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グリコールの判別方法
説明

グリコールの判別方法

【課題】バイオマス資源から製造したグリコール化合物と化石資源から製造したグリコール化合物と外観上同じものであり、一見区別がつかない。このため、化石資源から製造したグリコール化合物を、バイオマス資源から製造したグリコールと間違って使用する可能性がある。
【解決手段】本発明は、バイオマス資源から製造したグリコールの判別方法であって、グリコール中の14Cの濃度比がmodern reference standardに対して50.0pMC以上であることを特徴とするグリコールの判別方法であり、当該方法によって上記課題を解決する事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス資源から製造したグリコール化合物の割合が50重量%以上であることを判別方法に関するものであり、詳しくは、得られるグリコール化合物中のmodern reference standardに対する14Cの濃度比が50.0pMC以上であることを特徴とするグリコール化合物の判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリコール化合物は、そのほとんどが石油、天然ガス及び石炭などの化石資源を原料として製造されている。近年、化石資源の枯渇化の資源問題や二酸化炭素濃度の増加による地球環境への懸念から、化学原料をバイオマス資源から変換する方法に対して注目が集まっている。
【0003】
化石資源を原料とせず、バイオマス資源からグリコール化合物を製造する方法として、トウモロコシを原料として、発酵方法により1,3−プロパンジオールを製造する方法(例えば特許文献1参照。)、バイオマス資源(グリセロールなど)を原料として化学変換処理により、エチレングリコールと1,2−プロパンジオールを製造する方法が開発されてきた(例えば非特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、バイオマス資源から製造したグリコール化合物は、化石資源から製造したグリコール化合物と外観上が同じであり、基本的な物理物性・化学物性が同じものである。従って、グリコール化合物及びグリコール化合物を原料とした製品において、バイオマス由来のものかどうか判別できないという問題点がある。
【0005】
【特許文献1】特表平10−507082号公報
【非特許文献1】HYDROCARBON PROCESSING、FEBRURY 2006、87−92
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術が有していた問題点を解決し、バイオマス資源から製造したグリコール化合物を化石資源から製造したグリコール化合物と簡易な方法で判別する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記従来技術に鑑み、鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、バイオマス資源から製造したグリコール化合物の割合が約50重量%以上であることの判別方法において、グリコール中の14Cの濃度比がmodern reference standardに対して50.0pMC(percent Modern Carbon)以上であることを特徴とするグリコールの判別方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の判別方法によれば、外観上同じものであり一見区別がつかないバイオマス資源から製造したグリコール化合物と化石資源から製造したグリコール化合物とを判別する事ができる。より詳細には、加速器質量分析法を採用することにより、簡易に且つ高感度で14C含有量を測定し、バイオマス資源から製造されたグリコール化合物か簡易に判定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、バイオマス資源とは太陽エネルギーを使い、水と二酸化炭素から生成される再生可能な生物由来のカーボンニュートラルな有機性資源を指し、化石資源を除く。バイオマス資源はその発生形態から廃棄物系、未利用系、資源作物系の3種に分類される。バイオマス資源は具体的には、セルロース系作物(パルプ、ケナフ、麦わら、稲わら、古紙、製紙残渣など)、リグニン、木炭、堆肥、天然ゴム、綿花、サトウキビ、油脂(菜種油、綿実油、大豆油、ココナッツ油など)、グリセロール、炭水化物系作物(トウモロコシ、イモ類、小麦、米、キャッサバなど)、バガス、テルペン系化合物、パルプ黒液、生ごみ、排水汚泥などが挙げられる。また、バイオマス資源からグリコール化合物を製造する方法は、特に限定はされないが、菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、又は微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法が挙げられる。
【0010】
バイオマス資源から生成されるグリコール化合物とは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール又は1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。好ましくはこれらのグリコール化合物の中で工業的に最も多量に用いられているエチレングリコールである。
【0011】
バイオマス資源からグリコール化合物に変換する方法としては、バイオマス資源から、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、グルコール、フルクトース又はセルロースなどに変換し、さらに触媒を用いて水素化熱分解反応により、エチレングリコールと1,2−プロパンジオールの混合物を生成する。又はサトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、更に、エチレンオキサイドを経て、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールの混合物を生成する方法などが挙げられる。
【0012】
本発明の実施方法は、バイオマス資源、或いは化石資源から製造されたグリコール化合物に対して、グリコール化合物中に含まれる放射性炭素である14Cの濃度を測定する方法(放射性炭素濃度測定)である。
【0013】
14Cの濃度測定は、タンデム加速器と質量分析計を組合せた加速器質量分析法(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)によって、分析する試料に含まれる炭素の同位体(具体的には12C、13C、14Cが挙げられる。)を加速器により原子の重量差を利用して物理的に分離し、同位体の原子一つ一つの存在量を計測する方法である。
【0014】
炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素等が植物等に取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊しており、21世紀である現在は全く含まれていない。故にこれらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも14C元素は全く含まれていない。一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とがバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。
【0015】
一方、大気中の二酸化炭素が植物やそれを食する動物などに取り込まれて固定化された場合には、その取り込まれた状態では、14Cは新たに補充されることなく、14Cの半減期に従って、時間の経過とともに14C濃度は一定の割合で低下する。このため、グリコール化合物中の14C濃度を分析することにより、化石資源を原料としたものか、或いはバイオマス資源を原料にしたグリコール化合物か簡易に判別することが可能となる。またこの14C濃度は1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度をmodern standard referenceとし、この14C濃度を100%とする基準を用いる事が通常行われる。現在のこのようにして測定される14C濃度は約110pMC(percent Modern Carbon)前後の値であり、仮に試料として用いられているプラスチック等が100%天然系(生物系)由来の物質で製造されたものであれば、110pMC程度の値を示すことが知られている。一方石油系(化石系)由来の物質を用いてこの14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMCを示す。これらの値を利用して天然由来系−化石由来系の混合比を算出する事が出来る様になる。更にこの14C濃度の基準となるmodern standard referenceとしてはNIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準・技術研究所)が発行した蓚酸標準体を用いる事が好ましく採用する事が出来る。この蓚酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値に補正して、西暦1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14C濃度濃度の値として用いている。
【0016】
グリコール化合物中の14C濃度の分析方法は、まずグリコール化合物の前処理が必要となる。具体的にはグリコール化合物に含まれる炭素を酸化処理し、すべて二酸化炭素へと変換する。更に、得られた二酸化炭素を水や窒素と分離し、二酸化炭素を還元処理し、固形炭素であるグラファイトへと変換する。この得られたグラファイトにCsなどの陽イオンを照射して炭素の負イオンを生成させ、タンデム加速器を用いて炭素イオンを加速し、負イオンから陽イオンへ荷電変換させ、質量分析電磁石により123+133+143+の進行する軌道を分離し、143+は静電分析器により測定を行う。
【実施例】
【0017】
以下、実施例により本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定を受けるものではない。尚実施例及び比較例において「部」と称しているものは重量部を表す。また化石資源から製造したグリコール化合物とは、通常工業的に製造されている石油、天然ガス又は石炭などの化石資源を原料として製造されたグリコール化合物を指す。
【0018】
(1)14C濃度(pMC:percent Modern Carbon)
1950年時点の循環炭素中の14Cを基準(100%)として、濃度比較を行った。
【0019】
〔実施例1、比較例1〕
バイオマス資源から製造したエチレングリコールと化石資源から製造したエチレングリコールを、それぞれ別々に10重量部ずつ採取し、グラファイトに変換し加速器質量分析法により分析を行った。その結果、バイオマス資源から製造したエチレングリコールは、107.44pMCであり(実施例1)、一方、化石資源から製造したエチレングリコールは、<0.06pMCであった(比較例1)。
【0020】
〔実施例2〕
バイオマス資源から製造したエチレングリコール50%と化石資源から製造したエチレングリコールを等量混合し、その混合物から10重量部採取した。また、化石資源から製造したエチレングリコールも同様に10重量部採取し、実施例1と同様に分析を行った。その結果、バイオマス資源と化石資源から製造したエチレングリコールは、53.2pMCであり、一方、化石資源から製造したエチレングリコールは、<0.06pMCであった。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明により、バイオマス資源から製造したグリコール化合物と化石資源から製造したグリコール化合物を簡易な方法で判別する方法を提供することにより、バイオマス資源のより効果的な利用が促進することができ、その工業的な意義は大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス資源から製造したグリコールの判別方法であって、グリコール中の14Cの濃度比がmodern reference standardに対して50.0pMC以上であることを特徴とするグリコールの判別方法。
【請求項2】
グリコールがエチレングリコールであることを特徴とする請求項1記載のグリコールの判別方法。
【請求項3】
modern reference standardは1950年時点の循環炭素中の14C濃度が基準(100%)であることを特徴とする請求項1又は2記載のグリコールの判別方法。
【請求項4】
modern reference standardは米国国立標準・技術研究所が発行した蓚酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載グリコールの判別方法。

【公開番号】特開2009−128283(P2009−128283A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305704(P2007−305704)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】