説明

グリコール酸エステルの製造方法

【課題】原料として植物由来のグリコール酸含有割合が比較的低いグリコール酸含有水溶液を用いる場合であっても、グリコール酸エステルの含有割合が高い、すなわち純度の高いグリコール酸エステルを簡易に得ることができる方法を提供する。
【解決手段】下記の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を経てグリコール酸エステルを製造した。
第1工程:グリコール酸含有水溶液にアンモニアを加えてグリコール酸アンモニウム含有水溶液を得る工程
第2工程:グリコール酸アンモニウム含有水溶液に炭素数4のモノアルコール及び/又は炭素数5のモノアルコールを加え、加熱して共沸により水を除去した後、冷却してグリコール酸アンモニウムの結晶を得る工程
第3工程:グリコール酸アンモニウムの結晶に1級アルコールを加え、還流下に加熱して反応させた後、冷却して、未反応のグリコール酸アンモニウムの結晶を除去し、グリコール酸エステルの1級アルコール溶液を得る工程
第4工程:グリコール酸エステルの1級アルコール溶液から1級アルコールを除去してグリコール酸エステルを得る工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグリコール酸エステルの製造方法に関する。ボイラーや半導体等の洗浄剤、メッキ用添加剤、エッチング剤、皮なめし剤、化粧品用添加剤、洗剤のビルダー、生分解性ポリマーの製造のための中間体等として、グリコール酸エステルが広く使用されている。本発明は、かかるグリコール酸エステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グリコール酸エステルは一般に、植物由来のグリコール酸含有水溶液から製造されている。しかし、植物由来のグリコール酸含有水溶液はグリコール酸の含有割合が比較的低く、これを原料として用いると、結果としてグリコール酸エステルの含有割合が高いもの、言い替えれば純度の高いグリコール酸エステルを得ることが難しいという問題がある。純度の高いグリコール酸エステルを得るため、原料として用いるグリコール酸含有水溶液を加熱して水を蒸発させ、相対的にグリコール酸の含有割合を高めることも試みられているが、このようにすると、グリコール酸の二量体や三量体以上のオリゴマーが生じ、結果として純度の高いグリコール酸エステルを得ることが難しい。
【0003】
グリコール酸エステルの製造方法としては、シュウ酸ジエステルを特定の触媒の存在下で水素化する方法も提案されており、かかる触媒として、炭酸第二銅とクロム酸から得られたものを用いる方法(例えば、特許文献1参照)、ルテニウム、ニッケル及びラネーニッケルを用いる方法(例えば、特許文献2参照)、銅のアミン錯体をシリカ担体に担持したものを用いる方法(例えば、特許文献3参照)、銀、金、ルテニウム又はパラジウム等を担持したものを用いる方法(例えば、特許文献4〜6参照)等が提案されているが、いずれも工業的に充分に純度の高いグリコール酸エステルを得るには到っていないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭53−23911号公報
【特許文献2】特開昭55−40685号公報
【特許文献3】特開昭57−180432号公報
【特許文献4】特開昭57−123143号公報
【特許文献5】特開平6−135895号公報
【特許文献6】特開2004−43385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、原料として植物由来のグリコール酸含有割合が比較的低いグリコール酸含有水溶液を用いる場合であっても、グリコール酸エステルの含有割合が高い、すなわち純度の高いグリコール酸エステルを簡易に得ることができる方法を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく研究した結果、グリコール酸含有割合が比較的低いグリコール酸含有水溶液から純度の高いグリコール酸エステルを得る方法としては、特定の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を経る方法が正しく好適であることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、下記の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を経ることを特徴とするグリコール酸エステルの製造方法に係る。
【0008】
第1工程:グリコール酸含有水溶液にアンモニアを加えてグリコール酸アンモニウム含有水溶液を得る工程
【0009】
第2工程:グリコール酸アンモニウム含有水溶液に炭素数4のモノアルコール及び/又は炭素数5のモノアルコールを加え、加熱して共沸により水を除去した後、冷却してグリコール酸アンモニウムの結晶を得る工程
【0010】
第3工程:グリコール酸アンモニウムの結晶に1級アルコールを加え、還流下に加熱して反応させた後、冷却して、未反応のグリコール酸アンモニウムの結晶を除去し、グリコール酸エステルの1級アルコール溶液を得る工程
【0011】
第4工程:グリコール酸エステルの1級アルコール溶液から1級アルコールを除去してグリコール酸エステルを得る工程
【0012】
本発明に係るグリコール酸エステルの製造方法(以下、本発明の製造方法という)は、特定の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を経て、グリコール酸含有水溶液からグリコール酸エステルを得る方法である。
【0013】
第1工程はグリコール酸含有水溶液にアンモニアを加えてグリコール酸アンモニウム含有水溶液を得る工程である。グリコール酸含有水溶液としては、グリコール酸の含有割合が80質量%以下である植物由来の工業用グレードのものも使用できる。かかるグリコール酸含有水溶液にアンモニアを加える方法は特に制限されないが、アンモニアガスとして加圧しながらグリコール酸含有水溶液に吹き込む方法やアンモニア水としてグリコール酸含有水溶液に添加する方法が好ましい。このとき、グリコール酸の二量体やオリゴマーの発生を防ぐため、グリコール酸含有水溶液の温度を撹拌しながら60℃以下に保つのが好ましく、40℃以下に保つのがより好ましい。また加えるアンモニアの量はグリコール酸含有水溶液中のグリコール酸に対し、通常0.5〜1.5等量とするが、好ましくは0.8〜1.2等量とする。またアンモニア水として使用する場合のアンモニアの濃度は、通常5〜35質量%とするが、好ましくは15〜30質量%とする。アンモニアを加えた後、1時間以上室温下で撹拌して反応を充分進行させることが好ましい。
【0014】
第2工程は、第1工程で得たグリコール酸アンモニウム含有水溶液に炭素数4のモノアルコール及び/又は炭素数5のモノアルコールを加え、加熱して共沸により水を除去した後、冷却してからグリコール酸アンモニウムの結晶を得る工程である。
【0015】
炭素数4のモノアルコール及び炭素数5のモノアルコールとしては、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−メチル−1−ブタノール,2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール等が挙げられる。なかでも水に対する溶解度の低いものが好ましく、1−ブタノールが特に好ましい。モノアルコールの使用量は、グリコール酸アンモニウム含有水溶液中のグリコール酸アンモニウム1モルに対し、通常は1〜10モルとするが、好ましくは1.5〜4モルとする。
【0016】
第2工程では、グリコール酸アンモニウム含有水溶液に前記のモノアルコールを加え、加熱して共沸させ、共沸混合物を冷却して、分離した水を除去したものを再度グリコール酸アンモニウム水溶液に還流するという操作を繰り返して水を除去する。水を除去したものを冷却してからグリコール酸アンモニウムの結晶を得る。
【0017】
第3工程は、第2工程で得たグリコール酸アンモニウムの結晶に1級アルコールを加え、還流下に加熱して反応させた後、冷却して、未反応のグリコール酸アンモニウムの結晶を除去し、グリコール酸エステルのアルコール溶液を得る工程である。
【0018】
加える1級アルコールの量は特に制限されないが、グリコール酸エステルの生成率を高めるため、グリコール酸アンモニウム/1級アルコール=1/1〜1/10(モル比)の割合となるよう1級アルコールを加えるのが好ましい。加える1級アルコールに特に制限はなく、2価以上の1級アルコールでもよいが、かかる1級アルコールとしては、1)メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール等の炭素数1〜10の脂肪族1価アルコール、2)1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等の炭素数2〜10の脂肪族多価アルコール、3)アリルアルコール、メタリルアルコール等の炭素数3〜10の脂肪族不飽和アルコール、及び4)ベンジルアルコール等の芳香環を有するアルコール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール等の炭素数1〜4の脂肪族1価アルコールが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール等の低沸点の脂肪族1価アルコールが特に好ましい。これらは一つ又は二つ以上を用いることができる。
【0019】
還流下に加熱して反応させる条件としては、反応圧力は制限されることなく常圧下とすることができ、また反応温度は通常は100〜170℃、好ましくは120〜150℃とすることができ、更に反応時間は還流開始後で通常は5〜20時間、好ましくは6〜14時間とすることができる。反応時間が短い場合には反応の進行が充分でなく、長すぎる場合にはサイクルタイムが長くなって生産効率が落ちる。反応終了後に反応系を30〜5℃まで冷却し、未反応のグリコール酸アンモニウムを結晶として析出させ、これを濾過等により除去して、グリコール酸エステルのアルコール溶液を得る。除去した未反応のグリコール酸アンモニウムの結晶は再利用することができる。
【0020】
第4工程は、第3工程で得たグリコール酸エステルの1級アルコール溶液から1級アルコールを除去してグリコール酸エステルを得る工程である。
【0021】
第3工程で得たグリコール酸エステルの1級アルコール溶液からこれを減圧下に40〜100℃、好ましくは50〜90℃の温度に加熱して1級アルコールを蒸発除去する。これにより純度95質量%以上のグリコール酸エステルを得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の製造方法によると、原料として植物由来のグリコール酸含有割合が比較的低いグリコール酸含有水溶液を用いる場合であっても、グリコール酸エステルの含有割合が高い、すなわち純度の高いグリコール酸エステルを簡易に得ることができる。
【0023】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【実施例】
【0024】
・実施例1
次の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を経て純度95%以上のグリコール酸ブチルを得た。
第1工程:冷却管、検水管付き還流管、撹拌機、滴下ロート及び窒素導入管を備えた4口フラスコに純度70%の工業用グリコール酸含有水溶液(デュポン社製)333.3g(3.07モル)を仕込み、室温で撹拌しながら、滴下ロートからアンモニア水(濃度25%)209.0g(3.07モル)を、40℃以下の液温を保つように冷却しながらゆっくり滴下した。滴下終了後、室温下で2時間撹拌してグリコール酸アンモニウム含有水溶液を得た。
【0025】
第2工程:第1工程で得たグリコール酸アンモニウム含有水溶液に、撹拌しながら滴下ロートから1‐ブタノール682.5g(9.2モル)を加えて混合した。引き続き撹拌しながら加熱して水と1−ブタノールを共沸させ、共沸混合物から分離した水を検水管から除去した。かくして水を除去した1−ブタノール溶液を5℃まで冷却し、グリコール酸アンモニウムを結晶として析出させ、濾過してグリコール酸アンモニウムの結晶を得た。このグリコール酸アンモニウムの結晶をH−NMRにより同定した結果は以下の通りであった。メチレン基(2H;δ3.75ppm)、水酸基(1H;δ5.4ppm)、アンモニア基(4H;δ7.2ppm)
【0026】
第3工程:第2工程で得たグリコール酸アンモニウムの結晶280g(3.01モル)及び1級アルコールとして1−ブタノール669.1g(9.03モル)を冷却管付き還流管、撹拌機、窒素導入管及び希硫酸トラップに接続された排気ラインを備えた4口フラスコに仕込み、この混合物を窒素雰因気下で撹拌しながら120〜130℃の温度で8時間、還流下に加熱して反応させた。反応終了後、混合物を5℃まで冷却し、未反応のグリコール酸アンモニウムの結晶を析出させ、濾過によりグリコール酸アンモニウムの結晶52.1g(0.56モル)を除去して、グリコール酸エステルの1−ブタノール溶液を得た。
【0027】
第4工程:第3工程で得たグリコール酸エステルの1−ブタノール溶液を減圧下に80〜90℃の温度で加熱して1−ブタノールを除去し、グリコール酸ブチルを得た。このグリコール酸ブチルをNMRにより同定した結果は以下の通りであった。純度95%以上のグリコール酸ブチル302.3g(2.29モル)、メチル基(3H;δ0.85ppm)、メチレン基(2H;δ1.3ppm、2H;δ1.5ppm、2H;δ2.95ppm、2H;δ4.1ppm)、水酸基(1H;δ5.4ppm)
【0028】
・実施例2
次の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を経て純度95%以上のグリコール酸エチルを得た。
第1工程及び第2工程:実施例1の第1工程及び第2工程と同様にしてグリコール酸アンモニウムの結晶を得た。
【0029】
第3工程:第2工程で得たグリコール酸アンモニウムの結晶280g(3.01モル)及び1級アルコールとしてエタノール208.2g(4.52モル)を冷却管付き還流管、撹拌機、窒素導入管および希硫酸トラップに接続された排気ラインを備えた4口フラスコを仕込み、この混合物を窒素雰因気下で撹拌しながら120〜130℃の温度で10時間、還流下に加熱して反応させた。反応終了後、混合物を5℃まで冷却し、未反応のグリコール酸アンモニウムの結晶を析出させ、濾過によりグリコール酸アンモニウムの結晶56.8g(0.61モル)を除去して、グリコール酸エステルのエタノール溶液を得た。
【0030】
第4工程:第3工程で得たグリコール酸エステルのエタノール溶液を減圧下に50〜70℃の温度で加熱して、エタノールを除去し、グリコール酸エチルを得た。このグリコール酸エチルをNMRにより同定した結果は以下の通りであった。純度95%以上のグリコール酸エチル206.1g(1.98モル)、メチル基(3H;δ1.3ppm)、メチレン基(2H;δ4.15ppm、2H;δ4.2ppm)、水酸基(1H;δ3.1ppm)。
【0031】
・実施例3
次の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を経て純度95%以上のグリコール酸メチルを得た。
第1工程:冷却管、検水管付き還流管、撹拌機、滴下ロート及び窒素導入管を備えた4口フラスコに純度70%の工業用グリコール酸含有水溶液(デュポン社製)333.3g(3.07モル)を仕込み、室温で撹拌しながら、窒素導入管からアンモニアガスを、40℃以下の液温を保つように冷却しながら、反応溶液が中和されるまでゆっくり吹き込んだ。アンモニアガスの吹き込み終了後、室温下で2時間撹拌してグリコール酸アンモニウム含有水溶液を得た。
【0032】
第2工程:第1工程で得たグリコール酸アンモニウム含有水溶液に、撹拌しながら滴下ロートから1−ブタノール682.5g(9.2モル)を加えて混合した。引き続き撹拌しながら加熱して水と1−ブタノールを共沸させ、共沸混合物から分離した水を検水管から除去した。かくして水を除去した1−ブタノール溶液を5℃まで冷却し、グリコール酸アンモニウムを結晶として析出させ、濾過してグリコール酸アンモニウムの結晶を得た。このグリコール酸アンモニウムの結晶をH−NMRにより同定した結果は以下の通りであった。メチレン基(2H;δ3.75ppm)、水酸基(1H;δ5.4ppm)、アンモニア基(4H;δ7.2ppm)
【0033】
第3工程:第2工程で得たグリコール酸アンモニウムの結晶280g(3.01モル)及び1級アルコールとしてメタノール144.8g(4.52モル)を冷却管付き還流管、撹拌機、窒素導入管及び希硫酸トラップに接続された排気ラインを備えた4口フラスコを仕込み、この混合物を窒素雰因気下で撹拌しながら120〜130℃の温度で10時間、還流下に加熱して反応させた。反応終了後、混合物を5℃まで冷却し、未反応のグリコール酸アンモニウムの結晶を析出させ、濾過によりグリコール酸アンモニウムの結晶62.4g(0.67モル)を除去して、グリコール酸エステルの1−ブタノール溶液を得た。
【0034】
第4工程:第3工程で得たグリコール酸エステルの1−ブタノール溶液を減圧下に50〜70℃の温度で加熱して1−ブタノールを除去し、グリコール酸ブチルを得たこのグリコール酸ブチルをNMRにより同定した結果は以下の通りであった。純度95%以上のグリコール酸メチル168.4g(1.87モル)、メチル基(3H;δ3.8ppm)、メチレン基(2H;δ4.2ppm、2H;δ4.2ppm)
【0035】
・比較例1
純度99%のグリコール酸(デュポン社製)228.2g(3モル)、1−ブタノール669.1g(9モル)及び触媒として硫酸0.8g(8.2ミリモル)を実施例1と同じ4口フラスコに仕込み、この混合物を窒素雰因気下で撹拌しながら120〜130℃の温度で10時間、還流下に加熱して反応させた。反応中、1−ブタノールと水との共沸混合物から分離した水を検水管から除去した。得られた1−ブタノール溶液をNMRにより同定した結果、グリコール酸ブチルの純度は10%以下であった。
【0036】
・比較例2
純度70%の工業用グリコール酸含有水溶液(デュポン社製)5.43g、1−ブタノール20.9g、酵素(Novozym435)1.28g及びモルキュラーシーブ0.7gをガラス容器に入れて、振盪させながら48時間反応させた。得られた溶液の収率は44%であり、その溶液中のグリコール酸ブチルの純度はNMRのデータより58%であった。なお、反応中に生成した揮発物質は、グリコール酸の二量体であると推定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を経ることを特徴とするグリコール酸エステルの製造方法。
第1工程:グリコール酸含有水溶液にアンモニアを加えてグリコール酸アンモニウム含有水溶液を得る工程
第2工程:グリコール酸アンモニウム含有水溶液に炭素数4のモノアルコール及び/又は炭素数5のモノアルコールを加え、加熱して共沸により水を除去した後、冷却してグリコール酸アンモニウムの結晶を得る工程
第3工程:グリコール酸アンモニウムの結晶に1級アルコールを加え、還流下に加熱して反応させた後、冷却して、未反応のグリコール酸アンモニウムの結晶を除去し、グリコール酸エステルの1級アルコール溶液を得る工程
第4工程:グリコール酸エステルの1級アルコール溶液から1級アルコールを除去してグリコール酸エステルを得る工程
【請求項2】
第1工程において、グリコール酸含有水溶液に60℃以下の温度でアンモニアを加える請求項1記載のグリコール酸エステルの製造方法。
【請求項3】
第2工程において、グリコール酸アンモニウム1モルに対して1〜10モルの割合となるようモノアルコールを加える請求項1又は2記載のグリコール酸エステルの製造方法。
【請求項4】
第2工程において、モノアルコールが1−ブタノールである請求項1〜3のいずれか一つの項記載のグリコール酸エステルの製造方法。
【請求項5】
第3工程において、グリコール酸アンモニウム/1級アルコール=1/1〜1/10(モル比)の割合となるよう1級アルコールを加える請求項1〜4のいずれか一つの項記載のグリコール酸エステルの製造方法。
【請求項6】
第3工程において、1級アルコールが炭素数1〜4の脂肪族1価アルコールである請求項1〜5のいずれか一つの項記載のグリコール酸エステルの製造方法。
【請求項7】
第4工程において、減圧下に50〜90℃の温度に加熱して1級アルコールを蒸発除去する請求項1〜6のいずれか一つの項記載のグリコール酸エステルの製造方法。

【公開番号】特開2012−236789(P2012−236789A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106037(P2011−106037)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】