説明

グラビア印刷装置

【課題】グラビア印刷装置において、インキの印刷はねによる汚れや版に残ったインキの乾燥による異物混入といった問題点を解決すること。
【解決手段】印刷ユニット部の印刷基材の排出側で前記グラビアロール上の両端上で前記インプレッションロールの両端より外側に、印刷基材の挿入側に設けられたドクターブレードの支持体から印刷基材の排出側のインキパンのインキ中に至るまで、帯状のインキはね防止フィルムを配してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルム等の印刷基材に絵柄印刷を施す為のグラビア印刷装置に関し、特には回転下部でインキパンに接するグラビアロールが回転上部でインプレッションロールとの間に印刷基材を挟みこむ印刷ユニット部を有するグラビア印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記のように、化粧シートの印刷装置として、フィルム等の基材をグラビア版ロールとインプレッションロールでニップ(挟んで)して印刷する方法が知られている。
ところで、冷蔵庫、ユニットバス表面材、ドア、内装部材等には鏡面化粧シートが好適に用いられているが、インキの印刷はねによる汚れがあると影響が大きいものであった。また、版に残ったインキの乾燥による異物混入が発生することもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−300591号公報
【特許文献2】特開2007−168215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、グラビア印刷装置において、インキの印刷はねによる汚れや版に残ったインキの乾燥による異物混入といった問題点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決したものであり、すなわちその請求項1記載の発明は、グラビアロールの下部にグラビアインキが注入されるインキパンが配され、グラビアロールの上部に印刷基材を挟んでインプレッションロールが備えられた印刷ユニット部を有するグラビア印刷装置において、印刷ユニット部の印刷基材の排出側で前記グラビアロール上の両端上で前記インプレッションロールの両端より外側に、印刷基材の挿入側に設けられたドクターブレードの支持体から印刷基材の排出側のインキパンのインキ中に至るまで、帯状のインキはね防止フィルムを配してなることを特徴とするグラビア印刷装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明はその請求項1記載の発明により、インプレッションロールにインキがたまりにくくなるので、インキはねやよごれの無いグラビア印刷ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のグラビア印刷装置の一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【図2】本発明のグラビア印刷装置の一実施例の外観を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1に本発明のグラビア印刷装置の一実施例の断面の構造を示す。インキパン2に液循環装置(図示せず)によりグラビアインキ1が満たされた状態で、グラビアロール3とインプレッションロール4に挟まれて、印刷基材5に印刷がなされる。インプレッションロールには適宜バックアップロール6が配されてなる。図中の印刷基材5の印刷方向は7で示す。そして、印刷基材の挿入側に設けられているドクターブレード8の支持体9よりインキはね防止フィルム10が印刷基材の排出側に、垂れた状態で配されてなる。
図2に本発明のグラビア印刷装置の一実施例の外観を示す。インキはね防止フィルムはインプレッションロール4の両端より10cm以上離れてグラビアロール3の両端にかかり、インキパン2のインキ中に至るまで設けられてなる。
【0009】
グラビアインキ1としては、特に限定せず従来より用いているものが使用可能である。具体的には油性、水性のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂共重合体樹脂、2液や1液のウレタン樹脂、消化綿樹脂、酢酸セルロース樹脂及びこれらの混合物、エチレン二重結合をもつ紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂からなる樹脂(メジウム)に有機や無機及び有機と無機の混合物からなる顔料、公知の各種添加剤、シリカや硫酸バリウムからなる体質顔料などからなるグラビアインキが好適である。
【0010】
インキパン2としては、特に限定せず従来より用いているものが使用可能である。具体的には強度耐性などから鉄製、ステンレス製及び銅製などの金属製のインキパンが好適である。
【0011】
グラビアロール3は、印刷装置本体支持体(図示せず)に支軸を介して回転可能に軸支され、該支軸に適宜に取り付けた電動ギア、中間ギア等(図示せず)を介して、モーター等により駆動回転するものである。図中に示した矢印に示した方向に回転することで、インキパン2中のグラビアインキを表面に保持しつつ、回転により送り込まれる印刷基材5の表面にインキを転写してなる。
【0012】
インプレッションロール4は、印刷装置本体支持体(図示せず)に支軸を介して回転可能に軸支され、前記グラビアロール3と、その間に印刷基材5を挟んで圧接してなる。前記グラビアロール3の回転と連動して逆方向に回転する。インプレッションロール4の材質としてはゴム製又はプラスチック製、又は少なくとも周面がゴム製又はプラスチック製のロールであるか、又は、印刷基材5が比較的厚みのある材料である場合は、金属製のロールでもよい。特にはフッ素樹脂製のものが好ましい。金属製の軸にシリコーン樹脂を巻きつけた後、フッ素樹脂を積層して良いし、フッ素樹脂からなるチューブを巻きつけても良い。
【0013】
印刷基材5は本発明では特に限定するものではないが、鏡面化粧シートとしては二軸延伸ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、金属酸化物を蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂及びこれらの複層の基材がつかえる。厚みは、5〜200μm程度が好適である。
【0014】
バックアップロール6は、通常は鋼鉄製であり、主にインプレッションロールの撓みを抑えるために適宜設置される。
【0015】
支持体9に支持されたドクターブレード8は、印刷基材の挿入側に設けられてなり、前記グラビアロールに付着した余剰のインキを掻き取るために設けられる。
【0016】
本発明におけるインキはね防止フィルム10は、材質としては80から160g/m2程度のソルトリバー社製や工芸社製のアート紙が形状を保ちやすい。幅は10mmから100mm程度、長さはグラビア版の大きさに合わせて適宜設定される。一端をドクターブレードの支持体に粘着テープ等で固定し、もう一端をインキパンのインキ中まで届くようにすれば作業性も良いものとなる。使用に際しては、汚れが目立つようになれば適宜取り替えれば良い。
【実施例1】
【0017】
鉄心の上に厚み20mmのシリコーン樹脂の上に厚み10mmのFEP樹脂からなる本発明のインプレッションロールを作製し、印刷ユニットが5つあるグラビア印刷機の最終ユニットに設置した。インキはね防止フィルムを図1,2のように坪量104.7g/m2のアート紙にて支持体に両面テープにてグラビア版の両端のグラビアセルのない鏡面部に設置した。木目柄のグラビアシリンダーにウレタン樹脂バインダーインキにて、ライン速度80m/minにて印刷したがインキはね、異物、印刷ムラは発生しなかった。
【0018】
<比較例1>
実施例1において、インキはね防止フィルム10を除去した以外は実施例1と同様にして本発明のグラビア印刷行った。印刷したら剥離が安定せずムラが発生した。また、グラビア版両端部の鏡面部にインキの乾燥した異物が発生した。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、グラビア印刷に関するものであり、内装材、建具、ドア、内装部材等の印刷基材や、または、冷蔵庫、ユニットバス表面材用に使われる鏡面部材用の鏡面状の印刷基材に印刷してなるグラビア印刷装置に関する。
【符号の説明】
【0020】
1…グラビアインキ
2…インキパン
3…グラビアシリンダー
4…ゴム弾性体インプレッションロール
5…印刷基材
6…バックアップロール
7…印刷方向
8…印刷用ドクター
9…ドクター支持体
10…インキはね防止フィルム
11…印刷シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラビアロールの下部にグラビアインキが注入されるインキパンが配され、グラビアロールの上部に印刷基材を挟んでインプレッションロールが備えられた印刷ユニット部を有するグラビア印刷装置において、印刷ユニット部の印刷基材の排出側で前記グラビアロール上の両端上で前記インプレッションロールの両端より外側に、印刷基材の挿入側に設けられたドクターブレードの支持体から印刷基材の排出側のインキパンのインキ中に至るまで、帯状のインキはね防止フィルムを配してなることを特徴とするグラビア印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−230377(P2011−230377A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102777(P2010−102777)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】