説明

グリセロール誘導体



(式中、Rは反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基を表し、nは3以上の整数を表し、Xはn個の


を有することが可能な残基を表し、Rは水素原子または水素原子に変換可能な基を表し、6個以上存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)
生理活性を維持した状態で生理活性ポリペプチドもしくはその誘導体または低分子化合物を化学修飾し得る、または低分子化合物の安定性もしくは水溶性の向上に有用である上記式(1)で表される化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、生理活性ポリペプチドもしくはその誘導体または低分子化合物の化学修飾に有用な化合物に関する。また、本発明は、生理活性ポリペプチドもしくはその誘導体または低分子化合物が少なくとも1個の該化合物で修飾された化学修飾ポリペプチドまたは化学修飾低分子化合物、および該化学修飾ポリペプチドまたは該化学修飾低分子化合物を含有する医薬に関する。さらに、本発明は、該化合物で生理活性ポリペプチドもしくはその誘導体または低分子化合物を化学修飾することを特徴とする、該生理活性ポリペプチドもしくは該その誘導体または該低分子化合物の安定性または水溶性を向上させる方法に関する。
【背景技術】
生理活性を有するポリペプチドは特定の疾病に対する治療剤として有用であるが、血中に投与されると安定性が悪く、十分な薬理効果が期待できない場合が多い。例えば、血中に存在する加水分解酵素等によって分解され、生理活性を失うことがある。さらに、外因性の生理活性ポリペプチドにおいてもその生理活性が疾患の治療に有効なことがあるが、そのような外因性のポリペプチドや遺伝子組換えによって製造されたポリペプチド等は内因性のポリペプチドと構造が異なるために、それらが血中に投与された場合には免疫反応を誘発し、アナフィラキシーショック等の重篤な副作用を起こす場合もあることが知られている。さらに、生理活性ポリペプチドの中にはそれが治療剤として用いられる際に、溶解性が悪い等の物性が問題になるものも多い。
生理活性ポリペプチドを治療剤として用いる際のこれらの問題を解決する方法の一つとして、ポリエチレングリコール等の不活性型ポリマー鎖をポリペプチドに化学的に結合させる方法が第一に知られている。
例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)のポリエチレングリコール修飾が知られている[「ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemstry)」,1994年,第115巻,p.814−819]。その他にもアスパラギナーゼ、グルタミナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、ウリカーゼ等のポリエチレングリコール修飾の例が報告されている[ティム・ジェイ・ハーン(Tim J.Ahern)、マーク・シー・マンニング(Mark C.Manning)著,「ファーマシューティカル・バイオテクノロジー第3巻,スタビリティ・オブ・プロテイン・ファーマシューティカルズ・パートB,イン・ビボ・パスウェイズ・オブ・デグラデーション・アンド・ストラテジーズ・フォー・プロテイン・スタビライゼーション(Pharmaceutical Biotechnology Volume 3,Stability of Protein Pharmaceuticals,Part B,In Vivo Pathways of Degradation and Strategies for Protein Stabilization)」,(米国),プレナム・パブリッシング(Plenum Publishing Co.),1992年11月,p.235−263]。生理活性ポリペプチドをポリアルキレングリコールで修飾することによって得られる効果としては、血中持続性が向上する、抗原性・免疫原性が低下する、血中安定性が向上する等の他に、熱安定性が高まること[生物物理,1998年,第38巻,p.208]、有機溶媒に可溶となること[バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・ミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Comunications),1984年,第122巻,p.845]等も知られている。
しかしながら、生理活性ポリペプチドをポリアルキレングリコールで修飾する際には、該ポリペプチドの生理活性を損なわずに血中安定性を向上させることは困難な場合が多い。一般的に、ポリアルキレングリコールの分子量が大きいほど、または修飾率が高いほど該ポリペプチドの血中持続性は向上することが知られているが[ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemstry),1988年,第263巻,p.15064]、修飾率を高くすると該ポリペプチドの生理活性が損なわれることがある。これは、生理活性に必要な特定のアミノ基やメルカプト基等のアミノ酸残基が化学修飾剤によって修飾されること、生理活性ポリペプチドに結合したポリアルキレングリコールが生理活性部位の相互作用を妨害すること等が原因と考えられている。修飾率に応じて生理活性が低下する例としては、インターロイキン−15が知られている[ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemstry),1997年,第272巻,p.2312]。このように、化学修飾によって数多くのメリットが得られるが、一般的に化学修飾によってポリペプチドの生理活性が損なわれてしまうことから、修飾を行ってもポリペプチドの生理活性が損なわれない化学修飾剤が所望されている。
一方、多くの低分子化合物は水溶性が低く、生理活性を発揮するレベルの濃度の水溶液を調製することが困難な場合がある。また、一旦水溶液を調製できたとしても、保存中に沈殿を形成し、溶液濃度の実質的な低下を来たす場合もある。例えば、多くの抗癌剤や抗生物質、抗ウイルス剤等の化合物がこれに該当する。このため、生理化学的な実験を行ったり、治療用の薬剤を生体に投与したりする場合、目的とする有効濃度が得られないばかりでなく、目的の薬理効果を達成できない可能性がある。そこで、ポリマーや界面活性物質を混合または化学的に結合させて難水溶性低分子化合物を可溶化させて利用する試みが行われている。例えば、ポリエチレンオキサイドとアスパラギン酸の共重合体をアンホテリシンB(Amphotericin B)の可溶化に利用した例が知られている[ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(Journal of Controlled Release),1998年,第53巻,p.131−136]。また、シクロデキストリンをアンホテリシンBの可溶化に利用した例も知られている[バイオポリマーズ(Biopolymers),1989年,第28巻,p.1585−1596]。また、コレステロール等の低分子化合物の可溶化のために、胆汁酸ミセル等も利用されている。抗癌剤の溶解性を向上させるためにポリエチレングリコール等も利用されている[「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」,1990年,第50巻,p.1693−1700]。以上のように、生理活性を損なわずに低分子化合物を可溶化するための手法および試薬が求められている。この際、上記のように可溶化剤を添加する方法では、再現性の問題や可溶化剤自身の影響を考慮する必要が生じる。そこで、低分子化合物自身を化学修飾し、溶解性や安定性を向上できる試薬および方法が望まれている。
一方、グリセロールを構造中に有するデンドリマーが知られている[「マクロモレキュールズ(Macromolecules)」,2001年,第34巻,p.7648−7655;「ポリマー・プリプリンツ(Polymer Preprints)」,2001年,第42巻,p.155−156;「ポリマー・プリプリンツ(Polymer Preprints)」,2001年,第42巻,p.157−158;「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(Journal of American Chemical Society)」,2001年,第123巻,p.2905−2906;「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(Journal of American Chemical Society)」,2000年,第122巻,p.10335−10344;「チャイニーズ・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Chinese Journal of Chemistry)」,1998年,第16巻,p.28−33]。
【発明の開示】
従来の化学修飾剤を用いて調製された化学修飾生理活性ポリペプチドでは生理活性が著しく低下する場合があり、生理活性が損なわれない化学修飾法が望まれている。また、多くの難水溶性低分子化合物の水溶性を向上させる方法が望まれている。
本発明は、以下の(1)〜(30)に関する。
(1) 式(1)

(式中、Rは反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基を表し、nは3以上の整数を表し、Xはn個の

を有することが可能な残基を表し、Rは水素原子または水素原子に変換可能な基を表し、6個以上存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)で表される化合物。
(2) 全てのRが水素原子である、前記(1)記載の化合物。
(3) 全てのRがベンジルである、前記(1)記載の化合物。
(4) nが2(式中、mは2以上の整数を表す)である、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の化合物。
(5) Xが1以上の直列的分岐構造を有する、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の化合物。
(6) Xが1個以上(n−1)個以下の

または

(式中、Y、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、あるいは置換もしくは非置換のアルキレン、カルボニル、置換もしくは非置換のイミノ、O、S、スルホニルおよびスルフィニルからなる群より選ばれる一つまたは同一もしくは異なった複数の任意の組み合わせを表し、Y、YおよびYが複数存在するとき、これらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)で表される構造を含有する、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の化合物。
(7) Xが1個以上(n−1)個以下の

で表される構造を含有する、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の化合物。
(8) Xが1個以上(n−1)個以下の

で表される構造を含有する、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の化合物。
(9) Xが1個以上(n−1)個以下の

で表される構造を含有する、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の化合物。
(10) Xが1個以上(n−1)個以下の

で表される構造を含有する、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の化合物。
(11) 反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基が、生理活性ポリペプチドまたはその誘導体中のアミノ酸側鎖、N末端アミノ基もしくはC末端カルボキシル基、あるいはポリペプチドと結合した糖鎖との反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基である前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の化合物。
(12) 反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基が、カルボン酸活性エステル残基、カーボネート、マレイミド、メルカプト、ホルミル、トレシル、イソシアナート、酸無水物残基、酸ハロゲン化物残基、ビニルスルホニル、ヒドラジド、アミノ、水酸基、ハロゲン、カルボキシ、ビニルおよびホスホノからなる群より選ばれる基である前記(1)〜(11)のいずれかに記載の化合物。
(13) 前記(1)〜(12)のいずれか1項に記載の化合物を少なくとも二つ含有する混合物。
(14) 式(2)

(式中、R1Aは水素原子またはベンジルを表す)で表される化合物。
(15) 式(3)

(式中、R1Aは水素原子またはベンジルを表す)で表される化合物。
(16) 式(4)

(式中、R1Aは水素原子またはベンジルを表す)で表される化合物。
(17) 式(5)

(式中、R1Aは水素原子またはベンジルを表す)で表される化合物。
(18) 生理活性ポリペプチドまたはその誘導体が少なくとも1個の前記(1)〜(12)および(14)〜(17)のいずれか1項に記載の化合物で直接もしくはスペーサーを介して修飾された化学修飾ポリペプチド。
(19) 生理活性ポリペプチドまたはその誘導体が、酵素、サイトカイン、ホルモン、毒素、抗体およびそれらの誘導体からなる群より選ばれる前記(18)記載の化学修飾ポリペプチド。
(20) 生理活性ポリペプチドまたはその誘導体が、アスパラギナーゼ(Asparaginase)、グルタミナーゼ(Glutaminase)、アルギナーゼ(Arginase)、ウリカーゼ(Uricase)、スーパーオキサイドディスムターゼ(Superoxide Disumutase)、ラクトフェリン(Lactoferrin)、ストレプトキナーゼ(Streptokinase)、プラスミン(Plasmin)、アデノシンデアミナーゼ(Adenosine Deaminase)、インターロイキン−1〜24(Interleukin−1〜24)、インターフェロン−α(Interferon−α)、インターフェロン−β(Interferon−β)、インターフェロン−γ(Interferon−γ)、インターフェロン−ω(Interferon−ω)、インターフェロン−τ(Interferon−τ)、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte−Colony Stimulating Factor)、エリスロポエチン(Erythropoietin)、腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor)、血小板増加因子(Thrombopoietin)、クローソ(Klotho)蛋白質、レプチン(Leptin)、繊維芽細胞増殖因子1〜19(Fibroblast Growth Factor−1〜19)、ミッドカイン(Midkine)、カルシトニン(Calcitonin)、表皮成長因子(Epidermal Growth Factor)、グルカゴン(Glucagon)、インスリン(Insulin)、インスリン様成長因子1(Insulin−like Growth Factor−1)、オステオジェニックプロテイン1(Osteogenic Protein−1)、幹細胞増殖因子(Stem Cell Growth Factor)、アミリン(Amylin)、パラサイロイドホルモン(Parathyroid Hormone)、プラスミノーゲン活性化因子類(Plasminogen Activator)、血管内皮細胞成長因子(Vascular Endothelial Cell Growth Factor)、形質転換成長因子類(Transforming Growth Factor)、グルカゴン様ペプチド類(Glucagon−like Peptide)、成長ホルモン(Growth Hormone)、ナトリウム利尿ペプチド類(Natriuretic Peptide)、プラスミノーゲン(Plasminogen)、アンジオポエチン(Angiopoietin)、アンジオスタチン(Angiostatin)、エンドスタチン(Endostatin)、ネオカルチノスタチン(Neocarzinostatin)、肝細胞成長因子(Hepatocyte Cell Growth Factor)、リシン(Ricin)、シュードモナス外毒素(Pseudomonas Exotoxin)、ジフテリア毒素(Diphtheria Toxin)およびそれらの溶解性レセプターならびにそれらの誘導体からなる群より選ばれる前記(18)記載の化学修飾ポリペプチド。
(21) 生理活性ポリペプチドの誘導体が、該ポリペプチドのアミノ酸欠失体、アミノ酸置換体、アミノ酸挿入体、アミノ酸付加体、糖鎖欠失体および糖鎖付加体からなる群より選ばれる前記(18)〜(20)のいずれか1項に記載の化学修飾ポリペプチド。
(22) 前記(18)〜(21)のいずれか1項に記載の化学修飾ポリペプチドを含有する医薬。
(23) 前記(1)〜(12)および(14)〜(17)のいずれか1項に記載の化合物で生理活性ポリペプチドまたはその誘導体を化学修飾することを特徴とする、該生理活性ポリペプチドまたは該その誘導体の安定性または水溶性を向上させる方法。
(24) 生理活性ポリペプチドまたはその誘導体が、酵素、サイトカイン、ホルモン、毒素、抗体およびそれらの誘導体からなる群より選ばれる前記(23)記載の方法。
(25) 生理活性ポリペプチドまたはその誘導体が、アスパラギナーゼ(Asparaginase)、グルタミナーゼ(Glutaminase)、アルギナーゼ(Arginase)、ウリカーゼ(Uricase)、スーパーオキサイドディスムターゼ(Superoxide Disumutase)、ラクトフェリン(Lactoferrin)、ストレプトキナーゼ(Streptokinase)、プラスミン(Plasmin)、アデノシンデアミナーゼ(Adenosine Deaminase)、インターロイキン−1〜24(Interleukin−1〜24)、インターフェロン−α(Interferon−α)、インターフェロン−β(Interferon−β)、インターフェロン−γ(Interferon−γ)、インターフェロン−ω(Interferon−ω)、インターフェロン−τ(Interferon−τ)、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte−Colony Stimulating Factor)、エリスロポエチン(Erythropoietin)、腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor)、血小板増加因子(Thrombopoietin)、クローソ(Klotho)蛋白質、レプチン(Leptin)、繊維芽細胞増殖因子1〜19(Fibroblast Growth Factor−1〜19)、ミッドカイン(Midkine)、カルシトニン(Calcitonin)、表皮成長因子(Epidermal Growth Factor)、グルカゴン(Glucagon)、インスリン(Insulin)、インスリン様成長因子1(Insulin−like Growth Factor−1)、オステオジェニックプロテイン1(Osteogenic Protein−1)、幹細胞増殖因子(Stem Cell Growth Factor)、アミリン(Amylin)、パラサイロイドホルモン(Parathyroid Hormone)、プラスミノーゲン活性化因子類(Plasminogen Activator)、血管内皮細胞成長因子(Vascular Endothelial Cell Growth Factor)、形質転換成長因子類(Transforming Growth Factor)、グルカゴン様ペプチド類(Glucagon−like Peptide)、成長ホルモン(Growth Hormone)、ナトリウム利尿ペプチド類(Natriuretic Peptide)、プラスミノーゲン(Plasminogen)、アンジオポエチン(Angiopoietin)、アンジオスタチン(Angiostatin)、エンドスタチン(Endostatin)、ネオカルチノスタチン(Neocarzinostatin)、肝細胞成長因子(Hepatocyte Growth Factor)、リシン(Ricin)、シュードモナス外毒素(Pseudomonas Exotoxin)、ジフテリア毒素(Diphtheria Toxin)およびそれらの溶解性レセプターならびにそれらの誘導体からなる群より選ばれる前記(23)記載の方法。
(26) 生理活性ポリペプチドの誘導体が、該ポリペプチドのアミノ酸欠失体、アミノ酸置換体、アミノ酸挿入体、アミノ酸付加体、糖鎖欠失体および糖鎖付加体からなる群より選ばれる前記(23)〜(25)のいずれか1項に記載の方法。
(27) 低分子化合物が少なくとも1個の前記(1)〜(12)および(14)〜(17)のいずれか1項に記載の化合物で直接またはスペーサーを介して修飾された化学修飾低分子化合物。
(28) 前記(27)記載の化学修飾低分子化合物を含有する医薬。
(29) 前記(1)〜(12)および(14)〜(17)のいずれか1項に記載の化合物で低分子化合物を化学修飾することを特徴とする、該低分子化合物の安定性または水溶性を向上させる方法。
(30) 前記(1)〜(12)および(14)〜(17)のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とする生理活性ポリペプチドもしくはその誘導体または低分子化合物の化学修飾剤。
式(1)において、Rは水素原子または水素原子に変換可能な基を表し、水素原子に変換可能な基としては、例えば置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の脂環式複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル、置換もしくは非置換のシリル、置換もしくは非置換のアシル等があげられ、Rとしては、中でも水素原子またはベンジルが好ましい。
低級アルキルとしては、例えば炭素数1〜8の、直鎖状または分岐状のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等があげられる。
脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む3〜8員の単環性脂環式複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基等があげられ、より具体的にはテトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ピペリジニル、パーヒドロアゼピニル、パーヒドロアゾシニル、モルホリノ、モルホリニル、チオモルホリノ、チオモルホリニル、ピペラジニル、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、インドリニル、イソインドリニル、2−ピロリニル、2−ピロリドニル、3−ピロリドニル、2−ピペリドニル、3−ピペリドニル、4−ピペリドニル、パーヒドロ−2−アゼピノニル、パーヒドロ−3−アゼピノニル、パーヒドロ−4−アゼピノニル、2−チアゾリドニル、4−チアゾリドニル、2−オキサゾリドニル、4−オキサゾリドニル、フタルイミド、グルタルイミド、ヒダントイニル、チアゾリジンジオニル、オキサゾリジンジオニル等があげられる。
アラルキルとしては、例えば炭素数7〜13のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチル等があげられる。
アシルとしては、例えば炭素数1〜8の、直鎖状、分岐状または環状のアシル、より具体的にはアセチル、プロピオニル、ベンゾイル等があげられる。
置換低級アルキル、置換脂環式複素環基、置換アラルキル、置換シリルおよび置換アシルの置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3の、より具体的には低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシ低級アルコキシ、アラルキルオキシ等があげられる。ここで、低級アルキル、低級アルコキシおよび低級アルコキシ低級アルコキシの低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、アラルキルオキシのアラルキル部分は、前記アラルキルと同義である。
式(1)において、Xは、Rおよびn個の

と結合することができる基であれば、特に限定されることはないが、1以上の直列的分岐構造を有することが好ましい。ここで、直列的分岐構造とは、2つ以上に分岐した分岐鎖の少なくとも1つの分岐鎖が、さらに2つ以上分岐し、これが繰り返される構造を意味する。中でも、2つ以上に分岐した分岐鎖のそれぞれが、さらに2つ以上に分岐し、これが繰り返される構造が好ましい。さらに、それぞれの分岐数は2であるのが好ましい。
分岐構造としては、

または

(式中、Y、YおよびYはそれぞれ前記と同義である)が好ましく、中でも

(以下、グリセロールユニットと称する)、

または

がより好ましい。これら分岐構造の式(1)における含有数は、特に限定されることはないが、1個以上(n−1)個以下が好ましく、nが2である場合は中でも1個以上(2−2)個以下がより好ましい。
さらに、式(1)において、Xが1個以上(n−1)個以下の、nが2である場合は1個以上(2−2)個以下の

で表される構造を含有する化合物も好ましい。
、YおよびYの定義のうち、アルキレンとしては、例えば炭素数1〜8の、直鎖状、分岐状または環状のアルキレン、より具体的にはメチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン、tert−ブチレン、ペンチレン、ネオペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロペンチレン、シクロオクチレン等があげられる。
置換アルキレンにおける置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3の、より具体的にはハロゲン原子、低級アルキル、不飽和炭化水素基、アリール、低級アルコキシ、水酸基、オキソ、カルボキシ、アシル、アミノ、ニトロ、シアノ、複素環基等があげられる。ここで、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子があげられる。不飽和炭化水素基としては、例えば炭素数1〜8の、直鎖状、分岐状または環状の不飽和炭化水素基、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ヘキセニル、1,3−ペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、プロパルギル、ペンチニル等のアルケニルおよびアルキニルがあげられる。アリールとしては、例えば炭素数6〜14のアリール、より具体的にはフェニル、ナフチル、アントラニル等があげられる。複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子の少なくとも一つを含有する3〜8員環の複素環基等があげられ、より具体的にはフリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、トリアジニル、インドリル、キノリル、プリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル等があげられる。低級アルキルおよび低級アルコキシはそれぞれ前記と同義である。
置換イミノにおける置換基としては、例えば低級アルキル、アリール、アラルキル等があげられる。低級アルキル、アリールおよびアラルキルはそれぞれ前記と同義である。
式(1)において、Rは反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基であり、Rの部分構造である反応性を有する基は、生理活性ポリペプチドもしくはその誘導体または低分子化合物中のカルボキシ、アミノ、水酸基、メルカプト、ホルミル、ホスホノ等と反応することが可能であればいかなる基でもよい。具体的には、ポリペプチド中のリジン、システイン、アルギニン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン等の各アミノ酸の側鎖、N末端アミノ基、C末端カルボキシル基、ポリペプチドに結合した糖鎖等との反応性を有する基があげられる。
反応性を有する基として、好ましくは、カルボン酸活性エステル残基、カーボネート、マレイミド、メルカプト、ホルミル、トレシル、イソシアナート、酸無水物残基、酸ハロゲン化物残基、ビニルスルホニル、ヒドラジド、アミノ、ハロゲン等があげられる。
反応性を有する基に変換可能な基として、好ましくは、水酸基、カルボキシ、アミノ、メルカプト、ホルミル、ビニル、ホスホノ、ハロゲン等があげられる。
カルボン酸活性エステル残基におけるカルボン酸活性エステルとしては、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基等を有するエステルが好ましく、具体的にはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、p−ニトロフェニルエステル、チオフェニルエステル、2,3,5−トリクロロフェニルエステル、2,4,6−トリクロロフェニルエステル、2,4,5−トリクロロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル等があげられる。
酸無水物残基における酸無水物としては、具体的にはカルボン酸の無水物等があげられる。
酸ハロゲン化物残基としては、具体的にはカルボニルクロライド、カルボニルブロマイド、カルボニルアイオダイド、カルボニルフルオライド等があげられる。
反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基以外のR部分は、該反応性を阻害しない基であれば特に限定されず、任意の基であってよく、具体的には、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の不飽和炭化水素基、置換もしくは非置換のアルキレン、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアルコキシ、水酸基、カルボニル、カルボキシ、置換もしくは非置換のアシル、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のイミノ、ニトロ、シアノ、O、S、スルフィニル、スルホニル、置換もしくは非置換の複素環基等からなる群より選ばれる一つまたは同一もしくは異なった複数の任意の組み合わせ等を含有することができる。中でも、置換もしくは非置換のアルキレン、カルボニル、置換もしくは非置換のイミノ、OおよびSからなる群より選ばれる一つまたは同一もしくは異なった複数の任意の組み合わせを含有するものが好ましい。
Rのアルキルおよびアルコキシのアルキル部分としては、例えば炭素数1〜8の、直鎖状、分岐状または環状のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
不飽和炭化水素基、アルキレン、ハロゲン原子および複素環基は、それぞれ前記Y、YおよびYの定義において記載されている不飽和炭化水素基、アルキレン、ハロゲン原子および複素環基と同義である。
アリールとしては、例えば炭素数6〜14のアリール、より具体的にはフェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル等があげられる。
アシルは、前記Rの定義で記載されているアシルと同義である。
置換アルキル、置換不飽和炭化水素基、置換アルキレン、置換アリール、置換アルコキシ、置換アシルおよび置換複素環基における置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3の、より具体的にはハロゲン原子、アルキル、不飽和炭化水素基、アリール、アルコキシ、水酸基、オキソ、カルボキシ、アシル、アミノ、ニトロ、シアノ、複素環基等があげられ、ハロゲン原子、アルキル、不飽和炭化水素基、アリール、アルコキシ、アシルおよび複素環基はそれぞれ前記と同義である。
置換イミノにおける置換基としては、例えばアルキル、不飽和炭化水素基、アリール、アルコキシ、アシル、アミノ、複素環基等があげられ、置換アミノにおける置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜2の、より具体的にはアルキル、不飽和炭化水素基、アリール、アルコキシ、アシル、アミノ、複素環基等があげられ、アルキル、不飽和炭化水素基、アリール、アルコキシ、アシルおよび複素環基はそれぞれ前記と同義である。
式(1)において、nは3以上の整数であれば特に限定されることはないが、好ましくは2(式中、mは前記と同義である)、さらに好ましくは4〜1024(2〜216)である。
本発明の化合物は、単一化合物であっても、構造の異なる化合物の混合物であってもよいが、単一化合物が好ましい。
式(1)で表される化合物は、その分子量が特に限定されることはないが、好ましくは100〜1,000,000、さらに好ましくは1,000〜100,000の分子量を有する。
式(1)で表される化合物において、代表的な具体例として、前記式(2)、(3)、(4)、(5)等で表される化合物があげられる。
式(1)で表される化合物は、通常の有機合成法で知られている反応[日本化学会編、有機合成I〜IV、丸善(1992年)]等を組み合わせて製造することができる。例として、以下の一般的な製造方法があげられる。

[式中、R、Xおよびnはそれぞれ前記と同義であり、Halはハロゲン原子を表し、R1aは水素原子に変換可能な基を表し、RはRに変換可能な基を表し、R

(式中、R1aは前記と同義である)と置換可能な基を表す]
ハロゲン原子および水素原子に変換可能な基はそれぞれ前記と同義であり、Rに変換可能な基としては、Rに変換可能な基であれば特に限定されず、水素原子に変換可能な基の定義で記載したものと同様なものがあげられる。

(式中、R1aは前記と同義である)と置換可能な基としては、

(式中、R1aは前記と同義である)と置換可能な基であれば特に限定されないが、具体的には、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ、アルカノイルオキシ等があげられ、ハロゲン原子は前記と同義であり、アルコキシおよびアルカノイルオキシのアルキル部分は、前記アルキルと同義である。
エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピフルオロヒドリン等のエピハロヒドリン(化合物(a))とR1a−OH(式中、R1aは前記と同義である)を用い、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),57,435(1992年)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),38(10),1673(1995年)等に記載の方法に順じて、化合物(c)を得ることができる。また、化合物(c)は、グリセロール(化合物(b))1モルに対し、1〜10モルのR1a−Hal(式中、R1aおよびHalはそれぞれ前記と同義である)を用いて適当な塩基存在下で反応させた後に精製して得るか、または触媒量のBF・O(C存在下で2−メチル−1−ブテンと反応させて[テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.),29,2951(1988年)]、選択的に第一アルコールの水酸基を保護するか、またはテトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.),41,6441(2000)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),54,1346(1989)、カナディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Can.J.Chem.),62,241(1984)等に記載の方法に順じて得ることができる。さらに、化合物(c)は化合物(b)の第一アルコールの水酸基を、例えばプロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第三版(Protective Groups in Organic Synthesis,third edition)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1999年)等に記載の保護基の導入方法等に準じて保護することでも得られる。
化合物(a)と反応させるR1a−OHとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブチルアルコール、ベンジルアルコール等、種々のアルコール類が利用可能である。また、化合物(b)と反応させるR1a−HalのR1aとしては、ベンジル、メチル、エチル、プロピル、tert−ブチル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチル、トリエチルシリル等の除去可能な残基が利用可能である。化合物(a)および(b)としては市販品を利用することができ、化合物(c)は前記の方法にしたがって合成して得られるか市販品として得ることもできる。
次いで、前記工程で得られた化合物(c)を、さらに化合物(a)と反応させるか、化合物(b)を

(式中、HalおよびR1aはそれぞれ前記と同義である)と反応させることによって、化合物(d)が得られる。
この反応工程を繰り返すことによって、Xが直列的分岐構造を有し、Xに化合物(c)残基がn個結合した化合物(e)を得ることができる。
化合物(e)に存在するX末端の水酸基に通常の有機合成反応を利用して反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基Rを結合させるか、該水酸基を、反応性を有する残基に直接変換することで、化合物(Ia)を得ることができる。
一方、化合物(f)に、前記と同様にして合成した化合物(c)を反応させ、化合物(g)を得ることができる。化合物(f)と化合物(c)を反応させ、化合物(g)を得る方法としては、化合物(f)のRの部位と化合物(c)の置換反応、通常の有機合成法で知られている反応[日本化学会編、有機合成I〜IV、丸善(1992年)等]を組み合わせた方法等があげられる。化合物(g)のRを通常の有機合成反応を利用して反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基Rに変換することで、化合物(Ia)が得られる。化合物(f)としては市販の既知構造の化合物を利用することもできるし、通常の有機合成法で知られている反応[日本化学会編、有機合成I〜IV、丸善(1992年)等]を組み合わせて化合物(f)を調製することもできる。
化合物(Ia)を、通常の有機合成反応に用いられる保護基の除去反応[例えばプロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第三版(Protective Groups in Organic Synthesis,third edition)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1999年)等]に付して、Rを除去して、水素原子に置換することで化合物(Ib)が得られる。
また、これとは逆に、式(1)において、Xとは反対方向に−OR末端からグリセロールユニットを伸ばしていくことにより、本発明の化合物を製造することも可能である。
各反応工程は適当な溶媒、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、ピリジン、水、およびこれらの混合溶媒の中から任意に選択される溶媒中、−20〜150℃の間の温度で1時間〜数日間行われる。
各工程において得られる各化合物はそのままの純度で、または再結晶、溶媒抽出、シリカゲルクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー等の一般的な精製方法で任意の純度に精製して次の工程に使用され得る。
本発明の化合物は、例えば生理活性ポリペプチド、低分子化合物等の安定性または水溶性を向上させる目的で化学修飾剤として使用することができる。
具体的には、本発明の化合物と生理活性ポリペプチドもしくはその誘導体または低分子化合物中のカルボキシ、アミノ、水酸基、メルカプト、ホルミル、ホスホノ等とを直接、またはスペーサーを介して結合させることにより上記目的を達成することができる。
スペーサーとしてはアミノ酸やペプチドが好ましいが、本発明の化合物と生理活性ポリペプチドもしくはその誘導体または低分子化合物中のカルボキシ、アミノ、水酸基、メルカプト、ホルミル、ホスホノ等とを結合することができればそれ以外であってもよい。アミノ酸としてはリジン、システイン等の天然アミノ酸等を用いることができ、オルニチン、ジアミノプロピオン酸、ホモシステイン等を用いることもできる。より好ましくは、システインがあげられる。ペプチドとしては、アミノ酸残基2〜10からなるものが好ましい。アミノ酸およびペプチド以外のスペーサーとしては、グリセロール、エチレングリコール、糖等があげられる。ここで、糖としては、グルコース、ガラクトース、ソルボース、ガラクトサミン、ラクトース等の単糖類や二糖類等があげられる。
これらのスペーサーは、例えば、生理活性ポリペプチドまたはその誘導体中のリジン、システイン、アルギニン、ヒスチジン、セリン、スレオニン等の残基の側鎖とアミド結合、チオエーテル結合、エステル結合等を介して結合するか、該ポリペプチドまたは該その誘導体のC末端カルボキシル基とアミド結合やエステル結合するか、該ポリペプチドまたは該その誘導体のN末端アミノ基とアミド結合する。これらの結合は、通常のペプチド合成法[泉屋ら、ペプチド合成の基礎と実験、丸善(1985年)]や遺伝子組換法を用いて行うことができる。
この場合、生理活性ポリペプチドまたはその誘導体を合成するのと同時に例えば該生理活性ポリペプチドまたはその誘導体のC末端カルボキシル基にスペーサーとなるアミノ酸、ペプチド等を導入することが望ましいが、生理活性ポリペプチドまたはその誘導体を合成した後にスペーサーを結合してもよい。また、該ポリペプチドまたはその誘導体のC末端カルボキシル基等を化学合成的に活性化してスペーサーに結合することもできる。また、本発明の化合物を予め結合したスペーサーを前記の方法で生理活性ポリペプチドまたはその誘導体に結合することもできる。
本発明で用いられる生理活性ポリペプチドまたはその誘導体としては、酵素、サイトカイン、ホルモン、毒素、抗体およびそれらの誘導体等があげられる。
生理活性ポリペプチドとしては、例えば、アスパラギナーゼ(Asparaginase)、グルタミナーゼ(Glutaminase)、アルギナーゼ(Arginase)、ウリカーゼ(Uricase)、スーパーオキサイドディスムターゼ(Superoxide Disumutase)、ラクトフェリン(Lactoferrin)、ストレプトキナーゼ(Streptokinase)、プラスミン(Plasmin)、アデノシンデアミナーゼ(Adenosine Deaminase)、インターロイキン−1〜24(Interleukin−1〜24)、インターフェロン−α(Interferon−α)、インターフェロン−β(Interferon−β)、インターフェロン−γ(Interferon−γ)、インターフェロン−ω(Interferon−ω)、インターフェロン−τ(Interferon−τ)、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte−Colony Stimulating Factor)、エリスロポエチン(Erythropoietin)、腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor)、血小板増加因子(Thrombopoietin)、クローソ(Klotho)蛋白質、レプチン(Leptin)、繊維芽細胞増殖因子1〜19(Fibroblast Growth Factor−1〜19)、ミッドカイン(Midkine)、カルシトニン(Calcitonin)、表皮成長因子(Epidermal Growth Factor)、グルカゴン(Glucagon)、インスリン(Insulin)、インスリン様成長因子1(Insulin−like Growth Factor−1)、オステオジェニックプロテイン1(Osteogenic Protein−1)、幹細胞増殖因子(Stem Cell Growth Factor)、アミリン(Amylin)、パラサイロイドホルモン(Parathyroid Hormone)、プラスミノーゲン活性化因子類(Plasminogen Activator)、血管内皮細胞成長因子(Vascular Endothelial Cell Growth Factor)、形質転換成長因子類(Transforming Growth Factor)、グルカゴン様ペプチド類(Glucagon−like Peptide)、成長ホルモン(Growth Hormone)、ナトリウム利尿ペプチド類(Natriuretic Peptide)、プラスミノーゲン(Plasminogen)、アンジオポエチン(Angiopoietin)、アンジオスタチン(Angiostatin)、エンドスタチン(Endostatin)、ネオカルチノスタチン(Neocarzinostatin)、肝細胞成長因子(Hepatocyte Growth Factor)、リシン(Ricin)、シュードモナス外毒素(Pseudomonas Exotoxin)、ジフテリア毒素(Diphtheria Toxin)、それらの溶解性レセプター等があげられる。
本発明で使用される抗体は、公知の手段[アンティボディーズ ア ラボラトリー マニュアル、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory)(1988)]を用いてポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体として得ることができる。
本発明で使用される抗体としては、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれも用いることができるが、モノクローナル抗体が好ましい。
本発明で使用されるモノクローナル抗体としては、ハイブリドーマが産生する抗体、ヒト化抗体、およびそれらの抗体断片等があげられる。
ヒト化抗体としては、ヒト型キメラ抗体、ヒト型相補性決定領域(以下、CDRと称す)移植抗体等があげられる。
ヒト型キメラ抗体は、ヒト以外の動物の抗体重鎖可変領域(以下、重鎖はH鎖として、可変領域はV領域としてVHと称す)および軽鎖可変領域(以下、軽鎖はL鎖としてVLと称す)とヒト抗体の重鎖定常領域(以下、定常領域はC領域としてCHと称す)およびヒト抗体の軽鎖定常領域(以下、CLと称す)とからなる抗体を意味する。ヒト以外の動物としては、マウス、ラット、ハムスター、ラビット等、ハイブリドーマ細胞を作製することが可能であればいかなるものも用いることができる。
ヒト型CDR移植抗体は、ヒト以外の動物の抗体のH鎖、L鎖のV領域のCDRのアミノ酸配列をヒトの抗体のH鎖、L鎖のV領域の適切な位置に移植した抗体を意味する。
抗体断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)、一本鎖抗体(以下、scFvと称す)、ジスルフィド安定化V領域断片(以下、dsFvと称す)、CDRを含むペプチド等があげられる。
Fabは、IgGのヒンジ領域で2本のH鎖を架橋している2つのジスルフィド結合の上部のペプチド部分を酵素パパインで分解して得られた、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体で構成された、分子量約5万の抗原結合活性を有するフラグメントである。
Fab’は、下記F(ab’)のヒンジ間のジスルフド結合を切断した分子量約5万の抗原結合活性を有するフラグメントである。
F(ab’)は、IgGのヒンジ領域の2個のジスルフィド結合の下部を酵素トリプシンで分解して得られた、2つのFab領域がヒンジ部分で結合して構成された、分子量約10万の抗原結合活性を有するフラグメントである。
scFvは、一本のVHと一本のVLとを適当なペプチドリンカー(以下、Pと称す)を用いて連結した、VH−P−VLないしはVL−P−VHポリペプチドを示す。本発明で使用されるscFvに含まれるVHおよびVLとしては、本発明のモノクローナル抗体またはヒト型CDR移植抗体のいずれをも用いることができる。
dsFvは、VHおよびVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシステイン残基に置換したポリペプチドを、ジスルフィド結合を介して結合させたものをいう。システイン残基に置換するアミノ酸残基はReiterらにより示された方法[プロテイン エンジニアリング(Protein Engineering),,697(1994年)]に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。本発明のジスルフィド安定化抗体に含まれるVHまたはVLとしてはモノクローナル抗体あるいはヒト型CDR移植抗体のいずれをも用いることができる。
本発明で使用される抗体またはその抗体断片には、該抗体またはその抗体断片に、放射性同位元素、蛋白質、薬剤等を、化学的または遺伝子工学的に結合させた融合抗体も含まれる。
本発明で使用される生理活性ポリペプチドの誘導体としては、前記生理活性ポリペプチドのアミノ酸欠失体、アミノ酸置換体、アミノ酸挿入体、アミノ酸付加体、糖鎖欠失体、糖鎖付加体等があげられる。これらの誘導体は、生理活性ポリペプチドが有する活性を同様に有していることが好ましい(以下、生理活性ポリペプチドとその誘導体を合わせて、「生理活性ポリペプチド」と表記する)。
本発明で使用される低分子化合物としては、式(1)で表される化合物におけるRの一部と反応し、Rの一部と置換可能なものであれば特に限定されないが、例えば、カルボキシ、一級または二級アミノ、水酸基、メルカプト、ホルミル、ホスホノ、カルボン酸活性エステル残基、酸無水物残基、ハロゲン、酸ハロゲン化物残基、イソシアナート、マレイミド、ヒドラジド、ビニルスルホニル等の官能基を有する化合物があげられる。
低分子化合物としては、低分子化合物であればいかなる化合物も利用可能である。低分子化合物の分子量は、特に限定されないが、50〜10000であるのが好ましく、100〜2000であるのがさらに好ましい。また、水または水溶液への溶解度が、0〜1mol/L、好ましくは0〜0.1mol/Lであり、その溶解度の値が少なくとも1.1倍以上、好ましくは10〜10倍に向上することが求められる水溶性が不十分な低分子化合物が好ましい。低分子化合物の例としては、コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、β−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴカステロール、フコステロー−ル等のステロール類、シトシンアラビノシド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、アクラルビシン、マイトマイシン、ブレオマイシン、5−フルオロウラシル、デュオカルマイシン、メトトレキセート、カンプトテシン、タキサン類等の抗癌剤、アンピシリン、セファレキシン、セファクロル、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、アンホテリシン、ペニシリン、セファゾリン等の抗生物質、ガンシクロビル、アシクロビル等の抗ウイルス剤、これらの誘導体等があげられる。上記誘導体としては、任意の官能基が欠失、置換、挿入、または付加した修飾体、放射性同位元素、薬剤、糖等による修飾体等があげられ、未修飾の低分子化合物が有する活性を同様に有していることが好ましい。
これらの生理活性ポリペプチドまたは低分子化合物は、りん酸緩衝液、ほう酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液等の緩衝液もしくは水、またはN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の適当な有機溶媒中、またはこれらの有機溶媒と水溶液との混合溶媒中で製造され、化学修飾反応に用いられる[稲田祐二・前田浩編、続蛋白質ハイブリッド、共立出版(1988年)参照]。
これらの生理活性ポリペプチドまたは低分子化合物を本発明の化合物で化学修飾すると、1分子以上の化合物が結合した化学修飾ポリペプチドまたは化学修飾低分子化合物等が得られる。
生理活性ポリペプチドまたは低分子化合物の化学修飾は、本発明の化合物を生理活性ポリペプチドまたは低分子化合物1モルあたり1〜1000モル程度、好ましくは1〜50モル程度用いて反応させることによって行われる。化合物の生理活性ポリペプチドまたは低分子化合物への修飾の度合いは生理活性ポリペプチドまたは低分子化合物に対する化合物のモル比、反応温度、pH、反応時間等を調節することによって、任意に選択することができる。また、反応に使用する溶媒は反応を妨害しないものであればいずれでもよく、例えばりん酸緩衝液、ほう酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸ナトリウム緩衝液、クエン酸緩衝液、水、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等、およびこれらの混合溶媒から選択される。反応の温度、pHおよび時間は生理活性ポリペプチドまたは低分子化合物の活性が損われない条件であればいずれでもよく、例えば0〜50℃の間の温度、10分間〜100時間、pH4〜10が好ましい。
本発明の化合物で修飾された生理活性ポリペプチドまたは低分子化合物の精製は常法に従って、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、限外濾過等により行うことができる。また、任意の化学修飾率の化学修飾ポリペプチドまたは化学修飾低分子化合物等をこれらの精製法で分画して精製することもできる。
合成または精製された生理活性ポリペプチドまたは低分子化合物および本発明の化合物で修飾された該生理活性ポリペプチドまたは該低分子化合物の構造の確認は、質量分析、核磁気共鳴(NMR)およびアミノ酸分析計によるアミノ酸組成分析により、また気相プロテインシーケンサーによりエドマン分解して得られたフェニルチオヒダントイン(PTH)アミノ酸を逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析することによるアミノ酸配列分析等により行うことができる。
前記で調製された化学修飾ポリペプチドまたは化学修飾低分子化合物は診断薬、治療剤等の医薬として利用することができる。これらの治療剤には、生物活性の維持・向上、細網内皮系(RES)回避、血中持続性の向上、薬剤の円滑なリリース、毒性低減に加えて、抗原性・免疫原性の低下、水溶性の向上、プロテアーゼ耐性、立体構造の保持、血清中での安定化、会合体形成抑制等の効果が期待される。
これらの化学修飾ポリペプチドまたは化学修飾低分子化合物の投与方法としては、具体的には、静脈内投与、経口投与等があげられるが、該投与方はこれらに限定されない。
これらの化学修飾ポリペプチドまたは化学修飾低分子化合物を含有する医薬品組成物は、例えば製薬上許容される非経口用媒介物と組み合わされた溶液、サスペンジョン、エマルジョン、凍結乾燥製剤等として表される。該媒介物としては、水、塩水、リンガー液、デキストロース溶液、1〜10%ヒト血清アルブミン等があげられる。該媒介物は等張性を保持するために塩化ナトリウム、マンニトール、アミノ酸類等の添加剤を含んでいてもよいし、化学安定性を保持するために緩衝液、防腐剤等を含んでいてもよい。該医薬品組成物は通常用いられている方法に従って滅菌されるのが好ましい。注射投与に適した非経口用該医薬品組成物は、前記化学修飾ポリペプチドまたは化学修飾低分子化合物、添加剤等を例えば0.9%塩化ナトリウム含有水溶液に溶解することによって調製される。該医薬品組成物は単回または複数回投与されうる。該医薬品組成物は単一の治療薬として、または他の治療薬と組み合わせて投与されうる。該医薬品組成物による治療は、従来の治療と組み合わせることもでき、この場合、連続もしくは同時投与によってなされる。
これらの化学修飾ポリペプチドまたは化学修飾低分子化合物を含有する医薬品組成物は、また、製薬上許容される伝統的な割賦剤もしくは基材と組み合わされたタブレット、ピル、またはカプセルとして表すこともできる。該割賦剤もしくは基材は、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウムのような伝統的な賦形剤を含んでいてもよい。
投与量または投与回数は、使用される化学修飾ポリペプチドまたは化学修飾低分子化合物、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等により異なるが、通常有効成分を成人1日当たり10μg/kg〜8mg/kg投与する。
以下に、本発明を試験例、実施例および参考例により説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明化合物修飾G−CSF誘導体、ポリエチレングリコール修飾G−CSF誘導体および未修飾G−CSF誘導体の、温度上昇に伴う円二色性偏光スペクトル(楕円率)の変化を示した図である。横軸は温度(℃)を、縦軸は分子楕円率(a.u.)を表し、各プロットの意味は、以下のとおりである。
1:未修飾G−CSF誘導体
2:ポリエチレングリコール修飾G−CSF誘導体
3:本発明化合物修飾G−CSF誘導体
【発明を実施するための最良の形態】
試験例1 化学修飾G−CSF誘導体の生物活性測定
実施例1、参考例1または参考例2で調製した各G−CSF誘導体のマウス白血病細胞NFS60[プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),82,6687(1985年)]に対する増殖促進活性を、浅野らの方法[薬理と治療,19,2767(1991年)]に従って測定した。未修飾のG−CSF誘導体の比活性(U/mg)を100としたときの各化合物の活性を表1に示す。従来のポリエチレングリコール修飾体の比活性は顕著に低下したが、式(2)で表される本発明の化合物を用いて作製された修飾体では修飾率が高いにも関わらず極めて高い生物活性が維持された。

試験例2 化学修飾G−CSF誘導体の熱安定性
未修飾G−CSF誘導体ならびに各化学修飾G−CSF誘導体を50mmol/Lりん酸緩衝液(pH7.2)中、0.2mg/mLに調整し、温度上昇変化に伴う円二色性偏光(CD)スペクトルの変化を測定した。波長208nmにおけるスペクトル値(楕円率)の変化を図1に示す。未修飾G−CSF誘導体では50〜55℃で急速に楕円率(絶対値)の低下、消失が確認され、この変化は不可逆的であった。一方、本発明の化合物修飾G−CSF誘導体ではポリエチレングリコール修飾体と同様に楕円率は55℃までほぼ一定であり、75℃まで温度を上昇させても楕円率(絶対値)は僅かに低下したのみであった。この結果は、本発明の化合物修飾体が温度を上昇させても水溶液中で安定に構造を維持した状態で存在していることを示している。
試験例3 化学修飾低分子化合物の水に対する溶解度
実施例4および実施例5で調製した化合物の水に対する溶解度を測定したところ、表2に示す結果が得られた。これらの結果から、実施例1で調製した化合物を難溶性の低分子化合物に結合させると、水に対する溶解度が向上することが明らかとなった。

実施例1 化合物の合成[式(2)で表される化合物]
反応スキームを以下に示す。反応スキーム中で、Bnはベンジル基、Etはエチル基、i−Prはイソプロピル基、PyBOPはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフィン、TFAはトリフルオロ酢酸、NHSはN−ヒドロキシスクシンイミド、EDCは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、THFはテトラヒドロフラン、DMFはジメチルホルムアミドを表す。

化合物2[2−アミノ−1,3−ビス(1,3−ジ−O−ベンジル−2−グリセロキシ)プロパン]を根本らの方法[ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),38,1673(1995年)]に従って調製した。化合物1(3.5g,15.0mmol)のジメチルホルムアミド(DMF)溶液(50mL)に、室温でジイソプロピルエチルアミン(10.5mL,60.0mmol)、化合物2(19.8g,33.0mmol)のDMF溶液(20mL)およびベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフィン(PyBOP;15.6g,30.0mmol)を順次加えた後、同温度で15時間攪拌した。反応液を5%硫酸水素カリウム水溶液に注いだ後、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:2)で精製し、淡黄色油状の化合物3(18.7g,収率89%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz)δ(ppm):1.36(9H,s),3.40−3.81(32H,m),4.16(2H,m),4.48(16H,s),7.19−7.31(40H,m).
化合物3(2.0g,1.43mmol)のジクロロメタン溶液(45mL)に、室温でトリフルオロ酢酸(5mL)を注入した後、同温度で20時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧下で留去し、淡黄色油状の化合物4(1.19g,収率64%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz)δ(ppm):1.75(1H,s),2.87(4H,s),3.47−3.81(28H,m),4.16(2H,m),4.48(16H,s),7.00(2H,d),7.19−7.31(40H,m).
化合物4(1.5g,1.16mmol)のピリジン溶液(2.0mL)に、室温で無水コハク酸(232mg,2.31mmol)をゆっくりと加えた後、100℃で1.5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、2mol/L塩酸を加え、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:3)で精製し、淡黄色油状の化合物5(1.62g,収率100%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz)δ(ppm):2.39(2H,m),2.56(2H,m),3.45−3.76(32H,m),4.09−4.21(2H,m),4.46(16H,s),6.87(1H,d),7.19−7.31(40H,m),8.02(1H,d).
化合物5(3.0g,2.15mmol)のテトラヒドロフラン溶液(45mL)に、室温でN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS;495mg,4.30mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC;886mg,4.30mmol)およびトリエチルアミン(0.24mL,1.72mmol)を順次加えた後、2時間還流した。反応液に5%硫酸水素カリウム水溶液を加えた後、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:10)で精製し、淡黄色油状の化合物6(2.35g,収率79%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz)δ(ppm):2.49(2H,t),2.67(4H,s),2.78(2H,t),3.40−3.78(32H,m),4.11−4.22(2H,m),4.48(16H,d),6.96(1H,d),7.19−7.31(40H,m),8.37(1H,d).
化合物6(1.15g,0.77mmol)のエタノール溶液(50mL)に水素気流下、室温でPd(OH)/C(Pd:20重量%含有,200mg)を加えた後、同温度で12時間攪拌した。反応液をセライトで濾過した後、溶媒を減圧下で留去し、淡黄色油状の化合物7(596mg,収率100%)を得た。
H−NMR(CDCl,300MHz)δ(ppm):2.74(2H,t),2.82(4H,s),2.96(2H,t),3.30(8H,s),3.43−3.80(28H,m),4.05−4.22(6H,m).
実施例2 本発明化合物で修飾された化学修飾G−CSF誘導体の調製
等張りん酸緩衝液(pH7.4)で調製した参考例1のG−CSF誘導体(27.8mL,0.72mg/mL)に、実施例1で調製した化合物7(約20mg)を加え、冷蔵下で一昼夜攪拌して反応させた。反応液(26.5mL)を20mmol/L酢酸緩衝液(pH4.5)で10倍に希釈し、CM Sepharose FF レジン10mL(Amersham−Pharmacia Biotech社製)を用いた陽イオン交換カラムで精製した。0.3mol/Lの塩化ナトリウムを含む緩衝液で溶出される目的画分を回収し、2.1mg/mLの化合物7修飾G−CSF誘導体を含む溶液(8mL,収率84%)を得た。
<SDS−PAGE分析>
分析条件:4−20%グラジエントゲル(PAGEL SPG−520L)、非還元
結果:21kDa〜31kDaの間に均一なバンド
<ゲル濾過HPLC分析>
分析条件:TSK gel G2000SWXLカラム(7.8×300mm、東ソー社製)、流速0.5mL/分、溶媒150mmol/L食塩を含む20mmol/L酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)、注入量50μg
結果:約19分に溶出
<MALDI TOF−MS分析>
結果:質量20880(3分子結合体)、21540(4分子結合体)を主に検出
実施例3 化合物の合成[式(3)で表される化合物]
反応スキームを以下に示す。反応スキーム中で、Bnはベンジル基を表す。

化合物4(624mg,0.48mmol)のDMF溶液(13mL)に化合物1(51mg,0.219mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.15mL,0.876mmol)およびPyBOP(228mg,0.428mmol)を室温で加え、同温度で48時間攪拌した。反応混合物を5%硫酸水素カリウム水溶液中に注いだ後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。その後有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、これを濾過した後、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:酢酸=100:0.7)で精製し、黄色油状の化合物8(322mg,0.115mmol,収率53%)を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):7.32−7.17(80H,m),4.49−4.38(32H,m),4.15−4.06(4H,m),3.77−3.27(68H,m),1.32(9H,s),(CONHは明確に確認されず).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):170.2(C×4,CONH),167.7(C×2,CON),155.4(C,OCN),138.2(C×16),128.3(CH×16),128.3(CH×16),127.7(CH×16),127.6(CH×16),127.6(CH×16),80.5(C),78.7(CH×8),73.2(CH×16),70.2(CH×16),68.9(CH×8),52.1(CH×2),51.9(CH×4),49.6(CH×4),28.2(CH×3).
化合物8(322mg,0.115mmol)のジクロロメタン溶液(48.32mL)にトリフルオロ酢酸(0.48mL)を室温で滴下した。同温度で24時間攪拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、これを濾過した後、溶媒を減圧下で留去することにより白色油状の化合物9(310mg,0.115mmol,収率100%)を得た。本品は精製することなく次の反応に付した。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):7.33−7.18(80H,m),4.50−4.39(32H,m),4.20−4.02(4H,m),3.94−3.28(68H,m),(NHは明確に確認されず),(CONHは明確に確認されず).
化合物9(190mg,0.071mmol)のピリジン溶液(3mL)に無水コハク酸(28mg,0.28mmol)、およびN,N−ジメチルアミノピリジン(4mg,0.036mmol)を室温で加え、50℃で5時間攪拌した。反応液を2mol/L塩酸水溶液に加えジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、これを濾過した後、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:酢酸=100:0.7)で精製して、白色油状の化合物10(150mg,0.054mmol,収率76%)を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):7.35−7.17(80H,m),4.50−4.39(32H,m),4.22−4.05(4H,m),4.02−3.27(68H,m),2.62−2.53(4H,m),(OHおよびCONHのいずれも明確に確認されず).
化合物10(150mg,0.054mmol)のテトラヒドロフラン溶液(2mL)にNHS(12mg,0.11mmol)を室温で加え、同温度で15分間攪拌した後、EDC(21mg,0.11mmol)およびトリエチルアミン(7mL,0.043mmol)を室温で加え、30分間還流した。反応液を5%KHSO水溶液に加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、これを濾過した後、溶媒を減圧下で留去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=20:1)で精製し、油状の化合物11(62mg,0.21mmol,収率40%)を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):7.39−7.18(80H,m),4.54−4.38(32H,m),4.23−4.07(4H,m),4.89−3.33(68H,m),2.77−2.69(4H,m),2.57−2.49(4H,m),(CONHは明確に確認されず).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):172.1(C,CO−),170.4(C,CON),169.5(C×4,CONH),168.7(C×2,CON),168.1(C×2,CON),138.8(C×16),129.0(CH×16),129.0(CH×16),128.2(CH×16),128.0(CH×16),127.6(CH×16),79.3(CH×8),73.8(CH×16),70.5(CH×16),68.9(CH×8),52.1(CH×2),51.9(CH×4),50.4(CH×4),30.3(CH),30.2(CH),25.9(CH×2).
TOF−MS:精密質量分析(M)=2886,測定値(M+1)=2887.44
化合物11(14mg,4.85μmol)のエタノール溶液(1mL)に水素気流下、室温でPd(OH)/C(Pd:20重量%含有,1mg)を加えた後、同温度で3時間攪拌した。反応液を、セライト535を用いて濾過した後、溶媒を減圧下で留去し、化合物32(6mg,4.15μmol,収率86%)を得た。
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):4.27−4.07(4H,m),3.85−3.36(72H,m),2.66−2.41(8H,m)
実施例4 本発明化合物で修飾された化学修飾低分子化合物の合成(化合物24a〜28a)
反応スキームを以下に示す。反応スキーム中で、Etはエチル基、Bnはベンジル基、NHSはN−ヒドロキシスクシンイミド、EDCは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、THFはテトラヒドロフランを表す。

化合物12は、シンセティック・コミュニケーションズ(Synth.Commun.),25,907(1995年)に記載の方法、化合物13と化合物2は、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),38,1673(1995年)に記載の方法で合成した。
化合物12、13および2(1.0mmol)それぞれのピリジン溶液(2.0mL)に室温で、無水コハク酸(150.1mg,1.5mmol)をゆっくりと加えた後、100℃で1.5〜4時間攪拌した。反応液を室温まで冷やした後、2mol/L塩酸を加え、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:3)で精製し、それぞれ化合物14〜16を得た(収率92〜100%)。
(化合物14)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.51(2H,t,J=7.0Hz),2.69(2H,t,J=7.0Hz),3.49(2H,t,J=5.0Hz),3.59(2H,t,J=5.0Hz),4.54(2H,s),6.20(1H,t,J=5.0Hz),7.31−7.42(5H,m).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):175.8(C),172.5(C),137.4(C),128.1(CH×2),127.5(CH×2),127.5(CH),72.6(CH),68.2(CH),39.1(CH),30.2(CH),29.2(CH).
(化合物15)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.49(2H,t,J=5.0Hz),2.57(2H,t,J=5.0Hz),3.54(2H,dd,J=7.2,4.9Hz),3.64(2H,dd,J=7.2,3.0Hz),4.25−4.32(1H,m),4.50(4H,s),6.09(1H,d,J=6.9Hz),7.25−7.37(10H,m).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):175.8(C),171.6(C),137.7(C×2),128.3(CH×4),127.6(CH×4),127.6(CH×2),127.6(C),73.1(CH×2),68.3(CH×2),48.7(CH),30.6(CH),29.6(CH).
(化合物16)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.06(2H,t,J=5.0Hz),2.44(2H,t,J=5.0Hz),3.50−3.82(14H,m),4.09−4.16(1H,m),4.50(2H,s),4.50(2H,s),6.82(1H,d,J=6.5Hz),7.25−7.36(20H,m).
13C−NMR(CDCl,300MHz)δ(ppm):175.3(C),172.0(C),137.9(C×2),137.7(C×2),128.2(CH×4),128.2(CH×4),127.7(CH×4),127.6(CH×4),127.5(CH×2),127.4(CH×2),78.9(CH×2),73.4(CH×2),73.2(CH×2),70.5(CH×2),69.9(CH×2),68.4(CH×2),49.6(CH),30.1(CH),30.0(CH).
化合物14〜16(1.0mmol)それぞれのテトラヒドフラン溶液(45mL)に、室温でNHS(126.6mg,1.1mmol)、EDC(412.7mg,2.0mmol)およびトリエチルアミン(0.11mL,0.8mmol)を順次加えた後、2〜4時間還流した。反応液に5%硫酸水素カリウム水溶液を加えた後、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:10)で精製し、それぞれ化合物17〜19を得た(収率53〜90%)。
(化合物17)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.61(2H,t,J=7.0Hz),2.87(4H,s),3.19(2H,t,J=7.0Hz),3.49(2H,t,J=5.0Hz),3.59(2H,t,J=5.0Hz),4.55(2H,s),6.13−6.25(1H,m),7.31−7.42(5H,m).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):170.1(C×2),169.1(C),168.2(C),137.8(C),128.5(CH×2),127.9(CH×2),127.9(CH),73.2(CH),68.9(CH),39.5(CH),30.6(CH),26.8(CH),25.5(CH×2).
(化合物18)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.59(2H,t,J=5.5Hz),2.79(4H,s),2.98(2H,t,J=5.5Hz),3.54(2H,dd,J=7.5,5.0Hz),3.64(2H,dd,J=7.5,3.0Hz),4.27−4.34(1H,m),4.51(4H,s),5.95(1H,d,J=6.8Hz),7.25−7.39(10H,m).13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):169.3(C),168.7(C×2),167.9(C),137.9(C×2),128.2(CH×4),127.6(CH×4),127.5(CH×2),73.1(CH×2),68.3(CH×2),48.6(CH),30.7(CH),26.7(CH),25.5(CH×2).
(化合物19)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.12(2H,t,J=5.8Hz),2.77−2.82(6H,m),3.51−3.82(14H,m),4.09−4.17(1H,m),4.50(2H,s),4.51(2H,s),6.68(1H,d,J=7.0Hz),7.27−7.35(20H,m).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):169.2(C),68.7(C×2),167.8(C),138.0(C×2),137.8(C×2),128.3(CH×4),128.2(CH×4),127.7(CH×4),127.6(CH×4),127.4(CH×4),79.0(CH×2),73.4(CH×2),73.3(CH×2),70.6(CH×2),70.0(CH×2),68.5(CH×2),49.4(CH),29.8(CH),26.5(CH),25.0(CH×2).
N−(8−アミノオクチル)ベンズアミド塩酸塩[N−(8−aminooctyl)benzamidehydrochloride(化合物Ra−H・HCl)]はシンセシス(Synthesis),917(1988年)に記載の方法で合成した。
化合物17〜19および6(1.0mmol)それぞれのテトラヒドロフラン溶液(20mL)に、室温で化合物Ra−H・HCl(284.8mg,1.0mmol)、およびトリエチルアミン(0.14mL,1.0mmol)を順次加えた後、同温度で3〜6時間攪拌した。反応液に5%硫酸水素カリウム水溶液を加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:メタノール=20:1)で精製し、それぞれ化合物20a〜23aを得た(収率62〜79%)。
(化合物20a)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):1.23−1.68(12H,m),2.46−2.65(4H,m),3.18−3.60(8H,m),4.51(2H,s),6.13−6.38(3H,m),7.30−7.86(10H,m).
13C−NMR(CDCl:CDOD=10:1,75MHz)δ(ppm):172.9(C),172.7(C),168.1(C),137.8(C),134.7(C),131.5(CH),128.6(CH×2),128.5(CH×2),127.9(CH×2),127.9(CH×2),126.9(CH),73.2(CH),68.7(CH),40.0(CH),39.5(CH),39.4(CH),31.8(CH),31.7(CH),29.5(CH),29.2(CH),29.1(CH),29.0(CH),26.8(CH),26.7(CH).
(化合物21a)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):1.23−1.68(12H,m),2.46−2.65(4H,m),3.20(2H,q,J=5.0Hz),3.45(2H,q,J=5.0Hz),3.52−3.66(2H,dd,J=8.0,4.5Hz),3.63(2H,dd,J=8.0,3.0Hz),4.23−4.31(1H,m),4.51(4H,s),5.94−6.19(3H,m),7.28−7.79(15H,m).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):172.1(C),172.0(C),167.6(C),137.8(C×2),134.6(C),131.2(CH),128.4(CH×2),128.3(CH×6),127.6(CH×2),127.5(CH×2),126.7(CH×2),73.1(CH×2),68.4(CH×2),48.6(CH),40.0(CH),39.5(CH),31.9(CH),31.8(CH),29.5(CH),29.3(CH),29.0(CH),29.0(CH),26.8(CH),26.6(CH).
(化合物22a)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):1.23−1.68(12H,m),2.17(2H,t,J=5.0Hz),2.34(2H,t,J=5.0Hz),3.15(2H,q,J=5.0Hz),3.42(2H,q,J=5.0Hz),3.52−3.65(10H,m),3.65−3.84(4H,m),4.07−4.15(1H,m),4.45(4H,s),4.50(4H,s),6.30−6.45(2H,m),6.73(1H,d,J=6.0Hz),7.28−7.79(25H,m).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):172.1(C),172.0(C),167.5(C),138.1(C×2),138.0(C×2),134.8(C),131.6(CH),128.4(CH×2),128.4(CH×4),128.3(CH×4),127.7(CH×4),127.7(CH×2),127.6(CH×2),127.6(CH×4),126.9(CH×2),79.0(CH×2),73.4(CH×2),73.3(CH×2),70.5(CH),70.4(CH),70.0(CH),70.0(CH),68.5(CH×2),49.4(CH),40.0(CH),39.4(CH),31.7(CH),31.4(CH),29.5(CH),29.4(CH),29.1(CH),29.0(CH),26.8(CH),26.7(CH).
(化合物23a)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):1.23−1.68(12H,m),2.30(2H,t,J=5.0Hz),2.45(2H,t,J=5.0Hz),3.10(2H,q,J=5.0Hz),3.40(2H,q,J=5.0Hz),3.40−3.80(32H,m),4.10−4.22(2H,m),4.50(16H,s),5.87(1H,brd,J=5.0Hz),6.32(1H,brd,J=5.0Hz),7.08(1H,d,J=6.0Hz),7.21−7.41(40H,m),7.41−7.55(3H,m),7.77(2H,d,J=5.5Hz),8.29(1H,d,J=6.0Hz).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):173.1(C),171.7(C),168.5(C),168.0(C),167.3(C),138.1(C×2),138.0(C×4),137.9(C×2),134.7(C),131.1(CH),128.3,128.2,128.2,127.6,127.6,127.5,127.5,127.5,127.4,127.4,および126.7(CH×44),78.9(CH×2),78.8(CH×2),73.3(CH×2),73.3(CH×2),73.2(CH×4),70.3(CH×2),70.2(CH×2),69.9(CH×2),69.9(CH×2),68.8(CH×2),68.3(CH×2),53.4(CH),52.3(CH),49.9(CH),49.6(CH),40.0(CH),39.4(CH),31.1(CH),29.5(CH),29.4(CH),29.1(CH),29.0(CH),28.2(CH),26.8(CH),26.7(CH).
化合物20a〜23a(1.0mmol)それぞれのエタノール溶液(15mL)に水素気流下、室温で、触媒量のPd(OH)/C(Pd:20重量%含有)を加えた後、同温度で3〜6時間攪拌した。反応液を、セライト535(和光純薬社製)を用いて濾過した後、溶媒を減圧下で留去し、それぞれ化合物25a〜28aを得た(収率100%)。
(化合物25a)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):1.28−1.41(8H,m),1.45−1.52(2H,m),1.58−1.66(2H,m),2.46−2.50(4H,m),3.16(2H,t,J=5.5Hz),3.30(2H,t,J=4.5Hz),3.38(2H,t,J=5.5Hz),3.58(2H,t,J=4.5Hz),7.41−7.53(3H,m),7.77−7.81(2H,m).
13C−NMR(CDCl:CDOD=1:10,75MHz)δ(ppm):174.7(C),174.3(C),170.1(C),135.6(C),132.3(CH),129.3(CH×2),128.0(CH×2),61.4(CH),42.8(CH),40.9(CH),40.3(CH),32.2(CH),32.1(CH),30.3(CH),30.2(CH),30.2(CH×2),27.8(CH),27.7(CH).
(化合物26a)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):1.28−1.41(8H,m),1.45−1.52(2H,m),1.58−1.66(2H,m),2.46−2.52(4H,m),3.16(2H,t,J=5.5Hz),3.38(2H,t,J=5.5Hz),3.55−3.65(4H,m),3.90(1H,q,J=4.0Hz),7.41−7.53(3H,m),7.77−7.81(2H,m).
13C−NMR(CDCl:CDOD=3:7,75MHz)δ(ppm):173.9(C),173.4(C),169.2(C),134.9(C),131.8(CH),128.8(CH×2),127.4(CH×2),61.6(CH×2),53.3(CH),40.4(CH),39.8(CH),31.9(CH),31.6(CH),29.7(CH),29.5(CH×3),27.2(CH),27.1(CH).
(化合物27a)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):1.28−1.41(8H,m),1.45−1.52(2H,m),1.58−1.66(2H,m),2.46−2.52(4H,m),3.16(2H,t,J=5.0Hz),3.35(2H,t,J=5.0Hz),3.55−3.80(14H,m),4.07−4.15(1H,m),7.41−7.53(3H,m),7.77−7.81(2H,m).
13C−NMR(CDOD,75MHz)δ(ppm):174.5(C),174.3(C),169.9(C),135.7(C),132.4(CH),129.4(CH×2),128.1(CH×2),82.9(CH×2),69.5(CH×2),62.4(CH×2),62.3(CH×2),51.0(CH),40.9(CH),40.5(CH),32.3(CH),32.2(CH),30.4(CH×2),30.2(CH×2),27.9(CH),27.8(CH).
(化合物28a)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):1.28−1.41(8H,m),1.45−1.52(2H,m),1.58−1.66(2H,m),2.48(2H,t,J=5.0Hz),2.60(2H,t,J=5.0Hz),3.16(2H,t,J=5.5Hz),3.38(2H,t,J=5.5Hz),3.52−3.82(28H,m),4.05(2H,s),4.15(1H,t,J=4.0Hz),4.22(1H,t,J=4.0Hz),4.27(2H,s),7.41−7.53(3H,m),7.77−7.81(2H,m).
13C−NMR(CDOD,75MHz)δ(ppm):175.6(C),174.2(C),171.7(C),171.4(C),170.0(C),135.7(C),132.4(CH),129.4(CH×2),128.1(CH×2),83.1(CH×2),82.9(CH×2),69.7(CH×2),69.5(CH×2),62.6(CH×2),62.5(CH×2),62.4(CH×4),54.5(CH),54.0(CH),51.6(CH),51.3(CH),41.0(CH),40.5(CH),31.7(CH),30.5(CH),30.3(CH×2),30.3(CH),29.2(CH),28.0(CH),27.9(CH).
化合物24a[N−(8−プロピオニルアミノオクチル)ベンズアミド(N−(8−propionylaminooctyl)benzamide)]はRa−H・HClとプロピオン酸のNHSエステルを用い、上記と同様に反応させて取得した。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):1.15(3H,t,J=6.0Hz),1.29−1.68(12H,m),2.19(2H,q,J=5.0Hz),3.22(2H,q,J=5.0Hz),3.44(2H,q,J=5.0Hz),5.71(1H,brd,CONH),6.38(1H,brd,CONH),7.40−7.50(3H,m),7.77(2H,d,J=6.0Hz),
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):174.0(C),167.6(C),134.8(C),131.3(CH),128.5(CH×2),126.9(CH×2),40.0(CH),39.5(CH),29.7(CH),29.6(CH),29.5(CH),29.0(CH),29.0(CH),26.8(CH),26.7(CH),10.0(CH).
実施例5 化合物の合成(化合物24b〜28b)
化合物17〜19および6(1.0mmol)それぞれのジクロロメタン溶液(20mL)に、室温でL−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩(化合物Rb’−H・HCl、431.4mg,2.0mmol)、およびトリエチルアミン(0.42mL,3.0mmol)を順次加えた後、同温度で3〜6時間攪拌した。反応液に5%硫酸水素カリウム水溶液を加えた後、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:3)で精製し、それぞれ化合物20b’〜23b’を得た(収率79〜97%)。
(化合物20b’)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.40(2H,t,J=5.0Hz),2.49(2H,t,J=5.0Hz),2.98(1H,dd,J=11.0,5.0Hz),3.09(1H,dd,J=11.0,5.0Hz),3.40(2H,t,J=4.0Hz),3.48(2H,t,J=4.0Hz),3.60(3H,s),4.45(2H,s),4.79(1H,brq,J=5.0Hz),6.83(1H,t,J=4.0Hz),7.10−7.32(10H,m),(二つの−NHは明確に観察されず).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):171.0(C),170.9(C),170.9(C),136.8(C),135.1(C),128.0(CH×2),127.3(CH×2),127.2(CH×2),126.5(CH×2),125.7(CH×2),71.8(CH),67.7(CH),52.4(CH),51.0(CH),38.3(CH),36.7(CH),30.2(CH×2).
(化合物21b’)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.42−2.52(4H,m),3.05(1H,dd,J=11.0,5.0Hz),3.12(1H,dd,J=11.0,4.8Hz),3.52(2H,dd,J=7.5,4.5Hz),3.63(2H,dd,J=7.5,3.0Hz),3.70(3H,s),4.25−4.32(1H,m),4.50(4H,s),4.83(1H,dt,J=6.0,5.0Hz),6.06(1H,d,J=6.0Hz),6.33(1H,d,J=6.0Hz),7.08−7.35(15H,m).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):172.0(C),171.7(C),171.7(C),138.0(C×2),136.0(C),129.2,128.5,128.4,127.6および127.0(CH×15),73.1(CH×2),68.4(CH×2),53.3(CH),52.2(CH),48.6(CH),37.8(CH),31.4(CH),31.3(CH).
(化合物22b’)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.13(2H,t,J=5.0Hz),2.34(2H,t,J=5.0Hz),3.03(1H,dd,J=11.0,4.8Hz),3.11(1H,dd,J=11.0,4.8Hz),3.49−3.80(14H,m),3.67(3H,s),4.12(1H,q,J=5.5Hz),4.49(4H,s),4.50(4H,s),4.80(1H,dt,J=5.0,6.0Hz),6.59−6.64(2H,m),7.09−7.33(25H,m).
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ(ppm):171.9(C),171.7(C),171.6(C),138.1(C×2),138.0(C×2),136.0(C),129.2,128.5,128.4,128.3,127.7,127.7,127.6および127.0(CH×25),79.0(CH),79.0(CH),73.4(CH×2),73.3(CH×2),70.4(CH),70.0(CH),68.5(CH×2),68.5(CH×2),53.3(CH),52.1(CH),49.4(CH),37.8(CH),31.3(CH),30.9(CH).
(化合物23b’)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.26−2.45(4H,m),3.00(1H,dd,J=11.0,5.0Hz),3.06(1H,dd,J=11.0,5.0Hz),3.34−3.80(32H,m),3.63(3H,s),4.07−4.14(1H,m),4.17−4.25(1H,m),4.46(16H,s),4.77(1H,dt,J=6.0,5.0Hz),6.15(1H,d,J=6.0Hz),6.97(1H,d,J=7.0Hz),7.06−7.52(45H,m),8.36(1H,d,J=6.0Hz).
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ(ppm):173.0(C),171.8(C),171.5(C),168.8(C),168.3(C),138.3(C×2),138.2(C×2),138.2(C×2),138.1(C×2),136.0(C),129.3,128.5,128.4,128.4,127.8,127.7,127.6および127.0(CH×45),79.0(CH×2),78.6(CH×2),73.4(CH×2),73.3(CH×2),73.3(CH×4),70.4(CH×2),70.2(CH×2),70.0(CH×2),70.0(CH×2),68.9(CH×2),68.4(CH×2),53.6(CH),53.2(CH),52.3(CH),52.1(CH),49.9(CH),49.6(CH),37.8(CH),30.7(CH),27.8(CH).
化合物20b’〜23b’(1.0mmol)のそれぞれを10%水酸化カリウムエタノール溶液(15mL)中、室温で6〜12時間攪拌した。反応液に5%硫酸水素カリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、それぞれ化合物20b〜23bを得た(収率91〜99%)。
(化合物20b)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.43−2.49(4H,m),3.02(1H,dd,J=11.0,5.0Hz),3.16(1H,dd,J=11.0,4.0Hz),3.43(2H,brt,J=3.5Hz),3.53(2H,t,J=3.5Hz),4.50(2H,s),4.74(1H,brdd,J=5.0,4.0Hz),6.64(1H,brd,CONH),6.84(1H,brd,J=3.5Hz,CONH),7.14−7.40(10H,m),8.45(1H,brd,COOH).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):173.2(C),173.0(C),72.3(C),137.5(C),136.1(C),129.3(CH),128.3(CH×2),128.2(CH×2),127.7(CH×2),127.7(CH×2),126.6(CH),73.0(CH),68.4(CH),53.6(CH),39.5(CH),37.3(CH),31.8(CH×2).
(化合物21b)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.40−2.46(4H,m),3.05(1H,dd,J=11.0,4.5Hz),3.19(1H,dd,J=11.0,4.0Hz),3.51(2H,dd,J=7.0,4.5Hz),3.61(2H,dd,J=7.0,4.5Hz),4.20−4.28(1H,m),4.49(4H,s),4.72(1H,ddd,J=6.0,4.0,4.5Hz),6.29(1H,d,J=6.0Hz,CONH),6.68(1H,d,J=6.0Hz,CONH),7.12−7.36(15H,m),(COOHは明確に確認されず).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):173.5(C),172.9(C),172.3(C),137.8(C×2),136.2(C),129.5,129.5,128.4,128.4,127.8,127.8,127.7および126.9(CH×15),73.2(CH×2),68.3(CH×2),53.5(CH),48.9(CH),37.3(CH),32.1(CH),32.0(CH).
(化合物22b)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.14−2.41(4H,m),3.03(1H,dd,J=11.0,5.5Hz),3.18(1H,dd,J=11.0,4.5Hz),3.47−3.76(14H,m),4.07−4.13(1H,m),4.48−4.52(8H,m),4.67(1H,brdd,J=5.5,4.5Hz),6.76−6.86(2H,m),7.13−7.34(25H,m),(COOHは明確に確認されず).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):173.3(C),172.7(C),172.2(C),138.0(C),138.0(C),137.9(C),137.8(C),136.4(C),129.5,128.4,128.4,128.3,127.9,127.8,127.8,127.7,127.7,127.7,127.6および126.9(CH×25),79.0(CH),78.9(CH),73.4(CH×2),73.4(CH×2),70.3(CH),70.0(CH),68.4(CH×4),53.6(CH),49.7(CH),37.2(CH),31.9(CH),31.7(CH).
(化合物23b)
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):2.22−2.58(4H,m),2.92(1H,dd,J=9.0,5.0Hz),3.11(1H,dd,J=9.0,3.5Hz),3.29−3.80(32H,m),4.07−4.14(1H,m),4.16−4.23(1H,m),4.46(16H,s),4.64(1H,ddd,J=6.0,5.0,3.5Hz),6.38(1H,d,J=6.0Hz),7.00(1H,d,J=6.0Hz),6.91−7.47(45H,m),8.10(1H,d,J=6.0Hz).
13C−NMR(CDCl、75MHz)δ(ppm):173.5(C),172.8(C),172.6(C),166.9(C),168.4(C),138.2(C),138.2(C),138.1(C),138.1(C),138.1(C),138.0(C),138.0(C),137.9(C),136.4(C),129.3,128.5,128.4,128.4,128.3,127.9,127.8,127.8,127.7,127.7および126.9(CH×45H),78.9(CH),78.9(CH),78.7(CH),78.6(CH),73.4(CH×2),73.4(CH×2),73.3(CH×4),70.4(CH),70.4(CH),70.4(CH),70.3(CH),70.2(CH),70.2(CH),70.1(CH),70.0(CH),68.8(CH×2),68.4(CH×2),53.6(CH),53.3(CH),52.1(CH),50.0(CH),49.7(CH),37.1(CH),31.1(CH),28.4(CH).
化合物20b〜23b(1.0mmol)それぞれのエタノール溶液(15mL)に水素気流下、室温で、触媒量のPd/(OH)(Pd:20重量%含有,10〜50mg)を加えた後、同温度で6〜12時間攪拌した。反応液を、セライト535を用いて濾過した後、溶媒を減圧下で留去し、それぞれ化合物25b〜28bを得た(収率89〜97%)。
(化合物25b)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):2.36−2.50(4H,m),2.95(1H,dd,J=14.0,9.0Hz),3.18(1H,dd,J=14.0,5.0Hz),3.30(2H,t,J=6.0Hz),3.56(2H,t,J=6.0Hz),4.64(1H,dd,J=9.0,5.0Hz),7.16−7.30(5H,m).
13C−NMR(CDOD,75MHz)δ(ppm):174.9(C),174.7(C),174.5(C),138.4(C),130.3(CH×2),129.4(CH×2),127.8(CH),61.6(CH),55.1(CH),43.0(CH),38.4(CH),32.2(CH),32.0(CH).
(化合物26b)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):2.52−2.59(4H,m),3.00−3.21(2H,m),3.62−3.75(4H,m),4.00−4.04(1H,m),4.60−4.66(1H,m),7.35−7.49(5H,m).
13C−NMR(CDOD,75MHz)δ(ppm):174.8(C),174.7(C),174.7(C),138.3(C),130.2(CH×2),129.4(CH×2),127.7(CH),62.0(CH×2),55.1(CH),54.4(CH),38.4(CH),32.3(CH),32.0(CH).
(化合物27b)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):2.53−2.63(4H,m),3.11(1H,dd,J=11.0,7.0Hz),3.32(1H,dd,J=11.0,4.0Hz),3.62−3.81(14H,m),4.21(1H,q,J=4.0Hz),4.71−4.75(1H,m),7.36−7.49(5H,m).
13C−NMR(CDOD,75MHz)δ(ppm):174.5(C),174.3(C),173.3(C),138.1(C),130.1(CH),130.1(CH),129.3(CH),129.3(CH),127.7(CH),82.7(CH×2),69.4(CH×2),62.3(CH×2),62.2(CH×2),54.9(CH),50.8(CH),38.2(CH),32.0(CH),31.8(CH).
(化合物28b)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):2.49−2.52(4H,m),2.93(1H,dd,J=11.0,6.0Hz),3.19(1H,dd,J=11.0,4.0Hz),3.30−3.79(28H,m),4.00−4.03(2H,m),4.13−4.18(2H,m),4.18−4.23(2H,m),4.45−4.51(1H,m),7.19−7.29(5H,m).
13C−NMR(DO:CDOD=20:1,75MHz)δ(ppm):176.4(C),175.1(C),172.2(C),172.1(C),171.7(C),137.8(C),130.2(CH×2),129.6(CH×2),127.9(CH),82.0(CH×4),69.3(CH×4),61.6(CH×4),61.5(CH×4),55.5(CH),53.9(CH),53.4(CH),51.0(CH),50.7(CH),37.9(CH),31.1(CH),28.7(CH).
化合物24b[(3−フェニル−(S)−2−プロピオニル)アミノプロピオン酸((3−phenyl−(S)−2−propionyl)aminopropionic acid)]はL−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩(Rb−H・HCl)とプロピオン酸のNHSエステルを用い、上記と同様にして取得した。
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):1.02(3H,t,J=6.0Hz),2.16(2H,q,J=6.0Hz),3.13(1H,dd,J=11.0,5.0Hz),3.24(1H,dd,J=11.0,5.0Hz),4.66(1H,t,J=5.0Hz),7.17−7.28(5H,m).
13C−NMR(CDOD,75MHz)δ(ppm):174.6(C),174.4(C),135.8(C),129.4(CH),128.6(CH),127.2(CH),53.2(CH),37.3(CH),29.5(CH),9.7(CH).
実施例6 本発明化合物で修飾された化学修飾低分子化合物の合成[化合物25a〜28aの合成の別法]
反応スキームを以下に示す。

化合物17〜19(1.0mmol)それぞれのエタノール溶液(15mL)に水素気流下、室温で、触媒量のPd(OH)/C(Pd:20重量%含有,10〜50mg)を加えた後、同温度で6〜12時間攪拌した。反応液を、セライト535を用いて濾過した後、溶媒を減圧下で留去し、それぞれ化合物29〜31を得た(収率62〜100%)。
(化合物29)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):2.71(2H,t,J=5.0Hz),2.97(4H,s),3.22(2H,t,J=5.0Hz),3.49(2H,t,J=5.0Hz),3.59(2H,t,J=5.0Hz).
(化合物30)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):2.72(2H,t,J=5.0Hz),2.89(4H,s),3.01(2H,t,J=5.0Hz),3.66(4H,d,J=4.5Hz),3.90−3.98(1H,m).
(化合物31)
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):2.69(2H,t,J=5.0Hz),2.89(4H,s),3.01(2H,t,J=5.0Hz),3.60−3.82(14H,m),4.14−4.21(1H,m).
13C−NMR(CDO,300MHz)δ(ppm):172.8(C),171.5(C×2),169.6(C),83.0(CH×2),69.6(CH×2),62.5(CH×2),62.3(CH×2),51.2(CH),31.0(CH),27.5(CH),26.5(CH×2).
化合物Ra−H(1.0mmol,285mg)と化合物29〜31および7(2.0mmol)それぞれを5%りん酸二カリウム塩水溶液中(5mL)、室温で1時間攪拌し、それぞれ化合物25a〜28aを得た(実施例4での合成品と照合し、それぞれ同一化合物であることが確認された)。
実施例7 本発明化合物で修飾された化学修飾低分子化合物の合成(化合物25b〜28bの合成の別法)
L−フェニルアラニン(Rb−H,1.0mmol,165mg)と化合物29〜31および7(2.0mmol)それぞれを5%りん酸二カリウム塩水溶液中(5mL)、室温で1時間攪拌し、それぞれ化合物25b〜28bを得た(実施例5での合成品と照合し、それぞれ同一化合物であることが確認された)。
実施例8 化合物の合成[式(4)で表される化合物]
反応スキームを以下に示す。

エタノールアミン(500mg,8.2mmol)および水酸化ナトリウム(1.7g,40mmol)をジオキサンと水の混合溶媒(10:1,50mL)に懸濁し、得られた懸濁液にジ−tert−ブチルジカーボナート(1.96g,9.0mmol)を0℃で数回に分けて加えた。反応液を0℃で2時間攪拌した後、硫酸水素カリウム水溶液(5%,50mL)を加え、酢酸エチル(150mL)を用いて抽出した。抽出した有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30ml)で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、粗精製の(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル[(2−hydroxyethyl)carbamic acid tert−butyl ester;1.32g,8.2mmol,収率100%]を得た。
トリフェニルホスフィン(2.15g,8.2mmol)のテトラヒドロフラン溶液(25mL)に光延試薬[ジエチルアゾジカルボキシレート(diethylazodicarboxylate)]のトルエン溶液(1.106g/mL,8.2mmol,1.29mL)を−78℃でゆっくりと加えた。得られた溶液に(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.32g,8.2mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5mL)およびマレイミド(794mg,8.2mmol)を加え、−78℃で5分間攪拌した後、室温で36時間攪拌した。得られた反応液を濃縮した後、エーテルを加え、生じた沈殿を濾過して取り除いた。得られた濾液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、2−(マレイミド)エチルカルバミン酸tert−ブチルエステル[2−(maleimido)ethylcarbamic acid tert−butyl ester;531mg,2.53mmol,収率31%]を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):6.72(2H,s),4.75(1H,br,NH),3.66(2H,t,J=5.6Hz),3.33(2H,dt,J=5.1,5.6Hz),1.40(9H,s).
(2−マレイミド)カルバミン酸tert−ブチルエステル(48mg,0.2mmol)をトリフルオロ酢酸とジクロロメタンの混合溶媒(30:70,5mL)に溶解し、0℃で2時間攪拌した後、反応液を濃縮した。得られた残渣をジクロロメタン(20ml)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加え、分液した。有機層を炭酸水素カリウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、1−(2−アミノエチル)−3−ピロリン−2,5−ジオン[1−(2−aminoethyl)−3−pyrroline−2,5−dione;28mg,0.2mmol,収率100%]を得た。
化合物7(77.2mg,0.1mmol)および1−(2−アミノエチル)−3−ピロリン−2,5−ジオン(28.0mg,0.2mmol)を水(5mL)に懸濁し、室温で2時間攪拌した。反応液を濃縮し、得られた残渣を分取用逆相薄層クロマトグラフィー(分取用逆相TLC)(水:メタノール=10:1)で精製し、化合物33(39mg,0.05mmol,収率50%)を得た。
H−NMR(CDOD,300MHz)δ(ppm):6.56(2H,s),4.22−4.05(6H,m),3.80−3.43(32H,m),2.96−2.74(4H,m).
実施例9 化合物の合成[式(5)で表される化合物]
反応スキームを以下に示す。反応スキーム中で、Bnはベンジル基を表す。

化合物34をジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),50,1148−1156(1990年)に記載の方法に従って調製した。化合物4(300mg,0.231mmol)のテトラヒドロフラン溶液(3mL)を0℃に冷却し、60%水素化ナトリウム(10.2mg,0.255mmol)を加えた後、10分間攪拌した。反応液に4−クロロ酪酸クロライド(0.028ml,0.255mmol)を加え10分間攪拌した後、室温にて8時間攪拌した。反応液に1mol/L塩酸を加えた後、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製し、化合物34(231.6mg,0.165mmol,収率71%)を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):8.38(1H,d,J=8Hz,CONH),7.33−7.21(40H,m),6.99(1H,d,J=7.2Hz,CONH),4.46(16H,s),4.25−4.06(2H,m),3.80−3.37(34H,m),2.29(2H,t,J=6.8Hz),1.97(2H,quint,J=6.4Hz).
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ(ppm):172.4(C),168.5(C),167.9(C),138.0(C×2),138.0(C×2),137.9(C×2),137.9(C×2),128.1,128.1,128.1,127.6,127.4,127.3および127.3(CH×40),78.9(CH×2),78.5(CH×2),73.3(CH×2),73.2(CH×2),73.1(CH×4),70.4(CH×2),70.1(CH×2),69.9(CH×2),69.8(CH×2),68.8(CH×2),68.2(CH×2),53.5(CH),52.2(CH),49.8(CH),49.5(CH),44.4(CH),29.2(CH),27.4(CH).
化合物35をジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.),111,285−291(1989年)に記載の方法に従って調製した。
化合物34(231.6mg,0.165mmol)のエタノール溶液(50mL)に、室温でチオ酢酸(0.024mL,0.331mmol)およびナトリウムエトキシド(22.5mg,0.331mmol)を加えた後、15時間還流した。反応液を室温まで冷却した後、1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し、化合物35(174.9mg,0.121mmol,収率73%)を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):8.48(1H,d,J=7.6Hz,CONH),7.33−7.20(40H,m),6.96(1H,d,J=8.8Hz),4.46(16H,s),4.26−4.05(2H,m),3.80−3.35(32H,m),2.80(2H,t,J=7.2Hz),2.26(3H,s),2.19(2H,t,J=7.0Hz),1.80(2H,quint,J=7.0Hz).
化合物36をジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.),85,1337−1341(1963年)に記載の方法に従って調製した。
化合物35(174.9mg,0.121mmol)のエタノール溶液(10mL)に、0℃で0.6mol/L水酸化ナトリウムエタノール溶液(5mL,3mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応液に1mol/L塩酸を加えた後、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し、化合物36(113.3mg,0.079mmol,収率67%)を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):8.53(1H,d,J=8.0Hz),7.35−7.18(40H,m),6.98(1H,d,J=8.4Hz),4.45(16H,s),4.27−4.05(2H,m),3.81−3.32(32H,m),2.55(2H,t,J=6.8Hz),2.23(2H,t,J=7.0Hz),1.90(2H,quint,J=6.8Hz).
13C−NMR(CDCl,100MHz)δ(ppm):172.7(C),168.6(C),168.1(C),138.1(C×2),138.0(C×2),137.9(C×2),137.9(C×2),128.1,128.1,127.6,127.4,127.3および127.3(CH×40),78.8(CH×2),78.5(CH×2),73.3(CH×2),73.1(CH×2),73.1(CH×4),70.3(CH×2),70.1(CH×2),69.9(CH×2),69.8(CH×2),68.8(CH×2),68.2(CH×2),53.6(CH),52.2(CH),49.8(CH),49.4(CH),37.3(CH),30.5(CH),23.7(CH).
実施例10 本発明化合物で修飾された化学修飾ステロール類の調製
反応スキームを以下に示す。反応スキーム中で、Bnはベンジル基を表す。

化合物6(2.4g,1.61mmol)のテトラヒドロフラン溶液に、室温で化合物E(1.43g,3.22mmol)およびジメチルアミノピリジン(DMAP;0.79g,6.44mmol)を順次加えた後、同温度で2時間撹拌した。反応液を5%硫酸水素カリウム水溶液に注いだ後、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)で精製し、化合物37(2.45g,1.33mmol,収率83%)を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):8.28−8.22(1H,m,CONH),8.35−8.19(m,40H),7.10−7.00(1H,m,CONH),6.17−6.09(1H,m,CONH),4.51−4.43(16H,m),3.80−3.40(36H,m),3.26−3.20(2H,m),3.19−3.08(1H,m),2.48−2.41(2H,m),2.35−2.29(2H,m),2.00−0.80(33H,m),0.90(3H,d,J=6.4Hz),0.86(6H,d,J=6.4Hz),0.77(3H,s),0.63(3H,s).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):173.1(C),171.5(C),168.1(C),138.2(C),128.3,127.6および127.5(CH×40),78.9(CH×4)70.4(CH×8),70.0(CH×8),68.4(CH×4),66.4(CH),56.5(CH),56.3(CH),54.4(CH),52.3(CH×2),44.8(CH×2),42.6(C),40.0(CH),39.5(CH),38.0(CH),37.0(CH),36.2(CH),35.8(CH),35.8(C),35.5(CH),34.8(CH),32.1(CH),31.1(CH),31.0(CH),29.6(CH),28.9(CH),28.3(CH),28.3(CH),28.0(CH),24.3(CH),23.9(CH),22.9(CH),22.6(CH),21.3(CH),18.7(CH),12.4(CH),12.1(CH).
化合物37(2.45g,1.33mmol)のエタノール溶液(15mL)に、水素気流下、室温でPd(OH)/C(Pd:20重量%含有,260mg)を加えた後、同温度で3時間撹拌した。反応液をセライト535を用いて濾過した後、溶媒を減圧下で留去し、化合物38(1.52g,1.33mmol,収率100%)を得た。
H−NMR(CDOD,400MHz)δ(ppm):4.33−4.12(4H,m),4.08−3.99(2H,m),3.93−3.36(32H,m),3.27−3.17(1H,m),2.66−2.43(4H,m),2.07−0.85(33H,m),0.93(3H,d,J=6.8Hz),0.88(6H,d,J=6.8Hz),0.82(3H,s),0.69(3H,s).
参考例1 G−CSF誘導体の調製
ヒトG−CSF(hG−CSF)の1番目のスレオニンをアラニンに、3番目のロイシンをスレオニンに、4番目のグリシンをチロシンに、5番目のプロリンをアルギニンに、17番目のシステインをセリンにそれぞれ置換した配列番号1または配列番号2に示したアミノ酸配列を有するhG−CSF誘導体を、特公平07−096558に記載の方法により取得した。なお、配列番号1は、MetをN末端にシグナルペプチドのアミノ酸として含んでいる。
前記のhG−CSF誘導体をコードするDNAを含むプラスミドpCfBD28を保有する大腸菌W3110strA株(Escherichiacoli ECfBD28 FERM BP−1479)をLG培地(バクトトリプトン10g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム5g、グルコース1gを水1Lに溶かし、NaOHでpHを7.0とする)で37℃、18時間培養し、この培養液5mLを25μg/mLのトリプトファンと50μg/mLのアンピシリンを含むMCG培地(NaHPO 0.6%、KHPO 0.3%、塩化ナトリウム0.5%、カザミノ酸0.5%、MgSO 1mmol/L、ビタミンB14μg/mL、pH7.2)100mLに摂取し、30℃で4〜8時間培養した後、トリプトファンの誘導物質である3β−インドールアクリル酸(3β−indoleacrylic acid)を10μg/mL加え、さらに2〜12時間培養を続けた。培養液を8,000rpm、10分間遠心して集菌し、30mmol/L塩化ナトリウム、30mmol/Lトリス・塩酸緩衝液(pH7.5)で洗浄した。
洗浄菌体を前記緩衝液30mLに懸濁し、0℃で10分間超音波破砕(BRANSON SONIC POWER COMPANY社製、SONIFIER CELL DISRUPTOR 200、OUTPUT CONTROL 2)した。該超音波破砕物を9,000rpmで30分間遠心分離して菌体残渣を得た。
菌体残渣からマーストンらの方法[バイオ/テクノロジー(BIO/TECHNOLOGY),,800(1984年)]に準じ、hG−CSF誘導体を抽出・精製・可溶化・再生した。
参考例2 ポリエチレングリコール修飾G−CSF誘導体の調製
50mmol/Lりん酸緩衝液(pH7.6)で4.0mg/mLに調製した参考例1のG−CSF誘導体995mLに19.1g(蛋白質1モル当たり4.5モル)の活性化PEG誘導体(M−SPA−20,000、Shearwater Polymers,Inc.社製、平均分子量約20,000)を添加し、4℃で一昼夜反応させた。次いで、20mmol/L酢酸緩衝液(pH4.5)で平衡化したSP Sepharose FF カラム2000mL(Amersham−Pharmacia Biotech社製)に通塔し精製した。
目的画分4000mLを濃縮し、11.2mg/mLの目的物を含む溶液320mLを得た(収率90.4%)。
<電気泳動>
2−メルカプトエタノール非存在下、4−20%グラジエントゲル(ATTO社製PAGEL SPG−520L)でSDS−PAGEを行い、1〜3分子結合体のバンドを確認した。
<ゲル濾過HPLC分析>
TSK gel G−4000SWXLカラム(7.8×300mm×2本連結,東ソー社製)2本を用い、以下の方法で分析した。
保持時間:38.2分(1分子結合体)
34.4分(2分子結合体)
32.2分(3分子結合体)
移動相:150mmol/L塩化ナトリウム、20mmol/L酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)流量:0.5mL/分
検出:UV280nm
参考例3 3−(3β,5α−コレスタンオキシ)プロピル−1−アミン[化合物E;3−(3β,5α−cholestanoxy)propyl−1−amine]の合成
反応スキームを以下に示す。反応スキーム中で、Tsはトシル基を表す。

化合物Aは、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサエティ,パーキン・トランスアクション1(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1),,158−160(1979年)に記載の方法により合成した。
化合物Bをジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),58,6756−6765(1993年)に記載の方法に従って調製した。化合物A(556mg,1.25mmol)のジクロロメタン溶液(4mL)を−78℃に冷却し、BH・S(CH(0.47mL,5mmol)およびトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf;0.9mL,5mmol)を加えた後、同温度で15分間攪拌した。反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液中に注いだ後、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、化合物B[3−(3β,5α−cholestanoxy)propan−1−ol;279mg,0.63mmol,収率50%]を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):3.78(2H,t,J=6.4Hz),3.67(2H,t,J=6.4Hz),3.23(1H,dddd,J=6.4,6.4,14.4,14.4Hz),2.67(1H,brs,OH),2.00−0.81(33H,m),0.90(3H,d,J=6.4Hz),0.86(6H,d,J=6.8Hz),0.79(3H,s),0.64(3H,s).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):79.7(CH),68.3(CH),63.3(CH),57.1(CH),56.9(CH),55.0(CH),45.5(CH),43.2(C),40.7(CH),40.2(CH),37.6(CH),36.8(CH),36.4(CH),36.4(C),36.1(CH),35.4(CH),32.8(CH),32.8(CH),29.5(CH),28.9(CH),28.9(CH),28.7(CH),24.9(CH),24.5(CH),23.5(CH),23.2(CH),21.9(CH),19.3(CH),13.0(CH),12.7(CH).
化合物B(5.17g,11.58mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)に、室温でトルエンスルホニルクロライド(4.42g,23.16mmol)およびトリエチルアミン(7.8mL,46.32mmol)を加えた後、同温度で24時間攪拌した。反応液を5%硫酸水素カリウム水溶液に注いだ後、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、化合物C[3−(3β,5α−cholestanoxy)propyl 4−methylbenzenesulfonate;6.95g,11.58mmol,収率100%]を得た。
化合物C(6.95g,11.58mmol)のDMF溶液(40mL)に、アジ化ナトリウム(2.86g,44mmol)を室温で加えた後、120℃で3時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、化合物D[3−(3β,5α−cholestanoxy)propyl−1−azide;4.67g,9.91mmol,収率86%]を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):3.52−3.43(2H,m),3.36−3.29(2H,t,J=6.8Hz),3.14(1H,dddd,J=4.4,4.4,10.8,10.8Hz),2.00−0.75(33H,m),0.90(3H,d,J=6.0Hz),0.86(6H,d,J=6.8Hz),0.72(3H,s),0.58(3H,s).
13C−NMR(CDCl,75MHz)δ(ppm):78.8(CH),64.4(CH),56.5(CH),56.3(CH),54.4(CH),48.6(CH),44.8(CH),42.6(C),40.0(CH),39.5(CH),37.0(CH),36.2(CH),35.8(CH),35.8(C),35.5(CH),34.8(CH),32.1(CH),29.6(CH),28.8(CH),28.2(CH),28.2(CH),28.0(CH),24.2(CH),23.8(CH),22.8(CH),22.6(CH),21.2(CH),18.7(CH),12.3(CH),12.1(CH).
化合物D(1.97g,4.18mmol)のエタノール溶液(25mL)に、水素気流下、室温でPd(OH)/C(Pd:20重量%含有,230mg)を加えた後、同温度で12時間攪拌した。反応液を、セライト535を用いて濾過した後、溶媒を減圧下で留去し、化合物E[3−(3β,5α−cholestanoxy)propyl−1−amine;1.86g,4.18mmol,収率100%]を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):3.60−3.49(2H,m),3.20(1H,dddd,J=4.4,4.4,10.4,10.4Hz),2.81(2H,t,J=6.4Hz),2.07−0.81(33H,m),0.90(3H,d,J=6.0Hz),0.86(6H,d,J=5.6Hz),0.79(3H,s),0.64(3H,s).
【産業上の利用可能性】
本発明で開示された化合物は生理活性ポリペプチドもしくはその誘導体または低分子化合物の化学修飾に有用である。さらに該化合物で修飾された化学修飾ポリペプチド等は安定性または水溶性が向上しているだけでなく、従来の化学修飾ポリペプチド等に比較して著しく生理活性を維持した状態で製造し得る。本発明の化学修飾ポリペプチド等は、生体内に投与された際に長時間有効にその生理活性を示し、該生理活性に関連した症状の改善剤または治療剤として有用である。また、当該化合物で修飾された化学修飾低分子化合物は、安定性または水溶性が向上しており、低分子医薬品、低分子試薬の可溶化剤等として有用である。
「配列フリーテキスト」
配列番号1−人工配列の説明:hG−CSFの5アミノ酸置換ペプチド
配列番号2−人工配列の説明:hG−CSFの5アミノ酸置換ペプチド
【配列表】


【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、Rは反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基を表し、nは3以上の整数を表し、Xはn個の

を有することが可能な残基を表し、Rは水素原子または水素原子に変換可能な基を表し、6個以上存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)で表される化合物。
【請求項2】
全てのRが水素原子である、請求の範囲1記載の化合物。
【請求項3】
全てのRがベンジルである、請求の範囲1記載の化合物。
【請求項4】
nが2(式中、mは2以上の整数を表す)である、請求の範囲1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Xが1以上の直列的分岐構造を有する、請求の範囲1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Xが1個以上(n−1)個以下の

または

(式中、Y、YおよびYはそれぞれ独立して、単結合、あるいは置換もしくは非置換のアルキレン、カルボニル、置換もしくは非置換のイミノ、O、S、スルホニルおよびスルフィニルからなる群より選ばれる一つまたは同一もしくは異なった複数の任意の組み合わせを表し、Y、YおよびYが複数存在するとき、これらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)で表される構造を含有する、請求の範囲1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Xが1個以上(n−1)個以下の

で表される構造を含有する、請求の範囲1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Xが1個以上(n−1)個以下の

で表される構造を含有する、請求の範囲1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Xが1個以上(n−1)個以下の

で表される構造を含有する、請求の範囲1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
Xが1個以上(n−1)個以下の

で表される構造を含有する、請求の範囲1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基が、生理活性ポリペプチドまたはその誘導体中のアミノ酸側鎖、N末端アミノ基もしくはC末端カルボキシル基、またはポリペプチドと結合した糖鎖との反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基である請求の範囲1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
反応性を有する基または反応性を有する基に変換可能な基を含有する残基が、カルボン酸活性エステル残基、カーボネート、マレイミド、メルカプト、ホルミル、トレシル、イソシアナート、酸無水物残基、酸ハロゲン化物残基、ビニルスルホニル、ヒドラジド、アミノ、水酸基、ハロゲン、カルボキシ、ビニルおよびホスホノからなる群より選ばれる基である請求の範囲1〜11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
請求の範囲1〜12のいずれか1項に記載の化合物を少なくとも二つ含有する混合物。
【請求項14】
式(2)

(式中、R1Aは水素原子またはベンジルを表す)で表される化合物。
【請求項15】
式(3)

(式中、R1Aは水素原子またはベンジルを表す)で表される化合物。
【請求項16】
式(4)

(式中、R1Aは水素原子またはベンジルを表す)で表される化合物。
【請求項17】
式(5)

(式中、R1Aは水素原子またはベンジルを表す)で表される化合物。
【請求項18】
生理活性ポリペプチドまたはその誘導体が少なくとも1個の請求の範囲1〜12および14〜17のいずれか1項に記載の化合物で直接もしくはスペーサーを介して修飾された化学修飾ポリペプチド。
【請求項19】
生理活性ポリペプチドまたはその誘導体が、酵素、サイトカイン、ホルモン、毒素、抗体およびそれらの誘導体からなる群より選ばれる請求の範囲18記載の化学修飾ポリペプチド。
【請求項20】
生理活性ポリペプチドまたはその誘導体が、アスパラギナーゼ(Asparaginase)、グルタミナーゼ(Glutaminase)、アルギナーゼ(Arginase)、ウリカーゼ(Uricase)、スーパーオキサイドディスムターゼ(Superoxide Disumutase)、ラクトフェリン(Lactoferrin)、ストレプトキナーゼ(Streptokinase)、プラスミン(Plasmin)、アデノシンデアミナーゼ(Adenosine Deaminase)、インターロイキン−1〜24(Interleukin−1〜24)、インターフェロン−α(Interferon−α)、インターフェロン−β(Interferon−β)、インターフェロン−γ(Interferon−γ)、インターフェロン−ω(Interferon−ω)、インターフェロン−τ(Interferon−τ)、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte−Colony Stimulating Factor)、エリスロポエチン(Erythropoietin)、腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor)、血小板増加因子(Thrombopoietin)、クローソ(Klotho)蛋白質、レプチン(Leptin)、繊維芽細胞増殖因子1〜19(Fibroblast Growth Factor−1〜19)、ミッドカイン(Midkine)、カルシトニン(Calcitonin)、表皮成長因子(Epidermal Growth Factor)、グルカゴン(Glucagon)、インスリン(Insulin)、インスリン様成長因子1(Insulin−like Growth Factor−1)、オステオジェニックプロテイン1(Osteogenic Protein−1)、幹細胞増殖因子(Stem Cell Growth Factor)、アミリン(Amylin)、パラサイロイドホルモン(Parathyroid Hormone)、プラスミノーゲン活性化因子類(Plasminogen Activator)、血管内皮細胞成長因子(Vascular Endothelial Cell Growth Factor)、形質転換成長因子類(Transforming Growth Factor)、グルカゴン様ペプチド類(Glucagon−like Peptide)、成長ホルモン(Growth Hormone)、ナトリウム利尿ペプチド類(Natriuretic Peptide)、プラスミノーゲン(Plasminogen)、アンジオポエチン(Angiopoietin)、アンジオスタチン(Angiostatin)、エンドスタチン(Endostatin)、ネオカルチノスタチン(Neocarzinostatin)、肝細胞成長因子(Hepatocyte Cell Growth Factor)、リシン(Ricin)、シュードモナス外毒素(Pseudomonas Exotoxin)、ジフテリア毒素(Diphtheria Toxin)およびそれらの溶解性レセプターならびにそれらの誘導体からなる群より選ばれる請求の範囲18記載の化学修飾ポリペプチド。
【請求項21】
生理活性ポリペプチドの誘導体が、該ポリペプチドのアミノ酸欠失体、アミノ酸置換体、アミノ酸挿入体、アミノ酸付加体、糖鎖欠失体および糖鎖付加体からなる群より選ばれる請求の範囲18〜20のいずれか1項に記載の化学修飾ポリペプチド。
【請求項22】
請求の範囲18〜21のいずれか1項に記載の化学修飾ポリペプチドを含有する医薬。
【請求項23】
請求の範囲1〜12および14〜17のいずれか1項に記載の化合物で生理活性ポリペプチドまたはその誘導体を化学修飾することを特徴とする、該生理活性ポリペプチドまたは該その誘導体の安定性または水溶性を向上させる方法。
【請求項24】
生理活性ポリペプチドまたはその誘導体が、酵素、サイトカイン、ホルモン、毒素、抗体およびそれらの誘導体からなる群より選ばれる請求の範囲23記載の方法。
【請求項25】
生理活性ポリペプチドまたはその誘導体が、アスパラギナーゼ(Asparaginase)、グルタミナーゼ(Glutaminase)、アルギナーゼ(Arginase)、ウリカーゼ(Uricase)、スーパーオキサイドディスムターゼ(Superoxide Disumutase)、ラクトフェリン(Lactoferrin)、ストレプトキナーゼ(Streptokinase)、プラスミン(Plasmin)、アデノシンデアミナーゼ(Adenosine Deaminase)、インターロイキン−1〜24(Interleukin−1〜24)、インターフェロン−α(Interferon−α)、インターフェロン−β(Interferon−β)、インターフェロン−γ(Interferon−γ)、インターフェロン−ω(Interferon−ω)、インターフェロン−τ(Interferon−τ)、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte−Colony Stimulating Factor)、エリスロポエチン(Erythropoietin)、腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor)、血小板増加因子(Thrombopoietin)、クローソ(Klotho)蛋白質、レプチン(Leptin)、繊維芽細胞増殖因子1〜19(Fibroblast Growth Factor−1〜19)、ミッドカイン(Midkine)、カルシトニン(Calcitonin)、表皮成長因子(Epidermal Growth Factor)、グルカゴン(Glucagon)、インスリン(Insulin)、インスリン様成長因子1(Insulin−like Growth Factor−1)、オステオジェニックプロテイン1(Osteogenic Protein−1)、幹細胞増殖因子(Stem Cell Growth Factor)、アミリン(Amylin)、パラサイロイドホルモン(Parathyroid Hormone)、プラスミノーゲン活性化因子類(Plasminogen Activator)、血管内皮細胞成長因子(Vascular Endothelial Cell Growth Factor)、形質転換成長因子類(Transforming Growth Factor)、グルカゴン様ペプチド類(Glucagon−like Peptide)、成長ホルモン(Growth Hormone)、ナトリウム利尿ペプチド類(Natriuretic Peptide)、プラスミノーゲン(Plasminogen)、アンジオポエチン(Angiopoietin)、アンジオスタチン(Angiostatin)、エンドスタチン(Endostatin)、ネオカルチノスタチン(Neocarzinostatin)、肝細胞成長因子(Hepatocyte Growth Factor)、リシン(Ricin)、シュードモナス外毒素(Pseudomonas Exotoxin)、ジフテリア毒素(Diphtheria Toxin)およびそれらの溶解性レセプターならびにそれらの誘導体からなる群より選ばれる請求の範囲23記載の方法。
【請求項26】
生理活性ポリペプチドの誘導体が、該ポリペプチドのアミノ酸欠失体、アミノ酸置換体、アミノ酸挿入体、アミノ酸付加体、糖鎖欠失体および糖鎖付加体からなる群より選ばれる請求の範囲23〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
低分子化合物が少なくとも1個の請求の範囲1〜12および14〜17のいずれか1項に記載の化合物で直接またはスペーサーを介して修飾された化学修飾低分子化合物。
【請求項28】
請求の範囲27記載の化学修飾低分子化合物を含有する医薬。
【請求項29】
請求の範囲1〜12および14〜17のいずれか1項に記載の化合物で低分子化合物を化学修飾することを特徴とする、該低分子化合物の安定性または水溶性を向上させる方法。
【請求項30】
請求の範囲1〜12および14〜17のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とする生理活性ポリペプチドもしくはその誘導体または低分子化合物の化学修飾剤。

【国際公開番号】WO2004/029018
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【発行日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539460(P2004−539460)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011214
【国際出願日】平成15年9月2日(2003.9.2)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【出願人】(501103000)株式会社テクノネットワーク四国 (5)
【Fターム(参考)】