説明

グラウンド・ゴルフ用クラブおよび製造方法

【課題】シャフトの強度を維持しつつ、アドレス時にボールが見易いグラウンド・ゴルフ用のクラブを提供する。
【解決手段】本グラウンド・ゴルフ用クラブはシャフト1とヘッド2とを備える。シャフト1は、グリップ10を含む第1シャフト部11と、ヘッド2の上面から上方に突出した第2シャフト部12と、ヘッド2に埋設された第3シャフト部13とが一体に形成されており、第1曲げ部31を有する。ヘッド2の上面において、第3シャフト部13が嵌め込まれた嵌入孔23の上端の開口23aは第1シャフト部11の第1軸線L1を延長したラインよりもヒール22寄りに設けられている。シャフト11は、3枚以上の薄板41が重ね合わせられ、かつ、第1曲げ部31において曲成して形成された積層材を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウンド・ゴルフ用クラブおよび製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラウンド・ゴルフは、その競技者が高齢であること、ボールが大きい(直径60mm)こと、シャフトが太く(直径20mm〜25mm)、ヘッド中心上に概ねシャフト差込位置があることから、アドレス時にボールとヘッド中心を合わせることが困難である。
これを解決するために、ヘッドのヒール寄りにシャフトを取り付けることが考えられる。
【0003】
下記の特許文献1〜7には、シャフトを屈曲させてヘッドのヒール寄りに取り付けたクラブないしパターが開示されている。
【特許文献1】特開2002-282400
【特許文献2】特開2001-87425
【特許文献3】特開平10-314351
【特許文献4】特許第3061577
【特許文献5】実開平6-83053
【特許文献6】実登第3090863
【特許文献7】実開昭62-45057
【0004】
しかし、前記各特許文献はグラウンド・ゴルフ用のクラブに関するものではない。特に、グラウンド・ゴルフでは、シャフトの主素材が木製であり、木をそのまま曲がったシャフト形状に削ると木目の関係で打撃により破壊しやすくなるという問題があった。
【0005】
また、シャフトをヒール寄りに取り付けた場合、中心に取り付けた場合よりもモーメントアームが大きくなるので、シャフトが取付孔内で回転し易くなり、シャフトのヘッドへの取付強度が問題となる。特に、グラウンド・ゴルフでは、シャフト、ヘッドおよびボールがゴルフより大きく、かつ、重く、打撃時の衝撃がゴルフに比べて極めて大きいので、かかる取付強度の問題はゴルフよりもはるかに重視される。
【発明の開示】
【0006】
したがって、本発明の目的の1つは、シャフトの強度を維持しつつ、アドレス時にボールが見易いグラウンド・ゴルフ用のクラブを提供することである。
本発明の別の目的は、シャフトのヘッドへの取付強度を向上させて耐久性を向上させることである。
【0007】
本発明のある態様のグラウンド・ゴルフ用クラブは、ヘッドと該ヘッドが取り付けられたシャフトを備え、該シャフトの主素材が木製のグラウンド・ゴルフ用クラブであって、前記シャフトは、グリップを含む第1シャフト部と、該第1シャフト部よりも下方において前記ヘッドの上面から上方に突出した第2シャフト部と、前記ヘッドに埋設された第3シャフト部とが一体に形成されており、前記第1および第2シャフト部の間、あるいは、前記第2シャフト部において曲げられた第1曲げ部を有し、前記ヘッドには前記第3シャフト部が嵌め込まれた嵌入孔が設けられており、前記第1シャフト部の第1軸線を延長したラインは前記ヘッドを通るように設けられており、前記ヘッドの上面において、前記嵌入孔の上端の開口は前記ラインよりもヒール寄りに設けられており、前記シャフトは、少なくとも3枚の薄板が重ね合わせられ、かつ、前記第1曲げ部において曲成して形成された積層材を含み、前記第1曲げ部において、前記薄板同士の複数の接着面が、ヘッドのフェース面に概ね垂直で、かつ、前記第1曲げ部の第1曲線に沿って曲成されて設けられている。
【0008】
この態様によれば、シャフトがヘッドの上方の第1曲げ部で折り曲げられてヘッドのヒール寄りに取り付けられているので、アドレス時に視線にシャフトがかからず(ボール中心への視線がシャフトで遮られることなく)、ボールを見やすくなる。
また、シャフトの第1曲げ部において、積層材の接着面が第1曲線に沿って曲成されて設けられているので、どの横断面で切っても同一の積層状態で強度のあるシャフトを得ることができる。すなわち、シャフトの曲がった軸に沿って繊維が延びており、該繊維が切断されていない。したがって、耐久性が向上する。
【0009】
なお、本発明において、「ヘッドの上面において、嵌入孔の上端の開口は前記ラインよりもヒール寄りに設けられている」とは、嵌入孔の開口の中心が前記ラインよりもヒール寄りに位置することをいう。
【0010】
本発明の他のある態様のグラウンド・ゴルフ用クラブは、ヘッドと該ヘッドが取り付けられたシャフトを備えたグラウンド・ゴルフ用クラブであって、前記シャフトは、グリップを含む第1シャフト部と、該第1シャフト部よりも下方において前記ヘッドの上面から上方に突出した第2シャフト部と、前記ヘッドに埋設された第3シャフト部とが一体に形成されており、前記第1および第2シャフト部の間、あるいは、前記第2シャフト部において曲げられた第1曲げ部と、前記第3シャフト部の上端部またはその近傍において前記第1曲げ部とは逆の方向に曲げられた第2曲げ部とを有し、前記ヘッドには前記第3シャフト部が嵌め込まれた嵌入孔が設けられており、前記第1シャフト部の第1軸線を延長したラインは前記ヘッドを通るように設けられており、前記ヘッドの上面において、前記嵌入孔の上端の開口は前記ラインよりもヒール寄りに設けられており、前記第3シャフト部の下端が上端よりもトウ寄りに設けられている。
【0011】
この態様によれば、シャフトがヘッドのヒール寄りに取り付けられているので、アドレス時にボールを見やすくなる上、シャフトを第1および第2曲げ部の2箇所で曲げることで、シャフト取付け位置をよりヒール側にもってくることができ、設計の自由度が向上する。
【0012】
特に、本態様のシャフトは、ヘッドの上端付近の第2曲げ部において第1曲げ部とは反対の方向に、すなわち、第2曲げ部がヒールに向かって凸となるように曲げられて、第3シャフトの下端が上端よりトウ寄りに設けられているので、ヘッドにボールが衝突した際の衝撃でヘッドが鉛直軸線周りに回転しようとする力が生じてもシャフトが嵌入孔内で回転し難くなり、シャフトとヘッドとの接着剥離が抑制される。したがって、シャフトのヘッドへの取付強度が向上し、耐久性が向上する。
更に、打撃時の振動の伝搬が第1および第2曲げ部で妨げられて減衰するので、ミスショット時にグリップに伝わる振動を減少させることができる。
【0013】
シャフトの回転抑制の観点から、前記第2曲げ部の少なくとも一部がヘッドに埋設されているのが好ましい。
かかる第2曲げ部の埋設は、シャフトの抜けの抑制にも役立つと考えられる。
【0014】
本発明においては、前記第1シャフト部の横断面をヘッドに投影した領域がヘッドの重心を含むのが好ましい。
このようにすれば、ヘッドのスイートスポットで打球を打ち易くなり、ヘッドに不用意な回転力がかかり難くなる。
【0015】
また、本発明においては、前記シャフトは切削加工されていることで横断面が概ね円形に形成されていてもよい。ここで、「概ね円形」とは、真円の他、全体が楕円の場合や、一部が楕円で形成されている場合も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1実施例:
以下、本発明の第1実施例を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施例のグラウンド・ゴルフ用クラブは、ヘッド2と該ヘッド2が取り付けられたシャフト1を備えている。シャフト1、ヘッド2は、いずれも主素材が木製である。
【0017】
前記シャフト1は、グリップ10を含む第1シャフト部11と、該第1シャフト部11よりも下方において前記ヘッド2の上面24から上方に突出した第2シャフト部12と、前記ヘッド2に埋設された第3シャフト部13とが一体に形成されている。前記ヘッド2には前記第3シャフト部13を嵌め込むための嵌入孔23が設けられている。該嵌入孔23に第3シャフト部13を嵌め込み、接着剤でヘッド2と接着した上、ビス5で締めることで、シャフト1がヘッド2に固定されている。グリップ10は、人工皮革やラバー等で被覆されていてもよい。
【0018】
図2Aに示すように、第1〜第3シャフト部11,12,13は、いずれも、概ね直線状に形成されており、鉛直線に対してヒール22側に傾いて設けられている。前記第1シャフト部11の第1軸線L1はヘッド2を通るように設けられている。また、第1シャフト11の横断面をヘッド2に投影した領域(図2Aの二点鎖線で囲まれた領域)がヘッドの重心Gを含んでいる。
【0019】
シャフト1は、前記第1および第2シャフト部11,12の間の第1曲げ部31において、第2シャフト部12の第2軸線L2の水平面に対する傾きが第1シャフト部11の第1軸線L1のそれよりも大きくなるように、折れ曲がっている。これにより、ヘッド2の上面24において、第2シャフト部12の下端、すなわち、嵌入孔23の上端の開口23aが第1軸線L1の延長よりもヒール22寄りに位置している。第1曲げ部31は、曲げに沿った第1曲線C1を有し、前記第1および第2軸線L1,L2を連ねている。
【0020】
かかる第1曲げ部31の折れ曲がりにより、アドレス時にボール中心への視線がシャフトにより遮られず、視認性が向上する。十分な視認性を確保するために、第1および第2軸線L1,L2がなす第1折れ曲がり角度θ1は5°以上に設定するのが好ましく、10°以上に設定するのが更に好ましい。一方、シャフト1は主素材が木製であるから、曲げすぎると破壊し易くなるので、十分な強度を維持するために、前記第1折れ曲がり角度θ1は30°以下に設定するのが好ましく、25°以下に設定するのが更に好ましい。
【0021】
なお、アドレス時にボール全体がシャフトにかからないようにするため、ヘッド中心からヒール側にボールの外径の1/2以内にシャフトがついていないようにするのが好ましい。すなわち、ヘッド上面24において、ヘッド中心Gからシャフトのトウ21側の端までの距離D(図2C)をボールの外径(60mm)の1/2(30mm)以上に設定するのが好ましい。
【0022】
また、シャフト1は、前記第2および第3シャフト部12,13の間の第2曲げ部32において、前記第1曲げ部31とは反対の方向に、すなわち、ヒール22側に向かって凸となるように折れ曲がっている。これにより、第3シャフト部13の第2軸線L3の水平面に対する傾きが第2シャフト部12の第1軸線L2のそれよりも大きくなっており、第3シャフト部13の下端が上端よりもトウ21寄りに位置している。この第2曲げ部32は前記嵌入孔23の上端の開口23aに位置している。第2曲げ部32は、曲げに沿った第2曲線C2を有し、前記第2および第3軸線L2,L3を連ねている。
【0023】
かかる第3シャフト部13の構成により、シャフト1が嵌入孔23内で回転しようとする力が生じ難く、シャフト1とヘッド2との接着剥離が抑制される。十分な回転防止の効果を得るために、第2および第3軸線L2,L3がなす第2折れ曲がり角度θ2は5°以上に設定するのが好ましく、10°以上に設定するのが更に好ましい。一方、シャフト1およびヘッド2の十分な強度を維持するために、前記第2折れ曲がり角度θ2は30°以下に設定するのが好ましく、25°以下に設定するのが更に好ましい。
【0024】
なお、第2曲げ部32の下部は、ヘッド2の上端部において、ヘッド2に埋設されている。かかる埋設は、回転防止の効果を更に向上させると共に、一部のみ埋設されるので加工が容易である。
【0025】
第2折れ曲がり角度θ2が第1折れ曲がり角度θ1よりも大き過ぎると第2曲げ部32の強度が低下し、第2折れ曲がり角度θ2が第1折れ曲がり角度θ1よりも小さ過ぎると回転防止の効果が不十分となるので、両角θ1,θ2は近似した範囲に設定するのが好ましく、両角θ1,θ2の差は約10°以内であるのが好ましく、約5°以内であるのが更に好ましい。かかる観点から、前記第1および第2折れ曲がり角度θ1,θ2は概ね同じ角度に設定されていてもよい。すなわち、第1シャフト部11と第3シャフト部13とが概ね平行に設けられていてもよい。
【0026】
図2B、図2Cに示すように、本実施例のシャフト1は、5枚の木製の薄板41が互いに重ね合わせて接着剤で接着され、かつ、前記第1および第2曲げ部31,32において曲成して形成された積層材からなる。シャフト1は、かかる積層材を切削加工することで、横断面が概ね円形に形成されている。
【0027】
前記第1〜第3シャフト部11〜13および前記両曲げ部31,32において、前記薄板41同士の複数の接着面42が、ヘッド2のフェース面25に概ね垂直(打球方向Fに平行)に設けられている。また、該複数の接着面42は、前記第1および第2曲げ部31,32において、それぞれ、第1および第2曲線C1,C2に沿って曲成されている。したがって、前記接着面42は、第1軸線L1、第1曲線C1、第2軸線L2、第2曲線C2、第3軸線L3を連ねたシャフトの中心線に概ね沿って設けられている。
【0028】
このように形成することで、曲げ部31,32を含むシャフトの全体において、どの横断面で切っても図2Cのような積層状態のシャフト1を得ることができる。そのため、木を曲がったシャフト形状に削った場合よりも、曲げ部で繊維が切断されずに連続した状態となり、曲げ部における強度が著しく向上する。
【0029】
シャフト埋設の変形例:
シャフト1のクラブに対する接合(埋設)は、前述のものに限られるものではなく、図3A、図3Bのようにしてもよい。すなわち、図3Aのように、第2曲げ部32がヘッド2の上面24よりも上方に設けられて、第2曲げ部32の全体がヘッド2の上方に完全に露出していてもよい。
【0030】
また、図3Bのように、第2曲げ部32の全体がヘッドに埋設されていてもよい。このようにすれば、シャフト1が更に回転し難くなる。この場合、ヘッド2を上ヘッド部2aおよび下ヘッド部2bに分けるなどして複数の部材から構成して、第2曲げ部22の全体をヘッド2に容易に埋設できるようにしてもよい。
【0031】
また、シャフト1の第2曲げ部32は必ずしも設ける必要はなく、図3Cのように第2シャフト部12〜第3シャフト部13が概ね直線状に設けられていてもよい。
【0032】
シャフトの変形例:
シャフト1は木製の積層材のみで構成されるものに限られず、全体もしくは部分的に図4A〜Cのように積層材と樹脂層の複合体としてしてもよい。すなわち、図4Aのように木製の薄板42の積層材の間に樹脂層45を設けてもよいし、図4Bのように木製の薄板42の積層材の両端に樹脂層45,45を設けてもよい。また、図4Cのように、木製の薄板42の積層材の周囲を樹脂層45で覆うようにしてもよい。
【0033】
また、図4Dのように、埋設部分におけるシャフトの補強のための補強部材として、ヘッド2に埋設される第3シャフト部13の周囲に金属管46を取り付けてもよい。更に、該金属管46の周囲にシャフトの抜け抑制のための複数の突部47を設け、該突部47が嵌入孔23の内周面に係合するようにしてもよい。なお、前記補強部材としては、金属以外にも樹脂や複合材等を適宜使用してもよい。
【0034】
また、シャフト1は必ずしも全ての横断面が一様の形状に形成される必要はなく、図5Aのように、一部がテーパ状に形成されていてもよい。この場合、例えば、第1シャフト部11は横断面が真円で、第2シャフト部12や第3シャフト部13の横断面が長円ないし楕円に形成されていてもよい。
【0035】
また、シャフト1は、図5Bのように、第1〜第3シャフト部11〜13が滑らかな湾曲で連なるように形成されていてもよい。また、第1曲げ部31が、第1および第2シャフト部11,12の間ではなく、第2シャフト部12に設けられていてもよい。
【0036】
第2実施例:
次に、第2実施例を図6Aにしたがって説明する。なお、第2実施例において、第1実施例と同一部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
図6Aに示すように、本実施例では、シャフト1は、グリップ(図示せず)を含みヘッド2の上面24から上方に突出した突出シャフト部51と、該突出シャフト部51よりも下方において前記ヘッド2に埋設された埋設シャフト部52とが一体に形成されている。シャフト1は、埋設シャフト部52の上端またはその近傍においてヒール22に向かって凸となるように曲げられたシャフト曲げ部53を有する。本実施例のシャフト1は前記第1実施例と同様に積層材を折り曲げて構成されている。
【0038】
本実施例では、上方の突出シャフト部51はグリップからヘッド上面24のヒール22寄りの嵌入孔23の上端開口23aまで直線状に延びており、突出シャフト部51の横断面をヘッド2に投影した領域がヘッドの重心を含んでいない。シャフト1は、前記シャフト曲げ部53でのみ折り曲げられている。
【0039】
クラブの製造方法:
次に前記第1実施例のクラブの製造方法について説明する。
まず、製造されるシャフトより大きな、同一形状の薄板を5枚用意する。そして、この薄板に接着剤を塗布し、互いに重ね合わせる。これにより薄板を重ね合わせた概ねフラットな複合体が形成される。
【0040】
次に、図6Bに示すように、前記接着剤が完全に硬化する前に、前記薄板41を重ね合わせた複合体40を曲げる加工を行う。この加工は前記複合体40を金型内で熱をかけながら図6Bのように2ヵ所で曲げることで行うことができる。すなわち、前記複合体40の表面45の2ヵ所に曲面46,47が形成されるように曲げられる。
【0041】
この曲げ工程により、当該曲げられた部分(曲面46,47が形成された部分)において前記薄板41同士の複数の接着面42が前記曲面46,47に沿って概ね平行に並んだ状態になる。
【0042】
次に、前記重ねた薄板41が曲げられた状態を金型内で保持しながら、前記接着剤が硬化するのを待つ。これにより、2ヵ所で曲げられ、前記曲面46,47が形成された積層材を得る。
【0043】
次に、前記積層材の断面が概ね円形になるように切削加工して、前記曲げられた部分を前記第1および第2曲げ部31,32(図2A〜C)とするシャフト1を形成する。
そして、形成されたシャフト1を予め準備されたヘッド2の嵌入孔23に嵌め込んで接着し、ビス5を締めることで前記第1実施例(図1)のクラブが完成する。
【0044】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、積層材の薄板は3〜4枚、あるいは、6枚以上であってもよい。
また、第1〜第3シャフト部のいずれか1以上が概ね鉛直線に沿って設けられていてもよい。
また、シャフトに3以上の曲げ部が設けられていてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、グラウンド・ゴルフ用クラブに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施例に係るグラウンド・ゴルフ用クラブの側面図である。
【図2】Aは同クラブのヘッド付近の拡大側面図、Bはシャフトの縦断面図、Cは同クラブのヘッド付近の拡大平面図である。
【図3】A〜Cは、変形例を示す拡大側面図である。
【図4】A〜Cは、変形例を示すシャフトの横断面図、Dはシャフト埋設付近を示すヘッドの断面図である。
【図5】Aは変形例を示すシャフトの側面図、Bは変形例を示すクラブの概略側面図である。
【図6】Aは第2実施例に係るグラウンド・ゴルフ用クラブのヘッド付近の拡大側面図、Bはシャフトの製造工程を示す薄板の複合体の斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1:シャフト
10:グリップ
11:第1シャフト部
12:第2シャフト部
13:第3シャフト部
31:第1曲げ部
32:第2曲げ部
2:ヘッド
21:トウ
22:ヒール
23:嵌入孔
23a:開口
24:上面
25:フェース面
41:薄板
42:接着面
L1:第1軸線
C1:第1曲線
C2:第2曲線
G:ヘッドの重心
51:突出シャフト部
52:埋設シャフト部
53:シャフト曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドと該ヘッドが取り付けられたシャフトを備え、該シャフトの主素材が木製のグラウンド・ゴルフ用クラブであって、
前記シャフトは、グリップを含む第1シャフト部と、該第1シャフト部よりも下方において前記ヘッドの上面から上方に突出した第2シャフト部と、前記ヘッドに埋設された第3シャフト部とが一体に形成されており、前記第1および第2シャフト部の間、あるいは、前記第2シャフト部において曲げられた第1曲げ部を有し、
前記ヘッドには前記第3シャフト部が嵌め込まれた嵌入孔が設けられており、
前記第1シャフト部の第1軸線を延長したラインは前記ヘッドを通るように設けられており、前記ヘッドの上面において、前記嵌入孔の上端の開口は前記ラインよりもヒール寄りに設けられており、
前記シャフトは、少なくとも3枚の薄板が重ね合わせられ、かつ、前記第1曲げ部において曲成して形成された積層材を含み、
前記第1曲げ部において、前記薄板同士の複数の接着面が、ヘッドのフェース面に概ね垂直で、かつ、前記第1曲げ部の第1曲線に沿って曲成されて設けられているグラウンド・ゴルフ用クラブ。
【請求項2】
請求項1において、前記シャフトは、前記第3シャフト部の上端部またはその近傍の第2曲げ部において前記第1曲げ部とは逆の方向に曲げられており、
前記第3シャフト部の下端が上端よりもトウ寄りに設けられているグラウンド・ゴルフ用クラブ。
【請求項3】
ヘッドと該ヘッドが取り付けられたシャフトを備えたグラウンド・ゴルフ用クラブであって、
前記シャフトは、グリップを含む第1シャフト部と、該第1シャフト部よりも下方において前記ヘッドの上面から上方に突出した第2シャフト部と、前記ヘッドに埋設された第3シャフト部とが一体に形成されており、前記第1および第2シャフト部の間、あるいは、前記第2シャフト部において曲げられた第1曲げ部と、前記第3シャフト部の上端部またはその近傍において前記第1曲げ部とは逆の方向に曲げられた第2曲げ部とを有し、
前記ヘッドには前記第3シャフト部が嵌め込まれた嵌入孔が設けられており、
前記第1シャフト部の第1軸線を延長したラインは前記ヘッドを通るように設けられており、前記ヘッドの上面において、前記嵌入孔の上端の開口は前記ラインよりもヒール寄りに設けられており、
前記第3シャフト部の下端が上端よりもトウ寄りに設けられているグラウンド・ゴルフ用クラブ。
【請求項4】
請求項2もしくは3において、前記第2曲げ部の少なくとも一部がヘッドに埋設されているグラウンド・ゴルフ用クラブ。
【請求項5】
請求項2,3もしくは4において、前記第1シャフト部と第3シャフト部とが概ね平行に設けられているグラウンド・ゴルフ用クラブ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、前記第1シャフト部の横断面をヘッドに投影した領域がヘッドの重心を含むグラウンド・ゴルフ用クラブ。
【請求項7】
ヘッドと該ヘッドが取り付けられたシャフトを備え、該シャフトの主素材が木製のグラウンド・ゴルフ用クラブであって、
前記シャフトは、グリップを含み前記ヘッドの上面から上方に突出した突出シャフト部と、該突出シャフト部よりも下方において前記ヘッドに埋設された埋設シャフト部とが一体に形成されており、前記埋設シャフト部の上端またはその近傍においてヒールに向かって凸となるように曲げられたシャフト曲げ部を有し、
前記ヘッドには前記埋設シャフト部が嵌め込まれた嵌入孔が設けられており、
前記ヘッドの上面において、前記嵌入孔の上端の開口は前記ヘッドの中心よりもヒール寄りに設けられており、
前記シャフトは、少なくとも3枚の薄板が重ね合わせられ、かつ、前記シャフト曲げ部において曲成して形成された積層材を含み、
前記シャフト曲げ部において、前記薄板同士の複数の接着面が、ヘッドのフェース面に概ね垂直で、かつ、前記シャフト曲げ部の曲線に沿って曲成されて設けられているグラウンド・ゴルフ用クラブ。
【請求項8】
請求項1,2もしくは7において、前記シャフトは切削加工されていることで横断面が概ね円形に形成されたグラウンド・ゴルフ用クラブ。
【請求項9】
請求項1もしくは7に記載のグラウンド・ゴルフ用クラブの製造方法であって、
接着剤を塗布した3枚以上の薄板を重ね合わせる工程と、
前記重ね合わされた薄板を、前記接着剤が完全に硬化する前に、前記薄板の表面の一部に曲面が形成されるように曲げることで、当該曲げられた部分において前記薄板同士の複数の接着面が前記曲面に沿って概ね平行に並んだ状態にする工程と、
前記重ねた薄板が曲げられた状態で前記接着剤を硬化させて、一部が曲げられた積層材を得る工程と、
前記積層材の断面が概ね円形になるように切削加工して、前記曲げられた部分を前記第1曲げ部またはシャフト曲げ部とするシャフトを形成する工程とを備えたグラウンド・ゴルフ用クラブの製造方法。
【請求項10】
グラウンド・ゴルフ用クラブの主素材が木製のシャフトの製造方法であって、
接着剤を塗布した3枚以上の薄板を重ね合わせる工程と、
前記重ね合わされた薄板を、前記接着剤が完全に硬化する前に、前記薄板の表面の一部に曲面が形成されるように曲げることで、当該曲げられた部分において前記薄板同士の複数の接着面が前記曲面に沿って概ね平行に並んだ状態にする工程と、
前記重ねた薄板が曲げられた状態で前記接着剤を硬化させて、一部が曲げられた積層材を得る工程と、
前記積層材の断面が概ね円形となるように切削加工する工程とを備えたシャフトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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