説明

グラム陽性菌特異的結合化合物

本発明はグラム陽性細菌に特異的に結合する改良された結合化合物を与える。完全にヒト型である結合化合物が与えられ、ヒト個体における治療適用を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、生物学、免疫学、医学の分野に関連する。
【0002】
グラム陽性微生物は、全身感染症の大部分を引き起こす。これらのグラム陽性病原体の一つの重要なメンバーの一つは、黄色ブドウ球菌(S.aureus)である。人口の約20%が黄色ブドウ球菌の長期的なキャリアである。黄色ブドウ球菌は、ニキビ、膿痂疹(impetigo)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)によっても引き起こされる可能性がある)、おでき、蜂巣炎毛嚢炎(cellulitis folliculitis)、せつ、よう、熱傷様皮膚症候群及び膿瘍等の軽度の皮膚感染から、肺炎、髄膜炎、骨髄炎、心内膜炎、トキシックショック症候群(TSS)、及び敗血症等の生命を脅かす疾患に至る範囲の疾患を引き起こす可能性がある。黄色ブドウ球菌は、全種の臓器や組織に感染が可能である。黄色ブドウ球菌感染症は、免疫応答性並びに免疫不全のヒトに発生する。米国の集中治療室における感染の約50%はこの病原体によって引き起こされる。年間30万件の黄色ブドウ球菌感染症により12000人が死亡すると米国で報告されている(Moran等、NEMJ 355,666-674(2006)を参照)。
【0003】
主要な問題は、黄色ブドウ球菌の抗生物質耐性の増加である。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は1960年代に出現した。当初は医療現場で同定された。しかしながら、MRSAは入院してない市中の人々に存在しているように見える。MRSAの治療は、抗生物質に対するMRSAの限られた感受性のため困難でかつ高価である。しかしながら、抗生物質の非常に少ない選択肢が利用できる。バンコマイシンは、しばしばペニシリン耐性MRSAを治療するために使用される。米国特許第6939543号は、黄色ブドウ球菌に結合できるリポタイコ酸(LTA)に対するマウス抗体を記載している。このマウス抗体に基づいて、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインを含む組換えキメラマウス/ヒト抗体が産生された。しかしこのようなキメラマウス/ヒト抗体は、ヒトに投与した場合に重篤な副作用の危険性を伴うマウスの配列が存在するという欠点を持っている。
【0004】
グラム陽性菌関連疾患に対抗するか、及び/又は予防するための手段および方法を提供することが本発明の目的である。様々なグラム陽性細菌、好ましくは、ブドウ球菌属、より好ましくはMRSAに対する代替の、及び/又は改善された結合化合物を提供することが、本発明の更なる目的である。様々なグラム陽性細菌、好ましくは、ブドウ球菌属、より好ましくはMRSAに対するヒト型の結合化合物を提供することが、本発明の更なる目的である。
【0005】
本発明は、自然な環境においてブドウ球菌属に特異的に結合する抗体、その機能性部分、又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。従って、それらはブドウ球菌属の存在に関連した疾患への対抗、及び/又は予防、及び/又は診断に有用である。好ましくは、黄色ブドウ球菌に対抗する。特に好ましい実施態様ではMRSAに対抗する。対抗する別の好ましいブドウ球菌属は表皮ブドウ球菌である。
【0006】
表皮ブドウ球菌は、通常は非病原性であるが、免疫不全の患者はしばしば感染症を発症する危険性がある。感染症は、病院や市中の両方で感染し得るが入院患者に対してはより脅威である。表皮ブドウ球菌による感染症に最も感受性が高いのは、静注薬物使用者、新生児、高齢者、及びカテーテル又は他の人工器具を使っている人である。感染症は血管内機器(人工心臓弁、シャントなど)に関わりがあるが、人工関節、カテーテル及び大きな傷においても一般的に起きる。症状は発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振、呼吸困難を含む。
【0007】
好ましい実施態様において、本発明は、ブドウ球菌属に特異的に結合することが可能である、単離された又は組換え型のヒト抗体、その機能部分、又は免疫グロブリン鎖又はそれらの機能的等価物を提供する。本発明によるヒト抗体及び機能部分は、その自然な環境中でブドウ球菌属へ結合できるため、様々なブドウ球菌属は、前記抗体、その機能部位、又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物の投与により対抗される。従って、前記ヒト抗体、その機能部分、又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、そのようなブドウ球菌属による感染症の治療又は予防に特に適している。本発明による前記ヒト抗体、その機能部分、又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、非ヒト配列が存在しないため、キメラ抗体に比べてヒト個人のための治療上及び/又は予防的使用により適している。これにより副作用のリスクを著しく軽減する。
【0008】
本発明による一つの特に好ましい抗体は、図1に示した重鎖及び軽鎖の可変ドメイン配列を持つ「F1」と指定された抗体である。ここで使用される用語「F1」は、全てのF1抗体、例えば単離された又は組換え体として産生されたF1を包含する。組換え体として産生したF1はここでは「rF1」とも呼ばれる。F1の抗原結合特性に特に寄与するF1のCDR配列もまた図1に示す。抗体F1は完全にヒト型であり、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌等のブドウ球菌球菌種に特異的に結合し、従ってヒト個人の治療のための治療的使用に適している。
【0009】
重要なのは、抗体F1がインビボ及びインビトロにおいて全ての細菌へ結合可能であることである。更に提供されるのは、従って、黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌へ特異的に結合する、単離された又は組換え型のヒト抗体又はその機能的部分である。更に、抗体F1は、例えば動物の感染組織において増殖する細菌に結合可能である。従って提供されるのは、インビボで増殖した黄色ブドウ球菌に結合する単離された抗体であり、ここで「インビボで増殖」とは黄色ブドウ球菌に感染している動物の感染組織における増殖と定義される。同様に提供されるのは、黄色ブドウ球菌、及び/又は表皮ブドウ球菌に対して特異的であるヒト免疫グロブリンの可変領域の少なくとも一つのCDR配列を含む、単離された又は合成による免疫グロブリン鎖、又はその機能的等価物である。
【0010】
抗体の機能部分とは、必ずしも量でなく種類において前記抗体と少なくとも1つの共通する性質を持つ部分として定義される。前記機能部分は、必ずしも同程度ではないが、前記抗体と同じ抗原に結合できる。抗体の機能部分は、好ましくは単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、ナノボディ(nanobody)、ユニボディ(unibody)、単鎖可変断片(scFv)、Fab断片又はF(ab’)断片を含む。
【0011】
抗体の機能部分はまた、得られた化合物の少なくとも一つの特性−好ましくは抗原結合特性が、必ずしも量においてでなく種類において本質的に同じであるように、抗体を変えることによっても産生される。これは多くの方法で、例えば、アミノ酸残基が、全体的な機能が恐らくは深刻に影響されないように、一般的に類似特性(サイズ、疎水性等)を持つ他の残基によって置換される、保存的アミノ酸置換を介して行われる。
【0012】
当業者に知られているように、抗体の重鎖は免疫グロブリン分子を構成する鎖の2つのタイプの大きい方である。重鎖は定常ドメイン及び可変ドメインを含み、該可変ドメインが抗原結合に関与している。抗体の軽鎖は免疫グロブリン分子を構成する鎖の2つのタイプの小さい方である。軽鎖は定常ドメイン及び可変ドメインを含む。可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと一緒に抗原結合に関与する。
【0013】
補完性決定領域(CDR)は重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメイン中に存在する超可変領域である。抗体の重鎖CDR及び連結した軽鎖は一緒に抗原結合部位を形成する。
【0014】
免疫グロブリン鎖の機能的等価物は、ここでは免疫グロブリン鎖の少なくとも一つのCDR配列を含む、人工的な結合化合物として定義される。
【0015】
さて、本発明は、図1に示されたCDR配列が所望の結合特性を提供するという見識を与えるため、当業者が少なくとも一つの改変されたCDR配列を含む変異体を生成することが十分可能である。例えば、保存的アミノ酸置換が適用される。F1に比べて少なくとも一つの改変された特性を持つ、変異体抗体又はその機能部分を生成するために、図1に示した少なくとも一つのCDR配列を変更することも可能である。好ましくは、図1に示したCDR配列と少なくとも70%同一であるCDR配列を含む、抗体又は機能部分が提供され、F1の有利な結合特性が少なくとも部分的に維持されるか若しくは改善される。図1に示すようにCDR配列は、得られた抗体又はその機能部分が少なくとも一つの改善された特性、例えばF1に比べて向上した結合親和性、選択性及び/又は安定性等を含むように、好ましくは変更される。従って、変異体抗体、又は、図1に示すCDR配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む機能部分もまた本発明の範疇にある。アミノ酸配列を変更するための様々な方法が当該技術分野で利用可能である。例えば、所望のCDR配列を有する重鎖又は軽鎖配列は人工的に合成される。好ましくはCDR配列をコードする核酸配列は、ランダム−又は部位特異的−変異誘発を用いて、変異させられる。
【0016】
一実施態様では、本発明は従って、抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供し:
−配列RFAMS(配列番号1)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む重鎖CDR1配列、及び/又は
−配列SINNGNNPYYARSVQY(配列番号2)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む重鎖CDR2配列、及び/又は
−配列DHPSSGWPTFDS(配列番号3)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む重鎖CDR3配列
を含む。
【0017】
更に提供されるのは、抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物であり:
−配列RASENVGDWLA(配列番号4))に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は
−配列KTSILES(配列番号5)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は
−XがI又はMである、配列QHYXRFPYT(配列番号6)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3配列
を含む。
【0018】
上記のCDR配列は抗体F1のCDR配列である:VH IgHV3−23及びVL IgKVl−5、及びそれらの変異体。F1のCDRに少なくとも70%の配列同一性を持つCDR配列を含む結合化合物は、黄色ブドウ球菌、及び/又は表皮ブドウ球菌による感染(の影響)に対抗、及び/又は予防に特に適している。VH IgHV3−23及びVL IgKVl−5を含むF1の変異体は、軽鎖の軽鎖CD3中のイソロイシンがメチオニンに変えられているが、なお黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌等のブドウ球菌属に結合可能であることが見いだされた。
【0019】
好ましくは、本発明による結合化合物は、図1に示すCDR配列の少なくとも一つに対して、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%同一であるCDR配列を含む。最も好ましくは、本発明による結合化合物は、図1に示すCDR配列の少なくとも一つに対して、少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%同一であるCDR配列を含む。上記の特に好ましい抗体F1は、図1に示すCDR配列からなるCDR配列を含む。本発明による特に好ましい実施態様は従って、黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌に結合可能である、単離された、合成された又は組換え型の抗体又はその機能的等価物を提供し、
−配列RFAMS(配列番号1)を含む重鎖CDR1、及び/又は
−配列SINNGNNPYYARSVQY(配列番号2)を含む重鎖CDR2、及び/又は
−配列DHPSSGWPTFDS(配列番号3)を含む重鎖CDR3、及び/又は
−配列RASENVGDWLA(配列番号4)を含む軽鎖CDR1、及び/又は
−配列KTSILES(配列番号5)を含む軽鎖CDR2、及び/又は
−XがI又はMである配列QHYXRFPYT(配列番号6)を含む軽鎖CDR3
を含む。
【0020】
一実施態様では、図1に示す重鎖CDR1及びCDR2配列及び軽鎖CDR1及びCDR2配列、又はそれらと少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも81%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも83%、より好ましくは少なくとも84%、より好ましくは少なくとも85%同一である配列を含む結合化合物が提供される。更に提供されるのは、配列RFAMS(配列番号1)に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び配列SINNGNNPYYARSVQY(配列番号2)に少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び配列RASENVGDWLA(配列番号4)に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1、及びKTSILES(配列番号5)に少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2を含む、単離された、合成された、又は組換え型の抗体又はその機能部分、又は免疫グロブリン鎖又はその機能等価物である。前記結合化合物は好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも95%上記の重鎖CDR配列及び軽鎖CDR配列と同一であるCDR配列を含む。好ましくは前記結合化合物はまた配列DHPSSGWPTFDS(配列番号3)と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び/又はXがI又はMである配列QHYXRFPYT(配列番号6)と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列をも含む。上記重鎖CDR1,CDR2,及びCDR3配列並びに上記軽鎖CDR1,CDR2,及びCDR3配列を含む結合化合物もまた提供される。
【0021】
さて、ブドウ球菌属に特異的に結合する能力を持つヒト抗体が本発明により提供され、ブドウ球菌属に特異的であり、ヒト免疫グロブリン可変ドメインの少なくとも一つのCDR配列を含む、免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を生成することが可能である。更に提供されるのは従って、ブドウ球菌属に特異的であり、ヒト免疫グロブリンの可変領域の少なくとも一つのCDR配列を含む、単離、組換え型又は合成による免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物である。好ましい実施態様ではヒト型抗体が提供される。必要に応じて、前記少なくとも一つのヒトCDR配列、又はフレームワーク領域の少なくとも一つにおける少なくとも1つの配列が、好ましくは結合効力や安定性を向上させるために最適化される。これは例えば、突然変異誘発実験によって行われ、その後得られた化合物の安定性及び/又は結合効力が好ましくは試験され、改良された結合化合物が選択される。
【0022】
結合効力や安定性を向上させるためにCDR配列を最適化するだけでなく、フレームワーク領域の少なくとも一つにおいて少なくとも1つの配列を最適化することがしばしば有利である。これは好ましくは、結合効力や安定性を向上させるために行われる。フレームワーク配列は、例えば、フレームワーク配列をコードする核酸分子を変異させることによって最適化され、その後得られた抗体−又は機能部分−の特性が好ましくは試験される。この方法で、改良された抗体又は機能部分を得ることが可能である。好ましい実施態様では、ヒト生殖系列配列が、本発明による抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物のフレームワーク領域として使用される。生殖系列配列の使用が、前記抗体、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又は部分の免疫原性のリスクを好ましくは最小にするが、その理由はこれらの配列は、フレームワーク領域が由来する個体に特有であり、他のヒト個人に適用されると免疫応答を引き起こす可能性がある、体細胞変異を含む可能性が低いためである。
【0023】
図1に示す重鎖配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列を含む、抗体又はその機能部分、又は免疫グロブリン鎖又はそれらの機能的等価物もまた提供される。このような重鎖配列は、抗体F1により明らかにされた所望の結合特性を提供する。また、図1に示すように軽鎖配列に対し少なくとも70%配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列、及びCDR3のイソロイシンがメチオニンへ変えられた軽鎖配列は、抗体F1、及び前記改変を含む抗体F1の変異体により明らかにされた所望の結合特性も提供する。更に提供されるのは従って、本発明による抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖又は機能等価物が、配列
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号7)に少なくとも70%の配列同一性を持つ配列を含む重鎖配列を持ち、及び/又は
XがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKLEIKRTV(配列番号8)に少なくとも70%の配列同一性を持つ軽鎖配列を有する。
【0024】
本明細書上記に示した軽鎖CDR3のイソロイシンがメチオニンに変えられた変異体のほか、F1抗体の複数の変異体が開発されてきた。これらの変異体はブドウ球菌属に結合することができる。このような抗体変異体の例としては、本発明による抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物を含み、配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号9)、及び/又は、配列
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号7)を含む重鎖配列、及びXがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKLEIKRA(配列番号10)、及び/又はXがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKVEIKRTV(配列番号11)、及び/又はXがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKLEIKRTV(配列番号8)を含む軽鎖配列を含む。
【0025】
本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、セリン−アスパラギン酸(SD)リピートを含むタンパク質に特に結合する。SDリピート(Sdr)タンパク質は、ブドウ球菌属等、いくつかの細菌に存在する細胞表面結合タンパク質である。Sdrタンパク質は一般にアミノ末端シグナル配列、A領域と称する機能ドメイン、SDリピート領域、細胞壁貫通領域、LPXTGモチーフ、疎水性膜貫通ドメイン、及び正に荷電した一連の残基を含む。LPXTGモチーフはスレオニンとグリシン残基の間のモチーフを開裂するトランスペプチダーゼのターゲットであり、グラム陽性細菌の細胞壁のペプチドグリカンにタンパク質をアンカーする。Sdrタンパク質は、ホスト分子と相互作用すると考えられている。既知のSdrタンパク質は黄色ブドウ球菌のClFA(SdrA)、ClfB(SdrB)、SdrC、SdrD及びSdrE、表皮ブドウ球菌のSdrF、SdrG、及びSdrH、腐性ブドウ球菌(S.saprophyticus)のSdrI、スタフィロコッカス・キャピティス(S.capitis)のSdrX及びスタフィロコッカス・カプラエ(S.caprae)のSdrY及びSdrZを含む。
【0026】
従って、本発明による好ましい抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物は、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、腐性ブドウ球菌、スタフィロコッカス・キャピティス及びスタフィロコッカス・カプラエに特異的に結合する。前記抗体、イムノグロブリン鎖又は機能的等価物又はその一部分はClFA(SdrA)、ClfB(SdrB)、SdrC、SdrD及びSdrE、表皮ブドウ球菌のSdrF、SdrG、及びSdrH、腐性ブドウ球菌のSdrI、スタフィロコッカス・キャピティスのSdrX及びスタフィロコッカス・カプラエのSdrY及びSdrZに結合するのが望ましい。本発明による、抗体のエピトープ、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又はその一部分は、Sdrタンパク質のSDリピート依存性エピトープ、例えば黄色ブドウ球菌のClfA、ClfB、SdrC、SdrD及びSdrEに存在するSDリピート依存性エピトープを含む。SDリピート依存性エピトープはここでは抗体F1に認識されるエピトープと定義され、該エピトープは、限定しないが、黄色ブドウ球菌のClfA、ClfB、SdrC、SdrD及びSdrE、及び表皮ブドウ球菌のSdrF、SdrG及びSdrHに存在するSDリピート領域の少なくとも一部の存在を必要とする。一実施態様では、前記エピトープはSdrタンパク質に結合するか又は関連する分子の少なくとも一部を含んでもよい。このような分子の例としては、限定しないが、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖及び糖残基を含む。別の実施態様では、前記エピトープは、SDリピート領域の修飾を含む。前記修飾には、限定しないが、例えば、グリコシル化、アミド化、及び/又はリン酸化を含む。これら2つの実施態様の組み合わせも可能であることが当業者には明らかであろう。
【0027】
従って、本発明はSDリピート−依存性エピトープと結合可能な本発明による抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物を提供する。同様に提供されるのは、黄色ブドウ球菌ClFA、ClfB、SdrC、SdrD及びSdrEに結合可能な、抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物である。更に提供されるのは、本発明による抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖、又は機能的等価物と、ブドウ球菌属、好ましくは黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌及び/又は腐性ブドウ球菌及び/又はスタフィロコッカス・キャピティス、より好ましくはMRSAとの結合において競合することが可能な、抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖、又は機能的等価物である。
【0028】
抗体の欠点はその安定性が例えば過酷な条件下で低減する可能性があることである。例えば機能的アミド基の除去である脱アミド化が生じる可能性がある。脱アミド化は、タンパク質の生物学的機能に影響を与え得るタンパク質の分解経路であり、主にアスパラギン残基で起き、及びグルタミン残基で低い割合で起きる。一実施態様では、従って、本発明による抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物の脱アミド化は、アスパラギン又はグルタミンを他のアミノ酸によって置き換えることによって防止される。脱アミドはまたグルタミン残基にも起こり得るため、アスパラギンは、好ましくは、グルタミン以外のアミノ酸に置換される。アスパラギンの置換は、好ましくは、本発明による抗体の抗原に対する結合親和性に実質的に影響を与えない。一実施態様において、(Kabatの番号付け(1991)による)重鎖の位置53におけるアスパラギンの脱アミドは別のアミノ酸によってに置き換えることによって防止される。位置53位のアスパラギンの脱アミド化を防止することにより、本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物の安定性が好ましくは増加する。例に示すように、前記アスパラギンはCDRに位置するという事実にもかかわらず、該位置でのアスパラギンの置換は本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物における結合親和性に実質的に影響を与えない。重鎖の位置53のアスパラギンは好ましくはグルタミン以外のアミノ酸に置換され、より好ましくは該位置のアスパラギンはセリンに置換される。従って、また本発明によって提供されるのは、アスパラギン好ましくは重鎖の位置53のアスパラギンが他のアミノ酸好ましくはセリンに置換された、本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物である。
【0029】
一実施態様において、本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物が、抗体−薬物複合体を形成するための別の部分に結合されている。本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物が、抗生物質等の細胞傷害性薬物に結合されている。ここで使用される「細胞傷害性薬物」なる用語は、細菌の機能又は増殖を低減又は阻止し、及び/又は細菌の破壊を引き起こす物質を指す。前記の他の部分とは、例えば細胞傷害性薬物であり、好ましくは前記抗体又はその機能部分にチオール基を介して結合している。従って、好ましくは1つ以上のシステインが前記抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物に組み込まれる。システインはチオール基を含み、従って、本発明による抗体又はその機能部分に一以上のシステインの取込み、又は一以上のシステインによる一以上のアミノ酸の置換は、それらをその他の部分へ結合することを可能とする。前記抗体又はその機能的等価物のフォールディングには影響を与えず、かつ抗体結合又はエフェクター機能を変えない位置において、前記1つ以上のシステインが好ましくは本発明による抗体又はその機能等価物に導入される。従って本発明は本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供し、システイン以外の少なくとも1つのアミノ酸がシステインに置換される。好ましくはシステイン以外の少なくとも2つのアミノ酸がシステインに置換されている。好ましい実施態様において、システイン以外の前記少なくとも一つのアミノ酸は軽鎖位置15のバリンか、及び/又は軽鎖位置144のアラニンか、及び/又は軽鎖位置168のセリンか、及び/又は軽鎖位置205のバリンか、及び/又は軽鎖位置110のバリンか、及び/又は重鎖位置84のアラニンか、及び/又は重鎖位置114のアラニンか、及び/又は重鎖位置168のアラニンか、及び/又は重鎖位置172のセリンか、より好ましくは軽鎖位置205のバリンか及び/又は軽鎖位置110のバリンか、及び/又は重鎖位置114のアラニンである(Kabatの番号付け(1991)による)。当業者は、代替又は追加として、置換が前記抗体又は機能的等価物のフォールディングに影響を与えず、かつ抗原結合又はエフェクター機能を変えなければ、重鎖及び/又は軽鎖の1つ以上の他のアミノ酸がシステインに置き換え可能であることを理解するであろう。
【0030】
国際特許出願の国際公開第2006/034488号、国際公開第2008/141044号、国際公開第2009/052249号、国際公開第2009/012256号、国際公開第2009/012268号及び国際公開第2009/099728号において、システイン・エンジニアリングに適したアミノ酸の位置とともに反応性システイン残基を有する抗体設計の方法が記載されている。
【0031】
本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、図1の重鎖配列及び/又は軽鎖配列、又はCDR3のイソロイシンがメチオニンに変えられた図1に記載の軽鎖配列に対して、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一である、可変重鎖配列及び/又は可変軽鎖配列を好ましくは含む。同一性が高いほど前記結合化合物は抗体F1に密接に類似している。本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は好ましくは、F1の重鎖及び軽鎖に似ている重鎖並びに軽鎖を含む。更に提供されるのは従って、図1の重鎖配列及び軽鎖配列、又はCDR3のイソロイシンがメチオニンに変えられた図1に記載の軽鎖配列に対して、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一である、重鎖配列及び軽鎖配列を含む、抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物である。一実施態様では、図1に示した重鎖配列及び図1に示した軽鎖配列又はCDR3のイソロイシンがメチオニンに変更された図1に示した軽鎖配列を有する抗体又はその機能部分が提供される。
【0032】
一実施態様では、図1に示した重鎖配列から成る重鎖配列、及び/又は図1に示した軽鎖配列からなる軽鎖配列、又はCDR3のイソロイシンがメチオニンに変更された図1に示した軽鎖配列を含む、抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。あるいは当業者に良く知られているとおり、目的の結合特性を維持しつつ短縮重鎖又は軽鎖配列を生成することが可能である。好ましくはそうした短縮重鎖又は軽鎖は元の重鎖又は軽鎖に比べて短い定常領域を持って生成される。可変領域は好ましくは維持される。例えば、図1に示した重鎖配列又は軽鎖配列に基づいて、Fab断片又はF(ab')断片、又は単一ドメイン抗体又は一本鎖抗体又はナノボディ又はユニボディ、又はscFv断片が生成される。前記機能性部分は少なくとも20アミノ酸の長さを有し、図1に示した重鎖CDR1配列と少なくとも70%同一である配列、及び図1に示した重鎖CDR2配列と少なくとも70%同一である配列、及び図1に示した重鎖CDR3配列と少なくとも70%同一である配列、及び図1に示した軽鎖CDR1配列と少なくとも70%同一である配列、及び図1に示した軽鎖CDR2配列と少なくとも70%同一である配列、及び図1に示した軽鎖CDR3配列と少なくとも70%同一である配列、又はイソロイシンがメチオニンに変えられた図1に示した軽鎖CDR3配列からなる群から選択される少なくとも一配列を含む。
【0033】
本発明は、少なくとも15ヌクレオチド、好ましくは少なくとも30ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも75ヌクレオチドの長さを持ち、本発明による結合化合物をコードした、単離、合成又は組換え核酸配列又はその機能的等価物を更に提供する。そのような核酸は、例えば本発明による抗体を産生することが可能であるB細胞から単離される。好ましい実施態様では、図1に示すように、核酸配列の少なくとも15ヌクレオチドに対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む核酸配列を提供する。本発明による核酸配列は、図1に示した核酸配列の少なくとも15ヌクレオチドに対して少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは95%の配列同一性を持つ配列を含む。好ましくは、図1に示した前記核酸配列は、少なくとも一つのCDRをコードする配列を含む。
【0034】
一つの好ましい実施態様は、本発明の抗体又は免疫グロブリン鎖の少なくとも一つのCDR配列をコードし、少なくとも15ヌクレオチド長の単離、合成又は組換え核酸配列、又はその機能的等価物を提供する。前記核酸配列は、好ましくは、抗体F1のCDR領域に少なくとも70%の配列同一性を有する少なくとも一つのCDR配列をコードする。F1のCDR領域をコードする核酸配列を図1に示す。更に提供されるのは、従って、
cgctttgccatgagc(配列番号12)、
tcgatcaataatgggaataacccatactacgcacggtcggtacaatac(配列番号13)、
gatcaccctagtagtggctggcccacctttgactcc(配列番号14)、
cgggccagtgaaaacgttggtgactggttggcc(配列番号15)、
aagacatctattctagaaagt(配列番号16)、及び
caacactatatacgtttcccgtacact(配列番号17)
からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%配列同一性を有する配列を含む、単離、合成又は組換え核酸配列、又はその機能的等価物である。
【0035】
前記核酸配列又は機能的等価物は好ましくは、上記配列の何れかに対して、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む。更に提供されるのは、図1に示した核酸配列の少なくとも一部分に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む核酸配列又はその機能等価物であり、該一部分は少なくとも15ヌクレオチドを有しかつ少なくとも一つのCDR領域をコードする。
【0036】
本発明による核酸配列又はその機能的等価物は好ましくはF1のCDR領域、F1の重鎖及び/又はF1の軽鎖に対して少なくとも70%の配列同一性を有する領域をコードする。一実施態様では、配列RFAMS(配列番号1)に対して少なくとも70%の配列同一性を有するか、及び/又は配列SINNGNNPYYARSVQY(配列番号2)に対して少なくとも70%の配列同一性を有するか、及び/又は配列DHPSSGWPTFDS(配列番号3)に対して少なくとも70%の配列同一性を有するか、及び/又は配列RASENVGDWLA(配列番号4)に対して少なくとも70%の配列同一性を有するか、及び/又は配列KTSILES(配列番号5)に対して少なくとも70%の配列同一性を有するか、及び/又は、XがI又はMである配列QHYXRFPYT(配列番号6)に対して少なくとも70%の配列同一性を有するか、及び/又は配列
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号7)に対して少なくとも70%の配列同一性を有するか、及び/又はXがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKLEIKRTV(配列番号8)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、アミノ酸配列をコードする配列を含む単離、合成又は組換え核酸配列又は機能的等価物を提供する。同様に提供されるのは、本発明によるF1抗体の変異体をコードする核酸配列又はその機能性部分である。本発明によって提供されるのは、例えば、配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号9)、及び/又は配列
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号7)を含む重鎖配列をコードし、かつ
及びXがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKLEIKRA(配列番号10)、及び/又はXがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKVEIKRTV(配列番号11)、及び/又はXがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKLEIKRTV(配列番号8)を含む軽鎖配列をコードする核酸配列である。
【0037】
一実施態様では、重鎖の位置53のアスパラギン(Kabatによる番号付け(1991))は、該位置のアスパラギンの脱アミド化を防ぐために、グルタミン以外の他のアミノ酸に置換される。好ましくは前記アスパラギンがセリンに置換される。
【0038】
「%配列同一性」なる用語は本明細書において、2つの配列が最大割合の同一性を達成するべく必要あらばギャップを導入してアラインした後において、リファレンス配列における残基と同一である、核酸配列の候補アミノ酸における残基の割合として定義される。アラインメントのための方法及びコンピュータプログラムは、当技術分野において良く知られている。
【0039】
本明細書において使用する、本発明の核酸分子又は核酸配列は、好ましくはヌクレオチドの鎖、より好ましくはDNA及び/又はRNAを含む。他の実施態様において、本発明の核酸分子又は核酸配列は、例えば、DNA/RNAらせん、ペプチド核酸(PNA)、ロックト核酸(LNA)、及び/又はリボザイム等の他の種の核酸構造を含む。このような他の核酸構造は、核酸配列の機能的等価物と呼ばれる。「核酸配列の機能的等価物」なる用語はまた非天然のヌクレオチド、修飾ヌクレオチド及び/又は天然のヌクレオチドと同じ機能を発揮する非ヌクレオチド基本単位を含む鎖をも網羅する。
【0040】
本発明による核酸配列は、黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌に特異的な結合化合物を生成するために特に有用である。これは、細胞の核酸翻訳機構がエンコードされた結合化合物を生成できるように、例えば細胞内にそうした核酸配列を導入することによって行われる。一実施態様において、本発明による重鎖及び/又は軽鎖をコードする遺伝子は、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)、NSO(マウス骨髄腫)、又は293(T)細胞株等のいわゆるプロデューサー細胞で発現され、そのうち幾つかは、商業的な抗体産生に適応されている。前記プロデューサー細胞の増殖は本発明による抗体又はその機能部分を生産することができるプロデューサー細胞株をもたらす。好ましくは、前記プロデューサー細胞株は、ヒトにおける使用のための化合物を製造するために好適である。従って、前記プロデューサー細胞株は、そのような病原性微生物などの病原体が好ましくはフリーである。最も好ましくは、ヒト配列から成る結合化合物は本発明による核酸配列を使って生成される。
【0041】
従って本発明による抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物を作り出すことができる単離、又は組換え型抗体を産生する細胞と、並びに、本発明による核酸配列又は機能的等価物を細胞に与え、前記細胞が本発明による前記核酸配列又は機能的等価物を翻訳できるようにし、それによって本発明による前記抗体又は機能部分又は免疫グロブリンの鎖又は機能的等価物を生産することを含む、本発明の抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物を産生するための方法もまた提供される。
【0042】
抗体産生細胞は、本明細書において抗体又はその機能部分を産生及び/又は分泌可能な細胞として、及び/又は抗体又はその機能部分を産生及び/又は分泌可能な細胞に成長することが可能な細胞として定義される。本発明による抗体産生細胞は、好ましくは、商業的抗体産生に適応したプロデューサー細胞である。好ましくは、該プロデューサー細胞はヒトにおける使用のために化合物を製造するために適している。
【0043】
本発明による方法は好ましくは更に、本発明による前記抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物を、回収し、精製し、及び/又は単離する工程を含む。本発明によるこうして得られた結合化合物は、必要に応じて追加の精製、単離及び/又は他の処理の後、好ましくは、ブドウ球菌感染症の診断、ブドウ球菌の単離又は検出、ブドウ球菌属と他のグラム陽性菌との識別、及びヒト治療に使用される。
【0044】
本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又その機能的等価物は診断の用途に特に適している。例えば、組織又は血液サンプル等の試料は、個体から、又はブドウ球菌、好ましくは黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌、より好ましくはMRSAに感染する疑いのある任意の他の由来から得ることができる。続いて、前記試料を本発明による抗体又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又はその一部を混合させることが可能である。前記抗体、免疫グロブリン鎖又は機能等価物又は一部は、特にブドウ球菌、好ましくは、黄色ブドウ球菌、及び/又は表皮ブドウ球菌に結合する。抗体、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又は一部に結合した細菌は、当該技術分野で公知の任意の方法を使用して、試料から単離することができる。限定しないが例えば、磁性ビーズ、ストレプトアビジン被覆ビーズを用いた単離、又はカラム上に固定化した二次抗体を使用した単離を用いて単離することができる。結合した細菌及び抗体、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又はその一部を洗浄した後、細菌を、抗体、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又は一部から当該技術分野で公知の任意の方法によって溶出することができる。例えば、細菌と、抗体、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又は一部との間の結合は、塩及び/又は濃度を増加し、及び/又はpHを減少又は増加し、及び/又は過剰なエピトープを添加することによって壊すことが可能である。
【0045】
ブドウ球菌、好ましくは、黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌の単離は、様々な用途に使用され得る。例えば、いくつかの異なるグラム陽性菌による感染は、個々において症状が重複する可能性がある。そのような場合、黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌及び他のグラム陽性細菌を区別することは困難であり得る。本発明による抗体、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又はその一部は、次いで黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌を検出するために、又は黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌、及び他の細菌を区別するために用いることができる。黄色ブドウ球菌、及び/又は表皮ブドウ球菌による感染症に罹患が疑われる個々の試料から、又は細菌培養等の他の由来から細菌を単離することは、単離が前記ブドウ球菌の増加した濃度及び/又は高純度をもたらすため、前記ブドウ球菌の検出を容易にすることが可能となる。
【0046】
ブドウ球菌属、好ましくは、黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌、より好ましくはMRSAの単離は、例えば試料中の特異的な黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌、好ましくはMRSAの菌株を同定するために更に使用することができる。前記菌株の同定は例えば、細菌のDNAの配列を決定することにより行うことが可能である。そのような場合、単離された黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌を最初に得ることが望まれる。
【0047】
本発明の一実施態様において、本発明による抗体、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又はその一部が、前記抗体、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又は一部を検出するために、限定しないが、例えば蛍光標識又は放射性標識で標識される。あるいは、本発明による抗体、免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、本発明による前記の抗体、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又はその一部に対する標識された二次抗体を使用して決定される。もし、前記の抗体、免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又はその一部の結合が検出された場合、黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌が存在する。
【0048】
本発明により提供されるのは、従って、ブドウ球菌感染、好ましくは黄色ブドウ球菌感染、より好ましくはMRSA感染の診断を目的として、黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌、好ましくはMRSAの検出のため、及び黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌、好ましくはMRSA及び他のグラム陽性菌を識別するために、本発明による抗体又はその機能的等価物又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物又は一部の使用である。更に提供されるのは、ブドウ球菌感染、好ましくは黄色ブドウ球菌感染、より好ましくはMRSA感染の診断における使用のために、本発明による抗体又はその機能的等価物又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物である。
【0049】
更に提供されるのは、発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を使用して溶液から黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌の細菌を単離する方法である。前記方法は好ましくは黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌、好ましくはMRSAによる感染、又は細菌培養培地等の任意の他の由来による感染に罹患していると疑われる個体の試料を提供し、本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を前記試料に添加し、本発明による前記の抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を、黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌が存在する場合結合させ、かつ前記試料から本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を単離することを含む。
【0050】
本発明によるグラム陽性菌特異的結合化合物及び、ヒト型の結合化合物を含みそれをコードする核酸配列が与えられたので、改良された治療への応用が利用できるようになった。黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌等のグラム陽性菌は本発明による化合物に結合することにより対抗される。本発明による結合化合物は、従って薬又は予防薬としての使用に特に適している。好ましくは、ヒト個人が治療された場合に有害な副作用の可能性を減らすために、結合化合物はヒトの配列からなるか、最大で5%の非ヒト配列を有するものが使用される。医薬及び/又は予防薬としての使用のための本発明による抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物、又は核酸配列又はその機能的等価物もまたこれにより提供される。本発明による核酸又は機能的等価物が投与されると、本発明の結合化合物にその場で翻訳される。特に好ましい実施態様において、前記抗体は抗体F1、又はその機能部分を含む。前記医薬又は予防薬は好ましくは、黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌による感染症に対抗する、又は少なくとも一部は感染症を防ぐために、又は少なくとも一部は黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌による有害な副作用に対抗するために使用される。従って更に提供されるのは、少なくとも一部は黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌に関連する疾患の治療及び/又は予防のための医薬及び/又は予防薬として使用するための本発明による抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物、又は核酸配列又はその機能的等価物である。そうした疾患の非限定的な例は、皮膚感染症、ニキビ、膿痂疹、おでき、蜂巣炎毛嚢炎、せつ、よう、熱傷様皮膚症候群、膿瘍、肺炎、髄膜炎、骨髄炎、心内膜炎、トキシックショック症候群及び敗血症である。好ましくは、黄色ブドウ球菌感染症が対抗され又は少なくとも部分的に予防される。最も好ましくは、MRSAに関連する疾患が対抗され、減弱され、及び/又は少なくとも一部は予防される。従って、黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌を少なくとも一部は治療、及び/又は予防のための医薬及び/又は予防薬の調製のために、本発明による抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物、又は核酸配列又はその機能的等価物の使用、並びに黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌に関連する疾患を少なくとも一部は治療又は予防するための方法もまた提供され、該方法は本発明による抗体又は機能部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物を治療に有効な量、好ましくは前記個人が黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌に感染していると診断後に、それを必要とする個人へ投与することを含む。前記疾患は好ましくは上記にリストされた黄色ブドウ球菌関連疾患の少なくとも一つ、最も好ましくはMRSA関連疾患を含む。前記抗体は好ましくは抗体F1、又はその機能部分を含む。
【0051】
グラム陽性菌に対抗するために、本発明による結合化合物は好ましくは感染が起きる前に個人に投与される。あるいは個人がすでに感染している場合に本発明による結合化合物が投与される。前記結合化合物は、好ましくは例えば入院している個人及び/又は易感染性免疫を持つ個人等、合併症が増大するリスクを抱えた個人に投与される。また、高齢者は細菌疾患のリスクが増加している。本発明による結合化合物は、好ましくは1回以上の注射により投与される。本明細書で前に記載された通り治療用途において使用されるべき本発明による結合化合物の用量範囲は、厳格なプロトコルの要件が存在する臨床試験におけるクリニックでの上昇投与量試験に基づいて設計される。典型的な用量は体重kg当たり0.1から10ミリグラムである。治療への応用のために、本発明による結合化合物は一般的に薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤と組み合わされる。例えば適切な担体の例としては、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン(例えばBSA又はRSA)とオボアルブミンを含む。一つの好ましい実施態様において、前記適切な担体は、例えば生理食塩水などのような溶液を含む。
【0052】
更に別の態様において、本発明による結合化合物をコードする核酸が使用される。既に説明された通り、そのような核酸を投与することで結合化合物が宿主機構により生産される。生産された結合化合物は、グラム陽性細菌感染及び/又はそうした感染症の有害作用を予防及び/又は対抗することができる。従って本発明による核酸配列又は機能的等価物も医薬及び/又は予防薬として使用するためにこれにより与えられる。前記核酸は、好ましくは、黄色ブドウ球菌、及び/又は表皮ブドウ球菌、より好ましくは黄色ブドウ球菌、最も好ましくはMRSAに対抗するために使用される。更に提供されるのは従って、グラム陽性菌に関連する疾患を少なくとも部分的に治療及び/又は予防するための医薬及び/又は予防薬を調製するための本発明による核酸配列又は機能的等価物の使用である。前記グラム陽性菌に関連する疾患は、好ましくは黄色ブドウ球菌又は表皮ブドウ球菌、より好ましくは黄色ブドウ球菌による感染症、最も好ましくはMRSA感染による感染症を含む。
【0053】
更に提供されるのは、本発明による抗体又はその機能部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物又は核酸配列又はその機能的等価物、及び薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤である。前記薬学的組成物は好ましくはヒトへの使用に適している。
【0054】
本発明は更に以下の実施例において説明される。これらの例は本発明の範囲を限定せず、単に発明を明確にするために提供される。
【0055】
詳細な説明において言及されている全ての特許文書及び他の刊行物は、全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0056】
実施例1 方法
B細胞の単離
B−細胞はフィコール分離、及び製造業者(Miltenyi Biotech)により説明された通りにMACSマイクロビーズによるCD4/CD8の負の選択により成人の新鮮な血液から得た。記憶B細胞を得るために、細胞はFACSaria(Becton Dickinson)上でCD19CD3CD27IgD IgAによって分類された。これらの組織の使用は機関の医療倫理委員会によって承認され、インフォームドコンセントを条件とした。ドナーは遺伝子型クラスター109及び16を持つ院内感染MRSA株の保菌に基づいて選択された。
【0057】
細胞培養
IMDM(Gibco)、8%のFBS(HyClone)及びペニシリン/ストレプトマイシン(ロッシュ)を含む標準培地中で維持されたB−細胞が、γ−照射(50Gy)マウスL細胞繊維芽細胞を安定に発現するCD40L(CD40L−L細胞、10細胞/ml)及び組換えマウスIL−21(25ng/ml、R&Dsystems)上で共培養された。rhIL−4(R&D)は50ng/mlで使用した。細胞は、日常的にPCRにより試験され、マイコプラズマ及びEBVの存在について否定的であることが分かった(データ非表示)。
【0058】
大量に形質移入されたNGFR及びGFPの二重陽性ヒト記憶B細胞はFACSセルソーティングにより精製され、ウェル当たり500細胞の細胞密度で96ウェルプレート中で培養された。培養上清はNewman及びSH株の細菌ライセートを用いてELIZAで試験された。陽性培養液は96穴プレート中の10細胞/ウェルの細胞密度でサブクローニングされ、再度ELISAにより試験した。続いて陽性培養液は、ウェル当たり1細胞で播種され、黄色ブドウ球菌株Newman及びSH1000に対する反応性についてELISAにより再試験した。
【0059】
レトロウイルス形質導入
BCL6レトロウイルスコンストラクトは以前説明されている(Shvarts A.等、Genes Dev16、681-686(2002))。ヒトBcl−xLをコードするcDNAはStanley Korsmeyer博士により好意的に提供された。BCL6及びBcl−xLは別個にBCL6−NGFR及びBcIxL−GFPコンストラクトにクローニングした。これらのコンストラクトは、前述したようにLZRSレトロウイルスパッケージング細胞のフェニックスに形質移入した(Jaleco A.C.等、Blood 94,2637-2646(1999);Scheeren F.A.等、Nat Immunol 6,303-313(2005))。記憶B細胞は、前述のように36時間rmIL−21の存在下でCD40L−L細胞の活性化の後にレトロウイルスを含むBCL6及びBcl−xLにより二重形質導入された(Diehl S.A.等、J Immunol 180,4805-4815(2008);Kwakkenbos M.等、Nat Med印刷中(2009))。形質導入細胞はrmIL−21によりCD40L−L細胞で維持された。
【0060】
ELISA
抗体含有量を決定するためにELISAプレートは5μg/mlのPBS中の抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories)により1時間37℃又は4℃で一晩コーティングし、ELISA洗浄バッファー(PBS、0.5%のTween20)で洗浄した。細胞培養上清の連続希釈前及び酵素標識検出抗体が添加される前に、PBS中の4%のミルクを遮断薬として使用した(HRP標識抗IgG(Jackson)において希釈は1:2500)。TMB基質/停止液(Biosource)がELISAの構築に使用された。
【0061】
スクリーニング目的のために我々は、Newman及びSH1000株由来のライセートを使用した。B細胞培養上清が無希釈で又は1:2希釈で試験される前に、両方ともPBS中で作られ直接5から10μgml−1にてコーティングされた。
【0062】
ヒトIgG1クローンF1の抗原特異性を調べるために、LTA検出ELISAを構築した。2次抗体が添加される前に、黄色ブドウ球菌、枯草菌(B.subtilis)、フェカリス菌(S.faecalis)、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)(シグマ)由来の精製LTA調製物がポリクロナールIgG精製マウス抗LTA(1/200ストック1mgml−1、QED Bioscience)でコーティングされたELISAプレートに添加された。
【0063】
更に、W.Fischer(生化学研究所(Institut fur Biochemie)、エルランゲン大学、ドイツ)により構築されたライブラリーに由来する複数のLTA調製物が、B.Appelmelk(VU,アムステルダム、オランダ)により好意的に提供され(より詳細は((Keller R.等、Infect Immun 60,3664-3672(1992),Polotsky V.Y.等、Infection and Immunity 64,380-383(1996)及びGreenberg J.W.等、Infection and Immunity 64,3318-3325(1996))を参照)、及び直接(direct)ELISAに関して(Weidenmaier C.等、Nat Rev Microbiol 6,276-287(2008))にレビューされる。rF1(10μgml−1)又はコントロール抗体(ハイブリドーマ上清の1:5希釈)が添加される前に、LTA調製物は1μgml−でコーティングされ、更に複合型の抗ヒト又はマウス抗体により検出された。精製LTA調製物のパネルは、枯草菌(B.subtilis)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、ラクトコッカス・ラクティス(L.lactis)、L.garvieae、ビフィズス菌(B.bifidum)、ミクロコッカス・ルテウス(M.luteus)、カゼイ菌(L.casei)、リゥコノストック・メゼンテロイデス(L.mesenteroides)、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、リステリア‐ウェルシメリ(L.welshimeri)、エンテロコッカス・ヒラエ(E.hirae)、ラクトコッカス・ラフィノラクティス(L.raffinolactis)、ミュータンス菌(S.mutans)、肺炎球菌(S.pneumoniae)、を含有した。複数の変異体がアラニン残基及び/又は脂質アンカーを含むか又は欠いている(ここでは示さない)。
【0064】
細菌培養液へのF1抗体の結合
Newmanの黄色ブドウ球菌及び肺炎球菌株(セロタイプ3)を用いた。NewmanはTSH 50ml中で一晩培養し、次いで1mlを100ml中にOD:1になるまで2から2.5時間再懸濁し、細菌が回収された。肺炎球菌は、酵母培地と混合したトッドヒューイット(Todd Hewiit)培地で培養した。細菌がF1抗体、コントロールのIgG(D25、ヒト抗RSV抗体)と共に、又は2次抗体(IgG−PEのみ)のみと共にインキュベートされる前に、細胞はバックグランド染色を防ぐために100%完全なマウス血清で前処理された。洗浄後2次抗体が添加された(IgG−PE)。抗体インキュベーションは氷上で20分間行った。
【0065】
F1配列決定及び発現クローニング
我々は全RNAをTrizol(インビトロジェン)を用いて単離し、superscript RTを用いてcDNAを生成し、重鎖及び軽鎖の可変領域をpCR2.1 TAクローニングベクター(インビトロジェン)へクローニングした。逆転写酵素又はDNAポリメラーゼの誘発変異を除外するために、我々は複数の独立したクローニング実験を行った。組換え型F1モノクローナル抗体を産生するために、我々は、ヒトIgG1及びカッパ(κ)定常領域を持つフレーム中のF1重鎖及び軽鎖可変領域をpcDNA3.1(インビトロジェン)をベースとしたベクターへクローニングし、一過性に293T細胞に形質移入した。我々は、プロテインAにより培養上清から組換えF1を精製した。
【0066】
結果
F1クローンの生成
MRSA陽性と判定されたが病気ではない3人の患者から、フィコール精製工程の後にヘパリン血液50−60mlを回収し、末梢B細胞が単離された。複数のB細胞集団由来のB細胞はBCL6−NGFR及びBcl−XL−GFP(Diehl等及びKwakkenbos等)を含むレトロウイルスで二重に形質導入した。IgG、CD27陽性細胞集団から、B−細胞培養ポリクローナル小規模培養のB細胞培養が、500細胞/ウェルの細胞密度で96穴プレートで開始された。これらの小規模培養の上清が回収され、黄色ブドウ球菌特異的IgG抗体のスクリーニングのためELISAに用いられた(これらのELISAではコーティングはSH1000及びNewmanの2種の黄色ブドウ球菌株の細胞ライセートであった)。SH1000並びにNewman黄色ブドウ球菌の両方で陽性とスクリーニングされた小規模培養は、10細胞/ウェルの密度で新たな小規模培養に播種した。再び、これらの小規模培養の上清が回収され、SH1000及びNewmanELISAでスクリーニングされた。両方のELISAで陽性とスクリーニングされたクローンをモノクロナール培養(すなわち、1細胞/ウェル)に播種した。これらのモノクローナル培養の上清を試験した後、1つのクローン(F1と命名)が黄色ブドウ球菌に特異的なモノクローナルIgG抗体を産生することが見いだされた。
【0067】
黄色ブドウ球菌由来のLTA調製物に結合したF1クローンの上清中の抗体
F1のクローンを産生し、我々は、F1の上清が2種の黄色ブドウ球菌株、SH1000及びNewmanの細菌の細胞ライセートに結合することを既に見いだした。グラム陽性菌の主要な細胞壁化合物はLTAであり、従って我々は、ELISAにおいて、F1上清の黄色ブドウ球菌のLTA調製物への結合を試験することを決めた。表1に示した通り、F1クローンの上清はSH1000及びNewmanの黄色ブドウ球菌株だけでなく商業的に購入した精製黄色ブドウ球菌のLTA調製物にも結合する。しかし我々は、LTA調製物への結合は全細菌で観察されたものより著しく低かったことに気がついた。
【0068】
表1:F1クローンの上清が黄色ブドウ球菌LTA調製物に結合する。陰性コントロールとして抗マウスHRP標識二次抗体が使用された。別のコントロールは、インフルエンザH3タンパク質を検出するだけの抗インフルエンザウイルス抗体であった。

【0069】
組換え産生されたF1抗体は複数のソース由来のLTA調製物に結合する。
抗体遺伝子を発現ベクター中にクローニングし、発現系において組換えF1(rF1)抗体を産生した後、rF1抗体が複数の細菌由来の精製LTA調製物で試験された。図2Aに示すように、rF1抗体は、黄色ブドウ球菌及び枯草菌から得た商用LTA試料に良く結合し、フェカリス菌(S.faecalis)及び化膿レンサ球菌(S.pyogenes)由来のLTA試料にもそれに劣らず良く結合した。rF1抗体は、肺炎球菌由来のLTA試料には結合しなかった(データ非表示)。更にrF1は、枯草菌、B.licheniformis及び黄色ブドウ球菌の2つの分離株から高度に精製されたLTA試料を認識した(図2b)。rF1はミュータンス(S.mutans)菌由来のLTA調製物(図2b)、又はラクトコッカス・ラクティス(L.lactis)、L.garvieae、ビフズス菌(B.bifidum)、ミクロコッカス・ルテウス(M.luteus)、カゼイ菌(L.casei)、リゥコノストック・メゼンテロイデス(L.mesenteroides)、リステリア‐ウェルシメリ(L.welshimeri)、エンテロコッカス・ヒラエ(E.hirae)、ラクトコッカス・ラフィノラクティス(L.raffinolactis)、ミュータンス菌(S.mutans)、肺炎球菌(S.pneumoniae)に結合しなかった(結果非表示)。
【0070】
組換え型F1抗体は生きている黄色ブドウ球菌の細菌に結合する。
rF1抗体が生きているグラム陽性細菌をも認識するかどうかを検討するために、F1抗体の黄色ブドウ球菌及び肺炎球菌に対する結合をフローサイトメトリーを用いて試験した。図3Aに示すように、rF1抗体は、生きている黄色ブドウ球菌の細菌(Newman株)に結合するが、肺炎球菌には結合しない。さらに、我々はrF1が6つの臨床的黄色ブドウ球菌分離株を認識することを示した;一つは、PVL陽性である病原性株であり、3つは通常株、及び2つはMRSA株である(図3b)。
【0071】
実施例2
方法
細菌株及び培養。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)株USA300(1114)、USA400、N315、USA100、USA1000、COL、MRSA252、並びにメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)株のReynolds、Becker、Smith Diffuse、MN8、及びバンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)株のMu50は全て黄色ブドウ球菌の抗生物質抵抗性に関するネットワーク(NARSA)から入手した;MSSA株のNewman及びRosenbachはATCCから得た。表皮ブドウ球菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、フェカリス菌(Enterococcus faecalis)、及び化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)は、Ward’s Natural Scienceから得た;リステリア菌(Listeria monocytogenes)はATCCから得た。細菌は37℃で18時間、5%ヒツジ血液を補充されたトリプシン大豆寒天(TSA)プレート上で増殖させた。液体培養に対しては、TSAプレートからの単一コロニーをトリプシン大豆ブロス(TSB)に接種し、37℃で18時間200rpmで振とうしながら培養した。新鮮なTSB中でこれらの培養物の新鮮な100倍希釈液が更に何回も継代培養された。
【0072】
インビトロで増殖した全細菌に結合しているrF1のFACS分析。
全細胞の抗体染色のために、細菌はTSAプレート又はTSB培養物から回収され、0.1%BSA(IgGフリー、シグマ社)、及び10mMのHepespH7.4(HBバッファー)を添加したフェノールレッド無しで、ハンクス緩衝塩溶液(HBSS)で20分間1700×gでの遠心分離により洗浄した。細菌の濃度は、630nmで光学密度を読み取ることにより見積もられた。HBバッファ−内の20×10CFU/mLの細菌懸濁液が等量の300μg/mlのウサギIgG(シグマ)と混合され、非特異的IgG結合をブロックするために室温(RT)で1時間インキュベートした。rF1及びヒトIgG1アイソタイプコントロールを含む一次抗体は、2μg/mLの最終濃度になるように追加され、これらの混合物は15分間室温でインキュベートされた。HBで2回洗浄した後、細菌ペレットを蛍光抗ヒトIgG二次抗体(ジャクソンイムノ)の溶液に再懸濁し、室温で15分間インキュベートした。細菌はPBSで2回洗浄し、1%パラホルムアルデヒドを含むPBSに再懸濁させ、フローサイトメトリーにより分析した。
【0073】
感染組織由来の全細菌に結合しているrF1のFACS分析。
感染組織由来の細菌に結合する抗体の解析のために、TSB中のUSA300の4時間継代培養細胞をPBSで洗浄した。マウスは、PBS中のUSA300の懸濁液100μLを推定濃度10×10CFU/mLにて静脈内注射された。三日後、腎臓、肝臓、肺を採取し円錐形の組織グラインダーチューブ(VWR)を使用してホモジナイズした。必要あらば、臓器は感染の異なる時点で採取された。マウスの細胞を溶解するために、ホモジネートは、0.1%トリトン−X100(Thermo社)、10μg/mLのDNaseI(ロシュ)及び完全なミニプロテアーゼインヒビターカクテル(ロッシュ)を含むPBSで室温で10分間インキュベートされ、40μmのフィルター(ファルコン)を通された。細胞懸濁液をPBSで2回洗浄し、HB緩衝液に再懸濁させ、等量の600μg/mLのヒトIgG(シグマ)と混合され、室温で1時間インキュベートした。rF1及びヒトIgG1アイソタイプコントロールを含む一次抗体が、最終濃度2μg/mLまで追加された。マウス臓器の破片由良の細菌を区別するために、ウサギIgG抗黄色ブドウ球菌(Abeam)が濃度20μg/mLまで追加された。室温で15分間インキュベーション後、細胞をHB緩衝液で2回洗浄し、各々異なる蛍光色素(Jackson Immunoresearch)で標識された、抗ヒトIgG及び抗ウサギIgG二次抗体の混合物に再懸濁させた。PBSで2回洗浄後、細胞を2%パラホルムアルデヒドを含むPBSに再懸濁し、フローサイトメトリーで分析した。ウサギIgG抗黄色ブドウ球菌による陽性染色のためのゲーティングにより二重蛍光のプロットから細菌を選択した後、rF1及びアイソタイプコントロールの蛍光強度の重ね描きヒストグラムプロットが生成された。
【0074】
結果
rF1は14種の黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌に強く結合する。
7つのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)株、6つのメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)株、1つのバンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)株、表皮ブドウ球菌及び他の複数のグラム陽性菌種がrF1抗体への結合について試験された。図4に示すように、rF1は全14種の黄色ブドウ球菌株(図4A)及び表皮ブドウ球菌(図4B)に強く結合したが、他の試験されたグラム陽性種(図4B)には結合しなかった。
【0075】
rF1は、異なる増殖段階由来の、及びインビトロでの感染由来のMRSAに結合する。
我々は、細菌に結合するモノクローナル抗体rF1の能力を、異なる組織において及び感染経過に関しての両方で試験した。我々はrF1はマウスの腎臓、肝臓、肺組織から単離した細菌に感染後2日で結合し、及び感染した腎臓から単離した細菌への結合は安定であり、感染後2、3及び8日後の結合細菌であることを見いだした。
【0076】
MRSA(USA300株)の異なる増殖段階、すなわち初期の対数増殖(2時間)及びTSB培養中のポスト指数関数的成長(8時間)、及びTSAプレート上の個体コロニーの増殖に対するrF1抗体の結合が試験された。rF1は試験した全ての増殖段階に対して強く結合する(図5A)。
【0077】
感染した組織由来の全細菌に対して、MRSA(USA300株)に対するrF1抗体の結合が、マウスをMRSAに全身感染させた3日後にマウス由来のホモジナイズした腎臓において試験された。図5Bに示すように、rF1は感染した組織から得られたMRSAに結合する。
【0078】
実施例3
更なる実験が、抗体rF1が結合したエピトープを同定するために行われた。LTA調製物への結合は観察されていたが(例えば、実施例1)、その結合は全細菌に結合するほど強力ではなく、別のエピトープがrF1結合に関与する可能性を示唆している。
【0079】
方法
黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌及び商用WTA調製物の細胞壁ライセートの免疫沈降、ウェスタンブロット法及び質量分析
Wood46黄色ブドウ球菌株(バイオデザイン/メリディアンライフサイエンス社、メイン州)からの商用のタイコ酸(WTA)調製物40マイクログラムを2つの部分に分割し、1ug/mlのrF1又はアイソタイプコントロールヒト抗体で免疫沈降した。抗体は、プロテインA/G Ultralink Resin(Pierce)で捕捉された。次に、試料を50mMのジチオスレイトール、10mMの2−ヨードアセトアミドで処理し、8%トリス−グリシンゲル上で流し、続いてrF1でウェスタンブロットを行った。
【0080】
USA300黄色ブドウ球菌株の20ml一晩培養物の細胞壁調製物は、培養物(40mgの細胞ペレット/ml)を30%ラフィノースバッファ中の100mg/mlのリゾスタフィンにより37℃で30分間処理することにより調製した。全細胞壁調製物は濾過され、NP40溶解緩衝液で10mlまで希釈し、細胞壁調製物からできる限りプロテインAを枯渇させるために抗Flag M2アガロース(シグマ)で2回インキュベートした。最終的な細胞壁調製物は、二つの部分に分けられ、1ug/mlのrF1又はアイソタイプコントロールヒト抗体の1ug/mlで免疫沈降した。抗体は、プロテインA/GUltralink Resin(Pierce)で捕捉された。次に、試料を50mMのジチオスレイトール、10mMの2−ヨードアセトアミドで処理し、8%トリス−グリシンゲル上で流し、続いてrF1でウェスタンブロットを行った。
【0081】
表皮ブドウ球菌の20ミリリットル一晩培養物からのライセートをNP40溶解バッファー中でビーズ破砕することにより調製した。得られたライセート調製物は、NP40溶解緩衝液で10mlに希釈され、二つの部分に分けられ1ug/mlのrF1又はコントロール抗体でで免疫沈降した。抗体は、プロテインA/GUltralink Resin(Pierce)で捕捉された。次に、試料を50mMのジチオスレイトール、10mMの2−ヨードアセトアミドで処理し、8%トリス−グリシンゲル上に流し、続いてrF1でウェスタンブロットを行った。
【0082】
プロテオーム解析のために、試料はプレキャストSDS PAGEミニゲルへ適用され、分離されたタンパク質はクーマシーブルーで染色された。rF1ウェスタンブロットにより可視化されたバンドに対応するゲルの領域からゲルスライスが切り出され、還元され、ヨードアセトアミドでアルキル化されトリプシンでその場で消化した。得られたトリプシンペプチドは、データ依存性実験においてハイブリッドリニアイオントラップフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(LTQ−FT;Thermo Fisher)で、マイクロキャピラリー逆相液体クロマトグラフィーナノエレクトロスプレータンデム質量分析により分析した。タンデム質量スペクトルの結果は、マスコットのソフトウェア(マトリックスサイエンス社)を使用してデータベースの検索のために提出された。
【0083】
黄色ブドウ球菌及び大腸菌で発現された外因性ClfAの発現
Hisタグ付きClfAの黄色ブドウ球菌発現:クランピング因子A(ClfA)遺伝子は、シグナル配列をコードする配列からUSA300ゲノムDNA由来のLPXTGモチーフ中のグリシンをコードする配列へと増幅された。C末端HisタグはLPXTGモチーフの終わりに設計され、pTet黄色ブドウ球菌発現ベクター(ジェネンテック社のpSASlO)に連結された。得られたコンストラクトは次いで黄色ブドウ球菌WT RN4220へ電気穿孔された。電気穿孔されたRN4220、又はRN4220無し(pTet発現ベクターを持たない)の何れかの20mlの培養は、一晩培養物(OD600が0.15から開始)から播種され、1時間トリプシン大豆ブロス(TSB)中で成長させ、次いでアンヒドロテトラサイクリン(200ng/ml)で2時間タンパク質発現を誘導した。誘導期間の終了時に、黄色ブドウ球菌の培養は、リゾスタフィン(50ug/ml)であらかじめ溶解した後、更に溶解バッファー(150mMのNaCl、20mMのトリス(pH7.5)、1%トリトン−X、及びロシュプロテアーゼ阻害剤EDTA−フリー錠)でビーズ破砕により溶解した。清澄化ライセートがその後10mMイミダゾールの存在下で4℃で1時間NiNta樹脂(Qiagen社)と共にインキュベートされ、組換えClfAタンパク質をプルダウンした。
【0084】
HisタグClfaの大腸菌発現:クランピング因子(ClfA)遺伝子は、N末端シグナル配列(開始メチオニンを含む)からUSA300ゲノムDNA由来C末端LPXTGモチーフ中のグリシンをコードする配列へとPCR増幅された。増幅されたPCR産物は、次いでc−末端Hisタグと共に、pET21b(+)大腸菌発現ベクター(ノバジェン社)へインフレーム連結した。得られたコンストラクトを大腸菌BL21−ゴールド(DE3)コンピテント細胞(ストラタジーン社)に形質転換し、製造元の指示に従って、IPTGで3.5時間タンパク質発現を誘導した。誘導された大腸菌培養物は、溶解バッファー中で(150mMのNaCl、20mMのトリス(pH7.5)、1%トリトン−X、及びロシュプロテアーゼ阻害剤EDTA−フリー錠)ビーズ破砕により溶解した。清澄化ライセートがその後10mMイミダゾールの存在下で4℃で1時間NiNta樹脂(Qiagen社)と共にインキュベートされ、組換えClfAタンパク質をプルダウンした。
【0085】
大腸菌で発現した外因性ClfAの発現及び黄色ブドウ球菌ライセートによるインキュベーション
黄色ブドウ球菌の細胞表面SDRタンパク質ClfA、ClfB、SdrC、SdrD、SdrEの大腸菌における発現及び精製:ClfA、ClfB、SdrC、SdrD及びSdrE遺伝子は、タンパク質の成熟したスタートをコードする配列から、USA300ゲノムDNA由来C末端LPXTGモチーフ中のグリシンをコードする配列へとPCR増幅され、ST239ベクター(ジェネンテック)へN末端Unizymeタグと共にインフレームで連結した。コンストラクトは、大腸菌58F3(ジェネンテック社)に形質転換され、タンパク質の発現が誘導され、続いて精製された。
【0086】
NT Unizymeタグ付きSDRタンパク質のNiNta捕捉:精製したN末端Unizymeタグ付きSDRタンパク質(ClfA、ClfB、SdrC、SdrD、SdrE)の500ugがプロテアーゼ阻害剤含有PBS(EDTAフリー)に希釈され、NiNta樹脂(Qiagen)とともに1.5時間4℃でインキュベートされた。捕捉されたUnizymeタグ付きSDRタンパク質が吸着したNiNta樹脂は洗浄バッファー(50mMのNaHPO、300mMのNaCl;pH8.0)で1回洗浄された。
【0087】
大腸菌産生SDRタンパク質の黄色ブドウ球菌ライセートによる修飾:25ml培養がΔPan Sdr変異体(ClfA−ClfB−SdrCDE−欠損(null);ダブリンのトリニティカレッジのティム・フォスターから贈与)Newman黄色ブドウ球菌(開始OD600は0.15)の一晩培養から開始され、TSB中で3時間(対数期)37℃、200rpmで増殖された。対数期培養物は次いで1mlのPBSに再懸濁し、ベンゾナーゼヌクレアーゼ(ノバジェン社製)の250ユニットの存在下、200ug/mlのリゾスタフィンで37℃で30分間溶解した。ライセートは4℃で10分間マイクロ遠心機で最高速度でスピンダウンして残骸が除去された。NiNtaに捕捉された大腸菌SDRタンパク質の修飾は、清澄なΔPan Sdr変異体黄色ブドウ球菌ライセートで1時間37℃でインキュベーションすることで実施された。
【0088】
修飾された大腸菌SDR蛋白質のウエスタンブロット:非修飾又は修飾されNiNtaに捕捉された大腸菌SDRタンパク質は次いで洗浄バッファー(50mMのNaHPO、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール;pH8.0)で3×洗浄され、ウエスタンブロット法のために調製されて、8%のトリスグリシンゲル(インビトロジェン)上に流された。ウエスタンブロットはrF1抗体又は抗Unizyme抗体(ジェネンテック社)の何れかでブロットした。
【0089】
rF1に対する抗原としてのSDRドメインの同定
MBP−SDコンストラクトの黄色ブドウ球菌の発現:マルトース結合タンパク質(MBP)遺伝子は、成熟タンパク質の開始をコードする配列からファクターXa開裂部位の終点をコードする配列まで、pMal−c5xベクター(New England Biolabs社[NEB]、イプスウィッチ、マサチューセッツ州、米国)からPCR増幅された。C末端にHisタグが付いた様々な長さのSD(SD、SDS、DSD、SDSD、SDSDS、SDSDSD)は、一本鎖オリゴヌクレオチドとして合成され、二本鎖DNAを作るために一緒にアニールされた。ClfA遺伝子のSdr領域は、Sdr領域の先頭(560D)をコードする配列からPCR増幅され、プラスミドpTet.ClfA.SD618A又はpTet.ClfA.SD709S(ジェネンテック)のそれぞれに由来のHisタグをコードする配列が続くSD領域の618A又は709Sの何れかをコードする配列まで包含された。コントロールとして、成熟タンパク質の開始からAドメインの終点までコードする配列(538G)にHisタグをコードする配列が続くClfA遺伝子のAドメインをコードする配列が、プラスミドpTet.ClfA.Adom.538G(ジェネンテック)からPCR増幅された。様々なSD挿入の一つと共にMBP挿入又はClfAドメインが、pTet黄色ブドウ球菌発現ベクター(ジェネンテックのpSASlO)に結合された。得られたコンストラクトは次いで、黄色ブドウ球菌RN4220のΔsortase(RN4220バックグラウンド中のsortase欠失変異株)に電気穿孔された。
【0090】
電気穿孔されたRN4220Δsortage又はRN4220Δsortage無し(pTet発現ベクターをもたない)の何れかの20mlの培養は、一晩培養物(OD600が0.15から開始)から播種され、1時間、グルコース(2g/L)を補完したトリプチケースソイブロス(TSB)中で増殖させ、次いでアンヒドロテトラサイクリン(200ng/ml)で2時間タンパク質発現を誘導した。誘導期間終了時に、黄色ブドウ球菌培養物は、カラムバッファー(150mMのNaCl、20mMトリス(pH7.5)とロシュプロテアーゼ阻害剤EDTA−フリー錠)中に再懸濁され、250ユニットのベンゾナーゼヌクレアーゼ(ノバジェン)の存在下、200ug/mlのリゾスタフィンで37℃で30分間溶解した。清澄なライセートは次いでアミロース樹脂(NEB)で1.5時間4℃でインキュベートされ、発現されたMBP−SDタンパク質を捕捉した。
【0091】
MBP−SDコンストラクトを発現した黄色ブドウ球菌のウェスタンブロッティング:捕捉されたMBP−SDタンパク質が吸着したアミロース樹脂は、カラムバッファーで3回洗浄され、更にウェスタンブロッティング分析のために調製され、8%トリス−グリシンゲル上に流された。ウエスタンブロットは、rF1抗体の抗ペンタHis抗体(Qiagen社製)又は抗MBP抗体(NEB)の何れかでブロットされた。
【0092】
結果
rF1は黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌のSDR(Ser−Aspリピート)タンパク質のユニークなファミリーに反応する。
市販のタイコ酸調製物及び黄色ブドウ球菌の細胞壁ライセート(WTA)(USA300株)が、免疫沈降後にrF1に対する結合について試験された。rF1は、市販のタイコ酸調製物(図6A、左パネル)及び黄色ブドウ球菌(図6b、左パネル)の細胞壁溶解物の複数の成分に結合する。質量分析法を使用してこれらのWTA調製物及び細胞壁溶解液の成分をClfA(SdrA)、ClfB(SdrB)、SdrC、SdrD及びSdrE(図6Aの右パネル及び図6Bの右パネル)として同定された。
【0093】
表皮ブドウ球菌の細胞壁溶解液が、免疫沈降後にrF1に対する結合について試験された。図6C(左パネル)は表皮ブドウ球菌細胞壁溶解物の複数の成分に対するrF1の結合を示す。これらの成分は、コントロール抗体では同定されなかった。質量分析法を使用してこれらの細胞壁成分はSdrF、SdrG及びSdrH(図6C右パネル)として同定された。
【0094】
黄色ブドウ球菌及び大腸菌における外来ClfAの発現
黄色ブドウ球菌で発現される外因性のClfAは、rF1に対し反応性であるが、大腸菌で発現させたClfAは(図7a)反応性ではなかった。しかしながら、大腸菌で発現させたSdrタンパク質ClfA(SdrA)、ClfB(SdrB)、SdrC、SdrD及びSdrEを黄色ブドウ球菌のライセートとともにインキュベーションするとrF1反応性を取り戻した(図7b)。
【0095】
rF1は黄色ブドウ球菌で発現されたSDRドメインに結合する。
rF1抗体は黄色ブドウ球菌で発現されたClfA560D−618S及びClfA560D−709S(図8)から成るClfA Sdr領域に結合する。rF1はClfAのAドメイン又は最大3つのSDリピートから成る小さなペプチド配列には結合しない。
【0096】
実施例4
方法
rF1の可変領域のpRKベクターへのクローニング
Phusion DNAポリメラーゼ、制限酵素EcoRV、KpnI、PvuII、Apal、Agel,及びAhdl、T4 DNAリガーゼは、New England Biolabs社、イプスウィッチ、米国マサチューセッツ州から購入した。Pfu DNAポリメラーゼ、クイックチェンジII部位特異的突然変異誘発キットはStratagene社/アジレント・テクノロジー、サンタクララ、カリフォルニア州、米国から購入した。2%アガロースゲルは、インビトロジェン、カールスバッド、カリフォルニア州、米国から購入した。pRKベクターのpRK.LPG3.HuKappa及びpRK.LPG4.HumanHCはジェネンテック/ロシュ、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州、米国から得た。
【0097】
pCPEOベクター由来のrF1モノクロナール抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメインがpRK哺乳動物発現ベクター中に入れられた。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は標準的なPCR手順に従い総容量50μlにおいてPfu DNAポリメラーゼを用いて行った。VはプライマーのYiHCF)5’−ATG GCT GAG GTG CAG CTG GTG GAG TCT G−3’(配列番号18)及びYiHCR2 5’−GAA CAC GCT GGG GCC CTT GGT GCT GGC ACT CGA GAC TGT GAC CAG GGT GCC AGG TCC CCA G−3’(配列番号19)(PvuII及びApalの制限部位に下線が引かれ、*は内部Apal部位を除去するための単一塩基GからTへの変化を示す)を用いて増幅され、VはプライマーYiLCF 5’−CGG CTC GAC CGA TAT CCA GCT GAC CCA GAG−3’(配列番号20)及びYiLCR 5’−GAT TTC CAG CTT GGT ACC CTG GCC G−3’(配列番号21)(EcoRV及びKpnlは下線が引かれる)を用いて増幅された。393(V)及び328(V)塩基対によるユニークなPCR産物はそれぞれ直接、Vに対してはPvuII及びApalにより、Vに対してはECORV及びKpnlにより消化し、続いてゲル精製(インビトロジェン社、カタログ番号K2100−12)を行った。V及びVはT4DNAリガーゼを用いて、重鎖に対してはpRK/Pvull、Apalの、及び軽鎖に対してはpRK/EcoRV、KpnlのpRKベクター断片へそれぞれ結合された。DNAプラスミドは制限酵素による消化パターンによって確認された;すなわちrF1VはAgeIにより〜300塩基対及び5.8kbバンド、5.8kbのバンドをリリースしたのに対し、rF1Vは2%アガロースゲル上でAhdIにより2.3及び3.1kbのバンドを示した。
【0098】
化学ストレス試験
抗体の一次配列データを実験的に観察された分解事象と比較することによって、所定の配列モチーフが劣化しやすい可能性がある(すなわち、DD、DG及びDS配列でのアスパラギン酸異性化、及びNG配列でのアスパラギンの脱アミド)ことが明らかになった。そのような劣化による「ホットスポット」が抗体のCDRに現れる場合、結合及び効力が負の影響を及ぼされる可能性がある。ホットスポットを含む分子において化学ストレス試験は、抗体をプラットフォームフォーミュレーションバッファーに入れ、コントロール試料を40℃で2週間ストレスを受けたものと比較することにより、劣化に対するこれらのモチーフの感受性を評価する方法を提供する。もし劣化が観察される場合、一次配列はホットスポットを除去するために再設計することができる。
【0099】
試料が40℃で2週間ストレスを与えられた後、分解がどこでどの程度起きるかを評価するために様々な分析アッセイが実施される。イメージングキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)解析が電荷変異体を調べるために行われ、インタクトな減少した抗体の質量が質量分析計を用いて検証され、LC−MS/MSペプチドマップが部位特異的分解情報を得るために実施された。
【0100】
突然変異生成
rF1のpRKプラスミドはrF1モノクロナール抗体を安定させるためにQuik change II部位特異的キットを介して、FHV5’−GGT GGC CAG CAT CAA CAG CGG CAA CAA CCC CTA CTA CG−3’(配列番号22)及びRHV5’−CGT AGT AGG GGT TGT TGC CGC TGT TGA TGC TGG CCA CC−3’(配列番号23)(変異生成部位は下線が引かれる)を使用することにより、重鎖CDR2のN(AAC)53S(AGC)により一連の部位特異的突然変異誘発を受けた。突然変異誘発変異体は配列決定された。
【0101】
結果
抗体rF1の一次配列は、軽鎖CDR2に1つの潜在的なアスパラギン脱アミド部位をを含有した:NNGNN(配列番号24)。ストレステストでは、N53(Kabatによる番号付け、1991)においてストレスをかけた試料における脱アミド化の増加を明らかにした。部位特異的突然変異誘発が、重鎖CDR2のN(AAC、(配列番号25))を53S(AGC、(配列番号26))へ置換することでrF1モノクロナール抗体を安定化させるために実施された。突然変異誘発変異体の配列はN53S変異を確認した。
【0102】
実施例5
抗体−薬物複合体(ADC)適用のためのCys変異体の開発
rFl pRKプラスミドはStratagene社の部位特異的方法により、rF1チオモノクロナール抗体の軽鎖リンカーを生成するために、rFlpRK.LC(205/210)VCF(468075)5’−GGG CCT GAG CTC GCC CTG CAC AAA GAG CTT CAA CAG−3’(配列番号27)及びrFlpRK.LC(205/210)VCR(468076)5’−CTG TTG AAG CTC TTT GTG CAG GGC GAG CTC AGG CCC−3
’(配列番号28)(Cys変異は下線)、及びrF1チオモノクロナール抗体の重鎖リンカーを作成するために、rFlpRK.HCN53S.Al2lCF(468464)5’−CTG GTC ACA GTC TCG AGT TGC AGC ACC AAG GGC CCA TC−3’(配列番号29)及びrFlpRK.HCN53S.Al2lCR(468465)5’−GAT GGG CCC TTG GTG CTG CAA CTC GAG ACT GTG ACC AG−3’(配列番号30)(Cys変異は下線)のオリゴによる一連の部位特異的変異誘発をうけた。軽鎖V205Cと重鎖のA114Cは、変異体(図9)シーケンシングにより確認した。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】抗体F1の重鎖及び軽鎖配列。
【図2】F1抗体は、複数のグラム陽性菌由来のLTA調製物に結合する:(a)LTA調製物はシグマから入手し、マウスポリクローナル抗LTAにより捕捉ELISAで試験し、又は(b)W.フィッシャーから入手したLTA調製物を高度に精製した一式。D25、ヒト抗RSV抗体が陽性コントロールとして非特異的陰性コントロール及びマウスモノクローナル抗LTA抗体として使用された。
【図3】組換えF1抗体は、黄色ブドウ球菌に結合するが肺炎球菌には結合しない。(a)細菌は、F1抗体又はコントロールIgG(D25、ヒト抗RSV抗体)で、又は第一抗体(IgG−PEのみ)なしでインキュベートした。洗浄後、二次抗体が添加された(IgG−PE)。(b)6つの臨床分離株がF1の結合に関して2つの別々の実験で試験された。試験されたのはPVL+株(SA−1)、3つの通常株(SA−2、SA−3及びSA−4)、及び2つのMRSA株(SA−5及びSA−6)であった。
【図4】(a)rF1抗体の14種の黄色ブドウ球菌株に対する結合、(b)rF1抗体は表皮ブドウ球菌に結合するが、枯草菌(Bacillus subtilis)、フェカリス菌(Enterococcus faecalis)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)及び化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)には結合しない。
【図5】(a)rF1抗体は、異なる増殖段階でMRSAに結合する、Iso C:アイソタイプコントロール、Med;メディアコントロール(b)rF1抗体は感染した組織から分離されたMRSAと結合する。
【図6】rF1抗体はSDRタンパク質に結合する。(a)rF1又はアイソタイプコントール抗体による黄色ブドウ球菌(Wood46株)の商用タイコ酸調製物の免疫沈降(IP)と、続く、rF1抗体によるウエスタンブロット(左)及びrF1抗体に結合されたWTA調製物由来断片の質量分析(右)、(b)rF1又はコントロール抗体による黄色ブドウ球菌(USA300株)の細胞壁ライセートの免疫沈降(IP)と、続くrF1によるウエスタンブロット(左)及びrF1抗体に結合された細胞壁断片(USA300株)の質量分析(右)、(c)rF1又はアイソタイプコントロール抗体による表皮ブドウ球菌の細胞壁ライセートの免疫沈降と、続くrF1抗体によるウエスタンブロット(左)及びrF1抗体に結合された細胞壁断片の質量分析(右)。
【図7】黄色ブドウ球菌及び大腸菌で発現させたSDRタンパク質へのrF1の結合。(a)抗His(左)及びrF1(右)抗体を使用して過剰発現したHisタグClfAを含む黄色ブドウ球菌及び大腸菌のライセートのウエスタンブロット。(b)rF1(上)又は抗His(下)抗体による黄色ブドウ球菌ライセートとによるインキュベーション後のHisタグ付きClfA、ClfB、SdrC、SdrD及びSdrEを含む大腸菌ライセートのウエスタンブロット。
【図8】rF1は、黄色ブドウ球菌により発現されたSDRドメインに結合する。黄色ブロウ球菌により発現され、rF1への結合について試験されたコンストラクト(左)、抗MBP(マルトース結合タンパク質)、抗His及びrF1抗体により発現されたコンストラクトを含む黄色ブロウ球菌ライセートのウエスタンブロット(右)。
【図9】抗体rF1の重鎖A114C(a)及び軽鎖V205C(b)変異体の配列。番号付けはKabat(1991)により、囲みはCDRである。
【0104】
参考文献
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Scheeren F.A.等、Nat Immunol 6,303-313(2005)
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Weidenmaier C.等、Nat Rev Microbiol 6,276-287(2008)
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図2A−2B】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)、フェカリス菌(S.feacalis)、化膿連鎖球菌(S.pyrogen)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、及びバチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)からなる群から選択される全グラム陽性細菌に結合する能力を有するが、肺炎球菌(S.pneumonia)又はミュータンス菌(S.mutans)には結合しない単離された抗体。
【請求項2】
前記抗体がヒト型である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
黄色ブドウ球菌がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)である、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
黄色ブドウ球菌がメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)である、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
黄色ブドウ球菌が、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)である、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
抗体がラクトコッカス・ラクティス(L.lactis)、溶血性レンサ球菌(L.garvieae)、ビフィズス菌(B.bifidum)、ルテウス菌(M.luteus)、カゼイ菌(L.casei)、リゥコノストック・メゼンテロイデス(L.mesenteroides)、リステリア‐ウェルシメリ(L.welshimeri)、エンテロコッカス・ヒラエ(E.hirae)、ラクトコッカス・ラフィノラクティス(L.raffinolactis)、ミュータンス菌(S.mutans)又は肺炎球菌(S.pneumoniae)に結合しない、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
a)重鎖CDR1配列RFAMS(配列番号1)、及び
b)重鎖CDR2配列SINNGNNPYYARSVQY(配列番号2)、及び
c)重鎖CDR3配列DHPSSGWPTFDS(配列番号3)
を含む単離された抗体。
【請求項8】
更に可変軽鎖を含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
a)軽鎖CDR1配列RASENVGDWLA(配列番号4)、及び
b)軽鎖CDR2配列KTSILES(配列番号5)、及び
c)XがI又はMである軽鎖CDR3配列QHYXRFPYT(配列番号6)
を含む単離された抗体。
【請求項10】
更に可変重鎖を含む、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
a)軽鎖CDR1配列RASENVGDWLA(配列番号4)、及び
b)軽鎖CDR2配列KTSILES(配列番号5)、及び
c)XがI又はMである軽鎖CDR3配列QHYXRFPYT(配列番号6)
を更に含む請求項7に記載の抗体。
【請求項12】
軽鎖CDR3配列がQHIXRFPYT(配列番号6)である請求項9又は11に記載の抗体。
【請求項13】
軽鎖CDR3配列がQHYMRFPYT(配列番号6)である請求項9又は11に記載の抗体。
【請求項14】
抗体が、
a)EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLS(配列番号37)に対して少なくとも90%同一であるフレームワーク1(FW1);
b)WVRQAPGRGLEWVA(配列番号39)に対して少なくとも90%同一であるフレームワーク2(FW2);
c)RFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAK(配列番号41)に対して少なくとも90%同一であるフレームワーク3(FW3);
d)WGPGTLVTVSS(配列番号43)に対して少なくとも90%同一であるフレームワーク4(FW4)
を含む可変重鎖配列を含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項15】
抗体が、
a)EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLS(配列番号37)の配列を有するフレームワーク1(FW1);
b)WVRQAPGRGLEWVA(配列番号39)に対して少なくとも90%同一であるフレームワーク2(FW2);
c)RFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAK(配列番号41)の配列を有するフレームワーク3(FW3);
d)WGPGTLVTVSS(配列番号43)の配列を有するフレームワーク4(FW4)
を含む可変重鎖配列を有する、請求項14に記載の抗体。
【請求項16】
抗体が、配列
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS (配列番号7)
に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む可変重鎖配列を含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項17】
抗体が、配列
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS (配列番号7)
を有する可変重鎖配列を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項18】
抗体が、
a)DIQLTQSPSALPASVGDRVSITC(配列番号47)に対して少なくとも90%同一性を有するフレームワーク1(FW1);
b)WYRQKPGKAPNLLIY(配列番号49)に対して少なくとも90%同一性を有するフレームワーク2(FW2);
c)GVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYC(配列番号51)に対して少なくとも90%同一性を有するフレームワーク3(FW3);
d)FGQGTKLEIKRTV(配列番号53)に対して少なくとも90%同一性を有するフレームワーク4(FW4)
を含む可変軽鎖配列を有する、請求項9に記載の抗体。
【請求項19】
抗体が、
a)DIQLTQSPSALPASVGDRVSITC(配列番号47)の配列を有するフレームワーク1(FW1);
b)WYRQKPGKAPNLLIY(配列番号49)の配列を有するフレームワーク2(FW2);
c)GVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYC(配列番号51)の配列を有するフレームワーク3(FW3);
d)FGQGTKLEIKRTV(配列番号53)の配列を有するフレームワーク4(FW4)
を含む可変軽鎖配列を有する、請求項18に記載の抗体。
【請求項20】
抗体が、
a)DIQLTQSPSALPASVGDRVSITC(配列番号47)の配列を有するフレームワーク1(FW1);
b)WYRQKPGKAPNLLIY(配列番号49)の配列を有するフレームワーク2(FW2);
c)GVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYC(配列番号51)の配列を有するフレームワーク3(FW3);
d)FGQGTKVEIKRTV(配列番号59)の配列を有するフレームワーク4(FW4)
を含む可変軽鎖配列を有する、請求項18に記載の抗体。
【請求項21】
抗体が、XがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKVEIKRTV(配列番号11)
に対して少なくとも90%配列同一性を有する可変軽鎖配列を含む、請求項9に記載の抗体。
【請求項22】
抗体が、XがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKVEIKRTV(配列番号11)
を有する可変軽鎖配列を含む、請求項21に記載の抗体。
【請求項23】
抗体が、
a)配列
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS
(配列番号7)を含む可変重鎖、及び
b)XがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKVEIKRTV(配列番号11)を含む可変軽鎖
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項24】
抗体が、
a)配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号9)を含む可変重鎖、及び
b)XがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKLEIKRTV(配列番号8)を含む可変軽鎖
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項25】
抗体が、
a)配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号9)を含む可変重鎖、及び
b)XがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKLEIKRA(配列番号10)を含む可変軽鎖
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項26】
抗体が、
a)配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号9)を含む可変重鎖、及び
b)XがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKVEIKRTV(配列番号11)を含む可変軽鎖
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項27】
抗体が、
a)配列
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号7)を含む可変重鎖、及び
b)XがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKLEIKRTV(配列番号8)を含む可変軽鎖
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項28】
抗体が、
a)配列
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLSRFAMSWVRQAPGRGLEWVASINNGNNPYYARSVQYRFTVSRDVSQNTVSLQMNNLRAEDSATYFCAKDHPSSGWPTFDSWGPGTLVTVSS(配列番号7)を含む可変重鎖、及び
b)XがI又はMである配列
DIQLTQSPSALPASVGDRVSITCRASENVGDWLAWYRQKPGKAPNLLIYKTSILESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQHYXRFPYTFGQGTKLEIKRA(配列番号10)を含む可変軽鎖
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項29】
a)配列番号55の配列を含む重鎖、及び
b)配列番号57の配列を含む軽鎖
を含む、単離された抗体。
【請求項30】
a)配列番号56の配列を含む重鎖、及び
b)配列番号58の配列を含む軽鎖
を含む、単離された抗体。
【請求項31】
Kabat(1991)のアミノ酸番号付けによる可変重鎖の位置53のアスパラギンが他のアミノ酸に置換された、請求項11に記載の抗体。
【請求項32】
Kabat(1991)のアミノ酸番号付けによる位置53の前記アスパラギンがセリンに置換され、位置114のアラニンがシステインに置換され、位置222のアルギニンがリジンに置換された、請求項31に記載の抗体。
【請求項33】
Kabat(1991)のアミノ酸番号付けによる可変軽鎖の位置205のバリンがシステインに置換され、可変軽鎖の位置110のアラニンがバリンに置換され、可変軽鎖の位置104のロイシンがバリンに置換された、請求項11に記載の抗体。
【請求項34】
抗体の機能部分が単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、ナノボディ(nanobody)、ユニボディ(unibody)、単鎖可変断片(scFv)、Fab断片及びF(ab’)断片からなる群から選択される、請求項1、7、9、又は11の何れか一項に記載の抗体の機能部分を含む組成物。
【請求項35】
インビボで増殖した黄色ブドウ球菌に結合する単離された抗体。
【請求項36】
前記抗体がヒト型である、請求項35に記載の抗体。
【請求項37】
SDリピート依存性エピトープに結合する能力を持つ抗体。
【請求項38】
黄色ブドウ球菌ClfA、ClfB、SdrC、SdrD及びSdrEに結合する能力を持つ抗体。
【請求項39】
請求項11に記載の抗体とブドウ球菌属への結合に関して拮抗する能力を持つ抗体。
【請求項40】
請求項1から33及び35から39に記載の抗体の何れかをコードする、単離された、合成された又は組換え型核酸配列。
【請求項41】
配列が、重鎖CDR1配列cgctttgccatgagc(配列番号12)、重鎖CDR2配列tcgatcaataatgggaataacccatactacgcacggtcggtacaatac(配列番号13)、重鎖CDR3配列gatcaccctagtagtggctggcccacctttgactcc(配列番号14),軽鎖CDR1配列cgggccagtgaaaacgttggtgactggttggcc(配列番号15),軽鎖CDR2配列aagacatctattctagaaagt(配列番号16)及び軽鎖CDR3配列caacactatatacgtttcccgtacact(配列番号17)からなる群から選択される、重鎖CDR1、CDR2、又はCDR3又は軽鎖CDR1、CDR2、又はCDR3をコードする単離された、合成された又は組換え型の核酸配列。
【請求項42】
請求項40に記載の核酸を含む単離された細胞。
【請求項43】
請求項41に記載の核酸を含む単離された細胞。
【請求項44】
医薬として及び/又は予防薬として使用のための、請求項1から33又は35から41の何れか一項に記載の抗体又は核酸配列。
【請求項45】
グラム陽性細菌関連疾患の治療及び/又は予防のための医薬及び/又は予防薬として使用のための、請求項1から33又は35から41の何れか一項に記載の抗体又は核酸配列。
【請求項46】
グラム陽性細菌関連疾患の治療及び/又は予防のための医薬及び/又は予防薬の調製ための、請求項1から33又は35から41の何れか一項に記載の抗体又は核酸配列の使用。
【請求項47】
請求項1から33又は35から41の何れか一項に記載の抗体又は核酸配列、及び薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項48】
請求項1から33又は35から39の何れか一項に記載の抗体を産生することが可能な、単離された又は組換え型抗体を産生する細胞。
【請求項49】
請求項40から41の何れか一項に記載の核酸配列を持つ細胞を提供し、前記細胞に請求項40から41の何れか一項に記載の前記核酸配列を翻訳させ、請求項1から33又は35から39の何れか一項に記載の抗体を産生することを含む、請求項1から33又は35から39の何れか一項に記載の抗体を産生する方法。
【請求項50】
請求項1から33又は35から39の何れか一項に記載の前記抗体を回収し、精製し及び/又は単離することを更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ブドウ球菌感染症の診断のための請求項1から33又は35から41の何れか一項に記載の抗体又は核酸配列の使用。
【請求項52】
黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌を検出するための請求項1から33又は35から41の何れか一項に記載の抗体又は核酸配列の使用。
【請求項53】
ブドウ球菌感染症の診断における使用のための請求項1から33又は35から39の何れか一項に記載の抗体。
【請求項54】
請求項1から33又は35から39の何れか一項に記載の抗体を使用する、溶液から黄色ブドウ球菌及び/又は表皮ブドウ球菌を単離する方法。

【図5】
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【図6A−6B】
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【図6C】
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【図7A−7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公表番号】特表2012−533293(P2012−533293A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520555(P2012−520555)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050456
【国際公開番号】WO2011/008092
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512010904)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】