説明

グリアジンを含有する肌引き締め調合剤

本発明は、クリームまたはローションの基材とともに本質的にグリアジンからなるある量の肌引き締め剤を含有する、人間の肌用の調合剤に関する。クリーム、ローション、顔用マスクおよび日焼け止め剤のような製品が調製され、所望の肌の引き締めまたは抗しわの効果を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、肌の引き締めまたは抗しわの効果を有する、化粧品タイプの調合剤に広く関する。特に、本発明は、通常オイル、乳化剤、増粘剤および水をそれぞれのある量で有するクレームまたはローションの基材とともに、本質的にグリアジンからなる肌引き締め剤を含有する調合剤に関する。本発明の調合剤は、著しい肌の引き締め効果を発揮することが示されている。
【背景技術】
【0002】
背景技術の説明
多くの化粧品または同様な調合剤が従来クリームまたはローションの形態で開発されている。これらの調合物には意図された効果によってその構成にかなりの違いがある。特許文献1は低揮発性有機化合物(VOC)レベルを有する、グリアジン−含有のヘアスプレーを記載している。同様に、特許文献2はグリアジンを含む多くの化粧品調合物、例えば、シャンプー、コンディショナー、スタイリングジェル、日焼け止め剤、シェービングクリーム並びにバスおよびシャワージェルを公表している。特許文献3は、肌のきめを柔らかくし改善し、表皮に水分を与えおよび肌のしわを減らすことを目的として、少量のギベレリン酸およびリシンを含む、液体またはエマルションタイプの化粧品調合剤を示している。また、特許文献3はギベレリン酸およびリシンを含む調合剤がさらに少量のグリアジンで補われてもよいことを示している。
【0003】
グリアジンは、平均分子量が約30,000〜40,000の単鎖のタンパク質であり、pH4.0〜5.0で等電点を有する。グリアジンは小麦グルテンの分留によって得ることができ、貴重な製品と考えられる。グリアジンは凍ったパン生地の凍結融解安定性を改善し、さらにマイクロ波安定性を改善することが知られている。また、その製品はチューイングガムの基材の代用品、医薬品の結合剤として、および、軟膏剤の肌触りや口当たりを改善するために使用されており、このようにグリアジンは確かに化粧品製品に使用されているが、しかし、ヘアスプレーまたは同様な組成物においては有用性が見出されていない。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,780,013号明細書
【特許文献2】米国特許第5,945,086号明細書
【特許文献3】米国特許第4,518,614号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
本発明は、著しい、肌の引き締めおよび抗しわの効果を与えることを目的とする、肌用の改良された調合剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概略的に、本発明の調合剤は、さまざまな特定成分を含んだクリームまたはローションの基材とともに、本質的にグリアジンからなるある量の肌引き締め剤を含有するものである。上述の特許文献3において必要とされているギベレリン酸およびリシンのような成分を添加することなしに、グリアジン自身が化粧品タイプの調合剤において好ましい肌の引き締め効果を与えることが見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
より詳細には、調合剤の基材は、通常、オイル、乳化剤、増粘剤および水をそれぞれある量で含有し、一般的にその濃度は、オイルが約2〜6質量%、乳化剤が約3〜10質量%、増粘剤が約0.01〜4質量%および水が約65〜90質量%である。より好ましい基材は、約3〜5質量%のオイル、約5〜7質量%の乳化剤、約0.1〜2質量%の増粘剤および約70〜80質量%の水を含有する。本発明の最終的な調合剤は、通常、TB軸を用いた25℃および5rpmで、約20,000〜50,000cpsのブルックフィールド粘度を有する。
【0008】
本発明の調合剤に使用されている肌引き締め剤は、本質的にグリアジンからなり、グリアジンは、通常約0.5〜7質量%の程度で、より好ましくは約1.5〜5質量%存在する。最も好ましいグリアジンは、高純度化された小麦由来のグリアジンである。
また、本発明の調合剤は、湿潤剤、皮膚軟化剤、肌調整剤、日焼け止め剤、pH調節剤、香料および抗菌性成分からなる群から選ばれるような、さまざまな他の基材成分を含有することができる。これらは、通常従来の、当業者に知られている濃度で使用される。
【0009】
多くの化粧品または化粧品タイプの調合剤は、本発明にしたがって調製されうる。したがって、スキンクリーム、顔用マスク、シェーブクリームおよび日焼け止め剤からなる群から選ばれる調合剤は、すべて容易に作られうる。このような製品の使用は、肌への適用を含み、その最も有益な成果は、肌の上に長期間、少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも4時間置かれるように設計されている、クリームまたはその類似物において達成されている。
【0010】
好ましい態様の詳細な説明
以下の実施例は、本発明の好ましい肌の引き締めおよびその肌引き締め効果の測定方法を説明する。しかしながら、これらの実施例は実例として提供されるものであり、何ら本発明の全体の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0011】
実施例1
スキンクリームは以下の成分を含有して調製された。
【0012】
【表1】

【0013】
初めに相Aの成分が蒸留水、次に残りの成分の順で好適な第1タンクに入れられ、相Aの混合物はすべてのカーボマーが溶液中に存在するように、75℃に加熱、混合された。次に、相Bの成分が第2タンクに量り入れられ75℃に加熱された。相Bの混合物は75℃で相Aの混合物に添加された。相A/相Bの混合物は冷却され、50〜55℃で相Cの成分が添加された。温度が35℃に達したとき、相Dおよび相Eの成分が添加された。温度が25℃に達したとき、相Fのグリアジンが混合物とかくはんされながらゆっくりと混ぜられて、滑らかなクリームが得られた。
比較として、相Fのグリアジンが添加されない以外は、表1のものと同様のスキンクリームが調製された。
【0014】
グリアジンを含有しない対照に対するグリアジン含有組成物の肌引き締め効果を試験するために、図1に模式的に示されるタイプの装置10が使用された。装置10は、一般的なインストロン機器に見られるタイプのクロスヘッド12と、クロスヘッド12に固定された直立の支柱14とを具備する。1対の肌を保持するクランプ16および18は、1対の中間ローラー20、22および固定された低位置のクランプ24とともに支柱14に支えられている。加熱台26がローラー20、22の下に配置され、加熱台26は示されているように熱電対28を具備する。電気的な温度制御器30はクロスヘッド12に支持され、制御された加熱を提供するため加熱台26および熱電対28に機能的に接続されている。最後に、クランプ16に接続された検出器32が通常のロードセル34と連結されている。装置10は試験の目的のために、1枚の生体外の皮膚36を保持するように設計されている。
【0015】
より詳細には、上述の調合剤の比較試験は、1枚の帯状の人工皮膚(9.5cm×2.0cm)を準備することが含まれており、人工皮膚はローラー20、22に掛けられ、クランプ16、18および24によってその位置に保持されている。この例において、人工皮膚はコネチカット州ミリフォードのIMS,Inc.社から入手され、65%相対湿度および21℃の環境温度で1晩平衡状態とされたものが使用された。帯状皮膚の有効範囲はローラー20、22の間の領域の、およそ2.5cm×2.0cmであった。温度制御器30、加熱台26および熱電対28はローラーの間の帯状皮膚の温度を体温である約38℃に維持するように使用された。
【0016】
最初に、小さな張力が基体に加えられ、小さなロードセル出力を引き起こした。この力が横ばいになったときに、各調合剤がつけられ、ロードセルの出力の増加(収縮力か何かのため)が時間との相関として記録された。3回の反復がグリアジン含有調合剤および対照調合剤を使用して行われた。
それぞれの試験調合剤は基体をやわらかくし、したがってロードセルの出力の減少が初期に観察された。対照調合剤について、力は初期の減少ののち増加し、次の3時間以内に横ばいとなった。対照調合剤の反復測定は終期の力が初期の力よりも小さいことを証明し、これは基体が対照調合剤の適用でやわらかくなったことを示している。グリアジン含有調合剤の適用後は最も高い収縮力が2〜3時間以内に得られ、それは初期の力と比べると60〜70g高かった。それから力は減少し少なくとも次の8時間は一定となった。8時間後の終期の力とグリアジン含有調合剤の適用前の初期の力との間の違いは、すべての3回の反復において実証されている(15〜30gの間)。これは生体外の皮膚の収縮を立証している。次の表2は、3回の反復に対するこれらの初期および適用後の力の平均を示し、データは数百のデータポイントの平均を表す。
【0017】
【表2】

【0018】
このように、これらの試験は、グリアジン含有調合剤が体温で維持された人工の生体外皮膚に顕著な肌引き締め効果を生じさせ、その最大の効果は約5〜6時間後にあげられることを証明した。そのような収縮力はグリアジンを含有しない対照では見られなかった。
【0019】
実施例2
この実施例では、以下の成分を含む滑らかなシェーブクリームが調製された。
【0020】
【表3】

【0021】
まず、相Aの成分が混合され、75℃に加熱された。相Bの成分が別々にこの同じ温度に加熱され、かくはんしながら相Aと混合された。相Cの成分が20%の脱イオン化水とあらかじめ混合され、かくはんしながら相A/相B混合物に添加された。得られた混合物は35℃に冷やされて、相Dの成分の混合物が相Eの成分とともに添加された。最後に、25℃で、相Fの成分が添加された。
【0022】
実施例3
この実施例では、表4に示されている成分を有する顔用マスクが調製された。
【0023】
【表4】

【0024】
調製の手順において、相Aの成分は第1タンクで、すべてのカーボマーが溶液中に存在するように、75℃に加熱、混合された。相Bの成分すべてが第2タンクで混合され75℃に加熱された。相Bはかくはんしながら相Aに添加された。次に相Cの成分が相A/相Bの混合物に添加された。得られた混合物は冷やされて、35℃で相Dの成分がかくはんしながら添加された。相Eの成分はあらかじめ混合され、25℃で混合物に添加された。得られたマスクは、目および口の範囲を避けて顔および首に適用することにより使用される。10〜15分後、マスクは温水で洗い流され除去される。
【0025】
実施例4
この実施例では、表5の成分を含有する、抗しわ効果の日焼け止め剤が調製された。
【0026】
【表5】

【0027】
日焼け止め剤は、まず、蒸留水を第1タンクに添加し、次に残りの相Aの成分を加え、75℃に加熱し、すべてのカーボマーが溶液中に存在するまで混合することによって調製された。次に、相Bの成分が第2タンクで混合され75℃に加熱された。相A/相Bの混合物は冷やされてかくはんされながら、50〜55℃で、相Cの成分が添加された。さらに冷却、かくはんされながら、相Dおよび相Eの成分が35℃で添加された。最後に、25℃で、グリアジンがゆっくり添加され、滑らかなクリーム調合剤が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明による組成物の肌引き締め効果を測定するために使用された試験装置の模式的な図である。
【図2】図2は、本発明によるグリアジン含有調合剤を使用している肌引き締め試験の結果を示す、力対時間のグラフである。
【図3】図3は、図2と同様に力対時間のグラフであるが、効果の説明をするためにグリアジンがない対照の調合剤を使用している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリームまたはローションの基材を含有する肌用調合剤であって、本質的にグリアジンからなるある量の肌引き締め剤を含有することを特徴とする肌用の調合剤。
【請求項2】
前記基材が、それぞれのある量の、オイル、乳化剤、増粘剤および水を含む請求項1に記載の調合剤。
【請求項3】
前記オイルが約2〜6質量%の濃度で存在し、前記乳化剤が約3〜10質量%の濃度で存在し、前記増粘剤が約0.01〜4質量%の濃度で存在しおよび前記水が約65〜90質量%の濃度で存在する請求項2に記載の調合剤。
【請求項4】
TB軸を用いた25℃および5rpmでのブルックフィールド粘度が、約20,000〜50,000cpsである請求項1に記載の調合剤。
【請求項5】
前記グリアジンが、約0.5〜7質量%の濃度で存在する請求項1に記載の調合剤。
【請求項6】
前記濃度が、約1.5〜5質量%である請求項5に記載の調合剤。
【請求項7】
前記基材が、さらに、湿潤剤、皮膚軟化剤、肌調整剤、日焼け止め剤、pH調節剤、香料および抗菌性成分からなる群から選ばれる成分を含む請求項1に記載の調合剤。
【請求項8】
スキンクリーム、顔用マスク、シェーブクリームおよび日焼け止め剤からなる群から選ばれる請求項1に記載の調合剤。
【請求項9】
請求項1に記載の調合剤のある量を肌に適用する工程を具備する肌の引き締め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−525435(P2007−525435A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507428(P2006−507428)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/008640
【国際公開番号】WO2004/093837
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505367121)
【Fターム(参考)】