説明

グリセロールエステルを可塑剤として含むプラスチゾル

グリセロールのモノ、ジ−及びトリエステルを包含する可塑剤を含むプラスチゾル及びオルガノゾルが提供される。この可塑剤はポリ塩化ビニルの良好なソルベーターであり、且つ低いプラスチゾル及びオルガノゾル粘度を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、この参照によってその内容を本明細書に完全に組み込む2009年3月24日に出願された米国特許出願第12/410,093号の継続出願であり、且つその利益を請求する。
【0002】
本発明は、有機ポリマーのプラスチゾルに有効な可塑剤であるグリセロールエステルを含むプラスチゾル組成物に関する。有機ポリマーとの適合性に加えて、グリセロールエステルは予想外に良好な溶媒和特性を示した。本明細書に記載するプラスチゾルは低いプラスチゾル粘度、低い溶融温度及び増大したゲル強度を有した。
【背景技術】
【0003】
公知の従来技術のポリマー用の可塑剤は、これらに限定するものではないが、1)脂肪族又は芳香族モノ−及びジカルボン酸と2)1価−及び2価アルコール又はグリコールとの反応生成物であるエステルを含む。塩化ビニルポリマー用の典型的な可塑剤は、安息香酸のモノマー又はオリゴマーグリコールとのエステル及びフタル酸の一価アルコールとのエステルを含む。
【0004】
特許文献1,2及び3は、ビニルポリマー類、ゴム類、ポリウレタン類及びアクリル類を含む樹脂ポリマー用のフタル酸塩を含まない可塑剤として、グリセロールの混合エステルを記載する。混合物中の少なくとも1つのエステルは、一般式CH2(OOR1)CH(OOR2)CH2(OOR3)(式中、R1、R2及びR3の少なくとも2つは、異なるアルキル基である)を示す。好適な態様では、R1、R2及びR3は、それぞれ、11個以下の炭素原子、好適にはそれぞれ2〜約11個の炭素を含む。
【0005】
上記特許において発表されたエステル組成物は、少なくとも2つのカルボン酸の混合物をグリセロールと反応させることによって調製される混合物である。得られる混合物中のそれぞれのエステルのタイプ及び相対濃度は、バッチからバッチへと変動する。この変動は、特定のバッチの組成物、又はそのバッチによってポリマーに与えられるだろう可塑化のレベル、そして何よりも所望される可塑化の程度を達成するために要求される可塑剤の特定のバッチの濃度を予測することを困難にする。
【0006】
特許文献4は架橋結合可能なプラスチゾルを記載し、ここでのポリ塩化ビニル樹脂はエポキシ基を含む。この特許の明細書は、可塑剤として通常使用される100を超えるエステルのリストを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,652,774号
【特許文献2】米国特許第6,740,254号
【特許文献3】米国特許第6,811,722号
【特許文献4】米国特許第5,444,110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
概要
プラスチゾルのための環境に優しい可塑剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の可塑剤は、プラスチゾル又はオルガノゾルに、計算を可能にする予測可能な程度の可塑化を与え、且つ塩化ビニル及びそのコポリマー等の硬質(rigid)ポリマーに基づき、プラスチゾル又はオルガノゾル中で所望される可塑化のレベルを達成するために要求される可塑剤の量を包含する。
【0010】
1つの面では、塩化ビニルのホモポリマー及びコポリマー並びにアクリルのホモポリマー及びコポリマーからなる群から選ばれる熱可塑性ポリマー;並びに熱可塑性組成物を可塑化するために有効な量の可塑剤を含むポリマー組成物が提供される。可塑剤は、グリセロールのモノ−、ジ−及びトリエステル並びにその混合物からなる群から選ばれるグリセロールエステルを含む。利用し得るグリセロールエステルは一般式:
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、0〜2個のX基はヒドロキシルであり、且つ1〜3個のX基は
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R1は、−(CH2n-CH3(ここで、nは0〜5であり、すべてのR1基は同一であり、nが0である場合には、1〜2個のX基はヒドロキシルである)]を有する。
【0015】
フィルム、コーティング、成型品、押出品、注型品からなる群から選ばれる造形品(shaped article)が提供される。造形品は、本明細書に記載のポリマー組成物から形成される。
【0016】
ポリマー組成物の作製方法が提供される。この方法は、有機ポリマーを分散させ、そして前記一般式のグリセロールエステルをポリマーの可塑化に有効な量のポリマーと混合することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本発明の可塑剤はプラスチゾル製剤において典型的に使用される多様なポリマーに適合する。これらのポリマーは、これらに限定するものではないが、塩化ビニルホモポリマー及びコポリマー並びにアクリルホモポリマー及びコポリマーを含む。プラスチゾルは、可塑剤とPVCのブレンドである。更にプラスチゾルは、一般的に熱安定剤及び、これらに限定するものではないが、充填剤、顔料、溶媒、UV安定剤、抗酸化剤、分散剤、これに限定するものではないがアゾジカルボンアミド等の発泡剤、発泡剤(単数又は複数)のための促進剤及び適用に対して組成物を調整するための他のアジュバントなどの他の成分を含む。本明細書において使用されるプラスチゾルは、「プラスチゾル又はオルガノゾル」組成物において、PVCに代わるように設計された、これらの新しい樹脂として、アクリルホモポリマー及びコポリマーを含む。アクリル組成物は、本明細書において発表される少なくともいくつかの追加の材料を更に含むことができる。
【0018】
トリ酪酸グリセロールは、ホモポリマーポリ塩化ビニルに基づくプラスチゾル組成物の少なくとも40%に適合することが見出された。所定のポリマーを有するエステルの適合性は、所望の量のグリセロールエステルを細分断形態のポリマーと25℃の温度で混合し、プラスチゾル組成物を溶融し、そしてこのようにして調製されたプラスチックシートにより可塑剤の適合性を決定することによって決定され得る。
【0019】
本発明のグリセロールエステルは、プラスチゾル又はオルガノゾルにおける唯一の可塑剤であることができる。或いは、これらのエステルは、慣用的に選定されるポリマーと共に使用される他の可塑剤との組合せにおいて使用することができる。塩化ビニルポリマーの場合、これらの追加の可塑剤は、これらに限定するものではないが、a)単官能性アルコールと芳香族モノカルボン酸の脂肪族単官能性酸との反応、b)グリコール又はジオールと安息香酸のような単官能性酸との反応、或いはc)アルキル又はフタル酸等の芳香族ジカルボン酸と単官能性又は多官能性アルコールとの反応に由来するエステルを含む。ヘキサヒドロフタル酸とも呼ばれる異性体シクロヘキサンジカルボン酸のモノ−及びジエステルと一緒になった安息香酸のエステルは、補助可塑剤の好適な分類である。使用することができる他の可塑剤は、これらに限定するものではないが、以下の群:クエン酸塩、スルホンアミド、アルキルスルホン酸エステル、アジピン酸塩、飽和低分子量ポリエステル、イソ酪酸塩及びグルタル酸塩の適合メンバーを含む。
【0020】
本発明のポリマー組成物において可塑剤として適切な多くのグリセロールエステルは商業的に入手可能である。それ以外のものは、グリセロール及び3〜6個の炭素原子を含むモノカルボン酸に伴う公知のエステル化反応を用いて調製することができる。グリセロールに対する酸のモル比は、最終のエステル中で所望される分子ごとにエステル化されたヒドロキシル基の平均数と実質的に同等であるだろう。トリブチルエステルの場合、その生成物は、n−ブチルエステル、イソブチルエステル又はその混合物として商業的に入手可能である。
【0021】
プラスチゾル又はオルガノゾル中のトリ酪酸塩等の高級グリセロールエステルの任意の不快臭は、これに限定するものではないが、杜松油(juniper oil)を含む少量の香料を用いてマスクすることができる。エステルの臭気は、より高いヒドロキシル含有量で著しく減少する。
【0022】
本発明の可塑剤を含むプラスチゾル及びオルガノゾルは、これらの組成物を調製するための慣用技術を用いて調製することができる。一つの方法によれば、グリセロールエステル、又は任意の所望の追加の可塑剤と一緒になったこれらのエステルの混合物は、微粉状のポリマー(finely divided resinous polymer)とブレンドされて改質される。
【0023】
本発明の可塑剤は塩化ビニルホモ−又はコポリマー等の微粉状のポリマー粒子を湿らせ、且つゆっくりと溶媒和するだろう。微粉状のポリマー及び可塑剤の混合物は、スラッシュ成形(slush molding)又は他の慣用技術(フィルム又は多様な基質上にコーティングを形成するための鋳造、手袋等の既存の加工品上へコーティングされた、又はビニルもしくは他のタイプのポリマーから形成されたフローリング材料のシート等の基質へコーティングされたディップ)を用いて造形品に成形することができる。ポリマーのゲル化は、典型的には、150℃未満の温度で起こる。次に、約150〜210℃の間で、最大の物理的特質に発達するために十分な時間、最初のフィルム又はその他の造形品を加熱することによって、樹脂粒子を溶融させる。
【0024】
本明細書に記載する可塑剤を用いて調製されたプラスチゾルは、低剪断率及び高剪断率の両方で優れたレオロジー特質によって特徴付けられる。本特質は、例えばビニルシートをプラスチゾルでコーティングし、その後にプラスチゾルをゲル化させる間のビニルフローリングの調製において特に好都合である。その後にポリマーの最終溶融に先立ち、得られたコーティングシートは、巻き上げられる。
【0025】
塩化ビニルのホモポリマー及びコポリマー並びに記載の他のポリマー等のポリマーとの組合せにある、本明細書に記載される1つ又はそれ以上のグリセロールエステルを含むプラスチゾル及びオルガノゾルは、単独、又は多様な更なる最終使用適用における公知の可塑剤との組合せでの使用に適している。最終使用用途は、これらに限定するものではないが、フィルム、コーティング、公知技術による造形品の製作(これらに限定するものではないが、スラッシュ、ディップ、回転形成及び鋳造を含む)を含むことができる。
【0026】
オルガノゾルにおける使用に適した有機液体は、これらに限定するものではないが、レオロジー制御及びその結果としての適用特性において支援するレベルで、脂肪族、脂環式、芳香族及び混合溶媒を含む。
【0027】
いくつかの用途において使用されるオルガノゾルは、粘度制御が可塑剤又は要求される可塑剤のレベルの選定によって達成することができない場合には、適当でない。例えば、高充填のプラスチゾルは、適切な適用レオロジーを達成するために溶媒の使用を必要とする場合もある。本発明の可塑剤は、より少ない溶媒で、又は溶媒なしで、粘度及びレオロジーを制御するのに役立つように使用されるので、揮発度の問題を排除又は減少させることができる。
【0028】
本エステルの環境に重要な利点は、芳香族モノ−及びジカルボン酸に基づく慣用の可塑剤を調製するために使用される石油系反応体と比較して、それらが天然の物資から得られるグリセロール及び酸を用いて調製することができることである。
【0029】
本発明のグリセロールエステルの使用は、DOP(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)又はDINP(フタル酸ジイソノニル)から作られている可塑剤としてのプラスチゾル組成物と比べて、プラスチゾル組成物の粘度において、1時間後に約70%〜約80%の減少及びプラスチゾル組成物の粘度において、1日後に約70%〜約80%の減少を与える。
【0030】
以下の実施例は、本発明の好適なポリマー組成物及び可塑剤を記載する。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。他に特定されていない限り、全ての部及び割合は、重量基準である。
【実施例】
【0031】
100部の微粉状の塩化ビニルホモポリマー(Geon 121Aとして、Polyoneから入手可能)、3部のカルシウム/亜鉛に基づく熱安定剤(Mark 1221として、Chemturaから入手可能)を以下のグリセロールエステルの一つ:1)70部のトリ酪酸グリセロール(低いヒドロキシル含有量)、2)70部のトリオクタン酸グリセロールと混合することにより、プラスチゾル組成物を調製した。更に評価のためのコントロールとして、フタル酸ジイソノニル(DINP)及びフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)も評価した。以下の詳細な手順に記載するように、得られた混合物を混合して、プラスチゾルを形成させた。
【0032】
100部のポリマー及び70部のトリオクタン酸グリセロールの均質なブレンドは、この量のエステルのポリマーとの不適合のために調製できなかった。従って、本組成物は、他の2つのプラスチゾルサンプルのために使用されるいくつかの試験手順を用いて評価できなかった。
【0033】
プラスチゾル調製
装置
容器:水槽中に吊り下げられた19オンス容量のライニングされていない(unlined)スチール缶
混合装置:2”高速分散ブレードセットを、缶の底から約1/2“に備えた高トルクオーバーヘッド撹拌機
調製
1.可塑剤を缶の中に置いた
2.タイマーを起動し、そして700rpmでの混合を開始した
3.1分間混合した
4.ポリ塩化ビニル及び熱安定剤を添加した
5.1250rpmまで加速した
6.12分後に混合を止めた
7.真空及び撹拌下で20分間サンプルを脱気した
【0034】
プラスチゾルシート溶融
機材
2つの10”x9”x1/8”のきれいなガラスシート
4つの1”x1”x0.048”のガラスシム(shim)
調製
1.1つのガラスシートを平ら且つ水平な作業台の上(flat and level bench top)に設置した
2.ガラスシムを本シートのそれぞれのコーナーに置いた
3.プラスチゾルプール(pool)をガラスシートの中間に注いだ
4.プラスチゾルプールの中に任意の空気をトラップしない方法で、一番目のガラスシート上に二番目のガラスシートを設置した
5.それぞれのシムを押し下げて、均一のプラスチゾル厚を保証した
6.10分間、190℃で、強制空気乾燥器中に組立型(mold assembly)を設置した
7.組立型を取り除き、そしてガラスから溶融シートを分離し、そして冷却した
【0035】
試験方法
粘度
TAモデルAR−2000レオメーターを用いて、以下の条件下で測定した
方法タイプ:フロー
配置:500ミクロンの間隔を有するペルチェ板上に2cmのスチール板
温度:25℃
試験方法:前せん断66.30Pa、10秒間
平衡(せん断なし)、30秒間
せん断ランプ 90秒かけて、2〜9001/s
報告:100及び500/秒での粘度
ブルックフィールド(Brookfield)粘度:ASTM Dl824−95を用いて、20RPMで測定した
【0036】
ゲル/溶融:
TAモデルAR-2000レオメーターを用いて、以下の条件下で測定した
方法タイプ: 振動
配置:500ミクロンの間隔を有する2cmのスチール板
温度:5℃/分の速度で、40〜210℃
試験方法:10秒間に0.2Paの初期応力
周波数:1ヘルツ
変位:0.0001ラジアン
報告:G’=500Paでの温度(ゲル温度値);G’ピーク温度及び応力;G’XG”クロスは、最終溶融の表示である。
【0037】
引張特性:ASTM D 638−03、タイプIV試料、
試験装置の速度は、20インチ/分であった
【0038】
デュロメーター硬度 ASTM試験方法2240-97、Shore Aを用いて測定した
【0039】
ループ噴出物(spew):1”x3”サンプルを溶融シートから切り取った。“X”はサンプルの中心にボールペンで作った。サンプルは、ループの表面の内側に“X”を有するループを形成するように折り曲げた。クリップのグリップから1/4”の距離でループの内側中心を有するバインダークリップで、ループを留めた。
【0040】
一定時間、23℃の温度でループを維持した。試験間隔の終わりにループをクリップから外し、そしてループを反対方向に折り畳んだ。最大応力、及びそれ故の最大の滲出可能性を有したループの内表面を、可塑剤の滲出について検査した。以下の基準に従ってサンプルを評価した:
0-滲出なし、
1-軽度な滲出;“X” 滲出物の染み又は形跡;
2-中等度-滲出物の小さな点、
3-重度-全体的に湿った領域。
【0041】
ロール噴出物:1”x3”サンプルを溶融シートから切り取り、1”x3”片の黄色の紙で覆い、ゴムバンドで巻き、そして固定した。その後に60℃の強制空気オーブンの中にサンプルを1日置き、次にそれらを取り除き、そして冷却した。その後にそれぞれのサンプルを広げて、そして液体の任意の滲出を以下の基準に従って評価した:
0-紙上に染みなし、
1-紙上に軽度な染み、
2-明確な染み、フィルム上の油層、
3-重度な染み、油性フィルム
【0042】
炭素揮発度:ASTM試験手順D1203-94方法Aを用いて評価した
【0043】
試験結果
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
上記のデータは、トリ酪酸グリセロールが、PVC(DOP又はDINPよりかなり良い)に適合性である(G’ピーク温度、G’レベル及びG’屈折によって示されるように) 良好なソルベーター(solvator)であり、且つ驚くべきことにフタル酸ジイソノニル(DINP)又はフタル酸ジ-2-エチルヘキシルに基づくプラスチゾルとの比較において示されるように、トリ酪酸グリセロールに基づくプラスチゾルが、低い粘度及び良好なレオロジーを有することを実証する。トリ酪酸グリセロールは、効率的な可塑剤であるが、一般目的の可塑剤と比較して揮発性である。それは相対的に揮発性であるが、プラスチゾルの粘度制御及び他の適用に非常に有用な可塑剤であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)塩化ビニルのホモポリマー及びコポリマー並びにアクリルのホモポリマー及びコポリマーからなる群から選ばれる熱可塑性ポリマー;並びに
b)前記熱可塑性ポリマーを可塑化するのに有効な量の可塑剤
を含んでなるポリマー組成物であって、前記可塑剤が一般式:
【化1】

[式中、0〜2個のX基はヒドロキシルであり、且つ1〜3個のX基は
【化2】

(式中、R1は−(CH2n-CH3(ここでnは0〜5である)であり、すべてのR1基は同一であり、且つnが0である場合には、1〜2個のX基はヒドロキシルである)]
に対応するグリセロールのモノ、ジ−及びトリエステルからなる群から選ばれる、少なくとも1つのエステルを含んでなるポリマー組成物。
【請求項2】
1が3〜6個の炭素原子を含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記ポリマー組成物が、熱可塑性ポリマー100部当り、約1〜約70重量部のグリセロールエステルを含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記組成物が約1:2.5〜約1:3.0のグリセロール:カルボン酸の比率を有する請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記可塑剤がトリ酪酸グリセロールである請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記組成物がa)単官能性アルコールと芳香族モノカルボン酸の脂肪族単官能性酸との反応生成物;b)グリコール又はジオールと安息香酸のような単官能性酸との反応並びにc)アルキル及び芳香族ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸と単官能性及び多官能性アルコール並びにモノマー及びオリゴマーグリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコールとの反応からなる群から選ばれる少なくとも1種の追加の可塑剤を含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記組成物がフタル酸塩、テレフタル酸塩、クエン酸塩、スルホンアミド、アルキルスルホン酸エステル、アジピン酸塩、飽和低分子量ポリエステル、イソ酪酸塩及びグルタル酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の追加の可塑剤を含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記グリセロールエステルが、前記熱可塑性ポリマー100部当り、1〜70重量部の第一のエステル、及び前記熱可塑性ポリマー100部当り、約30〜約100重量部の第二のエステルのブレンドである請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
フィルム、コーティング、成型品、押出品、注型品からなる群から選ばれる造形品であって、前記造形品が、
a)塩化ビニルのホモポリマー及びコポリマー並びにアクリルのホモポリマー及びコポリマーからなる群から選ばれる熱可塑剤ポリマー;並びに
b)可塑剤組成物を可塑化するのに有効な量の可塑剤
を含んでなるポリマー組成物から形成され、前記可塑剤が一般式:
【化3】

[式中、0〜2個のX基はヒドロキシルであり、且つ1〜3個のX基は
【化4】

(式中、R1は−(CH2n-CH3(ここでnは0〜5である)であり、全てのR1基は同一であり、且つnが0である場合には、1〜2個のX基はヒドロキシルである)]
に対応するグリセロールのモノ−、ジ−及びトリエステルからなる群から選ばれる、少なくとも1つのエステルを含んでなる造形品。
【請求項10】
1が3〜6個の炭素原子を含む請求項9に記載の造形品。
【請求項11】
前記ポリマー組成物が、熱可塑性ポリマー100部当り、約1〜約70重量部のグリセロールエステルを含む請求項9に記載の造形品。
【請求項12】
前記組成物が約1:2.5〜約1:3.0のグリセロール:カルボン酸の比率を有する請求項9に記載の造形品。
【請求項13】
前記可塑剤がトリ酪酸グリセロールである請求項9に記載の造形品。
【請求項14】
前記組成物がa)単官能性アルコールと芳香族モノカルボン酸の脂肪族単官能性酸との反応生成物;b)グリコール又はジオールと安息香酸のような単官能性酸との反応、並びにc)アルキル及び芳香族ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸と単官能性及び多官能性アルコール並びにモノマー及びオリゴマーグリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコールとの反応から成る群から選ばれる少なくとも1種の追加の可塑剤を含む請求項9に記載の造形品。
【請求項15】
前記組成物がフタル酸塩、テレフタル酸塩、クエン酸塩、スルホンアミド、アルキルスルホン酸エステル、アジピン酸塩、飽和低分子量ポリエステル、イソ酪酸塩及びグルタル酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の追加の可塑剤を含む請求項9に記載の造形品。
【請求項16】
前記グリセロールエステルが、前記熱可塑性ポリマー100部当り、1〜70重量部の第一のエステル、及び前記熱可塑性ポリマー100部当り、約30〜約100重量部の第二のエステルのブレンドである請求項9に記載の造形品。
【請求項17】
有機ポリマーの粒子を分散させて、ポリマー分散体を形成せしめ、そして
グリセロールエステルを、前記ポリマーを可塑化するのに有効な量で、前記ポリマーとブレンドすることを含んでなるポリマー組成物の作製方法であって、前記グリセロールエステルが、グリセロールのモノ−、ジ−及びトリエステル並びにその混合物から成る群から選定され、
前記グリセロールエステルが一般式:
【化5】

[(式中、0〜2個のX基はヒドロキシルであり、且つ1〜3個のX基は
【化6】

(式中、R1は−(CH2n-CH3(ここでnは0〜5である)であり、すべてのR1基は同一であり、且つnが0である場合には、1〜2個のX基はヒドロキシルである)]を有する方法。
【請求項18】
1が3〜6個の炭素原子を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー組成物が熱可塑性ポリマー100部当り、約1〜約70重量部のグリセロールエステルを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が約1:2.5〜約1:3.0のグリセロール:カルボン酸の比率を有する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記グリセロールエステルがトリ酪酸グリセロールである請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの追加の可塑剤が前記組成物とブレンドされており、前記少なくとも1つの追加の可塑剤がa)単官能性アルコールと芳香族モノカルボン酸の脂肪族単官能性酸との反応生成物;b)グリコール又はジオールと安息香酸のような単官能性酸との反応並びにc)アルキル及び芳香族ジカルボン酸からなる群から選定される少なくとも1種のカルボン酸と単官能性及び多官能性アルコール並びにモノマー及びオリゴマーグリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコールとの反応からなる群から選ばれる請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの追加の可塑剤が前記組成物とのブレンドであり、前記少なくとも1つの追加の可塑剤がフタル酸塩、テレフタル酸塩、クエン酸塩、スルホンアミド、アルキルスルホン酸エステル、アジピン酸塩、飽和低分子量ポリエステル、イソ酪酸塩及びグルタル酸塩からなる群から選ばれる請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記グリセロールエステルが前記熱可塑性ポリマー100部当り、1〜70重量部の第一のエステル及び、前記熱可塑性ポリマー100部当り、約30〜約100重量部の第二のエステルのブレンドである請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2012−521483(P2012−521483A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502080(P2012−502080)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/026216
【国際公開番号】WO2010/111007
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(510153939)イーストマン スペシャルティーズ ホールディングス コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】