説明

グラファイトカーボン固定相を使用するポリオレフィンポリマーのクロマトグラフィー

本発明は、ポリオレフィンポリマーの溶液を、液体クロマトグラフィー固定相を流れる液体に導入する工程(該液体クロマトグラフィー固定相はグラファイトカーボンを含む)を含み、該液体クロマトグラフィー固定相から現れる該ポリオレフィンポリマーが、0よりも大きい保持係数を有し、該液体クロマトグラフィー固定相に導入された該溶液が、温度勾配に供される、かつ/又は該溶液が溶媒勾配に供される、ポリオレフィンポリマーの一次元クロマトグラフィーのための方法を提供する。本発明はまた、ポリオレフィンポリマーの溶液を、第1の液体クロマトグラフィー固定相又はフィールドフロー分画装置を流れる液体に導入する工程と、及びその後に該溶液を第2の液体クロマトグラフィー固定相に流す工程(該第2の液体クロマトグラフィー固定相はグラファイトカーボンを含む)とを含み、該液体クロマトグラフィー固定相から現れる該ポリオレフィンポリマーが、0よりも大きい保持係数を有する、ポリオレフィンポリマーの多次元クロマトグラフィーのための方法も提供する。本発明はまた、液体クロマトグラフィー固定相を含むポリオレフィンポリマークロマトグラフィーのための機器を提供し、液体クロマトグラフィー固定相は、グラファイトカーボン及び少なくとも1つの不活性充填剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される本発明は、液体クロマトグラフィーの分野にある。液体クロマトグラフィーは、分子サイズに関してサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、化学組成に関して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、ポリマーを分析するために、当分野により使用される。本開示は、化学組成に関するポリマーのHPLC分析に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、係属中であり、参照により完全に本明細書に組み込まれる、2009年12月21日出願の米国特許出願第12/643,111号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
ポリオレフィンポリマー(例えば、重合したエチレンモノマー及び/又はプロピレンモノマーを含むポリマー及び共重合体)は、長い間、化学組成分布に関して、昇温溶離分別(TREF)及び結晶分析分別(CRYSTAF)によって分析されてきた。しかし、TREFもCRYSTAFも、非晶質ポリオレフィンポリマーを分析するために使用することができない。さらに、TREFとCRYSTAFは両方とも比較的長い分析時間を必要とする。そのために、当分野では、分析時間を減少し、非晶質ポリマーの分析の範囲を拡大するために、HPLCに目を向けた。Mackoらが、シリカ及びゼオライト固定相でのポリエチレン標準品の保持力を研究することにより、2003年に最初にそれを行ったようである(J. Chrom. A, 1002 (2003) 55)。Wangらは、2005年にゼオライトによるポリエチレン及びポリプロピレンの保持力を研究した(Macromolecules, V. 38, No. 25 (2005) 10341)。Hainz及びPaschは、シリカ固定相を用いてポリエチレン−ポリプロピレンブレンドをHPLCにより分析した(Polymer 46 (2005) 12040)。Albrechtらは、シリカ固定相を用いてエチレン−酢酸ビニル共重合体をHPLCにより分析した(Macromolecules 2007, 40, 5545)。Albrechtらは、シリカ固定相を用いてエチレン−プロピレン共重合体をHPLCにより分析した(Macromol. Symp. 2007, 257, 46)。
【0004】
グラファイトを用いるいくつかのクロマトグラフィー分離が、以下の参照文献に開示されている:Macko et al., Separation of Propene/1-Alkene and Ethylene/1-Alkene Copolymers by High-Temperature Adsorption Liquid Chromatography, Polymer 50 (2009), 5443-5448;Macko et al., Separation of Linear Polyethylene from Isotactic, Atactic, and Syndiotactic Polypropylene by High-Temperature Adsorption Liquid Chromatography, Macromolecules (2009), 42, 6063-6067;Chitta et al., Elution Behavior of Polyethylene and Polypropylene Standards on Carbon Sorbents, Journal of Chromatography A, 1217 (2010) 7717-7722;Findenegg et al., Adsorption from Solution of Large Alkane and Related Molecules onto Graphitized Carbon, Carbon, Vol 25, No. 1, (1987), 119-128;及びYin et al., Theoretical Study of the Effects of Intermolecular Interactions in Self-Assembled Long-Chain Alkanes Adsorbed on Graphite Surfaces, Surface and Interface Analysis (2001), 32, 248-252。米国特許出願公開第2010/0093964号明細書も参照されたい。グラファイトを含む又は含まないその他の二次元クロマトグラフィーは、以下に開示されている:Roy et al., Development of Comprehensive Two-Dimensional High Temperature Liquid Chromatography x Gel Permeation Chromatography for Characterization of Polyolefins, Macromolecules (2010), 43, 3710-3720;及び Ginzburg et al., High-Temperature Two-dimensional Liquid Chromatography of Ethylene-Vinylacetate Copolymers, Journal of Chromatography A, 1217 (2010), 6867-6874。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0093964号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Macko et al., J. Chrom. A, 1002 (2003) 55
【非特許文献2】Wang et al., Macromolecules, V. 38, No. 25 (2005) 10341
【非特許文献3】Heinz and Pasch, Polymer 46 (2005) 12040
【非特許文献4】Albrecht, et al., Macromolecules 2007, 40, 5545
【非特許文献5】Albrecht, et al., Macromol. Symp. 2007, 257, 46
【非特許文献6】Macko et al., Separation of Propene/1-Alkene and Ethylene/1-Alkene Copolymers by High-Temperature Adsorption Liquid Chromatography, Polymer 50 (2009), 5443-5448
【非特許文献7】Macko et al., Separation of Linear Polyethylene from Isotactic, Atactic, and Syndiotactic Polypropylene by High-Temperature Adsorption Liquid Chromatography, Macromolecules (2009), 42, 6063-6067
【非特許文献8】Chitta et al., Elution Behavior of Polyethylene and Polypropylene Standards on Carbon Sorbents, Journal of Chromatography A, 1217 (2010) 7717-7722
【非特許文献9】Findenegg et al., Adsorption from Solution of Large Alkane and Related Molecules onto Graphitized Carbon, Carbon, Vol 25, No. 1, (1987), 119-128
【非特許文献10】Yin et al., Theoretical Study of the Effects of Intermolecular Interactions in Self-Assembled Long-Chain Alkanes Adsorbed on Graphite Surfaces, Surface and Interface Analysis (2001), 32, 248-252
【非特許文献11】Roy et al., Development of Comprehensive Two-Dimensional High Temperature Liquid Chromatography x Gel Permeation Chromatography for Characterization of Polyolefins, Macromolecules (2010), 43, 3710-3720
【非特許文献12】Ginzburg et al., High-Temperature Two-dimensional Liquid Chromatography of Ethylene-Vinylacetate Copolymers, Journal of Chromatography A, 1217 (2010), 6867-6874
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリオレフィンポリマーのHPLC分析の残る問題は、先行技術の方法により得られる限定された分離効率である。分離効率の改良及び分析時間の短縮をもたらす、ポリオレフィンポリマーの新しいクロマトグラフィー法に対する必要性が依然としてある。これらの必要性及びその他は、以下の発明によって満たされた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリオレフィンポリマーの溶液を、液体クロマトグラフィー固定相を流れる液体に導入する工程(該液体クロマトグラフィー固定相はグラファイトカーボンを含む)を含み、該液体クロマトグラフィー固定相から現れる該ポリオレフィンポリマーが、0よりも大きい保持係数を有し、該液体クロマトグラフィー固定相に導入された該溶液が、温度勾配に供される、かつ/又は該溶液が溶媒勾配に供される、ポリオレフィンポリマーの一次元クロマトグラフィーのための方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、ポリオレフィンポリマーの溶液を、第1の液体クロマトグラフィー固定相又はフィールドフロー分画装置を流れる液体に導入する工程と、及びその後に該溶液を第2の液体クロマトグラフィー固定相に流す工程(該第2の液体クロマトグラフィー固定相はグラファイトカーボンを含む)とを含み、該液体クロマトグラフィー固定相から現れる該ポリオレフィンポリマーが、0よりも大きい保持係数を有する、ポリオレフィンポリマーの多次元クロマトグラフィーのための方法も提供する。
【0010】
本発明はまた、液体クロマトグラフィー固定相を含むポリオレフィンポリマークロマトグラフィーのための機器も提供し、該液体クロマトグラフィー固定相は、グラファイトカーボン及び少なくとも1つの不活性充填剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】Vrでピークとなる溶出量での成分Aの溶出の理論化されたHPLCクロマトグラムを表す図(FIGURE A)である。
【図2】メタロセン重合エチレン−オクテンポリマーのTGIC(熱勾配相互作用クロマトグラフィー)クロマトグラムを示す図(Figure 1a)である。
【図3】メタロセン重合エチレン−オクテンポリマーのTGICから収集した画分中のオクテンモル%のプロットを示す図(Figure 1b)である。
【図4】末端基の影響がごくわずかであると仮定することにより決定される1H NMRからのオクテンモル%の計算を示す図(Figure 2)である。
【図5】グラファイトカーボン固定相を用いる、EO−2、ブレンド番号1、及びブレンド番号2のポリマーのTGICクロマトグラムのオーバーレイを示す図(Figure 3)である。
【図6】EO−4〜EO−12ポリマーのHYPERCARBカラムでのTGICクロマトグラムを示す図(Figure 4)である。
【図7】HYPERCARBカラムを使用することによる、オクテンモル%に対する、EO−4〜EO−12ポリマーのTGICクロマトグラムのピーク温度のプロットを示す図(Figure 5)である。
【図8】33重量%のグラファイト及び67重量%の27μmのガラスビーズの混合物を充填したカラムを使用することによる、EO−5及びNISTポリエチレン1484AのTGICクロマトグラムを示す図(Figure 6)である。
【図9】33重量%のグラファイト及び67重量%の125μmのガラスビーズの混合物を充填したカラムを使用し、HYPERCARBカラムを使用して分離されたEO−13のTGICクロマトグラムを示す図(Figure 7)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述のように、本発明は、ポリオレフィンポリマーの溶液を、液体クロマトグラフィー固定相を流れる液体に導入する工程(該液体クロマトグラフィー固定相はグラファイトカーボンを含む)を含み、該液体クロマトグラフィー固定相から現れる該ポリオレフィンポリマーが、0よりも大きい保持係数を有し、該液体クロマトグラフィー固定相に導入された該溶液が、温度勾配に供される、かつ/又は該溶液が溶媒勾配に供される、ポリオレフィンポリマーの一次元クロマトグラフィーのための方法を提供する。
【0013】
一実施形態では、液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、温度勾配に供される。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0014】
一実施形態では、液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、溶媒勾配に供される。
【0015】
一実施形態では、液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、温度勾配と溶媒勾配の両方に供される。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0016】
一実施形態では、液体クロマトグラフ固定相は、少なくとも1つの不活性充填剤をさらに含む。不活性充填剤としては、限定されるものではないが、無機材料、例えば、限定されるものではないが、ガラス、ステンレス鋼及び銅などが挙げられる。本明細書において、用語「不活性の」とは、各々がクロマトグラフの過程で使用されるポリマー溶液又は溶出剤と化学的に反応しない材料をさす。
【0017】
一実施形態では、固定相は、不活性充填剤及びグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上の不活性充填剤、好ましくは60重量パーセント以上の不活性充填剤を含む。
【0018】
一実施形態では、不活性充填剤は、球の形態である。さらなる実施形態では、この球の直径は、10〜150μm、又は15〜100μm、又は20〜50μmである。
【0019】
一実施形態では、少なくとも1つの不活性充填剤は、ガラスである。
【0020】
一実施形態では、固定相は、ガラスとグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上のガラス、好ましくは60重量パーセント以上のガラスを含む。
【0021】
一実施形態では、ガラスは、球の形態である。さらなる実施形態では、この球の直径は、10〜150μm、又は15〜100μm、又は20〜50μmである。
【0022】
一実施形態では、固定相は、8より大きい、好ましくは20より大きい、より好ましくは50より大きい、より好ましくは100より大きい、好ましくは200より大きい、さらにより好ましくは400より大きいL/D比(ここで、L=カラム長さ、D=該カラムの外径である)を有するカラムに含まれている。
【0023】
固定相は、本明細書に記載される2又はそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0024】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレン系ポリマーである。
【0025】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーである。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C3−C10α−オレフィンであり、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。
【0026】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C3−C10α−オレフィンであり、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。
【0027】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーポリマーは、エチレンとα−オレフィンの共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、1−オクテンである。
【0028】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ポリエチレンホモポリマーである。
【0029】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレン系ポリマーである。
【0030】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレン/α−オレフィンインターポリマーである。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C2、又はC4−C10α−オレフィンであり、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。本明細書において、エチレンは、α−オレフィンと称される。
【0031】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C2、又はC4−C10α−オレフィンであり、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。
【0032】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレンとα−オレフィンの共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、エチレンである。
【0033】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーである。
【0034】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーのポリオレフィンポリマー溶液中の濃度は、1ミリリットルの溶液あたり0.1ミリグラムより大きい。
【0035】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーの密度は、0.92g/cc以下;あるいは0.90g/cc以下;あるいは0.88g/cc以下である(1cc=1cm)。
【0036】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーの密度は、0.89g/cc以下;あるいは0.88g/cc以下;あるいは0.87g/cc以下である(1cc=1cm)。
【0037】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーの密度は、0.83g/cc〜0.97g/cc、又は0.84g/cc〜0.95g/cc、又は0.85g/cc〜0.93g/ccである(1cc=1cm)。
【0038】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、13C NMRにより測定して、1モルパーセント〜49モルパーセントのα−オレフィンを含む。好ましいα−オレフィンは、上に考察されている。
【0039】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、13C NMRにより測定して、2モルパーセント〜49モルパーセントのα−オレフィンを含む。好ましいα−オレフィンは、上に考察されている。
【0040】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、13C NMRにより測定して、5モルパーセント〜49モルパーセントのα−オレフィンを含む。好ましいα−オレフィンは、上に考察されている。
【0041】
ポリオレフィンポリマーは、本明細書に記載される2又はそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0042】
一実施形態では、クロマトグラフィー固定相は、GPCカラムの中に含まれている。
【0043】
移動相(溶出剤)は、問題のポリオレフィンポリマーを溶解させる任意の溶媒又は溶媒混合物である。一実施形態では、移動相は、1又はそれ以上の芳香族ハロ炭化水素、例えば、1又はそれ以上の芳香族クロロ炭化水素である。例としては、限定されるものではないが、TCB(1,2,4−トリクロロベンゼン)、ODCB(オルト−ジクロロベンゼン)、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0044】
本発明の方法は、本明細書に記載される2又はそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0045】
本発明はまた、ポリオレフィンポリマーの溶液を、第1の液体クロマトグラフィー固定相又はフィールドフロー分画装置を流れる液体に導入する工程と、及びその後に該溶液を第2の液体クロマトグラフィー固定相に流す工程(該第2の液体クロマトグラフィー固定相はグラファイトカーボンを含む)とを含み、該液体クロマトグラフィー固定相から現れる該ポリオレフィンポリマーが、0よりも大きい保持係数を有する、ポリオレフィンポリマーの多次元クロマトグラフィーのための方法も提供する。
【0046】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマー溶液の溶液は、第1の液体クロマトグラフィー固定相を流れる液体に導入される。
【0047】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマー溶液の溶液は、フィールドフロー分画装置を流れる液体に導入される。
【0048】
一実施形態では、第1の、又は第2の、又は両方の、液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、温度勾配に供される。さらなる実施形態では、各々の温度勾配は、独立して、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0049】
一実施形態では、第1の、又は第2の、又は両方の、液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、溶媒勾配に供される。
【0050】
一実施形態では、第1の、又は第2の、又は両方の、液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、温度勾配と溶媒勾配の両方に供される。さらなる実施形態では、各々の温度勾配は、独立して、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0051】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、温度勾配に供される。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0052】
一実施形態では、第2の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、温度勾配に供される。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0053】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、溶媒勾配に供される。
【0054】
一実施形態では、第2の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、溶媒勾配に供される。
【0055】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、温度勾配及び溶媒勾配に供される。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0056】
一実施形態では、第2の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、温度勾配及び溶媒勾配に供される。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0057】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液及び第2の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、両方とも温度勾配に供される。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0058】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液及び第2の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、溶媒勾配に供される。
【0059】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液及び第2の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、温度勾配及び溶媒勾配に供される。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0060】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーのポリオレフィンポリマー溶液中の濃度は、1ミリリットルの溶液あたり0.1ミリグラムより大きい。
【0061】
一実施形態では、第2の液体クロマトグラフィー固定相は、グラファイトカーボンから本質的になる。
【0062】
一実施形態では、第2の液体クロマトグラフィー固定相は、GPCカラムの中に含まれている。
【0063】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相は、グラファイトカーボンを含む。
【0064】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相は、グラファイトカーボンから本質的になる。
【0065】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相は、GPCカラムの中に含まれている。
【0066】
一実施形態では、第1の及び/又は第2の液体クロマトグラフ固定相は、少なくとも1つの不活性充填剤をさらに含む。不活性充填剤としては、限定されるものではないが、無機材料、例えば、限定されるものではないが、ガラス、ステンレス鋼及び銅などが挙げられる。本明細書において、用語「不活性の」とは、各々がクロマトグラフの過程で使用されるポリマー溶液又は溶出剤と化学的に反応しない材料をさす。
【0067】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフ固定相は、少なくとも1つの不活性充填剤をさらに含む。不活性充填剤としては、限定されるものではないが、無機材料、例えば、限定されるものではないが、ガラス、ステンレス鋼及び銅などが挙げられる。
【0068】
一実施形態では、第2の液体クロマトグラフ固定相は、少なくとも1つの不活性充填剤をさらに含む。不活性充填剤としては、限定されるものではないが、無機材料、例えば、限定されるものではないが、ガラス、ステンレス鋼及び銅などが挙げられる。
【0069】
一実施形態では、第1の及び第2の液体クロマトグラフ固定相は、独立して、少なくとも1つの不活性充填剤をさらに含む。不活性充填剤としては、限定されるものではないが、無機材料、例えば、限定されるものではないが、ガラス、ステンレス鋼及び銅ビーズなどが挙げられる。
【0070】
一実施形態では、第1の固定相は、不活性充填剤及びグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上の不活性充填剤、好ましくは60重量パーセント以上の不活性充填剤を含む。一実施形態では、不活性充填剤は、球の形態である。さらなる実施形態では、この球の直径は、10〜150μm、又は15〜100μm、又は20〜50μmである。
【0071】
一実施形態では、少なくとも1つの不活性充填剤は、ガラスである。
【0072】
一実施形態では、第1の固定相は、ガラスとグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上のガラス、好ましくは60重量パーセント以上のガラスを含む。一実施形態では、ガラスは、球の形態である。さらなる実施形態では、この球の直径は、10〜150μm、又は15〜100μm、又は20〜50μmである。
【0073】
一実施形態では、第2の固定相は、不活性充填剤及びグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上の不活性充填剤、好ましくは60重量パーセント以上の不活性充填剤を含む。一実施形態では、少なくとも1つの充填剤は、球の形態である。さらなる実施形態では、この球の直径は、10〜150μm、又は15〜100μm、又は20〜50μmである。
【0074】
一実施形態では、少なくとも1つの不活性充填剤は、ガラスである。
【0075】
一実施形態では、第2の固定相は、ガラスとグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上のガラス、好ましくは60重量パーセント以上のガラスを含む。一実施形態では、ガラスは、球の形態である。さらなる実施形態では、この球の直径は、10〜150μm、又は15〜100μm、又は20〜50μmである。
【0076】
一実施形態では、第1の固定相及び第2の固定相は、各々、独立して、不活性充填剤及びグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上の不活性充填剤、好ましくは60重量パーセント以上の不活性充填剤を含む。一実施形態では、不活性充填剤は、球の形態である。さらなる実施形態では、この球の直径は、10〜150μm、又は15〜100μm、又は20〜50μmである。
【0077】
一実施形態では、少なくとも1つの不活性充填剤は、ガラスである。
【0078】
一実施形態では、第1の固定相及び第2の固定相は、各々、独立して、ガラスとグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上のガラス、好ましくは60重量パーセント以上のガラスを含む。一実施形態では、ガラスは、球の形態である。さらなる実施形態では、この球の直径は、10〜150μm、又は15〜100μm、又は20〜50μmである。
【0079】
一実施形態では、第1の固定相は、8より大きい、好ましくは20より大きい、より好ましくは50より大きい、より好ましくは100より大きい、好ましくは200より大きい、さらに好ましくは400より大きいL/D比(ここで、L=カラム長さ、D=該カラムの外径である)を有するカラムに含まれている。
【0080】
一実施形態では、第2の固定相は、8より大きい、好ましくは20より大きい、より好ましくは50より大きい、より好ましくは100より大きい、好ましくは200より大きい、さらにより好ましくは400より大きいL/D比(ここで、L=カラム長さ、D=該カラムの外径である)を有するカラムに含まれている。
【0081】
一実施形態では、第1の固定相及び第2の固定相は、各々、独立して、8より大きい、好ましくは20より大きい、より好ましくは50より大きい、より好ましくは100より大きい、好ましくは200より大きい、さらにより好ましくは400より大きいL/D比(ここで、L=カラム長さ、D=該カラムの外径である)を有するカラムに含まれている。
【0082】
第1の固定相は、本明細書に記載される2又はそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0083】
第2の固定相は、本明細書に記載される2又はそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0084】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレン系ポリマーである。
【0085】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーである。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C3−C10α−オレフィンであり、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。
【0086】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレン/α−オレフィン共重合体である。
【0087】
さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C3−C10α−オレフィンであり、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。
【0088】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレンとα−オレフィンの共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、1−オクテンである。
【0089】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ポリエチレンホモポリマーである。
【0090】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレン系ポリマーである。
【0091】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレン/α−オレフィンインターポリマーである。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C2、又はC4−C10α−オレフィンであり、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。本明細書において、エチレンは、α−オレフィンと称される。
【0092】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C2、又はC4−C10α−オレフィンであり、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。
【0093】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレンとα−オレフィンの共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、エチレンである。
【0094】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーである。
【0095】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーの密度は、0.92g/cc以下;あるいは0.90g/cc以下;あるいは0.88g/cc以下である(1cc=1cm)。
【0096】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーの密度は、0.89g/cc以下;あるいは0.88g/cc以下;あるいは0.87g/cc以下である(1cc=1cm)。
【0097】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーの密度は、0.83g/cc〜0.97g/cc、又は0.84g/cc〜0.95g/cc、又は0.85g/cc〜0.93g/ccである(1cc=1cm)。
【0098】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、13C NMRにより測定して、1モルパーセント〜49モルパーセントのα−オレフィンを含む。好ましいα−オレフィンは、上に考察されている。
【0099】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、13C NMRにより測定して、2モルパーセント〜49モルパーセントのα−オレフィンを含む。好ましいα−オレフィンは、上に考察されている。
【0100】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、13C NMRにより測定して、5モルパーセント〜49モルパーセントのα−オレフィンを含む。好ましいα−オレフィンは、上に考察されている。
【0101】
ポリオレフィンポリマーは、本明細書に記載される2又はそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0102】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相は、GPCカラムの中に含まれている。
【0103】
一実施形態では、第2の液体クロマトグラフィー固定相は、GPCカラムの中に含まれている。
【0104】
一実施形態では、第1の液体クロマトグラフィー固定相及び第2の液体クロマトグラフィー固定相は、各々、独立して、GPCカラムの中に含まれている。
【0105】
移動相(溶出剤)は、問題のポリオレフィンポリマーを溶解させる任意の溶媒又は溶媒混合物である。一実施形態では、移動相は、1又はそれ以上の芳香族ハロ−炭化水素、例えば、1又はそれ以上の芳香族クロロ−炭化水素である。例としては、限定されるものではないが、TCB(1,2,4−トリクロロベンゼン)、ODCB(オルト−ジクロロベンゼン)、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0106】
本発明の方法は、本明細書に記載される2又はそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0107】
本発明はまた、液体クロマトグラフィー固定相を含む、ポリオレフィンポリマークロマトグラフィーのための機器も提供し、該液体クロマトグラフィー固定相はグラファイトカーボン及び少なくとも1つの不活性充填剤を含む。
【0108】
一実施形態では、この機器は、「温度勾配装置」及び/又は「溶媒勾配装置」をさらに含む。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0109】
一実施形態では、この機器は、「温度勾配装置」をさらに含む。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0110】
一実施形態では、この機器は、「溶媒勾配装置」をさらに含む。
【0111】
一実施形態では、この機器は、「温度勾配装置」及び「溶媒勾配装置」をさらに含む。さらなる実施形態では、温度勾配は、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上である。
【0112】
温度勾配装置(例えば、PolymerChar製CEF)は、カラム(例えば、クロマトグラフィーカラム)を制御された様式で熱処理するか又は冷却するために使用される計器である。溶媒勾配装置(例えば、PolymerCharより入手可能のもの)は、1又はそれ以上の溶媒を制御された様式で混合するために使用される計器であり、このとき、溶媒混合物は、カラム(例えば、クロマトグラフィーカラム)中の溶出剤として使用される。
【0113】
不活性充填剤としては、限定されるものではないが、無機材料、例えば、限定されるものではないが、ガラス、ステンレス鋼及び銅などが挙げられる。本明細書において、用語「不活性」とは、各々がクロマトグラフの過程で使用されるポリマー溶液又は溶出剤と化学的に反応しない材料をさす。
【0114】
一実施形態では、固定相は、不活性充填剤及びグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上の不活性充填剤、好ましくは60重量パーセント以上の不活性充填剤を含む。
【0115】
一実施形態では、不活性充填剤は、球の形態である。さらなる実施形態では、この球の直径は、10〜150μm、又は15〜100μm、又は20〜50μmである。
【0116】
一実施形態では、少なくとも1つの不活性充填剤は、ガラスである。
【0117】
一実施形態では、固定相は、ガラスとグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上のガラス、好ましくは60重量パーセント以上のガラスを含む。
【0118】
一実施形態では、ガラスは、球の形態である。さらなる実施形態では、この球の直径は、10〜150μm、又は15〜100μm、又は20〜50μmである。
【0119】
一実施形態では、固定相は、8より大きい、好ましくは20より大きい、より好ましくは50より大きい、より好ましくは100より大きい、より好ましくは200より大きい、さらにより好ましくは400より大きいL/D比(ここで、L=カラム長さ、D=該カラムの外径である)を有するカラムに含まれている。
【0120】
固定相は、本明細書に記載される2又はそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0121】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレン系ポリマーである。
【0122】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーである。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C3−C10α−オレフィンであり、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。
【0123】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C3−C10α−オレフィンであり、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。
【0124】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレンとα−オレフィンの共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、1−オクテンである。
【0125】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ポリエチレンホモポリマーである。
【0126】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレン系ポリマーである。
【0127】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレン/α−オレフィンインターポリマーである。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C2、又はC4−C10α−オレフィンであり、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。本明細書において、エチレンは、α−オレフィンと称される。
【0128】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレン/α−オレフィン共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、C2、又はC4−C10α−オレフィンであり、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。
【0129】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレンとαオレフィンの共重合体である。さらなる実施形態では、α−オレフィンは、エチレンである。
【0130】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーである。
【0131】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーの密度は、0.92g/cc以下;あるいは0.90g/cc以下;あるいは0.88g/cc以下である(1cc=1cm)。
【0132】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーの密度は、0.89g/cc以下;あるいは0.88g/cc以下;あるいは0.87g/cc以下である(1cc=1cm)。
【0133】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーの密度は、0.83g/cc〜0.97g/cc、又は0.84g/cc〜0.95g/cc、又は0.85g/cc〜0.93g/ccである(1cc=1cm)。
【0134】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、13C NMRにより測定して、1モルパーセント〜49モルパーセントのα−オレフィンを含む。好ましいα−オレフィンは、上に考察されている。
【0135】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、13C NMRにより測定して、2モルパーセント〜49モルパーセントのα−オレフィンを含む。好ましいα−オレフィンは、上に考察されている。
【0136】
一実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、13C NMRにより測定して、5モルパーセント〜49モルパーセントのα−オレフィンを含む。好ましいα−オレフィンは、上に考察されている。
【0137】
ポリオレフィンポリマーは、本明細書に記載される2又はそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0138】
移動相(溶出剤)は、問題のポリオレフィンを溶解させる任意の溶媒又は溶媒混合物である。一実施形態では、移動相は、1又はそれ以上の芳香族ハロ−炭化水素、例えば、1又はそれ以上の芳香族クロロ−炭化水素である。例としては、限定されるものではないが、TCB(1,2,4−トリクロロベンゼン)、ODCB(オルト−ジクロロベンゼン)、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0139】
一実施形態では、クロマトグラフィー固定相は、GPCカラムの中に含まれている。
【0140】
本発明の機器は、本明細書に記載される2又はそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0141】
上述のように、一実施形態では、本発明は、ポリオレフィンポリマーの溶液を、第1の液体クロマトグラフィー固定相又はフィールドフロー分画装置を流れる液体に導入する工程と、及びその後に該溶液を第2の液体クロマトグラフィー固定相に流す工程(該第2の液体クロマトグラフィー固定相はグラファイトカーボンを含む)とを含み、該ポリオレフィンポリマーが0よりも大きい保持係数で該液体クロマトグラフィー固定相から現れ、好ましくは該第1の又は第二のあるいは両方の液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液が、温度勾配に供される、ポリオレフィンポリマーの多次元クロマトグラフィーのための方法である。
同様に好ましくは、第1の、又は第2の、又は両方の、液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液は、溶媒勾配に供することができる。
【0142】
また、第1の、又は第2の、又は両方の、液体クロマトグラフィー固定相に導入された溶液はまた、温度及び溶媒勾配の両方に供することができる。好ましくは、ポリオレフィンポリマーは、エチレン及びα−オレフィンから本質的になる(特にα−オレフィンが1−オクテンから本質的になる場合、又はポリオレフィンポリマーが、プロピレンとα−オレフィンから本質的になる共重合体である場合の)共重合体である。同様に好ましいのは、α−オレフィンがエチレンから本質的になる場合である。望ましくは、ポリオレフィンポリマーのポリオレフィンポリマー溶液中の濃度は、1ミリリットルの溶液あたり0.1ミリグラムより大きい。
【0143】
第2の液体クロマトグラフィー固定相は、好ましくは、グラファイトカーボンから本質的になる。また、第1の液体クロマトグラフィー固定相もGPCカラムから本質的になり得、又は、第2の液体クロマトグラフィー固定相は、GPCカラムから本質的になる。
【0144】
あるいは、第1の液体クロマトグラフィー固定相は、グラファイトカーボンから本質的になり得る。
【0145】
もう一つの実施形態では、本発明は、ポリオレフィンポリマーの溶液を、液体クロマトグラフィー固定相を流れる液体に導入する工程(該液体クロマトグラフィー固定相は、グラファイトカーボンを含む)を含み、該ポリオレフィンポリマーが0よりも大きい保持係数で該液体クロマトグラフィー固定相から現れ、好ましくは、該液体クロマトグラフィー固定相に導入された該溶液を温度勾配に供する、同様に好ましくは、該液体クロマトグラフィー固定相に導入された該溶液を溶媒勾配に供する、あるいは、該液体クロマトグラフィー固定相に導入された該溶液を温度及び溶媒勾配の両方に供する、ポリオレフィンポリマーの一次元クロマトグラフィーのための方法である。
【0146】
上述のように、本開示は:ポリオレフィンポリマーの溶液を、液体クロマトグラフィー固定相を流れる液体に導入する工程(該液体クロマトグラフィー固定相は、グラファイトカーボンを含む)を含み、該ポリオレフィンポリマーが0よりも大きい保持係数で該液体クロマトグラフィー固定相から現れる、ポリオレフィンポリマーのクロマトグラフィーのための方法を提供する。本開示の改善点は、グラファイトカーボンを含む液体クロマトグラフィー固定相を、本明細書に記載されるさらなる特徴と組み合わせて使用することに重点を置く。
【0147】
また、本開示は:(a)液体移動相を、グラファイトカーボンを含む液体クロマトグラフィー固定相に接触させて流して、固定相からの液体移動相の流出液の流れを生じさせる工程と;(b)共重合体の溶液を液体移動相の中に導入して、共重合体のモノマー対コモノマー比の数学関数として変動する保持係数で、共重合体が流出液の流れに現れる工程とを含む、エチレン又はプロピレンとαオレフィンコモノマーから本質的になる共重合体のモノマー対コモノマー比を決定するための方法を提供する。
【0148】
用語「ポリオレフィンポリマー」は、本開示において、エチレン、3〜20個の炭素原子を有するαオレフィン(例えば、1−プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン及び1−オクテンなど)、4−メチル−1−ペンテン、及び/又は2〜20個の炭素を有するアセチレン性不飽和モノマー、及び/又は4〜18個の炭素を有するジオレフィン及びポリマーの密度を変更するために当分野で使用される任意のその他のモノマーからなる群から選択される1又はそれ以上の重合モノマーを含む、すべてのポリマー及び共重合体(高圧低密度ポリエチレン(LDPE)、異種ポリマー、ランダム、ブロック、及びグラフトポリマー、インターポリマー及び共重合体を含む)として定義される。異種ポリマーには、チーグラー・ナッタ重合ポリマー、例えば、LLDPE及びHDPEなどが含まれ、かつ、製品、例えばThe Dow Chemical Company製造のDOWLEX(商標)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などが含まれる。ランダム共重合体には、メタロセン又は拘束幾何触媒技術を用いて重合した共重合体が含まれ、それには、ポリマー、例えば、両方ともThe Dow Chemical Companyより入手可能な、AFFINITY(商標)ポリオレフィンプラストマー及びENGAGE(商標)ポリオレフィンエラストマー、及びExxon−Mobilより入手可能なEXACT(商標)ポリオレフィンなどが挙げられる。これらのランダム共重合体を重合するための方法は当分野で周知であり、米国特許第5,272,236号明細書及び同第5,278,272号明細書に記載のものが挙げられる。ブロック共重合体には、可逆的連鎖移動技術及び2つの触媒種を用いて重合したもの、例えば米国特許第7,355,089号明細書に開示されるものなどが含まれ、それには、ポリマー、例えば、The Dow Chemical Company製造のINFUSE(商標)オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。
【0149】
その上、用語「ポリオレフィンポリマー」は、本開示において、光散乱により測定して、1,000グラム/モルより大きい(好ましくは2,000グラム/モルより大きい、より好ましくは4,000グラム/モルより大きい、1000万グラム/モル程度の大きさであり得る)平均分子量を有するポリマーとして定義される。ポリオレフィンポリマーは、重合したエチレンモノマーと、重合したαオレフィンモノマー、例えば1−オクテンなどから本質的になる共重合体であり得る。ポリオレフィンポリマーは、重合したプロピレンモノマーと重合したαオレフィンモノマー、例えばエチレンなどから本質的になる共重合体であり得る。このようなプロピレン系ポリマーとしては、ホモポリマーポリプロピレン、耐衝撃性プロピレン系共重合体、及びランダムプロピレン系共重合体が挙げられる。その他のより特殊化されたポリマーも、本明細書に開示される方法及び機器から利益を得、それには、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体及びエチレン/スチレンインターポリマー、ハロゲン化ポリマー、及び無水マレイン酸部分を含有するポリマーが挙げられる。
【0150】
大部分の適用において、ポリオレフィンポリマーの溶液の温度、液体クロマトグラフィー固定相の温度、及び検出器の温度は、ポリオレフィンポリマーの溶解度を増大させるために;つまり、ポリオレフィンポリマーを可溶性にするために、高温で制御される。ポリオレフィンポリマーの溶液中のポリオレフィンポリマーの濃度は、好ましくは0.1ミリグラム/溶液1ミリリットル(mg/mL)より大きい、特に、2mg/mLより大きい。ポリオレフィンポリマーの溶液に使用される溶媒は、ポリオレフィンポリマーが、ポリエチレン又はポリプロピレンである場合に、好ましくはデカノールである。任意の適した液体移動相を本開示の方法で使用することができる。温度勾配移動相は、本開示の方法において好ましい。液体クロマトグラフィー固定相の温度は、本開示の方法の間に増加する可能性があり、かつ/又は溶媒組成は、本方法の間に勾配であり得る。脂肪族水素分(例えば1,2,4−トリクロロベンゼン)を含まない移動相は、本開示の方法の赤外線検出器の使用を促進する。
【0151】
グラファイトカーボンを含むいずれの液体クロマトグラフィー固定相も、本開示の方法で使用することができる。用語「グラファイトカーボン」は、本開示において、グラファイトの三次元の六方晶結晶の長距離秩序を、体積分率及びこのような結晶性ドメインの分布の均一性とは無関係に、回折法(例えばX線回折分光法など)によって材料中に検出することができる場合、構造上の欠陥の存在に関係なく、グラファイトの同素形の元素炭素を含む材料のすべての種類として定義される。カーボンナノチューブ及び炭素「バッキーボール」は、本開示の方法において有用なグラファイトカーボンの形態の例である。好ましくは、液体クロマトグラフィー固定相は、グラファイトカーボン、特に多孔性グラファイトカーボンから本質的になる。グラファイトカーボンは、通常カラムに詰め込まれ、分子レベルで六角形に配置された炭素原子の平らなシートを含む。一実施形態では、グラファイトカーボンは、約1〜約10μmの粒径(好ましくは約3μm、又は5μm又は7μmの平均粒度)、及び、好ましくは約200〜約300オングストロームの平均細孔径、より好ましくは約250オングストロームの平均細孔径を有する。一実施形態では、グラファイトカーボンの内部表面は、約10〜約140平方メートル/グラム、又は約50〜約140平方メートル/グラム、又は約100〜約140平方メートル/グラム、好ましくは約120平方メートル/グラムの面積を有する。一実施形態では、カラムの長さは、一般に約30mm〜約100mmであり、カラムの直径は、約2mm〜約5mmである。
【0152】
グラファイトカーボンから本質的になる市販の液体クロマトグラフィー固定相の一例としては、Thermo Scientific,Waltham MA製のHYPERCARBの商標のHPLCカラムが挙げられる。グラファイトカーボンを含む市販の液体クロマトグラフィー固定相の一例としては、Sigma Aldrich,St.Louis,MO製のDISCOVERY ZR−CARBONの商標のHPLCカラムが挙げられる。Leboda, et al, Materials Chemistry and Physics 55 (1998) pages 1-29に、HPLC炭素吸着剤の文献調査が記載されている。
【0153】
本開示の方法は、その他の分析手法とオンライン又はオフラインで連結することができる。例えば、選択された分子サイズのエチレン1−オクテンポリオレフィン共重合体を含有するSECカラムからの流出液を、本開示の方法により分析して、選択された分子サイズの共重合体のエチレン対1−オクテンの比を決定することができる。参照により本明細書に組み込まれる、Roy et al., Development of Comprehensive Two-Dimensional High Temperature Liquid Chromatography x Gel Permeation Chromatography for Characterization of Polyolefins, Macromolecules (2010), 43, 3710-3720;も参照されたい。
【0154】
本開示の方法は、多数のグラム又は多数のポンドのポリマーの大規模な分別を含めるために、機器及びグラファイトカラムのサイズをスケールアップすることにより、スケールアップすることができ得る。
【0155】
本開示には、分別を実施するための方法として、温度勾配が溶媒勾配に加えて、及び/又は溶媒勾配が含まれ得る。
【0156】
その上、本開示は、市販製品のコモノマー分布の純度を精製するために、商業的プロセスに分別を含めることができ得る。
【0157】
結晶溶出分別(CEF)技法は、移動する担体からのポリマーの動的結晶化に依存する。結晶化基質は、通常、球状のガラスビーズであるか又はことによるとステンレス鋼ショットであり、ポリマーとの物理的相互作用に関して程度の差はあるが不活性である。この技法の変法は、より相互作用の大きい基質、この場合では、表面積及び表面特性に関して可能性があり得るカーボンナノチューブ又はシリコンナノチューブの充填材料である、「Hypercarb」として公知の市販のカラム中の炭素表面を代用し、ポリマーの動的結晶化に依存しない。言い換えると、固定された温度での炭素表面への吸着が動的結晶化に取って代わった。この新しい技法は、熱勾配相互作用クロマトグラフィー(TGIC)として公知である。CEFもTGICも、ポリマーを溶出するために熱勾配に依存する。
【0158】
分離の機構をより完全に詳しく調べるために、さらなる分析及び識別の目的で材料をTGICカラムから収集する。カラム溶出剤は、識別に使用される計器的技法、例えばNMRなどにより必要とされる濃度に関して比較的希薄であるので、複数回の注入を行い、収集し、それぞれの画分を合わせることが必要である。
【0159】
定義
用語「ポリマー」とは、本明細書において、同じ種類であろうと異なる種類であろうと、モノマーを重合することにより調製されたポリマー化合物をさす。従ってポリマーという一般名は、用語ホモポリマー(1種類のモノマーだけで調製されたポリマーをさすために用いられ、微量の不純物がポリマー構造に組み込まれる可能性があると理解される)を包含し、用語インターポリマーは、本明細書下文に定義される通りである。
【0160】
用語「インターポリマー」とは、本明細書において、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合により調製されたポリマーをさす。一般名のインターポリマーには、共重合体(2つの異なるモノマーから調製されたポリマーをさすために用いられる)、及び、2を超える異なる種類のモノマーから調製されたポリマーが含まれる。
【0161】
用語「オレフィン系ポリマー」とは、本明細書において、過半数量の重合オレフィンモノマー、例えば、エチレン又はプロピレン、(ポリマーの重量に基づく)及び、所望により少なくとも1つのコモノマーを含むポリマーをさす。
【0162】
用語「エチレン系ポリマー」とは、本明細書において、過半数量の重合エチレンモノマー(ポリマーの重量に基づく)及び、所望により少なくとも1つのコモノマーを含むポリマーをさす。
【0163】
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」とは、本明細書において、過半数量の重合エチレンモノマー(インターポリマーの重量に基づく)及び少なくとも1つのα−オレフィンを含むインターポリマーをさす。
【0164】
用語「エチレン/α−オレフィン共重合体」とは、本明細書において、過半数量の重合エチレンモノマー(共重合体の重量に基づく)、及びα−オレフィンを、2種類だけのモノマー種として含む共重合体をさす。
【0165】
用語「プロピレン系ポリマー」とは、本明細書において、過半数量の重合プロピレンモノマー(ポリマーの重量に基づく)及び、所望により少なくとも1つのコモノマーを含むポリマーをさす。
【0166】
用語「プロピレン/α−オレフィンインターポリマー」とは、本明細書において、過半数量の重合プロピレンモノマー(インターポリマーの重量に基づく)及び少なくとも1つのα−オレフィンを含むインターポリマーをさす。
【0167】
用語「プロピレン/α−オレフィン共重合体」とは、本明細書において、過半数量の重合プロピレンモノマー(共重合体の重量に基づく)、及びα−オレフィンを、2種類だけのモノマー種として含む共重合体をさす。
【0168】
用語「組成物」には、本明細書において、その組成物を含む材料、ならびにその組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物の混合物が含まれる。
【0169】
用語「多次元クロマトグラフィー」とは、本明細書において、複数の分離機構の連結をさす(例えば、「J.C. Giddings (1990), Use of Multiple Dimensions in Analytical Separations, in Hernan Cortes Editor, Multidimensional Chromatography: Techniques and Applications (1st ed. pp. 1), New York, NY: Marcel Dekker, Inc.」参照)。
【0170】
用語「保持係数」は、図1(FIGURE A)に示される通りに定義される。この図は、理論化されたHPLCクロマトグラムを表し、Vrの溶出容積ピークでの成分Aの溶出を表す。固定相から溶出する低分子量の非保持成分は、Vで溶出する。成分Aの保持係数(k)は、(Vr−V)/Vである。
【0171】
用語「クロマトグラフィー固定相」とは、本明細書において、クロマトグラフの過程の流体流(液体又は気体)中に存在し、分析物及び/又は対象の流体流と相互作用する材料をさす。当分野で公知のように、語句「液体クロマトグラフィー固定相」中の用語「液体」とは、クロマトグラフィー法の種類、例えば液体クロマトグラフィー法、例えばHPLC又はGPCなどをさす。
【0172】
用語「フィールドフロー分別(FFF)装置」とは、本明細書において、フィールド中の様々な成分(例えば、ポリマー成分)の異なる易動度によって分離を引き起こすために、フィールドを、混合物(例えば、ポリマー溶液)に、混合物の流れに垂直に適用した分離技法をさす。「Giddings, Yang, and Myers, Flow-field-flow Fractionation: A Versatile New Separation Method. Science 193.4259 (1976): 1244-1245」も参照されたい。
【0173】
用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されていようといまいと、任意のさらなる成分、工程又は手順の存在を排除することを意図するものではない。あらゆる疑いを避けるために、用語「含む(comprising)」を用いて特許請求されるすべての組成物には、別に記述されない限り、ポリマーであろうと別のものであろうと、任意のさらなる添加剤、アジュバント、又は化合物が含まれ得る。その一方、用語、「から本質的になる」は、続いて起こるあらゆる列挙の範囲からも、任意のその他の成分、工程又は手順を、それらが実施可能性に必須でないと予期して排除する。用語「からなる」は、具体的に描写又は記載されていないいかなる成分、工程又は手順も排除する。
【0174】
試験法
ポリマー密度は、ASTM D−792−08に従って測定した。
【0175】
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I2)は、ASTM D−1238−04、条件190℃/2.16kgに従って測定する。プロピレン系ポリマーに関して、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238−04、条件230℃/2.16kgに従って測定する。
実験
【実施例1】
【0176】
メタロセン重合エチレン−オクテン共重合体生成物(EO−1)を、分別に選ぶ。EO−1のメルトインデックスは、0.82g/10分であり、密度は0.885g/cmである。TGIC(熱勾配相互作用クロマトグラフィー)で使用するためのサンプルを、約32mgのポリマーを「10ml」GCガラスバイアルの中に秤量することにより調製し、それに蓋をかぶせて、結晶化溶出分別(CEF)(PolymerChar,Spain)オートサンプラーの中に入れた。この計器により、酸化防止剤として300ppmブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有するo−ジクロロベンゼン(ODCB)を、バイアルに添加し、ポリマー中約「4mg/mL」の溶液を作成する。溶解は、オートサンプラーにより160℃にて90分間行う。CEFは、150℃で動作するIR−4検出器を備えている。遅れ容積(第1のポリマー画分が検出器に到達するまで移動しなければならない容積)は、1.5mlである。
【0177】
カラムは、「長さ10cm」のHYPERCARBカラム、部品番号35005−104646であり、移動相はODCBである。注入量は300μLであり、注入温度は150℃である。ポリマー溶液は、110℃でカラムに装入される。ポリマー溶液は、110℃にて2分間保持され、次に10℃/分で90℃まで冷却され、90℃で2分間、熱平衡のために保持される。この冷却及び熱平衡段工程の間、溶媒流は使用しない。ポリマー溶液は、90℃から165℃まで3℃/分で、0.7ml/分の流速で溶出する。クロマトグラムを図2(Figure 1a)に示す。
【0178】
画分の収集は、Spectra Chrom CF−1フラクションコレクターを用いて行う。コレクターは、捕集バイアルを2分毎(6℃毎)に交換する、時限モードで動作する。バイアルはガラスである。別個の溶媒ラインを用いて、カラムをフラクションコレクター切り換え弁(diverter valve)に直接接続する。CEF検出器は迂回される。収集は、溶出過程の温度プログラム及びポンプフローが開始される時点で、毎回手動によって開始される。同じバイアルを各々の注入に使用するので、時限画分(timed fraction)が堆積する。合計12の画分が90℃から165℃まで収集される。
【0179】
11回の注入が完了した後、12本のバイアルをアルミホイルで蓋をして、140℃の真空炉に入れてODCBを除去する。溶媒の蒸発により、ポリマーの薄い層がバイアルの側面及び底部に残った。画分番号1、2、3、4、5、6、7、8及び12のバイアルをH NMR分析にかけた。
【0180】
H NMR分析の実験条件は、次の通りである:「0.001M Cr(AcAc)を含有する1.4gのテトラクロロエタン−d」を、ポリマーを含有するバイアルに添加する。溶液を120℃まで加熱してポリマーを洗い落とす。溶液を、10mm NMRチューブに移す。この手順を2回反復する。H NMRは、120℃のBruker AV400で10mmクライオプローブによって獲得する。残留水のシグナルは、メチン及びメチレンからのシグナルに非常に近い。オクテン含量を正確に測定するために、残留水の影響を減らす新しい方法を開発する。この方法は、3滴のDMSO−dを使用して水シグナルを低磁場に移動させて、比較的正確なメチン及びメチレンのシグナル積分を得る。2つのプロトンNMRスペクトルを、オクテン含量を得るために獲得した。最初は、通常のH NMRであり、メチン及びメチレンからのシグナル積分は、TCE−dからの残留シグナルの積分を100に設定した後に得る。2番目は、再び100に設定されるTCE−dからの残留シグナルと比較してより正確なメチルの積分を得るために、メチン及びメチレンのシグナルのわずかなプリサチュレーションを含むH NMRである。オクテン含量は、図4(Figure 2)に従って計算される。各々の画分のコモノマーモル%のプロットを、各々の画分の出発温度に対してプロットする(図2(Figure 1b)参照)。
【実施例2】
【0181】
重合エチレン−オクテン(EO)ポリマー及びブレンドでの熱勾配相互作用クロマトグラフィー(TGIC)。EO−2のメルトインデックスは、1g/10分であり、密度は0.865g/cmである。EO−3のメルトインデックスは、66g/10分であり、密度は0.882g/cmである。ブレンド番号1は、EO3と、1g/10分のメルトインデックス及び0.953g/cmの密度の高密度ホモポリマーポリエチレンの「50:50(重量/重量)溶液ブレンド」である。ブレンド番号2は、13g/10分のMFR(ASTM D 1238条件2.16kg/230℃)のアイソタクチックポリプロピレンと、NIST SRM線状ポリエチレン1484aの「50:50(重量/重量)溶液ブレンド」である。
【0182】
溶解時間は、160℃で120分である。ポリマー溶液を、100℃でカラムに装入する。ポリマー溶液を100℃で2分間保持し、次に20℃/分で80℃まで冷却し、熱平衡のために80℃で5分間保持する。ポリマー溶液は、80℃〜165℃、4℃/分、流速0.5ml/分で溶出する。その他の実験条件は実施例1と同じである。EO−2、ブレンド番号1及びブレンド番号2に関するクロマトグラムを図5(Figure 3)に示す。
【0183】
要約するために、図3(Figure 1b)は、EO−1の組成に基づく分離を示す。それは、本発明を用いて0から少なくとも20モルパーセントのコモノマー含量を示すが、先行技術の技法、例えば昇温溶離分別(TREF)及び結晶化分別(CRYSTAF)などを用いて、そのような広範囲のコモノマー含量での分離は不可能である。さらに、TGICの使用は、TREF又はCRYSTAFに別に必要な分析時間の一部分を提供する。例えば、TREFに対して約480分及びCRYSTAF分析に対して約300分と比較して、TGIC分析に対して約30分である。
【0184】
また、分別機構は、TREFとCRYSTAFで異なるので(両方とも結晶化能に基づく)、TGICの使用は、共結晶化作用でなく、コモノマーのみに基づく分離を可能にする。溶媒勾配がないため、このことにより、TGIC用の検出器、例えば市販の光散乱検出器、粘度計及びIR−5検出器(PolymerChar)などの窓が大きく開かれる。TGICを使用するその他の利点は、複数の検出器、光散乱検出器(例は多角光散乱検出器、二角光散乱)異なる波長フィルタを備えたIR−4検出器、オンライン粘度計(例は2つの毛細血管粘度計、3つの粘度計)、及びオンラインFT−IR検出器を自由に使用することである。
【0185】
図5(Figure 3)は、異なる組成をもつポリオレフィンポリマーの改良された分解を示す。例えば、ブレンド番号2に関して、アイソタクチックポリプロピレンとHDPEの分離は、少なくとも60℃であるが、ATREFは、約20℃の分離をもたらし、CRYSTAFは10℃未満の分離を有する。
【実施例3】
【0186】
8つのエチレン−オクテン(EO)共重合体(EO−4〜EO−11)及び1つのオクテン−エチレン共重合体(EO−12)を、CGC触媒を用いることにより重合した。各々のEOポリマーのオクテンモルパーセント(表1)は、13C NMRにより測定した。EO−4〜EO−12を、HYPERCARBカラム(カラム寸法:100mm×4.6mm、粒径7μm、及びS/N:0501919K4)、及び市販の結晶化溶出分別(CEF)計器(PolymerChar,Spain)でTGICにより分析する。CEFは、IR−4検出器を備えている。ODCBを溶媒として使用する。サンプルは、CEFのオートサンプラーにより調製する。CEF計器ツールでエクセルシートとしてエクスポートした詳細な実験パラメータを、表2に記載する。EO−4〜EO−12のクロマトグラムを、図6(Figure 4)に示す。クロマトグラムのピーク温度は、オクテンモル%と共に低下する。溶出のピーク温度は、EO−12<EO−11<EO−10<EO−9<EO−8<EO−7<EO−6<EO−5<EO−4の順序である(EO−4のポリマー画分のみ説明される)。エイコサンは、0℃でODCBに可溶性であり、従ってEO−4ブレンドの可溶性画分のようである。最大オクテンモル%のEO−12は、最低温度で溶出するが、0オクテンモル%のEO−4ポリマー画分は最大温度で溶出する。各々のクロマトグラムのピーク温度を、図7(Figure 5)においてオクテンモル%に対してプロットする。「TGICクロマトグラムのピーク温度」に対する「オクテンモルパーセント」の相関が得られる。この相関は、その他の結晶化に基づく技法、例えば13C NMRに基づいて通常12モルパーセント未満のオクテンであるCEF、ATREF及びCRYSTAFなどよりもはるかに高いオクテン域(octene range)を網羅する(Randall, James C., JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys., C29 (2&3), 201-317 (1989)参照)。
【0187】
【表1】

【0188】
【表2】

【実施例4】
【0189】
Panefより購入したグラファイト(Acrotech Inustries,Inc,Milwaukee,WIの1部門、「グラファイト潤滑剤(Graphite Lubricant)」の名称で販売されている)を、充填材料として使用する。ODCBを移動相として使用する。グラファイト潤滑剤(33重量%)を、67重量%の「27μmガラス球」(MO−SCI Specialty Products,LLC,Rolla MI)とよく混合する。この混合物を、内径が0.085インチ、外径が0.125インチ、管の長さが60インチのステンレス管製のカラムを充填するために使用する。EO−5及びNISTポリエチレン標準品1484aのサンプルを、このカラムでTGICにより分析する。詳細なTGIC実験パラメータを表3に記載する。EO−5及びNIST1484aのTGICクロマトグラムを図8(Figure 6)に示す。NIST1484aは、EO−5よりも高い温度で溶出する。
【0190】
【表3】

【実施例5】
【0191】
本発明のTGIC分析において、長いカラムを使用することが、冷却過程の間に小さな溶媒流を使用することによる、分解の改善に有益であることが見出された。また、TGICの冷却過程の間の遅い流れ(CEF計器におけるこの過程の用語は結晶化とされた)により、固定されていない鎖からの固定された鎖(固定相に固定されている)のさらなる分離が可能となることも見出された。流れは、固定されていない鎖をカラムに沿って押す。この利点は、EO−13を使用することにより実証される。EO−13は、Z−N触媒から作られ、密度が0.920g/cmでありメルトインデックスが1.0g/10分である。「2.3ml」のカラム容積に、33重量%のグラファイト潤滑剤(Acrotech Inustries,Inc,Milwaukee,WIの1部門)及び67重量%の125μmガラスビーズ(MO−SCI Specialty Products,LLC,Rolla,MI)の混合物を充填する。カラムは、内径が0.085インチ、外径が0.125インチ、長さが60インチのステンレス管である。ODCBを移動相として使用する。表4は、33重量%グラファイト及び67重量%「125um」ガラスビーズのこの混合物を充填したカラム、ならびに、カラム容積が0.7mlと測定されるHYPERCARBカラム(Thermo Scientific)に関するTGIC実験条件を示す。これらの2つのカラムを使用する、EO−13のそれぞれのクロマトグラムを図8(Figure 6)に示す。図8(Figure 6)に示されるように、より良好な分離はより長いカラムで達成され、より長いカラムは、次に、冷却過程の間に、「100mm」の市販のHYPERCARBカラムのより遅い流速と比較して(0.03ml/分)、より高い流速(0.15ml/分)の使用を可能にする。
【0192】
【表4】

【0193】
本発明は、先行する実施例においてかなり詳細に説明されたが、この詳細は、説明を目的とするものであって、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の制限と解釈されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンポリマーの溶液を、液体クロマトグラフィー固定相を流れる液体に導入する工程を含む、前記ポリオレフィンポリマーの一次元クロマトグラフィーのための方法であって、前記液体クロマトグラフィー固定相がグラファイトカーボンを含み、前記液体クロマトグラフィー固定相から現れる前記ポリオレフィンポリマーが0より大きい保持係数を有し、かつ、
前記液体クロマトグラフィー固定相に導入された前記溶液を温度勾配に供する、及び/又は前記溶液を溶媒勾配に供する、方法。
【請求項2】
前記液体クロマトグラフィー固定相に導入された前記溶液を、温度勾配に供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体クロマトグラフィー固定相に導入された前記溶液を、溶媒勾配に供する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液体クロマトグラフィー固定相に導入された前記溶液を、温度勾配と溶媒勾配の両方に供する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記液体クロマトグラフ固定相が、少なくとも1つの不活性充填剤をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの不活性充填剤がガラスである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記固定相が、前記充填剤とグラファイトカーボンの合計重量に基づいて、50重量パーセント以上の前記不活性充填剤を含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記不活性充填剤が、球の形態である、請求項5から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記固定相が、8より大きいL/D比(L=カラム長さ、D=前記カラムの外径)を有するカラムに含まれている、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ポリオレフィンポリマーが、エチレンとα−オレフィンの共重合体である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ポリオレフィンポリマーが、プロピレンとα−オレフィンの共重合体である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ポリオレフィンポリマーの溶液を、第1の液体クロマトグラフィー固定相又はフィールドフロー分画装置を流れる液体に導入する工程と、その後に前記溶液を第2の液体クロマトグラフィー固定相に流す工程であって、前記第2の液体クロマトグラフィー固定相がグラファイトカーボンを含む工程とを含む、前記ポリオレフィンポリマーの多次元クロマトグラフィーのための方法であって、前記液体クロマトグラフィー固定相から現れる前記ポリオレフィンポリマーが、0よりも大きい保持係数を有する、方法。
【請求項13】
前記第1の、又は前記第2の、又は両方の、液体クロマトグラフィー固定相に導入された前記溶液が、温度勾配に供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の、又は前記第2の、又は両方の、液体クロマトグラフィー固定相に導入された前記溶液が、溶媒勾配に供される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の、又は前記第2の、又は両方の、液体クロマトグラフィー固定相に導入された前記溶液が、温度勾配と溶媒勾配の両方に供される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
液体クロマトグラフィー固定相を含む、ポリオレフィンポリマークロマトグラフィーのための機器であって、前記液体クロマトグラフィー固定相が、グラファイトカーボン及び少なくとも1つの不活性充填剤を含む、機器。
【請求項17】
温度勾配装置及び/又は溶媒勾配装置をさらに含む、請求項16に記載の機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−515267(P2013−515267A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546146(P2012−546146)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/061526
【国際公開番号】WO2011/084786
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)