、Raaは、アミノ酸側鎖と称される。天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、リシン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、メチオニン、およびヒスチジンを含む。本発明は、これに限定されないが、ホモアルギニン等の天然アミノ酸の同族体の使用も検討する。本発明は、これに限定されないが、βアラニン等のβアミノ酸の使用も検討する。本発明は、これに限定されないが、ピログルタミン等の天然アミノ酸のあるラクタム類似体の使用も検討する。
【0063】
一実施形態において、本発明のグアンファシンプロドラッグは、1つ以上のアミノ酸残基を含有する複合体であり、連結基によってグアンファシンタンパク質から随意に分離される。各アミノ酸は独立して、アミノ酸のカルボキシル基を介して、その隣接に結合され得るか、それ自体が、例えばカルボニル、アミノ、またはチオキを含有し得るアミノ酸の側鎖を介して結合され得るか、またはそのアミノ基を介して結合されてもよい。第1のアミノ酸残基は、アミノ酸のカルボキシル基を介するか、またはアミノ酸の側鎖上に存在する機能性を介して、グアンファシンのグアニジノ基に結合されてもよい。
【0064】
一実施形態において、本発明のグアンファシンプロドラッグは、連結基によってグアンファシン部分から分離される、単一のアミノ酸を含有する複合体である。
【0065】
一実施形態において、Lが存在しない場合、Rは、それぞれ2〜20個の炭素原子を含有する2〜10個の独立して選択されるアミノ酸から形成されるペプチドである。
【0066】
本発明の別の態様において、式(III)の活性グアンファシン代謝物のプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体が提供され
【化7】


【0067】
別の態様において、本発明は、それを必要とする被検体の疾患をグアンファシンで治療する方法を提供する。方法は、有効量の本発明のグアンファシンプロドラッグを被検体に経口投与することを含む。疾患は、グアンファシンで治療可能なものであってもよい。例えば、疾患は、注意欠陥多動性障害(ADHD)であり得る。グアンファシンで治療可能な代替精神状態は、反抗的行為障害(ODD)である。あるいは、疾患は、高血圧等の心血管状態であってもよい。疾患は、神経障害痛、統合失調症に随伴する認知障害(CIAS)、不安症(PTSD、OCD、自傷行為を含む)、中毒の離脱症状、および自閉症から成る群から選択される疾患であってもよい。疾患は、化学療法誘発性粘膜症であってもよい。疾患は、心的外傷後ストレス症候群であってもよい。あるいは、疾患は、顔面紅潮を罹患する患者を特徴とし得る。
【0068】
別の態様において、本発明は、注意欠陥多動性障害(ADHD)、反抗的行為障害(ODD)、高血圧等の心血管状態、神経障害痛、統合失調症に随伴する認知障害(CIAS)、不安症(PTSD、OCD、自傷行為を含む)、中毒の離脱症状、自閉症、化学療法誘発性粘膜症、心的外傷後ストレス症候群、または顔面紅潮を特徴とする疾患の治療に使用するための、本発明のグアンファシン複合体を提供する。
【0069】
一実施形態において、哺乳動物のグアンファシン治療に随伴する胃腸副作用を軽減する方法が提供される。方法は、
(a)式(I)のグアンファシンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩を形成することと、
(b)プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする哺乳動物に投与することと、を含む。通常、哺乳動物は、ヒト被検体である。
【0070】
本明細書に記載されるグアンファシンプロドラッグは、グアンファシンHCl等の非プロドラッググアンファシン塩形態と比較して、胃腸環境における腸管運動性に対して、統計的に有意に低い平均(例えば、平均)作用を誘発する。
【0071】
本発明の代替態様において、薬物動態を向上させ、それを必要とする被検体におけるグアンファシンの作用期間を延長させるための方法が提供される。方法は、有効量の本発明のプロドラッグ、またはその組成物を、それを必要とする被検体に投与することを含み、血漿中濃度到達時間プロファイルは、グアンファシンの濃度の初期急増を最小限にするように調整され、あらゆる望ましくない心血管または傾眠作用を最小化する一方で、薬物が血漿中に滞留する時間(プロドラッグからの連続的な生成に起因する)、およびしたがって作用の期間を著しく延長する。
【0072】
さらなる態様において、グアンファシン血漿濃度の被検体間または被検体内変動性を減少させるための方法が提供される。方法は、有効量の本発明のプロドラッグ、またはその組成物を、それを必要とする被検体、または被検体群に投与することを含む。
【0073】
好適な一実施形態において、本発明は、通常、グアンファシンの投与に随伴する便秘等の胃腸副作用を最小限にするための方法を対象とする。方法は、本発明のグアンファシンプロドラッグまたは薬学的に許容される塩を経口投与することを含み、経口投与時に、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩は、完全に回避しないとしても、通常、非結合グアンファシンの経口投与後に見られる胃腸副作用を最小限にする。グアンファシンの量は、好ましくは治療有効量である。
【0074】
本発明は、天然および/または非天然アミノ酸、および腸内に位置するα−2アドレナリン受容体と活性薬物との間の相互作用を妨げ、そのようにして便秘のリスクを最小限にする、グアンファシンの短鎖ペプチドに関する。さらに、本明細書に提供されるプロドラッグは、種々の精神状態および/または心血管状態を治療するように、薬物学的に有効量の薬物を送達する。そのようなグアンファシンのプロドラッグの使用は、血漿濃度の被検体間および被検体内変動性を減少させ、そのようにして一貫した治療効果を提供する。さらに、組織コンパートメントおよび/または血漿における大量の非加水分解プロドラッグの存在は、活性薬物の連続的な生成のための貯留を提供し得る。グアンファシンの連続的な生成は、血漿薬物濃度を維持し、それによって、薬物投与の頻度を減少させる。これらの利益は、患者のコンプライアンスを向上させることが期待される。
【0075】
これらの実施形態および他の実施形態が開示されるか、または以下の詳細な説明から明らかになり、それらに包含される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】グアンファシンまたは化合物1を、0.5mg/kgグアンファシン遊離塩基相当物で、霊長動物に投与した後のグアンファシンの血漿濃度プロファイルを示す。
【図2】グアンファシンまたは化合物2を、0.5mg/kgグアンファシン遊離塩基相当物で、霊長動物に投与した後のグアンファシンの血漿濃度プロファイルを示す。
【図3】グアンファシンまたは化合物5を、0.5mg/kgグアンファシン遊離塩基相当物で、霊長動物に投与した後のグアンファシンの血漿濃度プロファイルを示す。
【図4】グアンファシンまたは化合物61を、0.5mg/kgグアンファシン遊離塩基相当物で、霊長動物に投与した後のグアンファシンの血漿濃度プロファイルを示す。
【図5】グアンファシンまたは化合物63を、0.5mg/kgグアンファシン遊離塩基相当物で、霊長動物に投与した後のグアンファシンの血漿濃度プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
A. 定義
本明細書で使用する、
【0078】
「ペプチド」という用語は、他に指定のない限り、2〜9個のアミノ酸(ペプチド結合により結合された)から成るアミノ酸鎖を指す。好適な実施形態において、本発明で使用されるペプチドは、2または3アミノ酸長である。本発明は、分岐ペプチドにも関し、アミノ酸は、別のアミノ酸側鎖に結合することができる。
【0079】
アミノ酸は、NH2−CH(Raa)−COOHによって表される化合物であり、式中、Raaは、アミノ酸鎖である(例えば、Raa=Hである場合、アミノ酸はグリシンである)。本明細書で使用する、アミノ酸側鎖という用語は、アミノ酸のα−炭素上の置換基である。
【0080】
本発明のプロドラッグにおいて使用するために検討されるアミノ酸は、天然および非天然アミノ酸の両方を含む。好適な一実施形態において、アミノ酸は、天然アミノ酸である。一実施形態において、天然アミノ酸は、タンパク新生アミノ酸である。側鎖Raaは、(R)構成または(S)構成のいずれかであり得る。L−およびD−アミノ酸はいずれも、本発明の範囲内である。
【0081】
「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および非天然アミノ酸の両方を含む。「天然アミノ酸」は、タンパク質生合成に使用される20個のアミノ酸、ならびに翻訳中にタンパク質に組み込むことができる他のアミノ酸(ピロリシン、オルナチン、およびセレノシステイン)を含む。天然アミノ酸は、概して、以下の式

aaは、アミノ酸側鎖を指す。天然アミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、アルギニン、リシン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、メチオニン、およびヒスチジン、ならびにそれらの同族体が挙げられる。
【0082】
天然アミノ酸側鎖の例には、−H(グリシン)、−CH3(アラニン)、−CH(CH32(バリン)、−CH(CH3)CH2CH3(イソロイシン)、−CH2CH(CH32(ロイシン)、−CH265(フェニルアラニン)、−CH264−p−OH(チロシン)、−CH2OH(セリン)、−CH(OH)CH3(トレオニン)、−CH2−3−インドリル(トリプトファン)−CH2COOH(アスパラギン酸)、−CH2CH2COOH(グルタミン酸)、−CH2C(O)NH2(アスパラギン)、−CH2CH2C(O)NH2(グルタミン)、−CH2SH(システイン)、−CH2CH2SCH3(メチオニン)、−(CH24NH2(リシン)、−(CH23NHC(=NH)NH2(アルギニン)、および−CH2−3−イミダゾリル(ヒスチジン)が挙げられる。
【0083】
「非天然アミノ酸」は、アミノ酸であるが、標準遺伝子コードによってコードされるものではないか、または翻訳中にタンパク質に組み込まれない、有機化合物である。したがって、非天然アミノ酸は、20の自然発生するアミノ酸以外のアミノ酸またはアミノ酸の類似体を含み、アミノ酸のD−イソステレオマーを含むが、これに限定されない。非天然アミノ酸の例には、シトルリン、ホモシトルリン、ヒドロキシプロリン、ホモアルギニン、ホモセリン、ホモチロシン、ホモプロリン、オルニチン、4−アミノ−フェニルアラニン、サルコシン、ビフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、4−アミノ−フェニルアラニン、4−ニトロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェニルアラニン、ノルロイシン、シクロヘキシルアラニン、α−アミノイソブチル酸、N−メチル−アラニン、N−メチル−グリシン、N−メチル−グルタミン酸、tert−ブチルグリシン、α−アミノブチル酸、α−アミノイソブチル酸、2−アミノイソブチル酸、2−アミノインダン−2−カルボン酸、セレノメチオニン、ランチオニン、デヒドロアラニン、γ−アミノブチル酸、ナフチルアラニン、アミノヘキサン酸、フェニルグリシン、ピペコリン酸、2,3−ジアミノプロプリオン酸、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、tert−ロイシン、tert−ブチルアラニン、シクロヘキシルグリシン、ジエチルグリシン、ジプロピルグリシン、およびアミン窒素がモノ−またはジ−アルキル化されたそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本発明によって検討されるアミノ酸は、天然アミノ酸の代謝物も含み、N−アセチルシステイン、N−アセチルセリン、およびN−アセチルトレオニンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
「極性アミノ酸」という用語は、極性側鎖を有する親水性アミノ酸を指す。極性アミノ酸は、正または負に電荷することができるか、または生理的pHに中和され得るが、極性側鎖は、2つの原子によって共有される電子対は、原子の1つによって密接して保持される、少なくとも1つの結合を有する。遺伝的にコードされた極性アミノ酸は、Arg(R)、Asp(D)、Glu(E)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)、およびThr(T)を含む。「非極性アミノ酸」という用語は、生理的pHで非電荷である側鎖を有し、2つの原子によって共有される電子対が、概して、2つの原子のそれぞれによって等しく保持される(すなわち、側鎖が極性でない)結合を有する、疎水性アミノ酸を指す。遺伝的にコードされた非極性アミノ酸には、Leu(L)、Val(V)、Ile(I)、Met(M)、Gly(G)、およびAla(A)が挙げられる。
【0086】
「脂肪族アミノ酸」という用語は、脂肪族炭化水素側鎖を有する、疎水性アミノ酸を指す。遺伝的にコードされる脂肪族アミノ酸には、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、およびIle(I)が挙げられる。
【0087】
「アミノ」という用語は、−NH2基を指す。
【0088】
「アルキル」という用語は、基として、特定数の炭素原子を含有する直鎖または分岐炭化水素鎖を指す。多数の炭素原子を参照することなく「アルキル」という用語が使用される場合は、C1−C10アルキルを指すことを理解されたい。例えば、C1-10アルキルは、少なくとも1個、多くて10個の炭素原子を含有する、直鎖または分岐アルキルを指す。本明細書で使用する、「アルキル」の例には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、i−ブチル、i−プロピル、t−ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、およびデシルが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル基は、約1〜7個の炭素、さらにより好ましくは、約1〜4個の炭素の低級アルキルである。アルキル基は、置換することができるか、または非置換であり得る。
【0089】
「アシル」という用語は、基−C(=O)R6を指し、式中、R6はC1-6アルキルである。
【0090】
本明細書で使用する、「置換アルキル」という用語は、アルキルラジカルを示し、少なくとも1つの水素は、1つ以上の置換基、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロ環、ハロゲン、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アミノ、アミド(例えば、−C(O)NH−R、式中、Rはメチル等のアルキルである)、アミジン、アミド(例えば、−NHC(O)−R、式中、Rはメチル等のアルキルである)、カルボキシアミド、カルバメート、炭酸塩、エステル、アルコキシエステル(例えば、−C(O)O−R、式中、Rはメチル等のアルキルである)、およびアシルオキシエステル(例えば、−OC(O)−R、式中、Rはメチル等のアルキルである)を含むが、これらに限定されない置換基によって置換される。定義は、用語が置換基自体に適用されるか、または置換基の置換基に適用されるか否かに関連する。
【0091】
「ヘテロ環」という用語は、炭素原子、および窒素、リン酸、酸素、および硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子から成る安定した3〜15員環ラジカルを指す。
【0092】
本明細書で使用する、「シクロアルキル」基という用語は、3〜8個の炭素原子の非芳香族単環式炭化水素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルを指す。
【0093】
本明細書で使用する、「置換シクロアルキル」という用語は、本明細書に記載される1つ以上の置換基、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロ環、ハロゲン、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アミノ、アミド(例えば、−C(O)NH−R、式中、Rはメチル等のアルキルである)、アミジン、アミド(例えば、−NHC(O)−R、式中、Rはメチル等のアルキルである)、カルボキシアミド、カルバメート、炭酸塩、エステル、アルコキシエステル(例えば、−C(O)O−R、式中、Rはメチル等のアルキルである)、およびアシルオキシエステル(例えば、−OC(O)−R、式中、Rはメチル等のアルキルである)を含むが、これらに限定されない置換基をさらに担持する、シクロアルキル基を示す。定義は、用語が置換基自体に適用されるか、または置換基の置換基に適用されるか否かに関連する。
【0094】
「アルコキシ」という用語は、酸素架橋を通して親分子部分に結合された表示数の炭素原子のアルキル基を指す。アルコキシ基の例には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびイソプロポキシが挙げられる。多数の炭素原子を参照することなく「アルコキシ」という用語が使用される場合は、アルキル基が、少なくとも1個、および多くて10個の炭素原子を含有する、直鎖、分岐、飽和、または不飽和アルキルであり得る、C1−C10アルコキシを指すことを理解されたい。好ましくは、約1〜4個の炭素の低級アルコキシである。
【0095】
「カルボニル」という用語は、基−C(=O)を指す。
【0096】
「カルボキシル」という用語は、基−CO2Hを指し、カルボニルおよびヒドロキシル基(より具体的には、C(=O)OH)から成る。
【0097】
「ジカルボン酸塩リンカー基」、「ジカルボン酸リンカー」、および「ジカルボン酸塩」は同義であり、以下の部分における基−C(=O)−[CR12n−C(=O)−を指し、


式中、一端のNは、グアンファシンの非結合形態で存在し、他端のNは、ペプチドのN末端の窒素、あまたはアミノ酸のアミノ基の窒素であり、(n)は、約ゼロ〜約9、好ましくは約2の整数である。本明細書に記載されるプロドラッグ部分は、それらのアミノ酸またはペプチド、およびジカルボン酸塩リンカー基に基づいて参照されてもよい。そのような参照におけるアミノ酸またはペプチドは、アミノ酸またはペプチド上のアミノ末端を介して、ジカルボン酸の一方のカルボキシル基に結合されるが、他方のカルボキシル基は、グアンファシンに結合されると仮定する必要がある。ジカルボン酸塩リンカー基は、前に明記されるように、様々に置換されてもされなくてもよい。
【0098】
「アリール」という用語は、少なくとも1つの芳香族環を含有する、芳香族炭化水素環系を指す。芳香族環は、他の芳香族炭化水素環または非芳香族炭化水素環に随意に融合するか、または他の方法で結合することができる。アリール基の例には、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、およびビフェニルが挙げられる。アリール基の好適な例には、フェニルが挙げられる。
【0099】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
【0100】
「置換」という用語は、官能基または化合物に含有される1つ以上の原子を、ハロ、オキシ、アジド、ニトロ、シアノ、アルキル、アルコキシ、アルキル−チオ、アルキル−チオ−アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノ、トリハロメチル、ヒドロキシル、メルカプト、ヒドロキシ、シアノ、アルキルシリル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、C1-6アルキルカルボニルアルキル、アリール、およびアミノ基の群からの部分の1つを追加または置換することを指す。
【0101】
「担体」という用語は、活性化合物が一緒に投与される希釈剤、賦形剤、および/または媒体を指す。本発明の薬学的組成物は、複数の担体の組み合わせを含有してもよい。そのような薬学的担体は、水、生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液等の滅菌液、および石油、動物、植物、または合成由来のものを含む油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油を含む油であり得る。水または生理食塩水、ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液は、好ましくは、特に注射剤の担体として用いられる。適切な薬物学的担体は、″Remington′s Pharmaceutical Sciences″by E.W.Martin,18th Editionに記載される。
【0102】
「薬学的に許容される」というフレーズは、一般に安全であると見なされる分子の実体および組成物を指す。特に、本発明の実践において使用される薬学的に許容される担体は、生理学的に耐性があり、患者に投与される場合、通常、アレルギー反応または同様の有害反応(例えば、異常亢進、眩暈等)を生じない。好ましくは、本明細書で使用する、「薬学的に許容される」という用語は、ヒトに使用するために、適切な行政機関の規制当局によって承認されること、または米国薬局方もしくは他の一般に認識される薬局方に列挙されることを意味する。
【0103】
「薬学的に許容される賦形剤」は、一般に安全、非毒性であり、生物学的にもそれ以外にも望ましくないことのない薬学的組成物を調製することにおいて有用な賦形剤を意味し、ヒトの薬学的使用に許容される賦形剤を含む。本出願で使用する、「薬学的に許容される賦形剤」は、そのような賦形剤を1つ、および複数含む。
【0104】
「治療する」という用語は、(1)状況、疾患、または状態に苦しみ得るか、または罹患しやすいが、その状況、疾患、または状態の臨床または亜臨床症状をまだ経験していないか、または呈していない被検体において進行している状況、疾患、または状態の臨床症状の出現を予防または遅延すること、(2)状況、疾患、または状態を阻害すること(例えば、疾患の進行、または維持療法の場合は、その少なくとも1つの臨床または亜臨床症状の再発を停止、軽減、または遅延させること)、および/または(3)状態を緩和すること(すなわち、状況、疾患、または状態、またはその臨床または亜臨床症状の少なくとも1つの退行をもたらすこと)を含む。治療される被検体に対する利点は、被検体または医師に対して統計的に有意であるか、または少なくとも認識可能であるかのいずれかである。
【0105】
「被検体」という用語は、ヒトを指す。
【0106】
「有効量」は、望ましい治療反応をもたらすのに十分な本発明のプロドラッグまたは組成物の量を意味する。治療反応は、ユーザ(例えば、医師)が治療に対する有効な反応として認識する、あらゆる反応であり得る。治療反応は、概して、ADHDの典型的な症状の軽減である。さらなるおよび/または代替実施形態において、治療反応は、反抗的行為障害(ODD)、高血圧、疼痛(神経障害痛)、精神病における認知障害、統合失調症に随伴する認知障害(CIAS)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不安症(PTSD、OCD、自傷行為を含む)、中毒の離脱症状、自閉症、顔面紅潮、化学療法誘発性粘膜症、等の典型的な症状の軽減である。さらに適切な治療期間、適切な用量、およびあらゆる可能な複合療法を、治療反応の評価に基づいて決定することは、当業者の能力の範囲内である。
【0107】
「グアンファシン治療に随伴する胃腸副作用を軽減する」は、即時放出または徐放性形態の非プロドラッググアンファシン塩を受容した患者と比較して、本明細書に記載されるプロドラッグで治療した患者において認められる胃腸副作用(例えば、便秘)の発生を軽減、緩和、および/または予防することを意味すると理解されたい。胃腸副作用の軽減は、患者が陽性の臨床結果を達成する場合に起こると見なされる。例えば、胃腸副作用の良好な軽減は、非プロドラッググアンファシンによる治療で認められるものと比較して、本技術分野における熟練者によって検討される他の臨床マーカーを含む、少なくとも約10%(すなわち、少なくとも約15%)、または好ましくは約20%、より好ましくは少なくとも約30%以上(すなわち、約40%、50%)の便秘の減少が認められる場合に起こると見なされる。ある態様において、胃腸副作用の良好な軽減は、即時放出または徐放性形態の非プロドラッググアンファシン塩と比較して、本明細書に記載されるプロドラッグによって誘発される腸管運動性の変化によって決定することができる。この態様において、非プロドラッググアンファシンに対する統計的有意性は、少なくとも約0.058、および好ましくは0.001未満であり得る。
【0108】
「少なくとも約」という用語は、参照される数に等しいか、またはそれよりも大きい数を含む。種々の実施形態において、例えば、腸管運動性の減少について言及する場合、「少なくとも約15%」という用語は、「少なくとも約16%」、「少なくとも約17%」、「少なくとも約18%」等の用語を含む。同様に、一部の実施形態において、「少なくとも約30%」という用語は、「少なくとも約31%」、「少なくとも約32%」等の用語を含む。
【0109】
「活性成分」という用語は、特に指定のない限り、本明細書に記載されるように、プロドラッグのグアンファシン部分について言及すると理解される。
【0110】
「塩」という用語は、酸付加塩または遊離塩基の負か塩を含むことができる。(例えば、アミノ酸またはペプチドのカルボキシル末端の)適切な薬学的に許容される塩には、ナトリウム、カリウム、およびセシウム塩等の金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエチルアミン、グアニジン、およびN−置換グアニジン塩等の有機アミン塩、アセトアミジンおよびN−置換アセトアミジン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、およびN,N′−ジベンジルエチレンジアミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。(塩基性窒素中心の)薬学的に許容される塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびマレイン酸塩等の有機酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ショウノウスルホン酸塩、およびナフタレンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、アルギニン酸塩、アラニン酸塩、アスパラギン酸塩、およびグルタミン酸塩等のアミノ酸塩、ならびにグルコン酸塩およびガラクツロン酸塩等の炭水化物塩が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Berge,et al.″Pharmaceutical Salts,″J.Pharm.Sci.1977;66:1を参照)。
【0111】
「約」という用語は、他に指定のない限り、指定の値の±10%を指す。
【0112】
本発明は、式(I)の薬学的に許容される同位体的に標識されたすべての化合物の合成も含み、1つ以上の原子は、同一の原子番号を有するが、原子質量または質量数は、自然界で最も一般に見られる原子質量または質量数を有する原子によって置換される。
【0113】
ジウテリウム、すなわち、2H等の安定した同位体との置換は、優れた代謝安定性、例えば、インビボ半減期の増加または投与要件の減少に起因する、ある治療利益をもたらし得、したがって、一部の状況において好適であり得る。
【0114】
本明細書の説明および請求項全体で、「含む(comprise)」および「含有する(contain)」という用語、ならびにそれらの用語の変異型、例えば、「comprising」および「comprises」は、「含むが、それらに限定されないこと」を意味し、他の部分、付加物、成分、整数、またはステップを除外することを意図しない(除外しない)。
【0115】
本明細書の説明および請求項全体で、単数形は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、明細書は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数形を考慮するものとして理解されたい。
【0116】
本発明の特定の態様、実施形態、または実施例と併せて説明される特徴、整数、特性、化合物、化学部分、または基は、それと不適合でない限り、本明細書に記載されるあらゆる他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であることを理解されたい。
【0117】
B.本発明のグアンファシンプロドラッグの利点
【0118】
本発明のグアンファシンプロドラッグの使用は、グアンファシンを体循環に送達するが、胃腸管内の活性薬物とα−2−アドレナリン受容体との直接接触を回避し、それによって潜在的な便秘作用を最小限にする手段を提供する。α−2−アドレナリン受容体の便秘作用の一部は、腸管内で直接引き出され得ることが可能である。投与に随伴される胃腸副作用の軽減は、本発明のプロドラッグを使用する特定の利点であり得る。
【0119】
好ましくは、本明細書に記載されるプロドラッグによるグアンファシン治療は、経口投与されると、グアンファシン塩酸塩等の非プロドラッググアンファシン塩形態よりも、患者の胃腸内の腸管運動性に対して著しく低い平均(すなわち、平均)作用を誘発する。
【0120】
いかなる特定理論にも拘束されることなく、グアンファシンプロドラッグのアミノ酸またはペプチド部分は、消化管内の固有ジペプチドおよびトリペプチド輸送体Pept1を選択的に利用すると考えられる。一旦吸収されると、これらのプロドラッグは、そこから活性薬物種が連続的に生成され、持続放出製剤からの送達を疑似し得る貯留を提供し得る。このアプローチは、食物の存在に起因して胃内の早期コーティングの浸食の影響を受けやすい腸溶性持続放出製剤の必要性を回避する。プロドラッグの使用は、一部が赤血球および/または血漿に存在する肝臓および肝外加水分解酵素によって、薬物がアミノ酸またはペプチドプロドラッグから放出されると考えられるため、連続的送達の代替手段を提供する。あるいは、プロドラッグは、化学的または酵素的プロセスを通して、活性薬物に変換され得る中間体に代謝されてもよい。
【0121】
さらに、本発明のプロドラッグの使用は、より一貫した経口バイオアベイラビリティの結果として、反応の優れた一貫性を提供することができる。この一貫した経口アベイラビリティの結果として、本発明のプロドラッグは、グアンファシン血漿およびCNS濃度の被検体間および被検体内変動性の著しい減少をもたらし、したがって、単一患者、または患者集団の中で、治療反応の変動を著しく減少させ、向上した患者利益を提供する。
【0122】
C. 治療の方法
本発明は、それを必要とする被検体において、疾患をグアンファシンで治療するための方法を提供する。方法は、有効量の本発明のグアンファシンプロドラッグを被検体に経口投与することを含む。疾患は、グアンファシンで治療可能なものであり得る。例えば、疾患は、注意欠陥多動性障害または反抗的行為障害等の精神状態であってもよい。プロドラッグは、式(I)によって包含される、あらゆるグアンファシンプロドラッグであり得る。
【0123】
本発明は、注意欠陥多動性障害または反抗的行為障害等の精神状態の治療に使用するための式(I)のグアンファシン複合体も提供する。
【0124】
一態様において、本発明は、通常、グアンファシンの投与に随伴する胃腸副作用を最小限にするための方法を対象とする。方法は、本発明のグアンファシンプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することを含み、経口投与時に、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩は、完全に回避しないとしても、より高い経口用量の非結合グアンファシンを投与した後に頻繁に見られる便秘作用を最小限にする。グアンファシンの量は、好ましくは、治療有効量である。プロドラッグは、式(I)によって包含される、あらゆるグアンファシンプロドラッグであり得る。
【0125】
上記に照らして、哺乳動物において、グアンファシン治療に随伴する胃腸副作用を軽減する方法が提供される。方法は、
(a)式(I)のグアンファシンプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を形成することと、
(b)プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする哺乳動物に投与することと、を含む。
【0126】
別の態様において、本発明は、哺乳動物において、注意欠陥多動性障害を治療する方法を提供する。方法は、式(I)のプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む。
【0127】
本発明は、哺乳動物において、注意欠陥多動性障害の治療に使用するための式(I)のグアンファシン複合体も提供する。
【0128】
さらに別の態様において、本発明は、哺乳動物において、高血圧を治療する方法を提供する。方法は、式(I)のプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする哺乳動物に投与することによって行われる。
【0129】
本発明は、哺乳動物において、高血圧の治療に使用するための式(I)のグアンファシン複合体も提供する。
【0130】
理想的に、本明細書に記載される方法に用いられるプロドラッグは、経口投与されると、治療上有効なグアンファシン血漿濃度を達成する必要がある。一実施形態において、本明細書に記載される方法に用いられるプロドラッグは、バリンに結合されるグアンファシンを含む。
【0131】
好適な一実施形態において、式(I)のプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩は、経口投与される。一部の好適な実施形態において、方法プロトコルは、遊離塩基形態のグアンファシンの量に基づいて、日量約1mg〜約100mg、好ましくは、約1mg〜約50mg、より好ましくは、約1mg〜約15mg、より好ましくは、約1mg〜約10mg、およびより好ましくは、約1mg〜約5mgの式(I)のプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。プロドラッグからの全身アベイラビリティが、より低い絶対経口バイオアベイラビリティをもたらす場合、次に、好適な用量は、約2mg〜約10mgである。
【0132】
式(I)またはその薬学的に許容される塩の複合体が投与される、本発明のすべての態様において、記述される用量は、投与される複合体の量ではなく、グアンファシン遊離塩基の量に基づく。
【0133】
本発明は、特に、グアンファシン投与に随伴する便秘作用を回避するために有用であり、非プロドラッグ塩形態のグアンファシンによる治療と比較して、腸管運動性のα−2アドレナリン受容体媒介性阻害をもたらす。
【0134】
あるいは、本発明は、それを必要とする被検体において、グアンファシンの薬物動態を向上させるための方法を提供する。方法は、有効量の本発明のプロドラッグ、またはその組成物を、それを必要とする被検体に投与することを含み、プロドラッグによって提供されるグアンファシンの送達の割合および一貫性は、非プロドラッグ形態が単独で投与される場合に見られるものを超える利点をもたらす。これらの利点は、それによって望ましくない心血管作用を最小限にするCmaxの到達の調整、血漿濃度の到達およびそれによる治療反応の優れた一貫性、および血漿薬物濃度の長期維持を含み、投与頻度を減少させ、患者のコンプライアンスを向上させる。プロドラッグは、式(I)によって包含される、あらゆるグアンファシンプロドラッグであり得る。
【0135】
さらなる代替態様において、本発明は、腸管運動性に対するグアンファシンの作用を軽減する方法を提供する。方法は、
(a)式(I)のプロドラッグを形成するのに有効な条件下で、グアンファシンを、グアンファシンとの共有結合を形成することができる、活性化アミノ酸(例えば、グルタミン酸)と反応させるステップと、
(b)式(I)のプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする哺乳動物に投与するステップと、を含む。
【0136】
本発明は、腸管運動性に対するグアンファシンの作用の軽減に使用するための式(I)のグアンファシン複合体も提供する。
【0137】
D. 本発明の化合物の塩、溶媒、および誘導体
本発明の方法は、本明細書に記載されるグアンファシンプロドラッグの塩および溶媒の使用をさらに包含する。一実施形態において、本明細書に開示される発明は、グアンファシンプロドラッグの薬学的に許容される塩のすべてを包含することを意味する(アミノ酸のカルボキシル末端のもの、ならびに塩基性窒素のものを含む)。
【0138】
通常、本発明の実践に使用されるグアンファシンのプロドラッグの薬学的に許容される塩は、必要に応じて、プロドラッグを酸または塩基と反応させることによって調製される。塩は、当業者によく知られている方法に従って、溶液から沈殿させてろ過によって収集し得るか、または溶媒の蒸発によって回収されてもよい。
【0139】
プロドラッグの酸付加塩は、遊離塩基形態を、従来の方法で塩を産生するのに十分な量の望ましい酸と接触させることによって調製されてもよい。遊離塩基形態は、塩形態を塩基と接触させ、従来の方法で遊離塩基を単離することによって再生成されてもよい。遊離塩基形態は、極性溶媒中の溶解度等のある物理特性において、それぞれの塩形態とはいくらか異なるが、それ以外は、塩は、本発明の目的で、それぞれの遊離塩基と同等である。
【0140】
薬学的に許容される塩基付加塩は、アルカリおよびアルカリ土類金属水酸化物または有機アミン等の金属塩基またはアミンで形成される。陽イオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等である。適切なアミンの例は、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、およびプロカインである。
【0141】
酸性化合物の塩基付加塩は、好ましくは、遊離酸を、従来の方法で塩を産生するのに十分な量の望ましい塩基と接触させることによって調製される。遊離酸形態は、塩形態を酸と接触させ、遊離酸を単離することによって再生成されてもよい。
【0142】
本発明の実践に有用な化合物は、塩基性および酸性中心の両方を有してもよく、したがって、両性イオンの形態であってもよい。
【0143】
有機化学の技術分野における当業者であれば、多くの有機化合物が、それらが反応するか、またはそれらが沈殿または結晶化する、例えば、水で水和する、溶媒との複合体、すなわち溶媒和物を形成することができることを理解するであろう。本発明に有用な化合物の塩は、そこで有用な水和物等の溶媒和物を形成し得る。溶媒和物を調製する技術は、本技術分野においてよくしられている(例えば、Brittain.Polymorphism in Pharmaceutical solids.Marcel Decker,New York,1999.を参照)。本発明の実践に有用な化合物は、1つ以上のキラル中心を有することができ、個々の成分の性質に応じて、それらは幾何異性体を有することもできる。
【0144】
E. 本発明の薬学的組成物
本発明の方法に使用するためのプロドラッグは、バルク物質として投与されてもよいが、医薬製剤中の活性成分を提示することが好ましく、例えば、薬剤は、意図される投与経路および標準薬務に関して選択される、薬学的に許容される担体または賦形剤と混合される。本発明の組成物は、上述されるように、グアンファシンプロドラッグの薬学的に許容される塩も含む。
【0145】
本発明の製剤は、即時放出剤形、すなわち、プロドラッグを吸収部位で即時に放出する剤形であり得ることが予測されるが、代替実施形態において、本明細書に記載されるプロドラッグは、制御放出製剤の一部として、すなわち、既定の時間をかけてプロドラッグを放出する剤形であり得る。制御放出剤形は、あらゆる従来型、例えば、貯留またはマトリクス形式の分散制御剤形、マトリクス、カプセル化、または腸溶性溶解制御剤形、または浸透剤形の形態であってもよい。そのような形式の剤形は、例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2000,pp.858−914に開示される。
【0146】
しかしながら、グアンファシンのアミノ酸およびペプチドプロドラッグの吸収は、Pept1等の活性輸送体を介して進行し得るため、非在来型の制御剤形が望ましい場合がある。Pept1輸送体は、大部分が上部消化管に限定されると考えられるため、これは、消化管の全長に沿って連続吸収の機会を制限し得る。プロドラッグの全身貯留からの活性体の連続生成に起因して、持続的血漿薬物濃度をもたらさないが、他の利点を提供し得る、グアンファシンのそれらのプロドラッグの場合、Glumetz(登録商標)またはGluphage XR(登録商標)等のメトホルミン製品において使用されるものに類似する胃保持性または粘膜保持性製剤が有用であり得る。前者は、Gelshield Diffusion(商標)技術として知られている薬物送達システムを利用するが、後者は、いわゆるAcuform(商標)送達システムを利用する。いずれの場合においても、概念は、薬物を胃内に保持し、回腸への薬物の通貨を減速させ、吸収が行われる期間を最大化して、血漿薬物濃度を効果的に持続させることである。消化管に沿う進行を遅延させる他の薬物送達システムも役立ち得る。
【0147】
本発明の製剤は、剤形および用量に応じて、1日に1〜6回投与することができる。
【0148】
一態様において、本発明は、少なくとも1つの活性薬剤成分(すなわち、グアンファシンプロドラッグ)、またはその薬学的に許容される誘導体(例えば、塩または溶媒和物)、および薬学的に許容される担体または他の賦形剤を含有する、医薬組成物を提供する。特に、本発明は、治療有効量の本明細書に記載される少なくとも1つのプロドラッグを含む医薬組成物、またはその薬学的に許容される誘導体、および薬学的に許容される担体または賦形剤を提供する。
【0149】
本発明の方法に関して、本発明において用いられるプロドラッグは、他の療法および/または活性薬剤と組み合わせて使用されてもよい。したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の実践に有用な少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物、第2の活性薬剤、および随意に薬学的に許容される担体または賦形剤を提供する。
【0150】
同一製剤と組み合わされる場合、2つの化合物は安定し、相互に、かつ製剤の他の成分と適合しなければならないことが理解されるであろう。別々に製剤される場合、化合物は、あらゆる在来型製剤で、便宜上、本技術分野においてそのような化合物に対して知られているような方法で提供されてもよい。
【0151】
本明細書において使用されるプロドラッグは、人間医学において使用するためのあらゆる便宜的な方法で投与するために製剤されてもよく、したがって、本発明は、その範囲内に、人間医学で使用するために適合された本発明の化合物を含む、医薬組成物を含む。そのような組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を用いて、従来の方式で使用するために提示されてもよい。治療用途に許容される担体および賦形剤は、医薬技術分野においてよく知られており、例えば、Remington′s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro edit.1985)に説明される。医薬担体の選択は、意図される投与経路および標準薬務に関して選択することができる。医薬組成物は、担体に加えて、1つまたは複数のあらゆる適切な結合剤、潤滑剤、懸濁剤、コーティング剤、および/または溶解剤を含んでもよい。
【0152】
保存剤、安定剤、染料、および香味剤でさえも、医薬組成物中に提供されてもよい。保存剤の例には、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。抗酸化剤および懸濁剤が使用されてもよい。
【0153】
本発明に使用される化合物は、湿式粉砕等の周知の粉砕手順を使用して粉砕し、錠剤形成および他の製剤形式に適切な粒径を得てもよい。化合物の微粉化(ナノ粒子化)製剤は、本技術分野において知られているプロセスによって調製されてもよく、例えば、国際特許出願公開第WO02/00196号(SmithKline Beecham)を参照されたい。
【0154】
本発明のプロドラッグおよび医薬組成物は、(例えば、錠剤、小袋、カプセル、トローチ、ピル、ボーラス、粉末、ペースト、顆粒、丸薬、またはプレミックス製剤、胚珠、エリキシル、溶液、懸濁液、分散液、ゲル、シロップとして、または摂取可能な溶液として)経口投与されることが意図される。さらに、化合物は、使用前に水または他の適切な媒体、随意に香味剤および着色剤とともに構成するための乾燥粉末として提示されてもよい。固体および液体組成物は、本技術分野においてよく知られている方法に従って調製されてもよい。そのような組成物は、固体または液体形態であり得る、1つ以上の薬学的に許容される担体および賦形剤を含有してもよい。
【0155】
分散剤は、液体担体または中間体、例えば、グリセリン、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン油、およびそれらの混合物中で調製することができる。液体担体または中間体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール等)、植物油、非毒性グリセリンエステル、およびそれらの適切な混合物を含有する、溶媒または液体分散媒体であり得る。適切な流動性は、リポソームの生成、分散液の場合に適切な粒径の投与、または界面活性剤の添加によって維持されてもよい。
【0156】
錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性カルシウムリン酸塩およびグリシン等の賦形剤、スターチ(好ましくは、コーン、ポテト、またはタピオカスターチ)、グリコール酸スターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、およびあるケイ酸複合体等の崩壊剤、およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン、およびアカシア等の造粒結合剤を含有してもよい。
【0157】
さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、およびタルク等の潤滑剤が含まれてもよい。
【0158】
本発明に有用な経口組成物に対する薬学的に許容される崩壊剤の例には、スターチ、プレゼラチン化スターチ、グリコール酸スターチナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、微結晶性セルロース、アルギニン酸塩、樹脂、界面活性剤、発泡性組成物、水性ケイ酸アルミニウム、および架橋ポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
本明細書において有用な経口組成物の薬学的に許容される結合剤の例には、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、グルコース、デキストロース、キシリトール、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、スターチ、プレゼラチン化スターチ、トラガカント、キサンタン樹脂、アルギニン酸塩、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエチレングリコール、またはベントナイトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
本明細書において有用な経口組成物の薬学的に許容される充填剤の例には、ラクトース、アンヒドロラクトース、ラクトース一水和物、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、スターチ、セルロース(特に、微結晶性セルロース)、ジヒドロまたはアンヒドロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、および硫酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
本発明の組成物において有用な薬学的に許容される潤滑剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、酸化エチレンのポリマー、硫酸ラウリルナトリウム、硫酸ラウリルマグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、およびコロイド状二酸化ケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
経口組成物に適切な薬学的に許容される付臭剤の例には、合成芳香および天然芳香油、例えば、油、花、果物(例えば、バナナ、リンゴ、酸果桜桃、桃)の抽出液、およびそれらの組み合わせ等、ならびに同様の芳香が挙げられるが、これらに限定されない。それらの使用は、多くの要素に依存し、医薬組成物を摂取するであろう集団に対する官能受容性が最も重要である。
【0163】
経口組成物に適切な薬学的に許容される染料の例には、合成および天然染料、例えば、二酸化チタン、β−カロテンおよびグレープフルーツ皮の抽出液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
通常、嚥下を促進し、放出特性を修正し、外観を向上させ、および/または組成物の味を隠すために使用される、経口組成物の薬学的に許容されるコーティングの例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびアクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
経口組成物の薬学的に許容される甘味剤の適切な例には、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、およびスクロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
本明細書において有用な薬学的に許容される緩衝剤の適切な例には、クエン酸、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、および水酸化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
本明細書において有用な薬学的に許容される界面活性剤の適切な例には、硫酸ラウリルナトリウムおよびポリソルベートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
類似形式の固体組成物は、ゼラチンカプセル中の充填剤として用いられてもよい。この点において、好適な賦形剤は、ラクトース、スターチ、セルロース、乳糖、または高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁液および/またはエリキシルの場合、薬剤は、種々の甘味または香味剤、着色物質または染料、乳化および/または懸濁剤、および水、エタノール、プロピレングリコール、およびグリセリン等の希釈剤、ならびにそれらの組み合わせと組み合わされてもよい。
【0169】
薬学的に許容される保存剤の適切な例には、溶媒等の種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、第4級アンモニウム塩、およびパラベン(例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、およびプロピルパラベン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
薬学的に許容される安定剤および抗酸化剤の適切な例には、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、チオ尿素、トコフェノール、およびブチルヒドロキシアン(ヒドロキシアニソール)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
本発明の薬学的組成物は、0.01〜99重量%/容量の本発明に包含されるプロドラッグを含有してもよい。
【0172】
F. 用量
明細書全体で記載される用量は、遊離塩基形態の組成物中のグアンファシンの量を指す。
【0173】
本発明の方法に従って治療される適切な患者(被検体)は、そのような治療を必要とするあらゆるヒトを含む。ヒトが経験する状態の重篤度を含む、ADHDまたはODDの診断および臨床評価のための方法は、本技術分野においてよく知られている。したがって、患者が治療を必要としているか否かの決定は、本技術分野における通常の実践者(例えば、医師)の技術の範囲内である。
【0174】
通常、医師は、個々の被検体に最適な実際の用量を決定する。あらゆる特定の個人に対する特定の用量レベルおよび投与頻度は異なってもよく、用いられる特定化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与モードおよび時間、排出速度、薬物の組み合わせ、特定状態の重篤度、および個人が受けている療法を含む、多様な要素に依存する。
【0175】
好適な実施形態において、有効量の式(I)のプロドラッグは、約1mg〜約100mg、好ましくは、約1〜約50mg、およびより好ましくは、約1mg〜約5mgである。式(I)のプロドラッグが、ほぼ完全な経口バイオアベイラビリティを提供する場合、好適な用量は、約1mg〜約5mgの現在有効な最大日量に基づいて、約1mg〜約5mgである。プロドラッグからの全身アベイラビリティが、より低い絶対経口バイオアベイラビリティをもたらす場合、次に、好適な用量は、約2mg〜約10mgである。本明細書に記載されるプロドラッグは、1日1回投与され得るか、または複数回投与治療プロトコルの一部として、複数用量に分割されてもよい。
【0176】
治療される状態の重篤度に応じて、適切な治療的に有効かつ安全な用量は、当業者によって容易に決定され得るように、過度の実験を行うことなく、被検体に投与され得る。ヒトへの経口投与の場合、プロドラッグの日量レベルは、単回投与または分割投与であってもよい。治療の期間は、当業者によって決定されてもよく、状態の規模を反映する必要がある。
【0177】
ADHD/ODDまたは高血圧を治療する方法において、本発明に包含されるプロドラッグは、他の療法と併せて、および/または他の活性薬剤と組み合わせて投与されてもよい。例えば、本発明に包含されるプロドラッグは、これらの状態の管理に使用される他の活性薬剤と組み合わせて、患者に投与されてもよい。本発明に包含されるプロドラッグと組み合わせて投与される活性薬剤は、例えば、アンフタミンまたはメチルフェニデート等の刺激薬、またはアトモキセチン等の非刺激薬から成る群から選択される薬物を含んでもよい。そのような複合療法において、本発明に含有されるプロドラッグは、他の療法および/または活性薬剤に先立して、同時に、または後次に投与されてもよい。
【0178】
本発明に包含されるプロドラッグが、別の活性薬剤と併せて投与される場合、そのような組み合わせの個々の成分は、あらゆる便宜的な経路によって、別個または複合医薬製剤で、連続的または同時のいずれかで投与されてもよい。投与が連続的である場合、本発明に包含されるプロドラッグまたは第2の活性薬剤のいずれかが最初に投与されてもよい。例えば、別の活性薬剤との複合療法の場合において、本発明に包含されるプロドラッグは、薬物併用の有益な作用を提供するであろうレジメンにおいて、連続方式で投与されてもよい。投与が同時である場合、複合剤は、同一または異なる医薬組成物のいずれかで投与されてもよい。例えば、本発明に包含されるプロドラッグ、および別の活性薬剤は、実質的に同時に、例えば、これらの薬剤を固定比率で有する単一のカプセルもしくは錠剤、または各薬剤の別個のカプセルもしくは錠剤で投与されてもよい。
【0179】
本発明に包含されるプロドラッグが、ADHD/ODDまたは高血圧を治療するための方法で、別の薬剤と組み合わせて使用される場合、各化合物の用量は、化合物が単独で使用される場合の用量とは異なり得る。適切な用量は、当業者によって容易に理解されるであろう。
【0180】
G. プロドラッグの合成
一般に、本明細書に記載されるプロドラッグを調製する方法は、式(I)のプロドラッグを形成するのに有効な条件下で、グアンファシンを活性化アミノ酸またはペプチドと反応させることを含む。本明細書に記載される方法において有用な活性化アミノ酸は、当業者に知られている標準技術によって、例えば、ジペプチドをN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)とカップリングして、NHSエステルを調製するか、アミノ酸をホスゲンと反応させてイソシアン酸塩を調製するか、またはNHSエステルとして活性化することができるジカルボン酸でアミノ酸を延長することによって、調製することができる。方法は、グアンファシンプロドラッグを提供し、ここでグアンファシンは、アミド結合を通してジペプチドに結合されるか、カルバメート結合を通してジペプチドに結合されるか、尿素結合を通してアミノ酸に結合されるか、またはアミド結合を形成するジカルボン酸リンカーを通してアミノ酸に結合される。
【0181】
説明の目的で、本明細書に記載されるプロドラッグを調製する方法は、
(a)活性化アミノ酸および以下の式
LG−L1−Ra−PG
を有するペプチドを、以下の式
【化8】

【化9】

【0182】
調製に有用な残基は、NHSまたはp−ニトロフェニルオキシ、および当業者に知られている他の残基を含む。
【0183】
本技術分野において認められている他の保護基を、BOCおよびt−Buの代わりに使用できることが理解されるであろう。
【0184】
好ましくは、反応は、1,2−ジメトキシエタン(DME)、酢酸エチル、メタノール、塩化メチレン、クロロホルム、N,N′−ジメチルホルムアミド(DMF)等の不活性溶媒、またはそれらの組み合わせ中で行われる。反応は、好ましくは、N−メチルモルホリン(NMM)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、トリエチルアミン等の塩基の存在下で行い、生成されるあらゆる酸を中和することができる。反応は、約0℃から最大約22℃(室温)の温度で行うことができる。
【実施例】
【0185】
好ましくは、本発明は、以下の実施例を参照してさらに説明される。しかしながら、これらの実施例は、上記の実施形態と同様に、例示的であり、いかなる方法においても本発明の有効範囲を制限するものとして見なされてはならないことに留意されたい。実施例に列挙される太字体の数字は、図1〜5に示される数字に対応する。DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、NMM(N−メチルモルホリン)、DME(1,2−ジメトキシエタン)、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)、TFA(トリフルオロ酢酸)、DSC(N,N′−ジスクシンイミジル炭酸塩)、およびDMF(N,N′−ジメチルホルムアミド)等の省略形は、実施例全体で使用される。
【0186】
実施例1.グアンファシン−グルタリル−バリンアミド(化合物1)の調製
【0187】
グアンファシン−[グルタリル−(S)−バリン]アミドトリフルオロアセタートの合成は、4つのステップで達成した。グルタリル−(S)−バリンtert−ブチルエステルは、(S)−バリンtert−ブチルエステルのグルタル酸無水物との反応を通して得た。「活性化エステル」は、N−ヒドロキシスクシンイミドとのDCCカップリングによって、グルタリル−(S)−バリンtert−ブチルエステルから調製した。次に、エステルをグアンファシンと反応させて、グアンファシン−[グルタリル−(S)−バリン]アミドtert−ブチルエステルを得た。tert−ブチル基の除去は、トリフルオロ酢酸による処理によって達成し、グアンファシン[グルタリル−(S)−バリン]アミドトリフルオロアセタートを得た。合成経路は、以下のスキーム1に示される。
スキーム1:
【化10】

【0188】
実施例2.グアンファシン−β−アラニン−バリンアミド(化合物2)の合成
【0189】
グアンファシン−β−アラニン−(S)−バリンアミドジトリフルオロアセタートの合成は、6つのステップで達成した。N−Boc−(S)−バリンをDCCおよびN−ヒドロキシスクシンイミドで処理して、第1の「活性化エステル」を生じ、次にβ−アラニンベンジルエステルと結合させた。後次の脱ベンジル化からN−Boc(S)−バリン−β−アラニンを得て、次にN−ヒドロキシスクシンイミドとのDCCカップリングによって、これを第2の「活性化エステル」に変換した。この活性化エステルをグアンファシンと結合させて、N−Boc−(S)−バリン−β−アラニン−グアンファシンを得た。Boc保護基の除去は、トリフルオロ酢酸で処理することによって達成し、グアンファシン−β−アラニン−(S)−バリンアミドジトリフルオロアセタートを得た。合成経路は、以下のスキーム2に示される。
スキーム2:
【化11】

【0190】
実施例3.グアンファシン−γ−グルタミル−(R)−バリンアミド(化合物5)の調製
【0191】
グアンファシン−γ−(S)−グルタミン酸−(R)−バリンアミドジトリフルオロアセタートの合成は、6つの反応ステップを伴う手順によって達成した。N−Boc−(R)−バリンを、最初にDCCおよびN−ヒドロキシスクシンイミドで処理して、第1の「活性化エステル」を得た。次にこの「活性化エステル」を、H−Glu(OBn)−OtBuと結合させ、後次の脱ベンジル化からN−Boc−(R)−バリン−(S)−グルタミン酸tert−ブチルエステルを得た。
【0192】
N−ヒドロキシスクシンイミドとのDCCカップリングによって、これを第2の「活性化エステル」に変換し、エステルをグアンファシンと反応させて、N−Boc−(R)−バリン−(S)−グルタミン酸(グアンファシン)tert−ブチルエステルを得た。tert−ブチルエステルおよびBoc基の除去は、トリフルオロ酢酸を使用して良好に達成し、グアンファシン−γ−(S)−グルタミン酸−(R)−バリンアミドジトリフルオロアセタートを得た。合成経路は、スキーム3に示される。
スキーム3:
【化12】

【0193】
実施例4.(S)−セリン(グアンファシン)−サルコシンカルバメート(化合物61)の調製
【0194】
(S)−セリン(グアンファシン)−サルコシンカルバメートトリフルオロアセタートの合成は、6つの個別のステップで達成した。最初に、O−ベンジル−(S)−セリンは、イソブチレンによる処理によって選択的に保護され、(S)−セリン(Bn)tert−ブチルエステルを得た。次に保護セリンをN−Boc−サルコシンN−ヒドロキシスクシンイミドエステルに結合させて、N−Boc−サルコシン−(S)−セリン(Bn)tert−ブチルエステルを得た。セリンのベンジルエステルは、パラジウム触媒水素化によって、続いてN,N′−ジスクシンイミジル炭酸塩(DSC)による活性化によって脱保護し、「活性化炭酸塩」を得た。「活性化炭酸塩」をグアンファシンと結合させて、N−Boc−サルコシン−(S)−セリン(CO.グアンファシン)tert−ブチルエステルを得た。トリフルオロ酢酸を使用して、Bocおよびtert−ブチル基の除去を達成し、(S)−セリン(グアンファシン)−サルコシンカルバメートジトリフルオロアセタートを白色固体として得た。合成経路は、以下のスキーム4に示される。
スキーム4:
【化13】

【0195】
実施例5.サルコシン−(2S,3R)−トレオニン(グアンファシン)カルバメート(化合物63)の調製
【0196】
サルコシン−(2S,3R)−トレオニン(グアンファシン)カルバメートジトリフルオロアセタートの合成は、6つの個別のステップで達成した。最初に、H−(2S,3R)−トレオニン(Bn)−OHを、イソブチレンによる処理によって選択的に保護し、(2S,3R)−トレオニン(Bn)−tert−ブチルエステルを得た。保護トレオニンをN−Boc−サルコシンN−ヒドロキシスクシンイミドエステルに結合させて、N−Boc−サルコシン−(2S,3R)−トレオニン(Bn)tert−ブチルエステルを得た。トレオニンのベンジルエステルを、パラジウム触媒水素化によって、続いてN,N′−ジスクシンイミジル炭酸塩(DSC)による活性化によって脱保護し、「活性化炭酸塩」を得た。「活性化炭酸塩」をグアンファシンに結合させて、N−Boc−サルコシン−(2S,3R)−トレオニン(CO.グアンファシン)tert−ブチルエステルを得た。トリフルオロ酢酸を使用して、Bocおよびtert−ブチル基の除去を達成し、サルコシン−(2S,3R)−トレオニン(グアンファシン)カルバメートジトリフルオロアセタートを白色固体として得た。合成経路は、以下のスキーム5に示される。
スキーム5:
【化14】

【0197】
実施例6.胃腸(GI)管内で見られる条件下でのグアンファシンプロドラッグの安定性
【0198】
胃および腸におけるグアンファシンプロドラッグの高い安定性は、腸平滑筋に対する活性部分の局所的α−2アドレナリン受容体作動薬の作用を回避するために重要である。腸内のこれらの受容体に対する直接作用は、グアンファシンの使用に随伴する便秘に部分的に関与し得る。プロドラッグが早期に加水分解される場合、胃腸管は、腸管運動性の低下をもたらし得る親活性薬物の作用に暴露される。グアンファシンプロドラッグの早期加水分解は、そこから活性薬物が連続的に生成され得るプロドラッグを全身送達する機会もなくす。
【0199】
方法論
【0200】
種々のグアンファシンプロドラッグの加水分解の割合および程度は、胃腸管内で見られる条件下で調査した。
【0201】
種々のグアンファシンアミノ酸プロドラッグは、37℃で、疑似胃液および疑似腸液(USP定義した組成物)中でそれぞれ1時間、および2時間インキュベートした。次に、プロドラッグの残りの濃度をHPLCにより分析した。
【0202】












【0203】
多くの化合物は、いずれかの培地において40%より多く分解し、表9に示されない。これらは、αカルボン酸を通して共役されたグアンファシンのタンパク新生ジペプチドプロドラッグを含み、val−val共役は、いくらかの制限された安定性を示したが、これらは、消化管内に既存の条件下で、一般に非常に不安定であった。αカルボン酸を通して共役されたグアンファシンのN−アセチル化アミノ酸プロドラッグも、不良な安定性を示した。βアラニンおよびγグルタミン酸等の非αカルボン酸官能基を通してグアンファシンに共役されるジペプチドプロドラッグは、より安定していた。カルバメート架橋共役は、概して、非常に安定していたが、最高の安定性は、尿素架橋共役および環化アミノ酸誘導体で認められた。ジカルボン酸架橋アミノ酸プロドラッグおよび直接アミド複合体は、中間の安定性を示した。
【0204】
実施例7.新しく採取したブタ腸液に存在する酵素に対するグアンファシンプロドラッグの安定性
【0205】
腸管腔内のペプチダーゼの多くは、前述のUSP疑似腸液製剤中に存在しない場合がある。したがって、種々のグアンファシンプロドラッグの加水分解の割合および程度は、ブタ腸液においてさらに調査した。評価されるプロドラッグは、適切な薬物動態に基づいて選択した(実施例8を参照)。
【0206】
方法論
【0207】
種々のグアンファシンアミノ酸プロドラッグは、pH6.8に調整した、新しく採取したブタ腸液中、37℃で3時間インキュベートした。次に、プロドラッグおよび形成されたグアンファシンの残留濃度をHPLCによって分析した。
【0208】

【0209】
疑似腸液中で安定性を示した一部の化合物は、ブタ腸液中、特に3、17、および26において極めて不安定であった。化合物2および61は、中間の安定性を示したが、化合物1、11、41、52、および63は、この培地中で高い安定性を示した。
【0210】
実施例8.サルにおける選択グアンファシンプロドラッグの比較薬物動態スクリーニング試験
【0211】
疑似胃液および腸液中で60%を超える安定性を有するグアンファシンプロドラッグを、カニクイザルにおける活性体への変換について評価した。サルは、35%の親薬物を付与した後、グアンファシンの絶対経口バイオアベイラビリティを示した。これは、ヒトにおけるグアンファシンのバイオアベイラビリティ(80%超)よりも低いが、試験した他の種よりも高く、したがって、サルは、プロドラッグの薬物動態プロファイルを評価するための最適モデルであると見なされた。
【0212】
試験物質、例えば、グアンファシン(0.5mg/kg遊離塩基)および種々のグアンファシンプロドラッグを、親薬物の用量に対して糖モル用量で、多方向クロスオーバーデザインを使用して、2匹のサルの群に強制経口投与した。

【0213】
血液試料は、投与後最大6時間までの種々の時間に、4回の試料採取時に採取し、正規のLC−MS−MS分析を使用する、親薬物およびプロドラッグの分析に提出した。グアンファシンの相対Cmaxは、グアンファシン投与した動物と比較することによって計算した。結果は、以下の表12に示される。
【0214】




【0215】
30%を超える相対Cmaxは、プロドラッグが、経口投与後の活性薬物の循環レベルの個人間変動が高くなりにくいため、好ましい属性であると考えられる。
【0216】
高い相対グアンファシンCmaxおよび血漿中のプロドラッグの完全不在は、プロドラッグが、吸収に先行して、腸管腔内でグアンファシンに変換されたことを示唆した。これは、化合物17等のプロドラッグの場合であった。
【0217】
低い相対グアンファシンCmaxおよび高いプロドラッグ濃度は、プロドラッグの安定性および吸収は適正であるが、活性体への後次変換が不良であることを示唆した。これは、化合物9および37等のプロドラッグの場合であった。
【0218】
中〜高相対グアンファシンCmaxおよび血漿中の検出可能なプロドラッグ濃度は、プロドラッグが、正常に吸収され、次に、化合物2、11、41、61、および63によって例示されるように、グアンファシンに効率的に変換され得る。
【0219】
実施例9.グアンファシン自体または種々のグアンファシンプロドラッグ複合体のいずれかを付与したサルにおけるグアンファシンの比較バイオアベイラビリティ研究
【0220】
選択したグアンファシン複合体の薬物動態を完全に特徴付けるために、試験物質、例えば、グアンファシン(0.5mg/kg)および種々のグアンファシンプロドラッグ複合体を、多方向クロスオーバーデザインを使用して、5匹のカニクイザルの群に対して、等モル用量で強制経口投与した。試験動物の特徴は、表13に記載される。

【0221】
血液試料は、投与後の様々な時点で採取し、正規のLC−MS−MS分析を使用して、親薬物およびプロドラッグの分析に提供した。血漿分析データに由来する以下の薬物動態パラメータは、Win Nonlinを使用して決定した。
Cmax 最大測定濃度
Tmax 最大濃度が出現した時間
T50%>Cmax 血漿グアンファシン濃度がCmaxの50%以上を維持する期間
Frel% グアンファシンの相対経口バイオアベイラビリティ
【0222】
結果は、以下の表14および図1〜5に示される。
表14.グアンファシンまたはプロドラッグをカニクイザルに投与した後のグアンファシン薬物動態パラメータ

ND:プロドラッグは検出されなかった
NM:測定されなかった
【0223】
同一条件下でグアンファシンの薬物動態を調査する研究において、50%Cmaxを超えるTmaxは、平均して4.9時間であった。
【0224】
化合物2、61、および63の投与は、比較的速くTmaxに到達した親薬物後に見られるものと同様の血漿グアンファシンプロファイル、および親薬物後に見られるものの75%より大きい対応する平均Cmaxをもたらした。同様に、親薬物を付与した後に見られるものに対して、60%を超える高平均バイオアベイラビリティは、化合物2、61、63、および41に対して認められた。化合物3を除くすべての化合物に対して、プロドラッグは、血漿中で検出され、プロドラッグの吸収を示した。
【0225】
化合物1および5の投与は、結果的に低いCmax値を有するグアンファシンに対して、持続性T50%未満のCmax値によって示されるように、持続的なグアンファシン濃度をもたらした。Cmax値の低いそのような薬物動態プロファイルは、望ましくないCNSおよび心血管作用の可能性を潜在的に最小限にする。
【0226】
化合物3の投与は、グアンファシン自体を付与した後に見られるものに類似する、血漿濃度時間プロファイルおよび暴露をもたらした。平均相対バイオアベイラビリティは、約75%であったが、血漿中のプロドラッグの欠失は、グアンファシンへの変換が、吸収に先行して胃腸管腔内で発生し得ることを示した。
【0227】
異なる類のグアンファシンプロドラッグのこれらの代表例は、選択したアミノ酸複合体のみが、実質量のグアンファシンを体循環に送達でき、依然として、ほとんどが経口グアンファシンの投与と比較して、持続レベルの活性薬物を送達できないことを示す。
【0228】
実施例10.絶食または給餌状態で、グアンファシン自体または種々のグアンファシンプロドラッグ複合体のいずれかを付与したサルにおけるグアンファシンの比較バイオアベイラビリティ研究
【0229】
グアンファシンINTUNIV(商標)の制御放出形態は、食物相互作用の影響を受けると考えられる。INTUNIV(商標)を高脂肪食とともに投与することは、Cmaxの75%上昇およびAUCの40%増加を示した(FDAラベル)。より適切な食事条件下で薬物を摂取することが望ましい場合があるが、これは常に可能であるとは限らない。したがって、食事状態の変動は、薬物暴露の割合および程度のいくらかの変動をもたらし得る。したがって、グアンファシンプロドラッグは、理想的に、絶食および給餌状態で同様のグアンファシン濃度を送達するために、そのような食物相互作用を欠いている必要がある。
【0230】
方法論
【0231】
5匹の雄カニクイザルを使用した。絶食群の動物には、投与前日の夜から投与後約4時間まで食物を与えなかった。化合物の媒体は、潅注用の滅菌水(グアンファシンおよび化合物2)または0.5%カルボキシメチルセルロース(化合物1)であった。
【0232】
製剤は、投与する日に調製し、実行可能になるとすぐ、製剤後最大2時間まで経口投与した。0.5mg/kgグアンファシン遊離塩基相当物を動物に投与した。
【0233】
血液試料(0.5mL)は、投与前および投与から0.5、1、2、3、4、6、8、10、12、16、および24時間後にすべての動物から採取した。
【0234】
処理に続いて、得られる血漿を冷凍し、正規の方法で分析した。薬物動態評価は、有効な薬物動態ソフトウェアパッケージを使用して行った。
【0235】
プロドラッグの経口投与に続いて、食物は、プロドラッグの吸収率および程度、ならびにグアンファシンの形成の程度に影響しなかった。

【0236】
グアンファシンの食物作用の明らかな不在は、商業的な持続放出製剤の代わりに製剤化されていないグアンファシンとしてそれを投与した結果である。
【0237】
実施例11.グアンファシンまたはプロドラッグの経口投与後のラットの肝臓門脈および尾静脈中のグアンファシンおよびプロドラッグの薬物動態
【0238】
消化管におけるα2アドレナリン受容体に対する活性化合物のあらゆる局所的作用を最小限にする場合、正常なプロドラッグの吸収、および吸収後のプロドラッグのグアンファシンへの変換が重要である。経口投与後の肝臓門脈からの血液の採取は、肝臓における初回通過代謝に先行して、吸収されたプロドラッグおよび活性薬物濃度の分析を可能にする。全身濃度は、尾静脈からの血液試料採取によって測定することができる。
【0239】
方法論
【0240】
ラットは、イソフルラン麻酔下で、シリコンカテーテルを門脈に取り付けた後、取り付けられた血液採取口を有する襟首部分でそれを露出させることによって、外科的に調製した。
【0241】
グアンファシンまたはプロドラッグの経口投与は、単一ボーラス用量として、投与用量10mL/kgで強制投与した。
【0242】
各試料採取時に、連続点血液試料(約0.2mL)を、外側尾静脈カニューレおよび肝門脈カニューレから同時に採取した。最後の血液試料を採取した後、各動物を頸椎脱臼によって絶命させた。投与後15、30分、および1、2、4、8、および24時間に、血液試料を採取した。
【0243】
門脈および全身血漿における薬物動態パラメータは、WinNonlin(バージョン4.1)ソフトウェアを使用して、非コンパートメント解析(線状/対数台形)によって得られた。
【0244】
結果
表16.グアンファシン複合体;1mg/kgグアンファシン遊離塩基等価物をラットに経口投与した後の肝門脈および尾静脈における薬物動態パラメータ

*0.5mg/kg
【0245】
体循環中の濃度に対して、肝門脈循環中のプロドラッグの実質的な存在は、腸全体での吸収前のプロドラッグの吸収を示し、腸管腔内の適正な安定性を確認した。これは、吸収前のプロドラッグの広範な分解の欠如、および腸管腔における直接薬理作用を引き出す能力の減少を示唆する。
【0246】
実施例12.α−2Aアドレナリン受容体結合に対するグアンファシンおよび選択したプロドラッグの作用のインビトロ評価
【0247】
グアンファシンの標的受容体は、中枢神経系におけるヒトα−2Aアドレナリン受容体サブタイプである。この受容体の活性は、その意図される治療効果に関与する。しかしながら、腸管に存在するα−2Aアドレナリン受容体の局所活性化が、グアンファシンに随伴する胃腸副作用(便秘)に寄与する可能性がある。プロドラッグの受容体結合を調査して、プロドラッグ分子が広く不活性化されたことを確認した。
【0248】
方法
【0249】
本研究において用いられる結合分析の方法論は、Langinらによって記載されるものに準じ(Eur.J.Pharmacol.167:95−104,1989)、α−2アドレナリン受容体を発現するヒト組換えCHO細胞を使用した。競合結合リガンドは、α−2A亜型に対して高い親和性を有する、[3H]RX821002(1nM)であった。
【0250】
結果
【0251】

【0252】
実施例13.ラットの腸管運動性に対するグアンファシンおよびそのプロドラッグのインビボ作用
【0253】
腸管運動性に対する薬物の作用は、炭末推進試験によって研究することができる。モルヒネおよびグアンファシン等の便秘をもたらすことが知られている薬物は、ラットにおいて、炭末の輸送を著しく遅延させる。腸管運動性に対する非プロドラッグ形態のグアンファシンおよびそのプロドラッグの作用は、試験前に一晩絶食させた10匹のラットの群で評価した。
【0254】
使用される方法は、Takemoriらによって記載されるものに基づいた(J.Pharmacol.Exp.Ther.169:39,1969)。試験処理は、2.5%アラビアゴム(2mL/kg)中の10%炭懸濁液の経口投与の60分前に経口投与した。炭の投与から20分後、ラットを犠牲死させ、胃腸管全体を迅速かつ慎重に除去した。炭末が盲腸に向かって移動した距離を測定し、胃腸管全長のパーセンテージとして表した。結果は、表18に記載される。
【0255】
0.1mg塩基/kgで経口投与される非プロドラッグ形態のグアンファシンは、腸管運動性に対して著しい作用を有し、(媒体で治療された)対照群のそれと比較して、20分以内に炭プラグによって移動した距離が41〜52%減少した。すべてのプロドラッグは、ラットの消化管移動の阻害において、グアンファシンよりも著しく作用が弱かった。特に、グアンファシンと同程度に消化管移動を阻害するのに必要な化合物2、61、および63の用量は、極性等価物として表されるものの10倍以上であった。化合物61および63の経口投与後のラットにおけるグアンファシンへの比較全身暴露は、等モル用量のグアンファシン投与後のそれに類似した。化合物2の場合、全身グアンファシン暴露は、グアンファシン投与と比較して、ca40%であった。

【0256】
いかなる理論によっても拘束されることなく、プロドラッグによる腸管運動性に対する作用の欠如は、α−2アドレナリン受容体と局所的に相互作用する、腸管内腔内の活性薬物(グアンファシン)が減少するか、または最小限に利用可能であることに部分的に起因する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のグアンファシンプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体。
【化1】


【請求項2】

【請求項3】

1は−L−Rであり、P2は存在しない、請求項1または2に記載のグアンファシンプロドラッグ。
【請求項4】

【請求項5】

【請求項6】

【請求項7】

【請求項8】

【請求項9】

【請求項10】
2およびR3は、各事例でそれぞれ独立して、H、−OH、C1-3アルキル、および−C(=O)R6から成る群から選択されるか、またはR2およびR3は、それらが結合する原子と一緒に、カルボニル基を形成する、前記請求項のいずれかに記載のグアンファシンプロドラッグ。
【請求項11】
nは、各事例で独立して、値0、1、2、3、または4から選択される、前記請求項のいずれかに記載のグアンファシンプロドラッグ。
【請求項12】
Rは、2〜20個の炭素原子を含有するアミノ酸残基である、前記請求項のいずれかに記載のグアンファシンプロドラッグ。
【請求項13】
Rは、バリン、N−C1-6アルキル化バリン、N,N−C1-6ジアルキル化バリン、N−メチルバリン、N,N−ジメチルバリン、アラニン、N−C1-6アルキル化アラニン、N,N−C1-6ジアルキル化アラニン、N−メチルアラニン、N,N−ジメチルアラニン、ロイシン、N−C1-6アルキル化ロイシン、N,N−C1-6ジアルキル化ロイシン、N−メチルロイシン、N,N−ジメチルロイシン、イソロイシン、N−C1-6アルキル化イソロイシン、N,N−C1-6ジアルキル化イソロイシン、N−メチルイソロイシン、N,N−ジメチルイソロイシン、グリシン、N−C1-6アルキル化グリシン、N,N−C1-6ジアルキル化グリシン、N−メチルグリシン、N−メチルシクロプロピルグリシン、N,N−ジメチルグリシン、およびN,N−ジメチルシクロプロピルグリシンから成る群から選択される、請求項12に記載のグアンファシンプロドラッグ。
【請求項14】

【請求項15】
グアンファシン−[グルタリル−(S)−バリン]アミド
【化2】

グアンファシン−[β−アラニン−(S)−バリン]アミド
【化3】


グアンファシン−[γ−(S)−グルタミン酸(R)−バリン]アミド
【化4】


(S)−セリン(グアンファシン)−サルコシンカルバメート
【化5】


サルコシン−(2S,3R)−トレオニン(グアンファ シン)カルバメート
【化6】


から選択される、グアンファシンプロドラッグ。
【請求項16】
経口的に摂取されると、前記プロドラッグは、胃腸環境における腸管運動性に対して、非プロドラッググアンファシン塩形態よりも統計的に有意に低い平均効果を誘発する、請求項1〜15のいずれかに記載のグアンファシンプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
薬物として使用するための、請求項1〜15のいずれかに記載のグアンファシンプロドラッグ。
【請求項18】
注意欠陥多動性障害(ADHD)、反抗挑戦性障害(ODD)、高血圧等の心血管状態、神経障害痛、統合失調症と関連付けられる認知障害(CIAS)、不安症(PTSD、OCD、自傷行為を含む)、中毒の離脱症状、自閉症、化学療法誘発性粘膜症、心的外傷後ストレス症候群、および顔面紅潮を罹患する患者を特徴とする疾患から成る群から選択される状態を治療するための薬物の調製における、請求項1〜15のいずれか1項に記載のグアンファシンプロドラッグの使用。
【請求項19】
前記状態は、注意欠陥多動性障害(ADHD)である、請求項18に記載のグアンファシンプロドラッグの使用。
【請求項20】
注意欠陥多動性障害(ADHD)、反抗挑戦性障害(ODD)、高血圧等の心血管状態、神経障害痛、統合失調症と関連付けられる認知障害(CIAS)、不安症(PTSD、OCD、自傷行為を含む)、中毒の離脱症状、自閉症、化学療法誘発性粘膜症、心的外傷後ストレス症候群、および顔面紅潮を罹患する患者を特徴とする疾患を含む群から選択される状態の治療において使用するための、請求項1〜15のいずれか1項に記載のグアンファシンプロドラッグ。
【請求項21】
注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療に使用するための、請求項20に記載のグアンファシンプロドラッグ。
【請求項22】
哺乳動物のグアンファシン治療に随伴する胃腸副作用を軽減する方法であって、
(a)請求項1〜15のいずれかに記載のグアンファシンプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を形成することと、
(b)前記プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする哺乳動物に投与することと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記胃腸副作用は、便秘を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜15のいずれかに記載のグアンファシンプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の注意欠陥多動性障害を治療する方法。
【請求項25】
請求項1〜15のいずれかに記載のグアンファシンプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の高血圧を治療する方法。
【請求項26】
経口的に摂取されると、前記プロドラッグは、胃腸環境における腸管運動性に対して、非プロドラッググアンファシン塩形態よりも統計的に有意に低い平均効果を誘発する、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩は、経口投与される、請求項22〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩は、遊離塩基形態のグアンファシンの量に基づいて、約1〜約10mgの量で投与される、請求項22〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩のKiは、α−2Aアドレナリン受容体への競合結合において、グアンファシンのKiよりも少なくとも10倍大きい、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−504614(P2013−504614A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529343(P2012−529343)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051544
【国際公開番号】WO2011/033296
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(507055017)シャイア エルエルシー (29)
【Fターム(参考)】