グラム陽性細菌に対するワクチンにおけるCna_Bドメイン抗原
本発明は、グラム陽性細菌に対する、特に、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、S.aureus、S.suis、およびS.equiに対する、防御を誘導するワクチン組成物において有用である防御抗原を提供する。本発明はまた、種々の連鎖球菌および/またはブドウ球菌の種の間の交差防御を含めて、グラム陽性細菌感染に対して抗体を誘導するため、およびこれを処置または防御するためにCna_Bドメイン抗原を用いる方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年1月12日に出願されたUS61/143,859の利益を主張し、US61/143,859の全容は参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、免疫学およびワクチン学の分野にある。詳細には、本発明は、グラム陽性細菌由来の抗原および免疫におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
グラム陽性細菌は、最も毒性のヒトおよび動物の病原のいくつかを含み、多くの重篤な疾患および引き続く続発症の原因となる。グラム陽性細菌感染に対して有効なワクチンが引き続き当該分野で必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
「Cna_Bドメイン」は、S.aureusのコラーゲン結合表面タンパク質中でコラーゲン結合を媒介しない領域として最初に記載された。反復性のB領域の構造は、βサンドイッチ構造を形成する。この領域は、細菌細胞表面から離れたリガンド結合ドメインを示すS.aureusコラーゲン結合タンパク質中のストーク(stalk)を形成すると考えられる。Cna_Bドメインを含んでいるタンパク質は、
【0005】
【数1】
を含めて種々のグラム陽性の病原性細菌に存在する。
【0006】
下の特定の実施例に記載されるとおり、S.pyogenes Cpaタンパク質(Spy_M18_0126、配列番号23)のCna_Bドメイン(配列番号7)は、免疫原性である。これに対して惹起された特異的抗体は、S.pyogenes、S.agalactiae、S.pneumoniae、S.suis、およびS.equiの組み換えタンパク質を認識する。GAS_Cpa_M18タンパク質血清に含まれる抗体の約半分は、Cna_Bドメインに特異的であり、かつM18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_Bドメインに対して惹起された抗血清(「抗Cna_B血清」)は、タンパク質全体(「GAS_M18_cpa」)に対して惹起された抗血清では検出されなかったタンパク質をウエスタンブロット中で検出し、かつS.agalactiaeの食作用性の殺傷を媒介する。Spy_M18_0126のCna_Bドメインはまた、GBSでチャレンジされたマウス中の受動的防御も媒介する。従って、連鎖球菌のCna_Bドメインまたは他のグラム陽性細菌(例えば、S.aureus)タンパク質のCna_Bドメインに対して抗体を惹起するという利点がある。
【0007】
本発明は、グラム陽性細菌に対する、特にS.aureus、S.pneumoniae、S.agalactiae(GBS)、S.pyogenes(GAS)、S.equi、およびS.suisのうちの1つ以上に対する防御を誘導するワクチン組成物中で有用であるCna_Bドメイン抗原を提供する。本発明はまた、種々の連鎖球菌および/またはブドウ球菌の種の間の交差防御を含めて、グラム陽性細菌感染に対して抗体を誘導するため、およびこれを処置または防御するためにCna_Bドメイン抗原を用いる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1Aは、隣接するドメイン(「Fbシグナル」)と一緒にクローニングしたS.pyogenesタンパク質Cpa_M18(Spy_M18_0126)のCna_Bドメインのアミノ酸配列(配列番号1)である(「Cna_B−Fb」)。図1Bは、クローニングされたドメインを図示している。実施例1を参照のこと。
【図2】図2は、精製された組み換えHisタグCna_B−Fbドメインを含んでいるSDS−ポリアクリルアミドゲルである。実施例1を参照のこと。
【図3】図3A〜図3Dは、S.pyogenes Cpa_M18(Spy_M18_0126)Cna_B−Fbドメインが免疫原性であること、およびCna_B−Fbドメイン抗血清がS.pyogenesの種々のM株由来のCpaおよびF2(MGAS2096_Spy0119)タンパク質(図3A〜図3C)、ならびにS.agalactiae(図3C〜図3D)およびS.pneumoniae(図3D)の線毛成分を認識することを示しているウエスタンブロットである。実施例1を参照のこと。
【図4】図4A〜図4Bは、Cna_B−Fb抗血清の反応性(図4A)とCpa_M18抗血清の反応性(図4B)とを比較しているウエスタンブロットである。実施例1を参照のこと。
【図5】図5は、組み換えCna_B−Fbに対して惹起された抗血清(実施例1を参照のこと)および分化したHL−60細胞を用いるS.agalactiae株515およびJMについてのオプソニン食作用(opsonophagocytosis)アッセイの結果を示しているグラフである。実施例2を参照のこと。
【図6】図6は、S.agalactiae変異体株R13(線毛アイランド(pili island)2を欠く)およびその補完株(S.pyogenes線毛M1またはS.pyogenes線毛M6を含んでいる)についてのオプソニン食作用アッセイの結果を示しているグラフである。実施例2を参照のこと。
【図7】図7は、種々のS.pyogenes株由来のCpaタンパク質のCna_Bドメインのアミノ酸配列のアラインメントである。
【0009】
【化1】
【図8】図8は、S.agalactiae由来の線毛タンパク質のCpa_Bドメインのアミノ酸配列のアラインメントである。
【0010】
【化2】
【図9】図9は、M18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_BドメインとのGBSアイランド1線毛成分のアミノ酸のアラインメントである。
【0011】
【化3】
【図10】図10は、M18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_BドメインとのGBSアイランド2線毛成分のアミノ酸配列のアラインメントである。
【0012】
【化4】
【図11】図11は、M18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_BドメインとのGBSアイランド3線毛成分のアミノ酸配列のアラインメントである。
【0013】
【化5】
【図12】図12は、M18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_BドメインとのS.pneumoniae線毛株TIGR4成分のアミノ酸配列のアラインメントである。
【0014】
【化6】
【図13】図13は、M18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_BドメインとのCna_Bドメインを含んでいるS.aureusタンパク質のアミノ酸配列のアラインメントである。
【0015】
【化7】
【図14】図14は、Cna_B抗血清がS.suis組み換えタンパク質を認識したことを示しているウエスタンブロットである。
【0016】
【化8】
【図15】図15は、Cna_B抗血清がS.equi組み換えタンパク質を認識したことを示しているウエスタンブロットである。
【0017】
【化9】
【図16】図16は、2つのS.suisタンパク質のCna_BドメインとのS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_Bドメイン(Spy_M18_0126、配列番号23)(配列番号7)のアラインメントである。
【0018】
【化10】
【図17】図17は、2つのS.equiタンパク質のCna_BドメインとのS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_Bドメイン(Spy_M18_0126、配列番号23)(配列番号7)のアラインメントである。
【0019】
【化11】
【図18】図18は、選択されたGBS株とのGAS Cna_B血清交差反応のFACS分析である。
【図19】図19は、実施例4に記載されるELISAアッセイの結果を示しているグラフである。
【図20】図20は、Cna_Bドメイン抗原に対する抗血清は、GBSタンパク質抽出物におけるGBS線毛を認識するということを示しているウエスタンブロットである。「α−GAS_Cna_B_M18」は、実施例1に記載のとおり、Cna_B−Fb−M18で免疫したマウス由来の抗血清である。
【図21】図21は、Cna_Bドメイン抗原で免疫したマウスは、GAS皮下感染モデルにおける皮膚病変面積の低減を示すということを示しているグラフである。実施例6を参照のこと。
【図22】図22は、Cna_Bドメイン抗原で免疫したマウスは、S.aureusでチャレンジした場合、鼻咽頭コロニー形成率の低減を示すということを示しているグラフである。実施例7を参照のこと。
【図23】図23は、Cna_Bドメイン抗原で免疫したマウスは、S.aureusでチャレンジした場合、鼻咽頭コロニー形成率の低減を示すということを示しているグラフである。実施例9を参照のこと。
【図24】図24は、キメラCna_Bドメイン抗原で免疫した母から生まれたマウスは、キメラCna_Bドメイン抗原で免疫した場合、コントロールよりも生存率の増大を示すということを示しているグラフである。実施例1を参照のこと。
【図25】図25は、キメラCna_Bドメイン抗原で免疫したマウスは、GAS皮下感染モデル中で皮膚病変面積の減少を示したということを示しているグラフである。実施例6を参照のこと。
【図26A】図26A〜図26Bは、S.aureus subsp. aureus NCTC8325のSdrDタンパク質の図示およびアミノ酸配列(配列番号132)である(図26A);前述のCna_Bドメイン抗原の図示およびそのアミノ酸配列(配列番号132)であり、Cna_Bドメインを示している(図26B)。
【図26B】図26A〜図26Bは、S.aureus subsp. aureus NCTC8325のSdrDタンパク質の図示およびアミノ酸配列(配列番号132)である(図26A);前述のCna_Bドメイン抗原の図示およびそのアミノ酸配列(配列番号132)であり、Cna_Bドメインを示している(図26B)。
【図27】図27A〜図27Cは、Cna_Bドメインのクローニング、発現および精製である。図27Aは、SdrDのクローニングされたCna_Bドメイン(配列番号134〜138)を図示している。図27Bは、クローニングされたドメイン(配列番号133)のアミノ酸配列である。図27Cは、精製されたCna_Bドメインを含んでいるSDS−ポリアクリルアミドゲルである。
【図28】図28は、Cna_B_SdrDは、S.aureus株USA300での感染に対してマウスモデルにおいて防御を付与するということを示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
(Cna_Bドメイン)
任意のグラム陽性細菌タンパク質由来のCna_Bドメインを、本発明の組成物および方法で用いてもよい。種々のS.aureus、S.pneumoniae、S.agalactiae、S.pyogenes、S.suisおよびS.equiタンパク質由来のCna_Bドメインのアミノ酸配列は、図7〜図13、図16および図17に示され、配列番号2〜10、27〜35、53〜57、66、67、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜138として列挙されている配列に示される。Cna_Bドメインを含んでいる他のタンパク質の例は、配列番号89〜102および132に示される。Cna_Bドメインは代表的には、図7〜13に「Gボックス」として特定される1つ以上の配列を含む。図7〜13に示されるGボックスのアミノ酸配列のコンセンサス配列を、配列番号74に示す。
【0021】
(改変体)
いくつかの実施形態では、本発明のCna_Bドメインの改変体は、配列番号2〜10、27〜35、53〜57、66、67、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜138のいずれかに対して少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する。代表的には、Cna_Bドメインのアミノ酸配列と、Cna_Bドメインの改変体のアミノ酸配列との間の何らかの相違は、1つ以上の保存的アミノ酸置換(代表的には、1、2、3、4、5、6、7または8個の置換)に起因する。しかし、アミノ酸欠失または挿入もまた可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は化学的特性に基づき、かつ、保存的アミノ酸置換としては、正に荷電されたアミノ酸の別の正に荷電されたアミノ酸による置換(例えば、H、K、R);負に荷電されたアミノ酸の別の負に荷電されたアミノ酸による置換(例えば、D、E);極めて疎水性のアミノ酸の別の極めて疎水性のアミノ酸による置換(例えば、C、F、I、L、M、V、W);疎水性の低いアミノ酸の別の疎水性の低いアミノ酸による置換(例えば、A、G、H、P、S、T、Y);部分的に疎水性のアミノ酸の別の部分的に疎水性のアミノ酸による置換(例えば、K、R);脂肪族のアミノ酸の別の脂肪族のアミノ酸による置換(例えば、A、I、L、M、P、V);極性のアミノ酸の別の極性のアミノ酸による置換(例えば、A、D、E、G、H、K、N、P、Q、R、S、T、Y);芳香族のアミノ酸の別の芳香族のアミノ酸による置換(例えば、F、H、W、Y);および小型のアミノ酸の別の小型のアミノ酸による置換(例えば、D、N、T)が挙げられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、BLOSUM62表を用いて決定される。BLOSUM62表は、タンパク質配列セグメントの約2,000個の局所マルチプルアラインメント由来のアミノ酸置換マトリックスであり、関連のタンパク質の500を超える群の高度に保存された領域を表す(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915,1992)。BLOSUM62の置換頻度は、Cna_Bドメインのアミノ酸配列へ導入され得る保存的アミノ酸置換を規定するために用いられ得る。これらの実施形態では、保存的置換とは好ましくは、−1より大きいBLOSUM62値によって示される置換を指す。例えば、アミノ酸置換は、その置換が、0、1、2または3というBLOSUM62値によって特徴付けられる場合保存的である。このシステムによれば、好ましい保存的アミノ酸置換は、少なくとも1(例えば、1、2または3)というBLOSUM62値で特徴付けられるが、より好ましい保存的アミノ酸置換は、少なくとも2(例えば、2または3)というBLOSUM62値で特徴付けられる。
【0024】
特定のアミノ酸置換または改変は、図7〜図13に示されるようにCna_Bドメインをアラインメントすることによって特定され得る。このような選択肢の任意の組み合わせを含んでいるCna_Bドメイン抗原(下記)は、本発明の範囲内である。
【0025】
(Cna_Bドメイン抗原)
「Cna_Bドメイン抗原」は、上記のような1つ以上のCna_Bドメインを含み、かつN末端、C末端またはその両方で追加のアミノ酸を含んでも含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、Cna_Bドメイン抗原は、配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および133〜138のいずれかからなる。他の実施形態では、Cna_Bドメイン抗原は、Cna_Bドメインおよび天然の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌)のタンパク質におけるCna_Bドメインに直接隣接しない他のアミノ酸配列を含む。すなわち、このような抗原では、Cna_BドメインのN末端アミノ酸のアミノ基は、天然の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌)のタンパク質において連結されるアミノ酸のカルボキシル基に対してペプチド結合によって連結されず、および/またはCna_BドメインのC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質、例えば、S.aureus、S.pneumoniae、S.agalactiae(GBS)、S.pyogenes(GAS)、S.equi、またはS.suisのタンパク質において連結されるアミノ酸のアミノ基に対してペプチド結合によって連結されない。「天然の」グラム陽性細菌のタンパク質とは、グラム陽性細菌中で、それらが自然に存在しているように見出されるタンパク質であり:「天然の」の連鎖球菌またはブドウ球菌のタンパク質とは、それぞれ、連鎖球菌またはブドウ球菌の細菌中で、それらが自然に存在しているように見出されるタンパク質である。
【0026】
さらに他の実施形態では、Cna_Bドメイン抗原は、Cna_BドメインならびにそのドメインのN末端および/またはC末端(単数または複数)の追加のアミノ酸からなり、ただし、このCna_Bドメイン抗原は、全長の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌の)タンパク質(表1〜32を参照のこと)からなることはない。
【0027】
他の実施形態では、Cna_Bドメイン抗原は、式:
A(LB)n
のポリペプチドからなり、
ここで:
Aは第一のCna_Bドメインであり;Bは第二のCna_Bドメインであり;nは整数であり(代表的には、1〜10;例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)であり;かつLは独立して、存在しないかまたはアミノ酸リンカーである。このような抗原におけるCna_Bドメインは、同じであっても、異なっても、または同じであるいくつかのCna_Bドメインと、異なるいくつかのCna_Bドメインとの混合物であってもよい(すなわち、全てのCna_Bドメインは、異なってもよいし、または2つ以上のCna_Bドメインは、同じであってもよい)。例えば、Cna_Bドメインは、2つ以上の異なるグラム陽性のタンパク質、特にグラム陽性の球菌のタンパク質、例えば、連鎖球菌タンパク質、ブドウ球菌タンパク質のドメインであっても、または2つ以上の異なる種もしくは株(例えば、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、S.aureus、S.suisおよび/またはS.equi)のタンパク質のドメインであってもよい。
【0028】
アミノ酸リンカーは、任意のCna_Bドメインの間に存在する場合、代表的には、6〜12個のアミノ酸(例えば、6、7、8、9、10、11または12個)を含む。GSGGGG(配列番号79)は、有用なリンカーの例である。Cna_Bドメイン抗原中のリンカーは、同じであっても異なってもよい。
【0029】
式A(LB)nのCna_Bドメイン抗原の例としては、配列番号108を含むかまたは配列番号108からなるタンパク質が挙げられる。配列番号108は、N末端からC末端に、SAG_0645のCna_Bドメイン(配列番号112)、アミノ酸配列VDS、第一のアミノ酸リンカー(配列番号79)、SAN_1518のCna_Bドメイン(配列番号113)、第二のアミノ酸リンカー(配列番号79)、SAL_1487の第一のCna_Bドメイン(配列番号110)、アミノ酸配列NSG、SAL_1487の第二のCna_Bドメイン(配列番号111)、およびアミノ酸KQIを含む。
【0030】
式A(LB)nのCna_Bドメイン抗原の他の例としては、配列番号109を含むかまたは配列番号109からなるタンパク質が挙げられる。配列番号109は、N末端からC末端に、SAG_0645のCna_Bドメイン(配列番号112)、アミノ酸配列VDS、第一のアミノ酸リンカー(配列番号79)、SAN_1518のCna_Bドメイン(配列番号113)、第二のアミノ酸リンカー(配列番号79)、SAL_1486の第一のCna_Bドメイン(114)、アミノ酸配列LPL、SAL_1486の第二のCna_Bドメイン(配列番号115)、およびアミノ酸配列DIEを含む。
【0031】
式A(LB)nのCna_Bドメイン抗原の他の例としては、配列番号127、128、129、130、131、133、134、135、136、137または138を含むかまたはそれらからなるタンパク質が挙げられる;実施例8および10を参照のこと。
【0032】
上記のCna_Bドメイン抗原では、βプリーツのシートを切断しないように、アミノ酸配列VDS、NSG、KQI、LPLおよびDIEが含まれる。Cna_Bドメインの三次構造の保存を補助するために本発明のCna_Bドメイン抗原において他のこのようなアミノ酸配列を含むことは当業者の技術の十分に範囲内である。
【0033】
式A(LB)nのCna_Bドメイン抗原のさらに他の例は以下を含む。
【0034】
a.S.pyogenes Spy_M18_0126(例えば、配列番号7)およびM6_Spy0159)(例えば、配列番号8)ならびにMGAS2096_Spy0119(例えば、配列番号121)のCna_Bドメイン;これらとしては、配列番号121の5つのCna_Bドメイン(配列番号122〜126)の融合物を含むCna_Bドメイン抗原が挙げられる。Spy0159のCna_Bドメインのコード配列は、配列番号120に示される。Spy0119のコード配列は、配列番号119に示される。配列番号121のヌクレオチド181〜390、1576〜1797、1915〜2127、2281〜2496および2716〜2916は、それぞれ配列番号122〜126に示されるCna_Bドメインをコードする。
【0035】
b.S.aureusのSdrD(例えば、配列番号134〜138;配列番号66、および/または67;配列番号139)、およびCna_B_キャップ(例えば、配列番号68)のCna_Bドメイン。
【0036】
c.S.pneumoniae SP_0463)(例えば、配列番号53)、Cna_B_RrgA(SP_0462)(例えば、配列番号54および/または56)、およびCna_B_RrgC(SP_0464)(例えば、配列番号55および/または57)のCna_Bドメイン。
【0037】
d.Spy_M18_0126(例えば、配列番号7)、SAG0645(配列番号33)、RrgB(SP_0463)(例えば、配列番号53)、およびSdrD(例えば、配列番号134〜138;配列番号66および/または配列番号67;配列番号139)のCna_Bドメイン。
【0038】
本発明のCna_Bドメイン抗原はまた、上記の任意のCna_Bドメイン抗原を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかでは、Cna_BドメインのN末端アミノ酸のアミノ基は、天然の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌)のタンパク質において連結されるアミノ酸のカルボキシル基に対してペプチド結合によって連結されず、および/またはCna_BドメインのC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌)のタンパク質において連結されるアミノ酸のアミノ基に対してペプチド結合によって連結されない。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明の1つ以上のCna_Bドメイン抗原は、別の細菌抗原、好ましくは別の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌の)抗原を含む融合ポリペプチドの一部である。適切な抗原は、例えば、WO99/05447、WO02/034771、WO04/018646、WO05/028618、WO05/032482、WO06/042027およびWO06/078318に開示される。
【0040】
1つ以上のCna_Bドメインおよび他のドメイン、例えばフォン・ヴィレブランド因子A(vWFA)ドメイン(例えば、配列番号105、106、107)を含んでいる融合ポリペプチドも、本発明の範囲内であり、例えば:
a.Spy_M18_0126)(例えば、配列番号7)のCna_BドメインおよびvWFA_cpa_M6_(M6_Spy0159)(例えば、配列番号105);および
b.SAG0645(例えば、配列番号33)のCna_BドメインおよびvWFA_SAL_1487(例えば、配列番号106)。
【0041】
このような融合ポリペプチドは、種々の融合パートナーの間のリンカー配列および/または各々の融合パートナーに隣接する配列を含んでもよく、下の表1〜37および表43〜48に開示されるものから選択され得る。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【表7−1】
【0049】
【表7−2】
【0050】
【表8−1】
【0051】
【表8−2】
【0052】
【表9−1】
【0053】
【表9−2】
【0054】
【表10】
【0055】
【表11−1】
【0056】
【表11−2】
【0057】
【表12−1】
【0058】
【表12−2】
【0059】
【表13A−1】
【0060】
【表13A−2】
【0061】
【表13B−1】
【0062】
【表13B−2】
【0063】
【表14−1】
【0064】
【表14−2】
【0065】
【表15−1】
【0066】
【表15−2】
【0067】
【表15−3】
【0068】
【表16】
【0069】
【表17】
【0070】
【表18A−1】
【0071】
【表18A−2】
【0072】
【表18B−1】
【0073】
【表18B−2】
【0074】
【表18C−1】
【0075】
【表18C−2】
【0076】
【表18D】
【0077】
【表19】
【0078】
【表20−1】
【0079】
【表20−2】
【0080】
【表21】
【0081】
【表22−1】
【0082】
【表22−2】
【0083】
【表23−1】
【0084】
【表23−2】
【0085】
【表24−1】
【0086】
【表24−2】
【0087】
【表25】
【0088】
【表26−1】
【0089】
【表26−2】
【0090】
【表27】
【0091】
【表28】
【0092】
【表29】
【0093】
【表30】
【0094】
【表31】
【0095】
【表32】
【0096】
【表33−1】
【0097】
【表33−2】
【0098】
【表34−1】
【0099】
【表34−2】
【0100】
【表35−1】
【0101】
【表35−2】
【0102】
【表36−1】
【0103】
【表36−2】
【0104】
【表37−1】
【0105】
【表37−2】
【0106】
【表43−1】
【0107】
【表43−2】
【0108】
【表44−1】
【0109】
【表44−2】
【0110】
【表44−3】
【0111】
【表45−1】
【0112】
【表45−2】
【0113】
【表46−1】
【0114】
【表46−2】
【0115】
【表47−1】
【0116】
【表47−2】
【0117】
【表48−1】
【0118】
【表48−2】
(核酸分子)
本発明は、本発明のCna_Bドメイン抗原をコードする核酸分子を含む。本発明はまた、このような分子に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸分子を包含する。特定の配列次第で、配列同一性の程度は好ましくは、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%である。ヌクレオチド配列間の同一性は好ましくは、パラメーターであるギャップ・オープン・ペナルティ=12およびギャップ・エクステンション・ペナルティ=1によるアフィン・ギャップ・サーチを用いて、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)中で実現されるSmith−Watermanホモロジー検索アルゴリズムによって決定する。
【0119】
本発明はまた、これらの分子にハイブリダイズし得る核酸分子を提供する。ハイブリダイゼーション反応は、種々のストリンジェンシーの条件下で行ってもよい。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを増大する条件は、広く知られており、かつ当該分野で公開されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,1989の7.52頁を参照のこと。関連の条件の例としては、(ストリンジェンシー漸増の順序で)以下が挙げられる:25℃、37℃、50℃、55℃および68℃というインキュベーション温度;10×SSC、6×SSC、1×SSCおよび0.1×SSC(ここでSSCは、0.15MのNaClおよび15mMのクエン酸緩衝液である)および他の緩衝液系を用いるそれらの等価物の緩衝液濃度;0%、25%、50%および75%というホルムアミド濃度;5分〜24時間のインキュベーション時間;1、2またはそれ以上の洗浄工程;1、2または15分という洗浄インキュベーション時間;および6×SSC、1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水という洗浄溶液。ハイブリダイゼーション技術およびそれらの最適化は、当該分野で周知である。例えば、
【0120】
【化12】
を参照のこと。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子は、低ストリンジェンシー条件下で標的にハイブリダイズする;他の実施形態では、本発明の核酸分子は、中ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする;好ましい実施形態では、本発明の核酸分子は、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は、50℃および10×SSCである。中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は、55℃および1×SSCである。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は、68℃および0.1×SSCである。
【0122】
(Cna_Bドメイン抗原の産生)
(組み換え産生)
遺伝子コードの縮重性は周知である。従って、本発明のCna_Bドメイン抗原をコードする任意の核酸分子(ポリヌクレオチド)を用いて、そのタンパク質を組み換え的に産生してもよい。Cna_Bドメイン含有タンパク質をコードする核酸分子は、標準的な核酸精製技術を用いて適切な細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌)から単離してもよいし、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの増幅技術を用いて、もしくは自動シンセサイザーを用いて合成してもよい。Carutherら、Nucl.Acids Res.Symp.Ser.215 223,1980;Hornら,Nucl.Acids Res.Symp.Ser.225 232,1980;Hunkapillerら、Nature 310,105〜11,1984;Granthamら、Nucleic Acids Res.9,r43−r74,1981を参照のこと。
【0123】
cDNA分子は、テンプレートとしてmRNAを用いて標準的な分子生物学技術で行ってもよい。cDNA分子はその後、当該分野で周知の分子生物学技術を用いて複製してもよい。PCRのような増幅技術を用い、テンプレートとしてゲノムDNAまたはcDNAのいずれかを用いて、本発明のポリヌクレオチドの追加のコピーを得てもよい。
【0124】
必要に応じて、ポリヌクレオチドは、限定するものではないが、ポリペプチドまたはmRNA産物のクローニング、プロセシングおよび/または発現を改変する変更を含めて、種々の理由についてコード配列を変更するための当該分野で一般に公知の方法を用いて操作されてもよい。遺伝子フラグメントおよび合成オリゴヌクレオチドの無作為断片化およびPCR再アセンブリによるDNAシャッフリングを用いて、ヌクレオチド配列を操作してもよい。例えば、部位指向性変異誘発を、新しい認識部位を挿入するため、グリコシル化パターンを変更するため、コドン出現頻度(preference)を変えるため、スプライシングバリアントを生じさせるため、変異を導入するためなどに用いてもよい。
【0125】
核酸分子は、N末端リーダー配列(Cna_Bを含む天然のタンパク質のN末端リーダー配列、または別の選り抜きのN末端リーダー配列のいずれか)のコード配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、配列の修飾、例えば、精製タグ配列の付加またはコドン最適化を用いて発現を促進する。例えば、発現されたタンパク質は、ポリヒスチジン(HIS)またはグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)などのタグを含んでもよい。このようなタグを用いて、発現されたタンパク質の精製、検出を容易にし、および安定性を助長してもよい。特定の原核生物宿主または真核生物宿主にとって好ましいコドンを選択して、タンパク質発現の速度を増大させてもよく、または所望の特性、例えば、天然に存在する配列から生成される転写物の半減期よりも長い半減期を有するRNA転写物を産生してもよい。これらの方法は、当該分野で周知であり、かつWO05/032582に記載されている。
【0126】
(発現ベクター)
Cna_Bドメイン抗原をコードする核酸分子を、挿入されたコード配列の転写および翻訳の必須エレメントを含む発現ベクター中に挿入してもよい。当業者に周知である方法を用いて、コード配列ならびに適切な転写および翻訳制御エレメントを含んでいる発現ベクターを構築してもよい。これらの方法としては、インビトロの組み換えDNA技術、合成技術およびインビボの遺伝子組み換えが挙げられる。
【0127】
(宿主細胞)
Cna_Bドメイン抗原を作製するための宿主細胞は、原核生物であってもまたは真核生物であってもよい。E.coliが好ましい宿主細胞であるが、他の適切な宿主としては、Lactococcus lactis、Lactococcus cremoris、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えば、M.tuberculosis)、酵母、バキュロウイルス、哺乳動物細胞などが挙げられる。
【0128】
宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節する能力、または発現されたポリペプチドを所望の方式でプロセシングする能力に関して選択され得る。ポリペプチドのこのような修飾としては、限定するものではないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化が挙げられる。ポリペプチドの「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングをまた、正確な挿入、フォールディングおよび/または機能を促進するために用いてもよい。翻訳後活性のための特定の細胞機構および特徴的な機構を有する種々の宿主細胞は、American Type Culture Collection(ATCC;10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209)から入手可能であり、かつ外来のタンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするように選択され得る。WO01/98340を参照のこと。
【0129】
発現構築物は、十分確立された技術を用いて宿主細胞に導入され得、この技術としては限定するものではないが、トランスフェリン−ポリカチオン媒介性DNAトランスファー、裸のまたは被包性核酸でのトランスフェクション、リポソーム媒介性の細胞融合、DNAコーティングラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、「遺伝子銃」方法、およびDEAEまたはリン酸カルシウム媒介性のトランスフェクションが挙げられる。
【0130】
発現ベクターで形質転換された宿主細胞は、細胞培養物からのタンパク質の発現および収集に適切な条件下で培養され得る。形質転換された細胞によって作製されるタンパク質は、用いられるヌクレオチド配列および/または発現ベクターに依存して分泌されてもよいし、または細胞内に含まれてもよい。当業者は、発現ベクターが、原核生物細胞膜または真核生物細胞膜を介した可溶性ポリペプチドの分泌を指向するシグナル配列を含むように設計され得ることを理解する。
【0131】
(精製)
公知の方法を用いて細胞培養培地から精製され得るように、シグナルエクスポート配列を、組み換え産生Cna_Bドメイン抗原中に含んでもよい。あるいは、組み換え産生された本発明のCna_Bドメイン抗原を、操作された宿主細胞から単離して、細胞中の他の成分、例えば、タンパク質、炭水化物または脂質から、当該分野で周知の方法を用いて分離してもよい。このような方法としては限定するものではないが、サイズ排除クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム分画、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、および分取ゲル電気泳動が挙げられる。精製されたCna_Bドメイン抗原の調製物は少なくとも80%純粋であり;好ましくは、この調製物は、90%、95%または99%純粋である。調製物の純度は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動などの当該分野で公知の任意の方法によって評価され得る。必要に応じて、Cna_Bドメイン抗原を、例えば、尿素を用いて可溶化してもよい。
【0132】
(化学合成)
Cna_Bドメイン抗原は、例えば、固相技術を用いて合成してもよい。例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85,2149 54,1963;Robergeら、Science 269,202 04,1995を参照のこと。タンパク質合成は、手動の技術を用いて行ってもよいし、または自動で行ってもよい。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を用いて達成してもよい。必要に応じて、Cna_Bドメイン抗原の一部を別々に合成して、化学的方法を用いて組み合わせ、完全な分子を産生してもよい。
【0133】
(薬学的組成物)
本発明は、医薬としての使用のための組成物を提供する。本発明の薬学的組成物は、グラム陽性細菌に対する、特に連鎖球菌またはブドウ球菌(例えば、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、および/またはS.aureus)に対する免疫応答を惹起するために有用である。いくつかの実施形態では、この組成物は、連鎖球菌および/またはブドウ球菌の感染を処置するため、ならびにこのような感染のリスクを低減するために有用である。
【0134】
本発明の薬学的組成物は、少なくとも1つの活性因子を含み、この活性因子は、本明細書に開示されたようなCna_Bドメイン抗原であっても、またはCna_Bドメイン抗原をコードする核酸分子であってもよい。この疾患は、例えば、菌血症、髄膜炎、産褥熱、猩紅熱、丹毒、咽頭炎、膿痂疹、壊疽性筋膜炎、筋炎またはトキシックショック症候群であってもよい。
【0135】
Cna_Bドメイン抗原またはCna_Bドメイン抗原をコードする核酸分子を含んでいる組成物は好ましくは、免疫原性組成物であり、かつさらに好ましくはワクチン組成物である。本発明による薬学的組成物は、予防的であってもまたは治療的であってもよいが、代表的には予防的である。薬学的組成物は、グラム陽性細菌(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌)感染のリスクを低減するか、またはグラム陽性細菌(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌)感染の重篤度もしくはグラム陽性細菌(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌)感染の症状を低減する場合、「予防的」である。従って、本発明は、グラム陽性細菌(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌)感染の治療的処置または予防的処置のための方法を包含する。動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくはヒトが処置され得る。この方法は、本発明の免疫原性組成物の治療量または予防量を動物に投与する工程を包含する。
【0136】
このような組成物のpHは、代表的には6〜8、好ましくは約7である。pHは、緩衝液の使用によって維持され得る。この組成物は、無菌であるか、および/または発熱物質を含まないであろう。この組成物は、ヒト組織(例えば、血液)に対して等張であり得る。
【0137】
本発明のいくつかの組成物は、本明細書に記載の1つ以上のCna_Bドメイン抗原を含む。本発明の他の組成物は、前記抗原をコードする1つ以上の核酸分子、および必要に応じてこの組成物中に含まれ得る他の抗原を含む(下を参照のこと)。例えば、
【0138】
【化13】
を参照のこと。代表的には、核酸分子は、例えば、プラスミドの形態のDNA分子である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上のCna_Bドメイン抗原および1つ以上の核酸分子を含んでもよい。
【0139】
(追加の活性因子)
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の追加の活性因子を含んでもよい。このような因子としては限定するものではないが、以下が挙げられる:(a)本発明の別のCna_Bドメイン抗原、(b)小児科ワクチンで有用なポリペプチド抗原、(c)年配または免疫無防備状態の個体のためのワクチンで有用なポリペプチド抗原、(d)(a)〜(c)をコードする核酸分子、(a)〜(c)に特異的に結合する抗体、およびGBSポリサッカリド抗原(下記で規定するとおり)。
【0140】
(抗体)
グラム陽性細菌(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌)タンパク質のCna_Bドメイン抗原を用いて、抗体、好ましくは防御抗体を生成してもよい。「抗体」としては本明細書において用いる場合、限定するものではないが、インタクトな免疫グロブリン分子、およびCna_Bドメインに結合し得るそのフラグメントが挙げられる。従って、「抗体」としては、モノクローナル抗体、ハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winterら、Nature 349、293〜99、1991;米国特許第4,816,567号);F(ab’)2およびF(ab)フラグメントおよびFv分子;非共有結合ヘテロ二量体(例えば、Inbarら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.69,2659〜62,1972;Ehrlichら、Biochem 19,4091〜96,1980);単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85,5897〜83,1988);二量体および三量体抗体フラグメント構築物;ミニボディ(例えば、Packら、Biochem 31,1579〜84,1992;Cumberら、J.Immunology 149B,120〜26,1992);ヒト化抗体分子(例えば、Riechmannら、Nature 332,323〜27,1988;Verhoeyanら、Science 239,1534〜36,1988;および1994年9月21日公開、英国特許公開番号GB2,276,169号);およびこのような分子から得られる任意の機能的なフラグメント、ならびにファージディスプレイなどの慣用的でないプロセスを通じて得られる抗体を挙げることができる。
【0141】
抗体は、これが、免疫化学アッセイで用いられる場合、他のタンパク質によって提供される検出シグナルよりも少なくとも5倍、10倍、または20倍高い検出シグナルを提供する場合、本発明によるCna_Bドメインに対して特異的に結合する。好ましくは、Cna_Bドメインに特異的に結合する抗体は、溶液からCna_Bドメイン抗原を免疫沈降し得る。いくつかの実施形態では、Cna_Bドメインに特異的に結合する抗体は、GBS株515のオプソニン食作用を少なくとも30%誘導する(例えば、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100%)。
【0142】
(追加の抗原)
本発明の組成物は、本発明の治療方法または予防方法での使用のために1つ以上の抗原と組み合わせて投与されてもよい。好ましい抗原としては、下に列挙される抗原が挙げられる。さらに、本発明の組成物は、下に列挙される任意の病原体によって生じる感染を処置または予防するために用いられ得る。下に記載される抗原との組み合わせに加えて、本発明の組成物はまた、本明細書に記載のアジュバントと組み合わせてもよい。
【0143】
(GBSポリサッカリド抗原)
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、GBSポリサッカリド抗原を含む。S.agalactiae GBS炭水化物は代表的には、交互のα−(1→2)およびα−(1→3)リンクからなるL−ラムノピラノース(Rhap)骨格および交互のラムノース環に接続されたD−N−アセチルグルコサミン(GlcpNAc)残基β−(1→3)を有する分枝構造を特徴とする(Kreisら、Int.J.Biol.Macromol.17,117〜30,1995)。本発明の組成物で有用なGBSポリサッカリド抗原は以下の式:
【0144】
【化14】
を有し、式中、Rは、末端還元L−ラムノースまたはD−GlcpNAcであり、かつnは約3〜約30の数である。
【0145】
本発明に従って用いられるGBSポリサッカリド抗原は、天然に見出されるような、実質的に全長のGBS炭水化物であってもよく、または天然の長さよりも短くてもよい。全長ポリサッカリドは、例えば、弱酸中での加水分解によって、加熱によって、サイジングクロマトグラフィーによって、などで、本発明での使用のための短いフラグメントを提供するように脱重合され得る。しかし、実質的に全長のサッカリドを用いることが好ましい。詳細には、約10kDaの分子量を有するサッカリドを用いることが好ましい。分子量は、デキストラン標準物に対するゲル濾過によって測定され得る。
【0146】
サッカリドは、天然に見出されるGBS炭水化物に対して化学的に修飾されてもよい。例えば、このサッカリドは、脱Nアセチル化(部分的にまたは完全に)、Nプロピオン酸化(部分的にまたは完全に)などされてもよい。例えば、免疫原性に対する脱アセチル化などの効果は、慣用的なアッセイによって評価され得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、GBSポリサッカリド抗原は、キャリア、例えば、変異したジフテリア毒素CRM197および下に記載の他のキャリアに結合体化される。
【0148】
本発明での使用のための抗原としては、限定するものではないが、下に示される以下の抗原のうちの1つ以上、または下に示される1つ以上の病原体由来の抗原が挙げられる。
【0149】
(A.細菌抗原)
本発明での使用に適切な細菌抗原としては、タンパク質、ポリサッカリド、リポポリサッカリド、および外膜小胞(細菌から単離されても、精製されても、または由来してもよい)が挙げられる。さらに、細菌抗原としては、細菌溶解物および不活化細菌処方物が挙げられ得る。細菌抗原は、組み換え発現によって産生されてもよい。細菌抗原としては好ましくは、そのライフサイクルの少なくとも1段階の間、細菌の表面に露出されるエピトープが挙げられる。細菌抗原は好ましくは、複数の血清型にまたがって保存される。細菌抗原としては、下に示される細菌の1つ以上に由来する抗原、および下に特定される特定の抗原の例が挙げられる。
【0150】
Neisseria meningitides:Meningitides抗原としては、N.meningitides血清群、例えば、A、C、W135、Yおよび/またはBから精製されるかまたはそれらに由来する、タンパク質(例えば、引用文献1〜7に特定されるタンパク質)、サッカリド(ポリサッカリド、オリゴサッカリド、またはリポポリサッカリドを含む)、または外膜小胞(引用文献、8、9、10、11)を挙げることができる。Meningitidesタンパク質抗原は、付着、オートトランスポーター(autotransporter)、毒素、Fe獲得タンパク質、および膜会合タンパク質(好ましくは、内在性外膜タンパク質)から選択され得る。
【0151】
Streptococcus pneumoniae:Streptococcus pneumoniae抗原としては、Streptococcus pneumoniae由来のサッカリド(ポリサッカリドまたはオリゴサッカリドを含む)および/またはタンパク質を挙げることができる。サッカリド抗原は、血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fから選択され得る。タンパク質抗原は、WO98/18931、WO98/18930、米国特許第6,699,703号、米国特許第6,800,744号、WO97/43303、およびWO97/37026において特定されたタンパク質から選択され得る。Streptococcus pneumoniaeのタンパク質は、Poly Histidine Triadファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpX切断型、LytXファミリー、LytX切断型、CbpX切断−LytX切断キメラタンパク質、肺炎球菌溶血素(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125またはSp133から選択され得る。
【0152】
Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌):A群連鎖球菌抗原としては、WO02/34771またはWO2005/032582に特定されるタンパク質(GAS40を含む)、GAS Mタンパク質のフラグメントの融合物(WO02/094851およびDale,Vaccine(1999)17:193〜200、ならびにDale,Vaccine 14(10):944〜948に記載のものを含む)、フィブロネクチン結合タンパク質(Sfb1)、連鎖球菌ヘム会合タンパク質(Shp)およびストレプトリジンS(SagA)を挙げることができる。
【0153】
Moraxella catarrhalis:Moraxella抗原としては、WO02/18595およびWO99/58562に特定される抗原、外膜タンパク質抗原(HMW−OMP)、C−抗原、および/またはLPSが挙げられる。
【0154】
Bordetella pertussis:百日咳抗原としては、B.pertussis由来の百日咳ホロ毒素(PT)および線維状赤血球凝集素(FHA)、また必要に応じて、パータクチンおよび/または凝集原2および3の抗原との組み合わせが挙げられる。
【0155】
Staphylococcus aureus:Staphylococcus aureus抗原としては、非毒性の組み換えPseudomonas aeruginosa外毒素Aに必要に応じて結合体化されたS.aureus5型および8型の莢膜ポリサッカリド、例えば、StaphVAXTM、または表面タンパク質由来の抗原、インバシン(ロイコシジン、キナーゼ、ヒアルロニダーゼ)、貪食作用を阻害する表面因子(カプセル、プロテインA)、カロテノイド、カタラーゼ生産物、プロテインA、コアグラーゼ、凝固因子および/または真核生物細胞膜を溶解する(必要に応じて無毒化された)膜損傷毒素(溶血素、白血球毒素、ロイコシジン)が挙げられる。
【0156】
Staphylococcus epidermis:S.epidermidis抗原としては、粘液関連抗原(SAA)が挙げられる。
【0157】
Clostridium tetani(破傷風):破傷風抗原としては、本発明の組成物と組み合わせて/結合体化されて、キャリアタンパク質として好ましくは用いられる、破傷風毒素(TT)が挙げられる。
【0158】
Cornynebacterium diphtheriae(ジフテリア):ジフテリア抗原としては、CRM197などの、好ましくは無毒化されたジフテリア毒素が挙げられる。さらに、ADPリボシル化を調節するか、阻害するか、またはそれと関連し得る抗原は、本発明の組成物との組み合わせ/共投与/結合体化を考慮される。このジフテリア毒素は、キャリアタンパク質として用いられ得る。
【0159】
Haemophilus influenzae B(Hib):Hib抗原としては、Hibサッカリド抗原が挙げられる。
【0160】
Pseudomonas aeruginosa:Pseudomonas抗原としては、内毒素A、Wzzタンパク質、P.aeruginosa LPS、さらに詳細にはPAO1から単離されたLPS(O5血清型)、および/または外膜タンパク質、例としては外膜タンパク質F(OprF)が挙げられる(Infect Immun.2001 May;69(5):3510〜3515)。
【0161】
Legionella pneumophila。細菌抗原は、Legionella pneumophila由来であり得る。
【0162】
Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌):B群連鎖球菌抗原としては、WO02/34771、WO03/093306、WO04/041157またはWO2005/002619に特定されるタンパク質またはサッカリド抗原が挙げられる(例としては、タンパク質GBS80、GBS104、GBS276およびGBS322、ならびに例としては、血清型Ia、Ib、Ia/c、II、III、IV、V、VI、VIIおよびVIII由来のサッカリド抗原)。
【0163】
Neiserria gonorrhoeae:Gonorrhoeae抗原としては、Por(またはポーリン)タンパク質、例えば、PorB(Zhuら、Vaccine(2004)22:660〜669を参照のこと)、トランスフェリン(transferring)結合タンパク質、例えば、TbpAおよびTbpB(Priceら、Infection and Immunity(2004)71(1):277〜283を参照のこと)、不透明タンパク質(例えば、Opa)、還元修飾可能(reduction−modifiable)タンパク質(Rmp)、および外膜小胞(outer membrane vesicle(OMV))調製物が挙げられる(Planteら、J Infectious Disease(2000)182:848〜855参照)。また、例えば、WO99/24578、WO99/36544、WO99/57280、WO02/079243も参照のこと。
【0164】
Chlamydia trachomatis:Chlamydia trachomatis抗原としては、血清型A、B、BaおよびC(トラコーマの因子、失明の原因)、血清型L1、L2&L3(性病性リンパ肉芽腫に関連する)および血清型D〜K由来の抗原が挙げられる。Chlamydia trachomas抗原としてはまた、WO00/37494、WO03/049762、WO03/068811、またはWO05/002619に特定された抗原、例としては、PepA(CT045)、LcrE(CT089)、ArtJ(CT381)、DnaK(CT396)、CT398、OmpH様(CT242)、L7/L12(CT316)、OmcA(CT444),AtosS(CT467)、CT547、Eno(CT587)、HrtA(CT823)、およびMurG(CT761)が挙げられ得る。
【0165】
Treponema pallidum(梅毒):梅毒抗原としてはTmpA抗原が挙げられる。
【0166】
Haemophilus ducreyi(軟性下疳を生じる):Ducreyi抗原としては、外膜タンパク質(DsrA)が挙げられる。
【0167】
Enterococcus faecalisまたはEnterococcus faecium:抗原としては、トリサッカリド反復、または米国特許第号6,756,361号に示される他のEnterococcus由来抗原が挙げられる。
【0168】
Helicobacter pylori:H.pylori抗原としては、Cag、Vac、Nap、HopX、HopYおよび/またはウレアーゼ抗原が挙げられる。
【0169】
Staphylococcus saprophyticus:抗原としては、S.saprophyticus抗原の160kDaの赤血球凝集素が挙げられる。
【0170】
Yersinia enterocolitica抗原としては、LPS(Infect Immun.2002 8月;70(8):4414)が挙げられる。
【0171】
E.coli:E.coli抗原は、腸管毒素原性E.coli(ETEC)、腸管凝集性E.coli(EAggEC)、分散付着性E.coli(DAEC)、腸管病原性E.coli(EPEC)、および/または腸管出血性E.coli(EHEC)由来であり得る。
【0172】
Bacillus anthracis(炭疽):B.anthracis抗原は必要に応じて無毒化され、両方が防御抗原(PA)として公知の共通のB成分を共有し得るA成分(致死因子(LF)および浮腫因子(EF))から選択され得る。
【0173】
Yersinia pestis(ペスト):ペスト抗原としては、F1莢膜抗原(Infect Immun.2003 Jan;71(1):374〜383)、LPS(Infect Immun.1999 Oct;67(10):5395)、Yersinia pestis V抗原(Infect Immun.1997 Nov;65(11):4476〜4482)が挙げられる。
【0174】
Mycobacterium tuberculosis:結核抗原としては、リポタンパク質、LPS、BCG抗原、抗原85B(Ag85B)および/またはESAT−6の融合タンパク質(必要に応じて陽イオン性脂質小胞中で処方される)(Infect Immun.2004 10月;72(10):6148)、Mycobacterium tuberculosis(Mtb)イソクエン酸デヒドロゲナーゼ関連抗原(Proc Natl Acad Sci U S A.2004 Aug 24;101(34):12652)、および/またはMPT51抗原(Infect Immun.2004 7月;72(7):3829)が挙げられる。
【0175】
Rickettsia:抗原としては、外膜タンパク質、例としては、外膜タンパク質Aおよび/またはB(OmpB)(Biochim Biophys Acta.2004 Nov 1;1702(2):145)、LPSおよび表面タンパク質抗原(SPA)(J Autoimmun.1989 Jun;2補遺:81)が挙げられる。
【0176】
Listeria monocytogenes。細菌抗原は、Listeria monocytogenes由来であり得る。
【0177】
Chlamydia pneumoniae:抗原としては、WO02/02606で特定される抗原が挙げられる。
【0178】
Vibrio cholerae:抗原としては、プロテイナーゼ抗原、LPS、特にVibrio choleraeIIのリポポリサッカリド、O1イナバO特異的ポリサッカリド、V.cholera O139、IEM108ワクチンの抗原(Infect Immun.2003 Oct;71(10):5498〜504)、および/またはZonula occludens(閉鎖帯)毒素(Zot)が挙げられる。
【0179】
Salmonella typhi(腸チフス):抗原としては、莢膜ポリサッカリド、好ましくは結合体(Vi、すなわち、vax−TyVi)が挙げられる。
【0180】
Borrelia burgdorferi(ライム病):抗原としては、リポタンパク質(例えば、OspA、OspB、OspCおよびOspD)、他の表面タンパク質、例えば、OspE関連タンパク質(Erps)、デコリン−結合タンパク質(例えば、DbpA)、および抗原的に可変のVIタンパク質、例えば、P39およびP13と会合する抗原(内在性膜タンパク質、Infect Immun.2001 May;69(5):3323〜3334)、VlsE、抗原性変異タンパク質(Antigenic Variation Protein)(J Clin Microbiol.1999 Dec;37(12):3997)が挙げられる。
【0181】
Porphyromonas gingivalis:抗原としては、P.gingivalis外膜タンパク質(OMP)が挙げられる。
【0182】
Klebsiella:抗原としては、OMP、例としては、OMP A、または必要に応じて破傷風毒素に結合体化されたポリサッカリドが挙げられる。
【0183】
本発明の組成物で有用なさらなる細菌抗原は、任意の上記の莢膜抗原、ポリサッカリド抗原、またはタンパク質抗原であってもよい。さらなる細菌抗原としてはまた、外膜小胞(OMV)調製物が挙げられ得る。さらに、抗原としては、任意の上述の細菌の生の、弱毒化、および/または精製されたバージョンが挙げられる。抗原は、グラム陰性またはグラム陽性細菌に由来し得る。この抗原は、好気性細菌または嫌気性細菌由来であってもよい。
【0184】
さらに、任意の上記の細菌由来のサッカリド(ポリサッカリド、LPS、LOSまたはオリゴサッカリド)は、別の因子または抗原、例えば、キャリアタンパク質に結合体化されてもよい(例えば、CRM197)。このような結合体化は、米国特許第5,360,897号およびCan J Biochem Cell Biol.1984 May;62(5):270〜5に示されるように、タンパク質上のアミノ基に対するサッカリド上のカルボニル部分の還元的アミノ化によって達成された直接結合体化であり得る。あるいは、このサッカリドは、リンカーを通じて、例えば、コハク酸アミドまたはBioconjugate Techniques,1996およびCRC、Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking,1993に示される他の連結で結合体化され得る。
【0185】
(B.ウイルス抗原)
本発明における使用に適切なウイルス抗原としては、不活化(または死滅)ウイルス、弱毒化ウイルス、スプリットウイルス処方物、精製されたサブユニット処方物、ウイルスタンパク質(ウイルスから単離、精製または由来してもよい)、およびウイルス様粒子(Virus Like Particle(VLP))が挙げられる。ウイルス抗原は、細胞培養物または他の培養基上で増殖させられたウイルスから誘導され得る。あるいは、ウイルス抗原は、組み換え発現されてもよい。ウイルス抗原は好ましくは、そのライフサイクルの少なくとも1段階の間ウイルスの表面に露出されるエピトープを含む。ウイルス抗原は好ましくは、複数の血清型または単離体にまたがって保存される。ウイルス抗原としては、下に示される1つ以上のウイルス由来の抗原、および下に特定される特定の抗原の例が挙げられる。
【0186】
オルソミクソウイルス:ウイルス抗原は、インフルエンザA、BおよびCなどのオルソミクソウイルスに由来し得る。オルソミクソウイルス抗原は、1つ以上のウイルスタンパク質、例としては、赤血球凝集素(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、核タンパク質(NP)、マトリクスタンパク質(M1)、膜タンパク質(M2)、1つ以上の転写酵素成分(PB1、PB2およびPA)から選択され得る。好ましい抗原としてはHAおよびNAが挙げられる。
【0187】
インフルエンザ抗原は、大流行間期の(例年の)インフルエンザ株に由来し得る。あるいは、インフルエンザ抗原は、世界的流行を生じる能力のある株(すなわち、現在循環中の株における赤血球凝集素に比較して新しい赤血球凝集素を有するインフルエンザ株、または鳥類被験体で病原性であり、かつヒト集団に水平伝播する能力を有するインフルエンザ株、またはヒトに対して病原性であるインフルエンザ株)に由来し得る。
【0188】
パラミクソウイルス科ウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス科ウイルス、例えば、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)および麻疹ウイルス属(麻疹)に由来してもよい。
【0189】
ニューモウイルス:ウイルス抗原は、ニューモウイルス、例えば、RSウイルス(Respiratory syncytial virus(RSV))、ウシRSウイルス、マウスのニューモウイルスおよびシチメンチョウ鼻気管炎ウイルスに由来し得る。好ましくは、ニューモウイルスはRSVである。ニューモウイルス抗原は、以下のタンパク質、例としては、表面タンパク質融合物(F)、糖タンパク質(G)および低分子疎水性(Small Hydrophobic)(SH)タンパク質、マトリクスタンパク質MおよびM2、ヌクレオカプシドタンパク質N、PおよびLならびに非構造タンパク質NS1およびNS2のうちの1つ以上から選択され得る。好ましいニューモウイルス抗原としては、F、GおよびMが挙げられる。例えば、J Gen Virol.2004 Nov;85(Pt11):3229を参照のこと。ニューモウイルス抗原はまた、キメラウイルス中に処方されてもよいし、またはキメラウイルスに由来してもよい。例えば、キメラRSV/PIVウイルスは、RSVおよびPIVの両方の成分を含んでもよい。
【0190】
パラミクソウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス、例えば、パラインフルエンザウイルス1〜4型(PIV)、ムンプス、センダイウイルス、シミアン・ウイルス5、ウシパラインフルエンザウイルスおよびニューキャッスル病ウイルスに由来し得る。好ましくは、パラミクソウイルスは、PIVまたはムンプスである。パラミクソウイルス抗原は、以下のタンパク質のうちの1つ以上から選択され得る:赤血球凝集素−ノイラミニダーゼ(HN)、融合タンパク質F1およびF2、核タンパク質(NP)、リンタンパク質(P)、巨大(Large)タンパク質(L)、およびマトリクスタンパク質(M)。好ましいパラミクソウイルスタンパク質としては、HN、F1およびF2が挙げられる。パラミクソウイルス抗原はまた、キメラウイルス中に処方されてもよいし、またはキメラウイルスに由来してもよい。例えば、キメラRSV/PIVウイルスは、RSVおよびPIVの両方の成分を含んでもよい。市販のムンプスワクチンは、生の弱毒化ムンプスウイルスを、単価型で、または、麻疹および風疹のワクチンと組み合わせて(MMR)含む。
【0191】
麻疹ウイルス:ウイルス抗原は、麻疹ウイルス、例えば、麻疹由来であってもよい。麻疹ウイルス抗原は、以下のタンパク質のうちの1つ以上から選択され得る:赤血球凝集素(H)、糖タンパク質(G)、融合因子(F)、巨大(Large)タンパク質(L)、核タンパク質(NP)、ポリメラーゼリンタンパク質(P)、およびマトリクス(M)。市販の麻疹ワクチンは、生の弱毒化麻疹ウイルスを、代表的には、ムンプスおよび風疹と組み合わせて(MMR)含む。
【0192】
ピコルナウイルス:ウイルス抗原は、ピコルナウイルス、例えば、エンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパルナウイルス、カルジオウイルスおよびアフトウイルスに由来し得る。ポリオウイルスのようなエンテロウイルス由来の抗原が好ましい。
【0193】
エンテロウイルス:ウイルス抗原は、エンテロウイルス、例えば、ポリオウイルス1型、2型または3型、コクサッキーAウイルス1型〜22型および24型、コクサッキーBウイルス1型〜6型、エコーウイルス(ECHO)ウイルス1〜9、11〜27および29〜34型、ならびにエンテロウイルス68〜71に由来し得る。好ましくは、エンテロウイルスは、ポリオウイルスである。エンテロウイルス抗原は好ましくは、以下のカプシドタンパク質、VP1、VP2、VP3およびVP4のうちの1つ以上から選択される。市販のポリオワクチンとしては、不活化ポリオワクチン(IPV)および経口ポリオウイルスワクチン(OPV)が挙げられる。
【0194】
ヘパルナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパルナウイルス、例えば、A型肝炎ウイルス(HAV)由来であり得る。市販のHAVワクチンは、不活化HAVワクチンを含む。
【0195】
トガウイルス:ウイルス抗原は、ルビウイルス、アルファウイルスまたはアルテリウイルスなどのトガウイルス由来であり得る。風疹ウイルスなどのルビウイルス由来の抗原が好ましい。トガウイルス抗原は、E1、E2、E3、C、NSP−1、NSPO−2,NSP−3またはNSP−4から選択され得る。トガウイルス抗原は好ましくはE1、E2またはE3から選択される。市販の風疹ワクチンは、生の低温適応ウイルスを、代表的には、ムンプスおよび麻疹のワクチンと組み合わせて含む(MMR)。
【0196】
フラビウイルス:ウイルス抗原は、フラビウイルス、例えば、ダニ媒介脳炎(TBE)、デング(1、2、3または4型)、黄熱病、日本脳炎、西ナイル脳炎、セント・ルイス脳炎、ロシア春夏脳炎、ポーワッサン脳炎に由来し得る。フラビウイルス抗原は、PrM、M、C、E、NS−1、NS−2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4bおよびNS5から選択され得る。フラビウイルス抗原は好ましくは、PrM、MおよびEから選択される。市販のTBEワクチンは、不活化ウイルスワクチンを含む。
【0197】
ペスチウイルス:ウイルス抗原は、ペスチウイルス、例えば、ウシウイルス性下痢症(BVDV)、古典的ブタコレラ(CSFV)またはボーダー病(BDV)由来であり得る。
【0198】
ヘパドナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパドナウイルス、例えば、B型肝炎ウイルス由来であり得る。ヘパドナウイルス抗原は、表面抗原(L、MおよびS)、コア抗原(HBc、HBe)から選択され得る。市販のHBVワクチンとしては、表面抗原Sタンパク質を含むサブユニットワクチンが挙げられる。
【0199】
C型肝炎ウイルス:ウイルス抗原は、C型肝炎ウイルス(HCV)由来であり得る。HCV抗原は、E1、E2、E1/E2、NS345ポリプロテイン、NS345−コアポリプロテイン、コア、および/または非構造領域由来のペプチドのうちの1つ以上から選択され得る(Houghtonら、Hepatology(1991)14:381)。
【0200】
ラブドウイルス:ウイルス抗原は、ラブドウイルス、例えば、リッサウイルス(狂犬病ウイルス)およびベシクロウイルス(VSV)由来であってもよい。ラブドウイルス抗原は、糖タンパク質(G)、核タンパク質(N)、巨大(large)タンパク質(L)、非構造タンパク質(NS)から選択され得る。市販の狂犬病ウイルスワクチンは、ヒト二倍体細胞または胎児アカゲザル肺細胞で増殖した死滅ウイルスを含む。
【0201】
カリシウイルス科(Caliciviridae):ウイルス抗原は、カリシウイルス科、例えば、ノーウォークウイルス、およびノーウォーク様ウイルス、例えば、ハワイウイルスおよびスノー・マウンテン(Snow Mountain)ウイルスに由来し得る。
【0202】
コロナウイルス:ウイルス抗原は、コロナウイルス、SARS、ヒト呼吸器コロナウイルス、鳥類伝染性気管支炎(IBV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、およびブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)由来であり得る。コロナウイルス抗原は、スパイク(S)、エンベロープ(E)、マトリクス(M)、ヌクレオカプシド(N)および赤血球凝集素−エステラーゼ糖タンパク質(HE)から選択され得る。好ましくは、コロナウイルス抗原は、SARSウイルス由来である。SARSウイルス抗原は、WO04/92360に記載されている。
【0203】
レトロウイルス:ウイルス抗原は、レトロウイルス、例えば、オンコウイルス、レンチウイルス、またはスプーマウイルス由来であり得る。オンコウイルス抗原は、HTLV−1、HTLV−2またはHTLV−5由来であり得る。レンチウイルス抗原は、HIV−1またはHIV−2由来であり得る。レトロウイルス抗原は、gag、pol、env、tax、tat、rex、rev、nef、vif、vpuおよびvprから選択され得る。HIV抗原は、gag(p24gagおよびp55gag)、env(gp160およびgp41)、pol、tat、nef、rev vpu、ミニプロテイン、(好ましくは、p55gagおよびgp140v欠失)から選択され得る。HIV抗原は、以下の株の1つ以上に由来し得る:HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN、HIV−1CM235、HIV−1US4。
【0204】
レオウイルス:ウイルス抗原は、レオウイルス、例えば、オルトレオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルスまたはコルチウイルス由来であってもよい。レオウイルス抗原は、構造タンパク質λ1、λ2、λ3、μ1、μ2、σ1、σ2もしくはσ3、または非構造タンパク質σNS、μNSもしくはσ1sから選択され得る。好ましいレオウイルス抗原は、ロタウイルス由来であってもよい。ロタウイルス抗原は、VP1、VP2、VP3、VP4(または切断産物VP5およびVP8)、NSP1、VP6、NSP3、NSP2、VP7、NSP4、またはNSP5から選択されてもよい。好ましいロタウイルス抗原としては、VP4(または切断産物VP5およびVP8)、およびVP7が挙げられる。
【0205】
パルボウイルス:ウイルス抗原は、パルボウイルス、例えば、パルボウイルスB19に由来し得る。パルボウイルス抗原は、VP−1、VP−2、VP−3、NS−1およびNS−2から選択され得る。好ましくは、パルボウイルス抗原は、カプシドタンパク質VP−2である。
【0206】
δ型肝炎ウイルス(HDV):ウイルス抗原は、HDV由来、特にHDV由来のδ抗原であってもよい(例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと)。
【0207】
E型肝炎ウイルス(HEV):ウイルス抗原は、HEV由来であってもよい。
【0208】
G型肝炎ウイルス(HGV):ウイルス抗原は、HGV由来であってもよい。
【0209】
ヒトヘルペスウイルス:ウイルス抗原は、ヒトヘルペスウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV7)、およびヒトヘルペスウイルス8(HHV8)由来であり得る。ヒトヘルペスウイルス抗原は、前初期タンパク質(α)、初期タンパク質(β)および後期タンパク質(γ)から選択され得る。HSV抗原は、HSV−1株由来であっても、またはHSV−2株由来であってもよい。HSV抗原は、糖タンパク質gB、gC、gDおよびgH、融合タンパク質(gB)または免疫回避タンパク質(gC、gEまたはgI)から選択されてもよい。VZV抗原は、コア、ヌクレオカプシド、外被(tegument)またはエンベロープのタンパク質から選択され得る。生の弱毒化VZVワクチンが市販されている。EBV抗原は、初期抗原(EA)タンパク質、ウイルスカプシド抗原(VCA)、および膜抗原の糖タンパク質(MA)から選択され得る。CMV抗原は、カプシドタンパク質、エンベロープ糖タンパク質(例えば、gBおよびgH)、および外被タンパク質から選択され得る。
【0210】
パポバウイルス:抗原は、パポバウイルス、例えば、パピローマウイルスおよびポリオーマウイルス由来であってもよい。パピローマウイルスとしては、HPV血清型1、2、4、5、6、8、11、13、16、18、31、33、35、39、41、42、47、51、57、58、63および65が挙げられる。好ましくは、HPV抗原は、血清型6、11、16または18由来である。HPV抗原は、カプシドタンパク質(L1)および(L2)、もしくはE1〜E7、またはその融合物から選択され得る。HPV抗原は好ましくは、ウイルス様粒子(VLP)中に処方される。ポリオーマウイルス(Polyomyavirus)のウイルスとしては、BKウイルスおよびJKウイルスが挙げられる。ポリオーマウイルス抗原は、VP、VP2またはVP3から選択され得る。
【0211】
さらに、本発明の組成物との組み合わせにおいて想定される、Vaccines,第4版(PlotkinおよびOrenstein、編集、2004);Medical Microbiology 第4版(Murrayら、編集、2002);Virology,第3版(W.K.Joklik 編集、1988);Fundamental Virology,第2版(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe,編集、1991)に含まれる、抗原、組成物、方法および微生物が提供される。
【0212】
(C.真菌の抗原)
本発明での使用のための真菌の抗原は、下に示される真菌のうちの1つ以上に由来し得る。
【0213】
真菌の抗原は、以下:
【0214】
【化15】
を含む皮膚糸状菌に由来し得る。
【0215】
真菌の病原体は、
【0216】
【化16】
【0217】
【化17】
に由来し得る。
【0218】
真菌抗原を産生するためのプロセスは、当該分野で周知である(米国特許第6,333,164号を参照のこと)。好ましい方法では、真菌細胞(その細胞壁は実質的に除去されているか、または少なくとも部分的に除去されている)から入手可能な不溶性画分から可溶性画分が抽出および分離され、そのプロセスは以下の工程を含むという点で特徴付けられた:生きている真菌細胞を得る工程;細胞壁が実質的に除去されているか、または少なくとも部分的に除去されている真菌の細胞を得る工程;真菌の細胞(その細胞壁は実質的に除去されているか、または少なくとも部分的に除去されている)をバーストさせる工程;不溶性画分を得る工程;ならびにこの不溶性画分から可溶性画分を抽出および分離する工程。
【0219】
(D.STD抗原)
本発明の組成物は、性感染症(STD)由来の1つ以上の抗原を含んでもよい。このような抗原は、STD、例えば、クラミジア、性器ヘルペス、肝炎(例えば、HCV)、陰部疣贅、淋病、梅毒および/または軟性下疳の予防または治療を提供し得る(WO00/15255を参照のこと)。抗原は、1つ以上のウイルスまたは細菌のSTDに由来し得る。本発明における使用のためのウイルスのSTD抗原は、例えば、HIV、単純ヘルペスウイルス(HSV−1およびHSV−2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)および肝炎(HCV)由来であってもよい。本発明での使用のための細菌のSTD抗原は、例えば、
【0220】
【化18】
由来であってもよい。これらの病原体由来の特定の抗原の例は、上記される。
【0221】
(E.呼吸器抗原)
本発明の組成物は、呼吸器疾患を生じる病原体由来の1つ以上の抗原を含んでもよい。例えば、呼吸器抗原は、呼吸器ウイルス、例えば、オルトミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)、麻疹ウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、VZVおよびコロナウイルス(SARS)由来であってもよい。呼吸器抗原は、呼吸器疾患を生じる細菌、例えば、
【0222】
【化19】
由来であってもよい。これらの病原体由来の特定の抗原の例は上記される。
【0223】
(F.小児ワクチンの抗原)
本発明の組成物は、小児被験体における使用に適切な1つ以上の抗原を含んでもよい。小児被験体とは代表的には、約3歳未満、または約2歳未満、または約1歳未満である。小児抗原は、6カ月、1、2または3年にわたって複数回投与され得る。小児抗原は、小児集団を標的とし得るウイルス由来であっても、および/または小児集団が感染しやすいウイルス由来であってもよい。小児ウイルス抗原としては、オルトミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIVおよびムンプス)、麻疹ウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、および水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)のうちの1つ以上に由来する抗原が挙げられる。小児細菌抗原としては、
【0224】
【化20】
のうちの1つ以上に由来する抗原が挙げられる。これらの病原体に由来する特定の抗原の例は上記される。
【0225】
(G.年配または免疫無防備状態の個体における使用に適切な抗原)
本発明の組成物は、年配または免疫無防備状態の個体における使用に適切な1つ以上の抗原を含んでもよい。このような個体は、標的抗原に対するその免疫応答を改善するためにさらに高用量でまたはアジュバントされた(adjuvanted)処方物を用いて、さらに高頻度でワクチン接種される必要があり得る。年配または免疫無防備状態の個体における使用について標的とされ得る抗原としては、以下の病原体のうちの1つ以上に由来する抗原が挙げられる:
【0226】
【化21】
オルトミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIVおよびムンプス)、麻疹ウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)。これらの病原体由来の特定の抗原の例は上記される。
【0227】
(H.青年期のワクチンでの使用に適切な抗原)
本発明の組成物は、青年期の被験体における使用に適切な1つ以上の抗原を含んでもよい。青年期は、以前に投与された小児の抗原の追加免疫が必要であり得る。青年期における使用に適切であり得る小児抗原は上記されている。さらに、青年期を標的として、性的活動の開始の前に防御免疫または治療免疫を確実にするためにSTD病原体由来の抗原を投与してもよい。青年期における使用に適切であり得るSTD抗原は上記されている。
【0228】
(I.抗原処方物)
本発明の他の局面では、吸着された抗原を有する微小粒子を作製する方法が得られる。この方法は、以下を包含する:(a)混合物であって(i)水、(ii)界面活性剤、(iii)有機溶媒ならびに(iv)ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択される生分解性ポリマーを含んでいる混合物を分散化することによってエマルジョンを提供する工程(このポリマーは代表的には、混合物中に、有機溶媒に対して約1%〜約30%の濃度で存在するが、界面活性剤は代表的には、約0.00001:1〜約0.1:1(さらに代表的には、約0.0001:1〜約0.1:1、約0.001:1〜約0.1:1、または約0.005:1〜約0.1:1)の重量対重量の界面活性剤対ポリマーの比で混合物中に存在する)と;(b)エマルジョンから有機溶媒を除去する工程と;(c)微小粒子の表面に抗原を吸着させる工程。特定の実施形態では、この生分解性ポリマーは、有機溶媒に対して約3%〜約10%の濃度で存在する。
【0229】
本明細書における使用のための微小粒子は、滅菌可能、非毒性および生分解性である材料から形成される。このような材料としては、限定するものではないが、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、PACA、およびポリシアノアクリレートが挙げられる。好ましくは、本発明での使用のための微小粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)から、詳細には、ポリ(ラクチド)(「PLA」)またはD,L−ラクチドおよびグリコリドもしくはグリコール酸のコポリマー、例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(「PLG」または「PLGA」)、またはD,L−ラクチドおよびカプロラクトンのコポリマーから誘導される。この微小粒子は、種々の分子量を有する任意の種々のポリマー性の出発材料、およびPLGのようなコポリマーの場合には、種々のラクチド:グリコリド比から誘導され得、その選択は、部分的には共投与される高分子に依存して、かなり選択できる。これらのパラメーターは、下にさらに詳細に考察される。
【0230】
さらなる抗原としてまた、外膜小胞(OMV)調製物も挙げられ得る。
【0231】
さらなる処方方法および抗原(特に腫瘍抗原)は米国特許第6,884,435号に提供される。
【0232】
(J.抗原の参考文献)
以下の参考文献は、本発明の組成物と組み合わせて有用な抗原を包含する。
【0233】
【数2】
【0234】
【数3】
【0235】
【数4】
上記で引用された特許、特許出願、および文献の記事の全ての内容は、本明細書において詳細に示されるかのように参照によって援用される。
【0236】
(キャリアタンパク質)
サッカリドまたは炭水化物抗原が用いられる場合、免疫原性を増強するためにキャリアタンパク質に結合体化することが好ましい。
【0237】
【化22】
を参照のこと。好ましいキャリアタンパク質は、細菌毒素またはトキソイド、例えば、ジフテリアまたは破傷風のトキソイドである。CRM 197ジフテリアトキソイドが特に好ましい。
【0238】
他のキャリアポリペプチドとしては、N.meningitidis外膜タンパク質(EP−A−0372501)、合成ペプチド(EP−A−0378881およびEP−A0427347)、熱ショックタンパク質(WO 93/17712およびWO 94/03208)、百日咳タンパク質(WO 98/58668およびEP A 0471177)、H.influenzae由来のプロテインD(WO 00/56360)、サイトカイン(WO 91/01146)、リンホカイン、ホルモン、成長因子、C.difficile由来の毒素AまたはB(WO 00/61761)、鉄取り込みタンパク質(WO 01/72337)などが挙げられる。混合物がセリグラフAおよびCの両方由来の莢膜サッカリドを含む場合、MenAサッカリド:MenCサッカリドの比(w/w)が1より大きい(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1またはそれ以上)ことが好ましい場合がある。異なるサッカリドが、同じまたは異なる種類のキャリアタンパク質に結合体化されてもよい。必要に応じて任意の適切なリンカーを用いて、任意の適切な結合体化反応を用いてもよい。
【0239】
毒性タンパク質抗原は、必要に応じて無毒化され得る(例えば、化学的方法および/または遺伝学的方法による百日咳毒素の無毒化)。
【0240】
(薬学的に許容され得るキャリア)
本発明の組成物は代表的には、上述の成分に加えて、1つ以上の薬学的に許容され得るキャリアを含む。これらとしては、その組成物を投与された個体にとって有害な抗体の産生をそれ自体が誘導しない任意のキャリアが挙げられる。適切なキャリアは代表的には、大きく、緩徐に代謝される高分子、例えば、タンパク質、ポリサッカリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体のアミノ酸、アミノ酸コポリマーおよび脂質凝集体(例えば、油滴またはリポソーム)である。このようなキャリアは、当業者に周知である。組成物はまた、希釈剤、例えば、水、生理食塩水、グリセロールなどを含んでもよい。さらに、補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化物質なども存在してもよい。薬学的に許容され得る成分の詳細な考察は、Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy.第20版,ISBN:0683306472で入手できる。
【0241】
(免疫調節剤)
(アジュバント)
本発明のワクチンは、他の免疫調節剤と組み合わせて投与され得る。詳細には組成物は通常、アジュバントを含む。本発明での使用のためのアジュバントとしては、限定するものではないが、以下のうちの1つ以上が挙げられる。
【0242】
(A.ミネラル含有組成物)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切なミネラル含有組成物としては、無機塩類、例えば、アルミニウム塩およびカルシウム塩が挙げられる。本発明は、無機塩類、例えば、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など(例えば、Vaccine Design...(1995)編集、Powell & Newman.ISBN:030644867X.Plenum.の第8章&9章を参照のこと)、または種々の無機化合物の混合物(例えば、リン酸塩および水酸化物のアジュバントの混合物、必要に応じて、過剰のリン酸塩を有する)を包含し、ここでこの化合物は任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶質、アモルファスなど)をとり、塩(単数または複数)に対する吸着が好ましい。ミネラル含有組成物はまた、金属塩の粒子として処方されてもよい(WO00/23105)。
【0243】
アルミニウム塩は、Al3+用量が1投与量あたり0.2〜1.0mgであるように本発明のワクチンに含まれ得る。
【0244】
一実施形態では、本発明の使用のためのアルミニウムベースのアジュバントは、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO4)2))またはミョウバン誘導体であり、例えば、リン酸緩衝液中の抗原とミョウバンとを混合し、続いて水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基の漸増およびこれによる沈殿によって、インサイチュで形成される。
【0245】
本発明のワクチン処方物中での使用のための別のアルミニウムベースのアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH)3)または結晶性オキシ水酸化アルミニウム(AlOOH)であり、これは、約500m2/gという表面積を有する優れた吸着剤である。あるいは、リン酸アルミニウムアジュバント(AlPO4)またはヒドロキシリン酸アルミニウム(水酸化アルミニウムアジュバントのヒドロキシル基のいくつかまたは全ての代わりにリン酸基を含む)が提供される。本明細書に提供される好ましいリン酸アルミニウムアジュバントは、アモルファスであり、酸性、塩基性および中性の媒質中で可溶性である。
【0246】
別の実施形態では、本発明のアジュバントは、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの両方を含む。そのさらに特定の実施形態では、アジュバントは、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または9:1超という重量比(リン酸アルミニウム対水酸化アルミニウム)のような、水酸化アルミニウムよりも多量のリン酸アルミニウムを有する。さらに詳細には、ワクチン中のアルミニウム塩は、1ワクチン用量あたり0.4〜1.0mg、または1ワクチン用量あたり0.4〜0.8mg、または1ワクチン用量あたり0.5〜0.7mg、または1ワクチン用量あたり約0.6mg存在する。
【0247】
一般には、好ましいアルミニウムベースのアジュバント(単数または複数)、または複数のアルミニウムベースのアジュバントの比、例えば、水酸化アルミニウムに対するリン酸アルミニウムは、分子間の静電気引力の最適化によって選択され、その結果この抗原は、所望のpHでアジュバントと反対の電荷を担持する。例えば、リン酸アルミニウムアジュバント(等電点=4)は、pH7.4でリゾチームを吸着するが、アルブミンは吸着しない。アルブミンが標的であるならば、水酸化アルミニウムアジュバントが選択される(iep 11.4)。あるいは、リン酸塩での水酸化アルミニウムの前処理によってその等電点が低くなり、水酸化アルミニウムは、さらに塩基性の抗原についての好ましいアジュバントになる。
【0248】
(B.オイル−エマルジョン)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切なオイル−エマルジョン組成物としては、スクアレン−水エマルジョン、例えば、5%スクアレン、0.5%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80、例えば、TWEEN(登録商標)80)、および0.5%ソルビタントリオレアート(例えば、SPAN(登録商標)85)、例えば、MF59(登録商標)(マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロンの粒子に処方した)が挙げられる。WO90/14837を参照のこと。また、Podda,Vaccine(2001)19:2673−2680;Freyら、Vaccine(2003)21:4234〜4237を参照のこと。MF59(登録商標)は、FLUADTMインフルエンザウイルスの三価サブユニットワクチン中でアジュバントとして用いられる。
【0249】
この組成物での使用のための特に好ましいアジュバントは、サブミクロンの水中油型エマルジョンである。本明細書での使用のための好ましいサブミクロンの水中油型エマルジョンは、種々の量のMTP−PEを必要に応じて含んでいるスクアレン/水エマルジョンであり、例えば、4〜5%(w/v)のスクアレン、0.25〜1.0%(w/v)TWEENTM80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、および/または0.25〜1.0%のSPAN 85TM(ソルビタントリオレアート)、および必要に応じてN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ(huydroxyphosphophoryloxy)−エチルアミン(MTP−PE)を含んでいるサブミクロンの水中油型エマルジョン、例えば、「MF59」として公知のサブミクロンの水中油型エマルジョン(国際公開番号WO90/14837;米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号、ならびにOttら、Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.およびNewman,MJ.編集)Plenum Press,New York,1995,第277〜296頁)である。MF59は、4〜5%(w/v)のスクアレン(例えば、4.3%)、0.25〜0.5%(w/v)TWEENTM80、および0.5%(w/v)SPAN 85TMを含み、必要に応じて、種々の量のMTP−PEを含み、Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics,Newton,MA)などのマイクロフルイダイザーを用いてサブミクロンの粒子に処方される。例えば、MTP−PEは、約0〜500μg/用量、より好ましくは0〜250μg/用量、そして最も好ましくは0〜100μg/用量の量で存在し得る。本明細書において用いる場合、「MF59−0」という用語は、MTP−PEを欠く上記のサブミクロンの水中油型エマルジョンを指すが、「MF59−MTP」という用語は、MTP−PEを含む処方物を指す。例えば、「MF59−100」は、1用量あたり100μgのMTP−PEを含む等である。本明細書における使用のための別のサブミクロンの水中油型エマルジョンであるMF69は、4.3%(w/v)のスクアレン、0.25%(w/v)のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80、例えば、TWEEN(登録商標)80)、および0.75%(w/v)ソルビタントリオレアート(例えば、SPAN(登録商標)85)および必要に応じてMTP−PEを含む。さらに別のサブミクロンの水中油型エマルジョンは、SAFとしても公知のMF75であり、10%のスクアレン、0.4%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80、例えば、TWEEN(登録商標)80)、5%プルロニック−ブロックのポリマーL121、およびthr−MDPを含んでいる(これもサブミクロンのエマルジョンへとマイクロフルイダイズされる)。MF75−MTPは、1用量あたり100〜400μgのMTP−PEなどのMTPを含むMF75処方物を意味する。
【0250】
サブミクロンの水中油型エマルジョン、サブミクロンの水中油型エマルジョンを作製する方法、および組成物中の使用のための、ムラミルペプチドなどの免疫刺激剤は、WO90/14837および米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号に詳細に記載されている。
【0251】
完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)もまた、本発明におけるアジュバントとして用いられてもよい。
【0252】
(C.サポニン処方物)
サポニン処方物はまた、本発明におけるアジュバントとして用いられ得る。サポニンは、広範な植物種の樹皮、葉、幹、根およびさらに花において見出されるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種の群である。Quillaia saponaria Molinaの樹の樹皮から単離されたサポニンは、アジュバントとして広範に研究されている。サポニンはまた、Smilax ornata(サルサパリラ(sarsaprilla))、Gypsophilla paniculata(ブライズベール(brides veil))、およびSaponaria officianalis(ソープルート(soap root))から商業的に入手され得る。サポニンアジュバント処方物としては、精製された処方物、例えば、QS21、および液体処方物、例えば、ISCOMが挙げられる。
【0253】
サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィー(High Performance Thin Layer Chromatography(HP−TLC))および逆相高速液体クロマトグラフィー(Reversed Phase High Performance Liquid Chromatography(RP−HPLC))を用いて精製されている。これらの技術を用いる特定の精製された画分は、特定されており、これはQS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cを含んでいる。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の作製方法は、米国特許第5,057,540号に開示されている。サポニン処方物はまた、ステロール、例えば、コレステロールを含んでもよい(WO96/33739を参照のこと)。
【0254】
サポニンおよびコレステロールの組み合わせは、免疫刺激複合体(Immunostimulating Complexes(ISCOM))と呼ばれる特有の粒子を形成するために用いられ得る。ISCOMは代表的にはまた、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなどのリン脂質を含む。任意の公知のサポニンは、ISCOMで用いられ得る。好ましくは、ISCOMは、1つ以上のQuil A、QHAおよびQHCを含む。ISCOMはさらに、EP0109942、WO96/11711およびWO96/33739に記載される。必要に応じて、ISCOMSは、追加の界面活性剤(単数または複数)を欠いてもよい。WO00/07621を参照のこと。
【0255】
サポニンベースのアジュバントの開発の概説は、Barr,ら、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:247〜271に見出され得る。また、Sjolander,ら、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:321〜338も参照のこと。
【0256】
(D.ビロゾームおよびウイルス様粒子(VLP))
ビロゾームおよびウイルス様粒子(VLP)もまた、本発明でアジュバントとして用いてもよい。これらの構造は一般には、必要に応じてリン脂質と組み合わされるかまたはリン脂質と処方される、ウイルス由来の1つ以上のタンパク質を含む。それらは一般には、非病原性、非複製性であり、かつ一般には天然のウイルスゲノムを少しも含まない。このウイルスタンパク質は、組み換え産生されてもよいし、または全ウイルスから単離されてもよい。ビロゾームまたはVLPにおける使用に適切なこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス(例えば、HAまたはNA)、B型肝炎ウイルス(例えば、コアまたはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNA−ファージ、Qβ−ファージ(例えば、コートタンパク質)、GA−ファージ、fr−ファージ、AP205ファージ、およびTy(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質p1)由来のタンパク質が挙げられる。VLPは、さらにWO03/024480、WO03/024481、およびNiikuraら、Virology(2002)293:273〜280;Lenzら、Journal of Immunology(2001)5246〜5355;Pinto,ら、Journal of Infectious Diseases(2003)188:327〜338;ならびにGerberら、Journal of Virology(2001)75(10):4752〜4760に考察される。ビロゾームはさらに、例えば、Gluckら、Vaccine(2002)20:B10〜B16に考察される。免疫増強性の再構成したインフルエンザビロゾーム(IRIV)を、鼻腔内の三価のINFLEXALTM製品{Mischler & Metcalfe(2002)Vaccine 20 補遺5:B17−23}およびINFLUVAC PLUSTM製品において、サブユニット抗原送達系として用いる。
【0257】
(E.細菌または微生物の誘導物)
本発明における使用に適切なアジュバントとしては、以下のような細菌または微生物の誘導体が挙げられる。
【0258】
(1)腸内細菌のリポポリサッカリド(LPS)の非毒性誘導体
このような誘導体としては、モノホスホリル脂質A(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、3 De−O−アシル化モノホスホリル脂質Aと4,5または6アシル化鎖との混合物である。3 De−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小型粒子」型は、EP0 689 454に開示される。このような3dMPLの「小型粒子」は、0.22ミクロンの膜を通して滅菌濾過するのに十分小さい(EP0 689 454を参照のこと)。他の非毒性のLPS誘導体としては、モノホスホリル脂質A模倣物、例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体、例えば、RC529が挙げられる。Johnsonら、(1999)Bioorg Med Chem Lett 9:2273〜2278を参照のこと。
【0259】
(2)脂質A誘導体
脂質A誘導体としては、OM−174などのEscherichia coli由来の脂質Aの誘導体が挙げられる。OM−174は、例えば、Meraldiら、Vaccine(2003)21:2485〜2491;およびPajak,ら、Vaccine(2003)21:836〜842に記載される。
【0260】
(3)免疫刺激性オリゴヌクレオチド
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切な免疫刺激性オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフを含んでいるヌクレオチド配列が挙げられる(非メチル化シトシン、続いてグアノシンを含んでおり、リン酸結合によって連結される配列)。細菌の二重鎖RNAまたはオリゴヌクレオチド(パリンドロームまたはポリ(dG)配列を含んでいる)もまた、免疫刺激性であることが示されている。
【0261】
CpGはヌクレオチド修飾/アナログ、例えば、ホスホロチオエート修飾を含んでもよく、かつ二本鎖であってもまたは単鎖であってもよい。必要に応じて、グアノシンは、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンなどのアナログで置き換えられてもよい。可能性のあるアナログ置換の例については、Kandimallaら、Nucleic Acids Research(2003)31(9):2393〜2400;WO02/26757およびWO99/62923を参照のこと。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果はさらに、Krieg,Nature Medicine(2003)9(7):831〜835;McCluskie,ら、FEMS Immunology and Medical Microbiology(2002)32:179〜185;WO98/40100;米国特許第6,207,646号;米国特許第6,239,116号および米国特許第6,429,199号に考察されている。
【0262】
CpG配列は、モチーフGTCGTTまたはTTCGTTのように、TLR9に向けられてもよい。Kandimallaら、Biochemical Society Transactions(2003)31(パート3):654〜658を参照のこと。CpG配列は、CpG−A ODNのように、Th1免疫応答を誘導するために特異的であってもよいし、またはCpG−B ODNのように、B細胞応答を誘導するためにさらに特異的であってもよい。CpG−AおよびCpG−BのODNは、Blackwellら、J.Immunol.(2003)170(8):4061〜4068;Krieg,TRENDS in Immunology(2002)23(2):64〜65およびWO01/95935に考察されている。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。
【0263】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端がレセプター認識のためにアクセス可能であるように構築される。必要に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列をそれらの3’末端で結合して、イムノマー(immunomer)を形成してもよい。例えば、Kandimallaら、BBRC(2003)306:948〜953;Kandimallaら、Biochemical Society Transactions(2003)31(パート3):664〜658;Bhagatら、BBRC(2003)300:853〜861およびWO03/035836を参照のこと。
【0264】
(4)ADP−リボシル化毒素およびその無毒化誘導体
細菌ADP−リボシル化毒素およびその無毒化誘導体は、本発明のアジュバントとして用いられ得る。好ましくは、このタンパク質は、E.coli(すなわち、E.coli易熱性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、または百日咳(「PT」)由来である。粘膜アジュバントとしての無毒化ADP−リボシル化毒素の使用は、WO95/17211に、そして親のアジュバントとしては、WO98/42375に記載されている。好ましくは、このアジュバントは、無毒化LT変異体、例えば、LT−K63、LT−R72、およびLTR192Gである。ADP−リボシル化毒素およびその無毒化誘導体、特にLT−K63およびLT−R72のアジュバントとしての使用は、以下:
【0265】
【化23】
の参考文献に見出すことができる。アミノ酸置換についての数的な参照は好ましくは、Domenighiniら、Mol.Microbiol(1995)15(6):1165−1167に示されるADPリボシル化毒素のAおよびBサブユニットのアラインメントに基づく。
【0266】
(F.生体付着剤および粘膜付着剤)
生体付着剤および粘膜付着剤もまた、本発明におけるアジュバントとして用いられ得る。適切な生体付着剤としては、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア(Singhら(2001)J.Cont.Rele.70:267〜276)または粘膜付着剤、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカリドおよびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体が挙げられる。キトサンおよびその誘導体もまた、本発明においてアジュバントとして用いられ得る。WO99/27960を参照のこと。
【0267】
(G.微小粒子)
微小粒子も、本発明のアジュバントとして用いられ得る。微小粒子(すなわち、直径で約100nm〜約150μm、さらに好ましくは直径で約200nm〜約30μm、最も好ましくは直径で約500nm〜約10μmの粒子)は、生分解性であってかつ非毒性である材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)から形成され、ポリ(ラクチド コ グリコリド)が好ましく、必要に応じて、負に荷電した表面(例えば、SDSで)または正に荷電した表面(例えば、陽イオン性界面活性剤、例えば、CTABで)を有するように処理される。
【0268】
(H.リポソーム)
アジュバントとしての使用に適切なリポソーム処方物の例は、米国特許第6,090,406号、米国特許第5,916,588号、および欧州特許第0 626 169号に記載される。
【0269】
(I.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル処方物)
本発明における使用に適切なアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる。WO99/52549。このような処方物としてはさらに、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステルサーファクタント(WO01/21207)、およびオクトキシノールのような、少なくとも1つの追加の非イオン性サーファクタントと組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステルサーファクタント(WO01/21152)が挙げられる。
【0270】
好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス(laureth)9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0271】
(J.ポリホスファゼン(PCPP))
PCPP処方物は、例えば、
【0272】
【化24】
に記載される。
【0273】
(K.ムラミルペプチド)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切なムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミン(nor−MDP)、およびNアセチルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が挙げられる。
【0274】
(L.イミダゾキノリン化合物)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切なイミダゾキノリン化合物の例としては、Stanley,Clin Exp Dermatol(2002)27(7):571〜577;Jones,Curr Opin Investig Drugs(2003)4(2):214〜218;ならびに米国特許第4,689,338号、同第5,389,640号、同第5,268,376号、同第4,929,624号、同第5,266,575号、同第5,352,784号、同第5,494,916号、同第5,482,936号、同第5,346,905号、同第5,395,937号、同第5,238,944号、および同第5,525,612号にさらに記載されるイミキモドおよびそのアナログが挙げられる。
【0275】
(M.チオセミカルバゾン化合物)
チオセミカルバゾン化合物の例、ならびに本発明におけるアジュバントとしての使用に適切な全ての化合物について処方、製造およびスクリーニングする方法としては、WO04/60308に記載されるものが挙げられる。チオセミカルバゾンは特に、TNF−αなどのサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核球の刺激に有効である。
【0276】
(N.トリプタントリン化合物)
トリプタントリン化合物の例、ならびに本発明におけるアジュバントとしての使用に適切な全ての化合物について処方、製造およびスクリーニングする方法としては、WO04/64759に記載されるものが挙げられる。トリプタントリン化合物は特に、TNF−αなどのサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核球の刺激に有効である。
【0277】
本発明はまた、上記で特定されたアジュバントの1つ以上の局面の組み合わせを含み得る。例えば、以下のアジュバント組成物が本発明において用いられ得る:
(1)サポニンおよび水中油型エマルジョン(WO99/11241);
(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)(WO94/00153を参照のこと);
(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL12(必要に応じて+ステロール)(WO98/57659);
(5)例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの3dMPLの組み合わせ(欧州特許出願0835318、0735898および0761231を参照のこと);
(6)SAF(10%スクアラン、0.4%Tween 80、5%プルロニック−ブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含有しており、サブミクロンのエマルジョンにマイクロフルイダイズされているか、またはボルテックスされてそれより大きい粒子サイズのエマルジョンを生じる)。
【0278】
(7)RIBITMアジュバントシステム(RAS),(Ribi Immunochem)(2%スクアレン、0.2% Tween 80、ならびにモノホスホリル脂質A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群由来の1つ以上の細菌細胞壁成分、好ましくはMPL+CWS(DETOXTM)を含んでいる);ならびに
(8)1つ以上の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば、3dPML)。
【0279】
(9)1つ以上の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGモチーフを含むヌクレオチド配列)。
【0280】
(O.ヒト免疫調節物質)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切なヒト免疫調節物質としては、サイトカイン、例えば、インターロイキン(例えば、IL−I、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12、など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子が挙げられる。
【0281】
アルミニウム塩およびMF59は、注射用インフルエンザワクチンとの使用のための好ましいアジュバントである。細菌の毒素および生体付着剤は、経鼻ワクチンなどの粘膜送達ワクチンとの使用のための好ましいアジュバントである。
【0282】
上記で引用した特許、特許出願および文献記事の全ての内容は、本明細書において詳細に示されるかのように参照によって援用される。
【0283】
(治療方法)
本発明は、上記の組成物を用いて1つ以上のグラム陽性の(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌の)細菌(例えば、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、および/またはS.aureus)に対する免疫応答を誘導または増大するための方法を提供する。本発明はまた、1つ以上のグラム陽性の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)細菌(例えば、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、および/またはS.aureus)に対する免疫応答を誘導または増大することにおける使用のための上記の組成物を提供する。この免疫応答は好ましくは防御的であり、かつ抗体および/または細胞媒介性の免疫(全身性免疫および粘膜免疫を含む)を含み得る。免疫応答は追加免疫応答を包含する。
【0284】
ティーンエイジャーおよび小児(幼児および乳児を含む)は、予防的使用のためのワクチンを投与され得る;治療用ワクチンは代表的には、ティーンエイジャーまたは成人に投与される。小児を意図するワクチンはまた、例えば、安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために成人にも投与され得る。
【0285】
本発明によって予防または処置され得る、S.agalactiaeによって生じる疾患としては、限定するものではないが、新生児敗血症、髄膜炎、および肺炎、および妊婦感染(例えば、子宮における、羊水における、帝王切開術後、および尿路における)が挙げられる。
【0286】
本発明によって予防または処置され得る、S.pneumoniaeによって生じる疾患としては、限定するものではないが、肺炎、菌血症、中耳炎、髄膜炎、静脈洞炎、腹膜炎および関節炎が挙げられる。
【0287】
本発明によって予防または処置され得る、S.pyogenesによって生じる疾患としては、限定するものではないが、丹毒咽頭炎(例えば、連鎖球菌咽頭炎)、猩紅熱、膿痂疹、蜂巣炎、敗血症、壊疽性筋膜炎、筋炎、トキシックショック症候群、ならびにリウマチ熱および急性糸球体腎炎などの続発症が挙げられる。
【0288】
本発明によって予防または処置され得る、S.aureusによって生じる疾患としては、限定するものではないが、軽度の皮膚感染、膿痂疹、腫脹(boil)、蜂巣炎、毛嚢炎、せつ(furuncle)、よう(carbuncle)、熱傷様皮膚症候群、膿瘍、肺炎、髄膜炎、骨髄炎、心内膜炎、トキシックショック症候群、および敗血症が挙げられる。
【0289】
本発明によって予防または処置され得る、S.suisによって生じる疾患としては、限定するものではないが、ブタのS.suis感染およびブタまたはブタの生成物に曝露されたヒトにおける髄膜炎、敗血症、肺炎、心内膜炎、関節炎、および敗血性ショックが挙げられる。
【0290】
本発明によって予防または処置され得る、S.equiによって生じる疾患としては、限定するものではないが、ウマ、イヌおよびラクダ科の患者(例えば、馬、ロバ、ラバ、イヌ、ラクダおよびヒトコブラクダ)における「腺疫(strangles)」ならびに転移性の腺疫が挙げられる。
【0291】
本発明によって予防または処置され得る、S.uberisによって生じる疾患としては、限定するものではないが、ウシの乳腺炎が挙げられる。
【0292】
本発明によって予防または処置され得る、S.dysgalactiaeによって生じる疾患としては、限定するものではないが、例えば、ウマ、ウシおよびブタの乳腺炎が挙げられる。
【0293】
本発明によって予防または処置され得る、S.iniaeによって生じる疾患としては、限定するものではないが、魚のS.iniae感染および感染した魚の取り扱いの際の皮膚損傷後のヒトにおける侵襲性の感染が挙げられる。
【0294】
(免疫応答の有効性を決定するための試験)
治療処置の有効性を評価する1方法は、本発明の組成物の投与後に細菌感染をモニタリングする工程を包含する。予防的処置の有効性を評価する1方法は、組成物の投与後に本発明の組成物中のCna_Bドメインに対する免疫応答をモニタリングする工程を包含する。
【0295】
本発明の免疫原性組成物の構成要素のタンパク質の免疫原性を評価する別の方法は、Cna_Bドメインを組み換え的に産生すること、およびイムノブロットによって患者の血清または粘膜分泌物をスクリーニングすることである。タンパク質と患者の血清との間の陽性の反応は、この患者が該当のタンパク質に対して従前に免疫応答を上昇(mount)させたこと;すなわちこのタンパク質が免疫原であることを示す。この方法はまた、イムノドミナントタンパク質および/またはエピトープを特定するために用いられ得る。
【0296】
治療処置の有効性をチェックする別の方法は、本発明の組成物の投与後に感染をモニタリングする工程を包含する。予防的処置の有効性をチェックする1方法は、組成物の投与後、Cna_Bドメインに対する全身的(例えば、IgG1およびIgG2a産生のレベルをモニタリングする)および粘膜的(例えば、IgA産生のレベルをモニタリングする)の両方で、免疫応答をモニタリングする工程を包含する。代表的には、血清特異的抗体応答は、免疫後だがチャレンジ前に決定され、一方で粘膜特異的抗体身体応答は、免疫後かつチャレンジ後に決定される。
【0297】
本発明のワクチン組成物は、宿主、例えば、ヒト投与の前にインビトロおよびインビボの動物モデルで評価され得る。特に有用なマウスモデルとしては、腹腔内免疫の後に、腹腔内チャレンジまたは鼻腔内チャレンジが続くモデルが挙げられる。
【0298】
本発明の免疫原性組成物の有効性はまた、インビボで動物モデルにグラム陽性の(例えば、ブドウ球菌または連鎖球菌の)細菌をチャレンジすることによって決定され得る(例えば、免疫原性組成物を用いたモルモットまたはマウス)。この免疫原性組成物は、チャレンジの血清型と同じ血清型由来であってもそうでなくてもよい。
【0299】
インビボの有効性モデルとしては限定するものではないが以下が挙げられる:(i)ヒトグラム陽性の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)細菌血清型を用いるマウス感染モデル;(ii)マウスで特に毒性であるS.pyogenesのM23株などのマウス適合性連鎖球菌株を用いるマウスモデルである、マウス疾患モデル、ならびに(iii)ヒト連鎖球菌単離体を用いる霊長類モデル。他のインビボモデルは、下の実施例に開示される。
【0300】
免疫応答は、Th1免疫応答およびTh2応答の一方であってもまたは両方であってもよい。免疫応答は、改善、または増強、または変更された免疫応答であり得る。免疫応答は、全身性および粘膜の免疫応答の一方または両方であってもよい。好ましくは、この免疫応答は、増強された全身性および/または粘膜応答である。
【0301】
増強された全身性免疫および/または粘膜免疫は、増強されたTh1および/またはTh2免疫応答に反映される。好ましくは、増強された免疫応答としては、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgAの産生の増大が挙げられる。
【0302】
好ましくは、粘膜免疫応答は、Th2免疫応答である。好ましくは、粘膜免疫応答としては、IgA産生の増大が挙げられる。
【0303】
活性化されたTh2細胞は、抗体産生を増強し、従って、細胞外感染への応答に有用である。活性化Th2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10のうちの1つ以上を分泌し得る。Th2免疫応答は、将来の防御のためにIgG1、IgE、IgAおよび記憶B細胞の産生を生じ得る。
【0304】
Th2免疫応答は、Th2免疫応答に関連する1つ以上のサイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)の増大、またはIgG1、IgE、IgAおよび記憶B細胞の産生の増大のうちの1つ以上を包含し得る。好ましくは、増強されたTh2免疫応答は、IgG1産生の増大を包含する。
【0305】
Th1免疫応答は、CTLの増大、Th1免疫応答に関連する1つ以上のサイトカイン(例えば、IL−2、IFNγ、およびTNFβ)の増大、活性化マクロファージの増大、NK活性の増大、またはIgG2aの産生の増大のうちの1つ以上を包含し得る。好ましくは、増強されたTh1免疫応答は、IgG2a産生の増大を包含する。
【0306】
本発明の免疫原性組成物、詳細には、本発明の1つ以上のCna_Bドメインを含んでいる免疫原性組成物は、単独で用いられても、または他のグラム陽性細菌の抗原(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌の抗原)と組み合わせて、必要に応じて、Th1および/またはTh2応答を惹起し得る免疫調節性剤とともに用いられてもよい。
【0307】
本発明はまた、1つ以上の免疫調節性剤、例えば、無機塩、例えば、アルミニウム塩およびCpGモチーフを含んでいるオリゴヌクレオチドを含んでいる免疫原性組成物を含む。最も好ましくは、免疫原性組成物は、アルミニウム塩およびCpGモチーフを含んでいるオリゴヌクレオチドの両方を包含する。あるいは、免疫原性組成物は、ADPリボシル化毒素、例えば、無毒化ADPリボシル化毒素およびCpGモチーフを含んでいるオリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、1つ以上の免疫調節性剤は、アジュバントを含む。このアジュバントは、Th1アジュバントおよびTh2アジュバントからなる群の1つ以上から選択され得る。
【0308】
本発明の組成物は、好ましくは、細胞媒介性の免疫応答、および体液性の免疫応答の両方を惹起して、グラム陽性細菌の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)感染に効率的に取り組む。この免疫応答は好ましくは、持続性(例えば、中和)抗体、および1つ以上のグラム陽性細菌の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)抗原に対する曝露の際に急速に応答し得る細胞媒介性の免疫を誘導する。
【0309】
1つの特に好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、中和抗体応答を惹起する1つ以上のCna_Bドメイン抗原(単数または複数)、および細胞媒介性免疫応答を惹起する、1つ以上のCna_Bドメイン抗原(単数または複数)を含む。この方法では、中和抗体応答は、最初のグラム陽性細菌の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)感染を予防または阻害するが、増強されたTh1細胞応答を惹起し得る細胞媒介性免疫応答はさらに、グラム陽性細菌の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)感染の広がりを予防する。
【0310】
本発明の組成物は一般には、患者に直接投与される。本発明の組成物は、種々の異なる経路を介して、単独でまたは組成物の一部として投与され得る。特定の経路は、より有効な免疫応答(好ましくは、CMI応答)の生成を生じるということで、または副作用を誘導する可能性が低いということで、または投与が容易であるということで、特定の組成物に好適であり得る。
【0311】
送達方法としては、非経口注射(例えば、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射、または間質性注射)および直腸、経口(例えば、錠剤、スプレー)、膣、局所、経皮(transdermal)(例えば、WO 99/27961を参照のこと)、経皮(transcutaneous)(例えば、WO02/074244およびWO02/064162を参照のこと)、鼻腔内(例えば、WO03/028760を参照のこと)、眼球、耳、および肺または他の粘膜投与が挙げられる。
【0312】
例えば、本発明の組成物は、全身経路、もしくは粘膜経路、もしくは経皮経路を介して投与されてもよく、または、特定の組織へ直接投与されてもよい。本明細書において用いる場合、「全身投与」という用語は、限定するものではないが、投与の任意の非経口経路を包含する。詳細には、非経口投与としては限定するものではないが、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内または胸骨内の注射、静脈内、動脈内または腎臓透析の注入技術が挙げられる。好ましくは、全身性、非経口投与は、筋肉内注射である。本明細書において用いる場合、「粘膜投与」という用語は、限定するものではないが、経口投与、鼻腔内投与、膣内投与、直腸内投与、気管内投与、腸内投与および眼科投与を包含する。
【0313】
投薬処置は、単一用量スケジュールまたは複数回用量スケジュールであってもよい。複数回用量は、一次免疫スケジュールで、および/または追加免疫スケジュールで用いられ得る。複数回用量スケジュールでは、種々の用量は、同じ経路または異なる経路で、例えば、非経口の一次免疫および粘膜の追加免疫、粘膜の一次免疫および非経口の追加免疫などによって与えてもよい。
【0314】
本発明の組成物は、種々の形態で調製され得る。例えば、組成物は、注射用として、液体溶液または懸濁物として調製されてもよい。注射前の液体ビヒクルにおける溶液、または懸濁物について適切な固体型も調製され得る(例えば、凍結乾燥組成物)。組成物は、経口投与のために、例えば、錠剤またはカプセル、スプレーとして、またはシロップとして(必要に応じて矯味矯臭されて)調製され得る。組成物は、肺投与のために、例えば、吸入器として、微細粉末またはスプレーを用いて、調製されてもよい。組成物は、坐剤またはペッサリーとして調製されてもよい。組成物は、経鼻、耳または眼の投与用に、例えば、滴剤として調製されてもよい。組成物は、合わせた組成物が患者に投与される直前に再構成されるように、キット型で設計されてもよい。このようなキットは、液体型の1つ以上のCna_Bドメイン抗原または他の抗原および1つ以上の凍結乾燥抗原を含んでもよい。
【0315】
ワクチンとして用いられる免疫原性組成物は、免疫学的に有効な量の1つ以上のCna_Bドメイン抗原(またはこの抗原をコードする核酸分子)、および必要に応じて抗体などの任意の他の成分を含む。「免疫学的に有効な量」とは、単回用量でもしくは一連の一部として個体に投与される場合、測定可能な免疫応答を増大するか、または臨床症状を予防もしくは軽減する量である。
【0316】
本発明の免疫学的組成物は、抗生物質処置レジメンと組み合わせて投与されてもよい。一実施形態では、抗生物質は、本発明の1つ以上のCna_Bドメイン抗原(またはその抗原をコードする核酸分子)の投与の前に投与される。
【0317】
別の実施形態では、この抗生物質は、本発明のCna_Bドメイン抗原の投与に続いて投与される。連鎖球菌の感染の処置における使用に適切な抗生物質の例としては限定するものではないが、ペニシリン、またはその誘導体、またはクリンダマイシン、セファロスポリン、グリコペプチド(例えば、バンコマイシン)、およびサイクロセリンが挙げられる。
【0318】
しかし、組成物中の活性因子の量は、処置されるべき個体の健康および身体的状態、処置されるべき個体の年齢、分類学的群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類、など)、個体の免疫系が抗体を合成する能力、所望の保護の程度、ワクチンの処方、医学的状況の処置医による評価、および他の関連の要因に依存して変化する。この量は、慣用的な試験を通じて決定され得る比較的広範囲におさまる。
【0319】
(キット)
本発明はまた、本発明の組成物の1つ以上の容器を含むキットを提供する。組成物は、個々の抗原が可能である場合、液体型であってもよいし、または凍結乾燥されてもよい。組成物に適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジおよび試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックを含めて種々の材料から形成され得る。容器は、無菌のアクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、皮下注射針で刺すことが可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。
【0320】
キットはさらに、薬学的に許容され得る緩衝液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液、またはデキストロース溶液を含む第二の容器を備え得る。このキットはまた、他の緩衝液、希釈液、フィルター、針、およびシリンジを含めて、エンドユーザーに有用な他の材料を含んでもよい。このキットはまた、別の活性因子、例えば、抗生物質を有する第二または第三の容器を含んでもよい。
【0321】
このキットはまた、連鎖球菌の細菌に対する免疫を誘導する方法について、またはグラム陽性細菌の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)感染を処置するための書面の説明を含む添付文書を備えてもよい。この添付文書は、承認されていない草案の添付文書であってもよいし、または食品医薬品局(Food and Drug Administration(FDA))または他の管理当局によって承認された添付文書であってもよい。
【0322】
本開示に引用される、全ての特許、特許出願、および引用文献は、参照によって本明細書に明確に援用される。上記の開示は概して、本発明を記載する。以下の特定の実施例を参照することによってさらに完全な理解を得ることが可能であり、この実施例は、例示の目的で提供するだけであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0323】
(実施例1)
(Cna_Bドメインの免疫原性)
GASタンパク質Cpa_M18のCna_Bドメインを、隣接するドメイン(Fb−シグナル)と一緒にPET21bベクター中にクローニングした。図1A〜図1Bを参照のこと。His−タグ組み換えタンパク質を、活性化キレートセファロース高速流カラムを用いて精製した。図2を参照のこと。
【0324】
クローニングされたCna_B−Fbドメインに対する抗血清を、各々20μgの組み換えCna_B−Fbタンパク質を用いて3回、10CD1雌性マウスを免疫することによって得た。次にCna_B−Fb血清を、Cna_Bドメインを含んでいる種々のヒト病原体由来の種々の精製Hisタグ組み換えタンパク質に対するウエスタンブロット実験によって調べた。結果を図3A〜図3Dに示す。これらの実験によって、Cna_Bドメインが免疫原性であること、およびこれに対して惹起された抗血清がGAS_CpaおよびF2タンパク質、ならびにS.agalactiaeおよびS.pneumoniaeの線毛成分(防御抗原であることが報告されている)を認識することが示される(Maioneら、2005 Science 309,148〜150;Rosiniら、2006 Mol.Micro.61,126〜141およびGianfaldoniら、2007,Infect.Immun.75,1059〜1062)。実施例5は、血清中の抗体がHisタグと反応した可能性に取り組むように設計した実験を報告する;図20も参照のこと。
【0325】
Cna_B抗血清の反応性を、ウエスタンブロットを用いてcpa_M18タンパク質について特異的な抗血清の反応性と比較した。結果を図4A〜図4Bに示す。試験した全てのタンパク質とのより高い反応性をCna_B抗血清について観察した。詳細には、試験した全てのGBS_59の改変体(SAL 1486)が、抗Cna_B−Fb血清によって検出されたが、抗Cpa_M18血清によって検出された改変体は1つだけであった。
【0326】
(実施例2)
(オプソニン食作用アッセイ)
特定の血清および分化したHL−60細胞を用いるS.agalactiae(GBS)のオプソニン食作用性の殺傷を、インビトロで検討して、組み換えCna_B−Fbドメインが防御抗体を惹起するか否かを試験した。GBSを、5mlのTodd Hewitt Broth(THB)中で指数関数中期まで増殖させ(OD600=0.3)、次いで3000×gで、4℃で10分間遠心分離し、PBS1×で洗浄し、OP緩衝液(HBSS,0.1%ゼラチン、10%ウシ胎仔血清)中で懸濁し、約2×107CFU/mlの最終濃度に希釈した。GBS細胞(約2×105CFU)を、冷却した96ウェルマイクロタイタープレートのウェル上で、熱不活化マウス血清(反応物中の最終濃度1:10)と混合し、次いで、分化したHL60(1〜2×106細胞)および仔ウサギ補体(baby rabbit complement)を、GBS細胞に氷上で添加した(最終反応容積125μl)。この混合物を37℃で60分間インキュベートし、400〜500×gで混合した。インキュベーション期間の終わりに氷にサンプルを戻すことによって食作用を終わらせた。インキュベーションの直前(時間0)および1時間後(時間1時間)、25μlのアリコートを、滅菌蒸留水中に希釈し(25μlのサンプル+225μlの水、次いで1:10および1:100)、5%ヒツジ血液を含むトリプシンダイズ寒天(Tryptic soy agar)プレートにまいた。そのプレートを37℃で一晩インキュベートした。
【0327】
結果を図5に示す。GAS_M18_Cna_B_Fb血清は、GBS株515(これは、ピリン(pilin)タンパク質SAL 1482、SAL 1486およびSAL 1487中でCna_Bドメインを発現する)およびJM10098株(これは、防御的ピリンSAN 1518およびSAN 1519を発現した)の殺傷を媒介する。
【0328】
さらなるオプソニン食作用実験によって、GAS_M18_cpa(Cna_B−Fbドメインを含んでいるタンパク質全体)が、同様に細菌を殺傷できるということが指摘され、このことはCna_B−Fbドメインに対して惹起された抗体が、実際に細菌殺傷を担うということを示唆している。
【0329】
S.pyogenes(GAS)についての適切なオプソニン食作用系がない場合、線毛を欠くGBSの変異体株であるR13、ならびにGAS線毛M1およびGAS線毛M6を補完された同じGBS R13株をオプソニン食作用実験で試験した。結果を図6に示す。これらの実験では、GAS_M18_Cna_B_Fb抗血清が、GAS線毛M1を発現するGBS R13株の殺傷を媒介し、そして線毛M6を発現するGBS R13株の殺傷を低い程度に媒介することが示される。
【0330】
Fb−シグナルドメインは、GAS Cpaタンパク質にのみ存在し、抗体媒介性の殺傷が示されたGBSピリンでは存在しないので、本発明者らは、実施例1で試験した全てのタンパク質に存在するCna_Bドメインに集中した。これらのタンパク質のアミノ酸配列をアラインメントして、それらのCna_Bドメインのアミノ酸配列を比較した(図7〜図13)。これらのアラインメントによって、コンセンサス配列GXYXLXEXXXXXGY(配列番号74)を有する、本明細書で「Gボックス」と名付けられた、保存された領域が特定された。
【0331】
(実施例3)
(GBSチャレンジ後のCna_B−Fb免疫マウスの生存)
30匹のCD1雌性マウスを、実施例1に記載のように調製したS.pyogenes Spy_M18_0126タンパク質の組み換えCna_B−Fbドメインを用いて、1、20および34日目に免疫した。10匹のマウスに、20μgの組み換えタンパク質が含有される100μlの_PBS+100μlのフロイント不完全アジュバントをIP注射した。陽性コントロールとして、5匹のマウスに、20μgのS.agalactiae GBS59(SAL_1486)タンパク質が含有される100μlのPBS+100μlのフロイント不完全アジュバントを注射し、および5匹のマウスに20μgのS.agalactiae GBS 1523(SAN 1518)タンパク質が含有される100μlのPBS+100μlのフロイント不完全アジュバントを注射した。陰性コントロールとして、10匹のマウスにPBSに加えてフロイント不完全アジュバントを注射した。
【0332】
マウスを3回目の注射後に交配して、新生児にGBS株A909またはGBS株515のいずれかの致死用量をチャレンジした。Cna_B−Fbで免疫した母由来の80匹の新生児およびPBSでの80匹、ならびにS.agalactiae GBS59(SAL_1486)またはS.agalactiae GBS1523(SAN 1518)で免疫した母由来の各々40匹の新生児をチャレンジした。新生児の生存を4日間モニターした。Cna_B−Fbドメインで免疫した新生児についての生存率は、それぞれA909株および515株でのチャレンジ後に42%および44%であった。その結果を下の表38に示す。
【0333】
【表38】
同様の実験の結果を図24に示す。
【0334】
(実施例4)
(ELISAアッセイ)
GAS_Cpa_M18血清中の特異的抗Cna_Bドメイン抗体の評価は、GAS_Cpa_M18タンパク質およびCna_Bドメインの両方をコーティングすることによって行い、これは、ELISA実験においてGAS_Cpa_M18血清の連続希釈によって連続的にチャレンジした(表39および40)。OD540=1に相当する希釈は、各々のタンパク質についてのELISA力価を示した(表40)。図19は、GAS_Cpa_M18についてY=1(OD540)である場合、ELISA力価が627.814であったことを示す。同様に、コーティングしたCna_Bドメインをチャレンジした場合、GAS_Cpa_M18についてY=1(OD540)である場合、ELISAの力価は318.061となった。この実験によって、GAS_Cpa_M18タンパク質血清に含まれる抗体の約半分がCna_Bドメインに特異的であることが示された。
【0335】
【表39】
【0336】
【表40】
(実施例5)
(GAS Cna_B_Fbドメイン血清とGASおよびGBS株との交差反応性のFACS分析)
本実施例は、GAS Cna_B_Fbドメイン抗血清がGASおよびGBSの両株と交差反応することを示す。
【0337】
クローニングされたCna_B−Fbドメインに対する抗血清およびCna_Bドメイン(「Cna_B_M6」;配列番号145)のみに対する抗血清は、各々20μgの組み換えCna_B−Fbタンパク質または20μgの組み換えM6_Cna_BドメインでCD1雌性マウスを3回免疫することによって得た。
【0338】
種々のGASおよびGBS株に対する交差ハイブリダイゼーション特異性は、蛍光細胞分析分離装置(FACS)を用いて確認した。80チャネルの閾値を陽性シフトと指定した;150チャネルを、極めて陽性のシフトと指定した。
【0339】
結果は表41に示す。図18も参照のこと。
【0340】
【表41】
(実施例6)
(腹腔内免疫後の皮下感染からのインビボ防御)
本実施例は、種々のCna_Bドメイン抗原で腹腔内免疫したマウスが、GAS皮下感染モデルで皮膚病変面積の減少を示すことを示す。
【0341】
マウスは、20μgのCna_B−Fb_M18ドメインを用いて、1、21および35日目に3回腹腔内に免疫し、3回目の免疫の2週後に、109cfuのS.pyogenes株SF370_M1の皮下注射によってチャレンジした。病変面積は、QUANTITY ONE(登録商標)方法(Bio−Rad)を用いて病変の写真で画素数を評価することによって測定した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、陰性コントロールとして用い、M1タンパク質(「emm−1」)を陽性コントロールとして用いた。GAS Cna_Bドメイン抗原「Cna_B−Fb_M18」での免疫の結果を、図21および図25に示す。GBSキメラCna_Bドメイン抗原での免疫の結果を図25に示す。キメラGBS Cna_Bドメイン抗原は、実施例8に記載される「GBS_59(515)−リンカー−GBS_67」(配列番号129)であった。
【0342】
(実施例7)
(腹腔内免疫後のS.aureusチャレンジからのインビボ防御)
本実施例は、Cna_Bドメイン抗原での腹腔内免疫がマウス腎膿瘍モデルにおけるS.aureusコロニー形成に対して防御することを示す。
【0343】
マウス(各々の実験について10匹のマウス)をCna_Bドメイン抗原(Cna_B−Fb_M18;20μg/マウス)を用いるか、または種々のS.aureus抗原を用いて、以下のスケジュールで免疫した:0日目、最初の免疫、および14日目、第二の免疫。チャレンジは24日目に行った。免疫は、腹腔内に行った。免疫した動物は、24日目にS.aureus Newman株の細菌懸濁物の静脈内注射によってチャレンジした。Newman株の培養物を、遠心分離し、2回洗浄し、PBS中に希釈した後にチャレンジした。28日目に、マウスを安楽死させた。腎臓を取り出して、1%のTRITON(登録商標)X−100中にホモジナイズして、アリコートを希釈して、CFUを三連で決定するために寒天培地上にまいた。PBSは、陰性コントロールとして用いた。結果を図22に示す(「Cna_B」はCna_B−Fb_M18である)。
【0344】
(実施例8)
(キメラCna_Bドメイン抗原のクローニングおよび発現)
以下のキメラCna_Bドメイン抗原をクローニングして、GBS59−Cna_Bを第一のドメインとしてその溶解度の高さに起因して用い、pET15発現ベクター中で発現させた。
【0345】
下に示す配列番号127は、GBS株515由来のSAL 1486のCna_Bドメイン(「GBS59」)、リンカー配列およびGBS株2603V/R由来のSAG 0645のCna_Bドメイン(「GBS80」)を含んでいる、His−タグCna_Bドメイン抗原(「GBS_59(515)−リンカー−GBS_80」;配列番号140)のアミノ酸配列である。キメラ配列から上流の6つのヒスチジン残基は太字である。アミノ酸リンカー配列は太字である。下線のアミノ酸を追加して、タンパク質のフォールディングを促進した。
【0346】
【化25】
下に示す配列番号128は、GBS株515由来のSAL 1486のCna_Bドメイン(「GBS59」)、リンカー配列およびGBS株COH1由来のSAN 1518のCna_Bドメイン(「GBS1523」)を含んでいる、His−タグCna_Bドメイン抗原(「GBS_59(515)−リンカー−GBS_1523」;配列番号141)のアミノ酸配列である。キメラ配列から上流の6つのヒスチジン残基は太字である。アミノ酸リンカー配列は太字である。下線のアミノ酸を追加して、タンパク質のフォールディングを促進した。
【0347】
【化26】
下に示す配列番号129は、GBS株515由来のSAL 1486のCna_Bドメイン(「GBS59」)、リンカー配列およびGBS株515由来のSAL 1487の2つのCna_Bドメイン(「GBS67」)(第2のドメインはイタリック体である)を含んでいる、His−タグCna_Bドメイン抗原(「GBS_59(515)−リンカー−GBS_67」;配列番号142)のアミノ酸配列である。キメラ配列から上流の6つのヒスチジン残基は太字である。アミノ酸リンカー配列は太字である。下線のアミノ酸を追加して、タンパク質のフォールディングを促進した。
【0348】
【化27】
下に示す配列番号130は、GBS株515由来のSAL 1486のCna_Bドメイン(「GBS59」)、GBS株2603V/R由来のSAG 0645のCna_Bドメイン、リンカー配列、GBS株COH1由来のSAN 1518のCna_Bドメイン、および別のリンカー配列を含んでいる、His−タグCna_Bドメイン抗原(「GBS_59(515)−GBS_80−リンカー−GBS_1523−リンカー」;配列番号143)のアミノ酸配列である。キメラ配列から上流の6つのヒスチジン残基は太字である。アミノ酸リンカー配列は太字である。下線のアミノ酸を追加して、タンパク質のフォールディングを促進した。
【0349】
【化28】
【0350】
【化29】
下に示す配列番号131は、S.aureus SdrDタンパク質のCna_Bドメインを含んでおり、かつSdrDタンパク質に自然に存在する「リンカー」アミノ酸(太字)を含んでいるHis−タグCna_Bドメイン抗原(「SA Cna_B−SdrD」;配列番号144)のアミノ酸配列である。キメラ配列から上流の6つのヒスチジン残基は太字である。
【0351】
【化30】
(実施例9)
(Cna_Bドメイン抗原での腹腔内免疫は、マウス腎膿瘍モデルにおいてS.aureusコロニー形成に対して防御する)
本実施例は、Cna_Bドメイン抗原での腹腔内免疫が、マウス腎膿瘍モデルにおいてS.aureusコロニー形成に対して防御することを示す。
【0352】
マウス(各実験について10匹のマウス)を以下のスケジュールでCna_Bドメイン抗原(Cna_B−Fb_M18;20μg/マウス)で免疫した:最初の免疫は0日目、および第二の免疫は14日目。チャレンジは、24日目に行った。免疫は、腹腔内で行った。免疫した動物は、S.aureus Newman株の細菌懸濁物の静脈内注射によって24日目にチャレンジした。Newman株の培養物を遠心分離して、2回洗浄し、PBS中に希釈した後にチャレンジした。28日目に、マウスを安楽死させた。腎臓を取り出して、1%のTRITON(登録商標)X−100中にホモジナイズして、アリコートを希釈して、CFUを三連で決定するために寒天培地上にまいた。ブドウ球菌タンパク質IsdBを陽性コントロールとして用い、ミョウバンを陰性コントロールとして用いた。Cna_Bドメイン抗原で免疫したマウスは、S.aureusのチャレンジ後に腎臓のコロニー形成率の低下を示した。結果を図23に示す。
【0353】
(実施例10)
(Cna_B_SdrDは、S.aureus感染に対して敗血症マウスモデルにおいて防御をもたらす)
本実施例は、S.aureusタンパク質SdrD(図26A,B)のCna_Bドメイン(配列番号134〜138)を含んでいるCna_Bドメイン抗原(図27;配列番号132)が、S.aureus感染に対して敗血症マウスモデルで防御を付与することを示す。
【0354】
各14匹のマウスの群をCna_B SdrD 抗原(20μg/マウス、ミョウバン中)またはポアを形成できないS.aureusのα−ヘモリシンの変異型(20μg/マウス、ミョウバン中)(HlaH35L;例えば、Wardenburg & Schneewind,「Vaccine protection against Staphlococcus aureus pneumonia,」Exp Med.2008 February 18;205(2):287〜294を参照のこと)を用いて免疫した。コントロールのマウスにはミョウバンを注射した。
【0355】
マウスは、以下のスケジュールで免疫した:0日目に最初の免疫および14日目に第二の免疫。チャレンジは24日目に行った。免疫は、腹腔内で行った。免疫した動物を、S.aureus株USA300の細菌懸濁物の腹腔内注射によって24日目にチャレンジした。USA300の株の培養物を遠心分離して、2回洗浄し、PBS中に希釈した後にチャレンジした。マウスを14日間毎日モニタリングして、Novartis Animal Welfare Policiesに従って、人道的なエンドポイントの出現で安楽死させた。S.aureus株USA300でのチャレンジ2週間後の生存パーセントを図28に示す。これらの結果、Cna_B_SdrDでの免疫は、S.aureusチャレンジに対して高い防御を付与することが示され、これによってこのドメインは潜在的に極めて良好なワクチン候補物として示唆される。
【0356】
【表42−1】
【0357】
【表42−2】
【0358】
【表42−3】
【0359】
【表42−4】
【0360】
【表42−5】
【0361】
【表42−6】
【0362】
【表42−7】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年1月12日に出願されたUS61/143,859の利益を主張し、US61/143,859の全容は参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、免疫学およびワクチン学の分野にある。詳細には、本発明は、グラム陽性細菌由来の抗原および免疫におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
グラム陽性細菌は、最も毒性のヒトおよび動物の病原のいくつかを含み、多くの重篤な疾患および引き続く続発症の原因となる。グラム陽性細菌感染に対して有効なワクチンが引き続き当該分野で必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
「Cna_Bドメイン」は、S.aureusのコラーゲン結合表面タンパク質中でコラーゲン結合を媒介しない領域として最初に記載された。反復性のB領域の構造は、βサンドイッチ構造を形成する。この領域は、細菌細胞表面から離れたリガンド結合ドメインを示すS.aureusコラーゲン結合タンパク質中のストーク(stalk)を形成すると考えられる。Cna_Bドメインを含んでいるタンパク質は、
【0005】
【数1】
を含めて種々のグラム陽性の病原性細菌に存在する。
【0006】
下の特定の実施例に記載されるとおり、S.pyogenes Cpaタンパク質(Spy_M18_0126、配列番号23)のCna_Bドメイン(配列番号7)は、免疫原性である。これに対して惹起された特異的抗体は、S.pyogenes、S.agalactiae、S.pneumoniae、S.suis、およびS.equiの組み換えタンパク質を認識する。GAS_Cpa_M18タンパク質血清に含まれる抗体の約半分は、Cna_Bドメインに特異的であり、かつM18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_Bドメインに対して惹起された抗血清(「抗Cna_B血清」)は、タンパク質全体(「GAS_M18_cpa」)に対して惹起された抗血清では検出されなかったタンパク質をウエスタンブロット中で検出し、かつS.agalactiaeの食作用性の殺傷を媒介する。Spy_M18_0126のCna_Bドメインはまた、GBSでチャレンジされたマウス中の受動的防御も媒介する。従って、連鎖球菌のCna_Bドメインまたは他のグラム陽性細菌(例えば、S.aureus)タンパク質のCna_Bドメインに対して抗体を惹起するという利点がある。
【0007】
本発明は、グラム陽性細菌に対する、特にS.aureus、S.pneumoniae、S.agalactiae(GBS)、S.pyogenes(GAS)、S.equi、およびS.suisのうちの1つ以上に対する防御を誘導するワクチン組成物中で有用であるCna_Bドメイン抗原を提供する。本発明はまた、種々の連鎖球菌および/またはブドウ球菌の種の間の交差防御を含めて、グラム陽性細菌感染に対して抗体を誘導するため、およびこれを処置または防御するためにCna_Bドメイン抗原を用いる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1Aは、隣接するドメイン(「Fbシグナル」)と一緒にクローニングしたS.pyogenesタンパク質Cpa_M18(Spy_M18_0126)のCna_Bドメインのアミノ酸配列(配列番号1)である(「Cna_B−Fb」)。図1Bは、クローニングされたドメインを図示している。実施例1を参照のこと。
【図2】図2は、精製された組み換えHisタグCna_B−Fbドメインを含んでいるSDS−ポリアクリルアミドゲルである。実施例1を参照のこと。
【図3】図3A〜図3Dは、S.pyogenes Cpa_M18(Spy_M18_0126)Cna_B−Fbドメインが免疫原性であること、およびCna_B−Fbドメイン抗血清がS.pyogenesの種々のM株由来のCpaおよびF2(MGAS2096_Spy0119)タンパク質(図3A〜図3C)、ならびにS.agalactiae(図3C〜図3D)およびS.pneumoniae(図3D)の線毛成分を認識することを示しているウエスタンブロットである。実施例1を参照のこと。
【図4】図4A〜図4Bは、Cna_B−Fb抗血清の反応性(図4A)とCpa_M18抗血清の反応性(図4B)とを比較しているウエスタンブロットである。実施例1を参照のこと。
【図5】図5は、組み換えCna_B−Fbに対して惹起された抗血清(実施例1を参照のこと)および分化したHL−60細胞を用いるS.agalactiae株515およびJMについてのオプソニン食作用(opsonophagocytosis)アッセイの結果を示しているグラフである。実施例2を参照のこと。
【図6】図6は、S.agalactiae変異体株R13(線毛アイランド(pili island)2を欠く)およびその補完株(S.pyogenes線毛M1またはS.pyogenes線毛M6を含んでいる)についてのオプソニン食作用アッセイの結果を示しているグラフである。実施例2を参照のこと。
【図7】図7は、種々のS.pyogenes株由来のCpaタンパク質のCna_Bドメインのアミノ酸配列のアラインメントである。
【0009】
【化1】
【図8】図8は、S.agalactiae由来の線毛タンパク質のCpa_Bドメインのアミノ酸配列のアラインメントである。
【0010】
【化2】
【図9】図9は、M18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_BドメインとのGBSアイランド1線毛成分のアミノ酸のアラインメントである。
【0011】
【化3】
【図10】図10は、M18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_BドメインとのGBSアイランド2線毛成分のアミノ酸配列のアラインメントである。
【0012】
【化4】
【図11】図11は、M18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_BドメインとのGBSアイランド3線毛成分のアミノ酸配列のアラインメントである。
【0013】
【化5】
【図12】図12は、M18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_BドメインとのS.pneumoniae線毛株TIGR4成分のアミノ酸配列のアラインメントである。
【0014】
【化6】
【図13】図13は、M18株由来のS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_BドメインとのCna_Bドメインを含んでいるS.aureusタンパク質のアミノ酸配列のアラインメントである。
【0015】
【化7】
【図14】図14は、Cna_B抗血清がS.suis組み換えタンパク質を認識したことを示しているウエスタンブロットである。
【0016】
【化8】
【図15】図15は、Cna_B抗血清がS.equi組み換えタンパク質を認識したことを示しているウエスタンブロットである。
【0017】
【化9】
【図16】図16は、2つのS.suisタンパク質のCna_BドメインとのS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_Bドメイン(Spy_M18_0126、配列番号23)(配列番号7)のアラインメントである。
【0018】
【化10】
【図17】図17は、2つのS.equiタンパク質のCna_BドメインとのS.pyogenesのCpaタンパク質のCna_Bドメイン(Spy_M18_0126、配列番号23)(配列番号7)のアラインメントである。
【0019】
【化11】
【図18】図18は、選択されたGBS株とのGAS Cna_B血清交差反応のFACS分析である。
【図19】図19は、実施例4に記載されるELISAアッセイの結果を示しているグラフである。
【図20】図20は、Cna_Bドメイン抗原に対する抗血清は、GBSタンパク質抽出物におけるGBS線毛を認識するということを示しているウエスタンブロットである。「α−GAS_Cna_B_M18」は、実施例1に記載のとおり、Cna_B−Fb−M18で免疫したマウス由来の抗血清である。
【図21】図21は、Cna_Bドメイン抗原で免疫したマウスは、GAS皮下感染モデルにおける皮膚病変面積の低減を示すということを示しているグラフである。実施例6を参照のこと。
【図22】図22は、Cna_Bドメイン抗原で免疫したマウスは、S.aureusでチャレンジした場合、鼻咽頭コロニー形成率の低減を示すということを示しているグラフである。実施例7を参照のこと。
【図23】図23は、Cna_Bドメイン抗原で免疫したマウスは、S.aureusでチャレンジした場合、鼻咽頭コロニー形成率の低減を示すということを示しているグラフである。実施例9を参照のこと。
【図24】図24は、キメラCna_Bドメイン抗原で免疫した母から生まれたマウスは、キメラCna_Bドメイン抗原で免疫した場合、コントロールよりも生存率の増大を示すということを示しているグラフである。実施例1を参照のこと。
【図25】図25は、キメラCna_Bドメイン抗原で免疫したマウスは、GAS皮下感染モデル中で皮膚病変面積の減少を示したということを示しているグラフである。実施例6を参照のこと。
【図26A】図26A〜図26Bは、S.aureus subsp. aureus NCTC8325のSdrDタンパク質の図示およびアミノ酸配列(配列番号132)である(図26A);前述のCna_Bドメイン抗原の図示およびそのアミノ酸配列(配列番号132)であり、Cna_Bドメインを示している(図26B)。
【図26B】図26A〜図26Bは、S.aureus subsp. aureus NCTC8325のSdrDタンパク質の図示およびアミノ酸配列(配列番号132)である(図26A);前述のCna_Bドメイン抗原の図示およびそのアミノ酸配列(配列番号132)であり、Cna_Bドメインを示している(図26B)。
【図27】図27A〜図27Cは、Cna_Bドメインのクローニング、発現および精製である。図27Aは、SdrDのクローニングされたCna_Bドメイン(配列番号134〜138)を図示している。図27Bは、クローニングされたドメイン(配列番号133)のアミノ酸配列である。図27Cは、精製されたCna_Bドメインを含んでいるSDS−ポリアクリルアミドゲルである。
【図28】図28は、Cna_B_SdrDは、S.aureus株USA300での感染に対してマウスモデルにおいて防御を付与するということを示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
(Cna_Bドメイン)
任意のグラム陽性細菌タンパク質由来のCna_Bドメインを、本発明の組成物および方法で用いてもよい。種々のS.aureus、S.pneumoniae、S.agalactiae、S.pyogenes、S.suisおよびS.equiタンパク質由来のCna_Bドメインのアミノ酸配列は、図7〜図13、図16および図17に示され、配列番号2〜10、27〜35、53〜57、66、67、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜138として列挙されている配列に示される。Cna_Bドメインを含んでいる他のタンパク質の例は、配列番号89〜102および132に示される。Cna_Bドメインは代表的には、図7〜13に「Gボックス」として特定される1つ以上の配列を含む。図7〜13に示されるGボックスのアミノ酸配列のコンセンサス配列を、配列番号74に示す。
【0021】
(改変体)
いくつかの実施形態では、本発明のCna_Bドメインの改変体は、配列番号2〜10、27〜35、53〜57、66、67、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜138のいずれかに対して少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する。代表的には、Cna_Bドメインのアミノ酸配列と、Cna_Bドメインの改変体のアミノ酸配列との間の何らかの相違は、1つ以上の保存的アミノ酸置換(代表的には、1、2、3、4、5、6、7または8個の置換)に起因する。しかし、アミノ酸欠失または挿入もまた可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は化学的特性に基づき、かつ、保存的アミノ酸置換としては、正に荷電されたアミノ酸の別の正に荷電されたアミノ酸による置換(例えば、H、K、R);負に荷電されたアミノ酸の別の負に荷電されたアミノ酸による置換(例えば、D、E);極めて疎水性のアミノ酸の別の極めて疎水性のアミノ酸による置換(例えば、C、F、I、L、M、V、W);疎水性の低いアミノ酸の別の疎水性の低いアミノ酸による置換(例えば、A、G、H、P、S、T、Y);部分的に疎水性のアミノ酸の別の部分的に疎水性のアミノ酸による置換(例えば、K、R);脂肪族のアミノ酸の別の脂肪族のアミノ酸による置換(例えば、A、I、L、M、P、V);極性のアミノ酸の別の極性のアミノ酸による置換(例えば、A、D、E、G、H、K、N、P、Q、R、S、T、Y);芳香族のアミノ酸の別の芳香族のアミノ酸による置換(例えば、F、H、W、Y);および小型のアミノ酸の別の小型のアミノ酸による置換(例えば、D、N、T)が挙げられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、BLOSUM62表を用いて決定される。BLOSUM62表は、タンパク質配列セグメントの約2,000個の局所マルチプルアラインメント由来のアミノ酸置換マトリックスであり、関連のタンパク質の500を超える群の高度に保存された領域を表す(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915,1992)。BLOSUM62の置換頻度は、Cna_Bドメインのアミノ酸配列へ導入され得る保存的アミノ酸置換を規定するために用いられ得る。これらの実施形態では、保存的置換とは好ましくは、−1より大きいBLOSUM62値によって示される置換を指す。例えば、アミノ酸置換は、その置換が、0、1、2または3というBLOSUM62値によって特徴付けられる場合保存的である。このシステムによれば、好ましい保存的アミノ酸置換は、少なくとも1(例えば、1、2または3)というBLOSUM62値で特徴付けられるが、より好ましい保存的アミノ酸置換は、少なくとも2(例えば、2または3)というBLOSUM62値で特徴付けられる。
【0024】
特定のアミノ酸置換または改変は、図7〜図13に示されるようにCna_Bドメインをアラインメントすることによって特定され得る。このような選択肢の任意の組み合わせを含んでいるCna_Bドメイン抗原(下記)は、本発明の範囲内である。
【0025】
(Cna_Bドメイン抗原)
「Cna_Bドメイン抗原」は、上記のような1つ以上のCna_Bドメインを含み、かつN末端、C末端またはその両方で追加のアミノ酸を含んでも含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、Cna_Bドメイン抗原は、配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および133〜138のいずれかからなる。他の実施形態では、Cna_Bドメイン抗原は、Cna_Bドメインおよび天然の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌)のタンパク質におけるCna_Bドメインに直接隣接しない他のアミノ酸配列を含む。すなわち、このような抗原では、Cna_BドメインのN末端アミノ酸のアミノ基は、天然の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌)のタンパク質において連結されるアミノ酸のカルボキシル基に対してペプチド結合によって連結されず、および/またはCna_BドメインのC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質、例えば、S.aureus、S.pneumoniae、S.agalactiae(GBS)、S.pyogenes(GAS)、S.equi、またはS.suisのタンパク質において連結されるアミノ酸のアミノ基に対してペプチド結合によって連結されない。「天然の」グラム陽性細菌のタンパク質とは、グラム陽性細菌中で、それらが自然に存在しているように見出されるタンパク質であり:「天然の」の連鎖球菌またはブドウ球菌のタンパク質とは、それぞれ、連鎖球菌またはブドウ球菌の細菌中で、それらが自然に存在しているように見出されるタンパク質である。
【0026】
さらに他の実施形態では、Cna_Bドメイン抗原は、Cna_BドメインならびにそのドメインのN末端および/またはC末端(単数または複数)の追加のアミノ酸からなり、ただし、このCna_Bドメイン抗原は、全長の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌の)タンパク質(表1〜32を参照のこと)からなることはない。
【0027】
他の実施形態では、Cna_Bドメイン抗原は、式:
A(LB)n
のポリペプチドからなり、
ここで:
Aは第一のCna_Bドメインであり;Bは第二のCna_Bドメインであり;nは整数であり(代表的には、1〜10;例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)であり;かつLは独立して、存在しないかまたはアミノ酸リンカーである。このような抗原におけるCna_Bドメインは、同じであっても、異なっても、または同じであるいくつかのCna_Bドメインと、異なるいくつかのCna_Bドメインとの混合物であってもよい(すなわち、全てのCna_Bドメインは、異なってもよいし、または2つ以上のCna_Bドメインは、同じであってもよい)。例えば、Cna_Bドメインは、2つ以上の異なるグラム陽性のタンパク質、特にグラム陽性の球菌のタンパク質、例えば、連鎖球菌タンパク質、ブドウ球菌タンパク質のドメインであっても、または2つ以上の異なる種もしくは株(例えば、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、S.aureus、S.suisおよび/またはS.equi)のタンパク質のドメインであってもよい。
【0028】
アミノ酸リンカーは、任意のCna_Bドメインの間に存在する場合、代表的には、6〜12個のアミノ酸(例えば、6、7、8、9、10、11または12個)を含む。GSGGGG(配列番号79)は、有用なリンカーの例である。Cna_Bドメイン抗原中のリンカーは、同じであっても異なってもよい。
【0029】
式A(LB)nのCna_Bドメイン抗原の例としては、配列番号108を含むかまたは配列番号108からなるタンパク質が挙げられる。配列番号108は、N末端からC末端に、SAG_0645のCna_Bドメイン(配列番号112)、アミノ酸配列VDS、第一のアミノ酸リンカー(配列番号79)、SAN_1518のCna_Bドメイン(配列番号113)、第二のアミノ酸リンカー(配列番号79)、SAL_1487の第一のCna_Bドメイン(配列番号110)、アミノ酸配列NSG、SAL_1487の第二のCna_Bドメイン(配列番号111)、およびアミノ酸KQIを含む。
【0030】
式A(LB)nのCna_Bドメイン抗原の他の例としては、配列番号109を含むかまたは配列番号109からなるタンパク質が挙げられる。配列番号109は、N末端からC末端に、SAG_0645のCna_Bドメイン(配列番号112)、アミノ酸配列VDS、第一のアミノ酸リンカー(配列番号79)、SAN_1518のCna_Bドメイン(配列番号113)、第二のアミノ酸リンカー(配列番号79)、SAL_1486の第一のCna_Bドメイン(114)、アミノ酸配列LPL、SAL_1486の第二のCna_Bドメイン(配列番号115)、およびアミノ酸配列DIEを含む。
【0031】
式A(LB)nのCna_Bドメイン抗原の他の例としては、配列番号127、128、129、130、131、133、134、135、136、137または138を含むかまたはそれらからなるタンパク質が挙げられる;実施例8および10を参照のこと。
【0032】
上記のCna_Bドメイン抗原では、βプリーツのシートを切断しないように、アミノ酸配列VDS、NSG、KQI、LPLおよびDIEが含まれる。Cna_Bドメインの三次構造の保存を補助するために本発明のCna_Bドメイン抗原において他のこのようなアミノ酸配列を含むことは当業者の技術の十分に範囲内である。
【0033】
式A(LB)nのCna_Bドメイン抗原のさらに他の例は以下を含む。
【0034】
a.S.pyogenes Spy_M18_0126(例えば、配列番号7)およびM6_Spy0159)(例えば、配列番号8)ならびにMGAS2096_Spy0119(例えば、配列番号121)のCna_Bドメイン;これらとしては、配列番号121の5つのCna_Bドメイン(配列番号122〜126)の融合物を含むCna_Bドメイン抗原が挙げられる。Spy0159のCna_Bドメインのコード配列は、配列番号120に示される。Spy0119のコード配列は、配列番号119に示される。配列番号121のヌクレオチド181〜390、1576〜1797、1915〜2127、2281〜2496および2716〜2916は、それぞれ配列番号122〜126に示されるCna_Bドメインをコードする。
【0035】
b.S.aureusのSdrD(例えば、配列番号134〜138;配列番号66、および/または67;配列番号139)、およびCna_B_キャップ(例えば、配列番号68)のCna_Bドメイン。
【0036】
c.S.pneumoniae SP_0463)(例えば、配列番号53)、Cna_B_RrgA(SP_0462)(例えば、配列番号54および/または56)、およびCna_B_RrgC(SP_0464)(例えば、配列番号55および/または57)のCna_Bドメイン。
【0037】
d.Spy_M18_0126(例えば、配列番号7)、SAG0645(配列番号33)、RrgB(SP_0463)(例えば、配列番号53)、およびSdrD(例えば、配列番号134〜138;配列番号66および/または配列番号67;配列番号139)のCna_Bドメイン。
【0038】
本発明のCna_Bドメイン抗原はまた、上記の任意のCna_Bドメイン抗原を含んでもよい。これらの実施形態のいくつかでは、Cna_BドメインのN末端アミノ酸のアミノ基は、天然の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌)のタンパク質において連結されるアミノ酸のカルボキシル基に対してペプチド結合によって連結されず、および/またはCna_BドメインのC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌)のタンパク質において連結されるアミノ酸のアミノ基に対してペプチド結合によって連結されない。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明の1つ以上のCna_Bドメイン抗原は、別の細菌抗原、好ましくは別の細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌の)抗原を含む融合ポリペプチドの一部である。適切な抗原は、例えば、WO99/05447、WO02/034771、WO04/018646、WO05/028618、WO05/032482、WO06/042027およびWO06/078318に開示される。
【0040】
1つ以上のCna_Bドメインおよび他のドメイン、例えばフォン・ヴィレブランド因子A(vWFA)ドメイン(例えば、配列番号105、106、107)を含んでいる融合ポリペプチドも、本発明の範囲内であり、例えば:
a.Spy_M18_0126)(例えば、配列番号7)のCna_BドメインおよびvWFA_cpa_M6_(M6_Spy0159)(例えば、配列番号105);および
b.SAG0645(例えば、配列番号33)のCna_BドメインおよびvWFA_SAL_1487(例えば、配列番号106)。
【0041】
このような融合ポリペプチドは、種々の融合パートナーの間のリンカー配列および/または各々の融合パートナーに隣接する配列を含んでもよく、下の表1〜37および表43〜48に開示されるものから選択され得る。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【表7−1】
【0049】
【表7−2】
【0050】
【表8−1】
【0051】
【表8−2】
【0052】
【表9−1】
【0053】
【表9−2】
【0054】
【表10】
【0055】
【表11−1】
【0056】
【表11−2】
【0057】
【表12−1】
【0058】
【表12−2】
【0059】
【表13A−1】
【0060】
【表13A−2】
【0061】
【表13B−1】
【0062】
【表13B−2】
【0063】
【表14−1】
【0064】
【表14−2】
【0065】
【表15−1】
【0066】
【表15−2】
【0067】
【表15−3】
【0068】
【表16】
【0069】
【表17】
【0070】
【表18A−1】
【0071】
【表18A−2】
【0072】
【表18B−1】
【0073】
【表18B−2】
【0074】
【表18C−1】
【0075】
【表18C−2】
【0076】
【表18D】
【0077】
【表19】
【0078】
【表20−1】
【0079】
【表20−2】
【0080】
【表21】
【0081】
【表22−1】
【0082】
【表22−2】
【0083】
【表23−1】
【0084】
【表23−2】
【0085】
【表24−1】
【0086】
【表24−2】
【0087】
【表25】
【0088】
【表26−1】
【0089】
【表26−2】
【0090】
【表27】
【0091】
【表28】
【0092】
【表29】
【0093】
【表30】
【0094】
【表31】
【0095】
【表32】
【0096】
【表33−1】
【0097】
【表33−2】
【0098】
【表34−1】
【0099】
【表34−2】
【0100】
【表35−1】
【0101】
【表35−2】
【0102】
【表36−1】
【0103】
【表36−2】
【0104】
【表37−1】
【0105】
【表37−2】
【0106】
【表43−1】
【0107】
【表43−2】
【0108】
【表44−1】
【0109】
【表44−2】
【0110】
【表44−3】
【0111】
【表45−1】
【0112】
【表45−2】
【0113】
【表46−1】
【0114】
【表46−2】
【0115】
【表47−1】
【0116】
【表47−2】
【0117】
【表48−1】
【0118】
【表48−2】
(核酸分子)
本発明は、本発明のCna_Bドメイン抗原をコードする核酸分子を含む。本発明はまた、このような分子に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸分子を包含する。特定の配列次第で、配列同一性の程度は好ましくは、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%である。ヌクレオチド配列間の同一性は好ましくは、パラメーターであるギャップ・オープン・ペナルティ=12およびギャップ・エクステンション・ペナルティ=1によるアフィン・ギャップ・サーチを用いて、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)中で実現されるSmith−Watermanホモロジー検索アルゴリズムによって決定する。
【0119】
本発明はまた、これらの分子にハイブリダイズし得る核酸分子を提供する。ハイブリダイゼーション反応は、種々のストリンジェンシーの条件下で行ってもよい。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを増大する条件は、広く知られており、かつ当該分野で公開されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,1989の7.52頁を参照のこと。関連の条件の例としては、(ストリンジェンシー漸増の順序で)以下が挙げられる:25℃、37℃、50℃、55℃および68℃というインキュベーション温度;10×SSC、6×SSC、1×SSCおよび0.1×SSC(ここでSSCは、0.15MのNaClおよび15mMのクエン酸緩衝液である)および他の緩衝液系を用いるそれらの等価物の緩衝液濃度;0%、25%、50%および75%というホルムアミド濃度;5分〜24時間のインキュベーション時間;1、2またはそれ以上の洗浄工程;1、2または15分という洗浄インキュベーション時間;および6×SSC、1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水という洗浄溶液。ハイブリダイゼーション技術およびそれらの最適化は、当該分野で周知である。例えば、
【0120】
【化12】
を参照のこと。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子は、低ストリンジェンシー条件下で標的にハイブリダイズする;他の実施形態では、本発明の核酸分子は、中ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする;好ましい実施形態では、本発明の核酸分子は、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は、50℃および10×SSCである。中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は、55℃および1×SSCである。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は、68℃および0.1×SSCである。
【0122】
(Cna_Bドメイン抗原の産生)
(組み換え産生)
遺伝子コードの縮重性は周知である。従って、本発明のCna_Bドメイン抗原をコードする任意の核酸分子(ポリヌクレオチド)を用いて、そのタンパク質を組み換え的に産生してもよい。Cna_Bドメイン含有タンパク質をコードする核酸分子は、標準的な核酸精製技術を用いて適切な細菌(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌)から単離してもよいし、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの増幅技術を用いて、もしくは自動シンセサイザーを用いて合成してもよい。Carutherら、Nucl.Acids Res.Symp.Ser.215 223,1980;Hornら,Nucl.Acids Res.Symp.Ser.225 232,1980;Hunkapillerら、Nature 310,105〜11,1984;Granthamら、Nucleic Acids Res.9,r43−r74,1981を参照のこと。
【0123】
cDNA分子は、テンプレートとしてmRNAを用いて標準的な分子生物学技術で行ってもよい。cDNA分子はその後、当該分野で周知の分子生物学技術を用いて複製してもよい。PCRのような増幅技術を用い、テンプレートとしてゲノムDNAまたはcDNAのいずれかを用いて、本発明のポリヌクレオチドの追加のコピーを得てもよい。
【0124】
必要に応じて、ポリヌクレオチドは、限定するものではないが、ポリペプチドまたはmRNA産物のクローニング、プロセシングおよび/または発現を改変する変更を含めて、種々の理由についてコード配列を変更するための当該分野で一般に公知の方法を用いて操作されてもよい。遺伝子フラグメントおよび合成オリゴヌクレオチドの無作為断片化およびPCR再アセンブリによるDNAシャッフリングを用いて、ヌクレオチド配列を操作してもよい。例えば、部位指向性変異誘発を、新しい認識部位を挿入するため、グリコシル化パターンを変更するため、コドン出現頻度(preference)を変えるため、スプライシングバリアントを生じさせるため、変異を導入するためなどに用いてもよい。
【0125】
核酸分子は、N末端リーダー配列(Cna_Bを含む天然のタンパク質のN末端リーダー配列、または別の選り抜きのN末端リーダー配列のいずれか)のコード配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、配列の修飾、例えば、精製タグ配列の付加またはコドン最適化を用いて発現を促進する。例えば、発現されたタンパク質は、ポリヒスチジン(HIS)またはグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)などのタグを含んでもよい。このようなタグを用いて、発現されたタンパク質の精製、検出を容易にし、および安定性を助長してもよい。特定の原核生物宿主または真核生物宿主にとって好ましいコドンを選択して、タンパク質発現の速度を増大させてもよく、または所望の特性、例えば、天然に存在する配列から生成される転写物の半減期よりも長い半減期を有するRNA転写物を産生してもよい。これらの方法は、当該分野で周知であり、かつWO05/032582に記載されている。
【0126】
(発現ベクター)
Cna_Bドメイン抗原をコードする核酸分子を、挿入されたコード配列の転写および翻訳の必須エレメントを含む発現ベクター中に挿入してもよい。当業者に周知である方法を用いて、コード配列ならびに適切な転写および翻訳制御エレメントを含んでいる発現ベクターを構築してもよい。これらの方法としては、インビトロの組み換えDNA技術、合成技術およびインビボの遺伝子組み換えが挙げられる。
【0127】
(宿主細胞)
Cna_Bドメイン抗原を作製するための宿主細胞は、原核生物であってもまたは真核生物であってもよい。E.coliが好ましい宿主細胞であるが、他の適切な宿主としては、Lactococcus lactis、Lactococcus cremoris、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えば、M.tuberculosis)、酵母、バキュロウイルス、哺乳動物細胞などが挙げられる。
【0128】
宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節する能力、または発現されたポリペプチドを所望の方式でプロセシングする能力に関して選択され得る。ポリペプチドのこのような修飾としては、限定するものではないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化が挙げられる。ポリペプチドの「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングをまた、正確な挿入、フォールディングおよび/または機能を促進するために用いてもよい。翻訳後活性のための特定の細胞機構および特徴的な機構を有する種々の宿主細胞は、American Type Culture Collection(ATCC;10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209)から入手可能であり、かつ外来のタンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするように選択され得る。WO01/98340を参照のこと。
【0129】
発現構築物は、十分確立された技術を用いて宿主細胞に導入され得、この技術としては限定するものではないが、トランスフェリン−ポリカチオン媒介性DNAトランスファー、裸のまたは被包性核酸でのトランスフェクション、リポソーム媒介性の細胞融合、DNAコーティングラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、「遺伝子銃」方法、およびDEAEまたはリン酸カルシウム媒介性のトランスフェクションが挙げられる。
【0130】
発現ベクターで形質転換された宿主細胞は、細胞培養物からのタンパク質の発現および収集に適切な条件下で培養され得る。形質転換された細胞によって作製されるタンパク質は、用いられるヌクレオチド配列および/または発現ベクターに依存して分泌されてもよいし、または細胞内に含まれてもよい。当業者は、発現ベクターが、原核生物細胞膜または真核生物細胞膜を介した可溶性ポリペプチドの分泌を指向するシグナル配列を含むように設計され得ることを理解する。
【0131】
(精製)
公知の方法を用いて細胞培養培地から精製され得るように、シグナルエクスポート配列を、組み換え産生Cna_Bドメイン抗原中に含んでもよい。あるいは、組み換え産生された本発明のCna_Bドメイン抗原を、操作された宿主細胞から単離して、細胞中の他の成分、例えば、タンパク質、炭水化物または脂質から、当該分野で周知の方法を用いて分離してもよい。このような方法としては限定するものではないが、サイズ排除クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム分画、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、および分取ゲル電気泳動が挙げられる。精製されたCna_Bドメイン抗原の調製物は少なくとも80%純粋であり;好ましくは、この調製物は、90%、95%または99%純粋である。調製物の純度は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動などの当該分野で公知の任意の方法によって評価され得る。必要に応じて、Cna_Bドメイン抗原を、例えば、尿素を用いて可溶化してもよい。
【0132】
(化学合成)
Cna_Bドメイン抗原は、例えば、固相技術を用いて合成してもよい。例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85,2149 54,1963;Robergeら、Science 269,202 04,1995を参照のこと。タンパク質合成は、手動の技術を用いて行ってもよいし、または自動で行ってもよい。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を用いて達成してもよい。必要に応じて、Cna_Bドメイン抗原の一部を別々に合成して、化学的方法を用いて組み合わせ、完全な分子を産生してもよい。
【0133】
(薬学的組成物)
本発明は、医薬としての使用のための組成物を提供する。本発明の薬学的組成物は、グラム陽性細菌に対する、特に連鎖球菌またはブドウ球菌(例えば、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、および/またはS.aureus)に対する免疫応答を惹起するために有用である。いくつかの実施形態では、この組成物は、連鎖球菌および/またはブドウ球菌の感染を処置するため、ならびにこのような感染のリスクを低減するために有用である。
【0134】
本発明の薬学的組成物は、少なくとも1つの活性因子を含み、この活性因子は、本明細書に開示されたようなCna_Bドメイン抗原であっても、またはCna_Bドメイン抗原をコードする核酸分子であってもよい。この疾患は、例えば、菌血症、髄膜炎、産褥熱、猩紅熱、丹毒、咽頭炎、膿痂疹、壊疽性筋膜炎、筋炎またはトキシックショック症候群であってもよい。
【0135】
Cna_Bドメイン抗原またはCna_Bドメイン抗原をコードする核酸分子を含んでいる組成物は好ましくは、免疫原性組成物であり、かつさらに好ましくはワクチン組成物である。本発明による薬学的組成物は、予防的であってもまたは治療的であってもよいが、代表的には予防的である。薬学的組成物は、グラム陽性細菌(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌)感染のリスクを低減するか、またはグラム陽性細菌(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌)感染の重篤度もしくはグラム陽性細菌(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌)感染の症状を低減する場合、「予防的」である。従って、本発明は、グラム陽性細菌(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌)感染の治療的処置または予防的処置のための方法を包含する。動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくはヒトが処置され得る。この方法は、本発明の免疫原性組成物の治療量または予防量を動物に投与する工程を包含する。
【0136】
このような組成物のpHは、代表的には6〜8、好ましくは約7である。pHは、緩衝液の使用によって維持され得る。この組成物は、無菌であるか、および/または発熱物質を含まないであろう。この組成物は、ヒト組織(例えば、血液)に対して等張であり得る。
【0137】
本発明のいくつかの組成物は、本明細書に記載の1つ以上のCna_Bドメイン抗原を含む。本発明の他の組成物は、前記抗原をコードする1つ以上の核酸分子、および必要に応じてこの組成物中に含まれ得る他の抗原を含む(下を参照のこと)。例えば、
【0138】
【化13】
を参照のこと。代表的には、核酸分子は、例えば、プラスミドの形態のDNA分子である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上のCna_Bドメイン抗原および1つ以上の核酸分子を含んでもよい。
【0139】
(追加の活性因子)
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の追加の活性因子を含んでもよい。このような因子としては限定するものではないが、以下が挙げられる:(a)本発明の別のCna_Bドメイン抗原、(b)小児科ワクチンで有用なポリペプチド抗原、(c)年配または免疫無防備状態の個体のためのワクチンで有用なポリペプチド抗原、(d)(a)〜(c)をコードする核酸分子、(a)〜(c)に特異的に結合する抗体、およびGBSポリサッカリド抗原(下記で規定するとおり)。
【0140】
(抗体)
グラム陽性細菌(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌)タンパク質のCna_Bドメイン抗原を用いて、抗体、好ましくは防御抗体を生成してもよい。「抗体」としては本明細書において用いる場合、限定するものではないが、インタクトな免疫グロブリン分子、およびCna_Bドメインに結合し得るそのフラグメントが挙げられる。従って、「抗体」としては、モノクローナル抗体、ハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winterら、Nature 349、293〜99、1991;米国特許第4,816,567号);F(ab’)2およびF(ab)フラグメントおよびFv分子;非共有結合ヘテロ二量体(例えば、Inbarら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.69,2659〜62,1972;Ehrlichら、Biochem 19,4091〜96,1980);単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85,5897〜83,1988);二量体および三量体抗体フラグメント構築物;ミニボディ(例えば、Packら、Biochem 31,1579〜84,1992;Cumberら、J.Immunology 149B,120〜26,1992);ヒト化抗体分子(例えば、Riechmannら、Nature 332,323〜27,1988;Verhoeyanら、Science 239,1534〜36,1988;および1994年9月21日公開、英国特許公開番号GB2,276,169号);およびこのような分子から得られる任意の機能的なフラグメント、ならびにファージディスプレイなどの慣用的でないプロセスを通じて得られる抗体を挙げることができる。
【0141】
抗体は、これが、免疫化学アッセイで用いられる場合、他のタンパク質によって提供される検出シグナルよりも少なくとも5倍、10倍、または20倍高い検出シグナルを提供する場合、本発明によるCna_Bドメインに対して特異的に結合する。好ましくは、Cna_Bドメインに特異的に結合する抗体は、溶液からCna_Bドメイン抗原を免疫沈降し得る。いくつかの実施形態では、Cna_Bドメインに特異的に結合する抗体は、GBS株515のオプソニン食作用を少なくとも30%誘導する(例えば、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100%)。
【0142】
(追加の抗原)
本発明の組成物は、本発明の治療方法または予防方法での使用のために1つ以上の抗原と組み合わせて投与されてもよい。好ましい抗原としては、下に列挙される抗原が挙げられる。さらに、本発明の組成物は、下に列挙される任意の病原体によって生じる感染を処置または予防するために用いられ得る。下に記載される抗原との組み合わせに加えて、本発明の組成物はまた、本明細書に記載のアジュバントと組み合わせてもよい。
【0143】
(GBSポリサッカリド抗原)
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、GBSポリサッカリド抗原を含む。S.agalactiae GBS炭水化物は代表的には、交互のα−(1→2)およびα−(1→3)リンクからなるL−ラムノピラノース(Rhap)骨格および交互のラムノース環に接続されたD−N−アセチルグルコサミン(GlcpNAc)残基β−(1→3)を有する分枝構造を特徴とする(Kreisら、Int.J.Biol.Macromol.17,117〜30,1995)。本発明の組成物で有用なGBSポリサッカリド抗原は以下の式:
【0144】
【化14】
を有し、式中、Rは、末端還元L−ラムノースまたはD−GlcpNAcであり、かつnは約3〜約30の数である。
【0145】
本発明に従って用いられるGBSポリサッカリド抗原は、天然に見出されるような、実質的に全長のGBS炭水化物であってもよく、または天然の長さよりも短くてもよい。全長ポリサッカリドは、例えば、弱酸中での加水分解によって、加熱によって、サイジングクロマトグラフィーによって、などで、本発明での使用のための短いフラグメントを提供するように脱重合され得る。しかし、実質的に全長のサッカリドを用いることが好ましい。詳細には、約10kDaの分子量を有するサッカリドを用いることが好ましい。分子量は、デキストラン標準物に対するゲル濾過によって測定され得る。
【0146】
サッカリドは、天然に見出されるGBS炭水化物に対して化学的に修飾されてもよい。例えば、このサッカリドは、脱Nアセチル化(部分的にまたは完全に)、Nプロピオン酸化(部分的にまたは完全に)などされてもよい。例えば、免疫原性に対する脱アセチル化などの効果は、慣用的なアッセイによって評価され得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、GBSポリサッカリド抗原は、キャリア、例えば、変異したジフテリア毒素CRM197および下に記載の他のキャリアに結合体化される。
【0148】
本発明での使用のための抗原としては、限定するものではないが、下に示される以下の抗原のうちの1つ以上、または下に示される1つ以上の病原体由来の抗原が挙げられる。
【0149】
(A.細菌抗原)
本発明での使用に適切な細菌抗原としては、タンパク質、ポリサッカリド、リポポリサッカリド、および外膜小胞(細菌から単離されても、精製されても、または由来してもよい)が挙げられる。さらに、細菌抗原としては、細菌溶解物および不活化細菌処方物が挙げられ得る。細菌抗原は、組み換え発現によって産生されてもよい。細菌抗原としては好ましくは、そのライフサイクルの少なくとも1段階の間、細菌の表面に露出されるエピトープが挙げられる。細菌抗原は好ましくは、複数の血清型にまたがって保存される。細菌抗原としては、下に示される細菌の1つ以上に由来する抗原、および下に特定される特定の抗原の例が挙げられる。
【0150】
Neisseria meningitides:Meningitides抗原としては、N.meningitides血清群、例えば、A、C、W135、Yおよび/またはBから精製されるかまたはそれらに由来する、タンパク質(例えば、引用文献1〜7に特定されるタンパク質)、サッカリド(ポリサッカリド、オリゴサッカリド、またはリポポリサッカリドを含む)、または外膜小胞(引用文献、8、9、10、11)を挙げることができる。Meningitidesタンパク質抗原は、付着、オートトランスポーター(autotransporter)、毒素、Fe獲得タンパク質、および膜会合タンパク質(好ましくは、内在性外膜タンパク質)から選択され得る。
【0151】
Streptococcus pneumoniae:Streptococcus pneumoniae抗原としては、Streptococcus pneumoniae由来のサッカリド(ポリサッカリドまたはオリゴサッカリドを含む)および/またはタンパク質を挙げることができる。サッカリド抗原は、血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fから選択され得る。タンパク質抗原は、WO98/18931、WO98/18930、米国特許第6,699,703号、米国特許第6,800,744号、WO97/43303、およびWO97/37026において特定されたタンパク質から選択され得る。Streptococcus pneumoniaeのタンパク質は、Poly Histidine Triadファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpX切断型、LytXファミリー、LytX切断型、CbpX切断−LytX切断キメラタンパク質、肺炎球菌溶血素(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125またはSp133から選択され得る。
【0152】
Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌):A群連鎖球菌抗原としては、WO02/34771またはWO2005/032582に特定されるタンパク質(GAS40を含む)、GAS Mタンパク質のフラグメントの融合物(WO02/094851およびDale,Vaccine(1999)17:193〜200、ならびにDale,Vaccine 14(10):944〜948に記載のものを含む)、フィブロネクチン結合タンパク質(Sfb1)、連鎖球菌ヘム会合タンパク質(Shp)およびストレプトリジンS(SagA)を挙げることができる。
【0153】
Moraxella catarrhalis:Moraxella抗原としては、WO02/18595およびWO99/58562に特定される抗原、外膜タンパク質抗原(HMW−OMP)、C−抗原、および/またはLPSが挙げられる。
【0154】
Bordetella pertussis:百日咳抗原としては、B.pertussis由来の百日咳ホロ毒素(PT)および線維状赤血球凝集素(FHA)、また必要に応じて、パータクチンおよび/または凝集原2および3の抗原との組み合わせが挙げられる。
【0155】
Staphylococcus aureus:Staphylococcus aureus抗原としては、非毒性の組み換えPseudomonas aeruginosa外毒素Aに必要に応じて結合体化されたS.aureus5型および8型の莢膜ポリサッカリド、例えば、StaphVAXTM、または表面タンパク質由来の抗原、インバシン(ロイコシジン、キナーゼ、ヒアルロニダーゼ)、貪食作用を阻害する表面因子(カプセル、プロテインA)、カロテノイド、カタラーゼ生産物、プロテインA、コアグラーゼ、凝固因子および/または真核生物細胞膜を溶解する(必要に応じて無毒化された)膜損傷毒素(溶血素、白血球毒素、ロイコシジン)が挙げられる。
【0156】
Staphylococcus epidermis:S.epidermidis抗原としては、粘液関連抗原(SAA)が挙げられる。
【0157】
Clostridium tetani(破傷風):破傷風抗原としては、本発明の組成物と組み合わせて/結合体化されて、キャリアタンパク質として好ましくは用いられる、破傷風毒素(TT)が挙げられる。
【0158】
Cornynebacterium diphtheriae(ジフテリア):ジフテリア抗原としては、CRM197などの、好ましくは無毒化されたジフテリア毒素が挙げられる。さらに、ADPリボシル化を調節するか、阻害するか、またはそれと関連し得る抗原は、本発明の組成物との組み合わせ/共投与/結合体化を考慮される。このジフテリア毒素は、キャリアタンパク質として用いられ得る。
【0159】
Haemophilus influenzae B(Hib):Hib抗原としては、Hibサッカリド抗原が挙げられる。
【0160】
Pseudomonas aeruginosa:Pseudomonas抗原としては、内毒素A、Wzzタンパク質、P.aeruginosa LPS、さらに詳細にはPAO1から単離されたLPS(O5血清型)、および/または外膜タンパク質、例としては外膜タンパク質F(OprF)が挙げられる(Infect Immun.2001 May;69(5):3510〜3515)。
【0161】
Legionella pneumophila。細菌抗原は、Legionella pneumophila由来であり得る。
【0162】
Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌):B群連鎖球菌抗原としては、WO02/34771、WO03/093306、WO04/041157またはWO2005/002619に特定されるタンパク質またはサッカリド抗原が挙げられる(例としては、タンパク質GBS80、GBS104、GBS276およびGBS322、ならびに例としては、血清型Ia、Ib、Ia/c、II、III、IV、V、VI、VIIおよびVIII由来のサッカリド抗原)。
【0163】
Neiserria gonorrhoeae:Gonorrhoeae抗原としては、Por(またはポーリン)タンパク質、例えば、PorB(Zhuら、Vaccine(2004)22:660〜669を参照のこと)、トランスフェリン(transferring)結合タンパク質、例えば、TbpAおよびTbpB(Priceら、Infection and Immunity(2004)71(1):277〜283を参照のこと)、不透明タンパク質(例えば、Opa)、還元修飾可能(reduction−modifiable)タンパク質(Rmp)、および外膜小胞(outer membrane vesicle(OMV))調製物が挙げられる(Planteら、J Infectious Disease(2000)182:848〜855参照)。また、例えば、WO99/24578、WO99/36544、WO99/57280、WO02/079243も参照のこと。
【0164】
Chlamydia trachomatis:Chlamydia trachomatis抗原としては、血清型A、B、BaおよびC(トラコーマの因子、失明の原因)、血清型L1、L2&L3(性病性リンパ肉芽腫に関連する)および血清型D〜K由来の抗原が挙げられる。Chlamydia trachomas抗原としてはまた、WO00/37494、WO03/049762、WO03/068811、またはWO05/002619に特定された抗原、例としては、PepA(CT045)、LcrE(CT089)、ArtJ(CT381)、DnaK(CT396)、CT398、OmpH様(CT242)、L7/L12(CT316)、OmcA(CT444),AtosS(CT467)、CT547、Eno(CT587)、HrtA(CT823)、およびMurG(CT761)が挙げられ得る。
【0165】
Treponema pallidum(梅毒):梅毒抗原としてはTmpA抗原が挙げられる。
【0166】
Haemophilus ducreyi(軟性下疳を生じる):Ducreyi抗原としては、外膜タンパク質(DsrA)が挙げられる。
【0167】
Enterococcus faecalisまたはEnterococcus faecium:抗原としては、トリサッカリド反復、または米国特許第号6,756,361号に示される他のEnterococcus由来抗原が挙げられる。
【0168】
Helicobacter pylori:H.pylori抗原としては、Cag、Vac、Nap、HopX、HopYおよび/またはウレアーゼ抗原が挙げられる。
【0169】
Staphylococcus saprophyticus:抗原としては、S.saprophyticus抗原の160kDaの赤血球凝集素が挙げられる。
【0170】
Yersinia enterocolitica抗原としては、LPS(Infect Immun.2002 8月;70(8):4414)が挙げられる。
【0171】
E.coli:E.coli抗原は、腸管毒素原性E.coli(ETEC)、腸管凝集性E.coli(EAggEC)、分散付着性E.coli(DAEC)、腸管病原性E.coli(EPEC)、および/または腸管出血性E.coli(EHEC)由来であり得る。
【0172】
Bacillus anthracis(炭疽):B.anthracis抗原は必要に応じて無毒化され、両方が防御抗原(PA)として公知の共通のB成分を共有し得るA成分(致死因子(LF)および浮腫因子(EF))から選択され得る。
【0173】
Yersinia pestis(ペスト):ペスト抗原としては、F1莢膜抗原(Infect Immun.2003 Jan;71(1):374〜383)、LPS(Infect Immun.1999 Oct;67(10):5395)、Yersinia pestis V抗原(Infect Immun.1997 Nov;65(11):4476〜4482)が挙げられる。
【0174】
Mycobacterium tuberculosis:結核抗原としては、リポタンパク質、LPS、BCG抗原、抗原85B(Ag85B)および/またはESAT−6の融合タンパク質(必要に応じて陽イオン性脂質小胞中で処方される)(Infect Immun.2004 10月;72(10):6148)、Mycobacterium tuberculosis(Mtb)イソクエン酸デヒドロゲナーゼ関連抗原(Proc Natl Acad Sci U S A.2004 Aug 24;101(34):12652)、および/またはMPT51抗原(Infect Immun.2004 7月;72(7):3829)が挙げられる。
【0175】
Rickettsia:抗原としては、外膜タンパク質、例としては、外膜タンパク質Aおよび/またはB(OmpB)(Biochim Biophys Acta.2004 Nov 1;1702(2):145)、LPSおよび表面タンパク質抗原(SPA)(J Autoimmun.1989 Jun;2補遺:81)が挙げられる。
【0176】
Listeria monocytogenes。細菌抗原は、Listeria monocytogenes由来であり得る。
【0177】
Chlamydia pneumoniae:抗原としては、WO02/02606で特定される抗原が挙げられる。
【0178】
Vibrio cholerae:抗原としては、プロテイナーゼ抗原、LPS、特にVibrio choleraeIIのリポポリサッカリド、O1イナバO特異的ポリサッカリド、V.cholera O139、IEM108ワクチンの抗原(Infect Immun.2003 Oct;71(10):5498〜504)、および/またはZonula occludens(閉鎖帯)毒素(Zot)が挙げられる。
【0179】
Salmonella typhi(腸チフス):抗原としては、莢膜ポリサッカリド、好ましくは結合体(Vi、すなわち、vax−TyVi)が挙げられる。
【0180】
Borrelia burgdorferi(ライム病):抗原としては、リポタンパク質(例えば、OspA、OspB、OspCおよびOspD)、他の表面タンパク質、例えば、OspE関連タンパク質(Erps)、デコリン−結合タンパク質(例えば、DbpA)、および抗原的に可変のVIタンパク質、例えば、P39およびP13と会合する抗原(内在性膜タンパク質、Infect Immun.2001 May;69(5):3323〜3334)、VlsE、抗原性変異タンパク質(Antigenic Variation Protein)(J Clin Microbiol.1999 Dec;37(12):3997)が挙げられる。
【0181】
Porphyromonas gingivalis:抗原としては、P.gingivalis外膜タンパク質(OMP)が挙げられる。
【0182】
Klebsiella:抗原としては、OMP、例としては、OMP A、または必要に応じて破傷風毒素に結合体化されたポリサッカリドが挙げられる。
【0183】
本発明の組成物で有用なさらなる細菌抗原は、任意の上記の莢膜抗原、ポリサッカリド抗原、またはタンパク質抗原であってもよい。さらなる細菌抗原としてはまた、外膜小胞(OMV)調製物が挙げられ得る。さらに、抗原としては、任意の上述の細菌の生の、弱毒化、および/または精製されたバージョンが挙げられる。抗原は、グラム陰性またはグラム陽性細菌に由来し得る。この抗原は、好気性細菌または嫌気性細菌由来であってもよい。
【0184】
さらに、任意の上記の細菌由来のサッカリド(ポリサッカリド、LPS、LOSまたはオリゴサッカリド)は、別の因子または抗原、例えば、キャリアタンパク質に結合体化されてもよい(例えば、CRM197)。このような結合体化は、米国特許第5,360,897号およびCan J Biochem Cell Biol.1984 May;62(5):270〜5に示されるように、タンパク質上のアミノ基に対するサッカリド上のカルボニル部分の還元的アミノ化によって達成された直接結合体化であり得る。あるいは、このサッカリドは、リンカーを通じて、例えば、コハク酸アミドまたはBioconjugate Techniques,1996およびCRC、Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking,1993に示される他の連結で結合体化され得る。
【0185】
(B.ウイルス抗原)
本発明における使用に適切なウイルス抗原としては、不活化(または死滅)ウイルス、弱毒化ウイルス、スプリットウイルス処方物、精製されたサブユニット処方物、ウイルスタンパク質(ウイルスから単離、精製または由来してもよい)、およびウイルス様粒子(Virus Like Particle(VLP))が挙げられる。ウイルス抗原は、細胞培養物または他の培養基上で増殖させられたウイルスから誘導され得る。あるいは、ウイルス抗原は、組み換え発現されてもよい。ウイルス抗原は好ましくは、そのライフサイクルの少なくとも1段階の間ウイルスの表面に露出されるエピトープを含む。ウイルス抗原は好ましくは、複数の血清型または単離体にまたがって保存される。ウイルス抗原としては、下に示される1つ以上のウイルス由来の抗原、および下に特定される特定の抗原の例が挙げられる。
【0186】
オルソミクソウイルス:ウイルス抗原は、インフルエンザA、BおよびCなどのオルソミクソウイルスに由来し得る。オルソミクソウイルス抗原は、1つ以上のウイルスタンパク質、例としては、赤血球凝集素(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、核タンパク質(NP)、マトリクスタンパク質(M1)、膜タンパク質(M2)、1つ以上の転写酵素成分(PB1、PB2およびPA)から選択され得る。好ましい抗原としてはHAおよびNAが挙げられる。
【0187】
インフルエンザ抗原は、大流行間期の(例年の)インフルエンザ株に由来し得る。あるいは、インフルエンザ抗原は、世界的流行を生じる能力のある株(すなわち、現在循環中の株における赤血球凝集素に比較して新しい赤血球凝集素を有するインフルエンザ株、または鳥類被験体で病原性であり、かつヒト集団に水平伝播する能力を有するインフルエンザ株、またはヒトに対して病原性であるインフルエンザ株)に由来し得る。
【0188】
パラミクソウイルス科ウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス科ウイルス、例えば、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)および麻疹ウイルス属(麻疹)に由来してもよい。
【0189】
ニューモウイルス:ウイルス抗原は、ニューモウイルス、例えば、RSウイルス(Respiratory syncytial virus(RSV))、ウシRSウイルス、マウスのニューモウイルスおよびシチメンチョウ鼻気管炎ウイルスに由来し得る。好ましくは、ニューモウイルスはRSVである。ニューモウイルス抗原は、以下のタンパク質、例としては、表面タンパク質融合物(F)、糖タンパク質(G)および低分子疎水性(Small Hydrophobic)(SH)タンパク質、マトリクスタンパク質MおよびM2、ヌクレオカプシドタンパク質N、PおよびLならびに非構造タンパク質NS1およびNS2のうちの1つ以上から選択され得る。好ましいニューモウイルス抗原としては、F、GおよびMが挙げられる。例えば、J Gen Virol.2004 Nov;85(Pt11):3229を参照のこと。ニューモウイルス抗原はまた、キメラウイルス中に処方されてもよいし、またはキメラウイルスに由来してもよい。例えば、キメラRSV/PIVウイルスは、RSVおよびPIVの両方の成分を含んでもよい。
【0190】
パラミクソウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス、例えば、パラインフルエンザウイルス1〜4型(PIV)、ムンプス、センダイウイルス、シミアン・ウイルス5、ウシパラインフルエンザウイルスおよびニューキャッスル病ウイルスに由来し得る。好ましくは、パラミクソウイルスは、PIVまたはムンプスである。パラミクソウイルス抗原は、以下のタンパク質のうちの1つ以上から選択され得る:赤血球凝集素−ノイラミニダーゼ(HN)、融合タンパク質F1およびF2、核タンパク質(NP)、リンタンパク質(P)、巨大(Large)タンパク質(L)、およびマトリクスタンパク質(M)。好ましいパラミクソウイルスタンパク質としては、HN、F1およびF2が挙げられる。パラミクソウイルス抗原はまた、キメラウイルス中に処方されてもよいし、またはキメラウイルスに由来してもよい。例えば、キメラRSV/PIVウイルスは、RSVおよびPIVの両方の成分を含んでもよい。市販のムンプスワクチンは、生の弱毒化ムンプスウイルスを、単価型で、または、麻疹および風疹のワクチンと組み合わせて(MMR)含む。
【0191】
麻疹ウイルス:ウイルス抗原は、麻疹ウイルス、例えば、麻疹由来であってもよい。麻疹ウイルス抗原は、以下のタンパク質のうちの1つ以上から選択され得る:赤血球凝集素(H)、糖タンパク質(G)、融合因子(F)、巨大(Large)タンパク質(L)、核タンパク質(NP)、ポリメラーゼリンタンパク質(P)、およびマトリクス(M)。市販の麻疹ワクチンは、生の弱毒化麻疹ウイルスを、代表的には、ムンプスおよび風疹と組み合わせて(MMR)含む。
【0192】
ピコルナウイルス:ウイルス抗原は、ピコルナウイルス、例えば、エンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパルナウイルス、カルジオウイルスおよびアフトウイルスに由来し得る。ポリオウイルスのようなエンテロウイルス由来の抗原が好ましい。
【0193】
エンテロウイルス:ウイルス抗原は、エンテロウイルス、例えば、ポリオウイルス1型、2型または3型、コクサッキーAウイルス1型〜22型および24型、コクサッキーBウイルス1型〜6型、エコーウイルス(ECHO)ウイルス1〜9、11〜27および29〜34型、ならびにエンテロウイルス68〜71に由来し得る。好ましくは、エンテロウイルスは、ポリオウイルスである。エンテロウイルス抗原は好ましくは、以下のカプシドタンパク質、VP1、VP2、VP3およびVP4のうちの1つ以上から選択される。市販のポリオワクチンとしては、不活化ポリオワクチン(IPV)および経口ポリオウイルスワクチン(OPV)が挙げられる。
【0194】
ヘパルナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパルナウイルス、例えば、A型肝炎ウイルス(HAV)由来であり得る。市販のHAVワクチンは、不活化HAVワクチンを含む。
【0195】
トガウイルス:ウイルス抗原は、ルビウイルス、アルファウイルスまたはアルテリウイルスなどのトガウイルス由来であり得る。風疹ウイルスなどのルビウイルス由来の抗原が好ましい。トガウイルス抗原は、E1、E2、E3、C、NSP−1、NSPO−2,NSP−3またはNSP−4から選択され得る。トガウイルス抗原は好ましくはE1、E2またはE3から選択される。市販の風疹ワクチンは、生の低温適応ウイルスを、代表的には、ムンプスおよび麻疹のワクチンと組み合わせて含む(MMR)。
【0196】
フラビウイルス:ウイルス抗原は、フラビウイルス、例えば、ダニ媒介脳炎(TBE)、デング(1、2、3または4型)、黄熱病、日本脳炎、西ナイル脳炎、セント・ルイス脳炎、ロシア春夏脳炎、ポーワッサン脳炎に由来し得る。フラビウイルス抗原は、PrM、M、C、E、NS−1、NS−2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4bおよびNS5から選択され得る。フラビウイルス抗原は好ましくは、PrM、MおよびEから選択される。市販のTBEワクチンは、不活化ウイルスワクチンを含む。
【0197】
ペスチウイルス:ウイルス抗原は、ペスチウイルス、例えば、ウシウイルス性下痢症(BVDV)、古典的ブタコレラ(CSFV)またはボーダー病(BDV)由来であり得る。
【0198】
ヘパドナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパドナウイルス、例えば、B型肝炎ウイルス由来であり得る。ヘパドナウイルス抗原は、表面抗原(L、MおよびS)、コア抗原(HBc、HBe)から選択され得る。市販のHBVワクチンとしては、表面抗原Sタンパク質を含むサブユニットワクチンが挙げられる。
【0199】
C型肝炎ウイルス:ウイルス抗原は、C型肝炎ウイルス(HCV)由来であり得る。HCV抗原は、E1、E2、E1/E2、NS345ポリプロテイン、NS345−コアポリプロテイン、コア、および/または非構造領域由来のペプチドのうちの1つ以上から選択され得る(Houghtonら、Hepatology(1991)14:381)。
【0200】
ラブドウイルス:ウイルス抗原は、ラブドウイルス、例えば、リッサウイルス(狂犬病ウイルス)およびベシクロウイルス(VSV)由来であってもよい。ラブドウイルス抗原は、糖タンパク質(G)、核タンパク質(N)、巨大(large)タンパク質(L)、非構造タンパク質(NS)から選択され得る。市販の狂犬病ウイルスワクチンは、ヒト二倍体細胞または胎児アカゲザル肺細胞で増殖した死滅ウイルスを含む。
【0201】
カリシウイルス科(Caliciviridae):ウイルス抗原は、カリシウイルス科、例えば、ノーウォークウイルス、およびノーウォーク様ウイルス、例えば、ハワイウイルスおよびスノー・マウンテン(Snow Mountain)ウイルスに由来し得る。
【0202】
コロナウイルス:ウイルス抗原は、コロナウイルス、SARS、ヒト呼吸器コロナウイルス、鳥類伝染性気管支炎(IBV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、およびブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)由来であり得る。コロナウイルス抗原は、スパイク(S)、エンベロープ(E)、マトリクス(M)、ヌクレオカプシド(N)および赤血球凝集素−エステラーゼ糖タンパク質(HE)から選択され得る。好ましくは、コロナウイルス抗原は、SARSウイルス由来である。SARSウイルス抗原は、WO04/92360に記載されている。
【0203】
レトロウイルス:ウイルス抗原は、レトロウイルス、例えば、オンコウイルス、レンチウイルス、またはスプーマウイルス由来であり得る。オンコウイルス抗原は、HTLV−1、HTLV−2またはHTLV−5由来であり得る。レンチウイルス抗原は、HIV−1またはHIV−2由来であり得る。レトロウイルス抗原は、gag、pol、env、tax、tat、rex、rev、nef、vif、vpuおよびvprから選択され得る。HIV抗原は、gag(p24gagおよびp55gag)、env(gp160およびgp41)、pol、tat、nef、rev vpu、ミニプロテイン、(好ましくは、p55gagおよびgp140v欠失)から選択され得る。HIV抗原は、以下の株の1つ以上に由来し得る:HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN、HIV−1CM235、HIV−1US4。
【0204】
レオウイルス:ウイルス抗原は、レオウイルス、例えば、オルトレオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルスまたはコルチウイルス由来であってもよい。レオウイルス抗原は、構造タンパク質λ1、λ2、λ3、μ1、μ2、σ1、σ2もしくはσ3、または非構造タンパク質σNS、μNSもしくはσ1sから選択され得る。好ましいレオウイルス抗原は、ロタウイルス由来であってもよい。ロタウイルス抗原は、VP1、VP2、VP3、VP4(または切断産物VP5およびVP8)、NSP1、VP6、NSP3、NSP2、VP7、NSP4、またはNSP5から選択されてもよい。好ましいロタウイルス抗原としては、VP4(または切断産物VP5およびVP8)、およびVP7が挙げられる。
【0205】
パルボウイルス:ウイルス抗原は、パルボウイルス、例えば、パルボウイルスB19に由来し得る。パルボウイルス抗原は、VP−1、VP−2、VP−3、NS−1およびNS−2から選択され得る。好ましくは、パルボウイルス抗原は、カプシドタンパク質VP−2である。
【0206】
δ型肝炎ウイルス(HDV):ウイルス抗原は、HDV由来、特にHDV由来のδ抗原であってもよい(例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと)。
【0207】
E型肝炎ウイルス(HEV):ウイルス抗原は、HEV由来であってもよい。
【0208】
G型肝炎ウイルス(HGV):ウイルス抗原は、HGV由来であってもよい。
【0209】
ヒトヘルペスウイルス:ウイルス抗原は、ヒトヘルペスウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV7)、およびヒトヘルペスウイルス8(HHV8)由来であり得る。ヒトヘルペスウイルス抗原は、前初期タンパク質(α)、初期タンパク質(β)および後期タンパク質(γ)から選択され得る。HSV抗原は、HSV−1株由来であっても、またはHSV−2株由来であってもよい。HSV抗原は、糖タンパク質gB、gC、gDおよびgH、融合タンパク質(gB)または免疫回避タンパク質(gC、gEまたはgI)から選択されてもよい。VZV抗原は、コア、ヌクレオカプシド、外被(tegument)またはエンベロープのタンパク質から選択され得る。生の弱毒化VZVワクチンが市販されている。EBV抗原は、初期抗原(EA)タンパク質、ウイルスカプシド抗原(VCA)、および膜抗原の糖タンパク質(MA)から選択され得る。CMV抗原は、カプシドタンパク質、エンベロープ糖タンパク質(例えば、gBおよびgH)、および外被タンパク質から選択され得る。
【0210】
パポバウイルス:抗原は、パポバウイルス、例えば、パピローマウイルスおよびポリオーマウイルス由来であってもよい。パピローマウイルスとしては、HPV血清型1、2、4、5、6、8、11、13、16、18、31、33、35、39、41、42、47、51、57、58、63および65が挙げられる。好ましくは、HPV抗原は、血清型6、11、16または18由来である。HPV抗原は、カプシドタンパク質(L1)および(L2)、もしくはE1〜E7、またはその融合物から選択され得る。HPV抗原は好ましくは、ウイルス様粒子(VLP)中に処方される。ポリオーマウイルス(Polyomyavirus)のウイルスとしては、BKウイルスおよびJKウイルスが挙げられる。ポリオーマウイルス抗原は、VP、VP2またはVP3から選択され得る。
【0211】
さらに、本発明の組成物との組み合わせにおいて想定される、Vaccines,第4版(PlotkinおよびOrenstein、編集、2004);Medical Microbiology 第4版(Murrayら、編集、2002);Virology,第3版(W.K.Joklik 編集、1988);Fundamental Virology,第2版(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe,編集、1991)に含まれる、抗原、組成物、方法および微生物が提供される。
【0212】
(C.真菌の抗原)
本発明での使用のための真菌の抗原は、下に示される真菌のうちの1つ以上に由来し得る。
【0213】
真菌の抗原は、以下:
【0214】
【化15】
を含む皮膚糸状菌に由来し得る。
【0215】
真菌の病原体は、
【0216】
【化16】
【0217】
【化17】
に由来し得る。
【0218】
真菌抗原を産生するためのプロセスは、当該分野で周知である(米国特許第6,333,164号を参照のこと)。好ましい方法では、真菌細胞(その細胞壁は実質的に除去されているか、または少なくとも部分的に除去されている)から入手可能な不溶性画分から可溶性画分が抽出および分離され、そのプロセスは以下の工程を含むという点で特徴付けられた:生きている真菌細胞を得る工程;細胞壁が実質的に除去されているか、または少なくとも部分的に除去されている真菌の細胞を得る工程;真菌の細胞(その細胞壁は実質的に除去されているか、または少なくとも部分的に除去されている)をバーストさせる工程;不溶性画分を得る工程;ならびにこの不溶性画分から可溶性画分を抽出および分離する工程。
【0219】
(D.STD抗原)
本発明の組成物は、性感染症(STD)由来の1つ以上の抗原を含んでもよい。このような抗原は、STD、例えば、クラミジア、性器ヘルペス、肝炎(例えば、HCV)、陰部疣贅、淋病、梅毒および/または軟性下疳の予防または治療を提供し得る(WO00/15255を参照のこと)。抗原は、1つ以上のウイルスまたは細菌のSTDに由来し得る。本発明における使用のためのウイルスのSTD抗原は、例えば、HIV、単純ヘルペスウイルス(HSV−1およびHSV−2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)および肝炎(HCV)由来であってもよい。本発明での使用のための細菌のSTD抗原は、例えば、
【0220】
【化18】
由来であってもよい。これらの病原体由来の特定の抗原の例は、上記される。
【0221】
(E.呼吸器抗原)
本発明の組成物は、呼吸器疾患を生じる病原体由来の1つ以上の抗原を含んでもよい。例えば、呼吸器抗原は、呼吸器ウイルス、例えば、オルトミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)、麻疹ウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、VZVおよびコロナウイルス(SARS)由来であってもよい。呼吸器抗原は、呼吸器疾患を生じる細菌、例えば、
【0222】
【化19】
由来であってもよい。これらの病原体由来の特定の抗原の例は上記される。
【0223】
(F.小児ワクチンの抗原)
本発明の組成物は、小児被験体における使用に適切な1つ以上の抗原を含んでもよい。小児被験体とは代表的には、約3歳未満、または約2歳未満、または約1歳未満である。小児抗原は、6カ月、1、2または3年にわたって複数回投与され得る。小児抗原は、小児集団を標的とし得るウイルス由来であっても、および/または小児集団が感染しやすいウイルス由来であってもよい。小児ウイルス抗原としては、オルトミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIVおよびムンプス)、麻疹ウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、および水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)のうちの1つ以上に由来する抗原が挙げられる。小児細菌抗原としては、
【0224】
【化20】
のうちの1つ以上に由来する抗原が挙げられる。これらの病原体に由来する特定の抗原の例は上記される。
【0225】
(G.年配または免疫無防備状態の個体における使用に適切な抗原)
本発明の組成物は、年配または免疫無防備状態の個体における使用に適切な1つ以上の抗原を含んでもよい。このような個体は、標的抗原に対するその免疫応答を改善するためにさらに高用量でまたはアジュバントされた(adjuvanted)処方物を用いて、さらに高頻度でワクチン接種される必要があり得る。年配または免疫無防備状態の個体における使用について標的とされ得る抗原としては、以下の病原体のうちの1つ以上に由来する抗原が挙げられる:
【0226】
【化21】
オルトミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIVおよびムンプス)、麻疹ウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)。これらの病原体由来の特定の抗原の例は上記される。
【0227】
(H.青年期のワクチンでの使用に適切な抗原)
本発明の組成物は、青年期の被験体における使用に適切な1つ以上の抗原を含んでもよい。青年期は、以前に投与された小児の抗原の追加免疫が必要であり得る。青年期における使用に適切であり得る小児抗原は上記されている。さらに、青年期を標的として、性的活動の開始の前に防御免疫または治療免疫を確実にするためにSTD病原体由来の抗原を投与してもよい。青年期における使用に適切であり得るSTD抗原は上記されている。
【0228】
(I.抗原処方物)
本発明の他の局面では、吸着された抗原を有する微小粒子を作製する方法が得られる。この方法は、以下を包含する:(a)混合物であって(i)水、(ii)界面活性剤、(iii)有機溶媒ならびに(iv)ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択される生分解性ポリマーを含んでいる混合物を分散化することによってエマルジョンを提供する工程(このポリマーは代表的には、混合物中に、有機溶媒に対して約1%〜約30%の濃度で存在するが、界面活性剤は代表的には、約0.00001:1〜約0.1:1(さらに代表的には、約0.0001:1〜約0.1:1、約0.001:1〜約0.1:1、または約0.005:1〜約0.1:1)の重量対重量の界面活性剤対ポリマーの比で混合物中に存在する)と;(b)エマルジョンから有機溶媒を除去する工程と;(c)微小粒子の表面に抗原を吸着させる工程。特定の実施形態では、この生分解性ポリマーは、有機溶媒に対して約3%〜約10%の濃度で存在する。
【0229】
本明細書における使用のための微小粒子は、滅菌可能、非毒性および生分解性である材料から形成される。このような材料としては、限定するものではないが、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、PACA、およびポリシアノアクリレートが挙げられる。好ましくは、本発明での使用のための微小粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)から、詳細には、ポリ(ラクチド)(「PLA」)またはD,L−ラクチドおよびグリコリドもしくはグリコール酸のコポリマー、例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(「PLG」または「PLGA」)、またはD,L−ラクチドおよびカプロラクトンのコポリマーから誘導される。この微小粒子は、種々の分子量を有する任意の種々のポリマー性の出発材料、およびPLGのようなコポリマーの場合には、種々のラクチド:グリコリド比から誘導され得、その選択は、部分的には共投与される高分子に依存して、かなり選択できる。これらのパラメーターは、下にさらに詳細に考察される。
【0230】
さらなる抗原としてまた、外膜小胞(OMV)調製物も挙げられ得る。
【0231】
さらなる処方方法および抗原(特に腫瘍抗原)は米国特許第6,884,435号に提供される。
【0232】
(J.抗原の参考文献)
以下の参考文献は、本発明の組成物と組み合わせて有用な抗原を包含する。
【0233】
【数2】
【0234】
【数3】
【0235】
【数4】
上記で引用された特許、特許出願、および文献の記事の全ての内容は、本明細書において詳細に示されるかのように参照によって援用される。
【0236】
(キャリアタンパク質)
サッカリドまたは炭水化物抗原が用いられる場合、免疫原性を増強するためにキャリアタンパク質に結合体化することが好ましい。
【0237】
【化22】
を参照のこと。好ましいキャリアタンパク質は、細菌毒素またはトキソイド、例えば、ジフテリアまたは破傷風のトキソイドである。CRM 197ジフテリアトキソイドが特に好ましい。
【0238】
他のキャリアポリペプチドとしては、N.meningitidis外膜タンパク質(EP−A−0372501)、合成ペプチド(EP−A−0378881およびEP−A0427347)、熱ショックタンパク質(WO 93/17712およびWO 94/03208)、百日咳タンパク質(WO 98/58668およびEP A 0471177)、H.influenzae由来のプロテインD(WO 00/56360)、サイトカイン(WO 91/01146)、リンホカイン、ホルモン、成長因子、C.difficile由来の毒素AまたはB(WO 00/61761)、鉄取り込みタンパク質(WO 01/72337)などが挙げられる。混合物がセリグラフAおよびCの両方由来の莢膜サッカリドを含む場合、MenAサッカリド:MenCサッカリドの比(w/w)が1より大きい(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1またはそれ以上)ことが好ましい場合がある。異なるサッカリドが、同じまたは異なる種類のキャリアタンパク質に結合体化されてもよい。必要に応じて任意の適切なリンカーを用いて、任意の適切な結合体化反応を用いてもよい。
【0239】
毒性タンパク質抗原は、必要に応じて無毒化され得る(例えば、化学的方法および/または遺伝学的方法による百日咳毒素の無毒化)。
【0240】
(薬学的に許容され得るキャリア)
本発明の組成物は代表的には、上述の成分に加えて、1つ以上の薬学的に許容され得るキャリアを含む。これらとしては、その組成物を投与された個体にとって有害な抗体の産生をそれ自体が誘導しない任意のキャリアが挙げられる。適切なキャリアは代表的には、大きく、緩徐に代謝される高分子、例えば、タンパク質、ポリサッカリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体のアミノ酸、アミノ酸コポリマーおよび脂質凝集体(例えば、油滴またはリポソーム)である。このようなキャリアは、当業者に周知である。組成物はまた、希釈剤、例えば、水、生理食塩水、グリセロールなどを含んでもよい。さらに、補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化物質なども存在してもよい。薬学的に許容され得る成分の詳細な考察は、Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy.第20版,ISBN:0683306472で入手できる。
【0241】
(免疫調節剤)
(アジュバント)
本発明のワクチンは、他の免疫調節剤と組み合わせて投与され得る。詳細には組成物は通常、アジュバントを含む。本発明での使用のためのアジュバントとしては、限定するものではないが、以下のうちの1つ以上が挙げられる。
【0242】
(A.ミネラル含有組成物)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切なミネラル含有組成物としては、無機塩類、例えば、アルミニウム塩およびカルシウム塩が挙げられる。本発明は、無機塩類、例えば、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など(例えば、Vaccine Design...(1995)編集、Powell & Newman.ISBN:030644867X.Plenum.の第8章&9章を参照のこと)、または種々の無機化合物の混合物(例えば、リン酸塩および水酸化物のアジュバントの混合物、必要に応じて、過剰のリン酸塩を有する)を包含し、ここでこの化合物は任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶質、アモルファスなど)をとり、塩(単数または複数)に対する吸着が好ましい。ミネラル含有組成物はまた、金属塩の粒子として処方されてもよい(WO00/23105)。
【0243】
アルミニウム塩は、Al3+用量が1投与量あたり0.2〜1.0mgであるように本発明のワクチンに含まれ得る。
【0244】
一実施形態では、本発明の使用のためのアルミニウムベースのアジュバントは、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO4)2))またはミョウバン誘導体であり、例えば、リン酸緩衝液中の抗原とミョウバンとを混合し、続いて水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基の漸増およびこれによる沈殿によって、インサイチュで形成される。
【0245】
本発明のワクチン処方物中での使用のための別のアルミニウムベースのアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH)3)または結晶性オキシ水酸化アルミニウム(AlOOH)であり、これは、約500m2/gという表面積を有する優れた吸着剤である。あるいは、リン酸アルミニウムアジュバント(AlPO4)またはヒドロキシリン酸アルミニウム(水酸化アルミニウムアジュバントのヒドロキシル基のいくつかまたは全ての代わりにリン酸基を含む)が提供される。本明細書に提供される好ましいリン酸アルミニウムアジュバントは、アモルファスであり、酸性、塩基性および中性の媒質中で可溶性である。
【0246】
別の実施形態では、本発明のアジュバントは、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの両方を含む。そのさらに特定の実施形態では、アジュバントは、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または9:1超という重量比(リン酸アルミニウム対水酸化アルミニウム)のような、水酸化アルミニウムよりも多量のリン酸アルミニウムを有する。さらに詳細には、ワクチン中のアルミニウム塩は、1ワクチン用量あたり0.4〜1.0mg、または1ワクチン用量あたり0.4〜0.8mg、または1ワクチン用量あたり0.5〜0.7mg、または1ワクチン用量あたり約0.6mg存在する。
【0247】
一般には、好ましいアルミニウムベースのアジュバント(単数または複数)、または複数のアルミニウムベースのアジュバントの比、例えば、水酸化アルミニウムに対するリン酸アルミニウムは、分子間の静電気引力の最適化によって選択され、その結果この抗原は、所望のpHでアジュバントと反対の電荷を担持する。例えば、リン酸アルミニウムアジュバント(等電点=4)は、pH7.4でリゾチームを吸着するが、アルブミンは吸着しない。アルブミンが標的であるならば、水酸化アルミニウムアジュバントが選択される(iep 11.4)。あるいは、リン酸塩での水酸化アルミニウムの前処理によってその等電点が低くなり、水酸化アルミニウムは、さらに塩基性の抗原についての好ましいアジュバントになる。
【0248】
(B.オイル−エマルジョン)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切なオイル−エマルジョン組成物としては、スクアレン−水エマルジョン、例えば、5%スクアレン、0.5%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80、例えば、TWEEN(登録商標)80)、および0.5%ソルビタントリオレアート(例えば、SPAN(登録商標)85)、例えば、MF59(登録商標)(マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロンの粒子に処方した)が挙げられる。WO90/14837を参照のこと。また、Podda,Vaccine(2001)19:2673−2680;Freyら、Vaccine(2003)21:4234〜4237を参照のこと。MF59(登録商標)は、FLUADTMインフルエンザウイルスの三価サブユニットワクチン中でアジュバントとして用いられる。
【0249】
この組成物での使用のための特に好ましいアジュバントは、サブミクロンの水中油型エマルジョンである。本明細書での使用のための好ましいサブミクロンの水中油型エマルジョンは、種々の量のMTP−PEを必要に応じて含んでいるスクアレン/水エマルジョンであり、例えば、4〜5%(w/v)のスクアレン、0.25〜1.0%(w/v)TWEENTM80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、および/または0.25〜1.0%のSPAN 85TM(ソルビタントリオレアート)、および必要に応じてN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ(huydroxyphosphophoryloxy)−エチルアミン(MTP−PE)を含んでいるサブミクロンの水中油型エマルジョン、例えば、「MF59」として公知のサブミクロンの水中油型エマルジョン(国際公開番号WO90/14837;米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号、ならびにOttら、Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.およびNewman,MJ.編集)Plenum Press,New York,1995,第277〜296頁)である。MF59は、4〜5%(w/v)のスクアレン(例えば、4.3%)、0.25〜0.5%(w/v)TWEENTM80、および0.5%(w/v)SPAN 85TMを含み、必要に応じて、種々の量のMTP−PEを含み、Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics,Newton,MA)などのマイクロフルイダイザーを用いてサブミクロンの粒子に処方される。例えば、MTP−PEは、約0〜500μg/用量、より好ましくは0〜250μg/用量、そして最も好ましくは0〜100μg/用量の量で存在し得る。本明細書において用いる場合、「MF59−0」という用語は、MTP−PEを欠く上記のサブミクロンの水中油型エマルジョンを指すが、「MF59−MTP」という用語は、MTP−PEを含む処方物を指す。例えば、「MF59−100」は、1用量あたり100μgのMTP−PEを含む等である。本明細書における使用のための別のサブミクロンの水中油型エマルジョンであるMF69は、4.3%(w/v)のスクアレン、0.25%(w/v)のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80、例えば、TWEEN(登録商標)80)、および0.75%(w/v)ソルビタントリオレアート(例えば、SPAN(登録商標)85)および必要に応じてMTP−PEを含む。さらに別のサブミクロンの水中油型エマルジョンは、SAFとしても公知のMF75であり、10%のスクアレン、0.4%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80、例えば、TWEEN(登録商標)80)、5%プルロニック−ブロックのポリマーL121、およびthr−MDPを含んでいる(これもサブミクロンのエマルジョンへとマイクロフルイダイズされる)。MF75−MTPは、1用量あたり100〜400μgのMTP−PEなどのMTPを含むMF75処方物を意味する。
【0250】
サブミクロンの水中油型エマルジョン、サブミクロンの水中油型エマルジョンを作製する方法、および組成物中の使用のための、ムラミルペプチドなどの免疫刺激剤は、WO90/14837および米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号に詳細に記載されている。
【0251】
完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)もまた、本発明におけるアジュバントとして用いられてもよい。
【0252】
(C.サポニン処方物)
サポニン処方物はまた、本発明におけるアジュバントとして用いられ得る。サポニンは、広範な植物種の樹皮、葉、幹、根およびさらに花において見出されるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種の群である。Quillaia saponaria Molinaの樹の樹皮から単離されたサポニンは、アジュバントとして広範に研究されている。サポニンはまた、Smilax ornata(サルサパリラ(sarsaprilla))、Gypsophilla paniculata(ブライズベール(brides veil))、およびSaponaria officianalis(ソープルート(soap root))から商業的に入手され得る。サポニンアジュバント処方物としては、精製された処方物、例えば、QS21、および液体処方物、例えば、ISCOMが挙げられる。
【0253】
サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィー(High Performance Thin Layer Chromatography(HP−TLC))および逆相高速液体クロマトグラフィー(Reversed Phase High Performance Liquid Chromatography(RP−HPLC))を用いて精製されている。これらの技術を用いる特定の精製された画分は、特定されており、これはQS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cを含んでいる。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の作製方法は、米国特許第5,057,540号に開示されている。サポニン処方物はまた、ステロール、例えば、コレステロールを含んでもよい(WO96/33739を参照のこと)。
【0254】
サポニンおよびコレステロールの組み合わせは、免疫刺激複合体(Immunostimulating Complexes(ISCOM))と呼ばれる特有の粒子を形成するために用いられ得る。ISCOMは代表的にはまた、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなどのリン脂質を含む。任意の公知のサポニンは、ISCOMで用いられ得る。好ましくは、ISCOMは、1つ以上のQuil A、QHAおよびQHCを含む。ISCOMはさらに、EP0109942、WO96/11711およびWO96/33739に記載される。必要に応じて、ISCOMSは、追加の界面活性剤(単数または複数)を欠いてもよい。WO00/07621を参照のこと。
【0255】
サポニンベースのアジュバントの開発の概説は、Barr,ら、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:247〜271に見出され得る。また、Sjolander,ら、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:321〜338も参照のこと。
【0256】
(D.ビロゾームおよびウイルス様粒子(VLP))
ビロゾームおよびウイルス様粒子(VLP)もまた、本発明でアジュバントとして用いてもよい。これらの構造は一般には、必要に応じてリン脂質と組み合わされるかまたはリン脂質と処方される、ウイルス由来の1つ以上のタンパク質を含む。それらは一般には、非病原性、非複製性であり、かつ一般には天然のウイルスゲノムを少しも含まない。このウイルスタンパク質は、組み換え産生されてもよいし、または全ウイルスから単離されてもよい。ビロゾームまたはVLPにおける使用に適切なこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス(例えば、HAまたはNA)、B型肝炎ウイルス(例えば、コアまたはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNA−ファージ、Qβ−ファージ(例えば、コートタンパク質)、GA−ファージ、fr−ファージ、AP205ファージ、およびTy(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質p1)由来のタンパク質が挙げられる。VLPは、さらにWO03/024480、WO03/024481、およびNiikuraら、Virology(2002)293:273〜280;Lenzら、Journal of Immunology(2001)5246〜5355;Pinto,ら、Journal of Infectious Diseases(2003)188:327〜338;ならびにGerberら、Journal of Virology(2001)75(10):4752〜4760に考察される。ビロゾームはさらに、例えば、Gluckら、Vaccine(2002)20:B10〜B16に考察される。免疫増強性の再構成したインフルエンザビロゾーム(IRIV)を、鼻腔内の三価のINFLEXALTM製品{Mischler & Metcalfe(2002)Vaccine 20 補遺5:B17−23}およびINFLUVAC PLUSTM製品において、サブユニット抗原送達系として用いる。
【0257】
(E.細菌または微生物の誘導物)
本発明における使用に適切なアジュバントとしては、以下のような細菌または微生物の誘導体が挙げられる。
【0258】
(1)腸内細菌のリポポリサッカリド(LPS)の非毒性誘導体
このような誘導体としては、モノホスホリル脂質A(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、3 De−O−アシル化モノホスホリル脂質Aと4,5または6アシル化鎖との混合物である。3 De−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小型粒子」型は、EP0 689 454に開示される。このような3dMPLの「小型粒子」は、0.22ミクロンの膜を通して滅菌濾過するのに十分小さい(EP0 689 454を参照のこと)。他の非毒性のLPS誘導体としては、モノホスホリル脂質A模倣物、例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体、例えば、RC529が挙げられる。Johnsonら、(1999)Bioorg Med Chem Lett 9:2273〜2278を参照のこと。
【0259】
(2)脂質A誘導体
脂質A誘導体としては、OM−174などのEscherichia coli由来の脂質Aの誘導体が挙げられる。OM−174は、例えば、Meraldiら、Vaccine(2003)21:2485〜2491;およびPajak,ら、Vaccine(2003)21:836〜842に記載される。
【0260】
(3)免疫刺激性オリゴヌクレオチド
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切な免疫刺激性オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフを含んでいるヌクレオチド配列が挙げられる(非メチル化シトシン、続いてグアノシンを含んでおり、リン酸結合によって連結される配列)。細菌の二重鎖RNAまたはオリゴヌクレオチド(パリンドロームまたはポリ(dG)配列を含んでいる)もまた、免疫刺激性であることが示されている。
【0261】
CpGはヌクレオチド修飾/アナログ、例えば、ホスホロチオエート修飾を含んでもよく、かつ二本鎖であってもまたは単鎖であってもよい。必要に応じて、グアノシンは、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンなどのアナログで置き換えられてもよい。可能性のあるアナログ置換の例については、Kandimallaら、Nucleic Acids Research(2003)31(9):2393〜2400;WO02/26757およびWO99/62923を参照のこと。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果はさらに、Krieg,Nature Medicine(2003)9(7):831〜835;McCluskie,ら、FEMS Immunology and Medical Microbiology(2002)32:179〜185;WO98/40100;米国特許第6,207,646号;米国特許第6,239,116号および米国特許第6,429,199号に考察されている。
【0262】
CpG配列は、モチーフGTCGTTまたはTTCGTTのように、TLR9に向けられてもよい。Kandimallaら、Biochemical Society Transactions(2003)31(パート3):654〜658を参照のこと。CpG配列は、CpG−A ODNのように、Th1免疫応答を誘導するために特異的であってもよいし、またはCpG−B ODNのように、B細胞応答を誘導するためにさらに特異的であってもよい。CpG−AおよびCpG−BのODNは、Blackwellら、J.Immunol.(2003)170(8):4061〜4068;Krieg,TRENDS in Immunology(2002)23(2):64〜65およびWO01/95935に考察されている。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。
【0263】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端がレセプター認識のためにアクセス可能であるように構築される。必要に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列をそれらの3’末端で結合して、イムノマー(immunomer)を形成してもよい。例えば、Kandimallaら、BBRC(2003)306:948〜953;Kandimallaら、Biochemical Society Transactions(2003)31(パート3):664〜658;Bhagatら、BBRC(2003)300:853〜861およびWO03/035836を参照のこと。
【0264】
(4)ADP−リボシル化毒素およびその無毒化誘導体
細菌ADP−リボシル化毒素およびその無毒化誘導体は、本発明のアジュバントとして用いられ得る。好ましくは、このタンパク質は、E.coli(すなわち、E.coli易熱性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、または百日咳(「PT」)由来である。粘膜アジュバントとしての無毒化ADP−リボシル化毒素の使用は、WO95/17211に、そして親のアジュバントとしては、WO98/42375に記載されている。好ましくは、このアジュバントは、無毒化LT変異体、例えば、LT−K63、LT−R72、およびLTR192Gである。ADP−リボシル化毒素およびその無毒化誘導体、特にLT−K63およびLT−R72のアジュバントとしての使用は、以下:
【0265】
【化23】
の参考文献に見出すことができる。アミノ酸置換についての数的な参照は好ましくは、Domenighiniら、Mol.Microbiol(1995)15(6):1165−1167に示されるADPリボシル化毒素のAおよびBサブユニットのアラインメントに基づく。
【0266】
(F.生体付着剤および粘膜付着剤)
生体付着剤および粘膜付着剤もまた、本発明におけるアジュバントとして用いられ得る。適切な生体付着剤としては、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア(Singhら(2001)J.Cont.Rele.70:267〜276)または粘膜付着剤、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカリドおよびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体が挙げられる。キトサンおよびその誘導体もまた、本発明においてアジュバントとして用いられ得る。WO99/27960を参照のこと。
【0267】
(G.微小粒子)
微小粒子も、本発明のアジュバントとして用いられ得る。微小粒子(すなわち、直径で約100nm〜約150μm、さらに好ましくは直径で約200nm〜約30μm、最も好ましくは直径で約500nm〜約10μmの粒子)は、生分解性であってかつ非毒性である材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)から形成され、ポリ(ラクチド コ グリコリド)が好ましく、必要に応じて、負に荷電した表面(例えば、SDSで)または正に荷電した表面(例えば、陽イオン性界面活性剤、例えば、CTABで)を有するように処理される。
【0268】
(H.リポソーム)
アジュバントとしての使用に適切なリポソーム処方物の例は、米国特許第6,090,406号、米国特許第5,916,588号、および欧州特許第0 626 169号に記載される。
【0269】
(I.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル処方物)
本発明における使用に適切なアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる。WO99/52549。このような処方物としてはさらに、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステルサーファクタント(WO01/21207)、およびオクトキシノールのような、少なくとも1つの追加の非イオン性サーファクタントと組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステルサーファクタント(WO01/21152)が挙げられる。
【0270】
好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス(laureth)9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0271】
(J.ポリホスファゼン(PCPP))
PCPP処方物は、例えば、
【0272】
【化24】
に記載される。
【0273】
(K.ムラミルペプチド)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切なムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミン(nor−MDP)、およびNアセチルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が挙げられる。
【0274】
(L.イミダゾキノリン化合物)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切なイミダゾキノリン化合物の例としては、Stanley,Clin Exp Dermatol(2002)27(7):571〜577;Jones,Curr Opin Investig Drugs(2003)4(2):214〜218;ならびに米国特許第4,689,338号、同第5,389,640号、同第5,268,376号、同第4,929,624号、同第5,266,575号、同第5,352,784号、同第5,494,916号、同第5,482,936号、同第5,346,905号、同第5,395,937号、同第5,238,944号、および同第5,525,612号にさらに記載されるイミキモドおよびそのアナログが挙げられる。
【0275】
(M.チオセミカルバゾン化合物)
チオセミカルバゾン化合物の例、ならびに本発明におけるアジュバントとしての使用に適切な全ての化合物について処方、製造およびスクリーニングする方法としては、WO04/60308に記載されるものが挙げられる。チオセミカルバゾンは特に、TNF−αなどのサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核球の刺激に有効である。
【0276】
(N.トリプタントリン化合物)
トリプタントリン化合物の例、ならびに本発明におけるアジュバントとしての使用に適切な全ての化合物について処方、製造およびスクリーニングする方法としては、WO04/64759に記載されるものが挙げられる。トリプタントリン化合物は特に、TNF−αなどのサイトカインの産生のためのヒト末梢血単核球の刺激に有効である。
【0277】
本発明はまた、上記で特定されたアジュバントの1つ以上の局面の組み合わせを含み得る。例えば、以下のアジュバント組成物が本発明において用いられ得る:
(1)サポニンおよび水中油型エマルジョン(WO99/11241);
(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)(WO94/00153を参照のこと);
(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL12(必要に応じて+ステロール)(WO98/57659);
(5)例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの3dMPLの組み合わせ(欧州特許出願0835318、0735898および0761231を参照のこと);
(6)SAF(10%スクアラン、0.4%Tween 80、5%プルロニック−ブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含有しており、サブミクロンのエマルジョンにマイクロフルイダイズされているか、またはボルテックスされてそれより大きい粒子サイズのエマルジョンを生じる)。
【0278】
(7)RIBITMアジュバントシステム(RAS),(Ribi Immunochem)(2%スクアレン、0.2% Tween 80、ならびにモノホスホリル脂質A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群由来の1つ以上の細菌細胞壁成分、好ましくはMPL+CWS(DETOXTM)を含んでいる);ならびに
(8)1つ以上の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば、3dPML)。
【0279】
(9)1つ以上の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGモチーフを含むヌクレオチド配列)。
【0280】
(O.ヒト免疫調節物質)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切なヒト免疫調節物質としては、サイトカイン、例えば、インターロイキン(例えば、IL−I、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12、など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子が挙げられる。
【0281】
アルミニウム塩およびMF59は、注射用インフルエンザワクチンとの使用のための好ましいアジュバントである。細菌の毒素および生体付着剤は、経鼻ワクチンなどの粘膜送達ワクチンとの使用のための好ましいアジュバントである。
【0282】
上記で引用した特許、特許出願および文献記事の全ての内容は、本明細書において詳細に示されるかのように参照によって援用される。
【0283】
(治療方法)
本発明は、上記の組成物を用いて1つ以上のグラム陽性の(例えば、連鎖球菌および/またはブドウ球菌の)細菌(例えば、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、および/またはS.aureus)に対する免疫応答を誘導または増大するための方法を提供する。本発明はまた、1つ以上のグラム陽性の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)細菌(例えば、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、および/またはS.aureus)に対する免疫応答を誘導または増大することにおける使用のための上記の組成物を提供する。この免疫応答は好ましくは防御的であり、かつ抗体および/または細胞媒介性の免疫(全身性免疫および粘膜免疫を含む)を含み得る。免疫応答は追加免疫応答を包含する。
【0284】
ティーンエイジャーおよび小児(幼児および乳児を含む)は、予防的使用のためのワクチンを投与され得る;治療用ワクチンは代表的には、ティーンエイジャーまたは成人に投与される。小児を意図するワクチンはまた、例えば、安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために成人にも投与され得る。
【0285】
本発明によって予防または処置され得る、S.agalactiaeによって生じる疾患としては、限定するものではないが、新生児敗血症、髄膜炎、および肺炎、および妊婦感染(例えば、子宮における、羊水における、帝王切開術後、および尿路における)が挙げられる。
【0286】
本発明によって予防または処置され得る、S.pneumoniaeによって生じる疾患としては、限定するものではないが、肺炎、菌血症、中耳炎、髄膜炎、静脈洞炎、腹膜炎および関節炎が挙げられる。
【0287】
本発明によって予防または処置され得る、S.pyogenesによって生じる疾患としては、限定するものではないが、丹毒咽頭炎(例えば、連鎖球菌咽頭炎)、猩紅熱、膿痂疹、蜂巣炎、敗血症、壊疽性筋膜炎、筋炎、トキシックショック症候群、ならびにリウマチ熱および急性糸球体腎炎などの続発症が挙げられる。
【0288】
本発明によって予防または処置され得る、S.aureusによって生じる疾患としては、限定するものではないが、軽度の皮膚感染、膿痂疹、腫脹(boil)、蜂巣炎、毛嚢炎、せつ(furuncle)、よう(carbuncle)、熱傷様皮膚症候群、膿瘍、肺炎、髄膜炎、骨髄炎、心内膜炎、トキシックショック症候群、および敗血症が挙げられる。
【0289】
本発明によって予防または処置され得る、S.suisによって生じる疾患としては、限定するものではないが、ブタのS.suis感染およびブタまたはブタの生成物に曝露されたヒトにおける髄膜炎、敗血症、肺炎、心内膜炎、関節炎、および敗血性ショックが挙げられる。
【0290】
本発明によって予防または処置され得る、S.equiによって生じる疾患としては、限定するものではないが、ウマ、イヌおよびラクダ科の患者(例えば、馬、ロバ、ラバ、イヌ、ラクダおよびヒトコブラクダ)における「腺疫(strangles)」ならびに転移性の腺疫が挙げられる。
【0291】
本発明によって予防または処置され得る、S.uberisによって生じる疾患としては、限定するものではないが、ウシの乳腺炎が挙げられる。
【0292】
本発明によって予防または処置され得る、S.dysgalactiaeによって生じる疾患としては、限定するものではないが、例えば、ウマ、ウシおよびブタの乳腺炎が挙げられる。
【0293】
本発明によって予防または処置され得る、S.iniaeによって生じる疾患としては、限定するものではないが、魚のS.iniae感染および感染した魚の取り扱いの際の皮膚損傷後のヒトにおける侵襲性の感染が挙げられる。
【0294】
(免疫応答の有効性を決定するための試験)
治療処置の有効性を評価する1方法は、本発明の組成物の投与後に細菌感染をモニタリングする工程を包含する。予防的処置の有効性を評価する1方法は、組成物の投与後に本発明の組成物中のCna_Bドメインに対する免疫応答をモニタリングする工程を包含する。
【0295】
本発明の免疫原性組成物の構成要素のタンパク質の免疫原性を評価する別の方法は、Cna_Bドメインを組み換え的に産生すること、およびイムノブロットによって患者の血清または粘膜分泌物をスクリーニングすることである。タンパク質と患者の血清との間の陽性の反応は、この患者が該当のタンパク質に対して従前に免疫応答を上昇(mount)させたこと;すなわちこのタンパク質が免疫原であることを示す。この方法はまた、イムノドミナントタンパク質および/またはエピトープを特定するために用いられ得る。
【0296】
治療処置の有効性をチェックする別の方法は、本発明の組成物の投与後に感染をモニタリングする工程を包含する。予防的処置の有効性をチェックする1方法は、組成物の投与後、Cna_Bドメインに対する全身的(例えば、IgG1およびIgG2a産生のレベルをモニタリングする)および粘膜的(例えば、IgA産生のレベルをモニタリングする)の両方で、免疫応答をモニタリングする工程を包含する。代表的には、血清特異的抗体応答は、免疫後だがチャレンジ前に決定され、一方で粘膜特異的抗体身体応答は、免疫後かつチャレンジ後に決定される。
【0297】
本発明のワクチン組成物は、宿主、例えば、ヒト投与の前にインビトロおよびインビボの動物モデルで評価され得る。特に有用なマウスモデルとしては、腹腔内免疫の後に、腹腔内チャレンジまたは鼻腔内チャレンジが続くモデルが挙げられる。
【0298】
本発明の免疫原性組成物の有効性はまた、インビボで動物モデルにグラム陽性の(例えば、ブドウ球菌または連鎖球菌の)細菌をチャレンジすることによって決定され得る(例えば、免疫原性組成物を用いたモルモットまたはマウス)。この免疫原性組成物は、チャレンジの血清型と同じ血清型由来であってもそうでなくてもよい。
【0299】
インビボの有効性モデルとしては限定するものではないが以下が挙げられる:(i)ヒトグラム陽性の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)細菌血清型を用いるマウス感染モデル;(ii)マウスで特に毒性であるS.pyogenesのM23株などのマウス適合性連鎖球菌株を用いるマウスモデルである、マウス疾患モデル、ならびに(iii)ヒト連鎖球菌単離体を用いる霊長類モデル。他のインビボモデルは、下の実施例に開示される。
【0300】
免疫応答は、Th1免疫応答およびTh2応答の一方であってもまたは両方であってもよい。免疫応答は、改善、または増強、または変更された免疫応答であり得る。免疫応答は、全身性および粘膜の免疫応答の一方または両方であってもよい。好ましくは、この免疫応答は、増強された全身性および/または粘膜応答である。
【0301】
増強された全身性免疫および/または粘膜免疫は、増強されたTh1および/またはTh2免疫応答に反映される。好ましくは、増強された免疫応答としては、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgAの産生の増大が挙げられる。
【0302】
好ましくは、粘膜免疫応答は、Th2免疫応答である。好ましくは、粘膜免疫応答としては、IgA産生の増大が挙げられる。
【0303】
活性化されたTh2細胞は、抗体産生を増強し、従って、細胞外感染への応答に有用である。活性化Th2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10のうちの1つ以上を分泌し得る。Th2免疫応答は、将来の防御のためにIgG1、IgE、IgAおよび記憶B細胞の産生を生じ得る。
【0304】
Th2免疫応答は、Th2免疫応答に関連する1つ以上のサイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)の増大、またはIgG1、IgE、IgAおよび記憶B細胞の産生の増大のうちの1つ以上を包含し得る。好ましくは、増強されたTh2免疫応答は、IgG1産生の増大を包含する。
【0305】
Th1免疫応答は、CTLの増大、Th1免疫応答に関連する1つ以上のサイトカイン(例えば、IL−2、IFNγ、およびTNFβ)の増大、活性化マクロファージの増大、NK活性の増大、またはIgG2aの産生の増大のうちの1つ以上を包含し得る。好ましくは、増強されたTh1免疫応答は、IgG2a産生の増大を包含する。
【0306】
本発明の免疫原性組成物、詳細には、本発明の1つ以上のCna_Bドメインを含んでいる免疫原性組成物は、単独で用いられても、または他のグラム陽性細菌の抗原(例えば、連鎖球菌またはブドウ球菌の抗原)と組み合わせて、必要に応じて、Th1および/またはTh2応答を惹起し得る免疫調節性剤とともに用いられてもよい。
【0307】
本発明はまた、1つ以上の免疫調節性剤、例えば、無機塩、例えば、アルミニウム塩およびCpGモチーフを含んでいるオリゴヌクレオチドを含んでいる免疫原性組成物を含む。最も好ましくは、免疫原性組成物は、アルミニウム塩およびCpGモチーフを含んでいるオリゴヌクレオチドの両方を包含する。あるいは、免疫原性組成物は、ADPリボシル化毒素、例えば、無毒化ADPリボシル化毒素およびCpGモチーフを含んでいるオリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、1つ以上の免疫調節性剤は、アジュバントを含む。このアジュバントは、Th1アジュバントおよびTh2アジュバントからなる群の1つ以上から選択され得る。
【0308】
本発明の組成物は、好ましくは、細胞媒介性の免疫応答、および体液性の免疫応答の両方を惹起して、グラム陽性細菌の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)感染に効率的に取り組む。この免疫応答は好ましくは、持続性(例えば、中和)抗体、および1つ以上のグラム陽性細菌の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)抗原に対する曝露の際に急速に応答し得る細胞媒介性の免疫を誘導する。
【0309】
1つの特に好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、中和抗体応答を惹起する1つ以上のCna_Bドメイン抗原(単数または複数)、および細胞媒介性免疫応答を惹起する、1つ以上のCna_Bドメイン抗原(単数または複数)を含む。この方法では、中和抗体応答は、最初のグラム陽性細菌の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)感染を予防または阻害するが、増強されたTh1細胞応答を惹起し得る細胞媒介性免疫応答はさらに、グラム陽性細菌の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)感染の広がりを予防する。
【0310】
本発明の組成物は一般には、患者に直接投与される。本発明の組成物は、種々の異なる経路を介して、単独でまたは組成物の一部として投与され得る。特定の経路は、より有効な免疫応答(好ましくは、CMI応答)の生成を生じるということで、または副作用を誘導する可能性が低いということで、または投与が容易であるということで、特定の組成物に好適であり得る。
【0311】
送達方法としては、非経口注射(例えば、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射、または間質性注射)および直腸、経口(例えば、錠剤、スプレー)、膣、局所、経皮(transdermal)(例えば、WO 99/27961を参照のこと)、経皮(transcutaneous)(例えば、WO02/074244およびWO02/064162を参照のこと)、鼻腔内(例えば、WO03/028760を参照のこと)、眼球、耳、および肺または他の粘膜投与が挙げられる。
【0312】
例えば、本発明の組成物は、全身経路、もしくは粘膜経路、もしくは経皮経路を介して投与されてもよく、または、特定の組織へ直接投与されてもよい。本明細書において用いる場合、「全身投与」という用語は、限定するものではないが、投与の任意の非経口経路を包含する。詳細には、非経口投与としては限定するものではないが、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内または胸骨内の注射、静脈内、動脈内または腎臓透析の注入技術が挙げられる。好ましくは、全身性、非経口投与は、筋肉内注射である。本明細書において用いる場合、「粘膜投与」という用語は、限定するものではないが、経口投与、鼻腔内投与、膣内投与、直腸内投与、気管内投与、腸内投与および眼科投与を包含する。
【0313】
投薬処置は、単一用量スケジュールまたは複数回用量スケジュールであってもよい。複数回用量は、一次免疫スケジュールで、および/または追加免疫スケジュールで用いられ得る。複数回用量スケジュールでは、種々の用量は、同じ経路または異なる経路で、例えば、非経口の一次免疫および粘膜の追加免疫、粘膜の一次免疫および非経口の追加免疫などによって与えてもよい。
【0314】
本発明の組成物は、種々の形態で調製され得る。例えば、組成物は、注射用として、液体溶液または懸濁物として調製されてもよい。注射前の液体ビヒクルにおける溶液、または懸濁物について適切な固体型も調製され得る(例えば、凍結乾燥組成物)。組成物は、経口投与のために、例えば、錠剤またはカプセル、スプレーとして、またはシロップとして(必要に応じて矯味矯臭されて)調製され得る。組成物は、肺投与のために、例えば、吸入器として、微細粉末またはスプレーを用いて、調製されてもよい。組成物は、坐剤またはペッサリーとして調製されてもよい。組成物は、経鼻、耳または眼の投与用に、例えば、滴剤として調製されてもよい。組成物は、合わせた組成物が患者に投与される直前に再構成されるように、キット型で設計されてもよい。このようなキットは、液体型の1つ以上のCna_Bドメイン抗原または他の抗原および1つ以上の凍結乾燥抗原を含んでもよい。
【0315】
ワクチンとして用いられる免疫原性組成物は、免疫学的に有効な量の1つ以上のCna_Bドメイン抗原(またはこの抗原をコードする核酸分子)、および必要に応じて抗体などの任意の他の成分を含む。「免疫学的に有効な量」とは、単回用量でもしくは一連の一部として個体に投与される場合、測定可能な免疫応答を増大するか、または臨床症状を予防もしくは軽減する量である。
【0316】
本発明の免疫学的組成物は、抗生物質処置レジメンと組み合わせて投与されてもよい。一実施形態では、抗生物質は、本発明の1つ以上のCna_Bドメイン抗原(またはその抗原をコードする核酸分子)の投与の前に投与される。
【0317】
別の実施形態では、この抗生物質は、本発明のCna_Bドメイン抗原の投与に続いて投与される。連鎖球菌の感染の処置における使用に適切な抗生物質の例としては限定するものではないが、ペニシリン、またはその誘導体、またはクリンダマイシン、セファロスポリン、グリコペプチド(例えば、バンコマイシン)、およびサイクロセリンが挙げられる。
【0318】
しかし、組成物中の活性因子の量は、処置されるべき個体の健康および身体的状態、処置されるべき個体の年齢、分類学的群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類、など)、個体の免疫系が抗体を合成する能力、所望の保護の程度、ワクチンの処方、医学的状況の処置医による評価、および他の関連の要因に依存して変化する。この量は、慣用的な試験を通じて決定され得る比較的広範囲におさまる。
【0319】
(キット)
本発明はまた、本発明の組成物の1つ以上の容器を含むキットを提供する。組成物は、個々の抗原が可能である場合、液体型であってもよいし、または凍結乾燥されてもよい。組成物に適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジおよび試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックを含めて種々の材料から形成され得る。容器は、無菌のアクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、皮下注射針で刺すことが可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。
【0320】
キットはさらに、薬学的に許容され得る緩衝液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液、またはデキストロース溶液を含む第二の容器を備え得る。このキットはまた、他の緩衝液、希釈液、フィルター、針、およびシリンジを含めて、エンドユーザーに有用な他の材料を含んでもよい。このキットはまた、別の活性因子、例えば、抗生物質を有する第二または第三の容器を含んでもよい。
【0321】
このキットはまた、連鎖球菌の細菌に対する免疫を誘導する方法について、またはグラム陽性細菌の(例えば、連鎖球菌のおよび/またはブドウ球菌の)感染を処置するための書面の説明を含む添付文書を備えてもよい。この添付文書は、承認されていない草案の添付文書であってもよいし、または食品医薬品局(Food and Drug Administration(FDA))または他の管理当局によって承認された添付文書であってもよい。
【0322】
本開示に引用される、全ての特許、特許出願、および引用文献は、参照によって本明細書に明確に援用される。上記の開示は概して、本発明を記載する。以下の特定の実施例を参照することによってさらに完全な理解を得ることが可能であり、この実施例は、例示の目的で提供するだけであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0323】
(実施例1)
(Cna_Bドメインの免疫原性)
GASタンパク質Cpa_M18のCna_Bドメインを、隣接するドメイン(Fb−シグナル)と一緒にPET21bベクター中にクローニングした。図1A〜図1Bを参照のこと。His−タグ組み換えタンパク質を、活性化キレートセファロース高速流カラムを用いて精製した。図2を参照のこと。
【0324】
クローニングされたCna_B−Fbドメインに対する抗血清を、各々20μgの組み換えCna_B−Fbタンパク質を用いて3回、10CD1雌性マウスを免疫することによって得た。次にCna_B−Fb血清を、Cna_Bドメインを含んでいる種々のヒト病原体由来の種々の精製Hisタグ組み換えタンパク質に対するウエスタンブロット実験によって調べた。結果を図3A〜図3Dに示す。これらの実験によって、Cna_Bドメインが免疫原性であること、およびこれに対して惹起された抗血清がGAS_CpaおよびF2タンパク質、ならびにS.agalactiaeおよびS.pneumoniaeの線毛成分(防御抗原であることが報告されている)を認識することが示される(Maioneら、2005 Science 309,148〜150;Rosiniら、2006 Mol.Micro.61,126〜141およびGianfaldoniら、2007,Infect.Immun.75,1059〜1062)。実施例5は、血清中の抗体がHisタグと反応した可能性に取り組むように設計した実験を報告する;図20も参照のこと。
【0325】
Cna_B抗血清の反応性を、ウエスタンブロットを用いてcpa_M18タンパク質について特異的な抗血清の反応性と比較した。結果を図4A〜図4Bに示す。試験した全てのタンパク質とのより高い反応性をCna_B抗血清について観察した。詳細には、試験した全てのGBS_59の改変体(SAL 1486)が、抗Cna_B−Fb血清によって検出されたが、抗Cpa_M18血清によって検出された改変体は1つだけであった。
【0326】
(実施例2)
(オプソニン食作用アッセイ)
特定の血清および分化したHL−60細胞を用いるS.agalactiae(GBS)のオプソニン食作用性の殺傷を、インビトロで検討して、組み換えCna_B−Fbドメインが防御抗体を惹起するか否かを試験した。GBSを、5mlのTodd Hewitt Broth(THB)中で指数関数中期まで増殖させ(OD600=0.3)、次いで3000×gで、4℃で10分間遠心分離し、PBS1×で洗浄し、OP緩衝液(HBSS,0.1%ゼラチン、10%ウシ胎仔血清)中で懸濁し、約2×107CFU/mlの最終濃度に希釈した。GBS細胞(約2×105CFU)を、冷却した96ウェルマイクロタイタープレートのウェル上で、熱不活化マウス血清(反応物中の最終濃度1:10)と混合し、次いで、分化したHL60(1〜2×106細胞)および仔ウサギ補体(baby rabbit complement)を、GBS細胞に氷上で添加した(最終反応容積125μl)。この混合物を37℃で60分間インキュベートし、400〜500×gで混合した。インキュベーション期間の終わりに氷にサンプルを戻すことによって食作用を終わらせた。インキュベーションの直前(時間0)および1時間後(時間1時間)、25μlのアリコートを、滅菌蒸留水中に希釈し(25μlのサンプル+225μlの水、次いで1:10および1:100)、5%ヒツジ血液を含むトリプシンダイズ寒天(Tryptic soy agar)プレートにまいた。そのプレートを37℃で一晩インキュベートした。
【0327】
結果を図5に示す。GAS_M18_Cna_B_Fb血清は、GBS株515(これは、ピリン(pilin)タンパク質SAL 1482、SAL 1486およびSAL 1487中でCna_Bドメインを発現する)およびJM10098株(これは、防御的ピリンSAN 1518およびSAN 1519を発現した)の殺傷を媒介する。
【0328】
さらなるオプソニン食作用実験によって、GAS_M18_cpa(Cna_B−Fbドメインを含んでいるタンパク質全体)が、同様に細菌を殺傷できるということが指摘され、このことはCna_B−Fbドメインに対して惹起された抗体が、実際に細菌殺傷を担うということを示唆している。
【0329】
S.pyogenes(GAS)についての適切なオプソニン食作用系がない場合、線毛を欠くGBSの変異体株であるR13、ならびにGAS線毛M1およびGAS線毛M6を補完された同じGBS R13株をオプソニン食作用実験で試験した。結果を図6に示す。これらの実験では、GAS_M18_Cna_B_Fb抗血清が、GAS線毛M1を発現するGBS R13株の殺傷を媒介し、そして線毛M6を発現するGBS R13株の殺傷を低い程度に媒介することが示される。
【0330】
Fb−シグナルドメインは、GAS Cpaタンパク質にのみ存在し、抗体媒介性の殺傷が示されたGBSピリンでは存在しないので、本発明者らは、実施例1で試験した全てのタンパク質に存在するCna_Bドメインに集中した。これらのタンパク質のアミノ酸配列をアラインメントして、それらのCna_Bドメインのアミノ酸配列を比較した(図7〜図13)。これらのアラインメントによって、コンセンサス配列GXYXLXEXXXXXGY(配列番号74)を有する、本明細書で「Gボックス」と名付けられた、保存された領域が特定された。
【0331】
(実施例3)
(GBSチャレンジ後のCna_B−Fb免疫マウスの生存)
30匹のCD1雌性マウスを、実施例1に記載のように調製したS.pyogenes Spy_M18_0126タンパク質の組み換えCna_B−Fbドメインを用いて、1、20および34日目に免疫した。10匹のマウスに、20μgの組み換えタンパク質が含有される100μlの_PBS+100μlのフロイント不完全アジュバントをIP注射した。陽性コントロールとして、5匹のマウスに、20μgのS.agalactiae GBS59(SAL_1486)タンパク質が含有される100μlのPBS+100μlのフロイント不完全アジュバントを注射し、および5匹のマウスに20μgのS.agalactiae GBS 1523(SAN 1518)タンパク質が含有される100μlのPBS+100μlのフロイント不完全アジュバントを注射した。陰性コントロールとして、10匹のマウスにPBSに加えてフロイント不完全アジュバントを注射した。
【0332】
マウスを3回目の注射後に交配して、新生児にGBS株A909またはGBS株515のいずれかの致死用量をチャレンジした。Cna_B−Fbで免疫した母由来の80匹の新生児およびPBSでの80匹、ならびにS.agalactiae GBS59(SAL_1486)またはS.agalactiae GBS1523(SAN 1518)で免疫した母由来の各々40匹の新生児をチャレンジした。新生児の生存を4日間モニターした。Cna_B−Fbドメインで免疫した新生児についての生存率は、それぞれA909株および515株でのチャレンジ後に42%および44%であった。その結果を下の表38に示す。
【0333】
【表38】
同様の実験の結果を図24に示す。
【0334】
(実施例4)
(ELISAアッセイ)
GAS_Cpa_M18血清中の特異的抗Cna_Bドメイン抗体の評価は、GAS_Cpa_M18タンパク質およびCna_Bドメインの両方をコーティングすることによって行い、これは、ELISA実験においてGAS_Cpa_M18血清の連続希釈によって連続的にチャレンジした(表39および40)。OD540=1に相当する希釈は、各々のタンパク質についてのELISA力価を示した(表40)。図19は、GAS_Cpa_M18についてY=1(OD540)である場合、ELISA力価が627.814であったことを示す。同様に、コーティングしたCna_Bドメインをチャレンジした場合、GAS_Cpa_M18についてY=1(OD540)である場合、ELISAの力価は318.061となった。この実験によって、GAS_Cpa_M18タンパク質血清に含まれる抗体の約半分がCna_Bドメインに特異的であることが示された。
【0335】
【表39】
【0336】
【表40】
(実施例5)
(GAS Cna_B_Fbドメイン血清とGASおよびGBS株との交差反応性のFACS分析)
本実施例は、GAS Cna_B_Fbドメイン抗血清がGASおよびGBSの両株と交差反応することを示す。
【0337】
クローニングされたCna_B−Fbドメインに対する抗血清およびCna_Bドメイン(「Cna_B_M6」;配列番号145)のみに対する抗血清は、各々20μgの組み換えCna_B−Fbタンパク質または20μgの組み換えM6_Cna_BドメインでCD1雌性マウスを3回免疫することによって得た。
【0338】
種々のGASおよびGBS株に対する交差ハイブリダイゼーション特異性は、蛍光細胞分析分離装置(FACS)を用いて確認した。80チャネルの閾値を陽性シフトと指定した;150チャネルを、極めて陽性のシフトと指定した。
【0339】
結果は表41に示す。図18も参照のこと。
【0340】
【表41】
(実施例6)
(腹腔内免疫後の皮下感染からのインビボ防御)
本実施例は、種々のCna_Bドメイン抗原で腹腔内免疫したマウスが、GAS皮下感染モデルで皮膚病変面積の減少を示すことを示す。
【0341】
マウスは、20μgのCna_B−Fb_M18ドメインを用いて、1、21および35日目に3回腹腔内に免疫し、3回目の免疫の2週後に、109cfuのS.pyogenes株SF370_M1の皮下注射によってチャレンジした。病変面積は、QUANTITY ONE(登録商標)方法(Bio−Rad)を用いて病変の写真で画素数を評価することによって測定した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、陰性コントロールとして用い、M1タンパク質(「emm−1」)を陽性コントロールとして用いた。GAS Cna_Bドメイン抗原「Cna_B−Fb_M18」での免疫の結果を、図21および図25に示す。GBSキメラCna_Bドメイン抗原での免疫の結果を図25に示す。キメラGBS Cna_Bドメイン抗原は、実施例8に記載される「GBS_59(515)−リンカー−GBS_67」(配列番号129)であった。
【0342】
(実施例7)
(腹腔内免疫後のS.aureusチャレンジからのインビボ防御)
本実施例は、Cna_Bドメイン抗原での腹腔内免疫がマウス腎膿瘍モデルにおけるS.aureusコロニー形成に対して防御することを示す。
【0343】
マウス(各々の実験について10匹のマウス)をCna_Bドメイン抗原(Cna_B−Fb_M18;20μg/マウス)を用いるか、または種々のS.aureus抗原を用いて、以下のスケジュールで免疫した:0日目、最初の免疫、および14日目、第二の免疫。チャレンジは24日目に行った。免疫は、腹腔内に行った。免疫した動物は、24日目にS.aureus Newman株の細菌懸濁物の静脈内注射によってチャレンジした。Newman株の培養物を、遠心分離し、2回洗浄し、PBS中に希釈した後にチャレンジした。28日目に、マウスを安楽死させた。腎臓を取り出して、1%のTRITON(登録商標)X−100中にホモジナイズして、アリコートを希釈して、CFUを三連で決定するために寒天培地上にまいた。PBSは、陰性コントロールとして用いた。結果を図22に示す(「Cna_B」はCna_B−Fb_M18である)。
【0344】
(実施例8)
(キメラCna_Bドメイン抗原のクローニングおよび発現)
以下のキメラCna_Bドメイン抗原をクローニングして、GBS59−Cna_Bを第一のドメインとしてその溶解度の高さに起因して用い、pET15発現ベクター中で発現させた。
【0345】
下に示す配列番号127は、GBS株515由来のSAL 1486のCna_Bドメイン(「GBS59」)、リンカー配列およびGBS株2603V/R由来のSAG 0645のCna_Bドメイン(「GBS80」)を含んでいる、His−タグCna_Bドメイン抗原(「GBS_59(515)−リンカー−GBS_80」;配列番号140)のアミノ酸配列である。キメラ配列から上流の6つのヒスチジン残基は太字である。アミノ酸リンカー配列は太字である。下線のアミノ酸を追加して、タンパク質のフォールディングを促進した。
【0346】
【化25】
下に示す配列番号128は、GBS株515由来のSAL 1486のCna_Bドメイン(「GBS59」)、リンカー配列およびGBS株COH1由来のSAN 1518のCna_Bドメイン(「GBS1523」)を含んでいる、His−タグCna_Bドメイン抗原(「GBS_59(515)−リンカー−GBS_1523」;配列番号141)のアミノ酸配列である。キメラ配列から上流の6つのヒスチジン残基は太字である。アミノ酸リンカー配列は太字である。下線のアミノ酸を追加して、タンパク質のフォールディングを促進した。
【0347】
【化26】
下に示す配列番号129は、GBS株515由来のSAL 1486のCna_Bドメイン(「GBS59」)、リンカー配列およびGBS株515由来のSAL 1487の2つのCna_Bドメイン(「GBS67」)(第2のドメインはイタリック体である)を含んでいる、His−タグCna_Bドメイン抗原(「GBS_59(515)−リンカー−GBS_67」;配列番号142)のアミノ酸配列である。キメラ配列から上流の6つのヒスチジン残基は太字である。アミノ酸リンカー配列は太字である。下線のアミノ酸を追加して、タンパク質のフォールディングを促進した。
【0348】
【化27】
下に示す配列番号130は、GBS株515由来のSAL 1486のCna_Bドメイン(「GBS59」)、GBS株2603V/R由来のSAG 0645のCna_Bドメイン、リンカー配列、GBS株COH1由来のSAN 1518のCna_Bドメイン、および別のリンカー配列を含んでいる、His−タグCna_Bドメイン抗原(「GBS_59(515)−GBS_80−リンカー−GBS_1523−リンカー」;配列番号143)のアミノ酸配列である。キメラ配列から上流の6つのヒスチジン残基は太字である。アミノ酸リンカー配列は太字である。下線のアミノ酸を追加して、タンパク質のフォールディングを促進した。
【0349】
【化28】
【0350】
【化29】
下に示す配列番号131は、S.aureus SdrDタンパク質のCna_Bドメインを含んでおり、かつSdrDタンパク質に自然に存在する「リンカー」アミノ酸(太字)を含んでいるHis−タグCna_Bドメイン抗原(「SA Cna_B−SdrD」;配列番号144)のアミノ酸配列である。キメラ配列から上流の6つのヒスチジン残基は太字である。
【0351】
【化30】
(実施例9)
(Cna_Bドメイン抗原での腹腔内免疫は、マウス腎膿瘍モデルにおいてS.aureusコロニー形成に対して防御する)
本実施例は、Cna_Bドメイン抗原での腹腔内免疫が、マウス腎膿瘍モデルにおいてS.aureusコロニー形成に対して防御することを示す。
【0352】
マウス(各実験について10匹のマウス)を以下のスケジュールでCna_Bドメイン抗原(Cna_B−Fb_M18;20μg/マウス)で免疫した:最初の免疫は0日目、および第二の免疫は14日目。チャレンジは、24日目に行った。免疫は、腹腔内で行った。免疫した動物は、S.aureus Newman株の細菌懸濁物の静脈内注射によって24日目にチャレンジした。Newman株の培養物を遠心分離して、2回洗浄し、PBS中に希釈した後にチャレンジした。28日目に、マウスを安楽死させた。腎臓を取り出して、1%のTRITON(登録商標)X−100中にホモジナイズして、アリコートを希釈して、CFUを三連で決定するために寒天培地上にまいた。ブドウ球菌タンパク質IsdBを陽性コントロールとして用い、ミョウバンを陰性コントロールとして用いた。Cna_Bドメイン抗原で免疫したマウスは、S.aureusのチャレンジ後に腎臓のコロニー形成率の低下を示した。結果を図23に示す。
【0353】
(実施例10)
(Cna_B_SdrDは、S.aureus感染に対して敗血症マウスモデルにおいて防御をもたらす)
本実施例は、S.aureusタンパク質SdrD(図26A,B)のCna_Bドメイン(配列番号134〜138)を含んでいるCna_Bドメイン抗原(図27;配列番号132)が、S.aureus感染に対して敗血症マウスモデルで防御を付与することを示す。
【0354】
各14匹のマウスの群をCna_B SdrD 抗原(20μg/マウス、ミョウバン中)またはポアを形成できないS.aureusのα−ヘモリシンの変異型(20μg/マウス、ミョウバン中)(HlaH35L;例えば、Wardenburg & Schneewind,「Vaccine protection against Staphlococcus aureus pneumonia,」Exp Med.2008 February 18;205(2):287〜294を参照のこと)を用いて免疫した。コントロールのマウスにはミョウバンを注射した。
【0355】
マウスは、以下のスケジュールで免疫した:0日目に最初の免疫および14日目に第二の免疫。チャレンジは24日目に行った。免疫は、腹腔内で行った。免疫した動物を、S.aureus株USA300の細菌懸濁物の腹腔内注射によって24日目にチャレンジした。USA300の株の培養物を遠心分離して、2回洗浄し、PBS中に希釈した後にチャレンジした。マウスを14日間毎日モニタリングして、Novartis Animal Welfare Policiesに従って、人道的なエンドポイントの出現で安楽死させた。S.aureus株USA300でのチャレンジ2週間後の生存パーセントを図28に示す。これらの結果、Cna_B_SdrDでの免疫は、S.aureusチャレンジに対して高い防御を付与することが示され、これによってこのドメインは潜在的に極めて良好なワクチン候補物として示唆される。
【0356】
【表42−1】
【0357】
【表42−2】
【0358】
【表42−3】
【0359】
【表42−4】
【0360】
【表42−5】
【0361】
【表42−6】
【0362】
【表42−7】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列を含んでいるCna_Bドメイン抗原であって、ここで該アミノ酸配列のN末端アミノ酸のアミノ基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のカルボキシル基にペプチド結合によって連結されず、および/または該アミノ酸配列のC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のアミノ基にペプチド結合によって連結されない、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項2】
配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜144からなる群より選択される2つのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項3】
アミノ酸配列、配列番号1を含んでいる、請求項1に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項4】
アミノ酸配列、配列番号1からなる、請求項1に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項5】
第一のグラム陽性細菌のタンパク質の第一のCna_Bドメインおよび第二のグラム陽性細菌のタンパク質の第二のCna_Bドメインを含んでおり、ここで該第一および第二のグラム陽性のタンパク質は異なるタンパク質である、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項6】
前記第一のグラム陽性細菌のタンパク質が、連鎖球菌のタンパク質である、請求項5に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項7】
前記第一のグラム陽性細菌のタンパク質が、ブドウ球菌のタンパク質である、請求項5に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項8】
前記第一のCna_Bドメインが、アミノ酸配列、配列番号74を含む、請求項5に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項9】
前記第一のCna_Bドメインが、配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列である、請求項5に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項10】
2つの同一のCna_Bドメインを含む、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項11】
アミノ酸配列、配列番号74を含むCna_Bドメイン抗原であって、ここで該アミノ酸配列のN末端アミノ酸のアミノ基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のカルボキシル基にペプチド結合によって連結されず、および/または該アミノ酸配列のC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のアミノ基にペプチド結合によって連結されない、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項12】
(a)配列番号1、および配列番号1のN末端における配列番号18の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号1のC末端における配列番号18の0〜282個の追加の連続するアミノ酸;
(b)配列番号2、および配列番号2のN末端における配列番号18の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号2のC末端における配列番号18の0〜390個の追加の連続するアミノ酸;
(c)配列番号3、および配列番号3のN末端における配列番号19の0〜294個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号3のC末端における配列番号19の0〜390個の追加の連続するアミノ酸;
(d)配列番号4、および配列番号4のN末端における配列番号20の0〜297個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号4のC末端における配列番号20の0〜396個の追加の連続するアミノ酸;
(e)配列番号5、および配列番号5のN末端における配列番号21の0〜310個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号5のC末端における配列番号21の0〜380個の追加の連続するアミノ酸;
(f)配列番号6、および配列番号6のN末端における配列番号22の0〜288個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号6のC末端における配列番号22の0〜393個の追加の連続するアミノ酸;
(g)配列番号7、および配列番号7のN末端における配列番号23の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号7のC末端における配列番号23の0〜392個の追加の連続するアミノ酸;
(h)配列番号8、および配列番号8のN末端における配列番号24の0〜906個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号8のC末端における配列番号24の0〜58個の追加の連続するアミノ酸;
(i)配列番号9、および配列番号9のN末端における配列番号25の0〜654個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号9のC末端における配列番号25の0〜646個の追加の連続するアミノ酸;
(j)配列番号10、および配列番号10のN末端における配列番号26の0〜51個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号10のC末端における配列番号26の0〜768個の追加の連続するアミノ酸;
(k)配列番号27、および配列番号27のN末端における配列番号45の0〜169個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号27のC末端における配列番号45の0〜52個の追加の連続するアミノ酸;
(l)配列番号28、および配列番号28のN末端における配列番号46の0〜160個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号28のC末端における配列番号46の0〜75個の追加の連続するアミノ酸;
(m)配列番号29、および配列番号29のN末端における配列番号47の0〜51個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号29のC末端における配列番号47の0〜778個の追加の連続するアミノ酸;
(n)配列番号30、および配列番号30のN末端における配列番号48の0〜52個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号30のC末端における配列番号48の0〜786個の追加の連続するアミノ酸;
(o)配列番号31、および配列番号31のN末端における配列番号49の0〜365個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号31のC末端における配列番号49の0〜50個の追加の連続するアミノ酸;
(p)配列番号32、および配列番号32のN末端における配列番号50の0〜1290個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号32のC末端における配列番号50の0〜62個の追加の連続するアミノ酸;
(q)配列番号33、および配列番号33のN末端における配列番号51の0〜394個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号33のC末端における配列番号51の0〜65個の追加の連続するアミノ酸;
(r)配列番号35、および配列番号35のN末端における配列番号52の0〜98個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号35のC末端における配列番号52の0〜36個の追加の連続するアミノ酸;
(s)配列番号53、および配列番号53のN末端における配列番号63の0〜459個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号53のC末端における配列番号63の0〜68個の追加の連続するアミノ酸;
(t)配列番号54、および配列番号54のN末端における配列番号64の0〜60個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号54のC末端における配列番号64の0〜762個の追加の連続するアミノ酸;
(u)配列番号55、および配列番号55のN末端における配列番号65の0〜271個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号55のC末端における配列番号65の0〜41個の追加の連続するアミノ酸;
(v)配列番号66、および配列番号66のN末端における配列番号72の0〜703個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号66のC末端における配列番号72の0〜473個の追加の連続するアミノ酸;
(w)配列番号67、および配列番号67のN末端における配列番号72の0〜924個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号67のC末端における配列番号72の0〜353個の追加の連続するアミノ酸;
(x)配列番号68、および配列番号68のN末端における配列番号73の0〜344個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号68のC末端における配列番号73の0〜761個の追加の連続するアミノ酸;
(y)配列番号34、および配列番号34のN末端における配列番号47の0〜748個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号34のC末端における配列番号47の0〜62個の追加の連続するアミノ酸;
(z)配列番号57、および配列番号57のN末端における配列番号65の0〜161個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号57のC末端における配列番号65の0〜141個の追加の連続するアミノ酸;
(aa)配列番号80、および配列番号80のN末端における配列番号82の0〜348個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号80のC末端における配列番号82の0〜53個の追加の連続するアミノ酸;
(bb)配列番号81、および配列番号81のN末端における配列番号83の0〜358個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号81のC末端における配列番号83の0〜124個の追加の連続するアミノ酸;
(cc)配列番号84、および配列番号84のN末端における配列番号87の0〜350個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号84のC末端における配列番号87の0〜244個の追加の連続するアミノ酸;
(dd)配列番号85、および配列番号85のN末端における配列番号87の0〜539個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号85のC末端における配列番号87の0〜55個の追加の連続するアミノ酸;
(ee)配列番号86、および配列番号86のN末端における配列番号88の0〜336個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号86のC末端における配列番号88の0〜74個の追加の連続するアミノ酸;
(ff)配列番号122、および配列番号122のN末端における配列番号121の0〜59個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号122のC末端における配列番号121の0〜1030個の追加の連続するアミノ酸;
(gg)配列番号123、および配列番号123のN末端における配列番号121の0〜524個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号123のC末端における配列番号121の0〜561個の追加の連続するアミノ酸;
(hh)配列番号124、および配列番号124のN末端における配列番号121の0〜637個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号124のC末端における配列番号121の0〜451個の追加の連続するアミノ酸;
(ii)配列番号125、および配列番号125のN末端における配列番号121の0〜759個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号125のC末端における配列番号121の0〜328個の追加の連続するアミノ酸;
(jj)配列番号126、および配列番号126のN末端における配列番号121の0〜904個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号126のC末端における配列番号121の0〜188個の追加の連続するアミノ酸;
(kk)配列番号134、および配列番号134のN末端における配列番号132の0〜591個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号134のC末端における配列番号132の0〜683個の追加の連続するアミノ酸;
(ll)配列番号135、および配列番号135のN末端における配列番号132の0〜703個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号135のC末端における配列番号132の0〜572個の追加の連続するアミノ酸;
(mm)配列番号136、および配列番号136のN末端における配列番号132の0〜814個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号136のC末端における配列番号132の0〜461個の追加の連続するアミノ酸;
(nn)配列番号137、および配列番号137のN末端における配列番号132の0〜924個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号137のC末端における配列番号132の0〜351個の追加の連続するアミノ酸;
(oo)配列番号138、および配列番号138のN末端における配列番号132の0〜1035個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号138のC末端における配列番号132の0〜241個の追加の連続するアミノ酸;および
(pp)配列番号139、および配列番号134のN末端における配列番号132の0〜598個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号134のC末端における配列番号132の0〜225個の追加の連続するアミノ酸;
からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項13】
配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、および139〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、請求項12に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項14】
(a)配列番号1、および配列番号1のN末端における配列番号18の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号1のC末端における配列番号18の0〜282個の追加の連続するアミノ酸;
(b)配列番号2、および配列番号2のN末端における配列番号18の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号2のC末端における配列番号18の0〜390個の追加の連続するアミノ酸;
(c)配列番号3、および配列番号3のN末端における配列番号19の0〜294個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号3のC末端における配列番号19の0〜390個の追加の連続するアミノ酸;
(d)配列番号4、および配列番号4のN末端における配列番号20の0〜297個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号4のC末端における配列番号20の0〜396個の追加の連続するアミノ酸;
(e)配列番号5、および配列番号5のN末端における配列番号21の0〜310個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号5のC末端における配列番号21の0〜380個の追加の連続するアミノ酸;
(f)配列番号6、および配列番号6のN末端における配列番号22の0〜288個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号6のC末端における配列番号22の0〜393個の追加の連続するアミノ酸;
(g)配列番号7、および配列番号7のN末端における配列番号23の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号7のC末端における配列番号23の0〜392個の追加の連続するアミノ酸;
(h)配列番号8、および配列番号8のN末端における配列番号24の0〜906個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号8のC末端における配列番号24の0〜58個の追加の連続するアミノ酸;
(i)配列番号9、および配列番号9のN末端における配列番号25の0〜654個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号9のC末端における配列番号25の0〜646個の追加の連続するアミノ酸;
(j)配列番号10、および配列番号10のN末端における配列番号26の0〜51個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号10のC末端における配列番号26の0〜768個の追加の連続するアミノ酸;
(k)配列番号27、および配列番号27のN末端における配列番号45の0〜169個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号27のC末端における配列番号45の0〜52個の追加の連続するアミノ酸;
(l)配列番号28、および配列番号28のN末端における配列番号46の0〜160個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号28のC末端における配列番号46の0〜75個の追加の連続するアミノ酸;
(m)配列番号29、および配列番号29のN末端における配列番号47の0〜51個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号29のC末端における配列番号47の0〜778個の追加の連続するアミノ酸;
(n)配列番号30、および配列番号30のN末端における配列番号48の0〜52個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号30のC末端における配列番号48の0〜786個の追加の連続するアミノ酸;
(o)配列番号31、および配列番号31のN末端における配列番号49の0〜365個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号31のC末端における配列番号49の0〜50個の追加の連続するアミノ酸;
(p)配列番号32、および配列番号32のN末端における配列番号50の0〜1290個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号32のC末端における配列番号50の0〜62個の追加の連続するアミノ酸;
(q)配列番号33、および配列番号33のN末端における配列番号51の0〜394個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号33のC末端における配列番号51の0〜65個の追加の連続するアミノ酸;
(r)配列番号35、および配列番号35のN末端における配列番号52の0〜98個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号35のC末端における配列番号52の0〜36個の追加の連続するアミノ酸;
(s)配列番号53、および配列番号53のN末端における配列番号63の0〜459個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号53のC末端における配列番号63の0〜68個の追加の連続するアミノ酸;
(t)配列番号54、および配列番号54のN末端における配列番号64の0〜60個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号54のC末端における配列番号64の0〜762個の追加の連続するアミノ酸;
(u)配列番号55、および配列番号55のN末端における配列番号65の0〜271個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号55のC末端における配列番号65の0〜41個の追加の連続するアミノ酸;
(v)配列番号66、および配列番号66のN末端における配列番号72の0〜703個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号66のC末端における配列番号72の0〜473個の追加の連続するアミノ酸;
(w)配列番号67、および配列番号67のN末端における配列番号72の0〜924個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号67のC末端における配列番号72の0〜353個の追加の連続するアミノ酸;
(x)配列番号68、および配列番号68のN末端における配列番号73の0〜344個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号68のC末端における配列番号73の0〜761個の追加の連続するアミノ酸;
(y)配列番号34、および配列番号34のN末端における配列番号47の0〜748個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号34のC末端における配列番号47の0〜62個の追加の連続するアミノ酸;
(z)配列番号57、および配列番号57のN末端における配列番号65の0〜161個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号57のC末端における配列番号65の0〜141個の追加の連続するアミノ酸;
(aa)配列番号80、および配列番号80のN末端における配列番号82の0〜348個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号80のC末端における配列番号82の0〜53個の追加の連続するアミノ酸;
(bb)配列番号81、および配列番号81のN末端における配列番号83の0〜358個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号81のC末端における配列番号83の0〜124個の追加の連続するアミノ酸;
(cc)配列番号84、および配列番号84のN末端における配列番号87の0〜350個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号84のC末端における配列番号87の0〜244個の追加の連続するアミノ酸;
(dd)配列番号85、および配列番号85のN末端における配列番号87の0〜539個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号85のC末端における配列番号87の0〜55個の追加の連続するアミノ酸;
(ee)配列番号86、および配列番号86のN末端における配列番号88の0〜336個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号86のC末端における配列番号88の0〜74個の追加の連続するアミノ酸;
(ff)配列番号122、および配列番号122のN末端における配列番号121の0〜59個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号122のC末端における配列番号121の0〜1030個の追加の連続するアミノ酸;
(gg)配列番号123、および配列番号123のN末端における配列番号121の0〜524個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号123のC末端における配列番号121の0〜561個の追加の連続するアミノ酸;
(hh)配列番号124、および配列番号124のN末端における配列番号121の0〜637個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号124のC末端における配列番号121の0〜451個の追加の連続するアミノ酸;
(ii)配列番号125、および配列番号125のN末端における配列番号121の0〜759個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号125のC末端における配列番号121の0〜328個の追加の連続するアミノ酸;
(jj)配列番号126、および配列番号126のN末端における配列番号121の0〜904個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号126のC末端における配列番号121の0〜188個の追加の連続するアミノ酸;
(kk)配列番号134、および配列番号134のN末端における配列番号132の0〜591個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号134のC末端における配列番号132の0〜683個の追加の連続するアミノ酸;
(ll)配列番号135、および配列番号135のN末端における配列番号132の0〜703個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号135のC末端における配列番号132の0〜572個の追加の連続するアミノ酸;
(mm)配列番号136、および配列番号136のN末端における配列番号132の0〜814個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号136のC末端における配列番号132の0〜461個の追加の連続するアミノ酸;
(nn)配列番号137、および配列番号137のN末端における配列番号132の0〜924個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号137のC末端における配列番号132の0〜351個の追加の連続するアミノ酸;
(oo)配列番号138、および配列番号138のN末端における配列番号132の0〜1035個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号138のC末端における配列番号132の0〜241個の追加の連続するアミノ酸;および
(pp)配列番号139、および配列番号139のN末端における配列番号132の0〜598個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号139のC末端における配列番号132の0〜225個の追加の連続するアミノ酸;
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、Cna_Bドメイン抗原であって、
ここで、該アミノ酸配列のN末端アミノ酸のアミノ基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のカルボキシル基にペプチド結合によって連結されず、および/または該アミノ酸配列のC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のアミノ基にペプチド結合によって連結されない、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項15】
Cna_Bドメイン抗原であって:
A(LB)n
からなり、
ここで:
Aは第一のCna_Bドメインであり;
Bは第二のCna_Bドメインであり;
nは1〜10であり;かつ
Lは独立して、存在しないかまたはアミノ酸リンカーである、
Cna_Bドメイン抗原。
【請求項16】
配列番号127〜131および133〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項15に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項17】
前記第一のCna_Bドメインおよび少なくとも1つの第二のCna_Bドメインが、2つの異なるグラム陽性細菌のタンパク質のドメインである、請求項15に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項18】
前記2つの異なるグラム陽性のタンパクが、連鎖球菌の2つの異なる種由来である、請求項17に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項19】
前記グラム陽性細菌のタンパク質のうちの少なくとも1つが、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、S.aureus、S.suis、およびS.equiからなる群より選択される細菌由来である、請求項17に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項20】
Cna_Bドメイン抗原であって:
A(LB)n
を含み、ここで:
Aは第一のCna_Bドメインであり;
Bは第二のCna_Bドメインであり;
nは1〜10であり;かつ
Lは独立して、存在しないかまたはアミノ酸リンカーであり;そして
ここで、該第一のCna_BドメインのN末端アミノ酸のアミノ基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のカルボキシル基にペプチド結合によって連結されず、および/または該第二のCna_BドメインのC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のアミノ基にペプチド結合によって連結されない、
Cna_Bドメイン抗原。
【請求項21】
配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および133〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列から本質的になる、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原;および
細菌抗原、
を含む、融合ポリペプチド。
【請求項23】
キャリアタンパク質に結合されている請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原または請求項22に記載の融合ポリペプチド。
【請求項24】
請求項1〜21のいずれかに記載の単離されたCna_Bドメイン抗原または請求項22に記載の融合ポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項25】
発現ベクターである、請求項24に記載の核酸分子。
【請求項26】
請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原または請求項22に記載の融合ポリペプチドをコードする発現ベクターを含んでいる、宿主細胞。
【請求項27】
Cna_Bドメイン抗原または融合ポリペプチドを作製する方法であって:
発現ベクターが該Cna_Bドメイン抗原または該融合ポリペプチドを発現する条件下で請求項26に記載の宿主細胞を培養する工程と;
該Cna_Bドメイン抗原または該融合ポリペプチドを収集する工程と;
を包含する、方法。
【請求項28】
1つ以上のCna_Bドメインに対して選択的に結合する単離された抗体であって、ここで各々のCna_Bドメインは、配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、74〜76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離された抗体。
【請求項29】
アミノ酸配列、配列番号1を含んでいるポリペプチドに結合する、請求項28に記載の単離された抗体。
【請求項30】
モノクローナル抗体である、請求項28または29に記載の単離された抗体。
【請求項31】
GBS株515のオプソニン食作用を少なくとも30%誘導する、請求項28〜30のいずれかに記載の単離された抗体。
【請求項32】
請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原;
請求項22に記載の融合ポリペプチド;
請求項24に記載の核酸分子;および
請求項28に記載の単離された抗体
からなる群より選択される、活性因子;ならびに
薬学的に許容され得るキャリア
を含む、組成物。
【請求項33】
(a)請求項32に記載の組成物を含んでいる容器と;
(b)Cna_Bドメインを含んでいるグラム陽性細菌のタンパク質に対する免疫応答を惹起するために該組成物を用いるための説明書と;
を備える、キット。
【請求項34】
グラム陽性細菌による感染を処置することにおける使用のための請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原または請求項22に記載の融合ポリペプチド。
【請求項35】
前記グラム陽性細菌が、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、S.aureus、S.suis、およびS.equiからなる群より選択される、請求項34に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項36】
グラム陽性細菌による感染を低減する方法であって、該方法を必要とする個体に対して、有効量の請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原または請求項22に記載の融合ポリペプチドを投与する工程を包含する、方法。
【請求項37】
前記グラム陽性細菌が、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、S.aureus、S.suis、およびS.equiからなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
単離された抗原である、請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項1】
配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列を含んでいるCna_Bドメイン抗原であって、ここで該アミノ酸配列のN末端アミノ酸のアミノ基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のカルボキシル基にペプチド結合によって連結されず、および/または該アミノ酸配列のC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のアミノ基にペプチド結合によって連結されない、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項2】
配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜144からなる群より選択される2つのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項3】
アミノ酸配列、配列番号1を含んでいる、請求項1に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項4】
アミノ酸配列、配列番号1からなる、請求項1に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項5】
第一のグラム陽性細菌のタンパク質の第一のCna_Bドメインおよび第二のグラム陽性細菌のタンパク質の第二のCna_Bドメインを含んでおり、ここで該第一および第二のグラム陽性のタンパク質は異なるタンパク質である、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項6】
前記第一のグラム陽性細菌のタンパク質が、連鎖球菌のタンパク質である、請求項5に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項7】
前記第一のグラム陽性細菌のタンパク質が、ブドウ球菌のタンパク質である、請求項5に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項8】
前記第一のCna_Bドメインが、アミノ酸配列、配列番号74を含む、請求項5に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項9】
前記第一のCna_Bドメインが、配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列である、請求項5に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項10】
2つの同一のCna_Bドメインを含む、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項11】
アミノ酸配列、配列番号74を含むCna_Bドメイン抗原であって、ここで該アミノ酸配列のN末端アミノ酸のアミノ基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のカルボキシル基にペプチド結合によって連結されず、および/または該アミノ酸配列のC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のアミノ基にペプチド結合によって連結されない、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項12】
(a)配列番号1、および配列番号1のN末端における配列番号18の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号1のC末端における配列番号18の0〜282個の追加の連続するアミノ酸;
(b)配列番号2、および配列番号2のN末端における配列番号18の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号2のC末端における配列番号18の0〜390個の追加の連続するアミノ酸;
(c)配列番号3、および配列番号3のN末端における配列番号19の0〜294個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号3のC末端における配列番号19の0〜390個の追加の連続するアミノ酸;
(d)配列番号4、および配列番号4のN末端における配列番号20の0〜297個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号4のC末端における配列番号20の0〜396個の追加の連続するアミノ酸;
(e)配列番号5、および配列番号5のN末端における配列番号21の0〜310個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号5のC末端における配列番号21の0〜380個の追加の連続するアミノ酸;
(f)配列番号6、および配列番号6のN末端における配列番号22の0〜288個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号6のC末端における配列番号22の0〜393個の追加の連続するアミノ酸;
(g)配列番号7、および配列番号7のN末端における配列番号23の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号7のC末端における配列番号23の0〜392個の追加の連続するアミノ酸;
(h)配列番号8、および配列番号8のN末端における配列番号24の0〜906個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号8のC末端における配列番号24の0〜58個の追加の連続するアミノ酸;
(i)配列番号9、および配列番号9のN末端における配列番号25の0〜654個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号9のC末端における配列番号25の0〜646個の追加の連続するアミノ酸;
(j)配列番号10、および配列番号10のN末端における配列番号26の0〜51個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号10のC末端における配列番号26の0〜768個の追加の連続するアミノ酸;
(k)配列番号27、および配列番号27のN末端における配列番号45の0〜169個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号27のC末端における配列番号45の0〜52個の追加の連続するアミノ酸;
(l)配列番号28、および配列番号28のN末端における配列番号46の0〜160個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号28のC末端における配列番号46の0〜75個の追加の連続するアミノ酸;
(m)配列番号29、および配列番号29のN末端における配列番号47の0〜51個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号29のC末端における配列番号47の0〜778個の追加の連続するアミノ酸;
(n)配列番号30、および配列番号30のN末端における配列番号48の0〜52個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号30のC末端における配列番号48の0〜786個の追加の連続するアミノ酸;
(o)配列番号31、および配列番号31のN末端における配列番号49の0〜365個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号31のC末端における配列番号49の0〜50個の追加の連続するアミノ酸;
(p)配列番号32、および配列番号32のN末端における配列番号50の0〜1290個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号32のC末端における配列番号50の0〜62個の追加の連続するアミノ酸;
(q)配列番号33、および配列番号33のN末端における配列番号51の0〜394個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号33のC末端における配列番号51の0〜65個の追加の連続するアミノ酸;
(r)配列番号35、および配列番号35のN末端における配列番号52の0〜98個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号35のC末端における配列番号52の0〜36個の追加の連続するアミノ酸;
(s)配列番号53、および配列番号53のN末端における配列番号63の0〜459個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号53のC末端における配列番号63の0〜68個の追加の連続するアミノ酸;
(t)配列番号54、および配列番号54のN末端における配列番号64の0〜60個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号54のC末端における配列番号64の0〜762個の追加の連続するアミノ酸;
(u)配列番号55、および配列番号55のN末端における配列番号65の0〜271個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号55のC末端における配列番号65の0〜41個の追加の連続するアミノ酸;
(v)配列番号66、および配列番号66のN末端における配列番号72の0〜703個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号66のC末端における配列番号72の0〜473個の追加の連続するアミノ酸;
(w)配列番号67、および配列番号67のN末端における配列番号72の0〜924個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号67のC末端における配列番号72の0〜353個の追加の連続するアミノ酸;
(x)配列番号68、および配列番号68のN末端における配列番号73の0〜344個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号68のC末端における配列番号73の0〜761個の追加の連続するアミノ酸;
(y)配列番号34、および配列番号34のN末端における配列番号47の0〜748個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号34のC末端における配列番号47の0〜62個の追加の連続するアミノ酸;
(z)配列番号57、および配列番号57のN末端における配列番号65の0〜161個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号57のC末端における配列番号65の0〜141個の追加の連続するアミノ酸;
(aa)配列番号80、および配列番号80のN末端における配列番号82の0〜348個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号80のC末端における配列番号82の0〜53個の追加の連続するアミノ酸;
(bb)配列番号81、および配列番号81のN末端における配列番号83の0〜358個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号81のC末端における配列番号83の0〜124個の追加の連続するアミノ酸;
(cc)配列番号84、および配列番号84のN末端における配列番号87の0〜350個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号84のC末端における配列番号87の0〜244個の追加の連続するアミノ酸;
(dd)配列番号85、および配列番号85のN末端における配列番号87の0〜539個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号85のC末端における配列番号87の0〜55個の追加の連続するアミノ酸;
(ee)配列番号86、および配列番号86のN末端における配列番号88の0〜336個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号86のC末端における配列番号88の0〜74個の追加の連続するアミノ酸;
(ff)配列番号122、および配列番号122のN末端における配列番号121の0〜59個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号122のC末端における配列番号121の0〜1030個の追加の連続するアミノ酸;
(gg)配列番号123、および配列番号123のN末端における配列番号121の0〜524個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号123のC末端における配列番号121の0〜561個の追加の連続するアミノ酸;
(hh)配列番号124、および配列番号124のN末端における配列番号121の0〜637個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号124のC末端における配列番号121の0〜451個の追加の連続するアミノ酸;
(ii)配列番号125、および配列番号125のN末端における配列番号121の0〜759個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号125のC末端における配列番号121の0〜328個の追加の連続するアミノ酸;
(jj)配列番号126、および配列番号126のN末端における配列番号121の0〜904個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号126のC末端における配列番号121の0〜188個の追加の連続するアミノ酸;
(kk)配列番号134、および配列番号134のN末端における配列番号132の0〜591個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号134のC末端における配列番号132の0〜683個の追加の連続するアミノ酸;
(ll)配列番号135、および配列番号135のN末端における配列番号132の0〜703個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号135のC末端における配列番号132の0〜572個の追加の連続するアミノ酸;
(mm)配列番号136、および配列番号136のN末端における配列番号132の0〜814個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号136のC末端における配列番号132の0〜461個の追加の連続するアミノ酸;
(nn)配列番号137、および配列番号137のN末端における配列番号132の0〜924個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号137のC末端における配列番号132の0〜351個の追加の連続するアミノ酸;
(oo)配列番号138、および配列番号138のN末端における配列番号132の0〜1035個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号138のC末端における配列番号132の0〜241個の追加の連続するアミノ酸;および
(pp)配列番号139、および配列番号134のN末端における配列番号132の0〜598個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号134のC末端における配列番号132の0〜225個の追加の連続するアミノ酸;
からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項13】
配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、および139〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、請求項12に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項14】
(a)配列番号1、および配列番号1のN末端における配列番号18の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号1のC末端における配列番号18の0〜282個の追加の連続するアミノ酸;
(b)配列番号2、および配列番号2のN末端における配列番号18の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号2のC末端における配列番号18の0〜390個の追加の連続するアミノ酸;
(c)配列番号3、および配列番号3のN末端における配列番号19の0〜294個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号3のC末端における配列番号19の0〜390個の追加の連続するアミノ酸;
(d)配列番号4、および配列番号4のN末端における配列番号20の0〜297個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号4のC末端における配列番号20の0〜396個の追加の連続するアミノ酸;
(e)配列番号5、および配列番号5のN末端における配列番号21の0〜310個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号5のC末端における配列番号21の0〜380個の追加の連続するアミノ酸;
(f)配列番号6、および配列番号6のN末端における配列番号22の0〜288個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号6のC末端における配列番号22の0〜393個の追加の連続するアミノ酸;
(g)配列番号7、および配列番号7のN末端における配列番号23の0〜70個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号7のC末端における配列番号23の0〜392個の追加の連続するアミノ酸;
(h)配列番号8、および配列番号8のN末端における配列番号24の0〜906個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号8のC末端における配列番号24の0〜58個の追加の連続するアミノ酸;
(i)配列番号9、および配列番号9のN末端における配列番号25の0〜654個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号9のC末端における配列番号25の0〜646個の追加の連続するアミノ酸;
(j)配列番号10、および配列番号10のN末端における配列番号26の0〜51個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号10のC末端における配列番号26の0〜768個の追加の連続するアミノ酸;
(k)配列番号27、および配列番号27のN末端における配列番号45の0〜169個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号27のC末端における配列番号45の0〜52個の追加の連続するアミノ酸;
(l)配列番号28、および配列番号28のN末端における配列番号46の0〜160個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号28のC末端における配列番号46の0〜75個の追加の連続するアミノ酸;
(m)配列番号29、および配列番号29のN末端における配列番号47の0〜51個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号29のC末端における配列番号47の0〜778個の追加の連続するアミノ酸;
(n)配列番号30、および配列番号30のN末端における配列番号48の0〜52個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号30のC末端における配列番号48の0〜786個の追加の連続するアミノ酸;
(o)配列番号31、および配列番号31のN末端における配列番号49の0〜365個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号31のC末端における配列番号49の0〜50個の追加の連続するアミノ酸;
(p)配列番号32、および配列番号32のN末端における配列番号50の0〜1290個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号32のC末端における配列番号50の0〜62個の追加の連続するアミノ酸;
(q)配列番号33、および配列番号33のN末端における配列番号51の0〜394個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号33のC末端における配列番号51の0〜65個の追加の連続するアミノ酸;
(r)配列番号35、および配列番号35のN末端における配列番号52の0〜98個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号35のC末端における配列番号52の0〜36個の追加の連続するアミノ酸;
(s)配列番号53、および配列番号53のN末端における配列番号63の0〜459個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号53のC末端における配列番号63の0〜68個の追加の連続するアミノ酸;
(t)配列番号54、および配列番号54のN末端における配列番号64の0〜60個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号54のC末端における配列番号64の0〜762個の追加の連続するアミノ酸;
(u)配列番号55、および配列番号55のN末端における配列番号65の0〜271個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号55のC末端における配列番号65の0〜41個の追加の連続するアミノ酸;
(v)配列番号66、および配列番号66のN末端における配列番号72の0〜703個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号66のC末端における配列番号72の0〜473個の追加の連続するアミノ酸;
(w)配列番号67、および配列番号67のN末端における配列番号72の0〜924個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号67のC末端における配列番号72の0〜353個の追加の連続するアミノ酸;
(x)配列番号68、および配列番号68のN末端における配列番号73の0〜344個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号68のC末端における配列番号73の0〜761個の追加の連続するアミノ酸;
(y)配列番号34、および配列番号34のN末端における配列番号47の0〜748個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号34のC末端における配列番号47の0〜62個の追加の連続するアミノ酸;
(z)配列番号57、および配列番号57のN末端における配列番号65の0〜161個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号57のC末端における配列番号65の0〜141個の追加の連続するアミノ酸;
(aa)配列番号80、および配列番号80のN末端における配列番号82の0〜348個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号80のC末端における配列番号82の0〜53個の追加の連続するアミノ酸;
(bb)配列番号81、および配列番号81のN末端における配列番号83の0〜358個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号81のC末端における配列番号83の0〜124個の追加の連続するアミノ酸;
(cc)配列番号84、および配列番号84のN末端における配列番号87の0〜350個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号84のC末端における配列番号87の0〜244個の追加の連続するアミノ酸;
(dd)配列番号85、および配列番号85のN末端における配列番号87の0〜539個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号85のC末端における配列番号87の0〜55個の追加の連続するアミノ酸;
(ee)配列番号86、および配列番号86のN末端における配列番号88の0〜336個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号86のC末端における配列番号88の0〜74個の追加の連続するアミノ酸;
(ff)配列番号122、および配列番号122のN末端における配列番号121の0〜59個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号122のC末端における配列番号121の0〜1030個の追加の連続するアミノ酸;
(gg)配列番号123、および配列番号123のN末端における配列番号121の0〜524個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号123のC末端における配列番号121の0〜561個の追加の連続するアミノ酸;
(hh)配列番号124、および配列番号124のN末端における配列番号121の0〜637個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号124のC末端における配列番号121の0〜451個の追加の連続するアミノ酸;
(ii)配列番号125、および配列番号125のN末端における配列番号121の0〜759個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号125のC末端における配列番号121の0〜328個の追加の連続するアミノ酸;
(jj)配列番号126、および配列番号126のN末端における配列番号121の0〜904個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号126のC末端における配列番号121の0〜188個の追加の連続するアミノ酸;
(kk)配列番号134、および配列番号134のN末端における配列番号132の0〜591個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号134のC末端における配列番号132の0〜683個の追加の連続するアミノ酸;
(ll)配列番号135、および配列番号135のN末端における配列番号132の0〜703個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号135のC末端における配列番号132の0〜572個の追加の連続するアミノ酸;
(mm)配列番号136、および配列番号136のN末端における配列番号132の0〜814個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号136のC末端における配列番号132の0〜461個の追加の連続するアミノ酸;
(nn)配列番号137、および配列番号137のN末端における配列番号132の0〜924個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号137のC末端における配列番号132の0〜351個の追加の連続するアミノ酸;
(oo)配列番号138、および配列番号138のN末端における配列番号132の0〜1035個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号138のC末端における配列番号132の0〜241個の追加の連続するアミノ酸;および
(pp)配列番号139、および配列番号139のN末端における配列番号132の0〜598個の追加の連続するアミノ酸、および/または配列番号139のC末端における配列番号132の0〜225個の追加の連続するアミノ酸;
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、Cna_Bドメイン抗原であって、
ここで、該アミノ酸配列のN末端アミノ酸のアミノ基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のカルボキシル基にペプチド結合によって連結されず、および/または該アミノ酸配列のC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のアミノ基にペプチド結合によって連結されない、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項15】
Cna_Bドメイン抗原であって:
A(LB)n
からなり、
ここで:
Aは第一のCna_Bドメインであり;
Bは第二のCna_Bドメインであり;
nは1〜10であり;かつ
Lは独立して、存在しないかまたはアミノ酸リンカーである、
Cna_Bドメイン抗原。
【請求項16】
配列番号127〜131および133〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項15に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項17】
前記第一のCna_Bドメインおよび少なくとも1つの第二のCna_Bドメインが、2つの異なるグラム陽性細菌のタンパク質のドメインである、請求項15に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項18】
前記2つの異なるグラム陽性のタンパクが、連鎖球菌の2つの異なる種由来である、請求項17に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項19】
前記グラム陽性細菌のタンパク質のうちの少なくとも1つが、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、S.aureus、S.suis、およびS.equiからなる群より選択される細菌由来である、請求項17に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項20】
Cna_Bドメイン抗原であって:
A(LB)n
を含み、ここで:
Aは第一のCna_Bドメインであり;
Bは第二のCna_Bドメインであり;
nは1〜10であり;かつ
Lは独立して、存在しないかまたはアミノ酸リンカーであり;そして
ここで、該第一のCna_BドメインのN末端アミノ酸のアミノ基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のカルボキシル基にペプチド結合によって連結されず、および/または該第二のCna_BドメインのC末端アミノ酸のカルボキシル基は、天然のグラム陽性細菌のタンパク質において連結されているアミノ酸のアミノ基にペプチド結合によって連結されない、
Cna_Bドメイン抗原。
【請求項21】
配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、75、76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および133〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列から本質的になる、Cna_Bドメイン抗原。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原;および
細菌抗原、
を含む、融合ポリペプチド。
【請求項23】
キャリアタンパク質に結合されている請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原または請求項22に記載の融合ポリペプチド。
【請求項24】
請求項1〜21のいずれかに記載の単離されたCna_Bドメイン抗原または請求項22に記載の融合ポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項25】
発現ベクターである、請求項24に記載の核酸分子。
【請求項26】
請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原または請求項22に記載の融合ポリペプチドをコードする発現ベクターを含んでいる、宿主細胞。
【請求項27】
Cna_Bドメイン抗原または融合ポリペプチドを作製する方法であって:
発現ベクターが該Cna_Bドメイン抗原または該融合ポリペプチドを発現する条件下で請求項26に記載の宿主細胞を培養する工程と;
該Cna_Bドメイン抗原または該融合ポリペプチドを収集する工程と;
を包含する、方法。
【請求項28】
1つ以上のCna_Bドメインに対して選択的に結合する単離された抗体であって、ここで各々のCna_Bドメインは、配列番号1〜10、27〜35、53〜57、66〜68、74〜76、80、81、84〜86、110〜117、122〜126、および134〜144からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離された抗体。
【請求項29】
アミノ酸配列、配列番号1を含んでいるポリペプチドに結合する、請求項28に記載の単離された抗体。
【請求項30】
モノクローナル抗体である、請求項28または29に記載の単離された抗体。
【請求項31】
GBS株515のオプソニン食作用を少なくとも30%誘導する、請求項28〜30のいずれかに記載の単離された抗体。
【請求項32】
請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原;
請求項22に記載の融合ポリペプチド;
請求項24に記載の核酸分子;および
請求項28に記載の単離された抗体
からなる群より選択される、活性因子;ならびに
薬学的に許容され得るキャリア
を含む、組成物。
【請求項33】
(a)請求項32に記載の組成物を含んでいる容器と;
(b)Cna_Bドメインを含んでいるグラム陽性細菌のタンパク質に対する免疫応答を惹起するために該組成物を用いるための説明書と;
を備える、キット。
【請求項34】
グラム陽性細菌による感染を処置することにおける使用のための請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原または請求項22に記載の融合ポリペプチド。
【請求項35】
前記グラム陽性細菌が、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、S.aureus、S.suis、およびS.equiからなる群より選択される、請求項34に記載のCna_Bドメイン抗原。
【請求項36】
グラム陽性細菌による感染を低減する方法であって、該方法を必要とする個体に対して、有効量の請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原または請求項22に記載の融合ポリペプチドを投与する工程を包含する、方法。
【請求項37】
前記グラム陽性細菌が、S.agalactiae、S.pyogenes、S.pneumoniae、S.aureus、S.suis、およびS.equiからなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
単離された抗原である、請求項1〜21のいずれかに記載のCna_Bドメイン抗原。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2012−515157(P2012−515157A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544962(P2011−544962)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050110
【国際公開番号】WO2010/079464
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050110
【国際公開番号】WO2010/079464
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
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