説明

グラタン類の製造方法及びグラタン類

【課題】容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを略均一に載置して焼成するグラタン類の製造方法おいて、焼成時間が短時間であっても、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいグラタン類が得られるグラタン類の製造方法を提供する。
【解決手段】容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを載置して焼成するグラタン類の製造方法おいて、5〜40mm且つ水分含量30〜60%のチーズと、還元糖及び/又は着色剤とを混合し、該混合物をソースの上部に略均一に載置して焼成するグラタン類の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを載置してオーブン等で焼成するグラタン類の製造方法及びグラタン類であって、より詳しくは、焼成時間が短時間であるにも拘らず、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいグラタン類が得られるグラタン類の製造方法及びグラタン類に関する。
【背景技術】
【0002】
グラタン類は容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを載置してオーブン等で焼成して、調理される。適度な焼き目のついた外観のよいグラタン類を製造するには、長時間じっくりと焼成する必要がある。
【0003】
一方、店舗や工場等では製造効率を上げるため短時間の焼成をすることが必要とされている。しかしながら、短時間焼成すると、焼き目が付かなかったり、加熱温度をあげると焦げてしまうといった問題があった。
【0004】
従来、グラタン類の表面に焼き目を付与する方法として、特開平5−304920号公報(特許文献1)では、乳製品と糖類をグラタンの表面上に噴霧する方法が知られている。また、特開平11−46733号公報(特許文献2)では、顆粒状のフライドチーズ、アミノ酸及び還元糖をふりかける方法が知られている。
【0005】
しかしながら、上記のいずれの方法においても、グラタン類の表面上に、単色の焼き目が表面全体に均一に付与されており、好ましい外観にはならなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平5−304920号公報
【特許文献2】特開平11−46733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを載置してオーブン等で焼成するグラタン類の製造方法であって、焼成時間が短時間であるにも拘らず、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいグラタン類が得られるグラタン類の製造方法及びグラタン類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のチーズとと、還元糖及び/又は着色剤とを混合し、該混合物をソースの上部に略均一に載置して焼成したグラタン類は、意外にも焼成時間が短時間であるにも拘らず、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっていることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを載置して焼成するグラタン類の製造方法おいて、大きさ5〜40mm且つ水分含量30〜60%のチーズと、還元糖及び/又は着色剤とを混合し、該混合物をソースの上部に略均一に載置して焼成するグラタン類の製造方法、
(2)前記着色剤が、パプリカ、カラメル色素、アナトー、クチナシから選ばれる1種または2種以上である(1)記載の容器入りグラタン類の製造方法、
(3)前記還元糖がキシロース及び/又はフルクトースである(1)又は(2)記載のグラタン類の製造方法、
(4)前記焼成条件が、180〜260℃で3〜10分である(1)乃至(3)のいずれかに記載のグラタン類の製造方法、
(5)容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを載置して焼成された容器詰めグラタン類であって、還元糖及び/又は着色剤を含有し、該グラタン類表面をビジュアルアナライザーで色の種類と各色が表面積に占める割合を分析した時に、L*値37以上65未満、及びL*値が65以上の色を少なくとも有し、L*値37以上65未満の色が2ヶ所以上に分かれて観察され、表面積に対し、L*値37未満の色が50%以下かつL*値65以上の色が50%以下かつL*値37以上65未満の色が10%以上あるグラタン類、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを略均一に載置して焼成するグラタン類の製造方法おいて、焼成時間が短時間であっても、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいグラタン類が得られるグラタン類の製造方法を提供できる。したがって、これらグラタン類の更なる需要拡大が期待出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例であるグラタン表面の状態示す図面代用写真。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
【0013】
本発明のグラタン類とは、容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを載置して焼成するものである。このようなグラタン類として、具体的には、グラタンやドリア、ラザニア等が代表的なものとして例示される。具材としては、例えば、米、マカロニ、ラビオリ等のパスタ類、肉類、魚介類、野菜類、果物類、卵製品等が挙げられる。また、本発明に使用する前記ソースとしては、特に限定はなく、例えば、ホワイトソースやクリームソース、トマトソースの他、しょうゆ、酒、みりん、オイスターソース、食塩、こしょうなどの調味料で調味した調味液等が挙げられる。
をいう。
【0014】
容器としては、焼成に耐え得る容器であればいずれのものでもよい。例えば、アルミ容器、紙容器、耐熱樹脂製容器等が挙げられる。
【0015】
本発明は、前記グラタン類の製造方法おいて、大きさ5〜40mm且つ水分含量30〜60%のチーズと、還元糖及び/又は着色剤とを混合し、該混合物をソースの上部に略均一に載置して焼成することを特徴とする。
【0016】
ここで、本発明に用いる前記チーズとは、乳等省令により定義されるものである。すなわち、「乳を乳酸菌で発酵させ、または乳に酵素を加えてできた凝乳から乳清を除去し、固形状にしたもの、またはこれを熟成したもの」と定義され、チーズの硬さにより一般的に、軟質チーズ、半硬質チーズ、硬質チーズ及び超硬質チーズに分類される。本発明のチーズは、上述した長さ及び水分含量を満たしていれば特に限定はなく、具体的には、パルミジャーノ・レジャーノ、グラナパダーノ、ペコリーノ・ロマーノ、エダムチーズ、パルメザンチーズ、ゴーダチーズ、チェダーチーズ等が挙げられる。
【0017】
本発明に使用する前記還元糖とは、塩基性溶液中でアルデヒド基とケトン基を形成するものであり、具体的には、キシロース、グルコース、マルトース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース等が挙げられる。本発明では、キシロースやフルクトースを用いると、焼き色がグラタン類の上部表面全体に斑状に広がるため大変好ましい。
【0018】
本発明に使用する着色剤とは、食品に使えるものであればよく、例えば、アナトー色素、クチナシ色素、パプリカ色素、紅花色素、ウコン色素、紅コウジ色素、カラメル色素等の天然色素、βカロチン、バターイエロー、食用オレンジ色素、食用赤色色素、食用緑色色素、食用青色色素、食用黄色色素の合成色素等があり、これらを1種または2種以上混合して用いることができる。なかでも、本発明では、パプリカ色素、カラメル色素、アナトー、クチナシ色素の1種または2種以上を使用すると、複数の焼き色がグラタン類の上部表面全体に付与されるため大変好ましい。
【0019】
本発明では、大きさ5〜40mm且つ水分含量30〜60%のチーズと、還元糖及び/又は着色剤とを混合し、該混合物をソースの上部に略均一に載置して焼成することにより、焼成時間が短時間であっても、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいグラタン類が得られる。特に、大きさ10〜20mm且つ水分含量30〜45%のチーズを用いるのが好ましい。また、グラタン上部表面全体に、焼き色が複数あり、外観のよいグラタンが得られる点から、上記還元糖及び着色剤の両方を混合するのが好ましい。これに対して、チーズの大きさが前記範囲よりも小さく、水分含量が前記範囲よりも少ない比較例1は、グラタンの表面に斑状に焼き目が付かず均一に広がってしまい、また、焼き色も少なく好ましくない。チーズの大きさが前記範囲外であると、グラタン類の上部表面全体にチーズが散らず、外観のよいグラタン類が得られず、好ましくない。また、チーズの水分含量が前記範囲よりも多い場合は、焼き目が付き難くなり、前記範囲よりも少ない場合は、グラタン類の上部表面全体に焼き目が広がらず、好ましくない。一方、還元糖及び着色剤をチーズと混合して用いなかった場合、グラタンの表面に斑状に焼き目が付かず均一に広がってしまい、また、焼き色も少なく好ましくない。
【0020】
チーズの配合量としては、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいグラタン類が得られやすいことから、グラタン類全体に対し、好ましくは3〜25%であり、より好ましくは3〜20%である。チーズの配合量が前記範囲より少ないと、焼き目が付き難く、前記範囲より多いとチーズが溶けて焼き目が付くまでに長時間を有してしまい、好ましくない。
【0021】
前記還元糖の添加量は、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいグラタン類が得られやすいことから、チーズ100部に対し0.1〜10部が好ましく、0.5〜5部がより好ましい。還元糖の添加量が前記範囲よりも少ないと、グラタン類の上部表面全体に斑状に焼き色が得られ難く、前記範囲より多いとグラタン類が焦げやすいため、好ましくない。
【0022】
また、前記着色剤の添加量は、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいグラタン類が得られやすいことから、チーズ100部に対し0.01〜5部が好ましく、0.1〜3部がより好ましい。着色剤の配合量が前記範囲よりも少ないと、複数の焼き色がグラタン類の上部表面全体に得られ難く、前記範囲より多いとグラタン類として不自然な色調となる場合があるため、好ましくない。
【0023】
前記チーズと、還元糖及び/又は着色剤とを混合し、該混合物をソースの上部に略均一に載置する方法としては、特に限定はなく、例えば、予めチーズと還元糖及び/又は着色剤とを混合して混合物を製し、容器に充填されたソースの上に直接ふりかける等して載置すればよい。この際、予めチーズと還元糖及び/又は着色剤とを混合して混合物を得る際には、撹拌混合機等を用いてもよく、あるいは、ヘラ等を用い手で混合してもよい。また、前記混合物をソースの上に直接ふりかける等して載置する際には、トッピング用の設備を用いてもよく、あるいは、手でふりかける等してもよい。
【0024】
焼成する方法としては、常法により、オーブンやオーブントースター等の焼成機を用い、約120〜300℃で3〜20分程度の焼成条件で焼成すればよい。焼成時間は、店舗や工場等では製造効率を上げるためには短時間とすることが好ましいが、本発明のグラタン類の製造方法によれば、焼成時間が短時間であるにも拘らず、グラタン類の上部表面全体に複数の焼き色が付き、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいグラタン類が得られる。このようなことから、本発明は、焼成条件が好ましくは180〜260℃で3〜10分、より好ましくは180〜260℃で3〜8分である場合に好適に実施できる。
【0025】
焼成後、必要により、チルド品であれば冷却装置等を用いて品温0〜15℃に冷却し、あるいは、冷凍品であればフリーザー等で急速凍結して品温−5〜−30℃に冷却してもよい。
【0026】
なお、本発明のグラタン類には、上述した原料の他に本発明の効果を損なわない範囲で、増粘剤、乳化材等の種々の食材や添加剤等を配合することができる。例えば、増粘剤としては、カラギーナン等、乳化材としては、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン酸脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン等が挙げられる。
【0027】
以上のようにして得られた本発明のグラタン類は、焼成時間が短時間であっても、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいグラタン類が得られる。
【0028】
続いて、本発明のグラタン類について説明する。本発明のグラタン類は、容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを載置して焼成された容器詰めグラタン類であって、還元糖及び/又は着色剤を含有し、該グラタン類表面をビジュアルアナライザーで色の種類と各色が表面積に占める割合を分析した時に、L*値37以上65未満、及びL*値が65以上の色を少なくとも有し、L*値37以上65未満の色が2ヶ所以上に分かれて観察され、表面積に対し、L*値37以下の色が50%以下(0〜50%)かつL*値65以上の色が50%以下かつL*値37〜65の色が10%以上(10〜100%)あることを特徴とする。このような構成を有する本発明のグラタン類は、工業的に大量生産に適したものでありながら、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいものとなる。
【0029】
ここでL*値とは、ビジュアルアナライザーで求められた色番号から以下の計算によって求めたCIE Lab表色系(D65)のL*値である。具体的には、下記の(1)〜(4)の計算式によって求められる。
【0030】
(1)色番号に設定されているsRGB値(D65)(R、G、B)を255で除し、0〜1の実数(R’、G’、B’)に変換する。
R’=R/255
G’=G/255
B’=B/255
(2)R’、G’、B’を以下のガンマ補正の逆変換により、リニアsRGB値(R、G、B)に変換する。
R=(R’+0.055)/1.055)2.4
G=(G’+0.055)/1.055) 2.4
B=(B’+0.055)/1.055) 2.4
(3)リニアsRGB値から、CIE XYZ表色系に変換してY値を求める。
Y= 0.21263×R + 0.715169×G + 0.072192×B
(4)CIE XYZ表色系のY値からCIE Lab表色系に変換しL*値(D65)を求める。
L*値=116(Y/1.00)1/3−16
【0031】
前記L*値に関し、L*値37未満の色が50%以下かつL*値65以上の色が50%以下かつL*値37以上65未満の色が10%以上であることは、後述の試験例に示すように、適度な焼き色がバランスよく含まれていることを意味する。このような焼き色のバランスに加え、L*値37以上65未満、及びL*値が65以上の色を少なくとも有し、L*値37以上65未満の色が2ヶ所以上に分かれて観察されることにより、本発明のグラタン類は、工業的に大量生産に適したものでありながら、グラタン類の上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観のよいものとなる。例えば、このような焼き目が斑状に広がっている手作り品のような外観の状態の一例を図1に示す。
【0032】
以下、本発明について、実施例、比較例、及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定するものではない。
【実施例】
【0033】
[実施例1]
下記原料配合でグラタンを製造した。つまり、まず、攪拌機にチーズ(大きさ15mm、水分含量40%)100部、還元糖(キシロース)1.4部、着色剤(パプリカ色素及びくちなしを等量混合したもの)3部を投入し、攪拌して混合物を調製した。次に耐熱性の紙容器に、ボイル済のマカロニ25部とホワイトソース50部を充填し、その上に前記調製した混合物15部をふりかけた後、200度に加熱したオーブンで5分間の焼成してグラタンを製造した。なお、得られたグラタンの表面の写真を図1に示す。
【0034】
<混合物の配合割合>
チーズ 100部
還元糖(キシロース) 1.4部
着色剤(パプリカ色素、くちなし) 3.0部
合計 104.4部

<グラタンの配合割合>
マカロニ 25部
ホワイトソース 50部
エビ 10部
混合物
(チーズ14部、還元糖0.3部、着色剤0.7部) 15部
合計 100部
【0035】
得られたグラタンは、グラタンの上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっていて、大変好ましいものであった。
【0036】
[試験例1]
グラタンの上部表面の焼き色と焼き目の状態を調べるために、以下の試験を行った。すなわち、実施例1において、チーズと還元糖及び/又は着色剤をそれぞれ下記の通りに変えた他は、同様にしてグラタンを製造した。得られたグラタンの焼き目の程度を下記の評価基準で評価した。結果を表1に表す。
【0037】
<焼き色の評価基準>
A:焼き色の種類が複数あり、見栄えがよく好ましかった。
B:焼き色がまばらであったが、気にならない程度であった。
C:焼き色の種類が少なく、好ましくなかった。
【0038】
<焼き目の評価基準>
A:焼き目がグラタン類の上部表面全体に、斑状に全体に広がっていて好ましい状態であった。
B:焼き目がグラタン類の上部表面の一部に、均一に広がっていたが 気にならない程度であった。
C:焼き目がグラタン類の上部表面全体に、均一に広がっていて好ましくなかった。
【0039】
<表面積に対するL*値の焼き色の評価基準>
1、L*値37未満の色が表面積に対して占める割合
a.50%以下であり、表面積に焦げた部分がなく、大変好ましい。
b.50%より多く、表面積に焦げが多く、好ましくない。
2、L*値37以上65未満の色が表面積に対して占める割合
a.10%以上であり、表面積に適度な焼き色があり、大変好ましい。
b.10%未満であり、表面積に適度な焼き色が少なく、好ましくない。
3、L*値65以上の色が表面積に対して占める割合
a.50%以下であり、表面積に焼き色として薄い色がほとんどなく、大変好ましい。
b.50%より多く、表面積に焼き色として薄い色が多く、好ましくない。
【0040】
<焼き目の濃淡とその数の評価基準>
a.L*値37以上65未満、及びL*値が65以上の色を少なくとも有し、L*値37以上65未満の色が2ヶ所以上に分かれて観察される。
b.L*値37以上65未満、及びL*値が65以上の色の両方の色がない、又は、L*値37以上65未満の色が2ヶ所以上に分かれて観察されない。
【0041】
【表1】

【0042】
表1より、大きさ15〜40mmで、水分含量30〜60%のチーズと、還元糖及び/又は着色剤とを混合して焼成している実施例1乃至7のグラタンは、複数の焼き色がグラタンの上部表面全体に、斑状に広がっていることが理解できる。特に、大きさ10〜20mm、水分含量30〜45%のチーズと、還元糖及び着色剤を用いた実施例1及び2は、グラタンの上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっていて、大変好ましかった。一方、チーズの大きさが前記範囲よりも小さく、水分含量が前記範囲よりも少ない比較例1は、グラタンの表面に斑状に焼き目が付かず均一に広がってしまい、また、焼き色も少なく好ましくなかった。また、還元糖及び着色剤を用いなかった比較例2についても、グラタンの表面に斑状に焼き目が付かず均一に広がってしまい、また、焼き色も少なく好ましくなかった。
【0043】
また、表1より、ビジュアルアナライザーで色の種類と各色が表面積に占める割合を分析した時に、L*値37以上65未満、及びL*値が65以上の色を少なくとも有し、L*値37以上65未満の色が2ヶ所以上に分かれて観察され、表面積に対し、L*値37未満の色が50%以下かつL*値65以上の色が50%以下かつL*値37以上65未満の色が10%以上ある実施例1乃至7のグラタンは、グラタンの上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっていて、好ましかった。
【0044】
[実施例8]
下記原料配合でドリアを製造した。つまり、まず、攪拌機にチーズ(大きさ30mm、水分含量50%)100部、還元糖(フルクトース)2部、着色剤(パプリカ色素、アナトー、クチナシ)0.5部を投入し、攪拌して混合物を調製した。次に耐熱性の紙容器に、バターライス60部、茹えび20部、マッシュルーム10部、ベーコン20部及びグリンピース10部からなる具材100gとトマトクリームソース100gを紙容器に充填充填し、その上に前記調製した混合物10部をふりかけた後、200℃に加熱したオーブンで3分間焼成してドリアを製造した。
【0045】
グラタンを600Wの電子レンジで3分間加熱して品温70℃程度に加熱したところ、得られたグラタンは、グラタンの上部表面全体に焼き色の種類が複数あり、焼き目が斑状に広がっていて、大変好ましいものであった。また、得られたグラタンをビジュアルアナライザーで色の種類と各色が表面積に占める割合を分析した時に、L*値37以上65未満、及びL*値が65以上の色を少なくとも有し、L*値37以上65未満の色が2ヶ所以上に分かれて観察され、表面積に対し、L*値37未満の色が50%以下かつL*値65以上の色が50%以下かつL*値37以上65未満の色が10%以上であり、焼き目が斑状に広がっていて、好ましかった。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを載置して焼成するグラタン類の製造方法おいて、大きさ5〜40mm且つ水分含量30〜60%のチーズと、還元糖及び/又は着色剤とを混合し、該混合物をソースの上部に略均一に載置して焼成することを特徴とするグラタン類の製造方法。
【請求項2】
前記着色剤が、パプリカ、カラメル色素、アナトー、クチナシから選ばれる1種または2種以上である請求項1記載のグラタン類の製造方法。
【請求項3】
前記還元糖がキシロース及び/又はフルクトースである請求項1又は2記載のグラタン類の製造方法。
【請求項4】
前記焼成条件が、180〜260℃で3〜10分である請求項1乃至3のいずれかに記載のグラタン類の製造方法。
【請求項5】
容器に具材及びソースを盛り付け、ソースの上部にチーズを載置して焼成された容器詰めグラタン類であって、還元糖及び/又は着色剤を含有し、該グラタン類表面をビジュアルアナライザーで色の種類と各色が表面積に占める割合を分析した時に、L*値37以上65未満、及びL*値が65以上の色を少なくとも有し、L*値37以上65未満の色が2ヶ所以上に分かれて観察され、表面積に対し、L*値37未満の色が50%以下かつL*値65以上の色が50%以下かつL*値37以上65未満の色が10%以上あることを特徴とするグラタン類。






【図1】
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